JP6245692B2 - 電池状態判定装置及び電池状態判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、充放電可能な二次電池の充電状態や劣化状態を判定する電池状態判定装置及び電池状態判定方法に関する。
陸海空の乗り物(船舶、鉄道、自動車、航空機等)における駆動システム、バックアップ用のUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)、電力系統安定化のための大規模蓄電設備など、様々な分野においてニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池が用いられている。
蓄電池システム設計においては、システムのトータルコストを適正化するため、搭載する蓄電池の容量の見積もりが重要である。この場合、電池が、どれだけの能力が経年劣化によっても維持されるかを精度良く推定することが要求される。
また、自動車、鉄道などの車両や建設機械などのハイブリッド化、電動化が進み、蓄電池を利用するアプリケーションはますます増えている。特に、移動体の場合は、二次電池の残量とともに、劣化情報は、電池の交換時期や、保守にとって必要な情報である。
ハイブリッドカーに使用される駆動用バッテリには、主に「ニッケル水素電池」と「リチウムイオン電池」があり、ニッケル水素電池が主流である。ニッケル水素電池は、長寿命化、大容量化、小型化、軽量化、低価格化と急速な進化を遂げ、ハイブリッドカーの実用化の推進力となっており、ハイブリッドカー以外にも、バッテリのみを搭載した電気自動車も市販されはじめている。
これらのバッテリでは、電池容量などを把握することがバッテリの充放電制御は云うに及ばず、保守上も重要な課題になっている。特に、メモリ効果のあるニッケル水素電池では見かけの容量が減ることから電池容量の正確な把握が大きい課題となっている。
バッテリ状態は、SOC(State of Charge:残容量)やSOH(State of Health:劣化状態)で把握される。ハイブリッドカーでは、SOCやSOHを、車両に搭載した状態で必要時にモニタできることが、最適な電池管理、電池寿命の延伸などに貢献する。車両に搭載した状態でSOCやSOHモニタする方法としては、エンジン始動時の電圧低下判断、通常走行時の電流積算や電圧低下判断が挙げられる。
特許文献1には、電池の交流インピーダンス測定データに基づいて電池劣化度を判定する電池状態判定装置が記載されている。特許文献1記載の電池状態判定装置は、交流インピーダンス(ACインピーダンス)測定データを、抵抗RとCPE(Constant Phase Element)とが並列接続された回路ブロックを1つ以上有する等価回路モデルにフィッティングして等価回路モデルの回路定数を求めるフィッティング部を備える。
特許文献2には、蓄電池の交流インピーダンスを測定する蓄電池の交流インピーダンス測定方法が記載されている。特許文献2記載の交流インピーダンス測定方法は、蓄電池からコンデンサに電流を流す工程と、前記コンデンサに電流を流しているときに、コンデンサの出力電圧の電圧変化を測定する工程と、前記電圧変化から、前記蓄電池の交流インピーダンスを演算する工程と、を備える。
特許文献3には、二次電池の内部温度である蓄電部の温度を推定する二次電池の温度推定方法が記載されている。特許文献3記載の二次電池の温度推定方法は、交流インピーダンス法を用いて取得した二次電池の内部抵抗と、二次電池の充放電が開始されてからの継続時間と、前記二次電池の満充電状態の電池容量に対する残電池容量の比であるSOCと、蓄電部の温度との関係である内部抵抗マップを予め用意しておく。そして、この温度推定方法は、二次電池の充放電が開始されるとともに、予め前記継続時間を分割して定めた時間毎に、蓄電部の内部抵抗を内部抵抗マップに基づいて求める。さらに、この温度推定方法は、求められた内部抵抗を用いて蓄電部の発熱量を算出し、算出された発熱量を用いて二次電池の充放電が継続されている時刻における蓄電部の推定温度を算出している。
特許文献4には、RC回路を使用して電気化学インピーダンスをモデル化して計測診断する電気化学装置の内部状態を予測する方法が記載されている。
特許文献5には、電気化学システムの内部状態の特性を電気化学インピーダンス測定値から推定する電池診断方法が記載されている。特許文献5記載の電池診断方法は、電気化学システムと同じ種類の電気化学システム上で得られる代表的なインピーダンス線図の曲線形状を選択する段階と、曲線形状を再現できるようにする数式によって電気化学インピーダンスモデルを定義する段階と、を実行する。
また、簡易的な計測診断方法により電池の現在容量や劣化量を求める方法として、電池の内部抵抗を測定する方法がある。電池の内部抵抗を測定する方法には、電池の直流インピーダンスを測定する方法と、電池の交流インピーダンスを測定する方法とがある。電池の直流インピーダンスを測定する方法は、実負荷電流を流して測定するため装置が大掛かりとなる。また、電池の交流インピーダンスを測定する方法は、微小電流を流して測定するため大掛かりな装置が不要で簡易的に測定可能である。
ところで、交流インピーダンス測定方法により計測された計測値を複素平面上にプロットしたものは、一般的にコールコールプロット(Cole-Cole Plot)又はナイキストプロット(Nyquist Plot)と呼ばれている。
従来、電池の交流インピーダンス特性を測定し、コールコールプロット曲線により解析することは行われている。また、電池温度によりコールコールプロット曲線が異なる軌跡を描くことも知られている。さらに、電池温度特性を含む各種パラメータを基に予め作成したマップ等を用いて電池の劣化診断を行うことも行われている。但し、従来の電池の劣化診断とそれに用いるマップ(データベース)は、あくまでもモデル化した回路や数式に基づいている(特許文献4,特許文献5参照)。
特開2013−26114号公報 特開2013−54003号公報 特開2013−101884号公報 特表2013−519893号公報 特開2012−73256号公報
しかしながら、電池の容量診断や劣化診断には、極めて多岐に亘る要因や測定条件等を考慮しなければならず、ある一つのパラメータ(履歴も含む)の取捨(適否)により劣化診断結果が一変してしまう。このため、従来例では、RC回路を使用してモデル化して計測診断すること(特許文献4)、代表的なインピーダンス線図の曲線形状を選択して計測診断すること(特許文献5)にとどまっており、電池の現在容量や劣化量を定量的に計測診断する方法及び装置はなかった。
従来の電池の交流インピーダンスを測定する方法は、以下の問題点が存在した。
従来の方法においては、微小電流を流して測定することから、測定条件の違いによる僅かな電流値の変化が、測定対象物のインピーダンス値の大きな変化となってしまい、安定性を欠く。したがって、測定条件の違いによる精度を確保した電池の計測診断方法は、実現されていないのが現状である。
また、従来の方法において、電池の内部抵抗を測定する場合、電池の内部抵抗値は、現在の充電量を示すSOCや電池温度により、大きく異なることなる値を示すことが判明しており、内部抵抗測定のみでは、精度を確保した計測診断は実現されていない。
このように、従来の電池の交流インピーダンスを測定する方法は、電池の残量量や劣化量を定量的に計測診断ことは実現できていない。
本発明は、前記した問題に鑑みてなされたものであり、電池の容量や劣化量を簡易的な方法で、かつ定量的に精度良く計測診断可能な電池状態判定装置及び電池状態判定方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、電池の温度及び前記電池の容量を表すSOCを測定し、前記測定した測定条件下で、複数の周波数で測定された電池のインピーダンス測定データを入力し、インピーダンスの実数成分Z′と虚数成分Z″とで表される複素平面上にプロットしてコールコールプロット曲線を求める複素インピーダンス処理部と、前記インピーダンス測定して得たコールコールプロット曲線の形状と、基準電池の温度及び電池の容量を表すSOCの測定条件下で、前記基準電池の各電池状態毎に予め複数作成された基準コールコールプロット曲線の形状とを照合し、前記複数作成された基準コールコールプロット曲線の中から、前記測定したコールコールプロット曲線の形状が最も近い基準コールコールプロット曲線を統計的手法を用いて選び、当該選んだ基準コールコールプロット曲線を基に電池のSOC量を特定する照合部と、を備え、前記照合部は、虚軸成分がゼロ位置の立ち上がりポイントから、測定周波数を下げることで上に凸となる曲線を描きながら立ち上がる立ち上がり部までの範囲である、前記コールコールプロット曲線の形状の一部を照合することを特徴とする。
本発明によれば、コールコールプロット曲線を、複数の周波数で測定された電池のインピーダンス測定データから求め、基準コールコールプロット曲線の形状と照合し、最も近い基準コールコールプロット曲線を統計的手法を用いて選んで電池のSOC量を特定するので、電池の容量や劣化量を簡易的な方法で、かつ定量的に精度良く計測診断を行うことができる。
本発明の原理説明の電気化学インピーダンスZの等価回路を示す図である。 本発明の原理説明のA、Bタイプの各代表電池のSOCと交流インピーダンス特性を示す図である。 本発明の原理説明のSOCに対して図2の虚数成分がなく実数成分のみの点をプロット(Z=0、溶液抵抗のみ)した図である。 本発明の原理説明のA、Bタイプの電池の100%SOCの交流インピーダンス特性を示す図である。 本発明の原理説明のA、Bタイプの電池のSOCに対して実数成分の点をプロット(Z=0)した図である。 本発明の実施形態に係る電池状態判定装置の構成を示すブロック図である。 上記実施形態に係る電池状態判定装置のSOCデータベースの作成処理を示すフローチャートである。 上記実施形態に係る電池状態判定装置の交流インピーダンス測定処理を示すフローチャートである。 上記実施形態に係る電池状態判定装置の電池劣化判定/診断処理を示すフローチャートである。 上記実施形態に係る電池状態判定装置の電池劣化判定/診断処理を示すフローチャートである。 上記実施形態に係る電池状態判定装置のフィッティング処理部のマハラノビス距離を用いる統計的手法によるフィッティング処理を示すフローチャートである。 上記実施形態に係る電池状態判定装置のフィッティング処理部の統計的手法によるフィッティング処理を示すフローチャートである。 上記実施形態に係る電池状態判定装置のユークリッド空間でマハラノビス距離を説明するイメージ図である。 上記実施形態に係る電池状態判定装置の電池の交流インピーダンスのマップフィッティング解析に適用したマハラノビス距離を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(原理説明)
まず、本発明の前提となる基本的な考え方について説明する。
ニッケル水素電池の電気化学インピーダンス解析について述べる。
本発明者は、二次電池の主流であるニッケル水素電池を採り上げ、代表的な劣化パラメータである電池温度と、電池の充電状態を表すSOCに対して、電池の劣化状態を示す内部抵抗の関係を求めた。上記劣化パラメータは、使用環境を想定して変化させ、内部抵抗である交流インピーダンス(ACインピーダンス)特性を実験的に求めた。そして交流インピーダンス特性を用いた電池劣化評価の有用性を検証した。
[実験方法]
<試料電池>
試料電池は、結晶格子構造が異なる市販のニッケル水素電池を2タイプ用いた。それぞれ、Aタイプ(パナソニック製EVOLTA(登録商標)[HHR-3MWS]、1900mAh)、Bタイプ(パナソニック製eneloop(登録商標)[HR-3UTGB]、1900mAh)とした。試料電池は、新品状態から数回充放電の後、リフレッシュすなわち活性化させた状態で実験を行った。本実験では、結晶格子構造が異なる2タイプのニッケル水素電池を例に採ったが、二次電池であれば電気化学インピーダンスは前記複素平面上で同じように表わされるので燃料電池など種類の異なる二次電池でも同様に適用できる。
<理論>
インピーダンススペクトルの表記として、複素平面上で、横軸に電気化学インピーダンスの実数成分Z、縦軸に虚数成分Zを示す方法があり、ナイキスト線図と呼ばれる。
図1は、電気化学インピーダンスZの等価回路を示す図である。
図1において、Rsolは容量抵抗、Rctは電荷移動抵抗、Cdlは電気二重層容量である。
図1に示した等価回路の電気化学インピーダンスZを式(1)に、Z,Zの関係を式(2)−(5)に示す。
<方法>
本実験では、電池SOCは、電池充放電装置(北斗電工製HJ2010)を試料電池に接続して試験条件を設定した。電池温度は、恒温器(エスペック製LU−113)内に試料電池を入れて試験条件を設定した。電池の交流インピーダンスは、ケミカルインピーダンスメータ(日置電機製3532−80)で周波数特性を求めた。実験と測定の手順は、充電/測定/放電/測定のサイクルを繰返して求めた。測定は、電池の状態が安定するのを待ってから交流インピーダンス特性を求めた。また、電池のインピーダンスは、数mΩ〜十数mΩという非常に小さく、導線などの通電抵抗の影響を極力除くため、電池に計測線をはんだ付けして直近で測定した。交流インピーダンスは、周波数を4Hz〜20Hzまで1Hz刻みで行い、その後10Hz刻み、100Hz刻みで変化させ、実数成分Z及び虚数成分Zを測定した。
<結果>
(1)SOCと交流インピーダンス特性
図2は、A、Bタイプの各代表電池(基準電池)のSOCと交流インピーダンス特性を示す図であり、図2(a)はAタイプの電池のSOCと交流インピーダンス特性を、図2(b)はBタイプの電池のSOCと交流インピーダンス特性をそれぞれ示す。図2中、横軸はインピーダンス実数部Z [mΩ]、縦軸はインピーダンス虚数部−Z [mΩ]である。
図3は、SOCに対して図2の虚数成分がなく実数成分のみの点をプロット(Z=0、溶液抵抗のみ)した図である。図3中、横軸はSOC[%]、縦軸はインピーダンス実数部Z [mΩ]である。
図3において、A、Bタイプとも、中間SOC(電池SOC位置が中間50%)が最も低いインピーダンス値を示した。
ここで、電池SOC位置が中間(50%)付近で運用されることについて説明する。電池SOC位置が中間(50%)付近の領域では、インピーダンスが最も低いため、電池損失は低くなる。このため、電池SOCを中間(50%)付近で運用すると、電池効率及び電池寿命を向上させることができる。
(2)温度と交流インピーダンス特性
交流インピーダンス特性は、電池の測定温度に依存する。測定温度が低いと、コールコールプロットで描かれる半円は大きく、すなわち電荷移動抵抗Rctが大きくなる。このため、電池の容量と共に電池の温度を測定する必要がある。
A、Bタイプの各代表電池について、電池温度と交流インピーダンス特性の関係を求めた。
図4は、A、Bタイプの電池の100%SOCの交流インピーダンス特性を示す図であり、図4(a)はAタイプの100%SOCの交流インピーダンス特性を、図4(b)はBタイプの100%SOCの交流インピーダンス特性をそれぞれ示す。図4中、横軸はインピーダンス実数部Z [mΩ]、縦軸はインピーダンス虚数部−Z [mΩ]である。
図5は、A、Bタイプの電池のSOCに対して実数成分の点をプロット(Z”=0)した図であり、図5(a)はAタイプの電池のSOCに対して実数成分の点をプロットした図を、図5(b)はBタイプの電池のSOCに対して実数成分の点をプロットした図をそれぞれ示す。図5中、横軸はSOC[%]、縦軸はインピーダンス実数部Z [mΩ]である。
図5に示すように、A、Bタイプとも、中間SOC以下では、低温でのインピーダンス特性は大きく上昇した。中間SOC以上は、交流インピーダンス値の上昇は抑制される特性を示した。
結晶構造が異なる市販のニッケル水素電池2タイプの実験から次の知見を得た。
(1)超格子合金構造を持つ電池(Bタイプ)は、一般的なAB5型結晶構造を持つ電池(Aタイプ)より、全SOCで低い交流インピーダンス値を示した。
(2)中間SOCで最も低い交流インピーダンス値を示した。
(3)低温(−5℃)の中間SOC以下の領域では、交流インピーダンス値が大きく上昇した。
(4)低温(−5℃)中間SOC以上では、交流インピーダンス値の上昇が抑制される特性を示した。
(5)高温(50℃)では、常温(22℃)に対し交流インピーダンス値が低下するものの、SOC変化に対する差異は常温(22℃)に対する低温(−5℃)ほども乖離しないことがわかった。
以上、ニッケル水素電池の電気化学インピーダンス解析について説明した。
[技術的特徴]
本発明者は、同じ劣化状態にある電池でも充電容量位置により、電池の交流インピーダンス特性を示すコールコールプロット曲線が異なる軌跡を描くことを実験(図1乃至図5参照)により見出し、コールコールプロット曲線から電池の現在容量や劣化量を定量的に計測診断する着想を得た。また、電池温度によりコールコールプロット曲線が異なる軌跡を描くことが判明した。例えば、電池温度が低くなるほど、コールコールプロット曲線が描く半円が大きく、すなわち複素平面の虚軸成分ゼロ位置の実数成分の電荷移動抵抗Rctが大きくなる。
以下の説明において、電池の温度及び電池の容量を表すSOCの測定条件下で、複数の周波数で測定された電池のインピーダンス測定データを基に、インピーダンスの実数成分Zと虚数成分Zとで表される複素平面上にプロットしてコールコールプロット曲線を、SOCカーブと呼ぶことにする。
図2を参照して具体的に説明する。
図2に示すように、電池温度などの設定条件を同一にした場合、Aタイプの代表電池(基準電池)のSOCカーブの形状は、SOC量(ここでは電池SOC100%,75%,50%,25%)に応じて特定の形状を有することが分かった。したがって、SOCカーブの形状を解析すれば電池のSOC量を特定することができる。
また、本発明者は、SOCカーブの形状の全体を解析するのではなく、そのSOCカーブの形状の一部を解析するだけで、電池の現在容量や劣化量を定量的に計測診断することができることを見出した。
ここで、SOCカーブの形状の一部とは、虚軸成分がゼロ位置(SOCカーブの立ち上がりポイント)から、測定周波数を下げて行くとカーブは、虚数部がマイナス方向となる、図2では上に凸となる曲線(例えば半円)を描きながら立ち上がるが、この立ち上がり部の範囲(円弧範囲)を言う。具体的には、立ち上がり部は、SOCカーブの形状のうち、拡散領域に至る手前のカーブ形状を言い、測定周波数で言うと、1000Hz程度(電池の交流インピーダンスカーブの立ち上がりポイント)から4Hz程度(電池の交流インピーダンスカーブが立ち上がったポイント)までの周波数範囲で得られるカーブ形状である。図2(a)中に、測定周波数の範囲を仮想的に図示して説明する。電池SOC100%のSOCカーブでは、点Aが立ち上がりポイント(1000Hz程度)、点Bが拡散領域に至る手前(4Hz程度)となる。また、電池SOC25%のSOCカーブでは、点Aが立ち上がりポイント(1000Hz程度)、点Cが拡散領域に至る手前(4Hz程度)となる。
図2は、A、Bタイプの各代表電池(基準電池)のSOCカーブの形状の立ち上がり部を示している。図2に示すSOCカーブの立ち上がり部(電池SOC100%,75%,50%,25%)と、同一の設定条件で測定した測定対象電池のSOCカーブの立ち上がり部とを統計的手法を用いて照合する。統計的手法は、後記するようにマハラノビス距離を用いるものがある。統計的手法は、例えば車両用バッテリを搭載する車両などに搭載されているコンピュータへ、数値計算アルゴリズムを追加することで、比較的容易に実行が可能である。なお、実軸を横切る点の位置を揃えて相違を求めれば、視覚的に判別することができる。
上述したように、本発明は、虚軸成分ゼロ位置におけるSOCカーブの立ち上がり部に着目しているので、実軸を横切る点(抵抗値)を安定して測定する必要はなく、従って従来技術のように、実軸を横切る点(抵抗値を示す)の測定条件を整えて正確に測定し、電池劣化を判断する必要性がなくなった。
このように、本発明は、電池の交流インピーダンス測定方法の解決課題であった、微弱な電流を流すことによる、接触抵抗の僅かな変化による測定誤差等を解消することができる。同様の理由で、電池の交流インピーダンス測定の装置の構成を簡素化することができ、作業性を飛躍的に向上させることができる。
以下、より具体的に本発明について説明する。
(実施形態)
図6は、上記基本的な考え方に基づく本発明の一実施形態に係る電池状態判定装置の構成を示すブロック図である。本実施形態は、充放電可能な二次電池のSOC量診断及び劣化状態を判定する電池状態判定装置に適用した例である。
図6に示すように、電池状態判定装置100は、測定対象の電池10(対象電池)の交流インピーダンスを測定する交流インピーダンス測定装置110と、電池10のSOC量及び劣化状態を診断する電池状態診断装置120と、電池10を充放電する充放電装置20と、電池10の温度を測定する温度計30と、を備える。
充放電装置20は、接続された電池10(対象電池)を充電又は放電させるものである。この充放電装置20は、ダミー抵抗21と、ダミー抵抗21に電流を流して発熱により放電する放電部22及び外部電源等を供給して電池10を充電する充電部23と、から構成される。上述した原理説明では、充放電装置20は、電池充放電装置(北斗電工製HJ2010)を試料電池に接続して試験条件を設定した。また、ハイブリッド電気自動車(HEVs)に使用される駆動用電池の場合、ダミー抵抗21は、動力モータであり、充電部22は車載の充電器になる。
[交流インピーダンス測定装置]
交流インピーダンス測定装置110は、電池10に微小交流信号を印加して電池10の交流インピーダンスを測定する。交流インピーダンス測定装置110は、電池10(対象電池)の電圧を計測する電圧計111と、電池10の電流を計測する電流計112と、正弦波交流信号を発生し、発生した正弦波交流信号を電池10に印加する交流源113と、複素インピーダンス計測部114と、を備えて構成される。
複素インピーダンス計測部114は、各測定周波数毎に、電圧計111により計測された電圧値Vと電流計112により計測された電流値Iとを入力し、電流値I及び電圧値Vから次式(6)に従って各測定周波数の複素インピーダンスを計算で求める。複素インピーダンス処理部121は、計算で求めた電池のインピーダンス測定データ(Z (ω),Z (ω))を電池状態診断装置120に出力する。複素インピーダンス計測部114は、例えばインピーダンスアナライザから構成される。
V=I(Z+jZ) …(6)
ここでVは電圧計111による測定電圧値、Iは電流計112による測定電流値である。
なお、交流インピーダンスの測定方法は、上述の例に限られず種々の手法を用いることができる。例えば、複数の周波数信号が重畳された電圧波形あるいは電流波形を印加して、電流波形あるいは電圧波形を測定し、電圧波形、電流波形をそれぞれ離散フーリエ変換(DFT)して、周波数成分ごとの比を求めるようにしてもよい。
[電池状態診断装置]
電池状態診断装置120は、交流インピーダンス測定装置110により測定された交流インピーダンス測定結果に基づいて電池10のSOC量や劣化状態を診断する。
電池状態診断装置120は、複素インピーダンス処理部121と、SOCデータベース122と、フィッティング処理部123(照合部)と、SOC/SOH処理部124(劣化判定部)と、を備える。
電池状態診断装置120は、専用端末装置のほか、コンピュータプログラムに従って動作を行う。PC(personal computer)等の情報処理装置により構成することができる。電池状態診断装置120は、計測結果及び解析結果をHDD等の記録手段に記録し、またモニタ装置等の出力手段に出力することが可能である。
<複素インピーダンス処理部>
複素インピーダンス処理部121は、複素インピーダンス計測部114から電池の温度及びこの時の電池の容量を表すSOCを測定し、この測定条件下で、複数の周波数で測定された電池のインピーダンス測定データ(Z (ω),Z (ω))を入力し、インピーダンスの実数成分Zと虚数成分Zとで表される複素平面上にプロットしてSOCカーブを求める。具体的には、複素インピーダンス処理部121は、離散フーリエ演算により特定の周波数におけるインピーダンス実数部Z、インピーダンス虚数部Zを算出し、周波数を変化させたときのインピーダンス実数部Z、インピーダンス虚数部Zの軌跡をグラフ化する。また、複素インピーダンス処理部121には、温度計30から電池10の測定温度が入力されている。これにより、電池の測定温度Tにおける電池SOCのSOCカーブがグラフ化される。例えば、前記に図2、図4に示すような電池SOC毎の交流インピーダンス特性を示すSOCカーブが描かれる。
なお、以下の説明において、コールコールプロット図中に示された正方形で囲んだ「T」は、ある測定温度(例えば25℃)において測定した特性であることを示している。
<SOCデータベース>
SOCデータベース122は、標準電池(基準電池)の各電池状態毎に予め複数作成した複数の基準SOCカーブの形状を蓄積する。SOCデータベース122は、充電容量位置(電池SOC位置)と、電池温度による電池の交流インピーダンス特性を示すコールコールプロット曲線とを予め求め、SOCカーブとしてデータベース化しておくものである。具体的には、SOCデータベース122は、0℃,10℃,20℃,20℃,30℃,40℃,50℃,75℃など所定温度間隔となるように測定温度を変えて、標準電池(基準電池)の各電池状態毎に求めた複数のSOCカーブの形状を蓄積する。また、SOCデータベース122は、測定温度を同一温度(例えば常温)条件とし、各SOC量(20%、30%、40%,50%,60%,70%,80%,90%,100%など所定刻み幅の複数のSOC)のSOCカーブの形状を蓄積する。このように、SOCデータベース122は、電池温度や温度間隔、SOC量とその刻み幅などの設定条件に対応した標準電池(基準電池)の計測値が複素平面上にプロットされ、当該プロットにより描かれたインピーダンスカーブの形状をSOCカーブとしてマップ化して記憶する。
なお、上記電池温度や温度間隔、各SOC量の刻み幅などの設定条件は、一例であって限定されない。但し、0℃や50℃は常温範囲から外れるので、10℃から40℃まで一定温度間隔(例えば10℃毎)で測定したものをデータベースとしてとして蓄積することが好ましい。
<フィッティング処理部>
フィッティング処理部123は、電池10(対象電池)の測定SOCカーブの形状と、標準電池(基準電池)の各電池状態毎に予め作成された基準SOCカーブの形状とをフィッティング(照合)し、複数作成された基準SOCカーブの中から、測定したSOCカーブの形状が最も近い基準SOCカーブを統計的手法を用いて選び、選んだ基準SOCカーブを基に電池10のSOC量を特定する。ここで最も近いSOCカーブは、後記するように統計的手法を用いて照合される。
フィッティング処理部123は、SOCカーブのカーブ形状同士を照合できればよいので、SOCデータベース122は必ずしも必須ではなく、例えば電池10(対象電池)の測定に先立って、同一設定条件(同一電池温度等)で標準電池(基準電池)の交流インピーダンス測定を行い、その測定結果に基づくSOCカーブの形状を保持し、測定SOCカーブのカーブ形状を照合するものでもよい。
本実施形態では、フィッティング処理部123は、SOCデータベース122を参照して、複素平面上にプロットした測定SOCカーブの形状と、基準電池の各電池状態毎に予め複数作成された基準SOCカーブの形状とを照合している。
特に、フィッティング部123は、複素平面上にプロットした測定SOCカーブの、複素平面の実軸からの立ち上がり部の形状と、基準電池の各電池状態毎に予め複数作成された基準SOCカーブの形状とを照合する。
例えば、図2(a)に示すように、フィッティング部123は、統計的手法(後記)を用いて、測定SOCカーブの立ち上がり部の形状が、電池SOC75%の立ち上がり部の形状に最も近いと判定した場合、電池SOC75%のSOCカーブが測定対象の電池10の測定SOCカーブに相当すると判断して、電池SOC75%のSOCカーブのSOC量を、測定対象の電池10のSOC量として出力する。
因みに、従来技術(例えば特許文献1参照)で行うフィッティングは、ある回路ブロックの複素インピーダンス特性を等価回路モデルの回路定数に合わせることであって、本実施形態のフィッティング処理部122のように、交流インピーダンスのカーブ形状を照合するものとは目的、構成、作用効果が異なる。
<SOC/SOH処理部>
SOC/SOH処理部124は、フィッティング部123により入力された電池10のSOC量を、所定閾値と比較することにより電池10の劣化度を判定し、判定結果をSOC出力又はSHO劣化診断結果として出力する。なお、劣化度は、容量劣化量、出力劣化量等種々の態様で表現することができる。
SOC/SOH処理部124は、例えば第1設定値(第1閾値)との比較により、判定結果が良い(SOC量が第1閾値より大きい)と判定した場合はSOC量を出力する。また、SOC/SOH処理部124は、第1閾値との比較により、判定結果が悪い(SOC量が第1閾値以下)と判定した場合は、リフレッシュ指令を電池の充放電装置に出力して、電池状態診断装置120で再度電池10のSOC量を測定して、SHO劣化診断結果を出力する。
SOC/SOH処理部124は、交流インピーダンス測定装置110にインピーダンス測定指令を出力し、交流インピーダンス測定装置110は、インピーダンス測定指令に従って交流インピーダンス測定を行う。
また、SOC/SOH処理部124は、電池SOCが第1閾値より小さいとき、リフレッシュ指令を電池10の充放電装置20に出力する。このリフレッシュ指令を受けて交流インピーダンス測定装置110は、交流インピーダンス測定を行い、電池劣化診断装置120の複素インピーダンス処理部121は、充放電装置20によるリフレッシュ後の電池10のインピーダンス測定データを取得する。なお、SOC出力とSOH劣化診断の詳細については、後記する。
以下、上述のように構成された電池状態判定装置の動作について説明する。
[SOCデータベース作成]
まず、SOCデータベース122の作成について述べる。
SOCデータベース122は、電池劣化判定に先立って予め作成される。SOCデータベース122は、0℃,10℃,20℃,20℃,30℃,40℃,50℃,75℃など測定温度を変え、また、同一温度(例えば常温)条件下で各SOC量(20%、30%、40%,50%,60%,70%,80%,90%,100%など複数)のSOCカーブの形状を蓄積する。
本実施形態では、電池状態診断装置120が、SOCデータベース122を構築する例を示したが、同様なデータベース作成処理を、電池状態診断装置120以外の装置が行う態様でもよい。あるいは、SOCデータベース122は、予め準備されたSOCデータを外部から導入し、SOCデータベース122に格納する態様でもよい。
図7は、SOCデータベース122の作成処理を示すフローチャートである。図中、Sはフローの各ステップを示す。
まず、ステップS1で、交流インピーダンス測定装置110(図6参照)は、標準電池(基準電池)による交流インピーダンスを測定する。標準電池は、電池特性が代表的状態(新品、リフレッシュ後など)となる基準電池である。
ステップS2では、複素インピーダンス処理部121(図6参照)は、電池の測定温度ごと又は電池SOCごとに計測された複素インピーダンス測定結果を基に、複素平面上にプロットしてSOCカーブを求める。
ステップS3では、電池状態診断装置120は、基準電池の各電池状態毎に求めたSOCカーブの形状とそのSOCカーブの形状に対応するSOC量とを対応つけたSOCデータベース122を作成して本フローを終了する。SOCデータベース122は、SOCカーブの形状をマップ化したSOCマップを格納する。本SOCデータベース作成処理により、各条件設定(測定温度,SOC等)における標準電池のSOCカーブの形状を求め、SOCデータベース122にSOCマップとしてデフォルトで格納される。なお、SOCデータベース122は、具体的にはHDD等の記録手段に記憶されるものである。
SOCデータベース122に格納される標準SOCは、下記の通りである。
標準SOCは、新品状態での電池SOC(10%から100%まで10%刻み)で、かつ10℃〜40℃まで(0℃以下や50℃以上は常温範囲から外れるので除外する)一定温度間隔(例えば10℃毎)で測定した結果とそのSOCカーブをSOCデータベース122として作成する。したがって、SOC量が、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%など複数のSOCとそのSOCカーブの形状が格納される。
また、標準SOCは、新品電池の他、運用開始後、一定時間(6ヶ月ごと等の定期点検)に入れ替えすることも可能である。
図8は、交流インピーダンス測定を示すフローチャートであり、図7のステップS1又は後記図9のステップS21のサブルーチンである。
まず、ステップS11で、交流インピーダンス測定装置110(図6参照)は、電池状態診断装置120からのインピーダンス測定指令に従って測定用周波数を設定する。例えば、測定周波数は、4Hzから1000Hzの範囲内で各周波数を設定する。
ステップS12では、交流インピーダンス測定装置110の複素インピーダンス計測部114は、測定用周波数を変化させて電池の交流インピーダンスを測定する。
ステップS13では、交流インピーダンス測定装置110は、測定用周波数が終了値に到達したか否かを判別し、測定用周波数が終了値に到達していない場合は(ステップS13:No)、上記ステップS11に戻って電池の交流インピーダンスを測定を継続し、測定用周波数が終了値に到達した場合は(ステップS13:Yes)、本サブルーチンを終了して図7のステップS1又は後記図9のステップS21に戻る。
ここで、測定用周波数設定レンジについて説明する。
<測定用周波数設定レンジ>
複素平面上にSOCカーブの半円を全部描き切るためには、測定用周波数を下げていく必要がある。例えば、測定用周波数を0.1Hzまで下げると、測定には10秒を要することとなり、オンボードで測定することを考慮すると現実的ではない。本発明者は、実験データから、測定周波数を4Hz程度までに止めても立ち上がりを描くSOCカーブの形状で、SOCカーブ特性が判断可能であることを見出した。
一方、測定周波数の下限は、ナイキスト線図の実軸を横切る位置が適切であり、具体的には1000Hzから数千Hz程度となる。
以上のことから、測定周波数は、4Hz程度から1000Hz程度までのレンジであれば、SOCカーブの形状を特定することが可能である。
また、この測定周波数の領域は、複素平面上の拡散領域(インピーダンスの容量的成分がSOCカーブから離れて拡散する周波数領域)に至る前までの領域を含んでいる。本実施形態では、フィッティング部123(図6参照)が、複素平面の虚軸ゼロ位置から、複素平面上の拡散領域に至る前までの領域のSOCカーブの形状を照合するようにしている。
[電池劣化判定/診断]
次に、電池劣化判定/診断について述べる。
図9は、電池劣化判定/診断処理を示すフローチャート、図10は、電池劣化判定/診断処理(続き)を示すフローチャートである。
図9に示すように、まず、ステップS21で、交流インピーダンス測定装置110(図6参照)は、SOC/SOH処理部124からのインピーダンス測定指令に従って、電池10(対象電池)による交流インピーダンスを測定する。なお、電池10(対象電池)の交流インピーダンス測定は、前記図8の交流インピーダンス測定処理と同様である。上述したように、交流インピーダンス測定装置110は、4Hz程度から1000Hz程度までのレンジの測定周波数で交流インピーダンス測定を行う。
ステップS22では、複素インピーダンス処理部121(図6参照)は、複素インピーダンス計測部114から電池10(対象電池)の温度及び電池の容量を表すSOCの測定条件下で、複数の周波数で測定された電池のインピーダンス測定データ(Z (ω),Z (ω))を入力し、インピーダンスの実数成分Zと虚数成分Zとで表される複素平面上にプロットしてSOCカーブを求める。
ステップS23では、フィッティング処理部123(図6参照)は、SOCデータベース122から該当電池温度に対応するSOCマップを読み込む。このSOCマップは、標準SOC(新品電池のSOCで、かつ10℃〜40℃まで一定温度間隔)で測定したSOCカーブの形状をマップ化したものである。
そして、フィッティング処理部123は、フィッティング処理部123は、電池10(対象電池)の測定SOCカーブの形状と、SOCデータベース122に蓄積された標準電池(基準電池)の各電池状態毎に予め作成された基準SOCカーブの形状とをフィッティング(照合)し、複数作成された基準SOCカーブの中から、測定したSOCカーブの形状が最も近い基準SOCカーブを統計的手法を用いて選ぶ。
上記SOCカーブの照合とは、SOCデータベース122に蓄積された標準電池のSOCカーブ(SOCマップ)と測定SOCカーブとのカーブ形状の比較である。本実施形態では、標準電池のSOCカーブの形状(SOCマップ)と測定SOCカーブとの、立ち上がり部におけるカーブ形状を照合する。
また、上記カーブ形状のフィッティング(照合)は、統計的手法により、各種SOC値との距離を求める方法を採る。統計的手法の詳細については、図11及び図12により後記する。
図10に示すように、ステップS24で、フィッティング処理部123は、統計的手法により選んだ基準SOCカーブを基に電池10(対象電池)の至近SOC値を算出する。
ステップS25では、SOC/SOH処理部124(図6参照)は、算出した至近SOC値が第1設定値(例えばSOCの30%)以下か否かを判別する。
至近SOC値が第1設定値より大きい場合(ステップS25:No)、ステップS26でSOC/SOH処理部124は、電池10(対象電池)がSOC出力可能な状態にある(運用レベルにある)と判断して算出したSOC値を出力して本フローを終了する。通常、SOCは、50%前後以上で運用されるので、中間SOC(50%)に対して、一定値以上、例えば50%−20%以上(すなわち30%以上)のSOCであれば運用レベルにあるとし、SOC値を出力する。なお、SOC値出力は、例えば電池状態診断装置120が有する記録手段へのデータ格納、表示手段及び印刷手段によるデータ出力、又は通信手段によるデータの外部出力が挙げられる。
至近SOC値が第1設定値以下の場合(ステップS25:Yes)、SOC/SOH処理部124は、電池10(対象電池)がSOC出力可能な状態にない(劣化の可能性がある;運用レベルにない)と判断してステップS27以降の劣化診断処理に進む。
すなわち、ステップS27で電池状態診断装置120は、電池10(対象電池)をリフレッシュ(完全放電させ、再フル充電)させ、100%SOCに戻す。具体的には、SOC/SOH処理部124は、電池SOCが所定値(ここでは30%)より小さいとき、リフレッシュ指令を電池10の充放電装置20に出力する。
次いで、ステップS28で、リフレッシュ指令を受けて交流インピーダンス測定装置110は、交流インピーダンス測定を行う。このリフレッシュ100%SOC測定は、前記ステップS21の交流インピーダンス測定と同様の処理である。
ステップS29では、複素インピーダンス処理部121(図6参照)は、複素インピーダンス計測部114から電池10(対象電池)の温度及び電池の容量を表すSOCの測定条件下で、複数の周波数で測定された電池のインピーダンス測定データ(Z (ω),Z (ω))を入力し、インピーダンスの実数成分Zと虚数成分Zとで表される複素平面上にプロットしてSOCカーブを求める。このSOCカーブ算出は、前記ステップS22のSOCカーブ算出と同様の処理である。
ステップS30でフィッティング処理部123は、SOCデータベース122から標準電池のSOCマップを読み込み、マップフィッティングを行う。具体的には、上記ステップS23と同様に、フィッティング処理部123は、SOCデータベース122から該当電池温度に対応する標準電池のSOCマップを読み込み、電池10(対象電池)の測定SOCカーブの形状と、SOCデータベース122に蓄積された標準電池(基準電池)の各電池状態毎に予め作成された基準SOCカーブの形状とをフィッティング(照合)し、複数作成された基準SOCカーブの中から、測定したSOCカーブの形状が最も近い基準SOCカーブを統計的手法を用いて選ぶ。
ステップS31では、フィッティング処理部123は、統計的手法により選んだ基準SOCカーブを基にリフレッシュ100%後の電池10(対象電池)の至近SOC値を算出する。
ステップS32では、SOC/SOH処理部124(図6参照)は、算出した至近SOC値が第2設定値(例えば40%)以下か否かを判別する。
至近SOC値が第2設定値より大きい場合(ステップS32:No)、SOC/SOH処理部124は、リフレッシュ100%後の電池10(対象電池)がリフレッシュにより運用レベルに戻ったと判断して算出したSOC値を出力して本フローを終了する。上述したように、通常、SOCは、50%前後以上で運用されるので、リフレッシュ100%後、一定値以上(30%以上)のSOCであれば運用レベルにあるとする。
至近SOC値が第2設定値以下の場合(ステップS32:Yes)、SOC/SOH処理部124は、電池10(対象電池)が劣化して運用レベルにないと判断してSOH劣化診断結果を出力して本フローを終了する。
次に、統計的手法による照合(フィッティング)について説明する。
図11及び図12は、フィッティング処理部123の統計的手法によるフィッティング処理を示すフローチャートであり、図11は、そのマハラノビス距離を用いる例、図12は、そのマハラノビス距離を用いない距離計算の例である。図11及び図12による統計的手法は、図9のステップS23,ステップS30の統計的手法によるフィッティング処理に適用することができる。
図11に示すように、ステップS41で、フィッティング処理部123は、マハラノビス距離解析を用いた統計的処理によりSOCデータベース122の基準SOCカーブのマハラノビス距離と、測定SOCカーブのマハラノビス距離を算出する。
ステップS42でフィッティング処理部123は、算出した基準SOCカーブのマハラノビス距離と測定SOCカーブのマハラノビス距離とを比較し、両者のマハラノビス距離が最も小さい基準SOCカーブを選ぶ。
ステップS43でフィッティング処理部123は、マハラノビス距離が最も小さい基準SOCカーブが測定対象の電池10の測定SOCカーブに相当すると判断して、この基準SOCカーブのSOC量を、測定対象の電池10のSOC量として出力フローを終了する。マハラノビス距離解析については、図13及び図14により後述する。
図12はマハラノビス距離とは異なる手法であり、ステップS51で、フィッティング処理部123は、統計的処理により測定SOCカーブの虚数部をパラメータに、実数部値の差異を統計的手法の平均値と標準偏差により算出する。
ステップS52でフィッティング処理部123は、算出結果に基づいて、SOCデータベース122のSOCカーブから実数部値の差異が最も小さいSOCカーブを探す。
ステップS53でフィッティング処理部123は、実数部値の差異が最も小さい基準SOCカーブが測定対象の電池10の測定SOCカーブに相当すると判断して、この基準OCカーブのSOC量を、測定対象の電池10のSOC量として出力フローを終了する。
なお、より簡略な方法として、数字的な距離を用いずに測定SOCカーブに一番近いSOCデータベース122のSOCカーブを求める方法でもよい。
次に、マハラノビス距離解析について説明する。
[マハラノビス距離]
<解析方法>
コンピュータを用いた多変量解析手法を、電池の交流インピーダンスのマップフィッティング解析へ応用する。解析は、非線形判別分析手法のマハラノビス距離(Mahalanobis distance)を求め定量評価を行う。
マハラノビス距離解析は、品質管理の現場などで多用する信頼性の高い評価方法である。一般に、マハラノビス距離解析は、基準空間へ多変量である事象を変換し評価する。
図13は、ユークリッド空間でマハラノビス距離を説明するイメージ図である。横軸に、変数α、縦軸に変数βをとる。図13の黒丸(●参照)の点は各グループの平均値を示す。距離「a」(「b」)は、図13の矢印で示した白丸(○参照)の点からグループA(グループB)の平均値までの距離を示す。
ユークリッド距離で見ると「a」>「b」である。しかし、マハラノビス距離で見ると図13の矢印で示した白丸の点は明らかにグループAに属し、「a」<「b」と判別される。空間は、分散を考慮した各グループコンポーネントの平均値により定義される。マハラノビス距離が「1」とは、検査空間が基準空間と等価を表す。「1」を超える場合は基準空間に収まらないことを示し(=別グループである)、超えない場合は基準空間内にある(=同グループである)ことを示す。解析手順は次の通りとなる。
データui,jは、各事象であるi(i=1からn)と各コンポーネントであるj(j=1からm)の双方により表わされる。基準空間のコンポーネントにおいて、属する事象の平均値をμ、属する事象の分散値をσ とすると、平均値をμは、次式(7)で示される。
データuijは標準化すると、次式(8)で示される。
基準空間は、いくつかのコンポーネントにより構成される。コンポーネント同士の共分散は次式(9)のように書ける。
マハラノビス距離dijは、検査空間データxijをXijと標準化して次式(10)に従って求められる。
<電池の交流インピーダンスのマップフィッティング解析>
図14は、電池の交流インピーダンスのマップフィッティング解析に適用したマハラノビス距離を示す図であり、図14(a)はマハラノビス距離が小さい場合を、図14(b)はマハラノビス距離が大きい場合をそれぞれ示す。
図14中、縦軸は基準空間(ここでは測定インピーダンス)からのマハラノビス距離、横軸は基準空間(ここでは基準マップも出るインピーダンス)からのマハラノビス距離である。図14の×印は、測定値の値、図14の○印は基準値の値である。
フィッティング処理部123(図6参照)は、マハラノビス距離解析を用いた統計的処理によりSOCデータベース122の基準SOCカーブのマハラノビス距離と、測定SOCカーブのマハラノビス距離を算出する。ステップS42でフィッティング処理部123は、算出した基準SOCカーブのマハラノビス距離と測定SOCカーブのマハラノビス距離とを比較し、両者のマハラノビス距離が最も小さい基準SOCカーブを選ぶ。例えば、図14(a)に示すマハラノビス距離と、図14(b)に示すようなマハラノビス距離が複数算出された場合、これらのSOCカーブのマハラノビス距離の中から、図14(a)に示すマハラノビス距離が小さい基準SOCカーブ(SOCマップ)を選ぶ。
また、マハラノビス距離解析を用いて、電池の劣化診断が可能になる。
図14(a)に示すように、マハラノビス距離が小さい場合、基準インピーダンスカーブ(新品電池のインピーダンスカーブ)(SOCカーブ)に対して、測定インピーダンスカーブ(測定SOCカーブ)との間に、顕著な乖離が見られない。この場合、電池10(対象電池)は、電池状態判定装置100が運用レベルにあると認識している通りの劣化レベル(健康レベル)であり、問題はない。
図14(b)に示すように、マハラノビス距離が大きい場合、基準インピーダンスカーブ(新品電池のインピーダンスカーブ)(SOCカーブ)に対して、測定インピーダンスカーブ(測定SOCカーブ)との間に、顕著な乖離が見られる。この場合、電池10(対象電池)は、電池状態判定装置100が運用レベルにあると認識している通りの劣化レベル(健康レベル)にない。このため、一度リフレッシュ操作を経た後(前記図10のステップS27〜ステップS30参照)、もう一度インピーダンス測定を行い、基準インピーダンスカーブと、マハラノビス距離を比較する操作を、電池状態判定装置100が行うことになる。
そして、一度リフレッシュ操作を経た後でもマハラノビス距離が規定値内に入らない場合は、電池10が劣化していると判断し、基準インピーダンスカーブ(新品電池のインピーダンスカーブ)(SOCカーブ)が規定値内に入るように電池10の交換(持ち替え操作)を行う。
ここで、規定値内のマハラノビス距離とは、概ね「10」内外を設定し、これが、電池10(対象電池)の劣化の10%程度に対応するように、電池の種類により設定値を調整する。
以上説明したように、本実施形態に係る電池状態診断装置120は、電池の温度及びこの時の電池の容量を表すSOCを測定し、この測定条件下で、複数の周波数で測定された電池のインピーダンス測定データを入力し、インピーダンスの実数成分Zと虚数成分Zとで表される複素平面上にプロットしてSOCカーブを求める複素インピーダンス処理部121と、標準電池の各電池状態毎に求めた複数のインピーダンスカーブの形状を蓄積するSOCデータベース122と、SOCデータベース122を参照して、電池10の測定SOCカーブの形状と、標準電池の各電池状態毎に予め作成された基準SOCカーブの形状とをフィッティング(照合)し、複数作成された基準SOCカーブの中から、測定したSOCカーブの形状が最も近い基準SOCカーブを統計的手法を用いて選び、選んだ基準SOCカーブを基に電池10のSOC量を特定するフィッティング処理部123と、得られた電池10のSOC量を、所定閾値と比較することにより電池10の劣化を判定するSOC/SOH処理部124と、を備える。
そして、本実施形態に係る電池状態判定方法は、SOCデータベース122を参照して、電池10の測定SOCカーブの形状と、標準電池の各電池状態毎に予め作成された基準SOCカーブの形状とをフィッティング(照合)し、複数作成された基準SOCカーブの中から、測定したSOCカーブの形状が最も近い基準SOCカーブを統計的手法を用いて選び、選んだ基準SOCカーブを基に電池10のSOC量を特定するステップと、を有する。
ここで、電池状態判定装置及び電池状態判定方法の計算、演算処理はコンピュータのプログラムで実行することができる。
本実施の形態では、虚軸成分ゼロ位置におけるSOCカーブの立ち上がり部に着目し、基準SOCカーブと照合しているので、実軸を横切る点(抵抗値)を安定して測定する必要はなく、従って従来技術のように、実軸を横切る点の測定条件を整えて正確に測定し、電池劣化を判断する必要性がない。すなわち、本実施形態では、電池の交流インピーダンス測定方法の解決課題であった、微弱な電流を流すことによる、接触抵抗の僅かな変化による測定誤差等を解消することができる。これにより、装置の構成を簡素化することができ、作業性を飛躍的に向上させることができる。
また、標準電池の各電池状態毎に求めた基準SOCカーブの形状を蓄積するSOCデータベース122を参照して、基準SOCカーブに対して測定SOCカーブを照合しているので、電池の容量や劣化量を簡易的な方法で、かつ定量的に計測診断を行うことができる。電池劣化の状態を適切に推定することができるので、電池の余寿命を推定することができ、適切な電池システムを実現し、また保守することができる。
本発明は上記の実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
例えば、劣化判定対象の電池は、ニッケル水素電池を例示したが、リチウムイオン電池等の二次電池に幅広く適用できる。また、電池に限らず、電荷を蓄えるエネルギストレッジへの応用も可能である。さらに、燃料電池その他の電池の劣化判定に適用することができる。
また、電池状態判定方法、電池状態判定装置は、計算機能を独立したハードでもよいし、電池システムにおけるソフトウェアでもよい。また、電池状態判定方法、電池状態判定装置及びプログラムの計算、演算処理はコンピュータのプログラムでなくとも、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を用いてもよい。
また、上記した実施形態例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、図6に示すように、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行するためのソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital)カード、光ディスク等の記録媒体に保持することができる。また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
10 電池(対象電池)
20 充放電装置
30 温度計
100 電池状態判定装置
110 交流インピーダンス測定装置
111 電圧計
112 電流計
113 交流源
114 複素インピーダンス計測部
120 電池状態診断装置
121 複素インピーダンス処理部
122 SOCデータベース
123 フィッティング処理部(照合部)
124 SOC/SOH処理部(劣化判定部)

Claims (7)

  1. 電池の温度及び前記電池の容量を表すSOCを測定し、前記測定した測定条件下で、複数の周波数で測定された電池のインピーダンス測定データを入力し、インピーダンスの実数成分Z′と虚数成分Z″とで表される複素平面上にプロットしてコールコールプロット曲線を求める複素インピーダンス処理部と、
    前記インピーダンス測定して得たコールコールプロット曲線の形状と、基準電池の温度及び電池の容量を表すSOCの測定条件下で、前記基準電池の各電池状態毎に予め複数作成された基準コールコールプロット曲線の形状とを照合し、前記複数作成された基準コールコールプロット曲線の中から、前記測定したコールコールプロット曲線の形状が最も近い基準コールコールプロット曲線を統計的手法を用いて選び、当該選んだ基準コールコールプロット曲線を基に電池のSOC量を特定する照合部と、を備え、
    前記照合部は、
    虚軸成分がゼロ位置の立ち上がりポイントから、測定周波数を下げることで上に凸となる曲線を描きながら立ち上がる立ち上がり部までの範囲である、前記コールコールプロット曲線の形状の一部を照合する
    ことを特徴とする電池状態判定装置。
  2. 電池の温度及び前記電池の容量を表すSOCを測定し、前記測定した測定条件下で、前記基準電池の各電池状態毎に予め複数作成した複数の基準コールコールプロット曲線の形状を蓄積するデータベースを備え、
    前記照合部は、
    前記データベースに蓄積された前記基準コールコールプロット曲線の中から、前記測定したコールコールプロット曲線の形状が最も近い基準コールコールプロット曲線を統計的手法を用いて選び、当該選んだ基準コールコールプロット曲線を基に電池のSOC量を特定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電池状態判定装置。
  3. 前記立ち上がり部は、前記立ち上がりポイントが測定周波数の1000Hzから立ち上がり、測定周波数の4Hzまでの前記コールコールプロット曲線の形状である
    ことを特徴とする請求項に記載の電池状態判定装置。
  4. 前記照合部は、
    前記統計的手法として、マハラノビス距離を含む距離計算を用いる
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の電池状態判定装置。
  5. 前記コールコールプロット曲線形状の照合により得られた前記電池SOC量と所定閾値とを比較して、当該電池の劣化を判定する劣化判定部を備える
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の電池状態判定装置。
  6. 前記劣化判定部は、
    前記電池SOC量が所定閾値より小さいとき、リフレッシュ指令を電池の充放電装置に出力し、
    前記照合部は、
    リフレッシュ後に再測定したコールコールプロット曲線の形状と、基準電池の各電池状態毎に予め複数作成された基準コールコールプロット曲線の形状とを照合し、前記複数作成された基準コールコールプロット曲線の中から、前記測定したコールコールプロット曲線の形状が最も近い基準コールコールプロット曲線を統計的手法を用いて選び、当該選んだ基準コールコールプロット曲線を基に電池のSOC量を特定する
    ことを特徴とする請求項に記載の電池状態判定装置。
  7. 電池の温度及び前記電池の容量を表すSOCを測定し、前記測定した測定条件下で、複数の周波数で測定された電池のインピーダンス測定データを入力し、インピーダンスの実数成分Z′と虚数成分Z″とで表される複素平面上にプロットしてコールコールプロット曲線を求めるステップと、
    前記インピーダンス測定して得たコールコールプロット曲線の形状と、基準電池の温度及び電池の容量を表すSOCの測定条件下で、前記基準電池の各電池状態毎に予め複数作成された基準コールコールプロット曲線の形状とを照合する場合、虚軸成分がゼロ位置の立ち上がりポイントから、測定周波数を下げることで上に凸となる曲線を描きながら立ち上がる立ち上がり部までの範囲である、前記コールコールプロット曲線の形状の一部を照合するステップと、
    前記複数作成された基準コールコールプロット曲線の中から、前記測定したコールコールプロット曲線の形状が最も近い基準コールコールプロット曲線を統計的手法を用いて選び、当該選んだ基準コールコールプロット曲線を基に電池のSOC量を特定するステップと、
    を有することを特徴とする電池状態判定方法。
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