JP6261345B2 - 車両用灯具 - Google Patents

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    • F21LIGHTING
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Description

本発明は、車両用灯具に関する。
従来、ロービーム用配光パターンを形成する車両用灯具において、一部の光を用いてロービーム用配光パターンよりも上方を照射することができる灯具ユニットが考案されている(特許文献1参照)。この灯具ユニットは、白色LEDから上方へ出射した光の一部が、リフレクタの先端側で反射された後、シェードの前方且つ投影レンズの後方側焦点より下方に設けられた略板状形状の反射面にて投影レンズへ向けて反射される。この際、シェードの所定の反射面で反射して投影レンズに入射した光が上向きの照射光としてレンズから出射されて、ロービーム用配光パターンより上方を照射する。
これにより、ロービーム用配光パターンにおけるカットオフラインより上方においても、対向車のグレアとならない程度の照射光によって、前方の視認性を高めることができる。
特開2010−108727号公報
ところで、上述の車両用灯具が照射する光のように、ロービーム用配光パターンより上方を照射する光は、道路に設置された標識等を照らすことにも利用される。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、標識等の視認性をより向上できる車両用灯具を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用灯具は、互いにピーク波長の異なる光を出射する複数のレーザ光源と、複数のレーザ光源から出射された光によって配光パターンを形成するように構成された配光形成部と、を備える。配光形成部は、水平線よりも上方にある標識を照射する上方配光パターンを形成できるように構成されている。
この態様によると、光源にレーザ光源を用いているため、連続光であるLED光源と比較して、同じ光度(照度)であってもドライバが見る標識の輝度を高めることができる。その結果、標識の視認性を従来よりも向上できる。
複数のレーザ光源のうち一つのレーザ光源は、ピーク波長が630nm以下の赤色光を発するように構成されていてもよい。これにより、例えば1型色覚異常者に対しても、標識の視認性の向上をもたらすことができる。
本発明の別の態様もまた、車両用灯具である。この車両用灯具は、互いにピーク波長の異なる光を出射する複数のレーザ光源と、白色光を発するLED光源と、複数のレーザ光源およびLED光源から出射された光によって配光パターンを形成するように構成された配光形成部と、を備える。配光形成部は、水平線よりも上方にある標識を照射する上方配光パターンを形成できるように構成されている。
この態様によると、光源にレーザ光源が含まれているため、連続光であるLED光源のみの場合と比較して、同じ光度(照度)であってもドライバが見る標識の輝度を高めることができる。その結果、標識の視認性を従来よりも向上できる。
複数のレーザ光源は、赤色光を発する赤色レーザ光源を含んでもよい。配光形成部は、少なくともLED光源および赤色レーザ光源によって上方配光パターンを形成するように構成されていてもよい。これにより、赤色を含むまたは赤色に近い色の標識に対する視認性を向上できる。
複数のレーザ光源は、混色により白色光が得られるように構成されていてもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、標識等の視認性をより向上できる。
第1の実施の形態に係る車両用灯具の基本構成を説明するための縦断面図である。 車両用灯具を用いた車両の前方照射範囲を模式的に示す図である。 第2の実施の形態に係る車両用灯具の基本構成を説明するための縦断面図である。 第3の実施の形態に係る車両用灯具の基本構成を説明するための縦断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る車両用灯具の基本構成を説明するための縦断面図である。第1の実施の形態に係る車両用灯具10は、光源からの光束を有効に利用して頭上標識(OHS:overhead signs)用の配光を形成するよう構成されている。
車両用灯具10は、素通し状の透光カバー12と、ランプボディ14と、透光カバー12およびランプボディ14とで形成された灯室16と、灯室16内に配置された灯具ユニット18と、を備える。
灯具ユニット18は、図1に示すように、車両前後方向に延びる光軸Ax上に配置された投影レンズ20と、投影レンズ20の後方側に配置された光源ユニット22と、を備える。光源ユニット22は、一つ以上のレーザ光源24を有する。ここで、投影レンズ20は、複数のレーザ光源から出射された光によって配光パターンを形成するように構成された配光形成部として機能する。投影レンズ20は、水平線よりも上方にある頭上標識を照射する上方配光パターンを形成できるように構成されている。
以下では、互いにピーク波長の異なる光を出射する複数のレーザ光源、具体的には、赤色(R)レーザ光源、緑色(G)レーザ光源、青色(B)レーザ光源の3つを用いて白色光を実現する光源用ニットを例に説明する。なお、レーザ光源の数や組合せはこの例に限られるものではなく、一つのレーザ光源で単色光を実現するものや、2つのレーザ光源で白色または他の色を実現するものであってもよい。好ましくは、複数のレーザ光源は、赤色光を発する赤色レーザ光源を含んでいるとよい。これにより、赤色を含むまたは赤色に近い色の標識に対する視認性を向上できる。
赤色(橙)レーザ光源は、例えば、600nm以上650nm以下の波長域内にピーク波長を有することが好ましい。緑色レーザ光源は、例えば、500nm以上550nm以下の波長域内にピーク波長を有することが好ましい。青色レーザ光源は、例えば、450nm以上480nm以下の波長域内にピーク波長を有することが好ましい。
図2は、車両用灯具10を用いた車両26の前方照射範囲を模式的に示す図である。車両26は、OHS用ビームPOHSを形成する上述の車両用灯具10以外に、不図示のすれ違いビーム(ロービーム)P用の車両用灯具を備えている。そして、車両用灯具10は、車両前方に存在する頭上標識28を照射し、頭上標識28に対するドライバの視認性を向上する。
本発明者らは、レーザ光源を用いた車両用灯具10によって標識等を照射することで、通常のLED光源を用いた車両用灯具と比較して、標識の視認性を高めることができる点に想到した。
より詳述すると、従来の白色LEDと同じ光度(照度)のレーザ光源ユニットを用いることで、ドライバが視認する標識の輝度を高めることができる。その結果、標識の視認性を従来よりも向上できる。表1は、衣服の色や標識の種類による輝度の違いを光源の種類ごとにまとめたものである。
Figure 0006261345
表1に示すように、視対象として、赤色のTシャツ、駐車禁止標識の赤領域および青領域、速度制限領域の白領域、赤領域および青領域を選択した。そして、光源として白色LEDからなる白色光源と、RGB3色のレーザからなる白色光源との光度(照度)が同じになるように出力を調整し、各光源により視対象を照射した場合の輝度を測定した。その結果、レーザ光源の方がLED光源よりも輝度が1.7〜2.8倍になることが明らかとなった。
表2は、標識の隣接する図柄の色差を表したものである。
Figure 0006261345
表2に示すように、駐車禁止標識の赤領域と青領域の色差、速度制限標識の赤領域と白領域の色差および白領域と青領域の色差を、LED光源およびレーザ光源のそれぞれについて測定した。なお、色差は、CIE L表色系で表している。その結果、レーザ光源を用いた場合、LED光源と比較して、赤領域と他の色の領域との色差が大きくなることが明らかとなった。
また、実際に被験者による評価では、上述の標識について、
i)明るく見える
ii)目立つ
iii)浮き上がって見える
等の感想が得られている。このように、レーザ光源を用いた車両用灯具で標識を照射することでドライバの視認性を高められることが明らかとなった。
なお、レーザ光源の各色の出力は、道路標識の赤領域の反射光の色度のx座標が0.666〜0.726、y座標が0.274〜0.334となるように調整されているとよい。より好ましくは、x座標が0.692〜0.719、y座標が0.281〜0.308となるように調整されているとよい。
同様に、レーザ光源の各色の出力は、道路標識の青領域の反射光の色度のx座標が0.124〜0.169、y座標が0.007〜0.058となるように調整されているとよい。より好ましくは、x座標が0.144〜0.164、y座標が0.011〜0.030となるように調整されているとよい。
また、レーザ光源の各色の出力は、道路標識の赤領域と白領域の色差ΔEが500〜700となるように調整されているとより好ましい。同様に、道路標識の赤領域と青領域の色差ΔEが700〜1000となるように調整されているとより好ましい。
なお、レーザ光源の光は、ピーク波長を中心に波長域が非常に狭い輝線スペクトルであるため、色覚異常者にとっては、特定の色が見えにくい場合がある。特に、L錐体が欠損または機能低下している1型色覚異常者にとっては、標識として重要な赤色が見えにくい。そこで、赤色レーザ光源は、ピーク波長が630nm以下の赤色光を発するように構成するとよい。これにより、例えば1型色覚異常者に対しても、赤色を含む標識の視認性の向上をもたらすことができる。なお、レーザ光源に加えて連続スペクトルの光を発するLED光源を併用してもよい。
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態に係る車両用灯具の基本構成を説明するための縦断面図である。第2の実施の形態に係る車両用灯具30は、OHS用の配向とロービーム用の配向とを兼ねている。なお、第1の実施の形態に係る車両用灯具10と同様の構成については同じ符号を付して説明を適宜省略する。
車両用灯具30は、灯室16内に配置された灯具ユニット32を備える。灯具ユニット32は、車両前後方向に延びる光軸Ax上に配置された投影レンズ20と、投影レンズ20の後方側焦点Fに配置された光源ユニット22と、光源ユニット22から上方へ出射した光を前方に向けて光軸Ax寄りに反射させるリフレクタ34と、投影レンズ20と光源ユニット22との間に配置されてリフレクタ34からの反射光の一部を遮蔽して配光パターンのカットオフラインを形成するシェード36と、を備える。ここで、投影レンズ20、リフレクタ34およびシェード36が配光形成部を構成する。
シェード36は、減光(ND:Neutral Density)フィルタ、液晶シャッター、バンドパスフィルタ等の少なくとも一つの機能を兼ねており、リフレクタ34で反射しシェード36の裏面36aに入射した光の一部を透過させる。この透過光(L2)を、OHS用の配向に利用することで、レーザ光源からなる光源ユニット22は、OHS用の配向(L2)とロービーム用の配向(L1)とを兼ねることができる。
(第3の実施の形態)
図4は、第3の実施の形態に係る車両用灯具の基本構成を説明するための縦断面図である。第3の実施の形態に係る車両用灯具40は、通常のロービーム用の配光(L1)は白色LED光源42を用い、OHS用の配向(L2)には光源ユニット22を用いている。光源ユニット22は、シェード44の前面44aに設けられている。
車両用灯具40は、光源にレーザ光源である光源ユニット22が含まれているため、連続光であるLED光源のみの場合と比較して、同じ光度(照度)であってもドライバが見る標識の輝度を高めることができる。その結果、標識の視認性を従来よりも向上できる。また、ブロードな分光を有する白色LED光源42が発する光の一部をOHS用の配向に利用することで、色覚異常者に対する視認性を向上できる。
(変形例)
上述の光源としては、赤色、緑色、青色の3色のレーザ光源に、黄色またはアンバー(橙)色のレーザ光源を加えたものであってもよい。また、青色LEDおよび黄色蛍光体からなる白色LED光源と、赤色レーザ光源との組合せや、青色レーザおよび黄色蛍光体からなる白色レーザ光源と、赤色レーザ光源との組合せであってもよい。
また、上述の配光形成部としては、拡散板(透明型、反射型)、マイクロミラーデバイス(スキャン式、アレイ式)、液晶(透過型、反射型)等の各種デバイスを適宜組み合わせて構成してもよい。例えば、ハイビーム用の光源とOHS用の光源を一体とし、液晶やフィルタで光路を切り替えてもよい。あるいは、ハイビーム用の光源とOHS用の光源を一体とし、PWM制御によって切り替えてもよい。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態では、上述の各車両用灯具を、よりドライバの視点に近い位置に配置する。例えば、運転席側のヘッドランプ、運転席側のサイドミラー、バックミラー、ダッシュボード近傍、ルーフ等に配置するとよい。道路標識は、車両からの視認性を向上するため、光の入射方向と反射方向とが平行に近くなるように、その表面形態や反射層の構成が工夫されている。つまり、灯具から照射した光は標識で反射され灯具に向かう割合が高い。そこで、ドライバの視点に近い位置に上述の車両用灯具を配置することで、車両用灯具から出射した光のうちドライバに届く光が多くなる。つまり、ドライバから見た標識の輝度が向上する。
なお、車両前方を撮影するカメラやGPS情報等に基づいて、前方に標識が存在しないと判定される状況では、OHS用のレーザ光源を減光または消灯させてもよい。その際、通常のロービーム用やハイビーム用の光源については点灯または増光してもよい。反対に、前方に標識が存在すると判定される状況では、OHS用のレーザ光源を増光または点灯させてもよい。その際、通常のロービーム用やハイビーム用の光源については減光または消灯してもよい。これにより、車両用灯具による最適な点灯状態を実現できる。
以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
10 車両用灯具、 12 透光カバー、 14 ランプボディ、 16 灯室、 18 灯具ユニット、 20 投影レンズ、 22 光源ユニット、 24 レーザ光源、 28 頭上標識、 30 車両用灯具、 32 灯具ユニット、 34 リフレクタ、 36 シェード、 40 車両用灯具、 42 白色LED光源、 44 シェード。

Claims (5)

  1. 互いにピーク波長の異なる光を出射する複数のレーザ光源と、
    前記複数のレーザ光源から出射された光によって配光パターンを形成するように構成された配光形成部と、を備え、
    前記配光形成部は、水平線よりも上方にある標識を照射する上方配光パターンを形成できるように構成されており、
    前記複数のレーザ光源のそれぞれの出力は、
    (i)道路標識の赤領域の反射光の色度のx座標が0.666〜0.726、y座標が0.274〜0.334、
    (ii)道路標識の青領域の反射光の色度のx座標が0.124〜0.169、y座標が0.007〜0.058、
    (iii)道路標識の赤領域と青領域の色差ΔEが700〜1000、
    となるように調整されていることを特徴とする車両用灯具。
  2. 前記複数のレーザ光源のうち一つのレーザ光源は、ピーク波長が630nm以下の赤色光を発するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
  3. 互いにピーク波長の異なる光を出射する複数のレーザ光源と、
    白色光を発するLED光源と、
    前記複数のレーザ光源および前記LED光源から出射された光によって配光パターンを形成するように構成された配光形成部と、を備え、
    前記配光形成部は、水平線よりも上方にある標識を照射する上方配光パターンを形成できるように構成されており、
    前記複数のレーザ光源のそれぞれの出力は、
    (i)道路標識の赤領域の反射光の色度のx座標が0.666〜0.726、y座標が0.274〜0.334、
    (ii)道路標識の青領域の反射光の色度のx座標が0.124〜0.169、y座標が0.007〜0.058、
    (iii)道路標識の赤領域と青領域の色差ΔEが700〜1000、
    となるように調整されていることを特徴とする車両用灯具。
  4. 前記複数のレーザ光源は、赤色光を発する赤色レーザ光源を含み、
    前記配光形成部は、少なくとも前記LED光源および前記赤色レーザ光源によって前記上方配光パターンを形成するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
  5. 前記複数のレーザ光源は、混色により白色光が得られるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用灯具。
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