JP6261277B2 - 焼却残渣処分方法 - Google Patents

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Description

本願発明は、廃棄物焼却残渣の処分に関するものであり、より具体的には、セメント及び水を添加して焼却残渣を固化させたうえで埋立処分する焼却残渣処分方法に関するものである。
近年、国や自治体を中心とする様々な取り組みによって、我が国の廃棄物の排出量は減少傾向にある。それでも年間4億トンを超える大量の廃棄物が排出されており、処分場の確保はやはり大きな問題である。廃棄物の内訳をみると、一般廃棄物が約4,500万トンで産業廃棄物は約3.9億トンが排出されており、産業廃棄物が全体の9割近くを占めている。
産業廃棄物や一般廃棄物は、資源化されるものと処分されるものに大別され、処分されるものはさらに焼却されるものとそうでないものに分けられる。例えば一般廃棄物の場合、処分される廃棄物は焼却施設に直接送られるものと、中間処理施設に送られるものに分かれ、中間処理施設で生じた処理残渣のうち焼却されるものは改めて焼却施設に送られる。そして、中間処理施設で生じた処理残渣のうち焼却されないものと、焼却施設で生じた焼却残渣は、最終処分場に送られる。
最終処分場で埋立処分される一般廃棄物は年間約500万トンで、そのうち焼却残渣の量は約350万トンであり、全体の7割が焼却残渣で占められている。一方の産業廃棄物は、最終処分場で埋立処分される年間約1400万トンのうち約800万トンが焼却残渣であり、こちらも半分以上が焼却残渣となっている。このように現状の最終処分場は、いわば「灰捨て場」の様相を呈している。
焼却残渣は、主灰と飛灰に区別される。焼却施設の炉の底などで集めたものが主灰(ボトムアッシュ)であり、集塵装置で集めたものやボイラーなどに付着したものが飛灰(フライアッシュ)である。飛灰は、主灰に対して約1/3程度しか排出されないが、主灰に比べてダイオキシン類や、鉛、亜鉛、カドミウムといった重金属などを多く含む。そのため、焼却残渣を最終処分場で埋立処分する前に、飛灰に液体キレート剤を添加する処理を行っている。液体キレート剤との化学結合によって、飛灰中の重金属イオンが環境中に溶出しにくくなるわけである。
一般廃棄物の焼却残渣は一般廃棄物最終処分場で埋立処分され、産業廃棄物の廃棄物は管理型の最終処分場で埋立処分されることが多い。一般廃棄物最終処分場も「管理型」の最終処分場に分類されるもので、この管理型最終処分場は、処分場からの浸出水や周辺地下水などが省令で定める基準を満たすように維持管理しなければならない。さらに、管理型最終処分場を廃止するためには、場内で集められた保有水の水質が、2年以上にわたって所定の排水基準等に適合していると認められることが必要とされている。そのため、管理型最終処分場では、直接地山の上に焼却残渣等を埋め立てることはなく、図5に示すように、地山の上に遮水シートを敷設し、さらに保護層(砂や土砂)を設置したうえで、焼却残渣等を埋め立てている。
ところが、図5のような対策を施したとしても、必ずしも省令基準を満たすとはいえず、処分場からの浸出水をある程度貯留し、これを水処理したうえで排出しているのが現状である。つまり、多くの管理型最終処分場は維持管理さえ難しい状況にあり、廃止に至るまでには20〜30年かかるといわれ、極めて長い期間最終処分場として運営しなければならない。したがって、浸出水の排出処理など維持管理にかかる費用がかさむうえ、跡地として上空利用するまでに相当な期間を要することとなる。
また、跡地利用の面では別の問題もある。管理型最終処分場で埋立処分するものの大部分は焼却残渣であることは既に述べたとおりである。焼却残渣は無機物であり、二酸化炭素などのガスが発生することは考えにくいが、現実には焼却残渣の中には燃え残りのものもあり、これが原因でガスを発生させる可能性がある。通常、ガスの発生は長期間に渡って生じるもので、例えば最終処分場を跡地利用した後にガスが発生すると、その発生分だけ跡地は沈下することになり、跡地上に建てた施設や構造物に影響を及ぼすことになる。
さらに、従来の管理型最終処分場には、処分場の空間利用の面でも問題がある。管理型最終処分場に運ばれた焼却残渣は、例えば50cm層に敷き均され、ブルドーザなどの重機によって転圧される。既述のとおり、飛灰は液体キレート剤の添加処理がされているので、当初はある程度湿気を帯びているが、その後乾燥すれば飛散しやすい状態になる。そのため、飛散防止対策を施す必要があり、図5や図6に示すように転圧後の焼却残渣の上には中間覆土が設置される。中間覆土は5〜6層積み重ねた焼却残渣の上に設置されるものであるため、焼却残渣が露出する期間が生ずる。そこで昨今では、日々の埋立作業後に覆土を行う即日覆土(デイリーカバー)が主流になっている。
中間覆土や即日覆土を設置するということは、その分焼却残渣が埋立できないことを意味している。首都圏における最終処分場の残余容量は1500万m足らずであり、その残余年数が4年といわれているように、処分場の空間確保は極めて重要な問題である。故に、中間覆土や即日覆土を省略することのできる処分方法が求められていた。
そこで特許文献1では、焼却残渣などの無機廃棄物を固化させて処分する手法を提案している。具体的には、無機廃棄物を低密度廃棄物と高密度廃棄物に分け、それぞれ水とセメントを混ぜて2種類の混練物を作る。そして、一方の混練物を型枠内に打設し、他方を異なる場所に打設したのち、それぞれ固化させる手法である。この手法によれば、焼却残渣を含む塊が固化するので、飛散防止の中間覆土や即日覆土を必要とせず、浸出水の抑制や、将来の処分地沈下を抑えることができる。
ところで、ある物質をセメント系固化材で固化する場合、配合によっては種々の問題が生ずることがある。例えば、ワーカビリティ向上のため水の量を増加すると、ブリージングを起こし、これに伴うクラックが発生するという問題が生ずる。また、強度向上のためセメント量を増加すると、水和熱の上昇に伴う内部拘束を招き、いわゆる温度ひび割れが発生するという問題が生ずる。
これまでに本願出願人は、セメント系固化材で対象物を固化する際に生ずる上記問題を解決する好適な技術である「超流体工法」を提案している。例えば特許文献2は、セメント、石炭灰、水(最適含水比程度)を練り混ぜて混練物を生成し、この混練物を施工現場まで搬送し、搬送された先で、混練物に振動を加えて流動状態にして、所定箇所に打設する方法が提案されている。この技術によれば、混練物はただ単に湿り気のある粉体の状態を保つため、これを扱う搬送手段や混練手段には、ほとんど混練物が付着しない。その結果、搬送手段や練混手段の掃除が容易であるとともに、材料を無駄なく使用できる。
特開2010−207669号公報 特開平10−311142号公報
特許文献1の手法はいくつかの効果があるものの、混練物を打設するための型枠や、この型枠を押さえるための仮設堰堤用重りなどが必要であり、これらを設置するためのスペースも必要となる。したがって、一度に埋めてできる処分量が制限されることになり、しかも型枠の組みばらしや他の仮設工を要し、単にブルドーザ転圧するだけの従来手法に比して大幅に作業効率が劣ることとなる。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、中間覆土等を省略し、浸出水の処理費用を抑え、早期に処分場を利用でき、将来沈下するおそれがなく、しかも従来手法に劣ることのない作業効率で、焼却残渣を埋立処分することのできる焼却残渣の処分方法を提供することである。
本願発明は、出願人が開発した超流体工法を応用して焼却残渣を処分するという点に着目してなされたものであり、焼却残渣の粒子間に水とセメントを浸透させることでより密実な固化盤を形成するというこれまでにない発想に基づいて行われたものである。
本願発明の焼却残渣処分方法は、混練物形成工程、層状体形成工程、塑性流体層形成工程、固化盤形成工程を備えた方法である。混練物形成工程は、焼却残渣にセメントと水を添加して混練することで、非流動性の塑性混練物を形成する工程である。層状体形成工程は、処分場の所定位置に、塑性混練物を層状に敷き均すことで、塑性混練物の層状体を形成する工程である。塑性流体層形成工程は、層状体の表面に対して面振動を与えることで、焼却残渣の粒子の周囲にセメント及び水を浸透させ、流動性の塑性流体層を形成する工程である。固化盤形成工程は、所定時間待機して塑性流体層を固化させることで、固化盤を形成する工程である。上記工程を繰り返し行うことで2以上の固化盤を積み重ねていき、焼却残渣を処分する。なお、後続工程の塑性混練物は、既設の固化盤の上に直接敷き均され、上層と下層の固化盤は連続して形成される。
本願発明の焼却残渣処分方法は、2以上に平面分割された分割固化盤からなる固化盤を形成する方法とすることもできる。この場合の層状体形成工程では、分割固化盤に相当する範囲で分割層状体を形成し、この分割層状体は、側面(後続工程で形成される分割固化盤と接する側面)が傾斜した側面として形成される。また、塑性流体層形成工程では、分割層状体の上面及び傾斜した側面に対して面振動を与えることで分割塑性流体層を形成し、固化盤形成工程では、傾斜した側面を含む分割固化盤を形成する。既設の分割固化盤に隣接する後続工程の分割塑性混練物は、既設の分割固化盤の傾斜した側面に接するように敷き均される。このように、2以上の連続する分割固化盤によって1層の固化盤が形成される。
本願発明の焼却残渣処分方法は、さらに搬入工程を備えた方法とすることもできる。搬入工程は、処分場内に焼却残渣を搬入する工程であり、この場合、混練物形成工程は処分場内で行われる。
本願発明の焼却残渣処分方法には、次のような効果がある。
(1)焼却残渣にセメントと水を添加して混練した状態は概ねスランプ0cmの非流動状態であるが、これに面振動を与えることで流動性が増し、極めて密実な固化体が得られる。具体的には、透水係数10−7〜10−9(cm/s)オーダーの固化盤が形成されることから、雨水など外部からの浸透水を排除でき、焼却残渣中にある重金属等に由来する有害物質の浸出を抑えることができる。その結果、単位浸出水に係る処理費が飛躍的に軽減されるうえ、浸出水そのものが大幅に減少することから、浸出水の処理全体にかかる費用が著しく軽減される。
(2)上記のとおり、透水係数10−7〜10−9(cm/s)オーダーの固化盤が形成され、焼却残渣中の有害物質の浸出を抑えることができるため、従来(20〜30年)に比べ極めて短い期間(概ね2.5年)で処分場を廃止し、跡地として利用することができる。
(3)焼却残渣中には有機物が少なくケイ素やアルミナ分が多量に含まれているため、水とセメントの水和反応により、安定した結晶体(固化体)が生成される。したがって、二酸化炭素等のガス発生などに伴う沈下現象が生じることがなく、早期に安心して跡地を利用することができる。
(4)安定した固化盤を形成しながら焼却残渣を埋立処分していくため、焼却残渣の飛散を防止する中間覆土や即日覆土を必要としない。その結果、中間覆土や即日覆土に相当する分だけ多くの焼却残渣を埋立処分することができる。なお、本願発明の場合、セメントを混入する必要があるが、試算した結果、使用するセメント量を差し引いてもなお全体の15%ほど処分量が改善されることが分かっている。
(5)分割塑性流体層の側面は自立することができるので、型枠を用いる必要がなく、その結果、従来工法と同等以上の効率で埋立作業を行うことができる。
(6)焼却残渣は埋立処分された固化盤が積み重なり固化地盤となる。この固化地盤は剛体であるため、従来の処分場に比べ地震に対して強く抵抗することができる。また、既述のとおり雨水等は固化地盤内へ浸透し難く、その結果、固化地盤内にすべり面や崩壊面が形成されにくいことから、従来の処分場に比べ豪雨等に対して容易に崩壊することがない。
本願発明の焼却残渣処分方法の一連の流れを示す説明図。 本願発明の焼却残渣処分方法の一連の流れを示すフロー図。 塑性混練物の層状体を形成する過程を示す部分断面図。 塑性流体層を形成する状況を示す説明図。 従来の管理型最終処分場の構造を示す部分断面図。 従来の管理型最終処分場における中間覆土を説明する部分断面図。
本願発明の焼却残渣処分方法の実施形態の一例を、図に基づいて説明する。
1.全体概要
図1は、本願発明の焼却残渣処分方法の一連の流れを示す説明図である。この図を参考に、まずは本願発明の全体概要について説明する。はじめに密閉型のダンプトラックDtなどの輸送車によって、飛灰を含む焼却残渣が最終処分場内に搬入され、所定の場所で降ろされる(図1のA)。この焼却残渣に適量の水とセメントを添加し、スタビライザーやバックホウBhによって混練する(図1のB)。このとき、別途用意したミキシングプラントによって混練することもできる。焼却残渣、適量の水、セメントを混練した結果得られるものが、スランプ0cm程度の「非流動性の塑性混練物」である。次に、バックホウBhなどの重機によって非流動性の塑性混練物を層状に敷き均し、「塑性混練物の層状体」を形成する(図1のC)。
塑性混練物の層状体が形成されると、バックホウBhなどに装着した振動版Vbによって、層状体の表面から面振動を与える(図1のD)。非流動性の塑性混練物に振動を与えると、焼却残渣の粒子の周囲(粒子間)にセメントと水が浸透していき、約30〜60秒間の振動で塑性混練物の層状体は流体化し、「流動性の塑性流体層」が形成される。その状態で待機(養生)すると、およそ1日後には流動性の塑性流体層が固化した「固化盤」が形成される。これらの工程(図1のA〜D)を繰り返して複数層の固化盤を積み重ねていき、焼却残渣を埋立処分する。
以下、図2に示すフロー図にしたがって、本願発明の焼却残渣処分方法を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
2.保護工
はじめに、最終処分場として焼却残渣を受け入れるため、図5に示すように、掘削整形された地山上に遮水シートを敷設する(Step10)。遮水シート敷設後、その上から砂や土砂を使用した保護層を設置し(Step20)、焼却残渣の受け入れを開始する。
3.搬入工程
既述のとおり、焼却施設等で発生した一般廃棄物や産業廃棄物の焼却残渣は、密閉型のダンプトラックDtなどの輸送車によって、最終処分場まで搬入され、処分場の所定位置に降ろされる(Step30)。
4.混練物形成工程
焼却残渣に水とセメントを添加し、所定の機械(もしくは人力)で混練(撹拌〜混ぜ合わせ)する(Step40)。この焼却残渣には飛灰が含まれ、後に説明する超流体状態とするためには全体の1/2(つまり、飛灰:主灰=50:50)以上の飛灰を含むことが望ましい。添加するセメント量は焼却残渣に対して少量であり、例えば焼却残渣とセメントの重量比は95:5〜80:20とすることができる。また、水セメント比(W/C)はできるだけ小さくなるよう配合され、セメント量に対して適量の水が添加される。なお、ここで添加するセメントは、ポルトランドセメントをはじめ、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、アルミナセメント、他のセメント系固化材など、種々のものを採用することができる。
適量の水のみを加えて水セメント比を小さくする理由は、後の工程で与える面振動によって混練物を密実に固化させ、その結果小さな透水係数を得るためである。ここで「適量」の水について説明する。後述するように10−7〜10−9(cm/s)オーダーの透水係数を得るためには、焼却残渣の粒子配置を一様かつ密実の状態にする必要があり、そのためには水を加えて混練物を液状化させる必要がある。しかしながら過大の水を添加すると、塑性状態が維持できなくなり混練物の取り扱いが困難になるし、ブリージングの問題もあって適切な強度が発現されず所望の透水係数は得られない。また、少量の水では十分な液状化が期待できないうえ、温度ひび割れが発生するおそれもある。したがって、適量の水が必要となるわけであるが、この適量を定める手法としては最適含水比を基準とする手法が例示できる。締固めの程度を表す値として、一般に乾燥単位体積重量(乾燥密度)が用いられており、この値が大きいほど強度が増大し、締固めの程度が向上し、透水係数は小さくなる。同じ締固め条件でも、含有する水量によって得られる乾燥単位体積重量は異なり、最も大きな乾燥単位体積重量を与える含水比が「最適含水比」である。なお、現場で大量に締固めることもあることから、混練物最適含水比より若干量だけ増やした水量を「適量の水」として定めることが望ましい。
ここの混練工程で得られるのが、非流動性の「塑性混練物」である。非流動性の塑性混練物は、湿った土のような状態で、いわゆる0スランプの状態である。後に説明する「流動性の塑性流体層」に比べると、ここで得られる塑性混練物の流動性は極めて小さい。
5.層状体形成工程
塑性混練物が形成できると、バックホウBhなどの重機を使用して層状に敷き均し「塑性混練物の層状体」を形成する(Step50)。図3は、塑性混練物の層状体を形成する過程を示す部分断面図である。塑性混練物の層状体は、例えば50cm程度の等厚で処分場内一面に敷き均された層である。通常、処分場の面積は広大であり、つまり塑性混練物の層状体も大きな面積をもつ。したがって、搬入される焼却残渣の量や、敷き均しの施工能力にもよるが、通常は一日の作業で1層すべてを仕上げることはなく、平面的に分割して仕上げていくことが多い。便宜上、平面分割された塑性混練物の層状体を、ここでは「分割層状体10」といい、これを固化させたものを「分割固化盤20」という。
分割して層状体を形成すると、図3に示すように他の分割固化盤20や保護層(地山)に接することのない独立した側面10aが一時的に形成される。この独立した側面10aは、後続工程で形成される分割層状体10(図では破線で示す)と接する側面10aであり、いわば打継ぎ面であることからここでは便宜上、「打継ぎ側面10a」ということとする。埋め立てるものが流体であれば打継ぎ側面10aには型枠が必要となるが、既述のとおり塑性混練物は0スランプ状態であって、鉛直面でも自立することが可能であり、打継ぎ側面10aには型枠を必要としない。
塑性混練物は鉛直面でも自立できるが、図3に示すように打継ぎ側面10aは傾斜させる。その理由は、次工程で行われる面振動の施工性向上を図るためである。打継ぎ側面10aを鉛直面とし自立させた場合、面的に加振することがやや困難であり、打継ぎ側面10aが所定の角度で傾斜していると面振動が容易となる。なお、面振動が施工しやすい傾斜角度(水平面と打継ぎ側面10aがなす角度)は、焼却残渣の性質、あるいは添加する材料や配合などによって異なるが、概ね20°〜40°の範囲が例示できる。
6.塑性流体層形成工程
分割層状体10が形成されると、今度は「分割塑性流体層」を形成する(Step60)。図4は、分割塑性流体層30を形成する状況を示す説明図である。この図に示すように、分割塑性流体層30は、分割層状体10の表面、具体的には上面10bと打継ぎ側面10aに対して、外部から面振動を与えることで形成される。その手段としては、バックホウBhなどの重機に取り付けた振動板Vbなど従来からある種々のものを採用することができ、例えば振動数3,000〜5,000rpm、振幅0.5〜2.0mmで加振することができる。
塑性混練物に対して面部振動を与えることで、分割層状体10を非流体の状態から流体状(超流体状態)に変える。焼却残渣のように球形の粒子を比較的多く含むものは、振動が与えられるとその中に含まれる球形粒子のベアリング効果によって粒子間が分離しやすく、その結果粒子の周囲には水分とセメント分がまんべんなく行き渡っていく。そして塑性混練物は有効応力を失い、間隙水圧のみとなって液状化現象を起こす。塑性混練物が液状化したものが分割塑性流体層30(超流体層)であり、いわばプリン状の層に変化する。この分割塑性流体層30は、液状化により粒子配置が一様かつ密実となっており、しかも、焼却残渣中には有機物が少なくケイ素やアルミナ分が多量に含まれているため水とセメントの水和反応により安定した結晶体(固化体)が生成される。この状態で固化したものは、ひび割れが少なく高強度なものであり、10−7〜10−9(cm/s)オーダーの透水係数が得られるわけである。
7.固化盤形成工程
分割塑性流体層30が形成されると、固化するまで(およそ1日)待機する(Step70)。このとき、特になにも施すことなく待機してもよいし、シート等を使用した養生を行ってもよい。分割層状体10が固化した結果得られるのが「分割固化盤20」である。分割固化盤20が形成されると、図2のStep50〜Step70の工程を繰り返し(ループA)、隣接する分割固化盤20を形成していき、1層すべての固化盤200(図3)を完成させる(Step80)。
8.最終覆土
図2のStep50〜Step80工程を繰り返して(ループB)、固化盤200を計画の段数(層数)まで積み重ねていって全層の固化盤200を仕上げる(Step90)。このとき、図3に示すように中間覆土や即日覆土でカバーすることなく、下層の固化盤200上に直接分割層状体10を敷き均していく。そして、最終(最上)の固化盤200が形成されると、その上に最終覆土でカバーして(Step100)、最終処分場が完成される。
本願発明の焼却残渣処分方法は、一般廃棄物最終処分場や産業廃棄物の管理型最終処分場で特に有効に実施することができる。本願発明は、いままさに喫緊の課題となっている「最終処分場の残容量の逼迫」に対して好適な解決策を提供することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明である。
10 分割層状体
10a 打継ぎ側面
10b 分割層状体の上面
20 分割固化盤
200 固化盤
30 分割塑性流体層
Bh バックホウ
Dt (密閉型の)ダンプトラック
Vb 振動版

Claims (2)

  1. 焼却残渣を処分する方法において、
    前記焼却残渣に、セメント及び水を添加して混練することで、非流動性の塑性混練物を形成する混練物形成工程と、
    処分場の所定位置に、前記塑性混練物を層状に敷き均すことで、該塑性混練物の層状体を形成する層状体形成工程と、
    前記層状体の表面に対して面振動を与えることで、前記焼却残渣の粒子の周囲にセメント及び水を浸透させ、流動性の塑性流体層を形成する塑性流体層形成工程と、
    所定時間待機して前記塑性流体層を固化させることで、固化盤を形成する固化盤形成工程と、を備え、
    前記固化盤は、2以上に平面分割された分割固化盤からなり、
    前記層状体形成工程では、前記分割固化盤に対応する範囲で分割層状体を形成し、該分割層状体は、後続工程で形成される分割固化盤と接する側面が、傾斜した側面として形成され、
    前記塑性流体層形成工程では、前記分割層状体の上面及び前記傾斜した側面に対して面振動を与えることで分割塑性流体層を形成し、
    前記固化盤形成工程では、前記傾斜した側面を含む前記分割固化盤を形成し、
    前記分割固化盤の前記傾斜した側面に接して、後続工程の分割塑性混練物が敷き均されて、隣接の分割固化盤が形成され、2以上の連続する前記分割固化盤によって1層の前記固化盤が形成され、
    前記1層の固化盤の上に直接、後続工程の塑性混練物が敷き均されて、上層の固化盤が形成され、前記処分場内に2以上の固化盤を積み重ねることで前記焼却残渣を処分する、ことを特徴とする焼却残渣処分方法。
  2. 前記処分場内に前記焼却残渣を搬入する搬入工程を、さらに備え、
    前記混練物形成工程は、前記処分場内で行われる、ことを特徴とする請求項1記載の焼却残渣処分方法。
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