JP6256870B2 - ワイヤソー及びその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド等の半導体材料やセラミックス等を切断するワイヤソー及びその制御方法に関する。
従来から半導体インゴット等のワークをウエハ状に切り出すワイヤソーが知られている。このワイヤソーは、複数の溝ローラ間にワイヤが巻き回されてワイヤ列が形成され、該ワイヤを一方向走行または往復走行させながら、前記ワークを前記ワイヤ列に押し付けることで該ワークをウエハ状に多数枚同時に切り出すように構成されている。
前記ワイヤソーでは、ワイヤの両端が、それぞれワイヤの繰出し・巻取り用のリールに巻回されており、繰出し側のリールから繰出されたワイヤは、複数の溝ローラを経由して巻取り側のリールに巻取られるようになっている。また、ワイヤ走行方向が切り替わる際には、上記の繰出し側と巻取り側が逆の状態となって、ワイヤの繰出し及び巻取りが行なわれる。
前記ワイヤソーのワイヤの繰出し及び巻取りには、トラバーサが設けられ、リールに対してその軸方向にワイヤを均等に巻取るようになっており、ワイヤの巻乱れを防止して、次のワイヤの繰出しを円滑に行うようになっている。
上記のようなトラバーサには、リールの軸線方向に移動自在なトラバーサテーブルが設けられ、該トラバーサテーブル上に設けたトラバースローラ(スイングローラに相当)とリール間のワイヤの角度を該トラバースローラに設けられた角度検出器で常時検出し、このトラバーサテーブルを軸線方向に移動させて該トラバースローラとリール間の角度を直角に制御することが知られている。このように前記角度検出器でトラバースローラの揺動角を常時検出し、トラバーサテーブルの連続追従制御することが行なわれている(例えば特許文献1)。
また、テンションローラの位置でワイヤの基準合力を求め、トラバースローラの位置でワイヤの目標位置からの変位に基づく変動合力を検出し、前記基準合力と変動合力との差の変動に基づいてトラバースローラの移動速度を制御することも知られている(例えば特許文献2)。
特開平7−178660号公報 特許第5177701号公報
しかし、特許文献1の装置は、トラバースローラがこのトラバースローラとリール間のワイヤの角度に応じてトラバースローラの軸線方向に傾斜揺動するため、その角度の変化が大きい場合にトラバースローラの揺動量が大きくなり、トラバースローラに負荷が掛かり過ぎる問題があり、トラバースローラのガタや破損が起こる場合があった。
また、トラバースローラとリールの回転軸方向が直交するため、トラバースローラがワイヤの繰出し角度変化に追従するためには、トラバースローラの回転方向と異なる方向にトラバースローラを揺動させる必要があり、トラバースローラの負荷が高まる原因となっていた。
また、特許文献2の装置は、トラバースローラとテンションローラの位置でそれぞれのローラに掛かる合力を求めてトラバースローラの基準合力とのずれからトラバースローラの往復移動速度を制御するものであり、2か所に張力検出器を設ける必要があるため、レイアウトの自由度が制約されたり、装置が大型化したりする問題があった。また、2個の張力検出器が必要となるためコストも増大する問題があった。さらには、2個の検出器間に距離があるため、2個の検出器間の誤差を拾い、安定な張力検出を行ない難い問題があった。
また、特許文献2の装置では張力検出器の1つを可動するトラバースローラに設けているため、ワイヤ走行中に検出する場合、装置の振動などによる誤差を受け易い問題があった。また、ワイヤが断線した際に張力付与を行なっているトラバースローラ部に断線したワイヤが達するとトラバースローラが激しく動くため、トラバースローラに設けた張力検出器が破損したり誤作動したりする問題があった。
そこで、本発明の目的は、装置を大型化することなくトラバースローラとリール間のワイヤの角度と張力を安定に測定し、迅速にトラバースローラを制御して、ワイヤ走行を安定させることにある。
そこで、請求項1の発明は、軸線回りにそれぞれ往復回転可能に設けられワイヤの繰出し及び巻取りを行なう一対のリールと、前記ワイヤが巻回される複数本の溝ローラと、前記リールの少なくとも一方に設けられ、前記ワイヤの繰出しまたは巻取りの際に前記リールの軸線方向に移動して所定位置に該ワイヤを案内するトラバースローラとを備えたワイヤソーにおいて、
前記トラバースローラの位置でトラバースローラの両端に掛かるワイヤ張力の合力を前記リールの軸線方向に沿ったX方向成分の分力と前記リールの軸線方向と垂直方向のY方向成分の分力として検出する検出手段と、
基準位置から変位したトラバースローラの位置で、前記検出手段により検出される、トラバースローラの両端に掛かるワイヤ張力の合力のX方向分力とY方向分力とに基づいて、基準位置からのワイヤの傾き角度を求め、前記角度からX方向の前記基準位置からのワイヤの変位距離を算出し、前記変位距離を打ち消す方向に前記トラバースローラを移動させる制御部とを設けた構成を採用したワイヤソーである。
請求項2の発明は、前記制御部で前記X方向成分の分力とY方向成分の分力から前記トラバースプーリに掛かるワイヤ張力を算出するようにした請求項1に記載の構成を採用したワイヤソーである。
請求項3の発明は、軸線回りにそれぞれ往復回転可能に設けた一対のリールから繰出し及び巻取りされるワイヤを前記リールの軸線方向に移動して所定位置に該ワイヤをトラバースするワイヤソーの制御方法において、
前記トラバースローラの位置に設けた検出手段トラバースローラの両端に掛かるワイヤ張力の合力を前記リールの軸線方向に沿ったX方向成分の分力と前記リールの軸線方向と垂直方向のY方向成分の分力として検出し、
基準位置から変位したトラバースローラの位置で、前記検出手段により検出される、トラバースローラの両端に掛かるワイヤ張力の合力のX方向分力とY方向分力とに基づいて、基準位置から変位したワイヤの傾き角度を求めることで、前記角度からX方向のワイヤの変位距離を算出し、前記変位距離を打ち消す方向に前記トラバースローラを移動制御する構成を採用したワイヤソーの制御方法である。
請求項4の発明は、前記X方向成分の分力とY方向成分の分力から前記トラバースプーリに掛かるワイヤ張力を算出するようにした請求項3に記載の構成を採用したワイヤソーの制御方法である。
本発明によれば、トラバースローラの位置の1箇所でトラバースローラの両端に掛かるワイヤ張力の合力前記リールの軸線方向に沿ったX方向成分の分力と前記リールの軸線方向と垂直方向のY方向成分の分力として検出し、基準位置から変位したトラバースローラの位置で、前記検出手段により検出される、トラバースローラの両端に掛かるワイヤ張力の合力のX方向分力とY方向分力とに基づいて、基準位置から変位したワイヤの傾き角度を求めることができ、その検出値からリールとトラバースローラとの間におけるワイヤのリール軸線方向の変位量を算出できるので、装置のガイドローラ配置の制約も低減でき設計の自由度が増すとともにトラバースローラが揺動しないのでワイヤの捩れが低減されワイヤが安定走行する。
また、1箇所で検出を行うので、複数個所で測定する場合に比べ、それぞれの検出位置間のストロークを最小にでき、それぞれの検出位置間での変動誤差による影響を受け難いので、精度の良い検出とトラバース制御を行なうことができる。
また、トラバースローラの回転軸をリールの回転軸と直交するように配置し、リールからのワイヤの繰出し角度を分力計で検出されたX方向分力とY方向分力とから検出するようにしたので、トラバースローラを揺動させることなく前記角度の検出が行なえ、トラバースローラの偏摩耗やガタの発生を防止でき、精度の良いトラバースを行なうことができる。また、これに伴いワイヤの断線発生も低減できる。
さらに、ワイヤ走行反転時に限定することなく、連続的にリールから繰出されるワイヤ角度を検出できるので、ワークを切断する際の条件設定の自由度が増し、ワークを精度良く切断できる。また、前記ワイヤ角度を連続的に検出し、ワイヤのトラバースを連続的に行なえるので、精度の良いトラバースを高速で行なうことができる。
また、本発明によれば、トラバースローラに設けた検出手段によって張力を算出できるので、トラバースローラ以外の箇所にロードセルなどの張力測定器を設けることなく、ワイヤの張力を測定できるのでコストダウンでき、さらにワイヤソーに配置されるガイドローラのレイアウトの自由度が増す。
は、本発明のワイヤソーの全体概略図である。 は、本発明のワイヤソーに適用されたトラバース装置の一実施形態を表す平面図である。 は、図2の一部切欠き右側面図である。 は、本発明のワイヤソーに適用されたトラバース装置の説明図である。 (a)及び(b)は、本発明のワイヤソーに適用されたトラバース装置の動作説明図である。 は、本発明に適用されたトラバース装置の動作説明図である。
以下、本発明の一実施形態について図1乃至図4に基づいて説明する。
図1は、本発明のトラバース装置を適用したワイヤソーの全体概略図である。図1のようにワイヤソー1は、ワイヤ2が巻き掛けられた供給リール3と、前記供給リール3から繰出されたワイヤ2を所定の方向にトラバースするトラバース装置20と、前記ワイヤ2に所定の張力を付与するテンションローラ8a、8bと、前記テンションローラ8a、8bからワイヤ2を所定の方向に導く複数のガイドローラ7a、7bと、前記ガイドローラ7a、7bから導かれたワイヤ2が複数回巻き掛けられてワイヤ列を形成する2本の溝ローラ11a、11bと、前記溝ローラ11a、11bから導かれたワイヤ2をトラバース機構20によって所定のピッチで巻取る回収リール4と、前記2本の溝ローラ11a及び11bの間の上部に設けられるワークWを保持し、前記ワイヤ列に向けて該ワークWを押し付けるワークテーブル17とを備えて構成される。
前記供給リール3及び回収リール4は、図示しないワイヤソー1の本体枠に回動可能に軸支されている。また、前記供給リール3及び回収リール4は、それぞれ図示しない駆動モータに接続され、正逆方向に回転することでワイヤ2を一方向走行または往復走行させるようになっている。そして、前記供給リール3及び回収リール4の繰出し及び巻取りのストローク差によりワイヤ2が一方向に供給されるようになっている。前記供給リール3には、例えばダイヤモンド砥粒が電着やレジンにより芯線に固定された固定砥粒ワイヤ2が巻き付けられている。
前記供給リール3から繰出されたワイヤ2は後述するトラバース装置20によってトラバースされながらガイドローラ7aによってテンションローラ8aに導かれる。なお、供給側のテンションローラ8aと回収側のテンションローラ8bは、同様の機構であるので供給側のテンションローラ8aで代表して説明し、回収側のテンションローラ8bの説明は省略する。
前記テンションローラ8aは、テンションアーム9aの一端に軸支され正逆回転自在になっている。また、テンションアーム9aの他端側は、ワイヤソー1の図示しない本体枠に固定されたモータ10aの軸に軸止され、その先端のテンションローラ8a側が揺動するようになっている。従って、テンションローラ8aは、テンションアーム9aの揺動によって、揺動することでテンションローラ8aに巻き掛けられたワイヤ2に所定の張力を付与するようになっている。
前記溝ローラ11a、11bは、図示しないワイヤソー1の本体枠に軸支され、その一方または両方に駆動源が設けられている。従って、前記溝ローラ11a、11bは、正逆転自在になっている。また、前記溝ローラ11a、11bのそれぞれの表面には、複数の溝が所定ピッチで形成されており、前記溝に前記ワイヤ2が螺旋状に巻き掛けられてワイヤ列が形成されている。そして、前記溝ローラ11a、11bが前記駆動源により一方向回転又は正逆回転されることで、ワイヤ2が一方向又は往復走行するようになっている。
前記ワークテーブル17は、前記溝ローラ11a、11bの上部に設けられ、その下面に適宜の固定手段で脱着可能にワーク台16が固定される。前記ワーク台16には、カーボンやセラミック等で形成されたダミー部材15を介してサファイア、シリコンカーバイド、窒化ガリウムなどの脆性素材が接着固定される。
前記ワークテーブル17は、昇降モータ18により図示しない適宜のボールネジなどを介して昇降自在に構成され、ワークテーブル17に保持されたワークWを前記溝ローラ11a、11b間のワイヤ列に押し付けるようになっている。
前記ワークWは、上記のように走行するワイヤ2に押し付けられながら、加工液(固定砥粒ワイヤを使用する場合は、水等の冷却液、遊離砥粒方式の場合は、芯線ワイヤに砥粒が混練されたスラリ)をワークWの近辺に供給することで複数枚のウエハとして切断される。
次に本発明のトラバース装置20について、図2及び図3に基づいて以下に説明する。なお、トラバース装置20は、本実施形態においてはワイヤ2の供給側、回収側の両方に設けられているが、供給側、回収側のいずれか一方にのみ設けるようにしても良い。また、前記トラバース装置20は、供給側と回収側とで同様のものを設けているので、説明は、供給側について行ない、回収側の説明は省略する。
図2のように前記トラバース装置20は、供給リール3の近傍に設けられ、トラバースローラ5aと、このトラバースローラ5aの軸に設けられた検出手段としての分力計6aと、前記トラバースローラ5aを駆動する駆動部28と、前記分力計6aと駆動部28とを制御する制御部29とを備える。
図2及び図3のように前記トラバースローラ5aは、前記供給リール3の回転軸と直交する方向に立設された分力計6aの軸に軸支されており、前記トラバースローラ5aは、正逆回転自在になっている。
前記トラバースローラ5aは、前記駆動部28によって供給リール3の軸線方向に移動するようになっている。前記駆動部28は、前記ワイヤソー1の図示しない本体枠に固定されたベース枠21と、このベース枠21に沿って敷設された2本のレール25、25と、前記ベース枠21に沿って回動可能に設けられたボールネジ23と、このボールネジ23の一端に接続されたモータ22と、前記分力計6aを介してトラバースローラ5aを前記レール25、25に沿って移動可能に保持する移動枠26とを備える。
前記移動枠26は、その裏面に設けられた前記レール25、25と摺動可能に嵌合するスライダ27、27と、前記移動枠26の裏面に固定され、前記ボールネジ23と螺合するナット部材24とを備える。前記移動枠26は、前記モータ22を正逆回転駆動することで供給リール3の回転軸線に沿った往復移動が自在になっている。
次に図4及び図5に基づいて、本発明のトラバース装置20及びその制御方法について説明する。本説明においても供給側と回収側のトラバース装置20の動作は同様であるので供給側の説明を代表して行ない、回収側の説明は省略する。
図4のようにトラバースローラ5aにはワイヤ2が巻き掛けられ、このワイヤ2にテンションローラ8aで付与されたワイヤ張力Ftが掛かっている。なお、図4では、供給リール3とトラバースローラ5aとの間のワイヤ2が90°に繰出される場合を例に挙げている。従って、トラバースローラ5aに掛かる張力のX方向成分とY方向成分はそれぞれワイヤ2に掛かる張力Ftが掛かっている。そして、このX方向成分とY方向成分の合力Fcがトラバースローラ5aに設けた分力計6aに入力される。
前記分力計6aは、上記のように合力Fcが入力されると、この合力FcのX方向成分の分力FxとY方向成分の分力Fyを検出するようになっている。なお、この場合の分力Fx、Fyは、それぞれFtとなる。このように分力計6aは、一度に2成分の分力を検出することができる。検出された分力Fx、Fyはそれぞれ制御部29に送られ、後述するトラバースプーリ5aの移動制御が行われる。
次に前記分力計6aを使用して供給リール3とトラバースローラ5aとの間のワイヤ2のX方向への変位量を検出する方法について図5(a)、(b)に基づいて以下に説明する。
図5(a)は、基準位置において分力計6aに合力Fcが掛かっている状態を表している。なお、理解が容易なように供給リール3とトラバースローラ5aとの間のワイヤ2の角度が図示のように90°の場合を例に説明するが、基準位置は前記ワイヤ2の角度が90°以外の位置を基準にすることもできる。
前記分力計6aに合力Fcが掛かると合力Fcは、X方向成分とY方向成分とに分解された分力Fx1と分力Fy1として前記分力計6aに検出される。なお、この時の分力Fx1と分力Fy1は、それぞれトラバースローラ5aの接線方向に掛かる力と等しくなる。すなわち、前記分力Fx1と分力Fy1は共にワイヤ2に付与される張力Ftと等しくなる。
次にワイヤ2が供給リール3から繰出される繰出し位置(X方向位置)が変化し、前記供給リール3とトラバースローラ5aとの間のワイヤ2が角度θをなした場合について、図5(b)に基づいて説明する。
この時、トラバースローラ5aの両端に掛かるワイヤ2の張力は、テンションローラ8aで付与されている張力Ftが一定であるので、張力Ftが掛かった状態となる。そして、これらの張力Ftに基づいたトラバースローラ5aに掛かる変動合力FdのX方向分力Fx2とY方向分力Fy2が分力計6aに検出される。
この時の張力Ft、変動合力Fd、この変動合力のX方向分力Fx2、Y方向分力Fy2は、次の関係が成り立つようになっている。すなわち、図5(b)のハッチを入れた三角形部分は、下記式1が成り立つようになっている。
Fy2+(Ft−Fx2)=Ft・・・(式1)
この式1よりワイヤ張力Ftは、
Ft=(Fx2+Fy2)/2Fx2・・・(式2)
となる。
上記式2により、分力計6aで検出した検出値Fx2、Fy2から張力Ftが求まる。また、ワイヤ2の傾き角度θは、以下の式3により求めることができる。
θ=tan−1((Ft−Fx2)/Fy2)・・・(式3)
上記のワイヤ2の傾き角度θの検出は、ワイヤ2の走行中に連続的に行うことができる。なお、さらに検出精度を高めるために、ワイヤ2が往復反転する停止の際に検出し、その値でパラメータの補正を行うようにしても良い。
図6のように上記角度θを求めることで、基準合力Fcを発生する際のトラバースローラ5aとワイヤ2の基準位置(以下単に基準位置という)からリールの軸線方向に移動して変位したワイヤ2の変位距離Δxを算出できる。
なお、基準位置からワイヤ2の繰出し基準位置(巻取りの場合は巻取り基準位置)までの距離dは予め物理的な距離から求めることができる。なお、供給リール3または回収リール4での貯線量によって前記距離dは変化するが、あまり大きな影響を与えないので無視することもできる。この貯線量による前記距離dの変化は、ワイヤ2の線径、巻きピッチなどから算出し、補正するようにしても良い。
上記角度θ、距離dから変位距離Δxは以下の式4により求められる。
Δx=d×tanθ・・・(式4)
上記求められた変位距離Δxを元に戻すようにトラバース装置20に制御部29から指令が出され、トラバースローラ5aは前記基準位置に戻るようトラバースされる。これらの制御は、巻取り側のトラバース装置20においても同様に行われ、トラバースローラ5bも基準位置に戻るように制御される。以上が本発明の構成及び動作であるが、本発明は適宜発明の範囲内で変更でき、上記実施の形態には限定されない。
本発明では、固定砥粒ワイヤを用いた例を説明したが、スラリをワイヤに供給しながら切断する遊離砥粒方式のワイヤソーでも実施できる。また、分力計も、その分力計に掛かる合力を測定し、この合力を少なくとも所定の2方向に分解した分力を測定できるものであれば種類は問わない。
W ワーク
Ft ワイヤ張力
Fx X方向分力
Fy Y方向分力
Fx1 X方向分力
Fy1 Y方向分力
Fx2 X方向分力
Fy2 Y方向分力
Fc 基準合力
Fd 変動合力
1 ワイヤソー
2 ワイヤ
3 供給リール
4 回収リール
5a トラバースローラ
5b トラバースローラ
6a 分力計
6b 分力計
7a ガイドローラ
7b ガイドローラ
8a テンションローラ
8b テンションローラ
9a テンションアーム
9b テンションアーム
10a モータ
10b モータ
11a 溝ローラ
11b 溝ローラ
15 ダミー部材
16 ワーク台
17 ワークテーブル
18 モータ
20 トラバース装置
21 ベース枠
22 モータ
23 ボールネジ
24 ナット部材
25 レール
26 移動枠
27 スライダ
28 駆動部
29 制御部


Claims (4)

  1. 軸線回りにそれぞれ往復回転可能に設けられワイヤの繰出し及び巻取りを行なう一対のリールと、前記ワイヤが巻回される複数本の溝ローラと、前記リールの少なくとも一方に設けられ、前記ワイヤの繰出しまたは巻取りの際に前記リールの軸線方向に移動して所定位置に該ワイヤを案内するトラバースローラとを備えたワイヤソーにおいて、
    前記トラバースローラの位置でトラバースローラの両端に掛かるワイヤ張力の合力を前記リールの軸線方向に沿ったX方向成分の分力と前記リールの軸線方向と垂直方向のY方向成分の分力として検出する検出手段と、
    基準位置から変位したトラバースローラの位置で、前記検出手段により検出される、トラバースローラの両端に掛かるワイヤ張力の合力のX方向分力とY方向分力とに基づいて、基準位置からのワイヤの傾き角度を求め、前記角度からX方向の前記基準位置からのワイヤの変位距離を算出し、前記変位距離を打ち消す方向に前記トラバースローラを移動させる制御部とを設けたことを特徴とするワイヤソー。
  2. 前記制御部で前記X方向成分の分力とY方向成分の分力から前記トラバースプーリに掛かるワイヤ張力を算出するようにした請求項1に記載のワイヤソー。
  3. 軸線回りにそれぞれ往復回転可能に設けた一対のリールから繰出し及び巻取りされるワイヤを前記リールの軸線方向に移動して所定位置に該ワイヤをトラバースするワイヤソーの制御方法において、
    前記トラバースローラの位置に設けた検出手段トラバースローラの両端に掛かるワイヤ張力の合力を前記リールの軸線方向に沿ったX方向成分の分力と前記リールの軸線方向と垂直方向のY方向成分の分力として検出し、
    基準位置から変位したトラバースローラの位置で、前記検出手段により検出される、トラバースローラの両端に掛かるワイヤ張力の合力のX方向分力とY方向分力とに基づいて、基準位置から変位したワイヤの傾き角度を求めることで、前記角度からX方向のワイヤの変位距離を算出し、前記変位距離を打ち消す方向に前記トラバースローラを移動制御することを特徴とするワイヤソーの制御方法。
  4. 前記X方向成分の分力とY方向成分の分力から前記トラバースプーリに掛かるワイヤ張力を算出するようにした請求項3に記載のワイヤソーの制御方法。
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