以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1(a)、(b)および(c)は、それぞれ、携帯電話機1の正面図、背面図および右側面図である。以下、説明の便宜上、図1(a)〜(c)に示すように、キャビネット2の長手方向を上下方向と定義し、キャビネット2の短手方向を左右方向と定義する。
図1に示されるように、携帯電話機1は、キャビネット2と、ディスプレイ3と、フロントタッチパネル4と、マイクロフォン5と、通話スピーカ6と、バックタッチパネル7と、外部スピーカ8と、カメラ9と、電波送信アンテナ10と、電界検知アンテナ11、12と、電波送受信アンテナ13とを備えている。
キャビネット2は、正面から見て、ほぼ長方形状の輪郭を有する。キャビネット2の正面に、ディスプレイ3が配されている。ディスプレイ3には、各種の画像(画面)が表示される。ディスプレイ3は、たとえば、液晶ディスプレイである。ディスプレイ3は、有機ELディスプレイ等、他の種類のディスプレイであってもよい。さらに、ディスプレイ3を覆うように、フロントタッチパネル4が配置されている。フロントタッチパネル4は、透明なシートという特徴を有する。フロントタッチパネル4として、静電容量式、超音波式、感圧式、抵抗膜式、光検知式等、各種方式のタッチパネルが用いられ得る。
キャビネット2の内部には、下端部にマイクロフォン5が配されており、上端部に通話スピーカ6が配されている。マイクロフォン5には、キャビネット2の正面に形成された
マイク孔5aを通じて音声が入力される。マイクロフォン5は、入力された音に応じた電気信号を生成する。通話スピーカ6は、音を出力する。出力された音は、キャビネット2の正面に形成された出力孔6aを通じて外部に放出される。通話の際には、通信先の機器(携帯電話機等)から受信された受話音声が通話スピーカ6から出力され、ユーザが発した発話音声がマイクロフォン5に入力される。尚、本実施例において、「音」は、音声(発話音声、受話音声を含む)、報知音などを含む。
キャビネット2の背面には、略長方形の輪郭を有する凹部2aが形成され、この凹部2aの裏面に、バックタッチパネル7が配置されている。バックタッチパネル7は、フロントタッチパネル4と同様、透明なシート状に形成されている。バックタッチパネル7として、静電容量式、超音波式、感圧式、抵抗膜式、光検知式等、各種方式のタッチパネルが用いられ得る。
キャビネット2の内部には、外部スピーカ8が配されている。キャビネット2の背面には、外部スピーカ8に対応する出力孔8aが形成されている。外部スピーカ8から出力された音は、出力孔8aを通じて外部に放出される。
キャビネット2の内部には、カメラ9が配されている。キャビネット2の背面には、レンズ窓9aが設けられており、レンズ窓9aを通じて被写体の像がカメラ9に取り込まれる。
キャビネット2の内部には、右側面近傍の位置に電波送信アンテナ10が配置され、ており、また、左側面近傍の位置に電界検知アンテナ11が配置されている。電波送信アンテナ10は、第1の周期タイミングで微弱な電波を発生する。電波送信アンテナ10から送信された電波によって生じる電界は、キャビネット2の右側面と左側面が、電界を導通する媒体によって接続されない状態では、電界検知アンテナ11に検知されない。ユーザがキャビネット2の左右の側面を把持すると、把持した手が媒介となって、電波送信アンテナ10から送信された電波によって生じた電界が電界検知アンテナ11の方へと伝わり、電界検知アンテナ11により電界が検知される。電界検知アンテナ11は、電界を検知した場合に、検知信号を後述の制御部21に出力する。尚、電界検知アンテナ11は、電解を検知している間、第1の検知信号を制御部21に出力してもよい。制御部21は、第1の検知信号を受信している間、電界を検知していると判断してもよい。また、電界検知アンテナ11は、電界を検知すると、第2の検知信号を制御部21に出力し、その後、電界を検知しなくなると、第3の検知信号を制御部21に出力してもよい。制御部21は、第2の検知信号を受信すると電界が検知されたと判断し、その後、第3の検知信号を受信すると、電界の検知が終了したと判断してもよい。
キャビネット2の内部には、通話スピーカ6の近傍に電界検知アンテナ12が配置されている。電波送信アンテナ10は、第1の周期タイミングとは異なる第2の周期タイミングで微弱な電波を発生する。電波送信アンテナ10から送信された電波によって生じる電界は、キャビネット2正面の上端部と右側面が、電界を導通する媒体によって接続されない状態では、電界検知アンテナ12に検知されない。ユーザがキャビネット2を把持した状態で、ユーザの耳に通話スピーカ6を近付けると、手から耳までの人体が媒介となって、電波送信アンテナ10から送信された電波によって生じた電界が電界検知アンテナ12の方へと伝わり、電界検知アンテナ12により電界が検知される。電界検知アンテナ12は、電界を検知した場合に、検知信号を後述の制御部21に出力する。
図2は、携帯電話機1の全体構成を示すブロック図である。携帯電話機1は、制御部21と、記憶部22と、画像出力部23と、フロントタッチ検出部24と、バックタッチ検出部25と、グリップ検知部26と、近接検知部27と、音声入力部28と、音声出力部
29と、音声処理部30と、撮影部31と、キー入力部32と、通信部33を備えている。
記憶部22は、ROM、RAM、外部メモリー等から構成される。記憶部22には、各種のプログラムが記憶されている。記憶部22に記憶されるプログラムは、携帯電話機1の各部を制御するための制御プログラムの他、各種アプリケーション(たとえば、電話、電子メール、電話帳、地図、ゲーム、スケジュール管理、等)を含む。プログラムは、メーカによって携帯電話機1の製造時に記憶部22に記憶される他、ユーザによって通信網やメモリカード等の記憶媒体を介して記憶部22に記憶される。
記憶部22には、プログラムの実行の際、一時的に利用または生成されるデータを記憶する図示しないワーキング領域も含まれる。
制御部21は、CPU等から構成されている。制御部21は、プログラムに従って、携帯電話機1を構成する各部(制御部21と、記憶部22と、画像出力部23と、フロントタッチ検出部24と、バックタッチ検出部25と、グリップ検知部26と、近接検知部27と、音声入力部28と、音声出力部29と、音声処理部30と、撮影部31と、キー入力部32と、通信部33等)を制御する。
画像出力部23は、図1に示すディスプレイ3等から構成される。画像出力部23は、制御部21からの制御信号と画像信号に基づき、ディスプレイ3に画像(画面)を表示する。
フロントタッチ検出部24は、図1に示すフロントタッチパネル4を備える。フロントタッチ検出部24は、図1に示すディスプレイ3へのユーザによるタッチ操作を、フロントタッチパネル4により検出する。すなわち、フロントタッチ検出部24は、指が触れたディスプレイ3上の位置(タッチ位置)を検出し、検出したタッチ位置に応じた位置信号を制御部21へ出力する。これによりユーザは、あたかもディスプレイ3を指で触れることにより携帯電話機1を制御しているように感じることができる。
ユーザは、ディスプレイ3に指を触れることにより各種のタッチ操作を行うことができる。タッチ操作の種類として、タップ操作、フリック操作、スライド操作、ロングタップ操作等が挙げられる。タップ操作は、ディスプレイ3に指を接触させた後、短時間のうちにディスプレイ3より指を離す操作である。フリック操作は、ディスプレイ3を指で任意の方向に弾く操作である。スライド操作は、ディスプレイ3に指を接触させたまま任意の方向へ移動させる操作である。フリック操作およびスライド操作は、タッチ位置の移動を伴うタッチ操作である。ロングタップ操作は、ディスプレイ3に指を接触させた後、しばらくの間接触を維持し、ディスプレイ3から指を離す操作である。
タッチ操作についてより具体的に説明する。たとえば、フロントタッチ検出部24によりディスプレイ3に対するタッチ位置が検出された後、予め定めた第1時間以内にタッチ位置が検出されなくなった場合、即ち、ディスプレイ3より指を離す操作があった場合、制御部21はタッチ操作をタップ操作と判定する。フロントタッチ検出部24によりディスプレイ3に対するタッチ位置が検出され、予め定めた第2時間以内に予め定めた第1距離以上タッチ位置が移動した後、タッチ位置が検出されなくなった場合、制御部21はタッチ操作をフリック操作と判定する。フロントタッチ検出部24によりディスプレイ3に対するタッチ位置が検出された後、予め定めた第2距離以上タッチ位置が移動すると、制御部21はタッチ操作をスライド操作と判定する。フロントタッチ検出部24によりディスプレイ3に対するタッチ位置が検出された後、予め定めた第3時間以上タッチ位置が検出され続け、さらにその後、タッチ位置が検出されなくなった場合、制御部21はタッチ
操作をロングタップ操作と判定される。
バックタッチ検出部25は、図1に示すバックタッチパネル7を備える。バックタッチ検出部25は、図1に示す凹部2aへのユーザによるタッチ操作を、バックタッチパネル7により検出する。すなわち、バックタッチ検出部25は、指が触れた凹部2a上の位置(タッチ位置)を検出し、検出したタッチ位置に応じた位置信号を制御部21へ出力する。
ユーザは、凹部2aに指を触れることにより、上記フロントタッチパネル4に対するタッチ操作と同様のタッチ操作を行うことができてもよい。また、ユーザは、バックタッチパネル7へのタッチ操作を介して、携帯電話機1の動作を制御してもよい。
グリップ検知部26は、図1に示す電波送信アンテナ10と、電波送信回路部10aと、図1に示す電界検知アンテナ11と、電界検知回路部11aと、電界検知制御部14を備えている。近接検知部27は、図1に示す電波送信アンテナ10と、電波送信回路部10aと、図1に示す電界検知アンテナ12と、電界検知回路部12aと、電界検知制御部14とを備えている。グリップ検知部26と近接検知部27は、電波送信アンテナ10と、電波送信回路部10aとを時分割制御により共用している。
電界検知制御部14は、制御部21からの命令に応じて、電波送信回路部10aを駆動する。電波送信回路部10aは、D/A変換回路、パルス発生回路等を備え、ユーザのグリップを検知するための電波を送信するための信号とユーザの耳の近接を検知するための電波を送信するための信号を生成する。電波送信アンテナ10は、電波送信回路部10aからの信号に応じて、第1の周期タイミングでユーザのグリップを検知するための微弱な電波を送信する。また、電波送信アンテナ10は、電波送信回路部10aからの信号に応じて、第1の周期タイミングとは異なる第2の周期タイミングでユーザの耳の近接を検知するための微弱な電波を送信する。
電界検知アンテナ11は、電界を検知すると、電界検知回路部11aに検知信号を送信する。電界検知回路部11aは、A/D変換回路、パルス発生回路等を備える。電界検知回路部11aは、第1の周期タイミングに対応するタイミングで検知信号を取り込み、電界検知制御部14に送信する。電界検知制御部14は、第1の周期タイミングに対応するタイミングで電界検知回路部11aから検知信号を検知すると、ユーザのグリップを検知したことを伝える検知信号を制御部21に出力する。
電界検知アンテナ12は、電界を検知すると、電界検知回路部12aに検知信号を送信する。電界検知回路部12aは、A/D変換回路、パルス発生回路等を備える。電界検知回路部12aは、第2の周期タイミングに対応するタイミングで検知信号を取り込み、電界検知制御部14に送信する。電界検知制御部14は、第2の周期タイミングに対応するタイミングで電界検知回路部12aから検知信号を検知すると、ユーザの耳の近接を検知したことを伝える検知信号を制御部21に出力する。
音声入力部28は、マイクロフォン5等から構成される。音声入力部28は、マイクロフォン5からの電気信号を音声処理部30へ出力する。
音声出力部29は、通話スピーカ6および外部スピーカ8を含む。音声出力部29には、音声処理部30からの電気信号が入力され、通話スピーカ6または外部スピーカ8から音(音声、報知音等)が出力される。
音声処理部30は、音声入力部28からの電気信号にA/D変換等を施し、変換後のデ
ジタルの音声信号を制御部21へ出力する。音声処理部30は、制御部21からのデジタルの音声信号にデコード処理およびD/A変換等を施し、変換後の電気信号を音声出力部29に出力する。
撮影部31は、図1に示すCMOSイメージセンサを備えたカメラ9、撮像制御回路等により構成される。撮影部31は、カメラ9により撮影された画像の画像データに各種の画像処理を施し、画像処理後の画像データを制御部21に出力する。
キー入力部32は、携帯電話機1に電源を投入するための電源キーなど、携帯電話機1に配された各種ハードキー(図示せず)が押下されたときに、押下されたハードキーに応じた信号を制御部21へ出力する。
通信部33は、通話や通信を行うための信号を変換するための回路や図1に示す電波送受信アンテナ13等を備える。通信部33は、制御部21から入力される通話や通信のための信号を無線信号に変換し、変換された無線信号を、電波送受信アンテナ13を介して基地局や他の通信装置等の通信先へ送信する。さらに、通信部33は、電波送受信アンテナ13を介して受信した無線信号を制御部21が利用できる形式の信号へ変換し、変換された信号を制御部21へ出力する。
本実施の形態の携帯電話機1は、ユーザによる携帯電話機1へのグリップ操作に応じた制御機能と、ユーザによる携帯電話機1へのグリップを検知するために適した構造を有する。
<構造>
まず、グリップを検知するために適した携帯電話機1の具体的構造例を説明する。なお、本実施の形態では、グリップ検知部26に関連する構造についてのみを詳細に説明し、その他の構造の詳細な説明は省略する。
図3(a)は、キャビネット2の本体部201を示す斜視図、図3(b)は、キャビネット2のカバー202を示す斜視図である。
キャビネット2は、本体部201とカバー202とを備える。本体部201は、内部に図2に示した制御部21等を含む回路基板301を有する。本体部201背面の左右端部には、曲面部201a、201dが形成されている。
曲面部201aの下端部には、凹部201bが形成されている。凹部201bの上部には、回路基板301の接点ばね301aを外部に臨ませる開口201cが形成されている。同様に、曲面部201dの下端部には、凹部201eが形成されている。凹部201eの上部には、回路基板301の接点ばね301bを外部に臨ませる開口201fが形成されている。本体部201の下部には、凹部201gが形成されている。凹部201gの左端には、回路基板301の端子301cを外部に臨ませる開口201hが形成されている。
本体部201は、回路基板301等の構成部材と背面のフレームとが前面のフレームに複数のビスにより螺着されており、凹部201bの周囲にビス201i、201j、凹部201eの周囲にビス201k、201lが配されている。ビス201i〜201lは、樹脂材、インコネル等の非磁性部材により形成されている。
本体部201には、このほか、カメラ9、バッテリー、各種無線通信のためのアンテナを配するための凹部、および電源キー、シャッターボタン等のハードキー等が配されてい
る。
カバー202は、底面202aを有し、本体部201の背面を覆う形状を有している。カバー202には、本体部201の曲面部201aに対向する位置に曲面部202bが形成されており、本体部201の曲面部201dに対向する位置に曲面部202cが形成されている。カバー202の下縁部202dと上縁部は、底面202aよりも一段高いリブ形状となっている。
凹部201bに対向する曲面部202bの位置には、FPC(Flexible Printed Circuits)203が貼り付けられている。FPC203には、電界検知アンテナ11の回路パターンが配されている。FPC203の上端には、回路基板301との接続部203aが形成されている。接続部203aには、FPC203の電波送信アンテナ10の回路パターンと回路基板301を、接点ばね301aを介して電気的に接続するための端子203bが形成されている。
同様に、本体部201の凹部201eに対向する曲面部202bの位置には、FPC204が貼り付けられている。FPC204には、電波送信アンテナ10の回路パターンが配されている。FPC204の上端には、回路基板301との接続部204aが形成されている。接続部204aには、FPC204の電界検知アンテナ11の回路パターンと回路基板301を、接点ばね301bを介して電気的に接続するための端子204bが形成されている。
カバー202の底面202aには、バックタッチパネル7、各種無線通信のためのアンテナ、補強のためのリブ、本体部201にカバー202を止めるための爪等が形成されている。
図4(a)は、本体部201にカバー202を取り付けた際のFPC203、204の位置関係を示す図である。図4(b)は、FPC204周辺の一部拡大図、図4(c)は、FPC203周辺の一部拡大図である。なお、図4(a)では、便宜上、カバー202の図示が省略されている。
図4(a)を参照して、カバー202を取り付けると、FPC203は、本体部201の凹部201bの位置に配置され、FPC204は、本体部201の凹部201eの位置に配置される。このとき、FPC203の端子203b(図3(b)参照)が、回路基板301の接点ばね301a(図3(a)参照)に当接する。FPC204の端子204b(図3(b)参照)が、回路基板301の接点ばね301b(図3(a)参照)に当接する。これにより、FPC204に配された電波送信アンテナ10の回路パターンと回路基板301、FPC203に配された電界検知アンテナ11の回路パターンと回路基板301が電気的に接続される。
図5(a)は、カバー202を透視した携帯電話機1の背面図である。
背面視において、電波送信アンテナ10が配されたFPC204は、携帯電話機1の右下端部に配される。電界検知アンテナ11が配されたFPC203は、携帯電話機1の左下端部に配される。FPC203、204の近傍に配されたビス201i〜201lは、非磁性部材により構成されているため、FPC204の電波送信アンテナ10から送信された電波によって生じた電界に対する影響を抑えることができる。
図5(b)は、図5(a)のA−A断面図の右端部周辺を示す図である。図5(c)は、比較例のA−A断面図の右端部周辺を示す図である。
図5(c)の比較例では、カバー202’の左右端部に曲面部202b、202cが設けられず、垂直な角が形成され、底面202aに電波送信アンテナ10が配されたFPC204’が配されている。この場合、たとえば、携帯電話機1が金属の机上等、導電性の平坦な面の上に設置されると、電波送信アンテナ10から送信された電波によって生じた電界が金属の机を介して電界検知アンテナ11の方へと伝わり、ユーザが携帯電話機1をグリップしたと制御部21が誤検知する虞がある。
本実施の形態では、図5(b)に示すように、電波送信アンテナ10が配されたFPC204は、カバー202の曲面部202cに貼り付けられているため、携帯電話機1の中心から離れるほど、FPC204は、徐々に机等の平面に対して離れていく。したがって、比較例の場合に比べ、携帯電話機1を導電性の平坦な面に設置した場合に生じ得るグリップの誤検知を抑制することができる。
また、本実施の形態では、図5(b)に示すように、電波送信アンテナ10が配されたFPC204は、後端部がカバー202の底面202aから所定の間隔Cだけ離されて配置されているため、さらに、設置時に生じるグリップの誤検知を抑制することができる。
図示は省略するが、電界検知アンテナ11が配されたFPC203も、FPC204と同様に、カバー202の曲面部202bに配され、後端部がカバー202の底面202aから所定の間隔Cだけ離されて配置されている。したがって、設置時に生じるグリップの誤検知を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、電波送信アンテナ10が配されたFPC204、電界検知アンテナ11が配されたFPC203は、カバー202の底面202aから所定の間隔Cだけ離されて配されたが、カバー202の底面202aの一部を覆うように配されても良い。この場合であっても、FPC203、204は、曲面部202c、202bに配されているため、携帯電話機1の中心から離れるほど、カバー202の底面202aからの間隔が大きくなる。したがって、図5(c)に示す比較例よりも、設置時に生じるグリップの誤検知を抑えることができる。なお、設置時に生じるグリップの誤検知を効果的に防ぐためには、FPC203、204は、カバー202の底面202aから所定の間隔Cだけ離されて配されることが望ましい。
図6(a)は、携帯電話機1をユーザが右手でグリップした状態を示す正面図、図6(b)は、携帯電話機1をユーザが右手でグリップした状態を示す背面図である。図6(c)は、携帯電話機1をユーザが右手でグリップした状態の右端部周辺の断面図、図6(d)は、比較例における携帯電話機1をユーザが右手でグリップした状態の右端部周辺の断面図である。
ユーザが携帯電話機1をグリップすると、電波送信アンテナ10を備えるFPC204は、カバー202の曲面部202bを介して右手の親指の付け根部分に接触する。また、電界検知アンテナ11を備えるFPC203は、カバー202の曲面部202bを介して右手の小指、薬指、中指の第1関節から第2関節付近に接触する。
電波送信アンテナ10から送信された電波によって生じた電界が電界検知アンテナ11の方へと伝わり、電界検知アンテナ11により電界が検知される。これにより、制御部21にグリップを検知したことを伝える検知信号が出力される。
図6(d)に示す比較例では、カバー202’に曲面部202b、202cが設けられず、垂直な角が形成されているため、角がユーザの右手の親指の付け根に接触し、カバー
202’の背面および側面は、右手に接触せず、電波送信アンテナ10を備えるFPC204’と右手の間には、大きな隙間が生じる。これに対し、本実施の形態では、カバー202には、曲面部202b、202cが設けられているため、ユーザは、右手を略隙間なくカバー202に接触させることができる。これにより、ユーザは、カバー202の曲面部202c、202bに配された電波送信アンテナ10、電界検知アンテナ11を右手に近付けることができる。したがって、クリップ検出部26によって、ユーザの携帯電話機1へのグリップを適正に検知することができる。
また、右利きのユーザは、通常、携帯電話機1の右下角付近を右手の親指の付け根付近に接触させてグリップすることが多い。したがって、図6(a)に示すように、電波送信アンテナ10と電界検知アンテナ11を携帯電話機1の下端部に設けることにより、ユーザは、より確実に電波送信アンテナ10と電界検知アンテナ11を右手に近付けることができる。これにより、ユーザのグリップをさらに適正に検知することができる。
以上、本実施の形態によれば、グリップ検知部26の電波送信アンテナ10と電界検知アンテナ11は、カバー202の曲面部202b、202cに配されているため、設置時に生じるグリップの誤検知を防ぐことができる。さらに、ユーザの手を略隙間なくカバー202に接触させることができ、ユーザのグリップを適正に検知することができる。
また、本実施の形態によれば、電波送信アンテナ10が配されたFPC204、電界検知アンテナ11が配されたFPC203は、カバー202の底面202aから所定の間隔Cだけ離されて配置されているため、さらに、設置時に生じるグリップの誤検知を抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、ユーザが携帯電話機1をグリップしたときに掌が接触のしやすい携帯電話機1の下端部に電波送信アンテナ10と電界検知アンテナ11が配されているため、より適正にユーザのグリップを検知することができる。
また、本実施の形態によれば、電波送信アンテナ10と電界検知アンテナ11の近傍に配されたビス201i〜201lは、非磁性部材により構成されているため、電波送信アンテナ10から送信された電波によって生じた電界に対する影響を抑えることができる。
<構造の変更例>
上記実施の形態の携帯電話機1では、FPC203、204が、それぞれ、カバー202の曲面部202c、202bを覆うように配されたが、本変更例では、図7に示すように、FPC203が、カバー202の曲面部202cと下縁部202dを覆うように配され、FPC204が、カバー202の曲面部202bと下縁部202dを覆うように配される。
図7は、本体部201にカバー202を取り付けた際のFPC203、204の位置関係を示す図である。なお、図7では、便宜上、カバー202の図示が省略されている。
FPC203、204の下端には、それぞれ、折り曲げ部203c、204cが形成されている。折り曲げ部203c、204cは、カバー202の下縁部202dに貼り付けられている。したがって、電波送信アンテナ10、電界検知アンテナ11は、カバー202の曲面部202b、202cのみならず、下縁部202dの左右両端にも配される。
ここで、図6(a)に示すように、ユーザが右手で携帯電話機1をグリップすると、カバー202の下部は、右手の掌に接触しやすい。したがって、本変更例のように、カバー202の下縁部202dを覆うように、電波送信アンテナ10と電界検知アンテナ11を
配することにより、より確実にユーザのグリップを検知することができる。
図8(a)は、カバー202を透視した携帯電話機1の背面図である。図8(b)は、携帯電話機1の左下端部周辺の一部拡大図である。
本変更例において、FPC203、204の折り曲げ部203c、204cは、電波送受信アンテナ13の長辺Lの範囲と重ならないように配されている。すなわち、電波送受信アンテナ13の左端部とFPC203の折り曲げ部203cとの間には所定の間隔Dを有する。同様に電波送受信アンテナ13の右端部とFPC204の折り曲げ部204cとの間にも所定の間隔を有するため、電波送信アンテナ10、電界検知アンテナ11による電波送受信アンテナ13に対する影響を抑えることができる。
このように本変更例の構成とすれば、通話を行うための電波の送受信パワーを劣化させることなく、ユーザのグリップを検知する感度を向上させることができる。
なお、上記実施の形態および変更例の電波送信アンテナ10と電界検知アンテナ11の形状、配置等は一例であり、その他種々の変更が可能である。
図9(a)は、キャビネット2の外形を示す模式図である。図9(b)、図9(c)は、キャビネット2の曲面部の境界位置を説明する図である。図9(a)〜図9(c)には、上下左右方向とともに、X軸、Y軸、およびZ軸が示されている。右方向がX軸正方向、上方向がY軸正方向、後方向がZ軸正方向に相当する。
キャビネット2は、XY平面およびXZ平面の角が曲面となっている。電波送信アンテナ10と電界検知アンテナ11の配置例を説明するため、便宜上、電波送信アンテナ10または電界検知アンテナ11が配されるキャビネット2の側面をS1、キャビネット2の底面をS2、キャビネット2の背面をS3とする。
ここで、図9(b)に示すように、XY平面における側面S1と底面S2の境界は、曲面の接線A1の垂線B1のうち、キャビネット2のX軸方向の延長線とY軸方向の延長線の交点P2を通る垂線B1が曲面と交わる点P1とする。
また、図9(c)に示すように、XZ平面における側面S1と背面S3の境界は、曲面の接線A2の垂線B2のうち、キャビネット2のX軸方向の延長線とZ軸方向の延長線の交点P4を通る垂線B2が曲面と交わる点P3とする。
上述したように、電波送信アンテナ10または電界検知アンテナ11は、少なくとも、曲面状に形成されたキャビネット2の側面S1を含むように配されるのが望ましい。
また、電波送信アンテナ10または電界検知アンテナ11は、グリップ時に接触し易い下部の側面S1を含む角に配されるのが望ましく、さらには、側面S1と底面S2を跨ぐように配されるのが望ましい。この場合、底面S2は、図8(a)に示すように、電波送受信アンテナ13の長辺Lに重ならないように配されるのが望ましい。
また、図6(a)に示すように、ユーザが右手で携帯電話機1をグリップすると、カバー202の背面も、右手の掌に接触しやすい。したがって、ユーザのグリップを検知する感度を高める観点からは、電波送信アンテナ10と電界検知アンテナ11は、側面S1と背面S3、または側面S1、底面S2および背面S3を覆うように配されるのが望ましい。この場合、背面S3は、図5(b)に示すように、設置時に生じるグリップの誤検知を抑制するため、カバー202の底面202aから所定の間隔Cだけ離されて配置されるこ
とがさらに望ましい。
以上のいずれかの条件を満たす限り、電波送信アンテナ10、電界検知アンテナ11は、適宜、配置場所、大きさ、形状等が変更され得る。
たとえば、上記実施の形態および変更例では、電波送信アンテナ10と電界検知アンテナ11は、カバー202に貼り付けられたが、本体部201側に貼り付けられていても良い。
また、上記実施の形態および変更例では、電波送信アンテナ10、電界検知アンテナ11は、携帯電話機1の下部に配されたが、携帯電話機1の上部までを含むように配されても良い。
また、上記実施の形態および変更例では、右利きのユーザのために、電波送信アンテナ10を右側に配置したが、左利きのユーザのために、左側に配置しても良い。
また、上記実施の形態および変更例では、電波送信アンテナ10と電界検知アンテナ11がそれぞれ、カバー202の曲面部202b、202cに配されたが、電波送信アンテナ10または電界検知アンテナ11のどちらか一方のみが曲面部202b(202c)に配されても良い。
また、上記実施の形態および変更例では、グリップ検知部26として、電波送信アンテナ10と電界検知アンテナ11が用いられたが、その他のセンサが用いられても良い。たとえば、静電容量式センサ(静電容量式のタッチパネル)が用いられても良いし、圧力式センサ、熱検知式センサ等が用いられても良い。その他、曲面状に形成されたキャビネット2の側面S1に配することが可能な種々のセンサが用いられ得る。
<制御処理>
次に、グリップ検知部26を用いた制御処理について説明する。本実施の形態では、着信があった場合、グリップ検知部26、近接検知部27の検知信号に応じて、各種機能の制御処理が行われる。
図10〜図12は、着信制御処理を示すフローチャートである。図10〜図12の着信制御処理は、他の機器から通信部33へ着信があった場合に実行される。
図13、図14は、着信制御時における携帯電話機1のディスプレイ3の画面表示例を示す図である。
図10を参照し、他の機器から通信部33へ着信があると、まず、制御部21は、近接検知部27を起動する(S101)。これにより、電波送信アンテナ10は、グリップ検知部26の第1の周期タイミングとは異なる第2の周期タイミングで微弱な電波を送信する。なお、グリップ検知部26は、携帯電話機1の起動時にあらかじめ起動されており、電波送信アンテナ10は、第1の周期タイミングで電波送信アンテナ10から微弱な電波を送信している。
近接検知部27を起動すると、制御部21は、着信音または着信振動による報知設定がされているか否かを判定する(S102)。なお、着信音または着信振動による報知設定の有無は、設定アプリケーション等を用いてユーザによりあらかじめ設定されている。
着信音または着信振動による報知設定がされている場合(S102:YES)、他の機
器からの着信が検出されると、制御部21は、設定内容に応じて、着信音の鳴動、および着信振動を開始する(S103)。制御部21は、着信直後の着信画面を表示させる設定がされているか否かを判定する(S104)。なお、着信直後の着信画面の表示設定の有無は、設定アプリケーション等を用いてユーザによりあらかじめ設定されている。
着信直後の着信画面の表示設定がされていない場合(S104:NO)、制御部21は、図13の左上の図に示すように、ディスプレイ3を非表示にした状態で、グリップ検知部26がユーザの携帯電話機1へのグリップを検知したか否かを判定する(S105)。具体的には、制御部21は、グリップ検知部26の電波送信アンテナ10により送信された電波により生じた電界が電界検知アンテナ11により検知されたか否かを判定する。ディスプレイ3の非表示の状態とは、ディスプレイ3のバックライトが消灯される状態を含んでも良い。また、ディスプレイ3の非表示の状態とは、ディスプレイ3に画像を表示しない状態を含んでも良い。また、ディスプレイ3の非表示の状態とは、ディスプレイ3に如何なる情報を表示しない状態を含んでも良い。本実施例において、ディスプレイ3を非表示することを、ディスプレイ3の表示を終了すると称する場合がある。
グリップ検知部26がユーザのグリップを検知していない場合(S105:NO)、制御部21は、着信が切断されない限り(S106:NO)、処理をS105に戻し、ユーザのグリップが検知されるまで処理を繰り返す。他の機器からの着信が切断された場合(S106:YES)、制御部21は、図11のS124に処理を進め、近接検知部27を停止し、着信の制御処理を終了する。
グリップ検知部26がユーザのグリップを検知すると(S105:YES)、制御部21は、着信音、および着信振動を停止する(S107)。そして、制御部21は、着信画面R1をディスプレイ3に表示する(S108)。これにより、図13の中央上部の図のように、着信音、および着信振動が停止された状態で、着信画面R1がディスプレイ3に表示される。
着信画面R1には、着信中であることを示すメッセージと、発信者の電話番号と、記憶部22に登録された電話番号に対応する名前等が表示される。着信画面R1は、受話アイコン111と、保留アイコン112と、切断アイコン113とを含む。受話アイコン111には、着信中の電話に応答するための機能が割り当てられている。保留アイコン112には、着信中の電話に応答し、現在、ユーザが電話に出られないことを伝える音声、メロディ等を発信者に伝えるための機能が割り当てられている。切断アイコン113には、着信を切断する機能が割り当てられている。
図10に戻り、着信画面R1をディスプレイ3に表示すると、制御部21は、処理を図11のS113に進める。
着信音および着信振動による報知設定の両方がされていない場合(S102:NO)、ユーザが着信を認知することができないため、制御部21は、図13の左下の図に示すようにディスプレイ3に着信画面R1を表示する(S109)。
また、同様に、着信直後の着信画面の表示設定がされている場合(S104:YES)、制御部21は、図13の左下の図に示すようにディスプレイ3に着信画面R1を表示する(S109)。
そして、制御部21は、ディスプレイ3に着信画面R1を表示した状態で、グリップ検知部26がユーザのグリップを検知したか否かを判定する(S110)。
グリップ検知部26がユーザのグリップを検知していない場合(S110:NO)、制御部21は、着信が切断されない限り(S111:NO)、処理をS110に戻し、ユーザのグリップが検知されるまで処理を繰り返す。他の機器からの着信が切断された場合(S111:YES)、制御部21は、図11のS124に処理を進め、近接検知部27を停止し、着信の制御処理を終了する。
グリップ検知部26がユーザのグリップを検知すると(S110:YES)、制御部21は、着信音、および着信振動を停止する(S112)。これにより、図13の中央上部の図のように、着信音、および着信振動が停止された状態で、着信画面R1がディスプレイ3に表示される。
図10に戻り、着信画面R1をディスプレイ3に表示すると、制御部21は、処理を図11のS113に進める。
図11を参照して、制御部21は、グリップ検知部26が、ユーザが携帯電話機1を手離したことを検知したか否かを判定する(S113)。具体的には、制御部21は、グリップ検知部26の電波送信アンテナ10により送信された電波により生じた電界が電界検知アンテナ11により検知されなくなったか否かを判定する。
グリップ検知部26が、ユーザが携帯電話機1を手離したことを検知していない場合(S113:NO)、すなわち、ユーザが携帯電話機1をグリップした状態の場合、制御部21は、近接検知部27が、物体が近づいたことを検知したか否かを判定する(S114)。具体的には、制御部21は、近接検知部27の電波送信アンテナ10により送信された電波により生じた電界が通話スピーカ6の近傍に配された電界検知アンテナ12により検知されたか否かを判定する。
近接検知部27が、物体が近づいたことを検知していない場合(S114:NO)、制御部21は、受話アイコン111に対してタップ操作がなされたか否かを判定する(S115)。受話アイコン111に対してタップ操作がなされていない場合(S115:NO)、制御部21は、着信が切断されない限り(S116:NO)、処理をS113に戻し、S113〜S115の判定処理を繰り返す。他の機器からの着信が切断された場合、または切断アイコン113に対してタップ操作がなされた場合(S116:YES)、制御部21は、図11のS124に処理を進め、近接検知部27を停止し、着信の制御処理を終了する。
グリップ検知部26が、ユーザが携帯電話機1を手離したことを検知した場合(S113:YES)、制御部21は、図13の中央下部の図に示すように、ディスプレイ3を非表示にし(S117)、携帯電話機1を応答保留状態に設定する(S118)。具体的には、制御部21は、着信中の電話に応答し、現在、ユーザが電話に出られないことを伝える音声、メロディ等を発信者に通知する。
そして、制御部21は、ディスプレイ3を非表示にした状態で、グリップ検知部26がユーザのグリップを検知したか否かを判定する(S119)。
グリップ検知部26がユーザのグリップを検知していない場合(S119:NO)、制御部21は、着信が切断されない限り(S120:NO)、処理をS119に戻し、ユーザのグリップが検知されるまで処理を繰り返す。他の機器からの着信が切断された場合(S120:YES)、制御部21は、図11のS124に処理を進め、近接検知部27を停止し、着信の制御処理を終了する。
グリップ検知部26がユーザのグリップを検知すると(S119:YES)、制御部21は、応答保留画面H1をディスプレイ3に表示する(S121)。これにより、図14の中央上部の図のように、着信音、および着信振動が停止された状態で、応答保留画面H1がディスプレイ3に表示される。
応答保留画面H1には、応答保留中であることを示すメッセージと、発信者の電話番号と、記憶部22に登録された電話番号に対応する名前等が表示される。応答保留画面H1には、受話アイコン111と、切断アイコン113が表示される。
近接検知部27が、物体が近づいたことを検知した場合(S114:YES)、または、受話アイコン111に対してタップ操作がなされると(S115:YES)、制御部21は、図13の右上の図に示すように、ディスプレイ3を非表示にし(S122)、通話処理を実行する(S123)。
図12は、通話制御処理を示すフローチャートである。
図12を参照して、まず、制御部21は、通話開始処理を実行する(S201)。携帯電話機1が応答保留状態でない場合、通話開始処理は、たとえば、通信先の電話機との通信網の確立、受話音声の入出力処理等、を含む。携帯電話機1が応答保留状態の場合、通話開始処理は、応答保留状態の解除処理、受話音声の入出力処理等、を含む。
制御部21は、近接検知部27が、物体が離れたことを検知したか否かを判定する(S202)。具体的には、制御部21は、近接検知部27の電波送信アンテナ10により送信された電波により生じた電界が電界検知アンテナ12により検知されなくなったか否かを判定する。
近接検知部27が、物体が離れたことを検知していない場合(S202:NO)、制御部21は、着信が切断されない限り(S203:NO)、処理をS202に戻し、物体が離れたことを検知するまで処理を繰り返す。他の機器からの着信が切断された場合(S203:YES)、制御部21は、通話終了処理を実行する(S204)。通話終了処理は、たとえば、通信先の電話機との通信網の切断等、を含む。そして、制御部21は、図11のS124に処理を進め、近接検知部27を停止し、着信の制御処理を終了する。
近接検知部27が、物体が離れたことを検知した場合(S202:YES)、制御部21は、通話画面T1をディスプレイ3に表示する(S205)。これにより、図13の右下の図のように、通話画面T1がディスプレイ3に表示される。
通話画面T1には、発信者の電話番号と、記憶部22に登録された電話番号に対応する名前等が表示される。通話画面T1には、保留アイコン112と、切断アイコン113と、ミュートアイコン114が表示される。ミュートアイコン114には、マイクロフォン5に対する音声入力を遮断する機能が割り当てられている。ミュートアイコン114に対してタップ操作がなされると、マイクロフォン5に対する音声入力を遮断する機能が有効になり、ミュートアイコン114が強調表示される。その状態で、さらに、ミュートアイコン114に対してタップ操作がなされると、マイクロフォン5に対する音声入力を遮断する機能が無効になり、ミュートアイコン114の強調表示が解除される。音声入力を遮断するとは、通信部33を介してユーザの音声が通話相手の携帯電話機に送信されるのを停止することを意味する。具体的には、例えば、制御部21は、音声入力部28及びマイクロフォン5等への電力供給を停止し、マイクロフォン5からの音の入力を中止することにより、音声入力を遮断してもよい。また、制御部21は、マイクロフォン5が受け付けた音が通信部33に出力されることを停止することにより、音声入力を遮断してもよい。
制御部21は、マイクロフォン5が受け付けた音を通信部33を介して送信する処理を中止することにより音声入力を遮断してもよい。図12に戻り、通話画面T1をディスプレイ3に表示すると、制御部21は、近接検知部27が、物体が近づいたことを検知したか否かを判定する(S206)。
近接検知部27が、物体が近づいたことを検知していない場合(S206:NO)、制御部21は、着信が切断されない限り(S207:NO)、処理をS206に戻し、物体が近づいたことを検知するまで処理を繰り返す。他の機器からの着信が切断された場合、または切断アイコン113に対してタップ操作がなされた場合(S207:YES)、制御部21は、通話終了処理を実行する(S204)。そして、制御部21は、図11のS124に処理を進め、近接検知部27を停止し、着信の制御処理を終了する。
近接検知部27が、物体が近づいたことを検知した場合(S206:YES)、制御部21は、図13の右上の図に示すように、ディスプレイ3を非表示にし(S208)、処理をS202に戻す。その後、制御部21は、着信が切断されるまで(S203:YES、S207:YES)、物体が近接しているか否かを検知しつつ、通話処理を繰り返す。
通話が終了し、通信網が切断されると(S203:YES、S207:YES)、制御部21は、通話終了処理を実行する(S204)。そして、制御部21は、図11のS124に処理を進め、近接検知部27を停止し、着信の制御処理を終了する。
以上、本実施の形態によれば、携帯電話機1をグリップした後、携帯電話機1を耳に近付ける動作のみで通話処理が自動的に開始されるため、ユーザは、円滑に通話を開始することができる。
また、本実施の形態によれば、携帯電話機1をグリップした後、携帯電話機1を手離した場合、自動的に応答保留状態になるため、ユーザは、円滑に応答保留処理を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、携帯電話機1をグリップした後、携帯電話機1を手離した場合、ディスプレイ3が自動的に非表示になるため、消費電力を抑えることができる。
また、本実施の形態によれば、着信直後のユーザが携帯電話機1をグリップしていない状態では、ディスプレイ3を非表示にすることができるため、電話番号、名前等の発信者の情報が第三者に安易に知られることを防ぐことができる。また、着信音、着信振動等の報知設定がされており、ユーザが着信を認知できる場合には、ディスプレイ3の表示を非表示とすることができるため、消費電力を抑える効果も奏される。
また、本実施の形態によれば、ユーザが携帯電話機1をグリップした状態で、携帯電話機1を耳に近付けた場合、ディスプレイ3が非表示になるため、さらなる消費電力の削減の効果が奏される。
また、本実施の形態によれば、ユーザが携帯電話機1をグリップすると、自動的に着信音および着信振動等の報知が停止されるため、その後、ユーザが携帯電話機1を耳に近付けて通話を開始する場合、ユーザの耳の近距離で着信音が報知されることを防止することができる。また、電車内や会議等、着信音や着信振動が望まれないような状況において、ユーザは、携帯電話機1をグリップすることにより、着信を切断せずに着信音や着信振動を停止することができる。
また、本実施の形態によれば、グリップ検知部26と近接検知部27が設けられている
ため、ユーザが通話可能な状態か否かを適正に判定することができる。たとえば、制御部21が、グリップ検知部26がユーザがグリップしたことを検知したか否かを判定しない場合、ユーザが、電波送信アンテナ10付近と電界検知アンテナ12付近を把持すると、ユーザが通話するための体制を整えていないにも関わらず、制御部21は、ユーザが通話可能状態であると誤検知して通話処理(S123)を実行する。これに対し、本実施の形態によれば、まず、グリップ検知部26がユーザがグリップしたことを検知し、その後、近接検知部27がユーザが携帯電話機1を耳に近付けたかを検出するため、ユーザが通話するための体制を整えているか否かを適正に判定することができる。
さらに、本実施の形態によれば、ユーザが携帯電話機1をグリップすると、自動的にディスプレイ3に着信画面R1が表示されるため、ユーザは、ディスプレイ3を点灯するためのボタン等を押す動作を省略することができる。また、携帯電話機1を耳に近付けた状態から携帯電話機1を遠ざけると、自動的にディスプレイ3に通話画面T1が表示されるため、ユーザは、ディスプレイ3を点灯するためのボタン等を押す動作を省略することができる。
<制御処理の変更例1>
上記実施の形態では、ユーザが携帯電話機1をグリップしていない状態では、ディスプレイ3を非表示にすることで第三者に発信者の情報が安易に漏洩することが抑制される。これに対し、変更例1では、ディスプレイ3に着信画面は表示するが、着信画面において電話番号、名前を非表示にすることにより、セキュリティが高められる。
図15は、変更例1に係る着信制御処理を示すフローチャートである。図15は、図10のフローチャートを一部変更するものである。図16は、変更例1に係る着信制御時における携帯電話機1のディスプレイ3の画面表示例を示す図である。
図15を参照して、制御部21は、設定内容に応じて、着信音の鳴動、および着信振動を開始すると(S103)、着信直後の着信画面に対してセキュリティ設定がされているか否かを判定する(S301)。なお、着信直後の着信画面に対するセキュリティ設定の有無は、設定アプリケーション等を用いてユーザによりあらかじめ設定されている。
着信直後の着信画面に対するセキュリティ設定がされている場合(S301:YES)、制御部21は、図16の左上の図に示すように、ディスプレイ3に着信画面R2を表示する(S302)。着信直後の着信画面に対するセキュリティ設定がされていない場合(S301:NO)、制御部21は、図16の左下の図に示すように、ディスプレイ3に着信画面R1を表示する(S109)。
着信画面R2には、着信中であることを示すメッセージのみが表示され、発信者の電話番号と、記憶部22に登録された電話番号に対応する名前等は表示されない。
グリップ検知部26がユーザのグリップを検知すると(S105:YES)、制御部21は、着信音、および着信振動を停止する(S107)。そして、制御部21は、着信画面R1をディスプレイ3に表示する(S108)。これにより、図16の中央上部の図のように、着信音、および着信振動が停止された状態で、着信画面R1がディスプレイ3に表示される。
本変更例の構成とすれば、着信直後のユーザが携帯電話機1をグリップしていない状態では、ディスプレイ3に電話番号、名前等が表示されないため、発信者の情報が第三者に安易に知られることを防ぐことができる。
また、本変更例の構成とすれば、着信音や着信振動の設定を行えないような状況であっても、セキュリティを高めつつ、ユーザに着信を報知することができる。
<制御処理の変更例2>
変更例2では、上記実施の形態の制御処理に加え、近接検知に応じてマイクロフォン5を自動的にミュートする制御処理を実行する。
図17は、変更例2に係る通話制御処理を示すフローチャートである。図17は、図12のフローチャートに処理を一部追加するものである。図18は、変更例2に係る着信制御時における携帯電話機1のディスプレイ3の画面表示例を示す図である。
図17を参照して、近接検知部27が、物体が離れたことを検知した場合(S202:YES)、制御部21は、ミュート設定がされているか否かを判定する(S501)。なお、ミュート設定の有無は、設定アプリケーション等を用いてユーザによりあらかじめ設定されている。
ミュート設定がされている場合(S501:YES)、制御部21は、マイクロフォン5に対する音声入力を遮断する(S502)。そして、制御部21は、図18の右下の図に示すようにミュートアイコン114が強調された状態の通話画面T1をディスプレイ3に表示する(S205)。なお、ユーザによりミュートアイコン114に対するタップ操作がなされると、制御部21は、マイクロフォン5に対する音声入力の遮断を解除する。
ミュート設定がされていない場合(S501:NO)、制御部21は、マイクロフォン5に対する音声入力を遮断せずに、図13の右下の図に示すようにミュートアイコン114が強調されていない状態の通話画面T1をディスプレイ3に表示する(S205)。
図12に戻り、通話画面T1をディスプレイ3に表示すると、制御部21は、近接検知部27が、物体が近づいたことを検知したか否かを判定する(S206)。
近接検知部27が、物体が近づいたことを検知した場合(S206:YES)、制御部21は、マイクロフォン5に対する音声入力が遮断されているか否かを判定する(S503)。
マイクロフォン5に対する音声入力が遮断されている場合(S503:YES)、制御部21は、マイクロフォン5に対する音声入力の遮断を解除する(S504)。その後、制御部21は、ディスプレイ3を非表示にし(S208)、処理をS202に戻す。
マイクロフォン5に対する音声入力が遮断されていない場合(S503:NO)、制御部21は、図18の右上の図に示すように、ディスプレイ3を非表示にし(S208)、処理をS202に戻す。
その後、制御部21は、着信が切断されるまで(S203:YES、S207:YES)、物体が近接しているか否かを検知しつつ、通話処理を繰り返す。
本変更例の構成とすれば、ユーザが通話中に携帯電話機1を耳から遠ざけると、自動的にマイクロフォン5に対する音声入力が遮断されるため、ユーザは、音声入力を遮断するためにミュートアイコン114に対してタップ操作を行う手間を省くことができる。
また、本変更例の構成とすれば、ユーザが通話中に携帯電話機1を耳から遠ざけることにより、迅速にマイクロフォン5に対する音声入力を遮断することができる。したがって
、通話先に伝えたくない会話、音声等を伝えてしまうことを防ぐことができる。
<制御処理の変更例3>
変更例3では、上記実施の形態の制御処理に加え、バックタッチパネル7を利用したボリューム調整の制御処理を実行する。
図19(a)、図19(b)は、変更例3に係る通話制御処理を示すフローチャートである。図19(a)、図19(b)は、図12のフローチャートに処理を一部追加するものである。図19(c)は、携帯電話機1の背面を示す模式図、図19(d)は、通話時の状況を示す模式図である。
図12に示す通話制御処理において、携帯電話機1がユーザの耳に近付けられている場合(S201、S203:NO)、制御部21は、バックタッチパネル7に対してフリック操作がなされたか否かを判定する(S601)。バックタッチパネル7に対してフリック操作がなされた場合(S601:YES)、制御部21は、フリック操作に応じて通話スピーカ6のボリューム調整を行う(S602)。
また、携帯電話機1がユーザの耳に近付けられていない場合も同様に(S205、S207:NO)、制御部21は、バックタッチパネル7に対してフリック操作がなされたか否かを判定する(S603)。バックタッチパネル7に対してフリック操作がなされた場合(S603:YES)、制御部21は、フリック操作に応じて通話スピーカ6のボリューム調整を行う(S604)。
たとえば、図19(c)に示すように、バックタッチパネル7に対して、上方向のフリック操作がなされると、制御部21は、通話スピーカ6のボリュームを上昇させ、下方向のフリック操作がなされると、通話スピーカ6のボリュームを減少させる。
本変更例の構成とすれば、図19(c)に示すように、バックタッチパネル7のフリック操作で通話スピーカ6のボリュームを調整することができる。したがって、図19(d)に示すように、携帯電話機1を耳に近付けたままの状態であっても、ユーザは、容易に通話スピーカ6のボリュームを調整することができる。
なお、本変更例では、バックタッチパネル7に対して上下方向のフリック操作がなされると、通話スピーカ6のボリュームが調整されたが、これに加えて、バックタッチパネル7に対して左右方向のフリック操作がなされると、マイクロフォン5のボリュームが調整されても良い。さらに、バックタッチパネル7に対する操作は、フリック操作以外のタッチ操作であっても良い。
<制御の変更例4>
また、上記実施の形態および変更例では、着信時にユーザが携帯電話機1をグリップしていなかった場合の着信制御の処理について説明した。変更例4では、着信時にユーザが携帯電話機1をグリップしていた場合の着信制御の処理について説明する。
図20は、変更例4に係る着信制御処理を示すフローチャートである。図20は、図10のフローチャートを組み合わせて、一部変更するものであり、変更された処理を含む一部の処理のみが示されている。図21は、変更例4に係る着信制御時における携帯電話機1のディスプレイ3の画面表示例を示す図である。
図20を参照し、他の機器から通信部33へ着信があると、まず、制御部21は、近接検知部27を起動する(S101)。そして、制御部21は、着信時にグリップ検知部2
6がユーザの携帯電話機1へのグリップを検知していたか否かを判定する(S701)。
着信時にグリップ検知部26がユーザの携帯電話機1へのグリップを検知していなかった場合(S701:NO)、制御部21は、処理を図10のS102に進め、上記実施の形態と同様に、携帯電話機1のグリップ状況に応じて、ディスプレイ3の表示、非表示の切り替え、着信音、着信振動等の報知処理のオン、オフを切り替える。
着信時にグリップ検知部26がユーザの携帯電話機1へのグリップを検知していた場合(S701:YES)、制御部21は、着信音または着信振動による報知設定がされているか否かを判定する(S702)。
着信音または着信振動による報知設定がされている場合(S702:YES)、制御部21は、設定内容に応じて、着信音の鳴動、および着信振動を開始する(S703)。制御部21は、着信画面R1をディスプレイ3に表示する(S704)。これにより、図21の左上の図のように、着信音鳴動、および着信振動している状態で、着信画面R1がディスプレイ3に表示される。
着信音または着信振動による報知設定がされていない場合(S702:NO)、制御部21は、着信画面R1をディスプレイ3に表示する(S704)。
その後、制御部21は、図11の処理をS113に進め、上記実施の形態同様にグリップ検知部26の検知状況、近接検知部27の検知状況に応じて、通話応答、応答保留等の処理を実行する。
本変更例の構成とすれば、ユーザが携帯電話機1をグリップして操作している状況では、ディスプレイ3が非表示にされず、また、着信音、着信振動等の報知が停止されないため、ユーザは、携帯電話機1の操作中に着信があったことを適正に知ることができる。
上記の例では、ユーザが、携帯電話機1に耳を近付けるか、受話アイコン111を操作することにより、通話に切り替わると、着信音、着信振動が停止することとなる。しかしながら、着信後、所定の時間(ユーザが着信を把握できる程度の時間であり、たとえば、数秒程度)が経過すると、着信音等が自動的に停止してもよい。ユーザは、着信音等が停止した後、携帯電話機を耳に近付けることにより、耳の近距離で着信音等が報知されることを防止できる。
<その他>
以上、本発明の実施の形態および変更例について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施の形態および変更例では、着信が切断されるまで、着信制御処理が継続されたが、所定の時間以上経過した場合は、留守番電話機能が実行されても良い。この場合、制御部21は、着信制御処理を開始したタイミングで計時処理を開始し、所定の時間に到達したタイミングで、留守番電話機能を実行する。
本発明は、携帯電話機に限られず、PDA(Personal DigitalAssistant)、タブレットPC(Tablet PC)、電子書籍端末等の各種の携帯端末装置に適用可能である。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。