JP6247177B2 - 磁場検出方法 - Google Patents

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本発明は、量子ビットを用いた磁場検出方法に関する。
生物学やナノテクノロジーなどの分野では、微弱な磁場を高精度で検出できる装置の実現が望まれている。このような高性能磁場検出器の構成方法のひとつとして、電子スピンなどから構成される量子ビットを用いる方法がある。従来の技術では、第1に、電子スピンをターゲットの磁場のもとでラーモア歳差運動させ、第2に、スピンの状態を読み出し、第3に、第1と第2の過程を繰り返すことで磁場の強さを求めていた(非特許文献1〜5参照)。
より詳細に説明する。上述した検出方法では、電子スピンなどから構成される量子ビットにマイクロ波を照射することで作り出した重ね合わせの状態を利用する。ここでは、スピン1/2の場合を例として考える。重ね合わせの状態は磁場により歳差運動を行うが、歳差運動の周期は磁場の強度に依存する。このため、量子ビットの向きを読み出して周期を特定することで、磁場の値を検出することが可能になる。よって、単一量子ビットを用いて、ある与えられた時間T秒のうちに磁場を計測するには以下のような手順を取る。
[第1工程]
基底状態に偏極させた量子ビットにマイクロ波を照射することで、以下のような重ね合わせ状態を作る。
[第2工程]
磁場との相互作用により、量子ビットは歳差運動をするため、第1工程の状態を用意してからt秒後に以下の状態を得る。
ここで、ω=gμBBであり、これは、電子スピンの「Zeeman splitting」を表す。なお、gはg因子を、μBは、ボーア磁子を、Bは磁場を表す。よって、磁場Bの情報が、状態間の位相に書き込まれることになる。しかしながら、このような重ね合わせの状態はデコヒーレンスにより崩壊していき、位相の情報も時間とともに失われていく。このため、磁場と量子ビットを相互作用させる時間は、コヒーレンス時間T* 2を考慮した上で最適化する必要がある。
精度を最適にする相互作用時間は、以下の式で示されることが知られている(非特許文献1参照)。
[第3工程]
量子ビットをY軸の方向に対して読み出し、測定値を記録する。
以上の第1工程,第2工程,および第3工程を所定の回数(M回)、繰り返す。多くの系では、重ね合わせを生成するのに必要な時間や、量子ビットの読み出しに必要とする時間よりも、コヒーレンス時間T* 2のほうが十分に長いため、以下の関係式が成立する。なお、Tは測定時間である。
以上の方法で得られた測定値から、ωの値を推定することができる。また、ωと磁場の間にはω=gμBBという関係があるので、ωの値から磁場の値を求めることが可能となる。推定される磁場Bの誤差は、状態|ψ(t)〉をY軸の方向で測定したときに+1を得られる確率をPとすると、以下の式に示すようにして決定される(非特許文献1参照)。
以上では、単一量子ビットの場合であったが、N個の量子ビットの集団を用いるとさらに精度が向上し、以下の式で示すようになる。
以上のようにして、通常は、量子ビットの数Nに対して精度が(N)-0.5で向上していき、これを標準量子限界と呼ぶ。しかしながら、この方法では、標準量子限界を超える精度の検出はできないことが知られている(非特許文献1参照)。
近年になり、GHZ状態と呼ばれるエンタングルメント状態を電子スピンの間に生成し、磁場センサーとして活用する方法が提唱され、原理的には標準量子限界を超えるセンシングが可能であることが示された(非特許文献2参照)。
以下、GHZ状態と呼ばれるエンタングルメント状態(量子もつれ状態)を電子スピンの間に生成し、磁場センサーとして活用する方法について説明する。以下に示す手順により、N個の量子ビットを用いて、ある与えられた時間T秒のうちに磁場を計測する。
[第1工程]
基底状態に偏極させた複数の量子ビットを用意し、以下の式に示すように、これらの中のひとつの量子ビットをマイクロ波によって重ね合わせの状態に用意する。
[第2工程]
重ね合わせの状態となった量子ビットを制御するために、他の量子ビットを標的にした「controlled-not gate」を印加することで、GHZ状態と呼ばれる以下の式で示すようなエンタングルメントを生成する。
[第3工程]
磁場との相互作用により、量子ビットは歳差運動をするため、2の状態を用意してからt秒後には以下の状態を得る。
上式において、ω=gμBBであり、これは、電子スピンの「Zeeman splitting」を表す。また、Nは、GHZ状態を形成する量子ビットの個数である。
しかしながら、このような重ね合わせの状態はデコヒーレンスにより崩壊していき、位相の情報も時間とともに失われていく。このため、磁場と量子ビットを相互作用させる時間は、デコヒーレンス時間T* 2を考慮した上で最適化する必要がある。精度を最適にする相互作用時間は、以下の式で示されることが知られている(非特許文献2参照)。
[第4工程]
第2工程と同様の「controlled-not gate」を印加することで、以下の式で示される状態を生成する。
[第5工程]
重ね合わせにある制御ビットをY軸の方向で読み出し、読み出した測定値を記録する。
以上の第1工程,第2工程,第3工程,第4工程,および第5工程をM回、繰り返す。なお、Mは、以下の式で示す値である。
この式では、簡単のため、重ね合わせを生成するのに必要な時間、電子スピンの読み出しに必要とする時間、GHZ状態を生成するのにかかる時間は、全て、磁場と相互作用させた時間tよりも十分短いことを仮定している。
この場合において推定されるBの誤差は、以下の式により計算される。
この方法では、GHZ状態を形成する量子ビットの数Nに対して精度が(N)-0.75で向上していくため、標準量子限界を超えるスケーリングでの磁場検出が可能となる。
S. F. Huelga et al. , "Improvement of Frequency Standards with Quantum Entanglement", Physical Review Letters, vol.79, no.20, pp.3865-3868,1997. Y. Matsuzaki et al. , "Magnetic field sensing beyond the standard quantum limit under the effect of decoherence", Physical Review A, vol.84, 012103, 2011. J. M. Taylor et al. , "High-sensitivity diamond magnetometer with nanoscale resolution", Nature Physics, vol.4, pp.810-816, 2008. J. R. Maze et al. , "Nanoscale magnetic sensing with an individual electronic spin in diamond", Nature, vol.455, pp.644-647, 2008. G. Balasubramanian et al. , "Nanoscale imaging magnetometry with diamond spins under ambient conditions", Nature, vol.455, pp.678-651, 2008. S. Dooley et al. , "Collapse and revival and cat states with an N-spin system", Physical Review A, vol.87, 052323, 2013. D. Marcos et al. , "Coupling Nitrogen-Vacancy Centers in Diamond to Superconducting Flux Qubits", Physical Review Letters, PRL 105(21), 210501(4), 2010. X. Zhu et al. ,"Coherent coupling of a superconducting flux qubit to an electron spin ensemble in diamond", Nature, vol.478, pp.211-224 ,2011. P. C. Maurer et al. , "Room-Temperature Quantum Bit Memory Exceeding One Second", Science, vol.336, pp1283-1286, 2012.
しかし、標準量子限界を大きく超える精度のセンシングを実現するには、大規模なGHZ状態を生成することが必要となるが、このためには、量子ビットに対する、「controlled-not gate」などの複雑なパルス制御が必要とされ、現在の技術では実現が難しい。このため、GHZ状態でない、生成の容易なエンタングルド状態で標準量子限界を大きく超える精度のセンシングを実現する手法の提案が待ち望まれていた。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、より容易に、標準量子限界を超える精度で磁場が検出できるようにすることを目的とする。
本発明に係る磁場検出方法は、ωcを制御量子ビットの共振周波数とし、ωmをメモリ量子ビットの共振周波数とし、メモリ量子ビットの個数をNとし、gを制御量子ビットとメモリ量子ビットの結合定数とし、σz (c)を制御量子ビットのパウリ行列とし、σz (m)をメモリ量子ビットのパウリ行列とした以下の式(A)で近似されるハミルトニアンで記述される結合系であって、制御量子ビットとN個のメモリ量子ビットとの結合系の全てのメモリ量子ビットを基底状態として結合系に(ωc−2Ng)の周波数のマイクロ波を、λのラビ周波数でt0=π/λの時間印加し、以下の式(B)で示されるメモリ量子ビットと制御量子ビットとを重ね合わせの状態とする第1ステップと、第1ステップの後で、結合系に対して(ωm−2g)の周波数のマイクロ波を、λ’のラビ周波数でt’=π/λ’の時間印加し、以下の式(C)で示される状態とする第2ステップと、第2ステップの後で、結合系に対して(ωc−2Ng)の周波数のマイクロ波を、λ”のラビ周波数でt”=π/λ”の時間印加することで、以下の式(D)で示される状態とする第3ステップと、第3ステップの後で、設定されている時間tの間、N個のメモリ量子ビットを測定対象の磁場に相互作用させて以下の式(E)で示される状態とする第4ステップと、第4ステップの後で、結合系に対して(ωc−2Ng)の周波数のマイクロ波を、λ”のラビ周波数でt”=π/λ”の時間印加し、以下の式(F)で示される状態とする第5ステップと、第5ステップの後で、結合系に対して(ωm 2g)の周波数のマイクロ波を、λ’のラビ周波数でt’=π/λ’の時間印加し、以下の式(G)で示される状態とする第6ステップと、第6ステップの後で、制御量子ビットの状態を読み出す第7ステップとを備える。
上記磁場測定方法において、複数のメモリ量子ビットは、複数のNV中心を有するダイヤモンドから構成し、制御量子ビットは、超伝導磁束量子ビットから構成し、ダイヤモンドは、超伝導磁束量子ビットを構成する外部制御線の側の配線を覆う状態で、超伝導磁束量子ビットの上に配置すればよい
以上説明したことにより、本発明によれば、より容易に、標準量子限界を超える精度で磁場が検出できるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態における磁場検出方法を説明するフローチャートである。 図2は、本発明の実施の形態における磁場検出方法を実施するための検出装置の構成例を示す構成図である。
以下、本発明の実施の形態について図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における磁場検出方法を説明するフローチャートである。
まず、ステップS101で、複数の(N個の)メモリ量子ビットと制御量子ビットとを重ね合わせの状態とする。ここで、制御量子ビットとN個のメモリ量子ビットとは、以下の式(1)で示されるハミルトニアンで記述される結合した系(結合系)となっている。
なお、式(1)において、ωcは、制御量子ビットの共振周波数、ωmは、メモリ量子ビットの共振周波数、Nは、メモリ量子ビットの個数、gは、制御量子ビットとメモリ量子ビットの結合定数、σz (c)は、制御量子ビットのパウリ行列、σz (m)は、メモリ量子ビットのパウリ行列である。
ここで、上記ハミルトニアンについて説明する。このハミルトニアンでは、第1に、制御量子ビットの状態に応じてメモリ量子ビットの共振周波数が変わり、第2に、メモリ量子ビットの状態に応じて制御量子ビットの共振周波数が変わる、という特徴を持っている。
例えば、制御量子ビットが励起状態|1〉であると、メモリ量子ビットの共振周波数はωm+2gになる。また、制御量子ビットが基底状態|0〉であると、メモリ量子ビットの共振周波数はω m −2gになる。また、メモリ量子ビットの状態が|11・・・1〉であると、制御量子ビットの共振周波数はωc+2Ngになる。メモリ量子ビットの状態が|00・・・0〉であると、制御量子ビットの共振周波数はωc−2Ngとなる。なお、Nは「Spin cat state」を構成するメモリ量子ビットの個数を表している。
ステップS101では、上述した制御量子ビットとN個のメモリ量子ビットとの結合系の全てのメモリ量子ビットを基底状態に偏極し、この結合系に(ωc−2Ng)の周波数のマイクロ波を、λのラビ周波数でt0=π/λの時間印加し、以下の式(2)で示されるメモリ量子ビットと制御量子ビットとを重ね合わせの状態とする(第1ステップ)。量子ビットにおけるスピンの座標系において、スピンをz軸負の方向に偏極させることで、基底状態に偏極させることとなる。また、この状態より、スピンをx軸正の方向に偏極させることで、上記重ね合わせの状態となる。
ここで、マイクロ波の印加時間t0は、制御量子ビットのコヒーレンス時間T* 2cよりも十分に短くなるように調製する。
次に、以上のように重ね合わせ状態とした後で、ステップS102で、結合系に対し、メモリ量子ビットの共振周波数より決定される(ωm−2g)の周波数のマイクロ波を、λ’のラビ周波数でt’=π/λ’の時間印加し、以下の式(3)で示される状態とする(第2ステップ)。なお、マイクロ波の印加時間t’は、制御量子ビットのコヒーレンス時間T* 2cよりも十分に短くなるように調整する。また、ラビ周波数λ’は、結合定数gよりも十分に小さい値を選ぶ。
なお、ここで、|z〉mは以下の式(4)により定義される。また、zの値は、印加したマイクロ波のラビ周波数λ’と印加時間t’によって、以下の式(5)のように決定される。
次に、ステップS103で、結合系に対し、制御量子ビットの共振周波数より決定される(ωc−2Ng)の周波数のマイクロ波を、λ”のラビ周波数でt”=π/λ”の時間印加することで、以下の式(6)で示される、「Spin cat state」と呼ばれる状態とする(第3ステップ)。なお、マイクロ波の印加時間t”は、制御量子ビットのコヒーレンス時間T* 2cよりも十分に短くなるように調整する。また、ラビ周波数λ”は、Ngよりも十分に小さい値を選ぶ。また、λ”t”=πとしていれば、この状態は、GHZ状態に一致する。このため、「Spin cat state」は、GHZ状態の拡張と考えることができる。
次に、ステップS104で、設定されている時間tの間、N個のメモリ量子ビットを測定対象の磁場に相互作用させて以下の式(7)で示される状態とする(第4ステップ)。磁場との相互作用により、量子ビットは歳差運動をするため、ステップS103における状態としてから、測定対象の磁場に相互作用した時間t(秒)の後に、以下の式(7)に示す状態となる。
ここで、磁場との相互作用時間tは、メモリ量子ビットのコヒーレンス時間をT* 2mとしたときに、以下の式(8)のように設定する。なお、sは1よりも十分小さい値とする。また、|ze-iωt〉は、以下の式(9)のように定義される。
次に、ステップS105で、結合系に対して(ωc−2Ng)の周波数のマイクロ波を、λ”のラビ周波数でt”=π/λ”の時間印加し、以下の式(10)で示される状態とする(第5ステップ)。
次に、ステップS106で、結合系に対して(ωm 2g)の周波数のマイクロ波を、λ’のラビ周波数でt’=π/λ’の時間印加し、以下の式(11)で示される状態とする(第6ステップ)。
次に、ステップS107で,量子ビットにおけるスピンの座標系においてy軸の方向で制御量子ビットの状態を読み出す(第7工程)。この読み出しにおいて、+1を得る確率は、以下の通りとなる。なお、Γ=1/T* 2である。
以上のステップS101〜ステップS107を、M回繰り返す。このMは、以下のように示すことができる。
ここでは簡単のため、重ね合わせを生成するのに必要な時間、電子スピンの読み出しに必要とする時間、N個のメモリ量子ビットにより「Spin cat state」を生成するのにかかる時間は、全て、磁場との相互作用時間tよりも十分短いことを仮定している。
こうして、推定される磁場Bの誤差は、以下に示すものとなる。
上述した実施の形態における磁場測定方法によれば、「Spin cat state」を構成するメモリ量子ビットの数Nに対して精度が(N)-0.75で向上していくため、標準量子限界を超えるスケーリングでの磁場検出が可能となる。また、実施の形態における磁場測定方法では、従来のGHZ状態を用いた磁場検出方法と異なり、複雑なパルス制御である「controlled-not」ゲートの操作が必要ないため、実験的な実現が容易となる点が大きな特徴である。
以下、制御量子ビットを超伝導磁束量子ビットから構成し、複数のメモリ量子ビットを、複数のNV中心を有するダイヤモンドから構成する場合について説明する。この場合、図2に示すように、複数のNV中心を有するダイヤモンド101と、超伝導磁束量子ビット102と、外部制御線103,外部制御線104とを備える。上記構成において、図2に示すように、超伝導磁束量子ビット102が形成されている平面内に印加される10mT程度の磁場(外部磁場)が測定できる。
図2において、超伝導磁束量子ビット102を構成するジョセフソン接合は、「×」で示している。ここで、各制御線に矢印の方向に流れる電流I=10mAとする。また、l1=100μm,l2=5μm,l3=4μm,l4=50μm、w=0.5μmとしている。
例えば、超伝導磁束量子ビット102を構成する外部制御線104の側の配線を覆う状態で、超伝導磁束量子ビット102の上にダイヤモンド101を配置する。ダイヤモンド101は、CVD(Chemical vapor deposition)法により、同位体制御を行いC12の比率が99.99%程度に成長したダイヤモンドを用いる(非特許文献9参照)。ダイヤモンドのNV中心をこのように形成することで、コヒーレンス時間の長い電子スピン集団を得ることができる。また、NV中心の均一幅が1KHz未満にできることが知られている(非特許文献9参照)。NV中心の量子状態も、制御線103,104から照射される共鳴マイクロ波により制御することが可能である。
超伝導磁束量子ビット102は、量子状態の測定を可能にするため、図示しない超伝導量子干渉計(もしくはジョセフソン分岐増幅測定器)と結合させておく。超伝導磁束量子ビット102の量子状態は、制御線103.104から照射する共鳴マイクロ波によって任意の回転を行うことができる。用いるジョセフソン接合の臨界電流値を設計することによって、超伝導磁束量子ビット102に1μA程度までの永久電流を流すことができる。
このように構成したダイヤモンド101における複数のNV中心(メモリ量子ビット)と、超伝導磁束量子ビット102による結合系のハミルトニアンは、以下のように記述される。
εは、超伝導磁束量子ビット102のエネルギーバイアスを示し、数GHz程度である。Δは、超伝導磁束量子ビットのギャップエネルギーを示し、数GHz程度である。ω(NV) はダイヤモンド101におけるNV中心の共振周波数を示し、数GHz程度である。gは、超伝導磁束量子ビット102とNV中心との結合定数を示し、数百KHz程度である。
検出対象と見立てた外部磁束を操作することで、エネルギーバイアスεをギャップエネルギーΔよりも十分に大きくし、かつ超伝導磁束量子ビット102のエネルギー(ε2+Δ21/2をNV中心の共振周波数ω(NV)よりも十分に大きくすることで、上記ハミルトニアンは実効的(近似的)に以下のように表される。
このため、「Spin cat state」を生成するのに必要なハミルトニアンが形成できる。超伝導磁束量子ビット102は、超伝導量子干渉計(もしくはジョセフソン分岐増幅測定器)により状態の読み出しが可能であり、制御線103.104からの共鳴マイクロ波の照射により量子状態も制御できるため、制御量子ビットとしての役割を果たすことができる。NV中心は、制御線103,104からの共鳴マイクロ波の照射により量子状態も制御でき、かつコヒーレンス時間も数百μ秒程度と長いので(非特許文献9参照)、メモリ量子ビットとしての役割を果たすことができる。これらのことにより、前述した実施の形態における磁場検出方法を実施すれば、標準量子限界を超えた磁場検出が可能となる。
以上に説明したように、本発明によれば、複雑なゲート操作を必要とせずに大規模エンタングルメントを生成することが可能になるため、より容易に、標準量子限界を超える高い精度での磁場が検出できるようになる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、メモリ量子ビットは、ダイヤモンドのNV中心に限らず、ビスマス、エルビウムなどの超伝導磁束量子ビットと磁気的に結合できるあらゆる粒子など、種々の電子スピン集団を用いることが可能である。
101…ダイヤモンド、102…超伝導磁束量子ビット、103,104…外部制御線。

Claims (2)

  1. ωcを制御量子ビットの共振周波数とし、ωmをメモリ量子ビットの共振周波数とし、前記メモリ量子ビットの個数をNとし、gを前記制御量子ビットと前記メモリ量子ビットの結合定数とし、σz (c)を前記制御量子ビットのパウリ行列とし、σz (m)を前記メモリ量子ビットのパウリ行列とした以下の式(A)で近似されるハミルトニアンで記述さる結合系であって、前記制御量子ビットとN個の前記メモリ量子ビットとの結合系の全ての前記メモリ量子ビットを基底状態として前記結合系に(ωc−2Ng)の周波数のマイクロ波を、λのラビ周波数でt0=π/λの時間印加し、以下の式(B)で示される前記メモリ量子ビットと前記制御量子ビットとを重ね合わせの状態とする第1ステップと、
    前記第1ステップの後で、前記結合系に対して(ωm−2g)の周波数のマイクロ波を、λ’のラビ周波数でt’=π/λ’の時間印加し、以下の式(C)で示される状態とする第2ステップと、
    前記第2ステップの後で、前記結合系に対して(ωc−2Ng)の周波数のマイクロ波を、λ”のラビ周波数でt”=π/λ”の時間印加することで、以下の式(D)で示される状態とする第3ステップと、
    前記第3ステップの後で、設定されている時間tの間、N個の前記メモリ量子ビットを測定対象の磁場に相互作用させて以下の式(E)で示される状態とする第4ステップと、
    前記第4ステップの後で、前記結合系に対して(ωc−2Ng)の周波数のマイクロ波を、λ”のラビ周波数でt”=π/λ”の時間印加し、以下の式(F)で示される状態とする第5ステップと、
    前記第5ステップの後で、前記結合系に対して(ωm 2g)の周波数のマイクロ波を、λ’のラビ周波数でt’=π/λ’の時間印加し、以下の式(G)で示される状態とする第6ステップと、
    前記第6ステップの後で、前記制御量子ビットの状態を読み出す第7ステップと
    を備えることを特徴とする磁場測定方法。
  2. 請求項1記載の磁場測定方法において、
    複数の前記メモリ量子ビットは、複数のNV中心を有するダイヤモンドから構成され、
    前記制御量子ビットは、超伝導磁束量子ビットから構成され、
    前記ダイヤモンドは、超伝導磁束量子ビットを構成する外部制御線の側の配線を覆う状態で、超伝導磁束量子ビットの上に配置されている
    ことを特徴とする磁場測定方法。
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Makarov et al. Spin-polarized state transport from ferromagnetic to conductive material: Signal amplification by ferromagnetic layer

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