JP6245053B2 - パルプシートの製造方法 - Google Patents

パルプシートの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6245053B2
JP6245053B2 JP2014089497A JP2014089497A JP6245053B2 JP 6245053 B2 JP6245053 B2 JP 6245053B2 JP 2014089497 A JP2014089497 A JP 2014089497A JP 2014089497 A JP2014089497 A JP 2014089497A JP 6245053 B2 JP6245053 B2 JP 6245053B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pulp
pulp sheet
water
wire
sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014089497A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015209596A (ja
Inventor
祐治 佐波
祐治 佐波
友朗 佐々木
友朗 佐々木
祥平 眞田
祥平 眞田
木皿 幸紀
幸紀 木皿
洋介 内田
洋介 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Oji Holdings Corp
Original Assignee
Oji Holdings Corp
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Holdings Corp, Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Holdings Corp
Priority to JP2014089497A priority Critical patent/JP6245053B2/ja
Publication of JP2015209596A publication Critical patent/JP2015209596A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6245053B2 publication Critical patent/JP6245053B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Description

本発明は、パルプから効率的に低水分のシートを製造する方法に関する。
パルプ工場で生産されたパルプは、生産調整や外販のため抄紙機でシート状に加工し、パルプシートとして一旦貯蔵される。通常の場合、パルプシートは、省エネの観点からドライヤーパートを具備しない抄紙機で抄紙される。そのため得られたパルプシートは、水分が高く、かび等の微生物が繁殖しやすい状態にあり、微生物が繁殖すると、その製品価値が損なわれる。また、パルプシートを外販する場合には、パルプシートをトラック等の車両で輸送するが、水分が高いため、重量の割に正味のパルプ分が少なくなる。車両の積載量制限の関係から輸送ロスを生じやすく、多大な輸送コストが必要となる。
一方で、パルプシートを、ドライヤーパートを具備した抄紙機で抄紙した場合、乾燥効率を向上させるため、米坪を低く設定する必要がある。しかしながら、通常パルプシートは、パルプ純分を高めるため、使用する紙力剤等の抄紙薬品を必要最低限に抑える必要があり、またパルプに叩解も施されないことが多いため、パルプシートに十分な紙力を持たせることができない。従って、乾燥効率を向上させるため米坪を低く設定すると、紙力不足により、抄紙時の紙切れといった操業トラブルを生じる問題がある。通常、操業トラブルを防止するため米坪を高く設定し、さらに乾燥効率を補うため抄速を下げてパルプシートは生産される。
かび等の微生物の発生を抑制する方法として、抄紙機のプレスパートにおいて、防腐、防かび剤を、二流体スプレーを用いて塗布する方法が開示されている(特許文献1)。この方法を用いれば、かび等の微生物の発生は抑制できるものの、パルプシートの水分が高いため、外販する場合の輸送ロスの問題が解決されず、さらなる改善が求められている。
パルプウェブの効率的な形成、中断時間を減少させる方法として、ウェットパートにおいて、2つの金網を用いて脱水し、脱水された水の流量を制御する装置が開示されている(特許文献2)。しかし、この方法を用いたとしても、操業トラブルを防止するため米坪を高く設定した場合には、後のドライヤーパートにかかる負荷は変わらないため、結局のところ抄速を下げて対応せざるを得なくなり、生産効率を向上させることはできない。このように、操業トラブルを防止するためパルプシートの米坪を高く設定しても、外販する場合の輸送ロスの問題を生じない低水分のパルプシートを効率よく生産する方法は、未だ発明されていない。
特開2009‐275322号公報 特表2002‐530547号公報
本発明は、パルプから、輸送ロスの少ない低水分のシートを効率的に製造することを課題とする。
本発明者らは、パルプから、輸送ロスの少ない低水分のシートを効率的に製造する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
本願発明は以下の発明を包含する。
(1)リグノセルロース物質を含むパルプ原料をワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパートの工程を順に通過させて脱水してパルプシートを製造する方法であって、前記ワイヤーパートにおいて、洗浄水でパルプシートを洗浄することを特徴とするパルプシートの製造方法。
(2)洗浄水が純水、自然水、水道水、工業用水から選択される少なくとも1種類であることを特徴とする(1)に記載のパルプシートの製造方法。
(3)洗浄水の温度が、パルプ原料の温度よりも高いことを特徴とする(1)または(2)に記載のパルプシートの製造方法。
(4)ワイヤーパートで用いるワイヤーとして、ツインワイヤーを用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のパルプシートの製造方法。
(5)前記ワイヤーパートで用いるツインワイヤーのパルプ原料が接触している面とは反対側の面から洗浄水を供給してパルプシートを洗浄することを特徴とする(4)に記載のパルプシートの製造方法。
(6)ドライヤーパートの後に平判状又は巻取状に仕上げるパートを有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のパルプシートの製造方法。
(7)前記平判状又は巻取状に仕上げるパートの後に連続的に製品包装仕上げを行うパートを有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のパルプシートの製造方法。
(8)製品包装仕上げとして、1)巻取形状の製品の包装が連続的にできる装置、および/または、2)平判形状の製品の包装が連続的にできる装置を使用することを特徴とする(1)から(7)のいずれか1項に記載のパルプシートの製造方法。
(9)前記巻取形状の製品の製造装置と、平判形状の製品の製造装置とを、適宜、選択し、切替えて使用することを特徴とする(1)から(8)のいずれか1項に記載のパルプシートの製造方法。
本発明により、パルプ原料をワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパートの工程を順に通過させて脱水してパルプシートを製造する方法で、前記ワイヤーパートにおいて、洗浄水でパルプシートを洗浄することにより、効率的にシートを製造することが可能となった。
本発明で用いられるリグノセルロース物質を含むパルプ原料としては、溶解用パルプ、製紙用パルプのいずれでもよく、例えば、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプ等の化学パルプ、セミケミカルパルプ、機械パルプ、脱墨パルプ等が挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。特に、本発明においては、外販目的で製造される溶解用パルプのパルプシートの製造に好適に使用される。
本発明のパルプ原料には、必要に応じて、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の各種抄紙用内添助剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜添加できる。
調製したパルプ原料の固形分濃度は、特に限定されるものではない。固形分濃度は、通常0.5質量%〜5質量%で調整される。固形分濃度が0.5質量%以下の場合、脱水工程にかかる負荷が増大し好ましくなく、5質量%以上の場合はパルプ原料の流動性が悪化し、パルプシート形成に対して悪影響を及ぼすため好ましくない。
本発明のパルプシートは、調製したパルプ原料をワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパートを順に通過させて脱水して得られる。また、ワイヤーパートにおいては、洗浄水によりパルプシートを洗浄する。
ワイヤーパートの形式としては、特に限定されるものではなく、例えば、長網式、短網式、円網式、ツインワヤー式等が挙げられる。本発明においては、脱水効率の良いツインワイヤー式のワイヤーパートとすることが、パルプシートの効率的な製造につながるため好ましい。
洗浄水の供給方式は特に限定されず、例えば、浸漬、シャワー、一流体スプレー、二流体スプレー等を用いて、洗浄水をパルプシートに直接、あるいはワイヤーを介して間接的に供給することができる。ツインワイヤー式のワイヤーパートを適用する場合は、片側のワイヤーの、パルプ原料が接触している面とは反対側の面から洗浄水をシャワー供給して、パルプシートを洗浄することが好ましい。
洗浄水の温度は特に限定されないが、ワイヤーパートに供給される直前のパルプ原料スラリーの温度よりも高いほうが好ましい。洗浄水の温度は、40℃以上が好ましく、60℃以上がさらに好ましく、80℃以上が特に好ましい。洗浄水の温度を高くすることにより、通常よりも温度が高い状態で、パルプシートをドライヤーパートに入れることができるので、ドライヤーパート序盤でのパルプシートの昇温にかかるエネルギーを節約できる。節約したエネルギーを抄速に転化することで効率的なパルプシートの製造を実現できる。
洗浄水としては、湧水、井戸水等の自然水、蒸留水、RO水、イオン交換水等の純水、水道水、工業用水等を用いることができる。洗浄水は、前記のうちの少なくとも1種類を用いることができ、組み合わせて用いることもできるし、混合して用いることもできる。特に限定されるものではないが、本発明においては、パルプシートの洗浄効果を向上できるため、洗浄水として純水を用いることが好ましい。洗浄水の供給量は、0.35〜2.5L/mが好ましい。洗浄水で洗浄することにより、効率的にパルプに含まれる夾雑物を除去することができる。
プレス型式については特に限定されず、ツインバープレス、トライニッププレス、トライベントプレス、ENP、シュープレス、タンデムシュープレス、ベビープレス、ツインワイヤープレス、ヘビーデューティープレス等を使用することができる。このうちの1種、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。またプレスロールについても特に限定されず、グルーブドロール、サクションロール、プレーンロール等のゴムカバー、樹脂カバー等がなされたロールのなかから、適宜選択、組み合わせて使用される。
プレスパートを通過したパルプシートの水分含量は特に限定されないが、70質量%以下とすることにより、ドライヤーパートにかかる負荷を低減でき、効率的なパルプシートの製造が可能となる。
ドライヤー型式については特に限定されず、シリンダードライヤー、IRドライヤー、熱風式エアドライヤー等を使用することができ、このうちの1種、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ドライヤーパートを通過したパルプシートの水分含量は特に限定されないが、外販のための輸送時の輸送ロスを軽減するために、20質量%以下とすることが好ましく、15質量%以下とすることがさらに好ましい。水分含量の下限については特に限定されないが、5質量%以上とすることが好ましい。水分含量を5質量%未満にするとドライヤー乾燥を増強する必要があるため、省エネの観点から好ましくない。パルプシートの通過速度は、50〜150m/分が好ましい。
パルプシートの米坪は特に限定されないが、400〜1200g/mが好ましく、600〜1000g/mがさらに好ましく、700〜900g/mが特に好ましい。米坪が400g/m未満の場合、パルプシートの製造において、断紙等の操業トラブルが生じる可能性があるため好ましくなく、1200g/mを超える場合は、ドライヤーパートにかかる脱水の負荷が増大するため好ましくない。
ドライヤーパートを通過したパルプシートは、連続的に製品仕上げすることができる。製品仕上げの形状としては、巻取形状および/または平判形状とすることができる(以下、「平判状又は巻取状に仕上げるパート」という)。客先の要望に合わせて、任意の形状に仕上げることができる製造装置を適宜選択し、製造することができる。巻取形状の製品を製造する場合は、パルプシートを一旦リールで巻き取り、巻き取られたパルプシートを、リールと同一ライン上にあるワインダー装置に移動し、スリット、分割して所望の巻取幅、長さに調整して巻取製品とすることもできるし、あるいは、パルプシートをリールで巻き取ることなく直接ワインダー装置に通紙し、巻取製品を調製することもできる。巻取仕上げしたパルプシートは、続けて任意の包装紙で包装されて出荷される(以下、「製品包装仕上げを行うパート」という。)。ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、平判状又は巻取状に仕上げるパート及び、製品包装仕上げするパートを連続的に行うことにより、製品包装までの工程を短縮できるため製造コストを低減することが可能となる。
平判形状の製品を製造する場合は、パルプシートを一旦リールで巻き取り、巻き取られたパルプシートを、リールと同一ライン上にあるカッター装置に移動し、スリット、断裁して所望の寸法に調整して平判製品とすることもできる。また、パルプシートをリールで巻き取ることなく直接カッター装置に通紙し、平判製品を調製することもできる。平判仕上げしたパルプシートは、任意の枚数積み上げられ、続けて任意の包装紙で包装され、ワイヤーでベール包装されて出荷される。なお平判仕上げしたパルプシートは、任意の枚数積み上げた後、体積を減らして出荷輸送時の輸送効率を向上するためプレス処理することもできる。
本発明においては、生産効率を向上させる観点から、ドライヤーパート以降、製品包装までの工程をすべてインラインとすることが好ましい。
<溶解パルプの製造方法>
本発明は、溶解用パルプを原料としたパルプシートの製造に好適に適用されるので、以下に溶解用パルプの製造方法について説明するが、これらの記載に限定されるものではない。
本発明で使用できるリグノセルロース物質は、木材、非木材のいずれでもよいが、生産効率を考慮すると、容積重が高い木材が好適に用いられる。木材の中では、一般に針葉樹よりも広葉樹材の方が容積重が高く、好適であり、さらに広葉樹の中でも容積重が高い一部のユーカリやアカシアが好適に用いられる。該当する広葉樹としては、ユーカリ・グロブラス、ユーカリ・グランディス、ユーカリ・ユーログランディス、ユーカリ・ペリータ、ユーカリ・ブラシアーナ、アカシア・メランシ等を挙げることができ、特に容積重の高いユーカリ・ペリータがよいが、特に限定されるものではない。容積重の値で表現すると、450〜700kg/mのものがよく、さらに好ましくは500〜650kg/mのものである。容積重が450kg/mよりも低い材は、前記のようにパルプの生産効率の面からは不利である。一方、容積重が700kg/mよりも高い材は、前加水分解やアルカリ蒸解時の薬液浸透が不十分と成りやすく、結果としてパルプ品質が低下する可能性があるため、不利である。広葉樹、針葉樹、非木材をそれぞれ単独で使用することもできるし、組み合わせて使用することもできるし、その組み合わせは限定されるものではない。
本発明では、まずリグノセルロース物質を水の存在下で、加温して前加水分解処理を行う。ここで、リグノセルロース物質に対する水の量(液比)は、1.0〜10、好ましくは1.5〜5.0である。液比が1.0より少ない場合には、水が不足して加水分解が十分に進まない上に反応が不均一となるので適さない。10より高い場合には、所望の温度まで加熱するのに要する熱量が多くなり、経済的ではないので適さない。水の添加方法としては、特に限定されるものではなく、外部から水を添加しても良いし、リグノセルロース物質に元々含まれる水を利用しても良いし、加熱時に蒸気を使用する場合には蒸気に含まれる水を利用しても良い。また、水と共にアルカリ、酸、キレート剤等、多糖の加水分解を直接的、間接的に補助する薬品を添加することもできる。本発明の前加水分解の強度はPファクターとして200〜1000であり、温度は140〜200℃、好ましくは160〜170℃で、処理時間は処理温度に対応して決定される。なお、Pファクターは前加水分解時の温度と時間の積であり、式1として表される。
Figure 0006245053
<式1>




Pファクターが200より低い場合には、ヘミセルロースの酸加水分解が十分でなく、その後のアルカリ蒸解を行っても、パルプのセルロース純度を十分に高められないので適さない。Pファクターが1000より高い場合には、セルロースの酸加水分解が進んでしまい、パルプのセルロース純度を十分に高められない上に、パルプ粘度が低くなり、さらにはパルプ収率も低くなるので適さない。前加水分解温度が140℃よりも低い場合には反応時間を10時間以上にする必要があり、巨大な反応容器を準備する必要があることから経済的ではないので適さない。逆に200℃よりも高くすると、場合によっては反応時間を0.1時間以下にする必要があり、反応の制御が困難となる上にそのような熱条件に耐え得る装置の材質は高価になるため、経済的にも適さない。
前加水分解工程で用いる装置は、リグノセルロース物質を含水状態の加圧状態にて所望の時間の間、保持できるものであればよく、特に限定されるものではないが、好適には汎用の連続蒸解釜、バッチ釜、等が用いられる。本発明の前加水分解工程では、反応終了後、脱水あるいは希釈洗浄、脱水して、次のアルカリ蒸解工程に送られる。なお、前加水分解後の排水は、フラッシュタンクに送り、ガス層と液層に分け、ガス層に多く含まれるフルルラール類を抽出して利用し、液層に多く含まれるヘミセルロースの分解物を抽出して利用することが可能である。
本発明のアルカリ蒸解に用いられる装置は、特に限定されるものではないが、好適には汎用の連続蒸解釜、バッチ釜、等が用いられる。アルカリ蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法が好適に用いられる。例えば、木材をクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75%が好ましく、20〜35%がさらに好ましい。有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がさらに好ましい。蒸解温度は140〜170℃で、蒸解白液を分割で添加する蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤として、公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノンおよび前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、或いは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物、さらにはディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた1種或いは2種以上が添加されてもよく、その添加率は木材チップの絶乾質量当たり0.001〜1.0質量%である。
蒸解後のカッパー価は特に限定されるものではないが、パルプ品質やその後の漂白性等を考慮すると、例えば広葉樹を原料とした場合にはカッパー価は6〜18が好ましく、針葉樹を原料とした場合にはカッパー価は20〜35が好ましい。
本発明では、公知のアルカリ蒸解法により得られた未漂パルプは洗浄、粗選および精選工程を経て、公知の漂白法で漂白処理される。好適には、まず酸素脱リグニン法により脱リグニンされる。本発明に使用される酸素脱リグニン法は、中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できるが、パルプ濃度が8〜15質量%で行われる中濃度法が特殊な脱水装置を必要とせず、操業性がよいため好ましい。酸素脱リグニン法に用いるアルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化されたクラフト白液を使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。前記酸素ガスとアルカリは中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに添加され混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素およびアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、脱リグニンされる。酸素ガスの添加率は、絶乾パルプ質量当たり0.5〜3質量%、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、反応温度は80〜120℃、反応時間は15〜100分、パルプ濃度は8〜15質量%であり、この他の条件は公知のものが適用できる。本発明では、酸素脱リグニン工程において、上記酸素脱リグニンを連続して複数回行い、できる限り脱リグニンを進めるのが好ましい実施形態である。酸素脱リグニンを施されたパルプは洗浄段へ送られる。
本発明では、酸素脱リグニン後の洗浄段に限らず、漂白段毎に洗浄段を設けるのが好ましい。洗浄段で使用される洗浄機としては、プレッシャーディフューザー、ディフュージョンウオッシャー、加圧型ドラムウオッシャー、水平長網型ウオッシャー、プレス洗浄機等を挙げることができ、特に限定されるものではない。各洗浄段では、一機の洗浄機でまかなうこともできるし、複数の洗浄機を使用することもできる。本発明においては、各洗浄段の洗浄水にアルカリ、酸、キレート剤、界面活性剤等の洗浄助剤を添加することもできる。また、洗浄排水を前段の洗浄段の洗浄水として再利用する向流洗浄を行なうこともできる。
本発明では、未晒パルプは、好ましくは酸素脱リグニン工程を経て、多段漂白工程へ送られる。本発明の多段漂白工程では、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)といった公知のECF漂白段を組合せて使用でき、各漂白段後には前述の洗浄段を設けることができる。また、多段漂白工程中に、高温酸処理段(A)や酸洗浄段、高温二酸化塩素漂白段、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)やジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段等を導入することもできる。本発明の多段漂白工程では、パルプの白色度が85〜92%ISOになるように、漂白される。白色度は87〜92%ISOが好ましく、89〜92%ISOがさらに好ましい。白色度が85%ISO未満の場合には、その後の酸性下での過酸化物添加処理を行っても白色度が90%ISOに到達せず、溶解パルプとしての品質が低くなるので適さない。白色度が92%ISOよりも高い場合には、多段漂白工程で使用する漂白薬品量が多くなりすぎて経済的ではない上に、場合によっては溶解パルプに余計な官能基が導入され、溶解パルプの品質が低下するので適さない。
本発明では、多段漂白工程後、酸性下で過酸化物添加処理が行われる。本発明の酸性下での過酸化物添加処理は、パルプ濃度は1〜40質量%、好ましくは8〜15質量%の範囲で、pHは1〜5、好ましくは2〜4、温度は30〜95℃、好ましくは50〜90℃で行われる。パルプ濃度が1質量%未満の場合は、pH調整用に添加する酸が多くなりすぎて経済的ではないため適さず、40質量%より高い場合には、パルプと薬品の混合が不十分となり、反応が不均一になるので適さない。pHは、1より低い場合には反応容器が腐食しやすくなり、5より高い場合には灰分除去効果が不十分になるため適さない。反応温度は、30℃より低い場合にはパルプの粘度の低下効果が不十分となり、95℃より高い場合には昇温に多大なエネルギーが必要となり、経済的でないので適さない。
本発明の、酸性下での過酸化物添加処理では、酸性状態にするために酸を添加することができる。酸としては、蟻酸、蓚酸、酢酸等の有機酸、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸のいずれでもよく、特に限定されるものではないが、好適には比較的安価な硫酸、塩酸等が使用される。本発明の酸性下での過酸化物添加処理で使用される過酸化物としては、有機過酸、無機過酸のいずれでもよく、特に限定されるものではないが、好適には比較的安価で、分解後も環境負荷のない過酸化水素が使用される。例えば、過酸化水素の場合、添加率は対パルプ絶乾重量あたり0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜1.0質量%である。添加率が0.01質量%未満の場合には添加効果がほとんど見られず、2質量%以上になると反応が頭打ちとなりコストが上昇するため好ましくない。処理時間は、10分以上、好ましくは30分〜180分であるが、時間については特に限定されない。なお、過酸化物添加によるパルプ粘度の低減効果は、処理対象のセルロース純度が高いために過酸化物とセルロースの反応頻度が高くなり、解重合され易いためであり、灰分低減効果は、例えば鉄のような元素が酸化され、水に溶解し、除去され易くなるためであると考えられる。
前記方法により得られた溶解パルプに含まれる灰分の含有量は、0.2質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がさらに好ましく、0.12質量%以下が特に好ましい。
実施例
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
<溶解クラフトパルプの抄紙>
溶解クラフトパルプを含む懸濁液(以下、「原料」という。)をツインワイヤー抄紙機(ANDRITZ社製)のヘッドボックスからワイヤー上に供給し、ツインワイヤー、ツインワイヤープレス、ヘビーデューティープレス、熱風式エアドライヤーの順に通過させてパルプシートを製造した。溶解クラフトパルプを含む懸濁液がツインワイヤーを通過する時に、温度85℃のイオン交換水を片側のワイヤーの原料と接している面とは反対の面から400L/分(イオン交換水の供給量:1.4L/m)の流量でシャワーを供給し、パルプシートを得た。なお、この時の抄速は100m/分であった。得られたパルプシートの絶乾坪量は、800g/mであった。前記パルプシートの乾燥性を下記の評価基準で評価した。また、パルプシート(絶乾重量当たり)の水分含量を測定した。結果を表1に示す。得られたパルプシートは連続的に平判形状に断裁され、ベール包装された。
<乾燥性の評価>
(評価方法)
熱風式エアドライヤーでの乾燥効率を下記のように官能評価した。
○:乾燥効率が優れ、ドライヤー温度を低く設定することができる
×:乾燥効率が劣り、抄速を低下させる必要がある
(比較例1)
実施例1において、ツインワイヤー通過時に、イオン交換水を供給しなかった以外は、全て実施例1と同じ条件で、パルプシートを得た。
(比較例2)
溶解クラフトパルプを含む懸濁液をツインワイヤー抄紙機(ANDRITZ社製)のヘッドボックスからワイヤー上に供給し、ツインワイヤー、ツインワイヤープレス、ヘビーデューティープレスの順に通過させてパルプシートを製造した。なお、この時の抄速は40m/分であった。実施例1と同様の方法で、パルプシートの水分含量を測定した。結果を表1に示す。得られたパルプシートは連続的に平判形状に断裁され、ベール包装された。
表1
Figure 0006245053
表1に示すように、実施例1の方法は、比較例1及び2の方法と比較し、効率的に水分含量の低いシートが得られた。
本発明により、パルプから生産効率の高い、輸送ロスの少ない低水分のシートの製造が可能となる。

Claims (9)

  1. リグノセルロース物質を含むパルプ原料をワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパートを順に通過させて脱水してパルプシートを製造する方法であって
    記ワイヤーパートにおいて、当該ワイヤーパートに供給される直前の前記パルプ原料の温度よりも高い温度の洗浄水でパルプシートを洗浄するとともに、
    前記ドライヤーパートにおいて、パルプシートの水分含量を20質量%以下とすることを特徴とするパルプシートの製造方法。
  2. 前記洗浄水が純水、自然水、水道水、工業用水から選択される少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1に記載のパルプシートの製造方法。
  3. 前記洗浄水の供給量が、0.35〜2.5L/m であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパルプシートの製造方法。
  4. 前記ワイヤーパートで用いるワイヤーとして、ツインワイヤーを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパルプシートの製造方法。
  5. 前記ワイヤーパートにおいて、前記ツインワイヤーの、前記パルプ原料が接触している面とは反対側の面から前記洗浄水を供給してパルプシートを洗浄することを特徴とする請求項4に記載のパルプシートの製造方法。
  6. 前記ドライヤーパートの後に、前記パルプシートを平判状又は巻取状に仕上げるパートを通過させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパルプシートの製造方法。
  7. 前記平判状又は巻取状に仕上げるパートの後に連続的に製品包装仕上げを行うパートを通過させることを特徴とする請求項に記載のパルプシートの製造方法。
  8. 前記製品包装仕上げを行うパートにおいて、1)巻取形状の製品の包装が連続的にできる装置、および/または、2)平判形状の製品の包装が連続的にできる装置を使用することを特徴とする請求項に記載のパルプシートの製造方法。
  9. 前記平判状又は巻取状に仕上げるパートにおいて、巻取形状の製品の製造装置と、平判形状の製品の製造装置とを、適宜、選択し、切替えて使用することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のパルプシートの製造方法。
JP2014089497A 2014-04-23 2014-04-23 パルプシートの製造方法 Active JP6245053B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014089497A JP6245053B2 (ja) 2014-04-23 2014-04-23 パルプシートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014089497A JP6245053B2 (ja) 2014-04-23 2014-04-23 パルプシートの製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017220455A Division JP6477837B2 (ja) 2017-11-15 2017-11-15 パルプシートの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015209596A JP2015209596A (ja) 2015-11-24
JP6245053B2 true JP6245053B2 (ja) 2017-12-13

Family

ID=54612037

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014089497A Active JP6245053B2 (ja) 2014-04-23 2014-04-23 パルプシートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6245053B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FI117102B (fi) * 1996-05-23 2006-06-15 Metso Paper Inc Menetelmä paperikoneella sen vesikiertojen järjestämiseksi
FI109210B (fi) * 1998-11-24 2002-06-14 Metso Paper Inc Menetelmä ja laite selluloosarainan muodostamiseksi
DE20307055U1 (de) * 2003-05-07 2003-07-17 Schramm Kurt Zellstoffentwässerungsmaschine

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015209596A (ja) 2015-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5953909B2 (ja) 溶解パルプの製造方法
FI59433C (fi) Tryckloest flerstegsfoerfarande foer klorfattig blekning av cellulosa
US7976676B2 (en) Process of bleaching softwood pulps in a D1 or D2 stage in a presence of a weak base
WO2007132836A1 (ja) 漂白パルプの製造方法
JP5487974B2 (ja) 漂白パルプの製造方法
US20150240423A1 (en) Effect of low dose xylanase on pulp in prebleach treatment process
JP6197717B2 (ja) 溶解パルプの製造方法
JP6477837B2 (ja) パルプシートの製造方法
JP6245053B2 (ja) パルプシートの製造方法
JP6656793B2 (ja) パルプシートの製造方法
CA2669032C (en) An improved bleaching process with at least one extraction stage
US20110240238A1 (en) Process of bleaching hardwood pulps in a D1 or D2 stage in a presence of a weak base
JP2019199681A (ja) パルプシートの製造方法
JP5915263B2 (ja) パルプの製造方法
JP6187619B2 (ja) 溶解パルプの製造方法
JP5471050B2 (ja) Tcf漂白方法
JP2011001637A (ja) 漂白パルプの製造方法
JP2011001636A (ja) 漂白パルプの製造方法
JP2012153999A (ja) 漂白パルプの製造方法
JP6398388B2 (ja) 溶解パルプ及びその製造方法
WO2021020251A1 (ja) 漂白パルプの製造方法
JP2022093319A (ja) 溶解パルプシート
FI123093B (fi) Menetelmä sellukuivaimen ajettavuuden parantamiseksi
JPH08260370A (ja) リグノセルロース物質の漂白方法
CN103392039A (zh) 生产用于制造纸制品的半浆的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160620

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170314

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20170413

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170512

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171017

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171030

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6245053

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250