本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成やフローチャートなどは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
図1〜図7を参照して、本発明の第一実施形態を説明する。図1及び図2を参照して、パチンコ機1の概略構成を説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、右側を、それぞれ、パチンコ機1及び装飾枠10の前方(前面側)、後方(後面側)、上方、下方、左方、右方とする。なお、図1及び図2では、図面を見やすくするために、回転役物33を簡略表示している。
図1に示すように、パチンコ機1は、遊技盤2を備える。遊技盤2は、正面視で略正方形の板状であり、透明なガラス板を保持した前面枠27によって前面を保護されている。遊技盤2の下部に、上皿5が設けられている。上皿5は、発射機37(図3参照)に遊技球を供給し、且つ賞球払出装置49(図3参照)から払い出される賞球を受ける。上皿5の上部中央に、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下に、賞球を受ける下皿8が設けられている。下皿8の右横に、発射機37による遊技球の発射を調整する発射ハンドル6が設けられている。前面枠27の上部の両角部に、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面に、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の略中央に、後述する枠状の装飾枠10が配設されている。正面視で装飾枠10の内側に、後述する回転役物33及びランプ役物35が配置されている。発射機37によって発射された遊技球は、装飾枠10の周囲を通過するように遊技領域4内を流下する。
遊技領域4における装飾枠10の周囲に、所定の配置で複数の遊技釘や風車などが植設されている。さらに、装飾枠10の右側に、普通図柄作動ゲート22が設けられている。装飾枠10の中央下側に、第一始動口23が設けられている。第一始動口23の直下に、開閉部材を備えた第二始動口24が設けられている。第二始動口24は、開閉部材が開放された場合にのみ遊技球が入賞可能である。第二始動口24の下側に、開閉部材を備えた大入賞口25が設けられている。大入賞口25は、開閉部材が開放された場合にのみ遊技球が入賞可能である。大入賞口25の下側に、遊技領域4の中央下端部まで流下した遊技球を回収するアウト口26が設けられる。
遊技盤2の後面側には、LCD(液晶ディスプレイ)等で構成される表示面281を有する画像表示装置28(図3参照)が設けられている。表示面281は、正面視で装飾枠10の内側に設けられ、前方に向けて画像を表示可能である。表示面281に、特別図柄に基づく当たり判定(大当たり判定)の結果を遊技者に報知するための複数のデモ図柄が表示される。複数のデモ図柄は、遊技球が第一始動口23及び第二始動口24のいずれかに入賞すると変動を開始し、その変動後に大当たり判定の結果に応じた組み合わせで確定表示される。
遊技盤2の右斜め下部に、図柄表示部29が設けられている。図柄表示部29は、特別図柄表示部、普通図柄表示部、特別図柄記憶数表示LED、及び普通図柄記憶数表示LEDを含む。特別図柄表示部は、2つの7セグメントLEDからなり、大当たり判定の結果を示す特別図柄を表示する。普通図柄表示部は、LEDの点灯及び消灯によって普通図柄に基づく当たり判定(普通当たり判定)の結果を表示する。特別図柄記憶数表示LEDは、大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数(所謂「特別図柄作動保留球数」)を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数(所謂「普通図柄作動保留球数」)を表示する。
本実施形態のパチンコ機1では、遊技球が普通図柄作動ゲート22を通過すると、普通当たり判定が行われる。普通当たり判定において当たりと判定された場合、普通当たり遊技が実行される。普通当たり遊技では、第二始動口24の開閉部材が開放される。遊技球が第一始動口23及び第二始動口24のいずれかに入賞すると、大当たり判定が行われる。大当たり判定において当たりと判定された場合、大当たり遊技が実行される。大当たり遊技では、大入賞口25の開閉部材が所定回数開放される。開放された大入賞口25に遊技球が入賞すると、賞球が遊技者に付与される。
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、及び中継基板47を主に備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50に、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50に、割込信号発生回路57が接続されている。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。
主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、第一始動口スイッチ72、及び第二始動口スイッチ73に接続されている。出力ポート55は、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。第一始動口スイッチ72は、第一始動口23に入賞した遊技球を検出する。第二始動口スイッチ73は、第二始動口24に入賞した遊技球を検出する。
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582、及びROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、操作ボタン9、及びスピーカ48に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出に関する総合的な制御を行う。演出制御基板43は、CPU431、CGROM432等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って画像表示装置28の表示制御を行う。払出制御基板45は、CPU451等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞球払出装置49の動作を制御し、所定数の賞球を払い出させる。ランプドライバ基板46は、遊技盤2に設けられている各種役物(例えば、後述する回転役物33、電飾部材34、ランプ役物35、扉役物36)の動作等を制御する。
中継基板47には、普通電動役物開閉ソレノイド69、大入賞口開閉ソレノイド70、普通図柄作動スイッチ74、大入賞口スイッチ75、及び図柄表示部29が接続されている。普通電動役物開閉ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二始動口24の開閉部材を開閉する。大入賞口開閉ソレノイド70は、大当たり遊技中に大入賞口25の開閉部材を開閉する。普通図柄作動スイッチ74は、普通図柄作動ゲート22を通過した遊技球を検出する。大入賞口スイッチ75は、大入賞口25に入賞した遊技球を検出する。
電源基板42は、主基板41及び発射機37に接続されており、各基板及び発射機37に直流の安定化した電力を供給する。発射機37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
図4〜図7を参照して、遊技盤2、装飾枠10、及び後部材30の詳細構造を説明する。図4に示すように、ガイドレール3で規定される遊技領域4の内側に、遊技盤2を前後方向に貫通する取付開口20が形成されている。先述の遊技釘、風車、普通図柄作動ゲート22、第一始動口23、第二始動口24、大入賞口25、アウト口26は、遊技領域4における取付開口20の外側に設けられている。遊技盤2の後面側に、取付開口20を後方から覆うように後部材30が取り付けられている。遊技盤2の前面側に、取付開口20に沿って装飾枠10が取り付けられている。
図4及び図5に示すように、後部材30は前方に開口する箱状のカバー本体31を有する。カバー本体31の内部に、カバー本体31を前後方向に貫通する表示開口32が形成されている。表示開口32は、表示面281(図2参照)の略全体を前方に露出可能な、正面視で矩形状の開口である。図示しないが、カバー本体31の後方に、画像表示装置28(図3参照)が取り付けられる。カバー本体31に取り付けられた画像表示装置28の表示面281の前方から、表示開口32が表示面281と対向する。表示面281は、表示開口32を介して後部材30の前方に露出する。
カバー本体31の内部に、遊技の演出に使用される部材である回転役物33、電飾部材34、ランプ役物35、扉役物36が設置されている。回転役物33は、表示開口32の上側に設けられた装飾物であり、本実施形態では富士山を模した装飾物である。回転役物33は、前後方向に延びる軸部(図示外)を中心に、モータ(図示外)によって時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能な可動体である。さらに、回転役物33は、前方に向けて発光可能な発光体(例えば、LED)が内部に設けられた透光性の装飾物である。ランプドライバ基板46(図3参照)によって、回転役物33の回転駆動及び発光駆動が制御される。
電飾部材34は、表示開口32の上側、且つ回転役物33よりも前側に設けられた発光部である。電飾部材34では、正面視で表示開口32の上辺部に沿って左右方向に延びる矩形状の透光性カバーの内部に、前方に向けて発光可能な発光体(例えば、LED)が設けられた基板が収容されている。ランプドライバ基板46によって、電飾部材34の発光駆動が制御される。
ランプ役物35は、表示開口32の下側に設けられた装飾物である。本実施形態では、ランプ役物35は、回転役物33は、前方に向けて発光可能な発光体(例えば、LED)が内部に設けられた、回転灯のように発光可能な透光性の装飾物である。ランプドライバ基板46によって、ランプ役物35の発光駆動が制御される。
扉役物36は、表示開口32の前方に設けられた装飾物であり、本実施形態では一対の開閉扉を模した装飾物である。扉役物36は、左右方向に延びるガイドレール(図示外)に沿って、モータ(図示外)によって往復移動可能な一対の可動体である。具体的に扉役物36は、表示開口32の正面視中心を挟んで左右対称な一対の扉部60L,60Rを有する。扉部60L,60Rが互いに近接する位置(以下、閉位置)に移動すると、正面視で表示開口32の略全体は扉部60L,60Rによって閉鎖される。扉部60L,60Rが互いに離間する位置(以下、開位置)に移動すると、正面視で表示開口32の略全体は扉部60L,60Rから開放される。このような扉役物36の開閉動作は、ランプドライバ基板46によって制御される。
後部材30は、取付開口20を後方から覆うように、遊技盤2の後面にビス止めで固定される。これにより、図5に示すように、表示開口32から前方に露出する表示面281は、さらに取付開口20を介して前方に露出する。回転役物33、電飾部材34、ランプ役物35、扉役物36も、取付開口20を介して前方に露出する。
図4及び図6に示すように、装飾枠10は、例えばABS樹脂等の樹脂材料で枠状に成型された透光性の本体部11を有する。本体部11の外周縁には、複数の突出片12が設けられている。各突出片12は、本体部11の外周縁における前後方向略中央から突出する板状部であり、且つ前後方向に貫通するビス穴が形成されている。
正面視で本体部11の内側には、本体部11を前後方向に貫通する二つの露出口18,19が設けられている。露出口18,19は、それぞれ本体部11における上側部分及び下側部分に設けられている。露出口18は、回転役物33(図5参照)の略全体を前方に露出可能な、正面視で略円形状の開口である。露出口19は、表示面281(図2参照)の略全体を前方に露出可能な、正面視で略矩形状の開口である。本体部11における露出口19の下側に、遊技球が左右方向に転動可能なステージ16が設けられている。
本体部11における露出口18,19の間に、装飾部13が設けられている。装飾部13は、電飾部材34(図5参照)の略全体を前方から被覆可能な、正面視で矩形状の透光性装飾物である。本実施形態の装飾部13は、装飾枠10が取り付けられるパチンコ機1のロゴを示す形状で樹脂成型された板状部材である。本体部11における露出口19の左側及び右側に、それぞれ装飾部14,15が設けられている。装飾部14,15は、それぞれ略左右対称に上下方向に延びる略円筒状をなす一対の装飾物である。装飾部14,15は、それぞれ開位置にある扉部60L,60R(図5参照)を前方から隠蔽可能である。
図7に示すように、装飾部14は、前カバー141、装飾シート142、後カバー143を有する。後カバー143は、透光性の樹脂部材であり、その前面に装飾シート142が設置される。装飾シート142は、上下方向に長い可撓性且つ透光性の樹脂シートであり、その前面に装飾画像(図示外)が印刷されている。前カバー141は、透光性の樹脂部材であり、後カバー143に前側から組み付けられる。互いに組み付けられた前カバー141及び後カバー143の間に、装飾シート142を収容可能な内部空間が形成される。
後カバー143の前面に、装飾部14に収容された装飾シート142を保持する複数の保持板143Aが設けられている。複数の保持板143Aは、装飾シート142を右側後方に湾曲させて保持する板部である。装飾シート142には、複数の固定穴142Aが形成されている。装飾部14に収容された装飾シート142は、複数の固定穴142Aに固定ピン(図示外)が挿入されることで固定される。
同様に、装飾部15は、前カバー151、装飾シート152、後カバー153を有する。互いに組み付けられた前カバー151及び後カバー153の間に、装飾シート152が収容される。後カバー153に設けられた複数の保持板153Aは、装飾部15に収容された装飾シート152を左側後方に湾曲させて保持する。装飾部15に収容された装飾シート152は、複数の固定穴152Aに固定ピン(図示外)が挿入されることで固定される。
図4及び図6に示すように、装飾枠10を遊技盤2に装着する場合、本体部11の後部が取付開口20に前方から嵌め込まれることで、各突出片12が遊技盤2の前面に接触する。各突出片12のビス穴を介して、複数のビスが遊技盤2の前面に連結固定されることで、装飾枠10が遊技盤2の前面に固定される。逆に、装飾枠10を遊技盤2から取り外す場合、複数のビスが遊技盤2の前面から連結解除されたのち、本体部11が取付開口20に前方から引き抜かれることで、装飾枠10が遊技盤2の前面から取り外される。以上の手順により、装飾枠10は遊技盤2の前方から取付開口20に沿って着脱可能である。
後部材30が取り付けられた遊技盤2(図5参照)に装飾枠10が装着されると、図2に示すように、露出口18を介して回転役物33の略全体が前方に露出する。さらに露出口19を介して、表示面281及びランプ役物35が前方に露出する。扉役物36(図4参照)は閉位置にある場合に、露出口19を介して前方に露出する。一方、電飾部材34は、正面視で装飾部13によって被覆される。扉役物36は開位置にある場合に、正面視で装飾部14,15によって隠蔽される。
本実施形態では、サブ制御基板58のCPU581(図3参照)が、画像表示装置28、回転役物33、電飾部材34、ランプ役物35、及び扉役物36を、遊技の進行に応じて選択的に駆動する。遊技者は露出口18を介して、回転役物33の回転駆動及び発光態様を目視できる。遊技者は露出口19を介して、表示面281に表示される演出画像及びデモ図柄を目視でき、且つランプ役物35の発光態様を目視できる。扉役物36が閉位置に移動した場合、遊技者は露出口19を介して扉役物36を目視できる。さらに遊技者は、電飾部材34の発光態様に応じて後方から照らし出される装飾部13を目視できる。
遊技者は、装飾部14,15にそれぞれ収容された装飾シート142,152の装飾画像を目視できる。露出口19の後方に向けて傾斜するように装飾シート142,152が保持されているため、装飾シート142,152の前面がそれぞれ露出口19の前方を向いている。したがって、表示面281に注視する遊技者が、装飾シート142,152を併せて目視しやすい。なお、パチンコ機1の機種や仕様に応じて、装飾シート142,152を交換又は変更してもよい。
以上説明したように、第一実施形態では、遊技釘が植設される遊技領域4の内側に形成された遊技盤2の取付開口20に沿って、装飾枠10が遊技盤2の前方から装着される。画像表示装置28の表示面281は、装飾枠10の露出口19を介して前方に露出する。電飾部材34は、装飾枠10の装飾部13によって前方から被覆される。遊技者は、露出口19を介して表示面281の表示内容を目視でき、且つ、装飾部13を介して電飾部材34の発光態様を目視できる。
例えば異なる機種や仕様ごとに複数の装飾枠10を用意しておけば、画像表示装置28、電飾部材34、遊技釘などの部品が共通のパチンコ機1であっても、装飾枠10を変更するだけで遊技盤2の外観が大きく変化する。つまり、画像表示装置28、電飾部材34、遊技釘などの部品を交換することなく、装飾枠10を変更するだけで遊技盤2の外観を大きく変更できる。その結果、従来よりも多数の部品を共通化でき、少ない部品交換でパチンコ機1の機種や仕様に応じた遊技盤2の外観を実装できる。
画像表示装置28、回転役物33、電飾部材34、ランプ役物35、及び扉役物36は、遊技の進行に応じて選択的に駆動される。したがって、遊技者が目視可能な部材を使用して、遊技の演出を適切に実行できる。なお、これらの部材の駆動態様は、装飾枠10が装着されるパチンコ機1の機種や仕様に応じて異なることが望ましい。これにより、装飾枠10を除いて遊技盤2の構造が共通であっても、パチンコ機1の機種又は仕様が異なることを明確にできる。
回転役物33は装飾枠10の露出口18を介して前方に露出するため、遊技者は回転役物33を目視できる。露出口18を備える装飾枠10が装着されるパチンコ機1では、各パチンコ機1の機種や仕様が異なっていても回転役物33を流用できる。したがって、パチンコ機1に設置されている回転役物33を交換することなく、回転役物33を使用する機種や仕様に応じた遊技盤2の外観を簡単に実装できる。
装飾枠10を構成する部材は、全て樹脂材料で形成されている。つまり、装飾枠10は、電気部品以外の部材から成る。したがって、装飾枠10に電気部品と接続する配線が不要であるため、装飾枠10の着脱作業や交換作業が容易である。
図8〜図10を参照して、本発明の第二実施形態を説明する。第二実施形態のパチンコ機1は、第一実施形態と装飾枠10のみが異なる。以下の説明では、第一実施形態と同一又は対応する構成については同一符号を付し、第一実施形態と異なる装飾枠10を中心に説明する。
図8及び図9に示すように、第二実施形態の装飾枠10は、第一実施形態と同様に、本体部11、複数の突出片12、装飾部14,15、ステージ16、露出口19を備える。一方、本体部11における上側部分に、第一実施形態の装飾部13及び露出口18に代えて、装飾部17が設けられている。
装飾部17は、装飾部17の下側部分である第一装飾体17Aと、装飾部17の上側部分である第二装飾体17Bとを有する。第一装飾体17Aは、電飾部材34(図5参照)の略全体を前方から被覆可能な、正面視で略矩形状の装飾物である。第二装飾体17Bは、回転役物33(図5参照)の略全体を前方から隠蔽可能な形状を有する装飾物である。本実施形態の第二装飾体17Bは、装飾枠10が取り付けられるパチンコ機1のロゴを示す形状で樹脂成型されている。
図10に示すように、装飾部17は、前カバー171、装飾シート172、後カバー173を有する。後カバー173は、透光性を有する樹脂部材であり、下部材173A及び上部材173Bを有する。下部材173Aは、左右方向を長手とする矩形状の透明板であり、その前面に装飾シート172が設置される。装飾シート172は、左右方向に長い可撓性且つ透光性の樹脂シートであり、その前面に装飾画像(図示外)が印刷されている。上部材173Bは、下部材173Aから上方に延びる板状部であり、ロゴの輪郭形状に沿って前後方向に延びる突状部が形成されている。
前カバー171は非透光性の樹脂部材(例えば、不透明な白色樹脂)であり、下部材171A及び上部材171Bを有する。下部材171Aは、前カバー171を前後方向に貫通する窓部が左右方向に並んで複数形成された部材である。上部材171Bは、下部材171Aの上側に設けられた部材であり、ロゴの輪郭形状に沿って前後方向に貫通する溝部が形成されている。
前カバー171は、後カバー173に前側から組み付けられる。互いに組み付けられた前カバー171及び後カバー173の下側部分(つまり、第一装飾体17A)に、装飾シート172が収容される。これにより、下部材173Aの前面側で保持されている装飾シート172は、下部材171Aの窓部を介して前方に露出する。また、互いに組み付けられた前カバー171及び後カバー173の上側部分(つまり、第二装飾体17B)では、上部材173Bの突状部が上部材171Bの溝部に嵌め込まれ、前カバー171及び後カバー173が相互に位置決めされる。
第二実施形態の装飾枠10は、第一実施形態(図5参照)と同様に、遊技盤2の前方から取付開口20に沿って着脱可能である。後部材30が取り付けられた遊技盤2に装飾枠10が装着されると、図8に示すように、露出口19を介して表示面281及びランプ役物35が前方に露出する。扉役物36(図4参照)は閉位置にある場合に、露出口19を介して前方に露出する。一方、電飾部材34は正面視で第一装飾体17Aによって被覆され、回転役物33は正面視で第二装飾体17Bによって隠蔽される。
本実施形態では、サブ制御基板58のCPU581(図3参照)が、画像表示装置28、電飾部材34、ランプ役物35、扉役物36を、遊技の進行に応じて選択的に駆動する。第一実施形態と同様に、遊技者は露出口19を介して、表示面281に表示される演出画像及びデモ図柄を目視でき、ランプ役物35の発光態様を目視できる。扉役物36が閉位置に移動した場合、遊技者は露出口19を介して扉役物36を目視できる。遊技者は、装飾部14,15にそれぞれ収容された装飾シート142,152の装飾画像を目視できる。
本実施形態では、CPU581は回転役物33を駆動しない。回転役物33は正面視で隠蔽されるため、遊技者はパチンコ機1に回転役物33が設けられていることを認識することなく、遊技を楽しむことができる。また、電飾部材34が発光駆動されると、電飾部材34が前方に発する光は、下部材173Aを介して装飾シート172に照射される。遊技者は、電飾部材34の発光態様に応じて後方から照らし出される装飾シート172を、下部材171Aの窓部を介して目視できる。なお、パチンコ機1の機種や仕様に応じて、装飾シート172を交換又は変更してもよい。
以上説明したように、第二実施形態では、第一実施形態と同様に、画像表示装置28、電飾部材34、遊技釘などの部品を交換することなく、装飾枠10を変更するだけで遊技盤2の外観を大きく変更できる。その結果、従来よりも多数の部品を共通化でき、少ない部品交換でパチンコ機1の機種や仕様に応じた遊技盤2の外観を実装できる。また、電気部品以外の部材から成る装飾枠10は、電気部品と接続する配線が不要であるため、装飾枠10の着脱作業や交換作業が容易である。
遊技の進行に応じて、画像表示装置28、電飾部材34、ランプ役物35、及び扉役物36が選択的に駆動される一方、回転役物33は駆動されない。したがって、遊技者が目視可能な部材を使用して、遊技の演出を適切に実行できる。なお、これらの部材の駆動態様は、装飾枠10が装着されるパチンコ機1の機種や仕様に応じて異なることが望ましい。これにより、装飾枠10を除いて遊技盤2の構造が共通であっても、パチンコ機1の機種又は仕様が異なることを明確にできる。
回転役物33は装飾枠10の第二装飾体17Bによって前方から隠蔽されるため、遊技者は回転役物33を目視できない。第二装飾体17Bを備える装飾枠10が装着されるパチンコ機1では、各パチンコ機1の機種や仕様が異なっていても回転役物33を隠蔽できる。したがって、パチンコ機1に設置されている回転役物33を取り外すことなく、回転役物33を使用しない機種や仕様に応じた遊技盤2の外観を簡単に実装できる。
装飾枠10の第一装飾体17Aは、装飾シート172を内部に収容可能であって、且つ内部に収容された装飾シート172を前方から目視可能な状態で保持する。したがって、機種又は仕様に応じて装飾シート172を交換するだけで、第一装飾体17Aの外観を容易に変更できる。
上記実施形態において、取付開口20が本発明の「開口」に相当する。パチンコ機1が本発明の「遊技機」に相当する。装飾枠10が、本発明の「遊技部材」に相当する。装飾部13及び第一装飾体17Aが、それぞれ本発明の「電飾被覆部」に相当する。露出口19が、本発明の「画面露出部」に相当する。回転役物33が、本発明の「可動役物」に相当する。第二装飾体17Bが、本発明の「役物隠蔽部」に相当する。露出口18が、本発明の「役物露出部」に相当する。装飾シート172が、本発明の「第一装飾用部材」に相当する。CPU581が、本発明の「遊技制御手段」に相当する。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。「電飾部材」は、LEDで発光する電飾部材34に限定されず、例えば前方に向けて発光可能であればよい。「電飾被覆部」は、透光性の装飾部13、及び光が通過可能な窓部が設けられた第一装飾体17Aに限定されず、電飾部材の発する光が通過可能な装飾物(例えば、半透明の装飾物)であればよい。「画面露出部」は、開口である露出口19に限定されず、表示面を前方に露出させる部位(例えば、透明板)であればよい。
「可動役物」は、回転役物33に限定されず、所定パターンで動作可能な装飾物(例えば、往復移動する可動物)であればよい。「役物隠蔽部」は、不透明な第二装飾体17Bに限定されず、可動役物を前方から隠蔽する装飾物であればよい。詳細には、「役物隠蔽部」は、遊技者が可動役物の存在を認識困難にする程度に、可動役物の全部又は一部を隠蔽するものであればよい。例えば、「役物隠蔽部」は、遊技者が可動役物の形状を正確に認識できない程度に隠蔽する半透明の装飾物でもよい。「役物露出部」は、開口である露出口18に限定されず、可動役物を前方に露出させる部位(例えば、透明板)であればよい。
「第一装飾用部材」は、樹脂シートである装飾シート172に限定されず、装飾画像が形成された部材であればよい。なお、「遊技部材」は、樹脂部材で構成された装飾枠10に限定されないが、電気部品以外の部材で構成されることが好適である。
上記実施形態の第二装飾体17Bは、第一装飾体17Aと同様に、装飾画像が形成された装飾用部材を内部に収容可能であって、且つ内部に収容された装飾用部材を前方から目視可能な状態で保持してもよい。この場合、機種又は仕様に応じて装飾用部材を交換するだけで、第二装飾体17Bの外観を容易に変更できる。本変形例に係る装飾用部材は、本発明の「第二装飾用部材」に相当する。
請求項、明細書及び図面に記載される全ての要素は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。
更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項である。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。