以下、図面に基づいて、本願の開示する情報処理システムおよび情報処理方法の実施例を詳細に説明する。なお、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下の実施例は、矛盾しない範囲で適宜組みあわせてもよい。
図1は、実施例の情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示す情報処理システム1は、移動端末10と、複数の基地局50と、端末装置80と、情報処理装置100とを有する。なお、図1には、システムが1つの移動端末10を有する場合を示したが、移動端末10の数は限定されず、情報処理システム1は、任意の数の移動端末10を有してもよい。
移動端末10および複数の基地局50の間は、電離層Lの反射を利用した短波帯の電波により相互に通信可能に接続される。また、複数の基地局50、端末装置80および情報処理装置100の間は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。かかるネットワークNには、有線または無線を問わず、インターネット(Internet)を始め、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの任意の種類の通信網を採用できる。
ここで、情報処理システム1の概要について説明する。なお、以下の説明では、船舶の一例として漁船の場合について説明する。情報処理システム1は、例えば、移動端末10が遠洋、例えば、沿岸から200海里以上離れた海域で操業する漁船に設置され、基地局50および端末装置80が漁港の近隣に設けられた漁業無線協会70に設置される。また、情報処理システム1は、例えば、データセンタ等のクラウド上に情報処理装置100を設け、各基地局50および端末装置80とネットワークNを介して接続されている。また、図1の例では、基地局50−1が例えば北海道に設置され、基地局50−2が例えば沖縄に設置され、他の基地局50を基地局50−nとしている。なお、図1では、簡略のために漁業無線協会70は1つとし、漁業無線協会70内に基地局50−2および端末装置80が設置される場合を示したが、これに限定されない。基地局50は、単独で設置されてもよいし、他の漁業無線協会70内に設けられてもよい。同様に、端末装置80は、他の漁業無線協会70内に当該漁業無線協会70の端末装置80として設置される。
情報処理装置100は、一定期間に定時連絡がない漁船を優先通信の対象漁船として抽出する。情報処理装置100は、優先通信を要求する対象漁船に応じた要求情報を生成する。情報処理装置100は漁業無線のタイムテーブルに従って、例えば、優先通信要求の割り当て時間に、複数の基地局50に要求情報を送信する。複数の基地局50は、要求情報を、基地局50ごとに所定の時間差かつ同じ周波数、および、異なる周波数かつ同じ時刻のうち1つ以上の条件で、短波帯の無線機を用いて移動端末10が設置された漁船に向けて送信する。
漁船に設置された移動端末10は、タイムテーブルのうち、優先通信要求の割り当て時間について、予め定められたいずれかの周波数を短波帯の無線機を用いて傍受する。移動端末10は、複数の基地局50から送信された要求情報を受信すると、タイムテーブルに従って自船の位置を示す位置情報を含む管理情報を、短波帯の無線機を用いて複数の基地局50のいずれか1つ以上に対して送信する。移動端末10から送信された電波は、電離層Lで反射し、見通し距離外にある基地局50のうち、いずれか1つ以上の基地局50に到達する。
電波が到達した基地局50は、移動端末10から送信された電波を受信して管理情報を取得すると、取得した管理情報を、ネットワークNを介して情報処理装置100に送信する。ここで、移動端末10から送信された電波は、例えば、当該移動端末10が設置された漁船が所属する漁業無線協会70とは異なる漁業無線協会70の基地局50で受信されたものとする。
情報処理装置100は、管理情報を受信すると管理情報から移動端末10の識別情報、すなわち当該移動端末10が設置された漁船の識別情報を特定する。情報処理装置100は、後述する管理情報記憶部121を参照して、当該漁船が所属する漁業無線協会70に設置された端末装置80に対して管理情報を送信する。これにより、情報処理装置100は、複数の周波数および時刻に基地局50を介して要求情報を送信できるので、長時間に渡り連絡が取れない漁船に対して情報の到達性を向上できる。
続いて、情報処理システム1を構成する各構成要素について説明する。移動端末10は、通信部11と、記憶部12と、測位部13と、表示操作部14と、制御部15とを有する。なお、移動端末10は、図1に示す機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部、例えば各種の入力デバイスや音声出力デバイスなどの機能部を有することとしてもかまわない。移動端末10の一例としては、タブレット端末、可搬型のパーソナルコンピュータ等を採用できる。
通信部11は、例えば、中波から短波帯の無線機等によって実現される。通信部11は、電離層Lを介して複数の基地局50のいずれか1つ以上と無線で接続され、基地局50およびネットワークNを介して、情報処理装置100との間で情報の通信を司る通信インタフェースである。通信部11は、基地局50から送信された電波を受信して、要求情報や各種情報を取得する。また、通信部11は、制御部15から入力された管理情報を基地局50に向けて送信する。
通信部11は、中波から短波帯の電波として、例えば、2MHz帯、4MHz帯、8MHz帯、12MHz帯、および、16MHz帯のうち1つ以上の周波数帯域を用いることができる。通信部11は、例えば、移動端末10の操作者によって陸地との距離および時間帯に応じて選択された周波数帯域を用いる。これは、中波および短波帯の電波の伝搬状況が、太陽活動や昼夜によって状態が異なる電離層の影響を受けるためである。なお、周波数の選択は、測位部13で測位して取得した位置情報に基づいて、代表的な基地局50までの距離を算出し、算出した距離、季節および時刻に応じて各周波数の重み付けを行い、より到達可能性の高い周波数を選択するようにしてもよい。また、周波数の選択は、各周波数帯域のバンド特性を考慮して選択する。
通信部11は、変調方式として、例えば、PSK(Phase Shift Keying)、FSK(Frequency Shift Keying)等のデジタル変調を用いることができる。また、通信部11は、周波数が低い帯域では、例えば、PSK31等の変調方式を用いることができる。例えば、PSK31は、通信速度が31ボーと低速であるが、専有帯域が狭く、主にテキストデータを通信する短波帯でのデータ通信に適している。なお、通信部11は、制御部15との接続方法として、例えば、通信部11の制御にはRS−232Cを用いたシリアル通信を用いて、管理情報等のデータの授受には、音声入出力端子を用いて変調信号を入出力することができる。
記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部12は、管理情報に含める各種情報、操業海域の海図である白地図、受信した気象情報、気象情報に基づいて白地図上に配置する図形情報、受信した市況情報、基地局50との通信に用いるタイムテーブル、および、制御部15での処理に用いる情報等を記憶する。
測位部13は、衛星測位システムの信号を受信する。測位部13は、衛星測位システムとして、GPS(Global Positioning System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、ガリレオ、および、コンパス等の全地球航法衛星システムの信号を受信して測位を行う。測位部13は、制御部15から測位を要求されると測位を行なって、測位結果をWGS(World Geodetic System)84等の測地系に基づいた位置情報として出力する。また、測位部13は、制御部15から連続して測位を続けるように要求されると、連続して測位を行なって、制御部15から停止を要求されるまで位置情報の出力を続ける。なお、測位部13は、衛星測位システムとして、準天頂衛星システム、インド地域航法衛星システム、DORIS(Doppler Orbitography and Radio-positioning Integrated by Satellite)、および、北斗等の地域航法衛星システムの信号を受信してもよい。
表示操作部14は、各種情報を表示するための表示デバイス、および、ユーザから各種操作を受け付ける入力デバイスである。例えば、表示操作部14は、表示デバイスとして液晶ディスプレイ等によって実現される。また、例えば、表示操作部14は、入力デバイスとして、タッチパネル等によって実現される。つまり、表示操作部14は、表示デバイスと入力デバイスとが一体化される。また、表示操作部14は、ユーザインタフェースとして、例えば、画面下部にキーボードを表示して、キー入力を受け付ける。表示操作部14は、ユーザによって入力された操作を操作情報として、制御部15に出力する。また、表示操作部14は、制御部15から入力された各種情報がプロットされた白地図、位置情報、気象情報、および、市況情報等を表示する。
制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部15は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されるようにしてもよい。制御部15は、移動端末10全体を制御する。また、制御部15は、例えば、みなしGMDSSのために、1日3回以上、測位部13から位置情報を取得して、取得した位置情報を含む管理情報を、通信部11を介して基地局50に対して送信する。
また、制御部15は、例えば、タイムテーブルのうち、優先通信要求の割り当て時間について、予め定められたいずれかの周波数を通信部11を介して受信する。制御部15は、複数の基地局50から送信された要求情報を受信すると、要求情報に含まれる識別情報が自らの移動端末10の識別情報であるか否かを判定する。制御部15は、要求情報に含まれる識別情報が自らの移動端末10の識別情報である場合には、自船の位置を示す位置情報を含む管理情報を、通信部11を介して複数の基地局50のいずれか1つ以上に対して送信する。すなわち、制御部15は、要求情報に含まれる送信時間帯および送信周波数、ならびに、タイムテーブルに従って自船の位置を示す位置情報を含む管理情報を、通信部11を介して複数の基地局50のいずれか1つ以上に対して送信する。なお、制御部15は、要求情報に含まれる識別情報が自らの移動端末10の識別情報でない場合には、当該要求情報を無視する。
制御部15は、管理情報に含める位置情報を取得するために、みなしGMDSSの定時連絡時、または、要求情報を受信した場合に、測位部13に対して測位を要求する。制御部15は、測位の要求として、1回のみの測位の要求と、連続して測位を続ける要求とのいずれかを測位部13に対して出力する。制御部15は、測位部13から測位の要求に応じた位置情報が入力されると、当該位置情報を伝文フォーマットに挿入して管理情報である伝文を生成する。制御部15は、生成した伝文、すなわち管理情報を通信部11に出力する。なお、制御部15は、位置情報の一部を、移動端末10が設置された漁船が所属する漁業無線協会70内の端末装置80でのみ復号化できるように暗号化してもよい。
図2は、伝文フォーマットの一例を示す説明図である。図2に示すように、例えば伝文フォーマット21は、「Char code」、「format ver」、「Message Type」、「name of a vessel」、「Call Sign」、「nationality」、「prefectures」、「Geographic Point Location」、「Parity」といった項目を有する。なお、図2の伝文フォーマット21は、例えば、1マスが1バイトである。また、図2に示す伝文フォーマット21の長さは、一例として104バイトであるが、これに限定されず、任意の長さとすることができる。さらに、伝文フォーマット21は、項目として、他にも回送すべき無線協会のコード、位置情報の一部をマスクする、つまり暗号化するレベルを示す位置情報マスクレベル等を設けてもよい。
「Char code」は、文字コード系を示す。「format ver」は、伝文フォーマット21のバーションを示し、フォーマット変更に対応するための項目である。「Message Type」は、メッセージタイプを示し、例えば、自動、手動、要求送信、緊急といったメッセージの種別を表す。「name of a vessel」は、移動端末10が設置された漁船の船名または識別情報を表す。なお、「name of a vessel」は、文字数に余裕があれば、漁船の船名と識別情報とを表すようにしてもよい。「Call Sign」は、確実な識別のための無線局のコールサインを表す。「nationality」は、「nationality registration」を省略したものであり、船籍国コードを示す。「prefectures」は、所属都道府県を表す。「Geographic Point Location」は、位置情報を示し、例えば、測位系と緯度と経度とを表す。「Parity」は、メッセージの完全受信を確認するためのパリティである。
また、制御部15は、例えば、基地局50から白地図を特定する情報と、白地図上の位置に対応する気象情報とを含む情報を受信すると、記憶部12を参照して、気象情報に対応する白地図を特定する。また、制御部15は、当該白地図上に気象情報に基づく図形情報を配置して、表示操作部14に表示させる。制御部15は、他にも、受信した港ごとの水産物の市況情報や、当該市況情報に基づく水揚げ予定港等の各種情報を表示操作部14に表示させる。
図1の説明に戻って、基地局50は、通信部51と、制御部52とを有する。基地局50は、例えば、周波数帯域ごとにそれぞれ無線機を有し、各無線機には図示しないアンテナがそれぞれ接続され、各周波数帯域で同時に複数の漁船に設置された移動端末10と通信することができる。
通信部51は、例えば、中波から短波帯の無線機等によって実現される。また、通信部51は、ネットワークNを介して情報処理装置100との間で通信を行うために、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部51は、電離層Lを介して複数の移動端末10のいずれか1つ以上と無線で接続され、ネットワークNを介して情報処理装置100と接続される。つまり、通信部51は、移動端末10と基地局50との間、および、基地局50と情報処理装置100との間で情報の通信を司る通信インタフェースである。すなわち、基地局50は、移動端末10と情報処理装置100との通信を中継する。通信部51は、ネットワークNとの接続を有線または無線により行う。
通信部51は、例えば、中波から短波帯の無線機として、複数の無線機、例えば、2MHz帯、4MHz帯、8MHz帯、12MHz帯、および、16MHz帯に対応する5台の無線機を用いて、移動端末10から送信された電波を受信する。通信部51は、複数の移動端末10から送信された、それぞれ異なる周波数の電波を用いた無線信号を、対応する周波数の複数の無線機で受信する。なお、使用される周波数帯は、移動端末10が設置される漁船の位置および時間帯のいずれか1つ以上に応じて決定される。また、通信部51は、変調方式として、移動端末10の通信部11と同様の変調方式を用いる。また、通信部51は、制御部52との接続も移動端末10と同様に、RS−232Cを用いたシリアル通信と、音声入出力端子を用いたデータ通信とを用いることができる。
通信部51は、受信した電波から管理情報を抽出し、制御部52に出力する。また、通信部51は、抽出した管理情報を、NICを用いてネットワークNを介して情報処理装置100に送信する。また、通信部51は、ネットワークNを介して情報処理装置100から送信された要求情報を、タイムテーブルに従って、所定の時間差かつ同じ周波数、および、異なる周波数かつ同じ時刻のうち1つ以上の条件で、移動端末10が設置された漁船に向けて送信する。通信部51は、他の情報についても同様に、タイムテーブルに従って、移動端末10が設置された漁船に向けて送信する。
制御部52は、基地局50の全体を制御する。制御部52は、通信部51から管理情報が入力されると、例えば、図示しない表示部に管理情報を受信した旨を表示させる。制御部52は、例えば、基地局50の制御用のコンピュータであり、例えば、組込型のコンピュータでもよいし、据置型のパーソナルコンピュータ等であってもよい。
また、制御部52は、図示しない記憶部に記憶されたタイムテーブルを参照して、情報処理装置100から受信した各種情報を移動端末10に対して送信するように、通信部51を制御する。
端末装置80は、例えば、漁業無線協会70に設置され、情報処理装置100から当該漁業無線協会70に所属する漁船の移動端末10から送信された管理情報の提供を受けるコンピュータである。かかる端末装置80の一例としては、パーソナルコンピュータを採用できる。端末装置80には、上記のパーソナルコンピュータなどの据置き型の端末のみならず、各種の携帯端末装置を端末装置80として採用することもできる。端末装置80は、ネットワークNを介して情報処理装置100から受信した管理情報を、図示しない記憶部に蓄積して記憶する。また、端末装置80は、例えば、漁業無線協会70に所属する漁船を管理する。端末装置80は、漁船の管理情報として、例えば、漁船の識別情報、船長、出港日時、出漁海域、帰港予定日時等を管理する。また、端末装置80は、当該漁業無線協会70に所属する漁船の移動端末10に対して、港の情報等を情報処理装置100を介して送信するようにしてもよい。
情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。情報処理装置100は、図1に示す機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部、例えば各種の入力デバイスや音声出力デバイスなどの機能部を有することとしてもかまわない。また、情報処理装置100は、いわゆるクラウド上に構成され、自由に拡張や構成の変更が可能なようにしてもよい。
通信部110は、例えば、NIC等によって実現される。通信部110は、ネットワークNを介して基地局50と有線または無線で接続され、基地局50との間で情報の通信を司る通信インタフェースである。通信部110は、基地局50から管理情報を受信する。通信部110は、受信した管理情報を制御部130に出力する。また、通信部110は、制御部130から移動端末10の識別情報が特定された管理情報が入力される。通信部110は、入力された特定された管理情報を、当該管理情報に対応する管理組織、すなわち当該管理情報を送信した移動端末10が設置された漁船が所属する漁業無線協会70の端末装置80に対して送信する。
また、通信部110は、制御部130から要求情報が入力されると、当該要求情報をネットワークNを介して基地局50に送信する。さらに、通信部110は、制御部130から入力される気象情報等を含む情報が入力されると、当該情報をネットワークNを介して基地局50に送信する。
記憶部120は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、管理情報記憶部121と、提供情報記憶部122と、タイムテーブル記憶部123とを有する。また、記憶部120は、制御部130での処理に用いる情報を記憶する。
管理情報記憶部121は、漁船の識別情報と、所属する管理組織と、所属する漁港と、連絡先情報とを対応付けて記憶する。図3は、管理情報記憶部の一例を示す説明図である。図3に示すように、管理情報記憶部121は、「識別情報」、「所属する管理組織」、「所属する漁港」、「連絡先情報1」、「連絡先情報2」、「管理情報受信日時」といった項目を有する。
「識別情報」は、例えば、漁船登録番号であり漁船を識別する。「所属する管理組織」は、漁船が所属する管理組織、例えば、漁業無線協会等を示す。「所属する漁港」は、漁船が所属する漁港を示す。漁船が所属する漁港は、例えば、漁船が所属する漁業協同組合に対応する。「連絡先情報1」および「連絡先情報2」は、例えば、漁船の船長の家族についての、連絡先電話番号や連絡先メールアドレス等を示す。「管理情報受信日時」は、識別情報で識別される漁船の移動端末10から、管理情報を受信した日時を示す。「管理情報受信日時」は、新たな管理情報を受信すると、その受信日時に更新される。すなわち、「管理情報受信日時」は、当該漁船の移動端末10から、最後に管理情報を受信した日時を示す。
提供情報記憶部122は、漁業無線協会70内の端末装置80から受信した港の情報等を記憶する。また、提供情報記憶部122は、操業海域の海図である白地図を特定する情報、ネットワークNを介して図示しない外部のサーバから取得した気象情報、および、ネットワークNを介して図示しない漁業協同組合等の端末装置から取得した市況情報等を記憶する。なお、提供情報記憶部122は、他にも移動端末10に対して提供する各種の情報を記憶するようにしてもよい。
タイムテーブル記憶部123は、各基地局50から送信する情報について、例えば、毎時何分に、どの周波数帯域を用いて、どのような内容の情報を送信するかを規定するタイムテーブルを記憶する。図4は、タイムテーブル記憶部の一例を示す説明図である。図4に示すように、タイムテーブル記憶部123は、「毎時 分」、「基地局50−1」、「基地局50−2」、「周波数」、「内容」といった項目を有する。
「毎時 分」は、1時間分の1分ごとの時刻を示す。「基地局50−1」および「基地局50−2」は、それぞれ対応する基地局50を示す。「周波数」は、ある時刻における当該基地局が送信する周波数を示す。「内容」は、当該時刻において通信する内容を示す。例えば、タイムテーブルの毎時0分から2分59秒までは、基地局50−1は、周波数2MHzと4MHzで、優先通信要求を送信する。基地局50−2は、周波数8MHzと12MHzで、優先通信要求を送信する。また、タイムテーブルの毎時3分から6分59秒までは、基地局50−1は、周波数2MHzと4MHzで、第1エリア向け情報を送信する。基地局50−2は、周波数8MHzと12MHzで、第1エリア向け情報を送信する。
また、例えば、タイムテーブルの毎時17分から19分59秒までは、基地局50−1は、周波数2MHzと4MHzで、優先通信応答を受信する。基地局50−2は、周波数8MHzと12MHzで、優先通信応答を受信する。また、タイムテーブルは、図4の例では、各基地局50は、20分ごとに同じ内容を周波数を一部変更して移動端末10に対して情報を送信し、または、優先通信要求に応じた移動端末10からの管理情報を受信する。例えば、基地局50−1は、毎時0分から19分59秒と、毎時20分から39分59秒とについて、周波数4MHzで同一の内容を送受信する。
図1の説明に戻って、制御部130は、例えば、CPUやMPU等によって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されるようにしてもよい。制御部130は、受信制御部131と、特定部132と、要求部133と、情報提供部134と、送信制御部135とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図1に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
受信制御部131は、通信部110およびネットワークNを介して、複数の基地局50から管理情報を受信する。受信制御部131は、管理情報として、例えば、ある移動端末10から所定時間以上の間隔で送信された管理情報を受信する。ここで、所定時間は、例えば、3時間とすることができる。受信制御部131は、例えば、移動端末10が6時間間隔で管理情報を送信する場合に、厳密に6時間間隔ではなく、多少の時間間隔の前後があっても許容するためである。なお、受信制御部131は、移動端末10から所定時間未満の間隔で送信された管理情報は、受信してもよいし、受信せず放置してもよい。受信制御部131は、電波の伝搬状況によっては、複数の基地局50から、同一の移動端末10から送信された管理情報を受信する。受信制御部131は、受信した管理情報を特定部132に出力する。
特定部132は、受信制御部131から管理情報が入力されると、伝文フォーマット21に基づいて、受信した管理情報から移動端末10の識別情報を特定する。なお、識別情報は、漁船を識別する漁船登録番号を用いてもよいし、移動端末10の無線局に割り当てられているコールサインを用いてもよい。特定部132は、受信した管理情報と、特定した識別情報とを対応付けて、送信制御部135に出力する。
要求部133は、管理情報記憶部121を参照して、管理情報受信日時が現在の日時よりも所定の期間以上過去である識別情報を抽出する。要求部133は、抽出した識別情報に対応する移動端末10が設置された漁船を、優先通信の対象漁船として抽出する。すなわち、要求部133は、長時間に渡り連絡が取れていない漁船を抽出する。要求部133は、対象漁船に設置された移動端末10の識別情報と、管理情報を送信させる送信時間帯および送信周波数とを含み、対象の移動端末10に対して管理情報の送信を要求する要求情報を生成する。要求部133は、生成した要求情報を送信制御部135に出力する。
情報提供部134は、提供情報記憶部122を参照して、白地図を特定する情報と、該白地図上の位置に対応する気象情報とを含む情報を生成する。また、情報提供部134は、提供情報記憶部122を参照して、港ごとの水産物の市況情報等を生成する。情報提供部134は、生成した各情報を送信制御部135に出力する。すなわち、要求部133および情報提供部134は、移動端末10に対して送信する情報を生成する生成部である。
送信制御部135は、特定部132から管理情報および対応付けられた識別情報が入力されると、管理情報記憶部121を参照し、識別情報に基づいて、移動端末10が所属する管理組織を特定する。すなわち、送信制御部135は、識別情報に基づいて、移動端末10が設置された漁船が所属する漁業無線協会70を特定する。送信制御部135は、管理情報を、特定した漁業無線協会70の端末装置80に対して、通信部110およびネットワークNを介して送信する。
送信制御部135は、特定部132から入力された管理情報の識別情報が、所定時間以内に既に漁業無線協会70の端末装置80に送信した管理情報の識別情報と同一である場合には、入力された管理情報および識別情報を破棄する。すなわち、送信制御部135は、入力された管理情報および識別情報が、複数の基地局50で受信された2つ目以降の管理情報であるとして、漁業無線協会70の端末装置80に対して送信を行わない。
送信制御部135は、管理情報に含まれる位置情報のうち一部が暗号化されている場合には、位置情報を復号せずに一部が暗号化されたまま、当該管理情報を特定した漁業無線協会70の端末装置80に対して、通信部110およびネットワークNを介して送信する。
また、送信制御部135は、移動端末10が設置された漁船の関係者の図示しない端末装置に対して、通信部110およびネットワークNを介して、当該移動端末10から送信された管理情報を受信したことを示す受信情報を送信する。送信制御部135は、例えば、管理情報記憶部121を参照して、当該関係者のメールアドレスを取得して、受信情報を電子メールとして送信する。受信情報には、管理情報を受信した旨のみとしてもよいし、例えば、位置情報等の他の情報を付加してもよい。
また、送信制御部135は、管理情報に緊急情報を識別する情報が含まれる場合には、図示しない緊急情報に対応する組織、例えば、海上保安庁等に当該管理情報をただちに送信する。これにより、情報処理装置100は、緊急を要する情報を速やかに対応可能な組織に送信することができる。
さらに、送信制御部135は、要求部133から要求情報が入力されると、タイムテーブル記憶部123を参照して、対応する送信時間帯および送信周波数で移動端末10に送信するように、当該要求情報をネットワークNを介して複数の基地局50に送信する。また、送信制御部135は、情報提供部134から各情報が入力されると、タイムテーブル記憶部123を参照して、対応する送信時間帯および送信周波数で移動端末10に送信するように、当該各情報をネットワークNを介して複数の基地局50に送信する。
次に、実施例の情報処理システム1の動作について説明する。なお、以下の説明では、情報処理システム1の動作の一例として、遠洋に出漁した漁船から、みなしGMDSSの連絡が長時間なく、優先通信を用いて当該漁船の管理情報を送信させる場合について説明する。また、以下の説明では、移動端末10は基地局50−2を有する漁業無線協会70に所属し、移動端末10は基地局50−1から送信された電波を受信した場合について説明する。また、移動端末10から送信された電波は、基地局50−2では受信できず、他の基地局50−1で受信できた場合について説明する。すなわち、以下の説明では、移動端末10と基地局50−1との間で、短波帯の通信が可能な場合について説明する。
図5は、実施例の情報処理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。情報処理装置100の要求部133は、管理情報記憶部121を参照して、管理情報受信日時が現在の日時よりも所定の期間以上過去である識別情報を抽出する。要求部133は、抽出した識別情報に対応する移動端末10が設置された漁船を、優先通信の対象漁船として抽出する(ステップS1)。
要求部133は、対象漁船に設置された移動端末10の識別情報と、管理情報を送信させる送信時間帯および送信周波数とを含み、対象の移動端末10に対して管理情報の送信を要求する要求情報を生成する(ステップS2)。要求部133は、生成した要求情報を送信制御部135に出力する。
送信制御部135は、要求部133から要求情報が入力されると、タイムテーブル記憶部123を参照して、対応する送信時間帯および送信周波数で移動端末10に送信するように、当該要求情報をネットワークNを介して複数の基地局50に送信する。すなわち、送信制御部135は、タイムテーブルに従って、要求情報をネットワークNを介して複数の基地局50に送信する(ステップS3)。
基地局50−1の通信部51は、ネットワークNを介して情報処理装置100から要求情報を受信する(ステップS4)。通信部51は、タイムテーブルに従って、要求情報を移動端末10が設置された漁船に向けて送信する(ステップS5)。すなわち、通信部51は、タイムテーブルの優先通信要求の割り当て時間に、要求情報を移動端末10が設置された漁船に向けて送信する。ここで、要求情報の送信時間帯および送信周波数は、予め各基地局50の図示しない記憶部に、情報処理装置100と同一のタイムテーブルが記憶され、制御部51がタイムテーブルを参照して決定できる。また、基地局50は、要求情報の送信時間帯および送信周波数を、情報処理装置100から要求情報とともに受信して、受信した送信時間帯および送信周波数に応じて、要求情報を移動端末10に対して送信してもよい。
漁船に設置された移動端末10の制御部15は、タイムテーブルのうち、優先通信要求の割り当て時間について、予め定められたいずれかの周波数の電波を通信部11を介して受信する。ここで、移動端末10のタイムテーブルは、出港前に予め記憶部12に情報処理装置100と同一のタイムテーブルが記憶される。制御部15は、当該タイムテーブルを参照して受信する時間帯および受信周波数を決定し、要求情報を受信する(ステップS6)。
制御部15は、複数の基地局50から送信された要求情報を受信すると、要求情報に含まれる識別情報が自らの移動端末10の識別情報であるか否かを判定する。制御部15は、要求情報に含まれる識別情報が自らの移動端末10の識別情報である場合には、管理情報を生成する。制御部15は、まず、測位部13に対して測位を要求する。制御部15は、測位部13から測位の要求に応じた位置情報が入力されると、当該位置情報を伝文フォーマットに挿入して管理情報を生成する。
また、制御部15は、要求情報に含まれる送信時間帯および送信周波数を抽出する。制御部15は、抽出した送信時間帯および送信周波数、ならびに、タイムテーブルに従って自船の位置を示す位置情報を含む管理情報を、通信部11を介して複数の基地局50のいずれか1つ以上に対して送信する(ステップS7)。
基地局50−1の通信部51は、移動端末10から送信された電波を受信する。すなわち、通信部51は、受信した電波に含まれる管理情報を受信する(ステップS8)。通信部51は、受信した管理情報を、ネットワークNを介して情報処理装置100に送信する(ステップS9)。
情報処理装置100の受信制御部131は、通信部110およびネットワークNを介して、基地局50−1から管理情報を受信する(ステップS10)。受信制御部131は、受信した管理情報を特定部132に出力する。特定部132は、受信制御部131から管理情報が入力されると、伝文フォーマット21に基づいて、受信した管理情報から移動端末10の識別情報を特定する(ステップS11)。特定部132は、受信した管理情報と、特定した識別情報とを対応付けて、送信制御部135に出力する。
送信制御部135は、特定部132から管理情報および対応付けられた識別情報が入力されると、管理情報記憶部121を参照し、識別情報に基づいて、移動端末10が設置された漁船が所属する漁業無線協会70を特定する(ステップS12)。送信制御部135は、特定した漁業無線協会70の端末装置80に対して、通信部110およびネットワークNを介して管理情報を送信する(ステップS13)。
端末装置80は、ネットワークNを介して情報処理装置100から管理情報を受信する(ステップS14)。端末装置80は、受信した管理情報を、記憶部に蓄積して記憶する(ステップS15)。また、端末装置80は、例えば、所属する漁船の位置情報を地図上にプロットして、図示しない表示部に表示させて、端末装置80の使用者に位置情報を提供する。これにより、移動端末10が設置された漁船が長時間連絡が取れない場合であっても、多数の周波数および時間帯で管理情報を送信するように要求するので、移動端末10に対する当該要求の到達性を向上することができる。
次に、情報処理装置100が、移動端末10に対して気象情報および市況情報等を送信して情報提供を行う場合の動作の一例を説明する。なお、基本的な動作は、上述の要求情報の送信と同様であるので、シーケンス図による説明は省略する。
情報処理装置100の情報提供部134は、提供情報記憶部122を参照して、白地図を特定する情報と、該白地図上の位置に対応する気象情報とを含む情報を生成する。また、情報提供部134は、提供情報記憶部122を参照して、港ごとの水産物の市況情報等を生成する。情報提供部134は、生成した各情報を送信制御部135に出力する。
送信制御部135は、情報提供部134から各情報が入力されると、タイムテーブル記憶部123を参照して、対応する送信時間帯および送信周波数で移動端末10に送信するように、当該各情報をネットワークNを介して複数の基地局50に送信する。
基地局50−1の通信部51は、ネットワークNを介して情報処理装置100から各情報を受信する。通信部51は、タイムテーブルに従って、各情報を移動端末10が設置された漁船に向けて送信する。すなわち、通信部51は、例えば、第2エリアにいる漁船に対して、タイムテーブルの第2エリア向け情報の割り当て時間に、各情報を第2エリアの移動端末10が設置された漁船に向けて送信する。
漁船に設置された移動端末10の制御部15は、タイムテーブルのうち、第2エリア向け情報の割り当て時間について、予め定められたいずれかの周波数の電波を通信部11を介して受信し、各情報を受信する。制御部15は、受信した各情報を表示操作部14に表示させる。なお、表示操作部14に表示される情報は、例えば、気象情報がプロットされた当該エリアの白地図や、市況情報に基づく水揚げ予定港が表示される。これにより、各海域における気象情報や市況情報を遠洋の漁船に提供することができる。
このように、情報処理システム1は、移動端末10と、複数の基地局50と、情報処理装置100とを有する。情報処理装置100は、移動端末10に対して送信する情報を生成する生成部と、前記複数の基地局50に、生成した情報を送信する送信部とを有する。複数の基地局50は、情報処理装置100から送信された情報を受信すると、情報に対応する短波の周波数帯の無線信号を生成して、移動端末10に生成した無線信号を送信する通信部を有する。移動端末10は、複数の基地局50のうちのいずれかの基地局50から送信された無線信号を受信した場合には、該無線信号から情報を取得する制御部を有する。その結果、船舶に対して情報の到達性を向上できる。
また、情報処理システム1の複数の基地局50のそれぞれの基地局50は、所定の時間差かつ共通の周波数、および、異なる周波数かつ共通の時刻のうち1つ以上の条件で、情報を移動端末10に送信する。その結果、船舶に対する情報の到達性をより向上できる。
また、情報処理システム1の複数の基地局50のそれぞれの基地局50は、共通の短波の周波数の無線信号を送信可能に設定されている。その結果、スキップ現象による不感帯を減少することができる。
また、情報処理システム1の複数の基地局50のそれぞれの基地局50は複数の送信機を備え、共通の周波数が複数設定されている場合に、該複数の送信機のそれぞれは、該複数設定された該共通の短波の周波数のうちのいずれかの周波数の無線信号を送信するように設定されている。その結果、船舶に対する情報の到達性をより向上できる。
また、情報処理システム1の移動端末10は船舶に設置される。その結果、船舶に対して情報を提供できる。
また、情報処理システム1の情報処理装置100は、情報として、移動端末10の識別情報と、識別情報および移動端末10の位置情報を含む管理情報を送信する送信時間帯および送信周波数とを含み、移動端末10に対して管理情報の送信を要求する要求情報を含む情報を生成する。情報処理装置100は、さらに、要求情報を受信した該要求情報に含まれる識別情報と合致する識別情報を有する移動端末10から、要求情報に含まれる送信時間帯および送信周波数で送信された管理情報を受信した複数の基地局50のいずれか1つ以上から送信された管理情報を受信する。その結果、長時間連絡が取れない漁船に対して管理情報を送信するように要求でき、当該漁船から管理情報を受信できる。
また、情報処理システム1の情報は、白地図を特定する情報と、該白地図上の位置に対応する気象情報とを含み、移動端末10は、白地図を記憶した記憶部を参照して、白地図を特定する情報に基づき白地図を特定し、特定した該白地図上に気象情報に基づく図形情報を配置して表示させる制御を行う。その結果、漁船に対して当該漁船のいる海域の気象情報を提供できる。
また、情報処理システム1の情報は、港ごとの水産物の市況情報を含む。その結果、漁船はどの港に漁獲した水産物を水揚げすればよいかを容易に知ることができる。
また、情報処理システム1は、第1のネットワークを用いて、同一の短波の周波数にて無線信号を送信可能に設定された複数の基地局50を含む。情報処理システム1は、第1のネットワークとは異なる第2のネットワークを用いて、複数の基地局50の内の少なくとも一つの基地局50が第1のネットワークを用いて送信する情報を、複数の基地局50に送信する情報処理装置100を含む。その結果、1つ以上の基地局50から情報を送信することができる。
なお、上記実施例では、情報処理装置100から移動端末10が設置された漁船の関係者に、受信情報を送信したが、これに限定されない。例えば、情報処理装置100にWebサーバ機能を付加して、インターネット上のWebページに各漁船の位置情報をプロットした地図を表示させ、漁船の関係者が当該Webページにログインすることで、当該Webページを閲覧させるようにしてもよい。これにより、漁船の関係者は、地図上にプロットされた漁船の位置を見るので、より漁船の位置が把握しやすくなる。さらに、受信情報は、電話、FAX等で漁船の関係者に送信するようにしてもよい。
また、上記実施例では、基地局50の通信部51に接続されるアンテナは、無線機ごとに、それぞれ接続したが、これに限定されない。例えば、多バンド型のアンテナを用いてもよいし、アンテナチューナを用いてもよい。また、船舶から陸上への送信と、陸上から船舶への送信とで、異なる周波数を用いてもよい。これにより、アンテナの設置場所の条件が緩和される。
また、上記実施例では、デジタル変調の一例としてPSK31を挙げたが、これに限定されない。例えば、RTTY(Radioteletype)、パケット通信、SSTV等の短波帯で使用可能な狭帯域のデジタル変調を用いてもよい。これにより、短波帯のうち周波数が高い帯域では、よりデータ量の多い通信を行うことができる。
また、上記実施例では、タイムテーブルとして、同一の時刻には、同一の内容を送信したが、これに限定されない。例えば、送信する情報の順序を変更してもよいし、ある周波数を基地局50からの送信専用とし、他の周波数を移動端末50からの送信専用としてもよい。これにより、例えば、優先通信要求に対する応答をいつでも受信することができる。
また、上記実施例では、情報処理装置100から要求情報を送信するタイミングとして、長時間、例えば、48時間等の間定時連絡がない場合に要求情報を送信したが、これに限定されない。例えば、漁船の乗組員の家族が連絡を求めている場合に、要求情報を送信するようにしてもよい。また、この場合には、要求情報に、連絡の内容等を含め、漁船の移動端末10から送信される管理情報に当該連絡の返答を含めるようにしてもよい。
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、上記の実施例では、端末装置80が基地局50とともに漁業無線協会70に設置された場合を示したが、端末装置80は情報処理装置100と通信可能であれば、基地局50とは異なる場所に設置されてもよい。
さらに、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行されるプログラム上、またはワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよいことは言うまでもない。
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することで実現できる。そこで、以下では、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図6は、情報処理プログラムを実行するコンピュータの一例を示す説明図である。
図6が示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、データ入力を受け付ける入力装置202と、モニタ203とを有する。また、コンピュータ200は、記憶媒体からプログラム等を読み取る媒体読取装置204と、各種装置と接続するためのインタフェース装置205と、他の情報処理装置等と有線または無線により接続するための通信装置206とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM207と、ハードディスク装置208とを有する。また、各装置201〜208は、バス209に接続される。
ハードディスク装置208には、図1に示した受信制御部131、特定部132、要求部133、情報提供部134および送信制御部135の各処理部と同様の機能を有する情報処理プログラムが記憶される。また、ハードディスク装置208には、管理情報記憶部121、提供情報記憶部122、タイムテーブル記憶部123、および、情報処理プログラムを実現するための各種データが記憶される。入力装置202は、例えば、コンピュータ200の管理者から操作情報等の各種情報の入力を受け付ける。モニタ203は、例えば、コンピュータ200の管理者に対して各種画面を表示する。インタフェース装置205は、例えば印刷装置等が接続される。通信装置206は、例えば、図1に示した通信部110と同様の機能を有しネットワークNと接続され、基地局50と管理情報等の各種情報をやりとりする。
CPU201は、ハードディスク装置208に記憶された各プログラムを読み出して、RAM207に展開して実行することで、各種の処理を行う。また、これらのプログラムは、コンピュータ200を図1に示した受信制御部131、特定部132、要求部133、情報提供部134および送信制御部135として機能させることができる。
なお、上記の情報処理プログラムは、必ずしもハードディスク装置208に記憶されている必要はない。例えば、コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体に記憶されたプログラムを、コンピュータ200が読み出して実行するようにしてもよい。コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体は、例えば、CD−ROMやDVDディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ等が対応する。また、公衆回線、インターネット、LAN等に接続された装置にこの情報処理プログラムを記憶させておき、コンピュータ200がこれらから情報処理プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。