JP6261277B2 - 焼却残渣処分方法 - Google Patents
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Description
(1)焼却残渣にセメントと水を添加して混練した状態は概ねスランプ0cmの非流動状態であるが、これに面振動を与えることで流動性が増し、極めて密実な固化体が得られる。具体的には、透水係数10−7〜10−9(cm/s)オーダーの固化盤が形成されることから、雨水など外部からの浸透水を排除でき、焼却残渣中にある重金属等に由来する有害物質の浸出を抑えることができる。その結果、単位浸出水に係る処理費が飛躍的に軽減されるうえ、浸出水そのものが大幅に減少することから、浸出水の処理全体にかかる費用が著しく軽減される。
(2)上記のとおり、透水係数10−7〜10−9(cm/s)オーダーの固化盤が形成され、焼却残渣中の有害物質の浸出を抑えることができるため、従来(20〜30年)に比べ極めて短い期間(概ね2.5年)で処分場を廃止し、跡地として利用することができる。
(3)焼却残渣中には有機物が少なくケイ素やアルミナ分が多量に含まれているため、水とセメントの水和反応により、安定した結晶体(固化体)が生成される。したがって、二酸化炭素等のガス発生などに伴う沈下現象が生じることがなく、早期に安心して跡地を利用することができる。
(4)安定した固化盤を形成しながら焼却残渣を埋立処分していくため、焼却残渣の飛散を防止する中間覆土や即日覆土を必要としない。その結果、中間覆土や即日覆土に相当する分だけ多くの焼却残渣を埋立処分することができる。なお、本願発明の場合、セメントを混入する必要があるが、試算した結果、使用するセメント量を差し引いてもなお全体の15%ほど処分量が改善されることが分かっている。
(5)分割塑性流体層の側面は自立することができるので、型枠を用いる必要がなく、その結果、従来工法と同等以上の効率で埋立作業を行うことができる。
(6)焼却残渣は埋立処分された固化盤が積み重なり固化地盤となる。この固化地盤は剛体であるため、従来の処分場に比べ地震に対して強く抵抗することができる。また、既述のとおり雨水等は固化地盤内へ浸透し難く、その結果、固化地盤内にすべり面や崩壊面が形成されにくいことから、従来の処分場に比べ豪雨等に対して容易に崩壊することがない。
図1は、本願発明の焼却残渣処分方法の一連の流れを示す説明図である。この図を参考に、まずは本願発明の全体概要について説明する。はじめに密閉型のダンプトラックDtなどの輸送車によって、飛灰を含む焼却残渣が最終処分場内に搬入され、所定の場所で降ろされる(図1のA)。この焼却残渣に適量の水とセメントを添加し、スタビライザーやバックホウBhによって混練する(図1のB)。このとき、別途用意したミキシングプラントによって混練することもできる。焼却残渣、適量の水、セメントを混練した結果得られるものが、スランプ0cm程度の「非流動性の塑性混練物」である。次に、バックホウBhなどの重機によって非流動性の塑性混練物を層状に敷き均し、「塑性混練物の層状体」を形成する(図1のC)。
はじめに、最終処分場として焼却残渣を受け入れるため、図5に示すように、掘削整形された地山上に遮水シートを敷設する(Step10)。遮水シート敷設後、その上から砂や土砂を使用した保護層を設置し(Step20)、焼却残渣の受け入れを開始する。
既述のとおり、焼却施設等で発生した一般廃棄物や産業廃棄物の焼却残渣は、密閉型のダンプトラックDtなどの輸送車によって、最終処分場まで搬入され、処分場の所定位置に降ろされる(Step30)。
焼却残渣に水とセメントを添加し、所定の機械(もしくは人力)で混練(撹拌〜混ぜ合わせ)する(Step40)。この焼却残渣には飛灰が含まれ、後に説明する超流体状態とするためには全体の1/2(つまり、飛灰:主灰=50:50)以上の飛灰を含むことが望ましい。添加するセメント量は焼却残渣に対して少量であり、例えば焼却残渣とセメントの重量比は95:5〜80:20とすることができる。また、水セメント比(W/C)はできるだけ小さくなるよう配合され、セメント量に対して適量の水が添加される。なお、ここで添加するセメントは、ポルトランドセメントをはじめ、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、アルミナセメント、他のセメント系固化材など、種々のものを採用することができる。
塑性混練物が形成できると、バックホウBhなどの重機を使用して層状に敷き均し「塑性混練物の層状体」を形成する(Step50)。図3は、塑性混練物の層状体を形成する過程を示す部分断面図である。塑性混練物の層状体は、例えば50cm程度の等厚で処分場内一面に敷き均された層である。通常、処分場の面積は広大であり、つまり塑性混練物の層状体も大きな面積をもつ。したがって、搬入される焼却残渣の量や、敷き均しの施工能力にもよるが、通常は一日の作業で1層すべてを仕上げることはなく、平面的に分割して仕上げていくことが多い。便宜上、平面分割された塑性混練物の層状体を、ここでは「分割層状体10」といい、これを固化させたものを「分割固化盤20」という。
分割層状体10が形成されると、今度は「分割塑性流体層」を形成する(Step60)。図4は、分割塑性流体層30を形成する状況を示す説明図である。この図に示すように、分割塑性流体層30は、分割層状体10の表面、具体的には上面10bと打継ぎ側面10aに対して、外部から面振動を与えることで形成される。その手段としては、バックホウBhなどの重機に取り付けた振動板Vbなど従来からある種々のものを採用することができ、例えば振動数3,000〜5,000rpm、振幅0.5〜2.0mmで加振することができる。
分割塑性流体層30が形成されると、固化するまで(およそ1日)待機する(Step70)。このとき、特になにも施すことなく待機してもよいし、シート等を使用した養生を行ってもよい。分割層状体10が固化した結果得られるのが「分割固化盤20」である。分割固化盤20が形成されると、図2のStep50〜Step70の工程を繰り返し(ループA)、隣接する分割固化盤20を形成していき、1層すべての固化盤200(図3)を完成させる(Step80)。
図2のStep50〜Step80工程を繰り返して(ループB)、固化盤200を計画の段数(層数)まで積み重ねていって全層の固化盤200を仕上げる(Step90)。このとき、図3に示すように中間覆土や即日覆土でカバーすることなく、下層の固化盤200上に直接分割層状体10を敷き均していく。そして、最終(最上)の固化盤200が形成されると、その上に最終覆土でカバーして(Step100)、最終処分場が完成される。
10a 打継ぎ側面
10b 分割層状体の上面
20 分割固化盤
200 固化盤
30 分割塑性流体層
Bh バックホウ
Dt (密閉型の)ダンプトラック
Vb 振動版
Claims (2)
- 焼却残渣を処分する方法において、
前記焼却残渣に、セメント及び水を添加して混練することで、非流動性の塑性混練物を形成する混練物形成工程と、
処分場の所定位置に、前記塑性混練物を層状に敷き均すことで、該塑性混練物の層状体を形成する層状体形成工程と、
前記層状体の表面に対して面振動を与えることで、前記焼却残渣の粒子の周囲にセメント及び水を浸透させ、流動性の塑性流体層を形成する塑性流体層形成工程と、
所定時間待機して前記塑性流体層を固化させることで、固化盤を形成する固化盤形成工程と、を備え、
前記固化盤は、2以上に平面分割された分割固化盤からなり、
前記層状体形成工程では、前記分割固化盤に対応する範囲で分割層状体を形成し、該分割層状体は、後続工程で形成される分割固化盤と接する側面が、傾斜した側面として形成され、
前記塑性流体層形成工程では、前記分割層状体の上面及び前記傾斜した側面に対して面振動を与えることで分割塑性流体層を形成し、
前記固化盤形成工程では、前記傾斜した側面を含む前記分割固化盤を形成し、
前記分割固化盤の前記傾斜した側面に接して、後続工程の分割塑性混練物が敷き均されて、隣接の分割固化盤が形成され、2以上の連続する前記分割固化盤によって1層の前記固化盤が形成され、
前記1層の固化盤の上に直接、後続工程の塑性混練物が敷き均されて、上層の固化盤が形成され、前記処分場内に2以上の固化盤を積み重ねることで前記焼却残渣を処分する、ことを特徴とする焼却残渣処分方法。 - 前記処分場内に前記焼却残渣を搬入する搬入工程を、さらに備え、
前記混練物形成工程は、前記処分場内で行われる、ことを特徴とする請求項1記載の焼却残渣処分方法。
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