JP6244748B2 - 色素増感型太陽電池用ペースト、酸化物半導体膜、酸化物半導体電極、及び色素増感型太陽電池 - Google Patents
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Description
しかし、酸化物半導体粒子として、微小なナノ粒子を用いると、ナノ粒子同士が接触する点が増えるため、多孔質半導体膜の電気抵抗が増加して電子の輸送効率が低下する。その結果、光電変換効率を低下させるという問題があった。また、微粒子化するに伴い多孔質空間が小さくなることにより、電解質移動性が低下する問題があった。また、焼結時の収縮による割れが起こりやすくなり、成膜性が低下したり結果、光電変換効率を低下させるという問題があった。
[1]比表面積が55m2/g以上70m2/g以下である酸化物半導体粒子と、前記酸化物半導体粒子の比表面積を維持して分散させる分散媒とを含有する色素増感型太陽電池用ペースト。
[2]前記酸化物半導体粒子は、平均長軸長が20nm以上200nm以下であり、長軸と短軸の比から算出される平均アスペクト比が2以上10以下の範囲であるロッド状粒子、及び平均粒子径が1nm以上20nm以下である微粒子である、[1]に記載の色素増感型太陽電池用ペースト。
[3]前記酸化物半導体粒子が酸化チタンである、[1]または[2]に記載の色素増感型太陽電池用ペースト。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の色素増感型太陽電池用ペーストを、透明導電性基板に焼成してなる酸化物半導体膜。
[5][4]に記載の酸化物半導体膜に色素を吸着させてなる、酸化物半導体電極。
[6][5]に記載の酸化物半導体電極を備えている、色素増感型太陽電池。
本実施形態に係る色素増感型太陽電池用ペーストは、比表面積が55m2/g以上70m2/g以下である酸化物半導体粒子と、酸化物半導体粒子の比表面積を維持して分散させる分散媒とを含有してなる。
本実施形態における酸化物半導体粒子の比表面積は、窒素吸着によるBET多点法を用いて測定した値である。
例えば、酸化物半導体粒子は、球状ではなく、かつ粒子表面に凹凸を有するような粒子を用いてもよい。平均長軸長が20nm以上200nm以下であり、長軸と短軸の比から算出される平均アスペクト比が2以上10以下の範囲であるロッド状粒子、及び平均粒子径が1nm以上20nm以下である微粒子を、25:75〜75:25、好ましくは40:60〜60:40、より好ましくは50:50の質量比の範囲内で混合して用いてもよい。
酸化物半導体粒子としては、単金属酸化物又はペロブスカイト構造を有する化合物を使用することができる。単金属酸化物として、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、及びタンタル等の酸化物が挙げられる。ペロブスカイト構造を有する化合物として、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、及びニオブ酸カリウム等が挙げられる。
湿式合成法としては、チタンアルコキシド及びチタン金属塩等のチタン原料を加水分解して得た前駆体を水熱条件下で酸化物へ結晶化させる方法を採用することができる。また、他の湿式合成法としては、チタン原料を水単独、又は水並びにアルコール等の溶媒、及び酸塩基触媒の共存下で、加水分解して重合するゾルゲル法を採用することができる。
これらのような合成法を用いることにより、後述するロッド状粒子や微粒子も作製することができる。
例えば、ロッド状の酸化チタン粒子の製造方法は、特開2007−70136号公報や、特開2008−201655号公報等に詳述されている。
また、酸化チタン微粒子の製造方法は、特開2007−176753号公報等に詳述されている。
平均長軸長と平均アスペクト比が上記範囲内であることにより、光の散乱が抑制されて酸化物半導体粒子による光吸収が効率的になされ、かつ、粒子が適度な長さを有することにより良好な電子伝導性が得られる。
ロッド状粒子の平均アスペクト比は、例えば、100個以上のロッド状粒子、好ましくは500個以上のロッド状粒子それぞれの長軸長と短軸長を測定することにより、個々のロッド状粒子のアスペクト比(長軸/短軸)を求め、これらのアスペクト比の平均値を算出することで求められる。
微粒子の粒子径とは、粒子の短径(粒子内における最小長さ)と長径(粒子内における最大長さ)を測定した平均粒子径をいう。微粒子の平均粒子径は、複数個の微粒子それぞれの粒子径、例えば、100個以上の微粒子、好ましくは500個以上の微粒子それぞれの粒子径を測定し、平均値を算出することで求められる。
微粒子の形状は特に限定されないが、比表面積が大きくなる形状が好ましく、表面に凹凸等を有していることが好ましい。
本実施形態に係る色素増感型太陽電池用ペーストは、上記酸化物半導体微粒子を分散させてペーストにするための分散媒を含む。
本実施形態に係る分散媒は、酸化物半導体粒子を分散させることができれば特に限定されないが、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール等のジオール類、及びターピネオール等の高沸点有機溶媒を用いることが好ましい。
本実施形態に係る色素増感型太陽電池ペーストは、粘度や膜厚を調整するためのエチルセルロース等のセルロース系樹脂及びアクリル系樹脂等が含有されていてもよい。
レベリング剤としては、水、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びグリセリン等が挙げられる。
キレート化剤としては、アセチルアセトン、ベンジルアセトン、酢酸等が挙げられる。
界面活性剤としては、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
増粘剤としては、セルロース系の増粘剤が挙げられる。
本実施形態に係る色素増感型太陽電池用ペーストは、上記の酸化物半導体粒子、分散媒、及びその他含有物等を適宜混合することにより得られる。
本実施形態に係る酸化物半導体膜は、本実施形態に係る色素増感型太陽電池用ペーストを透明導電性基材上で焼成し、形成されてなる。
酸化物半導体膜の厚さは、色素が吸着するのに十分な膜の表面積を得る観点から、1μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以上50μm以下、さらに好ましくは5μm以上30μm以下である。
尚、酸化物半導体膜は、複数層であってもよい。
透明導電性基材としては、特に制限はないが、一般的には、ガラス基板等の透明基板と、その透明基板上に形成される酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、及びアルミニウムドープ酸化亜鉛等を設けた基材が用いられる。透明導電性基材は、さらに、表面に酸化スズ又はフッ素ドープ酸化スズの被膜を設けた光透過性の透明導電膜を構成した基材であってもよい。
本実施形態に係る酸化物半導体電極は、本実施形態に係る酸化物半導体膜に色素を吸着させてなる。
酸化物半導体膜に吸着させる色素としては、例えば、金属錯体系色素、有機色素等を用いることができる。金属錯体系色素としては、金属フタロシアニン、クロロフィル、ヘミン等やルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛を1以上含有する錯体等の金属錯塩が挙げられる。なかでも、ルテニウム金属錯体を好ましく用いることができ、その中でもルテニウムビピリジン錯体、ルテニウムターピリジン錯体が好ましい。一方、有機色素としては、クマリン誘導体系色素、ポリエン系色素、メロシアニン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、スチリル系色素、キサンテン系色素等などが挙げられる。なかでも、クマリン誘導体系色素を好ましく用いることができる。
本実施形態に係る酸化物半導体電極は、本実施形態に係る酸化物半導体膜が積層した基板ごと、上記の色素を溶解した色素溶液に浸漬させることによって、酸化物半導体膜に色素を吸着させることで得られる。
本実施形態に係る色素増感型太陽電池は、本実施形態に係る酸化物半導体電極に対して対向電極を配置してセルを構成し、その内部に側枠部材を介して電解質を封入してなる。
図1に示す色素増感型太陽電池10は、透明電極11と対向電極12とを対向配置してセルを構成し、その内部に側枠部材15を介して電解質14を封入したものである。透明電極11は導電性ガラスからなり、アノード電極を構成する。対向電極12は導電性ガラスからなり、カソード電極を構成する。透明電極11上には、色素が吸着された酸化物半導体電極13が設けられている。酸化物半導体電極13は、例えば酸化物半導体微粒子13A,13Bを溶剤と混合し、それを透明電極11上に塗布、焼成することによって酸化物半導体膜を形成した後、色素を吸着させたものである。
なお、液体状の電解質14を用いる場合は、酸化物半導体電極13と対向電極12との間に隔壁を設け、このようにして形成された空間内に電解質14を注入するようにする。
<酸化チタン粉末の混合>
水熱合成法で作製した、アナターゼ単相で平均長軸長が90nmであり、平均アスペクト比が3.6であって、比表面積が50m2/gのロッド状酸化チタン粒子と、水熱合成法で作製した、アナターゼ単相で平均粒径が20nmで比表面積が75m2/gの酸化チタン微粒子を、同質量となるように混合した。
この混合粉末は、比表面積計(BelsorpII、日本ベル社製)を用いて窒素吸着によるBET多点法で測定した結果、比表面積は65m2/gであった。
得られた混合粉末と、粘度及び膜厚調整に用いるエチルセルロースと、分散媒としてのターピネオールを混合し、実施例1の酸化物半導体粒子含有ペーストを調製した。
この酸化物半導体粒子含有ペーストの組成比は、酸化チタンが26質量%、ターピネオール66質量%、エチルセルロース8質量%であった。
得られた酸化物半導体粒子含有ペーストを透明導電性基板上に、焼成膜厚が7μmとなるようにスクリーン印刷した。次いで、この膜上に、同じ酸化物半導体粒子含有ペーストをスクリーン印刷で焼成膜厚が8μmとなるように積層し、焼成することによって、実施例1の酸化物半導体膜を作製した。
得られた酸化物半導体膜を0.3mMのRu金属色素(Black Dye色素、ダイソル社製)溶液中に24時間浸漬させて、実施例1の酸化物半導体電極を得た。
アセトニトリルに、支持電解質として1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムのヨウ素塩を0.6M、ヨウ化リチウムを0.1M、ヨウ素を0.05M、ターシャリーブチルピリジンを0.5Mとなるように混合して、電解液を作製した。
ソーラーシミュレーター(山下電装社製)を用いて、本実施例の色素増感太陽電池セルに、擬似太陽光を照射し、電流電圧測定装置(山下電装社製)にてI−V特性を測定することによって光電変換効率を求めた。その結果を表1に示す。
実施例1の酸化物半導体粒子含有ペーストを用いて、スクリーン印刷法により、焼成膜厚がそれぞれ7μm及び10μmとなるように、塗膜を形成した。
次いでこの膜を500℃で焼成し、その外観を目視で観察した。その結果を表2に示す。いずれの膜厚においても、割れ等は観察されず、成膜性は良好であった。
実施例1の酸化物半導体粒子含有ペーストの作製において、混合粉末の替わりに、アナターゼ単相で平均粒径が22nmで比表面積が65m2/gの酸化チタン微粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、酸化物半導体粒子含有ペースト、酸化物半導体膜、酸化物半導体電極、及び色素増感型太陽電池を得た。
実施例1と同様に測定した光電変換効率の結果を表1に示す。
実施例1の酸化物半導体粒子含有ペーストの作製において、混合粉末の替わりに、アナターゼ単相で平均長軸長が90nmであり、平均アスペクト比が3.6であって、比表面積が50m2/gのロッド状酸化チタン粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、酸化物半導体粒子含有ペースト、酸化物半導体膜、酸化物半導体電極、及び色素増感型太陽電池を得た。
実施例1と同様に測定した光電変換効率の結果を表1に示す。
11…透明電極
12…対向電極
13…酸化物半導体電極
14…電解質
15…側枠部材
Claims (6)
- 酸化物半導体粒子全体としての比表面積が55m2/g以上70m2/g以下である酸化物半導体粒子と、前記酸化物半導体粒子の比表面積を維持して分散させる分散媒とを含有し、
前記酸化物半導体粒子は、平均長軸長が20nm以上100nm以下であり、長軸と短軸の比から算出される平均アスペクト比が2以上10以下の範囲であり、アナターゼ単相であるロッド状粒子、及び平均粒子径が1nm以上20nm以下である微粒子を混合したものである、色素増感型太陽電池用ペースト。 - 前記酸化物半導体粒子は、前記ロッド状粒子と前記微粒子との質量比が25:75〜75:25である請求項1に記載の色素増感型太陽電池用ペースト。
- 前記酸化物半導体粒子が酸化チタンである、請求項1又は2に記載の色素増感型太陽電池用ペースト。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池用ペーストを、透明導電性基板上で焼成し、形成されてなる酸化物半導体膜。
- 請求項4に記載の酸化物半導体膜に色素を吸着させてなる、酸化物半導体電極。
- 請求項5に記載の酸化物半導体電極を備えている、色素増感型太陽電池。
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