JP6259431B2 - 自転車チューブ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特に、本願出願人は、特許文献4に示される有端の自転車チューブの開発に着手したが、その実施に際しては、乗り心地の改善と耐久性の向上の観点から、解決すべき課題が残されていることを知見した。
これを解決する手段として、閉鎖チューブの厚みを大きくして強度を向上させることを検討した。ここで、筒状部は、本体チューブの厚みと略同じ厚みとすることが好ましいと考えられるため、底部の厚みだけを大きくすることを試みた。ところが、底部の厚みを大きくすると、底部付近からの閉鎖チューブの破裂は緩和されるものの十分な結果を得ることができないことに加えて、乗り心地が低下するという弊害が生じることが知見された。
チューブの筒状部分では、接地した部分が横長に変形するだけであるが、有端の自転車チューブの両端の突き合わせ箇所では、底部全体の形状が変形する。その結果、底部全体の形状変化が、チューブの耐久性と乗り心地とに大きな影響を及ぼすと考えられる。
前記閉鎖チューブは、前記本体チューブの一方の前記端部に接着された第1閉鎖チューブと、前記本体チューブの他方の前記端部に接着された第2閉鎖チューブとを備え、前記底部は、前記第1閉鎖チューブと前記第2閉鎖チューブとのそれぞれの最先端を構成するものとすることができる。前記底部よりも先端には他の部材が存在せず、リムに装着され空気が入れられた際、前記第1閉鎖チューブ及び前記第2閉鎖チューブの前記底部の前記突き合わせ面同士が当接する。これによって、前記第1閉鎖チューブ及び前記第2閉鎖チューブの前記最先端同士が一致し、且つ、前記筒本体の内面側と外面側とには他の部材が存在しないように構成されたものとして実施することができる。
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を持つ。以下、特定の実施の形態を図面に例示して、詳しく説明するとする。但し、これは本発明を特定の実施形態に限定するのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、近似物から代替物を含んだものであると理解すべきである。各図面の説明に際しては、参照符号を似たような構成要素に対して使用した。
本出願で使用した用語は、特定した実施形態を説明するためにのみ使用されたのであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は文脈上明確に異なることを意味しない限り、複数の表現も含む。本出願で“含む”或いは“有する”等の用語は、明細書上記載された特徴、数字、工程、動作、構成要素、部分品或いはこれらを組み合わせたのが存在することを指定するのであって、一つ或いはそれ以上のほかの特徴または数字、工程、動作、構成要素、部分品或いはこれらを組み合わせた存在もしくは付加可能性を予め排除するものではないと理解されるべきである。
特別の定義が無い限り、技術的或いは科学的用語を含んでここで使用される全ての用語は、本発明に属する技術分野で通常の知識を持つ者により一般的に理解される事項と同じ意味を持つものである。一般的に使用されて、辞典に定義されているのと同じ用語は、関連技術の文脈上持つ意味と一致する意味を持つことと解釈されるべきである。本出願で明確に定義しない限り、異常な或いは過度に形式的な意味として解釈されるべきではない。
本発明の実施の形態に係る自転車チューブは、長さ方向に長い形状のチューブであって、両部の末端が円形状を維持するようになされた有端のチューブであり、チューブ交換の際に、リムを分離しなくても交換が容易で、自転車リムから別の工具を使用しなくても組み立て及び解体が便利に行なうことができるものである。
この有端のチューブの使用に際しては、内部にエアを注入するため、チューブの両端側を閉鎖し密閉空間を形成する。
本体チューブ11は、筒状の軸方向に連続したチューブを、所定の長さに切断して形成される。この本体チューブ11は、完成した一文字チューブ15の長さよりも、第1閉鎖チューブ12と第2閉鎖チューブ13の約合計長さだけ短いものである。
第1閉鎖チューブ12及び第2閉鎖チューブ13は、一端のみが開口され、所定の長さを持ち、中空部に内部空間を構成する有底筒状をなす。
次に、第1閉鎖チューブ12及び第2閉鎖チューブ13の特徴的構成について詳しく説明する。なお、この実施の形態では、第1閉鎖チューブ12及び第2閉鎖チューブ13は同一構造のものが用いられるため、以下の説明ではこれらを併せて閉鎖チューブ31と呼んで説明する。
そして、接地状態が解除されると元の円形に復帰する。
また、上記いずれの場合でも、図5(c)に代表として示すように、外側に小さなアールを形成して実施することもできる。
この工程は、従来の環状の自転車チューブの製造と基本的に同一であり、押し出し成形された長さ方向に連続する生ゴム製のチューブの端部を順次所定の長さに切断するものである。これによって、両端が開口され、中空部の内部空間を構成した本体チューブ11が造られる。なお、この段階の本体チューブ11のゴムは未加硫の状態である。
なお、チューブ内に空気を注入するバルブ30(図3にのみ図示)は、本体チューブ11が最も望ましいが、第1閉鎖チューブ12、第2閉鎖チューブ13に取り付けるようにしてもよい。また、その取り付け工程は、従来の環状の自転車チューブの製造と基本的に同一であり、上記の本体チューブ11の押出し工程に際して定法により行えばよい。具体的には、シート状のバルブベース(加硫品)にバルブ金具を設けたバブル部材が予め用意される。他方、未加硫の本体チューブ11に対しては小穴が形成される。小穴とバルブ金具の穴とを位置合わせして、バルブベースが本体チューブ11に接着剤によって接着される。
なお、この段階では、本体チューブ11に対して、第1閉鎖チューブ12及び第2閉鎖チューブ13が接続されていないが、これらを接続した後にバルブを取り付けるようにしてもよい。
有底の筒状体として底部32と筒状部33とを一体に形成する。
具体的には、閉鎖チューブ31の断面円形の有底筒状の成型用雌型61内に、生ゴム等の成型原料60を注入し(図6(a))、円柱状の成型用雄型62を挿入して、成型原料60を雌雄の型61、62の間の空間に広げて、成型すると共に金型内で加熱し加硫して型から取り出す。これにより、断面円形の筒状部33と、その一端を閉ざす底部32とが一体に形成された加硫済みの閉鎖チューブ31が完成する。
なお、実施に際しては、成型後の閉鎖チューブ31を型内から取り出す易くするために、割型としたり、成型用雌型61に僅かなテーパを設けたりして実施することも望ましい。
成型後の閉鎖チューブ31は、接続部35がバフ研磨などで粗面に加工され、接着剤が塗布されて本体チューブ11の端部内に挿入され、コロがけなどで加圧されて接着される。
両端に閉鎖チューブ31が接着された本体チューブ11は、環状のチューブの成形用の金型内に入れられて加熱され加硫される。なお、環状のチューブ内にはスペーサが配置される。このスペーサの両側に、閉鎖チューブ31(第1閉鎖チューブ12及び第2閉鎖チューブ13)の底部32が配置されることによって、両底部32同士が直接接触しない状態で加熱される。この最終加硫工程で、未加硫の本体チューブ11の外周面は、金型の内周面に沿って変形して加硫が完了する。そのため、閉鎖チューブ31の外周面を金型の内周面と隙間なく当接するように加硫成型しておくことによって、本体チューブ11の外径が金型の内径よりも少し小さな場合であっても、完成した一文字チューブ15は、本体チューブ11と閉鎖チューブ31との外周面が段差なく繋がった状態に仕上がることになる。
表1に示す実施例1と2の自転車チューブを作成し、ドラムテストにて走行耐久試験を行った。実施例1と2とは実質的に同一であり、以下の説明では、実施例1と2とを区別する必要のある場合を除き、両者を実施例と言う。
表1に示す比較例1と2の自転車チューブを作成し、ドラムテストにて走行耐久試験を行った。比較例1と2とは実質的に同一であり、以下の説明では、比較例1と2とを区別する必要のある場合を除き、両者を比較例と言う。
比較例1では2832km、比較例2では2920kmでエア漏れが生じ、その時点で試験を中止した。
12 第1閉鎖チューブ
13 第2閉鎖チューブ
15 文字チューブ
22b リム
24 タイヤ
30 バルブ
31 閉鎖チューブ
32 底部
33 筒状部
34 筒本体
35 接続部
36 突き合わせ面
37 角部領域
38 環状厚肉部
60 成型原料
61 成型用雌型
62 成型用雄型
Claims (4)
- 開口した端部を両端に備えた本体チューブと、前記本体チューブの前記端部を閉ざす端部閉鎖手段とを備え、
前記端部閉鎖手段は、少なくとも外側が平面状の突き合わせ面を備え、
前記両端の突き合わせ面を対向させた状態でリムに装着される自転車チューブにおいて、
前記端部閉鎖手段のうち、前記本体チューブの両端の少なくともいずれか一方の端部閉鎖手段は、閉鎖チューブによって構成され、
前記閉鎖チューブは、一端が開放された筒状部と、前記筒状部の他端を閉ざす底部とを備えた有底筒状をなし、
前記筒状部の開口された一端が、前記本体チューブの前記端部に接続されており、
前記底部の外側の面が、前記突き合わせ面を構成しており、
前記閉鎖チューブの前記筒状部と前記底部との境における角部領域は、環状厚肉部を備え、
前記環状厚肉部は、前記筒状部の軸方向から見て環状をなし、その厚みが前記筒状部の厚み及び前記底部の厚みよりも大きいことを特徴とする自転車チューブ。 - 前記筒状部は、筒本体と、前記本体チューブの前記端部に接続された接続部とを備え、
前記閉鎖チューブは、前記底部と前記筒本体と前記接続部とを備えた一体成型品であり、
前記閉鎖チューブは、前記本体チューブの一方の前記端部に接着された第1閉鎖チューブと、前記本体チューブの他方の前記端部に接着された第2閉鎖チューブとを備え、
前記底部は、前記第1閉鎖チューブと前記第2閉鎖チューブとのそれぞれの最先端を構成し、前記底部よりも先端には他の部材が存在せず、
リムに装着され空気が入れられた際、前記第1閉鎖チューブ及び前記第2閉鎖チューブの前記底部の前記突き合わせ面同士が当接することによって、前記第1閉鎖チューブ及び前記第2閉鎖チューブの前記最先端同士が一致し、且つ、前記筒本体の内面側と外面側とには他の部材が存在しないように構成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車チューブ。 - 前記底部の前記突き合わせ面は円盤状をなすことを特徴とする請求項1記載の自転車チューブ。
- 前記環状厚肉部の内面形状は、内側に突出する凸曲面、外側に突出する凹曲面、傾斜面のいずれか一種を構成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自転車チューブ。
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