JP2002009354A - 超伝導発光デバイス - Google Patents

超伝導発光デバイス

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JP2002009354A
JP2002009354A JP2000181976A JP2000181976A JP2002009354A JP 2002009354 A JP2002009354 A JP 2002009354A JP 2000181976 A JP2000181976 A JP 2000181976A JP 2000181976 A JP2000181976 A JP 2000181976A JP 2002009354 A JP2002009354 A JP 2002009354A
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superconductor layer
emitting device
light
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JP2000181976A
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Hirobumi Suga
博文 菅
Eiichi Hanamura
榮一 花村
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Hamamatsu Photonics KK
Original Assignee
Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の発光デバイスとは異なる構成及び発光
過程によって光を生成することが可能な、超伝導体を利
用した超伝導発光デバイスを提供する。 【解決手段】 絶縁体層30の対向する2つの面側に、
それぞれn型超伝導体層10及びp型超伝導体層20を
形成する。そして、n型超伝導体層10とp型超伝導体
層20との間に所定の電圧を印加し、n型超伝導体層1
0から絶縁体層30に侵入した電子クーパー対と、p型
超伝導体層20から絶縁体層30に侵入した正孔クーパ
ー対とによって、電子クーパー対及び正孔クーパー対が
空間的に重なり合う活性領域Aを形成するとともに、活
性領域A内で電子クーパー対及び正孔クーパー対を超放
射対消滅させて、光を生成する。このような超放射過程
を利用した発光デバイスは、従来の発光デバイスとは異
なる特性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超伝導体から供給
されるクーパー対による超放射対消滅を利用した超伝導
発光デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の発光デバイスとして、例えば、発
光ダイオードや半導体レーザなどの半導体発光デバイス
が知られている。これらの半導体発光デバイスにおいて
は、キャリアの注入または光励起などの方法を用いて、
n型半導体及びp型半導体のpn接合部近傍に活性領域
を形成し、活性領域での電子と正孔との対消滅(再結
合)によって光を生成して、所定の出力方向へと出力す
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、半導体発光
デバイスなどの従来の発光デバイスとは異なる構成及び
発光過程によって光を生成することが可能な、超伝導体
を利用した超伝導発光デバイスを提供することを目的と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明による
超伝導発光デバイスは、n型超伝導体層及びp型超伝導
体層を少なくとも備え、n型超伝導体層とp型超伝導体
層との間に所定の電圧を印加して、その接合部近傍の所
定範囲に活性領域を形成するとともに、活性領域におい
て、n型超伝導体層から侵入した電子クーパー対と、p
型超伝導体層から侵入した正孔クーパー対とを超放射対
消滅させ、所定波長の光を生成して出力方向へと出力す
ることを特徴とする。
【0005】上記した超伝導発光デバイスは、n型超伝
導体層から供給される電子クーパー対と、p型超伝導体
層から供給される正孔クーパー対との超放射対消滅を発
光過程として利用した、全く新しい発光デバイスであ
る。
【0006】ここで、n型超伝導体及びp型超伝導体と
は、それぞれ、超伝導性を担うキャリアを電子(electr
on)、正孔(hole)とする超伝導体をいう。このような
n型超伝導体層及びp型超伝導体層からなる超伝導体の
pn接合部に電圧を印加すると、その接合部(接合面)
近傍で、電子クーパー対と正孔クーパー対とが互いに侵
入し、それらが空間的に重なり合った活性領域が形成さ
れる。
【0007】そして、これらの重なり合った電子クーパ
ー対及び正孔クーパー対は、活性領域内において超放射
対消滅を起こし、その対消滅の遷移に対応したエネルギ
ーの光子が生成される。電圧印加時には、このようなコ
ヒーレントなクーパー対が多数侵入し、超放射過程によ
って一斉に光を生成する。これによって、超放射対消滅
の遷移に対応する所定波長の光が出力方向に向けて生成
され、外部へと出力される。
【0008】このような超放射対消滅による発光過程で
は、1回の対消滅で2つの光子が逆方向に生成される。
また、これらの2つの光子は、同一のエネルギーを持っ
て逆方向に同時に放出される。したがって、上記の超伝
導発光デバイスでは、時間的に同期しているとともに、
その光強度が光子数まで一致した2つのパルス光を得る
ことが可能である。
【0009】また、この発光過程は超放射過程であるた
め、得られる光強度やパルス時間幅がクーパー対の数量
に依存するという特性を有する。したがって、超伝導発
光デバイスの構成や、印加する電圧の設定などによっ
て、パルス光の特性を広範囲に制御することが可能な発
光デバイスが実現される。
【0010】また、n型超伝導体層とp型超伝導体層と
の間に、活性領域を形成するための活性層となる絶縁体
層を備えることを特徴とする。
【0011】このように、絶縁体層をさらに設ける構成
とすることによって、n型超伝導体層とp型超伝導体層
との間に印加される電圧に対する耐圧と、クーパー対の
侵入による活性領域の形成とを、好適に両立することが
可能となる。
【0012】上記した絶縁体層は、反強磁性絶縁体から
なることが好ましい。反強磁性絶縁体は、後述するよう
に、SO(5)理論の予測によれば、クーパー対の侵入
深さをより深くすることができる絶縁体である。
【0013】n型超伝導体層、p型超伝導体層、及び絶
縁体層からなる超伝導発光デバイスの具体的な構成とし
ては、例えば、絶縁体層の各面のうちで、第1の面上に
n型超伝導体層が形成されているとともに、第1の面に
対向する第2の面上にp型超伝導体層が形成されている
構成が可能である。
【0014】この場合、n型超伝導体層及びp型超伝導
体層が形成されている2つの面を除く4つの面のうち、
対向する2つの面が光の出力面となる。
【0015】あるいは、絶縁体層の各面のうちで、第1
の面上、及び第1の面に対向する第2の面上にそれぞれ
n型超伝導体層が形成されているとともに、第1の面及
び第2の面に直交する第3の面上、及び第3の面に対向
する第4の面上にそれぞれp型超伝導体層が形成されて
いる構成が可能である。
【0016】この場合、n型超伝導体層及びp型超伝導
体層が形成されている4つの面を除く、対向する2つの
面が光の出力面となる。このような構成は、後述するよ
うに、SO(5)理論の予測によれば、クーパー対の侵
入深さをより深くすることが可能な構成となる。
【0017】また、上記した構成以外にも、光の出力方
向や使用する超伝導体などに応じて、様々な構成を適用
することが可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面とともに本発明による
超伝導発光デバイスの好適な実施形態について詳細に説
明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一
符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸
法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0019】なお、以下において、n型超伝導体、p型
超伝導体とは、それぞれ、超伝導性を担うキャリアを電
子(electron)、正孔(hole)とする超伝導体をいうも
のとする。また、超伝導体から供給されるクーパー対に
ついて、n型超伝導体において電子が対になって生成さ
れるクーパー対を電子クーパー対、p型超伝導体で正孔
が対になって生成されるクーパー対を正孔クーパー対と
する。
【0020】図1は、本発明による超伝導発光デバイス
の一実施形態の構成を示す斜視図である。この超伝導発
光デバイスは、n型超伝導体層10及びp型超伝導体層
20を備え、n型超伝導体層10とp型超伝導体層20
との間に所定の電圧を印加することによって、それらの
pn接合部近傍の所定範囲に、光を生成及び出力するた
めの活性領域Aが形成されるように構成されている。
【0021】ここで、説明の便宜のため、図1中に示す
ように、n型超伝導体層10及びp型超伝導体層20な
どの各層の積層方向をx軸、x軸とともに発光デバイス
の出力面を定義する方向をy軸、x軸及びy軸に直交し
て活性領域Aの長手方向となる光の出力方向をz軸とす
る。
【0022】本実施形態の超伝導発光デバイスにおいて
は、上記したn型超伝導体層10とp型超伝導体層20
とに加えて、n型超伝導体層10及びp型超伝導体層2
0に挟まれたpn接合部に、絶縁体層30が設けられて
いる。この絶縁体層30は、光を生成する活性領域Aを
形成するための活性層となる層である。
【0023】n型超伝導体層10の絶縁体層30とは反
対側の面側には、絶縁性の絶縁層11と、導電性の電極
層12とが形成されている。また、絶縁層11には、そ
の略中心の位置に、光の出力方向となるz軸に沿ってス
トライプ状の溝部が形成されている。そして、絶縁層1
1の外側に設けられている電極層12のうち、上記した
絶縁層11の溝部に突出して形成されているストライプ
状の部位が、n型超伝導体層10と電気的に接触して必
要な電圧を印加する電極部12aとなっている。
【0024】同様に、p型超伝導体層20の絶縁体層3
0とは反対側の面側には、絶縁性の絶縁層21と、導電
性の電極層22とが形成されている。また、絶縁層21
には、その略中心の位置に、光の出力方向となるz軸に
沿ってストライプ状の溝部が形成されている。そして、
絶縁層21の外側に設けられている電極層22のうち、
上記した絶縁層21の溝部に突出して形成されているス
トライプ状の部位が、p型超伝導体層20と電気的に接
触して必要な電圧を印加する電極部22aとなってい
る。
【0025】上記した実施形態の超伝導発光デバイスに
おける動作原理、及びその発光過程について説明する。
【0026】図1に示した超伝導発光デバイスにおいて
は、活性層となる絶縁体層30に対して、絶縁体層30
の対向する2つの面側に、それぞれn型超伝導体層10
及びp型超伝導体層20が形成されている。また、これ
らのn型超伝導体層10及びp型超伝導体層20に対し
て、対向するストライプ状の部位に、それぞれ必要な電
圧を印加するための電極部12a及び22aが設けられ
ている。
【0027】以上の構成において、n型超伝導体層10
及びp型超伝導体層20の間に所定の電圧が印加される
と、n型超伝導体層10から電子クーパー対が、絶縁体
層30またはさらにp型超伝導体層20の接合部近傍の
所定範囲へと侵入する。また、p型超伝導体層20から
正孔クーパー対が、絶縁体層30またはさらにn型超伝
導体層10の接合部近傍の所定範囲へと侵入する。
【0028】具体的には、図2にクーパー対の侵入過程
及び発光過程について模式的に示したように、上記した
電圧印加の下において、絶縁体層30での伝導帯付近の
エネルギーを有する位相の揃ったコヒーレントな電子ク
ーパー対ECが、n型超伝導体層10から多数侵入す
る。また、絶縁体層30での価電子帯付近のエネルギー
を有する位相の揃ったコヒーレントな正孔クーパー対H
Cが、p型超伝導体層20から多数侵入する。
【0029】そして、これらの侵入した電子クーパー対
EC及び正孔クーパー対HCは、絶縁体層30、または
さらにn型超伝導体層10及びp型超伝導体層20の絶
縁体層30近傍の所定範囲において、z軸に沿って伸び
る所定範囲に活性領域Aを形成して、その活性領域A内
でクーパー対EC、HCが空間的に重なり合う。
【0030】このとき、活性領域A内のコヒーレントな
電子クーパー対EC及び正孔クーパー対HCの間で、図
2に示すように、伝導帯から価電子帯への超放射過程に
よる遷移を生じる。この遷移によって、n型超伝導体層
10から供給された電子クーパー対EC及びp型超伝導
体層20から供給された正孔クーパー対HCが超放射対
消滅(再結合)する。そして、活性領域A内において遷
移に対応する所定波長の光が、光の出力方向(活性領域
Aが伸びるz軸方向)に向けて生成され、外部へと出力
される。
【0031】以上の侵入過程及び発光過程により、図1
に示した構成の超伝導デバイスは、クーパー対による超
放射対消滅を利用した新しい動作原理による超伝導発光
デバイスとして機能する。
【0032】ここで、超放射対消滅によって光が生成さ
れる活性領域Aの形成範囲は、n型超伝導体層10及び
p型超伝導体層20へと電圧を印加する電極部12a及
び22aの形状や印加される電圧などによって決定され
る。
【0033】例えば、図1においては、n型超伝導体層
10及びp型超伝導体層20に電気的に接触されている
電極部12a及び22aを、それぞれz軸に沿ったスト
ライプ状に、互いに対向するように設けている。これに
よって、本実施形態における活性領域Aは、z軸方向に
沿って所定範囲に伸びて形成される(図1においては、
その端部のみを示している)。また、この活性領域A
は、生成される光の導波路の役割を果たし、この活性領
域Aが伸びるz軸方向が外部への光の出力方向となる。
【0034】さらに、上記した超放射対消滅による発光
過程は、半導体発光デバイスにおける電子と正孔との対
消滅による発光過程とは異なり、電子クーパー対と正孔
クーパー対との対消滅である。このため、超放射対消滅
による発光過程では、図2に示すように、1回の対消滅
で2つの光子が生成される。
【0035】また、特に、活性領域Aで空間的に重なり
合う電子クーパー対及び正孔クーパー対は、超伝導状態
にあっては、それぞれ重心の波数ベクトルk=0の状態
に凝縮している。したがって、超放射対消滅による2つ
の光子は、それぞれ(ω、k)及び(ω、−k)のエネ
ルギーωと波数ベクトルkとを有して生成される。すな
わち、これらの2つの光子は、同一のエネルギーωを持
って、同時に逆方向に向かってコヒーレントに生成され
て放出される。具体的には、図1の構成からなる超伝導
発光デバイスでは、ほぼz軸の正方向及び負方向に向け
て、それぞれ光子が生成される。
【0036】ここで、n型超伝導体層10及びp型超伝
導体層20に印加する電圧として、所定の時間幅を有す
るパルス状の電圧を印加することを考える。このとき、
パルス電圧の印加時に、n型超伝導体層10及びp型超
伝導体層20からコヒーレントな電子クーパー対及び正
孔クーパー対が、多数凝縮した状態で絶縁体層30へと
侵入して活性領域Aを形成するとともに、活性領域A内
で一斉に超放射対消滅を起こして協調的に光子を放出す
る。これによって、時間幅の短い短パルス光を得ること
ができる。
【0037】特に、上記した発光過程では、それぞれの
超放射対消滅で上記したように逆方向に2光子が生成さ
れるため、パルス光全体としてみた場合も、z軸方向の
正方向及び負方向に出力される2つのパルス光が得られ
る。超伝導発光デバイスからそれぞれ逆方向に出力され
るこれらの2つのパルス光は、上記した発光過程の特性
から、時間的に同期しているのみでなく、その光強度が
光子数まで一致したものとなる。
【0038】また、上記した発光過程は超放射過程であ
るため、半導体発光デバイスなどにおける通常の放射過
程に比べて、放射強度や対消滅の寿命などの点において
も異なる特性を有する。すなわち、一般に、N個の粒子
からのコヒーレントでない自然放射では、強度がNに比
例するとともに、その寿命は粒子数Nによらず一定とな
る。これに対して、コヒーレントな超放射による自然放
射では、強度がN2に比例するとともに、その寿命は1
/Nに比例する。
【0039】このような超放射過程の特性により、上記
した超伝導発光デバイスにおける発光過程では、活性領
域Aに侵入する電子クーパー対の数をNe、正孔クーパ
ー対の数をNhとすると、得られるパルス光の強度は
(Neh2に比例し、また、パルス光の時間幅はNe
hに逆比例することとなる。したがって、侵入する電子
クーパー対及び正孔クーパー対の数を多くすれば、パル
ス光強度を急激に増大させることが可能であり、また、
その時間幅をより短くすることができる。
【0040】以上述べたように、超放射過程を利用した
超伝導発光デバイスでは、通常の放射過程を利用した半
導体発光デバイスなどの発光デバイスとは異なる特性を
有する。まず、上記した超伝導発光デバイスでは、逆方
向に出力される時間的に同期しているのみでなく光子数
まで揃った2つのパルス光を得ることが可能である。こ
のとき、例えば、一方のパルス光に対して光強度モニタ
用の光検出器を設置しておけば、他方のパルス光は、そ
れ自体に対しては何らのモニタ測定を行うことなく、光
強度が既知のパルス光として利用することができる。
【0041】また、得られるパルス光の光強度及びパル
ス時間幅は、活性領域A内に侵入させるクーパー対の数
量、及びそれらが重なり合う活性領域Aの形成範囲など
によって変化する。したがって、各層10、20、30
の結晶系の組成、それらの厚さなどのサイズ、または印
加する電圧値などを設計時または使用時に好適に設定す
ることによって、光強度やパルス時間幅などのパルス光
の特性を広範囲に制御することが可能な発光デバイスが
実現される。
【0042】また、上記のようにパルス電圧を印加して
パルス光を得る場合には、その繰り返し周波数は、n型
超伝導体層10及びp型超伝導体層20における電子ク
ーパー対及び正孔クーパー対を供給する能力を考慮して
設定することが好ましい。また、印加電圧については、
上記したパルス光の特性の選択と合わせて、pn接合部
の具体的な構成、例えば絶縁体層30の組成及び厚さな
どに応じて、通電を起こさない範囲で設定することが好
ましい。
【0043】なお、相関を有する2つの光子を得る方法
としては、従来、(ωp、kp)のポンプ光が、(ω1
1)及び(ω2=ωp−ω1、k2=kp−k1)の2つの
光子に分割されるパラメトリック現象(周波数が減少す
ることから、パラメトリック・ダウンコンバージョンと
もいう)が知られている。
【0044】このパラメトリック・ダウンコンバージョ
ンによる2光子と、上記した超伝導発光デバイスにおい
て超放射過程で生成される2光子とを比較すると、パラ
メトリック・ダウンコンバージョンによる2光子は、必
ずしもエネルギーが同一とならず、また、その放出方向
の相関も一定とはならない。これに対して、超放射過程
による2光子を用いた場合には、エネルギーが同一であ
って、かつ、その放出方向が逆方向となる強い相関を有
しているため、パルス光として、逆方向に放出されてエ
ネルギーと光子数(光強度)とが揃った2つのパルス光
を得ることが可能となる。
【0045】また、パラメトリック・ダウンコンバージ
ョンによる2光子では、その生成のタイミングが自然放
射の寿命程度の時間幅でランダムにばらついてしまう。
この時間幅は、例えば10ns(ナノ秒)程度のオーダ
ーである。これに対して、超放射過程による2光子を用
いた場合には、その寿命が空間的に重なり合う電子クー
パー対及び正孔クーパー対の数に依存するため、印加す
る電圧値などによって電子クーパー対及び正孔クーパー
対の数を変化させれば、上記したように、得られるパル
ス光の時間幅を制御することができる。
【0046】また、その時間幅自体についても、例えば
1000個のクーパー対が超放射過程を起こした場合、
その発光過程の時間幅は、例えば10ps(ピコ秒)程
度のオーダーとなる。すなわち、パラメトリック・ダウ
ンコンバージョンと比べて、3桁短い時間幅でのばらつ
きとなり、したがって、上記したように強い相関を有す
るとともに、その時間幅が極めて短く正確に同期した2
つのパルス光を、逆方向の出力方向で得ることが可能と
なる。
【0047】上記した実施形態による超伝導発光デバイ
スの構成について、さらに具体的に説明する。
【0048】電子クーパー対を供給するn型超伝導体層
10としては、例えば、Nd2CuO4にCeを所定量添
加したNd2-xCexCuO4(0.12<x<0.1
8)などを用いることができる(Y.Tokura, H.Takagi,
and S.Uchida, Nature 337, p.345(1989))。一方、
正孔クーパー対を供給するp型超伝導体層20として
は、例えば、La2CuO4にSrを所定量添加したLa
2-ySryCuO4(0.06<y<0.3)、または酸
素欠損を有するLa2CuO4-δなどを用いることがで
きる(J.G.Bednorz and K.A.Muller, Z.Phys. B64, p.1
89(1986))。これらのn型超伝導体及びp型超伝導体
は、いずれも、母結晶となる絶縁体にキャリアを導入す
ることによって、n型またはp型の超伝導性を示す超伝
導体である。
【0049】また、上記した超伝導体材料によってn型
超伝導体層10及びp型超伝導体層20を形成した場
合、絶縁体層30としては、これらの母結晶となるNd
2CuO4またはLa2CuO4の絶縁体相を用いることが
好ましい。以上のような構成では、およそ波長620n
m(エネルギー2eV)程度のコヒーレントなパルス光
を出力する超伝導発光デバイスとなる。
【0050】このような構造からなる超伝導発光デバイ
スは、モリキュラービームエピタキシー、レーザアベレ
ーション、またはスパッタリングなどの方法によって作
成することができる。例えば、TiSrO3やLaAl
3などの基板を用い、この基板上に図1に示した各層
を順次積層または加工していくことによって、上記した
構造を得ることが可能である。
【0051】ここで、上記したNd2CuO4またはLa
2CuO4の絶縁体相は、反強磁性絶縁体である。SO
(5)理論によれば、クーパー対は、反強磁性絶縁体に
対して、プロキシミティー効果によってかなり深くまで
侵入することが可能であると予測されている(E.Demler
et al., Phys.Rev.Lett. 80, p.2917(1998))。超伝
導性を担うクーパー対は、スピン上向き及び下向きの対
が伝導するものであるが、反強磁性体はそれらの対が空
間的に局在した系である。したがって、この類似性か
ら、クーパー対が反強磁性絶縁体に侵入しやすくなるも
のと考えられる。
【0052】また、絶縁体層30を構成する絶縁体にお
いては、絶縁性が高いほど電圧を容易に印加可能となる
ため、その組成比(ストイキオメトリー)が正確で結晶
性が高いものを用いることが好ましい。したがって、絶
縁体層30の厚みは、必要な絶縁性が確保される範囲
で、上記したクーパー対のn型超伝導体層10及びp型
超伝導体層20からの侵入深さが充分に重なり合うよう
に薄く形成することが好ましい。
【0053】また、n型超伝導体層10、p型超伝導体
層20、及び絶縁体層30は、電圧印加時に電流が流れ
る方向が、それぞれの層状ペロブスカイト構造のab面
内に含まれるように形成することが好ましい。層状ペロ
ブスカイト構造は、電気伝導度(易動度)の異方性が大
きく、c軸方向に対しては易動度が数桁低くなる。した
がって、上記のように、ab面内を電流が流れる方向と
することによって、より効率的にクーパー対の侵入を実
現することができる。このとき、図1においては、層状
ペロブスカイト構造のab面がxy面と一致し、また、
c軸が光の出力方向となるz軸と一致する。
【0054】本発明による超伝導発光デバイスは、上記
した各実施形態に限られるものではなく、様々な変形が
可能である。
【0055】図3は、超伝導発光デバイスの他の実施形
態の構成を示す斜視図である。なお、図3においては、
各超伝導体に付設される電極等については図示を省略し
ている。
【0056】本実施形態においては、絶縁体層60の各
面のうち、光の出力方向となるz軸方向の2つの面を除
く4つの面上に、それぞれ超伝導体層が形成されてい
る。具体的には、x軸方向に対向している2つの面上に
は、n型超伝導体層41及び42がそれぞれ形成されて
いる。また、y軸方向に対向している2つの面上には、
p型超伝導体層51及び52がそれぞれ形成されてい
る。
【0057】SO(5)理論の予測によれば、n型超伝
導体−反強磁性絶縁体−n型超伝導体、またはp型超伝
導体−反強磁性絶縁体−p型超伝導体の対称的な構造の
ときに、クーパー対が最も深く絶縁体内に侵入する。し
たがって、図3に示すような対称構造とすれば、さらに
光の出力強度を大きくすることができる。
【0058】これ以外にも、超伝導発光デバイスの構造
や動作方法については、様々な変形が可能である。例え
ば、n型超伝導体層及びp型超伝導体層に用いる超伝導
体については、上記したペロブスカイト型のものに限ら
ず、様々な超伝導材料を用いて良い。また、n型超伝導
体層及びp型超伝導体層で挟まれて活性層として機能す
る絶縁体層は、超伝導体層間で必要な絶縁性を確保でき
る範囲で、クーパー対が空間的に重なり合う活性領域が
広範囲となるように好適な厚さを選択して形成すること
が好ましい。
【0059】このクーパー対の侵入深さは、n型超伝導
体層及びp型超伝導体層に用いる超伝導体の種類、絶縁
体層に用いる絶縁体の種類、または超伝導発光デバイス
の構造等に依存して変化するので、これらの条件に応じ
て絶縁体層の厚さ(例えば0からサブミクロン程度ま
で)を設定することが好ましい。あるいは、必要な電圧
が印加可能であれば、絶縁体層を設けずに、n型超伝導
体層とp型超伝導体層とが直接にpn接合部を形成する
構成としても良い。
【0060】生成される光の導波及び出力に関しては、
絶縁体層を挟んでいるn型超伝導体層及びp型超伝導体
層は、それぞれ光閉じ込めのクラッド層として機能して
いる。このような光閉じ込め構造については、図1に示
した構成以外にも、様々な構成を用いて良い。例えば、
絶縁体層を設けなかった場合には、p型超伝導体層の接
合部近傍部分を、組成及び屈折率が他の部分とは異なる
p型超伝導体層とする構成などが可能である。
【0061】また、活性領域の形成範囲の形状や、n型
超伝導体層及びp型超伝導体層に電圧を印加するための
電極形状についても、様々に変形して良い。例えば、図
1に示した構成においては、n型超伝導体層及びp型超
伝導体層の両方に対してストライプ状に電極を形成して
いるが、一方をストライプ状とし、他方を全体に接する
電極構造としても良い。
【0062】さらに、上記した構成においては、逆方向
となる2つの出力方向で出力光が得られるとしたが、一
方の出力面を反射面として、他方の出力方向のみに光が
出力されるようにしても良い。あるいは、活性層に共振
器構造を付与する構成とすることも可能である。
【0063】
【発明の効果】本発明による超伝導発光デバイスは、以
上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すな
わち、n型超伝導体層及びp型超伝導体層を備えて超伝
導発光デバイスを構成するとともに、n型超伝導体層と
p型超伝導体層との間に所定の電圧を印加する。そし
て、電圧印加時に、超伝導体のpn接合部近傍において
電子クーパー対及び正孔クーパー対が侵入して空間的に
重なり合った活性領域を形成し、この活性領域内でクー
パー対の超放射対消滅によって光を生成して、外部へと
出力する。
【0064】このような超放射対消滅による発光過程で
は、1回の対消滅で2つの光子が逆方向に生成される。
また、これらの2つの光子は、同一のエネルギーを持っ
て逆方向に同時に放出される。したがって、上記の超伝
導発光デバイスでは、時間的に同期しているとともに、
その光強度が光子数まで一致した2つのパルス光を得る
ことが可能である。
【0065】また、この発光過程は超放射過程であるた
め、得られる光強度やパルス時間幅がクーパー対の数量
に依存するという特性を有する。したがって、超伝導発
光デバイスの構成や、印加する電圧の設定などによっ
て、パルス光の特性を広範囲に制御することが可能な発
光デバイスが実現される。
【0066】本超伝導発光デバイスは、上述したよう
に、n型超伝導体層から供給される電子クーパー対と、
p型超伝導体層から供給される正孔クーパー対との超放
射対消滅を発光過程として利用した、全く新しい発光デ
バイスである。また、超放射過程を利用していることか
ら、強い相関を有する2つのパルス光の生成や、パルス
光の特性の制御性など、通常の放射過程を利用した従来
の発光デバイスにはない特性を備えている。したがっ
て、今後、これらの特性を効果的に利用可能な構成及び
動作方法をさらに検討することによって、様々な分野へ
の応用が可能になるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】超伝導発光デバイスの一実施形態の構成を概略
的に示す斜視図である。
【図2】図1に示した超伝導発光デバイスにおける発光
過程について模式的に示す図である。
【図3】超伝導発光デバイスの他の実施形態の構成を概
略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
10…n型超伝導体層、11…絶縁層、12…電極層、
12a…電極部、20…p型超伝導体層、21…絶縁
層、22…電極層、22a…電極部、30…絶縁体層。
フロントページの続き (72)発明者 花村 榮一 北海道千歳市美々758−65 千歳科学技術 大学内 Fターム(参考) 4M113 AC11 AC12 AC13 AD36 AD62 BA04 BA14 CA31 CA33 5F041 AA14 CA08 CA46 CA66 CB04 5F073 CA24 EA29

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n型超伝導体層及びp型超伝導体層を少
    なくとも備え、 前記n型超伝導体層と前記p型超伝導体層との間に所定
    の電圧を印加して、その接合部近傍の所定範囲に活性領
    域を形成するとともに、前記活性領域において、前記n
    型超伝導体層から侵入した電子クーパー対と、前記p型
    超伝導体層から侵入した正孔クーパー対とを超放射対消
    滅させ、所定波長の光を生成して出力方向へと出力する
    ことを特徴とする超伝導発光デバイス。
  2. 【請求項2】 前記n型超伝導体層と前記p型超伝導体
    層との間に、前記活性領域を形成するための活性層とな
    る絶縁体層を備えることを特徴とする請求項1記載の超
    伝導発光デバイス。
  3. 【請求項3】 前記絶縁体層は、反強磁性絶縁体からな
    ることを特徴とする請求項2記載の超伝導発光デバイ
    ス。
  4. 【請求項4】 前記絶縁体層の各面のうちで、 第1の面上に前記n型超伝導体層が形成されているとと
    もに、 前記第1の面に対向する第2の面上に前記p型超伝導体
    層が形成されていることを特徴とする請求項2記載の超
    伝導発光デバイス。
  5. 【請求項5】 前記絶縁体層の各面のうちで、 第1の面上、及び前記第1の面に対向する第2の面上に
    それぞれ前記n型超伝導体層が形成されているととも
    に、 前記第1の面及び前記第2の面に直交する第3の面上、
    及び前記第3の面に対向する第4の面上にそれぞれ前記
    p型超伝導体層が形成されていることを特徴とする請求
    項2記載の超伝導発光デバイス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015015590A (ja) * 2013-07-04 2015-01-22 日本電信電話株式会社 光を用いた超伝導量子ビットの状態検出

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