JP6029070B2 - 光を用いた超伝導量子ビットの状態検出 - Google Patents

光を用いた超伝導量子ビットの状態検出 Download PDF

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Description

本発明は、超伝導回路の状態を測定するために光学場を利用する方法と装置に関する。
20世紀にはコンピュータが生まれ発展し、我々の生活のあらゆる面に浸透してきた。今日のコンピュータは、演算素子、メモリ、データ通信用バスといった数々の重要な要素から構成されており、それらは一体となって動作している。より早く、より強力で、より小さい素子を目指す傾向が続き、今日では、初期のトランジスタからは想像もつかないような微細化が実現されている。
この微細化は、今や量子力学の原理が成立するような領域にまで達しつつある。我々は、この量子効果を抑制するか利用するか選ぶことができる。量子力学(その基本である重ね合わせ状態やもつれ状態)を利用すると、全く新しい方法で情報を作り出し、操作し、保存することが可能となる。重ね合わせ状態、もつれ状態といった古典的世界には存在しない顕著な特徴を利用することで、従来の計算とは原理的に異なる量子力学に基づく新しい計算が可能となる。この様な量子情報処理を実現するためには、最低でも以下の(1)から(7−拡張)に示すDavid DiVincenzoが提唱した判定条件を満たす必要がある。
(1)十分な数の量子ビットを準備することができる。
(2)量子ビットの初期化が可能である。
(3)系のコヒーレンス時間が計算時間よりも十分に長い。
(4)アルゴリズムやプロトコルが必要とするユニタリ発展が可能である。
(5)データ処理や演算の結果を読み出すために、特定の量子ビットを高忠実度で量子測定することができる。
(6−拡張)固定量子ビット(演算素子、メモリ)と飛行量子ビット(通信)との間の変換が可能である。
(7−拡張)飛行量子ビットを特定の地点間で転送することができる。
量子計算・量子情報処理実現のための基本素子の中で最も有望な候補のうちの一つが超伝導量子ビットである。我々は、制御可能な規模で量子回路を設計し、量子力学を技術的なリソースとして利用することができる。例えば回路量子電磁力学の実験により、人工量子二準位系(量子ビット)とマクロな超伝導共振器中の単一光子との結合が示されている。この様な共振器を多目的量子バスとして利用し、量子回路、量子情報処理、量子アルゴリズムの実証実験、あるいはベルの不等式の破れの検証等が行われている。しかしながら、高忠実度測定は未だに達成されていない。
現在のところ、超伝導量子ビットの状態測定には、主に2種類の素子、すなわち(1)直流超伝導量子干渉計(dc−SQUID)と、(2)共振器(線形、又は、非線形)とが用いられている。
前者は、超伝導量子ビットと相互インダクタンスを介して結合しており、敏感な磁束計として量子ビットが作り出す磁場を計測する。このdc−SQUIDの超伝導臨界電流は量子ビットの状態に応じて変化するため、この臨界電流を測定することにより量子ビットの状態を読み出すことが可能となる。
後者(非線形)の場合、マイクロ波によって励起された非線形共振器は双安定性を示す。共振器が量子ビットと結合している場合、2状態への分岐点が量子ビットの状態に応じて変化する。そこで、適切な強度のマイクロ波を共振器に入力すると、量子ビットの状態を反映し、共振器の振動状態が高振幅状態と低振幅状態に分れる。出力されるマイクロ波の強度を測定し、共振器の振動状態を知ることで量子ビットの状態を推測することができる。一方、線形共振器の場合も同様にマイクロ波の出力を測定することで量子ビットの状態を推測することができる。これは、量子ビットの状態に応じて線形共振器の共振周波数が変化し、マイクロ波の出力強度が変わるためである。
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しかしながらこれらの読み出し方法は、測定器が量子ビットと同一チップ上に存在するため2つの欠点がある。まず、どちらの測定器も量子ビットと比較してサイズが大きく、さらに測定器自体が制御・読み出しラインを必要とする。単一チップ上への多数量子ビットの集積化を考えると、それぞれの量子ビット用の測定器に制御・読み出しラインを配置するのは困難である。つぎに、これらの測定器は(単一のマイクロ波光子と比較して)非常に多くの電力を必要とし、回路全体の温度に影響を及ぼす。回路の温度が上がると、超伝導量子ビットの緩和が促進され、コヒーレンス時間が短くなる。これらの問題を解決するために、測定器をチップ外へ設置することが望ましい。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、超伝導回路の状態を光学的に読み出すための簡便かつ効果的な方法を提案するものである。
上記の課題を解決するために、一実施形態に記載された発明は、基底状態と第一励起状態との間のエネルギー差に相当するエネルギーを有するマイクロ波光子を生成する超伝導回路と、マイクロ波帯のエネルギー差を有する複数のエネルギーレベルから構成される最低エネルギー準位集団と、前記最低エネルギー準位集団との間に、光学波長帯に相当するエネルギー差を有する2番目のエネルギー準位集団との少なくとも2つのエネルギー準位集団を有し、前記超伝導回路と相互作用することにより、前記マイクロ波光子を介して、前記超伝導回路の量子状態と交換する、原子集団と、前記原子集団の光学遷移を選択的に励起する光学場を与えるレーザと、前記レーザによって前記光学場が与えられたときに最低エネルギー準位集団の状態を検出する光学測定系とを備え、前記超伝導回路の量子状態と交換した原子集団は、光学波長帯の光学遷移を励起する光学場を与えられると、前記量子状態が励起状態あるいは基底状態である場合に蛍光を発し、前記光学測定系は、当該蛍光を観測したか否かに基づいて前記最低エネルギー準位集団の状態を検出することを特徴とする超伝導量子ビットの状態検出素子である。
他の一実施形態に記載された発明は、基底状態と第一励起状態との間のエネルギー差に相当するエネルギーを有するマイクロ波光子を生成する超伝導回路と、マイクロ波帯のエネルギー差を有する複数のエネルギーレベルから構成される最低エネルギー準位集団と、前記最低エネルギー準位集団との間に、光学波長帯に相当するエネルギー差を有する2番目のエネルギー準位集団との少なくとも2つのエネルギー準位集団を有し、前記超伝導回路と相互作用することにより、前記マイクロ波光子を介して、前記超伝導回路の量子状態と交換する、単一の原子と、前記単一の原子の光学遷移を選択的に励起する光学場を与えるレーザと、前記レーザによって前記光学場が与えられたときに最低エネルギー準位集団の状態を検出する光学測定系とを備え、前記超伝導回路の量子状態と交換した単一の原子は、光学波長帯の光学遷移を励起する光学場を与えられると、前記量子状態が励起状態あるいは基底状態である場合に蛍光を発し、前記光学測定系は、当該蛍光を観測したか否かに基づいて前記最低エネルギー準位集団の状態を検出することを特徴とする超伝導量子ビットの状態検出素子である。
超伝導量子ビットの光学測定方法を実現する装置の一例を示す模式図である。 (a)はギャップ可変型超伝導磁束量子ビットの模式図であり、(b)は、量子ビットを貫く磁束Φqb=Φ+Φα/2の関数として、量子ビットのエネルギー準位を示した図である。 負に帯電したNV中心の電子準位の模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本実施形態にかかる素子は、超伝導回路中の1量子励起を光学的に検出できる素子として実現できる。この素子は、超伝導回路に加え、NV(窒素‐空孔複合体)中心集団と光学場及びその測定系から構成される。図1は超伝導量子ビットの光学測定方法を実現する装置の一例を示す模式図である。図1に示す装置は、レーザ(光学場に相当)1、原子集団(NV中心集団に相当)2、超伝導回路3、光学検出器(測定系に相当)4の4つの要素を備えて構成される。なお、原子集団2は、人工原子集団あるいは単一原子を含む。
基底状態と第一励起状態との間のエネルギー差に相当するエネルギーを有するマイクロ波光子を生成する超伝導回路3と、マイクロ波帯のエネルギー差を有する複数のエネルギーレベルから構成される最低エネルギー準位集団と、上記最低エネルギー準位集団との間に、光学波長帯に相当するエネルギー差を有する2番目のエネルギー準位集団との少なくとも2つのエネルギー準位集団を有し、上記超伝導回路と相互作用することにより、上記マイクロ波光子を介して、上記超伝導回路の量子状態と交換する、原子集団2と、上記原子集団2の光学遷移を選択的に励起する光学場を与えるレーザ1と、上記レーザ1によって上記光学場が与えられたときに最低エネルギー準位集団の状態を検出する光学測定系4とを備え、上記超伝導回路の量子状態と交換した原子集団2は、光学波長帯の光学遷移を励起する光学場を与えられると、上記量子状態が励起状態である場合に蛍光を発し、上記光学測定系4は、当該蛍光を観測したか否かに基づいて上記最低エネルギー準位集団の状態を検出することを特徴とする超伝導量子ビットの状態検出素子である。上記原子集団2の代わりに単一の原子を用いることもできる。なお、NV中心集団の場合は、前述のとおり上記超伝導回路の量子状態が励起状態の時に蛍光するが、他の原子集団の場合はその限りでなく、基底状態のときに蛍光するものもある。その場合でも、上記光学測定系が当該蛍光を観測したか否かに基づいて上記最低エネルギー準位集団の状態を検出できることは言うまでもない。また、光学測定系4は、共鳴蛍光測定を用いた測定器であることが好ましい。
光学波長帯とは、紫外から赤外領域までの波長帯で、具体的には1ナノメートルから1ミリメートル程度の波長領域を意味する。
超伝導回路は基底状態と励起状態を持ち、そこで生成されるマイクロ波光子はNV中心集団が有するマイクロ波領域の遷移(基底状態と集団的励起状態との間の遷移)と集団的に結合することができる。超伝導回路の量子状態はNV中心集団の集団的な状態へ転写することができる。また、両者間のもつれ状態を生成することもできる。
NV中心集団は、マイクロ波帯の遷移に加え光学波長帯の遷移も有する。この光学波長帯の遷移は、マイクロ波帯の励起状態と光学波長帯の励起状態との間の遷移である。この遷移に共鳴するレーザは、マイクロ波帯の励起状態が占有されているときのみ、系を光学的励起状態へ遷移させることができる。その後、光学的励起状態が占有されているか否かを測定することにより、マイクロ波帯の状態が基底状態であるか励起状態であるかを射影測定することができる。このようにして超伝導量子ビットの状態を推測することができる。
ハイブリッドシステムを利用した読み出し方法を提案する。このハイブリッドシステムでは、超伝導量子ビットの情報を、少なくとも2つのエネルギー準位集団を有する原子集団へ転送することができる。低エネルギー側のエネルギー準位集団(光学的基底準位集団)は、hfだけ離れた少なくとも2つの異なるエネルギー準位を有し、これらの準位間の遷移が制御可能である。ここでfはマイクロ波の周波数である。次のエネルギー準位集団(光学的励起準位集団)も、少なくとも2つの異なる、遷移制御可能なエネルギー準位を有する。2つのエネルギー準位集団間には、光学波長帯に相当するエネルギー差が存在する。
一般的な構成では、|0>qbと|1>qbで表わされる最低二準位を持つ超伝導回路を考える。一方、原子集団の光学的基底準位集団内の最低二準位は|0>、|1>と表す。光学的励起準位集団内に2つのエネルギー準位|0>、|1>が存在し、それぞれ光学的に|0>、|1>と結合している。ここで、|1>←→|1>遷移のエネルギー差と|0>←→|0>遷移のエネルギー差は異なっている。次に、超伝導回路と原子集団の結合は
で表わされ、gは結合強度を表す。この相互作用を一定時間加えると、超伝導回路の状態c|0>qb+c|1>qbを原子集団の状態c|0>+c|1>に交換することができる。次に、|1>←→|1>遷移を計測することで|1>が占有されているか否かを測定することができる。この測定結果から、超伝導回路の状態が|0>qbであったか|1>qbであったかを決定できる。
図2(a)はギャップ可変型超伝導磁束量子ビットの模式図である。超伝導量子ビットは、主ループ、αループ、およびジョセフソンエネルギーE、αE/2で特徴づけられる4つのジョセフソン接合から構成される。典型的なαは0.9である。ΦεとΦαは、それぞれ、主ループ5とαループ6を貫く磁束で、量子ビットチップ上に作製された2つの広帯域制御線に流す電流によりコントロールされる。図2(b)は、量子ビットを貫く磁束Φqb=Φ+Φα/2の関数として、量子ビットのエネルギー準位を示したものである。エネルギー準位の傾きがゼロとなる最適動作点において、量子ビットは最も長いコヒーレンス時間を示す。この点でのエネルギー分裂hΔは、Φαのみで制御される。この制御により、最適動作点において量子ビットをNV中心と結合することが可能となる。
図3は負に帯電したNV中心の電子準位の模式図である。それぞれ四角で囲まれたエネルギー準位は、異なる温度・歪下での電子状態の微細構造を表す。矢印11は光学遷移を表し、矢印13、14、15、16は、マイクロ波帯の遷移を表す。矢印17、18、19は、非発光再結合遷移を表しており、この遷移が基底三重項の光学的スピン偏極をもたらすと考えられている(非特許文献11参照)。
次に、実施例1について説明する。ここでは、高濃度NV中心を含んだダイヤモンド結晶を、ギャップ可変型超伝導磁束量子ビット上に貼り付けたハイブリッドシステムに基づいて、実施例を紹介する。ギャップ可変型超伝導磁束量子ビットは強い非線形性を持ち、以下に記述する実効的な量子二準位系として働く。
ここでσx、zはパウリのスピン演算子を表す。σの固有状態は、量子ビットのループを時計回りと反時計回りに流れる永久電流(I)状態である。この2つの状態間のエネルギー差hε=2IΦ(Φqb/Φ−0.5)は、Φqb=Φ+Φα/2によって制御可能である。ここで、Φε、αは量子ビットのループを貫く磁束を表す。我々は、Φαを調整することで、最適動作点における量子ビットのエネルギーギャップhΔを制御し、量子ビットをNVの遷移エネルギーと共鳴させることができる。NV中心集団のエネルギー準位は2つの重要な部分に分かれる。低エネルギー側のA準位集団と高エネルギー側のE準位集団である。A準位集団は、以下のハミルトニアンで表わされる。
ここで、個々のNV中心は、|m=0>と|m=±1>の間にD=2.87GHzのゼロ磁場分裂を有する電子スピン(S=1)である。また、S、S、Sは大きさ1のスピン演算子、Sはそのベクトルを表す。さらに、E(〜5MHz)は歪による分裂、g=2はNV中心のランデ因子、μ=14MHz/mTはボーア磁子、hはプランク定数を表す。ダイヤモンド結晶に面内磁場BNVを印加し、|±1>の縮退を解き約200MHz分裂させることで、歪Eの影響によるデコヒーレンスを低減することができる。これからは各NV中心の|0>と|+1>のみを考えればよく、そのエネルギー差は2.97GHzである。
高エネルギー側のE準位集団は非常に複雑で、歪と温度に強く依存する。超伝導を利用するということは低温での動作が前提となる。さらに、歪の小さい試料を仮定すると、このE準位集団内の低エネルギー側の3準位は|±1>、|0>となる。ここで、|−1>←→|0>遷移は3.98GHz、|+1>←→|0>遷移は3.78GHzの遷移周波数を持つ。A準位集団とE準位集団間のゼロフォノン線はおよそ637nmの波長に相当し、発光寿命は約12nsである。A準位集団内の状態読み出しには、蛍光測定を利用する。
次に、我々はNV中心集団のマイクロ波帯の準位と超伝導磁束量子ビットの結合について考える必要がある。相互作用描像を用いるとこの項は、
と表わされる。ここで、gは磁束量子ビットとi番目のNV中心との結合強度を表す。典型的な試料ではこの強度は5kHzから500kHzである。今、面内磁場により|±1>を分離しているため、磁束量子ビットは一度に両方の準位と結合することはできない。そこで、これからは|+1>との結合のみを考慮する。すると相互作用ハミルトニアンは簡略化されて、
と表わされる。簡単のために、すべてのgが等しい(g)と仮定すると、この相互作用を利用して、2つの系の間で一励起を完全に交換することができる。この交換に要する時間は、
と表わされ、典型的なパラメータg〜20kHz、N=2.5x10では、t〜35nsとなる。
超伝導磁束量子ビットの測定は以下の様に行われる。まず、磁束量子ビットはNV中心集団から十分に離調されているため、量子ビットに任意の初期状態
を準備できると仮定する。次に量子ビットのエネルギーを素早く(非断熱的に)シフトし、NV中心集団と共鳴させる。再び離調するまでの間、(式5)で定義された時間tだけ共鳴させ続ける。この操作が、量子ビットの状態をNV中心集団の状態へ転送し、
が実現される。ここで、
と定義される。
AからEへの遷移|+1>3A←→|+1>3Eに共鳴する光学場を与えると、A準位集団内の|+1>が占有されている場合のみ、蛍光(吸収と再発光)を発する。蛍光の観察はNV中心集団の状態が|W>であることを、すなわち量子ビットの状態が|1>qbであったことを意味する。蛍光が観察されない場合は、NV中心集団の状態が|0>すなわち、量子ビットの状態が|0>qbであったことを意味する。この蛍光測定は基本的に非破壊測定(超伝導回路に対する量子非破壊測定)であり、何度も繰り返し測定することで十分な信号雑音(SN)比を得ることができる。原理的には|0>qbと|1>qbを99%以上の確度で識別可能である。
この測定を成功させるための重要な点は、最初に、NV中心集団が十分|0>に偏極していることである。何故ならば、この測定では、熱励起された電子スピン|1>も蛍光を発するため|W>と見誤る可能性があるためである。
本実施形態による量子ビット(原子集団、単一の原子)の状態測定は、光学測定による量子ビットの初期化を可能にする。これはエネルギー緩和に基づく通常の初期化に比べ、極めて高速な初期化の実現を意味する。
本実施形態では特定の具体例を用いて記述されているが、この記述は本発明の応用の一例に過ぎず、これに限定されるものではない。本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
以上の実施形態では、光学系のみを用いて超伝導回路の状態を読み出す方法を示した。この高効率読み出しは、超伝導回路の初期化にも応用できる。また、この方法には2つの重要な利点がある。まず何よりも、量子状態を極めて高速に読み出すことができ、99%以上の読み出し効率を達成することが可能である。量子情報処理への応用を考えると、高効率な単一測定読み出しが望ましい。次の利点としては、チップ上の読み出し用超伝導回路(dc−SQUIDや共振器)が不要であるという点が挙げられる。これにより、超伝導量子ビットの数を増やし、制御用のマイクロ波ラインを減らすことができる。非常に多くの制御ラインを冷凍機内部の低温部へ導入すると、冷凍機の最低温度が上がってしまうが、この問題を回避することができる。最後に、読み出し用の超伝導量子回路をチップ上から取り除くと、余分なノイズの流入を防ぐことができ、超伝導量子ビットのコヒーレンス特性が向上する。
1 レーザ、光学場、
2 原子集団、NV中心集団
3 超伝導回路
4 光学検出器、測定系に相当

Claims (10)

  1. 基底状態と第一励起状態との間のエネルギー差に相当するエネルギーを有するマイクロ波光子を生成する超伝導回路と、
    マイクロ波帯のエネルギー差を有する複数のエネルギーレベルから構成される最低エネルギー準位集団と、前記最低エネルギー準位集団との間に、光学波長帯に相当するエネルギー差を有する2番目のエネルギー準位集団との少なくとも2つのエネルギー準位集団を有し、前記超伝導回路と相互作用することにより、前記マイクロ波光子を介して、前記超伝導回路の量子状態と自身の量子状態を交換する、原子集団と、
    前記原子集団の光学遷移を選択的に励起する光学場を与えるレーザと、
    前記レーザによって前記光学場が与えられたときに最低エネルギー準位集団の状態を検出する光学測定系とを備え、
    前記超伝導回路の量子状態と交換した原子集団は、光学波長帯の光学遷移を励起する光学場を与えられると、前記量子状態が励起状態あるいは基底状態である場合に蛍光を発し、前記光学測定系は、当該蛍光を観測したか否かに基づいて前記最低エネルギー準位集団の状態を検出することを特徴とする超伝導量子ビットの状態検出素子。
  2. 原子集団に対する測定により超伝導量子ビットの状態を決定することを特徴とする請求項1に記載の超伝導量子ビットの状態検出素子。
  3. 共鳴蛍光測定を用いた測定器を有する、請求項1に記載の超伝導量子ビットの状態検出素子。
  4. 超伝導回路に対して量子非破壊測定を実行可能な、請求項1に記載の超伝導量子ビットの状態検出素子。
  5. 原子集団の測定が超伝導回路の初期化に利用できる、請求項1に記載の超伝導量子ビットの状態検出素子。
  6. 基底状態と第一励起状態との間のエネルギー差に相当するエネルギーを有するマイクロ波光子を生成する超伝導回路と、
    マイクロ波帯のエネルギー差を有する複数のエネルギーレベルから構成される最低エネルギー準位集団と、前記最低エネルギー準位集団との間に、光学波長帯に相当するエネルギー差を有する2番目のエネルギー準位集団との少なくとも2つのエネルギー準位集団を有し、前記超伝導回路と相互作用することにより、前記マイクロ波光子を介して、前記超伝導回路の量子状態と自身の量子状態を交換する、単一の原子と、
    前記単一の原子の光学遷移を選択的に励起する光学場を与えるレーザと、
    前記レーザによって前記光学場が与えられたときに最低エネルギー準位集団の状態を検出する光学測定系とを備え、
    前記超伝導回路の量子状態と交換した単一の原子は、光学波長帯の光学遷移を励起する光学場を与えられると、前記量子状態が励起状態あるいは基底状態である場合に蛍光を発し、前記光学測定系は、当該蛍光を観測したか否かに基づいて前記最低エネルギー準位集団の状態を検出することを特徴とする超伝導量子ビットの状態検出素子。
  7. 単一原子に対する測定により超伝導量子ビットの状態を決定できる、請求項6に記載の超伝導量子ビットの状態検出素子。
  8. 共鳴蛍光測定を用いた測定器を有する、請求項6に記載の超伝導量子ビットの状態検出素子。
  9. 超伝導回路に対して量子非破壊測定を実行する、請求項6に記載の超伝導量子ビットの状態検出素子。
  10. 単一原子の測定が超伝導回路の初期化に利用できる、請求項6に記載の超伝導量子ビットの状態検出素子。
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