サービスの提供者は、利用状況に関する情報を収集するエージェントを顧客へ提供中の物理サーバ(以下、提供サーバと記す)に常駐させることはできない。そこで本実施形態にかかる情報処理装置は、提供サーバから収集可能な外部環境に関する情報を用いて、リソースの提供形態の適性を判定する。
サービスの提供者が提供サーバから収集可能な情報の一例としては、提供サーバの温度管理や障害検知のために収集されるセンサ情報がある。このようなセンサ情報は、具体的には例えば、物理サーバ全体の消費電力、CPU(Central Processing Unit)の消費電力、PCI(Peripheral Component Interconnect)の消費電力等である。また例えばセンサ情報は、サーバの各所定の位置に設置されたファンの回転数、サーバの各所定の位置における温度情報等である。
これらの収集可能な情報を用いて、情報処理装置はリソースの提供形態の適性を判定する。具体的には、情報処理装置は、所定期間におけるセンサ情報を提供サーバから取得する。また情報処理装置は、予め、物理サーバの負荷状態毎に、各状態のときの物理サーバのセンサ情報の基準値(閾値)を記憶しておく。これらの各負荷状態は物理サーバ向きか仮想サーバ向きかを示す適性情報と対応付けられている。そして情報処理装置は、取得したセンサ情報を、予め記憶しておいた負荷状態毎のセンサ情報の基準値と比較して、所定期間における提供サーバと各負荷状態との類似度(変位度)を算出する。そして情報処理装置は、算出した類似度(変位度)と適性情報に基いて提供サーバの提供形態の適性を判定する。
このようにすることで、提供サーバにエージェントを常駐させることなく、リソースの提供単位の選択の適性を検証することができる。また、顧客の情報の収集に関するポリシーに配慮しつつ、提供サーバの利用状況の把握を行うことができる。
図1は、実施形態に係る情報処理装置の一実施例の構成を図解した機能ブロック図である。図1において、情報処理装置10は、記憶部1、取得部2、算出部3、出力部4、及び判定部5を含む。
記憶部1は、物理サーバに設けられた複数のセンサの種別に対応する閾値の組み合わせを示す負荷パターンを記憶する。
取得部2は、物理サーバに設けられた複数のセンサにより計測された複数の計測値を取得する。
算出部3は、負荷パターンの閾値毎に、閾値に対する計測値の変位を算出する。
出力部4は、計測値の変位と、計測値の閾値とを出力する。
記憶部1は、負荷パターンと関係付けられた、物理サーバを仮想サーバへ適用可能かを示す適用情報を記憶する。
判定部5は、記憶部1に記憶された適用情報毎に集計した計測値の変位に応じて、物理サーバを仮想サーバへの適用可能かの判定を行う。
また出力部4は、判定の結果を出力する。
また算出部3は、負荷パターン毎に、複数の計測値と、計測値を計測したセンサの種別に対応する閾値との差分の和を算出する。
また判定部5は、複数のパターンの差分の和に対する各パターンの差分の和の割合に応じて、物理サーバを仮想サーバへの適用可能かの判定を行う。
また判定部5は、複数のパターンの差分の和に対する、仮想サーバを適用可能である複数のパターンの差分の和の割合の合計が所定の閾値未満である場合、物理サーバを仮想サーバへ適用可能であると判定する。
また記憶部1は、物理サーバの負荷状況に依存しない値に関する補正情報を記憶する。
また算出部3は、記憶部1に記憶された補正情報に基いて、複数の計測値を補正し、補正した計測値と、計測値を計測したセンサの種別に対応する閾値との変位を算出する。
これにより、予め記憶されたセンサ毎の閾値に対する、物理サーバより取得した計測値の変位と、閾値とを出力することで、物理サーバを仮想サーバへ適用できるかの指標と共に物理サーバの稼働状況を提示することができる。
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成の一例である。情報処理システムは、複数の物理サーバ21(21a、21b、21c)と、管理サーバ22を含む。物理サーバ21はサービス提供者から顧客に提供された物理サーバ(提供サーバ)の一例であり、管理サーバ22はサービスの提供者が管理するサーバの一例である。各物理サーバ21と管理サーバ22は、例えばインターネット等のネットワークを介して接続される。管理サーバ22は各物理サーバ21からセンサ情報を収集し、物理サーバ21の提供形態の適性の判定を行う。
物理サーバ21(21a、21b、21c)の各々は、1以上のセンサ23(23a、23b、23c)と通信部24(24a、24b、24c)とを含む。
センサ23は、サービスの提供者が収集可能な情報を計測するセンサである。具体的には例えば、センサ23は、物理サーバ全体の消費電力、CPUの消費電力、PCIの消費電力、ファンの回転数、温度等を計測するセンサである。
尚、物理サーバ21のファンの回転数を計測するセンサは、例えば、物理サーバ21のシステムボードの複数の位置に設置されるファンの回転数を計測するものや、PSU(Power Supply Unit)に付属されているファンの回転数を計測するものがある。また温度を計測するセンサは例えば、物理サーバ21の外気温(吸気温)、マザーボードの所定位置の温度、CPUの温度、CPUのVR(Voltage-Regulator)の温度を計測するものがある。さらに温度を計測するセンサは例えば、メモリの温度、メモリのVRの温度、PSUの温度を計測するものがある。
通信部24は、1以上のセンサ23から、各センサ23が計測した情報であるセンサ情報を取得し、管理サーバ22の収集部25へ送信する。
尚、通信部24の機能は、物理サーバ本体のOS(Operating System)や電源の状態に依存せずに機能の提供が可能な専用のハードウェアにより実現されてもよいし、プロセッサによって実現されてもよい。
管理サーバ22は、収集部25、負荷推定部26、適性判定部27、出力部28、及び記憶部29を含む。管理サーバ22は情報処理装置10の一例である。収集部25は取得部2の一例である。負荷推定部26は算出部3の一例である。適性判定部27は判定部5の一例である。出力部28は出力部4の一例である。記憶部29は記憶部1の一例である。
収集部25は、各物理サーバ21からセンサ情報を収集する。負荷推定部26は、収集部25が収集したセンサ情報と記憶部29に記憶された負荷状態毎の基準値とを比較して、物理サーバ21の負荷状態を推定(判定)する。適性判定部27は、推定部が推定した物理サーバの負荷状態に応じて、提供サーバの提供形態の適性を判定する。出力部28は、適性判定部27が判定した提供形態の適性の情報を出力する。記憶部29は、収集部25、負荷推定部26、適性判定部27、及び出力部28が使用する情報を記憶する。具体的には後ほど説明するが、記憶部29は、外気温補正表32、ファン冷却補正表33、基準値表34、係数換算表35、及び適性判定表37を予め記憶しておく。また記憶部29は、収集部25により生成される計測値表31、及び、負荷推定部26により生成される変位表36を記憶する。
収集部25は、各物理サーバ21の通信部24からセンサ情報を取得して、記憶部29に記憶された計測値表31に格納する。図3は計測値表31の一例を示す。図3において計測値表31には、物理サーバの各センサの計測値と、その計測値の計測日時とが対応付けて記録される。計測値表31は、「計測日時」41、「吸気温」42、「温度#1」43、「温度#2」44、「温度#3」45、「ファン#1」46、「ファン#2」47、「総消費電力」48、「CPU電力」49、及び「PCI電力」50のデータ項目を対応付けて記憶する。尚、「吸気温」42、「温度#1」43、「温度#2」44、「温度#3」45、「ファン#1」46、「ファン#2」47、「総消費電力」48、「CPU電力」49、及び「PCI電力」50は、それぞれ物理サーバに設置された各センサに対応付けられている。
「計測日時」41は、センサ情報を各センサ23が取得した日時を示す。「吸気温」42は、物理サーバの吸気温度を計測するセンサによって、対応する「計測日時」41に計測された吸気温度を示す。「温度#1」43、「温度#2」44、及び「温度#3」45は、それぞれ、物理サーバの互いに異なる所定の位置の温度を計測する温度センサによって、対応する「計測日時」41に計測された温度を示す。「ファン#1」46、及び「ファン#2」47は、それぞれ、物理サーバに設置されたファンの回転数を計測するセンサによって、対応する「計測日時」41に計測されたファンの回転数を示す。「総消費電力」48、「CPU電力」49、及び「PCI電力」50は、それぞれ、物理サーバの、全体の総消費電力、CPUの消費電力、PCIの消費電力を計測するセンサによって、対応する「計測日時」41に計測された消費電力の値を示す。
尚、計測値表31は複数生成され、各計測値表31は、管理サーバによる適性判定の対象とする複数の物理サーバのうちの各物理サーバに一意に対応付けて管理されるものとする。
負荷推定部26は、計測値表31のデータと、予め記憶部29に格納された負荷状態毎のセンサ情報の基準値を用いて、物理サーバの負荷状態を推定する。
負荷状態の推定において負荷推定部26は、先ず、計測値表31の値から、物理サーバの固体毎または設置された環境毎の影響を取り除く補正処理を行う。
例えば物理サーバの温度センサの計測値は、物理サーバの負荷状態だけでなく、物理サーバが設置された場所の気温(吸気温)の影響を受ける。さらに物理サーバの温度センサの計測値は例えば、物理サーバのファンによる冷却の影響も受ける。このような、計測値に対する負荷状態以外の影響を取り除くために、負荷推定部26は、予め記憶部29に記憶しておいた補正表を用いて、計測値表31の値を補正する。
具体的には本実施形態の情報処理装置は、気温による影響を取り除くための外気温補正表32と、ファンによる影響を取り除くためのファン冷却補正表33を用いて、計測値の補正を行う。図4は、外気温補正表32の構成の一例を示し、図5は、ファン冷却補正表33の構成の一例を示す。
外気温補正表32は、吸気温と、物理サーバに設置された各温度センサに対応する補正値とを対応付けて記憶する。図4において、外気温補正表32は、「吸気温」61、「温度#1補正」62、「温度#2補正」63、及び「温度#3補正」64のデータ項目を対応付けて記憶する。
「吸気温」61は、物理サーバの吸気温度を計測するセンサが計測した吸気温度の値を示す。「温度#1補正」62、「温度#2補正」63、及び「温度#3補正」64は、それぞれ、物理サーバの吸気温を計測するセンサの計測値が「吸気温」61で示される値である場合に、物理サーバの各位置に設置された温度センサの計測値に対する補正値を示す。尚、図4の「温度#1補正」62、「温度#2補正」63、及び「温度#3補正」64は、それぞれ、図3の「温度#1」43、「温度#2」44、及び「温度#3」45の補正値を示すものとする。
ファン冷却補正表33は、物理サーバに設置されたファンの回転数と、各温度センサに対応する補正値とを対応付けて記憶する。物理サーバに設置されるファンが複数ある場合、ファン毎に対応付けてファン冷却補正表33が記憶部29に複数記憶される。
図5において、ファン冷却補正表33は、「ファン回転数」71、「温度#1補正」72、「温度#2補正」73、及び「温度#3補正」74のデータ項目を含む。
「ファン回転数」71は、ファン冷却補正表33に対応するファンの回転数の値を示す。例えば、ファン冷却補正表33が、「ファン#1」46で示されるファンに対応する場合、「ファン回転数」71は「ファン#1」46で示されるファンの回転数を示す。「温度#1補正」72、「温度#2補正」73、及び「温度#3補正」74は、それぞれ、対応するファンの回転数が「ファン回転数」71で示される値である場合に、物理サーバの所定の位置に設置された温度センサの計測値に対する補正値を示す。尚、図5の「温度#1補正」72、「温度#2補正」73、及び「温度#3補正」74は、それぞれ、図3の「温度#1」43、「温度#2」44、及び「温度#3」45の補正値を示すものとする。
外気温補正表32を用いて計測値表31の値を補正する場合、先ず負荷推定部26は、計測値表31の「吸気温」42の値を参照する。次に、参照した「吸気温」42の値に対応する補正値を、負荷推定部26は、外気温補正表32を参照して取得する。すなわち、負荷推定部26は、外気温補正表32において「吸気温」61の値が「吸気温」42の値と等しい行の「温度#1補正」62、「温度#2補正」63、「温度#3補正」64の値を取得する。そして負荷推定部26は、以下の式(1)に従って、補正後の計測値を算出する。
補正後の計測値=計測値-吸気温+補正値 (1)
具体的には例えば、図3の計測値表31の「計測日時」41が「2013/07/25 14:00:00」の行の「温度#1」43の値(「35℃」)を補正する場合を考える。この場合、「2013/07/25 14:00:00」の行の「吸気温」42の値は「20℃」であるので、負荷推定部26は、外気温補正表32の「吸気温」61が「20℃」の行の「温度#1補正」62の値を取得する。図4の外気温補正表32において「吸気温」61が「20℃」の行の「温度#1補正」62の値は「21℃」である。そして負荷推定部26は、式(1)を用いて、補正後の計測値を算出する。すなわち、「計測日時」41が「2013/07/25 14:00:00」の行の「温度#1」43の補正後の値は、補正後の計測値=「35℃」-「20℃」+「21℃」=「36℃」となる。
外気温補正表32の「吸気温」61の列に、計測値表31の「吸気温」42の値が存在しない場合、負荷推定部26は、線形補完を行って補正値を算出する。すなわち、外気温補正表32の「吸気温」61の列に存在しない「吸気温」42の値をXとすると、外気温補正表32の「吸気温」61の値であって、Xi≦X≦Xi+1となるXiとXi+1の値を負荷推定部26は取得する。そして、Xiに対応する補正値をYi、Xi+1に対応する補正値をYi+1とすると、以下の式により補正値が算出される。
線形補完による補正値=Yi+(Yi+1-Yi)*(X-Xi)/(Xi+1-Xi) (2)
例えば図3の計測値表31の「計測日時」41が「2013/07/25 14:10:00」の行の「温度#2」44の値(「22℃」)を補正する場合を考える。この場合、負荷推定部26は先ず、計測値表31の「計測日時」41が「2013/07/25 14:10:00」の行の「吸気温」42の値「22℃」を取得する。そして負荷推定部26は、外気温補正表32において「吸気温」61が「22℃」である行が存在するか否かを判定する。ここでは、「吸気温」61が「22℃」である行は存在しない。この場合、負荷推定部26は、外気温補正表32の「吸気温」61が「20℃」と「25℃」の行の値から線形補完を行うことによって、「吸気温」61が「22℃」である場合の補正値を算出する。ここで「吸気温」61が「20℃」と「25℃」の行の「温度#2補正」63の値は、それぞれ「21℃」、「25℃」である。この場合負荷推定部26は、式(2)を用いて、線形補完による補正値=21+((25-21)*(22-20)/(25-20))=22.6を算出する。
そして負荷推定部26は、式(1)を用いて、補正後の計測値を算出する。すなわち、「計測日時」41が「2013/07/25 14:10:00」の行の「温度#2」44の補正後の値は、補正後の計測値=「22℃」-「22℃」+「22.6℃」=「22.6℃」となる。
「ファン#1」に対応するファン冷却補正表33を用いて計測値表31の値を補正する場合、先ず負荷推定部26は、計測値表31の「ファン#1」46の値を参照する。次に参照した「ファン#1」46の値に対応する補正値を、負荷推定部26は、「ファン#1」46に対応するファン冷却補正表33を参照して取得する。すなわち、負荷推定部26は、対応するファン冷却補正表33において「ファン回転数」71の値が「ファン#1」46の値と等しい行の「温度#1補正」72、「温度#2補正」73、「温度#3補正」74の値を取得する。ファン冷却補正表33の「ファン回転数」71の列に、「ファン#1」46の値が存在しない場合、負荷推定部26は、外気温補正と同様に、線形補完を行って補正値を算出する。そして、負荷推定部26は、以下の式(3)に従って、補正後の計測値を算出する。
補正後の計測値=計測値-補正値 (3)
例えば図3の計測値表31の「計測日時」41が「2013/07/25 14:10:00」の行の「温度#1」43の値(「36℃」)を補正する場合、負荷推定部26は、「2013/07/25 14:10:00」の行の「ファン#1」46の値「1600rpm」を取得する。そして負荷推定部26は、「ファン#1」に対応する図5のファン冷却補正表33において、「ファン回転数」71の値が「1600rpm」である行が存在するか否かを判定する。ここでは「ファン#1」に対応するファン冷却補正表33には、「ファン回転数」71が「1600rpm」である行は存在しない。すると負荷推定部26は、ファン冷却補正表33の「ファン回転数」71が「1500rpm」と「2000rpm」の行の「温度#1補正」72の値(「5℃」、「10℃」)から線形補完を行うことによって、「ファン回転数」71が「1600」のときの補正値を算出する。すなわち負荷推定部26は、式(2)を用いて、線形補完による補正値=5+((10-5)*(1600-1500)/(2000-1500))=6を算出する。
そして負荷推定部26は、式(3)を用いて、補正後の計測値を算出する。すなわち、「計測日時」41が「2013/07/25 14:10:00」の行の「温度#1」43の計測値の補正後の値は、補正後の計測値=「36℃」-「6℃」=「30℃」となる。
補正後の計測値を算出すると負荷推定部26は、計測値表31の各計測値を、算出した補正後の計測値に更新する。尚、例えば外気温補正の後にファン冷却補正を行う場合には、外気温補正後の計測値に対して、ファン冷却補正が行われる。
尚、負荷状態以外の要因による各センサの計測値に対する影響を取り除く方法は、外気温やファンの影響を取り除く方法に限定されず、種々の要因を考慮してもよい。
以上のようにして計測値表31の値を補正すると、負荷推定部26は、補正した計測値表31の計測値と、基準値表34の各負荷状態の基準値とを比較して、比較した計測値の計測日時における物理サーバの負荷状態を判定(推定)する。
基準値表34は、物理サーバの負荷状態毎のセンサ情報の基準値(閾値)の組み合わせを示す情報である。物理サーバの負荷状態には、例えば、CPUに負荷がかかっている状態(CPU負荷状態と記す)、IOに負荷がかかっている状態(IO負荷状態と記す)、負荷がかかっていない状態(無負荷状態と記す)がある。これらの各負荷状態における物理サーバをモデルとして、その負荷状態を識別する識別情報と、その負荷状態のときの物理サーバのセンサ情報の基準値とを対応付けて記憶したものが基準値表34である。実際の物理サーバにより計測されたセンサ情報と、基準値表34において示される各負荷状態のときのセンサ情報の基準値と、が比較されることにより、実際の物理サーバの負荷状態が判定(推定)される。以下の説明では、基準値表34に格納された物理サーバの負荷状態を、負荷パターンと記す場合がある。尚、基準値表34の負荷パターン及び負荷パターンに含まれる基準値の数は限定されず、1つでもよい。
図6は、基準値表34の構成の一例を示す。図6において基準値表34は、物理サーバの負荷状態を示す識別情報と、その状態のときのセンサ情報の基準値とが対応付けて記録されている。基準値表34のセンサ情報は、物理サーバに設置される複数のセンサの種別毎に対応付けられている。
基準値表34は、「負荷パターン」81、「吸気温」82、「温度#1」83、「温度#2」84、「温度#3」85、「ファン#1」86、「ファン#2」87、「総消費電力」88、「CPU電力」89、「PCI電力」90のデータ項目を対応付けて記憶する。「吸気温」82、「温度#1」83、「温度#2」84、「温度#3」85、「ファン#1」86、「ファン#2」87、「総消費電力」88、「CPU電力」89、「PCI電力」90は、それぞれ物理サーバに設置された各センサに対応付けられている。
「負荷パターン」81は、物理サーバの負荷パターンを一意に識別する識別情報である。図6の例では、CPU負荷状態、IO負荷状態、無負荷状態の3つの状態が示されている。「吸気温」82は、物理サーバが「負荷パターン」81で示される状態である場合に、吸気温度を計測するセンサによって計測される吸気温度の基準値を示す。「温度#1」83、「温度#2」84、及び「温度#3」85は、それぞれ、物理サーバが「負荷パターン」81で示される状態である場合に、物理サーバの互いに異なる所定の位置の温度を計測する温度センサによって計測される温度の基準値を示す。「ファン#1」86、及び「ファン#2」87は、それぞれ、物理サーバが「負荷パターン」81で示される状態である場合に、物理サーバに設置されたファンの回転数を計測するセンサによって計測されるファンの回転数の基準値を示す。「総消費電力」88は、物理サーバが「負荷パターン」81で示される状態である場合に、物理サーバの全体の総消費電力を計測するセンサによって計測される消費電力の基準値を示す。「CPU電力」89、及び「PCI電力」90は、それぞれ、物理サーバが「負荷パターン」81で示される状態である場合に、物理サーバのCPUの消費電力、PCIの消費電力を計測するセンサによって計測される消費電力の基準値を示す。
ここで、各負荷パターンにおける各センサの基準値は、過去に計測したセンサ情報と、そのときのサーバの負荷状態とから、算出された値としてもよい。尚、計測値表31のセンサ情報の各項目は、基準値表34のセンサ情報の各項目と対応している。
各負荷パターンにおける各センサの基準値は、各負荷パターンにおける限界性能を物理サーバでかけた際のセンサ情報としてもよい。
次に負荷推定部26は、計測値表31の各センサ情報の値と、基準値表34の各負荷パターンにおける各センサ情報の基準値との差分をとることにより、計測値が計測されたときの物理サーバの負荷状態と、負荷パターンの各々との差を示す変位値を算出する。
具体的には負荷推定部26は、計測値表31の各行毎の各センサ情報の値と、基準値表34の各行毎の各センサ情報の値の二乗誤差の合計値を、負荷パターンに対する、物理サーバの「計測日時」41における負荷状態の変位値として算出する。尚、変位値の算出の際、負荷推定部26はセンサ情報毎に、それぞれの重要度に応じて重み付けを行う。
更に具体的には負荷推定部26は、先ず、計測値表31の所定の「計測日時」41の行に着目する。ここで着目した行を対象計測行と記す。そして負荷推定部26は、基準値表34の「負荷パターン」81毎に、計測値表31の対象計測行の各センサ情報と、基準値表34の対応するセンサ情報との差分を算出する。
例えば負荷推定部26は、図3の計測値表31の「計測日時」41が「2013/07/25 14:10:00」を対象計測行として着目する。そして負荷推定部26は、図6の基準値表34の各行毎に、「温度#1」43と「温度#1」83、「温度#2」44と「温度#2」84、「温度#3」45と「温度#3」85の差分を算出する。それとともに負荷推定部26は、図6の基準値表34の各行毎に、「総消費電力」48と「総消費電力」88、「CPU電力」49と「CPU電力」89、「PCI電力」50と「PCI電力」90の差分を算出する。例えば、対象計測行と「CPU負荷」の行の、「温度#1」、「温度#2」、「温度#3」、「総消費電力」、「CPU電力」、「PCI電力」の差分は、それぞれ、「1℃」、「3℃」、「3℃」、「0W」、「10W」、「0W」である。
ここで、本実施形態においては、変位値の算出において差分を算出するセンサ情報の項目としては、物理サーバの温度及び消費電力に関するものとし、吸気温とファンの回転数は差分の算出対象に含めないものとする。すなわち、図3の計測値表31の例では、「吸気温」42、「ファン#1」46、「ファン#2」47は、差分の算出対象に含めないこととする。これは、吸気温はサーバの負荷状態に応じて変化するものではないため、負荷状態の差分を算出するための項目としては適当ではないからである。また、ファンの回転数は、温度センサにより計測された温度によって変化するものであり、温度が負荷状態の差分を算出するための項目として含まれていれば十分だからである。
計測値表31と基準値表34の対応するセンサ情報の各々の差分を算出すると、負荷推定部26は、それらの差分値に、予め記憶部29に記憶された係数換算表35で示される値を掛けることにより、重み付けを行う。係数換算表35は、複数のセンサ情報のうちの、負荷状態に与える影響または重要度等に基いて決定された重み付けのための重み係数の情報が格納される。
図7は、係数換算表35の構成の一例を示す。図7において係数換算表35は、「センサ情報名」101と「重み」102のデータ項目を対応づけて記憶する。「センサ情報名」101は、物理サーバのセンサにより計測されるセンサ情報を識別するための識別情報である。この「センサ情報名」101の値は、計測値表31及び基準値表34のセンサ情報の各項目と対応し、また、変位度の算出対象であるセンサ情報の項目に対応する。重みは、「センサ情報名」101で示されるセンサ情報に対して、重要度に応じて設定された重み付けの値(重み係数)である。
図7の係数換算表35においては、「センサ情報名」101に、「温度#1」、「温度#2」、「温度#3」、「総消費電力」、「CPU電力」、「PCI電力」が格納されており、それぞれ対応する重み係数が「重み」102に格納されている。
重み付けにおいて負荷推定部26は、差分を算出したセンサ情報に対応する重み係数を、係数換算表35から取得して、取得した重み係数と算出した差分との積を算出する。例えば、負荷推定部26は、計測値表31と基準値表34の「温度#1」の差分を算出すると、係数換算表35の「センサ情報名」101が「温度#1」に対応する「重み」102である「1.0」を取得する。そして負荷推定部26は、取得した重み「1.0」を、計測値表31と基準値表34の「温度#1」の差分に掛け合わせて、重み付けを行う。同様に「温度#2」、「温度#3」、「総消費電力」、「CPU電力」、「PCI電力」の差分に対して負荷推定部は重み付けを行う。
以上のようにして重み付けを行うと、負荷推定部26は、センサ情報毎に、重み付けを行ったセンサ情報の差分を二乗する。そして負荷推定部26は、センサ情報毎に算出した値を合計した値を変位値として算出する。
例えば、「温度#1」、「温度#2」、「温度#3」、「総消費電力」、「CPU電力」、「PCI電力」のそれぞれの差分が、a1、a2、a3、a4、a5、a6であり、それぞれに対応する重み係数がb1、b2、b3、b4、b5、b6である場合の変位値の算出を考える。その場合、変位値は、(a1*b1)2+(a2*b2)2+(a3*b3)2+(a4*b4)2+(a5*b5)2+(a6*b6)2となる。
以上のようにして負荷推定部26は、対象計測行に対する負荷パターン毎の変位値を算出する。
次に負荷推定部26は、負荷パターンの各々に対する変位値の合計が「1」となるように、変位値を正規化して、各負荷パターンに対する対象計測行の変位度を算出する。変位度は、以下の式により算出される。
変位度=(変位値)/(Σ全変位値) (4)
ここで、(Σ全変位値)は、対象計測行のセンサ情報の、全ての負荷パターンに対する変位度の合計値を指す。
例えば、対象計測行のセンサ情報の、負荷パターン「CPU負荷」、「IO負荷」、「無負荷」に対する変位値がそれぞれ、Z1、Z2、Z3とすると、例えば「CPU負荷」に対する対象計測行の変位度は、Z1/(Z1+Z2+Z3)となる。また例えば「IO負荷」、「無負荷」に対する対象計測行の変位度は、それぞれ、Z2/(Z1+Z2+Z3)、Z3/(Z1+Z2+Z3)となる。
以上のようにして負荷推定部26は、各負荷パターンに対する対象計測行の変位度を算出すると、算出した変位度を変位表36に格納する。変位表36は、計測日時と、計測日時に計測されたセンサ情報の各負荷パターンに対する変位度と、を対応付けて記憶する。
図8は、変位表36の一例を示す。図8において変位表36は、「計測日時」111、「CPU負荷変位度」112、「IO負荷変位度」113、「無負荷変位度」114のデータ項目を対応付けて記憶する。
「計測日時」111は、センサ情報の計測値が物理サーバの各センサにより計測された日時を示す。「計測日時」111は、計測値表31の対象計測行の「計測日時」41の値が格納される。「CPU負荷変位度」112は、「計測日時」111に計測されたセンサ情報の「CPU負荷」で示される負荷パターンに対する変位度を示す。「IO負荷変位度」113は、「計測日時」111に計測されたセンサ情報の「IO負荷」で示される負荷パターンに対する変位度を示す。「無負荷変位度」114は、「計測日時」111に計測されたセンサ情報の「無負荷」で示される負荷パターンに対する変位度を示す。
同様にして負荷推定部26は、計測値表31の別の「計測日時」41の行を対象計測行として、対象計測行に対する負荷パターン毎の変位値を算出し、変位表36に格納する。
尚、所定の計測日時におけるセンサ情報の、負荷パターンに対する変位度は、値が小さいほど、所定の計測日時における物理サーバと負荷パターンの負荷状態が類似することを示している。以上のように、センサ情報を計測した物理サーバの負荷状態が、各負荷パターンとどの程度異なるのかを示す変位度を算出することによって、負荷推定部26は、センサ情報を計測した物理サーバの、センサ情報の計測日時における負荷状態を判定(推定)する。
適性判定部27は、負荷推定部26が推定した物理サーバの負荷状態に応じて、提供サーバの提供形態の適性を判定する。適性判定部27は、変位表36と、記憶部29に記憶された適性判定表37に基いて、物理サーバの提供形態の適性を判定する。
適性判定表37は、各負荷パターンと、物理サーバの提供形態の適性とを対応付けて記憶する。図9は、適性判定表37の一例を示す。図9において適性判定表37は、「負荷パターン名」121と「仮想適用」122のデータ項目を対応付けて記憶する。
「負荷パターン名」121は、負荷パターンを一意に識別する識別情報である。「負荷パターン名」121は、図6の基準値表34の「負荷パターン」81と対応する。「仮想適用」122は、物理サーバの負荷状態が「負荷パターン名」121で示される負荷パターンである場合に、物理サーバの仮想適用が可能か(提供形態を仮想サーバとすることが可能か)否かを示す情報である。図9の例の場合、負荷パターンが「CPU負荷」または「無負荷」の場合、物理サーバは仮想適用可能であることを示し、負荷パターンが「IO負荷」である場合には、物理サーバは仮想適用不可能であることを示している。
物理サーバの提供形態の適性の判定において、適性判定部27は、所定の計測日時のセンサ情報の、仮想適用可能である負荷パターンに対する変位度合計値が、所定の閾値以上か否かを判定する。所定の計測日時のセンサ情報の、仮想適用可能である負荷パターンに対する変位度の合計値が、所定の閾値未満の場合、適性判定部27は、所定の計測日時における物理サーバは仮想適用可能であると判定する。一方、所定の計測日時のセンサ情報の、仮想適用可能である負荷パターンに対する変位度の合計値が、所定の閾値以上の場合、適性判定部27は、所定の計測日時における物理サーバは仮想適用不可であると判定する。
例えば適性判定部27は、先ず、適性判定表37を参照して、仮想適用不可である負荷パターンを特定する。図9の例では、仮想適用不可である負荷パターンは、「IO負荷」で示される負荷パターンであると適性判定部27は判定する。次に適性判定部27は、変位表36を参照して、所定の計測日時のセンサ情報の、仮想適用不可である負荷パターンに対する変位度の合計値を取得する。例えば計測日時が「2013/07/25 14:00:00」のセンサ情報の、仮想適用不可である負荷パターンに対する変位度の合計値を算出する場合、適性判定部27は「計測日時」111が「2013/07/25 14:00:00」行の「IO負荷変位度」113の列の値「0.4」を取得する。
尚、図9の例では、仮想不可である負荷パターンは「IO負荷」で示される負荷パターンのみとなっているが、例えば「CPU負荷」の負荷パターンも仮想不可である場合は、適性判定部27は「CPU負荷変位度」112と「IO負荷変位度」113を取得する。そして、適性判定部27は、取得した、計測日時「2013/07/25 14:00:00」の行における「CPU負荷変位度」112と「IO負荷変位度」113の合計値を、仮想不可である負荷パターンに対する変位度の合計値として取得する。
以上のようにして適性判定部27は、所定の計測日時における物理サーバは仮想適用可能であるか否かを判定する。そして適性判定部27は、所定の期間内の所定の計測日時おける物理サーバは仮想適用可能か否かを判定する。所定の期間内における物理サーバは、いずれの計測日時においても仮想適用可能であると判定した場合、適性判定部27は、提供サーバの提供形態は仮想サーバの形態が適していると判定する。一方、所定の期間内の計測日時において、物理サーバは仮想適用不可であると一度でも判定した場合、適性判定部27は、物理サーバの提供形態は物理サーバが適していると判定する。このように所定期間内の計測日時において一度でも仮想適用不可と判定した場合に、提供形態は物理サーバが適していると判定することで、所定期間内に提供サーバに対して顧客により要求された最大のリソースに基づいて、提供形態の適性を判定することができる。
出力部28は、センサ情報を計測した物理サーバの提供形態の適性を判定するための情報を含む稼働状況レポートを生成して、出力する。
稼働状況レポートは、所定の期間における、各計測日時のセンサ情報の、各負荷パターンに対する変位値または変位度を含む。また、稼働状況レポートは、各負荷パターンに対応する基準値表34の各基準値の情報を含んでもよい。また、稼働状況レポートは、各負荷パターンと、負荷パターンに対応付けられた物理サーバの提供形態の適性を示す情報とを含んでもよい。例えば、稼働状況レポートは、適性判定表37の情報を含んでもよい。また、稼働状況レポートは、適性判定部27が判定した提供サーバの提供形態の適性の判定結果情報を含んでもよい。尚、稼働状況レポートは、適性判定部27が判定した提供サーバの提供形態の適性の判定結果情報を含まなくてもよい。
出力部28は、提供形態の適性を提供サーバの負荷状況とともに出力してもよい。例えば、計測日時におけるセンサ情報の、負荷パターンに対する変位度が最も小さい負荷パターンを、その日時における提供サーバの負荷状態として、提供サーバの負荷状態の変化を出力してもよい。
図10は、出力部28が出力する、稼働状況レポートの出力画面の一例である。図10においては、所定期間における提供サーバの複数の温度センサにより計測された温度変化の監視状況に基づく負荷状況の変化の例を示している。すなわち、図10において、稼働状況レポートは、各負荷パターンに対する各温度センサにより計測された計測値の変位と、各負荷パターンの基準値とを示している。これにより、稼働状況レポートの参照者は、所定期間における物理サーバの稼働状況を把握することができ、また、より望ましいリソースの適用形態を選択するための情報を得ることができる。稼働状況レポートは、所定期間における電力消費の変化の監視状況に基づく負荷状況の変化なども示してもよいし、変位度の変化を示してもよい。このような提供サーバの提供形態の適性情報及び稼働状況レポートを、出力部28は、管理サーバに接続された所定の出力装置を介してユーザに表示してもよいし、ネットワークを介してユーザの端末に送信してもよい。尚、図10においては、各温度変化が軽負荷、無負荷、または停止の範囲に収まる場合は、仮想適用可能であることを示している。
次に、収集部25によるセンサ情報の取得と、負荷推定部26による、提供サーバの負荷状況を推定する処理の動作フローを説明する。図11は、提供サーバの負荷状況を推定する処理の詳細を図解したフローチャートを示す。尚、図11の動作フローは、所定の計測日時におけるセンサ情報を入力とした、提供サーバの負荷状況を推定する処理の動作フローを示す。また図11においては、所定の計測日時におけるセンサ情報は、計測値表31の対象計測行の値として説明する。
図11において、収集部25は、各物理サーバ21からセンサ情報を取得して、計測値表31に格納する(S201)。
次に、負荷推定部26は、所定の計測日時におけるセンサ情報に対する外気温補正を行う(S202)。外気温補正の処理フローの詳細については、後ほど図12を参照して説明する。
次に負荷推定部26は、所定の計測日時におけるセンサ情報に対するファン冷却補正を行う(S203)。ファン冷却補正の処理フローの詳細については、後ほど図13を参照して説明する。
次に負荷推定部26は、基準値表34の「負荷パターン」81列に示される複数の負荷パターンのうち、所定の負荷パターンを1つ選択する(S204)。
次に負荷推定部26は、所定の計測日時におけるセンサ情報の、S204において直近に選択した負荷パターンに対する変位値を算出する(S205)。すなわち負荷推定部26は先ず、計測値表31の対象計測行の各センサ情報と、基準値表34のS204において直近に選択した負荷パターンに対応する行の各センサ情報との差分を算出する。次に負荷推定部26は、差分を算出した各センサ情報に対応する重み係数を係数換算表35から取得し、取得した重み係数を、対応する各センサ情報の差分に掛け合わせて、重み付けを行う。そして負荷推定部26は、重み付けを行った各センサ情報の差分の二乗を合計して、変位値を算出する。尚、所定日時におけるセンサ情報は、S202及びS203において補正済みのセンサ情報である。
次に負荷推定部26は、S204において、基準値表34の「負荷パターン」81列に示される複数の負荷パターンのうち、すべての負荷パターンを選択したか否かを判定する(S206)。基準値表34の「負荷パターン」81列に示される複数の負荷パターンのうち、未選択の負荷パターンが存在する場合(S206でNo)、処理はS204に遷移し、負荷推定部26は未選択の負荷パターンのいずれかを選択する(S204)。
基準値表34の「負荷パターン」81列に示される複数の負荷パターンのうち、すべての負荷パターンをS204において選択したと判定すると(S206でYes)、負荷推定部26は以下の処理を行う。すなわち負荷推定部26は、基準値表34の「負荷パターン」81列に示される複数の負荷パターンのうち、所定の負荷パターンを1つ選択する(S207)。尚、S207の負荷パターンの選択は、S204における負荷パターンの選択とは独立した処理である。
次に負荷推定部26は、S207で選択した負荷パターンの変位度を算出する(S208)。すなわち負荷推定部26は先ず、基準値表34の「負荷パターン」81列に示されるすべての負荷パターンに対する、所定の計測日時におけるセンサ情報の変位値の合計値を算出する。次に負荷推定部26は、算出した変位値の合計に対する、S207で選択した負荷パターンの変位値の割合を算出する。そして負荷推定部26は、算出した変位値の割合を変位度として、変位表36に格納する。
次に負荷推定部26は、S207において、基準値表34の「負荷パターン」81列に示される複数の負荷パターンのうち、すべての負荷パターンを選択したか否かを判定する(S209)。基準値表34の「負荷パターン」81列に示される複数の負荷パターンのうち、未選択の負荷パターンが存在する場合(S209でNo)、処理はS207に遷移し、負荷推定部26は未選択の負荷パターンのいずれかを選択する(S207)。
基準値表34の「負荷パターン」81列に示される複数の負荷パターンのうち、すべての負荷パターンをS206において選択したと判定すると(S209でYes)、処理は終了する。
次に、図11のS202の外気温補正処理の処理フローを説明する。図12は、外気温補正処理の詳細を図解したフローチャートを示す。尚、図12の動作フローは、所定の計測日時におけるセンサ情報を入力とした、外気温補正処理の動作フローを示す。また図12においては、所定の計測日時におけるセンサ情報は、計測値表31の対象計測行の値として説明する。
図12において、負荷推定部26は先ず、所定の計測日時に計測された吸気温に対応する補正値を、外気温補正表32を用いて線形補完することにより、算出する(S301)。具体的には例えば負荷推定部26は、計測値表31の対象計測行の「吸気温」42の値を取得し、取得した「吸気温」42の値に対応する補正値を、外気温補正表32を用いて線形補完して算出する。尚、外気温補正表32において「吸気温」61が「吸気温」42の値である行が存在する場合、すなわち、外気温補正表32に「吸気温」42に対応する補正値が格納されている場合は、S301は省略できる。
次に負荷推定部26は、補正対象の複数の計測値のうち、いずれかの計測値を選択する(S302)。具体的には例えば負荷推定部26は、計測値表31の「温度#1」43、「温度#2」44、「温度#3」45のうちのいずれかの値を選択する。
次に負荷推定部26は、S302で直近に選択した計測値から、「吸気温」42の値を引き、さらに、「吸気温」42に対応する補正値を加えることにより、補正後の計測値を算出する(S303)。そして負荷推定部26は、計測値表31の対応する値を補正後の計測値に更新する。
次に負荷推定部26は、S302において、補正対象の複数の計測値のうち、すべての計測値を選択したか否かを判定する(S304)。補正対象の複数の計測値のうち、いずれかの計測値が未選択であると判定された場合(S304でNo)、処理はS302に遷移し、負荷推定部26は未選択の計測値のいずれかを選択する(S302)。
一方、補正対象の複数の計測値のうち、すべての計測値がS302で選択済みであると判定された場合(S304でYes)、処理は終了する。
次に、図11のS203のファン冷却補正処理の処理フローを説明する。図13は、ファン冷却補正処理の詳細を図解したフローチャートを示す。尚、図13の動作フローは、所定の計測日時におけるセンサ情報を入力とした、ファン冷却補正処理の動作フローを示す。また図13においては、所定の計測日時におけるセンサ情報は、計測値表31の対象計測行の値として説明する。
図13において、負荷推定部26は先ず、所定の計測日時に計測されたファンの回転数に対応する補正値を、ファン冷却補正表33を用いて線形補完することにより、算出する(S401)。具体的には例えば負荷推定部26は、計測値表31の対象計測行の「ファン#1」46の値を取得し、取得した「ファン#1」46の値に対応する補正値を、「ファン#1」46に対応するファン冷却補正表33を用いて線形補完して算出する。尚、ファン冷却補正表33において「ファン回転数」71が「ファン#1」46の値である行が存在する場合、すなわち、「ファン#1」46のファン冷却補正表33に「ファン#1」46に対応する補正値が格納されている場合は、S401は省略できる。「ファン#2」についても「ファン#1」と同様に負荷推定部26は補正処理を行う。
次に負荷推定部26は、補正対象の複数の計測値のうち、いずれかの計測値を選択する(S402)。具体的には例えば負荷推定部26は、計測値表31の「温度#1」43、「温度#2」44、「温度#3」45のうちのいずれかの値を選択する。
次に負荷推定部26は、S402で直近に選択した計測値から、S401で算出したファンの回転数に対応する補正値を引くことにより、補正後の計測値を算出する(S403)。そして負荷推定部26は、計測値表31の対応する値を補正後の計測値に更新する。
次に負荷推定部26は、S402において、補正対象の複数の計測値のうち、すべての計測値を選択したか否かを判定する(S404)。補正対象の複数の計測値のうち、いずれかの計測値が未選択であると判定された場合(S404でNo)、処理はS402に遷移し、負荷推定部26は未選択の計測値のいずれかを選択する(S402)。
一方、補正対象の複数の計測値のうち、すべての計測値がS402で選択済みであると判定された場合(S404でYes)、処理は終了する。
次に、適性判定部27による、提供サーバの提供形態の適性を判定する処理の動作フローを説明する。図14は、提供サーバの提供形態の適性を判定する処理の詳細を図解したフローチャートを示す。尚、図14のフローは、所定期間に計測されたセンサ情報を用いた、提供形態の適性を判定する処理の動作を説明する。
図14において、適性判定部27は先ず、センサ情報の計測日時のうち、所定の計測日時を選択する(S501)。すなわち適性判定部27は、変位表36の「計測日時」111が所定の計測日時である行を選択する。尚、以下の説明では、S501で直近に選択した計測日時を選択計測日時と記す。
次に適性判定部27は、選択計測日時の直前及び直後の計測日時における変位度が最小の負荷パターンが「無負荷」であり、且つ、選択計測日時における変位度が最小の負荷パターンが「無負荷」ではないか否かを判定する(S502)。具体的には例えば、選択計測日時が、図8の変位表36において「2013/07/25 14:10:00」である場合、選択計測日時の直前及び直後の計測日時は、それぞれ、「2013/07/25 14:00:00」、「2013/07/25 14:20:00」となる。そして、「2013/07/25 14:00:00」における変位度が最小の負荷パターンは、「0.2」の「CPU負荷」であり、「2013/07/25 14:20:00」における変位度が最小の負荷パターンは、「0.2」の「IO負荷」である。また、「2013/07/25 14:10:00」における変位度が最小の負荷パターンは、「0.1」の「IO負荷」である。よってこの場合、適性判定部27は、選択計測日時の直前及び直後の計測日時における変位度が最小の負荷パターンは「無負荷」でないと判定する。
そして、選択計測日時の直前及び直後の計測日時における変位度が最小の負荷パターンが「無負荷」である、且つ、選択計測日時における変位度が最小の負荷パターンが「無負荷」でないと判定された場合(S502でYes)、処理はS503に遷移する。
S503において適性判定部27は、選択計測日時の計測結果を除外値と判定する(S503)。このように、物理サーバの負荷状態が「無負荷」で示される負荷パターンに類似する状態に挟まれた、「無負荷」以外の負荷パターンに類似するときの計測値は、適性判定には用いない。このようにすることで、突発的に負荷が発生した場合の計測値は、適性判定の対象から除くことができる。そして、処理はS507に遷移する。
S502で、選択計測日時の直前または直後の計測日時における変位度が最小の負荷パターンが「無負荷」でない、もしくは選択計測日時における変位度が最小の負荷パターンが「無負荷」であると判定された場合(S502でNo)、処理はS504に遷移する。
S504において適性判定部27は、仮想不可である負荷パターンの、選択計測日時における変位度の合計値を算出する(S504)。具体的には適性判定部27は先ず、適性判定表37を参照して、「仮想適用」122が「不可」である「負荷パターン名」121で示される負荷パターンを、仮想不可である負荷パターンとして特定する。図9の例では、「IO負荷」で示される負荷パターンが仮想不可である負荷パターンとして特定される。そして適性判定部27は、選択計測日時における、仮想不可の負荷パターンの変位度の合計を変位表36から取得する。例えば選択計測日時が、図8の変位表36において「2013/07/25 14:10:00」である場合、「IO負荷変位度」113の「0.1」が取得される。
次に適性判定部27は、S504で算出した、仮想不可である負荷パターンの変位度の合計値が、所定の閾値(例えば、「0.5」)未満か否かを判定する(S505)。尚、閾値の値を「0.5」とすることによって、計測日時における物理サーバの負荷状態が、仮想不可である負荷パターンか仮想可である負荷パターンのどちらにより近い(変位度が小さい)かに応じた、提供形態の適性の判定を行うことができる。仮想不可である負荷パターンの変位度の合計値が所定の閾値未満であると判定した場合(S505でYes)、適性判定部27は、計測値が計測された物理サーバの提供形態は物理サーバ向きであると判定する(S506)。そして処理は終了する。
一方S505において、仮想不可である負荷パターンの変位度の合計値が所定の閾値以上であると判定した場合(S505でNo)、適性判定部27は、所定期間のセンサ情報の計測日時のうち、全ての計測日時をS501で選択したか否かを判定する(S507)。尚、この所定期間は、適性判定に用いるセンサ情報の計測日時の範囲である。所定期間のセンサ情報の計測日時のうち、S501で未選択の計測日時が存在すると判定した場合(S507でNo)、処理はS501に遷移し、適性判定部27は所定期間における未選択の計測日時を選択する(S501)。
一方S507において、所定期間のセンサ情報の計測日時のうち、全ての計測日時をS501で選択したと判定した場合(S507でYes)、適性判定部27は、物理サーバの提供形態は仮想サーバ向きであると判定する(S508)。そして処理は終了する。
次に、出力部による、出力処理の動作フローを説明する。図15は、出力処理の詳細を図解したフローチャートを示す。
図15において、先ず出力部28は、センサ情報を計測した物理サーバの提供形態の適性を判定するための情報を含む稼働状況レポートを生成する(S601)。次に出力部28は、生成した稼働状況レポートを出力する(S602)。そして処理は終了する。
次に、管理サーバ22のハードウェア構成について説明する。図16は、管理サーバ22のハードウェア構成の一例を示す。
図16において、管理サーバ22は、CPU701、メモリ702、記憶装置703、読取装置704、通信インターフェース705、及び表示装置706を含む。CPU701、メモリ702、記憶装置703、読取装置704、通信インターフェース705、及び表示装置706はバスを介して接続される。
管理サーバのCPU701は、メモリ702を利用して上述のフローチャートの手順を記述したプログラムを実行することにより、収集部25、負荷推定部26、適性判定部27、及び出力部28の一部または全部の機能を提供する。
メモリ702は、例えば半導体メモリであり、RAM(Random Access Memory)領域およびROM(Read Only Memory)領域を含んで構成される。記憶装置703は、例えばハードディスクである。なお、記憶装置703は、フラッシュメモリ等の半導体メモリであってもよい。また、記憶装置703は、外部記憶装置であってもよい。記憶装置703は記憶部29の一部または全部の機能を提供する。
読取装置704は、CPU701の指示に従って着脱可能記憶媒体750にアクセスする。着脱可能記憶媒体750は、たとえば、半導体デバイス(USBメモリ等)、磁気的作用により情報が入出力される媒体(磁気ディスク等)、光学的作用により情報が入出力される媒体(CD−ROM、DVD等)などにより実現される。尚、読取装置704は管理サーバ22に含まれなくてもよい。
通信インターフェース705は、CPU701の指示に従ってネットワークを介してデータを物理サーバ21の各々からセンサ情報を受信する。また通信インターフェース705は、出力部28により出力された物理サーバの提供形態の適性判定の結果情報を、ネットワークを介して例えば図示しないユーザ端末に送信してもよい。
表示装置706は、出力部28により出力された情報を表示する。尚、表示装置706は管理サーバ22に含まれなくてもよい。
実施形態のプログラムは、例えば、下記の形態で管理サーバに提供される。
(1)記憶装置703に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体750により提供される。
(3)プログラムサーバ(図示せず)から通信インターフェース705を介して提供される。
さらに、実施形態の管理サーバ22の一部は、ハードウェアで実現してもよい。或いは、実施形態の管理サーバ22は、ソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせで実現してもよい。
実施形態によると、リソースの提供形態を適切に判定するための情報、または、物理サーバの提供形態の適性判定の結果情報を、顧客に対して表示することで、顧客に仮想マシンへの移行を促すことが可能になる。また実施形態によると、物理サーバに情報を収集するエージェントを常駐させることなく、物理サーバから得られる情報によって顧客による提供形態の選択の確からしさを検証することができる。さらに顧客の情報収集に関するポリシーに配慮しつつ、提供サーバの負荷状況の把握を行うことができる。
尚、本実施形態は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を取ることができる。
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
コンピュータに、
物理サーバに設けられた複数のセンサにより計測された複数の計測値を取得し、
記憶部に記憶された、前記複数のセンサの種別に対応する前記計測値の閾値の組み合わせを示す負荷パターンの該閾値毎に、該閾値に対する前記計測値の変位を算出し、
前記計測値の変位と、該計測値の閾値とを出力する
処理を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
(付記2)
前記コンピュータに、さらに、
前記負荷パターンと関係付けられた、前記物理サーバを仮想サーバへ適用可能かを示す適用情報毎に集計した前記計測値の変位に応じて、前記物理サーバを仮想サーバへの適用可能かの判定を行い、
前記判定の結果を出力する
処理を実行させることを特徴とする付記1に記載の情報処理プログラム。
(付記3)
前記コンピュータに、
前記負荷パターン毎に、前記複数の計測値と、該計測値を計測したセンサの種別に対応する前記閾値との差分の和を算出し、
前記複数のパターンの前記差分の和に対する各パターンの前記差分の和の割合に応じて、前記物理サーバを仮想サーバへの適用可能かの判定を行う
処理を実行させることを特徴とする付記2に記載の情報処理プログラム。
(付記4)
前記コンピュータに、
前記複数のパターンの前記差分の和に対する、仮想サーバを適用可能である複数のパターンの前記差分の和の割合の合計が所定の閾値未満である場合、前記物理サーバを仮想サーバへ適用可能であると判定する
処理を実行させることを特徴とする付記3に記載の情報処理プログラム。
(付記5)
前記コンピュータに、
前記物理サーバの負荷状況に依存しない値に関する補正情報に基いて、前記複数の計測値を補正し、補正した該計測値と、該計測値を計測したセンサの種別に対応する前記閾値との変位を算出する
処理を実行させることを特徴とする付記1〜4のうちいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
(付記6)
物理サーバに設けられた複数のセンサにより計測された複数の計測値を取得し、
記憶部に記憶された、前記複数のセンサの種別に対応する前記計測値の閾値の組み合わせを示す負荷パターンの該閾値毎に、該閾値に対する前記計測値の変位を算出し、
前記計測値の変位と、該計測値の閾値とを出力する
処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
(付記7)
さらに、
前記負荷パターンと関係付けられた、前記物理サーバを仮想サーバへ適用可能かを示す適用情報毎に集計した前記計測値の変位に応じて、前記物理サーバを仮想サーバへの適用可能かの判定を行い、
前記判定の結果を出力する
処理をコンピュータが実行することを特徴とする付記6に記載の情報処理方法。
(付記8)
前記負荷パターン毎に、前記複数の計測値と、該計測値を計測したセンサの種別に対応する前記閾値との差分の和を算出し、
前記複数のパターンの前記差分の和に対する各パターンの前記差分の和の割合に応じて、前記物理サーバを仮想サーバへの適用可能かの判定を行う
処理をコンピュータが実行することを特徴とする付記7に記載の情報処理方法。
(付記9)
前記複数のパターンの前記差分の和に対する、仮想サーバを適用可能である複数のパターンの前記差分の和の割合の合計が所定の閾値未満である場合、前記物理サーバを仮想サーバへ適用可能であると判定する
処理をコンピュータが実行することを特徴とする付記8に記載の情報処理方法。
(付記10)
前記物理サーバの負荷状況に依存しない値に関する補正情報に基いて、前記複数の計測値を補正し、補正した該計測値と、該計測値を計測したセンサの種別に対応する前記閾値との変位を算出する
処理をコンピュータが実行することを特徴とする付記6〜9のうちいずれか1項に記載の情報処理方法。
(付記11)
物理サーバに設けられた複数のセンサの種別に対応する閾値の組み合わせを示す負荷パターンを記憶する記憶部と、
前記センサにより計測された複数の計測値を取得する取得部と、
前記負荷パターンの該閾値毎に、該閾値に対する前記計測値の変位を算出する算出部と、
前記計測値の変位と、該計測値の閾値とを出力する出力部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
(付記12)
前記情報処理装置は、さらに、
前記負荷パターンと関係付けられた、前記物理サーバを仮想サーバへ適用可能かを示す適用情報毎に集計した前記計測値の変位に応じて、前記物理サーバを仮想サーバへの適用可能かの判定を行う判定部、
を備え、
前記出力部は、前記判定の結果を出力する
ことを特徴とする付記11に記載の情報処理装置。
(付記13)
前記算出部は、前記負荷パターン毎に、前記複数の計測値と、該計測値を計測したセンサの種別に対応する前記閾値との差分の和を算出し、
前記判定部は、前記複数のパターンの前記差分の和に対する各パターンの前記差分の和の割合に応じて、前記物理サーバを仮想サーバへの適用可能かの判定を行う
ことを特徴とする付記12に記載の情報処理装置。
(付記14)
前記判定部は、前記複数のパターンの前記差分の和に対する、仮想サーバを適用可能である複数のパターンの前記差分の和の割合の合計が所定の閾値未満である場合、前記物理サーバを仮想サーバへ適用可能であると判定する
ことを特徴とする付記13に記載の情報処理装置。
(付記15)
前記記憶部は、前記物理サーバの負荷状況に依存しない値に関する補正情報を記憶し、
前記算出部は、前記補正情報に基いて、前記複数の計測値を補正し、補正した該計測値と、該計測値を計測したセンサの種別に対応する前記閾値との変位を算出する
ことを特徴とする付記11〜14のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。