JP6255406B2 - 生体由来グリコール生成物からの有機塩の除去 - Google Patents

生体由来グリコール生成物からの有機塩の除去 Download PDF

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Description

優先権の利益
本特許出願は、2012年8月29日に出願された米国仮特許出願第61/694,288号の優先権を主張するものであり、当該明細書の内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
発明の分野
本発明は、全体として、ポリオールを水素化分解することによりプロピレングリコールまたはエチレングリコールを製造するためのプロセスに関する。特に本発明は、商業的に魅力的な収率および純度でプロピレングリコールおよびエチレングリコールを得るために水素化分解物を高純度化(refine)するためのプロセスに関する。
背景
従来、プロピレングリコール(PG)およびエチレングリコール(EG)は、石油化学資源(petrochemical sources)から製造されてきた。プロピレングリコールを製造するための現行の工業的または商業的経路は、石油由来のプロピレンをプロピレンオキシドに変換し、これをクロロヒドリン法または過酸化水素法のいずれかによって水と反応させるというものである(A.E. Martin, F.H. Murphy, 4th ed. Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, vol. 17, Wiley, New York, 1994, p. 715;D.T. Trent, 4th ed. Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, vol. 20, Wiley, New York, 1996, p. 271)。エチレングリコールの商業的製造は、エチレンを酸化することにより生成したエチレンオキシドを水と反応させることを含む。プロピレンおよびエチレンは、ガソリン製造時に、例えば軽油の流動接触分解または炭化水素の水蒸気分解の副生成物として生成する工業副産物である。
世界の石油供給源は枯渇に向かっており、その速度は増すばかりである。いずれ石油化学系製品の需要が入手可能な石油の供給量を上回るであろう。これが現実となったとき、石油、したがって石油由来製品の市場価格はおそらく上昇することとなり、石油由来製品は今よりも高価になり、より望ましくないものになる。入手可能な石油の供給量が減少するにつれて、代替的な供給源、特に、これらと同等の製品が得られる再生可能資源を開発することが必要になってくるであろう。この種の同等の製品を製造するための供給原料として有望な再生可能資源の1つが、農業産物や農林産物等のバイオベースの物質である。バイオベースの製品を使用することにより、石油供給源の枯渇に付随する問題の少なくとも一部を緩和できる可能性がある。
接触水素化分解(ハイドロクラッキング)による五または六炭糖単位を持つ多糖および/または糖アルコール(一般には、グリセロール、グリコールまたはソルビトール)等の炭水化物系供給原料の変換には、炭水化物系供給原料を水素と反応させることにより、「ポリオール」または「多価アルコール」と呼ばれる化合物を生成することが含まれる。水素と反応させることにより炭水化物分子がより分子量の低い断片に分解される。
例えば、米国特許第5,206,927号には、可溶性遷移金属触媒の存在下に炭水化物のハイドロクラッキングを行うことによって、より分子量の低い多価アルコールを生成する均一プロセスが記載されている。炭水化物は可溶性遷移金属触媒および強塩基の存在下に約25℃〜約200℃の温度および約15〜約3000psiの圧力で水素と接触する。他のプロセス、例えば、米国特許第5,276,181号および米国特許第5,214,219号におけるプロセスには、硫化ルテニウム触媒に加えて銅および亜鉛触媒を使用して、2100psiを超える圧力および240〜270℃の温度でグリセロールを水素化分解することが含まれる。米国特許第5,616,817号には、高温および高圧で、金属コバルト、銅、マンガンおよびモリブデンを含む触媒を使用することによりグリセロールを接触水素化分解することによる、1,2プロパンジオール(プロピレングリコール)の調製プロセスが記載されている。独国特許第541362号には、ニッケル触媒を用いたグリセロールの水素化分解が記載されており、一方、米国特許第4,476,331号には、炭水化物(例えば、グルコース)をハイドロクラッキングする2段法が記載されており、変性ルテニウム触媒を使用してソルビトールをハイドロクラッキングすることによってグリセロール誘導体が生成する。欧州特許出願公開第0523014A号および欧州特許出願公開第0415202A号には、活性金属として金属コバルト、銅およびマンガンを含む触媒を用いてスクロース水溶液を高温高圧で接触水素化分解することによる低級多価アルコールを調製するためのプロセスが記載されている。PersoaおよびTundo(Ind. Eng. Chem. Res. 2005, 8535-8537)は、ラネーニッケルおよび液状ホスホニウム塩の存在下に低い水素圧で加熱することによりグリセロールを1,2−プロパンジオールに変換するためのプロセスを記載している。1,2−プロパンジオールへの選択性は93%と高いことが報告されたが、純粋なグリセロールを使用することおよび長い反応時間(20時間)が必要であった。Crabtreeら(Hydrocarbon processing, Feb. 2006, pp. 87-92)は、グリセロールを1,2−PDに変換するための均一触媒系となることができるホスフィン/貴金属塩触媒を記載している。しかし、これは選択性が低い(20〜30%)ことが報告された。他の報告では、ラネー銅(Montassier et al. Bull. Soc. Chim. Fr. 2 1989 148;Stud. Surf. Sci. Catal. 41 1988 165)、炭素上銅(Montassier et al. J. Appl. Catal. A 121 1995 231))、銅−白金および銅−ルテニウム(Montassier et al. J. Mol.. Catal. 70 1991 65)を使用することが示唆されている。タングステンおよび第VIII属金属を含有する触媒組成物等の他の均一触媒系も検討されている(米国特許第4,642,394号)。Miyazawaら(J. Catal. 240 2006 213-221)およびKusunokiら(Catal. Comm. 6 2005 645-649)は、グリセロールを水溶液中で変換するためのRu/Cおよびイオン交換樹脂について記載している。しかし、この場合もやはりグリセロールの転化率は低い(0.9〜12.9%)。さらなる他のプロセスが、例えば、米国特許第7,928,148号、米国特許第6,479,713号、米国特許第6,291,725号または米国特許第5,354,914号に記載されており、それぞれの内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
高級炭水化物の複合混合物を水素化分解する一部のプロセスは、アルカリ性条件下で反応物を反応させることを含む。一部のプロセスによれば、結果として得られる、プロピレングリコールおよびエチレングリコールを含むポリオール生成物混合物のpH値は、反応が完了した後にHSOやHCl等の強酸で中性化される。生憎、こうすることが、その後に行われる精製において問題を引き起こす一因となり得る。強酸(例えば、pH≦1.5または2.0)を導入することにより、混合物中の有機酸の塩がプロトン化される。
生体由来供給原料の水素化分解により生成するポリオールは、出発物質よりも平均分子量が低い数種類のポリオールの混合物を含む場合が多い。糖やグリセロール等のポリオールを水素化分解すなわちハイドロクラッキングによりプロピレングリコールやエチレングリコール等の多価アルコールに変換する場合に認識されている問題の1つは、これらのアルコールが生成するだけでなく、数種の他のジオール化合物も生成し、これが所望の成分の純度を低下させることにある。これらの望ましくない生成物は、例えば、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールおよび2,4−ペンタンジオールを含み、プロピレングリコールおよびエチレングリコールと一緒に回収される。ポリオール生成物混合物(誘導体)のこの種の不純物は、製品の販売時および使用時に問題となる。
これらのジオールは沸点が似ているため、蒸留によってプロピレングリコールから分離することが非常に難しい。したがって、実質的に純粋なプロピレングリコールまたはエチレングリコールをこれらの他の多価アルコールから通常の精留によって分離することは困難である。様々な異性体(例えば、2,3BDO;1,3PDO)を有する、例えば、ブタンジオール(BDO)、ペンタンジオール(PDO)は、現行の蒸留プロセスを用いてプロピレングリコールから分離することが最も難しい。それは、これらの沸点がプロピレングリコールの沸点(すなわち185℃〜189℃)と非常に近接しているためである。これらの多くの成分の沸点を表Aに示す。
Figure 0006255406
プロピレングリコールとの揮発性の差は、2,3−ブタンジオールまたは1,2ブタンジオールと比較すると非常に小さい。相対揮発度が非常に小さいので、高純度のポリオールを生成するためには多くの理論段数が必要になる。表BおよびCに示すように、純度99%を達成するために必要な段数は非常に多く、非常に高い蒸留塔(2,3−ブタンジオールの場合は棚段数55、1,2−ブタンジオールの場合は棚段数88)の使用および高いエネルギー導入量が必要である。
Figure 0006255406
Figure 0006255406
水素化分解反応混合物を分離および精製するための幾つかの手法が、例えば、本出願の譲受人に譲渡された、Kalagiasらに付与された米国特許第8,143,458号およびHilalyらに付与された米国特許出願公開第2009/0120878A1号において検討されている。米国特許第8,143,458号には、エチレングリコールまたはプロピレングリコールを、エチレングリコールまたはプロピレングリコールおよび他のポリオールを含む混合物から分離するための、極性化合物を使用して、極性溶媒を添加して、抽出蒸留を行うプロセスが記載されている。米国特許出願公開第2009/0120878A1号には、商用グレードの精製されたバイオベースのプロピレングリコールを得るための手段として擬似移動床式クロマトグラフィーを用いて、多価アルコールの混合物からブタンジオール化合物、特に1,2−ブタンジオールおよび2,3−ブタンジオールを分離する方法が記載されている。上述の特許の記載内容をそれぞれ本明細書の内容の一部を構成するものとしてここに援用する。
先行技術には、水素化分解生成物混合物からプロピレングリコールまたはエチレングリコールを高純度化および精製することの難しさが記載されている。一方、他の望ましくない多価アルコールの不純物を除去するためにポリオール生成物混合物全体を蒸留に付すと、アルデヒド、ケトン、エステルおよびエポキシドを生成する他の反応が起こるという事実があるため、難題が複雑化する。これらの化合物を含み得るポリオール生成物は、生成するプロピレングリコールの純度および品質という点で商業的に許容されない。例えば、留去を行う際に、プロピレンオキシドやグリシドール等のエポキシドが生成する可能性がある。特にこれらの2種類のエポキシドは、プロピレングリコールに関し確立されている特定の使用および商業的に重要な用途において問題となる。その理由として、少なくとも、これらの物質が“The Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986”(Proposition 65の方が一般に知られている)のリストに記載されており、カリフォルニア州で発ガン性物質として知られていることが挙げられる。したがって、石油系または石油由来のプロピレングリコールの当面の代替品となるバイオベースのプロピレングリコールが得られるかどうかは、少なくとも、特定の市場および最終用途に関しては、この問題に十分に対処する、ポリエチレングリコールおよび/またはエチレングリコールを他の多価アルコールから分離する経済的なプロセスが開発できるかどうかに掛かっているであろう。
国際出願第PCT/US2012/026728号には(当該明細書の内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)、さらなる問題を解決するために幾つかの方法が提案されている。例えば、当該特許出願には、バイオベースのプロピレングリコール、バイオベースのエチレングリコールまたはこれらの組合せを含み、プロピレンオキシドおよびグリシドールの一方または両方をさらに含む生成物混合物を蒸留するためのプロセスが記載されており、この蒸留は、実質的にプロピレンオキシドもグリシドールも含まない、蒸留されたバイオベースグリコール生成物流れが生成するように行われる。つまり、商業的に許容される所望のバイオベースグリコール生成物を得るための粗反応生成物の高純度化プロセスに、エポキシドの除去が統合されている。
本発明の一部は、ポリオールを水素化分解することによるプロピレングリコールやエチレングリコール等の生体由来のグリコール生成物の製造において夾雑物を低減するための方法に関する。この方法は:再生可能または生体由来のポリオール供給原料を提供することと;上記供給原料を反応器内で反応させることによりプロピレングリコールおよびエチレングリコールの一方または両方を高級ポリオールと一緒に含む水性生成物混合物を生成することと;所望の生成物を含む溶出画分から不純物を分離して不純物を低減するために、上記反応生成物混合物をイオン排除クロマトグラフィーに付すことと;グリコール(例えば、プロピレングリコールおよび/またはエチレングリコール)を得るために、この溶出画分を蒸留することと、を含む。反応生成物をイオン排除クロマトグラフィーに付すことに加えて、さらにイオン交換に付すこともできる。
他の態様においては、本発明は、プロピレングリコールおよび/またはエチレングリコールの製造方法に関する。この方法は、生体由来の三、五および六炭糖および/または糖アルコールである供給原料を提供することと;この供給原料を水素化分解により変換することによって、ポリオール(例えば、プロピレングリコールおよび/またはエチレングリコール)および不純物を含む反応生成物混合物を得ることと;プロピレングリコールおよび/またはエチレングリコールを含む溶出画分から不純物を低減するために、反応生成物混合物を抜き取ってイオン排除クロマトグラフィー機構に導入することと;この溶出画分を、アルコールを除去する第1塔、水分を除去する第2塔、未反応成分または沸点がエチレングリコールの沸点を超える有機成分を除去する第3塔、エチレングリコールを除去する第4塔、ならびにエポキシド、エステル、C〜Cおよびより高級なジオール、残留水、およびプロピレングリコールを除去する第5塔を有する蒸留機構を介して蒸留することと、を含む。
本発明者らは、これらの態様に関連して、生体由来のプロピレングリコールおよび/またはエチレングリコール生成物を回収するために生成物混合物を蒸留する前に、ポリオール水素化分解生成物の混合物から予め有機酸および塩を除去しておくことにより、ポリオール水素化分解により生成する生体由来グリコール生成物の下流における蒸留および精製において問題を起こしやすい副生成物、不純物および他の成分の大部分が除去されることを見出した。
本精製プロセスのさらなる特徴および利点を以下の詳細な説明において開示する。上述した概要ならびに後述する詳細な説明および実施例はいずれも単に本発明の代表的なものであって、特許請求される本発明を理解するための概説を提供することを意図するものである。
国際出願第PCT/US2012/026728号、米国特許出願公開第61/452,311号に従う、バイオベースの反応物から製造されたプロピレングリコールを精製するための、水素化分解後に行われるプロセスの一実施形態の略図であり、図2に示す本発明のプロセスとの比較を目的とするものである。 本発明の手順(iteration)に従う分離プロセスの略図であり、水素化分解反応器からの反応混合物を、図1に示すプロセスのように強酸で中和するのではなく、グリコール精製プロセスの一部として、この混合物を蒸留する前に予め有機酸および塩を除去しておくことを目的として、イオン排除クロマトグラフィーのみまたはイオン排除およびイオン交換の組合せのいずれかに付すものである。 本発明の実施形態に従い実施される、プロピレングリコール含有混合物のイオン排除クロマトグラフィー分離を例示するパルス試験を示すものである。 図4Aは、本発明の実施形態による他のパルス試験を示すものである。 図4Bは、本発明の実施形態による他のパルス試験を示すものである。 本発明に適応させることができる連続擬似移動床(SMB)クロマトグラフィー装置の略図である。
第1項−用語の定義
本発明を詳細に説明する前に、当業者に一般に理解されている意味を有する特定の語について、本発明の様々な実施形態に適用できる意味との差違をより明確に区別するために、ここで改めて定義する。ここに与える定義は、その定義と矛盾しない限り、当該技術分野において理解されている通常の意味を包含し(但しこれらに限定されない)、通常の意味と矛盾する場合は、ここに与える定義が優先されるものと理解される。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する単数形「1の(a)、(an)」および「その(the)」は、特に明記しない限り、複数の対象物も包含する。
「生体由来の(bio-derived)」、「生体由来の(biologically-derived)」または「再生可能資源に由来する(renewably-sourced)」という語は互換的に使用することができ、炭素成分が、生物学的産物(biological product)または再生可能材料(植物、動物および海産物が挙げられるが、これらに限定されるものではない)を起源とするかまたはベースとする材料または製造物を指す。
「溶出液」という語は、収着剤による分離を達成するためにクロマトグラフィー床材上を通過させる流体の移動相を指す。
「溶出液反応体」という語は、化学反応における反応体としても、化学種を吸着/脱着分離またはクロマトグラフィー分離するための溶出液としても作用する化学種を含む移動相を指す。溶出液反応体が、溶出液の役割を果たすと同時に、生成物に化学的に変換される場合は、生成物も溶出液となることになる。
「ラフィネート」という語は、分離手続きの結果として生じた流出液または液体画分を指す一般用語であり、所望の生成物を含まない。
収着剤によるクロマトグラフィー分離プロセスの使用に関する「連続運転」または「連続分離」という語は、このプロセスが、反応体および/または溶出液を途切れることなく装入し、生成物および/またはラフィネートも途切れることなく抜き取り、選択に応じて、床調製材料も途切れることなく流すことを、期間を限定せずに行うプロセスであることを意味する。この点に関しては、吸着/脱着分離もクロマトグラフィー分離も連続的に運転することができるが、その違いは、吸着/脱着分離においては、クロマトグラフィー床を、溶出条件を不連続に変化させて処理することができるように、クロマトグラフィー床に、一連の流れを切断する何らかの区域が存在することにある。
第2項−説明
生体由来のプロピレングリコールを製造する技法に関し問題となる事項の1つに、下流の精製の難しさがあった。図1は、バイオベースの反応物から水素化分解により製造されたグリコール生成物の、従来の後処理に含まれるステップの模式図である(例えば、米国特許第6,291,725号に記載されている、高温および高い水素圧下で高分子量ポリオールを水素化分解反応させることにより低分子量ポリオールを調製するためのプロセスまたは上に引用した他の任意のプロセスを用いることができる)。グリセロールおよび強塩基を水素の存在下に反応させる。結果として得られる反応生成物の混合物(A)のpH値を強酸で中和(1)し、混合物を蒸留(2)する。今度は、蒸留を何度も行うことにより、アルコール(3)、水(4)、グリセロール(5)および最終ポリオール(すなわちプロピレングリコール、エチレングリコール)(6)を含む各留出画分ならびにジオール生成物(7)を分離する。ポリオール生成物混合物(6)を、PG回収塔(8)でさらにその構成成分であるプロピレングリコールおよびエチレングリコールに分離する。従来の精製プロセスは、引火点を降下させる不純物を生成させやすい。そのため、蒸留分離がより複雑になる。同様に、各分離の後に行われる従来のプロセスにおいては、典型的には、留出物は濾過されるかまたはさらに精製され、これらのさらなる高純度化ステップを経ることで、同時生成物(co-product)と一緒に、無視できない量の所望のPG生成物も失われる可能性がある。各所望の生成物流れからエポキシド(9)を除去するための分離ステップは、コストが追加されることを意味している。
さらに、従来のPG蒸留プロセスにおいては、蒸留中に経験する条件下において存在する残留有機酸化合物により、エポキシドの生成が起こる。これらの化合物に対処する1つの方法は、触媒を用いてこれらを無害な化合物に変換することである(すなわち、グリシドールはグリセロールに変換され、プロピレンオキシドはプロピレングリコールに変換される)。エポキシドの除去(9)に使用される、図1に示すような触媒グレードの強酸性イオン交換樹脂は、約1ヶ月間という短期間で劣化する傾向にあることが認められている。このようなイオン交換樹脂を交換または再生する必要があるため、生産プロセスに不稼働時間が発生する場合が多く、コストが追加される可能性がある。
本発明者らは、本発明に従い、ポリオール(グリセロール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、イジトール等)の水素化分解により生成する有機酸および塩を効果的に低減または除去することができるプロセスについて説明する。これらの有機酸および塩は、不純物および副生成物が生成する反応を促進する可能性がある。本分離プロセスの特徴は、反応生成物混合物のpHが中性化されていないことにある。混合物がアルカリ性すなわち高いpH値を維持している方が、反応生成物を中和する酸の使用に伴う費用が節減される上に、所望の生成物からエポキシドを除去するための対策を行う必要性が低減される(または完全に回避される)。(従来のプロセスにおいては、ポリオール生成物混合物中に存在する有機酸および塩が、蒸留中に、エポキシドおよび他の化合物を生成させる触媒作用を促進する)。本発明のプロセスは、プロピレングリコール製造流れから様々な不純物および副生成物を連続分離するために採用することができる。特定の有機酸および塩をプロセスの早い段階で除去することにより、より不純物が少ない装入物または被蒸留物が得られ、望ましくない副生成物を生成する反応の多くが回避されるので、全体の蒸留時間を短縮することができ、より純度の高い留出物をより高い全収率で生成することができる。
様々な実施形態において、本発明は、Proposition 65の要件に適合し、好ましくは、実質的にプロピレンオキシドもグリシドールも含まないバイオベースのグリコール生成物の需要に応えるものである。1つの手法においては、本発明は、第1の態様に従い、プロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレンオキシド、グリシドールならびに他のモノオールおよびジオールを含む混合物(糖もしくは糖アルコールまたはグリセロールを上述した種類の方法に従い水素化分解反応させることにより得られる混合物等)を蒸留するためのプロセスを提供することにより、この難題に対処する。
本プロセスは、生成物混合物を反応器から取り出すことと、結果として得られる混合物から、イオン排除クロマトグラフィーを単独で用いるかまたはイオン排除をイオン交換と併用するかのいずれかによって、有機酸および塩を低減または除去した後に、生成物混合物を蒸留に導入することと、を含む。この特徴は、有機酸、エポキシド、ジオール等の様々な同時生成物の生成を最小限に抑える一助となり、この種の同時生成物の下流における分離および精製が簡素化される。特に、本プロセスは、再生可能または生体由来の供給原料を反応器内で反応させることにより、プロピレングリコール、エチレングリコールまたはその両方を含む生成物混合物を生成することと、この生成物混合物を酸で中和することなく取り出すことと、この生成物混合物をイオン排除樹脂と接触させることにより有機酸および塩を生成物混合物から除去して、プロピレングリコール、エチレングリコールまたはその両方を含むが、有機酸および塩の含有量が低減された、蒸留供給物を生成することと、を含む。次いで、この生成物混合物をイオン交換樹脂に接触させることもできる。
I.
酸の中和ステップをイオン排除クロマトグラフィーに置き換えることにより、下流の蒸留において塩および有機酸を実質的に低減するかまたは完全に除去することができる。好ましくは、このようにして、全てのまたは実質的に全ての塩、例えば、少なくとも約85パーセント、より好ましくは少なくとも約90パーセント、最も好ましくは約96パーセントを超える塩が除去される。塩および有機酸が蒸留前に除去されない図1に概略を示す従来のプロセスにおいては、蒸留プロセスの性質により、平衡が遊離酸方向に移動する。酸成分は沸騰して留出物中に移行する傾向にあり、アルカリ性が高くなった缶出液が残る。留出物が酸性になり、缶出液が塩基性になる問題を最小限に抑えることにより、同時生成物の純度および収率を大幅に改善することができる。酸は脱水を経てアルデヒドを生成し、一方、塩基性のpH条件は重合を引き起こす。さらに、塩は、水性反応生成物の蒸留および高純度化においてプロピレンオキシドやグリシドール等のエポキシドを生成させる一因となることが分かっている。したがって、本発明者らは、蒸留混合物中の有機酸および塩の含有量を制御することにより幾つもの利点が得られることを見出した。
酸による中和を必要とすることなく、蒸留に付す前に酸または塩を実質的に排除することにより、配管もしくは槽の腐食または従来の炭素鋼もしくはステンレス鋼製貯蔵槽からの鉄、モリブデン、ニッケル等の浸出または蒸留設備塔頂部の機構(overhead work)の有機酸に起因する腐食を回避することができる。
中和ステップを省略することは、反応生成物混合物のpH制御が重要でないことを意味するものではないが、上に説明したように、このようなpH制御を行う方法(有機酸および塩の除去を、酸性化による中和ではなくイオン排除を介して行うことによる)が、生成物の収率および純度に大きく影響する。反応混合物の酸性度が過度である場合は、アルデヒドやケトン等の着色および臭気化合物(例えば、臭気物質であるプロピオンアルデヒドおよびアセトン)または高分子量ポリマーの形成を招く可能性がある。これらのカルボニル化合物は縮合することによって有色ポリマーを生成する可能性がある。被蒸留物中のカルボン酸の量を低減することにより、有色化合物を形成するカルボキシル化合物の生成が低減されるであろう。本プロセスを用いることにより、留出物中で臭気物質が生成する酸触媒脱水が起こる機会を減らすことができる。後述する添付の実施例において、異なる手法を用いてpH制御を行った場合、生成物の純度および高純度化プロセスの利点に関し明白な差があることが認められる。
本プロセスの他の利点は、被蒸留物から塩を除去することにより、グリセロール塔を、クロマトグラフィー処理を施していない供給原料を使用していた以前と比較して、より低い温度およびより高いグリセロール回収率でより効率的に機能させることが可能になることにある。従来のプロセスのように酸性化学種を留出物中に追い出さなければ、蒸留塔缶出液のpHがより中性に近くなるので、塩基を触媒とする重合が促進されにくくなるであろう。したがって、塩およびグリセリド重合体(例えば、ジ−またはトリグリセロール)の粘度を低下させるために、一層高い温度で蒸留塔を加熱する必要性を回避することができる。グリセロール塔の塔底生成物の粘度が低減されることが認められている。
多くの場合、水素化分解反応器の効率は100%ではなく、グリセロールの全量が完全に反応するわけではないので、未反応の供給原料がある程度の量で残留する。塩を排除することにより、グリセロール除去塔(GRC)の缶出液(これを直接反応に戻して再使用することができる)として抜き取られるグリセロール中の不純物が比較的少なくなる。この特徴により、出発物質の再使用および出発物質に付随する費用の節減が可能になる。
本イオン排除クロマトグラフィープロセスを用いることにより、留出物中に含まれる同時生成物に関する品質も改善される。酸による中和を行うことなくイオン排除クロマトグラフィーを行うことにより、同時生成物である化合物を約98%まで除去することができ、より不純物の少ない(すなわち、副生成物含有量がより少ない)被蒸留物が得られる。さらに、この被蒸留物をその後に続く蒸留流れにおいてさらに精製する場合、従来法よりも少ないエネルギー消費量かつ短い時間で簡素かつ経済的なプロセスを行うことによって蒸留が短縮されるので、結果として得られるプロピレングリコール生成物は、より高い純度を達成することができる。
他の利点としては、例えば、水除去塔(WRC)充填において、塩が関与する充填剤のファウリングが低減されること;グリセロール除去塔(GRC)の塔底またはポンプのファウリング/圧力降下が低減されること;または脱水生成物(例えばアセトン)からエポキシドまたは他の不純物(これらは揮発性物質の引火点を低下させる傾向にある)が生成する機会が低減されることを挙げることができる。
II.
図2は、本発明のプロセスの実施形態の略図を図1と比較して示したものである。本プロセスは、反応生成物混合物(A)中に存在する夾雑物、特に塩を除去または低減するために予備的な分離を行うものである。従来のプロセスとは異なり、プロピレングリコールを含む反応混合物のpH値は、最初はアルカリ性の水準に維持され、酸による中和は行わない。pHの中性化を回避することにより、反応混合物中に存在する有機酸および塩のイオンが最小量になる。この反応混合物を、イオン排除クロマトグラフィーのみまたはイオン交換との組合せのいずれかに付すことにより、有機酸および塩を混合物から除去する(a)。イオン排除ステップの後にイオン交換を行うことができる。こうすることにより、蒸留前の被蒸留物の純度が高くなり、それに続く蒸留プロセスを簡素化することができる。換言すれば、これらのステップは、副生成物の排除または減量、夾雑物の排除または減量およびそれに続く蒸留流れにおいて発生し得る他の処理に関する問題の排除または低減の一助となることができる。また、まず最初に処理前の反応生成物混合物(A)から望ましくない有機酸および塩(B)の多くを分離することにより、酸による滴定を必要とすることなくpHが塩基性から中性へと低下する。このことが、その後に続く蒸留(b)におけるpH制御の一助にもなり、さらに、プロピレングリコールまたはエチレングリコール生成物の純度を低下させるであろう同時生成物の生成および副次的作用が最小限に抑えられる。さらに、この新規なプロセスにより、蒸留におけるジオールおよび他の副生成物の生成ならびに最終PG生成物に含まれる他の不純物が低減される。一部のジオール異性体は気化温度がプロピレングリコールと非常に近接しているので、これらの2種類の化学種を蒸留で分離するのは非常に困難である。
反応器から抜き取った生成物混合物が約8.0〜約12.0のアルカリ性のpH値を有していても、生成物混合物は、前もって酸による中和を行うことなく擬似移動床式イオン排除クロマトグラフィー機構に導入することができる。クロマトグラフィー機構から得られた溶出画分は直接蒸留系(b)に導入することができる。蒸留系(b)は、アルコールを除去する第1塔(c)、水を除去する第2塔(d)、未反応成分またはエチレングリコールよりも沸点が高い有機成分を除去する第3塔(f)、エチレングリコールを除去する第4塔(f)、ならびにエポキシド、エステル、C、Cおよびそれよりも高級なジオール、残留水、およびプロピレングリコールを除去する第5塔(g)を含む。第3蒸留塔(e)から得られた缶出液の含有物(例えば、グリセロール)は反応器に戻して再使用することができ、したがって、別の面でも費用および材料の節減および廃棄物の低減が実現される。プロピレングリコールおよびエチレングリコール化学種は、さらに他の塔(h)で分離することができる。
イオン排除クロマトグラフィーは、ゲル型強酸性陽イオン(SAC)樹脂(ナトリウム型)、ゲル型強塩基性陰イオン(SBA)樹脂またはマクロポーラス型樹脂から選択される樹脂を使用することができる。
プロピレングリコールおよび/またはエチレングリコールを含む溶出画分の不純物を低減するために、反応生成物混合物を連続イオン排除クロマトグラフィー機構に導入することができる。この不純物は、有機酸、塩、ジオールおよび未反応の供給原料を含む傾向にある。アルコールを除去する第1塔、水を除去する第2塔、未反応成分またはエチレングリコールよりも沸点が高い有機成分を除去する第3塔、エチレングリコールを除去する第4塔、ならびにエポキシド、エステル、C〜Cおよびそれよりも高級なジオール、残留水、およびプロピレングリコールを除去する第5塔を有する蒸留機構で溶出画分を蒸留する。蒸留は、従来のプロセスおよび温度条件に従うかまたは米国特許出願公開第2008/0274019号(当該明細書の内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)に従うかのいずれかにより実施することができる。
本発明によれば、最後の3つの蒸留においては、不純物は各塔の塔頂部から外に運ばれるように設計されており、所望の主要生成物は缶出液となるように設計されている。例えば、変色の原因となる物質は、より軽質な分子となって留去される傾向があり、一方、より重質なPGは残留する。
効率100%の蒸留器は存在しないので、従来より、蒸留プロセス全体を通して少量のPGが塔頂生成物として失われる。精製プロセスの各ステップで損失するPGの量は、塩および酸を低減することにより最小限に抑えられるので、本プロセスにおいては、各蒸留ステップのPG回収率が向上するはずである。したがって、本発明のプロセスは、プロピレングリコールの全体の収率を向上させることができる。
III.
イオン排除クロマトグラフィー(IEC)およびイオン交換(IX)は、どちらも液体混合物中の非イオン性化学種からイオン性化学種を除去する機能が非常に優れている。しかしながら、これらは同じものではなく、それぞれに特定の利点および制限がある。本プロセスにおいては、本発明者らは、IECを塩および有機酸を除去する主要な技法と想定しており、一方、IXを副次的な技法として想定しており、それぞれ互いに補い合うことができる。幾つかの実施形態においては、この2種の技法は生成物の所望の品質に応じて連続して使用することができる。
第3項D部の実施例では、塩含有量の高い反応生成物を供給原料として多量に処理する場合に費用をかなり節約できることを示している。実施例の結果は、供給原料である反応生成物から負荷された塩を処理および除去するより経済的な方法を示唆している。実施例3に示すように、イオン交換に用いるための樹脂の充填量は、SACおよびWBA樹脂の両方を使用した場合、高い塩負荷量においてはIECの約122倍となった。このようにイオン交換においては必要とされる樹脂がはるかに多くなり、それに伴い樹脂の再生に多量の薬剤が必要となるため、塩濃度がより高い場合はイオン交換技法にかかる費用が格段に高くなってしまう。一方、IECは、塩の負荷量が高くても除去効率がより高くかつ費用対効果がより高い。したがって、本発明によれば、反応生成物である供給物をまず最初にIECを用いて処理し、次いで、より純度品質の高い製品が所望される場合は、任意的にイオン交換で処理することが望ましい。
予期せぬことに、イオン排除クロマトグラフィー単独の分離またはイオン交換を併用した分離によって、より炭素鎖の長い(例えば、C4〜C6)一部のジオールを反応混合物から減らすことができる。それは、イオン排除およびイオン交換技法が通常はイオン性化合物を標的としており、これらの技法がイオン性化合物の除去に非常に良好に機能するためである。一方、ジオールは基本的に変化を受けない化学種である。イオン交換樹脂は一部の有機物質を除去することができるが、これは、本プロセスにおいて起こっていると思われるような単純な遅延によるクロマトグラフィーではなく、通常は吸着によるものであり、何らかの種類の溶媒または薬剤が再生に必要となる。
イオン排除クロマトグラフィー(IEC)
有機酸塩の分離および除去は、この目的に適した当業者に周知の樹脂、例えば、商品名DOWEX 99/320、DOWEX 99/290、DOWEX N406、N306およびN606、AMBERLITE CR1310、CR1320、C20NおよびIR 120、AMBERJET 1000Na、1300Naおよび1500 NaとしてThe Dow Chemical Companyより入手可能なもの、商品名UBK550、UBK510LおよびUBK530として三菱化学株式会社より入手可能なもの、商品名C100、PCR145、PCR450、PCR642、PCR732およびPCR833としてThe Purolite Companyより入手可能なもの、または他の多くの製造業者から入手可能なものなどの、様々なナトリウム型またはカルシウム型の、強陽イオン交換スチレン/ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体樹脂を用いたイオン排除クロマトグラフィーにより達成することができる。基本的に連続的に塩を除去するためには、下に例示する擬似移動床式クロマトグラフィー法が有用であることが見出された。イオン排除は、反応生成物混合物から陽イオンおよび陰イオンの大部分を除去することができる。イオン交換樹脂とは異なり、イオン排除樹脂は、供給物が、樹脂を適切なイオン型に維持するのに十分な陽イオン(すなわち、ナトリウム)を含むので、再生が不要である。
イオン排除クロマトグラフィーは、試料(すなわち供給物)中に存在するものと同一の移動イオン(陽イオンまたは陰イオン)で飽和させた吸着剤を含み、したがって、試料中の類似のイオンを排斥する。イオン排除クロマトグラフィーは、帯電した固体分離媒体として作用するイオン交換樹脂床を使用することに基づいている。被処理流体のイオン性成分は、非イオン性化合物よりもこの媒体との電気的親和性の差が大きいので、この異なる親和性に応じて樹脂に異なる状態で保持される。したがって、溶出を行うことにより、これらの成分を樹脂床の出口で別々に回収することができる。IEC技法の特徴は、イオン交換樹脂の解離した官能基の電荷の符号が、被分析イオン性化合物の電荷の符号と同一であることにある。その結果として、負に帯電したイオン、例えば、解離した酸性化合物の試料が、陰イオン性官能基を有する陽イオン交換樹脂上で分離される。IECおよびイオン交換クロマトグラフィーには同じカラムを使用することができる。IECの特定の要件には、イオン交換容量が大きい方が好ましい(概要は、Bronislaw K. Glod, “Ion Exclusion Chrimatography: Parameters Influencing Retention,” Neurochemical Research, Vol. 22, No. 10, 1997, pp.1237-1248を参照されたい。その内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)。
本発明の特徴として、イオン排除クロマトグラフィーは、イオン性化合物および非イオン性化合物を分離するために、移動イオンと同じ電荷を持つ固定イオンを存在させることにより(すなわちドナン排除)、イオン交換樹脂内の移動イオンを低減することを用いている。この例においては、本プロセスは、反応器で生成したプロピレングリコールから、水酸化ナトリウム(NaOH)、乳酸ナトリウムおよび他のナトリウム塩に分類されるものを分離するために、ナトリウム(Na)型の強酸性陽イオン(SAC)樹脂を使用している。ドナン排除を利用することにより、Na型の樹脂は、ナトリウム化合物が個々の樹脂ビーズ内へと移行して内部を移動することを阻止し、ナトリウム化合物はビーズの周囲を周回し、個々の樹脂ビーズ内部を自由に移動する非イオン性物質よりも速やかにカラム内を移動する。
イオン排除クロマトグラフィーには、分離すべき塩の構成に応じてSACまたは強塩基性陰イオン(SBA)樹脂のいずれかを用いることができる。塩が、例えば、主としてナトリウムであり、対イオンが異なる陰イオンの混合物である場合は、SAC樹脂によるイオン排除が好ましい。塩が、例えば、主として硫酸塩であり、例えば対イオンが異なる陽イオンの混合物である場合は、硫酸型のSBAによるイオン排除が望ましい可能性がある。
カラム容量を増大させるためには、寸法および担体の官能基濃度を最大にし、強イオン交換(陰イオンまたは陽イオン交換体)樹脂を使用する。しかしながら、真のイオン交換反応は関与しない。通常の担体は、マイクロポーラス型(ゲル型)のスチレンおよびジビニルベンゼン共重合体をベースとしており、典型的にはマイクロポーラス型である、全体としてスルホン化された高い交換容量を有する陽イオン交換樹脂のIECカラムとなる。この樹脂は、水中に乳化されたスチレンおよびジビニルベンゼンの混合物を接触重合させることにより調製される。この反応により、反応混合物中のジビニルベンゼン含有率により特徴づけられる、架橋樹脂の球状ビーズが生成する。
イオン排除クロマトグラフィーは、他のクロマトグラフィー技法と同様、溶質を保持する主要な機構に応じて分類される。さらに、イオン排除においては、樹脂網目上での疎水性吸着(逆相クロマトグラフィーと同様)、サイズ排除、被分析試料の官能基スクリーニング作用(functional group screening)、順相保持ならびに試料化合物と担体とのファンデルワールス相互作用および極性相互作用も起こり得る。IECの主要な利点は、非常に複雑な組成を有する試料を処理できる能力にある。たとえカラシやワインを試料として注入しても、当該カラムは、これらの試料に含まれる有機酸を分離する長期的な有効性に影響を受けないことが見出された。
イオン排除クロマトグラフィーは、塩負荷量が高い(>2000ppm)材料を供給物として処理する場合に、従来の固定床イオン交換樹脂系を使用するよりも経済的に有利であることが判明している。本高純度化プロセスの利点は、IECは再生のための化学物質が不要であり、かつ運転がより単純なので、IECが、問題を起こす可能性のある再生剤の廃棄物を多量に発生しないことにある。さらに、この技術は高濃度の塩(>75,000ppm、7.5%)を経済的に処理することができる。一方、イオン交換による精製は、より高い塩濃度、例えば、約1500〜2000ppmを超えると不経済になる傾向がある。
B.イオン交換(IX)
イオン交換とは、樹脂の固相がそれに付随するイオン形態にあり、その周囲の溶液と、樹脂固相上のイオンが溶液中のイオンと置き換わるように相互作用する技法を指す。本発明の幾つかの手順においてイオン排除クロマトグラフィーと組み合わせて用いることができるのが、このイオン交換技法を補助的に用いるものである。
イオン交換樹脂が完全に消費されて破過が起こると(すなわち、流出液の塩濃度(電気伝導率により監視)が所望の水準を超えた場合)、樹脂を化学的に再生することが必要になる。この再生ステップには、1回の使用サイクルで除去されたイオン負荷量をわずかに上回る(約10%)化学的処理(強酸性陽イオン(SAC)樹脂には酸、弱塩基性陰イオン(WBA)樹脂には苛性ソーダ(caustic))が必要である。
一部のイオン交換樹脂床は、エポキシドおよび有機酸を副生成物流れから除去するのに有効であるが、これらの樹脂床は上流の配管および設備を腐食から保護しないし、蒸留缶液中に残留している高濃度の塩に起因するグリコールの重合を防ぐこともできない。したがって、IXをIECと併用することによって、PG製造プロセスにおける全不純物の早い段階での除去が大幅に改善されるであろう。
IECをイオン交換技法で補うことの利点としては、イオン交換が塩濃度(1500〜2000ppmから開始)を1桁のppm水準まで経済的に低減する能力が挙げられ、これはIECには不可能である。イオン交換処理では、たとえ液体流れが希釈されるとしてもわずかであり、一方、IECは溶出のための多量の水を必要とし、これは水の注入量を増加させ、生成物を希釈することになる。
本明細書において用いられるイオン交換クロマトグラフィーおよびイオン交換(IX)は同一のものではない。イオン交換クロマトグラフィーは、イオン交換を利用しているが、pHの勾配を利用することによってやはりクロマトグラフィー的に実施されるか、または、クエン酸が塩酸から分離されるように、供給物に含まれる化合物の親和性の差を利用するものであり、選択性の高い化合物は交換されて、カラムの塔頂方向にイオン交換のバンドを形成し、より選択性の低い化合物はカラムの塔底方向にバンドを形成し、分離してカラム流出液中に流出する。
処理を行った後には、生成物混合物におけるプロピレングリコールの量を約85%以上という高濃度に到達させることができる。典型的には、この分離により、プロピレングリコール含有量の約90%以上が得られる。このクロマトグラフィーカラムから溶出した後の「より夾雑物の少ない(cleaner)」反応混合物は、残存している不純物を除去するために蒸留に付すことができる。
IV.
連続処理
プロピレングリコールをより簡素かつより低いコストで生成すると共に、より夾雑物の少ない他の同時生成物(アルコール、グリセロール、エステル等)の回収率を最大限にする本手法は、様々な製造手順を用いることによって達成することができる。しかしながら、本発明者らは、実用上、そして効果的な結果を得るために、擬似移動床式クロマトグラフィーを用いることを想定している。擬似移動床(SMB)式クロマトグラフィーは、通常の回分式クロマトグラフィーよりも処理量が高く、かつ必要となる樹脂量が少なく、したがって必要となる溶媒量が少ない連続精製技法である。困難な分離でさえも、妥当な生成速度で高収率および高純度を達成することが可能である。SMB技法は、他の方法で分離することが困難または不可能であることが判明し得る粒子および/または化学的化合物を分離するために用いられる。SMBクロマトグラフィーは、固体(固定相)の一定の流れに対し逆方向に液体の流れ(移動相)を移動させることを基礎としている。向流を用いることによって分離の可能性が高くなるので、分離プロセスがより効率的になる。こうすることにより、供給物材料の連続的な流れを分離することも可能になり、回分処理よりも設備の処理量が向上する。SMBクロマトグラフィーは、複数の連続したカラムと、任意のカラムの適切な位置からの試料および溶媒の供給と被分析物および廃棄物の抜取りとを行うための複雑に配置されたバルブとを用いることにより達成される。換言すれば、典型的には、カラムは円形状または環状に配置されており、4つの区域(section)(各区域に1または2以上のカラムを有する)から構成されている。各カラムに対する入口および出口の位置は、一定の間隔で、流体の流れと逆方向に切り替えられ、こうすることで、カラムの向流方向への移動を模擬している。これは、回転バルブまたは複数のバルブの集合体のいずれかを用いて、固定カラムを用いるか、またはカラムを回転台に搭載して回転台を流体の流れと逆方向に連続的に回転させることによるかのいずれかで実施される。
本発明に関するポリオール水素化分解反応生成物の混合物は、酸で中和せずに擬似移動床イオン排除クロマトグラフィー機構に導入されることになる。分子間の親和性の差が非常に小さい場合は、移動相または固定相を替えても分離能が改善できない場合がある。そのような場合は、SMBに複数の経路を用いる手法を用いてこれらの保持時間の小さな差を積み重ねることでこのような化合物の混合物を分離することができる。
図5は、本発明の1つの手順を示すために用いた擬似移動床式クロマトグラフィー装置の略図であり、流体流れの相対的な方向および装置が回転する逆方向を示している。図に示すように、樹脂への吸着はゾーンIで行われ、濃縮はゾーンII、物質の脱着はゾーンIII、再負荷はゾーンIVで行われる。区域IおよびIVは「洗浄(cleaning)」を担っている。区域IIおよびIIIの流量は、これらのゾーンで生成物の分離が行われるのでインポートである。区域IVから流出する移動相はそのまま区域Iに戻して再使用することができる。固体樹脂は、より多く保持された化合物を高い流速で脱着させることによって再生され、それによって、カラム全体を区域IVに「移動」させることができる。この図は、様々な有機酸、塩、ポリオールおよび他の不純物を反応混合物中のプロピレングリコールから相対的に溶出させる過程に沿って示している。
どの擬似移動床式クロマトグラフィー装置においても、装置に収容されているクロマトグラフィー床材は、概念上、複数のゾーンに分けられる。各ゾーンは、そのゾーンのクロマトグラフィー床材内を流れる流体流れによって区別することができる。例えば、ゾーンに導入される流入液またはゾーンから抜き取られる流出液またはゾーン内で起こる主要な機能によってゾーンを区別することもできる。異なる流体が異なるゾーンに適用される特定の実施形態においては、注入ゾーンの位置から逆方向に向かって第1流体の含有量が増加し、第2流体の含有量が減少する(またはその逆の)勾配が確立する。
典型的な擬似移動床式装置において、複数の互いに連結したクロマトグラフィー床の区画(segment)が順番に連続して配置されており、供給原料、溶出液または他の移動相材料を装置の選択された部分もしくは位置に導入するかまたはそこから抜き取ることができるように流体ポートが備えられている。各区画の塔頂部および塔底部のバルブの配置に応じて、流体の流れが同一または異なるゾーンの任意の数の互いに連結された区画内へ、およびその外部へと導かれ、その流量は独立に制御することができる。カラムの区画は回転式構成で配置することができる。この構成は、サイクルが実施される間にカラム区画の位置を不連続なステップで環状に回転させるものである。この構成においては、各区画の塔頂部および塔底部でカラム区画と接しているポートは固定されており、したがって、カラム区画は固定ポートに対し環状に回動する。1回のサイクルが完結するまでに、各カラム区画は、異なる位置および一連の固定ポートのそれぞれを通過し、ここで異なる主要な作用が起こる。この任意の所与の位置で起こる作用は一定のままであり、したがって、区画の位置によってその概念上のゾーンが定まる。この回転式構成の別法としては、カラム区画が固定されており、各カラム区画でカラム区画の塔頂部および塔底部と接しているポートの方がカラム区画に対し環状に回動する。1回のサイクルが完結するまでに、ポートが移動することにより、各カラム区画は異なる位置のそれぞれを通過し、ここで異なる主要な作用が起こる。任意の所与の位置で起こる作用は一定のままであり、したがって、区画の位置によってその概念上のゾーンが定まる。
工業規模では、SMBクロマトグラフィー分離器は連続運転され、回分式クロマトグラフィーよりも必要とされる樹脂および溶媒が少ない。連続運転を行うことにより、運転制御および製造プラントへの統合が容易になる。SMBは、通常は精製に適しておらず、特に、中程度に結合している単一成分または単一画分を多成分混合物からアイソクラティック溶出で単離することを含む場合は適していないと見なされてきたので、本発明のプロセスは予期せぬものであった。
本発明において、本発明者らは、ナトリウム型のゲル型強酸性陽イオン(SAC)樹脂について調査を行ったが、他のマクロポーラス型樹脂も十分に機能することができる。供給物の対イオン型(有機酸/鉱酸混合物)にあるゲル型強塩基性陰イオン(SBA)樹脂も十分に機能することができるが、これらにはSAC樹脂プロセスよりも困難なプロセスが含まれる傾向がある。また、SBA樹脂は最高使用温度がより低く、その陽イオン性の対応物よりも早期に官能性を失う傾向にあり、したがって、SAC系を用いるのがより現実的である。
この樹脂は平均約220ミクロン〜約700ミクロンの範囲のサイズを有する。ゲル型樹脂の典型的な細孔径は約20〜30オングストロームである。カラム充填はこの運転の成否の一端を担う可能性がある。カラム充填が不十分だと、床内に空隙が生じたり床内の流れにチャネリングが起きたりする可能性があるためである。典型的には、樹脂は水性スラリーとして調製した後、カラム内にポンプ注入する。
本発明のプロセスに使用することができるクロマトグラフィー樹脂は、多くの製造業者から市販されている(例えば、Carbochem, Inc.(Ardmore, PA, USA)、Dow Chemical Inc.、Finex Oy(Kotka, Finland)、Lanxess Corporation、Mitsubishi Chemical Corporation、Purolite CorporationまたはThermax Ltd.(Pune, India))。例えば、体積中位径が300〜350μmであり、粒子密度が1.2〜1.5g/mLである、スルホン酸基を有する強酸性陽イオンスチレン−ジビニルベンゼン(ゲル)((例えば、DOWEX(商標) MONOSPHERE(商標) 99 K/320またはCa/320、粒度200〜240μmのMitsubishi DIAION(登録商標) UBK555スチレン−DVB(ゲル))等のイオン交換樹脂を使用することができる。
第3項−実施例
以下に示す実施例において、水性のポリオール含有生成物混合物は、生体由来の炭水化物供給原料を水素化分解により変換したものから回収する。使用した出発物質に応じて、本製造プロセスによってグリセロールがグリコールに変換される。グリセロールは水素の存在下に金属触媒と反応し、反応の促進に強塩基が使用される。反応完了時の反応器生成物はpH約11である。したがって、有機酸の大半は乳酸ナトリウムやギ酸ナトリウム等として存在する。
生成物混合物は、所望の生成物を含む溶出画分から不純物を分離および低減するためにイオン排除クロマトグラフィーに付され、上記溶出画分を蒸留することによりプロピレングリコールおよび/またはエチレングリコールが生成する。パルス試験からは、例えばナトリウム塩の、プロピレングリコールからの分離が十分に機能しており、それと同時に、この方法をSMB技法を用いて実施することにより処理量が最大となり、その結果として必要な資本が最小限になるであろうことが分かる。図3は、パルス試験の代表的な流出液の分離を示すものであり、ナトリウムが早い段階で溶出して分離されている。図4Aおよび4Bは、2種類の特定の市販の樹脂、それぞれDow Chemical Inc.およびFinex Oy(Kotka, Finland)からのDOWEX 99(320)およびFinex CS12 GC314を使用した場合の、反応器生成物の同様の溶出を示すものである。
パルス試験手順には、カラムを設定し、所望の吸着剤の固定相を充填し、分離を行うために固定相の適切な状態調整を行うことが含まれる。これは、典型的には、電荷を有する共有結合した官能基を有するスチレンジビニルベンゼン、アガロースまたはセルロースビーズからなる樹脂またはゲルマトリックスである。試験は試料をカラム頂部から既知の容量のサンプルループ内に導入することにより開始する。次いでこの試料を吸着剤の頂部に、床と同じ高さになるまで流し込む。移動相をカラムに導入すると、移動相は、固定相材料を収容したカラムの上部から下方へと試料を運搬する。イオン排除クロマトグラフィーの場合、標的の分析物(陰イオンまたは陽イオン)がドナン排除によりビーズ内を通過せずに排除され、したがって、樹脂床をより短時間で通過する。非イオン性化合物は樹脂内部に移行することが可能であり、固定相内をよりゆっくりと移動し、2つの群の化合物が分離する。
本方法の実施形態によれば、擬似移動床クロマトグラフィー装置は1−1−5−5構成で配置されている。ゾーンIは吸着ゾーンであり、ゾーンIIは濃縮ゾーンであり、ゾーンIIIは脱着ゾーンであり、ゾーンIVは再負荷ゾーンである(図5)。SMB装置は回転台上に12本のカラムを有しており、流体の流れとは逆方向に、「ステップ時間」と称される規定の間隔でカラムを回転させるものである。ステップ時間は約2.4分間である。
ゾーンI(吸着ゾーン)は、供給物注入ポートおよびラフィネート排出ポートにより定められる。このゾーンは5本のカラム(図5のカラム8〜12)を有する。プロピレングリコール(PG)供給物(水素化分解反応の生成物)を吸着ゾーンに25.8ml/分で連続的に適用し、SMBの再使用生成物の流れと合流させた。ナトリウム塩は、このゾーンの樹脂との相互作用から排除されるので、SMBユニットを連続的に通過して、ゾーンIの末端からナトリウム塩の93%超を含む「ラフィネート」として排出された。このゾーンの主要な目的は、非イオン性化学種(すなわちPG、EG、グリセロール)を残してナトリウム塩を床内を通過させる機会を与えることにあった。
ゾーンII(濃縮ゾーン)は、生成物排出ポートおよび供給物注入ポートで定められるゾーン(図5に示すカラム3〜7)である。このゾーンの流れは約48.2ml/分であり、このゾーンは5本のカラムを有する。このゾーンの主要な目的は、a)塩をゾーンから排出させるのに十分な推進力(ゾーンの流れによって)を確保すること、およびb)PGが生成物出口から排出される前にPGの正味の含有量および純度を増大させることにある。こうすることにより塩の排除量が増加し、結果として生成物の純度が増大する。
ゾーンIII(脱着ゾーン)は、溶出液(脱イオン(DI)水)注入ポートおよび生成物排出ポートにより定められるゾーンである(図5のカラム2)。このゾーンは1本のカラムを有する。このゾーンの主要な目的は、樹脂から非イオン性化学種を除去することにあった。DI水をこのゾーンに78.2ml/分でポンプ注入し、樹脂から、ゾーンIIから残留しているグリセロール、EGおよびPGを除去した。脱着ゾーンの末端から、ナトリウム塩がほぼ除去されているPGに富む流出液を連続的にSMBを通過させ、「生成物」と表示される流出液としてSMBから溶出させた。
ゾーンIV(再負荷ゾーン)は、ラフィネート排出ポートおよびDI水注入ポートで定められるゾーンである(図5のカラム1)。このゾーンは1本のカラムを有する。このゾーンの主要な目的は、本用途においては、吸着ゾーン用カラムを準備することにある。このゾーンは、各波面を系内に押し出すのに必要な脱着剤の量を減らす一助にもなる。このゾーンの流量は21.5ml/分とした。この流量は、空隙のDI水をカラムから押し出すのに十分である。
添付の図5に示す構成に従うC−SEP(商標)型(Calgon Carbon Corp.)連続SMB系を用いる場合、反応混合物中の様々な成分の化学種を分離するために、樹脂が合計して約3,000mlとなる本数の250ml樹脂カラムが使用される。ステップ時間は約2.4分間である。PG含有供給物を8番のカラムに約25.8ml/分で供給し、混合物を脱イオン水で流量約78.2ml/分で溶出させ、有機酸および塩のイオンをラフィネートへ約52.3ml/分で移行させる。塩が除去されて高純度化されたPG含有混合物を約51.5ml/分で溶出させる。イオン排除ステップの最中に生成物中のBDO/PDO濃度も同様に低下したことが認められた。この方法を用いることによるBDO/PDOの低下に関するデータを下の表2に示す。
Figure 0006255406
イオン排除クロマトグラフィーは、ナトリウム塩(無機および有機の両方)を、残留水酸化ナトリウムと一緒に、プロピレングリコールから分離する手段として十分に機能していた。有機酸は、蒸留プロセスを介して移行して、副生成物と反応する傾向があり、多くの生成物の品質および運転の問題を引き起こすため、この分離は非常に重要である。擬似移動床式(SMB)クロマトグラフィーの試験において、本発明者らは、蒸留に導入する前のプロセスの早い段階で反応生成物から夾雑物を除去することにより、ナトリウム塩が劇的に低減されるだけでなく、ジオール(BDO/PDO)含有量も同様に低減されることを見出した。最初の結果は、プロピレングリコールの回収量1キログラム当たり約0.01〜0.80g/kg(例えば、0.1〜0.25g/kg、0.2〜0.45g/kg、0.5〜75g/kg、0.01〜75g/kg)の量のBDOおよび/またはPDOを低減できることを示唆している。この精製段階においてプロピレングリコールからBDOおよび/PDOを分離することは、再生可能プロピレングリコール市場における製造に大きな経済的利点をもたらす傾向がある。
A.樹脂スクリーニングのためのプロピレングリコールイオン排除パルス試験の例
一連の試験において、本発明者らは、イオン排除クロマトグラフィーによるプロピレングリコールからの有機酸および塩の分離が反応器生成物中に存在するブタンジオール(BDO)およびペンタンジオール(PDO)を有効に低減できることを確認する。ナトリウムが塩の主要な形態であるため、イオン排除樹脂をナトリウム型で運転する。この機能は、この塩を低減するイオン排除運転中に特定的にBDO/PDOを低減することを標的としている。
使用するイオン排除樹脂は:DOWEX 99 (320);Finex CS12 GC314;Finex CS11 GC323である。
ブタンジオールおよびペンタジオールは無極性化学種であり、極性相化合物を用いることで分離できる。SMBに基づく機構の利点により、製造業者は、連続的に供給原料の流れを反応器に流入させ、生成物を反応器すなわち反応生成物精製プロセスから抜き取ることが可能になる。PG製造の場合は、移動相を脱イオン水(DIW)とする。
B.試験準備のために、次に従いクロマトグラフィー樹脂の状態調整をする:
所望の樹脂100mL(脱イオン(DI)水中のスラリーとして調製)をジャケット付きガラスカラムに充填し、樹脂床の気泡を除去する。樹脂を約5ベッド体積(BV)のDI水で洗浄する。5%塩酸を約10BV、次いでDI水を5BVで状態調整する。次いで10BVの5%水酸化ナトリウムを樹脂に流入させてナトリウム型に変換し、次いで10BVのDI水を送液する。ここで樹脂の試験準備が整う。
C.パルス試験手順:
樹脂の状態調整を行った後、カラム頂部のバルブを開放し(または頂部のキャップを取り外し)、次いで液面を樹脂床の上面と同じ高さになるまで低下させる。供給物材料(PG反応器生成物)のパルスを加え、再び液面を樹脂床の上面まで低下させる。溶出液1〜2mLを加え、塔頂部のバルブを閉めるかまたは塔頂部のキャップを元に戻す。溶出流れを所望の速度で開始し、画分の回収を開始する。グリセロールおよびナトリウムの分析試料を提出する。
画分の回収:
2分毎に画分を回収(画分量8mL)
運転条件:
クロマトグラフィーカラム温度:50℃
供給物:PG/BDO/標準的なPG反応器生成物 混合比50:50
供給速度:4ml/分
パルスの量:20mL
溶出液:脱イオン(DI)水
表3は、生体由来の供給原料を水素化することにより生成するプロピレングリコールの生成における生成物の転化率(%)、収率(重量%)および選択性(モル%)の範囲を第1群の試料に関しまとめたものである。
Figure 0006255406
表4は、第2群の試料生成物に関する生成物の転化率(%)、収率(重量%)および選択性(モル%)の範囲を示すものである。
Figure 0006255406
表5は、2つの代表的な例の反応器生成物から得られた化学種成分の量をまとめたものである。
Figure 0006255406
表6に、有機酸および塩がイオン排除分離により効果的に分離されたことの例として、プロピレングリコール含有供給原料を試料として用いた場合の生成物の分析をまとめる。初期のナトリウム含有量である1600ppmから、ナトリウム含有量は35ppm未満に低減され、これは約98%の効率であり、初期量の約2%である。様々な有機酸全体の量も大幅に低減され、各化学種も検出限界をほぼ下回っている。供給原料中の各化学種の量は、生成物においては:グリセリン酸約87〜90%(約88.5%);グリコール酸約86〜88%(約87.2%);ギ酸約97〜99%(約99.2%);乳酸約97〜99%(約98.8%);および酢酸約ほぼ99〜100%(<0.2%)(検出限界未満)低減された。
Figure 0006255406
有機酸および塩が蒸留缶液中に存在しなければ、市販のUSPグレード製品に許容されない、プロピレンオキシドやグリシドール等のエポキシド、エステルおよび他の臭気または着色に関わる化学種を形成する副反応を、なくすことはできなくても最小限に抑えることが可能になる。表7は、蒸留缶液中の生成物の分析結果を示すものである。蒸留缶液中に塩が含まれないことは、プロピレンオキシド(PO)、グリシドール、着色物質または臭気物質を形成する副反応が大幅に低減されることを示している。
Figure 0006255406
表8に、留出物中の含有物の分析結果を示す。従来の酸による中和からイオン排除へと処理を変更することによって、留出画分中の望ましくない夾雑物および副生成物の量が低減されている。プロピレングリコールの収率(%)に大きな影響を与えることなくBDOの量を半分に抑えて臭気化合物を除去することが可能である。
Figure 0006255406
表9に、本発明のプロセスに付したプロセス流れの組成をまとめるが、本発明に従い、異物である有機酸または塩の大半が除去されるかまたは排除されている。この流れに存在する各化学種の含有量を分析する。各化学種の割合は、ガスクロマトグラフの相対面積の百分率で表す(%RA)。上述の表から分かるように、夾雑物の化学種が大幅に低減されている。
Figure 0006255406
D.イオン交換を併用したイオン排除クロマトグラフィーの利用
本発明によれば、イオン排除クロマトグラフィーを単独で用いるかまたはイオン交換と併用することは、液体試料中の塩の含有量を>7.5%から<5ppmへと低減する費用効率が高い方法である。次に示す実施例は、IECおよびイオン交換技法を用いることにより塩の含有量が大幅に低減され、両方の技法の利点が利用されていることを示すものである。実施例1は、イオン交換を単独で用いた場合の相対的な効率を示すものであり、実施例2は、IECの効率を示すものであり、実施例3は、各技法における樹脂の充填量の比較を示すものである。
実施例1−イオン交換(IX)
主として硫酸ナトリウム塩75,386ppmを含むPG反応器生成物を供給物流れとして使用した。所望の生成物は硫酸ナトリウムが5ppm未満となるべきである。この塩をイオン交換のみを用いて除去し、次のように処理した:
硫酸ナトリウム75,386ppm=ナトリウム24,404ppm+硫酸50,982ppm=ナトリウム1.0615Eq/Lおよび硫酸0.5308Eq/L。公称容量が1.8Eq/LであるSAC樹脂および1.8Eq/LであるWBAを使用する。本明細書においては、この樹脂を用いて次に示すような処理を行うことができた:
樹脂体積=Eqの総和(供給物1リットル当たり)/樹脂容量(Eq/L)×安全係数
ベッド体積(BV)容量(Bed Volume Capacity)=被処理体積当量=供給物の量/供給物1リットルに必要な全樹脂体積
SAC樹脂:
樹脂体積=1.0615Eq/L/1.8Eq/L×1.1
樹脂体積=供給物1リットルを処理するのに0.649L必要
ベッド体積容量=1L/0.649=1.5416当量の体積を1サイクルで処理
WBA樹脂:
樹脂体積=0.5308Eq/L/1.8Eq/L×1.1
樹脂体積=供給物1リットルの処理に0.324L必要
ベッド体積容量=1L/0.324=3.0831当量の体積を1サイクルで処理
実施例2−イオン排除クロマトグラフィー(IEC)
上の実施例1とは異なり、200〜2000ppmのナトリウム(硫酸ナトリウムとして)を含む類似の生成物を供給物流れとしてIEC処理に付した。ナトリウム2000ppm(硫酸ナトリウムとして)で開始=ナトリウム2000ppm(硫酸4178ppm)。次に示すようにプロセスを行った:
SAC樹脂:
樹脂体積=0.087Eq/L/1.8Eq/L×1.1
樹脂体積=供給物1リットルの処理に0.053L必要
ベッド体積容量=1L/0.053=18.81当量の体積を1サイクルで処理
WBA樹脂:
樹脂体積=0.0435Eq/L/1.8Eq/L×1.1
樹脂体積=供給物1リットルの処理に0.027L必要
ベッド体積容量=1L/0.027=37.6当量の体積を1サイクルで処理
硫酸ナトリウムとしてナトリウム200ppmを用いた場合=ナトリウム200ppm、硫酸417.8ppmであり、生成物は次のようになる:
SAC樹脂:
樹脂体積=0.0087Eq/L/1.8Eq/L×1.1
樹脂体積=供給物1リットルの処理に0.0053L必要
ベッド体積容量=1L/0.0053=188.1当量の体積を1回のサイクルで処理
WBA樹脂:
樹脂体積=0.00435Eq/L/1.8Eq/L×1.1
樹脂体積=供給物1リットルの処理に0.0027L必要
ベッド体積容量=1L/0.0027=376.2当量の体積を1回のサイクルで処理
実施例3−IECおよびイオン交換樹脂における充填量の比較
本実施例においては、流量を200リットル/分(LPM)として、8時間毎に再生を行った。IEC処理を行わずに、イオン負荷量=硫酸ナトリウム75,386ppm=ナトリウム24,404ppm+硫酸50,982ppm=ナトリウム1.0615Eq/Lおよび硫酸0.5308Eq/Lとして開始した。公称容量1.8Eq/LのSAC樹脂および公称容量1.8Eq/LのWBAを用いた。結果を次に示す。
SAC樹脂:
樹脂体積/分=200×1.0615Eq/L/1.8Eq/L×1.1
樹脂体積/分=供給物の処理に129.74L/分必要
樹脂体積/8時間=129.74×8×60=樹脂62,275L
WBA樹脂:
樹脂体積/分=200×0.5308Eq/L/1.8Eq/L×1.1
樹脂体積/分=供給物の処理に64.87L/分必要
樹脂体積/8時間=64.87×8×60=樹脂31,138L
IEC生成物を使用した場合のナトリウム200ppmに関する結果は:
SAC樹脂:
樹脂体積/分=200×0.0087Eq/L/1.8Eq/L×1.1
樹脂体積/分=供給物の処理に1.063L/分必要
樹脂体積/8時間=1.063×8×60=樹脂510.4L
WBA樹脂:
樹脂体積/分=200×0.0043Eq/L/1.8Eq/L×1.1
樹脂体積/分=供給物の処理に0.532L/分必要
樹脂体積/8時間=0.532×8×60=樹脂255.2L
IEC処理の生成物の塩含有量が50ppmと低かった場合、イオン交換系は、200ppmで使用したときの4倍の体積を処理することが可能であったことになる。前述した状況のそれぞれにおける再生化学物質の使用法は同一であるが、IEC予備処理を行った後のイオン交換系は、事前にIEC処理を行わずに使用した場合の供給物材料よりもはるかに多くの処理を行うことが可能であった。
この効果から得られる利点により、IECを使用しない場合と同一サイズのカラムを使用しても(実施例1)、再生頻度がはるかに低くなるか、またはIECを使用した場合は、樹脂カラムのサイズを小さくして(実施例2)、IECを用いない場合に使用するより大型の系と同程度の頻度で再生する(実施例3)かのいずれかによって、イオン交換樹脂の使用寿命を延長することが可能になる。
実施例を用いて本発明の全体および詳細を説明してきた。当業者らは、本発明が必ずしも具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、次に添付する特許請求の範囲に定義する本発明の範囲または本発明の範囲内で用いることができるその均等物(現時点において知られているかまたは今後開発される他の均等な構成要素を含む)から逸脱することなく修正および変形が可能であることを理解する。したがって、変化が本発明の範囲を逸脱しない限り、この変化も本明細書に包含されると見なされる。

Claims (18)

  1. 水素化分解によるプロピレングリコールまたはエチレングリコールの製造における夾雑物を低減するための方法であって:生体由来の三、五および六炭糖または糖アルコールを供給原料として提供することと;前記供給原料を反応器内で反応させることにより、ポリオールおよび不純物を含む反応生成物混合物を生成することと;プロピレングリコールまたはエチレングリコールを含む溶出画分から有機酸の塩を分離および低減するために、pH制御なしに、前記反応生成物混合物をイオン排除クロマトグラフィーに付すことと;プロピレングリコールまたはエチレングリコールを得るために前記溶出画分を蒸留することと、を含み、
    前記反応生成物混合物が、最初に前記反応器から抜き取った時点では、8.0以上のアルカリ性のpH値を有する、方法。
  2. 前記反応生成物混合物を、イオン排除クロマトグラフィーに加えてイオン交換に付すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記反応生成物混合物が、有機酸、塩、ジオールおよび未反応の供給原料を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記反応生成物混合物が、酸で中和されない、請求項1に記載の方法。
  5. 前記反応生成物混合物が、連続イオン排除クロマトグラフィー機構に導入される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記連続機構が、擬似移動床式クロマトグラフィー機構である、請求項に記載の方法。
  7. 前記イオン排除クロマトグラフィーが、ゲル型強酸性陽イオン(SAC)樹脂、ゲル型強塩基性陰イオン(SBA)樹脂またはマクロポーラス樹脂から選択される樹脂を使用する、請求項1に記載の方法。
  8. 回収されるプロピレングリコール1キログラム当たり0.01〜80g/kgの量のブタンジオール(BDO)またはペンタンジオール(PDO)が低減される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記溶出画分が、前記クロマトグラフィー機構から直接蒸留塔に導入される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記蒸留が、アルコールを除去する第1塔、水を除去する第2塔、未反応成分またはエチレングリコールよりも沸点が高い有機成分を除去する第3塔、エチレングリコールを除去する第4塔、ならびにエポキシド、エステル、C以上の高級ジオール、残留水、およびプロピレングリコールを除去する第5塔を含む、請求項1に記載の方法。
  11. プロピレングリコールまたはエチレングリコールの製造方法であって:生体由来の三、五および六炭糖または糖アルコールを供給原料として提供することと;前記供給原料を反応器内で水素化分解することによって変換することにより、ポリオールおよび不純物を含む反応生成物の混合物を得ることと;プロピレングリコールまたはエチレングリコールを含む溶出画分から有機酸の塩を低減するために、pH制御なしに、前記反応生成物混合物をイオン排除クロマトグラフィーに付すことと;前記溶出画分を、アルコールを除去する第1塔、水を除去する第2塔、未反応成分またはエチレングリコールよりも沸点が高い有機成分を除去する第3塔、エチレングリコールを除去する第4塔、ならびにエポキシド、エステル、Cおよびそれよりも高級なジオール、残留水、およびプロピレングリコールを除去する第5塔を有する蒸留機構で蒸留することと、を含み、
    前記反応生成物混合物が、前記反応器から回収された後も、中和されていないアルカリ性のpH値を有する、方法。
  12. 前記反応生成物混合物が、酸で中和されることなく前記イオン排除クロマトグラフィーに導入される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記イオン排除クロマトグラフィーが、連続擬似移動床式機構の一部である、請求項11に記載の方法。
  14. 前記不純物が、有機酸、塩、ジオールおよび未反応の供給原料を含む、請求項11に記載の方法。
  15. 前記第3蒸留塔の缶出液の含有物が、前記反応器で直接再利用できる、請求項11に記載の方法。
  16. 前記溶出画分を抜き取り、前記蒸留機構に直接導入することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  17. 前記方法により、生成物中の前記有機酸および塩と比較して、初期の供給原料の有機酸および塩が87%〜99%低減される、請求項11に記載の方法。
  18. 前記反応生成物混合物をイオン交換に付すことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
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