JP6258720B2 - ハイドライド気相成長装置、およびこれを用いた基板処理方法 - Google Patents

ハイドライド気相成長装置、およびこれを用いた基板処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハイドライド気相成長装置、およびこれを用いた基板処理方法に関する。
GaN、AlGaN、GaInNなどの窒化物半導体結晶は、赤色から紫外の発光が可能な発光素子材料として注目を集めている。これらの窒化物半導体結晶の結晶成長法の一つに、金属塩化物ガスとアンモニア(NH)を原料とするハイドライド気相成長法(HVPE法)がある。HVPE法の特徴としては、有機金属気相成長法(MOVPE法)や分子線エピタキシー法(MBE法)などの他の結晶成長法では1μm/hr程度の成長速度が得られることと比較して、格段に大きな10μm/hr以上或いは100μm/hr以上の成長速度が得られる点が挙げられる。このため、HVPE法は、基板上に窒化物半導体結晶を成長させた窒化物半導体ウエハの製造や、窒化物半導体結晶を厚く成長させた窒化物半導体自立基板(例えばGaN自立基板やAlN自立基板)の製造によく用いられる(例えば、特許文献1参照)。
HVPE法により窒化物半導体結晶を成長させて基板処理を行う装置として、ハイドライド気相成長装置(HVPE装置)がある。一般に、HVPE装置は、窒化物半導体の結晶成長を行う反応炉を備えている。反応炉内には、GaCl等の金属塩化物ガスを生成する内部タンクが設けられている。内部タンク内には、Ga、In、AlなどのIII族の金属原料が収容され、内部タンクには、塩素系ガスを含む塩素系含有ガスを供給する供給管が接続されている。内部タンクにおいては、供給された塩素系ガスと金属原料との反応により、III族原料の金属塩化物ガス(例えばGaCl)が生成される。III族原料の金属塩化物ガスは、内部タンクに接続された排出管から導出され、反応炉内に設置された基板の表面へと送られる。また、反応炉内には、例えばV族原料のアンモニアガス(NHガス)を供給する供給管が設けられ、NHガスは、反応炉内に設置された基板の表面へと送られる。そして、基板の表面へと送られてきた金属塩化物ガスとNHガスとが反応することで、基板上に窒化物半導体結晶が成長する。
特許第3886341号公報
ところで、HVPE装置において、内部タンクには所定量の金属原料が収容されている。金属原料は、基板処理(窒化物半導体結晶の成長)の際に金属塩化物ガスとなることで消費される。基板処理を繰り返すことにより、金属原料は徐々に消費され、その量が減少することになる。内部タンクに収容される金属原料が少なすぎたり、枯渇したりすると、金属塩化物ガスが生成しにくくなり、基板処理が困難となる。このため、内部タンクには、例えば基板処理の回数などに応じて、金属原料が補充される。
ただし、内部タンクに金属原料を補充する場合、HVPE装置を停止して反応炉を分解し、反応炉内に設けられる内部タンクを取り出す必要がある。また、反応炉を分解して金属原料を補充した際には、HVPE装置を再稼働する前にリークチェック等の点検作業を行う必要がある。
このようにHVPE装置では、反応炉内に設けられる内部タンクに金属原料を補充する必要があるため、連続的に稼働できないといった問題があった。また、補充の度に、HVPE装置の稼働を停止して反応炉を分解するだけでなく、点検作業を行う必要もあるため、HVPE装置を再稼働するまでに多くの時間を要するといった問題があった。この結果、従来のHVPE装置では、金属原料の補充により稼働効率が低く、窒化物半導体結晶を成長させて基板処理する効率が低い傾向にあった。つまり、従来のHVPE装置では、窒化物半導体自立基板や窒化物半導体ウエハなどを生産性よく製造することが困難となっていた。
そこで、本発明は、連続稼働が可能であり、生産性に優れるハイドライド気相成長装置、およびそれを用いた基板処理方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様によれば、
基板を処理する反応炉と、前記反応炉内に設けられ、金属原料が収容される内部タンクと、前記内部タンクに設けられる第1の供給管と、前記第1の供給管に接続され、前記反応炉外に設けられる、前記内部タンクに前記金属原料を供給する供給部と、を備える、ハイドライド気相成長装置が提供される。
本発明の第2の態様によれば、
前記供給部は、前記第1の供給管の上流端に接続され、前記金属原料が貯留される外部タンクを備え、前記外部タンクは前記第1の供給管を介して前記内部タンクと連通する、第1の態様のハイドライド気相成長装置が提供される。
本発明の第3の態様によれば、
前記供給部は、前記外部タンクに設けられる第2の供給管と、前記第2の供給管に接続され、前記外部タンクに前記金属原料を供給する供給源と、前記第2の供給管に設けられるバルブ又は流量制御器と、を備える、第2の態様のハイドライド気相成長装置が提供される。
本発明の第4の態様によれば、
前記供給部は、前記第1の供給管の上流端に接続され、前記内部タンクに前記金属原料を供給する供給源と、前記第1の供給管に設けられるバルブ又は流量制御器と、を備える、第1の態様のハイドライド気相成長装置が提供される。
本発明の第5の態様によれば、
前記第1の供給管および前記供給部が、前記金属原料の融点よりも高い温度に保持される、第1〜第4の態様のいずれかのハイドライド気相成長装置が提供される。
本発明の第6の態様によれば、
前記第1の供給管は、前記第1の供給管の供給口よりも低位置を経由して流れる屈曲部を有する、第1〜第5の態様のいずれかのハイドライド気相成長装置が提供される。
本発明の第7の態様によれば、
第1〜第6の態様のいずれかのハイドライド気相成長装置を用いた基板処理方法であって、前記供給部から前記内部タンクに前記金属原料を供給しつつ、前記基板を処理する、基板処理方法が提供される。
本発明によれば、連続稼働が可能であり、生産性に優れるハイドライド気相成長装置を提供できる。また、本発明によれば、窒化物半導体ウエハや窒化物半導体自立基板を生産性よく製造可能な基板処理方法を提供できる。
本発明の一実施形態に係るハイドライド気相成長装置の概略図である。 内部タンクと外部タンクの連通について説明をする図である。 第1の供給管における屈曲部について説明をする図である。 従来のハイドライド気相成長装置の概略図である。
従来のHVPE装置は、例えば図4に示すような構造を有する。
HVPE装置100は、基板30を処理する反応炉120を備え、反応炉120内には、GaCl等の金属塩化物ガスを生成する内部タンク125が設けられている。原料部ヒータ122aにより加熱される内部タンク125内には、Ga、In、AlなどのIII族の金属原料Mが収容され、内部タンク125には、HClガスなどの塩素系ガスを含む塩素系含有ガスG1を供給する塩素系ガス供給管123が接続されている。塩素系ガス供給管123から内部タンク125内に供給された塩素系ガスと金属原料M(例えばGa)との反応により、内部タンク125内には金属塩化物ガス(例えばGaCl)が生成される。生成された金属塩化物ガスを含む金属塩化物含有ガスG2は、内部タンク125に接続された金属塩化物ガス排出管124から導出され、反応炉120内の成長部ヒータ122bにより加熱される成長部121bに設置された基板30(ウエハ30)へと送られる。また、反応炉120には、V族原料のアンモニアガス(NHガス)を含むNH含有ガスG3を供給するNHガス供給管126と、ドーピング原料ガスを含むドーピング原料含有ガスG4を供給するドーピング原料ガス供給管127とが設けられている。基板30へと送られてきた金属塩化物ガス排出管124からの金属塩化物ガスと、NHガス供給管126からのNHガスとが反応して、基板30に窒化物半導体結晶が成長する。
このようなHVPE装置100では、上述したように、金属原料Mが消費される度に、反応炉120を分解して内部タンク125を取り出し、内部タンク125に金属原料Mを補充して、リークチェック等の点検作業を行う必要があり、連続的に稼働することができない。
この課題を解決するため、本発明者らは、HVPE装置の構成について検討を行った。その結果、反応炉の内部に設けられる内部タンクに金属原料を供給できるような供給部を、反応炉外に設けることがよいとの知見を得た。反応炉外にある供給部によれば、反応炉を分解することなく内部タンクに金属原料を補充できるため、HVPE装置の稼働中であっても適宜補充が可能となり、HVPE装置を連続的に稼働することができる。本発明は、このような知見に基づいて成されたものである。
[1.一実施形態]
以下、本発明の一実施形態について説明をする。
<1−1.ハイドライド気相成長装置>
図1は、本発明の一実施形態に係るハイドライド気相成長装置1の概略図を示す。
本実施形態のハイドライド気相成長装置1(HVPE装置1)は、図1に示すように、例えば石英等により構成される反応炉20を備えている。
反応炉20は、上流側の原料部21aと下流側の成長部21bとに分かれており、原料部21aの外周には原料部ヒータ22aが設けられ、成長部21bの外周には成長部ヒータ22bが設けられている。原料部21aは、原料部ヒータ22aによって例えば600℃〜900℃に加熱され、後述する金属原料Mと塩素系ガスとを反応させて金属塩化物ガスを生成する領域である。また、成長部21bは、成長部ヒータ22bによって例えば500℃〜1200℃に加熱され、後述する金属塩化物ガス、アンモニアガス及びドーピング原料ガスを反応させ、基板30上に窒化物半導体結晶を成長させる領域である。なお、成長部ヒータ22bにおける加熱温度が窒化物半導体結晶の成長温度となる。
反応炉20の成長部21bには、窒化物半導体結晶の成長がなされる基板30を支持するサセプタ31が設けられており、サセプタ31は回転軸32により回転可能に支持されている。基板30は、窒化物半導体結晶の成長面がガスの供給口と対向するようにサセプタ31に支持されている。
反応炉20の原料部21aには、塩素系ガス供給管23、NHガス供給管26およびドーピング原料ガス供給管27が反応炉20の原料部21a側の側壁を貫通させて設けられている。これらの供給管はそれぞれ、例えば石英から形成される。また、反応炉20の成長部21b側の側壁には、反応炉20内のガスを排気するガス排気管28が設けられ、ガス排気管28には排気ライン(図示略)が接続されている。
NHガス供給管26は、反応炉20の原料部21a側の側壁を貫通して設けられ、反応炉20の成長部21bの基板30に向けて配置されている。NHガス供給管26の上流端には、NH含有ガス供給源(図示略)が接続されており、NHガス(アンモニアガス)を含むNH含有ガスG3と共にキャリアガスが供給される。NHガス供給管26からは、NH含有ガスG3が反応炉20の成長部21bの基板30上へ供給される。
ドーピング原料ガス供給管27は、反応炉20の原料部21a側の側壁を貫通して設けられ、反応炉20の成長部21bの基板30に向けて配置されている。ドーピング原料ガス供給管27の上流端には、ドーピング原料含有ガス供給源(図示略)が接続されており、ドーピング原料ガスを含むドーピング原料含有ガスG4と共にキャリアガスが供給される。ドーピング原料ガス供給管27からは、ドーピング原料含有ガスG4が反応炉20の成長部21bの基板30上へ供給される。
塩素系ガス供給管23は、反応炉20の原料部21a側の側壁を貫通させて設けられ、後述する内部タンク25に接続されている。塩素系ガス供給管23の上流端には、塩素系含有ガス供給源(図示略)が接続されており、塩素系ガス(例えばHCl、Clなど)を含む塩素系含有ガスG1と共にキャリアガスが供給される。塩素系ガス供給管23からは、塩素系含有ガスG1が反応炉20内の内部タンク25に供給される。
内部タンク25は、反応炉20の原料部21aに設けられ、例えばGa、InなどのIII族の金属原料Mを収容している。内部タンク25は原料部ヒータ22aにより加熱され、収容される金属原料Mも加熱される。金属原料Mは加熱により融液状態となり、例えばGaは30℃以上、Inは160℃以上で融液状態となる。内部タンク25では、供給される塩素系ガスと金属原料Mとの反応により金属塩化物ガス(例えばGaCl、InClなど)が生成される。なお、内部タンク25は、例えば石英から形成されるボート形状(直方体形状)の容器である。内部タンク25においては、金属原料Mと塩素系ガスとの接触面積を確保し、金属塩化物ガスを効率的に発生させる観点から、収容される金属原料Mの液面の面積(表面積)が10cm×10cm以上となるような大きさを有することが好ましい。また内部タンク25の高さは、特に限定されないが、例えば5cm以上であることが好ましい。
内部タンク25には、塩素系ガスを含む塩素系含有ガスG1を供給する塩素系ガス供給管23が接続されている。内部タンク25においては、塩素系ガス供給管23から供給された塩素系ガスと、収容する金属原料Mとの反応により、金属塩化物ガスが生成される。
また内部タンク25には、生成された金属塩化物ガスを含む金属塩化物含有ガスG2を導出する金属塩化物ガス排出管24が接続され、金属塩化物ガス排出管24は反応炉20の成長部21bの基板30に向けて配置される。金属塩化物ガス排出管24からは、内部タンク25内で生成した金属塩化物ガスを含む金属塩化物含有ガスG2が導出され、反応炉20の成長部21bの基板30上へ供給される。
内部タンク25においては、金属塩化物ガスの生成により金属原料Mが消費され、その収容量が減少するため、金属原料Mを補充する必要がある。本実施形態では、反応炉20を分解することなく内部タンク25に金属材料Mを補充できるように、HVPE装置1は、内部タンク25に設けられる第1の供給管11と、反応炉20外に設けられ、第1の供給管11に接続されて内部タンク25に金属原料Mを供給する供給部10とを、備える。第1の供給管11は内部タンク25に設けられ、反応炉20外に延在するように配置される。供給部10は、第1の供給管11に接続され、反応炉20外に設けられる。供給部10は、第1の供給管11により、反応炉20外から反応炉20内の内部タンク25へ金属原料Mを適宜供給することができる。これにより、反応炉20を分解することなく内部タンク25に金属原料Mを供給できるため、補充の度にHVPE装置1の稼働を停止させることなく、連続的に稼働することができる。
内部タンク25への金属原料Mの供給量は、内部タンク25における金属原料Mの消費量に応じて決定される。ただし、HVPE装置1では、反応炉20の外側に原料部ヒータ22a等が設けられているため、反応炉20内に設けられる内部タンク25に収容される金属原料Mの残量や消費量は視認できず、金属原料Mの消費量などは外部から明確に把握できない。このため、金属原料Mの消費量などは、例えばHVPE装置1の稼働時間(基板処理の時間)や基板処理量(基板30の処理枚数)から予測される。
本実施形態では、予測により求められる金属原料の残量や消費量を外部から明確に把握できるように、図1に示すように、供給部10が、内部タンク25に連通される外部タンク12を備えることが好ましい。具体的には、供給部10が、第1の供給管11の上流端に接続され、金属原料Mが貯留される外部タンク12を備え、外部タンク12は、第1の供給管11を介して内部タンク25と連通していることが好ましい。外部タンク12が第1の供給管11を介して内部タンク25と連通されることで、図2に示すように、外部タンク12と内部タンク25とは、その間で金属原料Mが流通できるように構成される。これにより、内部タンク25と外部タンク12では、それぞれに収容される金属原料Mの液面の高さが略同一となる。また、基板処理により内部タンク25における金属原料Mが消費された場合であっても、内部タンク25および外部タンク12のそれぞれにおける金属原料Mの液面の高さが略同一となる。例えば、外部タンク12における初期の液面の高さをh、金属原料Mが消費されたときの液面の高さをhとしたとき、金属原料Mの消費により内部タンク25における液面がhからhまで低下すると、連通している外部タンク12では、その低下に対応して液面がhからhまで低下する。つまり、液面がhからhまで変位する液面の変位分Δhが、金属原料Mの消費量に相当することになる。
このように、外部タンク12によれば、貯留する金属原料Mの液面の高さから、内部タンク25における金属原料Mの液面の高さを把握でき、内部タンク20における金属原料Mの残量を視認できる。また同様に、貯留する金属原料Mの液面の変位分(Δh)から、内部タンク25における金属原料Mの消費量を把握することができる。しかも、外部タンク12は、内部タンク25との間で金属原料Mが流通できるように構成されているため、金属原料Mを外部タンク12に供給することで内部タンク25にも供給することができる。すなわち、外部タンク12によれば、反応炉20の外から内部タンク25の金属原料Mの残量(もしくは消費量)をモニタリングできると共に、モニタリングされた金属原料Mの残量(もしくは消費量)に応じて金属原料Mを適宜供給することができる。
また供給部10は、好ましくは、外部タンク12に設けられる第2の供給管13と、第2の供給管13に接続され、外部タンク12に金属原料Mを供給する供給源14と、第2の供給管13に設けられるバルブ15と、を備える。供給源14は、第2の供給管13により外部タンク12に金属原料Mを供給することで、外部タンク12に貯留する金属原料Mおよび内部タンク25に収容される金属原料Mの液面の高さを増加できる。また、バルブ15は、供給源14から外部タンク12への金属原料Mの供給量を調整し、液面の高さの増加を調整することができる。つまり、供給部10が供給源14とバルブ15とを備えることにより、金属原料Mの消費に対応して金属原料Mを供給し、HVPE装置1を連続的に稼働することができる。
供給部10は、より好ましくは、外部タンク12に貯留する金属原料Mの液面の高さを検出する液面検出器16と、液面検出器16により検出される液面の高さに応じてバルブ15を制御する制御装置17とをさらに備える。
液面検出器16は、外部タンク12に設けられ、外部タンク12に貯留する金属原料Mの液面の高さを検出できる。これと同時に、内部タンク25に収容される金属原料Mの液面の高さを検出できる。液面検出器16としては、特に限定されないが、例えば液面センサ等を用いることができる。
制御装置17は、液面検出器16とバルブ15と電気的に接続されている。制御装置17は、液面検出器16で検出した金属原料Mの液面の高さを参照し、その液面の高さに基づいて、外部タンク12に貯留する金属原料Mの液面が所定の高さとなるように、供給源14から外部タンク12へ供給される金属原料Mの供給量を調整するバルブ15を制御する。具体的には、図2に示すように、外部タンク12における金属原料Mの液面の高さが基板処理によりhからhまで低下すると、制御装置17はバルブ15を開くことにより、供給源14から外部タンク12への金属原料Mの供給を開始する。そして、この供給により液面の高さがhまで戻った際には、制御装置17はバルブ15を閉じることにより、金属原料Mの外部タンク12への供給を停止する。つまり、バルブ15により供給量を制御する場合、基板処理による金属原料Mの消費量(変位量Δh)分を外部タンク12と共に内部タンク25に適宜供給する。
このように供給部10が液面検出器16および制御装置17をさらに備えることにより、HVPE装置1の連続稼働の際、内部タンク25における金属原料Mの液面の高さを所定値(h)以上に維持することができる。これにより、後述するように、内部タンク25において金属塩化物ガスを安定して生成し、金属塩化物ガスの生成効率を向上させる。そして、基板30上に供給される金属塩化物ガスの濃度のバラつきを抑制することができる。
ここで、金属塩化物ガスの生成効率について説明をする。
内部タンク25で生成する金属塩化物ガスの濃度(基板30上に供給される金属塩化物ガスの濃度)は、一般に、内部タンク25に供給される塩素系ガスと内部タンク25に収容される金属原料Mとの接触効率(例えば接触面積や接触時間など)により決定される。例えば、ある基板処理により金属原料Mを消費した場合には、次の基板処理では内部タンク25内の金属原料Mの液面が低下しており、金属原料Mの液面上部の空間が前回の基板処理よりも拡大することになる。この空間が拡大するほど、塩素系ガスと金属原料Mとの接触効率が損なわれるため、金属塩化物ガスの生成効率が低下し、その濃度が低下することになる。このように金属塩化物ガスの生成は、金属原料Mの液面の高さによって変動し、不安定である。この生成の不安定性により、基板処理における窒化物半導体結晶の成長速度が低下するばかりか、形成される窒化物半導体結晶の特性が変動する。この傾向は、基板処理の時間や回数が増えるほど金属原料Mの液面の高さが大きく変動するため、顕著となる。
具体的には、基板処理により、窒化物半導体結晶を厚く成長させて窒化物半導体自立基板を製造する場合、1回の基板処理の時間が長く、金属原料Mが大量に消費されるため、金属塩化物ガスの生成効率の低下による影響が生じる。つまり、窒化物半導体結晶を厚く成長させる途中において、金属塩化物ガスの生成効率が徐々に低下するため、所望の膜厚を得ることが困難となるばかりか、厚さ方向で特性がバラつくといったおそれがある。また、基板処理により、基板30上に窒化物半導体結晶を薄く成長させた窒化物半導体ウエハを製造する場合にも、同様に、金属塩化物ガスの生成効率の低下による影響が生じる。この場合では、1回の基板処理での金属原料Mの消費量が少ないため、数回程度の基板処理では金属塩化物ガスの生成効率が低下することはない。しかし、基板処理の回数を例えば数100回以上として窒化物半導体ウエハを量産すると、回数の増加と共に生成効率が低下するため、得られる窒化物半導体ウエハの間で特性にバラつきが生じるといったおそれがある。
この点、液面検出器16および制御装置17によれば、内部タンク25における金属原料Mの液面の高さを、金属塩化物ガスの生成が不安定とならないような高さに維持できるため、金属塩化物ガスの生成効率の低下を抑制できる。したがって、HVPE装置1では、基板処理を連続して行う場合であっても、金属塩化物ガスの生成の不安定性を抑制し、窒化物半導体結晶の特性のバラつきを抑制できる。なお、金属塩化物ガスの生成効率の低下を抑制する観点からは、外部タンク12における金属原料Mの初期の液面の高さ(h)と、金属原料Mが消費されたときの液面の高さ(h)との差(変位量Δh)を小さくすることが好ましい。これにより、金属原料Mの液面の変位量を低減し、金属塩化物ガスの生成効率の低下を低減することができる。
またHVPE装置1において、第1の供給管11および供給部10は、金属原料Mの融点よりも高い温度に保持されていることが好ましい。これにより、金属原料Mは流動性を示すため、外部タンク12と内部タンク25との間で流通しやすくなる。
またHVPE装置1において、第1の供給管11は、その供給口よりも低位置を経由して流れる屈曲部18を有することが好ましい。例えば、図3に示すように、内部タンク25に収容される金属原料Mの収容量が少なくなり過ぎると、内部タンク25内に供給される塩素系含有ガスG1が第1の供給管11に流入するおそれがある。しかし、第1の供給管11に、供給口よりも低位置を経由して流れる屈曲部18が設けられることによって、屈曲部18には金属原料Mが残存することになる。この結果、塩素系含有ガスG1の逆流が抑制されることになる。
<1−2.基板処理方法>
次に、上述のハイドライド気相成長装置1を用いた基板処理方法について説明をする。以下の基板処理方法では、基板30としてのサファイア基板上に窒化物半導体層としてのGaN膜を成長させ、窒化物半導体ウエハを製造する場合を例として説明する。
(基板搬入工程)
まず、基板30としてのサファイア基板を反応炉20内に搬入し、成長部21bに位置するサセプタ33に載置する。
(基板クリーニング工程)
続いて、原料部ヒータ22aによって反応炉20の原料部21aを加熱すると同時に、成長部ヒータ22bによって反応炉20の成長部21bを加熱する。これにより、原料部21aに位置する内部タンク25に収容される金属原料Mとしてのガリウム(Ga)の温度を100〜900℃として、Gaを溶融状態として、成長部21bに位置するサファイア基板の温度を1000〜1200℃程度とする。原料部21aおよび成長部21bを加熱した状態で、各供給管24,26,27から水素含有ガスを反応炉内20に供給し、サファイア基板の表面をクリーニングする。
(バッファ層形成工程)
続いて、成長部21bの温度を低下させて、基板30としてのサファイア基板上に、例えば厚さ10〜200nm程度のGaNからなるバッファ層(いわゆる低温バッファ層)を形成する。具体的には、成長部21bの温度を400〜600℃に低下させる。そして、塩素系ガス供給管23から、Gaを収容する内部タンク25に、塩素系ガスとして例えばHClガスを供給する。内部タンク25において、HClガスとGaとの反応により、金属塩化物ガスとしての塩化ガリウム(GaCl)ガスを生成させる。生成したGaClガスを金属塩化物ガス排出管24から反応炉20内のサファイア基板上へと供給する。GaClガスの供給と併行して、アンモニアガス(NHガス)をNHガス供給管26から反応炉20内のサファイア基板上へと供給する。GaClガスとNHガスとを反応させることによって、サファイア基板上に、GaNからなる低温バッファ層を形成する。低温バッファ層の厚さが所定の厚さに達したら、HClガスの供給を停止する。
(窒化物半導体層形成工程)
バッファ層形成工程が終了したら、バッファ層上に、窒化物半導体層としてのn型GaN層を形成する。具体的には、バッファ層形成工程が終了した後、成長部21bの温度を再度1000〜1200℃に昇温する。この昇温の際には、低温バッファ層の再蒸発防止のため、NHガスの供給は継続する。成長部21bの温度が成長温度に到達したら、再度、塩素系ガス供給管23から内部タンク25へとHClガスを供給し、内部タンク25においてGaClガスの生成を開始する。そして、金属塩化物ガス排出管24から、GaClガスを反応炉20内に供給する。この供給と併行して、NHガス供給管26からNHガスを、ドーピングガス供給管27からSiなどのn型不純物を含有するドーピング原料含有ガスを、反応炉20内にそれぞれ供給する。これらのガスを反応させることによって、低温バッファ層上に、窒化物半導体層としてのn型GaN層を形成する。n型GaN層の厚さが所定の厚さに達したら、反応炉20内へのガスの供給を停止する。これにより、サファイア基板上にn型GaN層が形成された窒化物半導体ウエハを形成する。
なお、上記HClガスやGaClガスをキャリアガスと共にサファイア基板上に供給してもよい。また、NHガスまたはドーピング原料含有ガスをキャリアガスと共にサファイア基板上に供給してもよい。キャリアガスとしては、窒素、水素、アルゴン、および、これらの混合ガスが好ましい。
(パージ工程)
反応炉20内へのGaClガス、NHガス、およびドーピング原料含有ガスの供給を停止した後、塩素系ガス供給管23、NHガス供給管26およびドーピング原料ガス供給管27の少なくともいずれかから、例えばNガス等の不活性ガスの供給を開始する。これにより、反応炉20内をNガスによりパージし、反応炉20内に残留している残留ガスや反応生成物を除去する。また、原料部ヒータ22aおよび成長部ヒータ22bによる反応炉20内の加熱を停止し、反応炉20内、および窒化物半導体ウエハを降温させる。
(基板搬出工程)
パージ工程が終了し、窒化物半導体ウエハが所定の温度まで降温したら、サセプタ33から窒化物半導体ウエハを取り外し、HVPE装置1から窒化物半導体ウエハを搬出する。これにより、基板処理を終了する。
窒化物半導体ウエハを量産する場合、上述の工程を複数回繰り返す。量産の際には、内部タンク25に収容される金属原料Mは基板処理により消費されることになるが、反応炉20外に設けられる供給部10から内部タンク25に金属原料Mを供給することによって、HVPE装置1を停止することなく、連続的に基板処理を行うことができる。また、供給部10が外部タンク12、液面検出器16および制御装置17を備えることにより、内部タンク25における金属原料Mの液面高さを所定値以上に維持することができる。これにより、窒化物半導体ウエハを量産するときに生じる金属塩化物ガスの生成効率の低下を抑制し、製造される複数の窒化物半導体ウエハの間での特性のバラつきを抑制することができる。
なお、窒化物半導体結晶を厚く成長させて窒化物半導体自立基板を製造する場合、上記窒化物半導体層形成工程において、原料ガスの供給時間を長くする。この場合においても、供給部10から内部タンク25に金属原料Mを供給できるため、窒化物半導体層をより厚く成長させることができる。また、供給部10を外部タンク12、液面検出器16および制御装置17で構成することにより、内部タンク25における金属原料Mの液面高さを所定値以上に維持して、金属塩化物ガスの生成効率の低下を抑制することができる。これにより、厚く成長させた窒化物半導体層における厚さ方向での特性のバラつきを抑制することができる。
[2.他の実施形態]
上述の実施形態では、供給部10が外部タンク12を備える場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、外部タンク12を省略し、内部タンク25に設けられる第1の供給管11の上流端に供給源14を直接設けることもできる。この場合、第1の供給管11にバルブ15又は流量制御器(図示略)を設け、基板処理量や処理時間に応じて金属原料Mを内部タンク25に供給することができる。これにより、反応炉20を分解することなく、金属原料Mを供給できるため、基板処理を連続的に行うことができる。
また、上述の実施形態では、供給部10において、供給源14から外部タンク12への金属原料Mの供給量がバルブ15により制御される場合について説明をしたが、本発明はこれに限定されない。本発明では、バルブ15の代わりに流量制御器(マスフローコントローラ)を用いることもできる。この場合、制御装置17は、外部タンク12に貯留する金属原料Mの液面高さが所定値を維持するように、マスフローコントローラを制御して供給源14から外部タンク12への金属原料Mの供給量を調整できる。
1 ハイドライド気相成長装置
10 供給部
11 第1の供給管
12 外部タンク

Claims (6)

  1. 基板を処理する反応炉と、
    前記反応炉内に設けられ、金属原料が収容される内部タンクと、
    前記内部タンクに設けられる第1の供給管と、
    前記第1の供給管に接続され、前記反応炉外に設けられる、前記内部タンクに前記金属原料を供給する供給部と、を備え、
    前記第1の供給管は、前記第1の供給管の供給口よりも低位置を経由して流れる屈曲部を有する
    ことを特徴とするハイドライド気相成長装置。
  2. 前記供給部は、
    前記第1の供給管の上流端に接続され、前記金属原料が貯留される外部タンクを備え、
    前記外部タンクは前記第1の供給管を介して前記内部タンクと連通する
    ことを特徴とする請求項1に記載のハイドライド気相成長装置。
  3. 前記供給部は、
    前記外部タンクに設けられる第2の供給管と、
    前記第2の供給管に接続され、前記外部タンクに前記金属原料を供給する供給源と、
    前記第2の供給管に設けられるバルブ又は流量制御器と、を備える
    ことを特徴とする請求項2に記載のハイドライド気相成長装置。
  4. 前記供給部は、
    前記第1の供給管の上流端に接続され、前記内部タンクに前記金属原料を供給する供給源と、
    前記第1の供給管に設けられるバルブ又は流量制御器と、を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載のハイドライド気相成長装置。
  5. 前記第1の供給管および前記供給部が、前記金属原料の融点よりも高い温度に保持される
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハイドライド気相成長装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のハイドライド気相成長装置を用いた基板処理方法であって、
    前記供給部から前記内部タンクに前記金属原料を供給しつつ、前記基板を処理する
    ことを特徴とする基板処理方法。
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