〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、図1〜図11に基づいて説明すれば以下の通りである。本実施形態では、本発明の発光ユニットを備える発光装置100を一例にして説明する。
<発光装置100の構成>
まず、図1を参照して、本実施形態の発光装置100について説明する。
図1は、本実施形態の発光装置100の構成を示す断面図である。図1に示すように、発光装置100は、レーザ素子(励起光源)1、光ファイバ(導光部)2および発光ユニット3を備え、レーザ素子1と発光ユニット3とが光ファイバ2によって接続された構成である。以下、発光装置100が備える各部の構成について説明する。
(レーザ素子1)
レーザ素子1は、レーザ光(励起光)を出射する励起光源として機能する発光素子である。レーザ素子1は、1チップに1つの発光点を有するものであってもよく、1チップに複数の発光点を有するものであっても良い。レーザ素子1から出射されるレーザ光L1の波長は、例えば、365nm〜439nm、好ましくは390nm(青紫色)〜410nm(青紫色)あるが、これらに限定されず、発光ユニット3が備える発光部8に含める蛍光体の種類、および、後述する波長選択フィルタ7の波長選択性等に応じて適宜選択すれば良い。レーザ素子1から出射されるレーザ光L1の波長の好ましい具体例については、波長選択フィルタ7の特性と併せて後述する。
レーザ素子1は、ヒートシンク11と接続されている。ヒートシンク11は、レーザ素子1で発生した熱を、放熱フィン12等を介して放熱する。このため、ヒートシンク11には、熱伝導率の高いアルミニウム等の金属材料を用いることが好ましい。
放熱フィン12は、ヒートシンク11に設けられており、ヒートシンク11の熱を空気中に放熱させる放熱機構として機能する。放熱フィン12は、複数の放熱板を有するものであり、大気との接触面積を増加させることにより放熱効率を高めている。なお、放熱フィン12には、ヒートシンク11と同様に、熱伝導率の高い材料を用いることが好ましい。
レーザ素子1は、レーザ光を出射する際に発熱するが、高温環境化では、その性能を十分に発揮できない。そこで、ヒートシンク11および放熱フィン12を設けることにより、レーザ素子1が高温になることを防止することができる。なお、レーザ素子1の放熱機構として、水冷機構や強制空冷機構を用いても良い。
ここで、発光装置100の励起光源として、本実施の形態では、1個のレーザ素子1を用いているが、必ずしもこれに限らない。
例えば、励起強度を高める手法として下記の手法を用いても良い。すなわち、複数のレーザ素子1を用い、レンズやミラー等の光学部材を用いて、複数のレーザ素子1から出射されたレーザ光L1を光ファイバ2にカップリングさせても良い。或いは、複数のレーザ素子1から出射されたレーザ光L1を、バンドル状にした複数の光ファイバ2のそれぞれにカップリングさせても良い。
また、励起光源として例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を用いることも可能である。ただし、レーザ素子1の方がLEDよりも光ファイバ2に対するカップリング効率が良いため、レーザ素子1を励起光源として用いる方が好ましい。
(光ファイバ2)
光ファイバ2は、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を発光ユニット3へと導く導光部である。この光ファイバ2は、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を受け取る入射端部2aと、入射端部2aから入射したレーザ光L1を出射する出射端部2bとを有する。入射端部2aはレーザ素子1に接続されており、入射端部2aは発光ユニット3に接続されている。
光ファイバ2は、中芯のコアを、当該コアよりも屈折率の低いクラッドで覆った2層構造をしている。コアは、レーザ光L1の吸収損失がほとんどない石英ガラス(酸化ケイ素)を主成分とするものである。クラッドは、コアよりも屈折率の低い石英ガラスまたは合成樹脂材料を主成分とするものである。例えば、光ファイバ2は、コアの径が200μm、クラッドの径が240μm、開口数NAが0.22の石英製のものであるが、光ファイバ2の構造、太さおよび材質は上述したものに限定されず、光ファイバ2の長軸方向に対して垂直な断面は矩形等の任意の形状であっても良い。
また、複数のレーザ素子1を利用する場合、複数のレーザ素子1にそれぞれ光学的に結合された複数の光ファイバ2をバンドル状にしたバンドルファイバを用いても良い。この場合、バンドルファイバの出射端部をマルチモードファイバに近接または当接させることによって、バンドルファイバとマルチモードファイバとが光学的に結合された導光部を用いることが好ましい。
マルチモードファイバは、バンドル状にした複数の光ファイバ2から入射された複数のレーザ光L1を導光する。このとき、マルチモードファイバ中の複数のレーザ光L1は、マルチモードファイバ中で反射を繰り返しながら伝播する。そのため、複数のレーザ光L1は、マルチモードファイバを介して導光されることによって混合され、マルチモードファイバの長さを適切に設定すれば、連続したなめらかな強度分布を有するレーザ光L1となってマルチモードファイバの出射端面から出射されることになる。
このように、バンドルファイバとマルチモードファイバとが光学的に結合された導光部を用いることにより、複数のレーザ素子1の各々の発光点から出射された複数のレーザ光L1から、連続したなめらかな強度分布を有する、単一の発光点(マルチモードファイバの出射端面)から出射されるレーザ光L1を生成することができる。なお、本明細書において、単一の発光点とは、ピーク強度の50%以上となる極大値を持たない発光点のことを言う。したがって、発光部8のレーザ光照射面8aに、連続したなめらかな強度分布を有するレーザ光L1を照射することが可能となるため、高い出力のレーザ光L1を発光部8に照射しても、発光部8の一部が局所的に励起されることがない。
よって、蛍光L2の高出力化を図りつつ、発光部8の劣化および発光効率の低下を抑制することができる。また、発光部8の一部が局所的に励起されることがないので、発せられる蛍光L2の輝度ムラを抑制することができる。
なお、レーザ素子1と発光ユニット3とを光学的に結合する導光部として光ファイバ2以外の部材を用いてもよく、導光部の種類は限定されない。また、後述のように、光ファイバ2を用いずに、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を発光ユニット3に直接導入しても良い。
(発光ユニット3)
発光ユニット3は、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を、蛍光体を含む発光部8に照射することで発生させた蛍光を放出するものである。発光ユニット3は、放熱ベース(載置部)4、レンズ5、ミラー(反射鏡)6、波長選択フィルタ(光学板)7および発光部8を備えている。
(放熱ベース4)
放熱ベース4、発光部8を載置する板状の支持部材であり、例えば、金属(アルミニウム、ステンレス、銅または鉄)等の熱伝導性の高い材料からなっている。この放熱ベース4は、発光部8を載置する載置面4aを有しており、発光部8はこの載置面4aに当接した状態で載置される。そのため、放熱ベース4は、発光部8の発熱を効率的に伝導して放熱することができる。
なお、放熱ベース4は、金属からなるものに限定されず、金属以外の熱伝導性が高い物質(セラミックス等)を含む部材でも良い。ただし、発光部8と当接する載置面4aは、反射面として機能することが好ましい。発光部8と当接する載置面4aが反射面であることにより、レーザ光L1が照射される、発光部8の上面であるレーザ光照射面8aから入射したレーザ光L1が蛍光L2に変換された後に、発せられた蛍光L2を当該反射面で反射させて波長選択フィルタ7へ向かわせることができる。または、レーザ光照射面8aから入射したレーザ光L1を反射面で反射させて、再度、発光部8の内部に向かわせて蛍光に変換することができる。
なお、図示はしないが、放熱ベース4は放熱フィンを備えていても良い。この放熱フィンは、放熱ベース4を冷却する冷却部として機能する。放熱フィンは、複数の放熱板を有するものであり、大気との接触面積を増加させることにより放熱効率を高めている。放熱ベース4を冷却する冷却部は、冷却(放熱)機能を有するものであればく、放熱フィンの代わりに、ヒートパイプ、水冷方式や、強制空冷方式のものであっても良い。
この放熱ベース4には、載置面4aのうち発光部8が載置されていない領域で開口した内部経路40が形成されている。この内部経路40は、レーザ光L1を通過させるための管状の経路であり、始端(他端)側から導入されたレーザ光L1を、終端(一端)側の開口部40aから導出する。
本実施形態では、内部経路40の始端は放熱ベース4の内部に位置しており、この始端から面内方向に伸びると共に、屈曲部において面内方向から載置面4a側に屈曲(約135°)して載置面4aで開口している。
内部経路40の始端には、放熱ベース4の側面から貫入された光ファイバ2の出射端部2bが接続されており、始端側から導入されたレーザ光L1は、内部経路40を通過して開口部40aから波長選択フィルタ7に向けて導出される。この内部経路40には、レーザ光L1の進行方向上流からレンズ5およびミラー6がこの順で配置される。
(レンズ5)
レンズ5は、レーザ光L1がミラー6に適切に照射されるように、レーザ光L1のビーム径(照射範囲)等を調節(例えば、縮小)するための光学部材である。レンズ5は、放熱ベース4の内部経路40内に配置されており、光ファイバ2の出射端部2bから出射されたレーザ光L1のビーム径および光路を制御してミラー6に照射する。レンズ5は、例えば、凸レンズ等で構成される。
このレンズ5を設けてのビーム径を制御することにより、最終的に発光部8に照射されるレーザ光L1のスポットの大きさを調整することが容易になる。
(ミラー6)
ミラー6は、レーザ光L1を波長選択フィルタ7に向けて反射させるものである。具体的には、ミラー6は、平担な反射面を有しており、内部経路40の屈曲部に配置されており、内部経路40の始端側から導入されたレーザ光L1を開口部40aに向けて反射させる。これにより、レーザ光L1を開口部40aから導出して、波長選択フィルタ7に向かわせることができる。
ミラー6を設けることにより、ミラー6の設置角度(傾き)を変更することにより波長選択フィルタ7に対するレーザ光L1の入射角度の調整が容易となるため、光ファイバ2の出射端部2b自体の設置角度を変更する場合に比べて、波長選択フィルタ7に対するレーザ光L1の入射角度の調整が容易となる。また、ミラー6によって発光ユニット3内でレーザ光L1を折り返すことにより、発光ユニット3の体積・サイズを大幅に小さくすることができ、発光ユニット3の内部のレイアウトを自由に行なうことができる。
なお、ミラー6に代えて、誘電体多層膜ミラー、誘電体多層膜ミラーまたは凹面ミラー等の他の光学部材を用いても良い。これにより、発光ユニット3のサイズを小さく保ったまま、種々の機能を発光ユニット3に付加することが可能である。反射鏡として誘電体多層膜ミラー、誘電体多層膜ミラーまたは凹面ミラーを用いた構成については後述する。
(波長選択フィルタ7)
波長選択フィルタ7は、発光部8のレーザ光照射面8aに対向して配置された透光性を有する板状の透光部材である。波長選択フィルタ7は、放熱ベース4の支持部4bによってその外周部分が支持されており、発光部8のレーザ光照射面8aに対向して略平行に配置されている。
この波長選択フィルタ7は、レーザ光L1を反射させる一方、蛍光L2を透過させる。すなわち、波長選択フィルタ7は、レーザ光L1を反射させ、且つ、蛍光L2を透過させるという、波長選択性を有している。
波長選択フィルタ7のこのような波長選択性により、波長選択フィルタ7は、開口部40aから導出されたレーザ光L1を発光部8に向けて反射させて、レーザ光L1を発光部8に照射する。このとき、波長選択フィルタ7によって反射されたレーザ光L1が、発光部8のレーザ光照射面8aに照射されるように、波長選択フィルタ7に対するレーザ光L1の入射角度が調整されている。
このように、波長選択フィルタ7は、発光部8を載置する載置面4aに形成された開口部40aから導出されたレーザ光L1を発光部8に向けて反射させる。そのため、発光部8に対して放熱ベース4側にレーザ素子1を配置することが容易となるので、発光部8から発せられる蛍光L2を遮らない位置に、レーザ素子1を好適に配置することができる。
また、波長選択フィルタ7は、レーザ光L1の照射により発光部8のレーザ光照射面8aから発せられた蛍光L2を透過させる。このとき、波長選択フィルタ7は、発光部8に照射されたレーザ光L1のうち、蛍光L2に変換されなかったレーザ光L1を、発光部8側に反射させることが好ましい。発光部8によってレーザ光L1は、そのほとんどが蛍光体に吸収され蛍光L2に変換される。しかし、何らかの原因でレーザ光L1の一部が変換されない場合も考えられる。このような場合でも、蛍光L2に変換されなかったレーザ光L1を、波長選択フィルタ7によって発光部8側に反射させることにより、レーザ光L1が外部に漏れることを防止することができる。
このような波長選択性を有する波長選択フィルタ7は、屈折率が異なる薄層を組み合わせた多層構造により実現される。なお、波長選択フィルタ7の詳細については後述する。
(発光部8)
発光部8は、レーザ光L1の照射により蛍光L2を発するものであり、レーザ光L1によって励起され蛍光L2を発する蛍光体を含んでいる。例えば、発光部8は、封止材の内部に蛍光体が分散されているもの、または蛍光体を固めたもの等である。発光部8は、レーザ光L1を蛍光L2に変換するため、波長変換部材であると言える。
発光部8の蛍光体として、例えば、酸窒化物系蛍光体(例えば、サイアロン蛍光体)またはIII−V族化合物半導体ナノ粒子蛍光体(例えば、インジュウムリン:InP)を用いることができる。これらの蛍光体は、レーザ素子1から発せられた高い出力(および/または光密度)のレーザ光L1に対しての熱耐性が高く好ましい。ただし、発光部8の蛍光体は、上述したものに限定されず、窒化物蛍光体等、その他の蛍光体であっても良い。
また、発光部8の封止材は、例えば、ガラス材(無機ガラス、有機無機ハイブリッドガラス)、シリコーン樹脂等の樹脂材料である。ガラス材として低融点ガラスを用いても良い。封止材は、透明性の高いものが好ましく、レーザ光が高出力の場合には、耐熱性の高いものが好ましい。
この発光部8は、レーザ光照射面8aにレーザ光L1が照射され、このレーザ光照射面8aから主に蛍光を発するように、放熱ベース4の載置面4aに配置されている。すなわち、発光部8は、反射型の発光部として機能する。
このような構成の発光装置100では、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1は、光ファイバ2を介して、放熱ベース4の内部経路40に導入される。そして、内部経路40に導入されたレーザ光L1は、レンズ5によってそのビーム径が調整され、ミラー6によって反射されて開口部40aから導出される。開口部40aから導出されたレーザ光L1は、波長選択フィルタ7によって発光部8に向けて反射され、発光部8に照射される。この照射により発生させた蛍光L2は、レーザ光照射面8aから発せられ、波長選択フィルタ7を透過して外部に放出される。
<波長選択フィルタ7の詳細>
次に、図2〜図4を参照して、本実施形態の波長選択フィルタ7の詳細について説明する。
(波長選択フィルタ7の構成)
図2の(a)および図2(b)は、図1に示される波長選択フィルタ7の構成を示す断面図である。図2の(a)および図2の(b)に示すように、波長選択フィルタ7は、基板71、多層膜コート72および単層AR(単層AR)コート73からなっている。
図2の(a)に示すように、波長選択フィルタ7は、例えば、基板71の発光部8側の面に多層膜コート72が施されており、基板71の発光部8と反対側の面に単層AR(単層減反射)コート73が施されている。
基板71は、蛍光L2を透過し、且つ、多層膜コート72および単層ARコート73膜13bが形成可能な基板ある。基板としては、例えば、BK7、合成石英、白板ガラス(例えば、B270、D263Teco、BSL7)等を好適に用いることができる。
多層膜コート72は、例えば、SiO2膜やTiO2膜といった複数の薄膜の層が多層化された多層膜である。上述したように、波長選択フィルタ7は、レーザ光L1を反射し、蛍光L2を透過するという、波長選択性を有している。多層膜コート72はこの波長選択性を実現するために、例えば、屈折率の高い材料と低い材料とを交互に層状に積層して得られ、AlN、SiO2、SiN、ZrO2、TiO2、Al2O3、GaN、ZnS等から選択された少なくとも一種を含む材料が挙げられる。
なお、多層膜コート72は、所望の波長選択性が得られるように、その層の数が決められ、各層の膜種および膜厚の組み合わせが最適化される。
単層ARコート73は、基板71における蛍光L2の散乱や吸収を抑制して、基板71を透過する蛍光L2の透過光量を増加させる単層膜である。単層ARコート73の材料は、透過させる蛍光L2の波長に応じて適宜選択される。
なお、図2の(b)に示すように、波長選択フィルタ7は、基板71の発光部8側の面に単層ARコート73が施されており、基板71の発光部8と反対側の面に多層膜コート72が施されていても良い。ただし、レーザ光L1を反射し、蛍光L2を透過するという、波長選択性を好適得るためには、図2の(a)に示すように、基板71の発光部8側の面に多層膜コート72が施されているほうが好ましい。
(波長選択フィルタ7の波長選択性)
図3は、波長選択フィルタ7の波長選択性を説明するためのグラフである。図3では、波長選択フィルタ7に対する入射する光の入射角度が0°、10°、20°、30°および40°の場合の波長および透過率の関係を例示しており、横軸が入射する光の波長を示し、縦軸が該光の透過率を示している。なお、入射角度とは、波長選択フィルタ7の法線に対する、入射する光の角度を意味する。
図3に示すように、波長選択フィルタ7の波長選択性は、入射する光の波長および入射角度に依存している。例えば、波長選択フィルタ7は、入射角度30°以下で入射する波長410nm以下の光を90%以上反射させる。或いは、波長選択フィルタ7は、入射角度50°以下で入射する波長440nm以上の光を90%以上透過させる。
したがって、レーザ光L1としては、波長選択フィルタ7によって反射され易い波長範囲のものを用いることが好ましく、例えば、390nm〜410nmの波長範囲のものを好適に用いることができる。具体的には、波長405nmのレーザ光L1を入射角度40°で波長選択フィルタ7に照射した場合、波長選択フィルタ7に照射されたレーザ光L1のうち99%以上を波長選択フィルタ7で反射して、発光部8に向かわせることができる。
このように、波長選択フィルタ7の積層構造、レーザ光L1および蛍光L2の波長、並びに、波長選択フィルタ7に対するレーザ光L1の入射角度を最適化することにより、レーザ光L1を含む短波長側の波長範囲の光を反射させ、蛍光L2を含む長波長側の波長範囲の光を透過させることができる。
(波長選択フィルタ7の作用)
図4は、波長選択フィルタ7の作用を示す断面図である。上述の通り、波長選択フィルタ7は、レーザ光L1を反射させ、且つ、蛍光L2を透過させるという、波長選択性を有している。そのため、図4に示すように、波長選択フィルタ7は、開口部40aから導出されたレーザ光L1を反射する。このとき、反射したレーザ光L1が発光部8に向けて反射されるように、波長選択フィルタ7に対するレーザ光L1の入射角、発光部8および波長選択フィルタ7の配置位置等が予め調整される。
また、波長選択フィルタ7は、レーザ光L1の照射により発光部8のレーザ光照射面8aから発せられた蛍光L2を透過して、外部に放出する。このとき、発光部8にて吸収されずにレーザ光照射面8aで反射または散乱されたレーザ光L1、または、発光部8に一旦入射したものの蛍光L2に変換されることなく発光部8から出射したレーザ光L1等のレーザ光L1の迷光成分については、波長選択フィルタ7によって反射されて、その多くは発光ユニット3の内部に閉じ込められる。そのため、発光ユニット3の外部へのレーザ光L1の迷光成分の漏出が抑制される。
なお、上述したように、レーザ光L1を発光ユニット3の外部に漏出させず、蛍光L2だけを選択的に外部に放出する場合に本実施形態は好適に実施される。例えば、照明光を白色とする場合、レーザ光L1として、視感度が低く、且つ、可視光で発光する蛍光体を効率的に励起することができる波長390nm〜410nmを選択することが好ましい。
このように、発光装置100は、レーザ光L1を反射させ、且つ、蛍光L2を透過させるという波長選択性を有する波長選択フィルタ7を備えるため、発光部8と波長選択フィルタ7との間に、発光部8に励起光を照射するための励起光源を配置する必要がない。
したがって、発光装置100では、発光部8から発せられた蛍光L2の一部が、上記励起光源によって遮られることがないため、蛍光L2を効率的に利用することができる。
また、発光装置100では、発光部8と波長選択フィルタ7との間に、上記励起光源を配置するスペースを確保する必要がないため、波長選択フィルタ7を発光部8に近づけて配置することが可能となる。したがって、投影レンズ等の配光制御部材によって波長選択フィルタ7を透過した蛍光L2を投光する場合、投影レンズ等を発光部8に近づけて配置することが可能となるため、発光部8からランバーシアン分布で放出される蛍光L2をロスなく投影レンズ等に入射させて、投光することができる。
<発光装置100の適用例>
次に、図5を参照して、本実施形態の発光装置100の適用例について説明する。
図5は、発光装置100を備える自動車のヘッドランプ(車両用前照灯)200の構成を示す断面図である。図5に示すように、ヘッドランプ200は、発光装置100、金属ベース201およびリフレクタ202を備えている。
(金属ベース201)
金属ベース201は、発光ユニット3およびリフレクタ202を支持する支持部材であり、金属(例えば、アルミニウム、ステンレス、銅または鉄)等からなっている。そのため、金属ベース201は熱伝導性が高く、発光ユニット3の発熱を効率的に伝導して放熱することができる。
この金属ベース201は、リフレクタ202を支持する面に、凹部が設けられており、この凹部に発光ユニット3が固定されている。このとき、金属ベース201のリフレクタ202を支持する面と、放熱ベース4に設けられた支持部4bによって支持された波長選択フィルタ7との高さが一致するように、発光ユニット3は凹部に固定される。
(リフレクタ202)
リフレクタ202は、発光装置100から放出された蛍光L2を投光するものである。このリフレクタ202は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された部材であっても良く、金属製の部材であっても良い。
リフレクタ202は、放物線の対称軸を回転軸として、当該放物線を回転させることによって形成される反射曲面を、上記の回転軸に平行な平面で切断することによって得られる部分曲面の少なくとも一部をその反射曲面に含んでいる。このリフレクタ202は、発光装置100から放出された蛍光L2を投光する方向に、半円形の開口部202aを有している。
リフレクタ202のほぼ焦点の位置に配置された発光部8が発生させた蛍光L2は、リフレクタ202によって、平行に近い光線束を形成して開口部202aから車両の進行方向に向けて投光される。これにより、発光部8が発生させた蛍光L2を狭い立体角内に効率的に投光することができる。
この発光ユニット3は、金属ベース201或いはリフレクタ202から容易に分離することができ、万一の不灯時に正常な発光ユニット3に容易に取り替えることができる点にも特徴がある。
また、上述の通り、発光ユニット3では、放熱ベース4の支持部4bによって波長選択フィルタ7の外周部分が支持されており、波長選択フィルタ7と放熱ベース4とが一体化されている。そのため、波長選択フィルタ7と放熱ベース4との隙間は、遮光性の支持部4bによって囲まれている(すなわち、発光ユニット3を横方向から見たときに波長選択フィルタ7と放熱ベース4との隙間が外部から見えない。)。これにより、レーザ光L1は発光ユニット3の内部に完全に閉じ込められ、レーザ光L1が外部に漏出するとがないことから、ユーザはレーザ光L1に暴露されることなく発光ユニット3を安全に取り扱うことができる。
なお、リフレクタ202は、円形の開口部を有するフルパラボラミラー、またはその一部を含むものであっても良い。また、パラボラミラー以外にも、楕円面や自由曲面形状、或いは、マルチファセット化されたもの(マルチリフレクタ)を用いることができる。さらに、リフレクタ202の一部に曲面ではない部分を含めても良い。或いは、リフレクタ202は、リフレクタの基準面に配置された発光部8の像を拡大投影するようなものであっても良い。
また、図示はしていないが、ヘッドランプ200は、リフレクタ202の開口部202aに投光する角度範囲を制御するレンズ等がさらに設けられていても良い。
このヘッドランプ200の照明光は、所定の範囲の色度を有する白色にしなければならないことが、法律により規定されている。そのため、発光部8には、照明光が白色となるように選択された蛍光体が含まれている。例えば、青色、緑色および赤色の蛍光体を発光部8に含め、405nmのレーザ光L1を照射すると白色光が得られる。
なお、発光装置100は、自動車以外の車両用前照灯に適用しても良い。さらに、発光装置100は、その他の照明装置、例えば、車両以外の移動物体(例えば、人間・船舶・航空機・潜水艇・ロケット等)のヘッドランプに適用しても良く、サーチライト、プロジェクタ、室内照明器具(ダウンライト、スタンドランプ等)に適用しても良い。
<発光装置100の効果>
次に、図6および図7を参照して、発光装置100の効果について説明する。
上述の通り、図25に示すような、発光部308と凸レンズ310との間に、励起光源301およびコリメートレンズ305を配置する従来の発光装置300では、光の利用効率が低下するという課題があった。
図6は、従来の発光装置300に公知の波長選択フィルタ307を適用した場合の構成の一例を示す断面図である。図6に示すように、従来の発光装置300に、励起光L1を除去する公知の波長選択フィルタ307を適用した場合、凸レンズ310の入射面側に波長選択フィルタ307が配置される。しかしながら、公知の波長選択フィルタ307を適用した構成では、発光部308と波長選択フィルタ307との間に、発光部308の励起光照射面308aに励起光L1を照射するための励起光源301およびコリメートレンズ305を依然として配置する必要があるため、上記の課題を解決することはできない。
また、図7の(a)および図7の(b)に示すように、励起光源301およびコリメートレンズ305に代えて、励起光L1を発光部308の励起光照射面308aに向けて反射させるミラー306を配置する構成も考えられる。しかしながら、このような構成であっても、発光部308と波長選択フィルタ307との間に、ミラー306を配置する必要があるため、発光部308から発せられた蛍光の一部がミラー306によって遮られる。また、発光部308と波長選択フィルタ307との間にミラー306を配置するスペースを確保する必要があるため、凸レンズ310(図示省略)を発光部308に十分に近づけて配置することができない。したがって、励起光源301に代えてミラー306を配置した構成であっても、上記の課題を解決することはできない。
そこで、本実施形態の発光装置100が備える発光ユニット3は、レーザ光L1の照射により蛍光L2を発する発光部8と、発光部8に対向して配置された波長選択フィルタ7とを備え、波長選択フィルタ7は、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を発光部8に向けて反射させ、且つ、該レーザ光L1の照射により発光部8から発せられた蛍光L2を透過させる。
発光装置100では、発光ユニット3は、発光部8に対向して配置された波長選択フィルタ7を備え、この波長選択フィルタ7は、レーザ光L1を発光部8に向けて反射させ、且つ、レーザ光L1の照射により発光部8から発せられた蛍光L2を透過させる、波長選択性を有している。
そのため、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を、波長選択フィルタ7によって発光部8に向けて反射させることにより、発光部8にレーザ光L1を照射して蛍光L2を発生させることができる。よって、発光部8に励起光を照射するための励起光源等を、発光部8と波長選択フィルタ7との間に配置する必要がない。
したがって、発光装置100では、発光部から発せられた蛍光の一部が、上記励起光源等によって遮られることがないため、蛍光L2を効率的に利用することができる。
また、発光装置100では、発光部8と波長選択フィルタ7との間に、励起光源等を配置するスペースを確保する必要がないため、投影レンズ等の配光制御部材によって波長選択フィルタ7を透過した蛍光L2を投光する場合、投影レンズ等を発光部8に近づけて配置することが可能となる。したがって、発光部8からランバーシアン分布で放出される蛍光L2をロスなく投影レンズ等に入射させて、投光することができる。
よって、本実施形態によれば、蛍光L2の利用効率を向上させた発光装置100を実現することができる。
また、本実施形態によれば、図5に示すように、リフレクタ202や投影レンズと独立して容易に取り替え可能な小型の発光ユニット3とすることができる。このような構成の場合、発光ユニット3の内部にレーザ光L1を完全に閉じ込めることができるので、レーザ光L1の外部への漏出が生じないという利点がある。これに対して、従来では、レーザ光源や発光部がリフレクタや投影レンズと独立しておらず、また、レーザ光がリフレクタ内部の空間や発光部と投影レンズの間の空間を伝搬する構成となっていた。そのため、ユーザがリフレクタや投影レンズにアクセスした際にレーザ光に暴露されることが起こり得た。なお、リフレクタや投影レンズと独立した取り替え可能なユニットとして構成できる点は、以下の変形例および他の実施例の構成においても同様である。
<変形例>
次に、図8〜図11を参照して、発光装置100の変形例について説明する。光ファイバ2を用いずに、レーザ素子1から出射されたレーザを発光ユニット3に導入しても良い。
(変形例1)
図8は、光ファイバ2を用いない発光装置101の構成を示す断面図である。図8に示すように、発光装置101は、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を、光ファイバ2を介さずに発光ユニット3に導入する構成である。
発光装置101では、放熱ベース4に形成される内部経路40は、貫通孔として形成されている。この内部経路40は、放熱ベース4を面外方向斜めに貫通しており、放熱ベース4の載置面(上面)4aおよび該載置面4aと対向する下面で開口している。
また、発光装置101では、レーザ素子1は、内部経路40の軸線方向に対して光軸が一致するように、放熱ベース4の下方に配置されている。そのため、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1は、内部経路40に導入され、開口部40aから波長選択フィルタ7に向けて導出される。
さらに、発光装置101では、レーザ光L1のビーム径等を調節するためのレンズ5は、レーザ素子1の出射端部に取り付けられている。
発光装置101では、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1は、レンズ5によってそのビーム径が調整され、貫通孔として形成された、放熱ベース4の内部経路40に導入される。そして、内部経路40に導入されたレーザ光L1は、内部経路40を直進し、開口部40aから導出される。開口部40aから導出されたレーザ光L1は、波長選択フィルタ7によって発光部8に向けて反射され、発光部8に照射される。この照射により発生させた蛍光L2は、レーザ光照射面8aから取り出され、波長選択フィルタ7を透過して外部に放出される。
発光装置101によれば、光ファイバ2およびミラー6を用いないので、発光装置101の構成を簡略化して、製造コストを低減することができる。
(変形例2)
また、レーザ素子1の数は1つに限られず、複数のレーザ素子1を用いても良い。
図9は、複数のレーザ素子を備える発光装置102の構成を示す断面図である。図9に示すように、発光装置102は、2つのレーザ素子1を備えている。
発光装置102では、各レーザ素子1から出射されたレーザ光L1は、放熱ベース4に形成された2つの内部経路40に個別に導入される。そして、各内部経路40に導入されたレーザ光L1は、それぞれ内部経路40を直進し、開口部40aから導出される。開口部40aから導出された各レーザ光L1は、波長選択フィルタ7によって発光部8に向けて反射され、発光部8に照射される。
発光装置102によれば、高出力のレーザ光L1を得ることができるため、発光部8のレーザ光照射面8aにおける同一箇所に複数のレーザ光L1を照射した場合、より高輝度な発光装置102を実現することができる。また、発光部8のレーザ光照射面8aにおける異なる箇所に複数のレーザ光L1を照射した場合、より高光束な発光装置102を実現することができる。
例えば、従来の発光装置で、複数の励起光を発光部に照射しようとした場合、特許文献1の構成では、蛍光の配光を制御するリフレクタに、励起光を通過させるための複数の開口部を形成するか、或いは、開口部の径を拡大する必要がある。そのため、リフレクタによる投光効率が低下するという問題が生じる。
また、特許文献2の構成では、複数組の励起光源301およびコリメートレンズ305を、発光部308と凸レンズ310との間に配置する必要がある。そのため、設置の自由度が限られている複数の励起光源301によって発光部308からの光が遮られ、光の利用効率がさらに低下するという問題が生じる。
これに対して、発光装置102によれば、レーザ素子1によって発光部8からの光が遮られることがないため、光の利用効率を低下させることなく、複数のレーザ光L1を用いて、輝度および光束を容易に向上させることができる。
(変形例3)
また、波長選択フィルタ7を透過した蛍光L2を投光する投影レンズ10を用いても良い。
図10は、投影レンズ10を備える発光装置103の構成を示す断面図である。図10に示すように、発光装置103は、波長選択フィルタ7を透過した蛍光L2を投光する投影レンズ10を備えている。
投影レンズ10は、透過する蛍光L2を屈折させることで、所定の角度範囲で投光するものである。投影レンズ10は、波長選択フィルタ7が蛍光L2を放出する側に配置されている。
発光装置103によれば、簡単な構成で、波長選択フィルタ7を透過した蛍光L2を所定の角度範囲で投光することができる。
なお、波長選択フィルタ7と投影レンズ10とは、離間している必要はない。投影レンズ10の入射面に多層膜を形成し、波長選択フィルタ7と投影レンズ10とを一体化した構成であってももちろん良い。
また、本変形例では、投影レンズ10を用いる構成を一例として説明したが、必ずしも投影を目的としたレンズである必要はない。投影レンズ10の他、集光レンズやコリメートレンズ、或いは、複数のレンズを組み合わせたレンズ群等であっても、本発明に係る発光ユニットに組み合わせて、好適に使用することができる。
(変形例4)
また、波長選択フィルタ7の形状は、平坦な板状に限られず、その他の形状あっても良い。
図11の(a)および図11の(b)は、略半球状の波長選択フィルタを備える発光装置104a・104bの構成を示す断面図である。図11の(a)は、略半球状の波長選択フィルタとして回転放物面形状の波長選択フィルタ7aを備える発光装置104aを示し、図11の(b)は、略半球状の波長選択フィルタとして回転楕円面形状の波長選択フィルタ7bを備える発光装置104bを示している。
蛍光L2は、発光部8からランバーシアン分布で放出されるため、回転放物面形状の波長選択フィルタ7aまたは回転楕円面形状の波長選択フィルタ7bなどの略半球状の波長選択フィルタを用いることにより、蛍光L2を効率的に波長選択フィルタに入射させて、外部に放出することができる。
そのため、発光装置104a・104bによれば、蛍光L2の利用効率をさらに向上させることができる。
なお、図11の(a)に示す回転放物面形状の波長選択フィルタ7aを用いた場合、その焦点位置に発光部8を配し、その回転軸方向に平行な方向からレーザ光L1を入射させることにより、本変形例4の構成を好適に実施することができる。また、図11の(b)に示す回転楕円面形状の波長選択フィルタ7bを用いた場合、その第2焦点F2の位置に発光部8を配し、第1焦点F1の位置を通過するようにレーザ光L1を入射させることにより、本変形例4の構成を好適に実施することができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図12および図13に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態では、レーザ光L1の強度を検出する光強度検出部9を備えた発光装置105について説明する。
なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<発光装置105の構成>
図12は、本実施形態の発光装置105の構成を示す断面図である。図12に示すように、発光装置105は、レーザ素子1、光ファイバ2および発光ユニット35を備え、レーザ素子1と発光ユニット35とが光ファイバ2によって接続された構成である。
発光装置105は、ミラー6に代えて誘電体多層膜ミラー65を備えている点、並びに、レーザ光L1の強度を検出する光強度検出部9をさらに備えている点において、上記実施形態の発光装置100と主に異なっている。
(発光ユニット35)
発光ユニット35は、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を、蛍光体を含む発光部8に照射することで発生させた蛍光を放出するものである。発光ユニット35は、放熱ベース(載置部)4、レンズ5、誘電体多層膜ミラー(反射鏡)65、波長選択フィルタ(光学板)7、発光部8および光強度検出部9を備えている。
(誘電体多層膜ミラー65)
誘電体多層膜ミラー65は、レーザ光L1を波長選択フィルタ7に向けて反射させるものである。具体的には、誘電体多層膜ミラー65は、内部経路40の屈曲部に配置されており、内部経路40の始端側から導入されたレーザ光L1を開口部40aに向けて反射させる。これにより、レーザ光L1を開口部40aから導出して、波長選択フィルタ7に向かわせることができる。
また、誘電体多層膜ミラー65は、レーザ光L1の一部を透過させる。この誘電体多層膜ミラー65は、基板上に高い屈折率を有する誘電体材料と、低い屈折率を有する誘電体材料とを、交互に積層させることによって製作できる。例えば、高い屈折率を有する誘電体材料としてTiO2を使用し、低い屈折率を有する誘電体材料としてSiO2を使用し、これらを交互に十数層から数十層積層させることによって製作できる。
また、基板としてガラス基板等を使用することができるが、これに限定されず、透光性を有する基板であれば良い。
例えば、誘電体多層膜ミラー65は、照射されたレーザ光L1のうち、99%を反射させ、残りの1%を透過させる。
(光強度検出部9)
光強度検出部9は、誘電体多層膜ミラー65が透過させたレーザ光L1の強度を検出するものである。光強度検出部9は、放熱ベース4の内部に配置されており、誘電体多層膜ミラー65が透過させたレーザ光L1を受光する。この光強度検出部9としては、PD(Photo diode:フォトダイオード)等を用いることができる。
図13は、図12に示される光強度検出部9の構成を示す斜視図であり、図13の(a)は、光強度検出部9の外観を示し、図13の(b)は、図13の(a)に示されるキャップ91を取り外した状態を示している。
図13の(a)および図13の(b)に示されるように、光強度検出部9は、キャップ91、ステム93およびPDチップ96を備えている。また、PDチップ96は、ステム93に配置されたサブマウント95に実装されている。
キャップ91は、サブマウント95に実装されたPDチップ96をシーリングするためのものである。このキャップ91には、透明窓92が組み込まれている。PDチップ96は、この透明窓92を介して、レーザ光L1を受光することができる。
ステム93の表面には、サブマウント95を介してPDチップ96が実装されている。ステム93の裏面には、3つのリード線94a〜94cが配されており、PDチップ96は、ワイヤーによって各リード線に電気的に接続されている。
サブマウント95は、高い熱伝導率を有する材料(SiC、銅、ダイヤモンド、アルミ等)で構成されている。サブマウント95は、PDチップ96から生じた熱の伝導領域を広げて、ステム93およびキャップ91に効率的に伝達することにより、PDチップ96の温度上昇を防止して、PDチップ96の短寿命化を抑止するために設けられている。したがって、サブマウント95は、必須ではなく省略することもできる。この場合、PDチップ96は、直接ステム93上に実装されていても良くい、或いは、一般的なプリント基板を介して実装されていても良い。
光強度検出部9では、キャップ91の透明窓92が、PDチップ96と密着するように、キャップ91の高さおよびサブマウント95の厚さが調整されている。これにより、蛍光L2を効率良くPDチップ96で受光することができる。
この光強度検出部9は、PDチップ96が受光した蛍光L2を、該蛍光L2の強度に応じた電気信号に変換して出力する。そのため、光強度検出部9の検出結果をモニタリングすることにより、レーザ光L1の強度変化を特定することができる。
<発光装置105の効果>
このように、本実施形態の発光装置105が備える発光ユニット35は、レーザ光L1の一部を透過させる誘電体多層膜ミラー65と、誘電体多層膜ミラー65が透過させたレーザ光L1の強度を検出する光強度検出部9とをさらに備える。
発光装置105では、発光ユニット35は、誘電体多層膜ミラー65を透過した一部のレーザ光L1の強度を検出する光強度検出部9をさらに備えるため、光強度検出部9の検出結果をモニタリングすることにより、レーザ光L1の強度変化を特定することができる。
したがって、発光装置105によれば、光強度検出部9の検出結果に基づいて、レーザ光L1の強度が一定となるようにレーザ素子1をフィードバック制御することが可能となる。また、光強度検出部9の検出結果に基づいて、レーザ素子1の劣化、光ファイバ2の断線、光ファイバ2およびレンズ5の位置ずれ等の発生を早期に発見することが可能となる。
したがって、発光装置105によれば、発光装置105の発光機能を安定化させることができると共に、不具合の発生を早期に発見することにより、安全性を向上させることができる。
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、図14〜図16に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態では、レーザ素子1が放熱ベース4の内部に配置された発光装置106について説明する。
なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<発光装置106の構成>
図14は、本実施形態の発光装置106の構成を示す断面図である。図14に示すように、発光装置106は、レーザ素子1、光ファイバ2および発光ユニット36を備え、レーザ素子1は、放熱ベース4の内部に配置された構成である。
発光装置106は、レーザ素子1が放熱ベース4の内部に配置されている点、並びに、ミラー6に代えてMEMSミラー66を備えている点において、上記実施形態の発光装置100と主に異なっている。
(発光ユニット36)
発光ユニット36は、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を、蛍光体を含む発光部8に照射することで発生させた蛍光を放出するものである。発光ユニット36は、放熱ベース(載置部)4、レンズ5、MEMSミラー(反射鏡)66、波長選択フィルタ(光学板)7および発光部8を備えている。
発光ユニット36では、レーザ素子1が、放熱ベース4の内部経路40の始端側にされている。そのため、光ファイバ2を用いないので、発光装置106を小型化することができる。
(MEMSミラー66)
MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラー66は、レーザ光L1を波長選択フィルタ7に向けて反射させるものである。具体的には、MEMSミラー66は、内部経路40の屈曲部に配置されており、内部経路40の始端側に配置されたレーザ素子1から出射されたレーザ光L1を開口部40aに向けて反射させる。これにより、レーザ光L1を開口部40aから導出して、波長選択フィルタ7に向かわせることができる。
このMEMSミラー66は、反射面を有するミラー部(反射鏡)66aと、該ミラー部66aを駆動する駆動部(角度変更部)とを含む駆動式の反射鏡である。MEMSミラー66は、駆動部66bを動作させることで、ミラー部66aの角度を変更することが可能である。そのため、駆動部66bの動作を制御することにより、波長選択フィルタ7に対するレーザ光L1の入射角度を変化させることができ、その結果、発光部8のレーザ光照射面8aにおける任意の位置にレーザ光L1を照射することができる。
このように、MEMSミラー66によれば、発光部8のレーザ光照射面8aにおける任意の位置にレーザ光L1を照射することが可能となる。したがって、MEMSミラー66を備えることにより、発光部8における発光中心をシフトさせることができるので、発光装置100からの蛍光L2の放出位置を容易に変化させることができる。
<発光装置106の効果>
このように、本実施形態の発光装置106が備える発光ユニット36は、波長選択フィルタ7に対するレーザ光L1の入射角度を変更可能なMEMSミラー66を備える。
発光装置106では、発光ユニット36は、波長選択フィルタ7に対するレーザ光L1の入射角度を変更可能なMEMSミラー66を備えるため、波長選択フィルタ7に対するレーザ光L1の入射角度を変更することができる。
そのため、MEMSミラー66の動作を制御することにより、発光部8のレーザ光照射面8aの任意の位置にレーザ光L1を照射することができる。したがって、発光部8における発光中心をシフトさせることができるので、波長選択フィルタ7を透過して放出される蛍光L2の放出位置を変化させることができる。
したがって、発光装置106によれば、例えば、投影レンズ10等によって波長選択フィルタ7を透過した蛍光L2を投光する場合、レーザ光照射面8aにおけるレーザ光L1の照射位置をシフトすることにより、投影レンズ10等によって投光される蛍光L2の投光パターンを容易に変更することができる。
例えば、従来の発光装置で、発光部のレーザ光照射面の任意の位置にレーザ光を照射しようとした場合、特許文献1の構成では、蛍光の配光を制御するリフレクタに形成された、励起光を通過させるための開口部の径を拡大する必要がある。そのため、リフレクタによる投光効率が低下するという問題が生じる。
また、特許文献2の構成では、駆動式の光学部材を励起光源301と発光部308との間に配置する必要があるため、発光部308と凸レンズ310との間隔を広げる必要がある。そのため、発光部308からランバーシアン分布で放出される光をロスなく凸レンズ310に入射させて利用することができず、投光効率が下がるという問題が生じる。また、サイズの大きな駆動式の光学部材によって、発光部308から発せられた光の一部が遮られるため、光の利用効率がさらに低下するという問題が生じる。
これに対して、発光装置106では、発光部8と投影レンズ10等の配光制御部材との間には波長選択フィルタ7のみが配置されるため、投影レンズ10を発光部8に近づけて配置することができ、また、可動式の光学部材等によって発光部8からの光が遮られることがない。そのため、発光装置106によれば、光の利用効率を低下させることなく、投影レンズ10等によって投光される蛍光L2の投光パターンを容易に変更することができる。
なお、駆動式の反射鏡としては、MEMSミラーの他、ガルバノミラーまたはポリゴンミラー等を好適に用いることができる、
また、本実施形態では、レーザ光L1を波長選択フィルタ7に向けて反射させる反射鏡を駆動させているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、レーザ光L1のビーム径等を調節するためのレンズ5を駆動させる構成であっても良い。
さらに、波長選択フィルタ7に対するレーザ光L1の入射角度を変化させるこれら駆動式の光学部材は、必ずしも放熱ベース4の内部に配置されている必要はなく、レーザ素子1の配置位置等に応じて、放熱ベース4の外部に配置されていても良い。
<変形例>
次に、図15および図16を参照して、発光装置106の変形例について説明する。MEMSミラー66に代えて、ミラ−6または凹面ミラー68を用いても良い。
図15は、MEMSミラー66に代えてミラ−6を備えた発光装置107の構成を示す断面図であり、図16は、MEMSミラー66に代えて凹面ミラー68を備えた発光装置108の構成を示す断面図である。
図15および図16に示すように、MEMSミラー66に代えて、ミラ−6または凹面ミラー68を用いても良い。凹面ミラー68を用いる場合、凹面ミラー68は、レーザ光L1のビーム径を縮小させる機能を有する。そのため、発光部8に対して所望のビーム径でレーザ光L1が照射されるように、レンズ5と凹面ミラー68との最適な組み合わせが適宜選択される。なお、収差が小さくなる点において、凹面ミラー68は軸外し放物ミラーであることが好ましい。
発光装置107および108によれば、発光装置の構成を簡略化して、製造コストを低減することができる。
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について、図17および図18に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態では、光学板として反射透光板74を備えた発光装置109について説明する。
なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<発光装置109の構成>
図17は、本実施形態の発光装置109の構成を示す断面図である。図17に示すように、発光装置109は、レーザ素子1、光ファイバ2および発光ユニット37を備え、レーザ素子1と発光ユニット37とが光ファイバ2によって接続された構成である。
発光装置109は、波長選択フィルタ7に代えて、反射透光板(光学板)74を備えている点において、上記実施形態の発光装置100〜108と主に異なっている。この発光装置109は、上述した発光装置100〜108とは異なり、レーザ光L1のスペクトルを波長選択フィルタ7で除去せずに外部に放出して照明光の一部として使用する。例えば、レーザ光L1の波長は365nm〜490nm、好ましくは390nm〜410nm(青紫色)または440nm〜480nm(青色)である。このような波長のレーザ光L1を、発光部8に照射することで、青紫色または青色のレーザ光L1と蛍光L2とを混色して、白色の照明光を生成することができる。特に、レーザ光L1のスペクトルを除去せずに照明光の一部として使用することから、レーザ光L1は可視光であることが好ましい。この場合、蛍光体の励起効率を考慮して、レーザ光L1の波長範囲は440nm〜480nmとすることがより好ましいと言える。
(発光ユニット37)
発光ユニット37は、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を、蛍光体を含む発光部8に照射することで発生させた蛍光L2等を放出するものである。発光ユニット37は、放熱ベース(載置部)4、レンズ5、ミラー(反射鏡)6、反射透光板74および発光部8を備えている。
なお、発光ユニット37は、反射鏡として例えばアルミ増反射ミラー等から構成されるミラー6を備えている。上述した誘電体多層膜ミラー65では、多層膜の厳密な層厚制御が必要であり製造コストを要するため、ミラー6を用いることにより、発光ユニット37の製造コストの低減を図ることができる。
(反射透光板74)
反射透光板74は、発光部8のレーザ光照射面8aに対向して配置された透光性を有する板状の透光部材である。反射透光板74は、発光部8のレーザ光照射面8aに対向して、略平行に配置されている。
この反射透光板74は、ガラス板75と反射膜(反射領域)76とから構成された光学板であり、ガラス板75の発光部8側の面の一部に反射膜76が形成されている。
ガラス板75は、反射透光板74の基材となる板状の透光部材である。ガラス板75は、発光部8が発した蛍光L2と、発光部8に照射されたレーザ光L1のうち蛍光L2に変換されなかったレーザ光L1とを透過する。
なお、反射透光板74の基材は、ガラス板75に限定されず、ポリカーボネートまたはアクリル等の光透過性を有する材質から構成することができる。
反射膜76は、レーザ光L1を発光部8に向けて反射させるものである。本実施形態では、ガラス板75の発光部8側の面の一部に、アルミニウム等の金属材料を蒸着することにより反射膜76が形成されている。
ここで、反射膜76によってレーザ光L1を発光部8に向けて反射させる場合において、蛍光L2を効率よく利用するためには、反射膜76によって遮られる蛍光L2を減らす必要がある。
そのためには、(1)ガラス板75の面内方向において、発光部8からできるだけ離れた位置に反射膜76を形成する、或いは、(2)反射膜76の面積をできるだけ小さくすることが好ましい。
上記(1)に関しては、発光部8の中心位置を通る法線Pと反射膜76の法線Qとが一致しない位置に反射膜76を形成することが好ましく、反射膜76の法線Qが発光部8のレーザ光照射面8aと重ならない位置に反射膜76を形成することがさらに好ましい。
発光部8の中心位置とは、発光部8(光源)の輝度が最大値の50%になる点を連ねた輪郭により形成される面の重心を言う。また、発光部8の中心位置を通る法線Pとは、上記重心からレーザ光照射面8aに対して垂直に伸びる線をいう。また、反射膜76の法線Qとは、反射膜76においてレーザ光L1が照射される位置から反射膜76の反射面に対して垂直に伸びる線をいう(すなわち、反射膜76に対して入射するレーザ光L1と反射膜76で反射したレーザ光L1とが成す角の半角。)。
これにより、ガラス板75の面内方向において、発光部8から離れた位置に反射膜76を形成することができるので、反射膜76によって遮られる蛍光L2を減らすことができる。
図18の(a)〜図18の(c)は、平面でない光学面を有する光学素子の配置例を説明するための模式図ある。上記(2)に関しては、図18の(a)に示すように、レーザ光L1を出射する光ファイバ2の出射端部(励起光出射端)2bから発光部8のレーザ光照射面8aまでの光路において、出射端部2bとレンズ5の入射面(第1光学素子面)5aとの間の光路長を光路長(第1光路長)Aとし、レンズ5の出射面(第2光学素子面)5bとレーザ光照射面8aとの間の光路長を光路長(第2光路長)B(b1+b2+b3)としたとき、光路長Aが光路長B以下になるようにレンズ5を配置することが好ましい。
光路長Aを相対的に短くすることにより、光ファイバ2の出射端部2bから出射されたレーザ光L1をレンズ5の入射面5aに好適に導いてそのビーム径を制御することが可能となる。また、光路長Bを相対的に長くすることにより、レンズ5の出射面5bから出射してレーザ光照射面8aに対して照射されるレーザ光L1のビーム径の制御が容易になり、レーザ光照射面8aに対して最適なビーム径でレーザ光L1を照射することができる。
このように、光路長Aが光路長B以下となるようにレンズ5を配置することにより、平面でない光学面を有する光学素子によるレーザ光L1のビーム径の制御が容易になる。本設定により、レーザ光照射面8aへ入射するレーザ光L1の開口数NAを光ファイバ2の出射端部2bでのレーザ光L1の開口数NAに対して同等以下にすることができる。開口数NAを小さくすることができるので、レーザ光照射面8aから反射膜76までの距離が同じ場合、反射膜76の面積を小さくすることができる。また、レーザ光L1と他の光学部材との位置の干渉が生じにくくなる等、設計の自由度も増す。
なお、図18の(b)に示す発光装置110のように、レーザ光L1を出射する光ファイバ2の出射端部2bから発光部8のレーザ光照射面8aまでの光路において、平面でない光学面を有する複数のレンズ5・15・16が配置されている場合も想定される。この場合、光ファイバ2の出射端部2bと、上記光路において最も上流側に位置する、レンズ5の平面でない入射面5aとの間の光路長を光路長Aとし、上記光路において最も下流側に位置する、レンズ16の平面でない出射面(第2光学素子面)16bとレーザ光照射面8aとの間の光路長を光路長B(b1+b2+b3)として、光路長Aが光路長B以下になるようにレンズ5およびレンズ16を配置すれば良い。なお、本例では、光ファイバ2の出射端部2bから発光部8のレーザ光照射面8aまでの光路に設置される光学素子のパワーはトータルでプラス(集光)となるように設定している。マイナス(発散)の設定にしてはならない。
また、図18の(c)に示す波長選択フィルタ7を備える発光装置108においても同様である。発光装置108の場合、レーザ素子1のレーザ光出射端部(励起光出射端)1aと、上記光路において最も上流側に位置する、レンズ5の平面でない入射面5aとの間の光路長を光路長Aとし、上記光路において最も下流側に位置する、凹面ミラー68の平面でない反射面(第2光学素子面)68aとレーザ光照射面8aとの間の光路長を光路長B(b2+b3)として、光路長Aが光路長B以下になるようにレンズ5および凹面ミラー68を配置すれば良い。特にレーザ光L1を集光するために凹面ミラー68を用いる構成においては、レーザ光L1を集光するためにレンズを用いる構成と比較して、光路長Bにおける最も上流側の端部の位置(反射面68a)をレーザ光照射面8aに近い位置に設置することができる。そのため、レンズを用いて集光する場合よりも、レーザ光L1と他の光学部材との位置の干渉がさらに生じにくくなる等、光学部品の配置に関する自由度が高くなる利点がある。なお、凹面ミラー68としては、軸はずし放物ミラーを使用することがレーザ光出射端部1aの像をレーザ光照射面8aに投影させるという観点では、収差を抑えられるため望ましい。
<発光装置109の効果>
このように、本実施形態の発光装置109が備える発光ユニット37は、レーザ光L1の照射により蛍光L2を発する発光部8と、発光部8に対向して配置された反射透光板74とを備え、反射透光板74は、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を発光部8に向けて反射させる反射膜76を有し、該反射膜76で反射させたレーザ光L1の照射により発光部8から発せられた蛍光L2を透過させる。
発光装置109では、発光ユニット37は、発光部8に対向して配置された反射透光板74を備え、この反射透光板74は、レーザ光L1を発光部8に向けて反射させる反射膜76を有している。そのため、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を、反射透光板74の反射膜76で発光部8に向けて反射させることにより、発光部8にレーザ光L1を照射して蛍光L2を発生させることができる。よって、発光部8と反射透光板74との間に、発光部8にレーザ光L1を照射するための励起光源やミラーを別途配置する必要がない。
そのため、発光装置109では、発光部8と反射透光板74との間に、励起光源等を配置するスペースを確保する必要がなく、反射透光板74を発光部8に近づけて配置することが可能となる。したがって、投影レンズ等の配光制御部材によって反射透光板74を透過した蛍光L2を投光する場合、投影レンズ等を発光部8に近づけて配置することが可能となるため、発光部8からランバーシアン分布で放出される蛍光L2をロスなく投影レンズ等に入射させて、投光することができる。
よって、本実施形態によれば、光の利用効率を向上させた発光装置109を実現することができる。
また、本実施形態によれば、レーザ光L1を蛍光L2と共に外部に放出して照明光の一部として使用することができるため、高輝度な発光装置109を実現することができる。
〔実施形態5〕
本発明のさらに他の実施形態について、図19〜図22に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態では、光学板として吸収型フィルタ17をさらに備えた発光装置111について説明する。
なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<発光装置111の構成>
図19は、本実施形態の発光装置111の構成を示す断面図である。図19に示すように、発光装置111は、レーザ素子1、光ファイバ2および発光ユニット38を備え、レーザ素子1と発光ユニット38とが光ファイバ2によって接続された構成である。
発光装置111は、波長選択フィルタ7に加えて、吸収型フィルタ17をさらに備えている点において、上記実施形態1の発光装置100(図1参照)と主に異なっている。
(発光ユニット38)
発光ユニット38は、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を、蛍光体を含む発光部8に照射することで発生させた蛍光を放出するものである。発光ユニット38は、放熱ベース4、レンズ5、ミラー6、波長選択フィルタ(光学板)7、吸収型フィルタ(光学板)17、および発光部8を備えている。
(吸収型フィルタ17)
吸収型フィルタ17は、レーザ光L1の波長範囲の光を吸収し、それよりも長波長の光(発光部8から発せられる蛍光L2)を透過させるものである。この吸収型フィルタ17は、波長選択フィルタ7のレーザ光L1を反射させる面(すなわち蛍光L2を入射させる面)と反対の面側に配置されている。
ここで、波長選択フィルタ7の作用・効果については上述したように、レーザ光L1の波長と波長選択フィルタ7への入射角とを適切に選択することにより、レーザ光L1のほぼ全てを波長選択フィルタ7で反射しつつ、蛍光L2を効率的に透過させることが可能である(図3参照)。
ところが、発光部8に照射されたレーザ光L1は必ずしも全てが発光部8において蛍光L2に変換されるわけではなく、発光部8に照射されたレーザ光L1のうち、一部のレーザ光L1は発光部8の表面で拡散反射される成分、または、発光部8の内部に入射した場合であっても蛍光L2に変換されずそのまま発光部8から出射する成分も生じる。このようなレーザ光L1の迷光成分は、発光部8においてレーザ光L1が照射された部分を放出源と考えた場合、ランバーシアン分布に近い放射パターンで発光部8から放出される。この場合、レーザ光L1の迷光成分は、波長選択フィルタ7に種々の角度で入射することになるため、波長選択フィルタ7に対して浅い角度で入射したレーザ光L1の迷光成分は波長選択フィルタ7により反射されて外部には放出されないが、波長選択フィルタ7に対して特に深い角度で入射したレーザ光L1の迷光成分については波長選択フィルタ7で反射されず、波長選択フィルタ7を透過して外部に放出されることになる。
そこで、発光装置111では、レーザ光L1の迷光成分のうち、波長選択フィルタ7を透過した成分を吸収するために、吸収型フィルタ17をさらに備えている。
図20は、吸収型フィルタ17の波長選択性を説明するためのグラフである。図20では、横軸が入射する光の波長を示し、縦軸が該光の透過率を示している。
図20では、吸収型フィルタ17の波長選択性として、波長418nmをカットオフ波長とし、418nmよりも短波長の光を吸収する一方、418nmよりも長波長の光を透過する例を示している。この吸収型フィルタ17の波長選択性は、波長選択フィルタ7の波長選択性とは異なり入射角には依存しない。そのため、レーザ光L1の迷光成分の入射角に関わらず該レーザ光L1の迷光成分を吸収可能である。
このように、発光装置111では、蛍光L2を透過しレーザ光L1を反射する反射型フィルタである波長選択フィルタ7と、蛍光L2を透過しレーザ光L1を吸収する吸収型フィルタ17とを2枚併用することで、迷光成分まで含めたレーザ光L1の遮断を可能としている。すなわち、波長選択フィルタ7がレーザ光L1を選択的に反射する役割を果たし、吸収型フィルタ17によって、レーザ光L1のうち迷光となって波長選択フィルタ7で反射されずに該波長選択フィルタ7を透過したレーザ光L1を吸収することができる。
このような吸収型フィルタ17は、例えば、ガラス等の透明な部材の中に光吸収物質を分散させたものであり、例えば、特許第5142139号等に開示されたものを用いることができる。
(光ファイバ2)
図21の(a)は、本実施形態の光ファイバ2の出射端部2bを示す平面図であり、図21の(b)は、発光部8を示す平面図である。図21の(a)に示すように、本実施形態では、光ファイバ2として、出射端部2bにおけるコア21の形状が四角形であるマルチモードファイバを用いている。光ファイバ2は、中芯のコア21を、当該コア21よりも屈折率の低いクラッド22で覆い、さらにクラッド22を被覆層23で覆った構造をしている。コア21のサイズは、例えば100μm〜800μm角といった数百μm角の正方形または長方形とすることができる。レーザ素子1から出射されたレーザ光L1は、この四角形のコア21を有する光ファイバ2の入射端部2aに結合される。
なお、光強度分布がガウシアン分布であるレーザ素子1の出射光を、四角形のコア21を有するマルチモードファイバである光ファイバ2に入力することにより、光ファイバ2の出射端部2bでは光分布が略均一となった矩形の近視野像を得ることができる。
本実施形態では、レンズ5として、光ファイバ2の出射端部2bにおける四角形のコア21の形状を発光部8のレーザ光照射面8aに拡大して結像させる結像レンズを用いている。これにより、図21の(b)に示すように、光ファイバ2の出射端部2bにおける近視野像をレンズ5により発光部8のレーザ光照射面8aに結像させた場合、発光部8のレーザ光照射面8a上における矩形のレーザ光照射領域8bにレーザ光L1が照射されるため、発光部8を矩形で均一に発光させることができる。
なお、図21の(a)に示す四角形のコア21の各辺a〜dは、発光部8のレーザ光照射面8aにおいて、図21の(b)に示すレーザ光照射領域8bの各辺a’〜d’として結像される。
本実施形態では、投影レンズ10として、発光部8の発光形状を遠方へ結像させるように投光するレンズを用いることにより、上述したように矩形で均一に発光する発光部8の発光形状をそのまま遠方に投光することができる。
したがって、矩形の投光パターンの直線部分が水平になるように投光することにより、水平方向に伸びる直線状の高い明暗コントラストを要求する自動車用ヘッドランプのロービーム(すれ違い灯)のカットオフラインの一部を好適に投影することができる。すなわち、本実施形態の構成は、自動車用ヘッドランプのロービームとして特に好適に利用することができる。
<発光装置111の構成>
このように、本実施形態の発光装置111が備える発光ユニット38では、レーザ光L1を反射し、且つ、蛍光L2を透過する波長選択フィルタ7に加えて、波長選択フィルタ7のレーザ光L1を反射させる面と反対の面側に、レーザ光L1を選択的に吸収する吸収型フィルタ17をさらに含んでいる。
このように、蛍光L2を透過してレーザ光L1を反射する反射型フィルタである波長選択フィルタ7と、蛍光L2を透過してレーザ光L1を吸収する吸収型フィルタ17とを併用することで、迷光成分まで含めたレーザ光L1を遮断することができる。
したがって、本実施形態によれば、蛍光L2に変換されなかったレーザ光L1の迷光成分が外部に漏れることを好適に防止することができる発光装置111を実現することができる。
<変形例>
次に、図22を参照して、発光部8の変形例について説明する。図22の(a)および図22の(b)は、発光部8の変形例を説明するための平面図である。上述した説明では、図22の(a)に示すように、矩形のレーザ光照射領域8bよりも大きなレーザ光照射面8aを有する発光部8を用い、この発光部8のレーザ光照射面8aの一部にレーザ光L1を照射することで、発光部8を矩形で均一に発光させる構成を示した。
ただし、図22の(b)に示すように、レーザ光照射領域8bの面積/形状と発光部8のレーザ光照射面8aの面積/形状とを一致させてもよい。この場合、発光部8の端部における明暗コントラストが非常に大きくなるので、発光装置111によって投光される矩形の投光パターンの直線部分の明暗コントラストを大きくすることができる。
したがって、明暗コントラストが強い投光パターンを投光したい場合に本変形例を好適に適用することができる。
なお、レーザ光照射領域8bの面積/形状よりも、レーザ光照射面8aの面積/形状が小さな発光部8を用いた場合であっても、同様の効果を得ることができる。
〔実施形態6〕
本発明のさらに他の実施形態について、図23および図24に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態では、発光ユニット39内において発光部8が傾いて配置された発光装置112について説明する。
なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<発光装置112の構成>
図23は、本実施形態の発光装置112の構成を示す断面図である。図23に示すように、発光装置112は、レーザ素子1、光ファイバ2および発光ユニット39を備え、レーザ素子1と発光ユニット39とが光ファイバ2によって接続された構成である。
発光装置112は、発光部8のレーザ光照射面8aが反射膜76に対して傾いて配置されている点において、上記実施形態4の発光装置109(図17参照)と主に異なっている。
(発光ユニット39)
発光ユニット39は、レーザ素子1から出射されたレーザ光L1を、蛍光体を含む発光部8に照射することで発生させた蛍光L2等を放出するものである。発光ユニット39は、放熱ベース4、レンズ5、ミラー6、反射透光板74、および発光部8を備えている。
本実施形態の発光ユニット39では、発光部8のレーザ光照射面8aが反射膜76の配置方向とは異なる方向を向くように、発光部8が傾いて(すなわち、反射膜76とレーザ光照射面8aとが平行でない状態)配置されている。これにより、発光部8が発した蛍光L2の反射膜76への照射量を減らすことができ、反射膜76によって遮られる蛍光L2を低減することができる。
なお、上記実施形態4では、ガラス板75の面内方向において、発光部8から離れた位置に反射膜76を形成することにより、反射膜76によって遮られる蛍光L2を減らすことが可能になる構成について説明した。一方、本実施形態は、反射膜76によって遮られる蛍光L2を減らすための構成として、レーザ光照射面8aが反射膜76の配置方向とは異なる方向を向くように発光部8を傾けて配置する構成を示すものである。すなわち、蛍光L2は、発光部8のレーザ光照射面8aの法線方向に最も強く発せられるが、本実施形態では、そのレーザ光照射面8aの法線が反射膜76から離れる方向に傾いている。そのため、発光部8が発した蛍光L2の反射膜76への照射量が減少するので、反射膜76によって遮られる蛍光L2を大幅に低減することができる。
さらに、本実施形態では、レーザ光照射面8aの法線方向に位置するガラス板75の端部に、ガラス板75を略90°折曲させることで形成した側壁部Aを設けることが好ましい。この側壁部Aを形成することにより、発光装置112における蛍光L2の取り出し効率を高めることができる。
図24は、図23に示す側壁部Aの変形例を示す断面図である。ガラス板75の側壁部Aの形状は特に限定されない。例えば図24に示すように、ガラス板75を滑らかな曲面状に折曲して形成した側壁部Bをガラス板75に設けてもよい。側壁部Aでは略90°折曲した角部で不要な光の散乱等が生じ得るが、側壁部Bによればこのような光の散乱等を抑制することができるため好ましい。
なお、本実施形態では、レーザ光L1の波長として上記実施形態4と同じく365nm〜490nmの波長範囲のものを用いることができる。特に440nm〜480nmの青色のレーザ光L1を用いることが好ましく、レーザ光L1を発光部8からの蛍光L2と混合させて白色光を得る構成において本実施形態を好適に適用することができる。
<発光装置112の効果>
このように、本実施形態の発光装置112が備える発光ユニット39では、発光部8は、該発光部8が発した蛍光L2が反射膜78に照射されないように、反射膜78に対してレーザ光照射面8aが傾いて配置されている。
したがって、本実施形態によれば、反射膜76によって遮られる蛍光L2を低減することができるので、蛍光L2の取り出し効率を向上させた発光装置112を実現することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る発光ユニットは、励起光(レーザ光L1)の照射により蛍光(L2)を発する発光部と、前記発光部に対向して配置された光学板(波長選択フィルタ7)とを備え、前記光学板は、励起光源(レーザ素子1)から出射された前記励起光を前記発光部に向けて反射させ、且つ、該励起光の照射により前記発光部から発せられた前記蛍光を透過させることを特徴とする。
上記の構成では、発光ユニットは、発光部に対向して配置された光学板を備え、この光学板は、励起光を発光部に向けて反射させ、且つ、該励起光の照射により発光部から発せられた蛍光を透過させる。すなわち、光学板は、励起光を反射させ、且つ、蛍光を透過させるという、波長選択性を有している。
そのため、励起光源から出射された励起光を、光学板によって発光部に向けて反射させることにより、発光部に励起光を照射して蛍光を発生させることができる。よって、発光部と光学板との間に、発光部に励起光を照射するための励起光源やミラーを配置する必要がない。
したがって、上記の構成では、発光部から発せられた蛍光の一部が、発光部と光学板との間に配置された励起光源等によって遮られることがないため、蛍光を効率的に利用することができる。
また、上記の構成では、発光部と光学板との間に、励起光源等を配置するスペースを確保する必要がないため、光学板を発光部に近づけて配置することが可能となる。したがって、投影レンズ等の配光制御部材によって光学板を透過した蛍光を投光する場合、投影レンズ等を発光部に近づけて配置することが可能となるため、発光部からランバーシアン分布で放出される蛍光をロスなく投影レンズ等に入射させて、投光することができる。
よって、上記の構成によれば、光の利用効率を向上させた発光ユニットを実現することができる。
本発明の態様2に係る発光ユニットでは、上記態様1において、前記光学板は、前記励起光が照射される前記発光部の面である励起光照射面に対向して配置されており、前記発光部は、主に前記励起光照射面から前記蛍光を発してもよい。
上記の構成では、発光部は主に励起光照射面から蛍光を発するものであり、透明板は該励起光照射面に対向して配置されている。そのため、励起光照射面から発せられた蛍光を効率的に光学板に入射させて、外部に放出することができる。
したがって、上記の構成によれば、光の利用効率をより向上させることができる。
本発明の態様3に係る発光ユニットでは、上記態様1または2において、前記光学板は、前記励起光を反射し、且つ、前記蛍光を透過する反射型フィルタを含んでいてもよい。
上記の構成によれば、特定の波長範囲の光(蛍光)を透過し、それ以外の波長範囲の光(励起光)を反射する反射型フィルタを用いて、本発明の光学板を好適に実現することができる。
本発明の態様4に係る発光ユニットでは、上記態様3において、前記光学板は、前記反射型フィルタの前記励起光を反射させる面と反対の面側に、前記励起光を選択的に吸収する吸収型フィルタをさらに含んでいてもよい。
上記の構成では、光学板は、特定の波長範囲の光(蛍光)を透過し、それ以外の波長範囲の光(励起光)を吸収する吸収型フィルタをさらに含んでいるため、発光部に照射された励起光のうち蛍光に変換されなかった励起光の迷光成分が反射型フィルタを透過した場合であっても、透過した励起光の迷光成分を吸収型フィルタによって吸収することができる。
したがって、上記の構成によれば、励起光の迷光成分が外部に漏れることをより確実に防止することができる。
本発明の態様5に係る発光ユニットでは、上記態様3または4において、前記励起光の波長は、390nm以上410nm以下であってもよい。
上記の構成によれば、青紫色または青紫色のレーザ光を励起光として利用することができる。
本発明の態様6に係る発光ユニットでは、上記態様1または2において、前記光学板(反射透光板74)は、前記励起光および前記蛍光を透過させる透光部材(ガラス板75)と、該透光部材の一部に設けられた、前記励起光を前記発光部に向けて反射させる反射膜とを含んでいてもよい。
上記の構成では、光学板は、励起光源から出射された励起光を透光部材の一部に設けられた反射膜によって発光部に向けて反射させることにより、発光部に励起光を照射して蛍光を発生させることができる。また、光学板は、発光部が発した蛍光を、透光部材を透過させることによって外部に放出することができる。
したがって、上記の構成によれば、透光部材と該透光部材の一部に設けられた反射膜とによって、本発明の光学板を好適に実現することができる。
本発明の態様7に係る発光ユニットでは、上記態様6において、前記発光部は、該発光部が発した前記蛍光が前記反射膜に照射されないように、前記反射膜に対して傾いて配置されていてもよい。
上記の構成によれば、反射膜によって遮られる蛍光を低減することができるので、発光ユニットにおける蛍光の取り出し効率を向上させることができる。
本発明の態様8に係る発光ユニットでは、上記態様6または7において、前記励起光の波長は、440nm以上480nm以下であってもよい。
上記の構成によれば、可視光である励起光を蛍光と共に照明光の一部として使用することができ、且つ、励起光による発光部の励起効率の低下を抑制することができる。
本発明の態様9に係る発光ユニットでは、上記態様1〜8のいずれかにおいて、前記発光部を載置する載置面を有する載置部(放熱ベース)をさらに備え、前記載置部は、前記励起光を導光する内部経路を有しており、前記内部経路の一端は、前記載置面において開口部を形成しており、前記光学板は、前記開口部から導出された前記励起光を前記発光部に向けて反射させてもよい。
上記の構成では、光学板は、発光部を載置する載置面に形成された開口部から導出された励起光を発光部に向けて反射させるため、発光部に対して載置部側に励起光源を配置することが容易となる。
したがって、上記の構成によれば、発光部から発せられる蛍光を遮らない位置に、励起光源を好適に配置することができる。
本発明の態様10に係る発光ユニットでは、上記態様9において、前記励起光源から出射された前記励起光を前記光学板に向けて反射させる反射鏡(ミラー6)をさらに備え、前記反射鏡は、前記内部経路内に配置され、且つ、該内部経路の他端側から導入された前記励起光を前記開口部に向けて反射させてもよい。
上記の構成では、内部経路の他端側から導入された励起光を反射鏡によって開口に向けて反射させるため、反射鏡の設置角度(傾き)を変更することにより、光学板に対する励起光の入射角度を調整することが可能となる。
したがって、上記の構成によれば、励起光源自体の設置角度を変更する場合に比べて、透明板に対する励起光の入射角度の調整が容易となる。
本発明の態様11に係る発光ユニットでは、上記態様10において、前記反射鏡(ミラー部66a)の角度を変更する角度変更部(駆動部66b)をさらに備えていてもよい。
上記の構成では、角度変更部を制御して反射鏡の角度を変更することにより、発光部の任意の位置に励起光を照射することができる。そのため、発光部における発光中心をシフトさせることが可能となるので、光学板を透過して放出される蛍光の放出位置を変化させることができる。
したがって、上記の構成によれば、例えば、投影レンズ等の配光制御部材によって光学板を透過した蛍光を投光する場合、角度変更部を制御して発光部における励起光の照射位置をシフトすることにより、投影レンズ等によって投光される蛍光の投光パターンの位置を容易に変更することができる。
本発明の態様12に係る発光ユニットでは、上記態様10または11において、前記反射鏡(誘電体多層膜ミラー65)は、前記励起光の一部を透過させるものであり、前記反射鏡が透過させた前記励起光の強度を検出する検出部(光強度検出部9)をさらに備えていてもよい。
上記の構成では、発光ユニットは、反射鏡を透過した一部の励起光の強度を検出する検出部をさらに備えるため、検出部の検出結果をモニタリングすることにより、励起光の強度変化を特定することができる。
そのため、上記の構成では、検出部の検出結果に基づいて、励起光の強度が一定となるように励起光源をフィードバック制御することが可能となる。また、検出部の検出結果に基づいて、励起光源の劣化、光学部材の位置ずれおよび破損等の発生を早期に発見することが可能となる。
したがって、上記の構成によれば、発光ユニットの発光機能を安定化させることができると共に、励起光源等の不具合の発生を早期に発見することにより、発光ユニットの安全性を向上させることができる。
本発明の態様13に係る発光ユニットでは、上記態様9〜12のいずれかにおいて、前記載置部の外部に配置された前記励起光源から出射された前記励起光を、前記内部経路の他端側から該内部経路に導入する導光部(光ファイバ2)をさらに備えていてもよい。
上記の構成によれば、載置部の外部に励起光源が配置されているため、発光ユニットを小型化することができる。また、励起光源と発光部との間隔を大きくすることができるため、励起光源において生じた熱によって発光部が劣化することを回避することができる。
また、上記の構成によれば、載置部の外部に配置された励起光源から出射された励起光を、導光部によって内部経路に導入されるため、励起光源の配置位置の自由度を高めることができる。
本発明の態様14に係る発光ユニットでは、上記態様13において、前記導光部は、前記励起光を出射する出射端部におけるコアの形状が四角形である光ファイバを含んでいてもよい。
上記の構成では、出射端部におけるコアの形状が四角形の光ファイバから出射された励起光を発光部に結像させることにより、該発光部を矩形形状に発光させることが可能となる。
したがって、上記の構成によれば、発光部の発光形状をそのまま遠方に投光することによって、矩形の投光パターンを投光することができるため、例えば、自動車用前照灯のロービーム(すれ違い灯)のカットオフラインの一部として該投光パターンを好適に利用することができる。
本発明の態様15に係る発光ユニットでは、上記態様1〜14のいずれかにおいて、 前記光学板(波長選択フィルタ7a・7b)は、前記発光部側に開口した略半球状であってもよい。
上記の構成では、光学板は、発光部側に開口した略半球状であるため、発光部からランバーシアン分布で放出される蛍光を効率的に光学板に入射させ、外部に放出することができる。
したがって、上記の構成によれば、光の利用効率をさらに向上させることができる。
本発明の態様16に係る発光ユニットでは、上記態様15のいずれかにおいて、前記光学板(波長選択フィルタ7a・7b)は、回転放物面形状または回転楕円面形状であってもよい。
上記の構成によれば、発光部からランバーシアン分布で放出される蛍光を効率的に光学板に入射させて外部に放出することができる略半球状の光学板を好適に得ることができる。
本発明の態様17に係る発光装置は、上記態様1〜16のいずれかの発光ユニットと、前記励起光源とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、光の利用効率を向上させた発光装置を実現することができる。
本発明の態様18に係る照明装置は、上記態様17における発光装置を備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、光の利用効率を向上させた照明装置を実現することができる。
本発明の態様19に係る車両用前照灯は、上記態様17における発光装置を備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、光の利用効率を向上させた車両用前照灯を実現することができる。
〔補足〕
なお、本発明は、以下のように表現することもできる。すなわち、本発明の態様20に係る発光ユニットでは、上記態様1〜3のいずれかにおいて、前記光学板は、前記発光部に照射された前記励起光のうち、前記蛍光に変換されなかった励起光を、前記発光部側に反射させることが好ましい。
発光部に照射された励起光は、そのほとんどが蛍光体に吸収され蛍光に変換される。しかし、何らかの原因で励起光の一部が変換されない場合も考えられる。
上記の構成によれば、このような場合であっても、蛍光に変換されなかった励起光が、光学板によって発光部側に反射されるため、励起光が外部に漏れることを防止できる。
本発明の態様21に係る発光ユニットは、励起光の照射により蛍光を発する発光部と、前記発光部に対向して配置された光学板(反射透光板74)とを備え、前記光学板は、励起光源から出射された前記励起光を前記発光部に向けて反射させる反射領域(反射膜76)を有し、該反射領域で反射させた前記励起光の照射により前記発光部から発せられた前記蛍光を透過させることを特徴とする。
上記の構成では、発光ユニットは、発光部に対向して配置された光学板を備え、この光学板は、励起光を発光部に向けて反射させる反射領域を有している。そのため、励起光源から出射された励起光を、光学板の反射領域で発光部に向けて反射させることにより、発光部に励起光を照射して蛍光を発生させることができる。よって、発光部と光学板との間に、発光部に励起光を照射するための励起光源やミラーを別途配置する必要がない。
そのため、上記の構成では、発光部と光学板との間に、励起光源等を配置するスペースを確保する必要がなく、光学板を発光部に近づけて配置することが可能となる。したがって、投影レンズ等の配光制御部材によって光学板を透過した蛍光を投光する場合、投影レンズ等を発光部に近づけて配置することが可能となるため、発光部からランバーシアン分布で放出される蛍光をロスなく投影レンズ等に入射させて、投光することができる。
よって、上記の構成によれば、光の利用効率を向上させた発光ユニットを実現することができる。また、上記の構成によれば、励起光を蛍光と共に外部に放出して照明光の一部として使用することができるため、高輝度な発光装置を実現することができる。
また、本発明の態様22に係る発光ユニットでは、上記態様21において、前記励起光を出射する前記励起光源の励起光出射端から、該励起光が照射される前記発光部の面である励起光照射面までの光路において、前記励起光出射端と前記光路において最も上流側に位置する平面でない第1光学素子面との間の光路長を第1光路長とし、前記光路において最も下流側に位置する平面でない第2光学素子面と、前記励起光照射面との間の光路長を第2光路長としたとき、前記第1光路長は、前記第2光路長以下であることが好ましい。
上記の構成では、第1光路長を相対的に短くすることにより、励起光出射端から出射された励起光を第1光学素子面に好適に導いてそのビーム径を制御することが可能となる。また、第2光路長を相対的に長くすることにより、第2光学素子面から出射されて励起光照射面に対して照射される励起光のビーム径の制御が容易になり、励起光照射面に対して最適なビーム径で照射することができる。
したがって、上記の構成によれば、光学素子による励起光のビーム径の制御が容易になり、励起光照射面に対して最適なビーム径で励起光を照射することができる。