JP6243641B2 - ガラス構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はガラス構造体の製造方法に関する。
ガラス部材同士を接合する方法として、加熱して溶着させる方法が知られている。
特許文献1には、複数本の光ファイバの束にガラスパイプを被せたものを加熱して溶着させた後、その端面を研磨して平滑化した光ファイババンドルが開示されている。
特開2008−511871号公報
本発明の課題は、ガラス構造体の生産性を高めることである。
本発明のガラス構造体の製造方法は、光ファイバにガラスパイプを、それらが接するように被せ、前記光ファイバ及び前記ガラスパイプの側方からレーザ光を照射して前記光ファイバ及び前記ガラスパイプを切断すると共に溶着させるガラス構造体の製造方法であって、前記レーザ光の照射を、前記ガラスパイプ上に集光スポットが位置すると共に、前記レーザ光の周縁光線の方向が、前記光ファイバ及び前記ガラスパイプの軸方向に垂直な方向となるように行い、前記光ファイバ及び前記ガラスパイプの切断後もレーザ光の照射を所定時間継続するものである。
本発明によれば、光ファイバ及びガラスパイプにレーザ光を照射してそれらを切断すると共に溶着させるので、光ファイバ及びガラスパイプを溶着させたガラス構造体を高い生産性で製造することができる。
実施形態1に係る光ファイバ構造体の製造方法で用いる光ファイバ心線の斜視図である。 実施形態1に係る光ファイバ構造体の製造方法で用いるガラスパイプの斜視図である。 (a)〜(c)は、実施形態1に係る光ファイバ構造体の製造方法の説明図である。 (a)はレーザ光の第1の照射方法の説明図であり、(b)はレーザ光の第2の説明図であり、及び(c)はレーザ光の第3の照射方法のそれぞれの説明図の説明図である。 光ファイバ及びガラスパイプへのレーザ光の照射状態を示す図である。 (a)は、実施形態1の製造方法で得られる光ファイバ構造体の斜視図であり、(b)は、図6(a)におけるVI-VI断面図である。 実施形態2に係る光ファイバ構造体の製造方法で用いる光ファイバ心線の斜視図である。 実施形態2に係る光ファイバ構造体の製造方法で用いる別の光ファイバ心線の斜視図である。 (a)は、実施形態2の製造方法で得られる光ファイバ構造体の斜視図であり、(b)は、図9(a)におけるIX-IX断面図である。 実施形態2の製造方法で得られる光ファイバ構造体の先端部の部分縦断面図である。 (a)〜(c)は、実施形態3に係る光ファイババンドルの製造方法の説明図である。 (a)は、実施形態3の製造方法で得られる光ファイババンドルの斜視図であり、(b)は、図11(a)におけるXI-XI断面図である。 実施形態3の製造方法で得られる別の光ファイババンドルの端面の正面図である。
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
実施形態1として、図1〜6に基づいて、光ファイバ11(第1ガラス部材)の先端部にガラスパイプ20(第2ガラス部材)を被せて溶着させた光ファイバ構造体30(ガラス構造体)の製造方法を説明する。
図1は光ファイバ心線10を示す。
光ファイバ心線10は、光ファイバ11とそれを被覆する被覆層12とを有する。光ファイバ心線10の外径は例えば0.2〜3mmである。
光ファイバ11は、相対的に高屈折率なコア111とそれを被覆する相対的に低屈折率のクラッド112とを有する。光ファイバ11は、コア111が純粋石英で形成されていると共に、クラッド112が屈折率を低下させるドーパント(例えばフッ素等)がドープされた石英で形成されたものであってもよい。光ファイバ11は、コア111が屈折率を上昇させるドーパント(例えばゲルマニウム等)がドープされた石英で形成されていると共に、クラッド112が純粋石英又は屈折率を低下させるドーパントがドープされた石英で形成されたものであってもよい。光ファイバ11は、いわゆるシングルモードファイバであっても、また、マルチモードファイバであっても、どちらでもよい。光ファイバ11の外径は例えば50〜2000μmである。コア111の直径は例えば5〜1500μmである。
被覆層12は、例えば、ナイロン樹脂や紫外線硬化型樹脂で形成されている。被覆層12の厚さは例えば50〜500μmである。
図2はガラスパイプ20を示す。
ガラスパイプ20は、円筒孔21が形成された円筒状に形成されている。ガラスパイプ20の長さは例えば10〜100mm、外径は例えば0.2〜5mm、内径は、光ファイバ11のサイズにもよるが、例えば60〜2100μmである。なお、ガラスパイプ20は、筒状であれば、外形形状及び孔形状が円形以外であってもよい。
ガラスパイプ20は、純粋石英で形成されていても、また、各種のドーパントがドープされた石英で形成されていても、どちらでもよい。ガラスパイプ20は、単一の組成のガラスで形成された構成であっても、また、同心円状に設けられた複数の層を備え、それらが異なる組成のガラスで形成された構成であっても、どちらでもよい。
実施形態1に係る光ファイバ構造体30の製造方法では、図3(a)に示すように、光ファイバ心線10の先端部の被覆層12を所定長だけ剥がして光ファイバ11を露出させ、その露出した光ファイバ11にガラスパイプ20を被せる。このとき、光ファイバ11及びガラスパイプ20は、相互に近接乃至接触した状態で配置される。これらの切断予定部において、光ファイバ11及びガラスパイプ20間のクリアランスは、最大でも100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。また、切断予定部では、光ファイバ11及びガラスパイプ20間の接触部分が存在することが好ましい。
そして、図3(b)に示すように、光ファイバ11に被せたガラスパイプ20の側方、従って、それらが重なりを有する方向からレーザ光Lを照射する。このとき、レーザ光Lが照射された集光スポットでは、レーザ光Lを吸収して温度が急激に上昇し、光ファイバ11及びガラスパイプ20が局所的に溶融し、その結果、図3(c)に示すように、光ファイバ11及びガラスパイプ20は切断されると共に溶着し、光ファイバ11とガラスパイプ20とが接合された光ファイバ構造体30が構成される。
ここで、レーザ光Lの照射に用いるレーザ装置40は、レーザ光源41と、このレーザ光源41から発されるレーザ光Lの光路に順に設けられたシャッター42、エキスパンダ43、及び集光レンズ44とを備える。
レーザ光源41としては、例えば、COレーザ、YAGレーザ、HFレーザ、COレーザ等が挙げられる。石英に高吸収であるという観点からは、レーザ光Lの波長は5〜11μmであることが好ましい。また、石英を溶融させるという観点からは、レーザ光Lの出力は5〜100Wであることが好ましい。これらの観点から、レーザ光源41としては、波長が10.6μmのレーザを発するCOレーザがより好ましい。
シャッター42は、レーザ光源41からのレーザ光Lの照射時間を調節する。エキスパンダ43は、シャッター42を透過したレーザ光Lを平行に広げる。集光レンズ44は、エキスパンダ43を透過したレーザ光Lを被照射物である光ファイバ11及びガラスパイプ20に集光する。
ワーク保持装置50は、光ファイバ心線10を保持することにより、光ファイバ11及びガラスパイプ20を、集光レンズ44によって集光されたレーザ光Lの光路上の加工位置に位置付ける。ワーク保持装置50は、レーザ光Lによる光ファイバ11及びガラスパイプ20の切断部分が、切断後に形成されたそれらの新しい端面に接触するのを阻止する観点から、光ファイバ11及びガラスパイプ20の切断部分が、それらの新しい端面に接触せずに落下するように構成されていることが好ましい。具体的には、ワーク保持装置50は、図3(b)及び(c)に示すように、光ファイバ11及びガラスパイプ20を、それらの先端を下方に垂下させて加工位置に位置付けるように構成されていることが好ましい。なお、ワーク保持装置50は、光ファイバ11及びガラスパイプ20を、それらの先端を水平方向乃至斜め下方に延びて加工位置に位置付けるように構成されていてもよい。
ワーク保持装置50は、レーザ光Lの照射方向によらずに光ファイバ11及びガラスパイプ20を均一に切断する観点から、光ファイバ11及びガラスパイプ20を軸回転、従って、光ファイバ11及びガラスパイプ20が重なりを有さない方向を軸として回転させるように構成されていることが好ましい。
レーザ光Lの照射方法は、第1の照射方法として、図4(a)に示すように、光ファイバ11及びガラスパイプ20を静止させ、それらを横切るように水平方向にレーザ光Lの照射位置を移動させてもよい。レーザ光Lの照射位置を移動は往復運動であってもよい。レーザ光Lの照射位置の移動速度は例えば0.01〜1mm/秒である。
第2の照射方法として、図4(b)に示すように、光ファイバ11及びガラスパイプ20を軸回転させ、それらの中心にレーザ光Lの照射位置を固定してもよい。光ファイバ11及びガラスパイプ20の回転速度は、ガラスパイプ20の外径にもよるが、例えば50〜500rpmである。ガラスパイプ20の外径が大きいほど高速回転にすることが好ましい。このように、光ファイバ11及びガラスパイプ20を軸回転させながらレーザ光Lを照射することにより、レーザ光Lの照射方向によらずに、それらを均一に切断することができる。なお、ガラスパイプ20の外径が125μm以下であれば、光ファイバ11及びガラスパイプ20を軸回転させずに、それらの中心にレーザ光Lの照射位置を固定しても、それらを均一に切断することができる。
第3の照射方法として、第1及び第2の照射方法を組み合わせ、図4(c)に示すように、光ファイバ11及びガラスパイプ20を軸回転させると共に、それらを横切るように水平方向にレーザ光Lの照射位置を移動させてもよい。
これらの第1〜第3の照射方法のうち端面を平坦化及び平滑化させる観点からは第3の照射方向が好ましいが、第1及び第2の照射方法でも十分に平坦化及び平滑化された端面を得ることができる。
レーザ光Lの照射方向は、その光軸Lの方向が光ファイバ11及びガラスパイプ20が重なりを有する方向であれば特に限定されるものではない。但し、レーザ光Lの周縁光線Lは光軸Lに対して傾斜しているため、光軸Lの方向が光ファイバ11及びガラスパイプ20の軸方向に対して垂直であると、光ファイバ11及びガラスパイプ20の端面が、それらの軸方向に対して傾斜した面に形成される虞がある。かかる事態を回避する観点からは、図5に示すように、光ファイバ11及びガラスパイプ20に、レーザ光Lを、その周縁光線Lの方向が、光ファイバ11及びガラスパイプ20の軸方向、従って、それらが重なりを有さない方向に垂直となるように照射することが好ましい。つまり、レーザ光Lの照射方向は、レーザ光Lの周縁光線Lの方向が、光ファイバ11及びガラスパイプ20の軸方向に垂直となる方向であることが好ましい。この場合、レーザ光Lの光軸Lは、光ファイバ11及びガラスパイプ20の軸方向に対して先端側に傾斜することとなるが、その傾斜角度θは、周縁光線Lの光軸Lに対する傾斜角度θと同じであり、例えば2〜15°である。
レーザ光Lが照射されるガラスパイプ20上におけるレーザ光Lのビーム径は、ガラスパイプ20の外径に応じて設定すればよく、例えば50〜500μmである。このレーザ光Lのビーム径は、ガラスパイプ20の外径よりも小さいことが好ましい。具体的には、レーザ光Lのビーム径は、ガラスパイプ20の外径の例えば1/10〜1/2であることが好ましく、1/5以下であることがより好ましい。なお、ガラスパイプ20の外径が100μm以下の場合には、レーザ光Lのビーム径がガラスパイプ20の外径とほぼ等しくしてもよい。
光ファイバ11及びガラスパイプ20が切断されるまでのレーザ光Lの照射時間は、ガラスパイプ20の外径にもよるが、例えば0.1〜5秒である。切断した光ファイバ11及びガラスパイプ20の端面を平坦化及び平滑化させる観点からは、それらの切断後もレーザ光Lの照射を所定時間継続することが好ましい。この切断後のレーザ光Lの照射時間は、ガラスパイプ20の外径にもよるが、例えば1〜20秒である。
従来、光ファイバの先端部にガラスパイプを被せて接合した光ファイバ構造体を形成する場合、光ファイバの先端部にガラスパイプを被せた後、それらを接着又は加熱して溶着させ、そして、それらを切断して新しい端面を形成し、その端面を湿式機械研磨するという複数の工程が必要であり、そのために数十分乃至数時間の加工時間を必要とした。しかしながら、実施形態1に係る光ファイバ構造体30の製造方法によれば、光ファイバ11及びガラスパイプ20にレーザ光Lを照射してそれらを切断すると共に溶着させ、しかも、切断後もレーザ光Lの照射を継続することにより、研磨によらずに、切断して形成された新しい端面をレーザ光Lの照射により平坦化及び平滑化するので、切断、接合、並びに端面の平坦化及び平滑化をレーザ光Lの照射のみで全て行うことができ、その結果、光ファイバ構造体30を高い生産性で製造することができる。また、端面をレーザ光Lの照射により平坦化及び平滑化するので、非常に小さな表面粗さを実現することができる。さらに、端面の研磨を行わないので、端面に研磨剤が残留することもない。従って、ハイパワー伝送用途への適用に有利なように、入射端面の高い損傷閾値を得ることができる。
図6(a)及び(b)は、実施形態1の製造方法で得られる光ファイバ構造体30を示す。
実施形態1の製造方法で得られる光ファイバ構造体30は、光ファイバ心線10の先端部の被覆層12が剥がされて突出した光ファイバ11にガラスパイプ20が被せられ、そして、光ファイバ11及びガラスパイプ20が、それらの先端部に溶融一体化層31を形成し、その厚さの50〜100μmの幅で接合されて面一状の平坦化及び平滑化された端面を形成した構成を有する。
光ファイバ及びガラスパイプを火炎や放電により光ファイバ及びガラスパイプを接合した従来の光ファイバ構造体では、光ファイバ及びガラスパイプのある程度の長さの部分が加熱により溶融して溶着するため、接合部分の幅が150〜500μmと比較的大きく、そして、接合部分では、光ファイバが変形して、その光学特性が劣化することとなる。しかしながら、実施形態1の製造方法で得られる光ファイバ構造体30では、光ファイバ11及びガラスパイプ20におけるレーザ光Lが照射された部分において、短時間に温度が急激に上昇して局所的に溶融して切断されると共に溶着することにより先端部に溶融一体化層31が形成され、その溶融一体化層31の厚さに相当する接合部分の幅が50〜100μmと非常に小さく、そのため光ファイバ11の光学特性が劣化することは殆どない。この接合部分の幅は、光ファイバ11及びガラスパイプ20の接合強度の観点から、50μm以上であることが好ましく、また、光ファイバ11の光学特性が劣化するのを抑制する観点から、150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
(実施形態2)
実施形態2として、図7〜10に基づいて、細孔113を有する光ファイバ11(第1ガラス部材)の先端部にガラスパイプ20(第2ガラス部材)を被せて溶着させた光ファイバ構造体30(ガラス構造体)の製造方法を説明する。なお、実施形態1と同一名称の部分は実施形態1と同一符号で示す。
図7は光ファイバ心線10を示す。
光ファイバ心線10は、光ファイバ11とそれを被覆する被覆層12とを有する。光ファイバ心線10の外径は例えば0.1〜3mmである。
光ファイバ11は、ファイバ中心を囲うように配設された複数の細孔113が長さ方向に延びるように形成され、それらの細孔113で囲われた領域がコア111及び細孔113の外側の領域がクラッド112にそれぞれ構成されたフォトニック結晶ファイバである。光ファイバ11は、純粋石英で形成されていても、また、屈折率を上昇又は低下させるドーパントがドープされた石英で形成されていても、どちらでもよい。光ファイバ11の外径は例えば50〜2000μmである。コア111の直径は例えば5〜1500μmである。細孔113の内径は例えば2〜70μmである。細孔113の数は例えば6〜120個である(図7では12個)。
なお、光ファイバ11は、図8に示すように、細孔113で囲われた領域において中心にコア111及びその外側に第1クラッド112aがそれぞれ構成され、さらに細孔113の外側の領域が第2クラッド112bに構成されたダブルクラッド光ファイバであってもよい。
被覆層12は、例えば、ナイロン樹脂や紫外線硬化型樹脂で形成されている。被覆層12の厚さは例えば50〜500μmである。
実施形態2に係る光ファイバ構造体30の製造方法では、実施形態1で用いたのと同様のガラスパイプ20を用いることができ、また、実施形態1と同様の方法のレーザ光Lの照射により光ファイバ11及びガラスパイプ20を切断すると共に溶着させ、しかも、切断後もレーザ光Lの照射を継続することにより、研磨によらずに、切断して形成された新しい端面をレーザ光Lの照射により平坦化及び平滑化し、このとき、端面において複数の細孔113のそれぞれを封止する。
図9(a)及び(b)は、実施形態2の製造方法で得られる光ファイバ構造体30を示す。
実施形態2の製造方法で得られる光ファイバ構造体30は、光ファイバ心線10の先端部の被覆層12が剥がされて突出した光ファイバ11にガラスパイプ20が被せられ、そして、光ファイバ11及びガラスパイプ20が、それらの先端部に溶融一体化層31を形成し、その厚さの50〜100μmの幅で接合されて面一状の平坦化及び平滑化された端面を形成し、さらに、平坦化及び平滑化した端面においては、複数の細孔113のそれぞれが封止された構成を有する。このように細孔113が封止されているので、細孔113への汚染物質の侵入を防止することができる。
各細孔113には、図10に示すように、孔径が先端側の溶融一体化層31に向かって漸次縮小して先細り状に形成された縮径部分113aが形成されている。縮径部分113aの厚さが厚いと結合損失が大きくなることから、この縮径部分113aの厚さは小さいことが好ましい。これに対し、実施形態2に係る光ファイバ構造体30の製造方法では、レーザ光Lの照射により細孔113の封止を行うので、縮径部分113aの厚さを小さくすることができ、従って、結合損失が大きくなるのを抑えることができる。この縮径部分113aの厚さは例えば50μm以下であることが好ましい。また、溶融一体化層31の厚さが大きくなると開口数(NA)が低くなるが、実施形態2に係る光ファイバ構造体30の製造方法では、レーザ光Lの照射により細孔113の封止を行うので、溶融一体化層31の厚さも小さくすることができ、従って、開口数(NA)が低くなるのを抑えることができる。
その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
(実施形態3)
実施形態3として、図11〜13に基づいて、複数本の光ファイバ11(第1ガラス部材)の束の両先端部のそれぞれにガラスパイプ20(第2ガラス部材)を被せて溶着させた光ファイババンドル60(ガラス構造体)の製造方法を説明する。なお、実施形態1と同一名称の部分は実施形態1と同一符号で示す。
実施形態3に係る光ファイババンドル60の製造方法では、実施形態1で用いたのと同様の光ファイバ心線10を用いることができる。ガラスパイプ20については、実施形態1で用いたのと同様の形態のものを用いることができるが、そのサイズは実施形態1のものよりも大きい。具体的には、ガラスパイプ20の長さは例えば10〜100mm、外径は例えば0.5〜5mm、内径は、光ファイバ11のサイズ及び本数にもよるが、例えば300〜4500μmである。また、実施形態3に係る光ファイババンドル60の製造方法では、実施形態1で用いたのと同様のレーザ装置40及びワーク保持装置50を用いることができる。
実施形態3に係る光ファイババンドル60の製造方法では、図11(a)に示すように、複数本の光ファイバ心線10の両先端部のそれぞれの被覆層12を所定長だけ剥がして光ファイバ11を露出させ、それらの露出した光ファイバ11を最密状に束ね、それにガラスパイプ20を被せる。また、光ファイバ11の束には、空隙を埋めるように充填材としてガラスロッド70を設けてもよい。このとき、光ファイバ11の束の外周部に配置された光ファイバ11及びガラスパイプ20、光ファイバ11の束の外周部に配置されたガラスロッド70及びガラスパイプ20、光ファイバ11及びガラスロッド70、並びに隣接する光ファイバ11は、相互に近接乃至接触した状態で配置される。これらの切断予定部において、光ファイバ11、ガラスロッド70、及びガラスパイプ20間のクリアランスは、最大でも100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。また、切断予定部では、光ファイバ11、ガラスロッド70、及びガラスパイプ20間の接触部分が存在することが好ましい。
そして、図11(b)に示すように、光ファイバ11の束に被せたガラスパイプ20の側方、従って、それらが重なりを有する方向からレーザ光Lを照射する。このとき、レーザ光Lが照射された集光スポットでは、レーザ光Lを吸収して温度が急激に上昇し、光ファイバ11、ガラスロッド70、及びガラスパイプ20が局所的に溶融し、その結果、図11(c)に示すように、光ファイバ11、ガラスロッド70、及びガラスパイプ20は切断されると共に溶着し、光ファイバ11、ガラスロッド70、及びガラスパイプ20が接合された光ファイババンドル60が構成される。
従来、光ファイバの束の先端部にガラスパイプ20を被せて接合した光ファイババンドル60を形成する場合、光ファイバの束の先端部にガラスパイプ20を被せた後、それらを接着又は加熱して溶着させ、そして、それらを切断して新しい端面を形成し、その端面を湿式機械研磨するという複数の工程が必要であり、そのために数十分乃至数時間の加工時間を必要とした。しかしながら、実施形態3に係る光ファイババンドル60の製造方法によれば、光ファイバ11、ガラスロッド70、及びガラスパイプ20にレーザ光Lを照射してそれらを切断すると共に溶着させ、しかも、切断後もレーザ光Lの照射を継続することにより、研磨によらずに、切断して形成された新しい端面をレーザ光Lの照射により平坦化及び平滑化するので、切断、接合、並びに端面の平坦化及び平滑化をレーザ光Lの照射のみで全て行うことができ、その結果、光ファイババンドル60を高い生産性で製造することができる。また、端面をレーザ光Lの照射により平坦化及び平滑化するので、非常に小さな表面粗さを実現することができる。さらに、端面の研磨を行わないので、端面に研磨剤が残留することもない。従って、ハイパワー伝送用途への適用に有利なように、入射端面の高い損傷閾値を得ることができる。
図12(a)及び(b)は、実施形態3の製造方法で得られる光ファイババンドル60を示す。
実施形態3の製造方法で得られる光ファイババンドル60は、複数本の光ファイバ心線10の両先端部のそれぞれの被覆層12が剥がされて突出した光ファイバ11の束にガラスロッド70を含めたものにガラスパイプ20が被せられ、そして、光ファイバ11、ガラスロッド70、及びガラスパイプ20が、それらの先端部に溶融一体化層61を形成し、その厚さの50〜100μmの幅で接合されて面一状の平坦化及び平滑化された端面を形成した構成を有する。
なお、光ファイババンドル60は、図13に示すように、端面に空隙80を有していてもよい。
また、実施形態3に係る光ファイババンドル60の製造方法は、光ファイバ11の束の一方の先端部だけに加工を施すようにすることにより光コンバイナの製造に応用することができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態1〜3では、光ファイバ11又は光ファイバ11の束にガラスパイプ20を被せたものにレーザ光Lを照射して切断すると共に光ファイバ11とガラスパイプ20とを溶着させる構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、同一構成の第1及び第2ガラス部材にレーザ光を照射して切断すると共に溶着させる構成であってもよく、例えば、光ファイバの束にレーザ光を照射して切断すると共に光ファイバを相互に溶着させる構成であってもよく、また、一対のガラス板にレーザ光を照射して切断すると共にそれらを溶着させる構成であってもよい。
本発明は、ガラス構造体の製造方法について有用である。
10 光ファイバ心線
11 光ファイバ(第1ガラス部材)
111 コア
112 クラッド
112a 第1クラッド
112b 第2クラッド
113 細孔
113a 縮径部分
12 被覆層
20 ガラスパイプ(第2ガラス部材)
21 円筒孔
30 光ファイバ構造体
31,61 溶融一体化層
40 レーザ装置
41 レーザ光源
42 シャッター
43 エキスパンダ
44 集光レンズ
50 ワーク保持装置
60 光ファイババンドル
70 ガラスロッド
80 空隙
L レーザ光
周縁光線
光軸

Claims (4)

  1. 光ファイバにガラスパイプを、それらが接するように被せ、前記光ファイバ及び前記ガラスパイプの側方からレーザ光を照射して前記光ファイバ及び前記ガラスパイプを切断すると共に溶着させるガラス構造体の製造方法であって、
    前記レーザ光の照射を、前記ガラスパイプ上に集光スポットが位置すると共に、前記レーザ光の周縁光線の方向が、前記光ファイバ及び前記ガラスパイプの軸方向に垂直な方向となるように行い、
    前記光ファイバ及び前記ガラスパイプの切断後もレーザ光の照射を所定時間継続するガラス構造体の製造方法。
  2. 請求項1に記載されたガラス構造体の製造方法において、
    前記レーザ光の照射時に、前記光ファイバ及び前記ガラスパイプを軸回転させるガラス構造体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載されたガラス構造体の製造方法において、
    前記光ファイバ及び前記ガラスパイプの切断後もレーザ光の照射を1〜20秒継続するガラス構造体の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載されたガラス構造体の製造方法において、
    前記周縁光線の前記レーザ光の光軸に対する傾斜角度が2〜15°であるガラス構造体の製造方法。
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