<第1の実施の形態>
〜構成〜
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる油圧ショベル(建設機械)の油圧駆動装置を示す図である。
図1において、本実施の形態の油圧駆動装置は、原動機(例えばディーゼルエンジン)1と、その原動機1によって駆動され、第1及び第2圧油供給路105,205に圧油を吐出する第1及び第2吐出ポート102a,102bを有するスプリットフロー型の可変容量型メインポンプ102(第1ポンプ装置)と、原動機1によって駆動され、第3圧油供給路305に圧油を吐出する第3吐出ポート202aを有するシングルフロータイプの可変容量型メインポンプ202(第2ポンプ装置)と、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102b及びメインポンプ202の第3吐出ポート202aから吐出される圧油により駆動される複数のアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hと、第1及び第2圧油供給路105,205に接続され、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bから複数のアクチュエータ3a〜3hのうちのアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3f,3gに供給される圧油の流れ(流量と方向)を制御する第1コントロールバルブユニット4(第1弁装置)と、第3圧油供給路305に接続され、メインポンプ202の第3吐出ポート202aから複数のアクチュエータ3a〜3hのうちのアクチュエータ3a,3e,3fに供給される圧油の流れ(流量と方向)を制御する第2コントロールバルブユニット5(第2弁装置)と、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの吐出流量を制御するためのレギュレータ112(第1ポンプ制御装置)と、メインポンプ202の第3吐出ポート202aの吐出流量を制御するためのレギュレータ212(第2ポンプ制御装置)とを備えている。
コントロールバルブユニット4は、第1圧油供給路105に接続され、オープンセンタ型回路を形成する、メインポンプ102の第1吐出ポート102aからアクチュエータ3b,3c,3d,3fに供給される圧油の流れ(流量と方向)を制御する複数のオープンセンタ型の流量制御弁16i,16c,16d,16fと、第2圧油供給路205に接続され、オープンセンタ型回路を形成する、メインポンプ102の第2吐出ポート102bからアクチュエータ3a,3b,3gに供給される圧油の流れ(流量と方向)を制御する複数のオープンセンタ型の流量制御弁16a,16b,16gと、第1圧油供給路105に接続され、第1圧油供給路105の圧力を設定圧力以上にならないように制御するメインリリーフ弁114と、第2圧油供給路205に接続され、第2圧油供給路205の圧力を設定圧力以上にならないように制御するメインリリーフ弁214とを備えている。
コントロールバルブユニット5は、第3圧油供給路305に接続され、クローズドセンタ回路を形成する、メインポンプ202の第3吐出ポート202aからアクチュエータ3a,3e,3hに供給される圧油の流れ(流量と方向)を制御する複数のクローズドセンタ型の流量制御弁6a,6e,6hと、複数の流量制御弁6a,6e,6hの前後差圧が目標差圧に等しくなるよう複数の流量制御弁6a,6e,6hの前後差圧をそれぞれ制御する複数の圧力補償弁7a,7e,7hと、流量制御弁6a,6e,6hと圧力補償弁7a,7e,7hとの間の油路に配置された逆流防止用のチェックバルブ8a,8e,8hと、第3圧油供給路305に接続され、第3圧油供給路305の圧力を設定圧力以上にならないように制御するメインリリーフ弁314と、第3圧油供給路305に接続され、第3圧油供給路305の圧力が第3吐出ポート202aから吐出される圧油によって駆動されるアクチュエータ3a,3e,3fの最高負荷圧にバネの設定圧力(所定圧力)を加算した圧力(アンロード弁セット圧)よりも高くなると開状態になって第3圧油供給路305の圧油をタンクに戻すアンロード弁315とを備えている。
コントロールバルブユニット5は、また、第3圧油供給路305に接続される流量制御弁6a,6e,6hの負荷ポートに接続され、アクチュエータ3a,3e,3fの最高負荷圧Plmaxを検出するシャトル弁9a,9eを含む負荷圧検出回路131と、第3圧油供給路305の圧力(すなわち第3吐出ポート202aの圧力)P3と負荷圧検出回路131によって検出された最高負荷圧Plmax(第3圧油供給路305に接続されるアクチュエータ3a,3e,3fの最高負荷圧)との差圧であるLS差圧を絶対圧Plsとして出力する差圧減圧弁311とを備えている。
負荷圧検出回路131によって検出された最高負荷圧Plmaxはアンロード弁315に導かれ、差圧減圧弁311が出力するLS差圧Plsは第3圧油供給路305に接続された圧力補償弁7a,7e,7hとメインポンプ202のレギュレータ212に導かれる。
アクチュエータ3aは、例えば油圧ショベルのブームを駆動するブームシリンダ(第2アクチュエータ)であり、アクチュエータ3bは、例えば油圧ショベルのアームを駆動するアームシリンダ(第1アクチュエータ)である。ブームシリンダ3a及びアームシリンダ3bは、他のアクチュエータよりも最大の要求流量が大きいアクチュエータであり、かつブームシリンダ3aとアームシリンダ3bはある複合操作において同時に駆動されるアクチュエータである。また、複合操作の一例にブーム上げ(負荷圧:高)とアームクラウド(負荷圧:低)操作を同時に行う水平均し動作があり、この水平均し動作においてブームシリンダ3aはアームシリンダ3bよりも要求流量の少ないアクチュエータである。
アクチュエータ3cは、例えば油圧ショベルの上部旋回体を駆動する旋回モータであり、アクチュエータ3dは、例えば油圧ショベルのバケットを駆動するバケットシリンダであり、アクチュエータ3eは、例えば油圧ショベルのスイングポストを駆動するスイングシリンダであり、アクチュエータ3f,3gは、それぞれ、例えば油圧ショベルの下部走行体の左右の履帯を駆動する左走行モータ及び右走行モータであり、アクチュエータ3hは、例えば油圧ショベルのブレードを駆動するブレードシリンダである。
コントロールバルブユニット4において、流量制御弁16a(第3流量制御弁)はブームシリンダ3aを増速するためのアシスト駆動用(以下ブームアシスト駆動用という)であり、流量制御弁16b,16i(第1流量制御弁)はアームシリンダ3b用(以下アーム用という)であり、流量制御弁16cは旋回モータ3c用(以下旋回用という)であり、流量制御弁16dはバケットシリンダ3d用(以下バケット用という)であり、流量制御弁16f,16gは左右の走行モータ3f,3g用(以下左右走行用という)である。
コントロールバルブユニット5において、流量制御弁6a(第2流量制御弁)はブームシリンダ3aのメイン駆動用(以下ブームメイン駆動用という)であり、流量制御弁6eはスイングシリンダ3e用(以下スイング用という)であり、流量制御弁6hはブレードシリンダ3h用(以下ブレード用という)である。
コントロールバルブユニット4において、左走行用の流量制御弁16f、旋回用の流量制御弁16c、バケット用の流量制御弁16d、アーム用の流量制御弁16iは、上流側からその記載順序で、第1圧油供給路105に接続されたセンタバイパスライン106上にタンデム回路を形成するよう接続され、アーム用の流量制御弁16b、ブームアシスト駆動用の流量制御弁16a、右走行用の流量制御弁16gは、上流側からその記載順序で、第2圧油供給路205に接続されたセンタバイパスライン206上にタンデム回路を形成するよう接続されている。また、旋回用の流量制御弁16cとバケット用の流量制御弁16dとはタンデム回路と並行にパラレル回路を形成するよう油路17aを介して接続され、アーム用の流量制御弁16bとブームアシスト駆動用の流量制御弁16aとはタンデム回路と並行にパラレル回路を形成するよう油路17bを介して接続されている。流量制御弁16c,16d,16i及び流量制御弁16b,16a,16gのメータイン回路に逆流防止用のチェックバルブ18b,18c,18d,18f,18h,18iが設けられ、パラレル回路の油路17aに逆流防止用のチェックバルブ18eが設けられている。
また、アーム用の流量制御弁16bには再生回路19Aが設けられている。再生回路19Aはアームクラウド動作をさせるためにアームシリンダ3bを伸び方向に駆動する際に、アームシリンダ3bのロッド側からの戻り油の一部をアームシリンダ3bのボトム側に供給(再生)し、アームシリンダ3bを増速するためのものであり、アームシリンダ3bのロッド側からの戻り油をタンクに導く再生用の戻り油路10aと、この油路10aに配置された絞り10bと、油路10aの絞り10bの上流側を流量制御弁16bのメータイン回路に接続する油路10cと、この油路10cに配置された逆流防止用のチェックバルブ10dとを有している。アームシリンダ3bを伸び方向動作によりアームシリンダ3bのロッド側からの戻り油が絞り10bを介してタンクに戻るとき、絞り10bの上流側の圧力が上昇し、この圧力によりアームシリンダ3bのロッド側からの戻り油の一部が油路10c及びチェックバルブ10dを介して流量制御弁16bのメータイン回路に再生される。
第1圧油供給路105と右走行用流量制御弁16gのメータイン回路との間には走行連通回路19Bが設けられている。走行連通回路19Bは第1圧油供給路105と右走行用流量制御弁16gのメータイン回路とを接続する油路20aと、この油路20aに配置された連通弁20bと、連通弁20bと流量制御弁16gの間に配置された逆流防止用のチェックバルブ20cとを有している。左右走行用の油圧モータ3f,3gとその他のアクチュエータ3a,3b,3c,3dのいずれか1つ以上を同時操作する走行複合操作時に走行複合操作の信号圧stが連通弁20bに導かれると、連通弁20bは図示の閉位置から開位置に切り換わり、第1圧油供給路105の圧油が右走行用の流量制御弁16gへチェックバルブ20cを介して供給される。これにより走行複合操作時に流量制御弁16gの上流側の流量制御弁が中立位置から切り換わることで第2圧油供給路205から流量制御弁16gに圧油が供給されなくなったとしても、流量制御弁16gには第1圧油供給路105から圧油が供給され、走行性能を維持することができる。
アーム用の流量制御弁16bの2つの出力ポートとアーム用の流量制御弁16iの2つの出力ポートはそれぞれアームシリンダ3b(第1アクチュエータ)のボトム側とロッド側に接続され、流量制御弁16i,16bが図示の中立位置から切り換えられたとき、メインポンプ102の第1吐出ポート102aからの吐出油と第2吐出ポート102bからの吐出油とが合流してアームシリンダ3b(第1アクチュエータ)のボトム側或いはロッド側に供給される。
コントロールバルブユニット5におけるブームメイン駆動用の流量制御弁6aの2つの出力ポートはブームシリンダ3aのボトム側とロッド側にそれぞれ接続され、コントロールバルブユニット4におけるブームアシスト駆動用の流量制御弁16aのブーム上げ側の出力ポートはブームシリンダ3aのボトム側に接続されている。
図2Aは、ブームメイン駆動用の流量制御弁6a(クローズドセンタ型)の開口面積特性を示す図であり、図2Bは、ブームアシスト駆動用の流量制御弁16a(オープンセンタ型)の開口面積特性を示す図である。
図2Aにおいて、ブームメイン駆動用の流量制御弁6a(第2流量制御弁)は、スプールストロークが不感帯0−S1を超えて増加するにしたがってメータインの開口面積が増加し、スプールストロークが中間ストロークS2に達するとメータインの開口面積が最大A1となるようメータイン開口面積特性が設定されている。また、ブームメイン駆動用の流量制御弁6aは、スプールストロークが不感帯0−S1を超えて増加するにしたがってメータアウトの開口面積が増加し、スプールストロークが最大ストロークS3の直前でメータアウトの開口面積が最大A2となるようメータアウト開口面積特性が設定されている。ここで、A1>A2である。
図2Bにおいて、ブームアシスト駆動用の流量制御弁16a(第3流量制御弁)は、スプールストロークが0であるときにブリードオフの開口面積が最大A3であり、スプールストロークが不感帯0−S1を超えて増加するにしたがってブリードオフの開口面積が減少し、最大ストロークS3の直前でブリードオフの開口面積がゼロになるようブリードオフ開口面積特性が設定されている。また、ブームアシスト駆動用の流量制御弁16aは、中間ストロークS2になるまではメータインの開口面積はゼロであり、中間ストロークS2でメータイン開口部が開き始め、その後スプールストロークが増加するにしたがってメータインの開口面積が増加し、スプールストロークが最大S3に達するとメータインに開口が最大A4となるようにメータイン開口面積特性が設定されている。
ここで、図2A及び図2Bの下側に示すように、流量制御弁6a,16aのスプールストロークはブーム用の操作装置523a(後述−図3参照)の操作量に応じて生成される操作パイロット圧が上昇するに従って増加し、スプールストロークと操作パイロット圧は1対1の対応関係にある。
このようにブームメイン駆動用の流量制御弁6aとブームアシスト駆動用の流量制御弁16aの開口面積特性を設定することにより、スプールストロークが中間ストロークS2に達する前は流量制御弁6aのみが開弁してメインポンプ202の第3吐出ポート202aから吐出された圧油がブームシリンダ3a(第2アクチュエータ)に供給され、スプールストロークが中間ストロークS2以上になると流量制御弁6a,16aの両方が開弁してメインポンプ102の第2吐出ポート102bから吐出された圧油とメインポンプ202の第3吐出ポート202aから吐出された圧油とが合流してブームシリンダ3a(第2アクチュエータ)に供給される。
図1に戻り、本実施の形態における油圧駆動装置は、原動機1によって駆動される固定容量型のパイロットポンプ30と、パイロットポンプ30の圧油供給路31aに接続され、パイロットポンプ30の吐出流量を絶対圧Pgrとして検出する原動機回転数検出弁13と、原動機回転数検出弁13の下流側のパイロット圧油供給路31bに接続され、パイロット圧油供給路31bに一定のパイロット一次圧Pipを生成するパイロットリリーフバルブ32と、パイロット圧油供給路31bに接続され、ゲートロックレバー24により下流側のパイロット圧油供給路31cをパイロット圧油供給路31bに接続するかタンクに接続するかを切り替えるゲートロック弁100と、ゲートロック弁100の下流側のパイロット圧油供給路31cに接続され、一定のパイロット一次圧Pipに基づいて流量制御弁16a,16b,16c,16d,16f,16g,16i及び流量制御弁6a,6e,6hを切り換え操作するための操作パイロット圧a1,a2;b1,b2;c1,c2;d1,d2;e1,e2;f1,f2;g1,g2;h1,h2を生成する1対のパイロットバルブ(減圧弁)をそれぞれ備えた複数のリモコン弁60a,60b,60c,60d,60e,60f,60g,60hとを更に備えている。
原動機回転数検出弁13は、パイロットポンプ30の圧油供給路31aとパイロット圧油供給路31bとの間に接続された流量検出弁50と、その流量検出弁50の前後差圧を絶対圧Pgrとして出力する差圧減圧弁51とを有している。
流量検出弁50は通過流量(パイロットポンプ30の吐出流量)が増大するにしたがって開口面積を大きくする可変絞り部50aを有している。パイロットポンプ30の吐出油は流量検出弁50の可変絞り部50aを通過してパイロット油路31b側へと流れる。このとき、流量検出弁50の可変絞り部50aには通過流量が増加するにしたがって大きくなる前後差圧が発生し、差圧減圧弁51はその前後差圧を絶対圧Pgrとして出力する。パイロットポンプ30の吐出流量は原動機1の回転数によって変化するため、可変絞り部50aの前後差圧を検出することにより、パイロットポンプ30の吐出流量を検出することができ、原動機1の回転数を検出することができる。原動機回転数検出弁13(差圧減圧弁51)が出力する絶対圧Pgrは目標LS差圧としてレギュレータ212に導かれる。
レギュレータ112(第1ポンプ制御装置)は、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bのそれぞれの圧力が導かれ、それらの圧力の上昇時にメインポンプ102の斜板の傾転角(容量)を減少させ、吸収トルクが減少するようメインポンプ102の傾転角を制御するトルク制御(馬力制御)ピストン112d,112eと、メインポンプ102とメインポンプ202に割り当てられた最大トルクT12maxを設定するバネ112uと、メインポンプ202の吸収トルクを模擬したトルクフィードバック圧力を生成する第1及び第2可変減圧弁112g,112qと、このトルクフィードバック圧力(第1可変減圧弁112gの出力圧)が導かれ、この圧力が高くなるにしたがってメインポンプ102の斜板の傾転角を減少させ、バネ112uによって設定された最大トルクT12maxが減少するようメインポンプ102の傾転角を制御する減トルク制御ピストン112fとを備えている。
レギュレータ212(第2ポンプ制御装置)は、差圧減圧弁311が出力する絶対圧Pls3(以下LS差圧Plsという)と原動機回転数検出弁13が出力する絶対圧Pgr(以下目標LS差圧Pgrという)とが導かれ、LS差圧Plsが目標LS差圧Pgrよりも小さくなるにしたがって低くなるようLS駆動圧力Pxを生成するLS制御弁212bと、LS駆動圧力Pxが導かれ、LS駆動圧力Pxが低くなるにしたがってメインポンプ202の傾転角(容量)を増加させ吐出流量が増加するようメインポンプ202の傾転角を制御するLS制御ピストン212cと、メインポンプ202の吐出圧P3が導かれ、その圧力の上昇時にメインポンプ202の斜板の傾転角を減少させ、吸収トルクが減少するようメインポンプ202の傾転角を制御するトルク制御(馬力制御)ピストン212dと、メインポンプ202に割り当てられた最大トルクT3maxを設定するバネ212eとを備えている。
レギュレータ112の第1可変減圧弁112gは、メインポンプ202の吐出圧P3が導かれ、その圧力がバネ112tと受圧部112hによって設定される第1セット圧以下であるときは、メインポンプ202の第3吐出ポート202aの吐出圧をそのまま出力し、メインポンプ202の吐出圧P3が第1セット圧よりも高いときは、メインポンプ202の吐出圧P3を第1セット圧に減圧して出力する。第2可変減圧弁112qは、レギュレータ212のLS駆動圧力Pxが導かれ、LS駆動圧力Pxがバネ112sと受圧部112iによって設定される第2セット圧以下であるときは、LS駆動圧力Pxをそのまま出力し、LS駆動圧力Pxが第2セット圧よりも高いときは、LS駆動圧力Pxを第2セット圧に減圧して出力する。第2可変減圧弁112qの受圧部112iにはメインポンプ202の吐出圧P3が導かれ、第1可変減圧弁112gの受圧部112hには第2可変減圧弁112qの出力圧が導かれる。第1可変減圧弁112gの出力圧はトルクフィードバック圧力として減トルク制御ピストン112fに導かれる。
このように第1及び第2可変減圧弁112g、112qを構成することにより、メインポンプ202がトルク制御ピストン212dによるトルク制御の制限を受けてトルク制御の最大トルクT3maxで動作するときと、メインポンプ202がトルク制御ピストン212dによるトルク制御の制限を受けずに動作するときのいずれの場合にもメインポンプ202の吐出圧P3を補正し、メインポンプ202の吸収トルクを模擬したトルクフィードバック圧力を生成する。この原理は特願2014-019790に詳しい。
また、このように生成されたトルクフィードバック圧力を減トルク制御ピストン112fに導くことにより、メインポンプ202がトルク制御ピストン212dによるトルク制御の制限を受けトルク制御の最大トルクT3maxで動作するときと、メインポンプ202がトルク制御ピストン212dによるトルク制御の制限を受けずに動作するときのいずれの場合にも、メインポンプ202の吸収トルク分、バネ112uによって設定された最大トルクT12maxを減少させ、メインポンプ102とメインポンプ202の合計の吸収トルクが最大トルクT12maxを超えないように制御される。
以上において、レギュレータ112におけるトルク制御ピストン112d,112eとバネ112uと第1及び第2可変減圧弁112g,112qと減トルク制御ピストン112fは、メインポンプ102とメインポンプ202の合計の吸収トルクがバネ112uで設定された最大トルクT12maxを超えないようにメインポンプ102の容量を制御するトルク制御部を構成する。
レギュレータ212におけるトルク制御ピストン212dとバネ212eは、メインポンプ202の吸収トルクが最大トルクT3maxを超えないようにメインポンプ202の容量を制御するトルク制御部を構成する。
レギュレータ212において、LS制御弁212bとLS制御ピストン212cは、メインポンプ202の吐出圧P3が、メインポンプ202から吐出される圧油によって駆動されるアクチュエータの最高負荷圧Plmaxより目標LS差圧Pgrだけ高くなるようメインポンプ202の容量を制御するロードセンシング制御部を構成する。
なお、レギュレータ112において、トルク制御部の構成として第1及び第2可変減圧弁112g,112qを設けることは好ましいが、第1及び第2可変減圧弁112g,112qに代えて後述する第2の実施の形態の減圧弁112xのように1つの減圧弁を設けてもよい。この場合もメインポンプ202の吐出圧はトルク制御ピストン212dによるトルク制御開始圧力以上にならないように減圧され、この圧力を減トルク制御ピストン112fに導くことでメインポンプ102とメインポンプ202の合計の吸収トルクが最大トルクT12maxを超えないように制御される。
〜油圧ショベル〜
図3は、上述した油圧駆動装置が搭載される油圧ショベルの外観を示す図である。
図3において、作業機械としてよく知られている油圧ショベルは、下部走行体501と、上部旋回体502と、スイング式のフロント作業機504を備え、フロント作業機504は、ブーム511、アーム512、バケット513から構成されている。上部旋回体502は下部走行体501に対して旋回モータ3cによって旋回可能である。上部旋回体502の前部にはスイングポスト503が取り付けられ、このスイングポスト503にフロント作業機504が上下動可能に取り付けられている。スイングポスト503はスイングシリンダ3eの伸縮により上部旋回体502に対して水平方向に回動可能であり、フロント作業機504のブーム511、アーム512、バケット513はブームシリンダ3a,アームシリンダ3b,バケットシリンダ3dの伸縮により上下方向に回動可能である。下部走行体501の中央フレームには、ブレードシリンダ3hの伸縮により上下動作を行うブレード506が取り付けられている。下部走行体501は、走行モータ3f,3gの回転により左右の履帯501a,501bを駆動することによって走行を行う。
上部旋回体502にはキャノピータイプの運転室508が設置され、運転室508内には、運転席521、フロント/旋回用の左右の操作装置522,523(図3では左側のみ図示)、左右走行用の操作装置524a,524b(図3では左側のみ図示)、スイング用の操作装置525(図1)及びブレード用の操作装置526(図1)、ゲートロックレバー24等が設けられている。
操作装置522,523の操作レバーは中立位置から十字方向を基準とした任意の方向に操作可能であり、左側の操作装置522の操作レバーを左右方向に操作すると、操作装置522は旋回用の操作装置522b(図1)として機能して旋回用のリモコン弁60cが動作し、同操作装置522の操作レバーを前後方向に操作すると、操作装置522はアーム用の操作装置522a(図1)として機能してアーム用のリモコン弁60bが動作し、右側の操作装置523の操作レバーを前後方向に操作すると、操作装置523はブーム用の操作装置523a(図1)として機能してブーム用のリモコン弁60aが動作し、同操作装置523の操作レバーを左右方向に操作すると、操作装置523はバケット用の操作装置523b(図1)として機能してバケット用のリモコン弁60dが動作する。
また、左走行用の操作装置524aの操作レバーを操作すると左走行用のリモコン弁60f(図1)が動作し、右走行用の操作装置524bの操作レバーを操作すると右走行用のリモコン弁60g(図1)が動作し、スイング用の操作装置525(図1)を操作するとスイング用のリモコン弁60eを動作させ、ブレード用の操作装置526(図1)を操作するとブレード用のリモコン弁60hが動作する。
〜動作〜
次に、本実施の形態の動作を説明する。
まず、原動機1によって駆動される固定容量型のパイロットポンプ30から吐出された圧油は、圧油供給路31aに供給される。圧油供給路31aには原動機回転数検出弁13が接続されており、原動機回転数検出弁13は流量検出弁50と差圧減圧弁51によりパイロットポンプ30の吐出流量に応じた流量検出弁50の前後差圧を絶対圧Pgr(目標LS差圧)として出力する。原動機回転数検出弁13の下流にはパイロットリリーフバルブ32が接続されており、パイロット圧油供給路31bに一定の圧力(パイロット一次圧Pip)を生成している。
(a)全ての操作レバーが中立の場合
全ての操作装置の操作レバーが中立なので、全ての流量制御弁6a,6e,6h及び16a,16b,16c,16d,16f,16g,16iがバネによって中立位置に保持される。全ての流量制御弁が中立位置にあるので、コントロールバルブユニット5の負荷圧検出回路131は最高負荷圧Plmaxとしてタンク圧を検出する。このため第3圧油供給路305の圧力(メインポンプ202の吐出圧P3)はアンロード弁315によってアンロード弁315のバネの設定圧力にタンク圧を加算した最小圧に保たれる。ここで、アンロード弁315のバネの設定圧力は原動機回転数検出弁13が目標LS差圧として出力する絶対圧Pgrよりも若干高く設定されている。その結果、第3圧油供給路305の圧力(メインポンプ202の吐出圧P3)は目標LS差圧Pgrよりも若干高く保持される。
差圧減圧弁311はメインポンプ202の吐出圧P3と最高負荷圧Plmax(タンク圧)との差圧(LS差圧)を絶対圧Plsとして出力する。このとき、全ての操作レバーが中立であり、最高負荷圧Plmaxはタンク圧と等しいため、タンク圧をPtank、アンロード弁315のバネの設定圧力をPunspと表すと、
Pls=P3−Plmax=(Ptank+Punsp)−Ptank=Punsp>Pgr
となる。
LS差圧Plsはレギュレータ212のLS制御弁212bに導かれる。LS制御弁212bは、PlsとPgrを比較し、Pls<Pgrの場合には図示左方向に押されてLS制御ピストン212cの圧油をタンクに排出し、Pls>Pgrの場合には図示右方向に押されてパイロットリリーフバルブ32によって生成される一定のパイロット一次圧PipをLS制御ピストン212cに導くようになっている。前述したように、このときはPls>Pgrであるので、LS制御弁212bは図1で右方向に押されてパイロット一次圧PipをLS制御ピストン212cに導き、LS駆動圧力Pxはパイロット一次圧Pipまで上昇し、メインポンプ202の容量(流量)は最小に保たれる。
一方、前述のように、オープン回路型のコントロールバルブユニット4において全ての流量制御弁16a,16b,16c,16d,16f,16g,16iは中立であるので、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bからそれぞれ第1及び第2圧油供給路105,205に供給された圧油はセンタバイパスライン106,206及び流量制御弁16a,16b,16c,16d,16f,16g,16iのセンタバイパス油路を介してタンクに排出される。
また、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの圧力はレギュレータ112のトルク制御ピストン112e,112dに導かれる。このときメインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの圧力は上記のようにタンク圧より若干高い程度の低圧である。一方、メインポンプ102のレギュレータ112内の第1及び第2可変減圧弁112g,112qによりメインポンプ202の吸収トルクを模擬したトルクフィードバック圧力がトルク制御ピストン112fに導かれる。このとき上記のようにメインポンプ202の傾転角及び吐出圧ともに最小であるので、減トルク制御ピストン112fに導かれる圧力も最小に保たれる。その結果、メインポンプ102の容量(流量)は最大となるよう制御されるが、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの圧力はタンク圧より若干高い程度の低圧であるため、メインポンプ102の消費トルクは低く抑えられる。
(b)ブーム操作レバーを入力した場合(ブーム上げ微操作)
ブーム用の操作装置523aの操作レバー(ブーム操作レバー)をブームシリンダ3aが伸長するブーム上げ方向に微操作した場合、ブーム用のリモコン弁60aによって生成されたブーム上げの操作パイロット圧a1がブームメイン駆動用の流量制御弁6aの図1右端とアシスト駆動用の流量制御弁16aの図1左端にそれぞれ導かれ、流量制御弁6aは図示左方向に、流量制御弁16aは図示右方向にそれぞれ操作パイロット圧a1に応じて途中のストロークまで切り換わる。
ここで、図2A及び図2Bを用いて説明したように、ブーム上げ微操作でスプールストロークがS2以下の場合、メイン駆動用の流量制御弁6aのメータイン開口部とメータアウト開口部は開くが、アシスト駆動用の流量制御弁16aのメータイン開口部は開かない。流量制御弁6aが切り換わることにより、流量制御弁6aを介してブームシリンダ3aのボトム側に圧油が供給されると同時に、負荷圧検出回路131によってブームシリンダ3aのボトム側の負荷圧がPlmaxとして検出され、この負荷圧Plmaxがアンロード弁315と差圧減圧弁311に導かれる。
アンロード弁315に負荷圧Plmaxが導かれることにより、アンロード弁315のセット圧はバネの設定圧力にブームシリンダ3aの負荷圧Plmaxを加算した圧力に上昇し、アンロード弁315は第3圧油供給路305の圧油をタンクに排出する油路を遮断する。
また、差圧減圧弁311に負荷圧Plmaxが導かれることにより、差圧減圧弁311はメインポンプ202の吐出圧P3と負荷圧Plmaxの差圧をLS差圧Plsとして出力する。このとき、ブームを上げ方向に起動した瞬間には吐出圧P3はアンロード弁315のバネによって予め定められた低圧に保持されているため、LS差圧Plsはほぼタンク圧に等しくなる。このLS差圧Plsはメインポンプ202のレギュレータ212内のLS制御弁212bに導かれる。
前述したように、ブーム上げ起動時はPls=タンク圧<Pgrであるので、LS制御弁212bは図示左方向に切り換わり、LS制御ピストン212cの圧油をタンクに排出する。このためメインンプ202の吐出流量は増加していき、その流量増加はLS差圧Plsが目標LS差圧Pgrに等しくなるまで継続する。
このようにメインポンプ202は、流量制御弁6aの要求流量に応じて必要な流量を必要な分だけ吐出する、いわゆるロードセンシング制御を行う。また、メインポンプ202の吐出圧P3はレギュレータ212のトルク制御ピストン212dに導かれるため、メインポンプ202はバネ212eによって設定された最大トルクT3maxの範囲内でロードセンシング制御を行う。
一方、前述のように、ブーム上げ微操作の場合にはブームアシスト駆動用の流量制御弁16aのメータイン開口部が閉じているので、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bから吐出される圧油は、それぞれの第1及び第2圧油供給路105,205に接続されたそれぞれのセンタバイパスライン106,206及び流量制御弁16a,16b,16c,16d,16f,16g,16iを介してタンクに排出される。
このとき、第1及び第2可変減圧弁112g,112qにより生成されたメインポンプ202の吸収トルクを模擬したトルクフィードバック圧力がトルク制御ピストン112fに導かれるが、レギュレータ112のトルク制御ピストン112e,112dに導かれるメインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの圧力はタンク圧より若干高い程度の低圧であり、このため上述した(a)の全ての操作レバーが中立の場合と同様、メインポンプ102の容量(流量)は最大となるよう制御され、その消費トルクは小さく抑えられる。
(c)ブーム操作レバーを入力した場合(フル操作)
ブーム操作レバーをブームシリンダ3aが伸長するブーム上げ方向にフルに操作した場合、ブーム用のリモコン弁60aによって生成されたブーム上げの操作パイロット圧a1がブームメイン駆動用の流量制御弁6aの図1中右端とアシスト駆動用の流量制御弁16aの図1中左端にそれぞれ導かれ、流量制御弁6aは図示左方向に、流量制御弁16aは図示右方向にそれぞれフルストロークで切り換わる。
図2A及び図2Bに示すように、ブーム上げフル操作時のスプールストロークがS3の場合、メイン駆動用の流量制御弁6aのメータイン開口部とメータアウト開口部が開くとともに、アシスト駆動用の流量制御弁16aのブリードオフ開口部が閉じ、メータイン開口部が開く。流量制御弁6aが切り換わることにより、メインポンプ202から流量制御弁6aを介してブームシリンダ3aのボトム側に圧油が供給されると同時に、負荷圧検出回路131によってブームシリンダ3aのボトム側の負荷圧がPlmaxとして検出され、この負荷圧Plmaxがアンロード弁315と差圧減圧弁311に導かれる。更に、メインポンプ202の吐出圧はレギュレータ212のトルク制御ピストン212dに導かれる。
これにより上記(b)で説明したのと同様に、アンロード弁315は第3圧油供給路305の圧油をタンクに排出する油路を遮断し、かつメインポンプ202は、バネ212eによって設定された最大トルクT3maxの範囲内で流量制御弁6aの要求流量に応じて流量を吐出するロードセンシング制御を行う。
一方、前述のように、ブーム上げフル操作の場合にはブームアシスト駆動用の流量制御弁16aのブリードオフ開口部が閉じ、メータイン開口部が開くので、メインポンプ102の第2吐出ポート102bから第2圧油供給路205に供給される圧油は、チェックバルブ18hと流量制御弁16aを介してブームシリンダ3aのボトム側に流量制御弁6aからの圧油と合流して供給される。
また、メインポンプ102の第1吐出ポート102aから第1圧油供給路105に供給される圧油は、その圧油供給路105に接続される流量制御弁16f、16c、16d、16iが全て中立位置にあるので、センタバイパスライン106及び流量制御弁16f、16c、16d、16iを介してタンクに排出される。
このとき、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの圧力はレギュレータ112のトルク制御ピストン112e,112dに導かれ、ロードセンシング制御を行うメインポンプ202の吸収トルクを模擬したトルクフィードバック圧力がメインポンプ102のレギュレータ112の第1及び第2可変減圧弁112g,112qを介して減トルク制御ピストン112fに導かれる。これによりメインポンプ202の吸収トルク(消費トルク)に応じてアームシリンダ3bを駆動するメインポンプ102の吸収トルクを減少させ、メインポンプ102とメインポンプ202の合計の吸収トルクが最大トルクT12maxを超えないように全トルク制御が行われる。
(d)アーム操作レバーを入力した場合
例えばアーム用の操作装置522aの操作レバー(アーム操作レバー)をアームシリンダ3bが伸長するアームクラウド方向に操作した場合、アーム用のリモコン弁60bによって生成されたアームクラウドの操作パイロット圧b1がアーム用の流量制御弁16bの図1右端とアーム用の流量制御弁16jの図1左端にそれぞれ導かれ、流量制御弁16bは図示左方向に、流量制御弁16iは図示右方向にそれぞれ操作パイロット圧b1に応じて切り換わる。このときのメインポンプ102の動作と圧油の流れは、次に説明する水平均し動作をした場合におけるアームシリンダ3bに係わる説明と同じである。
(e)水平均し動作をした場合
水平均し動作では、通常、アーム用の操作装置522aの操作レバー(アーム操作レバー)をアームシリンダ3bが伸長するアームクラウド方向にフルに操作し、ブーム操作レバーをブームシリンダ3aが伸長するブーム上げ方向に微操作する。
ブーム上げは微操作なので、メイン駆動用の流量制御弁6aのメータイン開口部とメータアウト開口部のみが開き、ブームシリンダ3aの負荷圧は流量制御弁6aを介して負荷圧検出回路131により最高負荷圧Plmaxとして検出され、更に差圧減圧弁311を介してメインポンプ202のレギュレータ212にフィードバックされ、上記(b)で前述したようにロードセンシング制御によりレバー入力に応じた流量がブームシリンダ3aのボトム側に供給される。
一方、アーム操作レバーがフル操作となるので、アーム用のリモコン弁60bによって生成されたアームクラウドの操作パイロット圧b1がアーム用の流量制御弁16bの図1右端とアーム用の流量制御弁16iの図1左端にそれぞれ導かれ、流量制御弁16bは図示左方向に、流量制御弁16iは図示右方向にそれぞれフルストロークで切り換わる。
メインポンプ102の第2吐出ポート102bから吐出された圧油は、パラレル回路の油路17bを介してアーム用の流量制御弁16bとブームアシスト駆動用の流量制御弁16aの両方に供給されるが、上述した(b)のブーム上げ微操作の場合と同様、ブームアシスト駆動用の流量制御弁16aのメータイン開口部が閉じているため、第2吐出ポート102bから吐出された圧油の全流量がアーム用の流量制御弁16bを介してアームシリンダ3bのボトム側に供給される。
一方、メインポンプ102の第1吐出ポート102aから吐出された圧油は、アーム用の流量制御弁16iを介してアームシリンダ3bのボトム側に供給される。
ここで、水平均し動作を行う場合は、例えば図3に示す姿勢のように、アーム512の自重によりアームシリンダ3bのロッド側に保持圧が発生していることが多い。このような姿勢でアームクラウド動作を行うと、アームシリンダ3bのロッド側から戻ってくる圧油は流量制御弁16bのアーム再生回路19Aの戻り通路10aと絞り10bを介してタンクに排出される際に、圧油が絞り10bにより絞られることで絞り10bの上流側の圧油の一部は、チェックバルブ10dを介して流量制御弁16bのメータイン回路に再生される。
以上のようにメインポンプ202から吐出される圧油はブームシリンダ3aのボトム側へ供給され、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bから吐出される圧油は合流して、アームシリンダ3bのロッド側からの再生油とともにアームシリンダ3bのボトム側へ供給される。
ここで、オープンセンタ回路を形成するオープンセンタ型の流量制御弁を用いる従来の油圧駆動装置として、日本特許3865590号に記載のものが知られている。この油圧駆動装置は、単一の吐出ポートを有する2つの可変容量型の油圧ポンプの組み合わせによって2つの吐出ポートを有する可変容量型のポンプ装置を構成し、かつその2つの油圧ポンプの可変容量部材(斜板)を駆動する単一のレギュレータを設け、2つの吐出ポートの一方をオープンセンタ型の流量制御弁を介してブームシリンダに接続し、他方の吐出ポートをオープンセンタ型の流量制御弁を介してアームシリンダに接続した構成となっている。このような油圧駆動装置において水平均し動作を行った場合、2つの吐出ポートからの吐出流量は等しいため、ブーム上げハーフ操作によりブーム用のオープンセンタ型の流量制御弁のセンタバイパス油路が絞られ、ブリードオフ損失が発生する。
また、オープンセンタ回路を形成するオープンセンタ型の流量制御弁を用いる従来の油圧駆動装置として、ブーム用の流量制御弁とアーム用の流量制御弁とをパラレルに接続する油路のアーム用の流量制御弁側に分流のための絞り(パラレル絞り)を設けた油圧回路が一般に知られている。この油圧回路によれば、パラレル絞りによってブーム用の流量制御弁側への分流が確保されるため、水平均し動作を円滑に行うことができる。しかし、この場合は、パラレル絞りによって圧油が絞られ、圧力損失が発生する。
これに対し本実施の形態では、ブームシリンダ3aはロードセンシング制御を行うメインポンプ202からの吐出油により駆動され、アームシリンダ3bは別のメインポンプ102の吐出油によって駆動されるため、日本特許3865590号の油圧駆動装置のようなブリードオフ損失や分流のために設けたパラレル絞りの圧力損失を発生させずに、効率良く水平均し動作を行うことができる。
また、ブームシリンダ3aとアームシリンダ3bが別々のポンプの吐出油で駆動されるとき、メインポンプ202の吐出圧はレギュレータ212のトルク制御ピストン212dに導かれ、メインポンプ202はバネ212eによって設定された最大トルクT3maxの範囲内でロードセンシング制御を行う。一方、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの圧力はレギュレータ112のトルク制御ピストン112e,112dに導かれ、ロードセンシング制御を行うメインポンプ202の吸収トルクを模擬したトルクフィードバック圧力がメインポンプ102のレギュレータ112内の第1及び第2可変減圧弁112g,112qを介して減トルク制御ピストン112fに導かれる。これによりメインポンプ202の吸収トルク(消費トルク)に応じてアームシリンダ3bを駆動するメインポンプ102の吸収トルクを減少させ、メインポンプ102とメインポンプ202の合計の吸収トルクが最大トルクT12maxを超えないように全トルク制御が行われる。
以上のように水平均し動作において、ブームシリンダ3aをブーム上げ方向に駆動するメインポンプ202がトルク制御の制限の範囲内でロードセンシング制御を行うことにより、従来のオープン型の回路で発生していたブリードオフ損失やパラレル絞りの圧力損失をなくしながら、主体的に必要なトルクを消費することができる。
また、メインポンプ202の吸収トルクに応じてアームシリンダ3bを駆動するメインポンプ102の吸収トルクを減じることにより、メインポンプ102,202の全体で消費されるトルクをバネ112uによって設定された最大トルクT12maxを超えない範囲に制限しながら、ブームシリンダ3aとアームシリンダ3bを別々のポンプで駆動し、良好な水平均しの操作性を実現することができる。
更に、一つのポンプでブームシリンダとアームシリンダをロードセンシング制御により駆動する従来の油圧駆動装置における低負荷側の圧力補償弁での圧力損失(エネルギー損失)の発生をなくすことができる。
(f)バケットクラウド動作をした場合(フル操作)
バケット用の操作装置523bの操作レバー(バケット操作レバー)を単独でバケットシリンダ3dが伸長するバケットクラウド方向にフルに操作した場合、バケット用のリモコン弁60dによって出力されたバケットクラウドの操作パイロット圧d1がバケット用の流量制御弁16dの図1右端に導かれ、流量制御弁16dは図示左方向にフルストロークで切り換わる。
メインポンプ102の第1吐出ポート102aから吐出された圧油は、第1圧油供給路105、バケット用の流量制御弁16dを介してバケットシリンダ3dのボトム側に供給される。
また、メインポンプ102の第2吐出ポート102bから吐出された圧油は、第2圧油供給路205に接続された流量制御弁16b,16a,16gが全て中立位置にあるので、それらのセンタバイパス油路を介してタンクに排出される。
一方、バケット単独操作の場合には、リモコン弁60a,60e,60hは操作されず、流量制御弁6a,6e,6hはバネによって中立位置に保持されるので、負荷圧検出回路131は最高負荷圧Plmaxとしてタンク圧を検出し、上述した(a)の全ての操作レバー中立の場合と同様、アンロード弁315の働きで第3圧油供給路305の圧力(メインポンプ202の吐出圧P3)は原動機回転数検出弁13が生成する目標LS差圧Pgrよりも若干高く保持され、Pls=P3−Plmax=P3>Pgrとなる。LS制御弁212bは図1で右方向に押されてパイロット一次圧PipをLS制御ピストン212cに導き、LS駆動圧力Pxはパイロット一次圧Pipまで上昇し、メインポンプ202の容量(流量)は最小に保たれる。
以上のようにバケット単独動作では、メインポンプ202の容量は最小に保たれ、その吸収トルク(消費トルク)が低く抑えられる。
また、メインポンプ102のレギュレータ112内の第1及び第2可変減圧弁112g,112qの働きによってメインポンプ202の吸収トルクを模擬したトルクフィードバック圧力が減トルク制御ピストン112fに導かれる。このとき、上記のようにメインポンプ202の吐出圧は目標LS差圧Pgrよりも若干高い程度の低圧である。一方、メインポンプ102の第2吐出ポート102bから吐出された圧油は上記のように中立位置にある流量制御弁16b,16a,16gのセンタバイパス油路を介してタンクに排出されるため、トルク制御ピストン112e導かれる圧力も低い。このためメインポンプ102はバネ112uによって設定された最大トルクT12maxを大きく損なうことなくトルクを消費し、バケットシリンダ3dを高推力で駆動することができる。
更に、メインポンプ102の第2吐出ポート102bから第2圧油供給路205に供給される圧油は、第2圧油供給路205に接続される流量制御弁16b,16a,16gのセンタバイパス油路を介してタンクに排出されるので、特許文献1のように非操作側の圧油供給路に接続されたアンロード弁によって無駄な動力が消費されることがない。
(g)走行ピボットターン動作をした場合
走行ピボットターン動作は、左右走行用の操作措置524a,524bの操作レバーの一方をフルに操作し、他方を非操作とすることで行う。走行ピボットターン動作として、例えば左走行用の操作措置524aの操作レバーを前進方向にフル操作し、走行モータ3fを前進方向にフルに駆動する場合を考える。
この場合、左走行用のリモコン弁60fによって生成された左走行用の操作パイロット圧f1が左走行用の流量制御弁16fの図1左端に導かれ、流量制御弁16fが図示右方向にフルストロークで切り換わる。
メインポンプ102の第1吐出ポート102aから吐出された圧油は、第1圧油供給路105,左走行用の流量制御弁16fを介して左走行モータ3fに供給される。
また、メインポンプ102の第2吐出ポート102bから吐出された圧油は、第2圧油供給路205に接続された流量制御弁16b,16a,16gが全て中立位置にあるので、それらのセンタバイパス油路を介してタンクに排出される。
一方、走行ピボットターン動作の場合には、リモコン弁60a,60e,60hは操作されず、流量制御弁6a,6e,6hはバネによって中立位置に保持されるので、負荷圧検出回路131は最高負荷圧Plmaxとしてタンク圧を検出し、上述した(a)の全ての操作レバー中立の場合或いは上述した(b)のバケットクラウド動作をした場合と同様、アンロード弁315の働きで第3圧油供給路305の圧力(メインポンプ202の吐出圧P3)は原動機回転数検出弁13が生成する目標LS差圧Pgrよりも若干高く保持され、Pls=P3−Plmax=P3>Pgrとなる。LS制御弁212bは図1で右方向に押されてパイロット一次圧PipをLS制御ピストン212cに導き、LS駆動圧力Pxはパイロット一次圧Pipまで上昇し、メインポンプ202の容量(流量)は最小に保たれる。
以上のように走行ピボットターン動作においても、メインポンプ202の容量は最小に保たれ、その吸収トルクが低く抑えられる。
また、メインポンプ102のレギュレータ112内の第1及び第2可変減圧弁112g,112qの働きによってメインポンプ202の吸収トルクを模擬したトルクフィードバック圧力が減トルク制御ピストン112fに導かれる。このとき、上記のようにメインポンプ202の吐出圧は目標LS差圧Pgrよりも若干高い程度の低圧である。一方、メインポンプ102の第2吐出ポート102bから吐出された圧油は上記のように中立位置にある流量制御弁16b,16a,16gのセンタバイパス油路を介してタンクに排出されるため、トルク制御ピストン112eに導かれる圧力も低い。このためメインポンプ102はバネ112uによって設定された最大トルクT12maxを大きく損なうことなくトルクを消費し、左走行モータ3fを高トルクで駆動することができる。
更に、メインポンプ102の第2吐出ポート102bから第2圧油供給路205に供給される圧油は、第2圧油供給路205に接続される流量制御弁16b,16a,16gのセンタバイパス油路を介してタンクに排出されるので、この場合も特許文献1のように、非操作側の圧油供給路に接続されたアンロード弁によって無駄な動力が消費されることがない。
〜効果〜
本実施の形態によれば、第1及び第2吐出ポート102a,102bを有するメインポンプ102がスプリットフロー型の可変容量ポンプであり、第3吐出ポートを有するメインポンプ202がシングルフロー型の可変容量ポンプである油圧駆動装置において、水平均し動作を行った場合に、ブームシリンダ3aはロードセンシング制御を行うメインポンプ202によって駆動され、アームシリンダ3bは別のメインポンプ102によって駆動されるため、負荷圧の低いアームシリンダ3b側での圧力補償弁の絞りの圧力損失や小流量のブームシリンダ側でのオープンセンタ型の流量制御弁のブリードオフ損失及び分流のために設けたパラレル絞りの圧力損失などによる無駄な動力損失を発生させずに水平均し動作を行うことができる。
以上により高効率で良好な水平均し動作の操作性を実現することができる。
また、2つの吐出ポート102a,102bを有するメインポンプ102のコントロールバルブユニット4に複数のオープンセンタ型の流量制御弁を配置し、コントロールバルブユニット4をオープンセンタ回路として構成したため、特許文献1記載のように、スプリットフロー型の油圧ポンプをロードセンシング制御する場合に比べ、バケット単独操作や走行ピボットターン動作などにおいて、非操作側に設けられたアンロード弁からタンクに排出されるときの圧力上昇による無駄な動力損失を発生させることがない。
更に、バケットクラウド動作や走行ピボットターン動作のようにコントロールバルブユニット4に係わるアクチュエータを単独駆動した場合は、メインポンプ102の2つの吐出ポートの一方の吐出圧やメインポンプ202の吐出圧は低く抑えられるので、メインポンプ102はバネ112uによって設定された最大トルクT12maxを大きく損なうことなくトルクを消費し、バケットシリンダ3d、走行モータ3f等のアクチュエータを高推力或いは高トルクで駆動することができる。
更に、ロードセンシング制御を行うメインポンプ202の吸収トルク(消費トルク)を2つの吐出ポート102a,102bを有するメインポンプ102にフィードバックするので、ポンプ全体の吸収トルクが予め決められた最大トルクT12maxを超えない範囲で、原動機1のトルクを有効に活用することができる。
また、ブームシリンダ3aに対して、ブームメイン駆動用の流量制御弁6a(クローズドセンタ型)とブームアシスト駆動用の流量制御弁16a(オープンセンタ型)を設け、スプールストロークが中間ストロークS2に達する前はメインポンプ202の第3吐出ポート202aの吐出油によってブームシリンダ3aを駆動し、スプールストロークが中間ストロークS2以上になるとメインポンプ102の第2吐出ポート102bとメインポンプ202の第3吐出ポート202aの両方の吐出油を合流してブームシリンダ3aを駆動するようにしたため、中間ストロークS2以上になったときにも単一の油圧ポンプで駆動する場合に比べて、メインポンプ202の容量を小さめに抑え、コンパクトな回路構成を実現することができる。
更に、アームシリンダ3bに対して2つの流量制御弁16b,16iを設け、スプリットフロー型であるメインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bからの吐出油を合流してアームシリンダ3bを駆動するようにしたので、独立した2つの油圧ポンプを用いてアームシリンダ3bを駆動する場合に比べてポンプの数を減らし、コンパクトな回路構成を実現することができる。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態を第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。
〜構成〜
図4は、本発明の第2の実施の形態に係わる油圧ショベル(建設機械)の油圧駆動装置を示す図である。
図4において、本実施の形態の油圧駆動装置は、第1の実施の形態におけるメインポンプ102,202に加え、第4圧油供給路405に圧油を吐出する第4吐出ポート302aを有するシングルフロータイプの可変容量型メインポンプ302(第3ポンプ装置)を備え、かつメインポンプ302の第4吐出ポート302aの吐出流量を制御するためのレギュレータ312(第3ポンプ制御装置)を備えている。また、本実施の形態の油圧駆動装置は、第1の実施の形態におけるメインポンプ102のレギュレータ112に代えてレギュレータ112Aを備え、かつ第1コントロールバルブユニット4に代えて第1コントロールバルブユニット4Aを備えている。
メインポンプ302のレギュレータ312は、メインポンプ302の吐出圧P4が導かれ、その圧力の上昇時にメインポンプ302の斜板の傾転角を減少させ、吸収トルクが減少するようメインポンプ302の傾転角を制御するトルク制御(馬力制御)ピストン312dと、メインポンプ302に割り当てられた最大トルクT4maxを設定するバネ312eとを備えている。一方、メインポンプ102のレギュレータ112Aは、図1の構成に加え、減圧弁112xと減トルク制御ピストン112yを有し、メインポンプ302の吐出圧が減圧弁112xを介して減トルク制御ピストン112yに導かれるように接続する。減圧弁112xのバネ112zの設定圧は、日本特許3865590号に示されているのと同様に、トルク制御ピストン312dによってトルク制御を行うメインポンプ302のPQ特性の折れ点の圧力(トルク制御開始圧力)に一致するように設定してある。
第1コントロールバルブユニット4Aは、図1の第1圧油供給路105に接続されたオープンセンタ型の流量制御弁16cに代え、第4圧油供給路405に接続され、メインポンプ302の第4吐出ポート302aから旋回モータ3cに供給される圧油の流れ(流量と方向)を制御するオープンセンタ型の流量制御弁16cを備え、更に流量制御弁16cのセンタバイパス油路を通過するセンタバイパスライン306の流量制御弁16cの下流側に配置されたアーム合流弁21と、第3圧油供給路305に接続され、第3圧油供給路305の圧力を設定圧力以上にならないように制御するメインリリーフ弁414を備えている。
アーム操作レバーをアームシリンダ3bが伸長するアームクラウド方向に操作した場合、アームクラウドの操作パイロット圧b1がアーム合流弁21の図4左端に作用し、アーム合流弁21は図示の中立位置から合流位置に切り換わる。アーム合流弁21が図示の中立位置にあるとき、メインポンプ302から吐出された圧油は旋回用の流量制御弁16cとアーム合流弁21を経由してタンクに排出される。アーム合流弁21が図示の中立位置から合流位置に切り換わると、メインポンプ302から吐出された圧油は旋回用の流量制御弁16cとアーム合流弁21を経由し、アーム合流弁21下流側の合流油路を介してアームシリンダ3bのボトム側に供給される。流量制御弁16cのメータイン回路及びアーム合流弁21下流側の合流油路には逆流防止用のチェックバルブ18n,18pが設けられている。
旋回用の流量制御弁16cと旋回モータ3cとの間のアクチュエータ回路には図1では図示を省略した旋回用のオーバロードリリーフ弁73a,73bが設けられている。その他の構成は第1の実施の形態と同じである。
〜動作〜
次に、本実施の形態の動作を説明する。
本実施の形態の動作は、旋回モータ3cの駆動をメインポンプ302から吐出された圧油によって行うこと、アームシリンダ3bを伸長方向に駆動するアームクラウド操作時にメインポンプ302からの吐出油を、アーム合流弁21を介してアームシリンダ3bのボトム側に合流させること以外は、第1の実施の形態と同じである。
(a)全ての操作レバーが中立の場合
メインポンプ102,202の動作と圧油の流れは第1の実施の形態の場合と同じである。
また、全ての操作レバーが中立であるので、アーム合流弁21も図示の中立位置にあり、メインポンプ302から吐出された圧油は第4圧油供給路405を介して流量制御弁16cとアーム合流弁21を経由してタンクに排出される。
(b)及び(c)ブーム上げ操作(微操作/フル)の場合
メインポンプ102,202及びメイン駆動用の流量制御弁6a、アシスト駆動用の流量制御弁16aの動作と圧油の流れは第1の実施の形態と同様である。
また、ブーム以外のアクチュエータの操作レバーは全て中立であるので、アーム合流弁21も図示の中立位置にあり、メインポンプ302から吐出された圧油は第4圧油供給路405を介して流量制御弁16cとアーム合流弁21を経由してタンクに排出される。
(d)アーム操作レバーを入力した場合
メインポンプ102,302の動作と圧油の流れは、次に説明する水平均し動作をした場合におけるメインポンプ102,302の動作と圧油の流れと同じである。
(e)水平均し動作をした場合
ブーム上げ(微操作)に係わるメインポンプ202及びメイン駆動用の流量制御弁6aの動作は第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態の(b)で説明したように、ロードセンシング制御によりレバー入力に応じた流量がブームシリンダ3aのボトム側に供給される。
一方、アーム操作レバーがフル操作となるので、アーム用のリモコン弁60bによって生成されたアームクラウドの操作パイロット圧b1がアーム用の流量制御弁16bの図1右端とアーム用の流量制御弁16iの図1左端にそれぞれ導かれ、流量制御弁16b,16iは共にフルストロークで切り換わる。
メインポンプ102の第2吐出ポート102bから吐出された圧油は、アーム用の流量制御弁16bを介してアームシリンダ3bのボトム側に供給される。メインポンプ102の吐出ポート102aから吐出された圧油は、アーム用の流量制御弁16iを介してアームシリンダ3bのボトム側に供給される。第2の実施の形態では、アーム用の流量制御弁16bにアーム再生回路が設けられていないため、アームシリンダ3bのロッド側から戻ってきた圧油は、流量制御弁16bのメータアウト回路を介してタンクに排出される。
また、アームクラウドの操作パイロット圧b1がアーム合流弁21の図4左端に導かれているので、アーム合流弁21は図示右方向にストロークする。このためメインポンプ302から吐出された圧油は、第4圧油供給路406、流量制御弁16cのセンタバイパス油路を介しアーム合流弁21及びチェックバルブ18pを経由してアームシリンダ3bのボトム側の配管に供給される。
以上のようにメインポンプ202から吐出される圧油はブームシリンダ3aへ供給され、メインポンプ102から吐出される圧油はメインポンプ302から吐出される圧油と合流してアームシリンダ3bへ供給される。
また、このとき、メインポンプ302のレギュレータ312はトルク制御ピストン312dを備えているので、メインポンプ302はバネ312eによって設定された最大トルクT4maxの範囲内でトルク制御され、かつメインポンプ202のレギュレータ212はトルク制御ピストン212dを備えているので、メインポンプ202はバネ212eによって設定された最大トルクT3maxの範囲内でロードセンシング制御を行う。また、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの圧力はレギュレータ112のトルク制御ピストン112e,112dに導かれ、ロードセンシング制御を行うメインポンプ202の吸収トルクを模擬したトルクフィードバック圧力がメインポンプ102のレギュレータ112の第1及び第2可変減圧弁112g,112qを介して減トルク制御ピストン112fに導かれ、メインポンプ302の吐出圧がレギュレータ112のトルク制御ピストン112yに導かれる。これによりメインポンプ202とメインポンプ302の吸収トルク(消費トルク)に応じてアームシリンダ3bを駆動するメインポンプ102の吸収トルクを減少させ、メインポンプ102とメインポンプ202とメインポンプ302の合計の吸収トルクが最大トルクT12maxを超えないように全トルク制御が行われる。
以上のように水平均し動作において、ブームシリンダ3aをブーム上げ方向に駆動するメインポンプ202がトルク制御の制限の範囲内でロードセンシング制御を行うことにより、従来のオープン型の回路で発生していたブリードオフ損失をなくしながら、主体的に必要なトルクを消費することができる。
また、メインポンプ202,302の吸収トルクに応じてアームシリンダ3bを駆動するメインポンプ102の吸収トルクを減じることにより、メインポンプ102,202,302の全体で消費されるトルクをバネ112uによって設定された最大トルクT12maxを超えない範囲に制限しながら、ブームシリンダ3aとアームシリンダ3bを別々のポンプで駆動し、良好な水平均しの操作性を実現することができる。
更に、一つのポンプでブームシリンダとアームシリンダをロードセンシング制御により駆動する従来の油圧駆動装置における低負荷側の圧力補償弁での圧力損失(エネルギー損失)の発生をなくすことができる。
(f)及び(g)バケットクラウド動作或いは走行ピボットターン動作をした場合
メインポンプ102,202の動作と圧油の流れは第1の実施の形態と同様である。
また、バケット又は走行のアクチュエータの操作レバーは全て中立であるので、アーム合流弁21も図示の中立位置にあり、メインポンプ302から吐出された圧油は第4圧油供給路405を介して流量制御弁16cとアーム合流弁21を経由してタンクに排出される。
(h)旋回単独動作をした場合
旋回用の操作装置522bの操作レバー(旋回操作レバー)を単独で旋回モータ3cが例えば左回りに回転する方向にフルに操作した場合、旋回用のリモコン弁60cによって出力された旋回左回りの操作パイロット圧c1が旋回用の流量制御弁16cの図1左端に導かれ、流量制御弁16cは図示右方向にフルストロークで切り換わる。
メインポンプ302の第4吐出ポート302aから吐出された圧油は、第4圧油供給路405、旋回用の流量制御弁16cを介して旋回モータ3cに供給される。
また、メインポンプ102,202の第1、第2、第3吐出ポート102a,102b,202aから吐出された圧油は、第1、第2、第3圧油供給路105,205,305に接続された流量制御弁が全て中立位置にあるので、それらのセンタバイパス油路を介してタンクに排出される。
また、このとき、メインポンプ302のレギュレータ312はトルク制御ピストン312dを備えているので、メインポンプ302の第4吐出ポート302aから吐出された圧油の圧力はトルク制御ピストン312dに導かれ、メインポンプ302はバネ312eによって設定された最大トルクT4maxの範囲内でトルク制御される。
ここで、旋回モータ3cの被駆動体である上部旋回体502(図3参照)は慣性体であるため、旋回起動時は、旋回用の流量制御弁16cから旋回モータ3cに供給された圧油の駆動圧はオーバロードリリーフ弁73bのリリーフ圧まで瞬時に上昇し、この圧力がメインポンプ302の吐出圧としてトルク制御ピストン312dにフィードバックされ、トルク制御によりメインポンプ302の吐出流量は大幅に減少する。
図5は、トルク制御が行われるときのメインポンプ302の吐出圧と容量との関係を示す図である。図5の横軸はメインポンプ302の吐出圧P4、縦軸はメインポンプ302の斜板の傾転角(容量)q3である。メインポンプ302の吐出流量は容量q3に比例する。P4maxはメインリリーフ弁414のリリーフ圧、q3maxはメインポンプ302の最大容量である。
図5において、メインポンプ302の吐出圧P4がP4x(トルク制御開始圧力)を超えるとトルク制御ピストン312dによるトルク制御が始まり、メインポンプ302の容量q3は最大トルクT4maxのトルク制限曲線T3に沿って減少する。
旋回起動時に旋回モータ3cの駆動圧がオーバロードリリーフ弁73bのリリーフ圧に達すると、メインポンプ302の吐出圧はP4aへと上昇し、メインポンプ302の容量はトルク制御ピストン312dのトルク制御によりq3aに減少し、これに応じてメインポンプ302の吐出流量も減少する。このため旋回用の流量制御弁16cのセンタバイパス油路からタンクに流出する流量が減少し、少ないブリードオフ損失で旋回モータ3cを起動することができる。
これに対し、図1に示した第1の実施の形態の場合、旋回モータ3cはメインポンプ102の第1吐出ポート102aから吐出された圧油により駆動され、第2吐出ポート102bから吐出された圧油は中立位置にある流量制御弁16b,16a,16gのセンタバイパス油路を経由してタンクに戻される。メインポンプ102のレギュレータ112はトルク制御ピストン112e,112dを備え、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bから吐出された圧油の圧力がそれぞれレギュレータ112のトルク制御ピストン112e,112dに導かれ、メインポンプ102はバネ112uによって設定された最大トルクT12maxの範囲内でトルク制御を行う。
ここで、トルク制御ピストン112e,112dによりトルク制御されるときのメインポンプ102の吐出圧は第1及び第2吐出ポート102a,102bの圧力P1,P2の平均圧P1+P2/2となる。このため、旋回起動時、トルク制御ピストン112e,112dによりトルク制御されるときのメインポンプ102の吐出圧は旋回モータ駆動圧の約半分となる。その結果、本実施の形態におけるメインポンプ302の場合に比べてトルク制御によるメインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの吐出流量の減少量が減り、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの吐出流量は多くなる。
図6は、そのときのメインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの平均吐出圧とメインポンプ102の容量との関係を示す図である。図6の横軸はメインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの平均吐出圧(P1+P2)/2、縦軸はメインポンプ102の斜板の傾転角(容量)q12maxである。メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの吐出流量は容量に比例する。P12maxはメインリリーフ弁114,214のリリーフ圧、q12maxはメインポンプ102の最大容量である。
図6において、メインポンプ102の平均吐出圧がP12x(トルク制御開始圧力)を超えるとトルク制御ピストン112e,112dによるトルク制御が始まり、メインポンプ102の容量は最大トルクT12maxのトルク制限曲線T1に沿って減少する。
旋回起動時に旋回モータ3cの駆動圧がオーバロードリリーフ弁73のリリーフ圧に達すると、メインポンプ102の第1吐出ポート102aの吐出圧はP12aへと上昇する。しかし、このときの第2吐出ポート102bの吐出圧はタンク圧であるため、メインポンプ102の平均吐出圧P12bは第1吐出ポート102aの吐出圧P12a(旋回モータ駆動圧)の約半分であり、メインポンプ102の容量はトルク制御ピストン112e,112dのトルク制御によりq12bに減少し、これに応じてメインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの吐出流量も減少する。しかし、このときのメインポンプ102の平均吐出圧P12bは第1吐出ポート102aの吐出圧P12aの約半分であるため、本実施の形態におけるメインポンプ302の場合に比べてトルク制御によるメインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの吐出流量の減少量が減り、メインポンプ102の第1及び第2吐出ポート102a,102bの吐出流量は多くなる。
このため旋回用の流量制御弁16cのセンタバイパス油路からタンクに流出する流量が増加し、旋回用の流量制御弁16cによるブリードオフ損失が多くなる。
このように本実施の形態によれば、旋回モータ3cを独立したポンプで駆動するため、第1の実施の形態よりも高効率な旋回動作を実現することができる。
(i)旋回複合動作をした場合
旋回複合動作として旋回動作と水平均し動作を同時に行った場合は、上述した(h)の旋回単独動作と(e)の水平均し動作との組み合わせとなる。
このような旋回複合動作において、旋回モータ3cは独立したメインポンプ302の吐出油によって駆動されるため、上述した(h)の旋回単独動作と同様、高効率な旋回動作を実現することができる。また、旋回モータ3cは他のアクチュエータ(ブームシリンダ及びアームシリンダ)の負荷圧や要求流量の影響を受けることなく駆動されるため、第1の実施の形態と比較してより良好な旋回の操作性が得られる。
〜効果〜
本実施の形態によっても第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
また,本実施の形態によれば、旋回モータ3cを独立したポンプで駆動するため、旋回単独操作及び旋回複合動作において高効率な旋回動作を実現することができるとともに、旋回複合動作において、旋回モータ3cは他のアクチュエータの負荷圧や要求流量の影響を受けることなく駆動されるため、第1の実施の形態と比較してより良好な旋回の操作性が得られる。
<その他>
以上の実施の形態は本発明の精神の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、第1ポンプ装置が第1及び第2吐出ポート102a,102bを有するスプリットフロータイプの油圧ポンプ102である場合について説明したが、第1ポンプ装置は、単一の吐出ポートを有する2つの可変容量型の油圧ポンプと、この2つ油圧ポンプの斜板を同時に駆動する単一のレギュレータとの組み合わせであってもよい。
また、ブームシリンダ3aに対して、ブームメイン駆動用の流量制御弁6a(クローズドセンタ型)とブームアシスト駆動用の流量制御弁16a(オープンセンタ型)の2つの流量制御弁を設け、要求流量が多い場合はメインポンプ102の第2吐出ポート102bとメインポンプ202の両方の吐出油を合流してブームシリンダ3aを駆動するようにしたが、メインポンプ202として容量の大きなポンプを使用できる場合は、ブーム用の流量制御弁として流量制御弁6a(クローズドセンタ型)だけを設け、要求流量が多い場合もメインポンプ202からの吐出油のみによってブームシリンダ3aを駆動するようにしてもよい。
また、建設機械が油圧ショベルであり、第1アクチュエータがアームシリンダであり、第2アクチュエータがブームシリンダである場合について説明したが、ある複合操作で同時に駆動される2つのアクチュエータであれば、アームシリンダとブームシリンダ以外であってもよい。
更に、そのような第1及び第2アクチュエータを備えた建設機械であれば、油圧走行クレーン等、油圧ショベル以外の建設機械に本発明を適用してもよい。
更に、上記実施の形態のロードセンシングシステムは一例であり、ロードセンシングシステムは種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、ポンプ吐出圧と最高負荷圧を絶対圧として出力する差圧減圧弁を設け、その出力圧を圧力補償弁に導いて目標補償差圧を設定しかつLS制御弁に導き、ロードセンシング制御の目標差圧を設定したが、ポンプ吐出圧と最高負荷圧を別々の油路で圧力制御弁やLS制御弁に導くようにしてもよい。
更に、上記実施の形態では、メインポンプ102,302のレギュレータ112,312はトルク制御のみを行う構成としたが、関連するアクチュエータの操作装置の操作量を検出し、この操作量に応じてメインポンプ102,302の流量が増加するよう容量を制御するポジコン制御を行う構成としてもよい。