JP6257434B2 - 画像レーダ装置 - Google Patents

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Description

この発明は、目標に対して観測方向を変えながら電波の送受信を繰り返し、得られた受信信号を観測方向を考慮しながら開口合成することで、分解能を向上させたレーダ画像を得る画像レーダ装置に関するものである。
この種の開口合成に基づく代表的な画像レーダ装置としては、合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar:SAR)や逆合成開口レーダ(Inverse SAR:ISAR)が挙げられる。
SARは、画像レーダ装置が位置を変えることで目標に対する観測方向の変化を得る。また、ISARは、目標自身の運動に伴う位置変化や姿勢変化を利用することで、必ずしも画像レーダ装置の位置変化を必要とせずに観測方向(目標に固定された座標系における画像レーダ装置から目標に向かう方向)の変化を得る。
上記SAR,ISARのいずれにおいても、観測方向を変化させながら電波の送受信を繰り返し、得られた受信信号を観測方向を考慮しながら開口合成することで、分解能を向上させたレーダ画像(SAR画像やISAR画像)を得ることができる。
ここで、開口合成においては、上記のように、観測方向の変化情報(絶対値は必ずしも必要ではなく、相対変化で十分である。)を必要とする。この変化情報は、画像レーダ装置と目標との間の相対運動が画像レーダ装置自身の運動で与えられるSARで固定目標を観測する場合では、例えばレーダプラットフォームに運動センサを搭載して、画像レーダ装置の位置の変化を計測することで、容易に得ることが可能である。
しかしながら、上記相対運動が目標自身の運動に依存するISARや、SARでも観測対象が移動する場合では実現困難である。以下では、目標の運動が伴う場合をISARと総称する。
非特許文献1では、観測方向の変化を考慮した開口合成法の一つであるポーラフォーマット法で高精度なISAR画像再生を行う方法が提示されている。この方法では、何らかの方法で得られた目標の位置変化を直進運動に平滑化し、目標が時間の経過と共にその直線上を移動すること、また、その移動中には目標の姿勢は変化しないことを想定して、観測方向の変化を推定している。
また、目標自身の位置変化は、例えば、レーダその他のセンサを用いた目標の3次元追尾や、航空機の二次レーダ(Secondary Surveillance Radar:SSR)システムの利用により得られる可能性がある。
従って、これらの情報を併用することで、直進かつ姿勢変化を行わない目標の画像化が実現できる。
M. Sounekh、``Synthetic Aperture Radar Signal Processing with MATLAB Algorithms、'' New York: Wiley-Interscience、 1999.
しかしながら、上記非特許文献1の方法では、直進とは異なる運動を行う目標への対処は困難であるという課題がある。また、進行中に姿勢が変化する目標への対処は困難であるという課題がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、直進とは異なる運動を行う目標、及び進行中に姿勢が変化する目標に対しても観測を行うことができる画像レーダ装置を提供することを目的としている。
この発明に係る画像レーダ装置は、目標に対し、当該目標に固定された座標系である目標基準座標系における観測方向を変えながら観測を行う目標観測回路と、自機の位置の時間変化を取得するレーダ位置取得回路と、目標の位置の時間変化を取得する目標位置取得回路と、目標位置取得回路により取得された目標の位置の時間変化に基づいて、当該目標の姿勢の時間変化を推定する目標姿勢推定回路と、レーダ位置取得回路及び目標位置取得回路により取得された自機及び目標の位置の時間変化、及び目標姿勢推定回路により推定された当該目標の姿勢の時間変化に基づいて、目標基準座標系における自機の観測方向を推定する観測方向推定回路と、観測方向推定回路により推定された目標基準座標系における自機の観測方向に基づいて、目標観測回路による観測結果からレーダ画像を生成するレーダ画像再生回路とを備えたものである。
この発明によれば、上記のように構成したので、直進とは異なる運動を行う目標、及び進行中に姿勢が変化する目標に対しても観測を行うことができる。
この発明の実施の形態1に係る画像レーダ装置の構成を示す図である。 この発明の実施の形態1における目標姿勢推定回路の構成を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る画像レーダ装置の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1に係る画像レーダ装置における観測のジオメトリを示す図である。 目標の軌道を示す図である。 目標の姿勢変化を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る画像レーダ装置におけるレーダ画像の2次元表示例である。 この発明の実施の形態1に係る画像レーダ装置におけるレーダ画像の3次元表示例である。 この発明の実施の形態2に係る画像レーダ装置の構成を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る画像レーダ装置における目標基準座標系とレーダ画像の投影面との関係を示す図である。 この発明の実施の形態2における画像化タイミング判定回路による判定処理を説明する図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像レーダ装置の構成を示す図である。なお以下では、目標として航空機を想定した場合を例に説明を行うが、姿勢変化と位置変化が関連する目標であればどのような目標であっても構わない。
画像レーダ装置は、図1に示すように、レーダ位置取得回路1、目標位置取得回路2、目標観測回路3、目標姿勢推定回路4、観測方向推定回路5、レーダ画像再生回路6及び表示回路7から構成されている。画像レーダ装置の各部は、ソフトウェアに基づくCPUを用いたプログラム処理によって実行される。
レーダ位置取得回路1は、観測時の自機(画像レーダ装置)の位置の時間変化を取得するものである。このレーダ位置取得回路1は、例えば、GPS(Global Positioning System)に代表されるGNSS(Global Navigation Satellite System)、INS(Inertial Navigation System)等の運動センサの一つ又は複数を含んで構成される。また、これ以外にも位置を計測できるものならどのようなものでも使用可能である。
また、レーダ位置取得回路1は、画像レーダ装置の計測情報又は運用計画を取得することで当該画像レーダ装置の位置の時間変化を取得するようにしてもよい。例えば画像レーダ装置の位置が固定で且つ何らかの処理で既にその位置を計測済みの場合には、この計測済みの位置情報を何らかのデータベースから読込んだり、人手を介して入力するようにしてもよい。
目標位置取得回路2は、観測時の目標の位置の時間変化を取得するものである。この目標位置取得回路2の動作は、例えば、追尾レーダ又は光学センサによる観測結果を用いた目標の3次元追尾、航空管制の二次レーダ(SSR)による航空機目標の位置や進行方向の情報取得、目標に搭載されたGNSS、INS等の運動センサによる情報取得の一つ又は複数を含んで実現される。また、これ以外にも、目標の位置を計測できるものならこれを組込んで使用することが可能である。
また、画像レーダ装置側で目標の運動を何らかの方法で制御可能な場合(例えばリモートコントロール、事前の飛行計画指示等)には、その制御情報(コントロール情報)に基づいて目標の位置の時間変化を取得してもよい。
目標観測回路3は、目標に対し、当該目標に固定された座標系である目標基準座標系における観測方向を変えながら観測を行うものである。
目標姿勢推定回路4は、目標位置取得回路2により取得された目標の位置の時間変化に基づいて、目標の姿勢変化を推定するものである。この目標姿勢推定回路4の詳細については後述する。
観測方向推定回路5は、レーダ位置取得回路1及び目標位置取得回路2により取得された自機及び目標の位置の時間変化、及び目標姿勢推定回路4により推定された目標の姿勢の時間変化に基づいて、目標基準座標系における自機の観測方向を推定するものである。
レーダ画像再生回路6は、観測方向推定回路5により推定された目標基準座標系における自機の観測方向に基づいて、目標観測回路3による観測結果(受信信号)からレーダ画像を生成するものである。このレーダ画像再生回路6は、並進運動補償回路61及び開口合成回路62を有している。
並進運動補償回路61は、レーダ位置取得回路1及び目標位置取得回路2による取得結果から自機と目標との距離の時間変化を算出し、目標観測回路3による観測結果に対する距離の時間変化の影響を補償する並進運動補償を行うものである。
開口合成回路62は、観測方向推定回路5により推定された目標基準座標系における自機の観測方向に基づいて、並進運動補償回路61による補償後の観測結果を見込み角変化を考慮して開口合成することでレーダ画像を生成するものである。
表示回路7は、観測方向推定回路5により推定された目標基準座標系における自機の観測方向に基づいて、レーダ画像再生回路6により生成されたレーダ画像上に、目標のノーズ方向、横方向及び高さ方向を表示するものである。
次に、目標姿勢推定回路4の構成について、図2を参照しながら説明する。
目標姿勢推定回路4は、図2に示すように、目標速度ベクトル推定回路41、目標加速度ベクトル推定回路42、目標ノーズ方向推定回路43、目標横方向推定回路44及び回転行列算出回路45から構成されている。
目標速度ベクトル推定回路41は、目標位置取得回路2により取得された目標の位置の時間変化に基づいて、目標の速度ベクトルを推定するものである。
目標加速度ベクトル推定回路42は、目標位置取得回路2により取得された目標の位置の時間変化に基づいて、目標の加速度ベクトルを推定するものである。
目標ノーズ方向推定回路43は、目標速度ベクトル推定回路41により推定された目標の速度ベクトルに基づいて、目標のノーズ方向を推定するものである。
目標横方向推定回路44は、目標加速度ベクトル推定回路42及び目標ノーズ方向推定回路43により推定された目標の加速度ベクトル及びノーズ方向に基づいて、目標の横方向を推定するものである。すなわち、進行方向軸周りの目標姿勢を推定する。
回転行列算出回路45は、目標ノーズ方向推定回路43及び目標横方向推定回路44により推定された目標のノーズ方向及び横方向に基づいて、目標基準座標系(目標のノーズ方向、横方向、ノーズ方向及び横方向に直交する方向で定義される座標系)とグローバル座標系の間の座標変換のための回転行列を得るものである。この回転行列を得ることで目標の姿勢の時間変化を推定することができる。
次に、上記のように構成された画像レーダ装置の動作について、図3〜8を参照しながら説明する。
画像レーダ装置の動作では、図3に示すように、まず、レーダ位置取得回路1は観測時の自機(画像レーダ装置)の位置の時間変化を取得する(ステップST1)。ここで、時刻をtとし、時刻tにおけるグローバル座標系での画像レーダ装置の位置ベクトルをs(t)で与える。なお以下では、グローバル座標系でのベクトルは小文字で表す。
次いで、目標位置取得回路2は観測時の目標の位置の時間変化を取得する(ステップST2)。ここで、時刻tにおけるグローバル座標系での目標の位置ベクトルをp(t)で与える。
次いで、目標観測回路3は目標の観測を行う(ステップST3)。この目標観測回路3の構成・動作は、SARやISARを含む画像レーダ装置では一般的であり、例えば、まず、送信機にて高周波信号を発生し、送信アンテナにて当該高周波信号を目標に照射する。そして、目標で反射されて散乱された反射波を受信波として受信アンテナにて受信し、受信機にて当該受信波を検波及び復調する処理を複数回繰り返する。そして、レンジ圧縮回路にて、送信波と当該送信波に対する受信波との相互相関により、伝搬遅延時間軸(又はそれを光速/2倍した伝搬遅延距離軸)を高分解能化させることで受信信号を得る。
なお上記では送信アンテナと受信アンテナを別体とした場合を説明したが、これに限るものではなく、送受切換器と、送信と受信を時分割で担う送受信アンテナとで代用しても構わない。
また、送信系と受信系を別の位置に配置したバイスタティック構成にしても構わないし、送信局からの放送波のように空間を飛び交う既存の電波を送信波として代用してもよい。
ここで、既存の電波を送信波として代用する場合は、目標による反射波を受信する系(受信アンテナ、受信機)と、送信局からの直接波を受信する系(受信アンテナ、受信機)の2系統を用意し、両者の相互相関により伝搬遅延時間軸又は伝搬遅延距離軸の高分解能化を実現する。この場合、伝搬遅延時間や伝搬遅延距離は、直接波のパスを基準としたものとなる。
なお、使用する既存の電波が一般的な画像レーダ装置で用いられるパルス波形ではなく、連続波であった場合も、適当な時間幅、時間間隔で直接波と反射波を切出すことで、異なる処理時刻における受信信号を得ることができる。
以下では、伝搬遅延方向の時間をファーストタイム、観測を実施する方向の時間をスロータイムと呼んで区別する。これに伴い、伝搬遅延時間軸をファーストタイム軸、スロータイム方向の軸をスロータイム軸と呼ぶこともある。なお、前述の時刻tはスロータイムに相当する。
また、ファーストタイム軸方向の受信信号の複素振幅分布を以下では遅延周波数プロフィールと呼ぶ(ファーストタイム軸を光速/2倍したレンジ軸に対する分布は一般的にレンジプロフィールと呼ばれる。)。また、複数のスロータイムについて得られた遅延周波数プロフィールを合わせた2次元分布を以下では遅延ヒストリと呼ぶ。
次いで、目標姿勢推定回路4は、目標位置取得回路2により取得された目標の位置の時間変化(位置ベクトルp(t))に基づいて、目標の姿勢の時間変化を推定する(ステップST4)。この目標姿勢推定回路4による目標の姿勢推定は、図4に示す目標101に固定された座標系である目標基準座標系102から、グローバル座標系103への座標変換を定める回転行列Arot(t)の推定に相当する。なお図4の符号100は画像レーダ装置を示している。
目標基準座標系での位置ベクトルがQで与えられる点の位置ベクトルは、グローバル座標系103では次式(1)で与えられる。
Figure 0006257434
目標の移動及び姿勢の変化のイメージについては図5に示している。図5では、目標101が目標軌道104を辿る場合を想定する。
目標101が直進運動中の状態101a,101b,101eでは、ノーズ方向を安定した直進軌道に沿った方向に向け、姿勢も安定を保つ。従来技術ではこのような状況を想定している。
これに対して、目標101が旋回中の状態101c,101dでは、進行方向の変化に伴いノーズ方向も変化する。これに加え、旋回時には機体が横方向に傾く(バンクする)こともよく知られている。これらによって旋回時の目標の回転行列Arot(t)は時間と共に変化してしまう。よって、目標が旋回中の状態101c,101dでは、姿勢が安定することを想定した従来技術では問題となる。
目標のノーズ方向は旋回時にも概ね進行方向と一致すると考えられるので、目標の位置変化と大いに関連する。また、旋回時はバンク角を変化させることで翼の揚力の一部を横方向の力として利用する。バンク角が大きくなるに従い旋回も急激になることを踏まえると、このバンク角の大きさも目標の位置変化と大いに関連する。
本発明は、Arot(t)を変化させる要因が上記のようにいずれも目標の位置変化と大いに関連することを踏まえ、これらを目標の位置変化から推定する点に特徴がある。
目標の速度ベクトルv(t)は、次式(2)で得られる。
Figure 0006257434
目標速度ベクトル推定回路41では、時刻tが観測発生ごとの離散時刻となることを踏まえ、上式(2)を差分式で近似して、各時刻tにおける速度ベクトルv(t)を得る。
次に、目標ノーズ方向推定回路43では、次式(3)に基づいて目標の進行方向の単位ベクトルu(t)を得る。
Figure 0006257434
この単位ベクトルを目標のノーズ方向とみなす。
また、目標の加速度ベクトルa(t)は、次式(4)で表現される。
Figure 0006257434
目標加速度ベクトル推定回路42では、上式(4)を差分式で近似して、各時刻tにおける加速度ベクトルa(t)を得る。
次に、目標横方向推定回路44は、進行方向軸周りの目標姿勢を定める。
以下、単純な例として、目標が水平飛行を行う場合を考え、図6に基づいて説明する。
まず、目標位置での重力加速度ベクトルをgとすると、その位置での鉛直上方向の単位ベクトルuは次式(5)で与えられる。
Figure 0006257434
また、目標の進行方向であるノーズ方向の単位ベクトルuは、水平飛行を想定した場合には重力加速度ベクトルの鉛直上方向の単位ベクトルuと直交する。
そして、重力加速度ベクトルの鉛直上方向の単位ベクトルuとノーズ方向の単位ベクトルuとを外積することで、これらに直交する水平横方向の単位ベクトルuを次式(6)で得る。
Figure 0006257434
ここで、翼の揚力は翼面に垂直な方向に発生する。すなわち、翼が水平となる一般的な場合は、翼の揚力はu方向に発生する。しかしながら、機体をu周りに傾けると(すなわちバンクさせると)、揚力はu方向にも成分を有することになる。一般的な航空機では、この力を利用して旋回を行う。目標のバンク角を、+uから+u方向に測った角度θ[rad]で与える。
揚力の大きさをNとすると、バンク角θでの揚力ベクトルN(θ)は次式(7)で表せる。
Figure 0006257434
また、目標の質量をm、加速度ベクトルをaとすると、N(θ)のu方向成分がmaのu方向成分と一致する。すなわち、次式(8)が成立する。
Figure 0006257434
また、機体がu方向に加減速しないとするとN(θ)のu方向成分とmgが釣り合う。すなわち、次式(9)が成立する。
Figure 0006257434
式(8),(9)より次式(10)の関係が導かれる。
Figure 0006257434
よって、次式(11)が得られる。
Figure 0006257434
すなわち、進行方向から定まるノーズ方向の単位ベクトルuと、加速度ベクトルaという目標の位置変化から、目標の姿勢変化を定めるθを算出できる。
そして、目標の横方向の単位ベクトルuは次式(12)により定まる。
Figure 0006257434
目標横方向推定回路44では、以上のような処理に基づいて目標の横方向を定めることができる。
なお、目標の運動の状態によっては、並進運動と姿勢変化の関係が必ずしも上記のような単純な関係だけで与えられず、補正を必要とする場合もある。その場合は、既に確立されている様々な航空力学等の理論に基づいて補正を行っても構わない。これは前述のノーズ方向についても同様である。
また、目標横方向推定回路44は、目標速度ベクトル推定回路41により推定された目標の速度ベクトルと、加速度ベクトル及び重力加速度ベクトルを用いて、航空力学の理論に従い、目標のバンク角を算出することで当該目標の横方向を推定するようにしてもよい。
次に、回転行列算出回路45では、各時刻tで得られた目標のノーズ方向の単位ベクトルu(t)、目標の横方向の単位ベクトルu(t)に基づき、時刻tにおける目標基準座標系からグローバル座標系への変換行列(回転行列)Arot(t)を次式(13)のように得る。ただし、ここでは各ベクトルを列ベクトルとする。また、x×yは、ベクトルxとyの外積演算を与える。
Figure 0006257434
そして、目標姿勢推定回路4では、最終的に、目標基準座標系からグローバル座標系への回転行列Arot(t)を出力する。
なお、以上の計算方法は一例であり、既に確立された航空力学の理論に基づくより詳細な計算方法により姿勢変化を推定しても勿論構わない。その際は、目標の位置変化を利用して上記回転行列を得るというアイデアの本質さえ備わっていれば、回転行列算出回路45内の細かいブロック構成が変わることは許容される。
また、回転行列算出回路45の別の動作として、例えば旋回が非常に小さいことが分かっている場合には、目標横方向推定回路44の出力である目標の横方向の単位ベクトルu(t)を用いずに、これを目標のノーズ方向の単位ベクトルuに直交する水平方向、すなわちu×uで代用して式(13)でArot(t)を計算してもよい。この場合は、目標加速度ベクトル推定回路42及び目標横方向推定回路44を省くことができる。
次いで、観測方向推定回路5では、レーダ位置取得回路1及び目標位置取得回路2により取得されたレーダ装置及び目標の位置の時間変化、及び目標姿勢推定回路4により推定された目標の姿勢の時間変化に基づいて、目標基準座標系における自機の観測方向を推定する(ステップST5)。すなわち、目標基準座標系での時刻tにおける画像レーダ装置から目標に向かう方向を定める。
ここで、目標の位置ベクトルp(t)及び画像レーダ装置の位置ベクトルs(t)から、グローバル座標系における画像レーダ装置の位置を基準とした目標の位置ベクトル(以下、位置差ベクトル)d(t)を次式(14)で得る。
Figure 0006257434
目標と画像レーダ装置間の距離の時間変化d(t)は次式(15)で与えられる。
Figure 0006257434
従って、位置差ベクトル方向の単位ベクトル(単位位置差ベクトル)u(t)は次式(16)で与えられる。
Figure 0006257434
この単位ベクトルは目標基準座標系では次式(17)のU(t)で与えられる。
Figure 0006257434
(t)によって、画像レーダ装置が各時刻で目標をどの方向から観測したかが定まる。
次いで、レーダ画像再生回路6は、観測方向推定回路5により推定された目標基準座標系における自機の観測方向に基づいて、目標観測回路3による観測結果(受信信号)からレーダ画像を生成する(ステップST6)。このレーダ画像再生回路6では、目標観測回路3で取得された遅延ヒストリを用いてISARの画像再生を行う。SAR及びISARの画像再生では目標と画像レーダ装置間の不要な距離変化を補償する並進運動と、見込み角の変化を踏まえた遅延ヒストリの開口合成を必要とする。
このうち、並進運動補償を行う並進運動補償回路61では、まず、上記距離の時間変化d(t)の影響を打ち消すように遅延ヒストリを補償する。これにより、目標と画像レーダ装置間の距離の時間変化の大半は補償される。
また、並進運動補償回路61では、必要に応じて、上記補償後に残存する距離変化を遅延ヒストリそのものから推定して補償する、所謂オートフォーカス処理を行ってもよい。
SAR及びISARのオートフォーカス処理そのものは公知のものが多数あるのでこれらを用いればよい。
また、開口合成回路62では、並進運動補償後の遅延ヒストリを、観測方向の変化に応じて開口合成する。開口合成の方法としては、一般的なポーラフォーマット法や逆投影法が適する。
これらの方法では、遅延ヒストリを構成する各遅延周波数プロフィールをフーリエ変換して得られる、送信周波数に対する複素振幅分布である遅延周波数プロフィールを、2次元周波数平面内に、送信周波数と後述する画像投影面上での観測方向Φに応じた位置に極座標配置する。そして、これを何らかの方法で2次元逆フーリエ変換することで、複素振幅の2次元時間分布を得る。この2次元時間分布は、開口合成によって得られたレーダ画像である。画像の時間軸を光速/2倍することで、これを物理的な長さに換算することができる。
ポーラフォーマット法と逆投影法では、上記2次元フーリエ逆変換の方法が異なる。前者では、2次元周波数平面上に極座標配置された受信信号から、矩形グリッドでリサンプリングして矩形グリッド上の信号分布を補間により得た上で、これを2次元フーリエ逆変換することで上記2次元時間分布を得る。一方、後者では、極座標の2次元フーリエ変換をそのまま行うことにより2次元時間分布を得る。いずれにおいても、配置のための角度Φを定めることが課題となる。
以下、その内容について説明する。
まず目標基準座標系での各時刻(t,t,・・・,t)における観測方向から、これらの観測方向をなるべく含むような仮想的な平面を、目標上の3次元の反射強度分布を投影する投影面として定める。ここで、投影面の法線を表す単位ベクトルをUとする(図10参照)。
次に、この平面に各観測方向を正射影して投影面内での各観測方向を定める。
基準となる方向として、例えばこれら観測方向の中央方向の単位ベクトルをU,U×Uで定まる単位ベクトルをUを定める。なお、U方向をレンジ方向、U方向をクロスレンジ方向と呼ぶ。そして、上記各観測方向をUからU方向に測った角度Φ(t)で表す。
これ以降は、一般的なポーラフォーマット法や逆投影法で画像を生成すればよい。なお、得られた画像の1軸は、目標基準座標系でのU方向、もう1軸は同じくU方向となる。このようにして、レーダ画像再生回路6ではレーダ画像を生成してこれを出力する。
次いで、表示回路7では、観測方向推定回路5により推定された目標基準座標系における自機の観測方向に基づいて、レーダ画像再生回路6により生成されたレーダ画像上に、目標のノーズ方向、横方向及び高さ方向を表示する(ステップST7)。これにより、画像上の目標姿勢を把握できる。
ここで、目標基準座標系におけるノーズ方向、横方向及び高さ方向の各々の方向の単位ベクトルをU,U,Uで与える。これらは各々[1,0,0],[0,1,0],[0,0,1]で表される。また、U(k=1,2,3)のU(j=r,c,z)方向の成分qkjは次式(18)で与えられる。
Figure 0006257434
図7において、横軸はU方向の長さ、縦軸はU方向の長さを表し、目標像1051を含むレーダ画像105が得られたものとする。
これに対し、表示回路7では、例えば、始点が同じで横軸、縦軸方向の成分が各々qkr,qkc(k=1,2,3)で与えられる2次元ベクトル1052を、Uの投影ベクトルとして追加する。このように、目標基準座標系における目標のノーズ方向、横方向及び高さ方向の単位ベクトル1052を、画像のレンジ及びクロスレンジを軸とするレーダ画像105上に2次元表示することで、目標のノーズ方向、横方向及び高さ方向を画像上で把握しやすくなる。
また、同じレーダ画像105を、図8に示すように、さらに画像の投影面の法線方向であるU軸を追加した3次元で表示し、これに、にU,U,U方向の成分がqkr,qkc,qkz(k=1,2,3)で与えられる3次元ベクトル1053を追加してもよい。このように、目標基準座標系における目標のノーズ方向、横方向及び高さ方向の単位ベクトル1053を、画像のレンジ、クロスレンジ及び投影面の法線方向を軸とするレーダ画像105上に3次元表示することで、目標のノーズ方向、横方向及び高さ方向をレーダ画像と対応づけながら、より立体的に把握することができるようになる。
以上のように、この実施の形態1によれば、目標の位置の時間変化に基づいて当該目標の姿勢の時間変化を推定し、目標基準座標系における自機の観測方向を推定するように構成したので、直進とは異なる運動を行う目標、及び進行中に姿勢が変化する目標に対しても観測を行うことができる。
実施の形態2.
図9はこの発明の実施の形態2に係る画像レーダ装置の構成を示す図である。図9に示す実施の形態2に係る画像レーダ装置は、図1に示す画像レーダ装置のレーダ画像再生回路6をレーダ画像再生回路6bに変更し、画像化タイミング判定回路8を追加したものである。また、図9に示す実施の形態2におけるレーダ画像再生回路6bは、図1に示す実施の形態1におけるレーダ画像再生回路6に画像化時間範囲設定回路63を追加したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付して異なる部分についてのみ説明を行う。
画像化タイミング判定回路8は、観測方向推定回路5により推定された目標基準座標系における自機の観測方向に基づいて、観測方向の時間変化からレーダ画像再生回路6bによる画像化に適したタイミングを判定するものである。
画像化時間範囲設定回路63は、画像化タイミング判定回路8による判定結果に応じて、画像化に用いる時間範囲を設定するものである。
なお、開口合成回路62は、画像化時間範囲設定回路63により設定された時間範囲に応じてレーダ画像の生成を行う。
SARやISAR等の画像レーダ装置では、図10に示すように、目標基準座標系内で画像レーダ装置から目標に向かう軸(レーダ軌跡106)が画像投影面107上に配置されていることを理想とし、この条件から外れるにつれて、画像がぼける性質がある。また、画像再生に使う時間内の観測方向の変化幅が大きいほど画像の分解能が向上する性質がある。
従って、レーダ画像再生を行う上では、観測方向の投影面からの逸脱がなるべく小さく、かつ観測方向の変化幅がなるべく大きい時間範囲のデータを用いることが望ましい。
そこで、画像化タイミング判定回路8は、各時刻tにおける目標基準座標系内での画像レーダ装置の観測方向の単位ベクトルU(t)に基づいて、この画像化に適したタイミングを判定する。
ここで、想定した切出し時間範囲内の離散時刻をt,t,・・・,t,・・・,tと表し、各々時間範囲内における観測方向の単位ベクトルを構成要素とした次式(19)の行列[A]を得る。
Figure 0006257434
まず、これらのベクトルがなるべく投影面にのるためには、その法線方向の単位ベクトルUは、U =1の拘束条件の下にU AAを最小とするベクトルになっている必要がある。この問題は拘束条件つきの最適化問題であり、ラグランジュ乗数法で解くことができる。
まず、次式(20)の正方行列Bを導入する。この正方行列Bは対称行列となる。
Figure 0006257434
次に、拘束条件付きの評価関数を次式(21)のC(U)で与える。
Figure 0006257434
ここで、C(U)が極値になるためには、この値をUで微分した値がゼロ、すなわち、次式(22)を満足する必要がある。
Figure 0006257434
これは、固有方程式でありζとUはそれぞれBの固有値と固有ベクトルに対応する。固有値をζ,ζ,ζ(ただし、ζ<ζ<ζ)、及び、これに対応する固有ベクトルをe,e,eとすると、これらを式(21)に代入して次式(23)が得られる。
Figure 0006257434
すなわち、評価値が固有値になることから、Uは最小固有値に対応する固有ベクトルeと平行なベクトルになる。以上で投影面の法線が定まることから投影面も定まる。
なお、実施の形態1では特に投影面の法線の決定法を明記していないが、このような方法で法線を定めてもよい。
ここで、残る固有ベクトルe,eについて考える。これらはいずれも投影面上の単位ベクトルであり、かつ互いに直交する。
まず、最大固有値に対応する固有ベクトルeは、U(t)との内積の二乗和をU =1の拘束条件の下に最大化するベクトルであり、概ね観測中のU(t)の中央付近の方向となる。
実施の形態1では、これをU方向で与えた。さらに、eは投影面上でUに直交するU方向を与える。
(t)がなるべくUを法線とする平面上にのっているためには、ζがなるべく小さいことが望ましい。また、観測方向の範囲がなるべく大きいためには、ζが大きいことが望ましい。すなわち、ζが小さくかつζが大きい時間範囲のデータが画像化に適したデータとなる。
画像化タイミング判定回路8では、既に得られているU(t)から中心時刻と切出し時間幅を様々に変えてU(t)を切出して上記正方行列Bを生成し、その固有値解析に基づき各々のζとζを算出して図11のような分布を得る。
そして、図11に基づき、ζがなるべく小さく、かつζがなるべく大きくなる中心時刻(例えばt)と、切出し時間幅(例えばW)を選択する。
なお、tとWの決定方法としては様々なバリエーションが考えられる。例えば、ζに最大許容値を定めておき、ζがその許容値以下の中でζを最大とするようなtとWの組を定めるような方法が考えられる。
また、ζに最小許容値を定めておき、ζがその許容値以上の中でζを最小とするようなtとWの組を定めるような方法が考えられる。
さらに、ζに最大許容値を、ζに最小許容値を定めておき、これら両者が許容値内となるtとWの組を複数選択するような方法も考えられる。
さらに、ζが小さくなる程値が大きくなる評価指標H(W,t)とその重みwを定め、また、ζが大きくなる程値が大きくなる評価指標H(W,t)とその重みwを定め、次式(24)で定める総合的な評価指標H(W,t)を最大又は事前に設定した許容値以上とするtとWを選択するような方法でもよい。
Figure 0006257434
以上に限らず、ζがなるべく小さく、かつζがなるべく大きくなる場合を探すというここでの本質を捉えた方法であれば、どのような方法でも有用である。
そして、画像化時間範囲設定回路63では、画像化タイミング判定回路8で以上のように定められた中心時刻と切出し時間幅の各データを用いてで開口合成を行うように開口合成回路62に指示を出す。これにより、実施の形態1の効果に加え、良好な画像を選択的に生成できる利点がある。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 レーダ位置取得回路、2 目標位置取得回路、3 目標観測回路、4 目標姿勢推定回路、5 観測方向推定回路、6,6b レーダ画像再生回路、7 表示回路、8 画像化タイミング判定回路、41 目標速度ベクトル推定回路、42 目標加速度ベクトル推定回路、43 目標ノーズ方向推定回路、44 目標横方向推定回路、45 回転行列算出回路、61 並進運動補償回路、62 開口合成回路、63 画像化時間範囲設定回路。

Claims (32)

  1. 目標に対し、当該目標に固定された座標系である目標基準座標系における観測方向を変えながら観測を行う目標観測回路と、
    自機の位置の時間変化を取得するレーダ位置取得回路と、
    前記目標の位置の時間変化を取得する目標位置取得回路と、
    前記目標位置取得回路により取得された前記目標の位置の時間変化に基づいて、当該目標の姿勢の時間変化を推定する目標姿勢推定回路と、
    前記レーダ位置取得回路及び前記目標位置取得回路により取得された自機及び前記目標の位置の時間変化、及び前記目標姿勢推定回路により推定された当該目標の姿勢の時間変化に基づいて、前記目標基準座標系における自機の観測方向を推定する観測方向推定回路と、
    前記観測方向推定回路により推定された前記目標基準座標系における自機の観測方向に基づいて、前記目標観測回路による観測結果からレーダ画像を生成するレーダ画像再生回路と
    を備えた画像レーダ装置。
  2. 前記観測方向推定回路により推定された前記目標基準座標系における自機の観測方向に基づいて、前記レーダ画像再生回路により生成されたレーダ画像上に、前記目標のノーズ方向、横方向及び高さ方向を表示する表示回路を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  3. 前記観測方向推定回路により推定された前記目標基準座標系における自機の観測方向に基づいて、当該観測方向の時間変化から前記レーダ画像再生回路による画像化のタイミングを判定する画像化タイミング判定回路を備え、
    前記レーダ画像再生回路は、前記画像化タイミング判定回路により判定されたタイミングで前記レーダ画像を生成する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  4. 前記目標姿勢推定回路は、前記目標位置取得回路により取得された前記目標の位置の時間変化に基づいて、航空力学の理論に従い、当該目標の姿勢の時間変化を推定する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  5. 前記目標姿勢推定回路は、
    前記目標位置取得回路により取得された前記目標の位置の時間変化に基づいて、当該目標の速度ベクトルを推定する目標速度ベクトル推定回路と、
    前記目標速度ベクトル推定回路により推定された前記目標の速度ベクトルに基づいて、当該目標のノーズ方向を推定する目標ノーズ方向推定回路と、
    前記目標ノーズ方向推定回路により推定された前記目標のノーズ方向に基づいて、前記目標基準座標系とグローバル座標系の間の座標変換のための回転行列を得ることで当該目標の姿勢の時間変化を推定する回転行列算出回路とを備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  6. 前記目標姿勢推定回路は、
    前記目標位置取得回路により取得された前記目標の位置の時間変化に基づいて、当該目標の速度ベクトルを推定する目標速度ベクトル推定回路と、
    前記目標位置取得回路により取得された前記目標の位置の時間変化に基づいて、当該目標の加速度ベクトルを推定する目標加速度ベクトル推定回路と、
    前記目標速度ベクトル推定回路により推定された前記目標の速度ベクトルに基づいて、当該目標のノーズ方向を推定する目標ノーズ方向推定回路と、
    前記目標加速度ベクトル推定回路及び前記目標ノーズ方向推定回路による推定された前記目標の加速度ベクトル及びノーズ方向に基づいて、前記目標の横方向を推定する目標横方向推定回路と、
    前記目標ノーズ方向推定回路及び前記目標横方向推定回路により推定された前記目標のノーズ方向及び横方向に基づいて、前記目標基準座標系とグローバル座標系の間の座標変換のための回転行列を得ることで当該目標の姿勢の時間変化を推定する回転行列算出回路と
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  7. 前記目標横方向推定回路は、前記目標速度ベクトル推定回路により推定された前記目標の速度ベクトル、前記加速度ベクトル及び重力加速度ベクトルを用いて、航空力学の理論に従い、前記目標のバンク角を算出することで当該目標の横方向を推定する
    ことを特徴とする請求項6記載の画像レーダ装置。
  8. 前記目標横方向推定回路は、重力加速度ベクトルの鉛直上方向の単位ベクトル及び前記ノーズ方向の単位ベクトルから水平横方向の単位ベクトルを算出し、当該水平横方向の単位ベクトル及び前記加速度ベクトルから前記目標のバンク角を算出することで当該目標の横方向推定する
    ことを特徴とする請求項6記載の画像レーダ装置。
  9. 前記回転行列算出回路は、重力加速度ベクトルの鉛直上方向の単位ベクトル、前記ノーズ方向の単位ベクトル、及び当該重力加速度ベクトルの鉛直上方向の単位ベクトルと当該ノーズ方向の単位ベクトルとの外積からなる列ベクトルを用いて、前記回転行列を算出する
    ことを特徴とする請求項5記載の画像レーダ装置。
  10. 前記回転行列算出回路は、前記ノーズ方向の単位ベクトル、前記横方向の単位ベクトル、及び当該ノーズ方向の単位ベクトルと当該横方向の単位ベクトルとの外積からなる列ベクトルを用いて、前記回転行列を算出する
    ことを特徴とする請求項6記載の画像レーダ装置。
  11. 前記レーダ位置取得回路は、GNSSを用いて自機の位置の時間変化を取得する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  12. 前記レーダ位置取得回路は、自機に搭載された運動センサを用いて当該自機の位置の時間変化を取得する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  13. 前記レーダ位置取得回路は、自機の計測情報又は運用計画を取得することで当該自機の位置の時間変化を取得する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  14. 前記目標位置取得回路は、追尾レーダ又は光学センサによる観測結果を用いた前記目標の3次元追尾により当該目標の位置の時間変化を取得する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  15. 前記目標位置取得回路は、航空管制の二次レーダにより前記目標の位置の時間変化を取得する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  16. 前記目標位置取得回路は、前記目標に搭載された運動センサを用いて当該目標の位置の時間変化を取得する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  17. 前記目標位置取得回路は、前記目標のコントロール情報により当該目標の位置の時間変化を取得する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  18. 前記目標観測回路は、
    高周波信号を発生する送信機と、
    前記送信機により生成された高周波信号を前記目標に照射する送信アンテナと、
    前記送信アンテナにより照射された高周波信号に対し、前記目標で反射された反射波を受信波として受信する受信アンテナと、
    前記送信アンテナにより送信された送信波と前記受信アンテナにより受信された当該送信波に対する受信波との相互相関により、伝搬遅延時間軸又は伝搬遅延距離軸を高分解能化させることで前記観測結果を取得するレンジ圧縮回路とを備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  19. 前記目標観測回路は、
    送信局から放射された電波である直接波、及び当該送信局から前記目標に照射されて当該目標で反射された電波である反射波を受信する受信アンテナと、
    前記受信アンテナにより受信された直接波と反射波との相互相関により、伝搬遅延時間軸又は伝搬遅延距離軸を高分解能化させることで前記観測結果を取得するレンジ圧縮回路とを備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  20. 前記レーダ画像再生回路は、
    前記レーダ位置取得回路及び前記目標位置取得回路による取得結果から自機と前記目標との距離の時間変化を算出し、前記目標観測回路による観測結果に対する当該距離の時間変化の影響を補償する並進運動補償回路と、
    前記観測方向推定回路により推定された前記目標基準座標系における自機の観測方向に基づいて、前記並進運動補償回路による補償後の観測結果を開口合成することで前記レーダ画像を生成する開口合成回路とを備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  21. 前記レーダ画像再生回路は、
    前記レーダ位置取得回路及び前記目標位置取得回路による取得結果から自機と前記目標との距離の時間変化を算出し、前記目標観測回路による観測結果に対する当該距離の時間変化の影響を補償する並進運動補償回路と、
    前記画像化タイミング判定回路による判定結果に応じて、画像化に用いる時間範囲を設定する画像化時間範囲設定回路と、
    前記画像化時間範囲設定回路により設定された時間範囲に応じ、前記観測方向推定回路により推定された前記目標基準座標系における自機の観測方向に基づいて、前記並進運動補償回路による補償後の観測結果を開口合成することで前記レーダ画像を生成する開口合成回路とを備えた
    ことを特徴とする請求項3記載の画像レーダ装置。
  22. 前記開口合成回路は、前記観測結果を2次元周波数平面上に極座標配置して矩形グリッドでリサンプリングした後、ポーラフォーマット法に基づく2次元逆フーリエ変換を行うことで開口合成を行う
    ことを特徴とする請求項20又は請求項21記載の画像レーダ装置。
  23. 前記開口合成回路は、前記観測結果を2次元周波数平面上に極座標配置し、逆投影法に基づく極座標の2次元逆フーリエ変換を行うことで開口合成を行う
    ことを特徴とする請求項20又は請求項21記載の画像レーダ装置。
  24. 前記表示回路は、前記目標基準座標系における前記目標のノーズ方向、横方向及び高さ方向の単位ベクトルを、画像のレンジ及びクロスレンジを軸とする前記レーダ画像上に2次元表示する
    ことを特徴とする請求項2記載の画像レーダ装置。
  25. 前記表示回路は、前記目標基準座標系における前記目標のノーズ方向、横方向及び高さ方向の単位ベクトルを、画像のレンジ、クロスレンジ及び投影面の法線方向を軸とする前記レーダ画像上に3次元表示する
    ことを特徴とする請求項2記載の画像レーダ装置。
  26. 前記画像化タイミング判定回路は、前記目標基準座標系における自機の観測方向の時間変化に基づいて、各観測方向が同一平面上にのり、且つ当該観測方向の変化幅が大きい時間範囲を前記画像化のタイミングと判定する
    ことを特徴とする請求項3記載の画像レーダ装置。
  27. 前記画像化タイミング判定回路は、想定した時間範囲内における観測方向の単位ベクトルを列方向に複数配置した行列を生成し、当該行列と当該行列の転置行列との積として得られる正方行列の固有値解析を行い、前記画像化のタイミングを判定する
    ことを特徴とする請求項26記載の画像レーダ装置。
  28. 前記画像化タイミング判定回路は、前記固有値解析により得られた固有値のうちの小さいほうから1番目と2番目の固有値を中心時刻と切出し時間幅を変えて算出し、当該1番目の固有値が小さく且つ当該2番目の固有値が大きい中心時刻と切出し時間幅の組を探索する
    ことを特徴とする請求項27記載の画像レーダ装置。
  29. 前記画像化タイミング判定回路は、前記固有値解析により得られた固有値のうちの小さいほうから1番目と2番目の固有値を中心時刻と切出し時間幅を変えて算出し、当該1番目の固有値が最大許容値以下で且つ当該2番目の固有値が最大となる中心時刻と切出し時間幅の組を探索する
    ことを特徴とする請求項27記載の画像レーダ装置。
  30. 前記画像化タイミング判定回路は、前記固有値解析により得られた固有値のうちの小さいほうから1番目と2番目の固有値を中心時刻と切出し時間幅を変えて算出し、当該2番目の固有値が最小許容値以上で且つ当該1番目の固有値が最小となる中心時刻と切出し時間幅の組を探索する
    ことを特徴とする請求項27記載の画像レーダ装置。
  31. 前記画像化タイミング判定回路は、前記固有値解析により得られた固有値のうちの小さいほうから1番目と2番目の固有値を中心時刻と切出し時間幅を変えて算出し、当該1番目の固有値が最大許容値以下で且つ当該2番目の固有値が最小許容値以上となる中心時刻と切出し時間幅の組を探索する
    ことを特徴とする請求項27記載の画像レーダ装置。
  32. 前記画像化タイミング判定回路は、前記固有値解析により得られた固有値のうちの小さいほうから1番目と2番目の固有値を中心時刻と切出し時間幅を変えて算出し、当該1番目の固有値が小さくなるほど値が大きくなる評価指標及び当該2番目の固有値が大きくなるほど値が大きくなる評価指標を設定し、当該両評価指標が大きくなる中心時刻と切出し時間幅の組を探索する
    ことを特徴とする請求項27記載の画像レーダ装置。
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