JP6264172B2 - 密閉空間形成部材、これを用いた水分子吸脱着測定システムおよび水分子吸脱着測定方法 - Google Patents

密閉空間形成部材、これを用いた水分子吸脱着測定システムおよび水分子吸脱着測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、試料と水分子との吸脱着を測定する水分子吸脱着システムに用いられる密閉空間形成部材に関する。例えば、RIfS(Reflectometric Interference Spectroscopy:反射干渉分光法)を利用する、試料と水分子の吸脱着を測定する水分子吸脱着測定システムに用いられる密閉空間形成部材、これを用いた水分子吸脱着測定システムおよび水分子吸脱着測定方法に関する。
含水率、吸水性、吸湿性、膨潤性、保湿性、濡れ性といった水が関係する物性は、高分子材料、生体材料等の保存安定性、機能性、環境安定性、細菌繁殖性、生体生着性あるいは寸度の安定性等に非常に重要な意味を持つ。
従来、材料中の水を定量する手段として、乾燥状態と湿潤状態との質量の差分を水の量として測定したり、材料中に含まれる水を物理的、化学的に定量化する手段はあったものの、一定条件下でも常に存在量と存在位置が変動している水の吸脱着を捉えることはできていない。材料をより高度に設計したり、材料中の水のふるまいを正確に捉えるためには、高精度で短時間に微量な水分の吸脱着を定量することができる装置の開発が必要となる。
非特許文献1には、精密電子天秤を内包し、温度変化による測定誤差を防止するために一定温度に維持されているチャンバーと、該チャンバーの下方に設けられ、連通穴を介して前記精密電子天秤から垂下された試料皿を有するサンプルチャンバーと、該サンプルチャンバーの下方に設けられ水を貯留するリザーバと、前記サンプルチャンバー内に設けられた温度プローブおよび湿度プローブ、およびフロー調節手段によって構成される調湿手段を備えた、水吸脱着測定用の装置が開示されている。この装置では、試料の温度を一定にした状態でサンプルチャンバー内の湿度を変化させ、各湿度における試料に対する水分子の吸脱着の平衡状態で、精密電子天秤により試料の重さを計量し、水蒸気吸着等温線を求めることで試料への水分子の吸脱着の挙動を測定することができる。
しかしながら、非特許文献1の装置は、サンプルチャンバー内に試料皿を垂下して試料を計量する構成であるため、ガス供給は試料の測定に影響が出ないように試料皿に物理的な力が及ばない空間位置へ行われることとなる。そのため、水分子が試料に対して吸脱着する平衡に達する程度の十分な量の水分子を試料に対して迅速に供給することは困難である。
特許文献1および非特許文献2には、QCM(水晶振動子マイクロバランス)またはその改良法であるQCM−Dを利用して、センサー(水晶振動子)の表面に形成されている膜状の試料の吸湿性(膨潤性)等の物性を分析する方法が開示されている。QCMのセンサーは、水晶板の両面にそれぞれ形成された電極に交流電圧を印加して発振させ、その振動数と波長を計測するセンサーであり、一方の電極表面の試料に水分子が吸着するとその吸着量によって振動数が増加し、発振する波長も長波長側へとシフトする。
特許文献1および非特許文献2のQCMのセンサーは、溶液を保持している第1空間と、該第1空間との間に蒸気を透過しうる多孔質性の膜を介在させて仕切られた第2空間と、第2空間に前記一方の電極表面が露出するように設けられた水晶振動子とを備えており、第2空間の相対湿度は、前記第1空間から前記多孔質性の膜を介して前記第1空間へと透過する溶液の量によって調節される。
しかしながら、特許文献1および非特許文献2に記載されたQCMのセンサーが備える機構では、試料に対する水分子の供給が、多孔質性の膜を介して前記第1空間から第2空間へと透過する溶液の量によってのみ調節されるため、水分子が試料に対して吸脱着する平衡に達する程度の十分な量の水分子を試料に対して迅速に供給することは困難である。
国際公開公報WO2009/005452号
"DVD Intrinsic-Compact and Economical Dynamic Vapor Sorption System"、[online]、平成20年、Surface Measurement Systems (SMS) Ltd、[平成25年2月10日検索]、インターネット〈URL:http://www.thesorptionsolution.com/files/DVS%20Intrinsic%20Brochure.pdf〉 "ANALYSING VAPOR UPTAKE & RELEASE WITH QCM-D"、[online]、平成20年、Biolin Scientific、[平成25年2月10日検索]、インターネット〈http://www.q-sense.com/file/18-analyzing-humidity-effects-with-qcm-d-1.pdf〉
本発明者らは、既に、水分子吸脱着測定システムの一つであるRIfSシステムにおいて試料を置いた測定領域を内包する密閉空間を形成するための密閉空間形成部材として、前記測定領域へ湿度を調節したガスを導入するために微小な流路を用いることを提案している(特願2013−080306)。
しかしながら、上記密閉空間形成部材の微小な流路では、水分供給量を増大させるために、測定領域に対して平行方向に流れるガスの供給量(流量:単位時間あたりのガスの供給体積)を高めると、ガス流中の水分子の試料薄膜への吸着効率が低下し、脱着効率も上昇してしまう。そこで、本発明者らは、水分と試料との水分子の吸脱着を迅速に効率良く測定するために、ガス供給量を高めても水分子の吸着効率を低下させないようにする構成を考案した。
すなわち、本発明は、上述した問題点に鑑み、水分子が試料に対して吸脱着する平衡に達する程度に十分な量の水分子を試料に対して迅速に供給することができる空間形成部材の提供をすることを目的とする。
本発明者らは、試料に対して水分子を含むガスの垂直の流れを作り出すことにより、水分子の試料からの脱離を抑えて、短時間に水分子の試料に対する吸脱着の平衡点とすることができることを初めて見出して本発明に至った。また、試料に対して供給する前記ガスの湿度を短時間に連続的に変化させて、各湿度における水分子の試料に対する吸脱着を連続的に測定するリアルタイムの水分子吸脱着測定に利用可能であることも見出した。
本発明によって、以下の[1]〜[13]の密閉空間形成部材、および水分子吸脱着測定方法が提供される。
[1] 試料と、該試料に接触させる調湿ガスに含まれる水分子との吸脱着を測定する水分子吸脱着測定システムに用いられ、前記試料を内包する密閉空間を形成するための密閉空間形成部材であって、前記調湿ガスを、前記試料の測定用の表面部分(測定領域)に対向する位置から、測定領域に吹き付けるよう、前記密閉空間に導入するための導入口と、前記密閉空間内の調湿ガスを前記密閉空間の外部へ排出するための排出口と、
を備えたことを特徴とする密閉空間形成部材。
[2] 前記密閉空間の容量が、水分子の試料に対する吸脱着を測定するための時間間隔の間に、前記密閉空間に供給される前記調湿ガスの量とほぼ同量か、それ以下となるように形成されていることを特徴とする、[1]に記載の密閉空間形成部材。
[3] 前記密閉空間の容量が1.5mL〜3.2mLであることを特徴とする、[2]に記載の密閉空間形成部材。
[4] 前記導入口の開口面積の合計:前記測定領域の面積の比が、50:1〜480:1であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の密閉空間形成部材。
[5] 前記調湿ガスが、前記測定領域の平面に対して45°以上135°以下の範囲の角度で吹き付けるように、前記導入口が設けられていることを特徴とする、[1]〜[4]にいずれかに記載の密閉空間形成部材。
[6] 前記導入口が複数設けられ、該導入口の開口が、円形、楕円形、および長方形の少なくともいずれか1つであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の密閉空間形成部材。
[7] 前記導入口から導入された前記調湿ガスの流れの前記測定領域に供給される角度をガイドするガスガイド部材を備えた、[1]〜[6]のいずれかに記載の密閉空間形成部材。
[8] 前記測定領域以外の密閉空間の表面が、前記試料より疎水性のカバー部材により覆われている、[1]〜[7]のいずれかに記載の密閉空間形成部材。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の密閉空間形成部材を有していることを特徴とする水分子吸脱着測定システム。
[10] 試料と水分子との吸脱着を測定するための測定領域に配置された試料を内包するように導入口および排出口を有する密閉空間を形成し、該導入口から水分子を含む調湿ガスを該密閉空間内に導入して該試料の薄膜と該水分子との吸脱着を測定する水分子吸脱着測定方法であって、前記調湿ガスを、前記試料の測定用の表面部分(測定領域)に対向する位置から、測定領域に吹き付けるよう、前記導入口を介して前記密閉空間に導入するガス導入工程を含むことを特徴とする水分子吸脱着測定方法。
[11] 前記調湿ガスが、前記測定領域の平面に対して45°以上135°以下の範囲の角度で吹き付けるようにすることを特徴とする、[11]に記載の水分子吸脱着測定方法。
[12] 前記調湿ガスが、前記測定領域の平面に対して70°以上110°以下の範囲の角度で吹き付けるようにすることを特徴とする、[12]に記載の水分子吸脱着測定方法。
[13] 前記試料と前記水分子との吸脱着をRIfS(反射干渉分光法)によって測定する、[10]〜[12]のいずれかに記載の水分子吸脱着測定方法。
本発明によれば、水分子が試料に対して吸脱着する平衡に達する程度に十分な量の水分子を試料に対して迅速に供給することができる空間形成部材、これを用いた水分子吸脱着測定システムおよび水分子吸脱着測定方法が提供される。
図1は、本発明に係る第1実施形態の密閉空間形成部材を有するRIfS測定システムの全体を示した図である。図1の中央には、密閉空間形成部材の部分破断断面図を示す。 図2は、図1の密閉空間形成部材について、流路方向に沿った断面を示した図である。 図3(A)は、図1の密閉空間形成部材の斜視図を示した図である。(B)は、(A)の密閉空間形成部材の分解斜視図である。(C)は、(A)の密閉空間形成部材をA−A線に沿って断面し、矢視方向に見た図である。(D)は、(C)の密閉空間形成部材をB−B線およびC−C線に沿ってそれぞれ断面し、各矢視方向に見た図である。 図4は、図2の測定領域を拡大した図であり、測定領域に対するガスの導入方向の角度θを説明した図である。 図5は、測定領域以外を覆うカバー部材を説明した図である。(A)は、カバー部材を取り付ける前の状態を示した図である。(B)カバー部材を取り付けた後の状態を示す図である。 図6(A)〜(E)は、密閉空間形成部材のチャンバー部の形状の例を示した図である。 図7(A)〜(G)は、ガス導入口の例を示した図である。 (A)は、本発明に係る第2実施形態の密閉空間形成部材の斜視図である。なお、О−リングは省略している。(B)は(A)の側面を示す図である。(C)は、(A)の上面((A)において上側)を示す図である。(D)は、(A)の別の側面を示す図である。 図8(A)〜(E)は、実施形態2〜8のRIfSシステムの密閉空間形成部材とセンサーチップを示した図である。 RIfS測定について説明した図である。 RIfS測定における処理フローを説明した図である。 RIfS測定における調湿について説明した図である。 図12(A)は、比較例1の密閉空間形成部材の斜視図である。(B)は、(A)の側面を示した図である。(C)は、(A)の上面((A)において手前側)を示した図である。(D)は(A)の別の側面を示した図である。(E)は、(C)のD−D線に沿った断面を矢視方向に見た反応部の拡大図である。 図13(A)は、比較例2の密閉空間形成部材の斜視図である。(B)は、(A)の側面を示した図である。(C)は、(A)の上面((A)において手前側)を示した図である。(D)は、(A)の別の側面を示した図である。(E)は、(C)のE−E線に沿った断面を矢視方向に見た図である。 (A)実施例1〜4のRIfS測定の結果を示す。(B)実施例5〜8のRIfS測定の結果を示す。(C)比較例1のRIfS測定の結果を示す。(D)比較例2のRIfS測定の結果を示す。(E)比較例3のRIfS測定の結果を示す。(F)実施例9〜11のRIfS測定の結果を示す。
[第1実施形態]
図1および図2に、第1実施形態に係る密閉空間形成部材を用いたRIfS測定システム(水分子吸脱着測定システム)100を示す。なお、以下の説明では上下の区別をしているが、便宜的なものであり実質的には上下の区別はないものとする。
RIfS測定システム100は、図1および図2に示すように、試料2と該試料2に接触させるガスに含まれる水分子との吸脱着を測定するものであり、測定する試料2が固定された測定領域2aを有する平板形状のセンサーチップ1と、センサーチップ1の表面と部分的に接合されて、測定領域2aを内包するように密閉空間Rを形成するための密閉空間形成部材3と、密閉空間Rへ湿度等を調節したガス(以下「調湿ガス」という)を送出させる機能を有する調湿ガス送出手段4と、密閉空間Rに流入したガスを排気する排気機構(不図示)と、密閉空間Rの温度と湿度を計測する温湿センサー5(図2参照)と、センサーチップ1の温度を調節する温度調節器5Aと、密閉空間Rに一端が臨むように密閉空間形成部材3に固定された第1,2光ファイバー6,7と、第1光ファイバー6の他端に配置された光源(白色光源等)8と、第2光ファイバー7の他端に配置された測定領域で反射した光を分光するための分光器9、前述した調湿ガス送出手段4、排気機構、温度調節器5A、光源8等の機器に接続され、それらの動作を制御する制御手段10等とを有している。
[密閉空間形成部材]
密閉空間形成部材3は、上述したように、RIfS測定システム100に用いられるものである。この密閉空間形成部材3は、図1および図2に示したように、センサーチップ1の表面と密閉空間形成部材3とを部分的に接合させた状態で密閉空間Rを形成する凹部(以下「チャンバー部」という)3aと、チャンバー部3aの上壁(密閉空間Rの天井を形成する部分)に形成された断面C字状の溝11(図3(D)参照)と、溝11に連通するように形成されたガス導入路12A,12Bと、ガス導入路12A,12Bおよび溝11に貫装されるように設けられたガスガイド部材13(図1〜図3参照)と、チャンバー部3aの内周壁に形成された、排出口を有するガス排出路14A,14B(図1〜図3参照)等と、を有している。
密閉空間形成部材3の材質としては、特に限定されず、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、アクリル系樹脂等を用いることができる。密閉空間Rを形成するチャンバー部3aの内側の少なくとも表面部分は、水の吸脱着の測定に影響を与えないようにする観点から、疎水性のポリマー、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ABS樹脂、ポリシロキサン類等を使用することが好ましい。
また、密閉空間形成部材3は、RIfS測定上、意図しない光が密閉空間Rへ入り込まないように、例えば、その表面全体が遮光フィルムで覆われているか、上記ポリマーに測定に悪影響を与えない程度に遮光性を有するものを選択してもよい。
(チャンバー(凹部))
密閉空間形成部材3のチャンバー部3aの容積は、調湿ガス送出手段4によって密閉空間Rへ導入する調湿ガスの流量(例:L/分)に基づいて決定される。
具体的には、密閉空間R内において無限時間後に達する試料2中の本来の水分子の吸脱着の平衡状態(M+S⇔M−S;M=試料の吸着サイト、S=水分子)が湿度ごとに存在する。
そして、例えば、チャンバー部3a内に調湿ガスの湿度を連続的に変化させながら該調湿ガスを密閉空間R内に導入して試料2の水分子の吸脱着をリアルタイムで測定するような場合、導入する調湿ガスの流量(ガス流量)が多すぎると試料2からの水分子の脱離が促進され過ぎる、逆に、導入する調湿ガスの流量が少なすぎると試料2に対する水分子の吸着が不足するというように、調湿ガスの流量により、水分子の吸脱着反応が阻害される問題が生じる。
そのため、調湿ガスを密閉空間Rに導入する際に、試料2に対する水分子の吸脱着が調湿ガスの湿度における水分子の本来の平衡状態に近づく範囲内のガス流量でもって調湿ガスを導入することが好ましく、そのための手段の一つとして、ガス流量およびチャンバー部3aの容積(=密閉空間Rの容積)を調節することが好ましいことになる。
なお、チャンバー部3aの容積が調湿ガスの流量との関係で適正であるか否かの判断は、実際に所定の湿度の調湿ガスを試料2に対して吹き付けるように導入しながら、試料2の水分子の吸脱着について後述のRIfS測定を行い、その湿度における上記平衡状態へと水分子の吸脱着反応が近づいているか否かを調べることで判断することができる。
さらに、後述するRIfS測定で測定光の波長を1nmずつ400〜800nmの範囲で変更させて反射率極小波長(後述)を得るために行う一連のRIfs測定を1群のRIfS測定とした場合に、この1群のRIfS測定の時間間隔(水分子の試料に対する吸脱着を測定するための時間間隔)の間に密閉空間R内の調湿ガスを入れ替えて所望の湿度に設定することができるという観点から、チャンバー部3a(密閉空間R)の容積は、前記時間間隔の間に導入する調湿ガスの流量とほぼ同量か、それ以下であることが好ましい。
調湿ガスの流量とチャンバー部3aの容積の具体例としては、例えば、供給する調湿ガスの流量が1L/秒以下である場合、チャンバー部3aの容積は17.0mL以下に形成されること、前記密閉空間の容量が1.5mL〜3.2mLとなるように形成されることが好ましい。
チャンバー部3aの形状は、特に限定されないが、図6に上面図の形状として例示したように、例えば直方体(図6(A))、横断面が楕円形状の円柱状(図6(B))、横断面が鍵穴形状の柱状(図6(C)および(D))、横断面が略真円形状の円柱状(図6(E))が挙げられる。このうち、横断面が略真円形状の円柱状(図6(E))または直方体の形状(図6(A))に形成されていることが好ましく、特に、チャンバー部3aの横断面の形状が円形であれば、密閉空間Rの中央の上側から密閉空間R内に調湿ガスを吹き出して導入したときに、密閉空間R内で調湿ガスが均一に分散しやすい点で好ましい。
なお、チャンバー部3aの縁部(図3(B)参照)は、図2に示すように、突出しており、ここに可撓性でゴム製のO−リング21が取り付けられている(図3(A)参照)。
(溝)
図3(A)に、密閉空間形成部材3を下側(図1または図2において下側)から見た実施形態1の密閉空間形成部材の斜視図を示す。図3(B)に、実施形態1の密閉空間形成部材3の分解斜視図を示す。図3(C)に、図3(A)の密閉空間形成部材3について、A−A線に沿って断面し矢視方向に見た図を示す。図4(D)に、図3(B)のB−B線およびC−C線に沿って断面して矢視方向に見た図を示す。なお、図3において、密閉空間形成部材3の固定部材については、図示を省略している。
図3(D)に示すように、チャンバー部3aの上壁(図3(D)においてチャンバー部3aの底壁)には、断面がC字状の溝11が形成されている。この溝11は、上述したガス導入路12A,12Bに連続形成されており、図3(A)〜(D)に示すように、該C字状の溝11およびガス導入路12A,12Bに対してガスガイド部材13を貫装することができるようになっている。また、このように構成することで、上述した密閉空間形成部材3のチャンバー部3aの容積にほぼ影響を与えることがなくガスガイド部材13を設けることができるようになっている。
(ガス導入路)
ガス導入路12A,12Bは、湿度等を調節した調湿ガスを密閉空間Rへ供給するための流路であり、図1および図2に例示したように、密閉空間Rの内部と外部とを連通するように形成されている。このガス導入路12A,12Bの断面形状は円形に形成されており、該円の直径は上述したガスガイド部材13の外径と略同一に設定されている。また、ガス導入路12A,12Bの上流端の開口は、管を介して調湿ガス送出手段4,4と接続されている(図1および図2参照)。
(ガスガイド部材)
ガスガイド部材13は、図2〜図3に示したように、長尺状に形成され、その周壁にはガス導入口13aが形成されている。ガスガイド部材13を、上述した溝11に貫装して、溝11の中でその軸回りに回転させることでガス導入口13aをチャンバー部3a内に臨ませると、ガス導入口13aは測定領域2aに対向する位置から吹き付けるように調湿ガスを導入することが可能となるように構成されている。
ガスガイド部材13は、ガス導入口13aを加工形成しやすいという観点から、樹脂製であることが好ましい。また、ガスガイド部材13は可撓性を有することが好ましい。これにより、図2A(A)および(B)に示したように、ガスガイド部材13を溝11やガス導入路12A,12Bに対して変形させながら貫装させやすくなる。また、ガスガイド部材13が可撓性を有していれば、ガス導入路12A,12Bおよび溝11に貫装させた状態で、その軸回りに簡単に回転させて、ガス導入口13aから導入する調湿ガスの方向を規定しやすい。断面C字状の溝11およびガスガイド部材13の形状は、断面C字状に限られず、例えば、断面が矩形などのものであってよい。
なお、上述したガスガイド部材13を設けずに、ガスガイド部材13と同じようなガス導入口13aを有するガスガイド部(不図示)をガス導入路12A,12Bに連続形成してもよい。
(ガス導入口)
ガスガイド部材13のガス導入口13aの形状については、図3に示した例の円形状に限らず、他の形状であってもよい。例えば、図7(A)および(C)に示したように、ガス導入口13aを所定間隔で複数形成してもよい。この場合、複数のガス導入口13a,・・・は、調湿ガスが、測定領域2aに対向する位置から、測定領域に吹き付けるように形成されている必要がある。測定領域2aに対向する位置とは、たとえば測定領域2aがセンサーチップの基板上に形成されている場合、その基板に平行な平面、典型的にはチャンバー部3aの天井である。
また、図7(B)に示すように、ガス導入口13aの中央に調湿ガスの導入方向を調節するためのリング部材13bを設けたものでもよい。さらに、ガス導入口13aの形状を、楕円形(図7(D))、長方形(図7(E)および図7(G))、横幅が異なる長方形(図7(F)としてもよい。
上述したように、ガス導入口13aを上述した形状およびそれらの組み合わせとすることで、ガス導入口13aから測定領域2aに吹き付ける調湿ガスの流れを、流体工学的な観点から、水の吸着脱着に最も適するように調整することができ、ガス流量も制御しやすくなる。
ガス導入口13aの寸法については、3mm×0.5mm〜3mm×25mmであることが好ましい。したがって、ガス導入口13aの開口面積は、1.5mm2〜75mm2が好ましいこととなる。
ガス導入口13a,・・・の合計の面積については、ガス流量との関係で規定され、例えば、ガス流量を17mL/秒以下に設定した場合に、調湿ガスの流体を前記ガス導入路12A,12Bからガス導入口13aを介して密閉空間Rに導入する際の速度を1700mm/秒以下で移動させる場合には、ガス導入口13a,・・・の開口面積の合計は1mm2以上に設定されることになる。ガス導入口13a,・・・の開口面積の合計は、測定領域2aの面積にも依存するので、それに基づいて決定してもよい。ここで、ガス導入口13a,・・・の開口面積の合計:測定領域2aの面積の比が、50:1〜480:1であることが好ましい。
(調湿ガスの導入方向と測定面との角度)
ガス導入口13aの形状等により密閉空間Rに流入した調湿ガスの流れる方向(一点鎖線の矢印参照)の測定領域2aの試料2の平面部(又は、試料が生態試料などで平面部がない場合はそれを固定している基板などの平面部)に対する角度(θ)は、測定領域2aの試料2の平面部等に対して調湿ガスが吹き付けられるような角度であればよく、好ましくは70°〜110°であり、より好ましくは85°〜95°であり、最も好ましくは90°である(図4参照)。
(ガス導入口と測定領域2aとの距離)
ガス導入口と測定領域2aとの距離は、密閉空間Rに導入する調湿ガスが測定領域に吹き付けられる距離であればよく、好ましくは1.5mm〜5mmである。
(ガス排出路)
ガス排出路14A,14Bは、図2に示すように、密閉空間形成部材3のチャンバー部3aの内壁に密閉空間Rと外部とが連通するように形成されている。このガス排出路14A,14Bを介して、密閉空間R内に導入された調湿ガスが密閉空間R外へ排出されるようになっている。ガス排出路14A,14Bは、不図示のガス排出機構に接続されており、所定のガス流量(例えば17mL/秒以下)で排出可能にガス排出路14A,14Bが形成されている。そして、調湿ガス送出手段4,4および前記ガス排出機構とにより、ガス導入路12A,12Bおよびガス排出路14A、14Bが実質的に閉塞されることになるため、チャンバー部3a内により形成される空間Rが密閉されて密閉空間となるように構成されている。また、ガス排出路14A,14Bの開口の開口面積は、調湿ガスを一定の流量で密閉空間へ入出させる観点から、ガス導入口13a,・・・の開口面積の合計とほぼ同じであることが好ましい。なお、符号5は、ガス排出路に設けられ密閉空間R内の温度と湿度とを計測する温湿センサーを示す。
(第1、2光ファイバー設置用の固定部)
密閉空間形成部材3のチャンバー部3aの上壁部分には、図2および図3に示すように、第1,第2光ファイバー6,7を設置するための固定部としての開口3bが設けられており、この開口3bは、センサーチップ1と接合した状態の密閉空間形成部材3を上方(図2において上側)から平面視したときに、測定領域2aと一致する位置に形成されている。これにより、光源8から第1光ファイバー6を通じて導かれた測定光が測定領域2aに向けて出射されるとともに、測定領域2aで反射された反射光が第2光ファイバー7に入射され、分光器9へと導かれるように構成されている。
<センサーチップ>
センサーチップ1は、図2に示したように、基板15と、その上に形成された光学薄膜16および試料2の薄膜を有する。ここで、光学薄膜16は設けなくともよく、また、図5に示したようなカバー部材17を設けてもよい。
(基板)
測定光が基板15で底面反射すると反射光が生ずるが、センサーチップ1の基板15は、この反射光が波長400nm〜800nmとなるように構成されていればよい。
基板15の材質としては、光学薄膜16または試料2の種類ごとに光学薄膜16または試料2を固定可能な公知の材質(珪素、シリコンウェハ等)が用いられる。試料2の薄膜を形成する場合、基板15の材質は、ポリマー(PS,PMMA,PC,COP等)が平板状に加工しやすい点で好適である。試料2が生体材料(細胞やタンパク質、DNA等)である場合は、試料が不連続であり離散性が強く試料2の薄膜を形成しにくいため、試料2を後述するスポット固定するためのDNAマイクロアレイやプロテインチップ用のガラス基板やアクリル系樹脂が好適である。
(光学薄膜)
センサーチップ1の光学薄膜16は、測定光および底面反射した反射光の波長を調節するためのものであり、各測定光および底面反射した反射光を透過可能なものが用いられる。例えば、光学薄膜16として、SiN、SiO2、TiO2、TiO5等を使用することができる。光学薄膜16の厚さは、光学薄膜16を通過した後の光の波長を反射率極小波長がとりうる400nm〜800nmに調節する厚さであればよく、例えばSiNであれば光学薄膜16の厚さは45nm〜90nmである。光学薄膜16は、基板15に対して蒸着等の公知の方法で形成することができる。
ここで、本願で使用される「反射率極小波長」について説明する。まず、例えば、図2及び図9に示すように、光源8を発光させて第1光ファイバー6を介して基板15と光学薄膜16に対して測定光を入射させると、表面反射(太破線)と底面反射(細破線)した各反射光が得られ、反射光としては合成されたものが得られる(図9(A),(E)参照)。ここで、入射している測定光の波長を変化させると、表面反射と底面反射する各反射光の波長の位相がずれて、位相によっては表面反射する光と底面反射する光の波長が互いに打ち消し合って反射率が極小となる波長が存在する。この波長が「反射率極小波長」となる(図9(C)参照)。なお、この「反射率極小波長」は膜厚によっても変化する(図9(C))。なお、さらに試料2を載置したり、試料2に水分子が吸脱着したりすることによりセンサーチップ1の膜厚が変化した場合も反射率極小波長が変化するため、これにより試料2への水分子の吸脱着を測定することができる(図9(B),(D),(F)参照)。
(試料)
試料2は、RIfSシステム100により水分子の吸脱着を測定できる物であればよく、固相または液相の状態の物である。試料2は、測定光が照射される基板15または光学薄膜16の表面の一部または全部に形成される(図1等参照)。以下、試料2が形成された領域を測定領域2aという。
試料2の例としては、水分子の吸脱着の測定対象となる試料であればよく、疎水性ポリマー(ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルなど)、親水性ポリマー(プラズマ処理等により親水化処理をしたポリメタクリル酸メチルなど)、水溶性ポリマー、生体材料(タンパク、リン脂質、核酸、糖鎖、細胞、細胞膜画分、皮膚、生体由来の分泌成分など)、表面処理剤(フッ素系撥水処理剤、親水性表面改質剤など)、塗料(インク、ペイントなど)、機能性材料が挙げられるが、無機化合物も含まれる。SiO2, Si, SiN, ZnO, TiO2などの、水分子を吸着しうる(それによって光路長が変化する)物質からなる薄膜(層)自体を試料薄膜としてもよい。また、微粒子状(コロイダルシリカ、顔料、トナーなど)や単分子状の化合物(シランカップリング剤形成膜、LB膜形成膜、蒸着物など)であってもよい。
試料2を薄膜として形成する場合、その膜厚は、反射率極小波長を測定可能な厚さであればよく、好ましくは1nm〜100μm、より好ましくは10nm〜1μm、さらに好ましくは10nm〜700nmである。
試料2の薄膜を形成する方法としては、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング等の各種コーティング、キャスト製法、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)等の公知の成膜方法で行うことができる。なお、試料2が、DNAやタンパク質、細胞等の不連続で離散的な生体材料である場合には、薄膜を形成しにくいため、例えば、光学薄膜16または基板15の表面をポリエチレングリコール(PEG)脂質(例えば、Biocompatible anchor for membrane:BAM)等で修飾し、修飾した化合物に対してDNAやタンパク質、細胞等の生体材料をスポット固定するようにしてもよい。
(カバー部材)
センサーチップ1は、図5(A)および図5(B)に示すように、試料2の測定領域2a以外の表面部分等をマスクするカバー部材17をさらに有してもよい。このカバー部材17は、試料2よりも親水性の低い公知の材質から形成されており、例えば、疎水性ポリマー(PMMA、PET、PP)等である。このカバー部材17により、調湿ガスが不必要に測定領域2a以外の他の試料2の薄膜等に付着することを防止することができ、水分子のリソースの減少を防止できる点で有利である。図5に示す例では、カバー部材17は試料2の薄膜のうち、測定領域2a以外を覆うものであるが、例えば、さらに、チャンバー部3aの表面に水分子が吸着しないように、チャンバー部3aの内表面を覆うものとしてもよい。
<調湿ガス送出手段>
調湿ガス送出手段4は、図1及び図2に示すように、密閉空間形成部材3のガス導入路12A,12Bの各上流端の開口に接続され、ガス導入路12A,12Bに湿度等を調節したガスを送出するものであり、温湿度調節ユニット(不図示)を有している。RIfS測定では、例えば、密閉空間Rへ調湿ガスを送出しながら、該調湿ガスの湿度を連続的に変化させて試料2の水分子の吸脱着をリアルタイムで測定するような場合のために、調湿ガス送出手段4は湿度等を連続的に変化させる機能を有していることが好ましい。
<排気機構>
排気機構(不図示)は、ガス排出路14A,14Bの下流開口に接続され、例えば排気ファン等を有し、密閉空間R内の調湿ガスを排出する機構である。試料2の水分子の吸脱着をリアルタイムで測定するために必要な調湿ガスの流量(例えば、後述の実施例では1L/分以下の流量)を維持できる排気能力を有していればよい。
<温湿センサー>
温湿センサー5は、密閉空間Rに滞留する調湿ガスの温度および湿度を測定するセンサーであり、RIfS測定での試料2に対する水分子の吸脱着に悪影響を及ぼさない位置に設けられている。例えば、図2に示したようにガス排出路に設けることが好ましい。温湿センサー5は、後述の制御手段10に接続されて、常に密閉空間Rの湿度と温度をモニタリングできる構成となっている。
<第1,2光ファイバー>
第1,2光ファイバー6,7は、それぞれ微細な複数の光ファイバーが束となって構成されたものであり、図1及び図2に示したように、第1光ファイバー6と第2光ファイバー7の各一端部により測定プローブを形成し、該測定プローブが密閉空間R内の測定領域2aに臨むように、密閉空間形成部材3の開口3bに挿入固定される。また、第1光ファイバー6の他端部は光源8の照射位置に配置され、第2光ファイバー7の他端部は分光器9に接続される。光源8の点灯により所定波長の測定光が第1光ファイバー6の一端部から出射して測定領域2a等で反射し(図9(B)参照)、該反射光を第2光ファイバー7に一端からその内部へ入射させるため、第1光ファイバー6は光源8からの測定光、第2光ファイバー7は上述した波長(400nm〜800nm)の光を導光可能であればよい。
<制御手段>
制御手段10は、記憶手段(不図示)を有し、この記憶手段には上述した各機器を制御して後述するRIfS測定により水分子の吸脱着の測定を行うためのプログラムが記憶されている。
《RIfS測定》
以下、上述した実施形態1の密閉空間形成部材3を有するRIfSシステム100により、RIfS測定により水分子吸脱着を測定する方法(水分子吸脱着測定方法)について説明する。
本発明に係る水分子吸脱着測定方法は、密閉空間Rに導入するための調湿ガスの湿度を測定条件の湿度に調節する調湿工程と、チャンバー部3aにより形成される密閉空間Rの測定領域2aへ前記調節をした調湿ガスを吹き付けるように導入するガス導入工程と、試料2の水分子の量をRIfs測定する測定工程とを有する。
[調湿工程]
調湿工程は、図10に示すように、第1次調湿工程S1−1、第2次〜第n次調湿工程S1−3を有する。このうち、第2次〜第n次調湿工程S1−3は、ガス導入工程S1−4と並行して行われる。ここで、「n」は、RIfSシステム100により、密閉空間Rに導入する調湿ガスの湿度を段階的に変化させる際の全段階数である。「i」は、調湿の全ての段階のうち、現在行っている調湿が何段階目であるかを示す。
例えば、+1%湿度/分の増加速度で段階的に導入する調湿ガスの湿度を20%→22%のように変更させる場合、密閉空間Rを所定の湿度(例えば21%)するために調湿している1分間が1次分の調湿工程となる。この具体例の場合、n=3、i=1〜3であり、i=1では湿度20%に調湿し、i=2では湿度21%し、i=3では22%に調湿することになる。1段階における湿度の変化量については、通常は0.1〜10RH%、好ましくは0.5〜5RH%である。
ステップS1−1では、第1次の調湿段階で設定する湿度に調湿ガスの湿度を調節する。上記具体例では、制御手段10の温湿度調節ユニット(不図示)により調湿ガス送出手段4により調湿ガスの湿度を20%に調節する。
ステップS1−2では、i=2に設定し、上述した測定段階の段階数(n)を設定する。上述の具体例では測定段階が湿度20〜22%であるため、n=3である。
ステップS1−3では、第i次(i段階目)の調湿を行う。i=2の場合、上記具体例では、導入する調湿ガスを湿度21%に設定することになる。
[ガス導入工程]
ガス導入工程(ステップS1−4)は、第i−1次の調湿工程で調湿された調湿ガスを、密閉空間形成部材3のガス導入口13a(密閉空間Rの測定領域2aに対向する位置)から、湿度が調節された調湿ガスを測定領域2a吹き付けるように導入する工程である。このガス導入工程は、第i次調湿工程(S1−3)、後述する照射工程(S1−5)、および測定(S1−6)が並行して行われる(図10参照)。
密閉空間Rに導入する調湿ガスの流量は、前述したように、試料2に対する水分子の吸脱着が調湿ガスの湿度において上述した本来の水分子の吸脱着の平衡状態に近づく範囲内のガス流量であることが好ましい。すなわち、密閉空間Rの容量は、水分子の試料に対する吸脱着を測定するための時間間隔の間に、前記密閉空間に供給される調湿ガスの量と略同量か、それ以下となるように形成されることが好ましい。具体例として、RIfSにより水分子の試料に対する吸脱着(それを反映する試料の膜厚d)を測定するための時間間隔が1秒であり、密閉空間形成部材3のチャンバー部3a等により形成される密閉空間Rの容積を17.0mL以下とする場合、供給する調湿ガスの流量を1L/分(約16.7mL/秒)以下とすることが好ましい。
ガス導入工程におけるガス導入口13aから密閉空間Rに導入される調湿ガスの流れる方向は、試料2に対して吹き付けられる方向であればよく、好ましくは、試料2の薄膜で平面状の測定領域2a、または試料2がタンパク質等の生体材料であり不連続の場合には、生体材料を固定している平面部に対する角度(θ)が70°以上110°以下である。
[照射工程]
照射工程(ステップS1−5)は、図9(B)に示すように、測定領域2aに測定光を入射させて反射光を受光し続ける工程である。照射工程は、図10に示すように他の工程と並行して行われる。具体的には、測定光として所定の波長の光を発する光源8を点灯させて第1光ファイバー6を介して測定光を密閉空間Rの測定領域2aに入射させ続け、入射させている間に得られる反射光を第1光ファイバー7で受光して分光器9へ導光し続ける。
[測定工程]
測定工程(ステップS1−6)は、図2に示すように、照射工程で受光した際の受光データに基づいてRIfS測定することにより、試料2中の水分子の量を測定する工程である。なお、上述したように、測定工程中もガス導入工程が並行して行われるため、密閉空間R内の湿度が常に調節されつづけており、該湿度が経時的に変化またはほぼ維持される。
測定工程では、上述のように密閉空間Rを連続的に調湿しながら、所定の時間間隔(例えば20ミリ秒)ごとにRIfS測定を行う。このRIfS測定は、光源8が白色光源の場合、分光器9側で検出する波長を順次変えながら400nm〜800nmを網羅するように複数回行われる。例えば、反射率極小波長の周辺波長の領域(例えば、波長500〜550nm)について、検出する波長を1nmずつ順次変えながらRIfS測定する。この場合、上記例の50nmの範囲であれば50回測定が行われる。そして、1回のRIfS測定を20ミリ秒で行う場合、1群のRIfS測定50回は、50回のRIfS測定×20ミリ秒/回RIfS測定=1000ミリ秒(1秒)かかることになる。
なお、ステップS1−6で、任意に、図11に示すように、RIfs測定の各時点(例えば図11のt1〜t4)で測定した試料2の厚み変化(Δd[nm])を算出し、各時点におけるΔdの変化率(図11の例では、グラフの各時点における傾き:矢印参照)を求め、Δdの傾き(反射率の変化)が0に近い(例えば0.3以下)か否かを調べてもよい。Δdの傾き(反射率の変化)が0に近ければ、水の吸脱着の平衡状態にほぼ遷移したと判断でき、そうでなければ遷移している最中と判断できる。なお、図11の右に示す湿度は、密閉空間Rへ導入する調湿ガスの湿度を示す。
ステップS1−7では、第i次までの調湿工程まで終了したか否か(n<iか否か)を判断する。例えば、湿度20→22%における水分子の吸脱着を測定する場合に22%まで調湿工程が完了したか否かを判断し、完了しておりYESであれば一連の測定を終了させ、完了しておらずNOであれば、ステップS1−8でnをインクリメントした後に、ステップS1−3の前に戻って、次の調湿工程等へ移行する。
(実施形態1の作用・効果)
以下、実施形態1の密閉空間形成部材3を用いてRIfSシステム100によりRIfS測定した際の作用・効果について説明する。
(1)本実施形態1の密閉空間形成部材3は、RIfSシステム100に用いられ、試料2を内包する密閉空間Rを形成するための密閉空間形成部材であって、図2に示すように、調湿ガスを試料2の測定領域2aに対して、それに対向する位置から吹き付けるよう、密閉空間Rに導入するためのガス導入口13aを有している。
したがって、密閉空間形成部材3を有するRIfSシステム100により測定領域2aに対して調湿ガスを導入することとすれば、調湿ガスが測定領域2aに対して吹き付けるように導入されるので、ガス導入路により小容積の密閉空間R内へ調湿ガスを導入する際の問題、すなわち、恒温槽よりも高いガスの流量で測定領域2aに対してガスが導入されてしまうこと、このようなガスの導入により水分子の吸着は生じるものの、水分子の脱離も促進してしまい、本来の水分子の吸脱着を再現しにくい問題が発生すること、つまり、所定のガス流量(例えば1L/分以下)で測定領域2aに対してガスを導入する場合であっても、水分子の試料に対する吸脱着の平衡状態へと遷移させることが困難となるという問題が解消され、より自然状態の水分子の試料に対する吸脱着を反映したかたちでRIfS測定をすることができる。
(2)密閉空間Rは、水分子の試料に対する吸脱着を測定するための時間間隔の間に、前記密閉空間Rに供給される前記調湿ガスの量とほぼ同量か、それ以下の容量となるように形成されているので、チャンバー部3a内の密閉空間Rで測定領域2aに対して水分子が不足せずに供給され、また、調湿ガスが密閉空間R内で均一に広がって一様となるまでの時間を極力減らすことができる。
(3)密閉空間形成部材3のガス導入口13aの開口面積の合計:測定領域2aの面積の比が、50:1〜480:1であれば、測定領域2aに対してガス導入口13aから調湿ガスを好適に吹き付けることができる。
(4)前記調湿ガスが、前記測定領域2aの平面に対して上記角度(θ)が70°以上110°以下の範囲となるように、ガス導入口13aが設けられていることで、より好適に上記(1)の効果を得ることができる。さらに、角度(θ)が85°〜95°であれば、より好適に上記(1)の効果を得ることができる。
(5)ガス導入口13aが複数設けられ、ガス導入口13a,・・・の各開口が、円形、楕円形、および長方形の少なくともいずれか1つであることにより、流体工学の観点から調湿ガスを測定領域2aに吹き付ける導入するのに適した形状とすることができる。ここで、ガス導入口13aの形状が調湿ガスの導入に適しているか否かは、ガス導入口13aの形状を様々な形状に変更して、上述したRIfS測定により水分子の吸脱着を計測することで、水分子の吸脱着が上記平衡状態に近づくのが速いか遅いかによって決定することができる。
(6)ガス導入口13aから密閉空間Rに導入された前記調湿ガスのガス流が測定領域2aに供給される上記角度(θ)を調節する別体のガスガイド部材13を備えていることで、ガスガイド部材13を加工形成して所望のガス導入口13aを形成することができる。
また、このガスガイド部材13が円筒状であり、既に説明したように密閉空間形成部材3の溝11内に貫装される構成であれば、ガスガイド部材13を例えばその軸回りに回転させて設置状態を変えることができるため、密閉空間Rへの調湿ガスの導入方向、つまり上記角度(θ)をユーザが意図したように簡単に変更することができる。そのため、上述した調湿ガスの導入方向の調節が簡単となる。さらに、ガスガイド部材13が別体であるのでメンテナンスがしやすいという利点もある。
(7)測定領域2a以外の密閉空間Rを形成する表面(試料2の薄膜の測定領域2a以外の部分、チャンバー部3aの内表面等)が、試料2より疎水性であるカバー部材17により覆われていれば、測定領域2a以外の部分に対する水分子の吸脱着を抑制して、密閉空間R内で遊離状態の水分子の量(リソース)を極力確保することができる。
このように、密閉空間R内の遊離の水分子がより多く確保されるので、カバー部材17を設けない場合と比較して、密閉空間Rに調湿ガスを導入する際の水分子の吸脱着を平衡状態に遷移させやすくなる。
[実施形態2]
図7Aおよび図8(A)に、実施形態2に係るRIfS測定システム100Aの密閉空間形成部材3Aを示す。なお、実施形態1のRIfS測定システム100と共通する一部の部材等については同一の符号を付すか図示を省略し、その説明を省略する。
実施形態3の密閉空間形成部材3Aは、チャンバー部3aと、断面C字状の溝11と、ガス導入路12A,12Bと、溝11およびガス導入路12Aに貫装されたガスガイド部材13と、ガス排出路14B等とを有している。
実施形態2の密閉空間形成部材3Aでは、第1、第2光ファイバー6,7の一端部が、ガス導入口13aに隣接するチャンバー部3aの位置から密閉空間Rの測定領域2aの上方に延出するように垂下されている。
(実施形態2の作用・効果)
実施形態2の密閉空間形成部材3Aを用いたRIfS測定システム100Aによれば、密閉空間Rが直方体状に形成されており、ガス排出路14Bの開口がチャンバー部3aの内壁面に形成されるので、密閉空間Rの調湿ガスを排出する際の排出量を規定しやすい。また、第1、第2光ファイバー6,7により導入される調湿ガスが測定領域2aへガイドされる効果を有する。
[実施形態3]
図8(B)に、実施形態3に係るRIfS測定システム100Bの密閉空間形成部材3Bを示す。なお、実施形態1のRIfS測定システム100と共通する一部の部材等については同一の符号を付すか図示を省略し、その説明を省略する。
実施形態3の密閉空間形成部材3Bは、チャンバー部3aと、断面コ字状の溝11と、ガス導入路12A,12Bと、溝11およびガス導入路12Aに貫装されたガスガイド部材13と、ガス排出路14B等とを有している。
実施形態3の密閉空間形成部材3Bでは、図8(B)に示すように、ガス導入路12A,12Bおよび溝11にガスガイド部材13が貫装されている。そして、測定領域2aおよびガス導入口13aの各位置に平面視で一致する位置において、ガスガイド部材13と溝11の底部にそれぞれ開口3bが形成されている(一部不図示)。そして、第1、第2光ファイバー6,7の端部のプローブが、これらの開口3bおよびガス導入口13aを介して、チャンバー部3a内の密閉空間Rの測定領域2aの上方に位置するように垂下されている。
(実施形態3の作用・効果)
実施形態3の密閉空間形成部材3を用いたRIfS測定システム100Bによれば、上記のように構成され、本来は調湿ガスを吹き出すためのガス導入口13aを通して第1,2光ファイバー6,7が垂下されているので、調湿ガスの流れを邪魔することなく、第1,2光ファイバー6,7を設置することができるとともに、この第1,2光ファイバー6,7が測定領域2aへ調湿ガスを吹き付けられる際に案内をする機能も果たし、調湿ガスの測定領域2aへの吹き付けが好適に行われることとなる。
[実施形態4]
図8(C)に、実施形態4に係るRIfS測定システム100Cの密閉空間形成部材3Cを示す。なお、実施形態3のRIfS測定システム100Bと共通する一部の部材等については同一の符号を付すか図示を省略し、その説明を省略する。
実施形態4の密閉空間形成部材3Cは、チャンバー部3aと、断面コ字状の溝11と、ガス導入路12A,12Bと、ガス排出路14Bと、コ字状の溝11およびガス導入路12A,12Bに貫装されたガスガイド部材13等とを有している。また、ガスガイド部材13の内部およびチャンバー部3aの内部の空間が、それぞれ測定領域2aを中心とする円柱状となるように形成されている。
(実施形態4の作用・効果)
実施形態4の密閉空間形成部材3Cを用いたRIfS測定システム100Cによれば、ガスガイド部材13の内部が円柱形状であるため、ガスガイド部材13の内部に導入する調湿ガスが、ガスガイド部材13の内部で回流して均一となりやすく調湿ガスの湿度ムラがなくなる。
さらに、ガス導入口13aの位置が前記円柱形状の中央であるため、ガスガイド部材13の内部でよく混合された調湿ガスが密閉空間Rへ吹き出されることとなる。そして、チャンバー部3a内の密閉空間Rも円柱形状に形成されているので、測定領域2aの上方で対向する位置から測定領域2aに吹き付けるように導入した調湿ガスが、密閉空間R内で対流して再び測定領域2aに対して吹き付けるように流れる際に(図8(C)の黒矢印参照)、調湿ガスの対流の移動距離が揃うため、チャンバー部3a内でも調湿ガスの混合ムラを改善しつつ、好適に調湿ガスを測定領域2aに吹き付けることができる。
ここで、チャンバー部3aの内周壁は、上下方向に垂直に伸びるように形成されているが、再び測定領域2aに対して吹き付けるように流れる調湿ガスの方向が測定領域2aの平面部に対して角度(θ)=70°以上110°以下の範囲となるように樽状に形成してもよい。
[実施形態5]
図8(D)に、実施形態5に係るRIfS測定システム100Dの密閉空間形成部材3Cを示す。なお、実施形態1のRIfS測定システム100と共通する一部の部材等については同一の符号を付すか図示を省略し、その説明を省略する。
実施形態5の密閉空間形成部材3Dは、チャンバー部3aと、断面コ字状の溝11と、ガス導入路12A,12Bと、ガス排出路14Bと、溝11およびガス導入路12A,12Bに貫装されたガスガイド部材13等とを有している。第1,2光ファイバー6,7が、ガス導入口13aの縁部よりやや外側の位置から密閉空間Rに突出するように調湿ガスの流れる方向に合わせて配置されている。そして、チャンバー部3aの内部の密閉空間Rが、ほぼ測定領域2aを中心とする円柱状となるように密閉空間形成部材3Dが形成されている。
(実施形態5の作用・効果)
実施形態5の密閉空間形成部材3Dを用いたRIfS測定システム100Dによれば、第1,2光ファイバー6,7が、図8(D)に示すように、ガス導入口13aから密閉空間Rへ吹き出す調湿ガスの流れをガイドするとともに、密閉空間Rに導入された調湿ガスが側方、特にガス排出路14Bへと向かう方向に移動するのを抑制する役割を果たしている。したがって、上述した実施形態4の対流の際の効果を高めて、より好適に調湿ガスを測定領域2aに吹き付けることができる。
[実施形態6]
図8(E)に、実施形態6に係るRIfS測定システム100Eの密閉空間形成部材3Eを示す。なお、実施形態3のRIfS測定システム100Bと共通する一部の部材等については同一の符号を付すか図示を省略し、その説明を省略する。
実施形態6の密閉空間形成部材3Eは、チャンバー部3aと、断面コ字状の溝11と、ガス導入路12A,12Bと、ガス排出路14Bと、溝11およびガス導入路12A,12Bに貫装されたガスガイド部材13等とを有している。
実施形態6の密閉空間形成部材3Eには、ガス導入口13aの側方のチャンバー部3aの天井部から下方の測定領域2aの近くまで延出している壁部3cが形成されており、壁部3bの下端部とセンサーチップ1との間には、隙間が形成されている(図8(E)参照)。壁部3bによりチャンバー部3a内の密閉空間Rは、ほぼ2つ空間に仕切られ、このうち、一方の空間(図8(E)において右側)には排出路14Bが形成されている。
(実施形態6の作用・効果)
上述した壁部3bが測定領域2aの近傍上方まで延出しているので、この壁部3bに沿って測定領域2aに向かって導入した調湿ガスが案内されて、測定領域2aに対してほぼ垂直に角度(θ)≒90°で吹き付けられることとなる。また、上述した対流の効果がさらに高まる。また、この延出している壁部3bがチャンバー部3a内の密閉空間Rをほぼ2つの空間に仕切っているので、導入すべきガス量は、測定領域2aを含む左側の空間(図8(E)において左側)だけで済む。さらに、壁部3bとセンサーチップ1の隙間は、測定領域2aに吹き付けられたガスが排出路14Bへ向かって下流側へ移動する唯一の部分であるため、下流へ流れるガス流により測定領域2aの近傍に部分的な引圧状態が発生し、この結果、吹き付ける調湿ガスの流れが促進されるという利点がある。
[実施形態7]
図8(F)に、実施形態7のRIfS測定システム100Fの密閉空間形成部材3Fを示す。なお、実施形態3のRIfS測定システム100Bと共通する一部の部材等については同一の符号を付すか図示を省略し、その説明を省略する。
実施形態7の密閉空間形成部材3Fは、チャンバー部3aと、断面コ字状の溝11と、ガス導入路12A,12Bと、ガス排出路14Bと、溝11およびガス導入路12A,12Bに貫装されたガスガイド部材13等とを有している。前記ガス排出路14Bの開口は、測定領域2aのすぐ側方(図8(F)において奥側)にあるチャンバー部3aの内壁に形成されている。
(実施形態7の作用・効果)
ガス排出路14Bの開口が、測定領域2aのすぐ側方(図8(F)において奥側)に形成されているので、測定領域2aの両側でおこる対流の効果に加え、密閉空間R内の調湿ガスが前記開口から排出される際に測定領域2a周辺に部分的な引圧が生じ、実施形態6と同様に測定領域2aへの調湿ガスの吹き付けが促進される効果が得られる。また、前記開口は排気機構に接続されているので、排気機構(不図示)の排気能力を調整することによっても、測定領域2aに吹き付けられる調湿ガスの流れの強さを正にも負にも制御できる点で有利となる。
[実施形態8]
図8(G)に、実施形態8のRIfS測定システム100Gの密閉空間形成部材3Gを示す。なお、実施形態7のRIfS測定システム100Fと共通する一部の部材等については同一の符号を付すか図示を省略し、その説明を省略する。
実施形態8の密閉空間形成部材3Gは、チャンバー部3aと、断面コ字状の溝11と、ガス導入路12A,12Bと、ガス排出路14Bと、溝11およびガス導入路12A,12Bに貫装されたガスガイド部材13等とを有している。さらに、ガス排出路14Bの上流端の開口4つが、それぞれ測定領域2aの両側(図8(G)において左右)および奥側と手前側(図8(G)において前後)にあるチャンバー部3aの内壁にそれぞれ形成されている(一部不図示)。
(実施形態8の作用・効果)
測定領域2aから上述した4つの開口のそれぞれまでの距離が、ほぼ均等であり、調湿ガスが4つの開口を介して密閉空間Rから均等に排出される。この結果、測定領域2aに吹き付けおよび排出される調湿ガスの流れが均等となり、密閉空間R内の各部間で湿度ムラが起きにくい点で有利となる。
以下に説明する実施例1〜4では実施形態1の密閉空間形成部材、実施例5〜8では実施形態2の密閉空間形成部材の各部の寸法を表1に示すように詳細に設定して実際にRIfSシステムにより測定を行った。
[実施例1]
《密閉空間形成部材の製造》
以下の内容で実施例1の密閉空間形成部材3を設計し、素材:ポリメチルメタクリレート(PMMA)(住友化学社製)を用いて精密加工して製造した。
・チャンバー部3aの寸法:25.2mmφ×3.5mm(高さ)
・チャンバー部3aの容積:1.75mL
・ガス導入路12A,12Bの寸法:φ6.1mm、長さ(最短部)10.4mm
・溝11の寸法:φ6.1mm、円弧3mm
・ガスガイド部材13(材質/ポリウレタン、寸法/外径:φ26mm、内径:φ4mm、長さ46mm)
・ガス導入口13aの寸法(矩形):3mm×20mm
・ガス導入口13aの開口面積:60mm2
・測定領域2aに対する調湿ガスを導入するガス導入口13aの角度(θ):71°
・ガス排出路14A,14Bの寸法:4mm(横)*2mm(縦)
・開口3bの寸法:φ2.5mm,開口3bとガス導入口13aとの相対距離:2mm
《センサーチップの製造》
以下のようにセンサーチップ1を製造した。
「MI−Affinity」専用のセンサーチップ(基板15:Si/光学薄膜16:SiN、厚さ1mm/66nm)を使用し、超親水性材料であるフレッセラR(パナソニック電工社製)の5wt%溶液を調製し、スピンコーターを用いてスロープ(SL)5秒、3000rpm、60秒の条件で前記センサーチップの表面に塗布して、分析対象のセンサーチップ1を製造した。
《RIfS測定》
上記製造した密閉空間形成部材3とセンサーチップ1とを用いて、RIfSシステム100により、以下のようにRIfS測定を行った。
(準備)
実施例1で用いたRIfSシステムは、制御手段10(一般的なPC)と、RIfS装置と、調湿ガス送出手段4等と、を有している。
調湿ガス送出手段4として、流路に調湿ガスを適量供給可能な小型の温湿度調整装置「GenRH−A」(英国Surface Measurement Systems社製)を用いた。
前記RIfS装置として、反射型RIfS方式の水吸脱着測定装置「MI−Affinity」(登録商標、コニカミノルタテクノロジーセンター株式会社)を用いた。このRIfS装置は、市販の、光源8,第1,2光ファイバー6,7、分光器9、温度調節器5A,温度センサー5、センサーチップ1の温度を測定する温度センサー19,および温度調節手段20等を有している。
そして、上記密閉空間形成部材3とセンサーチップ1とを接合して前記RIfS装置のセンサー部(不図示)にセットして、密閉空間Rを含むガス流路(垂直流路A−1)を構築した(図2等参照)。このガス流路に調湿ガス送出手段4および「MI−Affinity」を連結して、調湿ガス送出手段4から発生する調湿ガスを測定領域2aの試料2(フロッセラR)に供給する構成とした。また、第1光ファイバーは、光源からの光を出射する外側(クラッド)であり、第2光ファイバーは、分光器9に反射光を戻す第1光ファイバーと同心円状に配置された内側(コア)であり、第1,2光ファイバーは、クラッド/コア構造をとっている。第1,第2光ファイバー6,7の合成束の一端部を測定領域2aから上方1.3mmの位置するように開口3bに固定し、合成束の密閉空間R内への突出長さ(2.2mm)とした。
(測定)
調湿ガス送出手段4により以下の(1)〜(5)の順で密閉空間Rの調湿を行った。調湿は、乾燥窒素ガスを用いて行い、調湿の際の密閉空間Rへの調湿ガスの流量は100mL/分に設定した。また、RIfS測定は、1回のRIfS測定を約20ミリ秒で行い、1群のRIfS測定として、50回のRIfS測定を1秒かけて行った。この1群おRIfS測定を少なくとも3000回行った、なお、前記調湿の制御は、監視制御システム(SCADA)としてパッケージソフトウェアの「SpecView」(米国SpecView Corporation社製)を制御手段10にインストールし、調湿レベルをプログラム(下記(1)〜(5))に沿ってPID制御した。実施例1の結果を下記[表1]および図14(A)に示す。
(1)調湿ガス(温度25℃、10RH%(RH:相対湿度))を15分間、連続的に密閉空間Rに送出する。
(2)送出する調湿ガスの湿度を10RH%から80RH%まで30分で遷移させる。
(3)送出する調湿ガスの湿度を80RH%として15分間維持する。
(4)送出する調湿ガスの湿度を80RH%から10RH%までの除湿を30分で遷移させる。
(5)送出する調湿ガスの湿度を10RH%で15分間維持する。
[実施例2]
実施例2では、実施例1において測定領域2aに対する調湿ガスを導入するガス導入口13aの角度(θ)を71°から56°に変更したこと以外は実施例1と同様にRIfS測定等を行った。実施例2の結果を下記[表1]および図14(A)に示す。
[実施例3]
実施例3では、実施例2において、ガス導入口13aの寸法(矩形)を「3mm×20mm」から「3mm×3.5mm」に変更したこと以外は実施例2と同様にRIfS測定等を行った。実施例3の結果を下記[表1]および図14(A)に示す。
[実施例4]
実施例4では、実施例3において測定領域2aに対する調湿ガスを導入するガス導入口13aの角度(θ)を56°から45°に変更したこと以外は実施例1と同様にRIfS測定等を行った。実施例4の結果を下記[表1]および図14(A)に示す。
[実施例5]
実施例5で用いる密閉空間形成部材として前述の実施形態2の密閉空間形成部材3Aを以下の寸法で製造し、実施例1と同様にRIfS測定を行った。なお、実施例1と同じ*を用いて密閉空間形成部材3A製造した。実施例5の結果を下記[表1]に示す。
・チャンバー部3aの寸法:27.0mm×18.0mm(縦、横)×3.5mm(高さ)
・チャンバー部3aの容積:1.70mL
・溝11の寸法:φ6.1mm、円弧3mm
・ガスガイド部材13(材質/ポリウレタン、寸法/外径:φ26mm、内径:φ3mm、長さ46mm)
・ガス導入口13aの寸法(矩形):3mm×20mm
・ガス導入口13aの開口面積:60mm2
・測定領域2aに対する調湿ガスを導入するガス導入口13aの角度(θ):71°
・ガス排出路14A,14Bの寸法:4mm横×2mm縦
・開口3bの寸法:φ2.5mm,
・開口3bとガス導入口13aとの相対位置:2mm
[実施例6]
実施例6では、実施例5において測定領域2aに対する調湿ガスを導入するガス導入口13aの角度(θ)を71°から56°に変更したこと以外は実施例5と同様にRIfS測定等を行った。実施例6の結果を下記[表1]および図14(B)に示す。
[実施例7]
実施例7では、実施例6において、ガス導入口13aの寸法(矩形)を「3mm×20mm」から「3mm×3.5mm」に変更したこと以外は実施例6と同様にRIfS測定等を行った。実施例7の結果を下記[表1]および図14(B)に示す。
[実施例8]
実施例8では、実施例7において測定領域2aに対する調湿ガスを導入するガス導入口13aの角度(θ)を56°から45°に変更したこと以外は実施例7と同様にRIfS測定等を行った。実施例8の結果を下記[表1]および図14(B)に示す。
[比較例1]
比較例1では、実施例とは異なり、測定領域にその側方向から調湿ガスを導くガス導入を行った。まず、比較例1で用いた密閉空間形成部材について説明する。なお、実施形態1,2の密閉空間形成部材と同一の構成部分については符号を付してその説明を省略する。
《比較例1の密閉空間形成部材》
比較例1の密閉空間形成部材22は、図12に示したように、水の吸脱着を行うための反応部23と、反応部23の密閉空間(反応室)R’に連通するガス導入路22aおよびガス排出路22b等を有している。この反応部23は、角丸長方形の溝23aと、この溝23aの内側の島の平面部に形成されたガス導入口23b,ガス排出口23c、および第1,第2光ファイバー6,7を挿入固定するための開口(固定部)3bと、溝23aの深さより肉厚の同一形状に形成され、溝23aに嵌合固定されるO−リング24(図12(A)参照)等とを有している。このO−リング24を溝23aに嵌合固定させた状態でセンサーチップ1に密閉空間形成部材を接合させると(図12(E)参照)、O−リング24の内部に密閉空間R’が形成されるようになっている(図示省略)。密閉空間R’内に臨むガス導入口23bは、ガス導入路に連通しており、測定領域2aに対して角度θとなるように形成されている。一方、ガス排出口23cはガス排出路22bに連通している。
《密閉空間形成部材の製造》
以下の内容で比較例1の密閉空間形成部材22を設計し、素材PMMA(住友化学社製)を用いて精密加工して製造した。
・反応室R’の寸法:16.0mm×3.0mm×0.1mm
・反応室R’の容積:0.05mL
・ガス導入口23bの寸法:φ1mm
・ガス導入口23bの開口面積:0.785mm2
・測定領域2aに対する調湿ガスを導入するガス導入口23bの角度(θ):11°
・開口3bの寸法:φ2.5mm
センサーチップ1の製造については実施例1と同様に行った。なお、第1,第2光ファイバー6,7の合成束の一端部を測定領域2aから上方1.3mmの位置するように開口3bに固定し、合成束の反応室R’内への突出長さ(2.2mm)とした。
また、RIfS測定については、比較例1の調湿レベルを以下の調湿プログラム(下記(1)〜(5))に沿ってPID制御すること以外は実施例1と同様に行った。比較例1の結果を下記[表1]および図14(C)に示す。
(1)調湿ガス(温度25℃、10RH%(RH:相対湿度))を10分間、連続的に密閉空間Rに送出する。
(2)送出する調湿ガスの湿度を10RH%から80RH%まで15分で遷移させる。
(3)送出する調湿ガスの湿度を80RH%として10分間維持する。
(4)送出する調湿ガスの湿度を80RH%から10RH%までの除湿を15分で遷移させる。
(5)送出する調湿ガスの湿度を10RH%として10分間維持する。
[比較例2]
比較例2では、実施例とは異なり、また、比較例1とは異なる方法で、測定領域2aにその側方向から調湿ガスを導くガス導入を行った。まず、比較例2で用いた密閉空間形成部材について説明する。なお、実施形態1,2の密閉空間形成部材と同一の構成部分については符号を付してその説明を省略する。
《比較例2の密閉空間形成部材》
比較例2の密閉空間形成部材25は、密閉空間形成部材25は、図13に示したように、その中央に形成された凹部(チャンバー部)25aと、該チャンバー部25aに連通するガス導入路25bおよびガス排出路25c等を有している。ガス導入路25bは幅広に形成されており、チャンバー部25aの内壁面から外部へと貫通している。また、ガス導入路25bは、チャンバー部25aの別の内壁面から外部へと貫通している。
O−リング26をチャンバー部の突出部に取り付けた状態でセンサーチップ1に密閉空間形成部材を接合させると(図13(E)参照)、O−リング26の内側に密閉空間R” が形成されるようになっている(図示省略)。密閉空間R”内に臨むガス導入路25bのガス導入口25baは、センサーチップ1の測定領域2aに対して角度θとなるように形成されている。なお、この角度θはガス導入口25baの開口中心を基準とする。
《密閉空間形成部材の製造》
以下の内容で比較例1の密閉空間形成部材を設計し、素材PMMA(住友化学社製)を用いて精密加工して製造した。
・チャンバー部25aの寸法:26.0mm×18.0mm×5.0mm
・チャンバー部25aの容積:2.34mL
・ガス導入路25bの寸法:3mmφ、長さ8.6mm
・ガス導入口25baの寸法:3mmφ
・ガス導入口25baの開口面積:7mm2
・測定領域2aに対する調湿ガスを導入するガス導入口13aの角度(θ):21°
・ガス排出口の寸法:3×9長穴
・開口3bの寸法φ2.5mm
センサーチップの製造、およびRIfS測定については実施例1と同様に行った。なお、第1,第2光ファイバー6,7の合成束の一端部を測定領域2aから上方*mmの位置するように開口3bに固定し、合成束の反応室R’内への突出長さ(1.3mm)とした。そして、調湿ガスの導入を図14(C)(破線参照)に示すように行い、それ以外は実施例1と同様にRIfS測定等を行った。比較例2の結果を下記[表1]および図14(D)に示す。
[比較例3]
比較例3では、ESPEC社製「恒温槽PDR-3KT」と専用調湿制御装置を用いて以下のように行った。すなわち、上述したような密閉空間形成部材を用いずに、センサーチップ1をそのまま上記恒温槽の密閉空間の中に入れて、上記恒温槽内の密閉空間と調湿ガス送出手段4とを接続し、第1光ファイバー6,7を固定して、図14(E)(破線参照)に示すようにして調湿を行い、それ以外は実施例1と同様にRIfS測定等を行った。比較例3の結果を下記[表1]および図14(E)に示す。
(結果・考察)
表1の結果から分かるように、一般的に利用されている恒温槽(No.11の比較例3)を用いると、広い空間内に調湿ガスが充満しているので十分な量の水分が供給される。従って、乾燥ガス中と湿潤ガス中の2状態における水分吸収量は、ほぼ理論値に近づくが、一方で連続的に調湿することは難しく、局部的には湿度の変動が見られる。
一方、水平方向に調湿ガスが流れる構造の微小なガス流路(No.9の比較例1、No.10の比較例2)とGen−RHの組合せでは、連続的な調湿が可能なものの、水分吸収量(含水率)の絶対値は、恒温槽には及ばない。
本発明の垂直ガス流路を形成したNo.1-8(実施例1〜8)では、ガス導入口と測定面との角度が垂直に近い程、水分吸収効率が短時間で恒温槽以上に水吸着が効率的に起こっていることが分かる。なお、角度(θ)=90°の場合については、上記表1には示されていないが水吸着が角度(θ)=71°と同等かそれ以上の効率で起こることは明らかである。このように、水吸着が効率的に起こることは、水が試料2の膜に吸着する際に調湿ガスの向きが反応性に大きく関係していることを示している。垂直であれば水分子を試料2の膜に打ち込むことができるが、水平であれば、水吸脱着の動的平衡においてガス流による試料2の表面の水分子の脱着をも促進していると考えられる。
《ガス容量》
以下の実施例9〜11では、反応室(密閉空間R)のガス容量を変更することによる水の吸脱着に対する効果を調べた。
[実施例9]
実施例1〜8において用いた「フレッセラR」に替えて「ポリメチルメタクリレート(SIGMA−ALDRICH 製品番号「182230」)を試料2として塗布したセンサーチップ1を製造して用いたこと以外は実施例1と同様にして、RIfS測定等を行った。実施例9の結果を[表2]および図14(F)に示す。
[実施例10]
垂直ガス流路A−1の反応室(密閉空間R)の高さを1.5mmに変更したこと以外は、実施例11と同様に、RIfS測定等を行った。実施例10の結果を[表2]および図14(F)に示す。
[実施例11]
垂直ガス流路A−1の反応室(密閉空間R)の高さを5mmに変更したこと以外は、実施例11と同様に、RIfS測定等を行った。実施例10の結果を[表2]および図14(F)に示す。
(結果・考察)
実施例9〜11の結果から、反応室(密閉空間R)に流入するガスが毎秒リフレッシュされる条件が好ましいことが分かる。半発明の垂直ガス流路を用いた場合、ガス流量との関係も考慮することで最適な水の吸脱着反応を提供可能であることが分かる。
[実施例12]
実施例9の垂直ガス流路A−1(密閉空間R=1.75mL)を用いて、ガス流量を100mL/分、500mL/分、1000mL/分に変更したこと以外は、実施例11と同様に、RIfS測定等を行った。実施例10の結果を[表3]に示す。
[実施例13]
実施例10の垂直ガス流路A−5(密閉空間R=0.75mL)を用いて、ガス流量を100mL/分、500mL/分、1000mL/分に変更したこと以外は、実施例11と同様に、RIfS測定等を行った。実施例13の結果を[表3]に示す。
[実施例14]
実施例11の垂直ガス流路A−6(密閉空間R=2.5mL)を用いて、ガス流量を100mL/分、500mL/分、1000mL/分に変更したこと以外は、実施例11と同様に、RIfS測定等を行った。実施例14の結果を[表3]に示す。
[実施例15]
実施例の垂直ガス流路A−1の反応室(密閉空間R)の高さを7.5mmに変更し、反応室(チャンバー部)の容積(密閉空間Rの容積)を3.12mLに形成して、ガス流量を100mL/分、500mL/分、1000mL/分に変更したこと以外は、実施例11と同様に、RIfS測定等を行った。実施例15の結果を[表3]に示す。
(結果・考察)
ガス流量を増加するとチャンバー部の容積が2.5mlまでは水の吸脱着量の改善効果が得られる。それ以上の容積となると、ガス流量を上げても試料2への水の吸脱着効率は向上しない。
以上、本発明に係る密閉空間形成部材、これを用いた水分子吸脱着測定システムおよび水分子吸脱着測定方法について、実施形態および実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態等に限定されず、特許請求の範囲に規定された本発明の要旨を逸脱しない限り、設計変更は許容される。
1 センサーチップ
2 試料
2a 測定領域
3 密閉空間形成部材
3A〜3G 密閉空間形成部材
3c 壁部
4 調湿ガス送出手段
5 温湿センサー
5A 温度調節器
6 第1光ファイバー
7 第2光ファイバー
8 光源
9 分光器
10 制御手段
11 溝
12A,12B ガス導入路
13 ガスガイド部材
13a ガス導入口(導入口)
13b リング部材
14A,14B ガス排出路
15 基板
16 光学薄膜
17 カバー部材
19 温度センサー
20 温度調節手段
21 O−リング
22 密閉空間形成部材
22a ガス導入路
22b ガス排出路
23 反応部
23a 溝
23b ガス導入口
23c ガス排出口
24 O−リング
25 密閉空間形成部材
25a チャンバー部
25a チャンバー部
25b ガス導入路
25ba ガス導入口
25c ガス排出路
26 O−リング
100、100A〜100G 測定システム
R、R’、R” 密閉空間
θ 角度
w 水分子

Claims (13)

  1. 試料と、該試料に接触させる調湿ガスに含まれる水分子との吸脱着を測定する水分子吸脱着測定システムに用いられ、前記試料を内包する密閉空間を形成するための密閉空間形成部材であって、
    前記調湿ガスを、前記試料の測定用の表面部分(測定領域)に対向する位置から、測定領域に吹き付けるよう、前記密閉空間に導入するための導入口と、
    前記密閉空間内の調湿ガスを前記密閉空間の外部へ排出するための排出口と、
    を備えたことを特徴とする密閉空間形成部材。
  2. 前記密閉空間の容量が、水分子の試料に対する吸脱着を測定するための時間間隔の間に、前記密閉空間に供給される前記調湿ガスの量とほぼ同量か、それ以下となるように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の密閉空間形成部材。
  3. 前記密閉空間の容量が1.5mL〜3.2mLであることを特徴とする、請求項2に記載の密閉空間形成部材。
  4. 前記導入口の開口面積の合計:前記測定領域の面積の比が、50:1〜480:1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の密閉空間形成部材。
  5. 前記調湿ガスが、前記測定領域の平面に対して45°以上135°以下の範囲の角度で吹き付けるように、前記導入口が設けられていることを特徴とする、請求項1〜4にいずれか一項に記載の密閉空間形成部材。
  6. 前記導入口が複数設けられ、
    該導入口の開口が、円形、楕円形、および長方形の少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の密閉空間形成部材。
  7. 前記導入口から導入された前記調湿ガスの流れの前記測定領域に供給される角度をガイドするガスガイド部材を備えた、請求項1〜6のいずれか一項に記載の密閉空間形成部材。
  8. 前記測定領域以外の密閉空間の表面が、前記試料より疎水性のカバー部材により覆われている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の密閉空間形成部材。
  9. 請求項1〜8のいずれかの一項に記載の密閉空間形成部材を有していることを特徴とする水分子吸脱着測定システム。
  10. 試料と水分子との吸脱着を測定するための測定領域に配置された試料を内包するように導入口および排出口を有する密閉空間を形成し、該導入口から水分子を含む調湿ガスを該密閉空間内に導入して該試料の薄膜と該水分子との吸脱着を測定する水分子吸脱着測定方法であって、
    前記調湿ガスを、前記試料の測定用の表面部分(測定領域)に対向する位置から、測定領域に吹き付けるよう、前記導入口を介して前記密閉空間に導入するガス導入工程を含むことを特徴とする水分子吸脱着測定方法。
  11. 前記調湿ガスが、前記測定領域の平面に対して45°以上135°以下の範囲の角度で吹き付けるようにすることを特徴とする、請求項10に記載の水分子吸脱着測定方法。
  12. 前記調湿ガスが、前記測定領域の平面に対して70°以上110°以下の範囲の角度で吹き付けるようにすることを特徴とする、請求項11に記載の水分子吸脱着測定方法。
  13. 前記試料と前記水分子との吸脱着をRIfS(反射干渉分光法)によって測定する、請求項10〜12いずれか一項に記載の水分子吸脱着測定方法。
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