JP6249130B1 - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体、並びに車両外装部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐候性、耐衝撃性、及び表面外観の良好な熱可塑性樹脂組成物、その熱可塑性樹脂組成物より得られる成形体、及びその成形体を含む車両外装部品を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂(G)、光安定剤(D)、外線吸収剤(E)、及び酸化防止剤(F)を含む熱可塑性樹脂組成物。熱可塑性樹脂(G)は、グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)、及びビニル系共重合体(C)とからなる。グラフト共重合体(A)のゴム質重合体(a)の体積平均粒子径は0.3〜0.6μmで、グラフト共重合体(B)のゴム質重合体(b)の体積平均粒子径は0.07〜0.2μm。【選択図】なし

Description

本発明は、耐候性、耐衝撃性、及び表面外観に優れた成形体を得ることができる熱可塑性樹脂組成物と、その熱可塑性樹脂組成物より得られる成形体、及びその成形体を含む車両外装部品に関する。
車両外装部品の多くは、軽量性やデザインの自由度の観点から、熱可塑性樹脂からなる成形体が使用されている。通常、これらの外装部品には、耐候性や装飾性を付与する目的で塗装処理を施すことが多い。
しかし、塗装工程に使用する塗料には、人体や環境に影響を及ぼす恐れのある揮発性有機化合物(VOC)が含まれている。近年、人体や環境への負荷低減を目的に、車両外装部品の無塗装化の要求が高まってきている。外装部品を無塗装化することで、塗装時に発生するVOCを削減できるとともに、塗装工程の省略によるコストダウンや塗装起因の不良率の低減、リードタイムの短縮といった効果も期待でき、非常に有利である。
車両外装部品は屋外に曝されているため、無塗装化するにあたり、その成形体には耐候性が要求される。耐候性の要求レベルは部品の装着位置で4段階に分類され、最も耐候性の要求レベルが低いのは直接太陽光が照射されない部品(例えばランプハウジングなど)で、次がベルトラインよりも下部に装着される部品(例えば、サイドモール、マッドガード、アシストステップ、バンパーなど)、その次がベルトラインよりも上の傾斜面に装着される部品(例えば、カウルベント、ピラー、ラジエーターグリル、ドアミラーハウジングなど)、最も耐候性の要求レベルが高いのはベルトラインよりも上部の水平面に装着される部品(例えばスポイラーなど)である。一般的に、車両における部品の装着位置が高くなるほど、より高レベルの耐候性が要求される。これは、装着位置によって太陽光から受ける放射露光量が異なるためである。
例えば、キセノンウェザーメーターで、上述の各外装部品を想定した促進耐候性試験を行う場合、波長340nmの光の照射照度を0.55W/mに設定すると、各外装部品の放射露光量は、直接太陽光が照射されない部品は1250kJ/m、ベルトラインよりも下部に装着される部品は2500kJ/m、ベルトラインよりも上部の傾斜面に装着される部品は3500kJ/m、ベルトラインよりも上部の水平面に装着される部品は4500kJ/mといった具合になる。
無塗装で車両外装部品に適用される成形体にはまた、上記のような耐候性に加えて、無塗装で優れた表面外観を呈することが必要とされる。また、車両外装部品としての薄肉軽量化を図るための耐衝撃性も要求されるため、無塗装化にあたり、これら複数の特性を高いレベルで兼ね備えた成形体を提供し得る樹脂材料に対するニーズが高まっている。
耐衝撃性と表面外観に優れた成形体が得られる熱可塑性樹脂として代表的なものに、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)が知られている。しかし、ABS樹脂はゴム成分として共役ジエン系ゴムであるポリブタジエンを使用しており、これが紫外線により分解されやすいことから、ABS樹脂より得られる成形体は耐候性に劣るという欠点がある。
ABS樹脂の耐候性を改良した樹脂として、アクリル酸エステル系ゴムをゴム成分とするアクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(ASA樹脂)が知られている。しかし、ASA樹脂より得られる成形体は、ABS樹脂より得られる成形体に比べ一般的に耐衝撃性に劣る傾向がある。
耐候性、耐衝撃性、及び表面外観に優れる熱可塑性樹脂組成物として、例えば特許文献1には、アクリルゴム系グラフト共重合体と、ジエン系グラフト共重合体と、芳香族ビニル共重合体と、光安定剤と紫外線吸収剤とを含む熱可塑性樹脂組成物が開示されている。また、耐衝撃性、剛性、表面外観に優れる熱可塑性樹脂組成物として、特許文献2にはアクリルゴム系グラフト共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
特表2015−537090号公報 特開2012−214734号公報
しかしながら、特許文献1に記載の熱可塑性樹脂組成物は、耐候性に劣るジエン系グラフト共重合体が使用されており、特許文献1中の耐候性試験の結果から鑑みるに、その成形体を車両外装部品に適用しようとすると、その耐候性のレベルはランプハウジング等の直接太陽光に曝されない部品に限定されるものとなる。
また、特許文献2には、具体的に耐候性に対する効果を検証した記載はなく、その実施例の構成から鑑みるに、ベルトラインよりも下部に装着される部品であれば、耐候性の要求レベルを満足できる可能性はあるものの、ベルトラインより上の傾斜面や水平面に取り付ける部品のように、更に高レベルの耐候性が要求される部品に対しては、その要求レベルを満足し得るものではない。
本発明は、各種車両外装部品の無塗装化に要求される耐候性及び表面外観と、薄肉化に必要な耐衝撃性を兼ね備える熱可塑性樹脂組成物と、この熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体、及びその成形体を使用した車両外装部品を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂としての2種類のグラフト共重合体の粒子径及びグラフト率を制御し、この熱可塑性樹脂に特定の構造を有する光安定剤、紫外線吸収剤、及び酸化防止剤を所定の割合で配合することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 下記の熱可塑性樹脂(G)、光安定剤(D)、紫外線吸収剤(E)、及び酸化防止剤(F)を含み、熱可塑性樹脂(G)100質量部に対して、光安定剤(D)を0.1〜1.5質量部、紫外線吸収剤(E)を0.1〜1.5質量部、酸化防止剤(F)を0.1〜3質量部含む熱可塑性樹脂組成物。
熱可塑性樹脂(G):グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)、及びビニル系共重合体(C)からなり、グラフト共重合体(A)は、アクリル酸エステル系単量体単位と多官能性単量体単位を含み、主鎖に共役ジエン単量体単位を含まない、体積平均粒子径0.3〜0.6μmのゴム質重合体(a)に、ビニル系単量体がグラフトされたグラフト率が40〜80%のグラフト共重合体であり、グラフト共重合体(B)は、アクリル酸エステル系単量体単位と多官能性単量体単位を含み、主鎖に共役ジエン単量体単位を含まない、体積平均粒子径0.07〜0.2μmの、ゴム質重合体(b)に、ビニル系単量体がグラフトされたグラフト率が40〜80%のグラフト共重合体であり、ビニル系共重合体(C)は、芳香族ビニル系単量体の単独重合体、又は少なくともシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体とを共重合してなる共重合体であり、熱可塑性樹脂(G)に含まれるゴム質重合体の総量100質量%中に、ゴム質重合体(a)を20〜70質量%、ゴム質重合体(b)を30〜80質量%含む熱可塑性樹脂
光安定剤(D):分子量400〜2,000のヒンダードアミン系光安定剤
紫外線吸収剤(E):分子量300〜800のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はトリアジン系紫外線吸収剤
酸化防止剤(F):分子量500〜800のヒンダードフェノール系酸化防止剤
[2] ゴム質重合体(a)100質量%中のアクリル酸エステル系単量体単位の含有量が75質量%以上で、多官能性単量体単位の含有量が、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対して0.3〜3質量部であり、グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体(a)に、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらのビニル系単量体と共重合可能な他の単量体を含むビニル系単量体混合物をグラフト重合してなり、グラフト共重合体(A)100質量部中のゴム質重合体(a)の含有量が10〜90質量部であって、ゴム質重合体(b)100質量%中のアクリル酸エステル系単量体単位の含有量が75質量%以上で、多官能性単量体単位の含有量が、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対して0.05〜3質量部であり、グラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体(b)に、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらのビニル系単量体と共重合可能な他の単量体を含むビニル系単量体混合物をグラフト重合してなり、グラフト共重合体(B)100質量部中のゴム質重合体(b)の含有量が10〜90質量部である、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3] グラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)とビニル系共重合体(C)の総量である熱可塑性樹脂(G)100質量部に含まれる、グラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)の含有量が20〜60質量部で、ビニル系共重合体(C)の含有量が40〜80質量部である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4] ビニル系共重合体(C)が、芳香族ビニル系単量体の単独重合体、もしくはシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体との共重合体(C−1)、及び/又は、N−置換マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体との共重合体(C−2)を含む、[1]ないし[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5] ビニル系共重合体(C)100質量部中の共重合体(C−1)と共重合体(C−2)の含有割合が(C−1):(C−2)=10〜100質量部:0〜90質量部の範囲である、[4]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6] 更に、リン系酸化防止剤、カーボンブラック、及び周期表第2族元素の酸化物の1種又は2種以上を含む、[1]ないし[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7] [1]ないし[6]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
[8] [7]に記載の成形体を含む車両外装部品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いることで、車両外装部品の無塗装化及び薄肉化に要求される耐候性、表面外観、及び耐衝撃性をすべて高いレベルで満足する成形体を得ることができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、以下の説明において、「成形体」とは、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られるものである。
また、「単位」とは、重合前の単量体化合物(モノマー)に由来する構造部分をさし、例えば、「アクリル酸エステル系単量体単位」とは「アクリル酸エステル系単量体に由来する構造部分」をさす。重合体中の各単量体単位の含有割合は、当該重合体の製造に用いた単量体混合物中の該単量体の含有割合に該当する。
また、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」の一方又は双方をさす。
〔熱可塑性樹脂組成物〕
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、以下に詳述するグラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)、及びビニル系共重合体(C)よりなる熱可塑性樹脂(G)と、光安定剤(D)、紫外線吸収剤(E)、及び酸化防止剤(F)を含むことを特徴とする。
[グラフト共重合体(A)]
グラフト共重合体(A)は、アクリル酸エステル系単量体単位と多官能性単量体単位を含み、主鎖に共役ジエン単量体単位を含まない、体積平均粒子径0.3〜0.6μmのゴム質重合体(a)に、ビニル系単量体がグラフトされた、グラフト率が40〜80%のグラフト共重合体である。グラフト共重合体(A)は、体積平均粒子径が0.3〜0.6mである特定のゴム質重合体(a)の存在下で、ビニル系単量体、好ましくは芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体を含む単量体混合物をグラフト重合して得られるものである。
ゴム質重合体(a)は、アクリル酸エステル系単量体単位と多官能性単量体単位を含む。
ゴム質重合体(a)のアクリル酸エステル系単量体単位を構成するアクリル酸エステル系単量体としては、例えばエステル部分がメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、n−ラウリル等の炭素数1〜12のアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸クロルエステルのようなハロエステル;アクリル酸ベンジル又はアクリル酸フェネチル等のアクリル酸アリールエステル、アクリル酸アリールアルキルエステルなどが用いられ、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルである。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
多官能性単量体単位を構成する多官能性単量体としては、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジメタクリル酸エステル、1,3−ブタンジオールジメタクリル酸エステル、1,6−ヘキサンジオールジアクリル酸エステル等のジオールのジ(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸2−プロペニル、ジビニルベンゼン、イソシアヌル酸トリアリル、シアヌル酸トリアリル、トリメット酸トリアリルなどが用いられ、好ましくは、メタクリル酸アリル、イソシアヌル酸トリアリル、1,3−ブタンジオールジメタクリル酸エステルである。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、ゴム質重合体(a)には、必要によりアクリル酸エステル系単量体や多官能性単量体と共重合可能な他の単量体を用いることができる。
アクリル酸エステル系単量体や多官能性単量体と共重合可能な他の単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル系単量体等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ゴム質重合体(a)100質量%中のアクリル酸エステル系単量体単位の含有量は、75質量%以上が好ましく、85質量%以上が特に好ましい。アクリル酸エステル系単量体単位の含有量が上記下限未満であると、得られるグラフト共重合体(A)及び熱可塑性樹脂組成物の耐候性、耐衝撃性、剛性、表面外観のいずれかが低下する場合がある。
ゴム質重合体(a)における多官能性単量体単位の含有量は、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対して3質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましく、1.5質量部以下が特に好ましく、一方、0.3質量部以上が好ましく、0.4質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。多官能性単量体単位含有量が上記上限を超えると、得られるグラフト共重合体(A)及び熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する場合があり、上記下限より少ないと、表面外観が低下する場合がある。
また、ゴム質重合体(a)がアクリル酸エステル系単量体や多官能性単量体と共重合可能な他の単量体単位を含む場合、その含有量はゴム質重合体(a)中の割合で25質量%以下が好ましく、15質量%以下が特に好ましい。他の単量体単位の含有割合が上記上限を超えると得られる熱可塑性樹脂組成物の耐候性、耐衝撃性、剛性、表面外観のいずれかが低下する場合がある。
さらに、ゴム質重合体(a)としては、アクリル酸エステル系単量体単位と多官能性単量体単位を含むゴム質重合体と、アクリル酸エステル系単量体単位以外の単量体単位から成るゴム質重合体との複合ゴムを用いることもできる。この場合、アクリル酸エステル系単量体単位以外の単量体単位から成るゴム質重合体としては、主鎖に共役ジエン単量体単位を含まない耐候性に優れたゴム質重合体を用いることができ、例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム(EPDM)、ポリオルガノシロキサン等が例示される。複合ゴムを得る手法としては特に制限はなく、公知の手法を用いることができる。
本発明で用いるゴム質重合体(a)は、主鎖に共役ジエン単量体単位を含まないゴム質重合体である。即ち、本発明に係るゴム質重合体(a)は、主鎖に共役ジエン単量体単位を含まないものとするために、ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン、クロロプレン、シクロペンタジエン等の共役ジエン単量体単位を含まないゴム質重合体として製造される。ゴム質重合体(a)が主鎖に共役ジエン単量体単位を含まないゴム質重合体であるため、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐候性が良好なものとなる。
本発明に係るゴム質重合体(a)は、上記のようなゴム質重合体(a)を構成する単量体の混合物を乳化重合することにより製造されることが好ましい。乳化重合で用いる乳化剤、触媒としては特に制限はなく、従来公知のものをいずれも好適に用いることができる。
本発明に係るゴム質重合体(a)の体積平均粒子径は0.3〜0.6μmであり、0.35〜0.55μmが好ましい。ゴム質重合体(a)の体積平均粒子径が上記下限未満では、得られるグラフト共重合体(A)及び熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する場合があり、上記上限を超えると表面外観が低下する場合がある。
なお、ゴム質重合体(a)及び後述のゴム質重合体(b)の体積平均粒子径及び以下の粒子径の測定方法は、後掲の実施例の項に示す通りである。
さらに、ゴム質重合体(a)は、ゴム質重合体(a)100質量%に対して粒子径0.2μm以下のゴム質重合体の含有量が10質量%以下であることが好ましい。粒子径0.2μm以下のゴム質重合体の含有量が上記上限以下であれば、得られるグラフト共重合体(A)及び熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が向上する。
ゴム質重合体(a)の粒子径の調節には、公知の方法を適用することができ、例えばゴム質重合体の重合中のアグロメレーションによる肥大化、比較的小さなゴム質重合体を予め製造し、これに酸基を含有する共重合体ラテックスや酸、塩等を添加して肥大化する方法、撹拌によるせん断応力によって肥大化する方法等が使用できる。
本発明のグラフト共重合体(A)は、このようなゴム質重合体(a)の存在下、ビニル系単量体をグラフト重合して得られたものである。このグラフト重合に用いるビニル系単量体は、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらのビニル系単量体と共重合可能な他の単量体を含むビニル系単量体混合物であることが好ましい。
シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる
他の単量体は、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体であり、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体を除く単量体である。他の単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、無水マレイン酸、N−置換マレイミド等が挙げられる。他の単量体についても、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム質重合体(a)にグラフト重合させるビニル系単量体としては、得られる成形体の耐衝撃性が優れる点から、スチレン等の芳香族ビニル系単量体とアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体とを必須成分とする単量体混合物が好ましく、特にスチレンとアクリロニトリルの混合物が好ましい。
ゴム質重合体(a)にグラフト重合させる単量体混合物中のシアン化ビニル系単量体の割合は、単量体混合物100質量%中、3〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。シアン化ビニル系単量体の割合が上記下限以上であれば、得られる成形体の耐衝撃性が良好となる。シアン化ビニル系単量体の割合が上記上限以下であれば、得られる成形体の熱による変色が抑えられる。また、芳香族ビニル系単量体の割合は、単量体混合物100質量%中、20〜97質量%が好ましく、30〜80質量%がさらに好ましい。芳香族ビニル系単量体の割合が上記下限以上であれば、成形時の流動性が良好となる。芳香族ビニル系単量体の割合が上記上限以下であれば、得られる成形体の耐衝撃性が良好となる。
他の単量体の割合は、単量体混合物100質量%中、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。他の単量体の割合が上記上限以下であれば、耐衝撃性と表面外観のバランスが良好となる。
本発明のグラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体(a)ラテックスの存在下、上記のような単量体混合物を乳化重合することにより製造される。乳化重合で用いる乳化剤、触媒としては特に制限はなく、従来公知のものをいずれも好適に用いることができる。
乳化重合における単量体混合物の添加方法については特に制限はなく全量一括添加、分割添加、逐次添加等の方法を用いることができ、一部を一括で添加し、残部を逐次添加する等のように、これらの方法を組み合わせて用いることもできる。また、単量体混合物を添加した後しばらく保持し、その後に重合開始剤を添加して重合を開始する方法も用いることができる。
また、必要に応じて、重合系を安定させる目的で乳化剤を追加してもよく、グラフト率やグラフト成分の分子量を制御するための連鎖移動剤を用いてもよい。
重合後は公知の方法で凝固し、洗浄、脱水、乾燥工程を経ることにより、ラテックスから粉体のグラフト共重合体(A)を得ることができる。
グラフト共重合体(A)は、グラフト共重合体(A)100質量部に対して、ゴム質重合体(a)の含有量が10〜90質量部、さらに好ましくは20〜80質量部、特に好ましくは30〜70質量部であることが好ましい。ゴム質重合体(a)の含有量が上記下限以上であれば、得られるグラフト共重合体(A)及び熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性がより高くなり、ゴム質重合体(a)の含有量が上記上限以下であれば、得られるグラフト共重合体(A)及び熱可塑性樹脂組成物は良好な表面外観を保つことができる。
グラフト共重合体(A)のグラフト率は40〜80%であり、50〜75%であることが好ましい。グラフト共重合体(A)のグラフト率が上記範囲内であると良好な表面外観を維持することができる。更にグラフト共重合体(A)のアセトン可溶分の還元粘度は0.40〜1.00g/dLが好ましく、0.50〜0.80g/dLであることが特に好ましい。グラフト共重合体(A)のアセトン可溶分の還元粘度が上記下限以上であると得られる熱可塑性樹脂組成物の衝撃強度がより高くなり、上記上限以下であると良好な表面外観及び成形性を保つことができる。
ここで、「グラフト率」とは、ゴム質重合体に対し、ゴムに直接グラフト結合している単量体成分の割合のことである。
グラフト共重合体(A)及び後述のグラフト共重合体(B)のグラフト率の測定方法は、後掲の実施例の項に記載される通りである。
また、グラフト共重合体(A)及び後述のグラフト共重合体(B)のアセトン可溶分の還元粘度は、以下の方法で測定される。
<グラフト共重合体のアセトン可溶分の還元粘度>
グラフト共重合体のアセトン可溶分の濃度が0.2dL/gとなるように調製したN,N−ジメチルホルムアミド溶液について、ウベローデ粘度計を用いて25℃での還元粘度:ηsp/C(単位:dL/g)を測定する。
本発明において、グラフト共重合体(A)は1種のみを用いてもよく、ゴム質重合体(a)の単量体組成や物性、ゴム質重合体(a)にグラフト重合しているビニル系単量体の種類や組成、グラフト共重合体(A)の物性等の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
[グラフト共重合体(B)]
グラフト共重合体(B)は、アクリル酸エステル系単量体単位と多官能性単量体単位を含み、主鎖に共役ジエン単量体単位を含まない、体積平均粒子径0.07〜0.2μmの、ゴム質重合体(b)に、ビニル系単量体がグラフトされた、グラフト率が40〜80%のグラフト共重合体である。グラフト共重合体(B)は、体積平均粒子径が0.07〜0.2μmである特定のゴム質重合体(b)の存在下で、ビニル系単量体、好ましくは芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体を含む単量体混合物をグラフト重合して得られるものである。
ゴム質重合体(b)は、アクリル酸エステル系単量体単位と多官能性単量体単位を含む。
ゴム質重合体(b)に使用されるアクリル酸エステル系単量体及び多官能性単量体としては、上記ゴム質重合体(a)で挙げたものと同様のものが挙げられる。
ゴム質重合体(b)100質量%中のアクリル酸エステル系単量体単位の含有量は、75質量%以上が好ましく、85質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましい。アクリル酸エステル系単量体単位の含有量が上記下限未満であると、得られるグラフト共重合体(B)及び熱可塑性樹脂組成物の耐候性、耐衝撃性、剛性、表面外観のいずれかが低下する場合がある。
ゴム質重合体(b)における多官能性単量体単位の含有量は、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対して3質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましく、1質量部以下が特に好ましく、一方、0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上が特に好ましい。多官能性単量体単位含有量が上記上限を超えると、得られるグラフト共重合体(B)及び熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する場合があり、上記下限より少ないと表面外観が低下する場合がある。
また、ゴム質重合体(b)には、必要によりアクリル酸エステル系単量体や多官能性単量体と共重合可能な他の単量体を用いることができる。他の単量体としては、上記ゴム質重合体(a)で挙げたものと同様のものを用いることができる。
ゴム質重合体(b)がアクリル酸エステル系単量体単位や多官能性単量体と共重合可能な他の単量体単位を含む場合、その含有量はゴム質重合体(b)中の割合で25質量%以下が好ましく、15質量%以下が特に好ましい。他の単量体単位の含有割合が上記上限を超えると得られる熱可塑性樹脂組成物の耐候性、耐衝撃性、剛性、表面外観のいずれかが低下する場合がある。
さらに、ゴム質重合体(b)としては、アクリル酸エステル系単量体単位と多官能性単量体単位を含むゴム質重合体と、アクリル酸エステル系単量体単位以外の単量体単位からなるゴム質重合体との複合ゴムを用いることもできる。アクリル酸エステル系単量体単位以外の単量体単位からなるゴム質重合体としては、上記ゴム質重合体(a)で挙げたものと同様のものを用いることができる。複合ゴムを得る手法としては特に制限はなく公知の手法を用いることができる。
本発明で用いるゴム質重合体(b)は、主鎖に共役ジエン単量体単位を含まないゴム質重合体である。即ち、本発明に係るゴム質重合体(b)は、主鎖に共役ジエン単量体単位を含まないものとするために、ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン、クロロプレン、シクロペンタジエン等の共役ジエン単量体を含まないゴム質重合体として製造される。ゴム質重合体(b)が主鎖に共役ジエン単量体単位を含まないゴム質重合体であるため、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐候性が良好なものとなる。
本発明に係るゴム質重合体(b)は、上記のようなゴム質重合体(b)を構成する単量体の混合物を乳化重合することにより製造されることが好ましい。乳化重合で用いる乳化剤、触媒としては特に制限はなく、従来公知のものをいずれも好適に用いることができる。
本発明に係るゴム質重合体(b)の体積平均粒子径は0.07〜0.2μmであり、0.08μm〜0.15μmが好ましい。ゴム質重合体(b)の体積平均粒子径が上記下限未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の機械的強度が低下する場合がある。一方、体積平均粒子径が上記上限を超えると、表面外観が低下する場合がある。
ゴム質重合体(b)の粒子径の調節には、公知の方法を適用することができ、例えばゴム質重合体の重合中のアグロメレーションによる肥大化、小さなゴム質重合体を予め製造し、これに酸基を含有する共重合体ラテックスや酸、塩等を添加して肥大化する方法、撹拌によるせん断応力によって肥大化する方法等が使用できる。
本発明のグラフト共重合体(B)は、このようなゴム質重合体(b)の存在下、ビニル系単量体をグラフト重合して得られたものである。このビニル系単量体としては、グラフト共重合体(A)に用いることができるビニル系単量体と同様のものを用いることができ、その好適なビニル系単量体の種類や使用割合についても同様である。
本発明のグラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体(b)ラテックスの存在下、前述のような単量体混合物を乳化重合することにより製造される。乳化重合で用いる乳化剤、触媒としては特に制限はなく、従来公知のものをいずれも好適に用いることができる。
乳化重合における単量体混合物の添加方法については特に制限はなく全量一括添加、分割添加、逐次添加等の方法を用いることができ、一部を一括で添加し、残部を逐次添加する等のように、これらの方法を組み合わせて用いることもできる。また、単量体混合物を添加した後しばらく保持し、その後に重合開始剤を添加して重合を開始する方法も用いることができる。
また、必要に応じて、重合系を安定させる目的で乳化剤を追加してもよく、グラフト率やグラフト成分の分子量を制御するための連鎖移動剤を用いてもよい。
重合後は公知の方法で凝固し、洗浄、脱水、乾燥工程を経ることにより、ラテックスから粉体のグラフト共重合体(B)を得ることができる
グラフト共重合体(B)は、グラフト共重合体(B)100質量部に対して、ゴム質重合体(b)の含有量が10〜90質量部、さらに好ましくは20〜80質量部、特に好ましくは30〜70質量部であることが好ましい。ゴム質重合体(b)の含有量が上記下限以上であれば、得られるグラフト共重合体(B)及び熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性がより高くなり、ゴム質重合体(b)の含有量が上記上限以下であれば、得られるグラフト共重合体(B)及び熱可塑性樹脂組成物は良好な表面外観を保つことができる。
グラフト共重合体(B)のグラフト率は40〜80%であり、50〜75%であることが好ましい。グラフト共重合体(B)のグラフト率が上記範囲内であると良好な表面外観を維持することができる。更にグラフト共重合体(B)のアセトン可溶分の還元粘度は0.40〜1.00g/dLが好ましく、0.50〜0.80g/dLであることが特に好ましい。グラフト共重合体(B)のアセトン可溶分の還元粘度が上記下限以上であると得られる熱可塑性樹脂組成物の衝撃強度がより高くなり、上記上限以下であると良好な表面外観及び成形性を保つことができる。
本発明において、グラフト共重合体(B)は1種のみを用いてもよく、ゴム質重合体(b)の単量体組成や物性、ゴム質重合体(b)にグラフト重合しているビニル系単量体の種類や組成、グラフト共重合体(B)の物性等の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
[ビニル系共重合体(C)]
ビニル系共重合体(C)は、芳香族ビニル系単量体の単独重合体であるか、少なくともシアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体と、必要に応じて用いられる他の単量体を共重合してなる共重合体である。
シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体及び他の単量体の具体的な例は、グラフト重合体(A)の製造に用いるシアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、他の単量体として挙げたものが該当する。また、ビニル系共重合体(C)は、耐熱性の向上を目的にN−置換マレイミド系単量体単位を含んでいてもよい。該N−置換マレイミド系単量体の具体的な例としては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどが挙げられる。
ビニル系共重合体(C)としては、芳香族ビニル系単量体の単独重合体、もしくはシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体との共重合体(C−1)、或いはN−置換マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体との共重合体(C−2)、或いはこれらの共重合体(C−1)と共重合体(C−2)の組み合わせが好ましい。
芳香族ビニル系単量体の単独重合体、もしくはシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体との共重合体(C−1)に含まれる芳香族ビニル系単量体単位の割合は、共重合体(C−1)を製造する際に用いる単量体混合物100質量%中の含有量として、20〜100質量%が好ましく、30〜90質量%がさらに好ましく、50〜80質量%が特に好ましい。芳香族ビニル系単量体の割合が上記範囲内であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性が良好となる。
また、共重合体(C−1)に含まれるシアン化ビニル系単量体単位の割合は、ビニル系共重合体(C−1)を製造する際に用いる単量体混合物100質量%中の含有量として、0〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がさらに好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。シアン化ビニル系単量体の割合が上記範囲内であれば、得られる成形体の耐薬品性が良好となる。
共重合体(C−1)の質量平均分子量は特に制限されないが、成形性/耐衝撃性のバランスから、共重合体(C)の質量平均分子量は40,000〜200,000の範囲、特に50,000〜180,000の範囲であることが好ましい。
ここで、共重合体(C−1)及び後述の共重合体(C−2)の質量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した値とする。
N−置換マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体との共重合体(C−2)に含まれるN−置換マレイミド系単量体単位の割合は、共重合体(C−2)を製造する際に用いる単量体混合物100質量%中の含有量で、5〜65質量%が好ましく、10〜60質量%がさらに好ましい。N−置換マレイミド系単量体単位の含有量が上記範囲内であれば、耐衝撃性と成形加工性のバランスが良好で、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
また、共重合体(C−2)に含まれる芳香族ビニル系単量体単位の割合は、共重合体(C−2)を製造する際に用いる単量体混合物100質量%中の含有量で、5〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がさらに好ましく、15〜65質量%が特に好ましい。芳香族ビニル系単量体の割合が上記範囲内であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性が良好となる。
また、共重合体(C−2)に含まれるシアン化ビニル系単量体単位の割合は、共重合体(C−2)を製造する際に用いる単量体混合物100質量%中の含有量で、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がさらに好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。不飽和ニトリル系単量体の割合が上記範囲内であれば、得られる成形体の耐薬品性が良好となる。
なお、共重合体(C−1)、(C−2)が、芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体単位を含む場合、その含有量は、共重合体(C−1)、(C−2)を製造する際に用いる単量体混合物100質量%中の含有量で、40質量%以下、特に0〜30質量%が好ましい。
共重合体(C−2)の質量平均分子量は特に制限されないが、成形性/耐衝撃性のバランスから、共重合体(C−2)の質量平均分子量は40,000〜200,000の範囲、特に50,000〜180,000の範囲であることが好ましい。
共重合体(C−1)、及び共重合体(C−2)は、いずれもその製造方法に特に制限はなく、公知の乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、及び溶液重合法などにより得ることができる。
ビニル系共重合体(C)、共重合体(C−1),(C−2)は、1種のみを用いてもよく、ビニル系単量体組成や物性等の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
[熱可塑性樹脂(G)]
本発明に係る熱可塑性樹脂(G)とは、上述のグラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)とビニル系共重合体(C)とで構成されるものである。
本発明に係る熱可塑性樹脂(G)は、熱可塑性樹脂(G)中に含まれるゴム質重合体の総量を100質量%とすると、グラフト共重合体(A)由来のゴム質重合体、即ちゴム質重合体(a)を20〜70質量%、グラフト共重合体(B)由来のゴム質重合体、即ちゴム質重合体(b)を30〜80重量%含む。好ましくは、この含有割合は、グラフト共重合体(A)由来のゴム質重合体(a)を30〜60質量%、グラフト共重合体(B)由来のゴム質重合体(b)を40〜70重量%である。ゴム質重合体(a)の含有割合が上記範囲よりも多く、ゴム質重合体(b)の含有割合が上記範囲よりも少ないと、得られる成形体の耐衝撃性、表面外観、耐候性が低下し、逆に、ゴム質重合体(a)の含有割合が上記範囲よりも少なく、ゴム質重合体(b)の含有割合が上記範囲よりも多い場合も同様に、得られる成形体の耐衝撃性、表面外観、耐候性が低下する。
また、熱可塑性樹脂(G)を100質量%としたときに、熱可塑性樹脂(G)中に含まれるゴム質重合体の割合が、10〜40質量%、特に10〜30質量%であることが、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐候性、耐衝撃性、耐熱性の観点から好ましい。
また、グラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)とビニル系共重合体(C)の総量である熱可塑性樹脂(G)を100質量部としたとき、グラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)の含有量が20〜60質量部で、ビニル系共重合体(C)の含有量が40〜80質量部であることが成形性、及び得られる成形体の耐衝撃性、剛性、耐熱性、表面外観、耐候性の観点から好ましく、ビニル系ビニル系共重合体(C)のうち、共重合体(C−1)と共重合体(C−2)の割合は共重合体(C−1):共重合体(C−2)=10〜100質量部:0〜90質量部の範囲であることが成形性、及び得られる成形体の耐熱性の観点から好ましい。
従って、本発明では、グラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)とビニル系共重合体(C)とを各成分の含有量やゴム質重合体の含有量が上記好適範囲となるように混合して熱可塑性樹脂(G)として用いる。
[光安定剤(D)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、光安定剤(D)として、分子量が400〜2,000であるヒンダードアミン系光安定剤を、熱可塑性樹脂(G)100質量部に対して、0.1〜1.5質量部含む。光安定剤(D)の含有量が上記下限以上であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐候性が良好となり、上記上限以下であれば、屋外にて長期間使用した際のブリードアウトによる外観不良を抑えることができる。光安定剤(D)の好ましい含有量は0.3〜1.0質量部である。
なお、本発明において光安定剤(D)として用いる分子量400〜2,000の分子量範囲のヒンダードアミン系光安定剤であれば、得られる成形体の耐候性が良好なものとなる。
光安定剤(D)の例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート(分子量481)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量791)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量847)、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(分子量685)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)=デカンジオアート(分子量509)、N,N’−ビスフォルミル−N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ヘキサメチレンジアミン(分子量450)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β'−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物(分子量1900)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β'−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物(分子量2,000)等が挙げられるが、この限りではない。光安定剤(D)は、1種を単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
[紫外線吸収剤(E)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、紫外線吸収剤(E)として、分子量が300〜800のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はトリアジン系紫外線吸収剤を、熱可塑性樹脂(G)100質量部に対して、0.1〜1.5質量部含む。紫外線吸収剤(E)の含有量が上記下限以上であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐候性が良好となり、上記上限以下であれば、屋外にて長期間使用した際のブリードアウトによる外観不良を抑えることができる。紫外線吸収剤(E)の好ましい含有量は0.3〜1.0質量部である。
なお、本発明において、紫外線吸収剤(E)として用いる分子量300〜800の分子量範囲の紫外線吸収剤(E)であれば、得られる成形体の耐候性が良好となり、またベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であれば熱・光に対する安定性が高い為、加工時の変色を抑えることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(E)の例としては、2(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(分子量315)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(分子量323)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(分子量447)、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](分子量659)等が挙げられ、トリアジン系紫外線吸収剤(E)の例としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイロキシ)エトキシ]フェノール(分子量512)、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4ヘキシロキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(分子量700)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノール(分子量426)等が挙げられるが、この限りではない。紫外線吸収剤(E)は、1種を単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
[酸化防止剤(F)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、酸化防止剤(F)として、分子量が500〜800であるヒンダードフェノール系酸化防止剤を、熱可塑性樹脂(G)100質量部に対して、0.1〜3質量部含む。酸化防止剤(F)の含有量が上記下限以上であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐候性が良好となり、上記上限以下であれば、屋外にて長期間使用した際のブリードアウトの発生による外観不良を抑えることができる。紫外線吸収剤(E)の好ましい含有量は0.2〜3質量部である。
なお、本発明において、酸化防止剤(F)として用いる分子量500〜800の分子量範囲の酸化防止剤(F)であれば、得られる成形体の耐候劣化による変色が低減され、またヒンダードフェノール系酸化防止剤であればピンキングの発生による成形体の変色を抑えることが出来る。
酸化防止剤(F)の例としては、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレ−ト(分子量784)、n−オクタデシル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(分子量531)、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](分子量639)、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジイル=ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオナート](分子量587)等があるが、この限りではない。酸化防止剤(F)は、1種を単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
<その他の成分>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(G)、光安定剤(D)、紫外線吸収剤(E)、酸化防止剤(F)以外に、リン系酸化防止剤、カーボンブラック、及び周期表第2族元素の酸化物のいずれか1種以上を含んでいてもよい。リン系酸化防止剤やカーボンブラックを添加することで、耐候性が更に向上する。また、周期表第2族元素の酸化物を添加することで成形時に発生するガスが軽減し、シルバーストリークの発生や成形体へのガスの付着といった成形不良の低減や、金型のメンテナンス頻度の低減による生産性の向上といった効果が期待できる。
リン系酸化防止剤の例としては、分子量500〜1500の範囲のものが好ましく、例えば、3,9−ビス(オクタデシロキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(分子量733)、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(分子量633)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト(分子量583)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(分子量647)等が挙げられるが、この限りではない。リン系酸化防止剤は、1種を単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
カーボンブラックの種類としては特に制限はないが、平均一次粒子径が100nm未満のカーボンブラックを使用することが好ましい。カーボンブラックの平均一次粒子径が100nmを超える場合、得られる成形体の外観及び耐候性が低下する傾向にある。
リン系酸化防止剤、カーボンブラックを添加する場合、これらの添加量は、熱可塑性樹脂(G)100質量部に対して、それぞれ0.1〜5質量部が好ましい。添加量が上記下限よりも少ないと、添加効果を十分に得ることができず、上記上限よりも多いと耐衝撃性、耐熱性、引張伸び特性などが低下する。
周期表第2族元素の酸化物としては、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上の混合物としても用いることができる。これらのうち、安全性及び経済性の点から、酸化マグネシウム、酸化カルシウムが好ましく、これらは水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウムなどからも得ることができる。周期表第2族元素の酸化物を添加する場合、その添加量は、熱可塑性樹脂(G)100質量部に対して0.3質量部以下、特に0.01〜0.2質量部とすることが好ましい。周期表第2族元素の酸化物の添加量が0.3質量部を超えると、得られる成形体にフローマーク、シルバーストリーク、ブツ不良等が発生し、成形体の表面外観を損ねる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂(G)以外の他の熱可塑性樹脂や上記以外の添加剤を含有してもよい。
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ASA樹脂、AES樹脂、SAS樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂、その他に、ポリスチレン樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸−N−フェニルマレイミド共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。これら他の熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上をブレンドしたものでもよい。また、相溶化剤や官能基などにより変性された上記樹脂を配合してもよい。本発明の熱可塑性樹脂組成物における他の熱可塑性樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂(G)、光安定剤(D)、紫外線吸収剤(E)、及び酸化防止剤(F)の合計を100質量部としたときに、0〜50質量部が好ましい。
添加剤としては、樹脂組成物の製造時(混合時)、成形時に慣用の他の添加剤、例えば滑剤、安定剤、顔料、染料、充填剤、耐熱剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤等を配合することができる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)、ビニル系共重合体(C)、光安定剤(D)、紫外線吸収剤(E)、及び酸化防止剤(F)と、必要に応じて配合されるその他の添加剤等を、公知の装置を使用した公知の方法で混合することにより製造することができる。例えば、一般的な方法として溶融混合法があり、この方法で使用する装置としては、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等が挙げられる。混合には回分式、連続式のいずれを採用してもよい。また、各成分の混合順序などにも特に制限はなく、全ての成分が均一に混合されればよい。
〔成形体〕
本発明の成形体は、上記の本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。その成形方法としては、例えば、射出成形法、射出圧縮成形機法、押出成形法、ブロー成形法、真空成形法、圧空成形法、プレス成形法、カレンダー成形法及びインフレーション成形法等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる本発明の成形体は、耐候性、耐衝撃性、表面外観に優れ、各種用途に有用であるが、特に、耐候性が要求される車両外装部品、とりわけ無塗装化で用いられる車両外装部品として好適であり、その優れた耐衝撃性により車両外装部品の薄肉軽量化を図ることができる。
本発明の車両外装部品が適用される車両外装部品としては、ランプハウジングなどの最も耐候性の要求レベルが低い部品から、サイドモール、マッドガード、アシストステップ、バンパーなどの耐候性の要求レベルが若干高いベルトラインよりも下部に装着される部品、カウルベント、ピラー、ラジエーターグリル、ドアミラーハウジングなどの、耐候性の要求レベルが更に高い、ベルトラインよりも上の傾斜面に装着される部品、更には、スポイラーなどの、最も耐候性の要求レベルが高いベルトラインよりも上部の水平面に装着される部品が挙げられる。
ただし、本発明の成形体は、車両外装部品に限らず、車両内装部品にも適用できることは言うまでもない。
以下に、合成例、実施例、及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら制限されるものではない。なお、以下の例中の「部」、「%」は特に明記しない限りは質量基準とする。
[測定および評価]
以下において、ゴム質重合体、グラフト共重合体、および共重合体の物性は、以下の方法で測定および評価した。
<ゴム質重合体の粒子径と体積平均粒子径>
日機装社製のNanotrac UPA−EX150を用いて動的光散乱法より求めた。
<グラフト率>
グラフト共重合体のグラフト率は、次の方法により算出した。
グラフト共重合体1gを80mLのアセトンに添加し、65〜70℃にて3時間加熱還流し、得られた懸濁アセトン溶液を遠心分離機にて14,000rpm、30分間遠心分離して、沈殿成分(アセトン不溶成分)とアセトン溶液(アセトン可溶成分)を分取した。沈殿成分(アセトン不溶成分)を乾燥させてその質量(Y(g))を測定し、下記式(1)によりグラフト率を算出した。なお、式(1)におけるYは、グラフト共重合体のアセトン不溶成分の質量(g)、XはYを求める際に使用したグラフト共重合体の全質量(g)、ゴム分率はグラフト共重合体のゴム質重合体の固形分換算での含有割合である。
グラフト率(質量%)={(Y−X×ゴム分率)/X×ゴム分率}×100
・・・(1)
<ビニル系共重合体の質量平均分子量(Mw)>
ビニル系ビニル系共重合体をテトラヒドロフランに溶解して得られた溶液を測定試料として、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(東ソー(株)製)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した。
[合成例1:酸基含有共重合体ラテックス(K)の製造]
反応器に脱イオン水(以下、単に水と記す。)200部、オレイン酸カリウム2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム4部、硫酸第一鉄七水塩0.003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.009部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を窒素フロー下で仕込み、60℃に昇温した。60℃になった時点から、アクリル酸n−ブチル82部、メタクリル酸18部、クメンヒドロパーオキシド0.5部からなる混合物を120分かけて連続的に滴下した。滴下終了後、さらに2時間、60℃のまま熟成を行い、固形分が33%、酸基含有共重合体の体積平均粒子径が0.150μmである酸基含有共重合体ラテックス(K)を得た。
[合成例2:グラフト共重合体(A−1)の製造]
反応器に水310部、アルケニルコハク酸ジカリウム(花王社製、ラテムルASK)1部、アクリル酸n−ブチル80部、メタクリル酸アリル0.48部、イソシアヌル酸トリアリル0.42部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.2部を撹拌下で仕込み、反応器内を窒素置換した後、内容物を昇温した。内温55℃にて、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄七水塩0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0003部、水10部からなる水溶液を添加し、重合を開始させた。重合発熱が確認された後、ジャケット温度を75℃とし、重合発熱が確認されなくなるまで重合を継続し、さらに1時間保持した。得られたゴム質重合体の体積平均粒子径は0.100μmであった。ここへ5%ピロリン酸ナトリウム水溶液を固形分として1部添加し(混合液のpHは9.1)、内温を70℃になる様にジャケット温度の制御を行った。
ここへ、内温70℃にて、酸基含有共重合体ラテックス(K)を固形分として3部添加し、内温70℃を保持したまま30分撹拌し、肥大化を行った。肥大化後の体積平均粒子径は0.420μmであった。
更に、内温70℃にて、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.03部、硫酸第一鉄七水塩0.002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.006部、水80部からなる水溶液を添加し、次いでアクリル酸n−ブチル20部、メタクリル酸アリル0.12部、イソシアヌル酸トリアリル0.1部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.02部からなる混合液を1時間にわたって滴下した。滴下終了後、温度70℃の状態を1時間保持した後に冷却し、固形分が18%、ゴム質重合体の体積平均粒子径が0.450μmのゴム質重合体(a−1)のラテックスを得た。
反応器に水(ゴム質重合体ラテックス中の水を含む)230部、ゴム質重合体(a−1)のラテックス50部(固形分として)、アルケニルコハク酸ジカリウム(花王社製、ラテムルASK)0.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を仕込み、反応器内を十分に窒素置換した後、攪拌しながら内温を70℃まで昇温した。次いで、アクリロニトリル15部、スチレン35部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.5部からなる混合液を100分間にわたって滴下しながら、80℃まで昇温した。滴下終了後、温度80℃の状態を30分間保持した後、冷却し、グラフト共重合体(A−1)ラテックスを得た。次いで、1.5%硫酸水溶液100部を80℃に加熱し、該水溶液を撹拌しながら、該水溶液にグラフト共重合体(A−1)ラテックス100部を徐々に滴下し、グラフト共重合体(A−1)を固化させ、さらに95℃に昇温して10分間保持した。次いで、固化物を脱水、洗浄、乾燥し、粉末状のグラフト共重合体(A−1)を得た。
ゴム質重合体(a−1)100質量%中のアクリル酸エステル単量体単位の含有量は98.7質量%、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対する多官能性単量体単位の含有量は1.12質量部、グラフト共重合体(A−1)100質量部中のゴム質重合体(a−1)の含有量は48.5質量部、ゴム質重合体(a−1)にグラフトしている芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の組成はそれぞれ芳香族ビニル系単量体が70質量%、シアン化ビニル系単量体が30質量%であった。グラフト共重合体(A−1)のグラフト率は58%であった
[合成例3:グラフト共重合体(A−2)の製造〕
肥大化時に添加する5%ピロリン酸ナトリウム水溶液を固形分として1部、酸基含有共重合体ラテックス(K)を固形分として10部に変更した以外は合成例2と同様の手法により、グラフト共重合体(A−2)を得た。グラフト共重合体(A−2)中のゴム質重合体(a−2)の体積平均粒子径は0.250μm、ゴム質重合体(a−2)100質量%中のアクリル酸エステル単量体単位の含有量は98.7質量%、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対する多官能性単量体単位の含有量は1.12質量部、グラフト共重合体(A−2)100質量部中のゴム質重合体(a−2)の含有量は45.3質量部、ゴム質重合体(a−2)にグラフトしている芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の組成はそれぞれ芳香族ビニル系単量体が70質量%、シアン化ビニル系単量体が30質量%であった。グラフト共重合体(A−2)のグラフト率は60%であった。
[合成例4:グラフト共重合体(A−3)の製造]
肥大化時に添加する5%ピロリン酸ナトリウム水溶液を固形分として3部に変更した以外は合成例2と同様の手法により、グラフト共重合体(A−3)を得た。グラフト共重合体(A−3)中のゴム質重合体(a−3)の体積平均粒子径は0.650μm、ゴム質重合体(a−3)100質量%中のアクリル酸エステル単量体単位の含有量は98.7質量%、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対する多官能性単量体単位の含有量は1.12質量部、グラフト共重合体(A−3)100質量部中のゴム質重合体(a−3)の含有量は48.5質量部、ゴム質重合体(a−3)にグラフトしている芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の組成はそれぞれ芳香族ビニル系単量体が70質量%、シアン化ビニル系単量体が30質量%であった。グラフト共重合体(A−3)のグラフト率は43%であった。
[合成例5:グラフト共重合体(A−4)の製造]
反応器に水310部、アルケニルコハク酸ジカリウム(花王社製、ラテムルASK)1部、アクリル酸n−ブチル80部、メタクリル酸アリル0.12部、イソシアヌル酸トリアリル0.1部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.2部を撹拌下で仕込み、反応器内を窒素置換した後、内容物を昇温した。内温55℃にて、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄七水塩0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0003部、水10部からなる水溶液を添加し、重合を開始させた。重合発熱が確認された後、ジャケット温度を75℃とし、重合発熱が確認されなくなるまで重合を継続し、さらに1時間保持した。得られたゴム質重合体の体積平均粒子径は0.100μmであった。ここへ5%ピロリン酸ナトリウム水溶液を固形分として1部添加し(混合液のpHは9.1)、内温を70℃になる様にジャケット温度の制御を行った。
ここへ、内温70℃にて、酸基含有共重合体ラテックス(K)を固形分として3部添加し、内温70℃を保持したまま30分撹拌し、肥大化を行った。肥大化後の体積平均粒子径は0.420μmであった。
更に、内温70℃にて、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.03部、硫酸第一鉄七水塩0.002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.006部、水80部からなる水溶液を添加し、次いでアクリル酸n−ブチル20部、メタクリル酸アリル0.03部、イソシアヌル酸トリアリル0.025部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.02部からなる混合液を1時間にわたって滴下した。滴下終了後、温度70℃の状態を1時間保持した後に冷却し、固形分が18%、ゴム質重合体の体積平均粒子径が0.450μmのゴム質重合体ラテックス(a−4)を得た。以降は合成例2と同様の手法により、グラフト共重合体(A−4)を得た。ゴム質重合体(a−4)100質量%中のアクリル酸エステル単量体単位の含有量は99.5質量%、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対する多官能性単量体単位の含有量は0.275質量部、グラフト共重合体(A−4)100質量部中のゴム質重合体(a−4)の含有量は48.3質量部、ゴム質重合体(a−4)にグラフトしている芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の組成はそれぞれ芳香族ビニル系単量体が70質量%、シアン化ビニル系単量体が30質量%であった。グラフト共重合体(A−4)のグラフト率は30%であった。
[合成例6:グラフト共重合体(A−5)の製造]
ステンレス製のオートクレーブ反応器中に、水145部、ロジン酸カリウム1.0部、オレイン酸カリウム1.0部、水酸化ナトリウム0.06部、硫酸ナトリウム0.4部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を仕込み、窒素置換した後、1,3−ブタジエン125部を仕込み、60℃に昇温した。次いで、過硫酸カリウム0.3部を水5部に溶解した水溶液を圧入して重合を開始した。重合中は重合温度を65℃に調節し、12時間後内圧が4.5kg/cm(ゲージ圧)となった時点で未反応の1,3−ブタジエンを回収した。その後、内温を80℃にして1時間保持し、体積平均粒子径が0.080μmで、固形分が41%である小粒子ジエン系ゴム(a−5−1)ラテックスを得た。
小粒子ジエン系ゴム(a−5−1)ラテックスの固形分換算で100部に、酸基含有共重合体ラテックス(K)を固形分換算で1.2質量部撹拌しながら添加し、さらに30分間撹拌して体積平均粒子径が0.350μmの肥大化ジエン系ゴム(a−5−2)ラテックスを得た。
肥大化ジエン系ゴム(a−5−2)ラテックスの固形分換算で50部を反応器に仕込み、水140部を加え70℃に昇温した。次いで、アクリロニトリル15部、スチレン35部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.5部からなる混合液を100分間にわたって滴下しながら、80℃まで昇温した。滴下終了後、温度80℃の状態を30分間保持した後、冷却し、グラフト共重合体(A−5)ラテックスを得た。以降は合成例2と同様の操作を行い、グラフト共重合体(A−5)を得た。ゴム質重合体(a−5)100質量%中のアクリル酸エステル単量体単位の含有量は0質量%、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対する多官能性単量体単位の含有量は0質量部、グラフト共重合体(A−5)100質量部中のゴム質重合体(a−5)の含有量は49.4質量部、ゴム質重合体(a−5)にグラフトしている芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の組成はそれぞれ芳香族ビニル系単量体が70質量%、シアン化ビニル系単量体が30質量%であった。グラフト共重合体(A−5)のグラフト率は58%であった。
[合成例7:グラフト共重合体(A−6)の製造]
ステンレス製のオートクレーブ反応器中に、水145部、ロジン酸カリウム1.0部、オレイン酸カリウム1.0部、水酸化ナトリウム0.06部、硫酸ナトリウム0.4部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を仕込み、窒素置換した後、1,3−ブタジエン125部を仕込み、60℃に昇温した。次いで、過硫酸カリウム0.3部を水5部に溶解した水溶液を圧入して重合を開始した。重合中は重合温度を65℃に調節し、12時間後内圧が4.5kg/cm(ゲージ圧)となった時点で未反応の1,3−ブタジエンを回収した。その後、内温を80℃にして1時間保持し、質量平均粒子径が0.080μmで、固形分が41%である小粒子ジエン系ゴム(a−6−1)ラテックスを得た。
小粒子ジエン系ゴム(a−6−1)ラテックスの固形分換算で100部に、酸基含有共重合体ラテックス(K)を固形分換算で1.5部撹拌しながら添加し、さらに30分間撹拌して体積平均粒子径が0.300μmの肥大化ジエン系ゴム(a−6−2)ラテックスを得た。
肥大化ジエン系ゴム(a−6−2)の固形分換算で20質量部を反応器に仕込み、次いで、ロジン酸カリウム1.0部と水150部とを加えて窒素置換を行い、内温を70℃に昇温した。これに10部の水に過硫酸カリウム0.12部を溶解した水溶液を加え、引き続き予め窒素置換しておいたアクリル酸n−ブチル80部、メタクリル酸アリル0.33部、エチレングリコールジメタクリレート0.17部からなる単量体混合物を2時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、内温を80℃に昇温し、1時間保持して肥大化ジエン系ゴムと架橋アクリル酸エステル系共重合体とからなる体積平均粒子径が0.320μmである複合ゴム質重合体(a−6−3)ラテックスを得た。
複合ゴム質重合体(a−6−3)ラテックスの固形分換算で50部を反応器に仕込み、水140部を加え70℃に昇温した。次いで、アクリロニトリル15部、スチレン35部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.5部からなる混合液を100分間にわたって滴下しながら、80℃まで昇温した。滴下終了後、温度80℃の状態を30分間保持した後、冷却し、グラフト共重合体(A−6)ラテックスを得た。以降は合成例2と同様の操作を行い、グラフト共重合体(A−6)を得た。ゴム質重合体(a−6)100質量%中のアクリル酸エステル単量体単位の含有量は79.8質量%、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対する多官能性単量体単位の含有量は0.625質量部、グラフト共重合体(A−6)100質量部中のゴム質重合体(a−6)の含有量は49.8質量部、ゴム質重合体(a−6)にグラフトしている芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の組成はそれぞれ芳香族ビニル系単量体が70質量%、シアン化ビニル系単量体が30質量%であった。グラフト共重合体(A−6)のグラフト率は55%であった。
[合成例8:グラフト共重合体(B−1)の製造]
反応器に水240部、アルケニルコハク酸ジカリウム(花王社製、ラテムルASK)0.7部、アクリル酸n−ブチル50部、メタクリル酸アリル0.15部、1,3−ブタンジオールジメタクリル酸エステル0.05部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.1部を撹拌下で仕込み、反応器を窒素置換した後、内容物を昇温した。内温55℃にて、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部、硫酸第一鉄七水塩0.00015部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.00045部、水10部からなる水溶液を添加し、重合を開始させた。重合発熱が確認された後、ジャケット温度を75℃とし、重合発熱が確認されなくなるまで重合を継続し、さらに1時間保持した。得られたゴム質重合体(b−1)の体積平均粒子径は0.105μmであった。
内温を70℃に制御し、アルケニルコハク酸ジカリウム(花王社製、ラテムルASK)0.2部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄七水塩0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003部、水10部からなる水溶液を添加した。次いで、アクリロニトリル12部、スチレン28部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.2部からなる混合液を80分間にわたって滴下しながら、80℃まで昇温した。滴下終了後、温度80℃の状態を30分間保持した後、75℃まで冷却し、アクリロニトリル3部、スチレン7部、ノルマルオクチルメルカプタン0.02部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.05部からなる混合液を20分間にわたって滴下した。滴下終了後、75℃で60分間保持した後冷却し、グラフト共重合体(B−1)ラテックスを得た。次いで、2.0%硫酸水溶液100部を40℃に加熱し、該水溶液を撹拌しながら、該水溶液にグラフト共重合体(B−1)ラテックス100部を徐々に滴下し、グラフト共重合体(B−1)を固化させ、さらに95℃に昇温して10分間保持した。次いで、固化物を脱水、洗浄、乾燥し、粉末状のグラフト共重合体(B−1)を得た。ゴム質重合体(b−1)100質量%中のアクリル酸エステル単量体単位の含有量は99.4質量%、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対する多官能性単量体単位の含有量は0.2質量部、グラフト共重合体(B−1)100質量部中のゴム質重合体(b−1)の含有量は49.9質量部、ゴム質重合体(b−1)にグラフトしている芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の組成はそれぞれ芳香族ビニル系単量体が70質量%、シアン化ビニル系単量体が30質量%であった。グラフト共重合体(B−1)のグラフト率は53%であった。
[合成例9:グラフト共重合体(B−2)の製造]
ゴム質重合体を製造する際に用いるアルケニルコハク酸ジカリウム(花王社製、ラテムルASK)の量を8部に変更した以外は合成例8と同様の手法により、グラフト共重合体(B−2)を得た。ゴム質重合体(b−2)の体積平均粒子径は0.050μm、ゴム質重合体(b−2)100質量%中のアクリル酸エステル単量体単位の含有量は99.4質量%、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対する多官能性単量体単位の含有量は0.2質量部、グラフト共重合体(B−2)100質量部中のゴム質重合体(b−2)の含有量は49.9質量部、ゴム質重合体(b−2)にグラフトしている芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の組成はそれぞれ芳香族ビニル系単量体が70質量%、シアン化ビニル系単量体が30質量%であった。グラフト共重合体(B−2)のグラフト率は60%であった。
[合成例10:グラフト共重合体(B−3)の製造]
反応器に水240部、牛脂肪酸カリウム(花王社製、KSソープ)0.1部、アクリル酸n−ブチル50部、メタクリル酸アリル0.15部、1,3−ブタンジオールジメタクリル酸エステル0.05部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.1部を撹拌下で仕込み、反応器内を窒素置換した後、内容物を昇温した。内温55℃にて、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部、硫酸第一鉄七水塩0.00015部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.00045部、水10部からなる水溶液を添加し、重合を開始させた。重合発熱が確認された後、アルケニルコハク酸ジカリウム(花王社製、ラテムルASK)0.3部を滴下速度0.015部/分で滴下しつつジャケット温度を75℃とし、重合発熱が確認されなくなった時点で更にアルケニルコハク酸ジカリウム(花王社製、ラテムルASK)を0.3部添加し、さらに1時間保持した。得られたゴム質重合体(b−3)の体積平均粒子径は0.230μmであった。その後は合成例8と同様の手法により、グラフト共重合体(B−3)を得た。ゴム質重合体(b−3)100質量%中のアクリル酸エステル単量体単位の含有量は99.4質量%、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対する多官能性単量体単位の含有量は0.2質量部、グラフト共重合体(B−3)100質量部中のゴム質重合体(b−3)の含有量は49.9質量部、ゴム質重合体(b−3)にグラフトしている芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の組成はそれぞれ芳香族ビニル系単量体が70質量%、シアン化ビニル系単量体が30質量%であった。グラフト共重合体(B−3)のグラフト率は55%であった。
[合成例11:グラフト共重合体(B−4)の製造]
ゴム質重合体を製造する際に用いるメタクリル酸アリルを0.075部、1,3−ブタンジオールジメタクリル酸エステルを0.025部に変更した以外は合成例8と同様の手法により、グラフト共重合体(B−4)を得た。グラフト共重合体(B−4)中のゴム質重合体(b−4)の体積平均粒子径は0.105μm、ゴム質重合体(b−4)100質量%中のアクリル酸エステル単量体単位の含有量は99.6質量%、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対する多官能性単量体単位の含有量は0.1質量部、グラフト共重合体(B−4)100質量部中のゴム質重合体(b−4)の含有量は49.9質量部、ゴム質重合体(b−4)にグラフトしている芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の組成はそれぞれ芳香族ビニル系単量体が70質量%、シアン化ビニル系単量体が30質量%であった。グラフト共重合体(B−4)のグラフト率は35%であった。
グラフト共重合体(A−1)〜(A−6)、(B−1)〜(B−4)のゴム質重合体の体積平均粒子径及びジエン成分の含有量とグラフト率を表1に示す。
Figure 0006249130
[合成例12:ビニル系共重合体(C−1)の製造]
反応器に水125部、リン酸カルシウム0.4部、アルケニルコハク酸カリウム塩0.0025部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.04部、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.06部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート0.03部、t−ドデシルメルカプタン0.4部と、スチレン72部、及びアクリロニトリル28部からなる単量体混合物を仕込み、反応させた。反応は、水、アクリロニトリル、スチレンの一部を逐次添加しながら開始温度65℃から6.5時間昇温加熱後、125℃に到達させて行った。更に、125℃で1時間反応した後、重合物を取り出し、ビニル系共重合体(C−1)を得た。得られたビニル系共重合体(C−1)の質量平均分子量は104,000であった。
[合成例13:ビニル系共重合体(C−2)の製造]
アクリロニトリル28部、スチレン24部、α−メチルスチレン37部、及びN−フェニルマレイミド11部からなる単量体混合物を使用し、スチレン、α−メチルスチレン、N−フェニルマレイミドの一部を逐次添加したこと以外は合成例12と同様にして重合を行って、ビニル系共重合体(C−2)を得た。得られたビニル系共重合体(C−2)の量平均分子量は129,000であった。
[光安定剤(D−1)]
ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)として、ADEKA社製「アデカスタブ LA−77Y」(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート(分子量481))を使用した。
[光安定剤(D−2)]
ヒンダードアミン系光安定剤(D−2)として、ADEKA社製「アデカスタブ LA−57」(テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量791))を使用した。
[光安定剤(D−3)]
ヒンダードアミン系光安定剤(D−3)として、ADEKA社製「アデカスタブ LA−63P」(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β'−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物(分子量2,000))を使用した。
[光安定剤(D−4)]
ヒンダードアミン系光安定剤(D−4)として、BASF社製「Uvinul 5050H」(N−(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジン)マレイン酸イミド及びα−オレフィン(C20−24)の共重合体(分子量3000〜4000))を使用した。
[光安定剤(D−5)]
ヒンダードアミン系光安定剤(D−5)として、ADEKA社製「アデカスタブ LA−82」(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル=メタクリラート(分子量225))を使用した。
[紫外線吸収剤(E−1)]
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(E−1)として、ADEKA社製「アデカスタブ LA−31」(2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](分子量659))を使用した。
[紫外線吸収剤(E−2)]
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(E−2)として、ADEKA社製「アデカスタブ LA−32」(2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(分子量225))を使用した。
[紫外線吸収剤(E−3)]
トリアジン系紫外線吸収剤(E−3)として、ADEKA社製「アデカスタブ LA−46」(2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイロキシ)エトキシ]フェノール(分子量512))を使用した。
[紫外線吸収剤(E−4)]
トリアジン系紫外線吸収剤(E−4)として、ADEKA社製「アデカスタブ LA−F70」(2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4ヘキシロキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(分子量700))を使用した。
[紫外線吸収剤(E−5)]
シアノアクリレート系紫外線吸収剤(E−5)として、BASF社製「Uvinul 3030FF」(2,2−ビス{[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル}プロパン−1,3−ジイル=ビス(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート)(分子量1060))を使用した。
[酸化防止剤(F−1)]
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(F−1)として、ADEKA社製「アデカスタブ AO−50」(n−オクタデシル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(分子量531))を使用した。
[酸化防止剤(F−2)]
フェノール系酸化防止剤(F−2)として、ADEKA社製「アデカスタブ AO−40」(6,6’−ジ−tert−ブチル−4,4’−ブチリデンジ−m−クレゾール(分子量383))を使用した
[酸化防止剤(F−3)]
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(F−3)として、ADEKA社製「アデカスタブ AO−60」(ペンタエリトリトール=テトラキス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](分子量1178))を使用した。
[実施例1〜10及び比較例1〜22:熱可塑性樹脂組成物の製造]
グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)、ビニル系共重合体(C)、光安定剤(D)、紫外線吸収剤(E)、酸化防止剤(F)、及びカーボンブラック部(三菱ケミカル社製「#966B」、平均一次粒子径17nm)1部を、表2〜4に示す割合で混合し、さらに滑剤としてエチレンビスステアリルアミド(日油株式会社製「アルフローH50S」)0.5部、酸化マグネシウム(協和化学工業製「キョーワマグ150」)0.1部を加え、ヘンシェルミキサーでブレンドした。この混合物を28mmφの2軸スクリュー押出機(日本製鋼所社製「TEX28V」)を用いて、シリンダー温度240℃にて溶融混練し、ペレット化した。
[熱可塑性樹脂組成物の評価]
得られた樹脂組成物のペレットを用い、以下の試験を行って、結果を表2〜4に示した。なお、耐候性の評価は30×70×2mmtの成形体を用いて行った。
<耐衝撃性:シャルピー衝撃強度>
成形体のシャルピー衝撃強度は、ISO 179に準拠する方法により、23℃雰囲気下で12時間以上を放置したVノッチあり試験片について測定した。
<剛性:曲げ弾性率>
成形体の曲げ弾性率は、ISO試験法178に準拠する方法により、測定温度23℃、試験片厚さ4mmで測定した。
<耐熱性:荷重たわみ温度>
成形体の荷重たわみ温度はISO試験法75に準拠し、1.8MPa、4mm、フラ
ットワイズ法で測定した。
<表面外観;光沢度>
成形体の光沢度は、デジタル変角光沢計UGV−5D(スガ試験機社製)を用いて、入反射角60°における光沢度を測定した。
<耐候性;変色度合い(ΔE)>
キセノンウェザーメーター Ci4000(アトラス社製)を用いて、SAE J2527に準拠した2500kJ/m、及び4500kJ/m照射の促進耐候試験を実施した。試験前後における変色度合い(ΔE)を、測色計CM−508d(コニカミノルタ社製)を用いて評価した。
<耐候性;光沢保持率>
キセノンウェザーメーター Ci4000(アトラス社製)を用いて、SAE J2527に準拠した2500kJ/m、及び4500kJ/m照射の促進耐候性試験を実施した。入反射角60°における試験前後の光沢度をデジタル変角光沢計UGV−5D(スガ試験機社製)を用いて測定し、以下の計算式で光沢保持率を求めた。
光沢保持率(%)=試験前の光沢度/試験後の光沢度×100
<耐候性;ブリードアウトの発生>
キセノンウェザーメーター Ci4000(アトラス社製)を用いて、SAE J2527に準拠した4500kJ/m照射の促進耐候性試験を実施し、試験後の成形体について目視観察によるブリードアウトの発生を判定した。
〇:試験片表面にブリードアウトの発生無し
×:試験片表面にブリードアウトが発生
以下の表2〜4において、「(A)のゴム量:(B)のゴム量」は、熱可塑性樹脂(G)に含まれるゴム質重合体100質量%中のグラフト共重合体(A)のゴム質重合体(a)の割合(質量%)とグラフト共重合体(B)のゴム質重合体(b)の割合(質量%)である。
Figure 0006249130
Figure 0006249130
Figure 0006249130
表2〜4より明らかなように、各実施例で得られた熱可塑性樹脂性樹脂組成物からは、耐候性、耐衝撃性、及び表面外観に優れた成形体が得られた。
一方、各比較例の場合、耐候性、耐衝撃性、及び表面外観のいずれか1以上の項目に劣る結果となった。
本発明によれば、耐候性、耐衝撃、表面外観を高いレベルで併せ持った成形体を得ることができる熱可塑性樹脂組成物と、この熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体、及びこの成形体を含む車両外装部品を提供することができ、産業上の利用価値は極めて高い。

Claims (8)

  1. 下記の熱可塑性樹脂(G)、光安定剤(D)、紫外線吸収剤(E)、及び酸化防止剤(F)を含み、熱可塑性樹脂(G)100質量部に対して、光安定剤(D)を0.1〜1.5質量部、紫外線吸収剤(E)を0.1〜1.5質量部、酸化防止剤(F)を0.1〜3質量部含む熱可塑性樹脂組成物。
    熱可塑性樹脂(G):グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)、及びビニル系共重合体(C)からなり、
    グラフト共重合体(A)は、アクリル酸エステル系単量体単位と多官能性単量体単位を含み、主鎖に共役ジエン単量体単位を含まない、体積平均粒子径0.3〜0.6μmのゴム質重合体(a)に、ビニル系単量体がグラフトされたグラフト率が40〜80%のグラフト共重合体であり、
    グラフト共重合体(B)は、アクリル酸エステル系単量体単位と多官能性単量体単位を含み、主鎖に共役ジエン単量体単位を含まない、体積平均粒子径0.07〜0.2μmの、ゴム質重合体(b)に、ビニル系単量体がグラフトされたグラフト率が40〜80%のグラフト共重合体であり、
    ビニル系共重合体(C)は、芳香族ビニル系単量体の単独重合体、又は少なくともシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体とを共重合してなる共重合体であり、
    熱可塑性樹脂(G)に含まれるゴム質重合体の総量100質量%中に、ゴム質重合体(a)を20〜70質量%、ゴム質重合体(b)を30〜80質量%含む熱可塑性樹脂
    光安定剤(D):分子量400〜2,000のヒンダードアミン系光安定剤
    紫外線吸収剤(E):分子量300〜800のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はトリアジン系紫外線吸収剤
    酸化防止剤(F):分子量500〜800のヒンダードフェノール系酸化防止剤
  2. ゴム質重合体(a)100質量%中のアクリル酸エステル系単量体単位の含有量が75質量%以上で、多官能性単量体単位の含有量が、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対して0.3〜3質量部であり、グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体(a)に、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらのビニル系単量体と共重合可能な他の単量体を含むビニル系単量体混合物をグラフト重合してなり、グラフト共重合体(A)100質量部中のゴム質重合体(a)の含有量が10〜90質量部であって、
    ゴム質重合体(b)100質量%中のアクリル酸エステル系単量体単位の含有量が75質量%以上で、多官能性単量体単位の含有量が、アクリル酸エステル系単量体単位100質量部に対して0.05〜3質量部であり、グラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体(b)に、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらのビニル系単量体と共重合可能な他の単量体を含むビニル系単量体混合物をグラフト重合してなり、グラフト共重合体(B)100質量部中のゴム質重合体(b)の含有量が10〜90質量部である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. グラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)とビニル系共重合体(C)の総量である熱可塑性樹脂(G)100質量部に含まれる、グラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)の含有量が20〜60質量部で、ビニル系共重合体(C)の含有量が40〜80質量部である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. ビニル系共重合体(C)が、芳香族ビニル系単量体の単独重合体、もしくはシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体との共重合体(C−1)、及び/又は、N−置換マレイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体との共重合体(C−2)を含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. ビニル系共重合体(C)100質量部中の共重合体(C−1)と共重合体(C−2)の含有割合が(C−1):(C−2)=10〜100質量部:0〜90質量部の範囲である、請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 更に、リン系酸化防止剤、カーボンブラック、及び周期表第2族元素の酸化物の1種又は2種以上を含む、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
  8. 請求項7に記載の成形体を含む車両外装部品。
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