JP6253200B2 - スイッチング電源装置 - Google Patents
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Description
従来、入力電圧を低い電圧に変換して出力する非絶縁の降圧コンバータとして、降圧チョッパー回路が良く知られている。
他励式の降圧チョッパー回路を高効率なコンバータにするための設計として、図16(d)に示すように、出力チョークコイル208のチョークコイル電流ILを直流重畳させて用いるように設計されることが一般的である。このとき、チョークコイル電流ILの電流振幅は、スイッチング電源装置の最大定格電流IoMAXの50%以下に設定されている場合が多い。この設計は、以下の2点に着眼している。
出力チョークコイルのコアに使用する磁性材料は、図17に示したようなB−H曲線の特性を持つ。図17のX軸は、磁場Hを表し、出力チョークコイルを流れる電流ILに比例する。Y軸は、磁束密度Bを表し、出力チョークコイルのコアに用いられている磁性材料内部の磁束密度である。
出力チョークコイルを流れる電流を直流重畳させた状態では、出力チョークコイルの磁束密度変化が小さくなると同時に、電流経路の電流振幅も小さくなる。電流振幅を小さくすることで、実効電流を低減することができる。これにより、電流通過経路である半導体素子やチョークコイル巻線の抵抗成分による損失を低減することができる。
降圧チョッパー回路の効率を向上させる手段として、転流素子をダイオードではなく、MOS−FET等のスイッチング素子を用いて同期整流を行うことが良く知られている。
本発明は、
入力電源の一端に主スイッチング素子の一端が接続され、
主スイッチング素子の他端に転流素子の一端と出力チョークコイルの一端が接続され、
出力チョークコイルの他端に出力コンデンサの一端が接続され、
出力コンデンサの他端と転流素子の他端と入力電源の他端が接続され、
スイッチング制御回路により、主スイッチング素子及び転流素子のオン、オフが制御される構成を持つ他励式の同期整流降圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置であって、
出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、出力チョークを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、
スイッチング制御回路は、スイッチング周波数発生回路を備え、スイッチング周波数発生回路が出力する所定の固定周波数に同期して、主スイッチング素子および転流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフするように制御するものであり、更に、
出力チョークコイルの極性を検出して出力する極性検出回路と、
極性検出回路により出力チョークコイルの他端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときには、スイッチング制御回路が出力する主スイッチング素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御することで、転流素子のサージ電圧の発生を抑制する主スイッチング素子オン保留制御回路と、
を備えたことを特徴とする。
主スイッチング素子のオン期間の上限を決定することで最大出力電流を抑制する電流制限回路を備える。
本発明は、
入力電源の一端に主スイッチング素子の一端が接続され、
主スイッチング素子の他端に転流素子の一端と出力チョークコイルの一端が接続され、
出力チョークコイルの他端に出力コンデンサの一端が接続され、
出力コンデンサの他端と転流素子の他端と入力電源の他端が接続され、
スイッチング制御回路により、主スイッチング素子及び転流素子のオン、オフが制御される構成を持つ回生機能を備えた同期整流降圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置であって、
出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、
スイッチング制御回路は、スイッチング周波数発生回路を備え、スイッチング周波数発生回路が出力する所定の固定周波数に同期して、主スイッチング素子および転流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフすると共に、スイッチングの1周期内に転流素子のオフ期間を設けるように制御するものであり、更に、
出力チョークコイルの極性を検出して出力する極性検出回路と、
極性検出回路により出力チョークコイルの一端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときには、スイッチング制御回路が出力する転流素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御することで、主スイッチング素子のサージ電圧の発生を抑制する転流素子オン保留制御回路と、
を備えたことを特徴とする。
本発明のスイッチング電源装置は、同期整流降圧チョッパー回路の入力段に、入力した交流電圧を直流電圧に変換して出力する力率改善機能を備えた昇圧コンバータ回路を直列に接続し、
同期整流降圧チョッパー回路の出力段に、絶縁と電圧変換を行う非安定コンバータ回路を直列に接続したことを特徴とする。
本発明は、入力電源の一端に主スイッチング素子の一端が接続され、主スイッチング素子の他端に転流素子の一端と出力チョークコイルの一端が接続され、出力チョークコイルの他端に出力コンデンサの一端が接続され、出力コンデンサの他端と転流素子の他端と入力電源の他端が接続される構成を持つ同期整流降圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置に於いて、出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が所定の定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、所定のスイッチング周期で主スイッチング素子および転流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフするように制御するスイッチング制御回路を設けるようにしたため、出力電流が零から定格電流の範囲では、出力チョークコイルの電流がマイナス方向を向いている状態で転流素子をオフさせることで主スイッチング素子の寄生容量を引く抜くことができるように、出力チョークコイルのインダクタンスが設定されている。また、主スイッチング素子がオンする直前のタイミングでは、通常の降圧チョッパー回路と異なり転流素子の寄生ダイオードに電流が流れていないため、転流素子の寄生ダイオードにリカバリー電流が流れることがない。
本発明は、入力電源の一端に主スイッチング素子の一端が接続され、主スイッチング素子の他端に転流素子の一端と出力チョークコイルの一端が接続され、出力チョークコイルの他端に出力コンデンサの一端が接続され、出力コンデンサの他端と転流素子の他端と入力電源の他端が接続される構成を持つ同期整流降圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置に於いて、出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、出力チョークを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、所定のスイッチング周期で主スイッチング素子および転流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフするように制御するスイッチング制御回路と、出力チョークコイルの極性を検出して出力する極性検出回路と、極性検出回路により出力チョークコイルの他端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときには、制御回路が出力する主スイッチング素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御する主スイッチング素子オン保留制御回路と、を設けるようにしたため、最大出力電流値以上の電流を流そうとした場合でも、転流素子の寄生ダイオードに電流が流れていない状態で、主スイッチング素子がオンすることになるため、サージ電圧を発生させることがない。
本発明は、入力電源の一端に主スイッチング素子の一端が接続され、主スイッチング素子の他端に転流素子の一端と出力チョークコイルの一端が接続され、出力チョークコイルの他端に出力コンデンサの一端が接続され、出力コンデンサの他端と転流素子の他端と入力電源の他端が接続される構成を持つ同期整流降圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置に於いて、出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、所定のスイッチング周期で主スイッチング素子および転流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフすると共に、スイッチングの1周期内に転流素子のオフ期間を設けるように制御するスイッチング制御回路と、出力チョークコイルの極性を検出して出力する極性検出回路と、極性検出回路により出力チョークコイルの一端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときには、スイッチング制御回路が出力する転流素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御する転流素子オン保留制御回路と、を設けるようにしたため、出力側から入力側に電力を回生する機能を備えた、低ノイズで高効率なスイッチング電源装置を実現可能とする。
本発明は、同期整流降圧チョッパー回路の入力段に、入力した交流電圧を直流電圧に変換して出力する力率改善機能を備えた昇圧コンバータ回路を直列に接続し、同期整流降圧チョッパー回路の出力段に、絶縁と電圧変換を行う非安定コンバータ回路を直列に接続するようにしたため、交流入力電圧を直流出力電圧に変換して負荷に供給するスイッチング電源装置として、さらに高効率で低ノイズとなるスイッチング電源装置を実現可能とする。
図1は同期整流方式の降圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
図1に示すように、同期整流降圧チョッパー回路10は、MOS−FETを用いた主スイッチング素子14、MOS−FETを用いた同期整流を行う転流素子16、出力チョークコイル18、出力コンデンサ20及びスイッチング制御回路24を備える。
スイッチング制御回路24は、スイッチング周波数発生回路26、三角波発生回路28、PWM回路(パルス幅変調回路)32、フィードバック回路30、第1デッドタイム発生回路34、第2デッドタイム発生回路36で構成されている。
図2は図1について出力電流が零の場合の動作波形を示した説明図、図3は図1について出力電流が大きい場合の動作波形を示した説明図である。
出力電流Ioが零から定格電流IoMAXの範囲では、図2の期間Aに示すように、図2(f)のVGS1がHレベルにあることで主スイッチング素子14がオンしており、また図2(g)のVGS2がLレベルにあることで転流素子16がオフしており、図2(J)のチョークコイル電流ILがプラス方向を向いて増加している。
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および転流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Bを持つ。このとき出力チョークコイル18はチョークコイル電流ILを流し続けようと動作するため、出力チョークコイル18のドットで示す側がプラス極性となり、反対側がマイナス極性となる。従って、図4(期間B)に矢印で示すように、出力チョークコイル18のドットで示すプラス側から出力コンデンサ20、転流素子16の寄生容量66及び出力チョークコイル18のマイナス側となる経路で、出力チョークコイル18のエネルギー放出による電流が流れる。このため、第1デットタイムの期間Bで転流素子16の寄生容量66に蓄えられた電荷が引き抜かれる。
期間Bの第1デットタイムが過ぎて図2(g)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上がって転流素子16がオンするタイミングでは、転流素子16の寄生容量66の電荷が期間Bで引き抜かれているため、期間Cの最初で転流素子16はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。
期間Cにおいて、主スイッチング素子14がオフし、転流素子16がオンしている状態で、出力チョークコイル18の電流が低下して零を過ぎると、電流方向がマイナス方向となる期間Dに入る。
転流素子16がオフした後、主スイッチング素子14および転流素子16の両方がオフする第2デッドタイムとなる期間Eを持つ。このとき出力チョークコイル18はチョークコイル電流ILを流し続けようと動作するため、出力チョークコイル18のドットの無い側がプラス極性となり、ドットで示す側がマイナス極性となる。
期間Eの第2デットタイムが過ぎて図2(f)のVGS1がLレベルからHレベルに立ち上がって主スイッチング素子14がオンするタイミングでは、主スイッチング素子14の寄生容量62の電荷が期間Eで回収されているため、期間Fの最初で主スイッチング素子14はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。
図2乃至図4に示した期間A〜Fの動作を実現するために、出力チョークコイル18のインダクタンスLは、式(5.1)を満たすように設定される。
L:出力チョークコイルのインダクタンス
Vin:入力電圧
Vo:出力電圧
IoMAX:スイッチング電源装置の定格出力電流
fsw:スイッチング周波数
式(5.1)は、次の式(5.2)〜式(5.6)により導出される。
また、出力チョークコイルにVLが印加されている時間Tonは、主スイッチング素子14のオン時間であり、スイッチング周波数とデューティから求められ、次の式(5.5)となる。
図1に示したスイッチング電源装置は、出力電流Ioが零から所定の定格電流IoMAxの範囲では、出力チョークコイル18の電流がマイナス方向を向いている状態で転流素子16をオフさせることで主スイッチング素子14の寄生容量の引く抜くことができるように出力チョークコイル18のインダクタンスLが設定されている。
(スイッチング電源装置の構成)
図5は過大出力電流に対するサージ電圧防止機能を備えたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
図5の実施形態のように、極性検出回路70と主スイッチング素子オン保留制御回路74を付加していない場合に、出力電流Ioが定格出力電流IoMAX以上に流れた場合の動作について、図6及び図7に基づいて説明する。
図6(c)に示すように、負荷22が大電流を要求して出力電流Ioが定格出力電流IoMAX以上に流れたことに対しフィードバック信号E3の信号電圧が上昇し、三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差するまでの期間が長くなるため、図6(d)のPMW信号がHレベルからLレベルに立下るまでの期間が長くなる。
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および転流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Bを持つことで、転流素子16の寄生容量66に蓄えられた電荷が引き抜かれる。
期間Bの第1デットタイムが過ぎて図6(g)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上がって転流素子16がオンするタイミングでは、転流素子16の寄生容量66の電荷が期間Bで引き抜かれているため、転流素子16はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。転流素子16がオンしている期間Cでは、出力チョークコイル18がエネルギーを放出し、チョークコイル電流ILが低下する。
転流素子16がオフした後、主スイッチング素子14および転流素子16の両方がオフする第2デッドタイムとなる期間Gを持つ。このとき出力電流Ioが定格電流IoMAXよりも大きくなっている状態であるので、チョークコイル電流ILは零以下まで低下しない。
期間Gの第2デットタイムが過ぎて図6(f)のVGS1がLレベルからHレベルに立ち上がって主スイッチング素子14がオンする。しかし、主スイッチング素子14がオンした直後、転流素子16の寄生ダイオード64のリカバリー動作により、図7(期間H)に矢印で示すように、入力電源12のプラス側、主スイッチング素子14、転流素子16の寄生ダイオード64及び入力電源12のマイナス側となる経路で大きな貫通電流が流れ、配線による寄生インダクタンスにエネルギーが蓄えられ、この寄生インダクタンスに蓄えられたエネルギーが転流素子16に図6(i)のVSD2に示すようにサージ電圧Vsを発生させる。
図5の実施形態のように、極性検出回路70と主スイッチング素子オン保留制御回路74を付加した場合に、出力電流Ioが定格出力電流IoMAX以上に流れた場合の動作について、図8に基づいて説明する。
図8(c)に示すように、負荷22が大電流を要求して出力電流Ioが定格出力電流IoMAX以上に流れたことに対しフィードバック信号E3の信号電圧が上昇し、三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差するまでの期間が長くなるため、図8(d)のPMW信号がHレベルからLレベルに立下るまでの期間が長くなる。
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および転流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Bを持つことで、転流素子16の寄生容量66に蓄えられた電荷が引き抜かれる。
期間Bの第1デットタイムが過ぎて図8(h)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上がって転流素子16がオンするタイミングでは、転流素子16の寄生容量の電荷が期間Bで引き抜かれているため、転流素子16はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。転流素子16がオンしている期間Cでは、出力チョークコイル18がエネルギーを放出し、チョークコイル電流ILが低下する。
転流素子16がオフした後、主スイッチング素子14および転流素子16の両方がオフする第2デッドタイムとなる期間C1を持つ。期間C1では、図7(期間G)と同様に、出力チョークコイル18のドットで示すプラス側から出力コンデンサ20、転流素子16の寄生ダイオード64及び出力チョークコイル18のマイナス側となる経路で、出力チョークコイル18のエネルギー放出による電流が流れ、チョークコイル電流ILは低下し続ける。
期間C2では、図8(d)のPWM信号E4がHレベルとなって主スイッチング素子14をオンさせようとするが、このときは、出力チョークコイル18はエネルギーを放出している状態であるため、極性検出回路70からの極性検出信号E8はLレベルの状態を維持している。
図5に示したスイッチング電源装置は、極性検出回路70と主スイッチング素子オン保留制御回路74の機能により、定格電流IoMAXとなる最大出力電流値以上の出力電流Ioを流そうとした場合でも、転流素子16の寄生ダイオードに電流が流れている最中に主スイッチング素子14がオンすることがなくなるため、転流素子16にサージ電圧を発生させることがなく、転流素子16として使用するMOS−FET等の半導体素子に低耐圧で導通抵抗の低い素子を用いることができ、低ノイズで高効率のスイッチング電源装置を実現することができる。
図9は過大出力電流に対するサージ電圧防止機能及び過電流保護機能を備えたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
図1に示したスイッチング電源装置は、出力側から入力側に電力を回生する機能を有する。回生動作は、スイッチング電源装置が出力している出力電圧設定値よりも高い電圧を出力側に印加されている場合や、出力側に大容量のコンデンサを取り付けた状態で、出力電圧設定値を急に下げる場合等に発生する。また、図1に示したスイッチング電源装置は、回生現象を利用して、双方向スイッチング電源装置を実現することが可能である。
図1のスイッチング電源装置について、回生機能を実現するソフトスイッチング動作を説明する。
PWM信号E4がHレベルにあることで主スイッチング素子14がオンし、一方、転流素子16がオフしており、回生電流の大小によらず、出力チョークコイル18の電流がプラス方向を向いている。この状態で、図10(c)に示す三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差すると、図10(d)のPMW信号がHレベルからLレベルに立下り、図10(f)のVGS1がHレベルからLレベルとなることで、期間Aの最後に示すように、主スイッチング素子14がオフする。
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および転流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Bを持つことで、転流素子16の寄生容量66に蓄えられた電荷を回収する。
期間Bの第1デットタイムが過ぎて図10(g)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上がって転流素子16がオンするタイミングでは、転流素子16の寄生容量の電荷が期間Bで回収されているため、転流素子16はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。
期間Cにおいて、主スイッチング素子14がオフし、転流素子16がオンしている状態で、出力チョークコイル18のチョークコイル電流ILが低下して零を過ぎると、電流方向がマイナス方向となる期間Dに入る。
転流素子16がオフした後、主スイッチング素子14および転流素子16の両方がオフする第2デッドタイムとなる期間Eを持つ。このとき出力チョークコイル18はチョークコイル電流ILを流し続けようと動作するため、出力チョークコイル18のドットの無い側がプラス極性となり、ドットで示す側がマイナス極性となる。
このように本実施形態のスイッチング電源装置では、回生動作中においても、回生電流が定格電流IoMAX以下であれば、即ち出力チョークコイル18のチョークコイル電流が零を跨いで変化すれば、主スイッチング素子14および転流素子16の寄生ダイオードにリカバリー電流が流れることが無いため、サージ電圧が発生しない。
(サージ電圧防止機能がない場合の動作)
図1の実施形態のスイッチング電源装置の回生時において、定格電流IoMAX以上の回生電流を流そうとした場合にサージ電圧が発生する。この場合の動作を図10及び図11に基づいて説明する。なお、図11は図10の期間I,Jで流れる電流を示している。
図1のスイッチング電源装置の負荷側に外部電圧を印加し、回生電流を流している状態で、回生電流を増やす方向に印加電圧を上昇させたとすると、図10(c)に示すように、フィードバック信号E3の信号電圧が低下し、三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差するまでの期間が短くなるため、これによりPWM信号E4がHレベルからLレベルになるまでの期間が短くなる。このように負荷側に外部電圧を印加すると主スイッチング素子14のオンデューティを狭くするようにスイッチング制御回路24が動作する。
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および転流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Iを持つ。このとき出力チョークコイル18はチョークコイル電流ILを流し続けようと動作するため、出力チョークコイル18のドットの無い側がプラス極性となり、ドットで示す側がマイナス極性となる。
期間Iの第1デットタイムが過ぎて図10(g)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上がって転流素子16がオンする。しかし、転流素子16がオンした直後、期間Iで電流が流れていた主スイッチング素子14の寄生ダイオード60のリカバリー動作により、図11の(期間J)に矢印で示すように、入力電源12のプラス側、主スイッチング素子14の寄生ダイオード60、転流素子16及び入力電源12のマイナス側となる経路で大きな貫通電流が流れ、配線による寄生インダクタンスにエネルギーが蓄えられ、この寄生インダクタンスに蓄えられたエネルギーが転流素子16に図10(h)のVSD1に示すようにサージ電圧Vsを発生させる。
図12は過大回生電流に対するサージ電圧防止機能を備えたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
図12のスイッチング電源装置の負荷側に外部電圧を印加し、回生電流を流している状態で、回生電流を増やす方向に印加電圧を上昇させたとすると、図13(c)に示すように、フィードバック信号E3の信号電圧が低下し、三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差するまでの期間が短くなるため、これによりPWM信号E4がHレベルからLレベルになるまでの期間が短くなる。このように負荷側に外部電圧を印加すると主スイッチング素子14のオンデューティを狭くするようにスイッチング制御回路24が動作する。
期間F1は、主スイッチング素子14および転流素子16の両方がオフする第1デッドタイムであり、出力チョークコイル18はチョークコイル電流ILを流し続けようと動作するため、出力チョークコイル18のドットの無い側がプラス極性となり、ドットで示す側がマイナス極性となる。
期間F2では、スイッチング制御回路24の遅延回路34からの遅延信号E6を転流制御用インバータ36に出力することでHレベルとなる転流制御信号E7が出力されるが、このとき、出力チョークコイル18がエネルギーを放出している状態であるため、極性検出回路84の極性検出信号E9はLレベルの状態を維持している。
図12のスイッチング電源装置は、極性検出回路84と転流素子オン保留制御回路88による図13の期間F2における転流素子14のオン保留制御で、これに続く期間D1のように、転流素子16のオン期間が長くなっても、第2デッドタイム発生回路36に設けた発振回路46からのパルス信号E5により転流素子16がオフとなるように制御され、このためスイッチング電源装置に過大な回生電流が流れることを抑制する過電流防止機能を実現できる。即ち、スイッチング電源装置は、回生動作を行うスイッチングの1周期内に転流素子16のオフ期間を設けるように制御することで、過大な回生電流が流れることを抑制する過電流防止機能を実現できる。
図12のスイッチング電源装置は、極性検出回路84と転流素子オン保留制御回路88を付加したことにより、大きな回生電流が流れた場合でも、主スイッチング素子14の寄生ダイオードに電流が流れている最中に転流素子16がオンすることがなくなるため、主スイッチング素子14にサージ電圧を発生させることがなく、主スイッチング素子14に用いるMOS−FET等の半導体素子に低耐圧で導通抵抗の低い素子を用いることができ、低ノイズで高効率の回生機能を持ったスイッチング電源装置を実現することができる。
(多段コンバータ構成)
図14は本発明による同期整流降圧チョッパー回路を用いた多段コンバータ構成のスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
同期整流降圧チョッパー回路10は、図14の交流の入力電圧を直流電圧に変換するスイッチング電源装置電圧の出力電圧を所定の設定電圧に安定化するために用いられる。
図12と同様な多段コンバータ構成をとる従来の交流入力のスイッチング電源装置では、中段の降圧チョッパー回路に、DC380Vといった高い電圧が入力されるため、転流素子16として高耐圧のMOS−FETの使用が考えられるが、その寄生ダイオードのリカバリー特性が著しく悪いため使用することができず、リカバリー特性に優れたショットキーダイオードが用いられており、かなり高効率なスイッチング電源装置を得ることができるが、転流素子のサージが発生するため、ノイズが大きい問題を持っていた。
本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
12:入力電源
14:主スイッチング素子
16:転流素子
18:出力チョークコイル
20:出力コンデンサ
22:負荷
24:スイッチング制御回路
25,46:発振回路
26:スイッチング周波数発生回路
28:三角波発生回路
30:フィードバック回路
32:PWM回路
34:第1デッドタイム発生回路
36:第2デッドタイム発生回路
38:転流制御用インバータ
60,64:寄生ダイオード
62,66:寄生容量
70,84:極性検出回路
74:主スイッチング素子オン保留制御回路
78:最大デューティ制限回路
88:転流素子オン保留制御回路
94:昇圧コンバータ回路
95:DC/DCコンバータ回路
Claims (4)
- 入力電源の一端に主スイッチング素子の一端が接続され、
前記主スイッチング素子の他端に転流素子の一端と出力チョークコイルの一端が接続され、
前記出力チョークコイルの他端に出力コンデンサの一端が接続され、
前記出力コンデンサの他端と前記転流素子の他端と前記入力電源の他端が接続され、
スイッチング制御回路により、前記主スイッチング素子および前記転流素子のオン、オフが制御される構成を持つ他励式の同期整流降圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置であって、
前記出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、前記出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、
前記スイッチング制御回路は、スイッチング周波数発生回路を備え、前記スイッチング周波数発生回路が出力する所定の固定周波数に同期して、前記主スイッチング素子および前記転流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフするように制御するものであり、更に、
前記出力チョークコイルの極性を検出して出力する極性検出回路と、
前記極性検出回路により前記出力チョークコイルの他端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときには、前記スイッチング制御回路が出力する前記主スイッチング素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御することで、前記転流素子のサージ電圧の発生を抑制する主スイッチング素子オン保留制御回路と、
を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
- 請求項1記載のスイッチング電源装置に於いて、
前記スイッチング制御回路は、更に、スイッチングの1周期内に前記主スイッチング素子のオフ期間を設けるように制御し、
前記主スイッチング素子のオン期間の上限を決定することで最大出力電流を制限する電流制限回路を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
- 入力電源の一端に主スイッチング素子の一端が接続され、
前記主スイッチング素子の他端に転流素子の一端と出力チョークコイルの一端が接続され、
前記出力チョークコイルの他端に出力コンデンサの一端が接続され、
前記出力コンデンサの他端と前記転流素子の他端と前記入力電源の他端が接続され、
スイッチング制御回路により、前記主スイッチング素子および前記転流素子のオン、オフが制御される構成を持つ回生機能を備えた同期整流降圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置であって、
前記出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、前記出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、
前記スイッチング制御回路は、スイッチング周波数発生回路を備え、前記スイッチング周波数発生回路が出力する所定の固定周波数に同期して、前記主スイッチング素子および前記転流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフすると共に、前記スイッチングの1周期内に前記転流素子のオフ期間を設けるように制御するものであり、更に、
前記出力チョークコイルの極性を検出して出力する極性検出回路と、
前記極性検出回路により前記出力チョークコイルの一端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときには、前記スイッチング制御回路が出力する前記転流素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御することで、前記主スイッチング素子のサージ電圧の発生を抑制する転流素子オン信号保留制御回路と、
を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
- 請求項1乃至3の何れかに記載のスイッチング電源装置に於いて、
前記同期整流降圧チョッパー回路の入力段に、入力した交流電圧を直流電圧に変換して出力する力率改善機能を備えた昇圧コンバータ回路を直列に接続し、
前記同期整流降圧チョッパー回路の出力段に、絶縁と電圧変換を行う非安定コンバータ回路を直列に接続したことを特徴とするスイッチング電源装置。
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