JP6264011B2 - 電気光学素子 - Google Patents
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Description
このような光変調器としては、電気光学効果を有するニオブ酸リチウム(LiNbO3、LNと略称することもある)やタンタル酸リチウム(LiTaO3)等の非線形光学金属酸化物を用いた光変調器が提案され、実用化されている(特許文献1)。
しかしながら、この変調器においても、コア層のLiNbO3と電気光学ポリマーの極性(電気光学係数の正負符号)が一致するように構成されていなければ、高効率の変調を行うことができない。一方、その極性が逆の場合には、屈折率の変化の符号も逆になり、伝搬光の実効屈折の変化が相殺され、位相変調の効率が悪化してしまうという問題点があった。
前記コア層の分極方位は、前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層の分極方位と異なった方位であってもよい。
前記コア層は、複数の層状のコア部からなり、前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層は、3つ以上の層状のクラッド部からなり、3つ以上の前記層状のクラッド部と、複数の前記層状のコア部とは、交互に積層されて多層構造の光導波路とされていることが好ましい。
前記強誘電体結晶は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウム、チタン酸バリウム、KTN、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ビスマス、SBN、KTP、PLZT、PZTの群から選択される1種または2種以上を含有してなることが好ましい。
前記第1の電極層及び前記第2の電極層は、金、銀、銅、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、アルミニウムの群から選択される1種または2種以上を含有してなることが好ましい。
前記有機系誘電体材料は、非線形光学有機化合物であることが好ましい。
強誘電体結晶を含有するコア層を、電気光学効果を有する有機系誘電体材料を含有するクラッド層にて挟んでいるので、周波数が10GHzを超える高周波数領域においても高速変調を行うことができる。
第1のクラッド層及び第2のクラッド層の少なくとも一つが電気光学効果を有する有機系誘電体材料を含有したので、この有機系誘電体材料がさらなる集積化及び微細化に対応することができ、したがって、電気光学素子のさらなる集積化、微細化及び低消費電力化を図ることができる。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態のG−CPW型電極構成の電気光学素子を示す断面図であり、この電気光学素子としてクラッド層3、4に電気光学効果を有する有機系誘電体材料を用い、コア層2の強誘電体結晶とクラッド層3,4の電気光学ポリマーの極性を一致させたG−CPW型の光位相変調器の例である。
この電気光学素子の光導波路部1は、コア層2と、このコア層2を挟むように積層された(第1の)クラッド層3及び(第2の)クラッド層4とにより光導波部5が構成され、これらクラッド層3、コア層2及びクラッド層4を挟むようにコプレーナ型の(第1の)電極層6及び(第2の)電極層7、8と平面電極からなる(第2の)電極層9が形成されている。
これらの強誘電体結晶の中でも、電気光学係数、屈折率分散及び誘電率分散を考慮すると、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)等が好適である。
この電気光学効果を有する有機系誘電体材料としては、非線形光学有機化合物であることが好ましく、この非線形光学有機化合物としては、次に挙げる非線形光学有機化合物(1)、(2)が好ましい。
にて表されるフラン環基含有有機化合物。
にて表される非線形光学有機化合物が挙げられる。
にて表される繰り返し単位を含む非線形光学活性ポリマー。
この二価の炭化水素基は、エーテル基、エステル基、アミド基等を含有していてもよい。
にて表されるフラン環基を有する原子団が挙げられる。
にて表される有機化合物から誘導される原子団が挙げられる。
上記の置換基としては、イソシアネート基と反応し得る基であってもよい。
上記の置換基としては、イソシアネート基と反応し得る基であってもよい。
例えば、コア層2にニオブ酸リチウム(LiNbO3;屈折率n=2.29)等のオーダーディスオーダー相転移型の強誘電体材料を用い、クラッド層3、4に上記の化学式(2)及び(3)にて表される非線形光学活性ポリマー(屈折率n=1.61)を用いる等である。
このオーダーディスオーダー相転移型の強誘電体材料はキュリー点が高く、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)のキュリー点は1195±15℃である。したがって、このオーダーディスオーダー相転移型の強誘電体材料は、室温(25℃)からキュリー点までの温度範囲では、電気光学効果を有する三方晶系の結晶構造を維持し続けることができ、その結果、結晶転移に起因する屈折率、誘電率等の物理定数の変動を抑制することができる。
例えば、コア層2にニオブ酸リチウム(LiNbO3;屈折率n=2.29)を用い、クラッド層3、4に上記の化学式(2)及び(3)にて表される非線形光学活性ポリマー(屈折率n=1.61)を用いた場合、コア層2の光導波領域2aの膜厚は0.1μm〜3.0μmの範囲であり、クラッド層3、4の膜厚は0.5μm〜5.0μmの範囲である。
これにより、クラッド層3、4それぞれは、10〜300pm/Vの範囲の電気光学係数(EO係数)を有するものとなる。
光導波路にかかる高周波信号の電界を高めるためには、クラッド層3、4を薄くして電極6と電極9の間隔を小さくすることが有効であるが、光導波路を伝搬する光の損失の増大を伴う。光を損失を低減する方法として、電極6や電極層9に、小さな光の吸収損失と良好な導電性を兼ね備える導電性材料、いわゆる透明電極材料を用いることもできる。このような導電性材料としては、スズ添加酸化インジウム(Indium Tin Oxide:ITO)、アンチモン添加酸化インジウム(Antimony Tin Oxide:ATO)、酸化スズ(SnO2)等からなる透明電極が好ましい。
本構成の素子では、クラッド層3,4に高周波信号からの外部電界に応じて非線形光学活性ポリマーを用いているので、クラッド層2、3部分の電圧がコア層2の部分の電圧より高くとも、高効率な変調を行うことができる。
ここで、電極層6〜9各々の膜厚が0.05μm未満であると、高周波信号においては表皮抵抗に起因する高周波波信号の減衰が大きいので好ましくなく、一方、膜厚が20μmを超えると、高周波信号の損失は低くなるものの、コア層2、クラッド層3,4との線膨張係数の差に筋する応力・歪みにより、電極の剥離、コアやクラッドの屈折率の変化や光導波路の実効的光路長の変化を引き起こす原因となるので好ましくない。
光がクラッド層3,4に浸みだし、コア層に変調効率が下げる問題は、クラッド層3,4にコア層の強誘電体と同じ極性の電気光学ポリマー層を配することで補償される。
このように、分極方位11と、分極方位12、13とを膜厚方向に揃えることにより、次の様な効果を得ることができる。
(2)周波数が10GHzを超える高周波数領域においても、高速変調を高効率にて行うことができる。
(3)コア層2とクラッド層3、4との間のインピーダンスを容易に高くすることができる。
一方、印加する電圧が高い場合は、光の位相もモード形状やモードの大きさも変化する。光の伝搬損失や放射損失は、このモードの形状やモード大きさに大きく依存するため、印加する電圧によって、光の強度を変化させることもできる。つまり、光量調整機能や光アッテネーターや光のON/OFFスイッチング機能を実現できる。
このように、早まるか遅延するかは、印加する電圧の極性によって決まり、光の位相の変化量は、電圧の強度によってきまる。電圧の強度と極性を制御することにより、光の位相変化量を自在に変化させることができる。つまり、電気信号によって、光の位相を自在に操り変調することができる。
クラッド層3、4が電気光学効果を有する有機系誘電体材料を含有したので、この有機系誘電体材料がさらなる集積化及び微細化に対応することができ、したがって、電気光学素子のさらなる集積化、微細化及び低消費電力化を図ることができる。
図3は、本発明の第2の実施形態の電気光学素子である光スイッチング素子を示す断面図であり、この電気光学素子としてG−CPW型の光スイッチの例である。
このG−CPW型光スイッチの光導波路部31が、図2に示す光スイッチング素子の光導波路部21と異なる点は、上述した光導波路部21が、そのコア層2に1本のストライプ状の光導波領域2aを形成し、この光導波領域2aの両側を非光導波領域2bとしたのに対し、この光導波路部31は、コア層2と同一組成のコア層32に互いに平行な2本のストライプ状の光導波領域32a、32bを形成し、これらの光導波領域32a、32bの間及びこれらの光導波領域32a、32bの外側を非光導波領域32cとし、これらクラッド層3、コア層32及びクラッド層4により光導波部33を構成した点であり、この点以外の構成要素については上記の光導波路部21と全く同様であるから、説明を省略する。
図4は、本発明の第3の実施形態の電気光学素子である光スイッチング素子を示す断面図であり、この電気光学素子として多層構造のスタック結合型光スイッチの例である。
このスタック結合型光スイッチの光導波路部41が、図2に示す光導波路部21と異なる点は、上述した光導波路部21が、ストライプ状の光導波領域2a及びその両側の非光導波領域2bを有するコア層2を、一対のクラッド層3、4により挟んだ積層構造の光導波部5とし、これらクラッド層3、コア層2及びクラッド層4を挟むように電極層6及び電極層7、8と平面電極からなる電極層9を形成したのに対し、この光導波路部41は、ストライプ状の光導波領域2a及びその両側の非光導波領域2bを有するコア層2に、コア層2と同一組成でありストライプ状の光導波領域42a及びその両側の非光導波領域42bを有するコア層42を、クラッド層3、4と同一組成の(第2の)クラッド層43を介して対向配置させ、これらクラッド層3、コア層2、クラッド層43、コア層42及びクラッド層4を積層することにより光導波部44が構成され、これらクラッド層3〜クラッド層4を挟むように、(第2の)電極層9及びこの電極層9と同一組成の平面電極からなる(第1の)電極層45が形成されている点である。
2 コア層
3 (第1の)クラッド層
4 (第2の)クラッド層
5 光導波部
6 (第1の)電極層
7〜9 (第2の)電極層
11〜13 分極方位
21 電気光学素子の光導波路部
22〜24 分極方位
31 電気光学素子の光導波路部
32 コア層
33 光導波部
41 電気光学素子の光導波路部
42 コア層
43 (第2の)クラッド層
44 光導波部
45 (第1の)電極層
Claims (8)
- コア層と、当該コア層を挟むように積層された第1のクラッド層及び第2のクラッド層とにより光導波路が構成され、前記コア層、前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層を挟むように第1の電極層及び第2の電極層が形成されてなる電気光学素子であって、
前記コア層は強誘電体結晶を含有しており、前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層の少なくとも一つは、電気光学効果を有する有機系誘電体材料を含有しており、
前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層の屈折率は、前記コア層の屈折率より低く、前記コア層の分極方位は、前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層の分極方位と異なった方位であることを特徴とする電気光学素子。 - 前記コア層は、複数の層状のコア部からなり、
前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層は、3つ以上の層状のクラッド部からなり、
3つ以上の前記層状のクラッド部と、複数の前記層状のコア部とは、交互に積層されて多層構造の光導波路とされていることを特徴とする請求項1記載の電気光学素子。 - 前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層の膜厚は、前記コア層の膜厚より厚いことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学素子。
- 前記強誘電体結晶は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウム、チタン酸バリウム、KTN、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ビスマス、SBN、KTP、PLZT、PZTの群から選択される1種または2種以上を含有してなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の電気光学素子。
- 前記第1の電極層及び前記第2の電極層は、金、銀、銅、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、アルミニウムの群から選択される1種または2種以上を含有してなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の電気光学素子。
- 前記有機系誘電体材料は、非線形光学有機化合物であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の電気光学素子。
- 前記第1の電極層及び前記第2の電極層のうちいずれか一方はストライプ状であり、
これら第1の電極層及び第2の電極層との間に電圧を印加することにより、マイクロストリップ型光導波路またはツイストペア型光導波路として前記光導波路に電界を印加し、前記光導波路を伝搬する光の位相及びモード形状のうちいずれか一方または双方を制御することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の電気光学素子。 - 前記第1の電極層及び前記第2の電極層のうちいずれか一方はコプレーナ状であり、
これら第1の電極層及び第2の電極層との間に電圧を印加することにより、G−CPW型光導波路として前記光導波路に電界を印加し、前記光導波路を伝搬する光の位相及びモード形状のうちいずれか一方または双方を制御することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の電気光学素子。
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