<第1の実施形態>
[自動分析装置]
第1の実施形態に係る自動分析装置100を、図面を参照しながら説明する。
[自動分析装置の全体構成]
図1は、この実施形態に係る自動分析装置100の構成を示すブロック図である。この自動分析装置100は、測光部13において混合液の吸光度等の測定をして標準データや被検データを生成する分析部24と、分析部24の測定に係る各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御部25とを備えている。ここで、混合液とは例えば、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料等の試料と各検査項目の分析に用いる試薬とを混合させたものである。分析部24は、混合液の調製にための分注を行う際に用いる第1試薬分注プローブ14a等のプローブを複数備えている。また、これらプローブのうちの少なくとも1つは、洗浄時においてこのプローブに連結される管路内の圧力を測定する圧力センサ51を備えている。分析制御部25は、分析部24の各ユニットを駆動する機構部26、及び機構部26を制御する制御部27を備えている。
また、自動分析装置100は、分析部24で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データを生成するデータ処理部30を備えている。データ処理部30は、分析部24の測光部13から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部31と、演算部31で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部32とを備えている。また、分析部24に備えられた圧力センサ51から出力された洗浄水Wの圧力変動の情報からプローブ内及び/又は管路内の汚れを検知する汚れ検知手段である汚れ検知部33を備えている。
また、自動分析装置100は、データ処理部30で生成された検量データ、分析データ、汚れ検知のデータの印刷出力、表示出力、オンライン出力をそれぞれ行う、印刷部41、表示部42、及びオンライン部43を備えた出力部40を有する。また、自動分析装置100は、各種コマンド信号の入力等を行う操作部50を有する。また、自動分析装置100は、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部60を備えている。
分析部24は、前述したように、吸光度等の測定をして標準データや被検データを生成する測光部13と、混合液の調製のための分注を行う際に用いるプローブを含む分注装置と、プローブ内及び/又はこのプローブに連結される管路内の圧力を測定する圧力センサ51とを少なくとも備えている。以下に、この分析部24の一例について図面を用いて詳しく説明する。
[分析部]
図2は、分析部24の構成の一例を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料や被検試料等の各試料を収容する試料容器17と、試料容器17を保持するサンプルディスク5とを備えている。また、試料に含まれる検査項目の成分と反応する成分を含有する1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、試薬容器6を格納する試薬庫1と、試薬庫1に格納された試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aとを備えている。また、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、試薬容器7を格納する試薬庫2と、試薬庫2に格納された試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aとを備えている。また、円周上に配置された複数の反応容器3と、反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
〔サンプル分注装置〕
また、分析部24は、試料を反応容器3内へ分注を行うサンプル分注装置16を備えている。サンプル分注装置16は、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うプローブであるサンプル分注プローブ16aと、サンプル分注プローブ16aに試料等の吸引及び吐出を行わせるサンプル分注ポンプ16bとを備えている。
また、サンプル分注装置16は、サンプル分注プローブ16aを移動可能に保持するサンプル分注アーム10と、サンプル分注プローブ16aを洗浄するサンプル分注プローブ洗浄部16cとを備えている。サンプル分注プローブ洗浄部16cは、サンプル分注プローブ洗浄槽70を備えている。
ここで、分析部24のうち、第1試薬を取扱うセクションを第1セクション、第2試薬を取扱うセクションを第2セクションとして以下において説明する。
〔第1セクション〕
第1セクションは、試料が分注された反応容器3に第1試薬を分注する第1試薬分注装置14を備える。
〔第1試薬分注装置〕
第1試薬分注装置14は、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して試料が分注された反応容器3内に吐出する分注を行うプローブである第1試薬分注プローブ14aと、第1試薬分注プローブ14aに第1試薬の吸引及び吐出を行わせる第1試薬分注ポンプ14bとを備えている。
また、第1試薬分注装置14は、第1試薬分注プローブ14aを移動可能に保持する第1試薬分注アーム8と、第1試薬分注プローブ14aを洗浄する第1洗浄部14cとを備えている。第1洗浄部14cは、第1洗浄槽80を備えている。
また、反応容器3に分注された試料と第1試薬との混合液を撹拌する第1撹拌子18と、第1撹拌子18を移動可能に保持する第1撹拌アーム20と、第1撹拌子18を洗浄する第1撹拌子洗浄部18aとを備えている。
〔第2セクション〕
また、第2セクションは、試料が分注された反応容器3に第2試薬を分注する第2試薬分注装置15を備える。
(第2試薬分注装置)
第2試薬分注装置15は、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が分注された反応容器3内に吐出する分注を行うプローブである第2試薬分注プローブ15aと、第2試薬分注プローブ15aに第1試薬の吸引及び吐出を行わせる第2試薬分注ポンプ15bとを備えている。
また、第2試薬分注装置15は、第2試薬分注プローブ15aを移動可能に保持する第2試薬分注アーム9と、第2試薬分注プローブ15aを洗浄する第2洗浄部15cを備えている。第2洗浄部15cは、第2洗浄槽90を備えている。
また、反応容器3に分注された試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子19と、第2撹拌子19を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21と、第2撹拌子19を洗浄する第2撹拌子洗浄部19aとを備えている。
また、分析部24は、反応容器3内の混合液に光を照射して光学的に測定する測光部13と、測光部13で測定を終了した反応容器3内を洗浄する反応容器洗浄ユニット12とを備えている。
〔測光部〕
測光部13は、回転移動して光路を横切る反応容器3に光を照射する。測光部13は、この照射により反応容器3内の試料及び第1試薬の混合液、または、試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を透過した光を検査項目の波長毎に検出する。そして、検出した検出信号を処理してデジタル信号で表される標準データや被検データを生成し、生成した標準データや被検データをデータ処理部30に出力する。
次に、自動分析装置100を構成する分析制御部25、データ処理部30について、自動分析装置100の動作に言及して説明する。
〔分析制御部〕
分析制御部25は、分析部24の各分析ユニットを駆動する機構を有する機構部26と、機構部26の各機構を制御する制御部27とを備えている。そして、機構部26は、サンプルディスク5、試薬ラック1a、及び試薬ラック2aを夫々回動する機構、並びに反応ディスク4を回転する機構を備えている。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム20、及び第2撹拌アーム21を夫々回動及び上下移動する機構を備えている。また、サンプル分注ポンプ16b、第1試薬分注ポンプ14b、及び第2試薬分注ポンプ15bを夫々吸引及び吐出駆動する機構、並びに反応容器洗浄ユニット12を上下移動する機構を備えている。
(制御部)
制御部27は、機構部26のサンプルディスク5、試薬ラック1a、試薬ラック2a、反応ディスク4、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、サンプル分注ポンプ16b、第1試薬分注ポンプ14b、第2試薬分注ポンプ15b、反応容器洗浄ユニット12等の各分析ユニットを駆動する機構を制御する制御回路を備えている。そして、制御部27は、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、及び第2試薬分注アーム9の機構をそれぞれ制御して、サンプル分注プローブ16a、第1試薬分注プローブ14a、及び第2試薬分注プローブ15aを所望の位置にそれぞれ移動させる。
制御部27の第1試薬分注アーム8の制御回路は、第1試薬分注アーム8を回動する回動機構を制御する。また、この制御回路は回動機構及び第1試薬分注アーム8を上下方向に移動させる上下移動機構を制御する。そして、第1試薬分注プローブ14aを、回動機構により上死点の高さで試薬庫1、反応ディスク4、及び第1洗浄槽80の各上停止位置へ移動させる。また、上下移動機構に下移動駆動パルスを供給して各上停止位置から下に移動させ、様々な位置で停止させる。
制御部27の第2試薬分注アーム9の制御回路は、第2試薬分注アーム9を水平方向に回動する回動機構を制御する。また、この制御回路は回動機構及び第2試薬分注アーム9を上下方向に移動させる上下移動機構を制御する。そして、第2試薬分注プローブ15aを、回動機構により上死点の高さで試薬庫2、反応ディスク4、及び第2洗浄槽90の各上停止位置へ移動させる。また、下移動駆動パルスを供給して上下移動機構により各上停止位置から下に移動させ、様々な位置で停止させる。
制御部27のサンプル分注アーム10の制御回路は、サンプル分注アーム10を水平方向に回動する回動機構を制御する。また、この制御回路は回動機構及びサンプル分注アーム10を上下方向に移動させる上下移動機構を制御する。そして、サンプル分注プローブ16aを、回動機構により上死点の高さでサンプルディスク5、反応ディスク4、及びサンプル洗浄槽70の各前記停止位置へ移動させる。また、下移動駆動パルスを供給して上下移動機構により各前記停止位置から下に移動させ、様々な位置で停止させる。
〔データ処理部〕
データ処理部30は、測光部13から出力された標準データ等から検量データを出力する演算部31と、データ記憶部32とを備える。また、データ処理部30は、分析部24から受けた各分注プローブに対応する管路内の圧力データを処理して、管路等の詰まり、管路内径の汚れ等を検出する、汚れ検知手段である汚れ検知部33を備える。
(演算部)
演算部31は、測光部13から出力された標準データ及び標準試料に対して予め設定された標準値から、標準値と標準データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
また、演算部31は、測光部13から出力された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部32から読み出す。そして、読み出した検量データを用いて測光部13より出力された被検データから、濃度値や活性値として表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
(データ記憶部)
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
〔出力部〕
出力部40は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部41、及び、これらを表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
表示部42は、CRTや液晶パネルなどのディスプレイを備え、例えば、このディスプレイに、演算部31から出力された検量データや分析データを表示する。また、例えば、このディスプレイに、自動分析装置100で分析可能な検査項目の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面、及びこの分析パラメータ設定画面で設定された検査項目の分析に用いる試薬情報を設定するための試薬情報設定画面を表示する。また、被検試料毎に、この被検試料を識別する識別情報(氏名やID等)及び分析パラメータ設定画面で設定された検査項目の中から検査対象となる検査項目を選択して設定するための検査項目設定画面を表示する。
〔操作部〕
操作部50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備える。操作部50は、各検査項目の分析パラメータ、試薬情報、被検試料の識別情報及び検査項目、被検試料毎に識別情報及び検査対象となる検査項目を設定するための入力操作に用いられる。
〔システム制御部〕
システム制御部60は、CPU及び記憶回路を備え、操作部50を介して入力された各検査項目の分析パラメータの情報、試薬情報、被検試料毎の識別情報及び検査項目の情報等の入力情報を記憶回路に記憶する。これらの入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括してシステム全体を制御する。
[洗浄部]
ここで、分析部24に備えられている、第1分注装置14、第2分注装置15、及びサンプル分注装置16を、まとめて「分注装置」という。この分注装置には、分注装置に備えられた分注プローブを洗浄する洗浄部をそれぞれ備えている。例えば、分注装置が第1試薬分注装置14である場合には、第1試薬分注プローブ14aを洗浄する第1洗浄部14cが備えられている。この構成は、第2試薬分注装置15及びサンプル分注装置16にも同様に適用できる。この洗浄部による、分注プローブの洗浄は、例えば、分注装置が制御部27に制御されることによって行われる。
分析部24に備えられた分注装置にそれぞれ備えられた洗浄部は、分注プローブ及び/又は分注プローブに接続された管路内の圧力を検知する圧力検出手段をそれぞれ備えている。
分注プローブを洗浄する工程は、該管路から輸送された洗浄液である洗浄水Wを洗浄槽に吐出する工程を少なくとも有する。圧力検出手段は、洗浄槽への洗浄水Wの吐出停止直後から、管路内の圧力を継続的に検出し、この検出値に基づいて時系列データ等を生成する。圧力検出手段は、この時系列データ等を汚れ検知部33に送信する。汚れ検知部33は、この圧力の時系列データ等から、管路内における圧力の時間的な変化に基づいて、対応する分注プローブ内の汚れの有無を判定する。
以下、洗浄部の構成及び管路内の汚れ検知の判定の詳細について、第1試薬分注装置14の第1洗浄部14cを一例として図を用いて詳しく説明する。
[第1洗浄部]
図3は、この実施形態に係る第1洗浄部14cの一例を示すブロック図である。
図3に示すように、第1洗浄部14cは、洗浄水Wを貯留する貯留タンク71と、第1洗浄ポンプ54とが、圧力伝達管である管路53で接続される。洗浄水Wは、第1試薬分注プローブ14aの洗浄用及び/又は第1試薬の吸引及び吐出を行うための圧力伝達媒体用としての液体であって、脱気されている。第1洗浄ポンプ54が駆動されると、管路53内に圧力が発生し、貯留タンク71内の洗浄水Wが吸引され、第1洗浄ポンプ54の吐出口から吐出される。第1洗浄ポンプ54から吐出された洗浄水Wは管路53を介して第1試薬分注プローブ14aの吐出口から、例えば第1洗浄槽80に吐出される。
〔第1洗浄ポンプ〕
第1洗浄ポンプ54は、互いに連通した2つの開口を備える。一方の開口が、負圧側の開口である洗浄水Wの吸入口54aとなる場合には、他方の開口は、正圧側の開口である洗浄水Wの吐出口54bとなる。第1洗浄ポンプは、従来公知のポンプを適宜選択して使用することができる。具体例としては、各種の遠心ポンプ、ギヤポンプ、マグネットポンプ等が挙げられる。また、第1洗浄ポンプ54は、自吸式のポンプであることが好ましい。また、第1洗浄ポンプ54は、第1試薬分注ポンプ14bと別個に設けられてもよいし、第1試薬分注ポンプ14bが第1洗浄ポンプ54の機能を兼ねてもよい。
第1洗浄ポンプ54は管路53の経路上に設けられ、外部から制御信号等が入力されることによって、第1洗浄ポンプ54に備えられた圧力発生機構等の駆動制御が可能なように構成されている。
(管路)
第1試薬分注プローブ14aから洗浄水Wを吐出する場合、管路53aの一方の端部が吸入口54aに接続され、他方の端部が貯留タンク71内の洗浄水Wに浸漬される。また、管路53bの一方の端部が吐出口54bに接続され、他方の端部が第1試薬分注プローブ14aに接続される。
第1洗浄ポンプ54が、第1試薬分注ポンプ14bと別個に設けられる場合、第1試薬分注プローブ14aが接続される管路53bには、例えば、四方弁が備えられている。この四方弁は、例えば、電磁四方弁であって、第1試薬分注プローブ14aによって試料等の吸引、吐出が行われる場合には、管路53a及び53bが第1試薬分注ポンプ14bに接続するように切り替わる。また、四方弁は、第1洗浄部14cによって第1試薬分注プローブ14aの洗浄を行う場合には、管路53a及び53bが第1洗浄ポンプ54と接続するように切り替わる。この制御は、例えば、制御部27等によって行われる。
管路53が、このように構成されることにより、貯留タンク71内の洗浄水Wが第1試薬分注プローブ14aの吐出口から、第1洗浄槽80に吐出される。具体的には、例えば、制御部27からの駆動制御によって第1洗浄ポンプ54が管路53a内に負圧を発生させることで、貯留タンク71内の洗浄水Wが管路53a内に圧送される。圧送された洗浄水Wは、第1洗浄ポンプ54及び管路53bを介して第1試薬分注プローブ14aに達し、第1試薬分注プローブ14aの吐出口から、第1洗浄槽80に吐出される。
管路53は、内部を流れる洗浄水Wによって圧力が伝達可能に構成されたものであればよい。具体的には、洗浄水Wの流れによる圧力の変動の検出を容易にするために、圧力の伝達時に管壁が変形しづらい管、例えば、剛体管であることが好ましい。一方で、管路53は可撓性を有することで取り回しが容易なものであることが好ましい。この2つの性質は、管壁の変形を抑制すると、今度は取り回しが困難となるというトレードオフの関係となるので、洗浄水Wを圧送する場合の第1洗浄ポンプ54の吐出圧力を勘案して適宜選択することが好ましい。
また、管路53は、管路53内の圧力を検出する圧力検出手段である圧力センサ51と、管路53内の少なくとも一部を開放又は遮断するための開閉弁である電磁弁52とを備える。電磁弁52は管路53の経路上に設けられ、外部からの制御信号等によって、駆動制御が可能なように構成されている。
(圧力センサ)
圧力センサ51で検出された圧力信号は、必要に応じて、図示しない増幅回路へ出力され、信号が増幅された後に、汚れ検知部33に送信される。圧力センサ51は、液圧、例えば、水圧を測定可能なものであればよく、従来公知のものを適宜選択することができる。圧力センサ51は、第1試薬分注プローブ14aに接続される管路53に備えられており、第1試薬分注プローブ14aが試料等を分注する場合には、分注時の管路内の圧力変動等を測定可能である。また、圧力センサ51は、第1試薬分注プローブ14aが自身を洗浄動作する場合においても、洗浄時の管路内の圧力変動等を測定可能である。圧力センサ51は、例えば、絶対液圧を測定可能なものであっても、液圧変化を測定可能なものであってもよいが、液圧変化を測定可能なものであることが好ましい。
(電磁弁)
電磁弁52は、磁力を用いて弁を開閉する機構を有するものであればよく、従来公知のものを適宜選択することができる。電磁弁52は、管路53内における洗浄水Wの輸送を急速に遮断可能なものであることが好ましい。つまり、バルブの開閉信号の入力に対する応答速度が速いものであることが好ましい。応答速度の速い電磁弁52を用いることで、電磁弁52が設けられた管路内の位置における洗浄水Wの流れを急速に遮断することができる。
(電磁弁と圧力センサとの位置関係)
第1試薬分注プローブ14aの吐出口から洗浄水Wを吐出する場合に、管路53において電磁弁52は、以下の理由により、圧力センサ51が設けられる位置よりも上流に設けられる。洗浄水Wが管路53を慣性、重力等の作用で流れている場合に、電磁弁52によって瞬時にその流れが遮断されると、電磁弁52よりも下流の管路53内で水撃(ウォータハンマ)現象の一種である水柱分離現象が生じる。圧力センサ51は、この水柱分離現象による圧力変動を検出するため、管路53において電磁弁52よりも下流の位置に設けられる必要がある。この水柱分離現象については後述する。
また、電磁弁52と第1試薬分注プローブ14aとの間に設けられる管路53の長さが所定の長さよりも長いことが好ましい。その理由は、管路53内において、水柱分離現象を起こすには、洗浄水Wが所定の慣性力を有していることが必要であるため、管路53内に所定の質量の洗浄水Wが必要となるからである。電磁弁52よりも下流となる管路53の長さが所定の長さを有することで、管路53内に十分な質量の洗浄水Wを確保することができる。このことにより、管路53は、水柱分離現象を引き起こすのに十分な程度の長さを有していることが好ましいといえる。
また、電磁弁52から管路53に沿った所定の長さ下流の位置で管路53内の圧力を測定することが好ましい。具体的には、例えば、電磁弁52が管路53aに設けられ、圧力センサ51が管路53bに設けられることが好ましい。これは、水柱分離現象が生じている際に、電磁弁52の近傍の位置は真空状態となるので、この位置で管路53内の圧力を測定すると、気液が切り替わることにより圧力変動の幅が非常に大きくなる。この圧力の変動を全て検出しようとすると、検出の分解能が低下すると考えられる。そこで、水柱分離現象が生じている場合にあっても、管路53内に洗浄水Wが充填された状態において、電磁弁52から管路53に沿った所定の長さ下流の位置で管路53内の液圧力を測定する方が、適正な圧力変動の幅で測定できると考えられる。このことにより、後述する洗浄水Wによる圧力波を、効率よく検出できると考えられる。
[汚れ検知部]
図3に示すように、汚れ検知部33は、圧力センサ51から受信した圧力信号を信号処理する処理部34と、処理部34で信号処理された圧力信号を演算することで管路53内の圧力の時間的な変化を演算する演算部35と、演算部35による演算結果から、第1試薬分注プローブ14a内及び/又は管路53内における汚れ等の有無を判定する判定部36とを備え、必要に応じて記憶部37を備える。以下、「第1試薬分注プローブ14a内及び/又は管路53内」を、「第1試薬分注プローブ14a内等」という。
〔処理部〕
処理部34は、圧力センサ51から受信した圧力の検出信号を信号処理することで、演算部35において圧力変動を演算可能にする機能を備えている。処理部34は、例えば、受信した圧力の検出信号が微小な信号である場合には、信号増幅処理を行う。この処理は、リニアアンプ等により行われる。また、処理部34は、例えば、受信した圧力の検出信号がアナログ信号である場合には、アナログ信号をデジタル信号に変換処理する。この処理は、A/D変換器等により行われる。
〔演算部〕
演算部35は、処理部34で信号処理された圧力の検出信号を演算することで、ノイズの除去、圧力信号から得られる値の補正を行う。また、演算部35は、管路53内の圧力センサ51が設けられた位置における、圧力の検出信号に基づく変動値、圧力の絶対値等を生成する。
また、演算部35は、受信した圧力の検出信号に基づいて、例えば、圧力の時間的な変化のグラフを生成する。このグラフにより、例えば、管路53内の圧力が時間的に変動する場合に、圧力変化の波形の特徴的な形状(時間的な圧力変動の周期性等)等を抽出することができる。圧力が大きな振幅で振動した後に、減衰しながら所定の値に収束する場合には、この所定の値を何回通過したかを計数することで、所定時間における振動回数を計数したり、所定の値となるまでの振動回数を計数したりすることができる。この所定の値は、例えば、ゲージ圧が0のときであって、これに対応する絶対圧としては大気圧等が挙げられる。なお、圧力は絶対圧であってもよいし、圧力変動であってもよい。
演算部35の演算は、処理部34から送信される圧力信号を常時演算してもよいが、所定のトリガーの入力によって演算を開始する方が好ましい。
このトリガーは、例えば、管路53内の圧力の変化率が所定の閾値を超えた場合に入力される。また、このトリガーは、例えば、管路53内の圧力が変動するような制御がされた場合に入力される。この具体例としては、制御部27による電磁弁52、第1洗浄ポンプ54等に対する、所定の制御信号の送信を演算開始のトリガーとする場合が挙げられる。
この所定の制御信号は、例えば、電磁弁52を「閉」とする制御信号、第1洗浄ポンプ54を「駆動停止」とする制御信号等である。演算部35による演算の開始は、制御部27による1つの制御信号の送信をトリガーとしてもよいが、制御部27による複数の制御信号送信をトリガーとしてもよい。これは、例えば、制御部27が、第1洗浄ポンプ54を停止する制御信号を送信した後に、電磁弁52を「閉」とする制御信号を送信した場合が挙げられる。
〔判定部〕
判定部36は、圧力の絶対値、圧力の変動値、圧力変化の波形における振動の山の個数等から、第1試薬分注プローブ14a内等における汚れ等の有無を判定する。
判定部36は、例えば、分注時、特に分注の吸引時において、圧力センサ51で検出された負の圧力の平均値の絶対値が所定の閾値に満たない場合、吸入がされていないと判断して第1試薬分注プローブ14a内等に「汚れあり」と判定する。また、判定部36は、例えば、分注時、特に分注の吐出時において、圧力センサ51で検出された正の圧力の平均値の絶対値が所定の閾値を越える場合を、吐出が正常にされていないと判断して第1試薬分注プローブ14a内等に「汚れあり」と判定する。このように判定部36は、必要に応じて分注時において第1の判定を行う。
また、判定部36は、管路53内の流れが時間的に変化する場合にその時間的な圧力変動に基づいて管路53内の汚れの有無を判定する第2の判定をすることができる。この圧力変動は、例えば、上述したように、管路53に備えられた電磁弁52が急速に閉鎖することで、管路内の洗浄水Wの流れが遮断されることによって起こる。
この圧力変動が、例えば、時間方向に振動する場合には、所定時間において振動した数から管路53内の汚れの有無、内径汚れによる洗浄水Wの流れにくさを判定する。所定時間とは、例えば、電磁弁52が閉じた時刻から、所定の時間経過した時刻までの時間をいう。また、電磁弁52に、制御部27から制御信号が送られた時刻から所定の時間経過した時刻までの時間であってもよい。制御部27からの制御信号は、例えば、電磁弁52を「閉」とする指示信号である。これは、例えば、圧力変動が所定の値に収束する減衰振動である場合にも同様に判定することができる。
例えば、汚れがないとされた時の振動波形の山の数である閾値Nが予め設定される。所定時間における振動波形の山の数が閾値N以上である場合、第1試薬分注プローブ14a内等は「汚れなし」と判定される。この閾値Nは、適宜設定することができるが、例えば、4個又は5個である。ここで、「汚れなし」とは、例えば、第1試薬分注プローブ14aの使用に問題がない程度に汚れがないということを意味している。
また、所定時間における振動波形の山の数が閾値Nよりも少ない場合、第1試薬分注プローブ14a内等は「汚れあり」と判定される。ここで、「汚れあり」とは、例えば、第1試薬分注プローブ14aの使用に問題がある程度の汚れが第1試薬分注プローブ14a内等に存在するということを意味している。
一方、所定時間における振動波形の山の数が0である場合には、第1試薬分注プローブ14a内等が「詰まっている」と判定される。
この振動波形の山の数を、例えば、圧力の検出信号の波形の極値の数に基づいて計数することもできる。例えば、波形が減衰振動した後、0の値に収束する場合には、演算部35において演算された圧力変化の波形の極小値又は極大値のうち同一符号となるものを、時系列順に計数する。そして、計数した極小値又は極大値の数に基づいてプローブ内の汚れの有無を判定することができる。これは、例えば、波形における上に凸の山に対応する正の符号である極大値を、最初から順次計数する。また、例えば、波形における下に凸の山に対応する負の符号である極小値を、最初から順次計数する。
具体的には、計数した極小値又は極大値の数が、所定時間内において所定の個数以上の場合に、プローブ内の汚れが、プローブの使用に問題がない「汚れなし」と判定し、計数した極小値又は極大値の数が所定の個数よりも少ない場合に、プローブ内の汚れが、プローブの使用に問題がある「汚れあり」と判定する。また、計数した極小値又は極大値の数が0の場合に「詰まっている」と判定する。
〔記憶部〕
記憶部37は、処理部34、演算部35及び判定部36と送受信可能に構成されている。記憶部37、例えば、上述した各閾値が予め記憶されており、判定部36に必要に応じて閾値を送信する。また、記憶部37は、処理部34、演算部35及び判定部36によって生成した情報を一時的に保管する一時保管部としての機能も有する。
第1試薬分注プローブ14aは、通常、試薬の分注後毎に洗浄水Wによる洗浄が行われる。ただし、これに限らず、例えば、試料等を分注する時点における第1の判定によって、第1試薬分注プローブ14a内及びこれに繋がる管路53内の汚れの検知がされた場合をトリガーとして、上記の洗浄を行ってもよい。具体例としては、第1の判定の際に、判定部36に「汚れあり」との判定がされると、その「汚れあり」の情報が、第1試薬分注プローブ14aの情報と対応付けられて記憶部37に記憶される。制御部27は、記憶部37に記憶された「汚れあり」の情報がある場合に、第1試薬分注プローブ14aについて洗浄水Wの吐出を行い、制御部27による洗浄水Wの吐出停止の指示後における管路53内の圧力変動に基づいて第2の判定を行う。
汚れ検知部33を構成する機能のうち、演算部35及び記憶部37は、例えば、演算部31及びデータ記憶部32が、その機能を兼ねてもよい。
[自動分析装置の動作]
次に、この実施形態の自動分析装置の動作、特に第1洗浄部14cの動作について、その一例を説明する。この動作説明においては、図1〜3を適宜用いる。
第1洗浄部14cは、試薬の分注後毎に第1試薬分注プローブ14aから洗浄水Wを吐出し、必要に応じて第1試薬分注プローブ14aの先端部を第1洗浄槽80内の洗浄水Wに浸漬することにより、第1試薬分注プローブ14a及びこれに接続される管路53を洗浄する。
上述したように、管路53に備えられた圧力センサ51と汚れ検知部33とで、第1試薬分注プローブ14a内等の汚れ又は詰まりの検知をすることができる。
図4は、第1洗浄部14cにおいて、第1試薬分注プローブ14a等の洗浄をする場合に、汚れ検知部33によって第1試薬分注プローブ14a内等の汚れの有無を判定する処理の流れを示したフローチャートである。つまり、このフローチャートは、上述した第1及び第2の判定のうち、第2の判定の処理を示している。
図4に示すように、第1試薬分注プローブ14aによる分注動作が終了すると、第1洗浄部14cにおいて第1試薬分注プローブ14a等の洗浄が行われる。制御部27等によって洗浄終了の指示がなされると、第1洗浄ポンプ54の駆動は停止し、電磁弁52が閉じることで、貯留タンク71から管路53への洗浄水Wの供給が停止する。圧力センサ51は、電磁弁52が閉じて管路53が閉塞した直後から、所定の時間継続して管路53内の圧力を検出し、その検出の値を汚れ検知部33に逐次送信する。汚れ検知部33は、圧力センサ51から受信した検出データから、管路53の所定時間における圧力変動を演算して、その演算結果から第1試薬分注プローブ14a内等の汚れの有無を判定する。
以下に、図4を参照して、第1試薬分注プローブ14a内等の汚れの判定の具体的な流れについて述べる。この場合、第1洗浄部14cは、第1洗浄ポンプ54と貯留タンク71との間で洗浄水Wの輸送を行う管路53bに電磁弁52が備えられており、第1洗浄ポンプ54と第1試薬分注プローブ14aとの間で洗浄水Wの輸送を行う管路53aに圧力センサ51が備えられている。つまり、電磁弁52が備えられた位置よりも下流となる位置(第1試薬分注プローブ14a側の位置)に圧力センサ51が備えられている。
まず、第1試薬分注プローブ14aによる分注動作が終了すると、制御部27は、第1洗浄部14cに洗浄工程の準備指示をする。制御部27は、具体的には、第1試薬分注アーム8に駆動信号を送信することで、第1洗浄槽80上に、第1試薬分注プローブ14aを移動する。これにより、第1洗浄部14cにおいて第1試薬分注プローブ14aの洗浄をする準備が整う(ステップS001)。管路53bは、貯留タンク7と第1洗浄ポンプ54の吸入口とを接続し、管路53aは、第1洗浄ポンプ54の吐出口と第1試薬分注プローブ14aとを接続している。第1洗浄ポンプ54が駆動することにより、貯留タンク7から第1試薬分注プローブ14aへ管路53a及び管路53bを介して洗浄水Wが輸送される。管路53bには、管路53bの流れを遮断する電磁弁52、管路53aには管路53a内の圧力を検出する圧力センサ51が備えられている。電磁弁52の初期状態は「閉」となっており、洗浄開始前の管路53は電磁弁52が設けられている位置で閉塞されている。
次に、制御部27は、第1洗浄部14cに第1試薬分注プローブ14aの洗浄開始の指示をする。制御部27は、第1洗浄ポンプ54及び電磁弁52にそれぞれ駆動信号を送信し、駆動信号を受けた第1洗浄ポンプ54は駆動を開始して(ステップS002)、駆動信号を受けた電磁弁52が「開」となる(ステップS003)。
制御部27による洗浄開始の指示によって第1洗浄部14cの各部が駆動することより、一端が貯留タンク71に浸漬された管路53bから洗浄水Wが吸引され、第1洗浄ポンプ54、管路53aを介して第1試薬分注プローブ14aに達する。第1試薬分注プローブ14aの先端に設けられた吐出口から、第1洗浄槽80に洗浄水Wが吐出されることで、第1試薬分注プローブ14aが洗浄される。
この洗浄は、洗浄開始から所定の時間行われる。所定の時間の長さは、分注に使用した試料の種類、粘度等に応じて予め設定されている。なお、ステップS002及びステップS003の処理の順序は逆であってもよく、或いは同時であってもよい。
第1試薬分注プローブ14aの洗浄が所定時間行われると、制御部27は第1洗浄部14cに洗浄の終了指示をする。制御部27は、第1洗浄ポンプ54及び電磁弁52にそれぞれ駆動停止信号及び閉鎖信号を送信し、駆動停止信号を受けた第1洗浄ポンプ54は駆動を停止し(ステップS004)、閉鎖信号を受けた電磁弁52は「閉」となる(ステップS005)。
制御部27による洗浄の終了指示によって第1洗浄ポンプ54の駆動が停止する。これにより、第1試薬分注プローブ14aの洗浄が終了となる。第1洗浄ポンプ54の駆動が停止しても、管路53内の洗浄水Wの流れが直ちに停止しない場合がある。これは、例えば、慣性、トリチェリの原理等の作用による。この作用によって、管路53bに貯留タンク71から洗浄水Wが供給されることで管路53には、第1試薬分注プローブ14aに向けて一定時間洗浄水Wが流れる。
制御部27は、第1洗浄ポンプ54の駆動停止をしてから、電磁弁52を閉とする制御を行うが、第1洗浄ポンプ54の駆動停止の制御と、電磁弁52を閉とする制御とを同時に行ってもよい。つまり、電磁弁52を閉として、電磁弁52の下流側の近傍で後に説明する水柱分離現象が起きるように、駆動停止されればよい。
次に、管路53aに備えられた圧力センサ51は、制御部27による洗浄の終了指示が第1洗浄部14cに送信されると、この送信をトリガーとして管路53a内の圧力の検出を開始して(ステップS006)、所定の時間継続して検出を行った後に、この圧力検出を終了する(ステップS007)。圧力センサ51は、例えば、圧力を検知すると、検知した圧力に対応するデータである圧力検出データを外部に出力する。圧力検出データは、例えば、電圧データである。
圧力の検出開始のトリガーである洗浄の終了指示は、例えば、制御部27から送信される電磁弁52を閉とする信号である。また、圧力の検出開始のトリガーは、例えば、第1洗浄ポンプ54の駆動停止をするための信号の送信、電磁弁52を閉とするための信号の送信である。
管路53aに備えられた圧力センサ51は、上記のトリガーによって圧力の検出を開始する他に、例えば、管路53a内の圧力を常時計測し、計測後に処理部34によって検出データの処理をしてもよい。この場合、取得した圧力の検出データのうち、洗浄の終了指示があった時刻から所定時間に対応する圧力の検出データを抽出する。
次に、所定時間に対応する圧力の検出データを、例えば、処理部34において信号変換等の処理を行い、演算部35で演算処理をすることで、処理後の圧力の検出データのうち、所定時間における時系列データを抽出する。この時系列データは、例えば、表示部42に時系列グラフとして出力される。
図5及び図6は、電磁弁52に対して出力されたバルブ(弁)の開閉信号Vaと、圧力センサ51で計測された圧力検出データSとの時系列グラフの一例をそれぞれ示す。このグラフの、縦軸は電圧V、横軸は時刻tである。縦軸は、中央が原点V=0で、上が正の電圧、下が負の電圧である。また、このグラフにおいて、圧力検出データSは、例えば、その電圧の値と、圧力との値が比例しており、その比例関係(例えば、比例定数a)は校正作業等によって既知となっている。
また、バルブの開閉信号Vaの電圧が所定の正の電圧V1(例えば、10V)の場合、電磁弁52は「開」となり、バルブの開閉信号Vaの電圧が電圧V1よりも小さな電圧V0(例えば、0V)の場合、電磁弁52は「閉」となる。
また、このグラフの縦軸は、電圧Vであって、軸の中央が原点、原点より上が正の値、下が負の値となる。また、グラフの横軸は時間tである。また、このグラフにおける、縦軸のレンジ(1目盛)は、バルブの開閉信号Vaに対応するものが5V、圧力検出データSに対応するものが2Vであって、横軸のレンジは20msであるが、これに限定されるものではない。
図5は、第1試薬分注プローブ14a及びそれに繋がる管路53内に汚れが無く、第1試薬分注プローブ14aの吐出口から洗浄水Wが正常に吐出されている場合における時系列グラフの一例である。
図5に示すように、電磁弁52が「開」の状態である時刻においては、圧力検出データSの波形は正の電圧を示しており、電圧0に向かってなだらかに減少している。これは、管路53内の圧力がゆるやかに下がっていることを示す。その原因は、第1洗浄ポンプ54を停止したことである。このことは、第1洗浄ポンプ54を停止ししても、管路53内には洗浄水Wの流れがあることを示している。
電磁弁52に「閉」のバルブの開閉信号Va1が送信されると、開閉信号Va1に基づいて電磁弁52は管路53bを閉鎖する。開閉信号Va1はほぼ垂直な傾きを有するので、電磁弁52は瞬時に管路53bを閉鎖する。
この管路53bの閉鎖から所定の時間t0をおいてから、時系列に検出される圧力検出データSの波形において、時間に対する電圧の減少率が急峻となる。さらに、圧力検出データSの波形は電圧0を通過して負の電圧V2まで減少する。
電圧V2まで減少した後の圧力検出データSの波形においては、時間に対する電圧の増加率が急峻となる。さらに、圧力検出データSの波形は電圧0を通過して正の電圧V3まで増加する。このように、圧力検出データSの波形は、電圧0を通過して正負が切り替わるような電圧の減少と増加を繰り返し、最終的には大気圧に対応する電圧0に収束する減衰振動を示す。
これらのことから、第1試薬分注プローブ14a内及びこれに繋がる管路53内に汚れがない場合においては、電磁弁52による管路53の閉鎖をトリガーとして、圧力センサ51が備えられている付近の管路53の内部で、周期的な圧力変動が生じる。この圧力変動は、管路53の内部において洗浄水Wの流れが変動していることを示す。
この圧力変動は、管路53内を洗浄水Wが流れている時に電磁弁52によりその流れを遮断することにより生じる水撃作用(ウォータハンマ)によるものであると考えられる。また、この場合における圧力変動は、水撃作用の中でも水柱分離現象によるものであると考えられる。この水柱分離現象について、以下に説明する。
ステップS002、ステップS003の処理によって、電磁弁52が開き、第1洗浄ポンプ54が駆動を開始することで、管路53は、貯留タンク71から第1試薬分注プローブ14aまで洗浄水Wを輸送する。
ステップS004、ステップS005の処理によって、第1洗浄ポンプ54の駆動が停止し、電磁弁52が閉じることで、貯留タンク71からの洗浄水Wの供給は停止する。しかしながら、電磁弁52よりも下流の管路53内を流れる洗浄水Wは慣性を有し、更に洗浄水Wには重力も作用する。そうすると、電磁弁52より下流にある洗浄水Wは、貯留タンク71からの洗浄水Wの供給が停止しても、電磁弁52より下流に流れようとする。そうすると、電磁弁52が閉となった後も、慣性と重力との作用によって第1試薬分注プローブ14aからの洗浄水Wの吐出が所定時間継続する。この所定時間は、図5に示した時刻t0であると考えられる。
このように、第1試薬分注プローブ14aから洗浄水Wが吐出されるが、貯留タンク71からの洗浄水Wの供給はないので、閉鎖がされた電磁弁52の直後の管路53内に真空状態(負圧)が発生する。
洗浄水Wの吐出が終了すると、電磁弁52の直後の管路53内に真空状態が発生しているので、洗浄水Wは大気圧によって、吐出方向とは逆向きに一気に押し戻される。この作用によって、圧力センサ51で計測される圧力検出データSの波形の減少率が急峻となり、圧力検出データSの波形は電圧0を通過して負の電圧V2まで減少する。これは、つまり、大気圧に押し戻されることによって、吐出方向の流れ(正の圧力)から、吐出方向とは逆向きの流れ(負の圧力)に一気に切り替わったことを示している。
大気圧に押し戻されることによって生じた吐出方向とは逆向きの流れは、閉鎖された電磁弁52に当たることで逆向きに反射する。この作用によって、圧力センサ51で計測される圧力検出データSの波形の増加率が急峻となり、圧力検出データSの波形は電圧0を通過して正の電圧V3まで増加する。これは、つまり、電磁弁52における反射によって、吐出方向とは逆向きの流れ(負の圧力)から、吐出方向の流れ(正の圧力)に一気に切り替わったことを示している。
電磁弁52における反射によって生じた吐出方向の流れは、同様にして負圧領域を形成して大気圧に押し戻される。これにより、再度吐出方向とは逆向きの流れとなり、圧力検出データSの波形は電圧0を通過して、同様にして負の電圧まで減少する。さらに、この流れは、電磁弁52において反射することによって、再度吐出方向の流れとなり、同様にして正の電圧まで増加する。
この大気圧による押し戻しと、閉鎖された電磁弁52における反射とが繰り返されることで、圧力検出データSの波形は振動する。この振動は、例えば、所定の周期を有し、この周期は、例えば、電磁弁52と、第1試薬分注プローブ14aとを接続する管路53の長さによって決定される。
また、管路53には曲がり部、管の内壁に表面粗さ等の管内流れを阻害するものが存在するので、例えば、洗浄水Wが管路53内を流れると、曲がり管損失、管摩擦損失等の流れのエネルギー損失が生じる。また、例えば、管路53を往復する洗浄水Wが吐出されたり、互いに衝突したりことによっても流れのエネルギー損失が生じる。これらのことにより、管路53内を流れる洗浄水Wの流れのエネルギーは、時間とともに減少して、最終的に0となる。これにより、圧力検出データSの振動波形は、時間とともに減衰する減衰振動波形を示すこととなる。
図6は、第1試薬分注プローブ14a及びそれに繋がる管路53に詰まりがあり、第1試薬分注プローブ14aの吐出口から洗浄水Wが正常に吐出されていない場合の一例を示す時系列グラフである。
図6に示すように、電磁弁52が「開」の状態である時刻においても、圧力検出データSの波形は正の電圧を示しており、第1洗浄ポンプ54を停止したことにより、圧力検出データSは大気圧に対応する電圧0に向かってなだらかに減少している。この場合において検出された圧力検出データSの電圧の値は、図5に示したものよりも高く、検出された圧力が高いことを示している。
電磁弁52に「閉」のバルブの開閉信号Va1が送信されると、時系列に検出される圧力検出データSの波形は、所定の時間t1をおいてから、若干の振動をするものの、圧力検出データSの波形は、所定の正の電圧に収束している。
これらのことから、第1試薬分注プローブ14a内等に詰まりがある場合においては、第1試薬分注プローブ14a及びそれに繋がる管路53に汚れがない場合に対して全体的に圧力が高い。また、電磁弁52による管路53の閉鎖があっても、圧力センサ51が備えられている付近の管路53の内部では圧力変動がほとんど生じない。つまり、圧力変動がほとんど生じていないということは、管路53の内部における洗浄水Wの流れの変化がほとんど生じていないといえる。
管路53内に圧力が全体的に高いのは、詰まりによって外部に洗浄水Wが吐出されない状態で、第1洗浄ポンプ54が洗浄水Wに圧力を加えることで、洗浄水Wが管路53に押し込められるからであると考えられる。また、電磁弁52の遮断後に管路53の内部における洗浄水Wの流れの変化がほとんど生じないのは、第1試薬分注プローブ14a等に詰まりがあるので、第1試薬分注プローブ14aの吐出口から洗浄水Wの吐出がほとんどされず、それによる真空状態(負圧)の発生が無いか、ごく小さいからであると考えられる。また、電磁弁52の遮断後に若干の振動が検出されるのは、電磁弁52の遮断による圧力波が反射したものを圧力センサ51が検知したものであると考えられる。
このように、第1試薬分注プローブ14a及びそれに繋がる管路53に詰まりがある場合の圧力検出データSの波形と、第1試薬分注プローブ14a及びそれに繋がる管路53に汚れが無い場合の圧力検出データSの波形とを比較すると、その波形には大きな違いがあることがわかる。汚れ検知部33の判定部36は、以上に述べたことを利用して、第1試薬分注プローブ14a内等における汚れの有無、第1試薬分注プローブ14a内等の詰まりの有無を判定する。
以上のことから、判定部36は、圧力検出データSの波形と、閾値電圧VNとを比較し、この結果から、判定用の波形Cを生成する(ステップS008)。さらに、この判定用の波形Cの所定時間における山の個数を計数し、この個数が、所定の閾値Nよりも小さければ第1試薬分注プローブ14a内に汚れ有り(ステップS009:NO、ステップS010)として、例えば、この判定結果を出力部40等に出力する。一方で、この個数が、所定の閾値N以上であれば第1試薬分注プローブ14a内に汚れ無し(ステップS009:YES、ステップS011)として、例えば、この判定結果を出力部40等に出力する。
ステップS007からステップS009に至る処理の流れの一例を以下に詳しく説明する。
判定部36は、例えば、ステップS008の処理を行う判定処理部Aと、ステップS009の処理を行う判定処理部Bとを備える。
図7及び図8は、判定処理部Aにおいて、圧力検出データSの波形と閾値電圧VNであるV=0を比較し、判定用の波形Cを生成する様子を示した一例を示す時系列グラフである。このグラフは、図5等と同様に、縦軸が電圧V、横軸が時刻tである。縦軸は、中央が原点V=0で、上が正の電圧、下が負の電圧である。また、縦軸のレンジは、判定用の波形Cに対応するものが2Vであって、その他のものは図5及び図6に示したグラフと同様であるが、これに限定されるものではない。
図7に示すように、この場合においては、圧力検出データSの波形は、電圧0に収束するようにして正負電圧を行き来する減衰振動をしている。判定処理部Aは、圧力検出データSの波形の正負に応じて、判定用の波形Cを生成する。例えば、圧力検出データSの波形が正の電圧の値である場合、判定用の波形Cを所定の正の電圧の値(例えば、3V)とし、圧力検出データSが負である場合、判定用の波形Cの電圧をV=0とする。そうすると、判定用の波形Cは、電圧値が0である横軸との交点(T1=TB)を境として電圧が変化するパルス波となる。
図8に示すように、この場合においては、圧力検出データSの波形は、常に正の電圧となっている。判定処理部Aは、圧力検出データSの波形と、閾値VNとを比較するが、この場合において、圧力検出データSの波形が電圧値0を下回ることはない。従って、判定用の波形Cは、全ての時刻で電圧0となる直線波となる。
次に、判定処理部Bは、生成した判定用の波形Cにおける山の数から、第1試薬分注プローブ14a内等における汚れの有無を判定する。判定処理部Bは、制御部27から電磁弁52に閉鎖信号Va1が出力された時刻TAから所定時間TC経過した時刻TBにおいて、判定用の波形Cにおける山の数Mが、予め設定された所定の閾値Nの数よりも小さい場合に、第1試薬分注プローブ14aが詰まっていると判定する。閾値Nの数は、例えば、4又は5であって、使用する電源周波数等によって適宜設定を行う。
判定処理部Bが、閾値N=4として、第1試薬分注プローブ14a内等に汚れがあるか否かの判定をする場合を以下に示す。
判定処理部Bは、図7に示した判定用の波形Cにおいて時刻TAから時刻TBの間に計数した山の数M=4で閾値N以上あることから、第1試薬分注プローブ14a内及びこれに繋がる管路53内には「汚れなし」と判定し、図8に示した判定用の波形Cにおいて時刻TAから時刻TBの間に計数した山の数M=0で閾値Nよりも小さいことから、第1試薬分注プローブ14a内には「汚れあり」と判定する。また、山の数M=0であることから、第1試薬分注プローブ14aは「詰まっている」と判定してもよい。
ここで、時刻TBは、例えば、第1試薬分注プローブ14a内等に汚れがない場合に生成する判定用の波形Cにおいて、第4又は第5の山が検出される時刻である。そうすると、所定時間TC=TA−TBは、電磁弁52の閉鎖信号Va1を送信した時刻から、判定用の波形Cにおいて、第4又は第5の山が検出される時刻までの間となる。時刻TBが、上記のように設定される理由は、時刻TBがこれよりも後の時刻となり所定時間TCが長くなると、自動分析装置100全体の処理サイクルのタイミングに影響を与え、単位時間当たりに処理する検体数が減るからである。この所定時間TCの具体例としては、60ms〜80msである。所定時間TCは、予め、内部に汚れがない既知の第1試薬分注プローブ14aにおいてステップS001〜S008の処理を行い、判定用の波形Cを生成することで決定される。決定された所定時刻TB、所定時間TCは、例えば、記憶部37に記憶される。
また、判定処理部Bは、例えば、判定用の波形Cにおいて時刻TAから時刻TBの間に計数した山の数Mの個数から、第1試薬分注プローブ14a内等における「汚れの度合い」を判定することができる。これは、例えば、第1試薬分注プローブ14a内等の汚れによって、洗浄水Wの流れが悪くなっている場合には、電磁弁52を閉鎖した後における、洗浄水Wの流れの慣性も小さくなる。そうすると、電磁弁52直後に生じる負圧も小さくなり、大気圧によって押し戻される圧力は小さくなる。その結果、圧力検出データSの振動波形における、第1波の振幅が、第1試薬分注プローブ14a内及びこれに繋がる管路53内に汚れが無い場合と比較して小さくなる。
このことにより、第1試薬分注プローブが完全には詰まってはいないものの、管路53内の汚れによって流れが悪くなっている場合には、第1試薬分注プローブ14a内等に汚れがない場合と比較して、管路53内の圧力の減衰振動が、大気圧に早く収束する。このことにより、判定用の波形Cの所定時間TCにおける山の数Mが少なければ少ないほど、管路53内部の流れが悪いといえ、第1試薬分注プローブ14a内等の汚れの度合いが大きいと判断することができる。
また、判定処理部Bは、判定用の波形Cの所定時間Tcにおける山の数Mを計数可能な場合に、圧力検出データSの振動波形における、第1波の振幅から、第1試薬分注プローブ14a内等の汚れの度合を判定してもよい。これは、例えば、圧力検出データの第1波の電圧Vの絶対値|V|が、閾値VD以上であれば、第1試薬分注プローブ14a内及びこれに繋がる管路53内に「汚れなし」と判定され、閾値VE以上閾値VD以下であれば、第1試薬分注プローブ14a内等に「汚れ小あり」と判定され、閾値VF以上閾値VE以下であれば、第1試薬分注プローブ14a内等に「汚れ大あり」と判定される。ここで、閾値VDは、例えば、第1試薬分注プローブ14a内及びこれに繋がる管路53内に汚れがない場合の第1振動波の振幅である。また、閾値VEは、例えば、閾値VDの60%程度の値である。また、閾値VFは、例えば、閾値VDの10%程度の値である。第1振動波とは、圧力検出データSの減衰振動波形における最初の波である。また、第1試薬分注プローブ14a内等の汚れの度合の情報から、第1試薬分注プローブ14aが使用可能であるかを事後的に判定してもよい。
このように、判定部36において、ステップS007〜S009の処理をすることで判定された第1試薬分注プローブ14a内等の汚れの有無、汚れの度合の情報は、例えば、出力部40に出力され、必要に応じて、印刷、表示、及び外部出力等がなされる。出力部40に出力がなされることで、例えば、外部への報知等が行われる。この放置等によって、自動分析装置100の操作者に対して、内部に汚れがあり正常に分注が行えない疑いのある第1試薬分注装置14の点検を促すことができる。この点検により、例えば、第1試薬分注プローブ14a、管路53等が、洗浄、交換等される。また、第1試薬分注プローブ14a内等の汚れの有無の情報は、例えば、制御部27に送信される。制御部27は、詰まり有り、内部に汚れあり等の判定を汚れ検知部33から受けると、例えば、洗浄の工程と上記に示した第1試薬分注プローブ14a内等の汚れの有無の判定処理とを順次行う。
[自動分析装置の作用、効果]
この実施形態の自動分析装置100は、貯留タンク71からの洗浄水Wの供給を停止することで起こる管路53内の圧力変動を用いて、第1試薬分注プローブ14a内等の汚れの有無及び第1試薬分注プローブ14a内等の汚れ等の有無の判定を行う。この圧力変動は、前述したように水撃作用によるものである。このことから、第1洗浄部14cの構成は、吸入及び吐出をすることで洗浄水を輸送する第1洗浄ポンプ54と、洗浄水の輸送を遮断する電磁弁52と、電磁弁52よりも下流の位置に設けられる圧力センサ51と、これらを接続する管路53とを少なくとも備えていればよい。このことから、簡易な構成で、分注プローブ内の汚れの検知を確度よく行うことができる。
また、この実施形態の自動分析装置100における、第1試薬分注プローブ14a内の汚れの有無の判定は、第1試薬分注プローブ14aからの洗浄水を吐出が終了したタイミングにおいて行っている。より詳しくは、電磁弁52を閉鎖して、第1試薬分注プローブ14aから吐出する洗浄水Wの供給を停止したタイミングで行っている。これにより、洗浄動作の途中で詰まりが解消された場合であっても、その後に、詰まり等の判定を行うので、誤って詰まりと判定してしまうことを防止できる。
<第2の実施形態>
[自動分析装置]
次に、第2の実施形態に係る自動分析装置100について説明する。
この実施形態に係る自動分析装置の、全体構成、第1洗浄部、第2洗浄部及びサンプル分注プローブ洗浄部等の構成は、汚れ検知部33の判定部36が、上述した第1の判定結果から、第2の判定の要否を判定可能に構成されていること以外は、第1実施形態と同様である。
以下、この実施形態の自動分析装置100の動作を、第1の実施形態で用いた図面を適宜使用して説明をする。
[自動分析装置の動作]
この実施形態の自動分析装置100の動作、特に第1洗浄部14cの動作について、その一例を説明する。この動作説明においては、図1〜3を適宜用いる。
図9は、第1の判定をした後に、その結果に応じて第2の判定をする処理を示したフローチャートである。第1の判定は、第1試薬分注プローブ14aによる試薬等の分注時に、第1試薬分注プローブ14a及びこれに接続される管路53内の圧力を計測することで、第1試薬分注プローブ14a及びこれに接続される管路53の汚れを判定する。この第1の判定の判定結果に基づいて、第1試薬分注プローブ14aの洗浄時おいて上述した第2の判定を行う。
図9に示すように、まず、圧力センサ51は、第1試薬分注プローブ14aによる試薬等の分注の吸引時における管路53内の圧力を継続的に検出する(ステップS020)。
次に、圧力センサ51において吸引時に継続して検出された圧力検出データを、処理部34、演算部35等で処理をすることで、検出圧力の時間平均値の絶対値を演算し、その値を判定部36に渡す(ステップS021)。
次に、検出圧力の時間平均値の絶対値を受けた判定部36は、この値が設定された閾値Pよりも小さいか否かを判定する(ステップS022)。この値が閾値Pよりも小さい場合には、第1試薬分注プローブ14a内等に、内部汚れが存在することで、詰まりが生じ吸引圧が低下していると考えられる。このため、判定部36は、この値が閾値Pよりも小さい場合には、「分注吸引時に管内汚れあり」と判定して(ステップS023)、判定結果を対応する第1試薬分注プローブ14aの情報とともに記憶部37に保管する(ステップ0024)。
次に、圧力センサ51は、第1試薬分注プローブ14aによる試薬等の分注の吐出時における管路53内の圧力を継続的に検出する(ステップS025)。
次に、圧力センサ51において吐出時に継続して検出された圧力検出データを、処理部34、演算部35等で処理をすることで、検出圧力の時間平均値の絶対値を演算し、その値を判定部36に渡す(ステップS026)。
次に、検出圧力の時間平均値の絶対値を受けた判定部36は、この値が設定された閾値Qよりも大きいか否かを判定する(ステップS027)。この値が閾値Qよりも大きい場合には、第1試薬分注プローブ14a内等に、内部汚れが存在することで、詰まりが生じ吐出圧が大きくなっていると考えられる。このため、判定部36は、この値が閾値Qよりも大きい場合には、「分注吸引時に管内汚れあり」と判定して(ステップS028)、判定結果を対応する第1試薬分注プローブ14aの情報とともに記憶部37に保管する(ステップ0029)。これらの処理を経て、第1の判定は終了する。
次に、第1試薬分注プローブ14aによる分注工程が終了する(ステップ0030)と、判定部36は、記憶部37内に保管された、第1の判定の各判定結果を参照する(ステップ0031)。
判定部36は、これらの判定結果から、第2の判定の要否判定をする(ステップ0032)。
判定部36によって、第2の判定が必要であると判定された場合(ステップ0033)には、第2の判定である、上記の図4において示したステップS001〜S011の処理を行う(ステップS0034)。第2の判定の要否判定は、分注吸引時、分注吐出時のいずれかの時に「汚れあり」と判定された場合を、第2の判定が必要であると判定してもよいし、分注吸引時及び分注吐出時の両方において「汚れあり」と判定された場合を、第2の判定が必要であると判定してもよい。
判定部36によって、第2の判定が必要でないと判定された場合には、通常の洗浄動作によって第1試薬分注プローブ14aの洗浄を行う。
この実施形態の自動分析装置100の動作のその他の構成は、第1の実施形態の自動分析装置100の動作と同様である。
[自動分析装置の作用、効果]
この実施形態による自動分析装置100は、汚れ検知部33の判定部36が、分注時における第1試薬分注プローブ14a内の汚れの有無の判定である第1の判定結果から、第1試薬分注プローブ14aの洗浄時における第1試薬分注プローブ14a内の汚れの有無の判定である第2の判定の要否を判定可能に構成されること以外は、第1の実施形態と同様に構成されるので、第1の実施形態と同様な作用、効果を奏することができる。さらに、分注時において第1試薬分注プローブ14aの汚れの有無の判定をして、その判定結果に基づいて、第1試薬分注プローブ14aの洗浄時における第1試薬分注プローブ14a内の汚れ判定を選択的に行うので、第1試薬分注プローブ14aの洗浄時間を短縮することができ、自動分析装置100において単位時間当たりに処理する検体数を増やすことができる。
第1及び第2の実施の形態で説明した、第1洗浄部14cの構成は、前述したように、第2洗浄部15c、サンプル分注プローブ洗浄部16c等の、他のプローブの洗浄部においても適用することができる。また、第1試薬分注プローブ14aの汚れ検知の処理は、第2試薬分注プローブ15a、サンプル分注プローブ16a等の他の分注プローブの汚れ検知の処理にも適用することができる。
また、第1及び第2の実施形態の自動分析装置100は、例えば、容器に分注プローブを用いて分注する分注装置にも適用することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるととともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。