以下に添付図面を参照して、この発明にかかる印影管理システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
(印影管理システムのシステム構成)
まず、この発明にかかる実施の形態1の印影管理装置を含む印影管理システムの構成について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システムのシステム構成を示す説明図である。図1において、印影管理システム100は、印影管理装置110と、操作端末120と、3次元造形機130と、を含んで構成されている。操作端末120および3次元造形機130は、たとえば、銀行などの金融機関(本店、支店)に設置される。
印影管理装置110と操作端末120と3次元造形機130とは、それぞれ、都市銀行などの金融機関どうしの提携ネットワークなどのネットワーク140に接続されている。金融機関どうしの提携ネットワークは、各金融機関のATM(CDやATM)どうしを相互に接続することによって構成されるネットワークであって、たとえば、BANCS(BANks Cash Service)、MICS(Multi Integrated Cash Service)、ACS(All Japan Card Service)、LONGSなどが存在する。印影管理システム100において、印影管理装置110と各操作端末120および印影管理装置110と各3次元造形機130とは、それぞれ通信可能とされている。
印影管理装置110は、たとえば、銀行などの金融機関がおこなう金融業務にかかる各種のデータ処理をおこなったり、当該データ処理にかかる各種のデータを記憶したりするサーバ(金融機関のサーバ)を実現するコンピュータ装置によって実現することができる。印影管理装置110は、金融機関のサーバを実現するコンピュータ装置によって実現してもよく、当該コンピュータ装置とは別のコンピュータ装置によって実現してもよい。印影管理装置110は、たとえば、汎用的なサーバコンピュータなどのコンピュータ装置によって実現することができる(図2−1を参照)。
操作端末120は、銀行などの金融機関が発行したカードの挿入を受け付けるカード挿入口121と、当該カードの所有者などの利用者による入力操作を受け付ける操作部122と、を備えている(図2−2を参照)。また、操作端末120は、利用者に対して操作内容を案内するガイダンスメッセージなどを表示する表示部123を備えていてもよい。操作端末120は、ATM(Automatic Teller Machine)に操作端末120の機能を搭載することによって、ATMと一体化されていてもよい。以降、この実施の形態1においては、ATMによって操作端末120を実現する例について説明する。
3次元造形機130は、印影管理装置110から送信された3次元情報に基づいて立体物を作成する(図2−3を参照)。具体的には、3次元造形機130は、たとえば、3次元情報に基づいて、液状の紫外線硬化型の樹脂をノズル(図示を省略する)から噴出することにより立体の断面にあたる層を形成し、形成した各層に紫外線領域の波長を含む光を照射して硬化させることにより当該各層を固化させ、固化した層を積層していくことによって立体物を作成する。
この実施の形態1の3次元造形機130は、昇降可能なテーブル、当該テーブルを昇降させるモータ、当該テーブルの上方に設けられたインクジェットヘッド、当該インクジェットヘッドを水平面内において移動可能に支持するキャリッジ、キャリッジを水平面内において移動させるモータ、紫外光を発光する光源などを備えている(いずれも図示を省略する)。インクジェットヘッドは、液状の樹脂を噴出するノズルを備えている。キャリッジは、ノズルがテーブルの上方から当該テーブルに対向した状態で、インクジェットヘッドを移動させる。
また、この実施の形態1の3次元造形機130は、テーブル上に形成される立体造形物の当該テーブルからの高さを計測する計測器(図2−3を参照)を備えている。計測器は、たとえば、レーザ変位計などの測距計を用いることができる。レーザ変位計などの測距計は、レーザを射出するレーザ光源とレーザを感知する受光部品とを備えている。このような測距計は、レーザ光源からレーザ光を射出してから、当該レーザ光が目標物(テーブルや立体造形物など)から反射して受光部品に入射するまでの時間に基づいて、測距計と目標物との距離を算出する。公知の技術を用いて容易に実現可能であるため、3次元造形機130の詳細な構成については説明を省略する。
また、具体的には、3次元造形機130は、上記のような液状の紫外線硬化型の樹脂を用いるものに代えて、たとえば、3次元情報に基づいて、熱で融解した液状の樹脂を押し出すことにより立体の断面にあたる層を形成し、形成した各層を冷却することにより当該各層を固化させ、固化した層を積層していくことによって立体物を作成するものであってもよい。また、具体的には、3次元造形機130は、たとえば、3次元情報に基づいて、粉末の樹脂に接着剤を吹きつけることにより立体の断面にあたる層を形成し、接着剤の接着力により当該各層を固化させ、固化した層を積層していくことによって立体物を作成するものであってもよい。3次元造形機130は、操作端末120と一体とされていてもよい。
(コンピュータ装置のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100を構成する印影管理装置110を実現するコンピュータ装置のハードウエア構成について説明する。図2−1は、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100を構成する印影管理装置110を実現するコンピュータ装置のハードウエア構成を示す説明図である。
図2−1において、コンピュータ装置は、CPU211と、ROM212と、RAM213と、HDD(ハードディスクドライブ)214と、HD(ハードディスク)215と、ネットワークI/F(インターフェイス)216と、を備えている。また、コンピュータ装置が備える各部211〜216は、バス210によってそれぞれ接続されている。
CPU211は、コンピュータ装置全体の制御をつかさどる。ROM212は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM213は、CPU211のワークエリアとして使用される。HDD214は、CPU211の制御にしたがってHD215に対するデータのリード/ライトを制御する。HD215は、HDD214の制御で書き込まれたデータを記憶する。
具体的には、HD215は、たとえば、認証情報データベース(図3−1を参照)、印影情報データベース(図3−2を参照)などの各種のデータベースを記憶する。認証情報データベースや印影情報データベースなどの各種のデータベースの一部あるいは全部は、印影管理装置110を実現するコンピュータ装置が備えるHD215に限らず、別のコンピュータ装置に設けられていてもよい。
ネットワークI/F216は、ネットワーク140を介して操作端末120に接続されている。また、ネットワークI/F216は、ネットワーク140を介して3次元造形機130に接続されている。ネットワークI/F216は、ネットワーク140と内部とのインターフェイスをつかさどり、コンピュータ装置におけるデータの入出力を制御する。
印影管理装置110を実現するコンピュータ装置は、1台のコンピュータ装置に限るものではない。印影管理装置110は、1台のコンピュータ装置によって実現してもよく、複数台のコンピュータ装置を用いたクラウドコンピューティング(クラウド)によって実現してもよい。クラウドコンピューティングについては、公知の技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。
(操作端末120のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100を構成する操作端末120(ATM)のハードウエア構成について説明する。図2−2は、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100を構成する操作端末120のハードウエア構成を示す説明図である。
図2−2において、操作端末120は、CPU221と、ROM222と、RAM223と、ディスプレイ224と、タッチパネル225と、ネットワークI/F226と、プリンタ227と、カードリーダライタ228と、を備えている。操作端末120が備える各部は、バス220によってそれぞれ接続されている。
また、操作端末120は、掌や指先の静脈パターンなどの生体認証情報を読み取る生体情報読取装置(図示を省略する)を備えていてもよい。生体情報読取装置は、掌や指先をかざす所定位置に対して近赤外線光を照射する光源や、近赤外線光を照射することにより、静脈中の還元ヘモグロビンが近赤外線を吸収して黒く映し出された画像を撮影し、撮影した画像に関する画像情報をCPU221に出力するI/Fなどを備えている。生体情報読取装置は、公知の各種の技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。
CPU221は、操作端末120全体の制御をつかさどり、RAM223をワークエリアとしながらROM222に記憶された各種プログラムを実行する。ディスプレイ224は、たとえば、各種の表示画面を表示する。ディスプレイ224は、具体的には、たとえばTFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなど、公知の各種のディスプレイによって実現することができる。操作端末120においては、ディスプレイ224において、上記の表示部123を実現することができる。
タッチパネル225は、ディスプレイ224に積層されており、操作された位置に応じた座標信号を出力する。CPU221は、たとえば、ディスプレイ224における表示内容とタッチパネル225において操作された座標位置とに基づいて、表示内容を切り替える。操作端末120は、タッチパネル225に加えて、数値を入力するテンキーを備えていてもよい。また、タッチパネル225に代えてあるいは加えて、キーボードを備えていてもよい。操作端末120においては、タッチパネル225やキーボードによって上記の操作部122を実現することができる。
ネットワークI/F226は、ネットワーク140を介して、印影管理装置110を実現するコンピュータ装置との間での通信をおこなう。ネットワークI/F226は、印影管理装置110を実現するコンピュータ装置との間で通信をおこなうことによって、たとえば、伝言情報などの各種の情報を印影管理装置110に送信する。
プリンタ227は、タッチパネル225に対する入力操作に応じて操作端末120がおこなった各種の現金出納サービスの結果を記録媒体に印刷出力する。具体的には、プリンタ227は、たとえば、タッチパネル225に対して預貯金口座から現金を引き出す入力操作がおこなわれた場合に、預貯金残高や取引明細などを印刷し、印刷された記録媒体を所定の排出口から排出する。記録媒体は、所定幅の長尺状のロール紙を用いることができる。このようなロール紙を用いる場合、プリンタ227はロール紙を所定の位置で切断するためのカッタ機構を備えている。プリンタ227は、たとえばレーザプリンタ、インクジェットプリンタ、インクリボンプリンタなど、公知の各種の印刷方法によって印刷をおこなうプリンタによって実現することができる。
カードリーダライタ228は、カードが備える記憶媒体に記憶されたカード情報を読み取り、読み取った情報を含む信号をCPU221に出力する。カード情報は、たとえば、カードの識別情報、当該カードの所有者(利用者)の口座番号、暗証番号、預貯金口座を開設した支店名などの情報を含んでいる。
たとえば、この発明にかかる実施の形態1のカードを、プラスチック製の板形状をなす基体にICチップを搭載したICチップ内蔵カードによって実現する場合、カードリーダライタ228は、たとえば、カードが記憶媒体として備えるICチップに接続される接続端子を備え、当該接続端子を介してICチップに記憶されたカード情報を読み取る。カードリーダライタ228が非接触式ICカードタイプのカードを読み取り対象とする場合は、さらに、カードと通信をおこなう通信部を備えていてもよい。
あるいは、たとえば、この発明にかかる実施の形態1のカードを、基体に磁気製の帯を設けた磁気ストライプカードによって実現する場合、カードリーダライタ228は、たとえば、カードが記憶媒体として備える磁気帯に記憶されたカード情報を読み取る磁気ヘッドを備え、当該磁気ヘッドの読取位置を磁気タイプのカードが通過する際に、カードの磁気帯に記憶されたカード情報を読み取る。操作端末120は、カードリーダライタ228に代えて、カード情報の読み取りのみをおこなうカードリーダを備えていてもよい。
(3次元造形機130のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100を構成する3次元造形機130のハードウエア構成について説明する。図2−3は、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100を構成する3次元造形機130のハードウエア構成を示す説明図である。
図2−3において、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100を構成する3次元造形機130は、CPU231と、ROM232と、RAM233と、ネットワークI/F234と、キャリッジ移動用のモータのモータドライバ235と、テーブル昇降用のモータのモータドライバ236と、光源237と、計測器238と、を備えている。また、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100を構成する3次元造形機130を実現するコンピュータ装置231〜238は、バス230によってそれぞれ接続されている。
CPU231は、3次元造形機130全体の制御をつかさどる。ROM232は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM233は、CPU231のワークエリアとして使用される。ネットワークI/F234は、上記のネットワーク140に接続され、当該ネットワーク140を介して、印影管理装置110などの外部装置に接続される。そして、ネットワークI/F234は、印影管理装置110を実現するコンピュータ装置の内部とのインターフェイスをつかさどり、印影管理装置110を実現するコンピュータ装置との間におけるデータの入出力を制御する。
キャリッジ移動用のモータのモータドライバ235は、キャリッジ移動用のモータを駆動制御し、プリントヘッドを水平面内において移動させる。テーブル昇降用のモータのモータドライバ236は、テーブル昇降用のモータを駆動制御し、テーブルを垂直方向に沿って昇降させる。光源237は、CPU231によって駆動制御されて点灯したり消灯したりする。計測器238は、レーザ光源の点灯/消灯を制御し、レーザ光源から射出したレーザ光が目標物から反射して受光部品に入射するまでの時間を計測し、計測器238と目標物との距離を算出し、算出結果をCPU231に出力する。
(認証情報データベース)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100における認証情報データベースについて説明する。図3−1は、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100における認証情報データベースの一例を示す説明図である。
図3−1において、認証情報データベース310は、少なくとも利用者の認証に用いる認証情報を記憶する。この実施の形態1の認証情報データベース310は、利用者の識別情報と当該利用者の認証に用いる認証情報とを関連付けて記憶する。利用者の識別情報は、たとえば、預貯金口座の口座番号によって実現することができる。口座番号は、利用者(預貯金者)の預貯金口座を識別するために各預貯金口座に対して割り当てられる固有の番号であって、各預貯金口座固有の口座番号(3桁の数字)や銀行を識別するために銀行ごとの銀行番号(3桁の数字)などを含んでいる。利用者の識別情報は、金融機関に割り当てられている4桁の番号によって示される金融機関コード(銀行コード)や、金融機関の本支店に割り当てられている3桁の番号によって示される支店コード(店舗コード、店番)を含んでいてもよい。
認証情報は、印影管理システム100において、口座番号によって特定される利用者本人であるかの確認(利用者の本人確認)に用いる情報であって、たとえば、預貯金口座の開設時などに利用者が指定した暗証番号によって実現することができる。また、認証情報は、たとえば、掌や指先の静脈パターンなどの生体認証情報によって実現されるものであってもよい。
認証情報データベース310は、利用者の口座番号ごとに、当該口座番号によって識別される利用者に関する利用者情報を関連付けて記憶していてもよい。利用者情報は、たとえば、利用者の氏名、当該利用者への連絡先を示す情報(住所や電話番号など)などによって実現することができる。この実施の形態においては、認証情報データベース310によって、認証情報記憶部を実現することができる。
(印影情報データベース)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100における印影情報データベースについて説明する。図3−2は、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100における印影情報データベースの一例を示す説明図である。
図3−2において、印影情報データベース320は、実体を有する印章の印影の画像に関する印影情報と、利用者の識別情報とを関連付けて記憶する。印影情報は、金融機関において預金口座を開設する際に用いた印章(以下、適宜「原本となる印章」という)の印影の画像を示す情報であって、当該預金口座の開設時などに、銀行員などによって登録される。印影情報データベース320は、印影情報ごとに、当該印影情報が登録された年月日(時刻を含んでいてもよい)に関する情報を関連付けて記憶してもよい。
印影情報データベース320は、利用者の識別情報ごとに、印章の外形状をあらわす3次元情報を関連付けて記憶する。3次元情報があらわす外形状は、たとえば、原本となる印章の外形状とすることができる。3次元情報は、印面の形状、当該印面に隣接する印側の形状、当該印側に隣接し当該印側を間にして印面とは反対側に設けられた天の形状に関する情報を含む。3次元情報は、たとえば、印影管理システム100の運用に際して、銀行などの金融機関への印影の登録時に、銀行員などが3次元スキャナなどを用いて印影の登録に用いた印章の3次元形状を読み取ることによって取得し、登録することができる。
3次元情報は、たとえば、互いに直交する3つの座標軸(x軸、y軸およびz軸)を指定することによって定まる3次元空間の直交座標系(Rectangular coordinate system,Orthogonal coordinate system)におけるx座標、y座標およびz座標によってあらわすことができる。具体的には、印章の外表面における任意の一点を原点(0,0,0)として、印章の外表面の座標をあらわすことができる。
また、3次元情報は、たとえば、極座標系(Polar coordinate system)における球面座標系(Spherical coordinate system)や、円柱座標系(Cylindrical polar coordinate system)などの公知の各種の3次元座標系を用いてあらわされるものであってもよい。3次元空間の直交座標系、極座標系(球面座標系、円柱座標系など)については公知の技術であるため説明を省略する。
印影情報データベース320は、利用者の識別情報ごとに、1つの3次元情報を関連付けて記憶する。あるいは、印影情報データベース320は、利用者の識別情報ごとに、複数の3次元情報を関連付けて記憶してもよい。
また、3次元情報は、印章の外表面より内側における所定形状の空洞の形状に関する情報を含む。印章の外表面より内側における所定形状の空洞の形状は、印章の3次元情報の登録に際して、あらかじめ複数設定された形状の中から、利用者が選択した任意の形状とすることができる。あるいは、印章の外表面より内側における所定形状の空洞の形状は、印章の3次元情報の登録に際して、利用者が指定した任意の形状としてもよい。
印影管理システム100においては、3次元情報にしたがって3次元造形機130において印刷することにより、当該印刷により造形される印章における外表面より内側に、所定形状の空洞を形成することができる。内側に所定形状の空洞が設けられた印章に光を当てた場合、空洞になっている部分は空洞になっていない部分よりも光を通すため、印章の外表面において光が照射された側とは反対側には、明暗の差によるシルエット(輪郭)が浮かび上がる。印章の外表面に浮かび上がるシルエット(輪郭)は、空洞の形状および印章に対する光の照射角度に応じて異なる。
印影情報データベース320は、利用者の識別情報ごとに、印章の外表面における基準位置(視認基準位置。図3−2における「△1」、「△2」を参照)、および、当該基準位置において視認できるシルエット(輪郭)の形状を示す情報(すかし情報)を記憶していてもよい。印章の外表面における基準位置(視認基準位置)は、1つであってもよく、2つ以上規定してもよい。印章の外表面における基準位置は、印章を視認する際の基準となる位置を示す。
基準位置において視認できるシルエット(輪郭)は、印章に対して基準位置とは反対側から光を当てた状態で当該印章を基準位置側から目視したときに、明暗の差によって当該印章の外表面に生じる画像(シルエット、輪郭)を示す。この実施の形態においては、印影情報データベース320によって、印影情報記憶部および3次元情報記憶部を実現することができる。
印影情報データベース320は、利用者の識別情報に、臨時印影情報を関連付けて記憶していてもよい。臨時印影情報は、印影情報が示す印影および所定の識別情報を組み合わせて構成される画像である臨時印影に関する情報によって実現することができる。具体的には、臨時印影情報は、たとえば、印影情報が示す印影に、所定の文字や記号を組み合わせた画像によって実現することができる。
印影情報が示す印影に組み合わせる所定の文字や記号は、たとえば、利用者が任意に設定してもよく、印影管理システム100の管理者などが設定してもよい。また、印影情報が示す印影に組み合わせる所定の文字や記号を印影管理システム100の管理者が設定する場合の当該所定の文字や記号は、たとえば、印影管理システム100が随時生成するワンタイム情報であってもよい。これらの所定の文字や記号を印影情報が示す印影に組み合わせることにより、臨時印影情報にかかる臨時印章であることを、容易に認識することができる。
より具体的には、臨時印影情報は、たとえば、印影情報が示す印影に、当該臨時印影情報にかかる臨時印影情報の生成年月日を示す文字列を組み合わせた画像を示す情報によって実現することができる。これにより、臨時印影情報にかかる臨時印章の作成日時を特定することができる。
この実施の形態1において、印影情報データベース320は、臨時印影情報を生成するごとに、当該臨時印影情報を追加して記憶する。これにより、臨時印影情報の生成履歴を確認することができる。あるいは、印影情報データベース320は、最新の臨時印影情報のみを記憶するものであってもよい。この場合、印影情報データベース320は、臨時印影情報を生成するごとに、該当する識別情報に関連付けて先に記憶されている臨時印影情報を消去し、最新の臨時印影情報を記憶する。
印影情報データベース320は、利用者の識別情報ごとに、印影管理装置110から当該印影管理装置110から出力した立体の造形に関する情報にかかる印影情報あるいは臨時印影情報と、当該立体の造形に関する情報の出力先を識別する出力先の識別情報(出力先識別コード)と、を関連付けて記憶していてもよい。これにより、印影管理装置110から立体の造形に関する情報を出力した後に、当該情報の出力先(たとえば、3次元造形機130)を特定することができる。
立体の造形に関する情報は、印影情報データベース320が記憶する印影情報あるいは臨時印影情報が示す印影を転写対象物に転写可能な印面を有する印章の外形状を特定可能な情報を含んでいる。立体の造形に関する情報は、当該立体の造形に関する情報に基づいて、3次元の印章を複製するために要する3次元情報を含む。
印影管理システム100において、印影管理装置110は、たとえば、3次元造形機130に対して、立体の造形に関する情報を出力する。この場合、立体の造形に関する情報は、たとえば、特定の印影情報が示す印影を転写対象物に転写可能な印面を有する印章の外形状をあらわす3次元情報と、当該3次元情報に基づく立体の造形を指示する印刷指示と、を含む立体造形指示ファイルによって実現することができる。
印影情報データベース320において、立体の造形に関する情報(立体造形指示ファイル)の出力先の識別情報(出力先識別コード)は、たとえば、3次元造形機130の識別情報によって実現することができる。3次元造形機130の識別情報は、たとえば、各3次元造形機130の製造番号や、各3次元造形機130に割り当てられたIP(Internet Protocol)アドレス、あるいは、MAC(Media Access Control)アドレスなどによって実現することができる。
この実施の形態1の印影管理システム100において、印影管理装置110から出力された立体造形指示ファイルを受信した3次元造形機130には、当該立体造形指示ファイルに含まれる印刷指示にしたがって起動するプログラムがインストールされている。これにより、印影管理装置110から出力された立体造形指示ファイルを受信した3次元造形機130において、印章の外形状をあらわす3次元情報に基づく立体の造形(印刷)を指示することができる。
この実施の形態1の印影管理システム100において、立体造形指示ファイルは、印刷指示に代えて、印影管理装置110から出力された立体造形指示ファイルを受信した3次元造形機130が実行することができるプログラムを含んでいてもよい。これにより、立体造形指示ファイルに含まれる印刷指示にしたがって起動するプログラムがインストールされていない3次元造形機130に対しても、印章の外形状をあらわす3次元情報に基づく立体の造形(印刷)を実行させることができる。以下、立体造形指示ファイルに含まれる印刷指示にしたがって3次元造形機130において印刷をおこなった結果、当該3次元造形が作成した3次元構成物を、適宜「複製印章」として説明する。
また、立体造形指示ファイルは、当該立体造形指示ファイルの出力先となる3次元造形機130に対して、当該立体造形指示ファイルに基づく印刷(複製印章の作成)が正常に完了したことを通知する完了通知の送信を指示する通知指示を含んでいてもよい。この場合、立体造形指示ファイルを受信した3次元造形機130は、受信した立体造形指示ファイルに含まれる3次元情報に基づく立体の造形(印刷)が正常に完了した場合に、印影管理装置110に対して完了通知(正常出力信号)を送信する。これにより、印影管理装置110は、立体造形指示ファイルの出力先となる3次元造形機130において立体造形指示ファイルに基づく印刷(複製印章の作成)が正常に完了したことを判断することができる。
この場合、立体造形指示ファイルに含まれる通知指示は、当該立体造形指示ファイルに基づく立体の造形(印刷)をおこなった3次元造形機130の識別情報を含む完了通知(正常出力信号)を送信させる通知指示であることが好ましい。これにより、印影管理装置110は、出力した立体造形指示ファイルに基づく立体の造形(印刷)が、対象とする3次元造形機130において正常に完了したことを判断することができる。
また、3次元造形機130に対して出力する立体造形指示ファイルは、当該3次元造形機130に対して、立体造形指示ファイルに含まれる3次元情報に基づいて印刷される立体(複製印章)の外周面などに、印刷をおこなった3次元造形機130の識別情報を印刷させる印刷指示を含んでいてもよい。印刷をおこなった3次元造形機130の識別情報は、たとえば、QRコード(登録商標)のような形態で印刷されることが好ましい。
この場合、立体造形指示ファイルを受信した3次元造形機130は、受信した立体造形指示ファイルに含まれる3次元情報に基づいて、印刷をおこなった3次元造形機130の識別情報を外周面などに印刷した複製印章を作成(印刷)する。このように複製印章の外周面などに、当該複製印章の印刷をおこなった3次元造形機130の識別情報を印刷させることにより、当該複製印章によって、印影管理システム100により作成(印刷)されたものであるか否かを判断することができる。
(装置識別データベース)
印影管理装置110は、操作端末120の識別情報と、当該操作端末120と同一店舗に設置された3次元造形機130の識別情報と、を関連付けて記憶する装置識別データベース(図示を省略する)を備えている。操作端末120の識別情報は、上述した3次元造形機130の識別情報と同様に、たとえば、各操作端末120に割り当てられたIPアドレスやMACアドレスによって実現することができる。装置識別データベースにおける各情報は、印影管理システム100の管理者などによってあらかじめ設定されている。
装置識別データベースにおいて、操作端末120の識別情報と3次元造形機130の識別情報とは、一対一で対応していてもよく、1つの3次元造形機130の識別情報に、複数の操作端末120の識別情報が関連付けて記憶されていてもよい。たとえば、複数の同一の店舗に設置された操作端末120(ATM)が複数台であって、3次元造形機130が1台である場合、装置識別データベースにおいては、複数の操作端末120の識別情報に1つの3次元造形機130の識別情報が関連付けて記憶される。
(印影管理システム100の機能的構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の印影管理システム100の機能的構成について説明する。図4は、この発明にかかる実施の形態の印影管理システム100の機能的構成を示すブロック図である。図4において、操作端末120の各機能は、端末制御部411、操作部122、表示部123、出力部412によって実現することができる。端末制御部411は、操作部122、表示部123、出力部412の動作を制御する。
操作部122は、端末制御部411によって制御されて、利用者による所定の入力操作を受け付ける。具体的に、操作部122は、上記の識別情報および認証情報の入力を受け付ける。識別情報は、たとえば、操作端末120を実現するATMに挿入あるいは近づけられたカードが有するメモリに記憶された口座番号を読み取ることによって入力を受け付けることができる。操作端末120を実現するATMにおいては、カードリーダライタ228によって操作部122の機能の一部を実現することができる。
認証情報の入力は、たとえば、暗証番号の入力を受け付けたり、掌や指先の静脈パターンなどの生体認証情報を読み取ったりすることによっての入力を受け付けることができる。暗証番号の入力を受け付けることによって認証情報の入力を受け付ける場合、タッチパネル225によって操作部122の機能の一部を実現することができる。掌や指先の静脈パターンなどの生体認証情報を読み取ることによって認証情報の入力を受け付ける場合、当該静脈パターンなどの生体認証情報を読み取る生体情報読取装置によって、操作部122の機能の一部を実現することができる。
表示部123は、端末制御部411によって制御されて、タッチパネル225による操作位置(各種のキーの位置)を示す画像や、操作内容を案内するメッセージなどを表示する。出力部412は、端末制御部411によって制御されて、操作部122が入力を受け付けた内容に応じた各種の処理要求や、操作部122が入力を受け付けた各種の情報などを印影管理装置110に出力する。
印影管理装置110の各機能は、要求取得部421、記憶部422、管理装置制御部423、指示出力部424によって実現することができる。記憶部422は、印影情報データベース320、認証情報データベース310、装置識別データベースなどの各種のデータベースを記憶する。記憶部422は、たとえば、印影管理装置110を実現するコンピュータ装置が備えるHD215によって実現することができる。
要求取得部421は、操作端末120から出力された各種の処理要求を取得する。要求取得部421は、たとえば、操作端末120から出力された認証要求を取得する。要求取得部421は、たとえば、印影管理装置110を実現するコンピュータ装置が備えるネットワークI/F216によって実現することができる。
管理装置制御部423の機能は、認証処理部425、印影情報特定部426、立体造形指示合成部427の各部の機能によって実現することができる。管理装置制御部423(認証処理部425、印影情報特定部426、立体造形指示合成部427)の機能は、たとえば、印影管理装置110を実現するコンピュータ装置が備えるCPU211や、ROM212、RAM213、HD215などのメモリなどによって実現することができる。すなわち、管理装置制御部423の各機能は、ROM212やHD215などに記憶されたプログラムを、RAM213をワークエリアとしてCPU211が実行することによって実現することができる。
認証処理部425は、要求取得部421が認証要求を取得した場合に、当該認証要求に基づいて、認証情報記憶部を参照し、当該認証要求に含まれる識別情報によって識別される利用者の本人確認にかかる認証処理をおこなう。認証は、たとえば、要求取得部421が取得した認証要求に含まれる識別情報に関連付けられている暗証番号が、認証情報データベース310において当該識別情報に関連付けられている暗証番号と一致するか否かを判断することによっておこなうことができる。
この場合、要求取得部421が取得した認証要求に含まれる識別情報に関連付けられている暗証番号が、認証情報データベース310において当該識別情報に関連付けられている暗証番号と一致したことをもって、正常に認証ができた(本人確認がおこなわれた)と判断することができる。認証処理は、暗証番号に代えて、生体認証情報を用いておこなってもよい。また、認証処理は、暗証番号と生体認証情報とを併用しておこなってもよい。
認証処理は、認証情報データベース310を参照して、少なくとも、操作端末において入力を受け付けた認証情報に基づいておこなうものであってもよい。すなわち、カード情報を用いず、認証情報に基づいておこなうものであってもよい。この場合、操作端末において入力を受け付けた認証情報が、認証情報データベース310にあらかじめ登録された認証情報であるか否かを判断することにより、利用者の本人確認にかかる認証処理をおこなう。
具体的な運用としては、たとえば、大規模な災害、火事などにより被災したために、銀行などの金融機関が発行したカードを紛失した利用者が、銀行の店舗におもむき、当該利用者の住所や生年月日などを申告して本人確認をおこない、銀行員などが所定の操作をおこなうことによって預金口座を指定する。利用者は、預金口座が指定された状態で、認証情報を入力する。これによって、カード情報を用いることなく認証処理を実現することができる。
さらに、この場合、暗証番号と生体認証情報とを併用した認証処理をおこなうことが好ましい。これにより、上記のような銀行員による預金口座を指定する操作を経ることなく認証処理をおこない、本人確認をおこなうことができる。このように、認証情報のみを用いて認証処理をおこなうことにより、たとえば、大規模な災害、火事などにより被災したために、銀行などの金融機関が発行したカードを紛失した利用者であっても、当該利用者の本人確認をおこなうことができ、セキュリティ性を確保することができる。
印影情報特定部426は、要求取得部421が取得した認証要求に含まれる識別情報に基づいて、印影情報を特定する。印影情報特定部426は、認証処理部425の認証処理による本人確認がおこなわれた場合、印影情報データベース320を参照して、認証処理による本人確認がおこなわれた識別情報と一致する識別情報に関連付けて記憶されている印影情報を特定する。
立体造形指示合成部427は、印影情報特定部426が特定した印影情報に基づいて、上述した立体の造形に関する情報(立体造形指示ファイル)を合成する。立体造形指示合成部427は、たとえば、上記の印影情報データベース320(3次元情報記憶部)を参照して、印影情報特定部426が特定した印影情報に関連付けて記憶されている3次元情報を取得する。そして、取得した3次元情報と、当該3次元情報があらわす立体の造形を指示する印刷指示とを組み合わせて立体造形指示ファイルを合成する。これにより、当該立体造形指示ファイルに含まれる印刷指示にしたがって印刷をおこなう3次元造形機130によって、外観形状が原本の印章と同じ印章を作成(複製)することができる。
印影情報データベース320が記憶する3次元情報は、印章の外表面より内側における所定形状の空洞の形状に関する情報を含んでいるため、立体造形指示合成部427が合成した立体造形指示ファイルに含まれる印刷指示にしたがって印刷をおこなう3次元造形機130は、外観形状が原本の印章と同じであって、外表面より内側に所定形状の空洞を有する印章を作成(複製)する。
また、立体造形指示合成部427は、特定した印影情報に基づいて、当該印影情報が示す印影および所定の識別情報を組み合わせた臨時印影を示す臨時印影情報を生成し、生成した臨時印影情報に基づいて、当該臨時印影情報が示す臨時印影を転写対象物に転写可能な印面を有する印章の外形状をあらわす3次元情報に基づく立体造形指示ファイルを合成してもよい。
この場合、立体造形指示合成部427は、たとえば、上記のように、印影情報が示す印影に、所定の文字や記号、あるいは、臨時印影情報の生成年月日を示す文字列を組み合わせた画像を示す情報を臨時印影情報として生成する。そして、生成した臨時印影情報に基づいて3次元情報を生成し、当該3次元情報に基づく立体造形指示ファイルを合成する。
臨時印影情報を生成する場合、立体造形指示合成部427は、たとえば、印影情報データベース320を参照して、印影情報特定部426が特定した印影情報に関連付けて記憶されている3次元情報を取得する。そして、生成した臨時印影情報および取得した3次元情報に基づいて、当該取得した3次元情報があらわす外形状をなす印章の印面を、臨時印影情報が示す臨時印影を転写対象物に転写可能な印面に変更した印章をあらわす3次元情報を生成し、生成した3次元情報があらわす立体の造形を指示する印刷指示を含む立体造形指示ファイルを合成する。これにより、外観形状が原本の印章と同じであって、印面が異なる臨時印章を生成することができる。
臨時印影情報を生成するか否かは、たとえば、印影管理システム100の管理者などが任意に設定することができる。あるいは、臨時印影情報を生成するか否かは、たとえば、印影管理システム100の利用者が、任意に設定できるものであってもよい。さらに、この場合、印影情報に基づく印章を作成(複製)するごとに、臨時印影情報を生成するか否かを利用者が逐次指定することができるようにしてもよい。
この場合、管理装置制御部423は、立体造形指示合成部427が臨時印影情報を生成するごとに、記憶部422を制御して印影情報データベース320を更新し、当該臨時印影情報を、当該臨時印影情報にかかる識別情報に関連付けて印影情報データベース320に記憶する。この場合、管理装置制御部423は、立体造形指示合成部427が臨時印影情報を生成するごとに、記憶部422を制御して印影情報データベース320を更新し、当該臨時印影情報を生成した店舗の識別情報や、年月日および時刻に関する情報を記憶してもよい。これにより、いつ、どこで印章が作成(複製)されたか、過去にいくつの印章が作成(複製)されたかを管理することができる。
指示出力部424は、操作端末120や3次元造形に対して各種の指示を出力する。指示出力部424は、たとえば、立体造形指示合成部427が合成した立体造形指示ファイルを、要求取得部421が取得した認証要求の出力元となる操作端末120に対応付けられた3次元造形機130に出力する。指示出力部424は、装置識別データベースを参照して、要求取得部421が取得した認証要求の出力元となる操作端末120の識別情報に関連付けて記憶されている3次元造形機130の識別情報を特定し、特定された3次元造形機130の識別情報に対して、立体造形指示合成部427が合成した立体造形指示ファイルを出力する。指示出力部424は、たとえば、印影管理装置110を実現するコンピュータ装置が備えるネットワークI/F216によって実現することができる。
管理装置制御部423は、指示出力部424が立体造形指示ファイルを出力するごとに、記憶部422を制御して印影情報データベース320を更新し、当該立体造形指示ファイルにかかる3次元情報を、当該3次元情報にかかる識別情報に関連付けて印影情報データベース320に記憶する。また、管理装置制御部423は、立体造形指示合成部427が臨時印影情報を生成するごとに、記憶部422を制御して印影情報データベース320を更新し、当該臨時印影情報を、当該臨時印影情報にかかる識別情報に関連付けて印影情報データベース320に記憶する。
また、管理装置制御部423は、指示出力部424が立体造形指示を出力するごとに、当該立体造形指示の出力先となる3次元造形機130の識別情報と、当該立体造形指示にかかる印影情報と、を関連付けて印影情報データベース320などに記憶してもよい。これにより、いずれの3次元造形機130(3次元造形機130が設置されている店舗)で複製印章を作成したかを確認することができる。
3次元造形機130の機能は、指示受付部431、印刷情報展開部432、印刷機構制御部433の各部の機能によって実現することができる。指示受付部431は、印影管理装置110から出力された立体造形指示ファイルを受け付ける。指示受付部431は、たとえば、3次元造形機130が備えるネットワークI/F234によって実現することができる。
印刷情報展開部432は、指示受付部431が受け付けた立体造形指示ファイルに基づいて、印刷イメージデータをメモリ上に展開する。印刷情報展開部432は、たとえば、3次元造形機130が備えるCPU231や、ROM232、RAM233などのメモリなどによって実現することができる。
印刷機構制御部433は、印刷情報展開部432がメモリ上に展開した印刷イメージデータに基づいて、3次元造形機130が備える各部を駆動制御する。印刷機構制御部433は、キャリッジ移動用のモータのモータドライバ235やテーブル昇降用のモータのモータドライバ236を駆動制御したり、光源237やレーザ光源の点灯/消灯を駆動制御したりする。
印刷機構制御部433は、たとえば、モータドライバ235、236、光源237、レーザ光源などを駆動制御するCPU231や、ROM232、RAM233などのメモリなどによって実現することができる。すなわち、印刷情報展開部432や印刷機構制御部433の機能は、ROM212やHD215などに記憶されたプログラムを、RAM213をワークエリアとしてCPU211が実行することによって実現することができる。
(印影管理システム100の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100の処理手順について説明する。この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100においては、まず、操作端末120において、複製印章の発行にかかる入力操作を受け付けるまで待機する。複製印章の発行にかかる入力操作に際しては、利用者の識別情報の入力と、当該識別情報によって識別される利用者の認証情報の入力と、をおこなわせる。複製印章の発行にかかる入力操作を受け付けた場合、入力を受け付けた識別情報および認証情報に基づいて認証要求を生成し、生成した認証情報を印影管理装置110へ出力する。
図5は、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100における印影管理装置110の処理手順を示すフローチャートである。図5のフローチャートにおいて、印影管理装置110は、まず、操作端末120から出力された認証要求を受け付けるまで待機する(ステップS501:No)。
操作端末120から出力された認証要求を受け付けた場合(ステップS501:Yes)、受け付けた認証要求に基づいて認証処理をおこなう(ステップS502)。ステップS502においては、上記のように、認証情報データベース310を参照して、認証要求に含まれる識別情報によって識別される利用者の本人確認にかかる認証処理をおこなう。ステップS502においては、認証情報のみによって、利用者の本人確認にかかる認証処理を実現してもよい。
つぎに、ステップS502においておこなった認証処理の結果、当該認証処理による本人確認がおこなわれたか否かを判断する(ステップS503)。ステップS503において、ステップS502における認証処理による本人確認がおこなわれた場合(ステップS503:Yes)、印影情報データベース320を参照して、当該認証処理による本人確認がおこなわれた識別情報と一致する識別情報に関連付けて記憶されている印影情報を特定する(ステップS504)。
つぎに、ステップS504において特定した印影情報に基づいて、印影情報データベース320を参照して、当該印影情報が示す印影を転写対象物に転写可能な印面を有する印章の外形状をあらわす3次元情報を取得する(ステップS505)。ステップS505においては、臨時印影情報を生成するか否かを判断し、臨時印影情報を生成する場合は、ステップS504において特定した印影情報に基づいて臨時印影情報を生成し、臨時印影情報が示す臨時印影を転写対象物に転写可能な印面に変更した印章をあらわす3次元情報を生成してもよい。
そして、ステップS505において取得(あるいは生成)した3次元情報に基づいて、当該3次元情報があらわす立体の造形を指示する立体造形指示ファイルを合成する(ステップS506)。つぎに、装置識別データベースを参照して、立体造形指示ファイルの出力先の識別情報(出力先識別コード)を取得する(ステップS507)。ステップS507においては、たとえば、ステップS501:Yesにおいて受け受けた認証要求の送信元となる操作端末120の識別情報に関連付けて記憶されている出力先の識別情報(出力先識別コード)、具体的には、3次元造形機130の識別情報を、立体造形指示ファイルの出力先として取得する。
つぎに、ステップS506において合成した立体造形指示ファイルを、ステップS507において取得した出力先の識別情報(出力先識別コード)によって識別される出力先に対して出力するとともに(ステップS508)、ステップS508において出力した立体造形指示ファイルの出力先の識別情報(出力先識別コード)を印影情報データベース320に記録して(ステップS509)、一連の処理を終了する。
ステップS508において出力した立体造形指示ファイルの出力先が3次元造形機130である場合、当該3次元造形機130は、当該立体造形指示ファイルを受け付けると、当該立体造形指示ファイルに基づいて印刷イメージデータをメモリ上に展開する。3次元造形機130は、ステップS508において印影管理装置110から出力された立体造形指示ファイルを受け付けるまで待機している。そして、ステップS508において印影管理装置110から出力された立体造形指示ファイルを受け付けた場合、当該立体造形指示ファイルに基づいて、印刷イメージデータをメモリ上に展開し、展開した印刷イメージデータに基づいて、3次元造形機130が備える各部を駆動制御して複製印章の印刷をおこなう。これにより、外観形状が原本の印章と同じであって、外表面より内側に所定形状の空洞(すかし)を有する印章(複製印章)を作成(複製)することができる。
ステップS508において出力した立体造形指示ファイルの出力先が所定の記憶媒体である場合、当該記憶媒体が接続されたコンピュータ装置は、当該立体造形指示ファイルに含まれる3次元情報を記憶する。あるいは、ステップS508において出力した立体造形指示ファイルの出力先が記憶装置である場合も同様に、当該記憶装置は、当該立体造形指示ファイルに含まれる3次元情報を記憶する。
ステップS503において、ステップS502における認証処理による本人確認がおこなわれなかった場合(ステップS503:No)、すなわち、ステップS502における認証処理の結果、本人であることの確認がとれなかった場合、所定のエラー処理をおこなって(ステップS510)、一連の処理を終了する。
上述した実施の形態1の印影管理システム100においては、預金口座の開設時などに、銀行員などによって印影情報を登録する例について説明したが、印影情報の登録方法はこれに限るものではない。印影管理システム100においては、たとえば、利用者がインターネットなどのネットワークを介して印影管理装置110にアクセスすることによって、当該利用者が任意のタイミングで、印影情報を登録あるいは更新できるようにしてもよい。
この場合、たとえば、利用者は、自身のパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いて、インターネットなどのネットワークを介して印影管理装置110にアクセスする。アクセスに際しては、所定の認証処理をおこなう。当該所定の認証処理は、たとえば、インターネットバンキングなどと称されるサービスの仕組みを利用して容易に実現可能であるため説明を省略する。利用者は、所定の認証処理をおこなった後、2次元スキャナなどを用いてあらかじめ読み取った印影の印影情報の登録や更新の作業をおこなう。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100は、少なくとも利用者の認証に用いる認証情報を記憶する認証情報データベース310を参照し、操作端末120において入力を受け付けた識別情報および認証情報に基づく認証処理により、当該識別情報によって識別される利用者の本人確認がおこなわれた場合、印影情報データベース320を参照して該当する印影情報を特定する。そして、特定した印影情報に基づいて、複製印章の外形状をあらわす3次元情報に基づく立体造形指示ファイルを合成し、合成した立体造形指示ファイルを該当する3次元造形機130に出力する。これにより、該当する3次元造形機130において、利用者が銀行などの金融機関における現金出金などに際して必要となる印影と同じ印影を転写可能な印章を作成(複製)することができる。
このように、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100によれば、利用者に常時銀行印を携帯させることなく、また、銀行などの金融機関における約款を変更することなく、従来と同じ手続きによって現金出金を実現することができる。これによって、銀行などの金融機関における現金出金などの窓口業務の手続きのように、特定の印影を用いる金銭の出納手続きに際しての利用者の利便性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100によれば、上記のように利用者の利便性の向上を図ることにより、銀行などの金融機関における窓口での取引を活性化することができる。これにより、たとえば、窓口を利用して現金出金をおこなう利用者に対して出金した現金の用途などを確認する機会をつくることができる。
そして、出金した現金の用途などを確認する機会、すなわち銀行員と利用者とが直接会話する機会を設けることにより、銀行員が現金出金の必要性や不審性の有無を判断しやすくなるので、「振り込め詐欺」などと称される、不正な金銭の振り込みを要求する犯罪行為の防止に寄与することができる。
また、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100によれば、認証情報のみに基づいておこなわれた本人確認の結果に応じて複製印章を作成することができる。これにより、たとえば、大規模な災害、火事などにより被災したために、銀行などの金融機関が発行したカードを紛失した利用者であっても、複製印章を用いて現金出金の手続きをおこなうことができる。そして、これにより、上記のような被災者(利用者)に対して、当該利用者が生活や復帰のために必要とする現金を、セキュリティ性を確保したまま、迅速に出金することができ、利用者の利便性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100は、3次元情報記憶部を実現する印影情報データベース320を参照して、印影管理システム100が特定した印影情報に関連付けて記憶されている3次元情報を取得し、取得した3次元情報があらわす立体造形指示ファイルを合成することを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100によれば、原本となる印章と同一の印章を作成(複製)することができるので、銀行などの金融機関における約款を変更することなく、従来と同じ手続きによって現金出金を実現することができる。これによって、銀行などの金融機関を利用する利用者の利便性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100は、認証処理による本人確認がおこなわれた場合、印影情報データベース320を参照して該当する印影情報を特定し、特定した印影情報に基づいて臨時印影情報を生成し、生成した臨時印影情報に基づいて、臨時印影を転写可能な印章の外形状をあらわす3次元情報に基づく立体造形指示ファイルを合成し、合成した立体造形指示ファイルを該当する3次元造形機130に出力することができる。これにより、該当する3次元造形機130において、臨時印影と同じ印影を転写可能な印章を作成することができる。
そして、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100は、臨時印影情報を生成するごとに、当該臨時印影情報を、当該臨時印影情報にかかる識別情報に関連付けて印影情報データベース320に記憶することを特徴としている。これにより、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100によれば、臨時印影を転写対象物に転写可能な印面を有する印章を作成した銀行などの金融機関において、当該臨時印影が正規の印影(原本となる印章の印影)に基づいて生成された印影であるか否かを検証することができる。
これによって、銀行などの金融機関において臨時印影にかかる印章を用いた現金出金を可能とするとともに、原本となる印章と同一の印章が複数存在することをなくし、銀行などの金融機関を利用する際のセキュリティ性を確保したまま、利用者の利便性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100は、印章情報データベースを参照して該当する3次元情報を取得し、取得した3次元情報と臨時印影情報とに基づいて、当該取得した3次元情報があらわす外形状をなす印章の印面を、臨時印影を転写対象物に転写可能な印面に変更した印章をあらわす3次元情報を生成し、生成した3次元情報があらわす立体造形指示ファイルを合成することができる。
この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100によれば、臨時印影を転写対象物に転写可能な印面を有し、持ち手部分が原本となる印章と同一の外形状の印章を作成することができる。これにより、利用者に原本となる印章を持ち出させることなく、従来と同じ手続きによって現金出金を実現することができる。
原本となる印章を持ち出させることをなくすことで、当該原本となる印章を紛失したり盗られたりする機会を減らすことができる。これにより、原本となる印章と同一の印章が複数存在することをなくし、銀行などの金融機関を利用する際のセキュリティ性を確保したまま、利用者の利便性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100は、立体造形指示ファイルを出力するごとに、当該立体造形指示ファイルにかかる3次元情報を、当該3次元情報にかかる識別情報に関連付けて印影情報記憶部に記憶することを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100によれば、印章を作成(複製)するごとに、当該印章の外表面より内側に設けられる空洞の形状を異ならせた場合にも、各印章(複製印章)が正規の印章(複製印章)であるか否かを容易に判別することができる。また、利用者は、外表面より内側に設けられる空洞の形状を印章ごとに異ならせることにより、利用者自身による印章(複製印章)の管理を容易化することができる。
すなわち、印章(複製印章)を複数作成した場合にも、各印章(複製印章)を光にかざしてみるだけでそれぞれを識別することができる。これにより、利用者は、銀行などの金融機関に出向くことなく、各印章(複製印章)を当該利用者自身のルールによって管理することができる。
また、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100は、3次元情報が、印面の形状、当該印面に隣接する印側の形状、当該印側に隣接し当該印側を間にして前記印面とは反対側に設けられた天の形状、および、印章の外表面より内側に設けられる所定形状の空洞の形状に関する情報を含むことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100によれば、3次元スキャナでは読み取りにくい、印章の外表面より内側に所定形状の空洞を有する印章を複製印章として作成することができる。これにより、たとえば、印影管理システム100を採用した銀行において原本となる印章を保管するとともに、銀行の窓口における現金出金の手続きに際しては持ち手部分のすかしを確認する作業をおこなう運用とすることで、不正に複製された印章を用いた、不正な現金出金の手続きがおこなわれることを防止できる。
また、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100は、認証情報データベース310が、利用者の識別情報と当該利用者の認証に用いる認証情報とを関連付けて記憶し、前記操作端末において入力を受け付けた識別情報および認証情報に基づいて、識別情報によって識別される利用者の本人確認にかかる認証処理をおこなうことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100によれば、カードが備える記憶媒体に記憶されたカード情報などの利用者の識別情報と、認証情報データベース310において当該識別情報に関連付けて記憶されている暗証番号や生体認証情報などの認証情報と、に基づいて認証処理をおこなうことにより、確実に本人確認をおこなうことができる。
また、この発明にかかる実施の形態1の印影管理システム100によれば、ATMにおいて現金を引き出す際の操作と同様の操作によって本人確認をおこない、複製印章を作成することができるので、利用者に負担をかけることなく複製印章を作成することができる。これにより、セキュリティ性を確保したまま、利用者の利便性の向上を図ることができる。
(実施の形態2)
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の印影管理システム100について説明する。実施の形態2の印影管理システム100においては、上述した実施の形態1の印影管理システム100と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
この発明にかかる実施の形態2の印影管理装置110が備える立体造形指示合成部427は、印影情報データベース320を参照して取得した3次元情報に代えて、印影情報特定部426が特定した印影情報に基づいて、当該印影情報が示す印影を転写対象物に転写可能な印面を有する印章の外形状をあらわす3次元情報を生成する点が、実施の形態1と異なる。
3次元情報は、たとえば、3次元スキャナなどを用いて読み取った3次元造形物の外形状をあらわす情報によって実現することができる。この場合、3次元スキャナなどを用いて形状を読み取る3次元造形物は、あらかじめ定められた複数の3次元造形物の中から利用者が選択した3次元造形物とすることができる。あるいは、この場合、3次元スキャナなどを用いて形状を読み取る3次元造形物は、利用者が用意した3次元造形物であってもよい。
3次元スキャナによる読み取り対象とする3次元造形物のサイズは、当該読み取りをおこなう3次元スキャナによって読み取りが可能なサイズであれば、印面の形状に左右されない。たとえば、野球のバット、テニスのラケットなどのように、実物のサイズがあきらかに印章のサイズとして不適切である3次元造形物を読み取り対象とする場合、印影情報データベース320は、実際の3次元造形物を複製印章のサイズなどに応じて縮小した3次元情報を記憶する。
また、3次元情報は、たとえば、印影管理システム100の管理者などがあらかじめ設定した複数種類の3次元造形物をあらわす3次元情報の中から、利用者が任意に選択した形状の3次元造形物をあらわす3次元情報であってもよい。3次元情報は、たとえば、預金口座の開設時に、銀行員が3次元スキャナなどを用いて、該当する3次元造形物の外形状を読み取ることによって登録することができる。
また、3次元情報は、3次元スキャナなどを用いて読み取ることによって取得されたものに限らず、たとえば、3次元CAD(Computer Aided Design)などと称されるコンピュータ支援設計ソフトウエアシステムなどを用いて設計(生成)されたものであってもよい。
具体的に、実施の形態2の印影管理装置110が備える立体造形指示合成部427は、3次元スキャナなどを用いて読み取ることによって、あるいは、3次元CADなどを用いることによって生成した3次元情報と、当該3次元情報があらわす立体の造形を指示する印刷指示とを組み合わせて立体の造形に関する情報を合成する。これにより、原本の印章の形状に拘わらず、合成された立体の造形に関する情報に基づく3次元造形機130における印刷によって印刷される印章の持ち手の形状を、任意の形状とすることができる。
また、実施の形態2の印影管理装置110が備える立体造形指示合成部427は、上記の臨時印影を示す臨時印影情報を生成し、生成した臨時印影情報に基づいて、当該臨時印影情報が示す臨時印影を転写対象物に転写可能な印面を有する印章の外形状をあらわす3次元情報に基づく立体の造形に関する情報を合成してもよい。
この場合、立体造形指示合成部427は、たとえば、上記のように臨時印影情報を生成し、生成した臨時印影情報に基づいて3次元情報を生成し、当該3次元情報に基づく立体の造形に関する情報を合成する。この場合、臨時印影を転写対象物に転写可能な印面を有し、原本の印章の形状に拘わらない任意の形状の持ち手を備えた印章を作成(複製)することができる。
実施の形態2の印影管理装置110において、管理装置制御部423は、指示出力部424が立体造形指示を出力するごとに、記憶部422を制御して印影情報データベース320を更新し、当該立体造形指示にかかる3次元情報を、当該3次元情報にかかる識別情報に関連付けて印影情報データベース320に記憶する。
実施の形態2の印影管理システム100は、印影情報データベース320が記憶する3次元情報に基づいて印章を複製(複製印章を作成)してもよい。この場合、印影情報データベース320が記憶する3次元情報は、印影情報が示す印影を転写対象物に転写可能な印面を有する印章の外形状をあらわすものであればよく、原本となる印章の外形状とは異なる3次元形状をあらわすものであってもよい。具体的には、印影情報データベース320が記憶する3次元情報は、たとえば、利用者が指定した任意の3次元形状をあらわすものであってもよい。
このように、実施の形態2の印影管理システム100は、持ち手部分が原本となる印章と同じ形状の印章を作成(複製)する実施の形態1の印影管理システム100とは異なり、持ち手部分の形状が原本となる印章の持ち手部分とは異なる印章を作成(複製)することができる。
上述した実施の形態2の印影管理システム100においては、預金口座の開設時などに、銀行員などによって印章の3次元情報を登録する例について説明したが、印章の3次元情報の登録方法はこれに限るものではない。実施の形態2の印影管理システム100においては、上述した実施の形態1において説明したような、インターネットなどのネットワークを利用した印影情報の登録と同様の方法によって、印章の3次元情報の登録を可能としてもよい。
この場合、上述した実施の形態1において説明した方法と同様に、所定の認証処理をおこなった後、3次元スキャナなどを用いて利用者があらかじめ読み取った印章の3次元情報や、当該利用者が指定した任意の3次元形状を示す3次元情報の登録作業を、当該利用者が操作するパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いておこなう。これによって、当該コンピュータ装置における操作によって、利用者による3次元情報の登録や更新を実現することができる。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態2の印影管理システム100は、上記のように特定した印影情報に基づいて、当該印影情報が示す印影を転写対象物に転写可能な印面を有する印章の外形状をあらわす3次元情報を生成し、生成した3次元情報があらわす立体造形指示ファイルを合成することを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態2の印影管理システム100によれば、該当する3次元造形機130において、利用者が銀行などの金融機関における現金出金などに際して必要となる印影と同じ印影を転写可能な印章であって、持ち手部分の外形状が原本となる印章とは異なる印章を作成(複製)することができる。
これにより、銀行などの金融機関における約款を変更することなく、従来と同じ手続きによって現金出金を実現することができる。これによって、銀行などの金融機関を利用する利用者の利便性の向上を図ることができる。また、銀行などの金融機関において臨時印影にかかる印章を用いた現金出金を可能とするとともに、原本となる印章と同一の印章が複数存在することをなくすことができるので、銀行などの金融機関を利用する際のセキュリティ性を確保したまま、銀行などの金融機関における現金出金などの窓口業務の手続きのように、特定の印影を用いる金銭の出納手続きに際しての利用者の利便性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態2の印影管理システム100は、立体造形指示を出力するごとに、当該立体造形指示にかかる3次元情報を、当該3次元情報にかかる識別情報に関連付けて印影情報データベース320に記憶することを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態2の印影管理システム100によれば、印章を作成(複製)するごとに、当該印章(複製印章)の外形状、および、当該印章(複製印章)の外表面より内側に設けられる空洞の形状を異ならせた場合にも、印影情報データベース320に記憶された3次元情報を用いて、各印章(複製印章)が正規の印章(複製印章)であるか否かを容易に判別することができる。
上述した実施の形態1および実施の形態2においては、印影管理装置110が印刷指示を含む立体の造形に関する情報(立体造形指示ファイル)を生成して出力するようにしたが、立体の造形に関する情報はこれに限るものではない。立体の造形に関する情報(立体造形指示ファイル)は、たとえば、3次元情報に基づく立体の造形を指示する印刷指示に代えて、あるいは加えて、3次元情報の記憶を指示する記憶指示を含んでいてもよい。この場合、立体の造形に関する情報(立体造形指示ファイル)は、たとえば、印影情報特定部426が特定した印影情報が示す印影を転写対象物に転写可能な印面を有する印章の外形状をあらわす3次元情報と、当該3次元情報の記憶を指示する記憶指示と、を含んで構成することができる。
この場合の印影管理システム100においては、立体の造形に関する情報(立体造形指示ファイル)を、3次元造形機130に代えて、立体の造形に関する情報(立体造形指示ファイル)に含まれる記憶指示にしたがって起動するプログラムがインストールされているパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置に出力することができる。この場合、印影管理装置110から出力された立体の造形に関する情報(立体造形指示ファイル)を受信したコンピュータ装置において、記憶指示にしたがってプログラムを起動させ、印影管理装置110から出力された立体造形指示ファイルに含まれる3次元情報を記憶させることができる。
また、立体の造形に関する情報(立体造形指示ファイル)が印刷指示に代えて記憶指示を含む場合においても、上記の印刷指示の場合と同様に、当該記憶指示に代えて、印影管理装置110から出力された立体造形指示ファイルを受信したコンピュータ装置に、当該立体の造形に関する情報(立体造形指示ファイル)に含まれる3次元情報を記憶することができるプログラムをインストールしておいてもよい。これにより、立体の造形に関する情報(立体造形指示ファイル)に含まれる記憶指示にしたがって起動するプログラムがインストールされていないコンピュータ装置に対しても、印章の外形状をあらわす3次元情報を記憶させることができる。
(実施の形態3)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の印影管理システム100について説明する。実施の形態3の印影管理システム100においては、上述した実施の形態1および実施の形態2の印影管理システム100と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
この発明にかかる実施の形態3の印影管理システム100においては、3次元造形機130に代えて、あるいは3次元造形機130に加えて、印影管理装置110に接続された外部装置に対して立体の造形に関する情報を出力することができる。立体の造形に関する情報の出力先となる外部装置は、たとえば、印影管理装置110に直接接続された記憶媒体や記憶装置によって実現することができる。
具体的には、立体の造形に関する情報の出力先となる記憶媒体は、たとえば、USBメモリなどのフラッシュメモリやCD−ROMなどの公知の各種の記憶媒体(可搬性の良好な記憶媒体)によって実現することができる。また、立体の造形に関する情報の出力先となる記憶装置は、たとえば、印影管理装置110を実現するコンピュータ装置とは別体で設けられたコンピュータ装置や、印影管理装置110を実現するコンピュータ装置にUSBケーブルなどを介して接続される外付け型の外部記憶装置などによって実現することができる。また、立体の造形に関する情報の出力先となる外部装置は、たとえば、インターネットなどのネットワークを介して印影管理装置110に通信可能に接続されたコンピュータ装置であってもよく、当該コンピュータ装置に接続された記憶媒体や記憶装置であってもよい。
さらに、立体の造形に関する情報の出力先となる外部装置を実現する記録媒体や記憶装置は、コンピュータに接続されている形態に限るものではない。立体の造形に関する情報の出力先となる外部装置を実現する記録媒体や記憶装置は、直接、ネットワークにつながるものであってもよい。たとえば、NAS(Network Attached Storage)などと称され、ネットワークに直接接続して使用することができる、通信機能を備えた記憶媒体や記憶装置によって、立体の造形に関する情報の出力先となる外部装置を実現してもよい。具体的には、たとえば、「Wi−Fi付SDメモリ」や「Wi−Fi付USBメモリ」などを、立体の造形に関する情報の出力先となる外部装置を実現することができる。
「Wi−Fi付SDメモリ」や「Wi−Fi付USBメモリ」などの、通信機能を備えた記憶媒体や記憶装置が、動作に際して別途電源の供給を要する場合、当該記憶媒体や当該記憶装置を、デジタルカメラなどその他の電気機器を電源として接続したり、コンセントに接続したりすることによって、当該記憶媒体や当該記憶装置を上記のとおり機能させることができる。通信機能を備えた記憶媒体や記憶装置が充電池を内蔵している場合は、この限りではなく、通信機能を備えた記憶媒体や記憶装置単体によって、立体の造形に関する情報の出力先(格納先)を実現することができる。
この発明にかかる実施の形態3の印影管理システム100における立体造形指示ファイルは、印影情報特定部426が特定した印影情報が示す印影を転写対象物に転写可能な印面を有する印章の外形状をあらわす3次元情報と、当該立体造形指示ファイルに基づく処理の実行を指示する実行指示と、を含んでいる。立体造形指示ファイルに基づく処理は、たとえば、立体造形指示ファイルを当該立体造形指示ファイルを受信した外部装置において記憶する処理や、当該記憶する処理が正常に完了したこと示す事後報告情報を印影管理装置110に送信する処理などによって実現することができる。
事後報告情報は、たとえば、立体造形指示ファイルの出力元である印影管理装置110の識別情報(印影管理装置110に割り当てられたアドレスやURIなど)、記憶した立体造形指示ファイルの有効期間、記憶した立体造形指示ファイルが有効であるか無効であるかを示す有効フラグ、立体造形指示ファイルの出力先の識別情報(出力先識別コード)、立体造形指示ファイルにかかる印章を識別可能な印影識別情報などを含む。この場合、立体造形指示ファイルの出力先の識別情報(出力先識別コード)は、たとえば、立体造形指示の出力先となる記憶媒体あるいは記憶装置が接続されたコンピュータ装置の製造番号や、当該記憶媒体あるいは記憶装置に割り当てられたIPアドレスやMACアドレスなどによって実現することができる。
また、この場合の立体造形指示ファイルは、当該立体造形指示ファイルに基づく処理が正常に完了したことの通知対象となる印影管理装置110に関する指示発行元情報を含んでいてもよい。指示発行元情報は、立体造形指示ファイルの出力元となる印影管理装置110の識別情報(サーバ名、ドメイン名、マシン名など)、立体造形指示ファイルの出力のトリガとなった操作端末120が設置された支店名、立体造形指示ファイルの出力日時、出力した立体造形指示ファイルにかかる利用者名、および、立体造形指示ファイルにかかる印章を識別可能な印影識別情報などを含む。
この発明にかかる実施の形態3の印影管理システム100は、立体造形指示ファイルの出力先の候補となる外部装置の識別情報を記憶するデータベースを備えていてもよい。このデータベースにおいては、操作端末120の識別情報に関連付けて、各操作端末120において受け付けた操作に応じて立体造形指示ファイルを記憶することが可能な外部装置の識別情報を記憶する。これにより、印影管理装置110は、認証要求を受け付けた操作端末120に対応する外部装置を選択し、選択した外部装置に対して立体造形指示ファイルを出力し、当該外部装置(当該外部装置に接続された記憶媒体や記憶装置)に立体造形指示ファイルを記憶させることができる。
(印影管理装置110の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の印影管理システム100における印影管理装置110の処理手順について説明する。図6は、この発明にかかる実施の形態3の印影管理装置110の処理手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートにおいて、印影管理装置110は、ステップS601からステップS608において、上述した図5におけるステップS501からステップS508と同様の処理をおこなう。
ステップS608において立体造形指示ファイルを出力した後、ステップS607において取得した出力先の識別情報(出力先識別コード)によって識別される出力先に対して指示発行元情報を出力する(ステップS609)。その後、ステップS609において指示発行元情報を出力した外部装置に対して、事後報告情報の出力先を示す事後報告先情報を出力して(ステップS610)、一連の処理を終了する。ステップS603において、ステップS602における認証処理による本人確認がおこなわれなかった場合(ステップS603:No)、すなわち、ステップS602における認証処理の結果、本人であることの確認がとれなかった場合、所定のエラー処理をおこなって(ステップS611)、一連の処理を終了する。
(外部装置の処理手順・その1)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の印影管理システム100における外部装置の処理手順について説明する。図7は、この発明にかかる実施の形態3の外部装置の処理手順を示すフローチャートである。図7のフローチャートにおいて、まず、上記のステップS608において出力された立体造形指示ファイルを読み込む(ステップS701)。つぎに、上記のステップS609において出力された指示発行元情報を読み込む(ステップS702)とともに、上記のステップS610において出力された事後報告先情報を読み込む(ステップS703)。
そして、ステップS701〜ステップS703において読み込んだ各情報に基づいて、立体造形指示ファイルを外部装置に出力し(ステップS704)、出力した立体造形指示ファイルを外部装置に記憶させる。その後、ステップS701において読み込んだ立体造形指示ファイルの出力元となる印影管理装置110に対して、事後報告情報を送信して(ステップS705)、一連の処理を終了する。
上述した実施の形態1や実施の形態2の印影管理システム100においては、「原本となる印章の3次元情報を取得(読み取りなど)し、取得した3次元情報を編集し(臨時印影画像など)、編集した3次元情報に基づく立体の造形に関する情報にしたがって複製印章を作成(印刷)する」という一連の処理を、閉じられた印影管理システム100においておこなうようにしたが、これに限るものではない。この発明にかかる実施の形態3の印影管理システム100においては、記憶媒体などの外部装置に記憶させた立体の造形に関する情報を、たとえば、コンビニエンスストアなどに設置された3次元造形機(印影管理システム100の外部に存在する3次元造形機)に読み取らせ、当該3次元造形機において読み取らせた情報(立体の造形に関する情報)にしたがった印刷をおこなうことによって、複製印章を作成(印刷)することができる。
このように、立体の造形に関する情報に基づいて、印影管理システム100の外部に存在する3次元造形機(コンビニエンスストアなどに設置された3次元造形機など)において複製印章を作成(印刷)するような環境においては、不特定多数の利用者が複製印章を作成(印刷)することができる。このような環境においては、コンビニエンスストアなどに設置された3次元造形機(印影管理システム100の外部に存在する3次元造形機)が接続されたコンピュータには、立体の造形に関する情報を出力ログが格納される。実施の形態3の印影管理システム100においては、コンビニエンスストアなどに設置された3次元造形機(印影管理システム100の外部に存在する3次元造形機)が接続されたコンピュータに、図8に示す処理を実行するエージェントプログラムがインストールされている。
(外部装置の処理手順・その2)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の印影管理システム100における外部装置の処理手順について説明する。図8は、この発明にかかる実施の形態3の外部装置の処理手順を示すフローチャートである。図8のフローチャートに示した処理は、この発明にかかる実施の形態3の印影管理システム100における外部装置にインストールされたエージェントプログラムを実行することにより実現される。この発明にかかる実施の形態3の印影管理システム100においては、コンビニエンスストアなどに設置された3次元造形機(印影管理システム100の外部に存在する3次元造形機)が接続されたコンピュータによって、外部装置を実現することができる。図8のフローチャートに示した処理は、前回実行してから所定時間が経過するごと、あらかじめ設定された定刻が到来した場合、など所定のタイミングが到来した場合に実行される。
図8のフローチャートにおいて、まず、記憶した立体造形指示ファイルのうち、事後報告情先に事後報告情報の送信が終了していないログ(出力ログ)レコードがあるか否か、すなわち、ログレコードが終了を示すか否かを判断する(ステップS801)。ステップS801においては、印影管理システム100(印影管理装置110)を事後報告情先とし、当該印影管理システム100(印影管理装置110)に対して事後報告情報の送信が完了していないログレコードがあるか否かを判断する。ステップS801において、事後報告情先に事後報告情報の送信が終了していないログレコードがない、すなわち、ログレコードが終了を示す場合(ステップS801:No)、ステップS801に戻り、所定のタイミングが到来するまで待機する。
ステップS801において、事後報告情先に事後報告情報の送信が終了していないログレコードがある、すなわち、ログレコードが終了を示していない場合(ステップS801:Yes)、上述した図7に示した処理を実行することによって生成された出力ログを取得する(ステップS802)とともに、上述した図7におけるステップS703において読み込んだ事後報告先情報を抽出する(ステップS803)。その後、ステップS803において抽出した事後報告先情報に基づいて特定される事後報告先(印影管理装置110)に対して、ステップS803において抽出した事後報告情報を送信して(ステップS804)、一連の処理を終了する。
図8に示したように、エージェントプログラムは、一定時間ごとなど、所定のタイミングが到来するごとに動作して、溜まったログ(出力ログ)を1件1件読み取って、順次、事後報告情報を送るべき先に事後報告情報を送信し、つぎのログを読み込む。読み込むべきつぎのログがない場合、次回、所定のタイミングが到来するまで待機する。