JP6245467B2 - 風力発電用電力変換装置 - Google Patents
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Description
風力発電システムを商用電力系統に連系するための機能として、系統電圧の低下時にも運転を継続できる機能(FRT:Fault Ride Through、または、LVRT:Low Voltage Ride Through)を備えることが義務付けられている。この機能は、系統電圧の低下等の異常発生時に分散型電源を系統から一斉に解列すると、系統全体の電圧や周波数に影響を与えて系統の安定性を損なうため、風力発電機を継続的に運転させるためのものである。
図2の主回路において、1は風力発電機、2は風力発電機1の交流出力電力を直流電力に変換する発電機側コンバータ、3は発電機側コンバータ2の直流出力電力を交流電力に変換して系統電源4に供給する系統側コンバータ、5は上記コンバータ2,3の直流電力を所定の大きさの直流電力に変換して抵抗(放電用抵抗)6により消費させるためのチョッパである。
系統側コンバータ3の出力電力は第1の電力演算部101により演算されて減算器103に入力される。また、抵抗6の消費電力が第2の電力演算部102により演算されて熱モデル106に入力される。
発電機制御システム100から出力された第1のトルク指令は、電力換算部105により電力指令に換算され、この電力指令と前記出力電力との電力偏差が減算器103により求められて熱モデル106に入力されている。なお、第1のトルク指令は減算器104にも入力される。
更に、熱モデル106は、抵抗6の消費電力に基づいて発電電力抑制要求指令を生成する。発電機制御システム100では、この発電電力抑制要求指令を第1のトルク指令に反映させることにより、風力発電機1のトルク、ひいては発電量を制限し、風力発電機1の回転数が過大になるのを抑制している。
しかし、消費電力レベルA1が零になる前にFRT2回目が発生すると、その時点の消費電力レベルA1にFRT2回目の消費電力レベルが加算され、抵抗6による電力消費時間が短くなってP2offとなる。同様にして、FRT3回目の電力消費時間P3offは、P3off=0となる。これらの時間P2off,P3offの経過後は、発電機出力電力も低下していく。
更に、図3におけるFRT3回目以降からデータリセットされるまでの期間は、発電機出力電力(系統側コンバータ3の出力電力)を抑制する制御を行っているため、風力エネルギーを効率良く系統に供給することができない等の問題もある。
系統電圧が設定値以上である通常運転モードでは、前記発電機側コンバータを所定のトルク指令に従って運転すると共に、前記系統側コンバータの直流電圧検出値が第1の直流電圧指令値に一致するように前記系統側コンバータにより直流電圧制御を行う風力発電用電力変換装置であって、
前記系統電圧が低下して前記設定値未満になった時に、
前記通常運転モードから、前記トルク指令を制御して前記発電機側コンバータにより前記風力発電機の発電電力を抑制する制御を行う系統電圧低下運転モードに切り替えて運転を継続するようにした風力発電用電力変換装置において、
前記系統電圧低下運転モードでは、
前記直流電圧検出値が、前記第1の直流電圧指令値より高めに設定された第2の直流電圧指令値未満になるように前記発電機側コンバータの直流電圧を制御するために、前記第2の直流電圧指令値と前記直流電圧検出値との偏差と、前記風力発電機に対するトルク抑制量初期値と、に基づいてトルク抑制量を演算する発電機側コンバータ直流電圧制御手段と、
前記発電機側コンバータ直流電圧制御手段の出力が零以上であれば当該出力を零に制限し、前記発電機側コンバータ直流電圧制御手段の出力が零未満であれば当該出力の符号を反転させた値をトルク抑制量として出力するトルク抑制量生成手段と、
前記トルク抑制量生成手段の出力により補正されたトルク指令に従って前記発電機側コンバータを制御する手段と、を備えたものである。
前記系統電圧の正相電圧の最大値を演算する手段と、
前記正相電圧の最大値が前記設定値未満になった時に前記通常運転モードから前記系統電圧低下運転モードに切り替える手段と、を備えたものである。
図1は、この実施形態に係る風力発電用電力変換装置の構成図である。主回路の構成は図2と同様であり、1は風力発電機(以下、単に発電機ともいう)、2は発電機1の交流出力電力を直流電力に変換する発電機側コンバータ、3は発電機側コンバータ2の直流出力電力を交流電力に変換して系統電源4に供給する系統側コンバータ、5は上記コンバータ2,3の直流電力を所定の大きさの直流電力に変換して抵抗(放電用抵抗)6に供給し、消費させるためのチョッパである。
まず、系統側コンバータ3の制御手段について説明する。図1において、第1の直流電圧指令値Edc *と、コンバータ2,3の直流電圧検出値Edcとの偏差が減算手段11により演算され、この偏差は、下限値が「0」の第1のリミッタ12を介して第1のセレクタ13の「ON」側に入力されると共に、第1のセレクタ13の「OFF」側に直接入力されている。
セレクタ13の出力側には系統側コンバータ直流電圧制御部14及び系統側コンバータ電圧指令演算部15が接続されており、系統側コンバータ直流電圧制御部14の出力に基づいて演算した電圧指令に従って系統側コンバータ3が制御されるようになっている。
直流電圧検出値Edcが設定値2より大きい時に第2のコンパレータ48からチョッパオン信号が出力され、チョッパ5が動作する。これにより、チョッパ5は抵抗6に直流電力を供給し、熱として消費させる。なお、チョッパオン信号は、後述するセレクタ28,31,46にも入力されている。
第1の直流電圧指令値Edc *は、何れも1より大きく設定された比例ゲインK1,K2と乗算されて第2のセレクタ21の「OFF」側、「ON」側にそれぞれ入力されている。ここで、セレクタ21は、系統電圧異常検出信号により「ON」側に切り替わるようになっている。
また、直流電圧検出値Edcは直流電圧変化量演算部30にも入力されており、その出力である直流電圧変化量は第3のセレクタ31の「OFF」側を介して乗算手段32に入力されている。ここで、セレクタ31は、その「ON」側にセレクタ31の出力が加えられており、チョッパオン信号によって「ON」側に切り替わるようになっている。
発電機側コンバータ直流電圧制御部23から出力されたトルク抑制量は、上限値が「0」の第2のリミッタ24及び符号反転手段33を介して加算手段25に入力されている。
セレクタ46の出力は積分手段47により積分され、第1のトルク補正値として前記加算手段25に入力されており、符号反転手段33から出力されるトルク抑制量との加算結果が総合トルク抑制量として減算手段26に入力されている。このように、積分手段47にはチョッパ5がオンした時間だけ電力演算部43の出力電力が入力され、積分手段47による積分結果が第1のトルク補正値となる。
セレクタ28の出力は、有効電流指令(発電電力量指令)として発電機側コンバータ電圧指令演算部29に入力されており、この演算部29により演算された電圧指令値(交流電圧指令値)が発電機側コンバータ2に送られている。
系統電圧が正常である通常運転モードにおいて、系統側コンバータ3は、直流電圧検出値Edcが第1の直流電圧指令値Edc *に一致するように直流電圧制御を行う。この時、セレクタ13,21,45は全て「OFF」側にあり、チョッパ5がオフしている場合にはセレクタ28,31,46も全て「OFF」側にある。
この場合、系統側コンバータ3は系統電源4に電力を供給することができなくなるが、系統電圧が低下してから、その後に系統電圧異常検出信号が入力されるセレクタ13以降の制御によって系統側コンバータ3が系統電圧の低下を検出するまでの期間は、発電機側コンバータ2の出力電力は一定である。このため、発電機側コンバータ2の出力電力は系統側コンバータ3の出力電力よりも大きくなり、その差分によって直流電圧検出値Edcが上昇する。
一方、直流電圧検出値Edcの上昇と同時に、正相電圧最大値演算部41により演算された正相電圧最大値が設定値1より小さくなると、コンパレータ42が系統電圧異常検出信号を出力し、系統電圧低下時にも運転を継続するための系統電圧低下運転モードに移行する。
これにより、第1の直流電圧指令値Edc *と1より大きく設定された比例ゲインK2との乗算結果が、セレクタ21を介して第2の直流電圧指令値Edc ’*となり、減算手段22によって直流電圧指令値Edc ’*と直流電圧検出値Edcとの偏差が求められる。発電機側コンバータ直流電圧制御部23は、上記の偏差に基づいてトルク抑制量を演算する。このとき、前述したように直流電圧検出値Edcが上昇しているため、トルク抑制量はリミッタ24等の影響を受けずに所定の値を持つため、発電機トルクの抑制が有効となる。
なお、セレクタ28は、チョッパ5がオンした時に「ON」側に切り替わり、トルク指令Torque*やトルク抑制量に関わらず有効電流指令を「0」とするように動作する。
2:発電機側コンバータ
3:系統側コンバータ
4:系統電源
5:チョッパ
6:抵抗(放電用抵抗)
11,22,26:減算手段
12,24:リミッタ
13,21,28,31,45,46:セレクタ
14:系統側コンバータ直流電圧制御部
15:系統側コンバータ電圧指令演算部
25,27:加算手段
29:発電機側コンバータ電圧指令演算部
30:直流電圧変化量演算部
32:乗算手段
33:符号反転手段
41:正相電圧最大値演算部
42,48:コンパレータ
43:電力演算部
44:電力変化量演算部
47:積分手段
Claims (9)
- 風力発電機が発電した交流電力を直流電力に変換する発電機側コンバータと、前記発電機側コンバータから出力される直流電力を交流電力に変換して系統電源に供給する系統側コンバータと、前記発電機側コンバータと前記系統側コンバータとの間の直流回路に接続されたチョッパと、を少なくとも備え、
系統電圧が設定値以上である通常運転モードでは、前記発電機側コンバータを所定のトルク指令に従って運転すると共に、前記系統側コンバータの直流電圧検出値が第1の直流電圧指令値に一致するように前記系統側コンバータにより直流電圧制御を行う風力発電用電力変換装置であって、
前記系統電圧が低下して前記設定値未満になった時に、
前記通常運転モードから、前記トルク指令を制御して前記発電機側コンバータにより前記風力発電機の発電電力を抑制する制御を行う系統電圧低下運転モードに切り替えて運転を継続するようにした風力発電用電力変換装置において、
前記系統電圧低下運転モードでは、
前記直流電圧検出値が、前記第1の直流電圧指令値より高めに設定された第2の直流電圧指令値未満になるように前記発電機側コンバータの直流電圧を制御するために、前記第2の直流電圧指令値と前記直流電圧検出値との偏差と、前記風力発電機に対するトルク抑制量初期値と、に基づいてトルク抑制量を演算する発電機側コンバータ直流電圧制御手段と、
前記発電機側コンバータ直流電圧制御手段の出力が零以上であれば当該出力を零に制限し、前記発電機側コンバータ直流電圧制御手段の出力が零未満であれば当該出力の符号を反転させた値をトルク抑制量として出力するトルク抑制量生成手段と、
前記トルク抑制量生成手段の出力により補正されたトルク指令に従って前記発電機側コンバータを制御する手段と、
を備えたことを特徴とする風力発電用電力変換装置。 - 請求項1に記載した風力発電用電力変換装置において、
前記系統電圧の正相電圧の最大値を演算する手段と、
前記正相電圧の最大値が前記設定値未満になった時に前記通常運転モードから前記系統電圧低下運転モードに切り替える手段と、
を備えたことを特徴とする風力発電用電力変換装置。 - 請求項1または2に記載した風力発電用電力変換装置において、
前記直流電圧検出値から直流電圧変化量を演算する直流電圧変化量演算手段と、
前記チョッパがオンしたときに前記直流電圧変化量を保持する手段と、
系統電圧の低下に伴って前記系統側コンバータの出力電力と前記発電機側コンバータの出力電力との差分から生じる前記直流電圧変化量と前記トルク指令とに基づいて、前記トルク抑制量初期値を演算する手段と、
を備えたことを特徴とする風力発電用電力変換装置。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載した風力発電用電力変換装置において、
前記第2の直流電圧指令値を前記第1の直流電圧指令値よりも大きく設定するための比例ゲインを2つ有し、
前記2つの比例ゲインを、前記通常運転モードと前記系統電圧低下運転モードとで切り替えて前記第2の直流電圧指令値を設定することを特徴とする風力発電用電力変換装置。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載した風力発電用電力変換装置において、
前記系統側コンバータの出力電力を演算する電力演算手段と、
前記電力演算手段が演算した出力電力を前記チョッパがオンした期間だけ積分手段に入力する手段と、
前記積分手段の出力を第1のトルク補正値として前記トルク抑制量に加算する手段と、
前記第1のトルク補正値と前記トルク抑制量と前記トルク指令との加算結果に基づいて、前記チョッパのオフ期間における有効電流指令を生成し、この有効電流指令に従って前記発電機側コンバータを制御する手段と、
を備えたことを特徴とする風力発電用電力変換装置。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載した風力発電用電力変換装置において、
前記系統側コンバータの出力電力の変化量を前記トルク抑制量に加算する手段を備えたことを特徴とする風力発電用電力変換装置。 - 請求項1〜6の何れか1項に記載した風力発電用電力変換装置において、
前記直流電圧検出値が設定値より大きくなった時に前記チョッパをオンさせると共に、前記風力発電機に対する発電電力量指令を0に制御する手段を備えたことを特徴とする風力発電用電力変換装置。 - 請求項1〜7の何れか1項に記載した風力発電用電力変換装置において、
前記系統電圧低下運転モードでは、前記第1の直流電圧指令値と前記直流電圧検出値との偏差を0以上に制限する制限手段と、
前記制限手段の出力に基づいて演算した電圧指令に従って前記系統側コンバータの直流電圧を制御する手段と、
を備えたことを特徴とする風力発電用電力変換装置。 - 請求項1〜8の何れか1項に記載した風力発電用電力変換装置において、
前記系統電圧低下運転モードでは、前記発電機側コンバータの直流電圧制御系と前記系統側コンバータの直流電圧制御系とを分離して両コンバータの直流電圧制御を同時に実行可能としたことを特徴とする風力発電用電力変換装置。
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