JP6256051B2 - 吸引プラテン機構、液滴吐出装置 - Google Patents
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Description
記録媒体によって塞がれず開放されている吸引孔がある場合、開放されている吸引孔から空気が吸引され、記録媒体に作用する吸引圧力が低下してしまう。そのため、記録媒体がプラテン面から浮き上がり、液滴吐出ヘッドと記録媒体との間に適切なプラテンギャップを得ることができず印刷品質が低下することや、液滴吐出ヘッドに記録媒体が擦れてしまいインク汚れが発生するという問題があった。
上記特許文献1に記載された吸引プラテンは、吸引プラテンとファンを繋ぐダクトが吸引領域毎の複数の室に分割されている。吸引領域毎に分割された各室には、シートの搬送方向に接触部材と、接触部材と係合する開閉部材とが設けられている。搬送されるシートによって接触部材が押し倒されると、吸引孔を閉じていた開閉部材が支持軸を中心にして回動し吸引孔を開放する仕組みになっている。つまり、吸引孔の開閉状態を搬送されてくるシートの幅に合わせることができるというものである。
本発明の吸引プラテン機構を適用した液滴吐出装置として、ロール紙プリンターを例に挙げて説明を行う。このロール紙プリンターは、例えば、記録媒体としてのロール紙にインクジェット方式で印刷を行い、任意の長さにカットするラベルプリンターである。特に、ロール紙プリンターの内部にロール紙をセットする際に、ロール紙の吸引をロール紙の幅に適した状態にすることができる。
図1は、本実施形態のロール紙プリンター1の外観斜視図であり、図2は開閉蓋30を全開にした状態のロール紙プリンター1の外観斜視図である。
本実施形態の吸引プラテン機構20は、プラテン21と、開閉蓋30が閉じられたときにプラテン面21aに対向して配置されている係合手段23とを含んで構成されている。
まず、本実施形態のロール紙プリンター1が備える吸引プラテン機構20の概略構成について図4〜6を参照しながら説明する。図4〜6は、開閉蓋30が閉じられて係合手段23とシャッター部材22とが係合している状態の吸引プラテン機構20を示す図である。図4は、記録紙8aをプラテン面21aに吸引するための吸引プラテン機構20を示す上面図である。図5は、図4に示すF方向から見た吸引プラテン機構20の内部構造を示す正面図である。図6は図4に示すS‐S´破線断面から見た吸引プラテン機構20の側面図である。図4に示す矢印Xは記録紙8aの搬送方向を表し、矢印Yは記録紙8aの幅方向を表す。以降、記録紙8aの搬送方向をX方向、記録紙8aの幅方向をY方向と呼ぶこととする。
図4に示すように、プラテン21は、Y方向に長い扁平な直方体形状をしている。また、プラテン21の上面に設けられたプラテン面21aには、複数の吸引孔21b1〜21b32が設けられている。複数の吸引孔21b1〜21b32は、X方向に配列した複数(4個)の吸引孔を単位としてY方向に並行する複数の吸引孔列21cに区分されている。また、各吸引孔列21cのX方向における下流側には、X方向に沿って長い長方形の形状の係合孔21dが設けられている。
図5に示すように、係合手段23は、係合部材23a、係合位置固定部23b、弾性部材23cを含んで構成されている。なお、係合手段上面23eは、係合手段23を垂直上方向から見た面である。
係合部材23aは、シャッター部材22と係合するために、プラテン面21aに設けられた各係合孔21dの上方において垂直方向に昇降可能に設けられている。各係合部材23aは、係合部材23aに対してY方向に設けられた支持軸23a3に取り付けられており、支持軸23a3を中心にして回動可能となっている。また、支持軸23a3は係合手段23に設けられた溝23dに沿って、上下に移動する。溝23dの上端は係合手段23の垂直方向において開放され、溝23dの下端は、係合部材23aが係合手段23から外れないようにプラテン面21aと対面する端よりも少し高い位置で閉じられている。
さらに、図6に示すように、係合位置固定部23bの形状は、X方向上流側において面取りが施されて傾斜している。また、係合位置固定部23bはX方向において係合部材23aよりも下流の位置に、X方向に沿って下流から上流に向けて移動可能に係合手段23の内部に配置されている。さらに、係合位置固定部23bのX方向の下流側の端と、係合手段23のX方向の下流側の内壁とはバネなどの弾性部材23cによって接続されている。
また、プラテン固定部30aのY方向の両方の側面には、係合位置固定動作部30bが1つずつ設けられている。係合位置固定動作部30bは、開閉蓋30を閉じるときに、係合位置固定部23bと係合させるため、プラテン固定部30aの垂直方向上端かつ、係合位置固定部23bのX方向下流の位置に設けられている。また、係合位置固定動作部30bは、X方向に長い直方体の形状をしている。
吸引プラテン機構20における吸引孔列21cの開閉は、開閉蓋30の開閉に連動して係合部材23aと被係合部22bとを係合し、シャッター部材22をX方向に移動させて行うものである。
図7は、開閉蓋30を開けてロール紙8を供給したときの吸引プラテン機構20の状態を示す図である。
図8〜図11は、記録紙8aがある場合の吸引プラテン機構20の動作を表す図7のP−P´破線における吸引プラテン機構20の断面図であり、図8は図7に示した初期状態でのP−P´破線における吸引プラテン機構20の断面図である。図8〜図11において、プリンター本体2は二点鎖線で図示している。
図12〜図15は、記録紙8aがない場合の吸引プラテン機構20の動作を表すNP−NP´破線における吸引プラテン機構20の断面図であり、図12は図7に示した初期状態でのNP−NP´破線における吸引プラテン機構20の断面図である。図12〜図15において、プリンター本体2は破線で図示している。
図12に示すように、開閉蓋30が開放されているときは記録紙8aがある場合と同様に、シャッター部材22は弾性部材22cによってX方向の上流側に配置され、吸引孔列21cを構成する吸引孔21bと貫通孔22aの位置が合致しており、吸引孔列21cは開放されている。また、係合手段23においても、係合部材23aは、係合部材23aの自重により溝23dに沿って溝23dの下端部に移動している。また、係合位置固定部23bも弾性部材23cによってX方向の下流側に配置されており、係合部材23aの移動を阻害しない。この状態から、開閉蓋30をロール紙プリンター1側に閉めていき、係合部材23aとプラテン面21aとが接触した状態を表す図が図13である。
なお、吸引プラテン機構20の動作について、図7に示したP−P´及びNP−NP´破線の位置にある吸引孔列21cの開閉動作を例に挙げて説明したが、他のシャッター部材22についてもロール紙8の有無に応じて同様に開閉動作を行う。
本実施形態に係るロール紙プリンター1によれば、吸引プラテン機構20は、開閉蓋30が閉じられる間に、プラテン面21aの各吸引孔列21c上に記録紙8aがなければ各吸引孔列21cに対応した係合部材23aとシャッター部材22とが係合する。そして、開閉蓋30が閉じられるにつれて、係合部材23aがシャッター部材22をX方向の下流側にスライドさせ、吸引孔21bと貫通孔22aとの位置をずらし、吸引孔列21cを閉じる。そして、開閉蓋30が最後まで閉じられると、係合位置固定動作部30bと係合位置固定部23bとが係合して、係合部材23aの位置を固定する。そして、開閉蓋30が閉じられている間の吸引孔列21cを閉じた状態が維持される。
また、プラテン面21aの各吸引孔列21c上に記録紙8aがある場合、係合部材23aは開閉蓋30が閉じられるにつれてプラテン21によって上方向に持ち上げられるため、シャッター部材22と係合しない。そして、開閉蓋30が最後まで閉じられると、係合位置固定動作部30bと係合位置固定部23bとが係合して、係合位置固定部23bが移動し、係合部材23aの位置を係合部材23aと記録紙8aとが接触しない位置まで押し上げて固定する。そして、開閉蓋30が閉じられている間の吸引孔列21cの開放した状態が維持される。そのため、印字中に記録紙8aと係合部材23aとが接触しないので、記録紙8aが接触部材によって持ち上げられたり、たわませて変形させられたりすることなく吸引孔21bの開閉状態を記録紙8aの幅に合った状態にできる。
上記実施形態1では、吸引ファンの吸引力を調整せず常に一定の吸引力で吸引を行う構成で説明したが、吸引孔列21cの開閉状態に応じて、吸引ファンの吸引力を調整してもよい。このようにすれば、搬送する記録紙8aの幅に合わせて適切な吸引力で記録紙8aの吸引を行うことができる。したがって、吸引ファンの動作に必要な消費電力を最適化することができ、消費電力の小さいロール紙プリンター1を実現することができる。
Claims (8)
- 記録媒体の搬送方向に複数の吸引孔が配列された吸引孔列が、前記搬送方向と交差する幅方向に複数設けられたプラテン面を有し、前記プラテン面に前記記録媒体が載置された状態で、所定の位置に移動するプラテンと、
前記吸引孔列ごとに設けられ、前記吸引列を塞ぐことが可能な吸引孔開閉部材と、
前記吸引孔開閉部材に係合可能な係合手段と、を備え、
前記吸引孔列の上に前記プラテン面に載置された前記記録媒体がある場合、
前記プラテンが前記所定の位置に移動するとき、前記吸引孔開閉部材と前記係合手段とが係合せず、
前記プラテンが前記所定の位置に位置するとき、前記吸引孔列が塞がれず、
前記吸引孔列の上に前記プラテン面に載置された前記記録媒体がない場合、
前記プラテンが前記所定の位置に移動するとき、前記吸引孔開閉部材と前記係合手段とが係合して、前記吸引孔開閉部材が移動され、
前記プラテンが前記所定の位置に位置するとき、前記吸引孔列が前記係合手段との係合により移動された前記吸引孔開閉部材によりを塞がれることを特徴とする吸引プラテン機構。 - 前記係合手段は、前記所定の位置に位置する前記プラテンの前記プラテン面から離間する方向に移動可能に支持される係合部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の吸引プラテン機構。
- 前記係合手段は、前記係合部材と接触可能な係合位置固定部、を備え、
前記吸引孔列の上に前記プラテン面に載置された前記記録媒体がある場合、
前記プラテンが前記所定の位置に移動するとき、前記係合部材が前記プラテン面から離間する方向に移動され、
前記プラテンが前記所定の位置に位置するとき、前記係合位置固定部と前記係合部材とが接触し、前記係合部材は前記係合位置固定部により、前記係合部材と前記プラテン面との間に所定の隙間を有する位置に固定され、
前記記録媒体は前記所定の隙間を搬送されることを特徴とする請求項2に記載の吸引プラテン機構。 - 前記吸引孔開閉部材は、前記媒体の搬送方向に延在し、
前記吸引孔列の上に前記プラテン面に載置された前記記録媒体がない場合、前記プラテンが前記所定の位置に移動するときに、前記係合部材と前記吸引孔列に対応する前記吸引孔開閉部材とが係合し、前記吸引孔開閉部材が上流側から下流側にスライドされて前記吸引孔列の前記吸引孔が塞がれることを特徴とする請求項2または3に記載の吸引プラテン機構。 - 前記吸引孔開閉部材には、対応する前記吸引孔列に含まれる前記吸引孔の配置と同じ配置の貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の吸引プラテン機構。
- 前記吸引孔開閉部材が、前記プラテン面上を搬送可能な最小幅の前記記録媒体と重ならない位置に配置された前記吸引孔列に対して設けられていることを特徴とする、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の吸引プラテン機構。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の吸引プラテン機構と、
開閉される開閉蓋と、を備え、
前記開閉蓋が開けられたとき、前記プラテンが前記所定の位置と異なる位置に移動され、
前記開閉蓋が閉じられたとき、前記プラテンが前記所定の位置に移動されることを特徴とする液滴吐出装置。 - 前記記録媒体は長尺物であり、
前記開閉蓋は、前記長尺物がロール状に巻き付けられたロール体が前記液滴吐出装置に収容される際に開けられ、前記ロール体の一部が前記プラテン面上に引き出された状態で閉じられることを特徴とする請求項7に記載の液滴吐出装置。
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