JP6250971B2 - プレート式熱交換器の洗浄装置および洗浄方法 - Google Patents

プレート式熱交換器の洗浄装置および洗浄方法 Download PDF

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Description

この発明は、運転により流路に汚れが付着したプレート式熱交換器を、分解することなく伝熱プレートが取り付けられた状態で洗浄するプレート式熱交換器の洗浄装置および洗浄方法に関する。
火力発電所等の発電プラントにおいては、発電所から発生する排熱を海水等により効率よく冷却するためにプレート式熱交換器が使用されている。
図4に、一般的なプレート式熱交換器の概略構成を示す。図4(1)は、高温流体(例えば、所内冷却水)と低温流体(例えば、海水)との間で熱交換を行わせるための要素部材である伝熱プレート11の平面図を示し、図4(2)は、伝熱プレート11を複数枚積層して形成されるプレート式熱交換器本体10の側面図解図を示す。
伝熱プレート11は、一般に、熱交換を行う部分が波型に成形された例えばチタン等の金属板が用いられ、図4(1)に示すように、低温流体を通す2つの開口13a、13bと高温流体を通す2つの開口13c、13dとを4隅に有し、各流体をシールして流路を形成するためのガスケット12を一方面に備える。このような伝熱プレート11を、交互に上下反転させて積層することによって、各伝熱プレートの両側を高温流体と低温流体が反対方向に流れる流路が形成され、高温流体と低温流体との間で熱交換が行われる。
プレート式熱交換器本体10は、図4(2)に示すように、床面に設置される固定フレーム14と支持フレーム15の間に、上部ガイドバー16aと下部ガイドバー16bによりガイドされる移動フレーム17を備え、固定フレーム14と移動フレーム17の間に、前述のように複数の伝熱プレート11を交互に上下反転して配列し、固定フレーム14と移動フレーム17との間を周辺部において複数の長尺ボルト(図示省略)により締め付けることにより、各伝熱プレート11がガスケット12を介して圧接され、各伝熱プレート間に流体の流路が形成されるとともに、伝熱プレート11の各開口部が連通して流体の通路が形成され、各伝熱プレートの両側を高温流体と低温流体とが交互に反対方向に流れるように構成される。
このようなプレート式熱交換器は、圧力損失が少なく、熱交換効率が高く、コンパクトであるため、多くの発電プラントにおいて使用されているが、運転中に伝熱プレートに汚れが付着し、目詰まりや冷却性能の低下が発生するという問題がある。特に、冷却水として海水が使用される場合には、伝熱プレートにヒドロ虫や貝類などの海生生物が付着したり、生物皮膜が生成されたりするため、従来は、運転を停止し、プレート式熱交換器を分解し、伝熱プレートを取り外して高圧水で洗浄することが行われていた。
特開平10−253271号公報 特開平10−267592号公報 特開平09−072694号公報
しかしながら、プレート式熱交換器を分解し、伝熱プレートを取り外して高圧水で洗浄する従来の方法では、多大な作業時間を要し、プラントの稼働率を低下させる要因となるほか、伝熱プレートを取り外すことによりガスケットの劣化を早め、ガスケットを頻繁に交換する必要が生ずるなど、メンテナンスコストの増大を招くという問題があった。
一方、プレート式熱交換器を分解することなく伝熱プレートが取り付けられた状態で洗浄を行う方法として、プレート式熱交換器の通路の一端側から高圧水を注入してブロー洗浄する方法が考えられるが、このような従来のブロー洗浄では、洗浄水がプレート式熱交換器の流路全体に分散して配給されるため、一部の伝熱プレート間の流路において多量の汚れが堆積している場合には、流路全体において所定の流量が確保されたとしても、汚れが堆積している流路においては当該汚れを洗い流すために必要な流量が確保されない場合が生じ、十分な洗浄効果を得ることができないという問題があった。
また、プレート式熱交換器を分解することなく伝熱プレートが取り付けられた状態で洗浄する他の方法として、例えば、特許文献1には、冷却水ラインに加熱流体(温水)を供給し、温水処理を行うことで伝熱プレートに付着した海生生物を死滅させる方法が記載されている。しかしながら、温水処理による方法では、海生生物の付着最盛期においては週1回程度以上の処理が必要となるため、事実上採用することができない。また、貝類が伝熱プレートに固着した場合には除去することが困難となり、十分な洗浄効果を得ることは難しいという問題がある。
また、プレート式熱交換器を分解することなく伝熱プレートが取り付けられた状態で洗浄する更に他の方法として、例えば、特許文献2、3には、流体通路に気体供給管を挿入し、各伝熱プレート間に圧縮空気を吹き出し、バブルによる衝撃によりスケールを除去する方法が記載されている。しかしながら、バブルを発生させる方法では、海生生物が付着した伝熱プレートに対して十分な洗浄効果を得ることは困難と考えられ、これまでに発電プラントにおいて実用化された事例は報告されていない。
その他に、プレート式熱交換器の伝熱プレートへの汚れの付着による問題を回避するために、運転中の冷却海水に電解塩素を連続的に注入し、海生生物による伝熱プレートの汚れの付着自体を抑制するという方法も考えられる。この方法によれば、プレート式熱交換器を長期間運転することが可能となり、稼働率を向上させることができる可能性があるが、塩素により海水が汚染されるという環境汚染の問題があり、塩素処理が認められていない海域では採用することができない。
それ故に、本願発明の目的は、環境汚染を発生することなく、海生生物による汚れが多量に付着したプレート式熱交換器に対しても適用可能な洗浄装置および洗浄方法であって、プレート式熱交換器を分解することなく伝熱プレートが取り付けられた状態で高い洗浄効果を得ることができ、稼働率の向上とメンテナンスコストの低減を図ることができるプレート式熱交換器の洗浄装置および洗浄方法を提供することである。
上記課題を解決するために、この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置は、熱交換を行う流体を通す開口部を有する複数の伝熱プレートをガスケットを介して積層することによって隣り合う伝熱プレート間に流路が形成され、隣り合う流路に対して異なる流体が流れるように構成されたプレート式熱交換器を、分解することなく伝熱プレートが取り付けられた状態で洗浄する装置であって、プレート式熱交換器の流路を洗浄する洗浄液を貯留する洗浄液貯留タンクと、洗浄液を所定の温度に加温するヒーターと、洗浄液をプレート式熱交換器の流路に循環させる洗浄液循環ポンプと、積層された伝熱プレートの開口部が連通して形成される通路の一端側より挿入され、通路にブロー洗浄水を供給するブロー洗浄水供給配管と、ブロー洗浄水供給配管の先端部に固定され、通路において一定距離離れた2箇所の伝熱プレートの開口部をシールする仕切板とを有し、ブロー洗浄水供給配管により供給されるブロー洗浄水をプレート式熱交換器の流路における一定幅の供給範囲に局所的に供給するように形成され、ブロー洗浄水の供給範囲を通路に沿って移動させることができる移動式ブロー洗浄機構とを備え、洗浄液貯留タンクにおいてヒーターにより所定温度に加温された薬液を生成し、生成された薬液を前記洗浄液循環ポンプによりプレート式熱交換器の流路を所定時間循環させることによって薬液洗浄した後に、移動式ブロー洗浄機構によりプレート式熱交換器の一定幅の供給範囲の流路にブロー洗浄水を循環させることを、移動式ブロー洗浄機構を順次移動させながら繰り返すことによってプレート式熱交換器の全ての流路をブロー洗浄するようにしたものである。
この発明によれば、洗浄液貯留タンクと、ヒーターと、洗浄液循環ポンプと、プレート式熱交換器の一端側の通路から挿入して使用することができる移動式ブロー洗浄機構とを備え、所定温度に加温された薬液をプレート式熱交換器の流路を所定時間循環させて行う薬液洗浄に続けて移動式ブロー洗浄機構を用いたブロー洗浄を行えるようにしたので、海生生物等による汚れが付着した流路に対して薬液洗浄により汚れを分解させた直後に、薬液洗浄によって分解された汚れや薬液洗浄によって分解されない異物をブロー洗浄により排出することが可能となり、短い工期で高い洗浄効果を得ることができる。
また、この発明の移動式ブロー洗浄機構は、ブロー洗浄水を供給するブロー洗浄水供給配管の先端に、通路において一定距離離れた2箇所の伝熱プレートの開口部をシールする仕切板を備えるので、プレート式熱交換器の限定された一定幅の供給範囲の流路に対してブロー洗浄水を局所的に注水することができ、当該部分における実効流量が飛躍的に高められ、汚れを剥ぎ取る流速が生まれる。また、各伝熱プレートの流路に対して流路に沿った直接的なブロー流が供給されるので、流路の入口側付近に詰まっている汚れを効果的に排出することができる。このような移動式ブロー洗浄機構を順次移動させながらブロー洗浄を繰り返すことで、プレート式熱交換器の全流路にわたってブロー洗浄水の高い実効流量を確保することができ、伝熱プレート間の一部の流路に多量の汚れが堆積している場合においても当該汚れを的確に排出することができ、流路全体に対して高い洗浄効果を得ることができる。
このように、この発明によれば、従来の方法では困難であったプレート式熱交換器を分解することなく伝熱プレートが取り付けられた状態で高い洗浄効果を得ることができるので、伝熱プレートの取り外しによるガスケットの劣化を防止してガスケットの長寿命化を図ることができ、メンテナンスコストを低減することができる。
また、この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置は、薬液洗浄に使用された薬液を洗浄液貯留タンクにおいて中和処理してブロー洗浄水を生成し、生成されたブロー洗浄水を洗浄液循環ポンプによって移動式ブロー洗浄機構のブロー洗浄水供給配管に供給することによってブロー洗浄を行うことが好ましい。
この発明によれば、洗浄液貯留タンクにおいて薬液洗浄に使用された薬液を中和処理してブロー洗浄水を生成し、生成されたブロー洗浄水を用いてブロー洗浄を行うようにしたので、洗浄液貯留タンクや洗浄液循環ポンプを薬液洗浄とブロー洗浄の両方に共用することができ、プレート式熱交換器の洗浄に要する設備機器を簡素化し、メンテナンスコストを低減することができる。
また、薬液洗浄に続けてブロー洗浄を行うに際して、改めてブロー洗浄水を準備する必要がなく、短時間で薬液洗浄とブロー洗浄を連続的に行うことができ、作業工程を短縮することができる。
また、薬液洗浄を行った薬液は、中和処理を行ってブロー洗浄水として使用するので、処理が必要な廃液の量を低減することができる。
また、この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置は、プレート式熱交換器の一方側の通路の一端側を隔離するフランジであって、移動式ブロー洗浄機構の仕切板が通路の全範囲を移動可能なようにブロー洗浄水供給配管をシール可能にガイドするブロー洗浄水供給配管ガイド機構とプレート式熱交換器の流路を薬液洗浄する際の薬液を排出する薬液排出口とを有する一方側洗浄用フランジと、プレート式熱交換器の他方側の通路の一端側を隔離するフランジであって、プレート式熱交換器の流路を薬液洗浄する際の薬液を供給し、プレート式熱交換器の流路をブロー洗浄する際のブロー洗浄水を排出する開口を有する他方側洗浄用フランジを更に備え、プレート式熱交換器の洗浄対象流路の出口側配管に対して通路の反対側に備えられた出口側点検ホールを開放して一方側洗浄用フランジを設置し、プレート式熱交換器の洗浄対象流路の入口側配管に対して通路の反対側に備えられた入口側点検ホールを開放して他方側洗浄用フランジを設置することが好ましい。
この発明によれば、一方側洗浄用フランジと他方側洗浄用フランジは、いずれもプレート式熱交換器に接続された配管に対して通路の反対側に備えられた点検ホールを開放して設置されるので、プレート式熱交換器から冷却水配管を取り外すことなく隔離するだけで洗浄を行うことができ、作業時間を短縮することができる。
また、この発明によれば、薬液洗浄においては、薬液を対象流路の入口側から供給して出口側に排出する薬液洗浄循環ラインが設定されるので、入口側の伝熱プレートに付着しやすい汚れに対して薬液洗浄を効果的に行うことができ、ブロー洗浄においては、ブロー洗浄水を対象流路の出口側から供給して入口側に排出するブロー洗浄循環ラインが設定されるので、薬液洗浄により分解された多量の汚れや薬液洗浄により分解されない異物を効果的に排出することができ、高い洗浄効果が得られる。
この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置は、移動式ブロー洗浄機構のブロー洗浄水供給配管よりプレート式熱交換器の流路に供給されるブロー洗浄水の供給圧力を監視する圧力計を備え、移動式ブロー洗浄機構による現在の供給範囲の流路におけるブロー洗浄水の供給圧力の回復が一定値以下となったときに、移動式ブロー洗浄機構を次の供給範囲の流路に移動させることによってプレート式熱交換器の全ての流路を洗浄することが好ましい。
この発明によれば、移動式ブロー洗浄機構のブロー洗浄水供給配管より供給されるブロー洗浄水の供給圧力を連続的に監視し、移動式ブロー洗浄機構において現在設定されている供給範囲の流路におけるブロー洗浄水の供給圧力の回復が一定値以下となったときに、当該注入範囲における汚れが排出されたものとして移動式ブロー洗浄機構を次の供給範囲の流路に移動させるので、各供給範囲の流路に堆積している汚れの量に応じてブロー洗浄時間が最適な時間に調節され、全体としてブロー洗浄を効率的に行うことができる。
また、一部の流路に多量の汚れが堆積している場合においても、当該流路を含む一定幅の供給範囲の流路におけるブロー洗浄水の供給圧力の回復があるまでブロー洗浄が継続されるので、全ての流路に対して必要十分な洗浄効果を確保することができる。
なお、ここでいう供給圧力の回復は、所定の時間間隔における圧力の変化を監視し、圧力の減少が一定値以下となったことをもって供給圧力が回復したと判断してもよく、現在の圧力が一定値以下のとなったことをもって供給圧力が回復したと判断してもよい。
また、この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置は、プレート式熱交換器の伝熱プレートの汚れが主として軟質スケールのみを含む場合は、薬液として次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄することのみを行い、プレート式熱交換器の伝熱プレートの汚れが軟質スケールに加えて硬質スケールを含む場合は、薬液として次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄する前洗浄を行った上で、薬液としてリン酸溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄することが好ましい。
発明者による試験により、薬液として安価な次亜塩素酸溶液を用いることでヒドロ虫や生物皮膜などのたんぱく質を主成分とする軟質スケールを低温で短時間に分解できることが確認されており、伝熱プレートの汚れが主として軟質スケールのみである場合は、次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄することのみを行うことで、工期の短縮と、薬剤コストの低減を図ることができる。
また、発明者による試験により、リン酸は軟質スケール以外に硬質スケールも分解するのに対して、次亜塩素酸ナトリウムは硬質スケールを分解しないことが確認されており、伝熱プレートの汚れが軟質スケールに加えて硬質スケールを含む場合には、次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄する前洗浄を行った上で、リン酸溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄することで、高価なリン酸の使用量を抑制することができ、薬剤コストの低減を図ることができる。
このように、洗浄を行う季節や海生生物の生成状況等に対応して洗浄条件を変更させることで、全体として工期の短縮とメンテナンスコストの低減を図ることができる。
また、この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置において、次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いた薬液洗浄は、薬液濃度5000ppm、薬液温度30℃で、1時間以上の薬液洗浄を行うことが好ましく、リン酸溶液を用いた薬液洗浄は、薬剤として界面活性剤を加えたリン酸を用い、薬液濃度10%以上、薬液温度50℃〜70℃で、4時間以上の薬液洗浄を行うか、または、薬液濃度5%、薬液温度70℃で、4時間以上の薬液洗浄を行うことが好ましい。
発明者による試験により、薬液として次亜塩素酸ナトリウム溶液を用い、薬液濃度5000ppm、薬液温度30℃で、1時間経過することで軟質スケールを有効に分解できることが確認されており、伝熱プレートの汚れが主として軟質スケールである場合は、この条件で次亜塩素酸ナトリウム溶液による薬液洗浄とブロー洗浄を行うことで必要な洗浄効果を得ることができる。
また、発明者による試験により、薬液として界面活性剤を加えたリン酸溶液を用い、薬液濃度10%以上、薬液温度50〜70℃として、4時間以上経過することで硬質スケールを有効に分解できることが確認されており、また前述の条件で次亜塩素酸ナトリウム溶液による薬液洗浄とブロー洗浄を行った後であれば、薬液濃度5%、薬液温度70℃で、4時間以上の薬液洗浄とブロー洗浄を行うことでも十分な洗浄効果が得られることが確認されており、伝熱プレートの汚れが軟質スケールに加えて硬質スケールを含む場合は、前述の条件で次亜塩素酸ナトリウム溶液による薬液洗浄とブロー洗浄を行った上で、この条件でリン酸溶液による薬液洗浄とブロー洗浄を行うことで、必要な洗浄効果を得ることができる。
なお、このような薬液濃度や薬液温度の設定は、発明者による試験において設定された代表値であり、これらの代表値に対してある程度の幅を持って同等の効果が得られるものであって、同等の効果が得られる範囲はこれらの代表値に含まれるものと解される。
また、この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置において、ブロー洗浄は、ブロー洗浄水の流速を0.2m/秒以上とすることが好ましい。
発明者による試験により、ブロー洗浄水の流速を0.2m/秒以上とすることで、薬液洗浄により分解された汚れや薬液洗浄により分解されない異物を効果的に排出できることが確認されており、移動式ブロー洗浄機構による各供給範囲の流路におけるブロー流速を0.2m/秒以上とすることで、プレート式熱交換機の全流路において必要な洗浄効果を得ることができる。
また、この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置において、洗浄液貯留タンクは、ブロー洗浄により排出された固形物を回収するネットを有することが好ましい。
この発明によれば、洗浄液貯留タンクにブロー洗浄により排出された固形物を回収するネットを備え、薬液洗浄により分解された汚れの内の固形分や薬液洗浄により分解されない異物を分離回収することができるので、処理が必要な廃液量が削減され、メンテナンスコストを低減することができる。
この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄方法は、熱交換を行う流体を通す開口部を有する複数の伝熱プレートをガスケットを介して積層することによって隣り合う伝熱プレート間に流路が形成され、隣り合う流路に対して異なる流体が流れるように構成されたプレート式熱交換器を、分解することなく前記伝熱プレートが取り付けられた状態で洗浄する方法であって、所定温度に加温された薬液をプレート式熱交換器の流路を所定時間循環させることによってプレート式熱交換器の流路を薬液洗浄する工程と、積層された伝熱プレートの開口部が連通して形成される通路の一端側より挿入され、プレート式熱交換器の流路をブロー洗浄するブロー洗浄水をプレート式熱交換器の流路における一定幅の供給範囲に局所的に供給するように形成され、ブロー洗浄水の供給範囲を通路に沿って移動させることができる移動式ブロー洗浄機構を用いて、プレート式熱交換器の一定幅の供給範囲の流路にブロー洗浄水を循環させることを、移動式ブロー洗浄機構を順次移動させながら繰り返すことによってプレート式熱交換器の全ての流路をブロー洗浄する工程とを少なくとも備えたものである。
この発明によれば、所定温度に加温された薬液をプレート式熱交換器の流路を所定時間循環させることによって行う薬液洗浄に続けて、移動式ブロー洗浄機構を用いたブロー洗浄を行うようにしたので、海生生物等による汚れが付着した流路に対して薬液洗浄により汚れを分解させた直後に、薬液洗浄によって分解された汚れや薬液洗浄によって分解されない異物をブロー洗浄により排出することが可能となり、短い工期で高い洗浄効果を得ることができる。
また、この発明の移動式ブロー洗浄機構は、プレート式熱交換器の限定された一定幅の供給範囲の流路に対してブロー洗浄水を局所的に注水することができるので、当該部分における実効流量が飛躍的に高められ、汚れを剥ぎ取る流速が生まれる。また、各伝熱プレートの流路に対して流路に沿った直接的なブロー流が供給されるので、流路の入口側付近に詰まっている汚れを効果的に排出することができる。このような移動式ブロー洗浄機構を順次移動させながらブロー洗浄を繰り返すことで、プレート式熱交換器の全流路にわたってブロー洗浄水の高い実効流量を確保することができ、伝熱プレート間の一部の流路に多量の汚れが堆積している場合においても当該汚れを的確に排出することができ、流路全体に対して高い洗浄効果を得ることができる。
このように、この発明によれば、従来の方法では困難であったプレート式熱交換器を分解することなく伝熱プレートが取り付けられた状態で高い洗浄効果を得ることができるので、伝熱プレートの取り外しによるガスケットの劣化を防止してガスケットの長寿命化を図ることができ、メンテナンスコストを低減することができる。
また、この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄方法におけるブロー洗浄する工程は、薬液洗浄する工程において使用された薬液を中和処理してブロー洗浄水を生成する工程を含み、生成されたブロー洗浄水を用いて移動式ブロー洗浄機構によりブロー洗浄することが好ましい。
この発明によれば、薬液洗浄に使用された薬液を中和処理してブロー洗浄水を生成し、生成されたブロー洗浄水を用いてブロー洗浄を行うようにしたので、プレート式熱交換器の洗浄に要する設備機器を簡素化し、メンテナンスコストを低減することができる。
また、薬液洗浄に続けてブロー洗浄を行うに際して、改めてブロー洗浄水を準備する必要がなく、短時間で薬液洗浄とブロー洗浄を連続的に行うことができ、作業工程を短縮することができる。
また、薬液洗浄を行った薬液は、中和処理を行ってブロー洗浄水として使用するので、処理が必要な廃液の量を低減することができる。
また、この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄方法は、プレート式熱交換器の洗浄対象流路の入口側配管と出口側配管をそれぞれ隔離し、プレート式熱交換器の流路内の流体を排水する工程と、プレート式熱交換器の洗浄対象流路の出口側配管に対して通路の反対側に備えられた出口側点検ホールを開放し、移動式ブロー洗浄機構が通路の全ての流路を洗浄できるように、通路内にブロー洗浄水を供給するブロー洗浄水供給配管をシール可能にガイドするブロー洗浄水供給配管ガイド機構と薬液洗浄する際の薬液を排出する薬液排出口を有する一方側洗浄用フランジにより隔離する工程と、プレート式熱交換器の洗浄対象流路の入口側配管に対して通路の反対側に備えられた入口側点検ホールを開放し、薬液洗浄する際の薬液を供給し、ブロー洗浄する際のブロー洗浄水を排出する開口を有する他方側洗浄用フランジにより隔離する工程とを更に備え、薬液洗浄する工程は、薬液を他方側洗浄用フランジの開口から供給し、一方側洗浄用フランジの薬液排出口から排出して循環させる薬液洗浄循環ラインを設定する工程を有し、ブロー洗浄する工程は、ブロー洗浄水を移動式ブロー洗浄機構のブロー洗浄水供給配管から供給し、他方側洗浄用フランジのブロー洗浄水排出口から排出して循環させるブロー洗浄水循環ラインを設定する工程とを有することが好ましい。
この発明によれば、一方側洗浄用フランジと他方側洗浄用フランジは、いずれもプレート式熱交換器に接続された配管に対して通路の反対側に備えられた点検ホールを開放して設置されるので、プレート式熱交換器から冷却水配管を取り外すことなく隔離するだけで洗浄を行うことができ、作業時間を短縮することができる。
また、この発明によれば、薬液洗浄においては、薬液を対象流路の入口側から供給して出口側に排出する薬液洗浄循環ラインが設定されるので、入口側の伝熱プレートに付着しやすい汚れに対して薬液洗浄を効果的に行うことができ、ブロー洗浄においては、ブロー洗浄水を対象流路の出口側から供給して入口側に排出するブロー洗浄循環ラインが設定されるので、薬液洗浄により分解された多量の汚れや薬液洗浄により分解されない異物を効果的に排出することができ、高い洗浄効果が得られる。
この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄方法において、ブロー洗浄する工程は、移動式ブロー洗浄機構によりプレート式熱交換器の流路に供給されるブロー洗浄水の供給圧力を監視し、移動式ブロー洗浄機構による現在の供給範囲の流路におけるブロー洗浄水の供給圧力の回復が一定値以下となったときに、移動式ブロー洗浄機構を次の供給範囲の流路に移動させることによって前記プレート式熱交換器の全ての流路をブロー洗浄するように制御する工程を含むことが好ましい。
この発明によれば、移動式ブロー洗浄機構により供給されるブロー洗浄水の供給圧力を連続的に監視し、移動式ブロー洗浄機構による現在の供給範囲の流路におけるブロー洗浄水の供給圧力の回復が一定値以下となったときに、当該供給範囲の流路における汚れが排出されたものとして移動式ブロー洗浄機構を次の供給範囲の流路に移動させるので、各供給範囲の流路に堆積している汚れの量に応じてブロー洗浄時間が最適な時間に調節され、全体としてブロー洗浄を効率的に行うことができる。
また、一部の流路に多量の汚れが堆積している場合においても、当該流路を含む一定幅の供給範囲の流路におけるブロー洗浄水の供給圧力の回復があるまでブロー洗浄が継続されるので、全ての流路に対して必要十分な洗浄効果を確保することができる。
なお、ここでいう供給圧力の回復は、所定の時間間隔における圧力の変化を監視し、圧力の減少が一定値以下となったことをもって供給圧力が回復したと判断してもよく、現在の圧力が一定値以下のとなったことをもって供給圧力が回復したと判断してもよい。
また、この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄方法は、プレート式熱交換器の伝熱プレートの汚れが主として軟質スケールのみを含む場合は、薬液洗浄する工程により薬液として次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄する工程によりブロー洗浄することのみを行い、プレート式熱交換器の伝熱プレートの汚れが軟質スケールに加えて硬質スケールを含む場合は、薬液洗浄する工程により薬液として次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄する工程によりブロー洗浄する前洗浄を行った上で、薬液洗浄する工程により薬液としてリン酸溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄する工程によりブロー洗浄することが好ましい。
発明者による試験により、薬液として安価な次亜塩素酸溶液を用いることでヒドロ虫や生物皮膜などのたんぱく質を主成分とする軟質スケールを低温で短時間に分解できることが確認されており、伝熱プレートの汚れが主として軟質スケールのみである場合は、次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄することのみを行うことで、工期の短縮と、薬剤コストの低減を図ることができる。
また、発明者による試験により、リン酸のような酸剤は軟質スケール以外に硬質スケールも分解するのに対して、次亜塩素酸ナトリウムのようなアルカリ剤は硬質スケールを分解しないことが確認されており、伝熱プレートの汚れが軟質スケールに加えて硬質スケールを含む場合には、次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄する前洗浄を行った上で、リン酸溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄することで、高価なリン酸の使用量を抑制することができ、薬剤コストの低減を図ることができる。
このように、洗浄を行う季節や海生生物の発生状況等に対応して洗浄条件を変更させることで、全体として工期の短縮とメンテナンスコストの低減を図ることができる。
また、この発明にかかるプレート式熱交換器の洗浄方法は、ブロー洗浄する工程により使用されたブロー洗浄水を廃液タンクに回収し、凝集剤を用いて凝集し、固形分を回収する工程を更に備えることが好ましい。
薬液洗浄に続けてブロー洗浄を行った場合には、使用済みのブロー洗浄水は酸・アルカリ排液として処分することが必要となる場合があるが、この発明によれば、ブロー洗浄において使用されたブロー洗浄水を廃液タンクに回収し、凝集剤を用いて凝集し、固形分を回収する工程を備えるので、凝集されたリン等を含む固形分等を分離回収することができ、処理が必要な廃液の量を低減することができる。
本願発明によれば、プレート式熱交換器を分解することなく伝熱プレートが取り付けられた状態で高い洗浄効果を得ることができ、工期の短縮とメンテナンスコストの低減を図ることができるという効果がある。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
この発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置の概略構成図である。 この発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置の移動式ブロー洗浄機構を拡大した断面図解図である。 この発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置を用いた洗浄方法の概略フロー図である。 一般的なプレート式熱交換器の概略構成図である。 この発明のプレート式熱交換器の洗浄装置の薬液洗浄に用いる薬液の種類と最適な洗浄条件を検討するために行ったビーカー試験の結果を示す図である。 この発明のプレート式熱交換器の洗浄装置の洗浄条件を検討するために行ったモデル試験における、ブロー洗浄におけるブロー流速と伝熱プレート上に残った付着物量の関係を示す図である。 この発明のプレート式熱交換器の洗浄装置の洗浄条件を検討するために行ったモデル試験における、次亜塩素酸ナトリウムによる薬液洗浄とブロー洗浄のみを行った場合の汚れ除去効果を示す図である。 この発明のプレート式熱交換器の洗浄装置の洗浄条件を検討するために行ったモデル試験における、次亜塩素酸ナトリウムによる薬液洗浄後にブロー洗浄を行わずにリン酸による薬液洗浄とブロー洗浄を行った場合の汚れ除去効果を示す図である。 この発明のプレート式熱交換器の洗浄装置の洗浄条件を検討するために行ったモデル試験における、次亜塩素酸ナトリウムによる薬液洗浄後にブロー洗浄を行った上でリン酸による薬液洗浄とブロー洗浄を行った場合の汚れ除去効果を示す図である。
図1に、この発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置の概略構成図を示す。図1に示すように、この発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置は、大きく分けて、洗浄液循環システム20と、プレート式熱交換器の通路に挿入して使用される移動式ブロー洗浄機構30とからなる。
洗浄液循環システム20は、洗浄液を貯留する洗浄液貯留タンク22と、洗浄液貯留タンク内の洗浄液を所定の温度に加温するヒーター23と、洗浄液貯留タンク内の洗浄液をプレート式熱交換器10の流路に循環させる洗浄液循環ポンプ24と、循環させる洗浄液の流量を調節する流量調節弁VFCと、循環する洗浄液の流量を計測する流量計26と、プレート式熱交換器の流路への洗浄液の供給圧力を計測する圧力計28とを備える。
移動式ブロー洗浄機構30は、プレート式熱交換器の通路の一端側より通路内に挿入され、ブロー洗浄水を通路内に供給するためのブロー洗浄水供給配管32と、ブロー洗浄水供給配管32の先端に固定され、ブロー洗浄水供給配管により供給されたブロー洗浄水をプレート式熱交換器の流路における一定幅の供給範囲に局所的に供給するための仕切板34とを備え、ブロー洗浄水供給配管32を通路の長手方向に移動させることによって仕切板34が通路に沿って移動し、プレート式熱交換器の全ての流路をブロー洗浄することができるように構成される。
プレート式熱交換器10の海水出口側配管18aが接続されている通路の反対側に備えられた海水出口側点検ホール19aは、洗浄を行う際には開放され、移動式ブロー洗浄機構のブロー洗浄水供給配管32をガイドするブロー洗浄水供給配管ガイド機構42と、薬液洗浄を行う際の薬液を排出する薬液排出口46とを有する上部洗浄用フランジ40によって隔離される。
また、プレート式熱交換器10の海水入口側配管18bが接続されている通路の反対側に備えられた海水入口側点検ホール19bは、薬液洗浄を行う際の薬液を供給し、ブロー洗浄を行う際のブロー洗浄水を排水する開口52を有する下部洗浄用フランジ50によって隔離される。
プレート式熱交換器の海水出口側配管18aは、洗浄を行う際には切り離され、流路内の海水を排出するための海水出口側排水弁VSoutを備えた海水出口側配管隔離フランジ60aによって隔離される。
また、海水入口側配管18bも、洗浄を行う際には切り離され、流路内の海水を排出するための海水入口側排水弁VSinを備えた海水入口側配管隔離フランジ60bによって隔離される。
図2に、この発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置の移動式ブロー洗浄機構30を拡大した断面図解図を示す。移動式ブロー洗浄機構30は、洗浄対象となる一定幅の供給範囲の流路の両端における伝熱プレートの開口部をシールするために、直径が伝熱プレートの開口部の内径に適合する円盤状の2枚のゴム製の仕切板34a、34bと、仕切板34a、34bをそれぞれ外側から支持する支持板36a、36bとを有し、仕切板34aと34bの間隔がブロー洗浄水を局所的に供給する供給範囲の流路の幅に適合するように、仕切板34a、34bと支持板36a、36bとがボルト・ナットにより固定される。そして、一方側の仕切板34aと支持板36aの中心部には、ブロー洗浄水供給配管32が挿通され、ブロー洗浄水供給配管により供給されたブロー洗浄水が仕切板34aと34bの間の流路に集中して供給される。
図2においては、移動式ブロー洗浄機構の仕切板34aと34bの間隔は、プレート式熱交換器においてブロー洗浄水が供給される供給範囲の流路の数が5である場合について例示しているが、移動式ブロー洗浄機構30によりブロー洗浄水が供給される供給範囲の流路の数は、仕切板34aと34bの間隔を調節するボルト・ナットにより変更することができ、洗浄液循環ポンプ24の定格出力に対して、プレート式熱交換器の各流路においてブロー洗浄する際に必要とされる流速に基づいて自由に設定することができる。
上部洗浄用フランジ40は、ブロー洗浄水供給配管32を通過させるための開口を有し、当該開口にはブロー洗浄水供給配管32を移動可能にガイドするブロー洗浄水供給配管ガイド機構42を備える。ブロー洗浄水供給配管ガイド機構42は、ブロー洗浄水供給配管の外形に適合する貫通穴を有するシリコンゴム製の配管シール部材43と、配管シール部材43を上部洗浄用フランジの開口の段差部に固定するための配管シール部材固定板44とを有し、配管シール部材43を、ブロー洗浄水供給配管32が貫通穴を通過した状態で上部洗浄用フランジの開口の段差部に収容し、仕切板34が洗浄対象の流路に設定されるようにブロー洗浄水供給配管32が位置決めされた状態で、配管シール部材固定板44により配管シール部材43を上部洗浄用フランジ40との間で圧接することで、配管シール部材43の貫通穴の内径が収縮し、ブロー洗浄水供給配管32がシールされるように構成されている。
次に、再び図1を参照して、洗浄液貯留タンクに貯留された洗浄液をプレート式熱交換器の流路に循環させる洗浄液循環システム20における洗浄液循環ラインの接続について説明する。
洗浄液循環ポンプ24の出力は、薬液供給弁VCinを介して下部洗浄用フランジ50の開口52に接続され、薬液供給弁VCinを開とすることで薬液をプレート式熱交換器の流路に供給する薬液供給流FCinが形成されるとともに、ブロー洗浄水供給弁VBinを介して上部洗浄用フランジ40のブロー洗浄水供給配管ガイド機構42によってガイドされるブロー洗浄水供給配管32に接続され、ブロー洗浄水供給弁VBinを開とすることでブロー洗浄水をプレート式熱交換器の流路に供給するブロー洗浄水供給流FBinが形成される。
また、上部洗浄用フランジ40の薬液排出口46は、薬液排出弁VCoutを介して洗浄液貯留タンク22に接続され、薬液排出弁VCoutを開とすることで薬液回収流FCoutが形成され、下部洗浄用フランジ50の開口52は、ブロー洗浄水排出弁VBoutを介して洗浄液貯留タンク22への還流ラインに接続され、ブロー洗浄水排出弁VBoutを開とすることでブロー洗浄水回収流FBoutが形成される。
なお、本実施形態においては、薬液洗浄の際にブロー洗浄水供給配管32からも薬液が排出される場合を考慮して、ブロー洗浄水供給配管32は、薬液排出補助弁VCsupを介して洗浄液貯留タンク22の還流ラインに接続されているが、薬液洗浄の際に移動式ブロー洗浄機構の仕切板34をプレート式熱交換器の流路から退避させることができる場合には省略することができる。
以上のような洗浄液循環システム20の構成により、薬液供給弁VCinと薬液排出弁排出弁VCoutと薬液排出補助弁VCsupを開とし、ブロー洗浄供給弁VBinとブロー洗浄水排出弁VBoutを閉として薬液洗浄循環ラインを設定し、洗浄液貯留タンク22において所定濃度・所定温度の薬液を生成して循環させることでプレート式熱交換器の流路を薬液洗浄することができ、ブロー洗浄供給弁VBinとブロー洗浄水排出弁VBoutを開とし、薬液供給弁VCinと薬液排出弁排出弁VCoutと薬液排出補助弁VCsupを閉としてブロー洗浄循環ラインを設定し、洗浄液貯留タンク22において薬液を中和してブロー洗浄水を生成して循環させることでプレート式熱交換器の流路をブロー洗浄することができる。
また、この発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置は、洗浄液循環システム20に備えられた流量計26により計測される洗浄液の流量と圧力計28により計測される洗浄液の供給圧力を監視するために、流量・圧力監視用パソコン70を備え、流量計26により計測された流量に基づいて流量調節弁VFCを操作することで、薬液洗浄を行う際の薬液の流速やブロー洗浄を行う際のブロー洗浄水の流速を調節することができ、圧力計28により計測されたブロー洗浄水の供給圧力の回復が一定値以下となったときに移動式ブロー洗浄機構30によるブロー洗浄水の供給範囲を移動させることでプレート式熱交換器の全ての流路を効率的にブロー洗浄することができる。
なお、図1の実施形態では記載を省略しているが、ブロー洗浄水の排出ラインにはブロー洗浄により排出される固形物を回収するためのネットを備え、薬液洗浄で分解されなかった汚れの内の固形分や薬液洗浄により分解されない異物を分離回収することができる。
上記実施形態では、洗浄液循環システムにおいて、薬液供給弁VCin、薬液排出弁VCout、ブロー洗浄水供給弁VBin、ブロー洗浄水排出弁VBoutを備え、これらの弁の開閉操作を行うことで薬液洗浄とブロー洗浄とを切り替えるようにしたが、薬液洗浄を行う場合とブロー洗浄を行う場合とで配管の繋ぎ換えを行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、洗浄液循環システムを薬液洗浄とブロー洗浄とで共用し、最初に洗浄液貯留タンクに薬液を生成して薬液洗浄を行った後に、洗浄液貯留タンクの薬液を中和してブロー洗浄水を生成してブロー洗浄を行うものとして説明したが、洗浄液循環システムとして薬液洗浄を行うための薬液循環システムとブロー洗浄を行うためのブロー洗浄水循環システムとを個別に備えるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、プレート式熱交換器の配管が接続される側とは反対側の点検ホールを開放し、洗浄用フランジで隔離することにより薬液洗浄とブロー洗浄を行うもととして説明したが、配管側を開放して洗浄用フランジで隔離することで薬液洗浄とブロー洗浄を行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、海水出口側の通路に移動式ブロー洗浄機構を設置し、薬液洗浄は海水入口側通路から薬液を供給して循環し、ブロー洗浄は海水出口側通路からブロー洗浄水を供給して循環するものとして説明したが、洗浄する目的や状況に応じて薬液やブロー洗浄水の循環方向を逆にしてもよい。
また、上記実施形態では、プレート式熱交換器の海水側の流路を洗浄する場合を例にとって説明したが、所内冷却水側に適用することもできることは言うまでもない。
次に、図3を参照して、この発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置を用いてプレート式熱交換器を洗浄する方法を、フローチャートを用いて説明する。
この発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の洗浄方法S100は、最初に海水出入口側配管18a、18bを切り離し、それぞれ海水出入口配管隔離フランジ60a、60bによって隔離し、海水出入口排水弁VSout、VSinを開放してプレート式熱交換器10の流路内の海水を排出する(S102)。
次に、海水出口側点検ホール19aを開放し、移動式ブロー洗浄機構30を挿入し、上部洗浄用フランジ40で隔離する(S104)。また、海水入口側点検ホール19bを開放し、下部洗浄用フランジ50で隔離する(S106)。
次に、薬液供給弁VCinと薬液排出弁VCoutを開とし、ブロー洗浄水供給弁VBinとブロー洗浄水排出弁VBoutを閉とすることで、薬液洗浄循環ラインを設定する(S108)。
そして、洗浄液貯留タンク22に淡水を張り、洗浄液循環ポンプ24を起動して洗浄液をプレート式熱交換器の流路内を循環させながらヒーター23で加温し、洗浄液貯留タンク22に薬液洗浄に使用する薬液を投入して、所定濃度・所定温度の薬液を生成する(S110)。この状態で、流量調節弁VFCにより洗浄液の流量を調節し、生成された薬液を流速0.01m/秒程度で1〜4時間循環させて薬液洗浄を行う(S112)。
薬液洗浄が終了したら、洗浄液貯留タンク22に中和剤を投入して中和処理を行い、ブロー洗浄を行うためのブロー洗浄水を生成する(S114)。
そして、ブロー洗浄水供給弁VBinとブロー洗浄水排出弁VBoutを開とし、薬液供給弁VCinと薬液排出弁VCoutを閉とすることで、ブロー洗浄循環ラインに切換え(S116)、移動式ブロー洗浄機構30の仕切板34を初期供給範囲にセットする(S118)。
次に、流量調節弁VFCにより流量を調節し、生成されたブロー洗浄水を流速0.2m/秒以上で循環させて現在の供給範囲の流路をブロー洗浄する(S120)。
圧力計28により計測されるブロー洗浄水の供給圧力を連続的に監視し、ブロー洗浄水の供給圧力の回復が所定値以下になるまで、S120から繰り返し(S122)、ブロー洗浄水の供給圧力の回復が所定値以下になったら、すべての流路のブロー洗浄が完了するまで(S124)、移動式ブロー洗浄機構30を所定量移動させて次のブロー洗浄水の供給範囲に設定し(S126)、S120から繰り返す。
すべての流路のブロー洗浄が完了したら、洗浄液循環ポンプ24を停止し、ブロー洗浄水を廃液タンク(図示省略)に回収し、廃液タンクに凝集剤を投入して固化した固形分を分離回収し、残った排液は酸・アルカリ排液として処分する(S128)。
以上のような工程により、薬液洗浄に続けて移動式ブロー洗浄機構でブロー洗浄することで、短い工期で高い洗浄効果を得ることができる。
上記実施形態では、薬液洗浄とブロー洗浄をそれぞれ1回ずつ行うものとして説明したが、後述のように伝熱プレートの汚れの状況に応じて複数の薬液を用いて行うようにしてもよい。この場合に、それぞれの薬液による薬液洗浄毎にブロー洗浄を行うことが好ましい。
また、上記実施形態では、移動式ブロー洗浄機構によるブロー洗浄は、プレート式熱交換器の一定幅の供給範囲の流路へのブロー洗浄水の供給圧力を監視し、供給圧力の回復が所定値以下となったときに移動式ブロー洗浄機構を次の供給範囲の流路に移動させることですべての流路をブロー洗浄させるものとして説明したが、単純に供給圧力が一定値以下となった場合に次の供給範囲の流路に移動させるようにしてもよく、現在の供給範囲の流路に対して所定時間のブロー洗浄を行ったら次の供給範囲の流路に移動させるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、図1に記載されたこの発明の一実施形態にかかるプレート式熱交換器の洗浄装置を用いてプレート式熱交換器を洗浄する場合について説明したが、本願発明のプレート式熱交換器の洗浄方法は、これに限定されるものではなく、所定温度に加温された薬液を流路に所定時間循環させる工程と、ブロー洗浄水をプレート式熱交換器の流路における一定幅の供給範囲に供給するように形成された移動式ブロー洗浄機構を用いてブロー洗浄する工程とを実施するものである限りどのような構成の洗浄装置を用いてもよい。
次に、この発明のプレート式熱交換器の洗浄装置および洗浄方法における薬液洗浄に用いる薬液の種類と最適な洗浄条件を検討するために行ったビーカー試験の結果について説明する。
供試材料は、軟質スケールとして、発電所の塵芥より採取されたヒドロ虫と海水ラインの配管内より採取された泥状の生物皮膜を用い、軟質スケールとして、海水取水装置に付着したフジツボ、マガキなどの貝殻を用いた。
使用する薬剤は、海生生物を分解するために有効と考えられるものとして、酸剤としてはリン酸を、アルカリ剤としては水酸化ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウム(以下、単に「次亜塩素酸」と称する)を用い、それらに対して促進剤として界面活性剤を加えた場合とを含めて比較検討することとし、リン酸、リン酸+界面活性剤、水酸化ナトリウム+界面活性剤、次亜塩素酸、次亜塩素酸+界面活性剤の5種類の薬剤を準備した。
ビーカー試験は、軟質スケールと硬質スケールのそれぞれについて、使用可能な薬剤、最適な薬液濃度、最適な薬液温度、薬液洗浄に要する時間を確認するため、軟質スケールを収容した容器と、硬質スケールを収容した容器とを所要数準備し、各薬剤について3段階の濃度に調整した薬液を各容器に加え、各容器を3段階の温度(30℃、50℃、70℃)に設定したウォータバスに入れ、1時間後、4時間後、8時間後の状態を観察した。
図5に、ビーカー試験の結果を示す。
リン酸は、軟質スケールと硬質スケールの両方について、薬液濃度20%、薬液温度70℃、経過時間8時間で良好に分解されることが確認され、薬液濃度10%、薬液温度50℃でも、ある程度は良好に分解されることが確認された。
リン酸+界面活性剤は、リン酸と同様であるが、界面活性剤を加えることで低濃度での効果が改善されるとともに分解に要する時間も短縮され、軟質スケールと硬質スケールの両方について、メーカー推奨濃度である薬液濃度10%以上で、薬液温度50℃〜70℃、経過時間4時間で、またはメーカー推奨濃度以下の薬液濃度5%でも、薬液温度70℃、経過時間8時間で、ほぼ良好に分解されることが確認された。
水酸化ナトリウム+界面活性剤は、軟質スケールと硬質スケールの両方について、いずれの条件でも良好に分解することができないことが確認された。
次亜塩素酸は、硬質スケールに対しては全く効果がなかったが、軟質スケールについては、薬液濃度をメーカー推奨濃度である5000ppm、薬液温度30℃、経過時間1時間で、良好に分解されることが確認された。
次亜塩素酸+界面活性剤は、市販品を用いたものであり薬液濃度の単純比較はできないが、効果的には次亜塩素酸と同等であることが確認された。
以上のように、軟質スケールは、酸剤であるリン酸によっても分解されるが、それ以上にアルカリ剤である次亜塩素酸を用いることで、低温で顕著な分解作用が確認された。これは、軟質スケールの主成分であるたんぱく質がpHの極端な変化により表面や内部の荷電性極性基の荷電状態が変化し、クーロン相互作用によるストレスがかかることによって変性するためであると考えられる。一方、硬質スケールは、酸剤が有効であり、アルカリ剤では反応が認められなかった。これは、硬質スケールの主成分である炭酸カルシウムが酸に反応し、水溶液中ではカルシウムイオンと炭酸ガスに分解されるためであると考えられる。
一般に、伝熱プレートの汚れは、主としてヒドロ虫と生物皮膜などの軟質スケールであるが、少量のカンザシゴカイやフジツボなどの石灰質の殻をもつ硬質スケールが付着している。したがって、リン酸による薬液洗浄によって軟質スケールと硬質スケールの両方に対応させることも可能であるが、リン酸は次亜塩素酸と比較して高価であることから、リン酸と次亜塩素酸を併用する洗浄方法が有効であると考えられる。
この場合に、リン酸は軟質スケールと硬質スケールの両方に反応するので、軟質スケールがある状態でリン酸を使用すると、軟質スケールの分解にリン酸が消費され、後に硬質スケールを分解するために余分なリン酸が必要となる。したがって、リン酸による薬液洗浄と次亜塩素酸による薬液洗浄の順序は、次亜塩素酸による薬液洗浄を行った後にリン酸による薬液洗浄を行うことが好ましく、これにより使用するリン酸の量を抑制することができ、薬剤コストの低減を図ることができる。
次に、上記ビーカー試験の結果に基づいて、実際のプレート式熱交換器の汚れに対する薬液洗浄の効果を確認するために行ったモデル試験の結果について説明する。
モデル試験は、小型のプレート式熱交換器(伝熱プレート枚数187)を臨海試験場に設置し、海水を30/分で4週間以上連続通水して海生生物を付着させたものを対象とし、洗浄条件として、リン酸10%溶液(界面活性剤添加)を70℃で4時間の薬液洗浄と、リン酸5%溶液(界面活性剤添加)を70℃で8時間の薬液洗浄と、次亜塩素酸5000ppm溶液を30℃で4時間の薬液洗浄と、次亜塩素酸による薬液洗浄とリン酸による薬液洗浄を併用した場合の4種類について、それぞれ流量10/分で薬液洗浄を行った後に、水道水による流量10/分で10分間のリンスと、水道水による流量100/分で10分間のブローを行い、伝熱プレートの付着物量と洗浄水の圧力の変化を調べるとともに、伝熱プレートの表面状態の変化を観察した。
その結果、リン酸10%溶液による薬液洗浄ではヒドロ虫と生物皮膜の大部分を取り除くことができ、フジツボは完全に除去できたが、リン酸5%溶液による薬液洗浄では2倍の時間をかけたにも拘らずヒドロ虫を完全には除去できなった。これに対して、薬液単価の安い次亜塩素酸による薬液洗浄では、約1時間の薬液洗浄でヒドロ虫はほぼ完全に除去することができたが、ビーカー試験と同様に、フジツボなどの炭酸カルシウムを含むものには全く効果がなかった。
また、次亜塩素酸5000ppm溶液を30℃で4時間の薬液洗浄後に、リン酸5%溶液(界面活性剤添加)を70℃で8時間の薬液洗浄を行い、水道水によるリンスと水道水によるブローを行ったところ、リン酸10%溶液のみによる薬液洗浄よりも良好な洗浄結果が得られた。
したがって、実機での洗浄条件としては、薬剤コスト低減のため、次亜塩素酸5000ppm溶液を30℃で1時間の薬液洗浄を行った後に、リン酸5%溶液(界面活性剤添加)を70℃で1時間の薬液洗浄を行うことが好ましいと考えられた。
次に、上記モデル試験において推奨された洗浄条件で、実際に発電所で使用されているプレート式熱交換器について所期の洗浄効果が得られるか否かを確認するために行った実機試験の結果について説明する。
なお、実機試験に先立って、モデル試験で使用した薬液について、プレート式熱交換器に使用されている各部品(チタン(伝熱プレート)、ステンレス304(配管材料)、NBR(ガスケット)、ポリエチレン(配管ライニング))に対する影響を確認する試験を行ったが、いずれの薬液条件においても、変色・錆などの異常はなく、感触・硬さにおいても変化は生じず、実機に適用しても問題がないことが確認された。
実機試験は、火力発電所において実際に使用されているプレート式熱交換器(伝熱プレート数255枚)を対象とし、洗浄工程は、環境汚染を発生させないように、洗浄液循環タンクに工業用水を張り、ヒーターで30℃に加温し、5000ppmの次亜塩素酸溶液を生成し、300/分で1時間の薬液洗浄を行った後、チオ硫酸ナトリウムを残留塩素が無くなるまで添加して中和処理を行って廃液として回収し、改めて洗浄液循環タンクに工業用水を張り、ヒーターで70℃に加温し、5%のリン酸溶液(界面活性剤添加)を生成し、300/分で4時間の薬液洗浄を行い、水酸化ナトリウムを添加して中和処理を行って廃液として回収した上で、洗浄循環タンクに工業用水を張って300/分で1時間のリンスを行って廃液タンクに回収した後、海水によって28000/分でブローを行い、伝熱プレートの汚れの除去状況、熱交換器の冷却性能の回復状況について確認するとともに、廃液の水質分析を行って処理が必要な廃液量について確認した。
その結果、詳細説明は省略するが、この洗浄方法では、伝熱プレートの汚れを十分に除去することができず熱交換器の冷却性能の回復が十分でなかったこと、廃液の処分量が多くコスト高となることが分かった。伝熱プレートの汚れを十分に除去できなかった要因としては、次の3つの要因が考えられる。
(1)次亜塩素酸による薬液洗浄の際にブローをしなかったこと
リン酸による薬液洗浄の際に、伝熱プレート上に次亜塩素酸のよる薬液洗浄によって分解された堆積物が多量に残っているためにリン酸による薬液洗浄の効果が十分に得られなかった可能性がある。
(2)ブローの流量が不足していること
伝熱プレート間の流路は狭く、薬液洗浄によって分解された堆積物を洗い流すために必要な流速が出ない箇所が生じていると考えられる。
(3)流路内に松葉や繊維などの異物が含まれていた
このような異物は、通常の薬液洗浄で分解することが困難であることがビーカー試験で確認されており、海水入口側にこれらに異物の混入を防止するストレーナを設けることが推奨されるが、ストレーナによって除去できないものは薬液洗浄後のブローにより排出できるようにすることが望ましい。
なお、冷却性能が十分に回復しない問題は、所内冷却水側の流路における汚れの問題もあったが、ここでは説明を省略する。
廃液の処分量の問題は、薬液洗浄に使用した薬液を中和処理して廃液とした上で、改めて工業用水によってリンスしたため、リンスに使用した洗浄水も廃液として処分する必要が生じたからであり、中和処理した薬液でリンスすることで処分する廃液量を低減することができると考えられる。また、上記洗浄方法では工業用水によってリンスした後に海水でブローしており、海水ブローにより伝熱プレート上に堆積された汚れが海水中に放出されることになるが、中和処理した薬液を循環させてブロー洗浄し、ブロー洗浄水を廃液処理することで、海を汚すことがなくなり、好ましいと考えられる。
次に、以上のような実機試験の知見に基づき、次亜塩素酸による薬液洗浄後のブロー洗浄の有効性を確認することと、ブロー洗浄において薬液洗浄後の伝熱プレート上の堆積物を洗い流すために必要な流速を確認することを主な目的として行った第2回モデル試験の結果について説明する。
第2回モデル試験では、小型のプレート式熱交換器(伝熱プレート数43枚)を臨海試験場に設置し、冬場であったため海水(40/分)を2ヶ月以上連続通水して海生生物を付着させたものを対象とし、薬液洗浄の流量は実機試験時の流速に相当する2/分とし、次亜塩素酸5000ppm溶液を30℃で1時間の薬液洗浄を行った後に、伝熱プレートを所要数ごとに分けて流速を4段階に変化させてブローを行ったときの伝熱プレートに残留する付着物の差異を確認する試験と、当該試験により推奨される最適ブロー流速を用いて、次亜塩素酸による薬液洗浄とブロー洗浄のみを行った場合と、次亜塩素酸による薬液洗浄後にブロー洗浄を行わずにリン酸5%溶液(界面活性剤添加)を70℃で4時間薬液洗浄してブロー洗浄を行った場合と、次亜塩素酸による薬液洗浄後にブロー洗浄を行った上でリン酸5%溶液(界面活性剤添加)を70℃で4時間薬液洗浄してブロー洗浄を行った場合とを比較する試験とを行った。なお、ブロー時間は5分間とした。
図6に、次亜塩素酸による薬液洗浄後にブロー流速を変化させてブロー洗浄を行ったときの、ブロー流速と伝熱プレート上の付着物量の関係を示す。図に示すように、ブロー流速10cm/秒では、付着物量は3分の2程度に減少しているものの伝熱プレートの全面に多くの付着物が残っていたが、ブロー流速20cm/秒では、ほとんどの付着物が洗い流されており、ブロー流速を30cm/秒としても変化がないことから、推奨されるブロー流量は20cm/秒以上と考えられる。
また、図7〜9に、それぞれ、次亜塩素酸による薬液洗浄とブロー洗浄のみを行った場合と、次亜塩素酸による薬液洗浄後にブロー洗浄を行わずにリン酸による薬液洗浄とブロー洗浄を行った場合と、次亜塩素酸による薬液洗浄後にブロー洗浄を行った上でリン酸による薬液洗浄とブロー洗浄を行った場合の伝熱プレートの汚れの除去効果を示す。
図7に示すように、次亜塩素酸による薬液洗浄のみであっても、流速20cm/秒以上でブローを行うことでほとんどの汚れは除去できていることが確認された。したがって、伝熱プレートに付着する汚れが、主としてヒドロ虫や生物皮膜等のようなたんぱく質を主成分とする軟質スケールのみである場合には、次亜塩素酸による薬液洗浄とブロー洗浄のみでも、ある程度の洗浄効果は得られると考えられる。
一方、伝熱プレートに付着する汚れが、軟質スケールに加えて貝類のような炭酸カルシウムを主成分とする硬質スケールが含まれる場合には、次亜塩素酸による薬液洗浄後にリン酸による薬液洗浄を行うことが必要となるが、図8に示すように、次亜塩素酸による薬液洗浄後にブローを行わない場合には、酸によってたんぱく質が変性して伝熱プレートに固着する現象が伝熱プレートの全面に点在して確認されたのに対して、図9に示すように、次亜塩素酸による薬液洗浄後にブローを行った場合には、ほとんどの汚れは洗い流され、ブローを行わなかった場合に見られたようなたんぱく質の固着はほとんど確認されなかった。したがって、次亜塩素酸による薬液洗浄後にリン酸による薬液洗浄を行う場合には、次亜塩素酸による薬液洗浄後にブロー洗浄を行った上でリン酸(界面活性剤添加)による薬液洗浄とブロー洗浄を行うことが好ましいと考えられる。
以上のことから、貝殻等の硬質スケールの付着が少ない季節には、次亜塩素酸による薬液洗浄とブロー洗浄のみを行い、硬質スケールの付着が多くなってきた時点で、次亜塩素酸による薬液洗浄とブロー洗浄を行った上でリン酸(界面活性剤添加)による薬液洗浄とブロー洗浄を行うことが推奨される。このように季節やスケールの発生状況に応じて薬液洗浄を使い分けることで、全体としてのリン酸の消費量を抑制することができ、工期の短縮と薬剤コストの低減を図ることができる。
次に、以上のような第2回モデル試験によって推奨された洗浄条件で、改めて実際に発電所で使用されているプレート式熱交換器において所期の洗浄効果が得られることを確認するために行った第2回実機試験の結果について説明する。
第2回実機試験では、ブロー洗浄において伝熱プレート間の各流路において必要なブロー流速が得られるようにするために、図1の実施形態で説明した移動式ブロー洗浄機構を用いてブロー洗浄を行う構成としたが、薬液洗浄とブロー洗浄の切り替えは配管の繋ぎ換えによって行った。なお、各伝熱プレート間の流路において20cm/秒のブロー流速を確保できるようにするため、2つの仕切板の間隔を約10流路とし、流路全体を14等分してブロー洗浄を行うようにした。
洗浄手順は、最初に次亜塩素酸による前洗浄として、洗浄液循環ラインを薬液洗浄循環ラインに設定し、洗浄水貯留タンクに淡水を張り、洗浄液循環ポンプで循環させながらヒーターで30℃に加温し、次亜塩素酸を加えて5000ppmの次亜塩素酸溶液を作り、1時間の薬液洗浄を行った後、チオ硫酸ナトリウムを加えて中和処理を行い、洗浄液循環ラインをブロー洗浄循環ラインに繋ぎ換え、仕切板をスタンドフレームからエンドフレームに移動させながら中和した洗浄液を流路に局所的に注水することで各供給範囲の流路につき5分間のブロー洗浄を行った。ブロー洗浄により押し出された汚れは、目合100μmのナイロン製ネットで受けて回収し、ブロー後の洗浄液は廃液処理のため廃液タンクに回収した。
次に、再び洗浄液循環ラインを薬液洗浄循環ラインに繋ぎ換え、リン酸による後洗浄として、洗浄液貯留タンクに淡水を張り、洗浄液循環ポンプで循環させながらヒーターで70℃に加温し、リン酸(界面活性剤添加)を加えて5%のリン酸溶液を作り、4時間の薬液洗浄を行った後、水酸化ナトリウムを加えてpH4.0を超えたところで排水して廃液タンクに回収し、熱交換器内に残った洗浄液を淡水で洗い流すリンスを行い、このリンス水を用いて上記のブロー洗浄を行い、所内の排水処理装置で排水可能なレベルまで希釈して処理した。
上記洗浄手順で、リン酸による薬液洗浄後の水酸化ナトリウムによる中和をpH4.0で打ち切ったのは、産業廃棄物として処理する場合の処理単価はpH2.0以上では同じであることから、中和剤に要するコストを低減するために、作業に危険のない程度までの中和にとどめたものである。
なお、リン酸による薬液洗浄後のブロー洗浄において、5分後、10分後、15分後の汚れ回収量を比較したところ、10分後以降ではほとんど認められず、リン酸による薬液洗浄後のブロー洗浄は10分間が適切であると考えられる。
上記洗浄手順により、次亜塩素酸による薬液洗浄後のブロー洗浄によりネットに回収された汚れは、化学繊維や松葉を中心に約1100gであり、ブロー洗浄後の洗浄液は泥水のように汚れていた。これに対し、リン酸による薬液洗浄後のブロー洗浄では、同様に化学繊維や松葉を中心に約110gがネットに回収されたが、ブロー洗浄後の洗浄液は若干の浮遊物質があるものの、泥水のように濁ることはなかった。
また、上記洗浄手順による洗浄後の熱交換器の冷却性能を確認した結果、洗浄前の終端温度が3.3℃であったものが、2.1℃にまで回復しており、分解洗浄後まもない他系統の熱交換器と比較しても遜色のない値であり、冷却性能は十分に回復していると考えられる。
また、上記洗浄手順における作業時間は、実質2日間(準備を含めても3日間)であり、従来の分解洗浄では5日間(復旧までに7日間)を要していたことから見て、工期を大幅に短縮できることが立証された。
以上のように、この発明の実施形態にかかる洗浄装置および洗浄方法により、プレート式熱交換器を分解することなく伝熱プレートが取り付けられた状態で、従来の分解洗浄と同等の洗浄効果を得ることができ、従来の分解洗浄よりも短い工期で効率的にプレート式熱交換器を洗浄できることが立証された。
以上のように、本願発明によれば、発電所等に設置されたプレート式熱交換器を、分解することなく伝熱プレートが取り付けられた状態で高い洗浄効果を得ることができ、工期の短縮とメンテナンスコストの低減を図ることができる。
尚、本願発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本願発明の効果を奏する限り、各実施形態で述べた構成要素を適宜入れ替えたり、新たな構成要素を追加したり、一部の構成要素を削除したりしてもよいことはいうまでもない。
10 プレート式熱交換器
11 伝熱プレート
12 ガスケット
13a 海水出口側通路の開口部
13b 海水入口側通路の開口部
13c 所内冷却水入口側通路の開口部
13d 所内冷却水出口側通路の開口部
14 固定フレーム
15 支持フレーム
16a 上部ガイドバー
16b 下部ガイドバー
17 移動フレーム
18a 海水出口側配管
18b 海水入口側配管
19a 海水出口側点検ホール
19b 海水入口側点検ホール
20 洗浄液循環システム
22 洗浄液貯留タンク
23 ヒーター
24 洗浄液循環ポンプ
26 流量計
28 圧力計
30 移動式ブロー洗浄機構
32 ブロー洗浄水供給配管
34 仕切板
34a、34b 仕切板
36 支持板
40 上部洗浄用フランジ
42 ブロー洗浄水供給配管ガイド機構
43 配管シール部材
44 配管シール部材固定板
46 薬液排出口
50 下部洗浄用フランジ
52 薬液の供給とブロー洗浄水の排出のための開口
60a 海水出口側配管隔離用フランジ
60b 海水入口側配管隔離用フランジ
70 流量・圧力監視用パソコン

Claims (14)

  1. 熱交換を行う流体を通す開口部を有する複数の伝熱プレートをガスケットを介して積層することによって隣り合う伝熱プレート間に流路が形成され、隣り合う流路に対して異なる流体が流れるように構成されたプレート式熱交換器を、分解することなく前記伝熱プレートが取り付けられた状態で洗浄する装置であって、
    前記プレート式熱交換器の流路を洗浄する洗浄液を貯留する、洗浄液貯留タンクと、
    前記洗浄液を所定の温度に加温する、ヒーターと、
    前記洗浄液を前記プレート式熱交換器の流路に循環させる、洗浄液循環ポンプと、
    前記積層された伝熱プレートの開口部が連通して形成される通路の一端側より挿入され、前記通路にブロー洗浄水を供給するブロー洗浄水供給配管と、前記ブロー洗浄水供給配管の先端部に固定され、前記通路において一定距離離れた2箇所の伝熱プレートの開口部をシールする仕切板とを有し、前記ブロー洗浄水供給配管により供給されるブロー洗浄水を前記プレート式熱交換器の流路における一定幅の供給範囲に局所的に供給するように形成され、前記ブロー洗浄水の供給範囲を前記通路に沿って移動させることができる、移動式ブロー洗浄機構と、
    を備え、
    前記洗浄液貯留タンクにおいて前記ヒーターにより所定温度に加温された薬液を生成し、前記生成された薬液を前記洗浄液循環ポンプにより前記プレート式熱交換器の流路を所定時間循環させることによって薬液洗浄した後に、前記移動式ブロー洗浄機構により前記プレート式熱交換器の一定幅の供給範囲の流路にブロー洗浄水を循環させることを、前記移動式ブロー洗浄機構を順次移動させながら繰り返すことによって前記プレート式熱交換器の全ての流路をブロー洗浄するようにしたことを特徴とする、プレート式熱交換器の洗浄装置。
  2. 前記薬液洗浄に使用された薬液を前記洗浄液貯留タンクにおいて中和処理してブロー洗浄水を生成し、前記生成されたブロー洗浄水を前記洗浄液循環ポンプによって前記移動式ブロー洗浄機構のブロー洗浄水供給配管に供給することによって前記ブロー洗浄を行うようにしたことを特徴とする、請求項1に記載のプレート式熱交換器の洗浄装置。
  3. 前記プレート式熱交換器の一方側の通路の一端側を隔離するフランジであって、前記移動式ブロー洗浄機構の仕切板が前記通路の全範囲を移動可能なように前記ブロー洗浄水供給配管をシール可能にガイドするブロー洗浄水供給配管ガイド機構と、前記プレート式熱交換器の流路を薬液洗浄する際の薬液を排出する薬液排出口とを有する、一方側洗浄用フランジと、
    前記プレート式熱交換器の他方側の通路の一端側を隔離するフランジであって、前記プレート式熱交換器の流路を薬液洗浄する際の薬液を供給し、前記プレート式熱交換器の流路をブロー洗浄する際のブロー洗浄水を排出する開口を有する、他方側洗浄用フランジと、
    を更に備え、
    前記プレート式熱交換器の洗浄対象流路の出口側配管に対して前記通路の反対側に備えられた出口側点検ホールを開放して前記一方側洗浄用フランジを設置し、前記プレート式熱交換器の洗浄対象流路の入口側配管に対して前記通路の反対側に備えられた入口側点検ホールを開放して前記他方側洗浄用フランジを設置するようにしたことを特徴とする、請求項1または2に記載のプレート式熱交換器の洗浄装置。
  4. 前記移動式ブロー洗浄機構のブロー洗浄水供給配管より前記プレート式熱交換器の流路に供給されるブロー洗浄水の供給圧力を監視する圧力計を備え、前記移動式ブロー洗浄機構による現在の供給範囲の流路におけるブロー洗浄水の供給圧力の回復が一定値以下となったときに、前記移動式ブロー洗浄機構を次の供給範囲の流路に移動させることによって前記プレート式熱交換器の全ての流路を洗浄するようにしたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のプレート式熱交換器の洗浄装置。
  5. 前記プレート式熱交換器の伝熱プレートの汚れが主として軟質スケールのみを含む場合は、前記薬液として次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄することのみを行い、
    前記プレート式熱交換器の伝熱プレートの汚れが軟質スケールに加えて硬質スケールを含む場合は、前記薬液として次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄する前洗浄を行った上で、前記薬液としてリン酸溶液を用いて薬液洗浄した後にブロー洗浄するようにしたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のプレート式熱交換器の洗浄装置。
  6. 前記次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いた薬液洗浄は、薬液濃度5000ppm、薬液温度30℃で、1時間以上の薬液洗浄を行い、
    前記リン酸溶液を用いた薬液洗浄は、前記薬液として界面活性剤を加えたリン酸溶液を用い、薬液濃度10%以上、薬液温度50℃〜70℃で、4時間以上の薬液洗浄を行うか、または薬液濃度5%、薬液温度70℃として、4時間以上の薬液洗浄を行う、
    ようにしたことを特徴とする、請求項5に記載のプレート式熱交換器の洗浄装置。
  7. 前記ブロー洗浄は、前記ブロー洗浄水の流速を0.2m/秒以上とすることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のプレート式熱交換器の洗浄装置。
  8. 前記洗浄液貯留タンクは、前記ブロー洗浄により排出された固形物を回収するネットを有することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のプレート式熱交換器の洗浄装置。
  9. 熱交換を行う流体を通す開口部を有する複数の伝熱プレートをガスケットを介して積層することによって隣り合う伝熱プレート間に流路が形成され、隣り合う流路に対して異なる流体が流れるように構成されたプレート式熱交換器を、分解することなく前記伝熱プレートが取り付けられた状態で洗浄する方法であって、
    所定温度に加温された薬液を前記プレート式熱交換器の流路を所定時間循環させることによって前記プレート式熱交換器の流路を薬液洗浄する工程と、
    前記積層された伝熱プレートの開口部が連通して形成される通路の一端側より挿入され、前記プレート式熱交換器の流路をブロー洗浄するブロー洗浄水を前記プレート式熱交換器の流路における一定幅の供給範囲に局所的に供給するように形成され、前記ブロー洗浄水の供給範囲を前記通路に沿って移動させることができる移動式ブロー洗浄機構を用いて、前記プレート式熱交換器の一定幅の供給範囲の流路にブロー洗浄水を循環させることを、前記移動式ブロー洗浄機構を順次移動させながら繰り返すことによって前記プレート式熱交換器の全ての流路をブロー洗浄する工程と、
    を少なくとも備えたことを特徴とする、プレート式熱交換器の洗浄方法。
  10. 前記ブロー洗浄する工程は、前記薬液洗浄する工程において使用された薬液を中和処理してブロー洗浄水を生成する工程を含み、前記生成されたブロー洗浄水を用いて前記移動式ブロー洗浄機構によりブロー洗浄するようにしたことを特徴とする、請求項9に記載のプレート式熱交換器の洗浄方法。
  11. 前記プレート式熱交換器の洗浄対象流路の入口側配管と出口側配管をそれぞれ隔離し、前記プレート式熱交換器の流路内の流体を排水する工程と、
    前記プレート式熱交換器の洗浄対象流路の出口側配管に対して前記通路の反対側に備えられた出口側点検ホールを開放し、前記移動式ブロー洗浄機構が前記通路の全ての流路を洗浄できるように、前記通路内にブロー洗浄水を供給するブロー洗浄水供給配管をシール可能にガイドするブロー洗浄水供給配管ガイド機構と、前記薬液洗浄する際の薬液を排出する薬液排出口とを有する一方側洗浄用フランジにより隔離する工程と、
    前記プレート式熱交換器の洗浄対象流路の入口側配管に対して前記通路の反対側に備えられた入口側点検ホールを開放し、前記薬液洗浄する際の薬液を供給し、前記ブロー洗浄する際のブロー洗浄水を排出する開口を有する他方側洗浄用フランジにより隔離する工程と、
    を更に備え、
    前記薬液洗浄する工程は、前記薬液を前記他方側洗浄用フランジの開口から供給し、前記一方側洗浄用フランジの薬液排出口から排出して循環させる薬液洗浄循環ラインを設定する工程を有し、
    前記ブロー洗浄する工程は、前記ブロー洗浄水を前記移動式ブロー洗浄機構のブロー洗浄水供給配管から供給し、前記他方側洗浄用フランジのブロー洗浄水排出口から排出して循環させるブロー洗浄水循環ラインを設定する工程を有する、
    ことを特徴とする、請求項9または10に記載のプレート式熱交換器の洗浄方法。
  12. 前記ブロー洗浄する工程は、前記移動式ブロー洗浄機構により前記プレート式熱交換器の流路に供給されるブロー洗浄水の供給圧力を監視し、前記移動式ブロー洗浄機構による現在の供給範囲の流路におけるブロー洗浄水の供給圧力の回復が一定値以下となったときに、前記移動式ブロー洗浄機構を次の供給範囲の流路に移動させることによって前記プレート式熱交換器の全ての流路をブロー洗浄するように制御する工程を含むことを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載のプレート式熱交換器の洗浄方法。
  13. 前記プレート式熱交換器の伝熱プレートの汚れが主として軟質スケールのみを含む場合は、前記薬液洗浄する工程により前記薬液として次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて薬液洗浄した後に前記ブロー洗浄する工程によりブロー洗浄することのみを行い、
    前記プレート式熱交換器の伝熱プレートの汚れが軟質スケールに加えて硬質スケールを含む場合は、前記薬液洗浄する工程により前記薬液として次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて薬液洗浄した後に前記ブロー洗浄する工程によりブロー洗浄する前洗浄を行った上で、前記薬液洗浄する工程により前記薬液としてリン酸溶液を用いて薬液洗浄した後に前記ブロー洗浄する工程によりブロー洗浄するようにしたことを特徴とする、請求項9〜12のいずれかに記載のプレート式熱交換器の洗浄方法。
  14. 前記ブロー洗浄する工程において使用されたブロー洗浄水を廃液タンクに回収し、凝集剤を用いて凝集し、固形分を回収する工程を更に有することを特徴とする、請求項9〜13のいずれかに記載のプレート式熱交換器の洗浄方法。
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