本明細書は試料中の活性再標的化エンドペプチダーゼの有無を測定および標的エンドペプチダーゼの活性/力価を測定する新規のアッセイを提示する。本明細書における新規の細胞ベースのアッセイは、アッセイが試料中のナノモル量の再標的化エンドペプチダーゼを検出することを可能にする細胞、試薬および検出法に依存している。本明細書に開示された細胞ベースのアッセイは再標的化エンドペプチダーゼの複数の機能、例えば、細胞表面の受容体に対する再標的化エンドペプチダーゼ結合、エンドペプチダーゼ受容体複合体の内在化、細胞質内への酵素ドメインの転座、基質の酵素ドメイン切断等を解析するのに役立つ。以下に説明するように、新規の方法および組成物は粗および塊サンプルならびに高度に精製された2本鎖再標的化エンドペプチダーゼおよび処方再標的化エンドペプチダーゼ製品の解析に使用でき、また、自動高速スループットアッセイ形式に適している。
従って、本明細書の1つの態様は、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むエピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体を産生する免疫反応誘導組成物を提示する。免疫反応誘導組成物はSNAP−25抗原とキャリアとの間に柔軟性リンカーが介在し、アジュバンドおよびSNAP−25抗原に結合しているキャリアまたはSNAP−25抗原に結合している柔軟性スペーサと結合しているキャリアのSNAP−25抗原を含む組成物を誘導する免疫反応を含むことができる。BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合できるα−SNAP−25抗体を産生する免疫反応を誘発する全てのSNAP−25抗原は、SNAP−25抗原として有用であり得るように構成されたものであり、限定するものではなく、天然のSNAP−25由来のSNAP−25抗原、天然では存在しないSNAP−25由来のSNAP−25およびSNAP−25の免疫反応性断片を含むSNAP−25抗原、天然のSNAP−25または天然には存在しないSNAP−25由来のSNAP−25を含む。BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合できるα−SNAP−25抗体の産生に有用なSNAP−25抗原は、限定するものではなく、配列番号38を包含するキャリアペプチドに結合したカルボキシル化C末端グルタミンを有するSNAP−25エピトープを含むSNAP−25抗原を含む。BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合できるα−SNAP−25抗体を構成するのに有用な他の免疫反応誘導組成物は、SNAP−25抗原とキャリアとの間に柔軟性リンカーが介在し、限定するものではなく、SNAP−25抗原に(カルボキシル化C末端グルタミンの)結合した柔軟性リンカーに結合したキャリアを含む免疫反応誘導組成物を含む。全てのアジュバンドは、限定するものではなく、ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、完全なアジュバントおよび不完全なアジュバントを含んだ免疫反応誘導組成物において有用であり得るように構成されたものである。
本明細書に開示された別の態様はBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むエピトープに選択的に結合できるα−SNAP−25抗体を産生する方法を提示する。この方法の態様は、(a)本明細書に記載したSNAP−25免疫反応誘導組成物を動物に投与する工程、(b)α−SNAP−25抗体またはα−SNAP−25抗体産生細胞を含む試料を動物から回収する工程、および(c)試料からα−SNAP−25抗体を単離する工程、を含む。本明細書に開示する方法は、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むエピトープに選択的に結合できるα−SNAP−25モノクローナル抗体またはBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むエピトープに選択的に結合できるα−SNAP−25ポリクローナル抗体のいずれかを産生する有用な方法である。
本明細書に開示されたさらに別の態様は、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25を含むエピトープに選択的に結合したα−SNAP−25抗体を提示する。そのようなα−SNAP−25抗体は天然および天然では存在しない抗体に加え、さらにはモノクローナルα−SNAP−25抗体またはポリクローナルα−SNAP−25抗体も含む。BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合するα−SNAP−25抗体として有用なモノクローナルα−SNAP−25抗体は、限定するものではなく、ハイブリドーマ細胞株1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5および3C3E2から産生したモノクローナルα−SNAP−25抗体を含む。
本明細書に開示された更に別の態様は、再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出する免疫を利用した方法を提示する。この方法の態様は、(a)樹立した細胞株由来の細胞を再標的化エンドペプチダーゼを含む試料で処理する工程、ここで該樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼによる再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である、(b)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を処理された細胞から単離する工程、(c)SNAP−25成分を本明細書に開示したα−SNAP−25抗体に接触させる工程および(d)α−SNAP−25抗体およびBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、ここで該抗体−抗原複合体による検出が再標的化エンドペプチダーゼ活性を示す、を含む。工程(c)のα−SNAP−25抗体は任意で固相支持体に結合されてもよい。
本明細書に開示された更に別の態様はオピオイド−TVEMP活性を検出する免疫を利用した方法を提示する。この方法の態様は、(a)再標的化エンドペプチダーゼを取り込むことができる樹立した細胞株由来の細胞であり、樹立した細胞株由来の細胞を再標的化エンドペプチダーゼを含む試料で処理する工程、(b)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25を含むSNAP−25成分から処理した細胞を単離する工程、(c)SNAP−25成分を本明細書に開示したα−SNAP−25抗体に接触させる工程、および(d)抗体−抗原複合体による検出が再標的化エンドペプチダーゼ活性を示し、α−SNAP−25抗体およびBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、を含む。工程(c)のα−SNAP−25抗体は任意で固相支持体に結合してもよい。
本明細書に開示の別の態様は哺乳動物の再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗を測定する方法を提示する。この方法の態様は、(a)抗体を中和するα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の有無を試験する哺乳動物から得た再標的化エンドペプチダーゼを試験試料に添加する工程、(b)再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞であり、樹立した細胞株由来の細胞を試験試料で処理する工程、(c)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を処理された細胞から単離する工程、(d)SNAP−25成分を本明細書に開示したα−SNAP−25抗体に接触させる工程、(e)α−SNAP−25抗体およびBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、(f)試験試料ではなく陰性対照試料を用いて工程a−e工程を繰り返す工程および(g)工程(f)で検出の抗体−抗原複合体の量と比べた工程(e)で検出の抗体−抗原複合体の少量の検出は、α−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の存在を示唆し、工程(f)で検出の抗体−抗原複合体の量を工程(e)で検出の抗体−抗原複合体の量と比較する工程、を含む。工程(d)のα−SNAP−25抗体は任意で固相支持体に結合してもよい。さらに工程(f)の標準試料は、陰性対照試料に加えて陽性対照試料を含むことができる。
ボツリヌス菌、破傷風菌、クロストリジウム・バラティおよび酪酸菌が産生するクロストリジウム毒素は、ヒトおよび他の哺乳類への治療と美容治療に幅広く使われている。ボツリヌス菌株はヒト(BoNT/A、BoNT/B、BoNT/EおよびBoNT/F)、動物(BoNT/C1およびBoNT/D)においてまたは土壌から単離(BoNT/G)されたボツリヌス症の発生を調べて同定されるボツリヌス毒素(BoNTs)の抗原的に異なる7つの血清型を産生する。7つのボツリヌス毒素の血清型の全ては類似する構造と生物特性を有する一方で、例えば、薬理学的性質などの異種的な特性も示す。対照的に、破傷風毒素(TeNT)は、破傷風菌の統一した群により産生される。さらにクロストリジウムの他の2つの種であるクロストリジウム・バラティおよび酪酸菌はBoNT/FおよびBoNT/Eに類似する毒素をそれぞれ産生する。
それぞれのクロストリジウム毒素は、内因性クロストリジウム属の毒素プロテアーゼなどの天然のプロテアーゼまたは環境中で産生される天然のプロテアーゼなどが原因で、後にジスルフィドループ内でタンパク質分解切断によって開裂する約150kDaの単一鎖ポリペプチドとして翻訳される。この翻訳後プロセスは、単一ジスルフィド結合および非共有結合的相互作用によりまとめられている約50kDaの軽鎖(LC)と約100kDaの重鎖(HC)を含む2本鎖分子を生じる。それぞれの成熟した2本鎖分子は機能的に異なる3つのドメインを含む。1)神経伝達物質放出装置のコアとなる成分を特異的に標的とする亜鉛依存性エンドペプチダーゼ活性を包含するメタロプロテアーゼ領域を含むLCに位置する酵素ドメイン、2)細胞内小胞から標的細胞の細胞質内へのLCの放出を促進するHC(HN)のアミノ末端半分以内に含有される転座ドメインおよび3)標的細胞の表面に位置する受容体複合体に対する毒素の結合活性および結合特異性を決定するHC(HC)のカルボキシ末端半分以内に認められる結合ドメイン。
これら3つの機能的ドメインの結合、転座および酵素活性は毒性に必要なものである。このプロセスに関する詳細はまだ正確には明らかになっていないが、クロストリジウム毒素がニューロンに入り神経伝達物質放出を阻害するという総合的な細胞中毒機構は血清型またはサブタイプに係らずに類似している。出願者は以下の記載により限定されることを望まないが、中毒機構は少なくとも4つの工程を含むものとして説明することができる。1)受容体結合、2)複合体の内在化、3)軽鎖の転座および4)酵素標的の改変(図1)。クロストリジウム毒素のHc結合ドメインが標的細胞の原形質膜表面に位置する毒素特異的な受容体システムに結合する場合にプロセスが開始される。受容体複合体の結合特異性はガングリオシドおよび個々のクロストリジウム毒素受容体複合体を明確に含むと考えられる蛋白質受容体の特定の組み合わせにより一部は達成されると考えられる。結合後、毒素/受容体複合体はエンドサイトーシスにより取り込まれ、かつ、取り込まれた小胞は特定の細胞内経路へ区分けされる。転座工程は小胞コンポーネントの酸性化により起こされると考えられる。このプロセスは疎水性を増大させ、小孔形成を促進させ、毒素の重鎖と軽鎖の分離を促進させる重要なpH依存性の構造再構成を開始すると思われる。分離後は細胞内小胞から神経伝達物質放出装置のコアとなる成分を特異的に標的とすると考えられるサイトゾルに毒素の軽鎖エンドペプチダーゼが放出される。このコアとなる蛋白質、小胞結合膜蛋白質(VAMP)/シナプトブレビン、25kDaシナプトソーム結合蛋白質(SNAP-25)およびシンタキシンは、神経終末でのシナプス小胞ドッキングおよび融合に必要であり、かつ、可溶性Nエチルマレイミド感受性因子接着蛋白質受容体(SNARE)ファミリーのメンバーを構成する。BoNT/AおよびBoNT/Eはカルボキシル末端領域におけるSNAP−25を切断し、9または26のアミノ酸断片をそれぞれ放出し、さらにBoNT/C1はカルボキシル末端の近傍のSNAP−25を切断して8つのアミノ酸断片を放出する。ボツリヌス血清型BoNT/B、BoNT/D、BoNT/FおよびBoNT/G、ならびに破傷風毒素はVAMPの保存されている中央部分に働き、かつ、VAMPのアミノ酸末端部分をサイトゾルに放出する。BoNT/C1はサイトゾルの膜表面の近傍の単一の部位でシンタキシンを切断する。シナプスSNAREの選択的な蛋白質分解は、インビボでクロストリジウム毒素により起こる神経伝達物質放出のブロックに関係がある。クロストリジウム毒素のSNARE蛋白質標的は、さまざまな非神経細型におけるエキソサイトーシスに共通であり、神経細胞と同様にこのような細胞において、軽鎖ペプチダーゼ活性はエキソサイトーシスを阻害する。例えば、Yann Humeau et al., How Botulinum and Tetanus Neurotoxins Block Neurotransmitter Release、82(5) Biochimie. 427−446 (2000); Kathryn Turton et al.、Botulinum and Tetanus Neurotoxins: Structure, Function and Therapeutic Utility、27(11) Trends Biochem. Sci. 552−558. (2002); Giovanna LaIIi et al.、The Journey of Tetanus and Botulinum Neurotoxins in Neurons、11(9) Trends Microbiol. 431−437、(2003)を参照のこと。
一般的に再標的化エンドペプチダーゼは外因性プロテアーゼ切断サイトで天然の2本鎖ループプロテアーゼ切断サイトを置換する。例えば、Dolly, J. O. et al.、Activatable Clostridial Toxins(米国特許第7,419,676号)を参照のこと。この特許文献を本明細書中に参考として援用する。標的部分のサイズのために再標的化エンドペプチダーゼはその全般的な分子量が異なるが、活性化プロセスおよび2本鎖分子を産生する外因性切断サイトでの切断への依存性はクロストリジウム毒素の場合と本質的に同じである。例えば、Steward, L. E. et al., Activatable Clostridial Toxins(米国特許出願公開第2009/0005313号); Steward、L.E. et al.、Modified Clostridial Toxins with Enhanced Translocation Capabilities and Altered Targeting Activity For Non−Clostridial Toxin Target Cells(米国特許出願公開第11/776,075号); Steward、L.E. et al.、Modified Clostridial Toxins with Enhanced Translocation Capabilities and Altered Targeting Activity for Clostridial Toxin Target Cells(米国特許出願公開第2008/0241881号)を参照のこと。これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
本開示の態様は、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25抗体を産生する免疫反応誘導組成物を一部含む。本明細書で使用されるとき、用語「免疫反応誘導組成物」は動物に投与された場合、SNAP−25抗原に対する免疫反応を刺激するSNAP−25抗原を含む組成物を言い、それによりBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25抗体を産生する。用語「免疫反応」は免疫反応誘導組成物に対する動物の免疫システムの反応を言う。例示的な免疫反応は、CD8+CTLsの抗原−特異的な誘導を包含するCTL反応、T細胞増殖反応およびサイトカインの放出を包含するヘルパーT細胞、抗体産生反応などを包含するB細胞反応などの細胞、局所および全身での体液性免疫が挙げられるが、これらに限定されない。用語「免疫反応を誘導する」は免疫反応が影響を受け、つまり、刺激され、開始され、誘導された場合に免疫反応誘導組成物または免疫反応誘導組成物をコード化するポリヌクレオチドの投与を言う。
SNAP−25免疫反応誘導組成物は、SNAP−25抗原を含む。本明細書で使用されるとき、用語「抗原」は免疫反応を誘発する分子を言い、限定するものではなく、ペプチド、多糖、リポ蛋白質および糖脂質などの脂質の共役体を含む。本明細書で使用されるとき、用語「SNAP−25抗原」は免疫反応を誘発するBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有する抗原を言う。免疫反応誘導組成物に用いる「SNAP−25抗原」は実質的に固有な配列でありえるほどに大きくなければならなく、従ってSNAP−25よりも抗原に対し交差反応性である抗体を産生する可能性は減少する。更に免疫反応誘導組成物に用いるSNAP−25抗原は、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に対して免疫反応を実質的に誘発するのみで十分に小さくなければならず、従ってBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25をBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有しないSNAP−25から区別できるα−SNAP−25抗体を産生する可能性は増加する。また、再現性に優れた選択的で高収率な単一のアミノ酸配列であり、かつ、高感度のアッセイのデザインを可能にする許容される結合活性で結合するα−SNAP−25抗体を生成することが大いに望まれる。
SNAP−25に存在するBoNT/A切断サイトの周囲の配列はP5−P4−P3−P2−P1−P1’−P2’−P3’−P4’−P5’として表示され、ここでP1−P1’は切断性部位を表す。再標的化エンドペプチダーゼにより切断され、得られた切断製品はP5−P4−P3−P2−P1配列を含む断片およびP1’−P2’−P3’−P4’−P5’を含む断片を含む。従って本明細書で使用されるとき、用語「BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25」は自身のカルボキシ末端アミノ酸としてP1残基を有するSNAP−25を言う。例えば、ヒトSNAP−25(配列番号5)のQ197−R198はBoNT/A切断サイトのP1−P1’切断性部位を表す。従ってBoNT/A切断部位の切断可能結合のカルボキシ末端グルタミンを有するSNAP−25」とは、グルタミンが切断性部位のQ197を表し、自身のカルボキシ末端アミノ酸にグルタミンを有するSNAP−25切断製品になる。別の例では、トルペド・マルモラタSNAP−25(配列番号16)のK204−H205は、BoNT/A切断サイトのP1−P1’切断性部位を表す。従って「BoNT/A切断部位の切断可能結合のカルボキシ末端リシンを有するSNAP−25」とは、リシンが切断性部位のK204を表し、自身のカルボキシ末端アミノ酸にリシンを有するSNAP−25切断製品である。
BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25抗原は、修飾が無い場合には免疫原性、非免疫原性または低免疫原性であるSNAP−25抗原、ハプテンまたはその他の抗原性化合物の免疫原性を高めるように修飾することができる。本実施形態の一態様では、SNAP−25抗原の切断性部位はカルボキシ末端P1残基はカルボキシル化することができる。カルボキシル化はSNAP−25抗原の所望の免疫原性の特性を2点において高める。第1に、電荷を帯びたアミノ酸は免疫原性を高めるので、COO−基のカルボキシ末端残基への添加はSNAP−25抗原の全般的な免疫原性を高める。第2に、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基は切断により電荷状態にあるので、COO−基のカルボキシ末端残基への添加は本明細書に開示したα−SNAP−25抗体を選択的に結合するようにデザインする実際の抗原を優れて模倣する。
本実施形態の一態様では、SNAP−25抗原からのアミノ−末端残基はキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、オボアルブミン(OVA)、チログロブリン(THY)、ウシ血清アルブミン(BSA)、大豆トリプシン阻害因子(STI)または多重結合ペプチド(MAP)などのキャリア蛋白質にSNAP−25抗原を取付けるように備えられたアミノ酸の添加で修飾することができる。例えば、キャリア蛋白質KLHに結合するため、システイン残基はアミノ末端に設置することができる。
従って、一実施形態ではBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25抗原は、例えば、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25または少なくとも30のアミノ酸の長さである可能性がある。別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25抗原は、例えば、最大で5、最大で6、最大で7、最大で8、最大で9、最大で10、最大で11、最大で12、最大で13、最大で14、最大で15、最大で16、最大で17、最大で18、最大で19、最大で20、最大で25または最大で30のアミノ酸の長さである可能性がある。更に別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25抗原は7〜12アミノ酸、10〜15アミノ酸または13〜18アミノ酸である可能性がある。
別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25抗原は配列番号33を含む。本実施形態の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25抗原は配列番号32、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、または配列番号39を含む。また別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25抗原は配列番号40を含む。
更に別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25抗原は配列番号41を含む。本実施形態の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25抗原は配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、または配列番号46を含む。また別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25抗原は配列番号47を含む。
BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25抗体を産生する免疫反応を誘発する全てのSNAP−25抗原は、SNAP−25抗原として有用であり得るように構成されたものである。従って配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、列番号41、列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、または配列番号46を含むアミノ酸配列変異体は、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25抗体を産生する免疫反応を誘発するのにSNAP−25抗原として有用であり得る。従って、一実施形態では、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、列番号41、列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、または配列番号46を含むSNAP−25抗原に少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5つのアミノ酸を置換、欠失または付加でSNAP−25抗原は置換えることができる。更に別の実施形態では、SNAP−25抗原は、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、列番号41、列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、または配列番号46を含むSNAP−25抗原と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有することができる。
1つ以上のキャリアは、キャリアに関連していない場合には免疫原性、非免疫原性または低免疫原性であるSNAP−25抗原の免疫原性を高めるためにSNAP−25抗原に結合し得ると考えられる。非限定的な例として、例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、オボアルブミン(OVA)、チログロブリン(THY)、ウシ血清アルブミン(BSA)、大豆トリプシン阻害因子(STI)または多重結合ペプチド(MAP)が挙げられる。当該技術分野において公知であるように、非抗原性または低抗原性である抗原をキャリアにカップリングさせて抗原性にすることができる。抗原をキャリアにカップリングさせる種々のその他のキャリアと方法は当該技術分野において公知である。例えば、Harlow and Lane、supra、1998a; Harlow and Lane、supra、1998b; and David W. Waggoner、Jr. et al.、Immunogenicity−enhancing carriers and compositions thereof and methods of using the same(米国特許出願公開第20040057958号)(Mar. 25, 2004)を参照のこと。さらに融合蛋白質としてエピトープを発現することでエピトープは生成できる。ポリペプチド融合を発現させる方法は、例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (Supplement 47), John Wiley & Sons, New York (1999)に記載されているように当業者には周知である。SNAP−25抗原のカルボキシ末端はBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でなければならないので、キャリアはSNAP−25抗原のアミノ末端に結合していなければならない。
1つ以上の屈曲性スペーサは屈曲性リンカーに関連していない場合には免疫原性、非免疫原性または低免疫原性であるSNAP−25抗原の免疫原性を高めるためにSNAP−25抗原に結合するように構成されたものである。屈曲性スペーサはSNAP−25抗原の全般的なペプチド長を伸ばして柔軟性を増し、それにより免疫細胞に対するSNAP−25抗原の適切な提示が促進される。非限定的な例として、SNAP−25免疫反応誘導組成物は免疫細胞に対してSNAP−25抗原をより良く提示するために1つ以上のタンデムの屈曲性スペーサに結合したSNAP−25抗原を含むことができ、それにより免疫反応が促進される。
ペプチドを含む屈曲性スペーサは少なくとも1つのアミノ酸の長さであり、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンまたはセリンなどの小さな側鎖R基を有する電荷を帯びていないアミノ酸を含む。従って一実施形態では、屈曲性スペーサは、例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10のアミノ酸の長さである可能性がある。別の実施形態では、屈曲性スペーサは、例えば、最大で1、最大で2、最大で3、最大で4、最大で5、最大で6、最大で7、最大で8、または最大で9、最大で10のアミノ酸の長さであってもよい。更に別の実施形態では、屈曲性スペーサは、例えば、1〜3アミノ酸、2〜4アミノ酸、3〜5アミノ酸、4〜6アミノ酸または5〜7アミノ酸であってもよい。屈曲性スペーサの非限定的な例は、GGG、GGGG(配列番号57)およびGGGGS(配列番号58)などのG−スペーサ、またはAAA、AAAA(配列番号59)およびAAAAV(配列番号60)などのA−スペーサを含む。屈曲性スペーサは融合蛋白質としてSNAP−25抗原にフレーム単位で連結する。
上述のように、屈曲性スペーサはSNAP−25抗原のペプチドの全長を伸ばすように一部使用されている。例えば、5−10アミノ酸SNAP−25抗原は3−5アミノ酸屈曲性スペーサをSNAP−25抗原のアミノ末端に結合して伸ばした全長を有することができる。別の例として、5−10アミノ酸SNAP−25抗原は4〜6アミノ酸屈曲性スペーサをSNAP−25抗原のアミノ末端に結合して伸ばした全長を有することができる。別の例として5−10アミノ酸SNAP−25抗原は7〜10アミノ酸屈曲性スペーサをSNAP−25抗原のアミノ末端に結合して伸ばした全長を有することができる。別の例として7−12アミノ酸SNAP−25抗原は1〜3アミノ酸屈曲性スペーサをSNAP−25抗原のアミノ末端に結合して伸ばした全長を有することができる。別の例として7−12アミノ酸SNAP−25抗原は4〜6アミノ酸屈曲性スペーサをSNAP−25抗原のアミノ末端に結合して伸ばした全長を有することができる。屈曲性スペーサによって伸ばした長さで小さなサイズのSNAP−25抗原を選択することができ、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に対して実質的にSNAP−25抗原が免疫反応を誘発する可能性が高まり、従ってBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25を、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有しないSNAP−25と区別できるα−SNAP−25抗体を産生する可能性が増加する。
本明細書に開示したSNAP−25免疫反応誘導組成物は、任意で本明細書に開示したSNAP−25抗原および1つ以上のアジュバントを含んでもよいように構成されたものである。本明細書で使用されるときに、SNAP−25免疫反応誘導組成物に関して使用されている場合には、用語「アジュバント」は、SNAP−25抗原に対する免疫反応を高めるかまたは多様化させる物質または物質の混合物を言う。例えば、免疫反応を誘導するアジュバントは、免疫の数または防御免疫に必要な抗原の量を減らすのに役立つ。免疫反応誘導組成物内の免疫反応を誘導するアジュバントの使用は周知である。このアジュバントの主要な目的は免疫反応を高めることである。非限定的なアジュバンドとしては、例えば、リポソーム、油相、限定するものではなく、フロイント完全アジュバント(FCA)などのアジュバントのフロイントタイプ、フロイント不完全アジュバント、サポニンなどのサポゲニングリコシド、カーボポール、N‐アセチルムラミル‐L‐アラニル‐D‐イソグルタミン(一般的にはムラミルジペプチドまたは「MDP」と知られている)およびリポ多糖(LPS)などを含む。一般的にはそのようなアジュバントは水相を有するエマルジョンの形態で使用されているか、より一般的には水に不溶の無機塩を含んでよい。例えば、この無機塩は水酸化アルミニウム、硫酸亜鉛、コロイド状水酸化鉄、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウムを含んでもよい。水酸化アルミニウム(Al(OH)3)は一般に使用されるアジュバントである。現在、唯一のFDA承認アジュバントは抗原の沈殿により「デポー」抗原に使用されるアルミニウム塩(Alum)である。上述したアジュバントは例示する目的のみである。事実、免疫反応を誘導する必須の特性を満足させるアジュバントである限り、免疫反応を誘導するアジュバントは本明細書に開示した免疫反応誘導組成物中で使用されてもよい。
さらに本明細書で開示したキャリアはアジュバントとして作用することができる。特定のアジュバントの作製および使用方法はGupta et al. Vaccine, 11 : 993−306, 1993; Arnon, R. (Ed.) Synthetic Vaccines 1 :83−92, CRC Press, Inc., Boca Raton, FIa., 1987; and David W. Waggoner, Jr. et al., Immunogenicity−Enhancing Carriers and Compositions Thereof and Methods of Using the Same(米国特許出願公開第20040057958号)(Mar. 25, 2004)に記載されている。追加のアジュバントはChapter 7 (pp 141−227) of “Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach” (eds. Powell, M. F. and Newman, M. J.) Pharmaceutical Biotechnology, Volume 6, Plenum Press (New York)に記載されている化合物を含む。この概要の例はムラミルジペプチド(MDP)およびモンタニド720を含む。ポリイノシン、シトシン(Poly I:C)またはCpGモチーフを含むプラスミドDNAなどの分子は、さらに微粒子中に封入した抗原との組み合わせでアジュバントとして投与することができる。別の例では、アジュバントは、リステリオリシン、ストレプトリシンまたはこれらの組み合せなどの細胞の細胞質内へ抗原性化合物のエントリーを促進する薬剤である。
従って、一実施形態では、SNAP−25免疫反応誘導組成物はキャリアペプチドに結合したカルボキシル化カルボキシ末端グルタミンを有するSNAP−25抗原を含む。本実施形態の態様では、カルボキシル化カルボキシ末端グルタミンを有するSNAP−25抗原は、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、または配列番号39を含む。本実施形態の別の態様では、SNAP−25は配列番号40を含む。本実施形態の態様では、キャリアペプチドはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、オボアルブミン(OVA)、チログロブリン(THY)、ウシ血清アルブミン(BSA)、大豆トリプシン阻害因子(STI)または多重結合ペプチド(MAP)である。
別の実施形態では、SNAP−25免疫反応誘導組成物はキャリアペプチドに結合したカルボキシル化カルボキシ末端リシンを有するSNAP−25抗原を含む。本実施形態の態様では、カルボキシル化カルボキシ末端リシンを有するSNAP−25抗原は配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、または配列番号46を含む。本実施形態の別の態様では、SNAP−25抗原は配列番号47を含む。本実施形態の態様では、キャリアペプチドはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、オボアルブミン(OVA)、チログロブリン(THY)、ウシ血清アルブミン(BSA)、大豆トリプシン阻害因子(STI)または多重結合ペプチド(MAP)である。
更に別の実施形態では、SNAP−25免疫反応誘導組成物はSNAP−25抗原とキャリアペプチドとの間に屈曲性リンカーが介在し、1つ以上の屈曲性リンカーに結合したカルボキシル化C末端グルタミンを有するSNAP−25抗原およびキャリアペプチドを含む。本実施形態の態様では、カルボキシル化カルボキシ末端グルタミンを有するSNAP−25抗原は配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、または配列番号39を含む。別の実施形態では、SNAP−25抗原は配列番号46を含む。本実施形態の態様では、キャリアペプチドはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、オボアルブミン(OVA)、チログロブリン(THY)、ウシ血清アルブミン(BSA)、大豆トリプシン阻害因子(STI)または多重結合ペプチド(MAP)である。本実施形態の態様では、屈曲性リンカーはG−スペーサまたはA−スペーサである。
更に別の実施形態では、SNAP−25免疫反応誘導組成物はSNAP−25抗原とキャリアペプチドとの間に屈曲性リンカーが介在し、屈曲性リンカーおよびキャリアペプチドに結合したカルボキシル化カルボキシ末端リシンを有するSNAP−25抗原を含む。本実施形態の態様では、カルボキシル化カルボキシ末端リシンを有するSNAP−25抗原は配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45または配列番号46を含む。本実施形態の別の態様では、SNAP−25抗原は配列番号47を含む。本実施形態の態様では、キャリアペプチドはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、オボアルブミン(OVA)、チログロブリン(THY)、ウシ血清アルブミン(BSA)、大豆トリプシン阻害因子(STI)または多重結合ペプチド(MAP)である。本実施形態の態様では、屈曲性リンカーはG−スペーサまたはA−スペーサである。
本開示の態様は、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25抗体を産生する方法を一部含む。BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は当該技術分野において周知である多種多様な方法で産生することができる。抗体の製造、使用、検出の特定的プロトコール、さらに抗体結合特異性、結合親和性および結合活性の測定は当該技術分野において周知である。例えば、ANTIBODIES: A LABORATORY MANUAL (Edward Harlow & David Lane、eds.、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2nd ed. 1998a); and USING ANTIBODIES: A LABORATORY MANUAL: PORTABLE PROTOCOL NO. I (Edward Harlow & David Lane、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1998b); Molecular Cloning、A Laboratory Manual、2001; and Current Protocols in Molecular Biology、2004; David Anderson et al.、Therapeutic Polypeptides、Nucleic Acids Encoding Same、and Methods of Use(米国特許第7,034,132号)(Apr. 25, 2005);およびBeatriz M. Carreno et al.、Antibodies Against CTLA4(米国特許第7,034,121号)(Apr. 25, 2006)を参照のこと。
非限定的な例として、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体は、例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物などに本明細書に開示した免疫反応誘導組成物の1回以上の注入をすることで産生できる。別の非限定的例として、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25ポリクローナル抗体は、例えば、鶏卵などの卵に本明細書に開示した免疫反応誘導組成物の1回以上の注入により産生することができる。免疫化した動物の抗体価を固定された抗原または細胞をベースとした活性アッセイを用いた酵素免疫吸着測定法(ELISA)などの標準的な技法で経時的に監視することができる。所望により、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体におけるモノクローナル抗体は哺乳動物(例えば、血液)から単離でき、IgG画分を得るのにプロテインAアフィニティクロマトグラフィまたは抗体の生成に使用するペプチドに対するアフィニティ精製などの周知の技術でさらに精製できる。
別の非限定的な例は、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体はハイブリドーマ法を用いて産生することができる。例えば、Chapter 6 Monoclonal Antibodies、pp. 196−244、Harlow & Lane、supra、1998a; and Chapter 7 Growing Hybridomas、pp. 245−282、Harlow & Lane、supra、1998a; and Goding、pp. 59−103、Monoclonal Antibodies: Principles and Practice、Academic Press(1986)を参照のこと。この方法においては、マウス、ハムスターまたは他の適切な宿主動物などの宿主動物は、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に特異的に結合するα−SNAP−25抗体を産生するまたは産生することができるリンパ球を誘発させるために典型的には本明細書に開示したSNAP−25抗原を1回以上、注入投与される。免疫化した動物の抗体価を、固定された抗原または細胞をベースとした活性アッセイを用いた酵素免疫吸着測定法(ELISA)などの標準的な技法で経時的に監視することができる。または、リンパ球は、好適な培養細胞系を用いてインビトロで免疫化することができる。免疫後の適切な時点で、例えば、抗体価が最高値の時に抗体産生細胞を動物から単離する。一般的には、何れの末梢血リンパ球も、ヒト起源の細胞が所望される場合に使用され、また、脾臓細胞もしくはリンパ節細胞がヒト以外の哺乳動物である供給源が所望される場合に使用される。単離された抗体産生細胞は、その後、例えば、ポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を使用して不死化細胞株と融合されて、ハイブリドーマ細胞を形成する。不死化細胞株は通常、形質転換された哺乳動物細胞であり、具体的には齧歯類、ウシおよびヒト起源の骨髄腫細胞である。典型的には、マウスの骨髄腫細胞株はハイブリドーマを産生するために適切に免疫化したマウスから採取した脾細胞と細胞融合を行う。好ましい不死化細胞株はヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン(HAT)を含む培地に感受性のあるマウス骨髄腫細胞株である。多くの骨髄腫細胞株はP3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653またはSp2/O−Ag14骨髄腫細胞株などの標準的技術に従い融合パートナーとして使用することができる。次に、融合の結果によるハイブリドーマ細胞は非融合および非生産的融合骨髄腫細胞(形質転換されないので非融合脾細胞は数日後に培養液中で死亡する)を殺すHAT培地を用いて選択される。次に、ハイブリドーマ細胞が成長する培地はBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体の存在についてアッセイすることができる。例えば、免役沈降法、放射性イムノアッセイ(RIA)あるいは酵素免疫吸着測定法(ELISA)などのインビトロ結合アッセイまたは細胞をベースとした活性アッセイ等においてα−SNAP−25陽性培地を用いてハイブリドーマ上清をスクリーニングすることができる。このような技術およびアッセイは当該分野公知である。例えば、Chapter 11 Immunoprecipitation、pp. 421−470、Harlow & Lane、supra、1998a; Chapter 12 Immunoblotting、pp. 471−510、Harlow & Lane、supra、1998a; Chapter 14 Immunoassays、pp. 553−612、Harlow & Lane、supra、1998aを参照のこと。また抗体がBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有しないSNAP−25に対して無反応性であるかどうかを測定するさらなる研究が可能である。加えて、α−SNAP−25モノクローナル抗体の結合親和性、例えば、Scatchard解析で測定することができる。例えば、Peter J. Munson and David Rodbard、Ligand: A Versatile Computerized Approach For Characterization of Ligand−Binding Systems、107(1 ) Anal. Biochem. 220−239 (1980)を参照のこと。所望のハイブリドーマ細胞が同定された後は、所望のモノクロール抗体を発現するクローン細胞株を得るまで1個の細胞から起因するクローンを単離するのに限界稀釈手順を使用する。BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25について十分に選択的で、かつ、十分に高い結合活性で結合する抗体を、さらなる特徴付けおよび試験に基づいて選択する。
BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体を調製する別の代替法は、例えば、SNAP−25ペプチドを用いて抗体ファージディスプレイライブラリーなどの組み換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーをスクリーニングして、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25を結合する免疫グロブリンライブリーメンバーを単離する。ファージディスプレイライブラリーの作製およびスクリーニングのためのキットは、例えば、Recombinant Phage Antibody System (Amersham GE Healthcare, Piscataway, NJ)およびSurfZAP(商標) Phage Display Kit (Stratagene, La JoIIa, CA)から市販されている。さらに抗体ディスプレイライブラリーの作製およびスクリーニングの使用に有用な方法および試薬の例は、Ladner et al.(米国特許第5,223,409号); Borrebaeck et al.(米国特許第5,712,089号); Griffiths et al.((米国特許第5,885,793号); Griffiths et al.(米国特許第5,962,255号); McCafferty et al.(米国特許第5,969,108号); Griffiths et al.(米国特許第6,010,884号); Jespers et al.(米国特許第6,017,732号); Borrebaeck et al.(米国特許第6,027,930号); Johnson et al.(米国特許第6,140,471号); McCafferty et al.((米国特許第6,172,197号)に見出すことができる。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示の態様は、α−SNAP−25抗体またはα−SNAP−25抗体産生細胞を含む試料の回収を一部含む。本明細書で使用されるとき、用語「α−SNAP−25抗体またはα−SNAP−25抗体産生細胞を含む試料」は、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合する少なくとも1つのα−SNAP−25抗体を含有しているまたは含有している可能性がある生体物質を言う。BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体を含むことができる全ての試料をこの方法で使用することができ、試料には血液、血漿、血清およびリンパ液が含まれるが、これらには限定されないように構成されたものである。さらにBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体を産生することができる細胞をこの方法で使用することができ、細胞はCD8細胞、CTL細胞、ヘルパーT−細胞およびB−細胞が含まれるが、これらには限定されないように構成されたものである。種々の周知の方法がα−SNAP−25抗体またはα−SNAP−25抗体産生細胞を含有している個々の試料から回収するために使用することができる。例えば、Harlow & Lane、supra、1998a; and Harlow & Lane、supra、1998bを参照のこと。同様にBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体を単離するために試料の処理に種々の周知の方法を使用することができる。試料を回収する手順は単離する抗体のタイプに基づいて選択することができる。非限定的な例として、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25ポリクローナル抗体を単離する場合、適切な試料はα−SNAP抗体を含んだ血液試料であってもよく、一方、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体を単離するとき、適切な試料は脾臓細胞またはハイブリドーマなどのα−SNAP-25抗体産生細胞であってもよい。
本開示の態様は、試料からBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体を単離することを一部含む。BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体またはBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体などのα−SNAP−25抗体を単離する方法は当業者に周知である。例えば、Harlow and Lane, supra, 1998a; and Harlow and Lane、supra、1998bを参照のこと。例えば、そのようなα−SNAP−25ポリクローナル抗体は主として免疫血清のIgG画分を提供するプロテインAまたはプロテインGを用いたアフィニティクロマトグラフィなどの周知の技術により試料から単離することができる。続いてまたは別法として、特定のSNAP−25抗原はカラムまたは磁気ビーズに固定化し、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体を免疫アフィニティクロマトグラフィで精製することができる。BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体はプロテインA−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析またはアフィニティクロマトグラフィなどの従来の免疫グロブリン精製手順で培養培地あるいは腹水から単離することができる。
従って、一実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25抗体を産生する方法は(a)キャリアペプチドに結合したカルボキシル化C末端グルタミンを有するSNAP−25抗原を含むSNAP−25免疫反応誘導組成物を動物に投与する工程、(b)動物からα−SNAP−25抗体またはα−SNAP−25抗体産生細胞を含む試料を回収する工程、および(c)試料からα−SNAP−25抗体成分を単離する工程、を含む。本実施形態の一態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25抗体はポリクローナル抗体である。本実施形態の別の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25抗体はモノクローナル抗体である。本実施形態の更に態様では、産生されたBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25モノクローナル抗体はIgGサブタイプである。本実施形態の別の態様では、SNAP−25免疫反応誘導組成物はポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)またはポリビニルアルコール(PVA)などのアジュバントをさらに含む。
別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25抗体を産生する方法は(a)SNAP−25ペプチドとキャリアペプチドとの間に屈曲性リンカーが介在し、屈曲性リンカーおよびキャリアペプチドに結合したカルボキシル化C末端グルタミンを有するSNAP−25ペプチドを含むSNAP−25免疫反応誘導組成物を動物に投与する工程、(b)動物からα−SNAP−25抗体またはα−SNAP−25抗体産生細胞を含む試料を回収する工程、および(c)試料からα−SNAP−25抗体成分を単離する、工程を含む。本実施形態の一態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25抗体はポリクローナル抗体である。本実施形態の別の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25抗体はモノクローナル抗体である。本実施形態の更に態様では、産生されたBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合できるα−SNAP−25モノクローナル抗体はIgGサブタイプである。本実施形態の別の態様では、SNAP−25免疫反応誘導組成物はポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)またはポリビニルアルコール(PVA)などのアジュバントをさらに含む。
本開示の態様は試料からBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合する単離されたα−SNAP−25抗体を一部含む。本明細書で使用されるとき、用語「抗体」は抗原に特異的に結合した特定の抗原に反応することで作り出された免疫システムにより生成される分子を言い、かつ、天然の抗体と天然には存在しない抗体の両方を含む。本明細書で使用されるとき、用語「単離された」はヒトの介入により自然の環境から分子を分離することを言う。例えば、断片が所望の生物活性およびその単一鎖誘導体を示す限り、抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二量体、多量体、多特異性抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、2機能性抗体、Ig受容体などの細胞関連抗体、線形抗体、二重特異性抗体またはミニボディ等であることができる。抗体はVHおよびVLドメイン、さらに軽鎖定常ドメイン(CL)および重鎖定常ドメインCH1、CH2、CH3またはFab断片、F(ab’)2断片、Fc断片、Fd断片、Fv断片などの完全長免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な断片を含む完全長免疫グロブリン分子であることができる。抗体は脊椎動物(ヒト、ヤギ、ウマ、ロバ、マウス、ラット、ウサギまたはニワトリ)から誘導することができ、かつ、いかなるタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgDおよびIgA)、クラス(例えば、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM)またはサブクラス(例えば、IgGI、lgG2、lgG3、lgG4、IgA1およびlgA2)であってもよい。天然の抗体、天然には存在しない抗体およびそれらの原性化合物結合断片の構造に関する一般的な開示については、例えば、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、vol. 113、Rosenburg and Moore eds.、Springer−Verlag、New York、pp. 269−315 (1994); Borrabeck、Antibody Engineering、2d ed. (Oxford University Press 1995)を参照のこと。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
通常、天然の抗体は2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖から成る約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖にリンクされ、一方ジスルフィドリンケージの数は異なる免疫グロブリンイソタイプの重鎖の間で変動する。さらにそれぞれの重鎖および軽鎖は一定の間隔の鎖内ジスルフィド結合を有している。個々の重鎖は一方の末端に可変ドメイン(VH)、これに続いて多数の定常ドメインを有している。個々の軽鎖は一方の末端に可変ドメイン(VL)を、その他方の末端に定常ドメインを有している。軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1定常ドメインと整列しており、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの接触面を形成していると考えられている。
完全な抗原−認識および抗原−結合部位はFv断片である抗体の可変ドメイン内に含まれる。この断片は1つの重鎖可変ドメイン(VH)と1つの軽鎖可変ドメイン(VL)とが硬く非共有的に会合している二量体を含む。各ドメインはβ−シート構造に結合するループを形成し、ある場合には構造の部分を形成する三つの超可変領域によって結合された、主としてβ−シート立体配置を採用する四つのフレームワーク領域(FR)を含む。各超可変領域は相補性決定領域(CDR)に対応するアミノ酸配列を含む。総称して、これは抗原結合特異性を付与するVH−VL二重体の表面上の抗原−結合部位を定義する6つのCDR領域の三次元立体配置である。例えば、Cyrus Chothia、et al.、Conformations of Immunoglobulin Hypervariable Regions, Nature 342(6252): 877−883 (1989); Elvin A. Kabat、et al Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed. Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD. (1991 )を参照のこと。上記のそれぞれは全内容が参照により本明細書に組み込まれる。抗体の定常領域は抗体の抗原への結合には直接関与しないが種々のエフェクター機能、例えば、抗体の抗体依存性細胞傷害作用への関与を示す。
標的抗原は一般的には、CDR形成抗原−結合部位によって認識される多数の結合部位(エピトープとも呼ばれる)を有する。本明細書で使用されるとき、「エピトープ」は「抗原性決定基」と同意語とみなし、かつ、免疫グロブリンまたはT−細胞受容体に特異結合することまたはさもなくば分子と相互作用することが可能なペプチド、多糖または脂質含有分子などの標的抗原上の部位を言う。異なるエピトープに特異的に結合するそれぞれの抗体は異なる構造を有する。従って1つの抗原は1つ以上の対応する抗体を有してもよい。
ポリクローナル抗体は、特定の抗原に結合が可能な少なくとも2種の抗体を含む抗体分子の不均一集団を言う。定義に従い、ポリクローナル抗体は少なくとも2つの異なるエピトープに結合する2つの異なる抗体を含む。本明細書で使用されるとき、用語「モノクローナル抗体(単数)」または「モノクローナル抗体」は、微量に存在する自然に生じる突然変異を除いて集団を含む個々の抗体が同一であり、特定の抗原を結合できる1種類の抗体のみを含む抗体分子の実質的に均一な集団を言う。定義に従い、モノクローナル抗体は単一のエピトープに結合する。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、1つの抗原性部位に対して指向される。さらにポリクローナル抗体と対照的に各モノクローナル抗体は抗原上にある1つの決定基に対して指向される。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体はそれらに他の抗体が混入しておらず、合成されてもよい点で有利である。修飾語「モノクローナル」は実質的に均質な抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示しており、任意の特定の方法による抗体の産生が必要であるとは解釈されない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体はKohler et al (1975) Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ方法によって作成することができ、また、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号、米国特許第5,807,715号を参照)によって作成することもできる。さらにモノクローナル抗体は、例えば、Clackson et al (1991 ) Nature, 352:624−628; Marks et al (1991) J. MoI. Biol., 222:581−597に記載されている技術を用いたファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。
従って、一実施形態では、α−SNAP−25抗体はBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合する重鎖可変ドメイン(VH)と軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。本実施形態の一態様では、重鎖可変ドメイン(VH)は配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号80、配列番号82または配列番号133である。本実施形態の別の態様では、軽鎖可変ドメイン(VL)は配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90または配列番号92である。
別の実施形態では、核酸配列はBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合する重鎖可変ドメイン(VH)と軽鎖可変ドメイン(VL)を含むα−SNAP−25抗体をコードする。本実施形態の一態様では、重鎖可変ドメイン(VH)は核酸配列(配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81または配列番号132)によりコードされる。本実施形態の別の態様では、重鎖可変ドメイン(VH)は配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81または配列番号132と少なくとも70%同一、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である核酸配列によりコードされる。本実施形態の更に他の態様では、軽鎖可変ドメイン(VL)は配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91によりコードされる。本実施形態の更に別の態様では、軽鎖可変ドメイン(VL)は配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号89または配列番号91と少なくとも70%同一、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である核酸配列によりコードされる。
別の実施形態では、α−SNAP−25抗体はBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合する重鎖可変ドメイン(VH)CDR1領域、CDR2領域、CDR3領域またはこれらの組み合せを含む。本実施形態の一態様では、重鎖可変ドメイン(VH)CDR1領域は配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号118、配列番号119または配列番号120である。本実施形態の別の態様では、重鎖可変ドメイン(VH)CDR2領域は配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号121、配列番号122または配列番号123である。本実施形態の更に別の態様では、重鎖可変ドメイン(VH)CDR3領域は配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号124、配列番号134または配列番号135である。
別の実施形態では、α−SNAP−25抗体はBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合する重鎖可変ドメイン(VL)CDR1領域、CDR2領域、CDR3領域またはこれらの組み合せを含む。本実施形態の一態様では、軽鎖可変ドメイン(VL)CDR1領域は配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128または配列番号129である。本実施形態の別の態様では、軽鎖可変ドメイン(VL)CDR2領域は配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111または配列番号112である。本実施形態の更に他の態様では、軽鎖可変ドメイン(VL)CDR3領域は配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116または配列番号117である。
更に別の実施形態では、α−SNAP−25抗体はBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25を含むエピトープに特異的に結合する。本実施形態の一態様では、エピトープは配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36または配列番号37を含む。本実施形態の一態様では、エピトープは配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43または配列番号44を含む。
上述のように、SNAP−25に存在するBoNT/A切断サイトの周囲の配列はP55−P4−P3−P2−P1−P1’−P2’−P3’−P4’−P5’として表示され、ここでP1−P1’は切断性部位を表す。BoNT/Aにより切断され、得られた切断製品はP5−P4−P3−P2−P1配列を含む断片およびP1’−P2’−P3’−P4’−P5’を含む断片を含む。本明細書で使用されるとき、用語「BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25に選択的に結合するα−SNAP−25抗体」は、P5−P4−P3−P2−P1配列を含むSNAP−25切断製品断片に選択的に結合するα−SNAP−25抗体を言うが、しかし、P1’−P2’−P3’−P4’−P5’配列を含むSNAP−25切断製品断片またはBoNT/A切断部位の未改変P1−P1’切断可能結合を有するSNAP−25を言わない。本明細書で使用されるとき、用語「α−SNAP−25197抗体」は配列番号5のグルタミン197に対応するP1残基でカルボキシ末端P1残基を有するSNAP−25に選択的に結合する抗体を言う。本明細書で使用されるとき、用語「α−SNAP−25204抗体」は配列番号16のリシン204に対応するP1残基でカルボキシ末端P1残基を有するSNAP−25に選択的に結合する抗体を言う。
本明細書で使用されるとき、用語「選択的に」は特異な効果あるいは影響が有るまたは唯一の方法あるいは唯一の物で反応を示すことを言う。本明細書で使用されるとき、用語「選択的に結合」または「選択的結合」が抗体を参照している場合には抗体が実質的に非標的エピトープと交差反応しないように抗体と所定の標的エピトープとの特殊な結合を言う。本明細書で使用されるとき、ペプチドエピトープの最小サイズは約5アミノ酸であり、典型的にはペプチドエピトープは少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15または少なくとも20アミノ酸を含む。ペプチドエピトープは非連続性であってもよい、つまりペプチドの一次構造において隣接していないアミノ酸残基を含むが、しかしペプチドの二次、三次または四次構造でエピトープに一緒にまとめられている。さらに注目すべきはエピトープは糖残基、リポ蛋白質または糖脂質などの脂質部分またはリン酸化されたアミノ酸などの化学修飾されたアミノ酸部分などであるアミノ酸配列以外の分子の一部を含んでもよいことである。本実施形態の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、または少なくとも20のアミノ酸を含むBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープを選択的に結合する。本実施形態の別の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は最大で5、最大で6、最大で7、最大で8、最大で9、最大で10、最大で15、または最大で20のアミノ酸を含むBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープを選択的に結合することができる。
選択的結合は結合親和性、結合特異性および結合活性などの結合特性を含む。例えば、David J. King、Applications and Engineering of Monoclonal Antibodies、pp. 240 (1998)を参照のこと。結合親和性は抗体がそのエピトープ結合部位に存在する時間の長さを言い、抗体がそのエピトープを結合する力であるとみなされる。結合親和性は平衡でKd/Ka比と定義する非平衡解離定数(KD)と記載される。ここで、Kaは抗体の会合速度定数であり、Kdは抗体の解離速度定数である。結合親和性は会合と解離の両方で決定するのであり、決して高い会合あるいは低い解離だけで高い親和性を確定するものではない。会合速度定数(Ka)、あるいは正方向の速度定数(Kon)は単位ごとの結合事象の数または抗体−抗原複合体へ可逆的に会合しようとする抗体および抗原の性向を計測する。会合速度定数はM-1s-1の単位で、[Ab]x[Ag]xKonと表される。会合速度定数が大きければ大きいほど抗体はその抗原により早く結合しまたは抗体と抗原の親和性がより高くなる。解離速度定数(Kd)または逆方向の速度定数(Koff)は単位ごとの解離事象の数または成分分子、つまり抗体と抗原へ可逆的に分離(解離)しようとする抗体−抗原複合体の性向を計測する。解離速度定数はs-1の単位で、[Ab+Ag]xKoffと表される。解離速度定数が小さければ小さいほど抗体はその抗原に対してより強く結合しまたは抗体と抗原の親和性がより高くなる。平衡解離定数(KD)は形成された新規の抗体−抗原複合体での速度が平衡で抗体−抗原複合体が解離する速度と等しい速度を計測する。平衡解離定数はMの単位で、Koff/Kon=[Ab]x[Ag]/[Ab+Ag]と表される。ここで、[Ab]は抗体のモル濃度、[Ag]は抗原のモル濃度および[Ab + Ag]は抗体−抗原複合体のモル濃度であり、すべての濃度は系が平衡状態である時の成分である。平衡解離定数が小さければ小さいほど抗体はその抗原に対してより強く結合しまたは抗体と抗原の親和性がより高くなる。
従って、一実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合親和性は、例えば、1x105M-1s-1未満、1x106M-1s-1未満、1x107M-1s-1未満または1x108M-1s-1未満の会合速度定数であることができる。別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、1x105M-1−s-1超、1x106M-1s-1超、1x107M-1s-1超または1x108M-1s-1以上の会合速度定数であることができる。別の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、1x105M-1s-1〜1x108M-1s-1、1x106M-1s-1〜1x108M-1s-1、1x105M-1s-1〜1x107M-1s-1または1x106M-1s-11x107M-1s-1の会合速度定数であることができる。
別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合親和性は、1x10-3s-1未満、1x10-4s-1または1x10-5s-1未満の解離速度定数であることができる。本実施形態の別の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、1.0x10-4s-1未満、2.0x10-4s-1未満、3.0x10-4s-1未満、4.0x10-4s-1未満、5.0x10-4s-1未満、6.0x10-4s-1未満、7.0x10-4s-1未満、8.0x10-4s-1または9.0x10-4s-1未満の解離速度定数であることができる。別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、1x10-3s-1超、1x10-4-1超または1x10-5s-1超の解離速度定数であることができる。本実施形態の別の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、1.0x10-4s超、2.0x10-4s-1超、3.0x10-4s-1超、4.0x10-4s-1超、5.0x10-4s-1超、6.0x10-4-1s超、7.0x10-4s-1超、8.0x10-4-s-1超または9.0x10-4s-1超の解離速度定数であることができる。
別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、0.500nM未満の平衡解離定数であることができる。本実施形態の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は0.500nM未満、0.450nM未満、0.400nM未満、0.350nM未満、0.300nM未満、0.250nM未満、0.200nM、0.150nM未満、0.100nM未満または0.050nM未満の平衡解離定数であることができる。別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、0.500nM超の平衡解離定数であることができる。本実施形態の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、0.500nM超、0.450nM超、0.400nM超、0.350nM超、0.300nM超、0.250nM超、0.200nM超、0.150nM超、0.100nM超または0.050nM超の平衡解離定数であることができる。
更に別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合親和性は、未改変SNAP−25について1x100M-1s-1未満、1x101M-1s-1未満、1x102 M-1s-1未満以下、1x103M-1s-1未満、または1x104M-1s-1未満の会合速度定数であることができる。別の実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合親和性は、未改変SNAP−25について最大で1x100M-1s-1、最大で1x101M-1s-1、最大で1x102M-1s-1、最大で1x103M-1s-1または最大で1x104M-1s-1の会合速度定数であることができる。
結合特異性はエピトープを含む分子とエピトープを含有しない分子を識別する抗体の能力である。結合特異性を測る1つの方法はエピトープを含有しない分子における抗体のKon会合速度とエピトープを含む分子における抗体のKon会合速度との比較である。例えば、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有しないSNAP−25エピトープまたはBoNT/A切断部位の未改変P1−P1’切断可能結合を有するSNAP−25エピトープなどのエピトープを含有しないSNAP−25に比べて、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープにおけるα−SNAP−25抗体の会合速度定数(Ka)を比較する。本実施形態の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は1x100M-1s-1未満、1x101M-1s-1未満、1x102M-1s-1未満、1x103M-1s-1未満または1x104M-1s-1未満のエピトープを含有しないSNAP−25の会合速度定数(Ka)を有する。本実施形態の別の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は最大で1x100M-1s-1、最大で1x101M-1s-1、最大で1x102M-1s-1、最大で1x103M-1s-1または最大で1x104M-1s-1のエピトープを含まないSNAP−25の会合速度定数(Ka)を有する。
本実施形態のさらに態様では、エピトープを含まないSNAP−25に比べて、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、少なくとも2倍超、少なくとも3倍超、少なくとも4倍超、少なくとも5倍超、少なくとも6倍超、少なくとも7倍超、少なくとも8倍超、または少なくとも9倍超のエピトープの会合速度定数(Ka)を有する。本実施形態の更に態様では、エピトープを含まないSNAP−25に比べてBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、少なくとも10倍超、少なくとも100倍超、少なくとも1,000倍超、または少なくとも10,000倍超のエピトープの会合速度定数(Ka)を有する。本実施形態の更に別の態様では、エピトープを含まないSNAP−25に比べてBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、最大で1倍超、最大で2倍超、最大で3倍超、最大で4倍超、最大で5倍超、最大で6倍超、最大で7倍超、最大で8倍超または最大で9倍超のエピトープの会合速度定数(Ka)を有する。本実施形態の更に別の態様では、エピトープを含まないSNAP−25に比べたBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、最大で10倍超、最大で100倍超、最大で1,000倍超または最大で10,000倍超のエピトープの会合速度定数(Ka)を有する。
また、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合特異性は、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有しないSNAP−25エピトープまたはBoNT/A切断部位の未改変P1−P1’切断可能結合を有するSNAP−25エピトープなどのエピトープを含まないSNAP−25に比べてSNAP−25エピトープを識別できるようなα−SNAP−25抗体の比率であることにその特徴がある。本実施形態の態様では、エピトープを含まないSNAP−25に比べてBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも64:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも35:1または少なくとも40:1であるSNAP−25エピトープの結合特異性比率を有する。本実施形態の更に別の態様では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有しないSNAP−25と比べてBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合すα−SNAP−25抗体は少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも35:1または少なくとも40:1であるSNAP−25エピトープの結合特異性比率を有する。本実施形態の更に別の態様では、BoNT/A切断部位の未改変P1−P1’切断可能結合を有するSNAP−25と比べてBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合すα−SNAP−25抗体は少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも64:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも35:1または少なくとも40:1であるSNAP−25エピトープの結合特異性比率を有する。
機能性アフィニティとしても知られている結合活性は多価抗体およびその抗原の間の機能性結合力の合計を言う。抗体分子は1つ以上の結合部位(例えば、IgGでは2、IgMでは10)を有することができ、かつ、多くの抗原は1つ以上の抗原性部位を含む。抗体の結合活性は個々の抗体結合部位の結合親和性に依存する一方で、抗体が完全に解離するには抗体−抗原相互作用のすべてが崩壊しなければならないので結合活性は結合親和性よも大きい。BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、抗体のすべてのエピトープに選択的に結合するこができるように構成されたものである。
従って、一実施形態では、α−SNAP−25抗体はBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体である。本実施形態の態様では、α−SNAP−25抗体はカルボキシ末端グルタミンを有するSNAP−25と選択的に結合するα−SNAP−25抗体またはカルボキシ末端アミノ酸にリシンを有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体である。本実施形態の別の態様では、α−SNAP−25抗体は、配列番号5のグルタミン197に対応するP1残基でカルボキシ末端P1残基を有するSNAP−25に選択的に結合するα−SNAP−25抗体または配列番号16のリシン204に対応するP1残基でカルボキシ末端P1残基を有するSNAP−25に選択的に結合するα−SNAP−25抗体である。本実施形態の更に別の態様では、α−SNAP−25抗体は、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、または配列番号46のカルボキシ末端アミノ酸配列を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体である。
本開示の態様は再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出する免疫を利用した方法を一部含む。本明細書に開示した免疫を利用した方法を精密度、精度、検出限界(LOD)、定量限界(LOQ)、範囲、特異性、選択性、直線性、耐久性およびシステム適合性を含めた数種類のパラメータで評価することができる。方法の精密度は分析法の厳密さの測定または測定値と取り決めによる真の値あるいは認定基準値として受け入れられる値との間の一致の近似性である。方法の精度は手順を均一の試料から多数回採取に反復適用した場合の、個々の試験結果の間の一致の程度である。従って、精度は、1)アッセイ内変動、2)日内変動(併行精度)および3)日間変動(室内再現精度)および4)室間再現精度(再現性)を評価する。変動係数(CV%)は観測または理論的な平均値に対して表した精度の量的測定である。
本明細書に開示した免疫を利用した方法はバックグラウンドを超えてBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25を含むα−SNAP−25抗体−抗原複合体の存在を検出できなければならない。方法における検出限界(LOD)とは陰性対照またはブランクからは有意に違いがあるシグナルを出す分析対象物の濃度を言い、かつ、バックグラウンドから識別することができる分析対象物の最低濃度を表す。
従って、一実施形態では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は陰性対照またはブランクからは有意に違いがある量で再標的化エンドペプチダーゼのLODを検出できる。本実施形態の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は10ng以下、9ng以下、8ng以下、7ng以下、6ng以下、5ng以下、4ng以下、3ng以下、2ng以下、1ng以下の再標的化エンドペプチダーゼのLODを有する。本実施形態の更に別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は900pg以下、800pg以下、700pg以下、600pg以下、500pg以下、400pg以下、300pg以下、200pg以下、100pg以下の再標的化エンドペプチダーゼのLODを有する。本実施形態の更に態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は、90pg以下、80pg以下、70pg以下、60pg以下、50pg以下、40pg以下、30pg以下、20pg以下、10pg以下の再標的化エンドペプチダーゼのLODを有する。本実施形態の別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は、9pg以下、8pg以下、7pg以下、6pg以下、5pg以下、4pg以下、3pg以下、2pg以下、1pg以下の再標的化エンドペプチダーゼのLODを有する。本実施形態の更に別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は、0.9pg以下、0.8pg以下、0.7pg以下、0.6pg以下、0.5pg以下、0.4pg以下、0.3pg以下、0.2pg以下、0.1pg以下の再標的化エンドペプチダーゼのLODを有する。
本実施形態の別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は、100nM以下、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下、10nM以下、9nM以下、8nM以下、7nM以下、6nM以下、5nM以下、4nM以下、3nM以下、2nM以下または1nM以下の再標的化エンドペプチダーゼのLODを有する。本実施形態の別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は、900pM以下、800pM以下、700pM以下、600pM以下、500pM以下、400pM以下、300pM以下、200pM以下または100pM以下の再標的化エンドペプチダーゼのLODを有する。本実施形態の別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は100pM以下、90pM以下、80pM以下、70pM以下、60pM以下、50pM以下、40pM以下、30pM以下、20pM以下または10pM以下の再標的化エンドペプチダーゼのLODを有する。本実施形態の更に別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は10pM以下の再標的化エンドペプチダーゼ、9pM以下、8pM以下、7pM以下、6pM以下、5pM以下、4pM以下、3pM以下、2pM以下または1pM以下の再標的化エンドペプチダーゼのLODを有する。
定量限界(LOQ)とは許容可能な精密度および精度で測定することができる試料および標本中の分析対象物の最低濃度と最高濃度である。定量の下限とは検出法がバックグラウンドから一貫して計測できる最小限の用量を言う。定量の上限とはシグナル飽和が起こる前に検出法が一貫して計測できる最大限の用量である。この方法の線形範囲とは定量の下限と上限の間の面積である。線形範囲は定量の上限から定量の下限を差し引いて計算できる。本明細書で使用されるとき、用語「下漸近線におけるシグナル対ノイズ比」とは検出の下限をバックグラウンドシグナルで分割する方法で検出されたシグナルを言う。本明細書で使用されるとき、用語「上漸近線におけるシグナル対ノイズ比」とは検出の上限をバックグラウンドシグナルで分割する方法で検出されたシグナルを言う。
従って、一実施形態では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は陰性対照またはブランクからは有意に違いがある量で再標的化エンドペプチダーゼのLOQを検出できる。本実施形態の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は、10ng以下、9ng以下、8ng以下、7ng以下、6ng以下、5ng以下、4ng以下、3ng以下、2ng以下、1ng以下の再標的化エンドペプチダーゼのLOQを有する。本実施形態の更に別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は900pg以下、800pg以下、700pg以下、600pg以下、500pg以下、400pg以下、300pg以下、200pg以下、100pg以下の再標的化エンドペプチダーゼのLOQを有する。本実施形態の更に態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は90pg以下、80pg以下、70pg以下、60pg以下、50pg以下、40pg以下、30pg以下、20pg以下、10pg以下の再標的化エンドペプチダーゼのLOQを有する。本実施形態の別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は、9pg以下、8pg以下、7pg以下、6pg以下、5pg以下、4pg以下、3pg以下、2pg以下、1pg以下の再標的化エンドペプチダーゼのLOQを有する。本実施形態の更に別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は0.9pg以下、0.8pg以下、0.7pg以下、0.6pg以下、0.5pg以下、0.4pg以下、0.3pg以下、0.2pg、0.1pg以下の再標的化エンドペプチダーゼのLOQを有する。
本実施形態の別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は、100nM以下、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下、10nM以下、9nM以下、8nM以下、7nM以下、6nM以下、5nM以下、4nM以下、3nM以下、2nM以下または1nM以下の再標的化エンドペプチダーゼのLOQを有する。本実施形態の別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は900pM以下、800pM以下、700pM以下、600pM以下、500pM以下、400pM以下、300pM以下、200pM以下または100pM以下の再標的化エンドペプチダーゼのLOQを有する。本実施形態の別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は、100pM以下、90pM以下、80pM以下、70pM以下、60pM以下、50pM以下、40pM以下、30pM以下、20pM以下または10pM以下の再標的化エンドペプチダーゼのLOQを有する。本実施形態の更に別の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は、10pM以下の再標的化エンドペプチダーゼ、9pM以下、8pM以下、7pM以下、6pM以下、5pM以下、4pM以下、3pM以下、2pM以下または1pM以下の再標的化エンドペプチダーゼのLOQを有する。
開示した方法の実践面に有効な免疫を利用した方法は50%以下の精度を有しなければならない。本実施形態の態様では、免疫を利用した方法は、50%以下、40%以下、30%以下または20%以下の精度を有する。本実施形態の別の態様では、免疫を利用した方法は、15%以下、10%以下、5%以下の精度を有する。本実施形態の別の態様では、免疫を利用した方法は、4%以下、3%以下、2%以下、または1%以下の精度を有する。
開示した方法の実践面に有効な免疫を利用した方法は、少なくとも50%未満の精密度を有しなければならない。本実施形態の態様では、免疫を利用した方法は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%の精密度を有する。本実施形態の別の態様では、免疫を利用した方法は、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の精密度を有する。本実施形態の別の態様では、免疫を利用した方法は少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の精密度を有する。
本明細書に開示した免疫を利用した方法は統計的に有意な下漸近線におけるシグナル対ノイズ比および統計的に有意な上漸近線におけるシグナル対ノイズ比を有しなければならない。本実施形態の態様では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1または少なくとも20:1の下漸近線におけるシグナル対ノイズ比を有する。本実施形態の別の態様では、免疫を利用した方法は少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも35:1、少なくとも40:1、少なくとも45:1、少なくとも50:1、少なくとも60:1、少なくとも70:1、少なくとも80:1、少なくとも90:1、少なくとも100:1、少なくとも150:1、少なくとも200:1、少なくとも250:1、少なくとも300:1、少なくとも350:1、少なくとも400:1、少なくとも450:1、少なくとも500:1、少なくとも550:1または少なくとも600:1の上漸近線におけるシグナル対ノイズ比を有する。
方法の特異性とは、部分的に活性または不活性分析対象物などの関連のあるその他の成分を排除して目的の分析対象物を計測する方法の能力である。方法の選択性は、試料中の種々の物質を区別する分析的方法の能力を表す記載。方法の直線性は試料中の分析対象物の濃度に比例して直接的または良好に規定された数学的な変換によって結果を引き出す能力である。従って一実施形態では、本明細書に開示した免疫を利用した方法は完全に活性な再標的化エンドペプチダーゼの70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下または10%以下の活性を有する部分的に活性な再標的化エンドペプチダーゼから完全に活性な再標的化エンドペプチダーゼを識別できる。
方法の耐久性は通常の(しかし可変的)試験状態下で同一の試料について得た試験結果の再現性である。方法の頑健性とは分析法の条件を小さい範囲で故意に変動させたときに測定値が影響を受けにくい能力のことであり、通常の作業状態における分析法の信頼性の指標となる。従って耐久性は避けえない変化を評価するが頑健性は意図的な変化を評価する。耐久性と頑健性で評価する典型的なパラメータは凍結/融解、インキュベーション時間、インキュベーション温度、試薬の寿命、試料調製物、試料保管、細胞継代数、再標的化エンドペプチダーゼのロット、精製の間の差およびニッキング反応間の差を含む。細胞ベースのアッセイの頑健性パラメータは細胞バンク(凍結の開始、中間および終了)、細胞継代レベル、細胞播種濃度、細胞株濃度(培養中の日数)、フラスコ内の細胞年齢(播種までの待ち時間)、インキュベーション時間、異なるプレイト、過量の血清および試薬源を含む。方法のシステム適合性は経時的に標準物質または標準分子での分析による試薬および装置の性能を含ま含んだアッセイ性能の決定である。FDAのガイドラインは装置、エレクトロニクス、アッセイ性能および分析する試料が集積システムを構成するという事実に言及してシステム適合性を強調している。システム適合性はログ投与量に対する反応をプロットすることで平行度テストにより評価することができ、標準の連続希釈および試料の連続希釈が平衡曲線を生じさせる。
本開示の態様は樹立した細胞株由来の細胞を一部含む。本明細書で使用されるとき、用語「細胞」は、再標的化エンドペプチダーゼによる再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である任意の真核細胞または再標的化エンドペプチダーゼを取り込みできる任意の真核細胞を言う。細胞という用語はさまざまな生物由来、例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ウマ、霊長類、ヒトの細胞などの細胞を含む。それらはさまざまな細胞型、例えば、神経細型および非神経細型由来で、異種細胞集団、組織または臓器からまたはその一部から分離できるものである。本明細書で使用されるとき、用語「樹立された細胞株」は、「死化細胞株」または「形質転換細胞株」と同意語とみなし、かつ、組織、細胞または臓器由来の細胞集団からの不明確な増殖における選択された細胞の細胞培養を言う。定義に従い、樹立された細胞株は一次細胞の細胞培養を除く。本明細書で使用されるとき、用語「一次細胞」は、新鮮組織または臓器から直接収集した細胞であり不確定に増殖する可能性を持たない。樹立された細胞株は細胞の異種集団または細胞の均一集団を含むことができる。単細胞由来の樹立された細胞株はクローン細胞株と言う。樹立された細胞株は、再標的化エンドペプチダーゼがSNAP−25基質の蛋白質分解を起こし再標的化エンドペプチダーゼのその受容体への結合、エンドペプチダーゼ/受容体複合体のエンドペプチダーゼ、細胞内小胞から細胞質内へ再標的化エンドペプチダーゼ軽鎖の転座ならびにSNAP−25のタンパク質分解的切断を含む全般的な細胞機構を行う細胞に必要な全ての成分を内因的に発現する細胞であってもよい。あるいは、樹立された細胞株は再標的化エンドペプチダーゼがSNAP−25基質およびエキソサイトーシスの蛋白質分解を起こし再標的化エンドペプチダーゼのその受容体への結合、エンドペプチダーゼ/受容体複合体の内在化、細胞内小胞から細胞質内へ軽鎖の転座ならびにSNAP−25のタンパク質分解的切断を含む全般的な細胞機構を行う細胞に必要な少なくとも1つの成分の外因性源から導入された細胞であってもよい。また、遺伝子改変細胞株においてそのような樹立された細胞株由来の細胞は、例えば、外因性ORL1、外因性DOR、外因性KOR、外因性MOR、外因性ガラニン受容体1、外因性ガラニン受容体2、外因性ガラニン受容体3またはこれらの組み合せを発現してもよい。
本開示の態様は、再標的化エンドペプチダーゼに感受性である樹立した細胞株由来の細胞を一部含む。本明細書で使用されるとき、用語「再標的化エンドペプチダーゼに感受性である細胞」、「再標的化エンドペプチダーゼによる再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である細胞」または「再標的化エンドペプチダーゼによる再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞」は、再標的化エンドペプチダーゼがSNAP−25基質の蛋白質分解を起こし全般的な細胞機構を行うことができる細胞を言い、それによりエキソサイトーシスを阻害し再標的化エンドペプチダーゼのその受容体への結合、エンドペプチダーゼ/受容体複合体のエンドペプチダーゼ、細胞内小胞から細胞質内へ再標的化エンドペプチダーゼ軽鎖の転座ならびにSNAP−25のタンパク質分解的切断を含む。定義に従い、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である細胞は少なくとも1つの再標的化エンドペプチダーゼ受容体および少なくとも1つのSNAP−25基質を発現するか発現するように改変されなければならない。本明細書で使用されるとき、用語「再標的化エンドペプチダーゼを取り込む細胞」または「再標的化エンドペプチダーゼを取り込むことができる樹立した細胞株を含む細胞」は細胞を言い、再標的化エンドペプチダーゼがSNAP−25基質の蛋白質分解を起こし全般的な細胞機構を行うことができる細胞を言い、それによりエキソサイトーシスを阻害し再標的化エンドペプチダーゼのその受容体への結合、エンドペプチダーゼ/受容体複合体のエンドペプチダーゼ、細胞内小胞から細胞質内へ再標的化エンドペプチダーゼ軽鎖の転座ならびにSNAP−25のタンパク質分解的切断を含む。定義に従い、再標的化エンドペプチダーゼを取り込むことができる細胞は少なくとも1つの再標的化エンドペプチダーゼ受容体および少なくとも1つのSNAP−25基質を発現するか発現するように改変されなければならない。
従って、一実施形態では、樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である。本実施形態の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は、約100nM以下、約90nM以下、約80nM以下、約70nM以下、約60nM以下、約50nM以下、約40nM以下、約30nM以下、約20nM以下、約10nM以下の再標的化エンドペプチダーゼによる再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である。別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は約9nM以下、約8nM以下、約7nM以下、約6nM以下、約5nM以下、約4nM以下、約3nM以下、約2nM以下、約1nM以下の再標的化エンドペプチダーゼによる再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である。さらに別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は約0.9nM以下、約0.8nM以下、約0.7nM以下、約0.6nM以下、約0.5nM以下、約0.4nM以下、約0.3nM以下、約0.2nM以下、約0.1nM以下の再標的化エンドペプチダーゼによる再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である。本明細書で使用されるとき、用語「約」は、記載された事項、数、パーセンテージまたは用語の値が特定された場合には記載された事項、数、パーセンテージまたは用語の値のプラスまたはマイナス10パーセントの範囲を言う。
別の実施形態では、樹立したクローン細胞株を含む細胞は再標的化エンドペプチダーゼを取込みできる。本実施形態の態様では、樹立したクローン細胞株を含む細胞は約100nM以下、90nM以下、約80nM以下、約70nM以下、約60nM以下、約50nM以下、約40nM以下、約30nM以下、約20nM以下、約10nMまたは以下の再標的化エンドペプチダーゼを取込みできる。別の態様では、樹立したクローン細胞株を含む細胞は約9nM以下、約8nM以下、約7nM以下、約6nM以下、約5nM以下、約4nM以下、約3nM以下、約2nM以下、約1nMまたは以下の再標的化エンドペプチダーゼを取り込む能力を有する。さらに別の態様では、樹立したクローン細胞株を含む細胞は約0.9nM以下、約0.8nM以下、約0.7nM以下、約0.6nM以下、約0.5nM以下、約0.4nM以下、約0.3nM以下、約0.2nM以下、約0.1nM以下の再標的化エンドペプチダーゼを取り込む能力を有する。
本開示の態様は本明細書で開示した再標的化エンドペプチダーゼについて選択的結合を示す樹立した細胞株由来の細胞を一部含む。本明細書で使用されるとき、用語「選択的に結合」または「選択的結合」が再標的化エンドペプチダーゼを参照している場合には再標的化エンドペプチダーゼが実質的に非標的エピトープと交差反応しないような、再標的化エンドペプチダーゼと所定の標的エピトープとの特殊な結合を言う。再標的化エンドペプチダーゼについて樹立した細胞株由来の細胞が選択的に結合する程度は、これらの細胞が再標的化エンドペプチダーゼの標的ドメインを有しない分子について非選択的な取込を示す範囲から測定することができる。再標的化エンドペプチダーゼの標的ドメインを有しない分子について非選択的な取込を評価する1つの方法はLHN断片の非選択的な取込を計測する方法である。LHN断片はクロストリジウム毒素転座ドメインおよびクロストリジウム毒素酵素ドメインを含むが標的ドメインを有しない。LHN断片の非限定的例はLHN/A断片、LHN/B断片、LHN/C断片、LHN/D断片、LHN/E断片、LHN/F断片およびLHN/G断片を含む。LHN/A断片の例はポリヌクレオチド分子配列番号147によりコードされる配列番号146である。
従って、一実施形態では、樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼについて選択的結合を示す。本実施形態の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は少なくとも75%のアッセイをした総合活性、少なくとも80%のアッセイをした総合活性、少なくとも85%のアッセイをした総合活性、少なくとも90%のアッセイをした総合活性または少なくとも95%のアッセイをした総合活性を表す再標的化エンドペプチダーゼについて選択的結合を示す。本実施形態の別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は約75%から100%のアッセイをした総合活性、約80%から約100%のアッセイをした総合活性、約85%から約100%をした総合活性、約90%から約100%をした総合活性を表す再標的化エンドペプチダーゼについて選択的結合を示す。
別の実施形態では、樹立した細胞株由来の細胞は最小LHN断片の非選択的な取込を示す。本実施形態の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は最大で25%の計測された総合取込、最大で20%の計測された総合取込、最大で15%の計測された総合取込、最大で10%の計測された総合取込または最大で5%の計測された総合取込であるLHN断片の非選択的な取込を示す。本実施形態の別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は約0%から約25%の計測された総合取込、約0%から約20%の計測された総合取込、約0%から約15%の計測された総合取込、約0%から約10%の計測された総合取込または約0%から約5%の計測された総合取込であるLHN断片の非選択的な取込を示す。
更に別の実施形態では、樹立した細胞株由来の細胞は最小LHN/A断片の非選択的な取込を示す。本実施形態の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は最大で25%の計測された総合取込、最大で20%の計測された総合取込、最大で15%の計測された総合取込、最大で10%の計測された総合取込または最大で5%の計測された総合取込であるLHN/A断片の非選択的な取込を示す。本実施形態の別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は約0%〜約25%の計測された総合取込、約0%〜約20%の計測された総合取込、約0%〜約15%の計測された総合取込、約0%〜約10%の計測された総合取込または約0%から約5%の計測された総合取込であるLHN/A断片の非選択的な取込を示す。
本開示の態様は感度がよく、かつ、選択的な結合を付与する原形質膜上の十分な数の受容体結合部位を示す樹立した細胞株由来の細胞を一部含む。平衡飽和結合アッセイは種々の濃度でのリガンドの総および非特異的結合を測定する。リガンドの平衡解離定数(Kd)および最大数の受容体結合部位Bmaxは非線形回帰分析を用いて特異的結合から計算できる。特異的結合はリガンドの非特異的結合を観測された総結合から差し引いて計算できる。Kdは最大半量結合に到達するのに必要とされるリガンドの濃度であり、かつ、モル濃度で計測される。Bmaxは原形質膜上の結合部位の最大数であり、pmol/mg、pmol/cell、fmol/cell、あるはsites/cellの単位で計測される。
従って、一実施形態では、樹立した細胞株由来の細胞は感度の良く、かつ、選択的な結合を付与する原形質膜上の十分な数の受容体結合部位を示す。本実施形態の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼの標的リガンドについて少なくとも0.1fmol/cell、少なくとも0.2fmol/cell、少なくとも0.3fmol/cell、少なくとも0.4fmol/cell、少なくとも0.5fmol/cell、少なくとも0.6fmol/cell、少なくとも0.7fmol/cell、少なくとも0.8fmol/cell、少なくとも0.9fmol/cellまたは少なくとも1.0fmol/cellのBmax値を示す。本実施形態の別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼの標的リガンドについて少なくとも1fmol/cell、少なくとも2fmol/cell、少なくとも3fmol/cell、少なくとも4fmol/cell、少なくとも5fmol/cell、少なくとも6fmol/cell、少なくとも7fmol/cell、少なくとも8fmol/cell、少なくとも9fmol/cellまたは少なくとも10fmol/cellのBmax値を示す。
本開示の態様はクローン細胞株が由来した親細胞株由来の細胞よりもより安定している再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞を一部含む。本明細書で使用されるとき、用語「安定している」は、同様のアッセイ状態および同様の再標的化エンドペプチダーゼが両方のアッセイで使用され、クローン細胞株が由来した親細胞株由来の細胞により示される相対的なEC50感度、有効性、明確に定義された上漸近線および/または明確に定義された用量応答曲線の値と類似する再標的化エンドペプチダーゼ活性のEC50感度、有効性、明確に定義された上漸近線および/または明確に定義された用量応答曲線を示す特定の継代数における樹立したクローン細胞株由来の細胞を言う。
従って、一実施形態では、樹立したクローン細胞株由来の細胞はクローン細胞株が由来した親細胞株と比較してより安定している。本実施形態の一態様では、樹立したクローン細胞株由来の細胞は親SK−N−DZ細胞株と比べてより安定している。本実施形態の別の態様では、樹立したクローン細胞株由来の細胞は親SK−N−DZ細胞株ATCC CRL−2149と比べてより安定している。本実施形態の別の態様では、樹立したクローン細胞株由来の細胞はクローン細胞株が由来した親細胞株と比較して例えば、少なくとも5超の継体、少なくとも10超の継体、少なくとも15超の継体、少なくとも20超の継体、少なくとも25超の継体、または少なくとも30超の継体についてより安定している。本実施形態の更に別の態様では、樹立したクローン細胞株由来の細胞はクローン細胞株が由来した親細胞株と比較して例えば、少なくとも5超の継体、少なくとも10超の継体、少なくとも15超の継体、少なくとも20超の継体、少なくとも25超の継体、または少なくとも30超の継体についてより安定している。
本開示の態様は複数の細胞継体での安定している再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立したクローン細胞株由来の細胞を一部含む。本明細書で使用されるとき、用語「安定している」とは同様のアッセイ状態および同様の再標的化エンドペプチダーゼが両方のアッセイで使用され、先行する継体からでなく同様の樹立したクローン細胞株由来の細胞により示される相対的なEC50、感度、有効性、明確に定義された上漸近線および/または明確に定義された用量応答曲線の値と類似する再標的化エンドペプチダーゼ活性のEC50感度、有効性、明確に定義された上漸近線および/または明確に定義された用量応答曲線を示す特定の継代数における樹立したクローン細胞株由来の細胞を言う。
本明細書に開示した樹立した細胞株由来の細胞は複数の細胞継体での再標的化エンドペプチダーゼ活性における一貫した感度を示すことができる。本明細書で使用されるとき、用語「再標的化エンドペプチダーゼ活性に対する感度」は、無投与対照またはバックグランドシグナルにより検出されるシグナルを超えたアッセイが測定できる最低投与量を言う。
従って、一実施形態では、樹立したクローン細胞株由来の細胞はどのような継体であれ標的エンドペプチダーゼの100nM以下、約80nM以下、約70nM以下、約60nM以下、約50nM以下、約40nM以下、約30nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約1nM以下、約0.9nM以下、約0.8nM以下、約0.7nM以下、約0.6nM以下、約0.5nM以下、約0.4nM以下、約0.3nM以下、約0.2nM以下または約0.1nM以下での再標的化エンドペプチダーゼ活性における感度を示す。本実施形態の態様では、樹立したクローン細胞株由来の細胞はどのような継体であれ再標的化エンドペプチダーゼの約0.01nM〜約100nM、約0.01nM〜約75nM、約0.01nM〜約50nM、約0.01nM〜約25nM、約0.01nM〜約20nM、約0.01nM〜約15nM、約0.01nM〜約10nM、約0.01nM〜約5nM、約0.001nM〜約100nM、約0.001nM〜約75nM、約0.001nM〜約50nM、約0.001nM〜約25nM、約0.001nM〜約20nM、約0.001nM〜約15nM、約0.001nM〜約10nM、または約0.001nM〜約5nMの再標的化エンドペプチダーゼ活性における感度を示す。
別の実施形態では、樹立したクローン細胞株由来の細胞は、5以上の細胞継体、10以上の細胞継体、15以上の細胞継体、20以上の細胞継体、25以上の細胞継体、30以上の細胞継体、35以上の細胞継体、40以上の細胞継体、45以上の細胞継体または50以上の細胞継体について約100nM以下、約75nM以下、約50nM以下、約25nM以下、約20nM以下、約15nM以下、約10nM以下または約1nM以下の再標的化エンドペプチダーゼ活性における感度を示す。本実施形態の別の態様では、樹立したクローン細胞株由来の細胞は、約15〜約60の継体、約20〜約60の継体、約25〜約60の継体、約30〜約60の継体、約35〜約60の継体、約40〜約60の継体、約45〜約60の継体、約50〜約60の継体、約15〜約50の継体、約20〜約50の継体、約25〜約50の継体、約30〜約50の継体、約35〜約50の継体、約40〜約50の継体、約15〜約40の継体、約20〜約40の継体、約25〜約40の継体または約30〜約40の継体について約100nM以下、約75nM以下、約50nM以下、約25nM以下、約20nM以下、約15nM以下、約10nM以下または約1nM以下の再標的化エンドペプチダーゼ活性における感度を示す。
本明細書に開示した樹立した細胞株由来の細胞は、複数の細胞継体での再標的化エンドペプチダーゼ活性における一貫性がある相対的な有効性を示すことができる。本明細書で使用されるとき、用語「相対的な有効性」は、どの程度現在のアッセイ試験において検出された再標的化エンドペプチダーゼ活性について上漸近線がそのアッセイで使用されている標準物質、標準分子または標準継体数において検出された再標的化エンドペプチダーゼ活性における上漸近線と比較できるのかを言う。本明細書で使用されるとき、用語「上漸近線におけるシグナル対ノイズ比」とは無治療対照またはバックグラウンドシグナルで検出できるシグナルで分割した検出の最大値でアッセイで検出されたシグナルを言う。検出の最大値はシグナルの飽和が起こる前における信号のアッセイが一貫して測定ができる最高用量である。
従って、一実施形態では、本明細書において開示した樹立したクローン細胞株由来の細胞は複数の細胞継体で明確に定義された上漸近線を示ことができ、かつ、アッセイにとって一貫して十分なシグナル対ノイズ比を維持することができる。本実施形態の態様では、本明細書において開示した樹立したクローン細胞株由来の細胞は、例えば、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも35:1、少なくとも40:1、少なくとも45:1、少なくとも50:1、少なくとも60:1、少なくとも70:1、少なくとも80:1、少なくとも90:1、少なくとも100:1、少なくとも150:1、少なくとも200:1、少なくとも250:1、少なくとも300:1、少なくとも350:1、少なくとも400:1、少なくとも450:1、少なくとも500:1、少なくとも550:1、または少なくとも600:1以上の、例えば、5以上の細胞継体、10以上の細胞継体、15以上の細胞継体、20以上の細胞継体、25以上の細胞継体、30以上の細胞継体、35以上の細胞継体、40以上の細胞継体、45以上の細胞継体、または50以上の細胞継体で再標的化エンドペプチダーゼ活性に関する上漸近線についてシグナル対ノイズ比を有しなければならない。本実施形態の別の態様では、本明細書において開示した樹立したクローン細胞株由来の細胞は、例えば、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも35:1、少なくとも40:1、少なくとも45:1、少なくとも50:1、少なくとも60:1、少なくとも70:1、少なくとも80:1、少なくとも90:1、少なくとも100:1、少なくとも150:1、少なくとも200:1、少なくとも250:1、少なくとも300:1、少なくとも350:1、少なくとも400:1、少なくとも450:1、少なくとも500:1、少なくとも550:1、または少なくとも600:1以上の、例えば、約15〜約60の継体、約20〜約60の継体、約25〜約60の継体、約30〜約60の継体、約35〜約60の継体、約40〜約60の継体、約45〜約60の継体、約50〜約60の継体、約15〜約50の継体、約20〜約50の継体、約25〜約50の継体、約30〜約50の継体、約35〜約50の継体、約40〜約50の継体、約15〜約40の継体、約20〜約40の継体、約25〜約40の継体、または約30〜約40の継体で再標的化エンドペプチダーゼ活性に関する上漸近線について明確に定義されたシグナル対ノイズ比を有しなければならない。
本明細書において開示した樹立したクローン細胞株由来の細胞は、複数の細胞継体で再標的化エンドペプチダーゼ活性について明確に定義された用量応答曲線を示すことできる。本明細書で使用されるとき、用語「用量応答曲線」は、どの程度生データがかかるアッセイにおける選択の統計モデルに適合するかを言う。非限定的な例として4−パラメータロジスティック適合表示のS字状曲線は効力アッセイなどの酵素活性アッセイにおける用量応答曲線である。他の非限定的な例として単一部位飽和適合があるリガンド結合はリガンド/抗体結合アッセイにおける用量応答曲線である。
従って、一実施形態では、本明細書において開示した樹立したクローン細胞株由来の細胞は複数の細胞継体で再標的化エンドペプチダーゼ活性について明確に定義された用量応答曲線を示す。本実施形態の態様では、本明細書において開示した樹立したクローン細胞株由来の細胞は、例えば、5以上の細胞継体、10以上の細胞継体、15以上の細胞継体、20以上の細胞継体、25以上の細胞継体、30以上の細胞継体、35以上の細胞継体、40以上の細胞継体、45以上の細胞継体、または50以上の細胞継体で再標的化エンドペプチダーゼ活性について明確に定義された用量応答曲線を示す。本実施形態の別の態様では、本明細書において開示した樹立したクローン細胞株由来の細胞は、例えば、約15〜約60の継体、約20〜約60の継体、約25〜約60の継体、約30〜約60の継体、約35〜約60の継体、約40〜約60の継体、約45〜約60の継体、約50〜約60の継体、約15〜約50の継体、約20〜約50の継体、約25〜約50の継体、約30〜約50の継体、約35〜約50の継体、約40〜約50の継体、約15〜約40の継体、約20〜約40の継体、約25〜約40の継体、または約30〜約40の継体で再標的化エンドペプチダーゼ活性について明確に定義された用量応答曲線を示す。
本明細書において開示する樹立したクローン細胞株由来の細胞は複数の細胞継体で再標的化エンドペプチダーゼ活性について一貫性がある相対的なEC50値を示すことができる。本明細書で使用されるとき、用語「相対的なEC50」または「相対的なEC50値」はそのアッセイで使用されている標準物質、標準分子または標準継体数について計算したEC50に対して正規化した再標的化エンドペプチダーゼ活性のEC50値を言う。
従って、一実施形態では、樹立したクローン細胞株由来の細胞は複数の細胞継体で再標的化エンドペプチダーゼ活性について一貫性がある相対的なEC50値を示す。本実施形態の態様では、樹立したクローン細胞株由来の細胞は、例えば、約±10%、約±20%、約±30%、約±40%、約±50%、約60%、約70%または約±75%、再標的化エンドペプチダーゼ活性について相対的なEC50値、例えば、5以上の細胞継体、10以上の細胞継体、15以上の細胞継体、20以上の細胞継体、25以上の細胞継体、30以上の細胞継体、35以上の細胞継体、40以上の細胞継体、45以上の細胞継体、または50以上の細胞継体で再標的化エンドペプチダーゼ活性について一貫性がある相対的なEC50値を示す。本実施形態の別の態様では、樹立したクローン細胞株由来の細胞は、例えば、約±10%〜約75%、約±10%〜約70%、約±10%〜約60%、約±10%〜約50%、約±10%〜約40%、約±10%〜約30%または約±10%〜約20%、再標的化エンドペプチダーゼ活性について相対的なEC50値、例えば、5以上の細胞継体、10以上の細胞継体、15以上の細胞継体、20以上の細胞継体、25以上の細胞継体、30以上の細胞継体、35以上の細胞継体、40以上の細胞継体、45以上の細胞継体、または50以上の細胞継体で再標的化エンドペプチダーゼ活性について一貫性がある相対的なEC50値を示す。
本開示の態様は再標的化エンドペプチダーゼを一部含む。本明細書で使用されるとき、用語「再標的化エンドペプチダーゼ」は「標的化血管エキソサイトーシスモジュレーター蛋白質」または「TVEMP」と同意語とみなす。再標的化エンドペプチダーゼの非限定的な例はKeith A. Foster et al.、Clostridial Toxin Derivatives Able To Modify Peripheral Sensory Afferent Functions(米国特許第5,989,545号); Clifford C. Shone et al.、Recombinant Toxin Fragments(米国特許第6,461,617号); Conrad P. Quinn et al.、Methods and Compounds for the Treatment of Mucus Hypersecretion(米国特許第6,632,440号); Lance E. Steward et al.、Methods And Compositions For The Treatment Of Pancreatitis(米国特許第6,843,998号); Stephan Donovan, Clostridial Toxin Derivatives and Methods For Treating Pain(米国特許出願公開第2002/0037833号); Keith A. Foster et al.、Inhibition of Secretion from Non−neural Cells(米国特許出願公開第2003/0180289号); J. Oliver Dolly et al. 、Activatable Recombinant Neurotoxins(国際公開第2001/014570号); Keith A. Foster et al.、Re−targeted Toxin Conjugates(国際公開第2005/023309号); Lance E. Steward et al.、Multivalent Clostridial Toxin Derivatives and Methods of Their Use(米国特許出願公開第11/376,696号); Steward、L. E. et al.、Modified Clostridial Toxins with Enhanced Translocation Capabilities and Altered Targeting Activity For Non−Clostridial Toxin Target Cells(米国特許出願公開第11/776,075号); Dolly、J. O. et al.、Activatable Clostridial Toxins(米国特許出願公開第11/829,475号); Foster、K.A. et al.、Fusion Proteins(国際公開第2006/059093号); and Foster、K.A. et al.、Non−Cytotoxic Protein Conjugates(国際公開第2006/059105号)に開示されている。上記のそれぞれは、全内容が参照により本明細書に組み込まれる。再標的化エンドペプチダーゼの非限定的な例配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号130および配列番号131を含む。
従って、一実施形態では、検出される再標的化エンドペプチダーゼは再標的化エンドペプチダーゼからである。本実施形態の態様では、検出される再標的化エンドペプチダーゼはKeith A. Foster et al., Clostridial Toxin Derivatives Able To Modify Peripheral Sensory Afferent Functions(米国特許第5,989,545号); Clifford C. Shone et al.、Recombinant Toxin Fragments(米国特許第6,461,617号); Conrad P. Quinn et al.、Methods and Compounds for the Treatment of Mucus Hypersecretion(米国特許第6,632,440号); Lance E. Steward et al.、Methods And Compositions For The Treatment Of Pancreatitis(米国特許第6,843,998号); Stephan Donovan、Clostridial Toxin Derivatives and Methods For Treating Pain(米国特許出願公開第2002/0037833号); Keith A. Foster et al.、Inhibition of Secretion from Non−neural Cells(米国特許出願公開第2003/0180289号); J. Oliver Dolly et al.、Activatable Recombinant Neurotoxins(国際公開第2001/014570号); Keith A. Foster et al.、Re−targeted Toxin Conjugates(国際公開第2005/023309号); Lance E. Steward et al.、Multivalent Clostridial Toxin Derivatives and Methods of Their Use(米国特許出願公開第11/376,696号); Steward、L. E. et al.、Modified Clostridial Toxins with Enhanced Translocation Capabilities and Altered Targeting Activity For Non−Clostridial Toxin Target Cells(米国特許出願公開第11/776,075号); Dolly、J. O. et al.、Activatable Clostridial Toxins,(米国特許出願公開第11/829,475号); Foster, K.A. et al., Fusion Proteins(国際公開第2006/059093号);およびFoster, K.A. et al., Non−Cytotoxic Protein Conjugates(国際公開第2006/059105号)に開示した再標的化エンドペプチダーゼからである。上記のそれぞれは全内容が参照により本明細書に組み込まれる。本実施形態の態様では、再標的化エンドペプチダーゼは配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号130または配列番号131である。
別の実施形態では、検出される再標的化エンドペプチダーゼはKeith A. Foster et al.、Clostridial Toxin Derivatives Able To Modify Peripheral Sensory Afferent Functions(米国特許第5,989,545号); Clifford C. Shone et al.、Recombinant Toxin Fragments(米国特許第6,461,617号); Conrad P. Quinn et al.、Methods and Compounds for the Treatment of Mucus Hypersecretion(米国特許第6,632,440号); Lance E. Steward et al.、Methods And Compositions For The Treatment Of Pancreatitis(米国特許第6,843,998号); Stephan Donovan、Clostridial Toxin Derivatives and Methods For Treating Pain(米国特許出願公開第2002/0037833号); Keith A. Foster et al.、Inhibition of Secretion from Non−neural Cells(米国特許出願公開第2003/0180289号); J. Oliver Dolly et al.、Activatable Recombinant Neurotoxins(国際公開第2001/014570号); Keith A. Foster et al.、Re−targeted Toxin Conjugates(国際公開第2005/023309号); Lance E. Steward et al.、Multivalent Clostridial Toxin Derivatives and Methods of Their Use(米国特許出願公開第11/376,696号); Steward、L. E. et al.、Modified Clostridial Toxins with Enhanced Translocation Capabilities and Altered Targeting Activity For Non−Clostridial Toxin Target Cells(米国特許出願公開第11/776,075号); Dolly、J. O. et al.、Activatable Clostridial Toxins(米国特許出願公開第11/829,475号); Foster, K.A. et al.、Fusion Proteins(国際公開第2006/059093号);およびFoster、K.A. et al.、Non−Cytotoxic Protein Conjugates(国際公開第2006/059105号)に開示されている再標的化エンドペプチダーゼを少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する再標的化エンドペプチダーゼからである。上記のそれぞれは全内容が参照により本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、検出される再標的化エンドペプチダーゼは配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号130または配列番号131の再標的化エンドペプチダーゼと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する再標的化エンドペプチダーゼからである。
本実施形態の別の態様では、検出される再標的化エンドペプチダーゼはKeith A. Foster et al., Clostridial Toxin Derivatives Able To Modify Peripheral Sensory Afferent Functions(米国特許第5,989,545号); Clifford C. Shone et al.、Recombinant Toxin Fragments(米国特許第6,461,617号); Conrad P. Quinn et al.、Methods and Compounds for the Treatment of Mucus Hypersecretion(米国特許第6,632,440号); Lance E. Steward et al.、Methods And Compositions For The Treatment Of Pancreatitis(米国特許第6,843,998号); Stephan Donovan、Clostridial Toxin Derivatives and Methods For Treating Pain(米国特許出願公開第2002/0037833号); Keith A. Foster et al.、Inhibition of Secretion from Non−neural Cells(米国特許出願公開第2003/0180289号); J. Oliver Dolly et al.、Activatable Recombinant Neurotoxins(国際公開第2001/014570号); Keith A. Foster et al.、Re−targeted Toxin Conjugates(国際公開第2005/023309号); Lance E. Steward et al.、Multivalent Clostridial Toxin Derivatives and Methods of Their Use(米国特許出願公開第11/376,696号); Steward、L. E. et al.、Modified Clostridial Toxins with Enhanced Translocation Capabilities and Altered Targeting Activity For Non−Clostridial Toxin Target Cells(米国特許出願公開第11/776,075号); Dolly、J. O. et al.、Activatable Clostridial Toxins(米国特許出願公開第11/829,475); Foster, K.A. et al., Fusion Proteins(国際公開第2006/059093号);およびFoster、K.A. et al.、Non−Cytotoxic Protein Conjugates(国際公開第2006/059105号)に開示した再標的化エンドペプチダーゼと比べて1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の非連続アミノ酸が置換、欠失または付加された再標的化エンドペプチダーゼからである。上記のそれぞれは全内容が参照により本明細書に組み込まれる。本実施形態の別の態様では、検出される再標的化エンドペプチダーゼは配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号130または配列番号131の再標的化エンドペプチダーゼと比べて1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の非連続アミノ酸が置換、欠失または付加された再標的化エンドペプチダーゼからである。
本実施施形態の更に別の態様では、検出される再標的化エンドペプチダーゼはKeith A. Foster et al.、Clostridial Toxin Derivatives Able To Modify Peripheral Sensory Afferent Functions(米国特許第5,989,545号); Clifford C. Shone et al.、Recombinant Toxin Fragments(米国特許第6,461,617号); Conrad P. Quinn et al.、Methods and Compounds for the Treatment of Mucus Hypersecretion(米国特許第6,632,440号); Lance E. Steward et al.、Methods And Compositions For The Treatment Of Pancreatitis(米国特許第6,843,998号); Stephan Donovan、Clostridial Toxin Derivatives and Methods For Treating Pain(米国特許出願公開第2002/0037833号); Keith A. Foster et al.、Inhibition of Secretion from Non−neural Cells(米国特許出願公開第2003/0180289号); J. Oliver Dolly et al.、Activatable Recombinant Neurotoxins(国際公開第2001/014570号); Keith A. Foster et al.、e−targeted Toxin Conjugates(国際公開第2005/023309号); Lance E. Steward et al.、Multivalent Clostridial Toxin Derivatives and Methods of Their Use(米国特許出願公開第11/376,696号); Steward、L. E. et al.、Modified Clostridial Toxins with Enhanced Translocation Capabilities and Altered Targeting Activity For Non−Clostridial Toxin Target Cells(米国特許出願公開第11/776,075号); Dolly、J. O. et al.、Activatable Clostridial Toxins(米国特許出願公開第11/829,475号); Foster, K.A. et al., Fusion Proteins(国際公開第2006/059093号);およびFoster、K.A. et al.、Non−Cytotoxic Protein Conjugates(国際公開第2006/059105号)に開示した再標的化エンドペプチダーゼと比べて例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の連続アミノ酸が置換、欠失または付加された天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ変異体からである。上記のそれぞれは全内容が参照により本明細書に組み込まれる。本実施形態の更に別の態様では、検出される再標的化エンドペプチダーゼは配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号130または配列番号131の再標的化エンドペプチダーゼと比べて1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の連続アミノ酸が置換、欠失または付加された天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼからである。
更に別の実施形態では、検出される再標的化エンドペプチダーゼ活性はオピオイド再標的化エンドペプチダーゼからである。オピオイド再標的化エンドペプチダーゼまたはオピオイド−TVEMPの非限定的な例はKeith A. Foster et al., Clostridial Toxin Derivatives Able To Modify Peripheral Sensory Afferent Functions(米国特許第5,989,545号); J. Oliver Dolly et al., Activatable Recombinant Neurotoxins(米国特許第7,132,259号); Stephan Donovan, Clostridial Toxin Derivatives and Methods For Treating Pain(米国特許第7,244,437号); Stephan Donovan, Clostridial Toxin Derivatives and Methods For Treating Pain(米国特許第7,413,742号); Stephan Donovan, Clostridial Toxin Derivatives and Methods For Treating Pain(米国特許第7,415,338号); Lance E. Steward et al., Multivalent Clostridial Toxin Derivatives and Methods of Their Use(米国特許第7,514,088号); Keith A. Foster, Fusion Proteins(米国特許出願公開第2008/0064092号; Keith A. Foster, Fusion Proteins(米国特許出願公開第2009/0035822号); Lance E. Steward et al., Multivalent Clostridial Toxin Derivatives and Methods of Their Use(米国特許出願公開第2009/0048431号); Keith A. Foster, Non−Cytotoxic Protein Conjugates(米国特許出願公開第2009/0162341号); Keith A. Foster et al., Re−targeted Toxin Conjugates(国際公開第2005/023309号);およびLance E. Steward, Modified Clostridial Toxins with Enhanced Translocation Capabilities and Altered Targeting Capabilities for Non−Clostridial Toxin Target Cells(国際公開第2008/008805号)に開示した。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
更に別の実施形態では、検出される再標的化エンドペプチダーゼ活性は、ガラニン再標的化エンドペプチダーゼからである。ガラニン再標的化エンドペプチダーゼまたはガラニン−TVEMPの非限定的な例はSteward, L. E. et al., Modified Clostridial Toxins with Enhanced Translocation Capability and Enhanced Targeting Activity(米国特許出願公開第11/776,043号)(Jul. 11, 2007); Steward, L. E. et al., Modified Clostridial Toxins with Enhanced Translocation Capabilities and Altered Targeting Activity For Clostridial Toxin Target Cells(米国特許出願公開第11/776,052号)(Jul. 11, 2007);およびSteward, L. E. et al., Modified Clostridial Toxins with Enhanced Translocation Capabilities and Altered Targeting Activity For Non−Clostridial Toxin Target Cells(米国特許出願公開第11/776,075号)(Jul. 11, 2007)に開示した。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示の態様はSNAP−25を一部を含む。本明細書で使用されるとき、用語「SNAP−25」は、天然のSNAP−25または再標的化エンドペプチダーゼにより優先的に切断されている天然には存在しないSNAP−25を言う。本明細書で使用されるとき、用語「優先的に切断されている」は再標的化エンドペプチダーゼによる他の基質と比べて少なくとも1桁より高い再標的化エンドペプチダーゼによるSNAP−25の開裂速度を言う。本実施形態の態様では、再標的化エンドペプチダーゼによるSNAP−25の開裂速度は再標的化エンドペプチダーゼによる他の基質の開裂速度と比べて少なくとも2桁より高い、少なくとも3桁より高い、少なくとも4桁より高い、または少なくとも5桁より高い。
本明細書で使用されるとき、用語「天然のSNAP−25」は、天然のプロセス、限定するものではなく、翻訳後修飾から産生されたSNAP−25アイソフォーム、異なるスプライシングにより生成した転写物または自発突然変異およびSNAP−25サブタイプにより産生されたSNAP−25を言う。天然のSNAP−25は、限定するものではなく、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24または配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24からの1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上のアミノ酸を置換、欠失または付加したものを含む。
本明細書で使用されるとき、用語「天然には存在しないSNAP−25」は、限定するものではなく、ランダム突然変異誘導または合理的な設計を用いて遺伝子操作により産生されたSNAP−25およびインビトロでの化学合成により産生されたSNAP−25を含むヒトの操作の支援で修飾された構造のSNAP−25を言う。天然には存在しないSNAP−25の非限定的例はSteward, L. E. et al., FRET Protease Assays for Clostridial Toxins, U.S. Patent 7,332,567; Fernandez−Salas et al., Lipohilic Dye−based FRET Assays for Clostridial Toxin Activity(米国特許出願公開第2008/0160561号)に開示した。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。天然には存在しないSNAP−25は配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24からの1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上のアミノ酸を置換、欠失または付加してもよい。
従って、一実施形態では、SNAP−25は天然のSNAP−25である。本実施形態の態様では、SNAP−25はSNAP−25アイソフォームまたはSNAP−25サブタイプである。本実施形態の態様では、天然のSNAP−25は少なくとも70%のアミノ酸同一性、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24の天然のSNAP−25である。本実施形態の別の態様では、SNAP−25は配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24との少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然のSNAP−25である。
別の実施形態では、SNAP−25は天然には存在しないSNAP−25である。本実施形態の別の態様では、SNAP−25は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4との少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然には存在しないSNAP−25である。本実施形態の別の態様では、SNAP−25は配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24と比べて1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の非連続アミノ酸が置換、欠失または付加された天然には存在しないSNAP−25である。本実施形態のさらに別の態様では、SNAP−25は配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24と比べて例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の連続アミノ酸が置換、欠失または付加された天然には存在しないSNAP−25である。
SNAP−25は内因性SNAP−25または外因性SNAP−25であってもよい。本明細書で使用されるとき、用語「内因性SNAP−25」は、SNAP−25の外部原因またはSNAP−25をコード化する遺伝物質の外部原因を必要とすることなく細胞がSNAP−25を固有に発現するように細胞のゲノム中に天然にコードされている細胞に天然に存在するSNAP−25を言う。内因性SNAP−25の発現は細胞分化などの環境刺激を加えてもまた加えなくてもよい。定義に従い、内因性SNAP−25は天然のSNAP−25またはその変異体だけである。例えば、以下の樹立された細胞株はBE(2)−M17、Kelly、LA1−55n、N1E−115、N4TG3、N18、Neuro−2a、NG108−15、PC12、SH−SY5Y、SiMa、SK−N−DZおよびSK−N−BE(2)−Cなどの内因性SNAP−25を発現する。
本明細書で使用されるとき、用語「外因性SNAP−25」は、SNAP−25の外部の原因またはヒトの操作によりSNAP−25をコード化する遺伝物質の外部原因を導入することで細胞内に発現するSNAP−25を言う。外因性SNAP−25の発現は細胞分化などの環境刺激を加えてもまた加えなくてもよい。非限定的な例として、樹立した細胞株由来の細胞はSNAP−25の一時的または安定したトランスフェクションにより外因性SNAP−25を発現できる。他の非限定的な例として、樹立した細胞株由来の細胞はSNAP−25の蛋白質移入により外因性SNAP−25を発現できる。外因性SNAP−25は天然のSNAP−25またはその変異体でありまたは天然には存在しないSNAP−25またはその変異体である。
従って、一実施形態では、樹立した細胞株は内因性SNAP−25を発現する。本実施形態の態様では、樹立した細胞株により発現する内因性SNAP−25は天然のSNAP−25である。本実施形態の別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞により発現した内因性SNAP−25は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24である。本実施形態のさらなる態様では、樹立した細胞株由来の細胞により発現した内因性SNAP−25はSNAP−25アイソフォームまたはSNAP−25サブタイプなどの天然のSNAP−25である。本実施形態の別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞により発現した内因性SNAP−25は少なくとも70%のアミノ酸同一性、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24との少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然のSNAP−25である。
別の実施形態では、樹立した細胞株由来の細胞は、一過性にまたは安定的に操作され、内因性SNAP−25を発現する。本実施形態の一態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、天然のSNAP−25を発現する。本実施形態の別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24の天然のSNAP−25を発現する。さらに別の実施形態では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、SNAP−25アイソフォームまたはSNAP−25サブタイプなどの天然のSNAP−25を発現する。本実施形態の更に別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は、一過性にまたは安定的に操作され、少なくとも70%のアミノ酸同一性、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24との少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然のSNAP−25を発現する。
本実施形態の別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は、一過性にまたは安定的に操作され、天然では存在しないSNAP−25を発現する。本実施形態の別の態様では、樹立したクローン細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24との少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然では存在しないSNAP−25を発現する。本実施形態の別の態様では、樹立したクローン細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24と比べて例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の非連続アミノ酸が置換、欠失または付加された天然には存在しないSNAP−25を発現する。本実施形態のさらに別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24と比べて例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の連続アミノ酸が置換、欠失または付加された天然には存在しないSNAP−25を発現する。
再標的化エンドペプチダーゼ曝露後のSNAP−25の切断を検出するアッセイは、細胞が内因性または外因性SNAP−25を発現するかを評価するに用いることができる。このアッセイにおいてはSNAP−25切断産物の生成は再標的化エンドペプチダーゼ曝露後にSNAP−25を発現する細胞で検出される。ウェスタンブロット法ならびに十分に特性が明らかな試薬、条件およびプロトコールの非限定的な例は、限定するものではなく、Amersham Biosciences、Piscataway、NJ; Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA; Pierce Biotechnology、Inc.、Rockford、IL; Promega Corporation、Madison、Wl、and Stratagene、Inc.、La JoIIa、CAなどの業者から容易に利用可能である。SNAP−25切断におけるこれらおよび類似のアッセイは内因性または外因性SNAP−25を発現する細胞を同定するのに有用となる可能性があることが理解される。
非限定的な例として、SNAP−25−切断産物またはSNAP−25の切断型と非切断型の両方を認識する抗体を用いたウェスタンブロット法は、再標的化エンドペプチダーゼ取込のアッセイに使用してもよい。このアッセイに有用なα−SNAP−25抗体の例は、限定するものではなく、α−SNAP−25 マウスモノクローナル抗体 SMI−81 (Sternberger Monoclonals Inc.、Lutherville、MD)、mouse α−SNAP−25 monoclonal antibody Cl 71.1 (Synaptic Systems、Goettingen、Germany)、α−SNAP−25 マウスモノクローナル抗体 Cl 71.2 (Synaptic Systems、Goettingen、Germany)、α−SNAP−25 マウスモノクローナル抗体 SP12 (Abeam、Cambridge、MA)、α−SNAP−25 ウサギポリクローナル抗血清 (Synaptic Systems、Goettingen、Germany)、α−SNAP−25 ウサギポリクローナル抗血清 (Abeam、Cambridge、MA)およびα−SNAP−25 ウサギポリクローナル抗血清 S9684 (Sigma、St Louis、MO)を含む。
開示の態様は再標的化エンドペプチダーゼ受容体を一部含む。本明細書で使用されるとき、用語「再標的化エンドペプチダーゼ受容体」は、再標的化エンドペプチダーゼ反応を誘発するように再標的化エンドペプチダーゼと優先的に相互作用する天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体または天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体を言う。本明細書で使用されるとき、用語「優先的に相互作用する」は、再標的化エンドペプチダーゼ受容体における再標的化エンドペプチダーゼの平衡解離定数(KD)が他の受容体における再標的化エンドペプチダーゼの場合よりも少なくとも1桁低いことを言う。平衡解離定数は再標的化エンドペプチダーゼおよび再標的化エンドペプチダーゼ受容体複合体などの構成要素分子へ可逆的に分離(解離)を行う再標的化エンドペプチダーゼ−再標的化エンドペプチダーゼ容体複合体を性質を測定する特定のタイプの平衡定数である。平衡ではKD=Ka/Kdと定義する。会合定数(Ka)はKa=[C]/[L][R]と定義し、解離定数(Kd)はKd=[L][R]/[C]と定義する。ここで、[L]は再標的化エンドペプチダーゼのモル濃度、[R]は再標的化エンドペプチダーゼ受容体のモル濃度および[C]はエンドペプチダーゼ―受容体複合体のモル濃度であり、さらにすべての濃度は系が平衡である場合の成分である。解離定数が小さくなるほど、再標的化エンドペプチダーゼがその受容体により強く結合し、または再標的化エンドペプチダーゼと再標的化エンドペプチダーゼ受容体間の結合親和性が高くなる。本実施形態の態様では、再標的化エンドペプチダーゼのその受容体における解離定数は他の受容体における再標的化エンドペプチダーゼと比べて少なくとも2桁低い、少なくとも3桁低い、少なくとも4桁低いまたは少なくとも5桁低い。本実施形態の別の態様では、受容体と優先的に相互作用する再標的化エンドペプチダーゼの結合親和性は、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下または100nM以下の平衡解離定数(KD)を有することができる。本実施形態の別の態様では、受容体と優先的に相互作用する再標的化エンドペプチダーゼの結合親和性は90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下または10nM以下の平衡解離定数(KD)を有することができる。本明細書で使用されるとき、用語「再標的化エンドペプチダーゼ反応を誘発する」は、再標的化エンドペプチダーゼと相互作用してエンドペプチダーゼ/受容体複合体を形成し、かつ、その後、複合体を細胞質への内在化する再標的化エンドペプチダーゼ受容体の能力を言う。
本明細書で使用されるとき、用語「天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体」は天然のプロセス、限定するものではなく、翻訳後修飾から産生された再標的化エンドペプチダーゼ受容体アイソフォーム、異なるスプライシングにより生成した転写物または自発突然変異および再標的化エンドペプチダーゼ受容体サブタイプで産生された再標的化エンドペプチダーゼ受容体を言う。天然の再標的化エンドペプチダーゼは、Christopher Evans et al., Opioid Receptor Genes, U.S. Patent 6,265,563; Christopher Evans et al., Methods of Screening Modulators of Opiod Receptor Activity(米国特許第6,432,652号); Christopher Evans et al., Opioid Receptors and Methods of Use(米国特許第7,282,563号);およびChristopher Evans et al., Delta Opioid Receptor Proteins(米国特許出願公開第2008/0219925号)に記載されている、限定するものではなく、アヘン剤様受容体1(ORL1)、δ−オピオイド受容体(DOR)、κ−オピオイド受容体(KOR)およびμ−オピオイド受容体(MOR)などの天然のオピオイド受容体を含む。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。天然の再標的化エンドペプチダーゼの他の例は、限定するものではなく、ガラニン受容体1、ガラニン受容体2およびガラニン受容体3を含む。霊長類、ウシ、イヌ、マウス、ニワトリおよび魚などの他の脊椎動物天然のオピオイド受容体は当該分野で周知であり本明細書の態様において使用することができる。
天然のORL1は、限定するものではなく、配列番号25および配列番号26または配列番号25あるいは配列番号26から1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上のアミノ酸を置換、欠失または付加したものを含む。天然のDORは、限定するものではなく、配列番号27および配列番号28または配列番号27あるいは配列番号28から1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上のアミノ酸を置換、欠失または付加したものを含む。天然のKORは、限定するものではなく、配列番号29および配列番号30または配列番号29あるいは配列番号30から1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上のアミノ酸を置換、欠失または付加したものを含む。天然のMORは、限定するものではなく、配列番号31または配列番号31から1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上のアミノ酸を置換、欠失または付加したものを含む。
天然のガラニン受容体1は、限定するものではなく、配列番号136、配列番号137および配列番号138または配列番号136、配列番号137あるいは配列番号138から1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上のアミノ酸を置換、欠失または付加したものを含む。天然のガラニン受容体2は、限定するものではなく、配列番号139または配列番号139から1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上のアミノ酸を置換、欠失または付加したものを含む。天然のガラニン受容体3は、限定するものではなく、配列番号140または配列番号140から1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上のアミノ酸を置換、欠失または付加したものを含む。
本明細書で使用されるとき、用語「天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体変異体」は、限定するものではなく、ランダム突然変異誘導または合理的な設計を用いて遺伝子操作により産生された再標的化エンドペプチダーゼ受容体、および、化学合成により産生された再標的化エンドペプチダーゼ受容体を含むヒトの操作または設計の支援で産生した再標的化エンドペプチダーゼ受容体を言う。天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体変異型の非限定的な例は保存的な再標的化エンドペプチダーゼ受容体変異体、非保存的な再標的化エンドペプチダーゼ受容体変異体再標的化エンドペプチダーゼ受容体キメラ変異体および活性再標的化エンドペプチダーゼ受容体断片などを含む。
本明細書で使用されるとき、用語「天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体」は、限定するものではなく、ランダム突然変異誘導または合理的な設計を用いて遺伝子操作により産生された再標的化エンドペプチダーゼ受容体およびインビトロでの化学合成により産生された再標的化エンドペプチダーゼ受容体を含むヒトの操作の支援で修飾された構造の再標的化エンドペプチダーゼ受容体を言う。天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体は配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139または配列番号140からの1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上のアミノ酸を置換、欠失または付加したものを含んでもよい。
従って、一実施形態では、再標的化エンドペプチダーゼはORL1、DOR、KORまたはMORなどの天然の再標的化エンドペプチダーゼである。本実施形態の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ受容体は再標的化エンドペプチダーゼ受容体アイソフォームまたは再標的化エンドペプチダーゼ受容体サブタイプである。本実施形態の態様では、天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体は配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31の天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体である。本実施形態の別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ受容体は配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体である。
別の実施形態では、再標的化エンドペプチダーゼ受容体は遺伝子改変ORL1、遺伝子改変DOR、遺伝子改変KORまたは遺伝子改変MORなどの天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼである。本実施形態の別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ受容体は配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体である。本実施形態の別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ受容体は配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31と比べて例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の非連続アミノ酸が置換、欠失または付加された天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体である。本実施形態のさらに別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ受容体は配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31と比べて例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の連続アミノ酸が置換、欠失または付加された天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体である。
別の実施形態では、再標的化エンドペプチダーゼ受容体はガラニン受容体1、ガラニン受容体2またはガラニン受容体3などの天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体である。本実施形態の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ受容体は再標的化エンドペプチダーゼ受容体アイソフォームまたは再標的化エンドペプチダーゼ受容体サブタイプである。本実施形態の態様では、天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体は配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、または配列番号140の天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体である。本実施形態の別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ受容体は配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、または配列番号140の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体である。
別の実施形態では、再標的化エンドペプチダーゼ受容体は遺伝子改変ガラニン受容体1、遺伝子改変ガラニン受容体2または遺伝子改変ガラニン受容体3などの天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体である。本実施形態の別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ受容体は配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、または配列番号140の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体である。本実施形態の別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ受容体は配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139または配列番号140と比べて例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の非連続アミノ酸が置換、欠失または付加された天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体である。本実施形態の更に別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ受容体は配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139または配列番号140と比べて例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の連続アミノ酸が置換、欠失または付加された天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体である。
再標的化エンドペプチダーゼ受容体は内因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体または外因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体であってもよい。本明細書で使用されるとき、用語「内因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体」は細胞内に天然に存在する再標的化エンドペプチダーゼ受容体を言う。これは細胞のゲノム中に天然にコードされており、再標的化エンドペプチダーゼ受容体の外部原因または再標的化エンドペプチダーゼ受容体をコード化する遺伝物質の外部原因を必要とすることなく細胞が再標的化エンドペプチダーゼ受容体を固有に発現するからである。内因性標的エンドペプチダーゼ受容体の発現は細胞分化またはプロモータ活性化などの環境刺激を加えてもまた加えなくてもよい。例えば、次の樹立した細胞株は少なくとも1つの内因性標的エンドペプチダーゼ受容体を発現する。それらはAGN P33、Neuro−2a、SiMaおよびSK−N−DZである。内因性標的エンドペプチダーゼ受容体は天然の標的エンドペプチダーゼ受容体またはそれらの天然の異性体だけである。
本明細書で使用されるとき、用語「外因性標的エンドペプチダーゼ受容体」は標的エンドペプチダーゼ受容体の外部の原因またはヒトの操作により標的エンドペプチダーゼ受容体をコード化する遺伝物質の外部原因を導入することで細胞内に発現する標的エンドペプチダーゼ受容体を言う。外因性標的エンドペプチダーゼ受容体の発現は細胞分化またはプロモータ活性化などの環境刺激を加えてもまた加えなくてもよい。非限定的な例として、樹立した細胞株由来の細胞はORL1、DOR、KOR、MOR、ガラニン受容体1、ガラニン受容体2またはガラニン受容体3などの標的エンドペプチダーゼ受容体をコード化するポリヌクレオチド分子の一時的または安定したトランスフェクションによる1つ以上の外因性標的エンドペプチダーゼ受容体を発現できる。別の非限定的な例として、樹立した細胞株由来の細胞はORL1、DOR、KOR、MOR、ガラニン受容体1、ガラニン受容体2またはガラニン受容体3などの標的エンドペプチダーゼ受容体の蛋白質トランスフェクションによる1つ以上の外因性標的エンドペプチダーゼ受容体を発現できる。外因性標的エンドペプチダーゼ受容体は、天然の標的エンドペプチダーゼ受容体あるいはそれらの天然の異性体または天然には存在しない標的エンドペプチダーゼ受容体あるいはそれらの天然には存在しない異性体であることができる。
従って、一実施形態では、樹立した細胞株由来の細胞は内因性標的エンドペプチダーゼ受容体を発現する。本実施形態の態様では、樹立した細胞株由来の細胞により発現した外因性標的エンドペプチダーゼ受容体は天然の標的エンドペプチダーゼ受容体である。本実施形態の別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞により発現した内因性標的エンドペプチダーゼ受容体は配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139または配列番号140である。本実施形態のさらに態様では、樹立した細胞株由来の細胞により発現した内因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体は再標的化エンドペプチダーゼ受容体アイソフォームまたは再標的化エンドペプチダーゼ受容体サブタイプなどの天然の再標的化エンドペプチダーゼである。本実施形態の別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞により発現した内因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体は配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139または配列番号140の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体である。
別の実施形態では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、内因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する。本実施形態の一態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する。本実施形態の別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139または配列番号140の天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する。本実施形態のさらに別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、再標的化エンドペプチダーゼ受容体アイソフォームまたは再標的化エンドペプチダーゼ受容体サブタイプなどの天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する。本実施形態の更に別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139または配列番号140の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然の再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する。
本実施形態の別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する。本実施形態の別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139または配列番号140の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する。本実施形態の更に別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号136、配列番号137、、配列番号138、配列番号139または配列番号140と比べて例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の非連続アミノ酸が置換、欠失または付加された天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する。本実施形態のさらに別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31配列番号136、配列番号137、、配列番号138、配列番号139または配列番号140と比べて例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上または100以上の連続アミノ酸が置換、欠失または付加された天然には存在しない再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する。
別の実施形態では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、外因性ORL1、外因性DOR、外因性KOR、外因性MORまたはそれらの任意の組み合せを発現する。本実施形態の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、天然のORL1,天然のDOR,天然のKOR,天然のMORまたはそれらの任意の組み合せを発現する。本実施形態のさらに別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、天然には存在しないORL1、天然には存在しないDOR、天然には存在しないKOR、天然には存在しないMORまたはそれらの任意の組み合せを発現する。本実施形態の更に別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、天然のORL1または天然には存在しないORL1のいずれか、天然のDORまたは天然には存在しないDORのいずれか、天然のKORまたは天然には存在しないKORのずれか、天然のMORまたは天然には存在しないMORのいずれかまたはこれらの任意の組み合せを発現する。
更に別の実施形態では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、外因性ガラニン受容体1、外因性ガラニン受容体2、外因性ガラニン受容体3またはそれらの任意の組み合せを発現する。本実施形態の態様において、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、天然のガラニン受容体1、天然のガラニン受容体2、天然のガラニン受容体3またはそれらの任意の組み合せを発現する。本実施形態のさらに別の態様では、樹立した胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、天然には存在しないガラニン受容体1、天然には存在しないガラニン受容体2、天然には存在しないガラニン受容体3またはそれらの任意の組み合せを発現する。本実施形態の更に別の態様では、樹立した細胞株由来の細胞は一過性にまたは安定的に操作され、天然のガラニン受容体1または天然には存在しないガラニン受容体1のいずれか、天然のガラニン受容体2または天然には存在しないガラニン受容体2のいずれか、天然のガラニン受容体3または天然には存在しないガラニン受容体3のずれかまたはこれらの組み合せを発現する。
1つ以上の内因性または外因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する細胞は再標的化エンドペプチダーゼ取込の直接および間接アッセイを含む定められた方法により同定することができる。再標的化エンドペプチダーゼ結合または取込特性を測定するアッセイは細胞が再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現するかを評価するのに使用することができる。そのようなアッセイは、限定するものではなく、[125l〕 retargeted endopeptidase、see, e.g.、Noriko Yokosawa et al., Binding of Clostridium botulinum type C neurotoxin to different neuroblastoma cell lines, 57(1) Infect. Immun. 272−277 (1989); Noriko Yokosawa et al.、Binding of botulinum type Cl, D and E neurotoxins to neuronal cell lines and synaptosomes, 29(2) Toxicon 261−264(1991); and Tei−ichi Nishiki et al.、Identification of protein receptor for Clostridium botulinum type B neurotoxin in rat brain synaptosomes、269(14) J. Biol. Chem. 10498−10503 (1994)などの標識再標的化エンドペプチダーゼを用いた架橋アッセイを含む。他の非限定的なアッセイは標識または非標識抗体を用いて再標的化エンドペプチダーゼ結合を検出する免疫細胞化学的アッセイを含み例えば、Atsushi Nishikawa et al.、The receptor and transporter for internalization of Clostridium botulinum type C progenitor toxin into HT−29 cells、319(2) Biochem. Biophys. Res. Commun. 327−333 (2004)を参照し、さらには標識または非標識抗体を用いて結合再標的化エンドペプチダーゼを検出する免疫沈降アッセイを含み例えば、Yukako Fujinaga et al.、Molecular characterization of binding subcomponents of Clostridium botulinum type C progenitor toxin for intestinal epithelial cells and erythrocytes、150(Pt 5) Microbiology 1529−1538(2004)を参照する。これらのアッセイに有用な抗体は、限定するものではなく、再標的化エンドペプチダーゼに対して選択された抗体および/または、例えば、ORL1、DOR、KOR、MOR、ガラニン受容体1、ガラニン受容体2またはガラニン受容体3などの再標的化エンドペプチダーゼ受容体に対して選択された抗体を含む。抗体が標識されている場合、分子の結合は当業者に周知の技術を用いてウェスタンブロット法、抗体の細胞内の位置を直接に顕微鏡下での観察、洗浄工程の後の細胞または基質結合抗体の測定、フローサイトメトリー、キャピラリー電気泳動などを含めた種々の方法で検出が可能である。抗体が非標識の場合、結合分子の間接的検出に標識二次抗体を用いてもよく、検出は標識抗体と同じように処理できる。再標的化エンドペプチダーゼ取込特性または特徴を測定するこれらと類似のアッセイは内因性または外因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体発現する細胞を同定するのに有用である可能性があることが理解される。
さらに再標的化エンドペプチダーゼ処理後の分子の放出をモニターするアッセイは、細胞が1つ以上の内因性または外因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現するかを評価するのに用いることができる。これらのアッセイでは分子放出の阻害が再標的化エンドペプチダーゼ処理後に再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する細胞に起こる。周知のアッセイは[3H]ノルアドレナリンまたは、例えば、[3H]ドーパミン分泌などの神経細胞からの放射能標識化カテコールアミン放出の阻害を測定する方法を含む。例えば、A Fassio et al.破傷風毒素およびボツリヌス毒素type Fに非感受性なカルシウム依存性小胞伝達物質放出の証拠90(3) Neuroscience 893−902(1999)およびSara Stigliani et al.ボツリヌス毒素のC1及びEに対するカテコールアミン遊離の感受性は容易に遊離可能なプール内への小胞セットの選択的標的化を示唆する85(2) J. Neurochem. 409−421(2003)または蛍光法を用いてカテコールアミン放出を測定する。参照文献の例、Anton de Paiva et al.エクトアクセプタに結合し細胞内への伝達物質遊離を阻害する毒素誘導体により明らかにされるボツリヌス神経毒Aの内在化における鎖間ジスルフィドまたはその関与するチオールの役割268(28) J. Biol. Chem. 20838−20844(1993)、Gary W. Lawrence et al.無処理および透過性クロム親和性細胞のボツリヌス毒素AまたはBによる25kDaシナプトソーム会合蛋白質(SNAP‐25)あるいはシナプトブレビン切断後の異なったエキソサイトーシス応答236(3)Eur. J. Biochem. 877−886 (1996)およびPatrick Foran et al.ボツリヌス神経毒C1は無傷ならびに透過性処理クロム親和性細胞においてシンタキシンとSNAP‐25を分解する、そのカテコールアミン放出妨害との関連35(8) Biochemistry 2630−2636(1996)。他の非限定的な例は垂体前葉細胞または卵巣細胞などの内分泌細胞からのホルモン放出の阻害を計測するアッセイを含む。分子の放出のこれらと類似のアッセイは内因性、外因性あるいは再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する細胞を同定するのに有用である可能性があることが理解される。
さらに再標的化エンドペプチダーゼ曝露後のSNAP−25基質の切断を検出するアッセイは細胞が1つ以上の内因性または外因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現するかを評価するのに用いることができる。このアッセイにおいてはSNAP−25基質切断産物の生成または無処理SNAP−25の消失は再標的化エンドペプチダーゼ処理後の再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する細胞内で検出できる。ウェスタンブロット法ならびに十分に特性が明らかな試薬、条件およびプロトコールの非限定的な例は、限定するものではなく、Amersham Biosciences、Piscataway、NJ; Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA; Pierce Biotechnology、Inc.、Rockford、IL; Promega Corporation、Madison、Wl、and Stratagene、Inc.、La JoIIa、CAなどの業者から容易に利用可能である。SNAP−25基質切断におけるこれらおよび類似のアッセイは内因性または外因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する細胞を同定するのに有用となる可能性があることが理解される。
非限定的な例としてSNAP−25−切断産物またはSNAP−25の切断型と非切断型の両方を認識する抗体を用いたウェスタンブロット法は再標的化エンドペプチダーゼ取込のアッセイに使用できる可能性がある。これらのアッセイに有用なα−SNAP−25抗体の例は、限定するものではなく、SMI−81 α−SNAP−25 マウスモノクローナル抗体 (Sternberger Monoclonals Inc.、Lutherville、MD)、Cl 71.1 mouse α−SNAP−25 monoclonal antibody (Synaptic Systems、Goettingen、Germany)、Cl 71.2 α−SNAP−25 マウスモノクローナル抗体 (Synaptic Systems、Goettingen、Germany)、SP12 α−SNAP−25 マウスモノクローナル抗体 (Abeam、Cambridge、MA)、α−SNAP−25 ウサギポリクローナル抗血清 (Synaptic Systems、Goettingen、Germany)、α−SNAP−25 ウサギポリクローナル抗血清 S9684 (Sigma、St. Louis、MO)およびα−SNAP−25 ウサギポリクローナル抗血清 (Abeam、Cambridge、MA)を含む。
開示の態様は外因性SNAP−25および/または1つ以上の外因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する遺伝子操作または組換え技術により作製される細胞を提示する。遺伝子操作または組換え技術により作製される外因性SNAP−25および/または1つ以上の外因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体の発現に有用な細胞は外因性SNAP−25および/または1つ以上の外因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する場合も、発現しない場合もある神経細胞および非神経細胞を含む。そのような遺伝子操作と組換えられた細胞は構成的、組織特異的、細胞特異的、誘導プロモータエレメント、エンハンサーエレメントまたは両方の制御下で外因性SNAP−25および1つ以上の外因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現するかもしれないとさらに理解される。外因性SNAP−25および/または1つ以上の外因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現するよう細胞が遺伝子操作され、かつ、組換えられ再標的化エンドペプチダーゼ活性となりえる可能性がある限り細胞は有用であることが理解される。
再標的化エンドペプチダーゼが、例えば、SNAP−25、ORL1、DOR、KORまたはMORなどのSNAP−25基質の蛋白質分解を起こし、全体的細胞性機構を行う細胞に必要な成分をコード化する外因性ポリヌクレオチド分子を細胞に導入するのに有用な方法は、限定するものではなく、リン酸カルシウム媒介、ジエチルアミノエチル(DEAE)‐デキストラン媒介、脂質媒介、ポリエチレンイミン(PEI)‐媒介、ポリリジン媒介およびポリブレン媒介などの化学物質媒介送達法、さらにバイオリスティック粒子送達法、マイクロインジェクション、プロトプラスト融合およびエレクトロポレーションなどの物理的媒介送達法およびレトロウイルス媒介トランスフェクションなどのウイルス媒介送達法を含む。例えば、Introducing Cloned Genes into Cultured Mammalian Cells、pp. 16.1−16.62 (Sambrook & Russell、eds.、Molecular Cloning A Laboratory Manual、Vol. 3、3rd ed. 2001 ); Alessia Colosimo et al.、Transfer and Expression of Foreign Genes in Mammalian Cells、29(2) Biotechniques 314−318、320−322、324 (2000); Philip Washbourne & A. Kimberley McAllister、Techniques for Gene Transfer into Neurons、12(5) Curr. Opin. Neurobiol. 566−573 (2002); and Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、pp 9.16.4−9.16.11 (2000)を参照のこと。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。ポリヌクレオチド分子を細胞に導入する特定の方法の選択は再標的化エンドペプチダーゼがSNAP−25基質の蛋白質分解を起こし、全般的な細胞機構を行う細胞に必要な少なくとも1つの成分を一過性にまたは安定的に含む細胞かどうかに一部依存することは当業者は理解できる。再標的化エンドペプチダーゼがSNAP−25基質の蛋白質分解を起こし全体的細胞性機構を行う細胞に必要な成分をコード化するポリヌクレオチド分子の非限定的な例は、配列番号61または配列番号62のORL1ポリヌクレオチド分子、配列番号63または配列番号64のDORポリヌクレオチド分子、配列番号65または配列番号66のKORポリヌクレオチド分子、配列番号67のMORポリヌクレオチド分子、配列番号141、配列番号142または配列番号143のガラニン受容体1ポリヌクレオチド分子、配列番号144のガラニン受容体2ポリヌクレオチド分子、配列番号145のガラニン受容体3ポリヌクレオチド分子および配列番号68または配列番号69のSNAP−25ポリヌクレオチド分子である。
化学物質媒介送達法は、例えば、Martin Jordan & Florian Worm、Transfection of Adherent and Suspended Cells by Calcium Phosphate、33(2) Methods 136−143 (2004); Chun Zhang et al.、Polyethylenimine Strategies for Plasmid Delivery to Brain−Derived Cells、33(2) Methods 144−150 (2004)に記載されており、当業者に周知である。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。そのような化学物質媒介送達法は標準的な手順で調製することができ、かつ、市販されている。例えば、CellPhect Transfection Kit (Amersham Biosciences、Piscataway、NJ); Mammalian Transfection Kit、Calcium phosphate and DEAE Dextran、(Stratagene、Inc.、La JoIIa、CA); Lipofectamine(商標) Transfection Reagent (Invitrogen、Inc.、Carlsbad、CA); ExGen 500 Transfection kit (Fermentas、Inc.、Hanover、MD)およびSuperFect and Effectene Transfection Kits(Qiagen、Inc.、Valencia、CA)を参照のこと。
物理的媒介送達法は、例えば、Jeike E. Biewenga et al.、Plasmid−Mediated Gene Transfer in Neurons using the Biolistics Technique、71 (1) J. Neurosci. Methods. 67−75(1997); John O’Brien & Sarah C. R. Lummis、Biolistic and Diolistic Transfection: Using the Gene Gun to Deliver DNA and Lipophilic Dyes into Mammalian Cells、33(2) Methods 121−125 (2004); M. Golzio et al.、In Vitro and In Vivo Electric Field−Mediated Permeabilization、Gene Transfer、and Expression、33(2) Methods 126−135 (2004);およびOliver Greschet al.、New Non−Viral Method for Gene Transfer into Primary Cells、33(2) Methods 151−163 (2004)に記載されており、当業者に周知である。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
ウイルス媒介送達法は、例えば、Chooi M. Lai et al.、Adenovirus and Ade no−Associated Virus Vectors、21(12) DNA Cell Biol. 895−913 (2002); llya Frolov et al.、Alphavirus−Based Expression Vectors: Strategies and Applications、93(21) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 11371−11377 (1996); Roland Wolkowicz et al.、Lentiviral Vectors for the Delivery of DNA into Mammalian Cells、246 Methods MoI. Biol. 391−411 (2004); A. Huser & C. Hofmann、Baculovirus Vectors: Novel Mammalian Cell Gene−Delivery Vehicles and Their Applications、3(1 ) Am. J. Pharmacogenomics 53−63 (2003); Tiziana Tonini et al.、Transient Production of Retroviral− and Lentiviral−Based Vectors for the Transduction of Mammalian Cells、285 Methods MoI. Biol. 141−148 (2004); Manfred Gossen & Hermann Bujard、Tight Control of Gene Expression in Eukaryotic Cells by Tetracycline−Responsive Promoters(米国特許第5,464,758号); Hermann Bujard & Manfred Gossen、Methods for Regulating Gene Expression(米国特許第5,814,618号); David S. Hogness、Polynucleotides Encoding Insect Steroid Hormone Receptor Polypeptides and Cells Transformed With Same(米国特許第5,514,578号); David S. Hogness、Polynucleotide Encoding Insect Ecdysone Receptor(米国特許第6,245,531号); Elisabetta Vegeto et al.、Progesterone Receptor Having C. Terminal Hormone Binding Domain Truncations(米国特許第5,364,791号); Elisabetta Vegeto et al.、Mutated Steroid Hormone Receptors、Methods for Their Use and Molecular Switch for Gene Therapy(米国特許第5,874,534号)に記載されており、当業者に周知である。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。そのようなウイルス媒介送達法は標準的な手順で調製することができ市販されている。例えば、VIRAPOWER(登録商標) Adenoviral Expression System (Invitrogen、Inc.、Carlsbad、CA) and VIRAPOWERTM Adenoviral Expression System Instruction Manual 25−0543 version A、Invitrogen、Inc.、(Jul. 15、2002);およびADEASY(登録商標) Adenoviral Vector System (Stratagene、Inc.、La JoIIa、CA) and ADEASYTM Adenoviral Vector System Instruction Manual 064004f、Stratagene、Inc.を参照のこと。さらにそのようなウイルス送達システムは標準的な手順で調製することができ、かつ、市販されている。例えば、BD(商標) Tet−Off and Tet−On Gene Expression Systems (BD Biosciences−Clonetech、Palo Alto、CA) and BD(商標) Tet−Off and Tet−On Gene Expression Systems User Manual、PT3001−1、BD Biosciences Clonetech、(Mar. 14、2003)、GeneSwitch(商標) System (Invitrogen、Inc.、Carlsbad、CA) and GENESWITCH(商標) System A Mifepristone−Regulated Expression System for Mammalian Cells version D、25−0313、Invitrogen、Inc.、(Nov. 4、2002); VIRAPOWER(商標) Lentiviral Expression System (Invitrogen、Inc.、Carlsbad、CA) and VIRAPOWER(商標) Lentiviral Expression System Instruction Manual 25−0501 version E、Invitrogen、Inc.、(Dec. 8、2003);およびCOMPLETE CONTROL(登録商標) Retroviral Inducible Mammalian Expression System (Stratagene、La JoIIa、CA)およびCOMPLETE CONTROL(登録商標) Retroviral Inducible Mammalian Expression System Instruction Manual、064005eである。
従って、一実施形態では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼがSNAP−25基質の蛋白質分解を起こし全体的細胞性機構を行う細胞に必要な成分をコード化するポリヌクレオチド分子を含む。別の実施形態では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞は、再標的化エンドペプチダーゼがSNAP−25基質の蛋白質分解を起こし全体的細胞性機構を行う細胞に必要な複数の成分をコード化するポリヌクレオチド分子を含む。本実施形態の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はORL1、DOR、KOR、MORまたはSNAP−25をコード化するポリヌクレオチド分子を含む。本実施形態の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はORL1をコード化する配列番号61または配列番号62のポリヌクレオチド分子を含む。本実施形態の別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はDORをコード化する配列番号63または配列番号64のポリヌクレオチド分子を含む。本実施形態のさらに別の態様では、標的エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はKORをコード化する配列番号65または配列番号66のポリヌクレオチド分子を含む。本実施形態の更に別の態様では、標的エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はMORをコード化する配列番号67のポリヌクレオチド分子を含む。
本実施形態の別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はガラニン受容体1をコード化する配列番号141、配列番号142または配列番号143のポリヌクレオチド分子を含む。本実施形態のさらに別の態様では、標的エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はガラニン受容体2をコード化する配列番号144のポリヌクレオチド分子を含む。本実施形態の更に別の態様では、標的エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞は、ガラニン受容体3をコード化する配列番号145のポリヌクレオチド分子を含む。本実施形態の更に態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はSNAP−25をコード化する配列番号68または配列番号69のポリヌクレオチド分子を含む。
別の実施形態では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞は、再標的化エンドペプチダーゼがSNAP−25基質の蛋白質分解を起こし全体的細胞性機構を行う細胞に必要な成分をコード化するポリヌクレオチド分子を安定的に含む。別の実施形態では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞は、再標的化エンドペプチダーゼがSNAP−25基質の蛋白質分解を起こし全体的細胞性機構を行う細胞に必要な複数の成分をコード化するポリヌクレオチド分子を安定的に含む。本実施形態の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はORL1、DOR、KOR、MORまたはSNAP−25をコード化するポリヌクレオチド分子を安定的に含む。本実施形態の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はORL1をコード化する配列番号61または配列番号62のポリヌクレオチド分子を安定的に含む。本実施形態の別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はDORをコード化する配列番号63または配列番号64のポリヌクレオチド分子を安定的に含む。本実施形態のさらに別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はKORをコード化する配列番号65または配列番号66のポリヌクレオチド分子を安定的に含む。本実施形態のさらに別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はMORをコード化する配列番号67のポリヌクレオチド分子を安定的に含む。
本実施形態の別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はガラニン受容体1をコード化する配列番号141、配列番号142または配列番号143のポリヌクレオチド分子を安定的に含む。本実施形態のさらに別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はガラニン受容体2をコード化する配列番号144のポリヌクレオチド分子を安定的に含む。本実施形態のさらに別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はガラニン受容体3をコード化する配列番号145のポリヌクレオチド分子を安定的に含む。本実施形態の更に別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である樹立した細胞株由来の細胞はSNAP−25をコード化する配列番号68または配列番号69のポリヌクレオチド分子を安定的に含む。
上記のように、本明細書に記載されているSNAP−25、ORL1、DOR、KOR、MOR、ガラニン受容体1、ガラニン受容体2またはガラニン受容体3などの再標的化エンドペプチダーゼがSNAP−25基質の蛋白質分解を起こし全般的な細胞機構を行う細胞に必要な外因性成分を細胞に導入することができる。細胞集団へ送達させる送達剤を有している全てのそのような外因性成分の導入に有用な方法は、方法が所与の細胞集団内の少なくとも50%の細胞に本明細書に記載した外因性成分を一過性に導入する条件下では有用であることができる。従って本実施形態の態様は、再標的化エンドペプチダーゼが本明細書に記載されているSNAP−25、ORl1、DOR、KOR、MOR、ガラニン受容体1、ガラニン受容体2またはガラニン受容体3などのSNAP−25基質の蛋白質分解を起こし、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の所与の細胞集団は全般的な細胞機構を行う細胞に必要な外因性成分を含む細胞集団を含むことができる。本明細書で使用されるとき、用語「送達剤」は共有結合、非共有結合する剤または他の方法においてポリペプチドの細胞への導入に関連する剤の内在化を可能にして高める分子を言う。従って用語「送達剤」は、限定するものではなく、蛋白質、ペプチド、ペプチド模倣物、小分子、ポリヌクレオチド分子、リポソーム、脂質、ウイルス、レトロウイルスであり、かつ、限定するものではないが、細胞膜、細胞質または核に共有結合または非共有結合した分子を輸送する細胞を含む。用語「送達剤」は、その機能が受容体媒介エンドサイトーシスを介し、かつ、受容体媒介エンドサイトーシスとは独立している送達剤を含む機構により取り込まれる分子を含むことがさらに理解される。
さらに送達剤は、例えば、化学結合または一般的に産生された融合蛋白質を用いてSNAP−25、ORL1、DOR、KOR、MOR、ガラニン受容体1、ガラニン受容体2またはガラニン受容体3などの共有結合成分の細胞組込みを可能にし、高める薬剤であってもよい。送達剤と共有結合させる方法およびそのような薬剤を用いる方法は、例えば、Steven F. Dowdy、Protein Transduction System and Methods of Use Thereof、International Publication No WO 00/34308; Gerard Chassaing & Alain Prochiantz、Peptides which can be Used as Vectors for the Intracellular Addressing of Active Molecules(米国特許第6,080,724号); Alan Frankel et al.、Fusion Protein Comprising TAT−derived Transport Moiert(米国特許第5,674,980号); Alan Frankel et al.、TAT−derived Transport Polypeptide Conjugates(米国特許第5,747,641号); Alan Frankel et al.、TAT−derived Transport Polypeptides and Fusion Proteins(米国特許第5,804,604号); Peter F. J. O’Hare et al.、Use of Transport Proteins(米国特許第6,734,167号); Yao−Zhong Lin & Jack J. Hawiger、Method for Importing Biologically Active Molecules into Cells(米国特許第5,807,746号); Yao−Zhong Lin & Jack J. Hawiger、Method for Importing Biologically Active Molecules into Cells(米国特許第6,043,339号); Yao−Zhong Lin et al.、Sequence and Method for Genetic Engineering of Proteins with Cell Membrane Translocating Activity(米国特許第6,248,558号); Yao−Zhong Lin et al.、Sequence and Method for Genetic Engineering of Proteins with Cell Membrane Translocating Activity(米国特許第6,432,680号); Jack J. Hawiger et al.、Method for Importing Biologically Active Molecules into Cells(米国特許第6,495,518号); Yao−Zhong Lin et al.、Sequence and Method for Genetic Engineering of Proteins with Cell Membrane Translocating Activity(米国特許第6,780,843号); Jonathan B. Rothbard & Paul A Wender、Method and Composition for Enhancing Transport Across Biological Membranes(米国特許第6,306,993号); Jonathan B. Rothbard & Paul A Wender、Method and Composition for Enhancing Transport Across Biological Membranes(米国特許第6,495,663号);およびPamela B. Davis et al.、Fusion Proteins for Protein Delivery(米国特許第6,287,817号)に記載されている。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
さらに送達剤はSNAP−25、ORL1、DOR、KOR、MOR、ガラニン受容体1、ガラニン受容体2またはガラニン受容体3などの非共有結合と関連する成分の細胞取込を可能にして高める薬剤でありることができる。共有結合の不存在下において機能する方法およびそのような薬剤を使用する方法は、例えば、Gilles Divita et al、Peptide−Mediated Transfection Agents and Methods of Use(米国特許第6,841 ,535号); Philip L Feigner and Olivier Zelphati、Intracellular Protein Delivery Compositions and Methods of Use(米国特許出願公開第2003/0008813号);およびMichael Karas、Intracellular Delivery of Small Molecules、Proteins and Nucleic Acids(米国特許出願公開第2004/0209797号)に記載されている。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。そのようなペプチド送達剤は標準的な手順で調製することができ、かつ、市販されている。例えば、CHARIOT(商標) Reagent (Active Motif、Carlsbad、CA); BIO−PORTER(登録商標) Reagent (Gene Therapy Systems、Inc.、San Diego、CA)、BIO TREK(商標) Protein Delivery Reagent (Stratagene、La JoIIa、CA)およびPRO−JECT(商標) Protein Transfection Reagent (Pierce Biotechnology Inc.、Rockford、IL)である。
開示の態様は再標的化エンドペプチダーゼ受容体含む試料を一部含む。本明細書で使用されるとき、用語「再標的化エンドペプチダーゼ受容体含む試料」は活性再標的化エンドペプチダーゼを含むかまたは潜在的に含む生体物質を言う。本明細書に開示した方法に従い、限定するものではなく、精製された、部分精製されたまたは未精製の再標的化エンドペプチダーゼ、天然のまたは天然には存在しない配列を有する組み換え1本または2本鎖再標的化エンドペプチダーゼ、修飾プロテアーゼ特異性を有する組み換え再標的化エンドペプチダーゼ、変化した細胞特異性を有する組み換え再標的化エンドペプチダーゼ、バルク再標的化エンドペプチダーゼ、製剤再標的化エンドペプチダーゼ製品、供給源がバクテリア、酵母菌、昆虫または哺乳動物からである細胞または粗製、分画した、あるいは部分精製した細胞溶解物、血液、血漿または血清、生の部分的に調理した、調理したまたは加工食品、飲料、動物のエサ、土壌試料、水試料、池の堆積物、ローション、化粧品および臨床製剤を含んだ様々な試料をアッセイすることができる。試料という用語は組織試料、限定するものではなく、哺乳動物の組織試料、ヒツジ、ウシ、ブタの組織細胞を含む家畜組織試料およびヒト組織試料を含むことが理解される。そのような試料は、限定するものではなく、幼児腸内試料などの腸内試料および創傷の細胞試料を含む。非限定的な例として再標的化エンドペプチダーゼを投与されたかまたはボツリヌス中毒の1つ以上の症状を有するヒトまたは動物由来の試料のアッセイをする、バルク再標的化エンドペプチダーゼの産生および精製中の活性に従う、医薬または化粧品の用途での製剤再標的化エンドペプチダーゼ製品をアッセイする、α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体の中和の存在または非存在について被験体の血清のアッセイをするなど、再標的化エンドペプチダーゼ活性のピコモル量を検出する方法は再標的化エンドペプチダーゼの存在または活性を測定するのに有用であることができる。
従って、一実施形態では、再標的化エンドペプチダーゼを含む試料はいずれかの大きさの再標的化エンドペプチダーゼを含む試料である。本実施形態の態様では、再標的化エンドペプチダーゼを含む試料は約100ng以下、約10ng以下、約1ng以下、約100pg以下、約10pg以下または約1pg以下の再標的化エンドペプチダーゼを含む。本実施形態の別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼを含む試料は約1μM以下、約100nM以下、約10nM以下、約1nM以下、約100nM以下、約10nM以下、約1nM以下の再標的化エンドペプチダーゼを含む。
開示の態様はBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25を含むSNAP−25成分から処理した細胞を単離する、を一部含む。本明細書で使用されるとき、用語「BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25を含むSNAP−25成分」はSNAP−25切断産物を含む細胞成分を言う。SNAP−25成分を富化するまたは単離するのに好適な方法は、限定するものではなく、細胞溶解プロトコール、スピンカラム精製プロトコール、免疫沈降、アフィニティ精製および蛋白質クロマトグラフィを含め有用であることができるように構成されたものである。
開示の態様は固相支持体に結合したα−SNAP−25抗体を一部含む。本明細書で使用されるとき、用語「固相支持体」は、「固相」と同意語とみなし本明細書に開示したα−SNAP−25抗体を固定化するのに使用することができるマトリックスを言う。固相支持体の非限定的な例は試験管内、プレート、カラム、ピン、「試験紙」、アガロース、セファロース、シリカおよびプラスチックなどの磁性粒子、ビーズまたは他の球体あるいは繊維性クロマトグラフィ充填剤、ならびにニトロセルロースおよびポリビニリデンフルオリド(PVDF)などのシートまたは膜を含む。固相支持体はガラス、カーボン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、ジアゾセルロースまたはでんぷんなどの多種多様の材料を用いて構築することができる。選択された固相支持体は溶解性または非結合材料から容易に分離することができ、かつ、一般的に過剰の試薬、反応副産物または溶媒などの非結合材料を固相支持体―結合アッセイ成分から(洗浄、濾過、遠心分離などにより)分離させるかまたは除去させることができる物性を持つことができる。固相支持体の生成および使用方法の非限定的な例はMolecular Cloning, A Laboratory Manual, supra, (2001 );および Current Protocols in Molecular Biology, supra, (2004)に記載されている。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
開示の態様はBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体およびBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出することを一部含む。シグナル対ノイズ比が抗体−抗原複合体のシグナルをバックグランドシグナルから統計学的に有意な程度で識別できる条件下で、検出システムは本開示免疫を利用した方法を実施に使用するように構成されたものである。開示免疫を利用した方法の非限定的な例はウェスタンブロット法およびドットブロッティング法、免疫沈降分析、酵素免疫吸着測定法(ELISA)およびサンドイッチELISAなどのイムノブロット分析を含む。シグナルの検出は画像およびりん画像診断を用いたオートラジオグラフィー(AU)、化学ルミネセンス(CL)、電気化学ルミネセンス(ECL)、バイオルミネセンス(BL)、を蛍光、共鳴エネルギー移動、面内偏光、比色またはフローサイトメトリー(FC)を用いて達成することができる。免疫を利用した検出システムの記載はMichael M.Rauhut, Chemiluminescence, In Kirk−Othmer Concise Encyclopedia of Chemical Technology (Ed. Grayson, 3rd ed, John Wiley and Sons, 1985); A. W. Knight, A Review of Recent Trends in Analytical Applications of Electrogenerated Chemiluminescence, Trends Anal. Chem. 18(1 ): 47−62 (1999); K. A. Fahnrich, et al., Recent Applications of Electrogenerated Chemiluminescence in Chemical Analysis, Talanta 54(4): 531−559 (2001 ); Commonly Used Techniques in Molecular Cloning, pp. A8.1−A8−55 (Sambrook & Russell, eds., Molecular Cloning A Laboratory Manual, Vol. 3, 3rd ed. 2001 ); Detection Systems, pp. A9.1−A9−49 (Sambrook & Russell, eds., Molecular Cloning A Laboratory Manual, Vol. 3, 3rd ed. 2001 ); Electrogenerated Chemiluminescence, (Ed. Allen J. Bard, Marcel Dekker, Inc., 2004)に開示されている。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
サンドイッチELISA(またはサンドイッチイムノアッセイ)は、抗原の異なるエピトープに結合した2つの抗体に基づく方法である。目的の抗原の高い特異性を有する捕捉抗体は固体表面に結合している。次に抗原を添加し、検出抗体で参照した第二の抗体を添加する。検出抗体は抗原を捕捉抗体と異なるエピトープに結合する。従って抗原は2つの抗体の間に「サンドイッチされた」状態になる。通常は、抗原に対する抗体結合親和性はイムノアッセイ感度の決定要因である。抗原の濃度が上昇するに従い、検出抗体の量が上昇して測定した応答がより大きくなる。第二の抗体に結合した酵素および酵素反応が検出シグナルとして読み取りを形成するリポーター基質などの異なるレポーターシステムの結合程度の定量化を使用することができる。発信するシグナルは試料中に存在する標的抗原の量に比例する。結合事象を測定するリポーター基質が検出モードを決定する。分光光度計プレート読み出し器は比色検出に使用される。シグナルをより増幅させ、かつ、蛍光読み出し器で読める化学ルミネセンスおよび電気化学ルミネセンスが作成されてきた。さらにリポーターはアッセイの酵素工程がフルオロフォアで代替されている読み出しであってもよく、さらに読み出しは蛍光読み出し器を用いて計測される。ECLサンドイッチELISAを実施するのに必要な試薬およびプロトコールは、限定するものではなく、MSD sandwich ELISA−ECL detection platform (Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)から市販されている。
従って、一実施形態では、BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体およびBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出することは、イムノブロット分析、免疫沈降分析、ELISAまたはサンドイッチELISAを用いて実施することができる。本実施形態の態様では、検出はAU、CL、ECLあるいはBLイムノブロット分析、、AU、CL、ECL、BLあるいはFC 免疫沈降分析、AU、CL、ECL、BLあるいはFC ELISAまたはAU、CL、ECL、BLあるいはFCサンドイッチELISAを用いて実施する。
本開示の態様は一重(singleplex)または多重(multiplex)の方法で実施することができる。一重の方法で実施する再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出する免疫を利用した方法はα−SNAP−25およびBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するα−SNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出するのみの方法である。多重の方法で実施する再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出する免疫を利用した方法は2以上の抗体−抗原複合体の存在を同時に検出する方法であり、その1つはα−SNAP−25およびBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するα−SNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体であり、他は第2、第3、第4などの異なる蛋白質に結合する抗体−抗原複合体である。例えば、検出したα−SNAP−25/SNAP−25抗体−抗原複合体の量を第二の蛋白質用に検出した抗体−抗原複合体の量に正規化することで第二の蛋白質を試料間のバラツキを最小にする内部標準となどに使用することができる。そのために通常、第二の蛋白質はハウスキーピング蛋白質などの細胞により一貫して発現される蛋白質である。有用な第二の蛋白質の非限定的な例は、例えば、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、シンタキシン、サイトカインを含む。多重の方法で免疫を利用したアッセイを実施する方法はU. B. Nielsen and B. H. Geierstanger, Multiplexed Sandwich Assays in Microarray Format, J. Immunol. Methods. 290(1−2): 107−120 2004); R. Barry and M, Soloviev, Quantitative Protein Profiling using Antibody Arrays, Proteomics, 4(12): 3717−3726 (2004); M. M. Ling et al., Multiplexing Molecular Diagnostics and Immunoassays using Emerging Microarray Technologies, Expert Rev MoI Diagn. 7(1 ): 87−98 (2007); S. X. Leng et al., ELISA and Multiplex Technologies for Cytokine Measurement in Inflammation and Aging Research, J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 63(8): 879−884 (2008)に記載されている。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
従って、一実施形態では、α−SNAP25抗体およびBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出することだけで、一重の方法で実施する再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出する免疫を利用した方法である。別の実施形態では、α−SNAP25抗体およびBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物、ならびに例えば、GAPDHあるいはシンタキシンなどのSNAP−25以外の蛋白質に結合する少なくとも1つの他の抗体−抗原複合体を含む抗体−抗原複合体の存在を同時に検出することで、多重の方法で実施する再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出する免疫を利用した方法である。
開示の態様は再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗性を測定する方法を一部で提示する。本明細書で使用されるとき、用語「再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗性」は哺乳動物の免疫反応が治療の有効性を直接的または間接的に低減させることにより再標的化エンドペプチダーゼ治療に完全に反応しないかまたは、再標的化エンドペプチダーゼ治療の有効性が低減した哺乳動物を意味する。有効性を低減させる非限定的な例は、再標的化エンドペプチダーゼの特異性または活性を低減または妨げるように再標的化エンドペプチダーゼに結合する哺乳動物における少なくとも1つの中和α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体の存在である。本明細書で使用されるとき、用語「再標的化エンドペプチダーゼ治療」は哺乳動物に再標的化エンドペプチダーゼを用いて、あるいは医薬、臨床、治癒、美容、治療、その他の有効作用がある再標的化エンドペプチダーゼの薬、製剤または混合物の統制した服用量を複数投与することで処置、治療、施療、ヒーリング、リハビリテーションまたは神経調節を必要とする哺乳動物において好ましくないものを打ち消すなどの他の手段を意味する。再標的化エンドペプチダーゼ治療は、限定するものではなく、いかなる製剤であれキャリアまたは有効成分と混合し、かつ、任意の経路により投与された天然のまたはそれらの修飾断片の使用を含む。
開示の態様は再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の有無につて試験をした哺乳動物から取得した試験試料を一部提示する。本明細書で使用されるとき、用語「試験試料」は少なくとも1つのα−再標的化エンドペプチダーゼを含むかまたは潜在的に含む生体物質を言う。α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体は中和α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体または非中和α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体であることができる。本明細書で使用されるとき、用語「中和α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体」は生理学的条件下で、再標的化エンドペプチダーゼ治療において再標的化エンドペプチダーゼの効果の発揮を低減または防止しするように再標的化エンドペプチダーゼの領域に結合する任意の中和α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体を意味する。本明細書で使用されるとき、用語「非中和α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体」は生理学的条件下で、再標的化エンドペプチダーゼ治療において再標的化エンドペプチダーゼの効果の発揮を防止しないように再標的化エンドペプチダーゼの領域に結合する任意の中和α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体を意味する。α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体を含んでもよいすべての試料は、限定するものではなく、血液、血漿、血清およびリンパ液を含めた方法で使用することができるように構成されたものである。加えて、再標的化エンドペプチダーゼに対してα−再標的化エンドペプチダーゼ抗体を作ることができるすべての生物は、限定するものではなく、トリ、さらにはマウス、ヒツジ、ロバ、ウシ、霊長類およびヒトを含めた哺乳動物を含んだ試料の源となることができる。血液回収および血清調製物の特異的プロトコールの非限定的な例はMarjorie Schaub Di Lorenzo & Susan King Strasinger, BLOOD COLLECTION IN HEALTHCARE (F.A. Davis Company, 2001); and Diana Garza & Kathleen Becan−McBride, PHLEBOTOMY HANDBOOK: BLOOD COLLECTION ESSENTIALS (Prentice Hall, 6th ed., 2002)に記載されている。これらのプロトコールは当業者と本明細書中の教示の範囲内である慣用の手順である。試験試料は再標的化エンドペプチダーゼを投与する前、再標的化エンドペプチダーゼを単回投与後、再標的化エンドペプチダーゼを複数回投与後、再標的化エンドペプチダーゼ治療に対して耐性が出る前または再標的化エンドペプチダーゼ治療に対して耐性が出た後に生物から得ることができる。
開示の態様は標準試料を一部提示する。本明細書で使用されるとき、用語「標準試料」は試験試料の有無が周知であり陰性対照試料と陽性対照試料の両方を含む任意の試料を意味する。中和α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体に関して、陰性対照試料は再標的化エンドペプチダーを一度も投与されたことがない個体から取得することができ、かつ、限定するものではなく、再標的化エンドペプチダーゼ療法能の実施前であれば試験試料を提供している同一の個体からの試料、再標的化エンドペプチダーを一度も投与されたことがない異なる個体からの試料、BoNT/Aを一度も投与されたことがない複数の異なる個体からのプール試料を含んでもよい。中和α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体に関して、陽性対照試料は再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗性を呈する個体から取得することができ、かつ、限定するものではなく、患者に基づく試験アッセイで陽性であった個体、インビボバイオアッセイで陽性であった個体、ならびに再標的化エンドペプチダーゼをワクチン接種された個体などの過剰免疫を呈する個体を含める。
さらにα−再標的化エンドペプチダーゼ抗体は試料から精製が可能であることが見通されます。限定するものではなく、蛋白質A/Gクロマトグラフィおよびアフィニティクロマトグラフィを含む種々の手順を用いてα−再標的化エンドペプチダーゼ抗体は試料から精製するこができる。試料から抗体を精製する特異なプロトコールの非限定的な例はANTIBODIES: A LABORATORY MANUAL (Edward Harlow & David Lane, eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1998); USING ANTIBODIES: A LABORATORY MANUAL: PORTABLE PROTOCOL NO. I (Edward Harlow & David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1998); and MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL, supra, (2001)に記載されている。全内容が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、抗体精製方法ならびに十分に特性が明らかな試薬、条件、プロトコールの非限定的な例は、限定するものではなく、Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL; and Zymed Laboratories, Inc., South San Francisco, CAを含んだ販売業者から入手できる。これらのプロトコールは当業者が理解できる範囲内の慣用の手順である。
従って、一実施形態では、試料は血液を含む。本実施形態の態様では、試料はマウスの血液、ラットの血液、ヤギの血液、ヒツジの血液、ウマの血液、ロバの血液、霊長類の血液またはヒトの血液を含む。別の実施形態では、試料は血漿を含む。本実施形態の一態様では、試験試料はマウスの血漿、ラットの血漿、ヤギの血漿、ヒツジの血漿、ウマの血漿、ロバの血漿、ウシの血漿、霊長類の血漿またはヒトの血漿を含む。別の実施形態では、試料は血清を含む。本実施形態の一態様では、試験試料はマウスの血清、ラットの血清、ヤギの血清、ヒツジの血清、ウマの血清、ロバの血清、ウシの血清、霊長類の血清またはヒトの血清を含む。別の実施形態では、試料はリンパ液を含む。本実施形態の一態様では、試験試料はマウスのリンパ液、ラットのリンパ液、ヤギのリンパ液、ヒツジのリンパ液、ウマの血清、ロバのリンパ液、ウシのリンパ液、霊長類のリンパ液またはヒトのリンパ液を含む。更に別の実施形態では、試料は試験試料である。更に別の実施形態では、試料は標準試料である。本実施形態の態様では、標準試料は陰性対照試料または陽性対照試料である。
開示の態様は工程(d)で検出したBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25の量と工程(e)で検出したBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25の量を比較することを一部提示する。一実施形態では、試験試料中のSNAP−25切断産物の量は標準試料中のSNAP−25切断産物の量と比べて大きい。本実施形態の態様では、陽性対照試料とくらべて多量の標準試料中のSNAP−25切断産物は哺乳動物における再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗性の低減または欠如を示す。本実施形態の別の態様では、陰性対照試料と比べて試験試料中の等量のSNAP−25切断産物は哺乳動物における再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗性の低減または欠如を示す。別の実施形態では、試験試料中のSNAP−25切断産物の量は標準試料中のSNAP−25切断産物の量と比べて少量である。本実施形態の態様では、陽性対照試料と比べて試験試料中の少量または等量のSNAP−25切断産物は哺乳動物における再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗性の増大または存在を示す。本実施形態の別の態様では、陰性対照試料と比べた試験試料中の少量のSNAP−25切断産物は哺乳動物における再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗性の増大または存在を示す。
直線的および非直線的アッセイ条件などの試料中の中和α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体の存在を検出するのに好適な全てのアッセイ条件は、本明細書に開示した方法において有用であるように構成されたものである。一実施形態では、アッセイ条件は直線的である。本実施形態の態様では、再標的化エンドペプチダーゼのアッセイ量は超過である。本実施形態の別の態様では、再標的化エンドペプチダーゼのアッセイ量は律速である。本実施形態の別の態様では、試験試料のアッセイ量は律速である。
本開示の態様は以下のように記載することができる。
1.以下を含む、再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出する方法:a)樹立した細胞株由来の細胞を再標的化エンドペプチダーゼを含む試料で処理する工程、ここで該樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼによる再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である、b)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を処理された細胞から単離する工程、c)SNAP−25成分をα−SNAP−25抗体に接触させる工程、ここで該α−SNAP−25抗体はSNAP−25切断産物からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を含むエピトープを結合する、d)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、ここで該抗体−抗原複合体による検出は再標的化エンドペプチダーゼ活性を示す。
2.以下を含む、再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出する方法:a)樹立した細胞株由来の細胞を再標的化エンドペプチダーゼを含む試料で処理する工程、ここで該樹立した細胞株由来の細胞は該再標的化エンドペプチダーゼによる再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である、b)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を、処理した細胞から単離する工程、c)SNAP−25成分を固相支持体に結合したα−SNAP−25抗体に接触させる工程、ここで該α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断産物からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を含むエピトープを結合する、d)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、ここで該抗体−抗原複合体による検出が再標的化エンドペプチダーゼ活性を示す。
3.以下を含む、再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出する方法:a)樹立した細胞株由来の細胞を再標的化エンドペプチダーゼを含む試料で処理する工程、ここで該樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼによる再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である、b)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を処理された細胞から単離する工程、c)SNAP−25成分を固相支持体に固定化する工程、d)SNAP−25成分をα−SNAP−25抗体に接触させる工程、ここで該α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断産物からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を含むエピトープを結合する、およびe)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、ここで該抗体−抗原複合体による検出が再標的化エンドペプチダーゼ活性を示す。
4.以下を含む、再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出する方法:a)樹立した細胞株由来の細胞を再標的化エンドペプチダーゼを含む試料で処理する工程、ここで該樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼを取り込むことができる、b)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を処理された細胞から単離する工程、c)SNAP−25成分をα−SNAP−25抗体に接触させる工程、ここで該α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断産物からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を含むエピトープを結合する、およびd)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、ここで該抗体−抗原複合体による検出が再標的化エンドペプチダーゼ活性を示す。
5.以下を含む、再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出する方法:a)樹立した細胞株由来の細胞を再標的化エンドペプチダーゼを含む試料で処理する工程、ここで該樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼを取り込むことができる、b)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を処理した細胞から単離する工程、c)SNAP−25成分を固相支持体に結合したα−SNAP−25抗体に接触させる工程、ここで該α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断産物からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を含むエピトープを結合する、およびd)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、ここで該抗体−抗原複合体による検出が再標的化エンドペプチダーゼ活性を示す。
6.以下を含む、再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出する方法:a)樹立した細胞株由来の細胞を再標的化エンドペプチダーゼを含む試料で処理する工程、ここで該樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼを取り込むことができる、b)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を処理された細胞から単離する工程、c)SNAP−25成分を固相支持体に固定化する工程、d)SNAP−25成分をα−SNAP−25抗体に接触させる工程、ここで該α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断産物からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を含むエピトープを結合する、およびe)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、ここで該抗体−抗原複合体による検出が再標的化エンドペプチダーゼ活性を示す、を含む。
7.以下を含む、哺乳動物の再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗を測定する方法:a)α−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の有無について試験をした哺乳動物から取得した試験試料に再標的化エンドペプチダーゼを添加する工程、b)樹立した細胞株由来の細胞を試料で処理する工程、ここで該樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である、c)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を処理された細胞から単離する工程、d)SNAP−25成分をα−SNAP−25抗体に接触させる工程、ここで該α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断産物からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を含むエピトープを結合する、e)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、f)試験試料の代わりに陰性対照試料で工程b−eを繰り返す工程、該陰性対照試料は再標的化エンドペプチダーゼおよびα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体を包含しないことが公知である血清を含む、およびg)工程fで検出した抗体−抗原複合体の量を工程eで検出した抗体−抗原複合体の量と比較する工程、ここで該工程fにおいて検出した抗体−抗原複合体の量と比べて工程eで検出した少量の抗体−抗原複合体の検出はα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の存在を示す。
8.以下を含む、哺乳動物の再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗を測定する方法:a)α−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の有無について試験をした哺乳動物から取得した試験試料に再標的化エンドペプチダーゼを添加する工程、b)樹立した細胞株由来の細胞を試料で処理する工程、ここで該樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である、c)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を処理された細胞から単離する工程、d)SNAP−25成分を固相支持体に結合したα−SNAP−25抗体に接触させる工程、ここで該α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断産物からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を含むエピトープを結合する、e)α−再標的化エンドペプチダーゼ抗体およびSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、f)試験試料の代わりに陰性対照試料で工程b−eを繰り返す工程、該陰性対照試料は再標的化エンドペプチダーゼおよびα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体を包含しないことが公知である血清を含む、およびg)工程fで検出した抗体−抗原複合体の量を工程eで検出した抗体−抗原複合体の量と比較する工程、ここで該工程fで検出した抗体−抗原複合体の量と比べて工程eで検出した少量の抗体−抗原複合体はα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の存在を示す。
9.以下を含む、哺乳動物の再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗を測定する方法:a)α−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の有無につて試験をした哺乳動物から取得した試験試料に再標的化エンドペプチダーゼを添加する工程、b)樹立した細胞株由来の細胞を試料で処理する工程、ここで該樹立した細胞株由来の細胞は再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である、c)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を処理された細胞から単離する工程、d)NAP−25成分を固相支持体に固定化する工程、e)SNAP−25成分をα−SNAP−25抗体に接触させる工程、ここで該α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断産物からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を含むエピトープを結合する、f)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、g)試験試料の代わりに陰性対照試料で工程b−fを繰り返す工程、該陰性対照試料は、再標的化エンドペプチダーゼおよびα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体を包含しないことが公知である血清を含む、およびh)工程gで検出した抗体−抗原複合体の量を工程fで検出した抗体−抗原複合体の量と比較する工程、ここで該工程gで検出した抗体−抗原複合体の量と比べて工程fで検出した少量の抗体−抗原複合体の検出はα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の存在を示す。
10.以下を含む、哺乳動物の再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗を測定する方法:a)α−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の有無について試験をした哺乳動物から取得した試験試料に再標的化エンドペプチダーゼを添加する工程、b)樹立した細胞株由来の細胞を試験試料で処理する工程、ここで該樹立した細胞株由来の細胞が再標的化エンドペプチダーゼを取り込むことができる、c)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を処理された細胞から単離する工程、d)SNAP−25成分をα−SNAP−25抗体に接触させる工程、ここで該α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断産物からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を含むエピトープを結合する、e)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、f)試験試料の代わりに陰性対照試料で工程b−eを繰り返す工程、該陰性対照試料は再標的化エンドペプチダーゼおよびα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体を包含しないことが公知である血清を含む、およびg)工程fで検出した抗体−抗原複合体の量を工程eで検出した抗体−抗原複合体の量と比較する工程、ここで該工程fで検出した抗体−抗原複合体の量と比べて工程eで検出した少量の抗体−抗原複合体の検出はα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の存在を示す。
11.以下を含む、哺乳動物の再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗を測定する方法:a)抗体を中和するα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の有無を試験する哺乳動物から得た再標的化エンドペプチダーゼを試験試料に添加する工程、b)樹立した細胞株由来の細胞を試験試料で処理する工程、ここで該樹立した細胞株由来の細胞が再標的化エンドペプチダーゼを取り込むことができる、c)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を処理された細胞から単離する工程、d)SNAP−25成分を固相支持体に結合したα−SNAP−25抗体に接触させる工程、ここで該α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断産物からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を含むエピトープを結合する、e)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、f)試験試料の代わりに陰性対照試料で工程b−eを繰り返す工程、ここで該陰性対照試料は再標的化エンドペプチダーゼおよびα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体を包含しないことが公知である血清を含む、およびg)工程fで検出した抗体−抗原複合体の量を工程eで検出した抗体−抗原複合体の量と比較する工程、ここで該工程fで検出した抗体−抗原複合体の量と比べて工程eで検出した少量の抗体−抗原複合体の検出はα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の存在を示す。
12.以下を含む、哺乳動物の再標的化エンドペプチダーゼ免疫抵抗を測定する方法:a)α−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の有無について試験をした哺乳動物から取得した試験試料に再標的化エンドペプチダーゼを添加する工程、b)樹立した細胞株由来の細胞を試験試料で処理する工程、ここで該樹立した細胞株由来の細胞が再標的化エンドペプチダーゼを取り込むことができる、c)BoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を有するSNAP−25切断産物を含むSNAP−25成分を処理された細胞から単離する工程、d)SNAP−25成分を固相支持体に固定化する工程、e)SNAP−25成分をα−SNAP−25抗体に接触させる工程、ここで該α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断産物からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を含むエピトープを結合する、f)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断産物を含む抗体−抗原複合体の存在を検出する工程、g)試験試料の代わりに陰性対照試料で工程b−fを繰り返す工程、ここで該陰性対照試料は再標的化エンドペプチダーゼおよびα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体を包含しないことが公知である血清を含む、およびh)工程gで検出した抗体−抗原複合体の量を工程fで検出した抗体−抗原複合体の量と比較する工程、ここで該工程gで検出した抗体−抗原複合体の量と比べて工程fで検出した少量の抗体−抗原複合体の検出はα−再標的化エンドペプチダーゼ中和抗体の存在を示す。
13.細胞が約500nM以下、約400nM以下、約300nM以下、約200nM以下、約100nM以下の再標的化エンドペプチダーゼによる再標的化エンドペプチダーゼ活性に感受性である、1〜3および7〜9の方法。
14.細胞が約500nM以下、約400nM以下、約300nM以下、約200nM以下、約100nM以下の再標的化エンドペプチダーゼを取り込むことができる、4〜6および10〜12の方法。
15.試料が約100ng以下、約10ng以下、約1ng以下、100fg以下、10fg以下、または1fg以下の再標的化エンドペプチダーゼを含む、1−6の方法。
16.試料が約100nM以下、約10nM以下、約1nM以下、約100nM以下、約10nM以下、約1nM以下、約0.5nM以下、または約0.1nM以下の再標的化エンドペプチダーゼを含む、1〜6の方法。
17.抗体−抗原複合体の存在がイムノブロット分析、免疫沈降分析、ELISAまたはサンドイッチELISAにより検出される、1−12の方法。
18.本方法の下漸近線におけるシグナル対ノイズ比が少なくとも3:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも50:1または少なくとも100:1である、1〜12の方法。
19.本方法の上漸近線におけるシグナル対ノイズ比が少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも200:1、少なくとも300:1、少なくとも400:1、少なくとも500:1、または少なくとも600:1である、1〜12の方法。
20.本方法が少なくとも100ng、少なくとも50ng、少なくとも10ng、少なくとも5ng、少なくとも100pg、少なくとも50pg、少なくとも10pg、少なくとも5pg、少なくとも100fg、少なくとも50fg、少なくとも10fg、または少なくとも5fgの再標的化エンドペプチダーゼのEC50活性を検出できる、1〜12の方法。
21.本方法は少なくとも10nM、少なくとも5nM、少なくとも100nM、少なくとも50nM、少なくとも10nM,少なくとも5nM、少なくとも1nM、少なくとも0.5nMまたは少なくとも0.1nMの再標的化エンドペプチダーゼのEC50活性を検出できる方法であり、1〜12の方法。
22.本方法は10pg以下、9pg以下、8pg以下、7pg以下、6pg以下、5pg以下、4pg以下、3pg以下、2pg以下、1pg以下の再標的化エンドペプチダーゼのLODを有する、1〜12の方法。
23.本方法は100nM以下、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下または10nM以下の再標的化エンドペプチダーゼのLODを有する、1〜12の方法。
24.本方法は10pg以下、9pg以下、8pg以下、7pg以下、6pg以下、5pg以下、4pg以下、3pg以下、2pg以下、1pg以下の再標的化エンドペプチダーゼのLOQを有する、1〜12の方法。
25.本方法は100nM以下、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下、または10nM以下の再標的化エンドペプチダーゼのLOQを有する、1〜12の方法。
26.本方法は完全に活性な再標的化エンドペプチダーゼAの70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下または10%以下の活性を有する部分的に活性な再標的化エンドペプチダーゼから完全に活性な再標的化エンドペプチダーゼを識別できる、1〜12の方法。
27.α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断産物からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のP1残基でカルボキシ末端を含むエピトープを結合する、1〜12の方法。
28.α−SNAP−25抗体が1 x 10-1 M-1s-1以下であるSNAP−25切断製品からのBoNT/A切断部位の切断可能結合のカルボキシ末端グルタミンを含まないエピトープの会合速度定数を有し、かつ、α−SNAP−25抗体が0.450nM以下であるエピトープの平衡解離定数を有する、27の方法。
29.単離したα−SNAP−25抗体が配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号80、および配列番号82を包含する基から選択されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、さらには配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90および配列番号92包含する基から選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する、27の方法。
30.単離したα−SNAP−25抗体が少なくとも配列番号93のVH CDR1、配列番号94のVH CDR1、配列番号95のVH CDR1、配列番号118のVH CDR1、配列番号119のVH CDR1または配列番号120のVH CDR1を含む、27の方法。
32.単離したα−SNAP−25抗体が少なくとも配列番号96のVH CDR2、配列番号97のVH CDR2、配列番号98のVH CDR2、配列番号99のVH CDR2、配列番号121のVH CDR2、配列番号122のVH CDR2または配列番号123のVH CDR2を含む、27の方法。
33.単離したα−SNAP−25抗体が少なくとも配列番号100のVH CDR3、配列番号101のVH CDR3、配列番号102のVH CDR3または配列番号124のVH CDR3を含む、27の方法。
34.単離したα−SNAP−25抗体が少なくとも配列番号103のVL CDR1、配列番号104のVL CDR1、配列番号105のVL CDR1、配列番号106のVL CDR1、配列番号107のVL CDR1、配列番号125のVL CDR1、配列番号126のVL CDR1、配列番号127のVL CDR1、配列番号128のVL CDR1または配列番号129のVL CDR1を含む、27の方法。
35.単離したα−SNAP−25抗体が少なくとも配列番号108のVL CDR2、配列番号109のVL CDR2、配列番号110のVL CDR2、配列番号111のVL CDR2または配列番号112のVL CDR2を含む、27の方法。
36.単離したα−SNAP−25抗体が少なくとも配列番号113のVL CDR3、配列番号114のVL CDR3、配列番号115のVL CDR3、配列番号116のVL CDR3または配列番号117のVL CDR3を含む、27の方法。
37.単離したα−SNAP−25抗体が配列番号93、配列番号121および配列番号100を含む重鎖可変領域ならびに配列番号105、配列番号110および配列番号115を含む軽鎖可変領域を含む、27の方法。
38.単離したα−SNAP−25抗体が配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号147または配列番号148のSNAP−25エピトープを選択的に結合する、27の方法。
39.単離したα−SNAP−25抗体が配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43または配列番号44のSNAP−25エピトープを選択的に結合する、27の方法。
実施例I 内因性再標的化再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する候補細胞株のスクリーニング
以下の実施例は、細胞を用いた効力アッセイの作成に必要とされる、再標的化エンドペプチダーゼの取り込み能力を有する確立された細胞株をどのように同定したかを説明する。
1.候補細胞株のストック培養の成長。
細胞株を生育させるために、試験する細胞株由来の好適な密度の細胞を30mLの好適な成長培地(表1を参照)を入れた162cm
2の組織培養フラスコにプレーティングし、37℃のインキュベーター中、5%又は10%二酸化炭素存在下で細胞が所望の密度に達するまで生育させた。
2.細胞表面に標的受容体を発現する細胞のスクリーニング。
フローサイトメトリー及び/又はリガンド結合アッセイを用い、所望の標的受容体の存在について細胞株をスクリーニングした。下記の実施例においては原形質膜におけるオピオイド又はオピオイド様受容体を同定するための試薬を用いたが、開示した方法は、いずれの再標的化エンドペプチダーゼに対する関連する受容体を同定するために用いることができる。
a.フローサイトメトリーを用いた細胞株の同定。
細胞表面において再標的化エンドペプチダーゼに対する標的受容体を発現する確立された細胞株を構成する細胞を同定するために、フローサイトメトリー解析を行った。それぞれの候補細胞株の細胞をセクション1に記載した通りに生育させ、トリプシンで処理し、1xPBS、0.5% BSAを含む染色バッファー中で洗浄し、1200rpmで3分間遠心分離した。沈殿した細胞を染色バッファー中に再懸濁し、約2.0x106個の細胞を、試験するそれぞれの受容体用の2本の新しいチューブに移した。オピオイド又はオピオイド様受容体の存在をスクリーニングするために、約2.0〜5.0μLのα−ORL−1 RA14133(Neuromics、Edina、MN)、α−DORウサギポリクローナル抗体RA10101(Neuromics、Edina、MN)、α−KORウサギポリクローナル抗体RA10103(Neuromics、Edina、MN)、又はα−MORウサギポリクローナル抗体RA10104(Neuromics、Edina、MN)を1本のチューブに加え、その混合液を4℃で1時間インキュベートした。2本目のチューブにはいずれの抗体も加えずに4℃で1時間インキュベートし、陰性対照とした。抗体をインキュベートした後、1.0mLの染色バッファーをそれぞれのチューブに加え、1200rpmで3分間遠心分離した。細胞沈殿物を1.0mLの染色バッファーでもう一度洗浄した。細胞沈殿物を200μLの染色バッファーに再懸濁し、2.0μLのヤギ抗ウサギIgG FITC抗体をそれぞれのチューブに加え、4℃で1時間、暗所にてインキュベートした。二次抗体とインキュベートした後、1.0mLの染色バッファーをそれぞれのチューブに加え、1200rpmで3分間遠心分離した。細胞沈殿物を1.0mLの染色バッファーでもう一度洗浄し、沈殿物を500μLの染色バッファー中に再懸濁した。フローサイトメーターを用いて試料を解析し、ウサギIgG FITC染色の上に抗受容体抗体染色を重ねたものをデータとして表示させた。
結果は、試験した細胞株のうち、SiMa、SiMa P>33、クローン H10、ND7、及びSK−N−DZ確立された細胞株を構成する細胞の約50%の細胞表面でORL−1が発現し;SH−SY5Y及びND15確立された細胞株を構成する細胞の約25%〜約50%の細胞表面でORL−1が発現し;及びND3、ND8、N18、及びNeuro−2a確立された細胞株を構成する細胞の約25%未満の細胞表面でORL−1が発現したことを示す(表2)。結果は、SH−SY5Y及びND7確立された細胞株を構成する細胞の約50%の細胞表面でKORが発現し;SiMa クローン H10、SiMaP>33、ND15、及びNeuro−2a確立された細胞株を構成する細胞の約25%〜約50%の細胞表面でKORが発現し;及びND3、ND8、及びN18確立された細胞株を構成する細胞の約25%未満の細胞表面で発現したことをもまた示す(表2)。結果は、ND7、ND15、及びSiMa P>33確立された細胞株を構成する細胞の約50%の細胞表面でMORが発現し;SH−SY5Y、SiMa クローン H10、ND8、及びNeuro−2a確立された細胞株を構成する細胞の約25%〜約50%の細胞表面で発現し;並びにND3及びN18確立された細胞株を構成する細胞の約25%未満の細胞表面でMORが発現したことをもまた明らかにした(表2)。α−DORウサギポリクローナル抗体RA10101は正確に機能しなかったため、使用可能なデータが生成されなかった。
b.リガンド結合を用いた細胞株の同定。
細胞表面に再標的化エンドペプチダーゼに対する標的受容体を発現する確立された細胞株を構成する細胞を同定するために、リガンド結合解析を行った。結合を促進するために、試験する候補細胞株由来の細胞を黒色−透明底型96ウェルプレート上に約4時間播種した。オピオイド又はオピオイド様受容体の存在をスクリーニングするために、その後それぞれのウェルから培地を吸引し、0(未処理対照)、0.001nM、0.01nM、0.1nM、又は1nMいずれかのFAM−ノシセプチン(Phoenix Pharmaceuticals、Inc、Burlingame、CA);又は0(未処理対照)、0.001nM、0.01nM、0.1nM、又は1nMいずれかのFAM−ダイノルフィンA(Phoenix Pharmaceuticals、Inc、Burlingame、CA)を含む50μLのリガンド溶液で置換した。細胞をリガンド溶液と共に、37℃インキュベーター中、5%二酸化炭素存在下で1時間インキュベートした。結合しなかったリガンドを除去するために、100μLの1xPBSを用いて細胞を3回洗うことによって細胞を洗浄した。プレートをTyphoon(Ex488及びEm520nm)でスキャンし、その後RFUシグナルをM5プレートリーダー(Ex495及びEm520nm)で測定した。結果は、SiMa クローン H10、SH−SY5Y、及びSK−N−DZ確立された細胞株を構成する細胞はノシセプチンと結合し、SiMa クローン H10を構成する細胞はダイノルフィンともまた結合することを示す(表2)。
同様の方法を用い、その他の再標的化エンドペプチダーゼに対する関連する受容体を有する細胞を含む細胞株を、これらエンドペプチダーゼへの標的ドメインのFAM標識及び上述したような細胞株のスクリーニングによって同定することができる。
3.再標的化エンドペプチダーゼ分子を用いた候補細胞株の単回投与スクリーニング。
細胞株が適切な再標的化エンドペプチダーゼ分子を取り込むことができるかどうかを決定するために、試験する細胞株のストック培養由来の好適な密度の細胞を1mLの適切な血清成長培地(表1)を入れた24ウェル組織培養プレートのウェルにプレーティングした。37℃のインキュベーター中、5%二酸化炭素存在下で細胞が所望の密度に達するまで細胞を生育させた(およそ18〜24時間)。オピオイド再標的化エンドペプチダーゼの取り込みを評価するために、成長培地をそれぞれのウェルから吸引し、1)オピオイド再標的化エンドペプチダーゼを含まない新しい成長培地(未処理細胞株)又は2)30nMのノシセプチン再標的化エンドペプチダーゼ(Noc/A)又は100nMのダイノルフィン再標的化エンドペプチダーゼ(Dyn/A)(処理細胞株)を含む新しい成長培地のいずれかで置換した。一晩インキュベートした後、成長培地を吸引し、200μLの1xPBSでそれぞれのウェルをリンスすることによって細胞を洗浄した。細胞を回収するために、1xPBSを吸引し、50μLの2xSDSローディングバッファーを加えることによって細胞を溶解し、溶解物を清潔なテストチューブに移し、試料を95℃まで5分間加熱した。
開裂していないSNAP−25基質及び開裂したSNAP−25産物両方の存在を検出するために、それぞれの回収した試料の一部をウエスタンブロットによって解析した。この解析においては、12μLの回収した試料を変性、還元条件下で、NuPAGE(登録商標)Novex 12% Bis−Tris プレキャストポリアクリルアミドゲル(Invitrogen Inc.、Carlsbad、CA)を用いて、MOPSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離した。分離したタンパク質を、TRANS−BLOT(登録商標)SDセミドライ電気泳動トランスファーセル装置(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA)を用いたウエスタンブロットにより、ゲルからポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜(InvitrogenInc.、Carlsbad、CA)上に移した。トリス緩衝食塩水(TBS)(25mM 2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール塩酸(Tris−HCl)(pH7.4)、137mM 塩化ナトリウム、2.7mM 塩化カリウム)、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)、2% ウシ血清アルブミン(BSA)、5% 脱脂粉乳を含む溶液中、室温で2時間インキュベートすることによりPVDF膜をブロッキングした。ブロッキングした膜を、1)1:5,000希釈したα−SNAP−25マウスモノクローナル抗体(SMI−81;Sternberger monoclonals Inc.、Lutherville、MD);又は2)1:5,000希釈したS9684 α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗血清(Sigma、St.Louis、MO)のいずれかを一次抗体として含む、TBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)、2% BSA、及び5% 脱脂粉乳中、4℃で一晩インキュベートした。それぞれの細胞株における全SNAP−25発現と、再標的化エンドペプチダーゼの取り込み量を評価するための指標として再標的化エンドペプチダーゼ処理後のSNAP−25開裂のパーセンテージを評価することを可能にすることにより、SNAP−25マウスモノクローナル及びウサギポリクローナル抗体の両方は、開裂していないSNAP−25基質及びSNAP−25開裂産物の両方を検出することができる。一次抗体でプロービングしたブロットをTBS、TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)中で3回、それぞれの回につき15分間洗浄した。洗浄した膜を、1)1:10,000希釈した、西洋ワサビペルオキシダーゼ(Zymed、South San Francisco、CA)に結合したヤギポリクローナル抗マウス免疫グロブリンG、重鎖及び軽鎖(IgG、H+L)抗体;又は2)1:10,000希釈した、西洋ワサビペルオキシダーゼ(Zymed、South San Francisco、CA)に結合したヤギポリクローナル抗ウサギ免疫グロブリンG、重鎖及び軽鎖(IgG、H+L)抗体のいずれかを二次抗体として含むTBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)、2% BSA、及び5% 脱脂粉乳中、室温で2時間インキュベートした。二次抗体でプロービングしたブロットをTBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)中で3回、それぞれの回につき15分間洗浄した。ECL Plus(商標)ウエスタンブロット検出システム(GE Healthcare、Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)を用いて標識したSNAP−25産物のシグナル検出を可視化し、膜を画像化して開裂したSNAP−25産物のパーセンテージをTyphoon 9410 Variable Mode Imager及びImager Analysis software(GE Healthcare、Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)を用いて定量した。ピクセルサイズの選択(100〜200ピクセル)及びPMT電圧設定(350〜600、通常は400)は、それぞれのブロットに依存する。
SNAP−25開裂産物の検出に基づき、BE(2)−C、N18TG2、Neuro−2a、SiMa、SK−N−BE(2)−C、及びSK−N−DZの細胞株が30nM Noc/Aの取り込みを示し(表3);一方、N18TG2、Neuro−2a、PC12、及びSiMa細胞株が100nM Dyn/Aの取り込みを示した。これらのうちいくつかの感受性細胞株をより低容量の化合物及び/又は完全用量反応を用いて試験した。
同様の方法を用い、その他の再標的化エンドペプチダーゼに対する関連する受容体を有する細胞を含む細胞株の、再標的化エンドペプチダーゼの取り込みを評価することができる。
実施例II 内因性再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する候補クローン細胞株のスクリーニング
1.親SiMa細胞株からの、候補クローン細胞株の単回投与再標的化エンドペプチダーゼスクリーニング。
関連特許出願であるZhu Hong et al.、Cell Lines Useful in Immuno−Based Botulinum Toxin Serotype A Activity Assays(米国特許出願第61/160,199号)は、Ester Fernandez−Salas、et al.、Immuno−Based Botulinum Toxin Serotype A Activity Assays(米国特許出願第12/403,531号)に記載されたようなBoNT/A効力アッセイにおいて有用な、親SiMa細胞株由来のクローン細胞株を開示し、それぞれの特許は引用することによりその全文が本明細書に組み入れられる。これらクローン細胞株が適切な再標的化エンドペプチダーゼを取り込むことができるかどうかを決定するために、ECLサンドイッチELISAアッセイを用いてそれぞれをスクリーニングした。
再標的化エンドペプチダーゼで処理した溶解物を調製するために、試験する細胞株のストック培養由来の好適な密度の細胞を100μLの適切な血清成長培地(表1)を入れた96ウェル組織培養プレートのウェルに一晩プレーティングした。播種した細胞からの培地をそれぞれのウェルから吸引し、30nMのNoc/A再標的化エンドペプチダーゼ又は80nMのDyn/A再標的化エンドペプチダーゼのいずれかを含む新しい培地で置換した。24時間インキュベートした後、成長培地を吸引し、200μLの1xPBSでそれぞれのウェルをリンスすることによって細胞を洗浄した。細胞を回収するために、1xPBSを吸引し、20mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM EGTA、1% TritonX−100を含む30μLのリシスバッファーをそれぞれのウェルに加えることによって細胞を溶解し、プレートを、500rpmで回転している振とう機上、4℃で30分間インキュベートした。細胞残渣を沈殿させるためにプレートを4000rpm、20分間、4℃で遠心分離し、検出工程を行うために上清を補足抗体をコーティングした96ウェルプレートに移した。
α−SNAP−25197補足抗体溶液を調製するために、ハイブリドーマ細胞株2E2A6由来の腹水に含まれるα−SNAP−25197マウスモノクローナル抗体(実施例XI)を、標準的なプロテインA精製プロトコールを用いて精製した。
α−SNAP−25検出抗体溶液を調製するために、α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗体S9684(Sigma、St.Louis、MO)を製造業者による説明書に従って(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)、ルテニウム(ll)−トリス−ビピリジン−(4−メチルスルホン酸)NHSエステル標識試薬(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)に結合させた。MSD SULFO−TAG(商標)ストック溶液を再構成した蒸留水30μLを200μLの2mg/mL α−SNAP−25ポリクローナル抗体に加え、反応液を室温で2時間、暗所にてインキュベートすることにより、結合反応を行った。標識した抗体を標準的なスピンカラムプロトコールを用いて精製し、標準的な比色タンパク質アッセイを用いてタンパク質の濃度を決定した。1リットル当たりのモル濃度を決定するために、α−SNAP−25抗体/MSD SULFO−TAG(商標)結合体の吸光度を、分光光度計を用いて455nmで測定した。検出抗体溶液を使用まで4℃で保存した。使用しない一部を―20℃で長期間保存した。
α−SNAP−25197補足抗体を含むα−SNAP−25固相担体を調製するために、およそ5μLの適切なα−SNAP−25197モノクローナル抗体溶液(1xPBS中に20μg/mL)を、96ウェルMSD High Bind プレートのそれぞれのウェルに添加し、溶液中の液体を蒸発させるために、生物学的に安全なキャビネット中で2〜3時間風乾させた。ブロッキングしたプレートを密閉し、使用まで4℃で保存した。
開裂したSNAP−25産物の存在をECLサンドイッチELISAを用いて検出するために、次に、2% Amershamブロッキング試薬(GE Life Sciences、Piscataway、NJ)及び10% ヤギ血清(VWR、West Chester、PA)を含む150μLのブロッキングバッファーを室温で2時間添加することにより、補足抗体が結合したウェルをブロッキングした。ブロッキングバッファーを吸引し、再標的化エンドペプチダーゼで処理した細胞由来の溶解物25μLをそれぞれのウェルに加え、プレートを4℃で一晩インキュベートした。細胞溶解物を吸引し、200μL 1xPBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でそれぞれのウェルを3回リンスすることにより、プレートウェルを洗浄した。洗浄した後、1xPBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)に溶解した2% Amershamブロッキング試薬を含む25μLの5μg/mL α−SNAP−25検出抗体溶液をそれぞれのウェルに加え、密閉し、振とうさせながら、室温で1時間インキュベートした。α−SNAP−25検出抗体をインキュベートした後、200μL 1xPBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でウェルを3回洗浄した。洗浄した後、150μLの1xリードバッファー(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)をそれぞれのウェルに加え、SECTOR(商標)Imager 6000 Image Reader(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)を用いてプレートを測定した。生データをECL imagerを用いて回収した。
結果は、親SiMa細胞株並びにクローン細胞株H10が、Noc/A再標的化エンドペプチダーゼの良い取り込みを示す(表4)。加えて、これらの結果は、多くの細胞株がDyn/A再標的化エンドペプチダーゼの取り込みを示したことを明らかにする(表4)。3つのクローン細胞株(1E11、AF4、及びDC4)はDyn/A再標的化エンドペプチダーゼのよい取り込みを示し;11のクローン細胞株(1E3、2D2、2D6、3D8、5C10、5F3、BB10、BF8、CG8、CG10、及びDE7)は中程度のDyn/A再標的化エンドペプチダーゼの取り込みを示し;並びに(3B8、2B9、CE6、YB8、4C8、2F5、AC9、CD6、DD10、YF5)は、最小のDyn/A再標的化エンドペプチダーゼの取り込みを示した。これらのうちいくつかの候補細胞株を、対応する再標的化エンドペプチダーゼを用いた完全用量反応において試験した。
2.候補細胞株の完全用量反応スクリーニング。
上記で同定した確立された細胞株を続いて、適切な再標的化エンドペプチダーゼの完全用量反応を用いて評価した。異なる細胞株由来の細胞を96ウェルプレートにプレーティングし、様々な濃度のNoc/A(0、0.14nM、0.4nM、1.23nM、3.7nM、11.1nM、33.3nM、及び100nM)又はDyn/A(0.017nM、0.05nM、0.15nM、0.45nM、1.4nM、4.1nM、12nM、37nM、111nM、333nM、及び1000nM)に24時間曝露した。再標的化エンドペプチダーゼを含む培地をその後除去し、新しい完全培地で置換した。SNAP−25を開裂させるために、プレートをさらに24時間、37℃、5%CO2存在下でインキュベートした。細胞をリシスバッファー中で溶解し(表5)、残渣を除去するためにプレートを遠心分離した。溶解物をウエスタンブロットアッセイ又はサンドイッチELISAのいずれかに用いた。
ウエスタンブロット解析では、完全なSNAP−25及びSNAP−25開裂産物の両方の存在について、実施例Iに記載したように試料を解析した。
サンドイッチELISA用には、2E2A6モノクローナル抗体でコーティングしたELISAプレートを、150μLのブロッキングバッファー中、室温で2時間、ブロッキングした。ブロッキングバッファーを除去した後、25μLの細胞溶解物をそれぞれのウェルに加え、プレートを4℃で2時間インキュベートした。PBS−Tでプレートを3回洗浄し、ウェルの底部の隅に、PBS−T中の2% ブロッキング試薬に5μg/mLの濃度で溶解したSULFO−TAG NHS−エステル標識検出抗SNAP25 pAb抗体25μLを加えた。プレートを密閉し、室温で1時間振とうさせ、その後PBS−Tを用いて3回洗浄した。洗浄が完了した後、1つのウェル当たり150μLの1xリードバッファーを加え、試験した細胞株それぞれの感受性を決定するためにSI6000 Image readerを用いてプレートを測定し、それぞれの細胞株のEC
50値を算出した。Noc/A再標的化エンドペプチダーゼにおける値を表5にまとめた。再標的化エンドペプチダーゼDyn/Aの完全用量反応は、PC12及びクローンAF4についてのみ行った。どちらの例におけるアッセイも上側の漸近線に達しなかったため、EC
50は算出できなかった。AF4クローンにおけるシグナルが生成したより低い用量は、両方の細胞株において12nMであった。
同様の方法を用い、その他の再標的化エンドペプチダーゼに対する関連する受容体を有する細胞を含むクローン細胞株をスクリーニングし、再標的化エンドペプチダーゼの取り込みを評価することができる。
実施例III 候補細胞株の再標的化エンドペプチダーゼの取り込みにおける生育条件の評価
以下の実施例は、確立された細胞株における再標的化エンドペプチダーゼの取り込みを最大にする培養条件、成長及び分化をどのように決定したかを説明する。
1.候補細胞株の再標的化エンドペプチダーゼの取り込みにおける細胞分化及び栄養素の効果。
細胞分化又は成長培地中の栄養素の存在が再標的化エンドペプチダーゼの取り込みを改善するがどうかを決定するために、Noc/Aの良好な取り込みを示した細胞株を、異なる培地組成物を用いて試験した。試験するSiMa P>30細胞株のストック培養由来の好適な密度の細胞を、RPM11640、1% ペニシリン−ストレプトマイシン、2mML−グルタミン、サプリメントB27、及びN2を含む100μLの無血清培地、又はRPMI1640、1% ペニシリン−ストレプトマイシン、2mM L−グルタミン、サプリメントB27、N2、及びNGF(神経成長因子、100ng/mL)を含む100μLの無血清培地を入れた96ウェル組織培養プレートのウェル中にプレーティングした。これらの細胞を、成長停止及び神経突起伸展などの標準的及び慣習的な形態学的な基準によって評価されるように細胞が分化するまで、37℃のインキュベーター中、5% 二酸化炭素存在下でインキュベートした(およそ1〜2日間)。対照として、試験する細胞株のストック培養由来の好適な密度の細胞を、NGF(100ng/mL)を加えた又は加えない100μLの適切な成長培地(表1)を入れた96ウェル組織培養プレートのウェル中にプレーティングした。これら未分化対照細胞を、細胞が所望の密度に達するまで、37℃のインキュベーター中、5%二酸化炭素存在下で生育させた(およそ18〜24時間)。分化した及び未分化対照培養両方由来の培地をそれぞれのウェルから吸引し、0(未処理試料)又は様々な濃度いずれかのNoc/A(0.14、0.4、1.23、3.7、11.1、33.3、及び100nM)を含む新しい培地で置換した。24時間処理後、細胞を洗浄し、生産されるSNAP25197の量を増加させるために、再標的化エンドペプチダーゼを含まない培地中で24時間インキュベートした。その後細胞を洗浄し、実施例IIに記載したようなECLサンドイッチELISAアッセイ用に回収した。
SK−N−DZ細胞株においては、栄養素の効果もまた試験した。SK−N−DZ細胞を、1つのウェル当たり25,000細胞になるように、8つの異なるSM培地(表6)を用いて、72時間、ポリ−D−リジンコーティング96ウェルプレートにプレーティングした。0、0.3nM、3nM、及び30nM用量のNoc/Aを加えた同じ8つの培地中で細胞を処理した。24時間処理後、細胞を洗浄し、生産されるSNAP−25197開裂産物の量を増加させるために、再標的化エンドペプチダーゼを含まない培地中で24時間インキュベートした。その後細胞を洗浄し、実施例Iに記載したようなウエスタンブロットアッセイように回収した。
分化は、SiMa >P30細胞株のNoc/A取り込みにおいては効果がなかったが、SK−N−DZ細胞株における取り込みを改善したようだった。基本培地はSK−N−DZ細胞株におけるNoc/Aの取り込みに有意な効果を示し、栄養素N2及びB27を含むRPMI1640が最も良い組み合わせであった。NGFの存在は、試験した2つの細胞株における取り込みを改善しないようだった。
同様の方法を用い、その他の再標的化エンドペプチダーゼに対する関連する受容体を有する細胞を含むクローン細胞株の成長及び分化条件を評価することができる。
実施例IV 外生の再標的化エンドペプチダーゼ受容体を発現する確立された細胞株の作成
以下の実施例は、再標的化エンドペプチダーゼに対する外生の受容体を発現する確立された細胞株をどのように作出したかを説明する。
1.候補細胞株を構成する細胞への標的受容体のトランスフェクション。
再標的化エンドペプチダーゼNoc/Aは、オピオイド受容体様−1(ORL−1)の天然のリガンドであるノシセプチン標的ドメインを含む。ORL−1のオープンリーディングフレームを含む発現コンストラクトを得るために、Gene Copoeia(Gene Copoeia、Germantown、MD)から、発現コンストラクトであるpReceiver−M02/ORL−1を得た。
一方、標準的な方法(BlueHeron(登録商標)Biotechnology、Bothell、WA)を用いて、ORL−1アミノ酸配列(例えば、配列番号25又は配列番号26のアミノ酸配列)に基づくポリヌクレオチド分子を合成することができる。20〜50塩基の長さのオリゴヌクレオチドは、標準的なホスホラミダイト合成によって合成される。これらのオリゴヌクレオチドは、完全長ポリヌクレオチド分子を構成するために、共にライゲーションされる二本鎖デュプレックス中にハイブリダイゼーションされる。このポリヌクレオチド分子は、pUCBHB1/ORL−1を作出するために、標準的な分子生物学的手法を用いてpUCBHB1ベクターのSmaI部位にクローニングされる。Big Dye Terminator(商標)Chemistry 3.1(Applied Biosystems、FosterCity、CA)及びABI 3100シークエンサー(AppliedBiosystems、FosterCity、CA)を用いたシークエンシングにより、合成したポリヌクレオチド分子を確認する。必要に応じて、大腸菌株における発現を改善するために、ORL−1アミノ酸配列(例えば、配列番号25又は配列番号26のアミノ酸配列)に基づいて、発現を最適化したポリヌクレオチド分子を合成することができる。ORL−1をコードしているポリヌクレオチド分子を、1)大腸菌株の天然型ポリヌクレオチド分子に典型的に存在する同義語コドンを含むように;2)大腸菌株で見られる天然型ポリヌクレオチド分子の平均G+C含量と、より密接に一致するG+C含量を含むように;3)ポリヌクレオチド分子に見られるポリモノヌクレオチド領域が減少するように;及び/又は4)ポリヌクレオチド分子中に見られる内部の制御部位又は構成部位を除去するように、改変することができる。例えば、Lance E. Steward et al.、Optimizing expression of Active Botulinum Toxin Type A(米国特許出願公開第2008/0057575号)(2008年3月6日);及びLance E. Steward et al.、Optimizing expression of Active Botulinum Toxin Type E、(米国特許出願公開第2008/0138893号)(2008年6月12日)を参照のこと。配列の最適化が完了すると、20〜50塩基の長さのオリゴヌクレオチドは標準的なホスホラミダイト合成によって合成される。これらのオリゴヌクレオチドは、完全長ポリヌクレオチド分子を構成させるために、共にライゲーションされる二本鎖デュプレックス中にハイブリダイゼーションされる。pUCBHB1/ORL−1を作出するため、標準的な分子生物学的手法を用いてこのポリヌクレオチド分子をpUCBHB1ベクターのSmal部位にクローニングする。DNAシークエンシングにより、合成したポリヌクレオチド分子を確認する。必要に応じて、例えば、酵母株、昆虫細胞株又は哺乳動物の細胞株などの異なる生物における発現の最適化を行うことができる。例えば、Steward(米国特許出願公開第2008/0057575号)、上記、(2008);及びSteward(米国特許出願公開第2008/0138893号)、上記、(2008)を参照のこと。ORL−1をコードしているポリヌクレオチド分子の例としては、配列番号61及び配列番号62が挙げられる。
ORL−1をコードしている発現コンストラクトを構築するため、pUCBHB1/ORL−1コンストラクトを、1)ORL−1のオープンリーディングフレームをコードしているポリヌクレオチド分子を切断し;および2)このポリヌクレオチド分子をpcDNA3ベクター(Invitrogen、Inc.、Carlsbad、CA)に操作可能に連結することを可能にする、制限エンドヌクレアーゼを用いて消化する。この挿入断片をT4 DNA ligase技術を用いてpcDNA3ベクターにサブクローニングし、さらにpcDNA3/ORL−1を得るために適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて消化する。エレクトロポレーション法により、ライゲーション混合液をエレクトロコンピテントE.coli BL21(DE3)細胞(Edge Biosystems、Gaitherburg、MD)に形質転換し、細胞を50μg/mLのアンピシリンを含む1.5% Luria−Bertani寒天プレート(pH7.0)上にプレーティングし、37℃インキュベーター中に静置して一晩生育させる。発現コンストラクトを含むバクテリアは、アンピシリン抵抗性のコロニーとして同定される。候補コンストラクトは、アルカリ溶菌プラスミドミニプレパレーション法によって単離され、挿入断片の存在及び方向を決定するために制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングによって解析される。このクローニング方法により、ORL−1をコードしているポリヌクレオチド分子を含むpcDNA3発現コンストラクトが得られる。
再標的化エンドペプチダーゼDyn/Aは、κ−オピオイド受容体(KOR)の天然のリガンドであるダイノルフィン標的ドメインを含む。ORL−1のオープンリーディングフレームを含む発現コンストラクトを得るために、Gene Copoeia(Gene Copoeia、Germantown、MD)を用いて発現コンストラクトであるpReceiver−M02/KOR−1を得た。一方、KORをコードしている発現コンストラクトを合成し、pcDNA3.1/KOR発現コンストラクトを作出するために用いた、上述した方法と類似の方法を用いてサブクローニングすることができる。KORアミノ酸配列の例としては配列番号29及び配列番号30が;KORをコードしているポリヌクレオチド分子の例としては配列番号65及び配列番号66が挙げられる。
例えば、pcDNA3.1/DOR又はpcDNA3.1/MOR、pcDNA3.1/ガラニン受容体1、pcDNA3.1/ガラニン受容体2、又はpcDNA3.1/ガラニン受容体3などの、その他の再標的化エンドペプチダーゼ受容体をコードしている発現コンストラクトを作出するために類似のクローニング方法を用いることができる。DORアミノ酸配列の例としては配列番号27及び配列番号28が;MORアミノ酸配列の例としては配列番号31が、ガラニン受容体1アミノ酸配列の例としては配列番号136、配列番号137、及び配列番号138が;ガラニン受容体2アミノ酸配列の例としては配列番号139が;並びにガラニン受容体3アミノ酸配列の例としては配列番号140が挙げられる。DORをコードしているポリヌクレオチド分子の例としては配列番号63及び配列番号64が;MORをコードしているポリヌクレオチド分子の例としては配列番号67が;ガラニン受容体1をコードしているポリヌクレオチド分子の例としては配列番号141、配列番号142、及び配列番号143が;ガラニン受容体2をコードしているポリヌクレオチド分子の例としては配列番号144が;並びにガラニン受容体3をコードしているポリヌクレオチド分子の例としては配列番号145が挙げられる。
再標的化エンドペプチダーゼ受容体をコードしている発現コンストラクトを導入するために、再標的化エンドペプチダーゼ受容体をコードしている発現コンストラクトを用いて細胞株をトランスフェクションした。オピオイド又はオピオイド様受容体を用いて細胞株をトランスフェクションするためには、候補細胞株由来の細胞をT175コラーゲンIVコーティングフラスコ中に1x107個の細胞密度で播種し、細胞が所望の密度に達するまで、37℃のインキュベーター中、5%二酸化炭素存在下で生育させた。室温で5分間インキュベートした200μLのLipofectAmine 2000(Invitrogen、Carlsbad、CA)を含む4mLのOPTI−MEM血清使用量低減培地を20μgのpReceiver−M02/ORL−1又は20μgのpReceiver−M02/KOR−1を含む4mLのOPTI−MEM血清使用量低減培地に加えることにより4.2mLのトランスフェクション溶液を調製した。このトランスフェクション溶液を室温でおよそ20分間インキュベートした。培地を8mLの新しい無血清、抗生物質を含まない培地で置換し、トランスフェクション溶液を細胞に加えた。その後細胞を37℃のインキュベーター中、5%二酸化炭素存在下でおよそ16〜18時間インキュベートした。トランスフェクション培地を新しい成長培地で置換し、細胞を37℃インキュベーター中、5%二酸化炭素存在下でインキュベートした。24時間後、成長培地を培養培地中に1mg/mL濃度の抗生物質G418を含む新しい成長培地(選択培地)で置換し、細胞を7日間インキュベートした。全4週間にわたり、選択培地を毎週交換した(約90%細胞が死に、毎週の培地交換の際に除去した)。
ORL−1受容体を用いてトランスフェクションした候補細胞株は、SiMa >P30、ND15、ND7、NG108−T15及びSK−N−DZ細胞株である。KOR−1受容体を用いてトランスフェクションした候補細胞株は、SiMa、SiMa >P30、ND15、ND7、NG108−T15及びSK−N−DZ細胞株である。トランスフェクションしたNG108−T15細胞は、G418による選別において生き残らなかった。
2.安定にトランスフェクションした細胞株の、再標的化エンドペプチダーゼ分子を用いた単回投与及び用量反応スクリーニング。
前セクションにおいてトランスフェクションし、選別した候補細胞株由来の細胞を、化合物を処理する前にN2及びB27サプリメント、並びにNGF(50〜100ng/mL)を含むRPMI1640培地中で、1ウェル当たり1x10
5細胞になるように96ウェルポリ−D−リジン又はコラーゲンIVコーティングプレートに、20±4時間プレーティングした。その後同じ培地中で、ORL−1受容体を安定してトランスフェクションされた細胞を30nMの再標的化エンドペプチダーゼNoc/Aで24±2時間処理した。SK−N−DZ細胞株は10nMの再標的化エンドペプチダーゼNoc/Aで処理した。120μLのリシスバッファー中で細胞を溶解し、実施例Iに詳述したように行うウエスタンブロットアッセイ用に、20μLの溶解物を2xSDSバッファーと混合した。ORL−1受容体を用いてトランスフェクションした場合、全ての細胞株における再標的化されたNoc/A化合物の取り込みが増加することが示された(表7)。
前セクションにおいてトランスフェクションし、選別した候補細胞株由来の細胞を、化合物を処理する前に10% FBS及びN2及びB27サプリメントを含むRPM11640培地中で、1ウェル当たり1x105細胞になるように96ウェルポリ−D−リジン又はコラーゲンIVコーティングプレートに、20±4時間プレーティングした。KOR−1受容体を安定してトランスフェクションされた細胞を、同じ培地中で24±2時間、100nMの再標的化エンドペプチダーゼDyn/Aで処理した。120μLのリシスバッファー中で細胞を溶解し、実施例Iに詳述したように行うウエスタンブロットアッセイ用に、20μLの溶解物を2xSDSバッファーと混合した。ヒトKOR−1受容体を用いてトランスフェクションした場合、全ての細胞株における再標的化されたDyn/A化合物の取り込みが増加することが示された。
3.連続希釈による、高い感受性を示す安定してトランスフェクションされたクローン細胞株の選抜
以下の実施例は、再標的化エンドペプチダーゼの作用を受けやすい又は再標的化エンドペプチダーゼの取り込み能力を有する、安定してトランスフェクションされ、確立された細胞株由来のクローン細胞をどのように同定したかを説明する。
上記に記載した、選択した細胞由来の単一の細胞をクローニングするために、限界希釈細胞株クローニング方法を用いた。細胞をトリプシン処理し、数を計測し、100μL当たり0.5〜1細胞になるように希釈し、1つのウェル当たり100μLを、5つのポリ−D−リジンコーティング96ウェルプレートに入れた選択培地上にプレーティングした。ウェルの底部にコロニーが形成されるまで、2週間以上細胞をインキュベートした。単一細胞由来の陽性のコロニーに印を付けた。顕微鏡カメラを用いてクローン由来の単一細胞の写真を撮影した。単一クローンを入れたウェルからの細胞をさらに1週間生育させ、クローニング開始から約4週間後に24ウェルプレートに移した。
クローンの選抜のための陽性クローンをスクリーニングするために用いた指標は、完全な及び開裂したSNAP−25の両方を認識する抗体を用いたウエスタンブロット解析によって測定した、Noc/A又はDyn/A処理後の最も多いSNAP−25開裂の量であった。試験に十分な細胞が得られた後、できる限りすぐに、ORL−1を過剰発現しているクローンを10nM及び30nMの再標的化エンドペプチダーゼNoc/Aで一晩試験した(表8)。KOR−1を過剰発現しているクローンをは100nMの再標的化エンドペプチダーゼDyn/Aで一晩試験した(表9)。加えて、KOR−1を過剰発現しているクローンは、実施例Iに記載したようなダイノルフィン結合アッセイにおいて試験した。
4.再標的化エンドペプチダーゼを用いた、安定してトランスフェクションされたクローン細胞株の用量反応スクリーニング。
セクション3において再標的化エンドペプチダーゼNoc/Aの良好な取り込みを示した、安定してトランスフェクションされた候補クローン細胞株を、再標的化エンドペプチダーゼNoc/Aに対する感受性及び効果を決定するために完全用量反応実験において試験した。化合物を処理する前に、N2及びB27サプリメント、並びにNGF(50〜100ng/mL)を含むRPMI1640培地中で、1ウェル当たり1x10
5細胞になるように96ウェルポリ−D−リジン又はコラーゲンIVコーティングプレートに20±4時間プレーティングした。親AGN P33細胞株及びND7クローン細胞株由来の細胞を、同じ培地中で24時間、0、0.14nM、0.4nM、1.23nM、3.7nM、11.1nM、33.3nM、及び100nMのNoc/Aで試験し、SNAP−25を開裂させるために、再標的化エンドペプチダーゼを含まない培地中でさらに24時間インキュベートした。親AGN P33細胞株由来の細胞はまた、同じ培地中で24時間、0、0.03nM、0.08nM、0.24nM、0.74nM、2.22nM、6.67nM、及び20nMのNoc/Aを用いて試験し、SNAP−25を開裂させるために再標的化エンドペプチダーゼを含まない培地中でさらに24時間インキュベートした。培地を除去し、細胞を洗浄し、実施例IIに記載したように、ECLサンドイッチELISAアッセイ用に細胞を溶解した。ORL−1受容体を用いて試験したAGN P33親細胞株及び安定してトランスフェクションされたクローン細胞株のデータを表10にまとめた。クローン#2及び#6は、親細胞株よりも再標的化エンドペプチダーゼNoc/Aに対するより高い感受性及び効果を示した。さらに、新規のクローン細胞株の増加した感受性は、新規のクローン細胞株の感受性がより高いことを確認する用量反応において、より低い濃度の使用を可能にした。
ORL−1受容体を用いて試験したND7親細胞株及び安定してトランスフェクションされたクローン細胞株からのデータを表11にまとめた。試験した全てのクローンが、親細胞株ND7よりも再標的化エンドペプチダーゼNoc/Aに対する改善した感受性及び効果を示した。クローン4B7、1E6、及び1C11の感受性が最も高く、EC
50値は10pM未満であった。
異なる細胞バックグラウンドにおける、ORL−1受容体を過剰発現しているクローン細胞株の作出及び試験から得られた結果を表12にまとめた。
実施例V 親SK−N−DZ細胞株由来のクローン細胞株の作成。
以下の実施例は、再標的化エンドペプチダーゼのエキソサイトーシスの阻害に感受性である、又は再標的化エンドペプチダーゼの取り込み能力を有するクローン細胞をどのように確立された親細胞株から同定したかを説明する。
1.クローン細胞株の単離。
SK−N−DZ細胞株の解析を行っている間に、この確立された細胞株を構成する細胞には少なくとも5つの異なる細胞表現型が含まれることが明らかになった。これら表現型の異なる細胞型のうちのいずれか1つが、この細胞株の再標的化エンドペプチダーゼのエキソサイトーシスの阻害を受けやすい原因かどうかを決定するため、それぞれ表現型の異なる細胞型を単離する単一のコロニー得るための2種類の異なる限界希釈スクリーニングを行った。
SK−N−DZストック由来の好適な密度の細胞を、T175コラーゲンIVコーティングフラスコに入れたDMEM、10% ウシ胎仔血清(熱不活性化)、0.1mM 非必須アミノ酸、10mM HEPES、1mM ピルビン酸ナトリウム、100U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン中で生育させた。二回目の継代の後、細胞懸濁液を用意するために細胞をトリプシン処理した、細胞濃度を決定した。この細胞懸濁液から約4.0x106個の細胞を50mLのチューブに移し、10mLシリンジを用い、18.5ゲージの針を通して強制的に排出することを繰り返すことにより、細胞を単一の細胞になるまで分離した。次に、この分離単一細胞懸濁液からの細胞を15mLの新しい成長培地を添加することによって0.2x106細胞/mLの濃度まで希釈し、10細胞/mLの濃度になるように、この希釈液2.5μLを50mLの新しい成長培地に添加した。96ウェルコラーゲンIVコーティングプレートのそれぞれのウェルにこの最終希釈ストックから100μLの成長培地を添加し、この細胞を一定に保たれた37℃のインキュベーター中、5%二酸化炭素存在下で4週間生育させた。4個の96ウェルプレートを解析のために用意した。コロニーの成長を評価するために、定期的にプレートを顕微鏡的に解析した。4週間後、成育中の単一のコロニーを同定するためにそれぞれのウェルを顕微鏡的に解析し、同定されたそれぞれの成長中のコロニーについて、100μLの新しい成長培地をそれぞれのウェルに添加し、細胞を一定に保たれた37℃のインキュベーター中、5%二酸化炭素存在下で2週間生育させた。さらに2週間生育させた後、成長中の単一のコロニーをトリプシンで処理し、さらに培養を続けるために新しい96ウェルプレートに移した。目視検査によってコロニーが約1,000細胞まで生育したと判断した時点で細胞をトリプシンで処理し、それぞれの細胞懸濁液を24ウェルコラーゲンIVコーティングプレートの新しいウェル中に移した。細胞を、必要に応じて2〜3日ごとに新しい成長培地で満たしながら、37℃のインキュベーター中、5%二酸化炭素存在下で生育させた。培養が約60%以上のコンフルエンスに達するまで細胞を生育させ、その時点で細胞をトリプシンで処理し、24ウェルプレート中の細胞のコンフルエンスに基づき、それぞれの細胞懸濁液を25cm2のコラーゲンIVコーティングフラスコ中に移した。細胞を、必要に応じて2〜3日ごとに新しい成長培地で満たしながら、37℃のインキュベーター中、5%二酸化炭素存在下で生育させた。フラスコ中の細胞が70〜80%コンフルエンスに達した時点でそれらを凍結させ、Noc/Aのエキソサイトーシスの阻害の受けやすさを決定するためにクローン細胞株を試験するまで、液体窒素中で保存した。両方のスクリーニングにおいて当初単離された384コロニーのうち、24のクローン細胞株を生存能力及び成長の特徴に基づいて選択し、続くスクリーニング過程のために拡大した。これらのうち、早く成長する12の細胞株を同定した。
2.再標的化エンドペプチダーゼを用いた、クローン細胞株由来細胞の再標的化エンドペプチダーゼ活性の受けやすさの一次スクリーニング。
クローン細胞株由来の細胞が再標的化エンドペプチダーゼNoc/A活性に感受性であるかどうかを決定するために、エンドペプチダーゼ活性を決定する免疫を用いた一次スクリーニングを行った。
13のSK−N−DZクローン(#3、#4、#5、#8、#9、#10、#13、#15、#16、#17、#18、#22、及び#23)並びにSK−N−DZ親細胞をEMEM、10% FBS、1xB27、及び1xN2を入れた96ウェルプレートにプレーティングし(1ウェル当たりの細胞数は不明)、一晩インキュベートした。細胞を1nMのNoc/Aで24時間試験した。細胞を100μLのリシスバッファー中で20分間溶解させ、4000rpmで20分間遠心分離した。15μLの2xSDS試料バッファーを50μLの細胞溶解物に加え、95℃で5分間加熱した。1レーン当たり10μLのタンパク質試料を12% NuPageゲルにローディングし、実施例Iに記載した通りにウエスタンブロットアッセイを行った。全SNAP−25及び開裂したSNAP−25の評価は、クローン#3、#8、#15、及び#22は親細胞と少なくとも同程度のNoc/Aを取り込むことを示した。細胞を増やした後に完全用量反応処理及びECLサンドイッチELISAアッセイを用いた解析を行った。
3.再標的化エンドペプチダーゼ分子を用いたクローン細胞株の二次反応スクリーニング。
クローン細胞株由来の細胞が再標的化エンドペプチダーゼNoc/A活性に感受性であるかどうかを決定するために、エンドペプチダーゼ活性を決定する免疫を用いた方法による二次スクリーニングを行った。
クローニングしたこれらSK−N−DZ細胞株をさらに比較するために、ECLサンドイッチELISAアッセイを行った。5つのクローン(#3、#9、#15、#16、#22)及びSK−N−DZ親細胞を、RPMI1640、10% FBS、1xB27、及び1xN2培地(NGFを含まない)を入れた96ウェルポリ−D−リジンコーティングプレートに、1細胞株につき、1ウェル当たり25,000細胞を週末にかけてプレーティングした。細胞を0〜20nM(0、0.03、0.08、0.24、0.74、2.22、6.67、20nM)の用量のNoc/Aで24時間処理した。実施例Iに記載したように、開裂したSNAP−25197をECL ELISAアッセイを用いて定量した。
表13は、5つのクローン細胞株及び親細胞株のEC
50値及びシグナル対ノイズを示す。#3、#9、及び#15とした3つのクローンはより低いEC
50値(<1nM)を表し、クローン#16及び#22は親細胞株(〜2nM)と比較して同程度のEC
50値を表した。しかしながら、開裂したSNAP25からのシグナル総量はクローン#3、#22、及び親細胞においてより高かった。残りの細胞株と比較して、クローン#9、#16、及び#15はより低いシグナル総量を示した。
SK−N−DZクローンへのNoc/A処理の条件を最適化し、クローン#3、#15、及び#22、及び親異種SK−N−DZ細胞株を比較するアッセイを行った。表14は比較試験の結果を示し、アッセイの最適化がこのアッセイにおけるシグナル対ノイズを大きく改善したことを示した。クローン#3及び#22が非常に良い感受性及び効果を有したため、これらをさらなるアッセイの作成のために選択した。
実施例V 再標的化エンドペプチダーゼの取り込みに関する、クローン細胞株の解析及び比較
以下の実施例は、異種の細胞集団を含む確立された細胞株から、又は標的受容体のトランスフェクションと続く細胞株のクローニングから得られたクローン細胞株をどのように解析及び比較したかを説明する。
再標的化エンドペプチダーゼの取り込みにおける特異性又は選択性を評価するために、標的ドメインを欠損した再標的化エンドペプチダーゼを用いた非特異的取り込みアッセイを行った。オピオイド再標的化エンドペプチダーゼについては、AGN P33クローン#6細胞株(ORL−1受容体をコードしている発現コンストラクトで安定して形質転換された細胞を含む)及びSK−N−DZクローン細胞株#3及び#22(内因性ORL−1受容体を発現する細胞を含む)由来の細胞を、N2及びB27サプリメント、及びNGF(50ng/mL)を含むRPMI1640無血清培地を入れた96ウェルポリ−D−リジンコーティングプレートに1ウェル当たり150,000細胞個になるように播種し、化合物で処理する前に37℃の5% CO
2インキュベーター中で20±4時間インキュベートした。細胞を、同じ培地中で0〜20nM又は0〜40nMまでの範囲の8種類の用量のNoc/A、0〜400nM又は0〜40nMまでの範囲の8種類の用量のLH
N/Aで22時間処理した。サンドイッチELISAアッセイ用に培地を除去し、細胞を洗浄し、溶解し、残渣を除去するために遠心分離した。2E2A6モノクローナル抗体を用いてコーティングしたELISAプレートを、150μLブロッキングバッファー中、室温で1時間ブロッキングした。ブロッキングバッファーを除去した後、30μLの細胞溶解物をそれぞれのウェルに加え、プレートを4℃で2時間インキュベートした。PBS−Tを用いてプレートを3回洗浄し、PBS−T中の2% ブロッキング試薬に溶解した5μg/mL SULFO−TAG NHS−エステル標識検出α−SNAP25ポリクローナル抗体30μLをウェルの底部の隅に加えた。プレートを密閉し、室温で1時間振とうし、その後PBS−Tで3回洗浄した。洗浄が完了した後、1ウェル当たり150μLの1xリードバッファーを加え、SI6000 Image readerを用いてプレートを測定した。陰性対照であるLH
N/Aに対するNoc/Aの取り込みを比較した結果を表15及び表16に示した。Noc/Aの特異的な取り込みを示していることにより、これらの結果は、両方の細胞株においてNoc/A及びLH
N/Aの取り込みがよく分離したことを示す。
3つの細胞株の解析及び比較における結果を表17にまとめた。SK−N−DZクローン細胞株#3及び#22は、再標的化エンドペプチダーゼNoc/Aにおけるロバストアッセイを作成するための初期eDRGと同等の感受性、及び非常に良いシグナル対ノイズを有する。AGN P33クローン細胞株#6もまた、低い非特異的取り込み及び十分な感受性を有することから、非常に良い候補である。
再標的化エンドペプチダーゼ取り込みの感受性を評価するために、リガンド飽和結合アッセイを行った。大部分のリガンドの相互作用を、それらの結合部位を用いて結合親和性の観点から解析することができる(NIHアッセイの手引き)。通常、親和性の高い結合は親和性の低い結合よりも、リガンドのその受容体結合部位への長い滞留時間を含む。リガンド(L)(薬剤など)とタンパク質(P)との間の親和性、すなわち、リガンドがどの程度特定のタンパク質に強く結合するか、を記載するためには、解離定数が一般的に用いられる。平衡飽和結合実験は、様々な放射性リガンド濃度での、全及び非特異的結合(NSB)を測定する。平衡解離定数又は放射性リガンドへの親和性であるKd、及び受容体結合部位の最大数であるBmaxは、非線形回帰解析を用いた特異的結合(全−NSB)から算出することができる。特異的結合のKdは、下記の式で示した、一部位結合双曲線非線形回帰解析(すなわちGraph Pad Prism)を用いて算出することができる。式中、Bmaxは結合部位の最大数(pmol/mg、又はpmol/細胞、又は部位/細胞)、及びKd(nM、pM、など)は最大半量結合に達するために必要な放射性リガンドの濃度である。
オピオイド再標的化エンドペプチダーゼについては、AGN P33クローン#6細胞株(ORL−1受容体をコードしている発現コンストラクトで安定して形質転換された細胞を含む)、SK−N−DZ親細胞株、及びSK−N−DZクローン細胞株#3、#15、及び#22(内因性ORL−1受容体を発現する細胞を含む)由来の細胞を、1xN2及び1xB27サプリメントを含むRPMI1640無血清培地を入れた48ウェルポリ−D−リジンコーティングプレートに1ウェル当たり200,000細胞になるように播種し、37℃の5% CO2インキュベーター中で一晩インキュベートした。培地を除去し、全結合を評価するために使用するウェルには細胞と150μLのトリス結合バッファーを加え、非特異的結合を評価するために使用するウェルには100μLのトリス結合バッファーを加えた。約50μLの4x最終濃度の放射性標識していないノシセプチン(SK−N−DZ細胞株には2.5μM、及びAGN P33クローン細胞株#6には1μM)を非特異的結合ウェルに加え、及び50μLの4x最終濃度の3H−ノシセプチン(SK−N−DZ細胞株には0nM、0.05nM、0.1nM、0.2nM、0.4nM、0.8nM、1.6nM、3.1nM、6.3nM、12.5nM、25nM、及び50nM、及びAGN P33クローン細胞株#6には0、0.01nM、0.02nM、0.039nM、0.078nM、0.156nM、0.313nM、0.625nM、1.25nM、2.5nM、5.0nM、及び10nM)を全結合ウェル及び非特異的結合ウェルの両方に、最終容量が200μLになるように加えた。37℃で30分間インキュベートした後、0.5mLの放射性標識していない洗浄バッファーでウェルを2回洗浄した。その後細胞を200μLの2N NaOH中で変性し、5mLのシンチレーション溶液を入れた20mLのシンチレーションバイアルに移した。生データを用いて用量反応グラフをプロッティングし、それぞれの試料のKdを算出した。得られた生データをSigmaPlot v10.0に移し、リガンド結合の数式カテゴリ以下の用量反応曲線を定義するために一部位飽和フィットを用いた。R2(相関係数)、Bmax、及びKd±SE(係数±標準誤差)の指標を含む画像レポートを生成した。SK−N−DZクローン細胞株#3、#15、及び#22、並びにAGN P33クローン細胞株#6細胞について行ったアッセイから、全結合、特異的結合、及び非特異的結合の画像を得た。SK−N−DZクローン細胞株#3及び#22は、濃度依存的、及び飽和可能な3H−ノシセプチンの結合を表した。同じ実験条件下において、SK−N−DZクローン細胞株#15は3H−ノシセプチンの用量依存的な反応を表したが、最も高い50nMにおいても飽和しなかった。内因性ORL−1を発現しているSK−N−DZ細胞株と比較して、AGN P33クローン細胞株#6由来の細胞は、低い非特異性的結合を伴う、3H−ノシセプチンへの有意に高い親和性結合を示した(最大用量は10nM対SK−N−DZにおける50nM)。
異なる3日間に、1細胞株当たりに3回独立して行った結合実験のK
d及びBmax値を予測するために、SK−N−DZクローン細胞株#3、#22、#15及びAGN P33クローン細胞株#6の飽和結合曲線を用いた。これら4つの細胞株の順位は:AGN P33クローン細胞株#6(K
d=1.86nM及びBmax=2.9fmol/細胞)>SK−N−DZクローン細胞株#3(K
d=14nM及びBmax=0.6fmol/細胞)>SK−N−DZクローン細胞株#22(K
d=17nM及びBmax=0.6fmol/細胞)≫SK−N−DZクローン細胞株#15(K
d>50nM)である。SK−N−DZクローン細胞株#15の飽和用量反応を得るためには、必要とされるより高い用量範囲の
3H−ノシセプチンを用いた。安定な細胞株である3つのSK−N−DZクローン細胞株、#3、#15、及び#22、並びにAGN P33クローン細胞株#6における特異的な原形質膜ノシセプチン−結合部位の解析におけるデータを表16にまとめる。データは以下のことを示した:1)AGN P33クローン細胞株#6における、非常に低い非特異的結合を伴う高い親和性部位(K
d、1.8nM、及びBmax、2.9fmol/細胞);2)内因性受容体を発現しているSK−N−DZ天然細胞においてノシセプチン−結合が生じる可能性がある;3)AGN P33クローン細胞株#6はSK−N−DZ細胞株よりも約10倍高いノシセプチンへの親和性を有した;4)細胞を用いた効力アッセイにおいて見られるように、SK−N−DZクローン細胞株#3及び#22(K
d、14〜17nM、Bmax、0.6fmol/細胞)は1細胞当たりにSK−N−DZクローン細胞株#15よりも数多くの受容体部位を有した(同じ用量範囲では飽和しない)。
再標的化エンドペプチダーゼの取り込みの感受性を評価するために、発現した再標的化エンドペプチダーゼ受容体の量を、RT−PCRを用いてmRNAレベルで評価した。細胞において発現した受容体の量は試験に用いる細胞株の解析において重要な観点であり、再標的化エンドペプチダーゼの感受性に関係する。発現した再標的化エンドペプチダーゼ受容体の量は、その他の可能性のある細胞株のスクリーニングにおける、及び標的受容体を発現しない細胞株を除去するための道具にもまたなる。受容体発現を測定する1つの方法は、リアルタイムPCR(RT−PCR)を用いて再標的化エンドペプチダーゼ受容体mRNAの量を定量することである。
オピオイド再標的化エンドペプチダーゼについては、無血清培地又は血清を含む培地のいずれかで生育させたトランスフェクションしていない親SiMa細胞株由来の細胞、AGN P33クローン細胞株#6由来の細胞、親SK−N−DZ細胞株由来の細胞、及びSK−N−DZクローン細胞株#3及び#22由来の細胞からRNAを単離した。mRNAをcDNAに変換し、ORL−1を増幅させ、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、それぞれの細胞株中に存在する相対量を決定するためにリアルタイムを測定した。ORL−1用プライマー:フォワード5’−CACTCGGCTGGTGCTGGTGG−3’(配列番号148)及びリバース5’−AATGGCCACGGCAGTCTCGC−3’(配列番号149)。DNAを、反応液中に存在する二本鎖DNA(PCR産物)の量に比例して蛍光を発する、SYBR(登録商標)greenを用いて定量する。蛍光量対サイクル数をプロッティングすることにより、それぞれの反応のロジスティック曲線が得られる。曲線の直線位相により早く達する反応中には、より多くのORL−1受容体cDNAが存在する。異物の混入がないかどうかを決定するために、酵素を加えていない対照RT反応を用いる。この反応中にはRT酵素が含まれないため、cDNAは生産されない。RNA鋳型を用いてもPCR産物が生産されないが、−RT反応においてPCR曲線が見られる場合、唯一の可能性はゲノムDNAの混入である。−RT反応において、PCRプロットが見られない場合、最小限のゲノムDNAの混入しかないことが確認できる(データは示さない)。表18に細胞株とそのCT値を示す。CTはPCRのサイクル数であり、設定した閾値以上のシグナルを生じるPCR反応と対応する。対応するCT値を見ることにより、細胞株中のORL−1受容体mRNAの量を別のものと比較することができる。CT値によると、無血清培地(平均CT:28.6対17.3)及び血清を含む培地(平均CT:26.1対16.5)において、AGN P33クローン細胞株#6由来の細胞は親SiMa細胞株由来の細胞よりも非常に多いORL−1 mRNAを含んだ。また、AGN P33クローン細胞株#6の6回目の継代対16回目の継代由来の細胞から得られたmRNAにおいては最小限の差がみられるようだった。また、親SK−N−DZ細胞株対クローン細胞株#3及び#22のCT値及びプロットにおいても最小限の差が見られた。この結果は血清を含む培地及び無血清培地中で生育させた細胞において真実であり、及びNoc/Aにおける細胞を用いた効力アッセイで見られたこれら細胞株の類似性を反映している。
実施例VII BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基に自由なカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体の作成
以下の実施例は、BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合することができるα−SNAP−25モノクローナル抗体をどのように作成したかを説明する。
1.α−SNAP−25モノクローナル抗体の生成。
BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25に選択的に結合することができるモノクローナルα−SNAP−25抗体を作成するために、SNAP−25開裂産物抗原として13−残基のペプチドCDSNKTRIDEANQcooH(配列番号38)を設計した。このペプチドは、柔軟なリンカー領域、並びにKLH及びカルボキシル化C末端グルタミン(配列番号38)を有するヒトSNAP−25(配列番号5)の及びアミノ酸186〜197と結合するためのN末端システイン残基を含む。適切に選択した、エピトープ特異性の制御を提供する独特なペプチド配列に対するモノクローナル抗体の生成は、近縁のアイソフォームのプール間のタンパク質の同定の亜集団の特定を可能にする。Blast検索により、このペプチドがSNAP−25のみに対して高い相同性を有し、かつ、神経細胞におけるその他のいずれのタンパク質ともほとんど交差反応しないことが明らかになった。疎水性親水性指標、タンパク質表面確率、可撓性のある領域、及び好ましい二次構造、並びに続く特定の配向及び選択したペプチド配列の表出を決定するためのコンピューターアルゴリズムを用いて、配列をまた、注意深く精査した。ペプチドを合成し、免疫原性を高めるために、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合させた。6匹のBalb/cマウスをこのペプチドを用いて免疫し、約8週間における3回の免疫化の後、試験のためにマウスから採血した。血液を4℃で60分間インキュベートすることによって凝固させた。細胞残渣を沈殿させるために、凝血塊を10,000xg、4℃で10分間遠心分離した。得られた血清試料を50μLずつに分け、使用まで−20℃で保存した。
BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25に選択的に結合することができるα−SNAP−25モノクローナル抗体を作成するために、その他のSNAP−25抗原をもとに、本明細書において開示したものと類似の方法を用いることができる。例えば、配列番号45のSNAP−25抗原を配列番号38のSNAP−25抗原の代わりにKLHに結合させることができる。別の例としては、配列番号38のSNAP−25抗原由来のヒトSNAP−25の186〜197番目のアミノ酸を配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44で置換することができる。
2.α−SNAP−25モノクローナル抗体の存在のスクリーニング。
BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25モノクローナル抗体の存在を決定するために、抽出したマウス血清を用いて、比較ELISA及び細胞を用いた開裂アッセイを行った。比較ELISA用に、配列番号48のBirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25134-197、及び配列番号49のBirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25134-206の、2つの融合タンパク質を構築した。
BirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25134-197は、配列番号5の134〜197番目のアミノ酸を含むSNAP−25ペプチドにアミノ末端によって結合する、配列番号50の天然にビオチン化した16アミノ酸のBirAペプチドを含む。
BirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25134-206は、配列番号5の134〜206番目のアミノ酸を含むSNAP−25ペプチドにアミノ末端によって結合する、配列番号50の天然にビオチン化した16アミノ酸のBirAペプチドを含む。
10μg/mL濃度のBirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25134-197及びBirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25134-206のこれら2つの基質を1xPBS中に懸濁した。およそ100μLの適した基質溶液を添加し、プレートを室温で1時間インキュベートすることにより、BirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25134-197及びBirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25134-206を個別のプレート上にコーティングした。洗浄したプレートを、1:10〜1:100に希釈した免疫した6匹のマウス(マウス1、マウス2、マウス3、マウス4、マウス5、及びマウス6)のうちの1匹由来の抗体を含む血清を含む1xTBSに含まれる0.5% BSA中で37℃で1時間インキュベートした。一次抗体でプロービングしたプレートを、200μL TBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)中で4回、それぞれの回につき5分間洗浄した。洗浄したプレートを、1:10,000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼに結合したヤギポリクローナル抗マウスIgG抗体(Pierce Biotechnology、Rockford、IL)を二次抗体として含む1xTBS中、37℃で1時間インキュベートした。二次抗体をプロービングしたプレートを、200μL TBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)中で4回洗浄した。標識したSNAP−25産物の発色の検出をImmuno Pure TMB substrate kit(Pierce Biotechnology、Rockford、IL)を用いた発色の検出によって可視化した。BirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25134-197でコーティングしたプレートでは黄色の発色が見られ、BirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25134-206をコーティングしたプレートでは見られなかったことは、α−SNAP−25抗体が主にSNAP−25197開裂産物を認識することを意味した。結果は、免疫化に用いられた6匹のマウスのうち、3匹のマウス(マウス2、マウス3、及びマウス4)がより高い力価を有し、かつ、BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に対してより特異性が高いことを示した。
これらの結果をELISA軽鎖活性アッセイを用いて確認した。およそ100μLの以下の基質溶液を添加することにより、96ウェルReacti−Bindストレプトアビジンコーティングプレート(Pierce Biotechnology、Rockford、IL)を調製した。A〜C列を12種類の異なる濃度のBirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25134-197、100μLでコーティングした;D〜H列を、10μg/mLのBirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25134-206、100μLでコーティングした。基質溶液を吸引し、200μL TBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でそれぞれのウェルを3回リンスすることにより、プレートを洗浄した。BoNT/Aインキュベーションバッファー(50mM HEPES、pH7.4、1% ウシ胎仔血清、10μM ZnCl2、10mM ジチオトレイトール)中、37℃で20分間、BoNT/A希釈液を先に還元し、100μLの先に還元したBoNT/Aを基質コーティングプレート上に添加し、37℃で90分間インキュベートした。BoNT/Aインキュベーションバッファーを吸引し、200μL TBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でそれぞれのプレートを3回リンスすることにより、BoNT/Aで処理したプレートを洗浄した。洗浄したプレートを、1:10〜1:100に希釈した試験する抗体を含む血清を含む1xTBSに溶解した0.5% BSA中、37℃で1時間インキュベートした。一次抗体でプロービングしたプレートを200μL TBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)中で4回、それぞれの回につき5分間洗浄した。洗浄したプレートを、1:10,000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼに結合させたヤギポリクローナル抗マウスIgG抗体(Pierce Biotechnology、Rockford、IL)を二次抗体として含む1xTBS中、37℃で1時間インキュベートした。二次抗体でプロービングしたプレートを、200μL TBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)中で4回洗浄した。標識したSNAP−25産物の発色の検出は、Immuno Pure TMB substrate kit(Pierce Biotechnology、Rockford、IL)を用いた発色の検出の可視化によって行った。免疫化した全てのマウス(マウス1、マウス2、マウス3、マウス4、マウス5、及びマウス6)由来の抗体を含む血清を用いることにより、SNAP−25197開裂産物の存在に対応する黄色の発色がBoNT/Aで処理した試料においては見られたが、未処理の対照においては見られなかった。従って、比較ELISA解析は免疫化に用いたマウスのうち、3匹のマウス(マウス2、マウス3、及びマウス4)がより高い力価を有し、かつ、BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に対してより高い特異性を有することを示した。
細胞を用いた開裂アッセイ用に、好適な密度のPC12細胞を、3mLの適した血清培地(表1)を入れた60mm2の組織培養プレート中にプレーティングした。細胞を、細胞が適当な密度に達するまで、37℃のインキュベーター中、5% 二酸化炭素存在下で生育させた。室温で5分間インキュベートした15μLのLipofectAmine2000(Invitrogen Inc.、Carlsbad、CA)を含む250μLのOPTI−MEM血清使用量低減培地を、10μgのpQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現コンストラクト(配列番号51)を含む250μLのOPTI−MEM血清使用量低減培地に添加することにより、500μLのトランスフェクション溶液を調製した。pQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現コンストラクトは、そのプロモーターエレメントが、配列番号52のGFP−BoNT/A軽鎖をコードしているポリヌクレオチドに機能的に連結しているpQBI−25発現ベクター(Qbiogene Inc.、Carlsbad、CA)を含む。このトランスフェクション混合液を室温でおよそ20分間インキュベートした。培地を新しい添加していない培地で置換し、500μLのトランスフェクション溶液を細胞に添加した。細胞をその後、37℃のインキュベーター中、5% 二酸化炭素存在下でおよそ6〜18時間インキュベートした。実施例IIに記載したように、細胞を洗浄し、回収した。開裂したSNAP−25197産物の存在を検出するために、それぞれの回収した試料の一部を、1:1,000に希釈した抗体を含む血清を一次抗体として、及び1:20,000に希釈したマウスα−IgG西洋ワサビペルオキシダーゼ(Pierce Biotechnology、Rockford、IL)を二次抗体として使用した以外は実施例IIに記載したようにウエスタンブロットによって解析した。3匹のマウス(マウス2、マウス3、及びマウス4)由来の抗体を含む血清を用いた場合、BoNT/Aで処理した試料においては、SNAP−25197開裂産物に対応する単一のバンドが検出されたが、未処理の対照においては検出されなかった。従って、細胞を用いた開裂アッセイは、免疫化に用いたマウスのうち、3匹のマウス(マウス2、マウス3、及びマウス4)がより高い力価を有し、かつ、BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に対してより高い特性性を有することを示した。
3.ハイブリドーマの作出。
BoNT/A開裂部位切断可能結合のP
1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマを作出するために、最終的な「追加」免疫化の3日間後に、マウス2から脾臓を摘出し、標準的なハイブリドーマプロトコールを用いて、脾臓細胞を骨髄腫細胞P3−X63 Ag8.653と融合させた。これらの細胞を5つの96ウェルプレートにプレーティングし、HAT培地を用いて雑種を選別した。融合後8〜14日間以内に、BirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25
134-197及びBirA−His Tag(登録商標)−SNAP−25
134-206ペプチドでコーティングした2枚の個別のプレートを用いた比較ELISAにより、およそ480の親クローンの一次スクリーニングを行った。比較ELISAは、開裂したSNAP−25
197に特異的な抗体を生産するハイブリドーマを同定するための迅速なスクリーニングを提供した。上から18のクローンを、上述した細胞を用いた開裂アッセイ及びLC/Aをトランスフェクションした細胞の免疫染色を用いたさらなるスクリーニングに用いた(表20)。
クローン1D3、1G10、2E2、3C1、3C3、及び3E8によって生産された馴化培地がSNAP−25197開裂産物とSNAP−25206開裂していない基質との比197/206が少なくとも4:1である、好ましい結合特異性を有するα−SNAP−25抗体を含んだことから、クローン1D3、1G10、2E2、3C1、3C3、及び3E8を限界希釈法によってさらにクローニングし、細胞を用いた開裂アッセイ及びGFP−LC/Aを用いてトランスフェクションしたPC12細胞の免疫染色によってSNAP−25197開裂産物を検出した。同様に、クローン2C9、2F11、3G2、4D1及び4G6よって生産される馴化培地がSNAP−25206開裂していない基質とSNAP−25197開裂産物との比197/206が少なくとも1.5:1の好ましい結合特異性を有するα−SNAP−25抗体を含んだことから、クローン2C9、2F11、3G2、4D1及び4G6を限界希釈法によってさらにクローニングし、細胞を用いた開裂アッセイを用いてSNAP−25206開裂していない基質を検出した。比較ELISA、細胞を用いた開裂、及び、それらの親和性及び特異性を確認するための免疫染色を用いてこれら単一細胞由来のクローンを再度スクリーニングし、標準的な方法を用いて抗体のアイソタイプを分類した。クローン1D3B8(IgM.k)、1G10A12(lgG3.k)、2C9B10(lgG3.k)、2E2A6(lgG3.k)、2F11B6(IgM.k)、3C1A5(lgG2a.k)、及び3C3E2(lgG2a.k)から腹水を生産した。クローン3E8はクローニングの過程の最中に抗体生産を停止したため、それ以上評価することができなかった。
4.α−SNAP−25モノクローナル抗体の結合特異性の評価。
BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25モノクローナル抗体の結合特異性を評価するために、細胞を用いた活性アッセイ、免疫細胞化学及び免疫沈降によるSNAP−25開裂産物の検出において、クローン1D3B8、1G10A12、2C9B10、2E2A6、2F11B6、3C1A5、及び3C3E2由来の腹水を用いた。
細胞を用いた活性アッセイについては、ウエスタンブロット解析により、α−SNAP−25抗体を含む腹水の、開裂していないSNAP−25206基質及び開裂したSNAP−25197産物を検出する能力を解析することによって結合特異性を決定した。好適な密度のPC12細胞を、3mLの適した血清 培地を入れた60mm2組織培養プレート中にプレーティングし、細胞が適当な密度に達するまで37℃のインキュベーター中、5% 二酸化炭素存在下で生育させ、pQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現コンストラクト(トランスフェクションしていない細胞)を含まないトランスフェクション溶液又はpQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現コンストラクト(トランスフェクションした細胞)を含むトランスフェクション溶液のいずれかを用いて上述した通りにトランスフェクションした。実施例Iに記載したように細胞を洗浄し、回収した。開裂していないSNAP−25206基質及び開裂したSNAP−25197産物両方の存在を検出するために、それぞれの回収した試料の一部を、1:100に希釈したα−SNAP−25モノクローナル抗体を含む腹水を一次抗体として、及び1:20,000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼに結合したα−マウスIgG(Pierce Biotechnology、Rockford、IL)を二次抗体として使用した以外は実施例Iに記載したようにウエスタンブロットによって解析した。加えて、3種類の市販されているマウスα−SNAP−25モノクローナル抗体を試験した。製造業者によると開裂していないSNAP−25206基質及び開裂したSNAP−25197産物の両方を検出する、α−SNAP−25抗体であるSMI−81(Sternberger Monoclonals Inc.、Lutherville、MD)を、製造業者の推奨に従って15,000倍希釈で使用した。製造業者によると開裂していないSNAP−25206基質及び開裂したSNAP−25197産物の両方を検出するα−SNAP−25抗体であるMC−6050(Research&Diagnostic Antibodies、Las Vegas、NV)を、製造業者の推奨に従って1:100希釈で使用した。製造業者によると開裂したSNAP−25197産物のみを検出するα−SNAP−25抗体であるMC−6053(Research&Diagnostic Antibodies、Las Vegas、NV)を、製造業者の推奨に従って1:100希釈で使用した。
表21は、SNAP−25197開裂産物のみを検出したα−SNAP−25抗体を含む腹水を示す。細胞を用いた開裂アッセイは、クローン1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5、及び3C3E2から生産された腹水がSNAP−25206開裂していない基質と比較した場合に、この開裂産物を選択的に認識することを可能にする、SNAP−25197開裂産物への高い結合特異性を有するα−SNAP−25モノクローナル抗体を合成することを示した。市販の抗体であるSMI−81はSNAP−25206開裂していない基質を検出したが、SNAP−25197開裂産物をわずかにしか認識しなかった(表21)。驚くことに、市販の抗体であるMC−6050はSNAP−25206開裂していない基質のみしか検出せず、SNAP−25197開裂産物を認識しなかった(表21)。さらに驚くことに、市販の抗体であるMC−6050はSNAP−25206開裂していない基質のみしか認識せず、この抗体がSNAP−25197開裂産物を選択的に検出するという製造業者による広告にも関わらず、SNAP−25−I97開裂産物を認識しなかった(表21)。従って、この解析は、1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5、及び3C3E2はSNAP−25197開裂産物への好適な選択性を示すが、1G10A12及び2F11B6はそうではないことを示す。加えて、市販の抗体であるSMI−81、MC−6050及びMC−6053の全てがSNAP−25197開裂産物の選択的な検出に失敗したことから、本明細書で開示した免疫を用いた方法には適さない。
免疫細胞化学解析については、α−SNAP−25抗体を含む腹水の、開裂していないSNAP−25206基質及び開裂したSNAP−25−I97産物を検出する能力を免疫染色によって解析することにより、結合特異性を決定した。例えば、Ester Fernandez−Salas et al.、Plasma Membrane Localization Signals in the Light Chain of Botulinum Neurotoxin、Proc.Natl.Acad.ScL、U.S.A.101(9):3208−3213(2004)を参照のこと。好適な密度のPC12細胞をプレーティングし、生育させ、pQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現コンストラクトを含まないトランスフェクション溶液(トランスフェクションしていない細胞)又はpQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現コンストラクトを含むトランスフェクション溶液(トランスフェクションした細胞)のいずれかを用いて、上述したようにトランスフェクションした。1xPBS中で細胞を洗浄し、5mLのPAF中、室温で30分間固定した。固定した細胞をリン酸緩衝生理食塩水中で洗浄し、5mLの1xPBSに溶解した0.5% Triton(登録商標)X−100(ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル)中でインキュベートし、1xPBSで洗浄し、5mLのメタノール中、−20℃で6分間透過処理を行った。透過処理を行った細胞を5mLの100mM グリシン中、室温で30分間ブロッキングし、1xPBS中で洗浄し、1xPBSに溶解した5mLの0.5% BSA中、室温で30分間ブロッキングした。ブロッキングした細胞を1xPBS中で洗浄し、1:10に希釈した試験するクローンハイブリドーマ細胞株由来の腹水を含む1xPBSに溶解した0.5% BSA中、室温で2時間インキュベートした。一次抗体でプロービングした細胞を1xPBS中で3回、それぞれの回につき5分間洗浄した。洗浄した細胞を1:200希釈したALEXA(登録商標)FLUOR 568に結合したヤギポリクローナル抗マウス免疫グロブリンG、重鎖及び軽鎖(IgG、H+L)抗体(Invitrogen Inc.、Carlsbad、CA)を二次抗体として含む1xPBS中、室温で2時間インキュベートした。二次抗体でプロービングした細胞を1xPBS中で3回、それぞれの回につき5分間洗浄した。VECTASHIELD(登録商標)封入培地(Vector Laboratories、Burlingame、CA)にマウントし、カバーグラスを乗せることにより、顕微鏡実験用に洗浄した細胞を調製した。適したレーザーの設定を用いたLeica共焦点顕微鏡により、シグナル検出画像を得た。表21は、SNAP−25197−開裂産物を特異的に検出したα−SNAP−25抗体を含む腹水を示す。免疫細胞化学解析は、クローン1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5、及び3C3E2由来の腹水は、SNAP−25206開裂していない基質と比較した場合に、この開裂産物を主に認識することを可能にする、SNAP−25197開裂産物に対して高い結合特異性を有するα−SNAP−25モノクローナル抗体を合成することを示した。
免疫沈降解析については、精製されたα−SNAP−25モノクローナル抗体であるプロテインA(HiTrap(商標)プロテインA HP Columns、GE Healthcare、Amersham、Piscataway、NJ)の、開裂していないSNAP−25
206基質及び開裂したSNAP−25−
I97産物を沈殿させる能力を解析することにより、結合特異性を決定した。例えば、Chapter 8 Storing and Purifying Antibodies、pp.309−311、Harlow&Lane、前記、1998aを参照のこと。好適な密度のPC12細胞をプレーティングし、生育させ、pQBI−25/GFP発現コンストラクトを含むトランスフェクション溶液(対照細胞;配列番号53)又はpQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現コンストラクトを含むトランスフェクション溶液(実験細胞)のいずれかを用いて、上述したようにトランスフェクションした。pQBI−25/GFP発現コンストラクトは、そのプロモーターエレメントが配列番号54のGFPをコードしているポリヌクレオチドに機能的に連結している発現ベクターを含む。一晩インキュベートした後、成長培地を吸引し、200μLの1xPBSを用いてそれぞれのウェルをリンスすることによって細胞を洗浄した。細胞を回収するために、PBSを吸引し、50mM HEPES、150mM NaCl、1.5mM MgCl
2、1mM EGDT、10% グリセロール、1% Triton(登録商標)X−100(ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル)及び1xCOMPLETE(商標)プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Applied Biosciences、Indianapolis、IN)を含む免疫沈降リシスバッファーを添加し、4℃で一時間インキュベートすることによって細胞を溶解した。細胞残渣を除去するために、溶解した細胞を3,000xg、4℃で10分間遠心分離し、上清を清潔なチューブに移し、タンパク質濃度がおよそ1mg/mLになるように希釈した。およそ5μgの精製したモノクローナル抗体を0.5mLの希釈した上清に添加し、4℃で2時間インキュベートした。一次抗体をインキュベートした後、およそ50μLの固定化プロテインG(Pierce Biotechnology、Rockford、IL)を希釈した上清に添加し、4℃で1時間インキュベートした。0.5mLの免疫沈降リシスバッファーを添加し、タンパク質Gを沈殿させるために300xg、4℃で1分間遠心分離し、上清を移すことにより、インキュベートした上清を3回、それぞれの回につき30分間洗浄した。洗浄した後、沈殿物を30μLの1xSDSローディングバッファー中に再懸濁し、試料を95℃まで5分間加熱した。開裂していないSNAP−25
206基質及び開裂したSNAP−25
197産物の両方の存在を検出するために、それぞれの回収した試料の一部を、1:1,000に希釈したα−SNAP−25ポリクローナル抗体血清(実施例Vを参照)を一次抗体として用い、1:20,000に希釈したウサギα−IgG西洋ワサビペルオキシダーゼ(Pierce Biotechnology、Rockford、IL)を二次抗体として用いた以外は実施例Iに記載したように、ウエスタンブロットによって解析した。表21は免疫沈降解析によってSNAP−25
197−開裂産物を特異的に沈降させたα−SNAP−25抗体を含む腹水を示す。免疫沈降解析は、クローン2E2A6及び3C1A5由来の腹水が、SNAP−25
206開裂していない基質と比較した場合にこの開裂産物を主に認識することを可能にする、SNAP−25
197開裂産物への高い結合特異性を有するα−SNAP−25モノクローナル抗体を合成することを示した。
5.α−SNAP−25モノクローナル抗体の結合親和性の評価。
SNAP−25197開裂産物又はSNAP−25206開裂していない基質のいずれかに対して高い結合特異性を示すα−SNAP−25モノクローナル抗体の結合親和性を決定するために、結合親和性アッセイを、カルボキシメチルデキストラン(CM5)センサーチップ(BIAcore、Inc.、Piscataway、NJ)を用いたBIACORE 3000装置上で行った。解析は、10mM HEPES(pH7.4)、150mM 塩化ナトリウム、3mM EDTA、0.005%(v/v)界面活性剤P20を含むHBS−EP緩衝液を用い、25℃、流速10μL/分で行った。標準的なアミンカップリングを用い、CM5センサーチップの表面に配列番号5のアミノ酸134〜197(SNAP−25134-197)又は配列番号5のアミノ酸134〜206(SNAP−25134-206)を含むSNAP−25ペプチドを共有結合させた。簡潔に説明すると、0.2M 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド及び0.05M N−ヒドロキシコハク酸イミドの混合液を7分間注入することによってCM5チップを活性化し;その後SNAP−25ペプチドを、20分かけて流速10μL/分で10mM 酢酸ナトリウム(pH4.0)中に注入し;そして1M エタノールアミン塩酸塩、pH8.5を7分間注入することにより反応していないコハク酸イミドエステルをブロッキングした。チップ上の固定化量のSNAP−25134-197又はSNAP−25134-206は、反応単位で100〜150の上昇(約0.10〜0.15ng/mm2)を反映した。結合時間を10分、解離時間を20分として、クローン1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5、及び3C3E2から生産した腹水又は精製したモノクローナル抗体を含む抗体試料、並びに市販されているα−SNAP−25抗体のいずれかをCM5チップの表面に流した。10mM グリシン−HCl(pH2.5)を流速15μL/分で1分間注入することにより、解析間で表面を再生した。センサーグラム曲線を、BIAevaluation 3.0ソフトウェアを用いて1:1の動的結合モデルにフィッティングさせた。
結果は、2E2A6及び3C1A5の両方が、SNAP−25開裂していない基質よりも開裂したSNAP−25
197産物に高い特異性を有することを示す(表22)。MC−6050及びMC−6053の結合親和性と比較した場合、これら市販の抗体と比べ、1D3B6はおよそ10倍高いSNAP−25開裂産物に対する平衡解離定数を有した(表22)。興味深いことに、これら市販の抗体と比べて、2E2A6はわずかに低いSNAP−25開裂産物対する平衡解離定数のみを有した(0.405nM対0.497及び0.508)(表22)。これら市販のα−SNAP−25抗体はいずれもSNAP−25開裂産物を選択的に認識せず(表21)、それら選択性の達成に部分的には問題のある、0.5nMよりも低い平衡解離定数を示した。同様に、MC−6050及びMC−6053の結合親和性と比較した場合、2E2A6は少なくとも約1倍遅いオフレート/解離定数(6.74x10
-5対8.82x10
-4s
-1及び1.18x10
-3s
-1)(表22)を有した。このことはさらに、SNAP−25開裂産物に対する選択的な結合を達成するには部分的に問題のある、約8.82x10
-4よりも低いオフレート/解離定数を示すことを示唆する。この結果は、5.78x10
-5s
-1のオフレート/解離定数を有した1D3B8の結果と一致する(表22)。
6つの異なる抗体を比較するために、BIA evaluation 4.1ソフトウェアからのプログラムを用いて、それぞれのオンレート(ka)及びオフレート(kd)を標準化した。オンレートの比較用に、まず最初に再生部分及び注入によるスパイク状のノイズを除去することによってデータを個々にトリミングし、その後0〜100スケールに標準化した。オフレートの比較については、注入のストップ/トップポイントまでデータを標準化した。この解析は、2C9B10がその他の抗体よりもかなり遅いオンレートを有し(図7A)、MC−6053がその他の抗体よりかなり早いオフレート(解離)を有したことを示した(図7B)。MC−6053の早いオフレートは、洗浄の工程においてこの抗体が基質抗原への結合を維持することが難しいため、この抗体が本明細書において開示した方法においてはうまく機能しないことを示す。
6.単離したα−SNAP−25モノクローナル抗体のエピトープのシークエンシング。
BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができる単離したα−SNAP−25モノクローナル抗体のエピトープを決定するために、ハイブリドーマ1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5及び3C3E2由来のα−SNAP−25モノクローナル抗体の可変重(VH)及び可変軽(VL)鎖をコードしているポリヌクレオチド分子のシークエンシングを行った。標準的なプロトコールを用いてそれぞれのハイブリドーマからmRNAを抽出、精製し、オリゴdT抗センスプライマー又は遺伝子特異的(マウスIgG1 CH及びカッパCL)抗センスプライマーのいずれかを用いてcDNAへと逆転写した。抗体のアイソタイプを決定するために、cDNA生産後、マウス及びヒト定常ドメイン特異的プライマーを用いてPCRによってcDNAを増幅した。cDNAからの可変ドメインを増幅するために、VH及びVL縮重プライマーを用いた。5’RACE用に、ホモポリマーdCTPテイルをcDNAの3’末端に付加した。その後、オリゴdGセンスプライマー及び遺伝子特異的(CH/KC)抗センスプライマーを用いて重鎖及び軽鎖を増幅した。シグナルペプチド、可変ドメイン及び定常ドメインの配列に含まれるPCR産物は抗センスプライマー次第であった。小断片を除去するためにPCR産物をゲルを用いて精製しそしてシークエンシング用に平滑又はTAベクターにクローニングした。それぞれの鎖につき、5つの個別のクローンをシークエンシンし、VH鎖及びVL鎖及びコンセンサス配列のアライメントを作成した。VH及びVLアミノ酸配列を決定する方法は、引用することによりそのそれぞれの全文が本明細書に組み入れられる、例えば、Roger A. Sabbadini, et al., Novel Bioactive Lipid Derivatives and Methods of Making and Using Same,米国特許第2007/0281320号;及びPeter Amersdorfer, et al., Molecular Characterization of Murine Humoral Immune Response to Botulinum Neurotoxin Type A Binding Domain as Assessed by Using Phage Antibody Libraries, 65(9) Infect. Immun. 3743−3752,に記載される。加えて、抗体の可変重(VH)鎖及び可変軽(VL)鎖をシークエンシング、及びCDR領域を同定する、市販のサービスもまた使用できる。例えば、Fusion Antibodies Ltd.、Northern Irelandを参照のこと。一例として、3C1A5 VL領域を、アフィニティ精製した抗体を高分解能2DE電気泳動により分離し、その後タンパク質をタンパク消化した後に高分解能nanoLC−MSMSを用いたペプチド断片化フィンガープリント解析にかけることによってアミノ酸配列を決定した。
本明細書において開示したハイブリドーマから生産したα−SNAP−25モノクローナル抗体のV
H鎖及びV
L鎖を含むポリヌクレオチド配列は以下の通りである:1D3B8 V
H(配列番号71)、2C9B10 V
H(配列番号73)、2E2A6 V
H(配列番号75)、3C1A5 V
H(配列番号77)、3C3E2 V
H変異体1(配列番号79)、3C3E2 V
H変異体2(配列番号81)、3C3E2 V
H変異体3(配列番号132)、1D3B8 V
L(配列番号83)、2C9B10 V
L(配列番号85)、2E2A6 V
L(配列番号87)、3C1A5 V
L(配列番号89)、及び3C3E2 V
L(配列番号91)。本明細書において開示したハイブリドーマから生産したα−SNAP−25モノクローナル抗体のV
H鎖及びV
L鎖を含むアミノ酸配列は以下の通りである:1D3B8 V
H(配列番号72)、2C9B10 V
H(配列番号74)、2E2A6 V
H(配列番号76)、3C1A5 V
H(配列番号78)、3C3E2 V
H変異体1(配列番号80)、3C3E2 V
H変異体2(配列番号82);3C3E2 V
H変異体2(配列番号133)、1D3B8 V
L(配列番号84)、2C9B10 V
L(配列番号86)、2E2A6 V
L(配列番号88)、3C1A5 V
L(配列番号90)、及び3C3E2 V
L(配列番号92)。ハイブリドーマ1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5、及び3C3E2から生産したα−SNAP−25モノクローナル抗体のV
H及びV
L CDRドメインを含むアミノ酸配列を表23に示す。
本明細書において開示したハイブリドーマから生産したα−SNAP−25モノクローナル抗体のVH CDRドメイン変異体を含むアミノ酸配列の非限定的な例としては、1D3B8のVH CDR1変異体、配列番号118;2C9B10、2E2A6及び3C1A5 VHのVH CDR1変異体、配列番号119;3C1A5 VH及び3C3E2変異体3のVH CDR1変異体、配列番号120;1D3B8及び2E2A6のVH CDR2変異体、配列番号121;2C9B10及び3C1A5 VHのVH CDR2変異体、配列番号122;3C1A5 VH及び3C3E2変異体3のVH CDR2変異体、配列番号123;1D3B8及び2C9B10のVH CDR3変異体MDY;2E2A6及び3C1A5 VHのVH CDR3変異体MGY;及び3C1A5 VH及び3C3E2変異体3のVH CDR3変異体、配列番号124が挙げられる。本明細書において開示したハイブリドーマから生産したα−SNAP−25モノクローナル抗体のVL CDRドメイン変異体を含むアミノ酸配列の非限定的な例としては、1D3B8のVL CDR1変異体、配列番号125;2C9B10のVL CDR1変異体、配列番号126;2E2A6のVL CDR1変異体、配列番号127;3C1A5のVL CDR1変異体、配列番号128;3C3E2のVL CDR1変異体、配列番号129;1D3B8のVL CDR2変異体KVS;2C9B10のVL CDR2変異体NAK;2E2A6のVL CDR2変異体LVS;3C1A5のVL CDR2変異体YAT;及び3C3E2のVL CDR2変異体YASが挙げられる。
実施例VIII
BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基に自由なカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体の作成。
以下の実施例は、BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合することができるα−SNAP−25ポリクローナル抗体をどのように作成したかを説明する。
SNAP−25開裂産物のBoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を含むエピトープに結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体を作成するために、SNAP−25開裂産物抗原として10残基のペプチドCGGGRIDEANQ(配列番号46)を設計した。このペプチドは、KLHに結合するN末端システイン残基、ヒトSNAP−25の191〜197番目のアミノ酸(配列番号5)に連結したG−spacer flexible spacer(GGG)及びカルボキシル化C末端グルタミンを含む。Blast検索により、このペプチドがSNAP−25のみに対して高い相同性を有し、神経細胞におけるその他のタンパク質とはほぼ交差反応しないことが明らかになった。疎水性親水性指標、タンパク質表面確率、可撓性のある領域、及び好ましい二次構造、それに続く特定の配向、並びに選択したペプチド配列の表出を決定するために、コンピューターアルゴリズムを用いて、配列を注意深く精査した。免疫原性を高めるために、ペプチドを合成し、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合させた。動物を免疫する前に、細胞溶解物中に存在するタンパク質に対する免疫活性を有さない動物を同定するため、ウエスタンブロットにおいて候補細胞株由来の細胞溶解物に対してナイーブなウサギを最初にスクリーニングした。このペプチドを用いて、最初にスクリーニングを行った2匹のウサギを免疫し、約8週間中3回の免疫化の後に、試験のためにウサギから採血した。血液を凝固させるために、4℃で60分間インキュベートした。細胞残渣を沈殿させるために、凝血塊を10,000xg、4℃で10分間遠心分離した。得られた血清試料を50μLずつにわけ、使用まで−20℃で保存した。
SNAP−25開裂産物のBoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を含むエピトープに結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体を作成するために、本明細書において開示したその他のSNAP−25抗原に基づく同様の方法を用いる。例えば、配列番号47のSNAP−25抗原を、配列番号46のSNAP−25抗原の代わりにKLHに結合させることができる。別の例として、配列番号38のSNAP−25抗原由来のヒトSNAP−25の191〜197番目のアミノ酸を、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、又は配列番号44で置換することができる。
2.α−SNAP−25ポリクローナル抗体の存在のスクリーニング。
BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25ポリクローナル抗体の存在を決定するために、実施例IIIに記載したように、抽出したウサギ血清を用いた比較ELISA及び細胞を用いた開裂アッセイを行った。両方のウサギから得られた血清は、BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25ポリクローナル抗体を含んだ。α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗体をNTP22及びNTP23と表した。
3.α−SNAP−25ポリクローナル抗体の精製。
BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25ポリクローナル抗体を精製するために、ウサギ血清から得られたNTP22及びNTP23抗体を配列番号46のSNAP−25抗原を含むアフィニティ精製した。
4.α−SNAP−25ポリクローナル抗体の結合特異性の評価。
BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25ポリクローナル抗体の結合特異性を評価するために、精製したNTP22及びNTP23α−SNAP−25ポリクローナル抗体を、実施例IIIに記載したような開裂産物を検出するための細胞を用いた活性アッセイ、免疫細胞化学及び免疫沈降に用いた。細胞を用いた開裂アッセイ、免疫細胞化学解析及び免疫沈降解析の全ては、NTP22及びNTP23α−SNAP−25ポリクローナル抗体は開裂していないSNAP−25と交差反応しないことを示した。従って、NTP22及びNTP23両方は、SNAP−25206開裂していない基質と比較してこの開裂産物を主に認識することを可能にする、SNAP−25197開裂産物への高い結合特異性を有する。抗原に対する親和性は、実施例IIIに記載したように、SPRを用いてBiAcoreで決定することもできる。
実施例IX サンドイッチELISAのための要素及び条件の調整
以下の実施例は、BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25に特異的なα−SNAP−25モノクローナル抗体を用いたSNAP−25開裂産物の検出による、再標的化エンドペプチダーゼ活性の免疫を用いた検出法に有用なサンドイッチELISAの実施に必要な要素及び条件をどのように同定し、調製したかを説明する。
1.再標的化エンドペプチダーゼで処理した細胞からの細胞溶解物の調製
解析のための再標的化エンドペプチダーゼで処理した細胞溶解物を得るために、Neuro−2aのストック培養由来の好適な密度の細胞を最小必須培地、2mM GlutaMAX(商標)I with Earle’s salts、1xB27サプリメント、1xN2サプリメント、0.1mM 非必須アミノ酸、10mM HEPESを含む50mLの無血清培地を入れたT175フラスコに播種した。これらの細胞を、成長停止及び神経突起伸展などの標準的及び慣習的な形態学的な基準によって評価されるように細胞が分化するまで、37℃のインキュベーター中、5%二酸化炭素存在下でインキュベートした(およそ2〜3日間)。対照として、Neuro−2aのストック培養由来の好適な密度の細胞を、50mLの適切な成長培地(表1)を入れたT175フラスコに播種した。これら未分化対照細胞を、50%コンフルエンスに達するまで、37℃のインキュベーター中、5%二酸化炭素存在下で生育させた(およそ18時間)。分化した及び未分化対照培養両方からの培地をそれぞれのウェルから吸引し、0(未処理試料)又は10nMいずれかの再標的化エンドペプチダーゼを含む新しい培地で置換した。一晩インキュベートした後、細胞を洗浄し、新たに調製したTriton X−100リシスバッファー(50mM HEPES、150mM NaCl、1.5mM MgCl2、1mM EGTA、1% Triton X−100)中、4℃で30分間一定に振とうさせて溶解することにより、細胞を回収した。残渣を除去するために、卓上遠心分離機をもちいて溶解した細胞を4000rpmで、4℃で20分間遠心分離した。細胞溶解物のタンパク質濃度をブラッドフォードアッセイによって測定した。
2.サンドイッチELISAのための要素の調製及び同定。
適切な補足抗体−検出抗体対を同定するために、11の異なるα−SNAP−25補足抗体及び7の異なるα−SNAP−25検出抗体を含む(表12)、26種類の異なる補足及び検出抗体対の組み合わせについて、ECLサンドイッチELISA解析を行った。使用したα−SNAP−25抗体は、本明細書において開示した2E2A6及び3C1A5 α−SNAP−25マウスモノクローナル抗体、本明細書において開示したSMI−81、MC−6050、及びMC−6053 α−SNAP−25マウスモノクローナル抗体、本明細書において開示したNTP23 α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗体、S9684 α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗体(Sigma、St.Louis、MO)、H−50 α−SNAP−25 ウサギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology、Inc.、Santa Cruz、CA)、C−18 α−SNAP−25 ヤギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology、Inc.、Santa Cruz、CA)、N−19 α−SNAP−25 ヤギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology、Inc.、Santa Cruz、CA)、並びにSP12 α−SNAP−25 マウスポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology、Inc.、Santa Cruz、CA)である。
補足抗体溶液を調製するために、標準的なプロテインA精製プロトコールを用いて、ハイブリドーマ細胞株2E2A6及び3C1A5由来の腹水に含まれるα−SNAP−25モノクローナル抗体、並びにα−SNAP−25 MC−6050及びMC−6053モノクローナル抗体を精製した。その他の全てのα−SNAP−25抗体は、精製された抗体を購入した。
検出抗体溶液を調製するために、製造業者による説明書に従って(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)、適切なα−SNAP−25抗体をルテニウム(ll)−トリス−ビピリジン−(4−メチルスルホン酸)NHSエステル標識試薬(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)に結合させた。MSD SULFO−TAG(商標)ストック溶液を再構成した30μLの蒸留水を200μLの2mg/mLのα−SNAP−25ポリクローナル抗体に加え、反応液を室温で2時間、暗所にてインキュベートすることにより、結合反応を行った。標識した抗体を標準的なスピンカラムプロトコールを用いて精製し、タンパク質濃度を標準的な比色タンパク質アッセイによって決定した。1リットル当たりのモル濃度を決定するために、α−SNAP−25抗体/MSD SULFO−TAG(商標)結合体の吸光度を、分光光度計を用いて455nmで測定した。検出抗体溶液を使用まで4℃で保存した。
SNAP−25開裂産物に特異的な補足抗体を含む固相担体を調製するために、およそ5μLの適切なα−SNAP−25モノクローナル抗体溶液(1xPBS中に20μg/mL)を、96ウェルMSD High Bind プレートのそれぞれのウェルに添加し、溶液中の液体を蒸発させるために、生物学的に安全なキャビネット中で2〜3時間風乾させた。次に補足抗体が結合したウェルを、2% Amersham ブロッキング試薬(GE Life Sciences、Piscataway、NJ)及び10% ヤギ血清(VWR、West Chester、PA)を含む150μLのブロッキングバッファーを加え、室温で2時間ブロッキングした。ブロッキングしたプレートを密閉し、使用まで4℃で保存した。
開裂したSNAP−25産物の存在をECLサンドイッチELISAを用いて検出するために、保存したプレートのウェルからブロッキングバッファーを吸引し、上述したように再標的化エンドペプチダーゼで処理した細胞由来の溶解物25μLをそれぞれのウェルに加え、プレートを4℃で一晩インキュベートした。細胞溶解物を吸引し、200μL 1xPBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でそれぞれのウェルを3回リンスすることにより、プレートのウェルを洗浄した。洗浄した後、1xPBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)に溶解した2% Amershamブロッキング試薬を含む25μLの5μg/mLの検出抗体溶液をそれぞれのウェルに加え、プレートを密閉し、振とうさせながら、室温で1時間インキュベートした。検出抗体をインキュベートした後、200μL 1xPBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でウェルを3回洗浄した。洗浄した後、150μLの1xリードバッファー(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)をそれぞれのウェルに加え、SECTOR(商標)Imager 6000 Image Reader(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)を用いてプレートを測定した。それぞれの抗体対について10nM用量から得られたシグナルを、それぞれの抗体対の0nM用量から得られたシグナルで割ることにより、比を算出した(表24)。これらの結果は、試験した異なる26種類の抗体対の組み合わせのうち、対1(2E2A6マウスmAb及びS9684ウサギpAb)、対4(3C1A5マウスmAb及びS9684ウサギpAb)、及び対18(S9684ウサギpAb及び2E2A6マウスmAb)の3つの抗体対のみが、試験したより高い用量に対して10:1を超えるシグナル対ノイズ比を有したことを示した。さらなるアッセイの作成のために、抗体対1を選択した。
実施例X ECLサンドイッチELISAを用いた、BoNT/A軽鎖酵素活性を有する再標的化エンドペプチダーゼの免疫を用いた検出方法
以下の実施例は、ECLサンドイッチELISAによって、BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25開裂産物に特異的なα−SNAP−25モノクローナル抗体を利用したSNAP−25開裂産物の検出による、免疫を用いた再標的化エンドペプチダーゼ活性の検出方法を説明する。
BoNT/A軽鎖酵素活性を有する再標的化エンドペプチダーゼで処理した細胞からの溶解物を調製するために、確立された細胞株由来の好適な密度の細胞を、100μLの適切な培地を入れた96ウェル組織培養プレートのウェル中にプレーティングした。これらの細胞を、37℃のインキュベーター中、5%二酸化炭素存在下で約24時間インキュベートした。細胞の培地をそれぞれのウェルから吸引し、0(未処理試料)又は、その再標的化エンドペプチダーゼに対する用量反応実験から決定した用量のうちの1つのいずれかを含む新しい培地で置換した。24時間インキュベートした後、細胞を洗浄し、回収した。
α−SNAP−25補足抗体溶液を調製するために、標準的なプロテインA精製プロトコールを用いてハイブリドーマ細胞株2E2A6由来の腹水に含まれるα−SNAP−25モノクローナル抗体を精製した。α−SNAP−25検出抗体溶液を調製するために、製造業者による説明書に従って(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)、α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗体S9684(Sigma、St.Louis、MO)をルテニウム(ll)−トリス−ビピリジン−(4−メチルスルホン酸)NHSエステル標識試薬(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)に結合させた。結合反応、標識したα−SNAP−25抗体の精製、濃度の決定及び保存は、実施例VIに記載したように行った。
SNAP−25開裂産物に特異的な補足抗体を含む固相担体を調製するために、およそ5μLの適切なα−SNAP−25モノクローナル抗体2E2A6溶液(1xPBS中に20μg/mL)を、96ウェルMSD High Bind プレートのそれぞれのウェルに添加し、溶液中の液体を蒸発させるために、生物学的に安全なキャビネット中で2〜3時間風乾させた。次に補足抗体が結合したウェルをブロッキングし、再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出するために、直接使用した。
開裂したSNAP−25産物の存在をECLサンドイッチELISAを用いて検出するために、保存したプレートのウェルからブロッキングバッファーを吸引し、再標的化エンドペプチダーゼで処理した細胞由来の溶解物25μLをそれぞれのウェルに加え、プレートを4℃で一晩インキュベートした。細胞溶解物を吸引し、200μL 1xPBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でそれぞれのウェルを3回リンスすることにより、プレートウェルを洗浄した。洗浄した後、1xPBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)に溶解した2% Amershamブロッキング試薬を含む25μLの5μg/mLの検出抗体溶液をそれぞれのウェルに加え、プレートを密閉し、密閉したプレートを振とうさせながら、室温で1時間インキュベートした。検出抗体をインキュベートした後、200μL 1xPBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でウェルを3回洗浄した。洗浄した後、150μLの1xリードバッファー(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)をそれぞれのウェルに加え、SECTOR(商標)Imager 6000 Image Reader(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)を用いてプレートを測定した。回収したデータを解析し、実施例VIに記載したようにEC50を算出した。オピオイド再標的化エンドペプチダーゼについて、これらの結果は、下側の漸近線へのシグナル対ノイズ比が約15:1〜約20:1であり、かつ、上側の漸近線へのシグナル対ノイズ比が約180:1〜約300:1である、平均して1.0nMのNoc/A(約0.3nM〜約2.0nMの範囲)のEC50が検出されたことを示した。
実施例XI CLサンドイッチELISAを用いた、免疫を用いた再標的化エンドペプチダーゼ活性の検出方法
以下の実施例は、CLサンドイッチELISAより、BoNT/A開裂部位切断可能結合のP1残基にカルボキシル末端を有するSNAP−25に特異的なα−SNAP−25モノクローナル抗体を用いてSNAP−25開裂産物の検出することによる、免疫を用いた再標的化エンドペプチダーゼ活性の検出方法を説明する。
再標的化エンドペプチダーゼで処理した細胞からの溶解物及びα−SNAP−25補足抗体溶液は、実施例VIIに記載したように調製される。
α−SNAP−25検出抗体溶液を調製するために、製造業者による説明書に従って(Pierce Biotechnology、Inc.、Rockford、IL)、α−SNAP−25ポリクローナル抗体S9684(Sigma、St.Louis、MO)を西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合させる。500μLの1mg/mL α−SNAP−25ポリクローナル抗体を、凍結乾燥して活性化させたペルオキシダーゼ入れたバイアルに加え、成分を混合し、その後10μLのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えることによって結合反応を行う。この反応混合液をドラフト内、室温で1時間、インキュベートする。反応をクエンチした後、標準的なスピンカラムプロトコールを用いて標識した抗体を精製し、標準的な比色タンパク質アッセイによってタンパク質濃度を決定する。1リットル当たりのモル濃度を決定するために、α−SNAP−25ポリクローナル抗体/HRP結合体の吸光度を、分光光度計を用いて455nmで測定する。α−SNAP−25検出抗体溶液を使用まで4℃で保存する。
SNAP−25開裂産物に特異的なα−SNAP−25補足抗体を含む固相担体を調製するために、およそ100μLのα−SNAP−25モノクローナル抗体2E2A6溶液(1xPBS中に1mg/mL)を、96ウェル Greiner white プレートのそれぞれのウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートし、その後いくらかでも過剰な抗体溶液を捨てる。次に補足抗体が結合したウェルを、2% Amersham ブロッキング試薬(GE Life Sciences、Piscataway、NJ)及び10% ヤギ血清(VWR、WestChester、PA)を含む150μLのブロッキングバッファーを加え、室温で1時間ブロッキングする。ブロッキングバッファーを捨て、ペーパータオル上で、反転させ、余分な液体をはじいて除去することでプレートを拭いて乾燥させる。補足抗体が結合したウェルをその後ブロッキングし、直接再標的化エンドペプチダーゼ活性の検出に用いる。
開裂したSNAP−25産物の存在をCLサンドイッチELISAを用いて検出するために、再標的化エンドペプチダーゼで処理した細胞由来の溶解物50μLをそれぞれのウェルに加え、プレートを密閉し、密閉したプレートを500rpmで回転させながら、4℃で2〜4時間から一晩インキュベートする。細胞溶解物を吸引し、200μL 1xPBS、0.05% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でそれぞれのウェルを3回リンスすることにより、プレートウェルを洗う。洗浄した後、1xPBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)に溶解した2% Amersham ブロッキング試薬を含む100μLの1mg/mL α−SNAP−25ポリクローナル抗体/HRP検出抗体溶液をそれぞれのウェルに加え、プレートを密閉し、密閉したプレートを650rpmで回転させながら、室温で1時間インキュベートする。検出抗体をインキュベートした後、200μL 1xPBS、0.05% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でウェルを3回洗う。洗浄した後、100μLのSuper Signal ELISA Pico 1:1 mixture(Pierce Biotechnology、Inc.、Rockford、IL)をそれぞれのウェルに加え、照度計(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いて395nmで、プレートを測定する。回収したデータを、実施例VIに記載したように解析し、EC50を算出する。
実施例XII 複合体ECLサンドイッチELISAを用いた、免疫を用いた再標的化エンドペプチダーゼ活性の検出方法
以下の実施例は、SNAP−25開裂産物に特異的なα−SNAP−25モノクローナル抗体及び異なるタンパク質に対する二次抗体対を用いてSNAP−25開裂産物を検出することによる、免疫を用いた再標的化エンドペプチダーゼ活性の検出方法を説明する。
再標的化エンドペプチダーゼ効力アッセイは、多重ECLサンドイッチELISAを用いて行うことができる。それらのアッセイは、関連特許出願であり、引用することによりその全文が本明細書に組み入れられる、Ester Fernandez−Salas、et al.、Immuno−Based Botulinum Toxin Serotype A Activity Assays、米国特許出願第12/403,531号に記載され、、本明細書において開示した細胞株及び再標的化エンドペプチダーゼ並びに対応する細胞株を使用して、この方法を用いることができる。
実施例XIII 多重ECLサンドイッチELISAを用いた、免疫を用いた再標的化エンドペプチダーゼ活性の検出方法
以下の実施例は、SNAP−25開裂産物に特異的なα−SNAP−25モノクローナル抗体及び異なるタンパク質に対する二次抗体対を用いてSNAP−25開裂産物を検出することによる、複合体免疫を用いた再標的化エンドペプチダーゼ活性の検出方法を説明する。
再標的化エンドペプチダーゼ効力アッセイは、多重ECLサンドイッチELISAを用いて行うことができる。それらのアッセイは、関連特許出願であり、引用することによりその全文が本明細書に組み入れられる、Ester Fernandez−Salas、et al.、Immuno−Based Botulinum Toxin Serotype A Activity Assays、米国特許出願第12/403,531号に記載され、、本明細書において開示した細胞株及び再標的化エンドペプチダーゼ並びに対応する細胞株を使用して、この方法を用いることができる。
実施例XIV ナノモル量の再標的化エンドペプチダーゼを検出するための、免疫を用いた方法
以下の実施例は、ナノモル量の再標的化エンドペプチダーゼ活性の免疫を用いた検出方法をどのように行ったかを説明する。
1.ECLサンドイッチELISAによる、免疫を用いた再標的化エンドペプチダーゼの検出方法。
再標的化エンドペプチダーゼで処理した細胞由来の溶解物を調製するために、アッセイにおいて安定な、確立された細胞株由来のおよそ50,000〜150,000の細胞を、100μLの適切な培地(実施例I及びII参照)を入れた96ウェル組織培養ポリ−D−リジンプレートのウェル中にプレーティングした。これらの細胞を37℃のインキュベーター中、5%二酸化炭素存在下で24時間インキュベートした。細胞由来の培地をそれぞれのウェルから吸引し、0(未処理試料)及び、この方法におけるそれぞれの再標的化エンドペプチダーゼにおいて記載された適切な用量反応のいずれかの再標的化エンドペプチダーゼを含む新しい培地で置換した。24時間インキュベートした後、細胞を洗浄し、回収し、又は回収の前に再標的化エンドペプチダーゼを加えずにさらに2日間インキュベートした。細胞を回収するために、培地を吸引し、1xPBSで洗浄し、50mM HEPES、150mM NaCl、1.5mM MgCl2、1mM EGTA、1% TritonX−100を含む30μLのリシスバッファーをそれぞれのウェルに加えることで細胞を溶解し、プレートを500rpmで回転している振とう機上、4℃で30分間インキュベートした。細胞残渣を沈殿させるためにプレートを4000rpmで20分間4℃で遠心分離し、検出工程を行うために、上清を補足抗体をコーティングした96ウェルプレートに移した。
α−SNAP−25補足抗体溶液、α−SNAP−25検出抗体溶液、及びSNAP−25開裂産物に特異的な補足抗体を含む固相担体を実施例VIIに記載したように調製した。
ECLサンドイッチELISA解析によって開裂したSNAP−25産物の存在を検出するために、保存していたプレートからブロッキングバッファーを吸引し、再標的化エンドペプチダーゼで処理した細胞由来の溶解物25−30μLをそれぞれのウェルに加え、プレートを4℃で2時間、又は24時間インキュベートした。細胞溶解物を吸引し、200μL 1xPBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でそれぞれのウェルを3回リンスすることにより、プレートウェルを洗浄した。洗浄した後、1xPBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)に溶解した2% Amershamブロッキング試薬を含む25μLの5μg/mL α−SNAP−25検出抗体溶液をそれぞれのウェルに加え、プレートを密閉しそして密閉したプレートを振とうさせながら、室温で1時間インキュベートした。α−SNAP−25検出抗体をインキュベートした後、200μL 1xPBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でウェルを3回洗浄した。洗浄した後、プレートを処理し、回収したデータを、実施例VIに記載したように解析し、EC50を算出した。これらの結果は、SK−N−DZクローン細胞株#3細胞を用いた場合には、上側の漸近線へのシグナル対ノイズ比が約20:1〜約300:1である、平均して1.0nM(約0.3nM〜約2.0nMの範囲)のNoc/AのEC50が検出されたことを示した。さらに、AGN P33クローン細胞株#6細胞を用いた場合には、上側の漸近線へのシグナル対ノイズ比が約20:1〜約500:1である、平均して3.7nM(約2.0nM〜約5.5nMの範囲)のNoc/AのEC50が検出された。ダイノルフィンAリガンドを含む再標的化エンドペプチダーゼに特異的なSK12細胞については、SK12細胞を用いて、上側の漸近線へのシグナル対ノイズ比が約10:1〜約20:1である、平均8.4nM(約4.5nM〜約10.0nMの範囲)のDyn/AのEC50が検出された。加えて、Neuro−2aクローン細胞株#7細胞を用いた場合には、上側の漸近線へのシグナル対ノイズ比が約20:1〜約200:1である、平均8.8nM(約5.0nM〜約15.5nMの範囲)のTVEMP−ガラニンのEC50が検出された。この方法は、実施例IXに記載したような複合体を用いる方法においてもまた行うことができる。
2.ECLサンドイッチELISAを用いた、免疫を用いた再標的化エンドペプチダーゼの検出方法
再標的化エンドペプチダーゼで処理した細胞からの溶解物及びα−SNAP−25補足抗体溶液は、実施例VIIに記載したように調製される。α−SNAP−25検出抗体溶液及びSNAP−25開裂産物に特異的な補足抗体を含む固相担体は、実施例VIIIに記載したように調製される。
ECLサンドイッチELISA解析を用いて開裂したSNAP−25産物の存在を検出するために、再標的化エンドペプチダーゼで処理した細胞由来の溶解物100μLをそれぞれのウェルに加え、プレートを密閉し、密閉したプレートを500rpmで回転している振とう機上、4℃で2時間、又は24時間インキュベートする。細胞溶解物を吸引し、200μL 1xPBS、0.05% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でそれぞれのウェルを3回リンスすることにより、プレートウェルを洗う。洗浄した後、1xPBS、0.1% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)に溶解した2% Amersham ブロッキング試薬を含む100μLの1mg/mL α−SNAP−25ポリクローナル抗体/HRP検出抗体溶液をそれぞれのウェルに加え、プレートを密閉し、密閉したプレートを650rpmで回転している振とう機上、室温で1時間インキュベートする。検出抗体をインキュベートした後、200μL 1xPBS、0.05% TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸モノエステル)でウェルを3回洗う。洗浄した後、100μLのSuper Signal ELISA Pico 1:1 mixture(Pierce Biotechnology、Inc.、Rockford、IL)をそれぞれのウェルに加え、照度計(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いて395nmで、プレートを測定する。回収したデータを、実施例VIに記載したように解析し、EC50を算出する。この方法は、実施例 IX に記載したような複合体を用いる方法においてもまた行うことができる。
実施例XV 中和α再標的化エンドペプチダーゼ抗体を検出するための、免疫を用いた方法
以下の実施例は、中和α−Noc/A抗体の存在を検出することができる免疫を用いた方法を、どのように実施したかを説明する。
Noc/Aをここまで、しばしば慢性である、疼痛状態の治療のために評価してきた。Noc/Aをによる治療を繰り返して長期間行うことにより患者においては、免疫抵抗を引き起こす、再標的化エンドペプチダーゼへの中和α−Noc/A抗体が発現する可能性がある。中和α−Noc/A抗体は、標的リガンド及び/又は再標的化エンドペプチダーゼの転位ドメイン(HN)に結合することにより、神経細胞及びその他の標的細胞への再標的化エンドペプチダーゼの取り込みを停止することによって再標的化エンドペプチダーゼ活性を阻害する。患者の血液中における中和α−Noc/A抗体の存在を決定する確立されたアッセイはない。再標的化エンドペプチダーゼで治療した患者における中和抗体を検出するための細胞を用いたアッセイが作成されたとしても、それはより高価で時間のかかるものとなるだろう。
中和α−Noc/A抗体の存在又は欠如を検出するためには、本明細書において開示した、再標的化エンドペプチダーゼ活性を検出する免疫を用いた方法を用いることができる。様々な濃度のNoc/Aで処理した後のSNAP−25開裂産物の存在量を決定するための一つの方法はウエスタンブロット検出法の使用であり、その他の方法はECLサンドイッチELISA検出法を用いることである。
中和α−Noc/A抗体を含む試料を調製するために、Noc/Aを用いて免疫したサルの血液から血清を単離し、抗体をアフィニティ精製した。Noc/A分子に存在する標的リガンドであるノシセプチン変異体ペプチドを用いてウサギをまた免役し、その血清を回収し、抗体をアフィニティ精製した(抗ノシセプチンポリクローナル抗体)。
Noc/Aを含む試料で処理した細胞由来の溶解物を調製するために、SK−N−DZクローン細胞株#3細胞及びAGN P33クローン細胞株#6細胞をポリ−D−リジン96ウェルプレートに16〜18時間播種した。1nMのNoc/Aを含むRPMI SFM(N2、B27、及びNGFサプリメントを含む)で抗ノシセプチンpAbを0〜3μg/mLの濃度に希釈し、混合液を室温で1時間、プレインキュベートした。その後溶液を細胞に加え、ECL ELISAアッセイを行う前に24時間インキュベートした。両方の細胞株において、1μg/mLのこの抗ノシセプチン変異体抗体は、1nMのNoc/A取り込みを完全に遮断した(>90%阻害)。これら細胞株について、抗Noc/Aサルポリクローナル抗体もまたアッセイした。細胞をN2、B27、及びNGFを含むRPMI成長培地を入れた96ウェル ポリ−D−リジンプレート中、1ウェル当たり100,000個の細胞を24時間プレーティングした。1nM Noc/Aを含む培地中に、抗Noc/Aポリクローナル抗体を0〜20μg/mLの濃度で希釈し、混合液を室温で1時間プレインキュベートした。その後混合液を細胞に加え、ECL ELISAアッセイを行う前に24時間インキュベートした。より高濃度、6〜20μg/mLの抗Noc/ApAbにおいて、SK−N−DZ細胞株では最大で60%の阻害が見られ、AGN P33クローン細胞株#6細胞株では約30%阻害が見られた。このことは、抗Noc/Aポリクローナル抗体が結合部位に特異的でないこと、及び、試験した濃度においては部分的な遮断のみを生じる、分子のその他の部分に結合するその他の抗体を含むことによると考えられる。完全な遮断を達成するためには、より高い濃度が必要である可能性がある。
開裂したSNAP−25産物の存在をウエスタンブロット解析によって検出するためには、培地をそれぞれのウェルから吸引し、50μLのSDS−PAGEローディングバッファーに細胞を懸濁し、95℃まで5分間加熱する。それぞれの回収した試料の一部分を、回収した試料を12% 26ウェルCriterionゲル(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA)を用いてSDS−PAGEにより分離すること及びウサギポリクローナルα−SNAP−25197抗体血清を一次抗体として使用すること(実施例V参照)以外は実施例Iに記載したようにウエスタンブロットで解析する。結果は、ウエスタンブロットにおいてSNAP−25開裂産物を検出可能なバンドを生じる、再標的化エンドペプチダーゼの最低濃度を明らかにする。
開裂したSNAP−25産物をECLサンドイッチELISAによって検出するために、培地をそれぞれのウェルから除去し、実施例VIに記載したように細胞を溶解した。実施例VIIIに記載したようにα−SNAP−25補足抗体溶液、α−SNAP−25検出抗体溶液、及びα−SNAP−25固相担体を調製した。上清をα−SNAP−25固相担体に移し、実施例VIに記載したようにECLサンドイッチELISAアッセイを行った。EC50はその最大である1/2に対する再標的化エンドペプチダーゼ活性を阻害するために必要な血清の希釈であり、及び最大シグナル(シグナル最大)に対する最小シグナル(シグナル最小)の比は抗体の最高希釈を用いて得られたSNAP−25開裂産物シグナルを抗体の最小希釈を用いて得られたシグナルで割ることによって得られること以外は実施例VIに記載したように、回収したデータを解析し、EC50を算出した。
結果は、サル血清における中和α−Noc/A抗体の存在及びウサギ由来のα−ノシセプチン変異体抗体の存在が検出できたことを示す。免疫した動物由来のアフィニティ精製した抗体中でインキュベートしたNoc/A分子の活性は、抗体希釈が減少につれて低下した。Dyn/A及びTVEMP−ガラニン化合物について、試験するそれぞれの化合物に特異的な細胞株を用いて同じアッセイを行う。
実施例XV ガラニン再標的化エンドペプチダーゼへの細胞を用いたアッセイの作成
以下の実施例は、細胞を用いた効力アッセイの作成に必要とされる、再標的化エンドペプチダーゼの取り込み能力を有する確立された細胞株をどのように同定したかを説明する。
1.候補細胞株のストック培養の成長。
細胞株を生育させるために、試験する細胞株由来の好適な密度の細胞を、30mLの好適な成長培地(表25参照)を入れた162cm
2組織培養フラスコ中にプレーティングし、細胞が所望の密度に達するまで、37℃インキュベーター中、5%又は10%二酸化炭素存在下で生育させた。
2.ガラニンTVEMP−ガラニン化合物感受性における市販の細胞株のスクリーニング
対応する化合物で処理した後のSNAP25の開裂を測定することにより、TVEMP−ガラニン化合物に対するそれらの感受性について、市販の細胞株をスクリーニングした。様々なTVEMP−ガラニン化合物をスクリーニング及び試験に用いた。PC−12、Neuro−2a、SiMa、及びP19細胞を無血清培地中に3日間、又はCM中に1日プレーティングした。これらの分化した及びナイーブ細胞を、0及び75nM濃度のTVEMP−ガラニン バッチAで18時間処理した。TVEMP−ガラニン バッチAは、開裂したSNAP25の存在が上昇したことによって見られるように、PC−12及びNeuro−2a細胞の両方において活性を示し、及び分化した条件におけるNeuro−2a細胞がナイーブ細胞よりもガラニンリガンドを有するTVEMP化合物に対してより感受性であることを示した。細胞活性の順位は、PC−12が最も高い活性を有し、続いてNeuro−2a、最後がSiMa細胞であることを示す。取り込みがこれらガラニン再標的化化合物に特異的かどうかを決定することが必要であり、さらに細胞をガラニンリガンドを含まない化合物を用いて試験することが重要であった。Noc/Aはノシセプチン変異体リガンドを含む再標的化化合物であり、及びLH
N/A(陰性対照)は結合ドメインを欠損した化合物である。LH
N/Aの取り込みは非特異的であり、及び細胞株が再標的化化合物の取り込みに対して特異性を有する場合、TVEMP−ガラニン化合物よりも有意に低い活性を有するはずである。既に、Noc/AがSiMa細胞において特異的な取り込みを有することが示されていたため、試験細胞株に対する基線として用いた。
適した細胞株はLH
N/A及びNoc/A化合物の低い取り込みを示し、かつ、TVEMP−ガラニン化合物の高い取り込みを示すものである。この実験から得られた結果を表26に示す。
結果は、TVEMP−ガラニン バッチA及びTVEMP−ガラニン バッチBは試験した細胞株における陰性対照と同等の、又は1〜2倍のみ高い活性のプロット、並びにEC50値を有したことを示す。このデータは、ナイーブ細胞が十分に感受性ではないこと、及びこれらの細胞をガラニン受容体タンパク質GalR1又はGalR2受容体をコードしているプラスミドでトランスフェクションする必要があることを意味する。
3.GalRを用いたPC−12、Neuro−2a、及びSiMa細胞の安定なトランスフェクション。
トランスフェクションの1日前、6ウェル コラーゲンIV コーティングプレート(カタログ番号54554:BD Biosciences)(SiMa、PC−12)又は6ウェル コスタープレート(カタログ番号3516:Corning)(Neuro−2a)のいずれかに、0.5x106細胞/ウェルの密度で細胞を播種した。トランスフェクションは、12μLのLipofectamine(商標)2000(カタログ番号52758、Invitrogen)を250μL Opti−MEM(登録商標)I血清使用量低減培地(カタログ番号3195、Invitrogen)中に希釈し、その後室温で5分インキュベートすることにより行った。4μgのGaIRプラスミドDNAを250μL Opti−MEM(登録商標)I血清使用量低減培地中の0.4μg pAd Vantage(商標)ベクター(1mg/mL、カタログ番号E1711、Promega)と5分間混合した。5分間インキュベートした後、希釈したLipofectamine(商標)2000と希釈したプラスミドDNAを混合し、複合体を形成させるためにさらに20分間室温でインキュベートした。その間に、OPTI−MEM(登録商標)で細胞を洗浄し、0.5mLのOPTI−MEM(登録商標)をそれぞれのウェルに加えた。20分間インキュベートした後、複合体を含む0.5mLの希釈したLipofectamine(商標)2000と希釈したプラスミドDNAを、0.5mLのOPTI−MEM(登録商標)を入れたウェルに注意深く加えた。プレートを37℃で5時間インキュベートし、その後、1mLの完全培地を加えた。翌日、培地を成長培地で48時間置換した。4日目、細胞をトランスフェクションから回収した後、成長培地を0.5mg/mL(1:100希釈)のジェネティシン(登録商標)(カタログ番号10131:Invitrogen)を含む新しい成長培地で置換し、さらに3日間インキュベートした。トランスフェクションの7日後、細胞を成長培地及びジェネティシン(0.5mg/mL、1:100希釈)を入れた75cmコラーゲンIVフラスコ(カタログ番号35423:BD Biosciences)に移した。この形質転換においては、およそ90%の細胞が死に、培地交換に際して除去された。21日目まで、2日おきにジェネティシン(0.5mg/mL、1:100希釈)を含む成長培地を交換した。
ガラニンTVEMP化合物を取り込むことができる安定な細胞の選別のための指標は、モノクローナル2E2A6コーティングプレートを補足用に及びポリクローナルSNAP25(Sigma、カタログ番号S9684)スルホタグ(sulfotagged)抗体を検出用に用いたECLサンドイッチELISAにおいて、TVEMP−ガラニンで処理した場合に最高のパーセンテージのSNAP25開裂を生じるクローンをスクリーニングすることである。表27中のEC
50値は、TVEMP−ガラニン バッチDは、Gal R1及びGal R2でトランスフェクションしたSiMa及びNeuro−2a細胞においては陰性対照と比較して少なくとも10倍高い取り込みを、トランスフェクションしたPC−12細胞においては2〜4倍のみ高い取り込みを示すことを表す。トランスフェクションしたPC−12細胞がSiMa及びNeuro−2a細胞よりも低い感受性及び特異性を有するようだったため、それらをクローニングしないだろう。また、TVEMP−ガラニン化合物中のガラニン1〜16merのリガンドがGAL R2よりも高い親和性でGAL R1受容体に結合するため、GAL R1でトランスフェクションした細胞のみがクローニングされる。図は、TVEMP−ガラニンバッチC及びDがNeuro−2a Gal Rlにおいて、LH
N/A及び再標的化されたノシセプチン化合物TVEMP−ノシセプチンの両方よりも9〜10倍高い取り込みを表すことをもまた示す。
選別された非クローン集団は、それらが異なるレベルの受容体を発現している細胞の混合物を含み、かつ、これらの集団が経時的に変化する可能性があるために習慣的に用いるには適さない細胞集団である。単一の細胞由来の安定な細胞株を得るために、希釈性クローニング方法を開始した。21日目に、トランスフェクションした細胞おトリプシン処理し、ニードルを用いて分離し、計測した。残りのトランスフェクションした細胞株は今後の使用のために凍結した。ジェネティシン(0.5mg/mL、1:100希釈)を含む成長培地中に10細胞/mLになるまで細胞を連続して希釈した。1細胞/ウェルの密度になるように、100μL/ウェルで、2x96ウェルコラーゲンIVコーティングプレート(SiMa、PC−12)又は2x96ウェルコスタ−プレート(Neuro−2a)のいずれかをプレーティングした。プレートをインキュベーター中に戻し、コロニーを形成させるために2週間放置した。2週間後(35日目)、ウェルの底部に形成された単一のコロニーの存在について、ウェルを注意深く確認した(複数のコロニーについてウェル全体を注意深く確認した)。ウェルに単一の細胞集団があると同定した場合には、唯一の細胞集団が存在していることを確認するためにそのウェル全体を注意深く精査した。その単一集団の写真を撮影した。複数の集団があるという疑問がある場合には、そのウェルを選択しなかった。36日目に、選択したクローンをTrypLEを用いて分離し、トリプシン反応を停止させるためにジェネティシン(0.5mg/mL、1:100希釈)を含む0.5mLの完全培地を加えた。この全量を6ウェルプレートに移し、ジェネティシン(0.5mg/mL、1:100希釈)を含む3.0mLの追加の完全培地を用いてさらに希釈した。クローンを90%コンフルエンスまで生育させ、その後再度トリプシン処理し、ジェネティシン(0.5mg/mL、1:100希釈)を含む10.0mLの完全培地を入れた75cmコラーゲンIV又はコスターフラスコに移した。細胞が再度90%コンフルエンスに達した時点で、細胞を保存のために3本のクライオバイアルに充填するため、又はガラニン再標的化化合物におけるELISAアッセイにおけるスクリーニングのためのいずれかに用いた。
独立した試験を行う2つのオペレーターを用いてこれらクローンを試験するためには、参照化合物であるTVEMP−ガラニン バッチCを用いた。SiMa Gal R1クローンはゆっくりと成長したため、この時点では試験に用いることができなかった。幸運にも、Neuro−2aクローンはより早く成長し、すぐに十分な量に達した12クローンのうちの8つを試験に用いることができた。これらNeuro−2a Gal R1クローン細胞を完全用量範囲のTVEMP−ガラニン化合物(0〜300nM)を用いて試験し、これらクローンのうちの9つにおける結果を以下に示した。残りの4クローンは非常にゆっくりと成長したため、試験しなかった。評価基準として用いるために、選択した非クローン親細胞をクローンと共にプレーティングした。TVEMP−ガラニン化合物を用いて試験した場合の、それぞれの8クローンの活性並びに選択したがクローニングしなかったNeuro−2a GalR1細胞の活性を表28に示す。試験した8つのクローンのうち、クローン#4、7及び12のみが満足できるEC
50値を有するTVEMP−ガラニン化合物の良い取り込みを示した。Neuro−2a Gal R1クローン#1、3及び10はTVEMP−ガラニン化合物を取り込まず、クローン#5、11及び13並びに非クローン集団は非常に高いEC
50値を生じたため、これら細胞を用いたさらなる試験は行わなかった。
4.クローン細胞株におけるGalR1発現の解析
クローンのスクリーニングは、クローン#4、7、及び12のみが非クローン細胞よりも感受性であることを示した。実施例Vに記載したRT−PCR条件及び表29に記載したプライマーを用いたRT−PCRによる解析のために、これら3クローン、並びにトランスフェクションしていない親及び安定してトランスフェクションした非クローンNeuro−2a細胞からメッセンジャーRNA(mRNA)を抽出した。
表30の結果は、トランスフェクションした非クローン細胞及びクローンは親細胞よりも非常に多い量のGALR1 mRNAを有することを示す。TVEMP−ガラニン細胞スクリーニングにおいては、クローン#7がTVEMP−ガラニンに対して最も感受性であることが示された。表30によると、クローン#7はまた最も多量のGALR1 mRNAを有することが示される。Neuro−2a GalR1 クローン7(Neuro−2a#7)のCT値は最低であり、続いてクローン4、次がクローン12であった。試験した非クローンはこの時点ではクローン12に近似したCTを提供したが、しかしながら、これらの細胞は多様な濃度のGal R1受容体を含む絶えず変化している細胞集団を含むため、今後の研究のための良い集団とは考えられなかった。低いEC
50値を有する3つのクローンのうち、Neuro−2aクローン GalR1クローン#12(Neuro−2a#12)が最も早く成長し、続いてNeuro−2aクローン#7、最後がNeuro−2aクローン#4であった。その遅い成長速度に加え、Neuro−2aクローン#7の感受性がクローン#4よりもかなり高かったため、その後はNeuro−2aクローン#4を試験しなかった。
5.Neuro−2aクローン#7及び#12のTVEMP−ガラニン化合物への感受性及び特異性の比較
2つのクローンうちの最も感受性及び特異性の高いものを同定し、最も優れたクローンからデータを確信をもって収集する目的で、2つのクローンの比較試験を行った。表31は、TVEMP−ガラニンバッチC及びLH
N/Aで処理した場合のこれら2つのクローン感受性及び選択性の結果をそれぞれ示す。両方のクローンが高いシグナル対ノイズ比を示す。Neuro−2aクローン#7は5.5nMのEC
50を有し、一方でNeuro−2aクローン#12のEC
50は68.4nMである。Neuro−2aクローン#12は0〜300nMの用量範囲で試験する必要があり、Neuro−2aクローン#7は用いた最高濃度でのプラトーを誘導するために0〜30nMの用量範囲で試験することができる。両方のクローンがLH
N/AとTVEMP−ガラニンバッチCとの間の良好な分離を示し、Neuro−2aクローン#12は高濃度ではいくらかの非特異的取り込み示したが、Neuro−2aクローン#7は示さなかった。表にした結果に見られるように、Neuro−2a#7細胞を用いた試験における範囲はNeuro−2a#12細胞についてもより10倍低く、Neuro−2a#7においては用いる化合物がNeuro−2a#12の10分の1未満となる。比較としてLH
N/Aを用いた場合には、Neuro−2a#7はNeuro−2aクローン#12よりも8倍を超えて選択的である。シグナル対ノイズ比は両方のクローンにおいて100を超え、しかしながら、細胞を用いた効力アッセイの作成には比が10であれば十分であった。Neuro−2a#7クローンのEC
50は5.5nMであり、EC
50が68.4nMであるNeuro−2a#12よりも約12倍低い。試験を行うためのより低い用量範囲、LH
N/Aへの24倍の選択性、高いシグナル対ノイズ比、低いEC
50を生じる優れた感受性、及びそれぞれの試験において必要とされるタンパク質量が少ないこと全てが、Neuro−2aクローン#7がTVEMP−ガラニン化合物に対する効力比の決定において用いられる、細胞を用いた効力アッセイを進めるためのクローンであることを意味する。
実施例XVI ダイノルフィンA再標的化エンドペプチダーゼの取り込みのためのKOR−1受容体を過剰発現しているクローン細胞株の作出
以下の実施例は、標的受容体を用いたトランスフェクション及び続く細胞株のクローニングから得られた確立された細胞株由来の複数クローン細胞株をどのように解析及び比較したかを説明する。この特定の実施例は、実施例III、表9において最初に記載されたhKOR−1を用いてトランスフェクションしたクローン細胞株の同定及び解析について言及する。
4つのAGN P33−KORクローン(クローン番号8、9、10、及び12、実施例IIIの表9)を選択し、完全用量反応が0〜150nMのDyn/Aを用いて試験した。同時に、2つのSiMa−KORクローン(クローン番号12、及び16、実施例IIIの表9)を選択し、完全用量反応が0〜150nMのDyn/Aで試験した。この実験においては、AGN P33−KORクローン8、9、及び12は非常に低い取り込みを生じたためにこれを捨て;AGN P33−KORクローン10は良い取り込みを示し、30.3nMのEC
50が得られた。試験した2つのSiMa−KORクローンは良い取り込みを示し、及びクローン16については26.6nMのEC
50が得られ、クローン12については11.8nMのEC
50が得られた。これら3つのクローンを次に、標的リガンドを欠損した陰性対照であるLH
N/A及びNoc/A対照に対する標的Dyn/A化合物の取り込みを比較することにより、感受性及び選択性について試験した。0〜150nMの完全用量反応を用いた3つのクローン及び親SiMa細胞の比較を表32にまとめた。
KOR−1を用いてトランスフェクションし、Dyn/Aで処理したクローンにおいては、Dyn/A取り込みが顕著に上昇したが、親SiMa細胞は化合物の最小の取り込みを示した(陰性対照LHN/Aと同等の取り込み)。親SiMa細胞を含む全ての細胞株中にいくらかのNoc/Aが存在した。この再標的化化合物に対するアッセイの作成に際して、Noc/Aの取り込みがSiMa細胞において観察されたことから、これは当然のことである。さらに、Noc/A取り込みは、この再標的化エンドペプチダーゼに対して特異的に生成したAGNP33細胞株において最も良かった。Noc/A取り込みとDyn/A化合物取り込みとの間の差はクローンSiMa−KORクローン12(SK12)細胞においてより大きかった。全てのグラフにおいて、結合ドメインが欠損すると、これら細胞株における特異的な取り込みが失われることを示す陰性対照、LHN/A、の活性が最小であり、Dyn/A化合物の取り込みが高度に特異的であることを示すSK12細胞において最低であった。これらの結果から、さらなる最適化及び解析のためにSK12クローンを選択した。
ロバストで特異的、かつ、感受性のアッセイを作成するために、SK12細胞を用いて最適化研究を行った。プレーティング培地及びプレーティング密度、処理培地、及び処理時間を含む複数の指標についてアッセイした。最適化に際して得られたデータの要約を表33に示した。
表Bは、1ウェル当たり100,000細胞をCM中にプレーティングし、CM中において化合物で処理した細胞は、1つの実験から次の実験にかけて、EC50値においてより大きい変動を示したが(4.6;1.2及び13.72nM)、1ウェル当たり100,000細胞をSFM中にプレーティングし、SFM中で希釈した化合物で処理した細胞は最も良い曲線と一致するEC50値(9.0及び8.4nM)を示した。今後細胞は、1ウェル当たり100,000細胞でSFM中にプレーティングされ、またSFM中で化合物を用いて処理されるだろう。
1ウェル当たり100,000細胞のSFM中のSK12を入れたPDLプレートに24時間プレーティングし、その後SFM中で16時間処理することにより、8.4+/−1.1nMの最低のEC50値及び12のシグナル対ノイズ比を得た。これら両方の値は、CBPAにおけるこの細胞の今後の使用について満足のいくものであった。
飽和結合アッセイを用いたSK12細胞の解析
本明細書で用いた飽和結合アッセイについては実施例Vで詳細に記載した。結合を評価するために、KOR−1アンタゴニスト3H−ジプレノルフィンを用いて飽和結合研究を行った。全、特異的、及び非特異的結合を複数の実験で測定した。受容体と3H−ジプレノルフィンの飽和結合曲線を2つの独立した実験化から生成した。分子の受容体に対する結合の約25%の結合が非特異的、及び75%が特異的のようである。分子の受容体に対する親和性は6.5nMで十分である。Bmaxは、SK12細胞においては、1細胞当たり23fmolのKOR−1受容体があることを示す。
別段の指定のない限り、明細書及び請求項で用いられた構成要素の量、分子量、反応条件などの特性などを表す全ての数は、「約」という用語により、全ての例において調節されることを理解されたい。従って、反対に指定のない限り、明細書及び添付の請求項において示した数値パラメータは、本発明によって得ることが目的とされる所望の性質に依存して多様になり得る近似値である。少なくとも、請求項の範囲の等価物の原則の適用を限定する意図でなく、それぞれの数値パラメータは、少なくとも報告された有効数字の数を考慮して、かつ、一般的な丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広い範囲において示している数値の範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において示した数値は、できるだけ正確に報告した。しかしながら、いずれの数値も、それぞれの試験した測定においてみられる標準誤差からどうしても生じる、特定の誤差を本質的に含む。
別段の指定のない限り、本明細書においては、本発明を説明する文脈で(特に以下の請求項における文脈で)用いられる「a」、「an」、「the」という用語及び類似の指示対象は単数及び複数の両方を含むように解釈され、又は文脈からそうでないことが明白である。本明細書における値の範囲の詳細は単に、その範囲内にあるそれぞれ別個の値を個別に言及する、簡潔な方法を提供する目的のためである。本明細書において別段の指定のない限り、それぞれの個別の値は、本明細書において個別に記載された通りに本明細書に組み込まれる。本明細書において別段の指定のない限り、本明細書において記載した全ての方法は任意の好適な方法によって実施することができ、又はそうでないことが文脈から明白である。本明細書において提供した、いずれの及び全ての実施例、又は例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は単に、本発明をより明確にする目的のためだけのものであり、請求項に記載しない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施において必須の、請求項に記載していないいずれの要素を示す言葉は、本明細書においては記載されていないと解釈されたい。
本明細書で開示した発明の別の要素、又は実施形態の分類は、限定としては解釈されない。それぞれの群のメンバーは個別に、又はその群のその他のメンバー若しくは本明細書に見られるその他の要素との任意の組み合わせにおいて記載され、及び請求され得る。便宜上及び/又は特許権の理由から、ある群の1つ以上のメンバーが、群に含まれる又は群から除かれてもよい。そのような任意の包含又は除去が生じた場合には、本明細書はその群を変更した群に含まれると見なし、そのため、添付の請求項において用いた全てのマーカッシュ群について記載した詳細を満たす。
発明者らに既知の本発明の実施における最適な方法を含む、本発明の特定の実施形態を本明細書において記載した。当然のことながら、前述の明細書を読むことにより、これら記載した実施形態の変異型が当業者には明らかになるだろう。熟練した技術者は、それら変異型を適した形態として用いることを発明者らは予期し、本明細書に記載した方法以外の方法で本発明が実施されることを発明者らは意図する。従って、本発明は、適用法によって許可される通り、添付の請求項に記載した対象物の全ての変更及び等価物を含む。さらに、本明細書において別段の指定のない限り又は文脈からそうでないことが明らかでない限り、全ての可能な変異型における上述した要素のいずれの組み合わせもまた、本発明に包含される。
本明細書において開示した特定の実施形態は、「からなる」又は「本質的にからなる」という言葉を使用する請求項においてはさらに限定され得る。請求項において用いられた場合、分野として又は補正に加えられたとしても、「からなる」という移行句は、その請求項において指定されていないいずれの要素、工程、又は成分を除外する。「本質的にからなる」という移行句は、指定した材料又は工程、並びに基本的な及び新規の特徴に物質的に影響を及ぼさない材料又は工程に、発明の範囲を制限する。請求項に記載された本発明の実施形態は、本質的に又は明確に記載され、本明細書において使用可能である。
さらに、本明細書を通じて、参考文献として数多くの特許及び発行された印刷物を引用した。上記で引用したそれぞれの参考文献及び発行された印刷物は、個別のその全文が引用することにより本明細書に組み入れられる。
終わりに、本明細書で開示した本発明の実施形態は、本発明の原理を説明するものであることを理解されたい。用いられる可能性のあるその他の変更もまた、本発明の範囲に含まれる。従って、非限定的な一例として、本発明の別の形態が、本明細書の教えに従って用いられる可能性がある。従って、本発明は、示し及び記載したように正確には限定されない。