JP6242874B2 - パッケージ - Google Patents

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Description

本発明は、形状安定コイル状コラーゲンキャリアを格納するためのパッケージに関する。形状安定コイル状コラーゲンキャリアは、コラーゲン層と、トロンビンおよびフィブリノゲンを含むコーティング層とを備え、長手軸周りにコラーゲンキャリアが多重巻きされ、当該コーティング層が各外側巻部の外面を構成するように少なくとも1つの外側巻部が配向した細長要素の形状を有する。このパッケージは、コイル状コラーゲンキャリアの少なくとも一部が含まれた区画を有するコンテナ部を備えているのが好ましい。この区画は、コンテナ部の上面に設けられた開口を有する。また、このコンテナ部は、上記開口の周縁に位置する少なくとも1つの空洞を備え、当該空洞が、上記区画および上面へと開口しているのが好ましい。
発明の背景
観血的手術においては、医療用スポンジを用いて局所出血を止める(止血する)。これらは、血液、その他の体液、または生理食塩水と接触することで、スポンジを組織表面に接着させる凝血塊を形成するように反応して、数分で止血に至る。医療用スポンジは、EP2052746に開示のセルローススポンジ等、以下に規定するコラーゲンキャリア等のスポンジである。
コラーゲンは、何十年にもわたり、止血剤として利用されてきた。TachoSil(登録商標)という商標の下、コラーゲンのキャリアとしての利点に対して、フィブリン接着剤の止血特性を組み合わせた製品が開発・製造されている。TachoSil(登録商標)は、フィブリン接着剤の活性成分であるヒトフィブリノゲンおよびヒトトロンビンを被覆した既製のコラーゲンキャリアである。この製品については、WO02/058749、WO02/070594、およびWO02/058750に記載されている。
TachoSil(登録商標)は、コラーゲンスポンジ表面上の乾燥コーティングとして、フィブリノゲンおよびトロンビンを含有する。このコーティングの各成分は、たとえば血液、リンパ液等の体液、または生理食塩水と接触して分解されるとともに、一部が創面中に拡散する。その後、フィブリノゲンとトロンビン間の反応によって、生理学的な血液凝固の最終段階が始まる。フィブリノゲンはフィブリンモノマーに変換され、自然に重合してフィブリン凝血塊となり、コラーゲンスポンジをしっかりと創面に保持する。
TachoSil(登録商標)は、2004年からNycomedが販売しており、観血的手術において、止血および封止に利用されている。通常、従来の観血的手術においては、皮膚を長く切開する必要がある。
観血的手術とは対照的に、低侵襲手技は、同じ目的の観血的手術よりも侵襲の少ない任意の(外科的またはその他の)手法である。低侵襲手術(MIS:Minimally Invasive Surgery)の手技は、たとえば短切開等の1または複数のアクセス開口(鍵穴手術)または元々ある身体開口を通して行う。そこで、MIS手技においては、これらのアクセス開口を通して配置される特別設計の手術器具が必要となる。腹部手術の場合、これら器具のアクセスは通常、標準的な内径が5〜12mmの剛体管として一般的ないわゆるトロカールを介して行う。MISに用いるアクセス開口のサイズが小さいと、開口に挿入可能な対象が制限される。このため、MIS手技に用いるすべての手術用具および材料は、アクセス開口を通して挿入可能なサイズおよび状態とする必要があり、当然のことながら、すべての医療用具と同様に、無菌化する必要がある。そこで、ほとんどの場合、用具および材料は、MIS用に特別設計する。
WO97/21383(Nycomed Arzneimittel GmbH)は、適用部材を備えた手術器具を開示している。この適用部材は、棒状部を備えており、たとえばTachoComb(登録商標)(被覆ウマコラーゲンスポンジ/Nycomed)等の1枚の手術材料を丸めることによって、当該適用部材の棒状部上に手術材料のカーペット状ロールを形成可能となっている。ただし、コラーゲンキャリア等の手巻き手術材料に用いるこの手動器具には、以下に記述する通り、いくつかの欠点がある。WO02/058749は、TachoComb(登録商標)の内視鏡装置への非無菌挿入を開示しており、サンプルを手動で平板化することによって、案内用「ピン」周りに手動で巻き付けられるようにする。WO02/058749は、コラーゲン製品が「乾燥状態で曲げたり丸めたりするのに十分な柔軟性を保つ必要がある」ことを教示している(29頁の19〜20行)。したがって、WO02/058749は、TachoComb(登録商標)の手動(すなわち、手巻き)非無菌巻き取りにのみ関し、この巻き取りプロセスが「乾燥」している必要があることをさらに教示している。適用部材または案内用ピンを用いてコラーゲンキャリアを手巻きする上記方法に関しては、(たとえば、1つのコラーゲンキャリアでは完全な止血に不十分であるか、または最初のコラーゲンキャリアの適用に誤りがあるため)複数のロール状/コイル状コラーゲンキャリアを相次いで適用する必要がある場合に、重大な問題が発生する。この場合は、同じ適用部材を用いて2番目のコラーゲンキャリアを適用することができない。その代りに、複数の適用部材を用意しておく必要がある。これは、TachoComb(登録商標)製品等のコラーゲンを用いた製品を正しく適用するのに、コラーゲンキャリアの付着性が作動しないように、適用部材を完全に乾燥させた状態とする必要があるためである。コラーゲンキャリアは、濡れた適用部材または案内用ピンとの接触により途中で濡れてしまうと、適用部材/案内用ピンへの貼り付きおよび/または使用不能な粘着性の材料塊化が発生することになる。コラーゲンを用いた手術用シートを丸める別の方法においては、タバコを丸めるのと同様に外科医が手を動かす。ただし、この場合を含む上記すべての手巻きの場合には、ロール状の手術用製品が形状安定ではないため、体内への挿入後に、制御された態様で操作するのはより困難である。形状安定ではない製品は、展開プロセス時に非制御状態で「勢いよく開く」ことにより、誤って付着する場合がある。これは、MIS手術の場合の特定の問題であって、製品がいったん身体に入ると、手術用シートには、内視鏡手術器具を介して間接的にのみアクセス可能なため、操作がより困難である。コラーゲンを用いたロール状手術用製品が形状安定ではないことの影響を低減する方法として、ロール状製品を縫合糸とともに固定することが挙げられるが、この手段は、コイル状キャリアが生体内で展開されておらず、コイル状態で患者内に保持されている場合(たとえば、腎部分切除術の手技)にのみ関連する。
本発明によれば、コイル状コラーゲンキャリア、特に形状安定コイル状コラーゲンキャリアの生産は可能となっているため、そのようなコイル状コラーゲンキャリアを格納する必要がある。パッケージとして適した手段を提供する際に考慮すべき課題として、コイル状コラーゲンキャリアは、パッケージから容易に取り出し可能であることと、たとえばコーティングが剥がれ落ちないように、少なくともある程度まではやや脆弱な要素であることとが挙げられる。
発明の概要
本発明の目的は、コイル状コラーゲンキャリアのパッケージを提供することにある。
第1の態様において、本発明は、形状安定コイル状コラーゲンキャリアを格納するためのパッケージであって、コラーゲン層と、トロンビンおよびフィブリノゲンを含むコーティング層とを備え、長手軸周りに当該コラーゲンキャリアが多重巻きされ、コーティング層が各外側巻部の外面を構成するように少なくとも1つの外側巻部が配向した細長要素の形状を有する形状安定コイル状コラーゲンキャリアを格納するパッケージにおいて、
コイル状コラーゲンキャリアの少なくとも一部が含まれた区画を有するコンテナ部であって、当該区画が当該コンテナ部の上面に設けられた開口を有する、コンテナ部と、
開口の周縁に位置する少なくとも1つの空洞であって、上記区画および上面へと開口した、空洞と、
を備えたパッケージに関する。
好適な実施形態において、本発明は、形状安定コイル状コラーゲンキャリアを格納するためのパッケージであって、当該パッケージが形状安定コイル状コラーゲンキャリアを含み、当該形状安定コイル状コラーゲンキャリアが、コラーゲン層と、トロンビンおよびフィブリノゲンを含むコーティング層とを備え、長手軸周りに当該コラーゲンキャリアが多重巻きされ、コーティング層が各外側巻部の外面を構成するように少なくとも1つの外側巻部が配向した細長要素の形状を有する、パッケージにおいて、
コイル状コラーゲンキャリアの少なくとも一部が含まれた区画を有するコンテナ部であって、当該区画が当該コンテナ部の上面に設けられた開口を有する、コンテナ部と、
開口の周縁に位置する少なくとも1つの空洞であって、上記区画および上面へと開口した、空洞と、
を備えたパッケージに関する。
上記開口は、大略矩形状であって、当該開口の長さおよび幅が、コイル状コラーゲンキャリアの長さおよび直径よりもそれぞれ大きいのが好ましい。
好適な実施形態において、空洞は、上記開口の短辺のうちの一方に位置する。この代替または組み合わせとして、空洞は、上記開口の長辺のうちの一方に位置する。
上記空洞は、上記開口の周縁の外部における上記上面の位置から上記区画の底部に向かって、当該区画の高さの少なくとも半分ほどの位置等まで延びた壁部を備え、当該空洞の壁部が傾斜または湾曲して延びているのが好ましい。
本発明の好適な実施形態において、このパッケージは、当該パッケージの上記開口を覆うカバーを備えていてもよい。このようなカバーは、好ましくは指の使用等により手動で取り外し可能なようにコンテナ部に取り付けられていてもよい。また、カバーは、好ましくは入熱溶接または接着によって、コンテナ部の上面に取り付けられていてもよい。
カバーは、好ましくは上記開口および空洞を取り囲むコンテナ部の外周縁に沿って当該コンテナ部に取り付けられていてもよい。
カバーは、好ましくはコンテナ部に取り付けられていないプルタブを有していてもよい。
カバーは、好ましくは気体および/または液体透過性であってもよい。また、カバーは、好ましくは医療用高密度ポリエチレン封止カバーホイルで構成されていてもよい。
好適な実施形態において、コンテナ部は、上記区画および空洞が凹部として形成されたシート状であってもよい。
コンテナ部は、好ましくは熱可塑性プラスチック等の1または複数のプラスチック、好ましくはたとえばPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、およびPET(ポリエチレンテレフタレート)から選択される熱可塑性ポリエステル、好ましくはPETで構成可能である。
この代替または組み合わせとして、コンテナ部の材料は、PVCおよび/もしくはX線検出可能なプラスチック、ポリウレタン、またはアルミホイル等のナイロン被覆(ポリウレタン添加)および/もしくは柔軟ホイルで構成可能である。手術用プラスチックは、たとえば手術用ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、および手術用シリコンゴム材料等、適当な防水材の好適な一群である。
コンテナ部は、好ましくは射出成形、ブロー成形、真空成形、または回転成形等により熱成形されていてもよい。
多くの好適な実施形態において、コンテナ部の上面は水平であってもよく、また、上記区画は直方体状であってもよい。これにより、当該区画は、水平な底部と、2つの垂直な側壁と、上記空洞が配置された場合に上記上面から当該区画の底部まで延びる垂直な端壁とを有する。
上記底部と上記側壁および端壁との交差部は、好ましくはそれぞれ丸みを帯びていてもよい。
上記空洞は、好ましくは上記上面の水平高さから上記区画の底部に向かって、当該区画の高さの少なくとも半分ほどの位置等まで延びていてもよい。
本発明に係るパッケージの好適な実施形態は、コイル状コラーゲンキャリアを含むコンテナ部およびカバーが内部に配置された第2のコンテナをさらに備えていてもよい。当該第2のコンテナは、好ましくは液密材料で構成され、閉じると液密になるものであってもよい。
本発明に係るパッケージは、第2のコンテナの内部かつコイル状コラーゲンキャリアを含むコンテナ部およびカバーの外部に配置された乾燥剤をさらに備えていてもよい。
第2のコンテナは、好ましくはコイル状コラーゲンキャリアを含むコンテナ部、カバー、および乾燥剤が内部に配置されたポーチの形態であってもよい。当該ポーチは、破るか引っ張って開けられるのが好ましい。
第2のコンテナは、アルミニウム、プラスチック被覆金属等を含むホイルまたはそれらから成るホイルで構成されているのが好ましい。
本発明に係るパッケージは、上記区画の底部の外面の下方または同じ高さにおける共通水平面内に分布した一連の支持点または支持面を規定する1または複数の支持要素をさらに備えていてもよい。このような支持点または支持面は、好ましくは当該底部の外部に分布していてもよい。
支持要素は、好ましくはコンテナ部における凹部として形成された下方突出要素であってもよい。したがって、当該凹部は、好適な実施形態によれば、本発明に係るパッケージにおいて空のままとされる空洞を提供してもよい。すなわち、これらの空洞には、要素が配置されない。
好適な実施形態において、上記支持点または支持面は外接矩形に含まれ、当該外接矩形の角部が、当該支持点または各面の角部によって規定され、当該外接矩形の幾何学的中心と上記区画の底部の外面の幾何学的中心とが一致していてもよい。
定義
本発明を詳述するのに先立って、まず、以下の用語および慣例を定義する。
本文脈において、用語「コラーゲンキャリア」は、コラーゲン層および/またはコーティング層を備えたコーティング層またはそれらから成るコーティング層を有し得るコラーゲンを含んだ任意の適当なキャリアである。一実施形態において、コラーゲンキャリアは、ロール状またはコイル状にすることができる(本明細書においては、「ロール状」および「コイル状」という表記を区別なく使用する)。別の実施形態において、コラーゲンキャリアは、コイリングの後に展開または非コイル状態とすることができる。すなわち、展開または非コイル状コラーゲンキャリアとすることができる(本明細書においては、「展開」および「非コイル」という用語を区別なく使用する)。一実施形態において、本発明のコイル状コラーゲンキャリアは、圧縮したコイル状コラーゲンキャリアであってもよい。また、別の実施形態においては、圧縮したコイル状コラーゲンキャリアを展開したものであってもよい。コラーゲンキャリアは、I型繊維性コラーゲンおよびコーティングを含むコラーゲンスポンジまたは本質的にそれらから成るコラーゲンスポンジであることが好ましい。
キャリアの材料は、哺乳類、遺伝子移植、または遺伝子組み換え由来のI型コラーゲン材料を含むコラーゲンスポンジであるのが好ましいが、たとえば、I型、II型、III型、IV型、VII型、および/またはX型コラーゲンのうちの1または複数等、別の種類のコラーゲンを含むことも可能である。コラーゲンスポンジ等のコラーゲンキャリアは、ヒト凝固因子であるフィブリノゲンおよびトロンビンと、任意選択としてリボフラビン(コラーゲンキャリアの活性面を識別するのに役立つ黄色着色剤)とによって被覆されているのが好ましい。このように、本発明の一実施形態において、コラーゲンキャリアは、本質的にI型繊維性コラーゲンと、フィブリノゲン、トロンビン、およびリボフラビンのコーティングとから成るコラーゲンスポンジである。フィブリノゲンおよびトロンビンは、たとえばヒトフィブリノゲンおよびトロンビンが可能であり、天然物から精製可能である。あるいは、たとえば遺伝子移植または遺伝子組み換えによるヒトフィブリノゲンおよびトロンビンも可能であるし、たとえば化学合成等の他の方法により製造することも可能である。フィブリノゲンおよびトロンビンは、固体または準固体であるのが好ましく、一実施形態においては、ヒト由来とすることもできる。別の実施形態においては、フィブリノゲンおよびトロンビンの少なくとも一方、より好ましくは両方の成分がヒトアミノ酸配列を有しているのが好ましく、遺伝子組み換え技術、封入体、または化学合成によって生成可能である。一実施形態において、トロンビンおよびフィブリノゲンは乾燥しており、たとえば5%未満の水分、たとえば4%未満の水分、たとえば3%未満の水分、たとえば2%未満の水分、たとえば1%未満の水分、たとえば0.8%未満の水分、たとえば0.6%未満の水分、たとえば0.4%未満の水分、たとえば0.2%未満の水分、たとえば0.1%未満の水分を含む。
本発明の一実施形態において、コラーゲンキャリアは、(i)コラーゲン層と、(ii)フィブリノゲンおよび任意選択としてリボフラビン等の着色剤を含むコーティング層とを備えるか、またはそれらから成る。一実施形態において、コラーゲンキャリアは、止血を行うことができるその他のペプチド等、その他のペプチドをさらに含んでいてもよい。
本発明の一実施形態において、コラーゲンスポンジ、コラーゲンフリース、コラーゲンパッチ、または単純にフリース、パッチという表現は、コラーゲンキャリアを意味する同意語として用いられる用語である。キャリアは、コラーゲンの代わりに、生分解性共重合体またはポリヒアルロン酸、ポリヒドロキシ酸、たとえば乳酸、グリコール酸、ヒドロキシブタン酸、セルロース、もしくはゼラチン等の重合体を含んでいてもよい。別の代替キャリアとしては、ポリグラクチン910すなわち90%グリコリド(C)および10%ラクチド(C)の合成吸収性共重合体、たとえば分子式(Cおよび(Cが挙げられる。さらに別の代替キャリアとしては、たとえば腱から抽出された天然ウマコラーゲン等のウマコラーゲンが挙げられる。
このように、本発明の一実施形態において、コラーゲンキャリアのコラーゲンの部分は、本明細書に記載のコラーゲンキャリアの場合と同様に被覆された非コラーゲンマトリクスに置き換え可能である。すなわち、本発明の一実施形態においては、フィブリノゲンおよびトロンビンを含むコーティングまたはそれらから成るコーティングで被覆された非コラーゲンマトリクスを含むキャリアまたはそれから成るキャリアが提供される。適当な非コラーゲンマトリクスの一例としては、セルロース繊維が挙げられる。本発明の一実施形態において、非コラーゲンマトリクスは、不織ポリグラクチン910フェルトに取り付けられた酸化再生セルロース繊維シートである。
ただし、好ましくは医療用スポンジに適した形状を有するコラーゲンキャリアであるのが好ましい。本発明の一実施形態において、本発明のコイリングプロセスを経るコラーゲンキャリアは、WO02/058749、WO02/070594、およびWO02/058750等に記載のNycomedから調達可能なTachoSil(登録商標)またはTachoComb(登録商標)と同一である。
WO02/070594に開示の発明に従った方法により生成されるコラーゲンスポンジを得るには、好適なコラーゲン層を使用するのが好ましい。本発明において使用するコラーゲン層は、以下の基準のうちの少なくとも1つ、たとえば少なくとも2つまたは少なくとも3つを満足するのが好ましい。
・5.0〜6.0のpH値
・最大5%の乳酸含有量
・最大0.5%のアンモニウム含有量
・アルブミン含有量として計算した場合に最大0.5%の可溶性タンパク質含有量
・最大1.0%の硫酸塩灰分含有量
・最大20ppmの重金属含有量
・最大103CFU/gの微生物学的純度
・75%〜100%のコラーゲン含有量
・1〜10mg/cmの密度(たとえば、2〜7mg/cm
・5〜100N/cmの弾性率(たとえば、10〜50N/cm
そして、スポンジの一部を分離する場合は、スポンジが以下の特性を有することになる。
・5〜100N/cmの弾性率
・1〜10mg/cmの密度
・0.75mmより大きくかつ4mmより小さな小室直径(または、最大3mmの小室直径平均)
なお、コラーゲンキャリアの密度は、コーティング層を除いたコラーゲンキャリアの密度である。
コラーゲン層は、少なくとも以下を満足するのが好ましい。
・5.0〜6.0のpH値
・最大5%の乳酸含有量
・最大0.5%のアンモニウム含有量
・アルブミン含有量として計算した場合に最大0.5%の可溶性タンパク質含有量
・最大1.0%の硫酸塩灰分含有量
・最大20ppmの重金属含有量
・最大103CFU/gの微生物学的純度
・75%〜100%のコラーゲン含有量
・1〜10mg/cmの密度(たとえば、2〜7mg/cm
さらに、コラーゲンスポンジをいったん創傷に適用すると空気も液体も通さなくなるという意味において、コラーゲン層は、気密かつ液密である。この層は、液体を吸収する。この効果は主に、繊維構造を有する既知のコラーゲンスポンジとは異なり、積み重ねられた小室がコラーゲン材料の壁により分離され、実質的に全体が囲まれた3次元構造をコラーゲン層が有するという事実によって実現されている。
本文脈において、用語「小室直径」は、小室における最大直線壁間距離すなわち小室の最大対角直線距離として解釈すべきである。小室は、八角形等の多角形状であってもよい。したがって、キャリアを切断すると、小室は分割・切断されて空洞になる。
コラーゲンスポンジは、小室直径を0.75mmより大きくかつ4mmより小さくするか、または小室直径平均を最大3mmにすると、フィブリン接着剤調合液の被覆において特に有用となることが分かっている。キャリアを切断すると、小室は分割・切断されて空洞になる。好ましくは固体のフィブリノゲンおよび好ましくは固体のトロンビンがコラーゲン層に固定され、その大部分が空洞内に存在するため、上記好ましくは固体のトロンビンおよび好ましくは固体のフィブリノゲンは実質的に均等な分布となる。このことと固定されていることとにより、トロンビンおよびフィブリノゲンの液体成分がたとえば材料上に液滴または噴霧されている場合とは対照的に、大量のフィブリノゲンおよびトロンビンをキャリア上に導入可能である。
各被覆コラーゲンキャリアおよび非被覆コラーゲン層は、「細孔径分布」の目視検査を行う。4mmより幅広で、2mmより深い細孔は不合格である。これらのサイズは、必要に応じて定規で測定する。
コーティング層をコラーゲン層に固定することによって、機械的相互作用すなわちコラーゲンキャリアの細孔表面上およびコーティング層中への一体化によりコーティング層を付着させるのが好ましい。
本発明の好適な一実施形態において、コーティング層におけるフィブリノゲンおよびトロンビンの平方センチメートル当たりの量は、以下が可能である。
・トロンビン 1.3〜2.7IU/cmおよび/または
・フィブリノゲン 3.6〜7.4mg/cm
一実施形態において、上述のフィブリノゲンおよびトロンビンの平方センチメートル当たりの量は、WO02/058749、WO02/070594、およびWO02/058750等に記載のNycomedから調達可能なTachoSil(登録商標)またはTachoComb(登録商標)と同一である。
固体トロンビンおよび固体フィブリノゲンを実質的に均等に分布させることによって、コラーゲン層全体にわたりコーティング層を実質的に均等に分布させる。これにより、コーティング層の厚さの局所的な変化は、SEM断面によって視覚的に観測される。すなわち、コーティング層は、表面上に位置していてもよいし、場合によっては、開口セルの低位置にあってもよい。また、コーティング層上には、貫通する亀裂(裂け目)が存在しないものとする。
一実施形態において、本発明に係るコラーゲンキャリアのサイズは、92〜98mm×46〜50mm×4〜7mmであってもよい。このキャリアは、大型コラーゲンキャリアと称し、すべての面が平坦な矩形断面の箱型の形状を有する。したがって、最大矩形断面の面積は、およそ42.3〜49.0cmである。別の実施形態において、本発明に係る中型コラーゲンキャリアは、46〜49mm×46〜50mm×4〜7mmであって、四分円断面の正方形箱型の形状を有する。したがって、四分円断面の面積は、およそ21.2〜24.5cmである。本発明に係る中型コラーゲンキャリアが好ましい。さらに別の実施形態において、本発明に係る小型コラーゲンキャリアは、28〜33mm×23〜27mm×4〜7mmであって、すべての面が平坦な矩形断面の箱型の形状を有する。したがって、最大矩形断面の面積は、およそ6.4〜8.9cmである。
本発明の一実施形態において、コラーゲンキャリアは、5〜100N/cmの弾性率、1〜10mg/cmの密度、0.75mmより大きくかつ4mmより小さな小室直径および/または3mm未満の小室直径平均、ならびに当該コラーゲンキャリアに固定された均等分布の固体フィブリノゲンおよび固体トロンビンという物理的特性のうちの少なくとも1つ、たとえば上記物理的特性のうちの少なくとも2つ、たとえば上記物理的特性のうちの少なくとも3つ、たとえば上記物理的特性のうちの少なくとも4つを有する。なお、コラーゲンキャリアの密度は、コーティング層を除いたコラーゲンキャリアの密度である。
用語「機械的に」は、完全自動プロセス等の少なくとも半自動的なプロセスによって本発明のロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア等の医療用スポンジを生産、取得、または提供する任意の非手動方法を表すものである。
また、「機械的に安定」は、「形状安定」を表すものである。
「形状安定コイル状コラーゲンキャリア」等として用いられる「形状安定」は、構成要素ではない制約要素または阻害要素によって固定されることなく幾何学的形状を保持するコイル状コラーゲンキャリアを表すのに用いるのが好ましい。たとえば、形状安定コイル状コラーゲンキャリアは、その幾何学的形状を保持していてもよい。コーティング層および/またはコラーゲン層には、コイル状コラーゲンキャリアを歪める(たとえば、非コイル状にする)作用の張力がないためである。形状安定の別の特性として、コイル状コラーゲンキャリアは、弾性変形するとともに、その弾性変形による張力の解放によって弾性変形前の形状に戻ってもよい。また、形状安定コイル状コラーゲンキャリアは、さらに別の特性として、コイル形状に硬化させるのが好ましい。
たとえば「固体フィブリノゲンおよび固体トロンビン」等として用いられる「固体」は、当業者が一般的に固体状態の材料を表すように使用する。「準固体」は、対象材料のわずかな部分(たとえば5%未満、たとえば3%未満、好ましくは1%未満、たとえば0.5%未満)が固体状態と異なる状態である場合に用いるのが好ましい。あるいは、「準固体」は、対象材料がたとえば5%未満または1%未満の液体を含む場合を表すのに用いるのが好ましい。
用語「手動」は、医療用スポンジ等または本発明のロール状および/もしくは圧縮コラーゲンキャリア等のキャリアを生産、取得、または提供する任意の手動方法を表すものである。したがって、「手動」は、少なくとも1つの人間の手で生産方法の少なくとも1つのステップ(たとえば、巻き取りステップおよび/または圧縮ステップ)を実行する任意の方法、たとえば「ピン」の周りに手でコラーゲンフリースを巻き取る方法または手力でコラーゲンフリースを圧縮する方法、たとえば1または複数の人間の手を用いてフリースを直接圧縮する方法を表す。ただし、本発明の好適な一実施形態において、少なくとも巻き取りステップおよび/または圧縮ステップは、手動で実行しない。すなわち、人間の手を使って実行しない。したがって、本発明の好適な一実施形態においては、物体(たとえば、ピン)の周りに手でコラーゲンフリースを巻き取ることおよび/または少なくとも1つの人間の手を用いてコラーゲンフリースを圧縮することはしない。
用語「巻き取り」は、手動、機械、またはそれらの組み合わせによって物体を巻き取る任意周知のプロセスを表す。
たとえば「コラーゲンキャリアのコイリング」等として用いられる「コイリング」は、コラーゲンキャリアを巻いて、好ましくは螺旋状断面を有した要素にするプロセスを表すのに用いるのが好ましい。コイル状コラーゲンキャリアは、S字状のコアを有していてもよい。
たとえば、ロール状コラーゲンキャリアは、最大12mm、たとえば最大11mm、たとえば最大10mm、たとえば最大8mm、たとえば最大6mm、たとえば最大4mmの直径を有し、任意選択として、10−6の無菌性保証レベル(SAL:Sterility Assurance Level)を有することができる。
用語「ロール状圧縮コラーゲンキャリア」は、当該コラーゲンキャリアに固定された均等分布の固体フィブリノゲンおよび固体トロンビンを含むコーティングであって、以下の物理的特性のうちの少なくとも1つを有するコーティングという物理的特性を特徴としたロール状圧縮コラーゲンキャリアを表す。
I.最大10mmの直径
II.10−6の無菌性保証レベル(SAL)
したがって、本発明の利点として、内視鏡装置への挿入等、低侵襲手術においてロール状圧縮コラーゲンキャリアをすぐに利用できる。
用語「機械的ロール状圧縮コラーゲンキャリア」は、機械的に圧縮した後に機械的に巻き取ったコラーゲンキャリアにおいて、当該機械的ロール状圧縮コラーゲンキャリアに固定された均等分布の固体フィブリノゲンおよび固体トロンビンを含むコーティングであって、以下の物理的特性のうちの少なくとも1つを有するコーティングという物理的特性を特徴としたコラーゲンキャリアを表す。
I.最大10mmの直径
II.10−6の無菌性保証レベル(SAL)
用語「増湿または加湿」は、少なくとも1つの溶媒でコラーゲンキャリアの少なくとも一部、好ましくは生物活性物質を含むコーティングで被覆された少なくとも1つの面を有するキャリアの少なくとも1つの面を増湿/保湿するプロセスを表す。キャリアの2つ以上の面が生物活性物質を含むコーティングで被覆されている場合、この用語は、たとえばコラーゲンキャリアの少なくとも2つの面、たとえば少なくとも3つの面、たとえば少なくとも4つの面、たとえば少なくとも5つの面、たとえばすべての面の増湿を含んでいてもよい。増湿する面は、コーティングを含む面であるのが好ましいが、コーティングを含まない面であってもよい。
たとえば「コラーゲンキャリアの少なくとも一部の増湿」等として用いられる「増湿」は、液体物質をコラーゲンキャリアに適用するステップを表すのに用いるのも好ましい。
したがって、用語「増湿コラーゲンキャリア」は、少なくとも1つの溶媒に対して、好ましくは当該コラーゲンキャリアの少なくとも1つの面、たとえば少なくとも2つの面、たとえば少なくとも3つの面、たとえば少なくとも4つの面、たとえば少なくとも5つの面、たとえばすべての面が曝されることによって得られたコラーゲンキャリアを表す。
本発明の一実施形態において、増湿コラーゲンキャリアは、当該コラーゲンキャリアに固定された均等分布の固体フィブリノゲンおよび固体トロンビンを含み、以下の物理的特性のうちの少なくとも1つを有したコーティングを有する。
I.最大10mmの直径
II.10−6の無菌性保証レベル(SAL)
用語「弾性率」は、力が印加された場合に物体が弾性的すなわち非永久的に変形する性質を意味する。本文脈においては、本発明のコラーゲンキャリアの弾性を記述するのに弾性率を使用する。本発明においては、弾性率をN/cmの単位で測定する。弾性率は、5〜100N/cm、たとえば15〜90N/cm、たとえば25〜80N/cm、たとえば35〜70N/cm、たとえば45〜60N/cm、たとえば50〜55N/cmであるのが好ましい。たとえばJ.E.Gordonによる著書「The New Science of Strong Materials or Why You Don’t Fall Through the Floor」の38〜43頁およびEP1053757B1に開示されている通り、弾性率は、弾性を測定する技術における周知のパラメータである。このように、弾性率は、材料の弾性的柔軟性、任意の所与の物体の柔軟性を表す。
「弾性率」は、弾性材料の剛性によって特徴付けられる物理定数としてのヤング率Eを表す。Eは、力(N)を面積(mm)で除したものであり、N/mmまたはMPaで表される。
用語「密度」すなわち材料の質量密度は、当該材料の単位体積当たりの質量を表す。密度として最もよく用いられる記号はρであるが、本文脈においては、密度を単位体積当たりの重量mg/cmとして規定する。これは、比重とも称する。密度の測定に用いる方法および装置については、以下の実施例の項において、より詳細に開示する。本発明に係るコラーゲンキャリアの密度は、コーティング層を除いたコラーゲンキャリアの密度である。
本発明の増湿ならびに/または圧縮および/もしくはロール状コラーゲンキャリアの密度は、1〜15mg/cmの範囲、たとえば2〜15mg/cmの範囲、たとえば3〜15mg/cmの範囲、たとえば4〜15mg/cmの範囲、たとえば5〜15mg/cmの範囲、たとえば6〜15mg/cmの範囲、たとえば7〜15mg/cmの範囲、たとえば8〜15mg/cmの範囲、たとえば9〜15mg/cmの範囲、たとえば10〜15mg/cmの範囲、たとえば11〜15mg/cmの範囲、たとえば12〜15mg/cmの範囲、たとえば13〜15mg/cmの範囲、たとえば14〜15mg/cmの範囲、たとえば3〜14mg/cmの範囲、たとえば3〜12mg/cmの範囲、たとえば3〜10mg/cmの範囲、たとえば3〜9mg/cmの範囲、たとえば3〜8mg/cmの範囲、たとえば3〜7mg/cmの範囲、たとえば3〜6mg/cmの範囲、たとえば3〜5mg/cmの範囲、たとえば3.0〜4.5mg/cmの範囲、たとえば3.0〜4.4mg/cmの範囲、たとえば3.0〜4.3mg/cmの範囲、たとえば3.0〜4.2mg/cmの範囲、たとえば3.0〜4.1mg/cmの範囲、たとえば3.0〜4.0mg/cmの範囲、たとえば3.0〜3.9mg/cmの範囲、たとえば3.0〜3.8mg/cmの範囲、たとえば3.0〜3.7mg/cmの範囲、たとえば3.0〜3.6mg/cmの範囲、たとえば3.0〜3.5mg/cmの範囲、たとえば3.0〜3.4mg/cmの範囲、たとえば3.0〜3.3mg/cmの範囲、たとえば3.0〜3.2mg/cmの範囲、たとえば3.0〜3.1mg/cmの範囲、たとえば3.1〜4.5mg/cmの範囲、たとえば3.2〜4.5mg/cmの範囲、たとえば3.3〜4.5mg/cmの範囲、たとえば3.4〜4.5mg/cmの範囲、たとえば3.5〜4.5mg/cmの範囲、たとえば3.6〜4.5mg/cmの範囲、たとえば3.7〜4.5mg/cmの範囲、たとえば3.8〜4.5mg/cmの範囲、たとえば3.9〜4.5mg/cmの範囲、たとえば4.0〜4.5mg/cmの範囲、たとえば4.1〜4.5mg/cmの範囲、たとえば4.2〜4.5mg/cmの範囲、たとえば4.3〜4.5mg/cmの範囲、たとえば4.4〜4.5mg/cmの範囲であるのが好ましい。
本発明の増湿ならびに/または圧縮およびロール状コラーゲンキャリアの密度は、本発明のロール状コラーゲンキャリアを展開して測定する。なお、本発明のコラーゲンキャリアの密度は、コーティング層を除いたコラーゲンキャリアの密度である。
現在のところは、大型コラーゲンキャリア(ストリップまたはフリースとも称する)といった特定サイズのロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア(実施例の項を参照)等、体積が既知のコラーゲンキャリアを秤量することによって密度を測定するのが好ましい。密度は、コラーゲンキャリアの質量をその体積で除して計算する。密度の測定に用いる方法および装置については、以下の実施例の項において、より詳細に開示する。
用語「コーティング」は、ロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア、展開したロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア等、本発明のコラーゲンキャリアの少なくとも1つの面に固定された均等分布の生物活性物質であるフィブリノゲンおよびトロンビンを含むコーティングまたは本質的にそれらから成るコーティングを表すのが好ましい。また、コーティングには、たとえばリボフラビン(被覆領域のマーカーとしての黄色)を含んでいてもよい。本発明の一実施形態において、活性物質は、固体ヒトフィブリノゲン、固体ヒトトロンビン、および任意選択としての固体リボフラビンであるのが好ましい。このように、本発明の一実施形態において、コーティングは、本質的に固体ヒトフィブリノゲン、固体ヒトトロンビン、および固体リボフラビンから成る。また、コーティングは、ロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア、展開したロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア等のコラーゲンキャリアの少なくとも1つの面に存在する。このため、一実施形態において、ロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア、展開したロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア等のコラーゲンキャリアは、1.3〜10mg/cm、たとえば2〜10mg/cm、たとえば4.3〜6.7mg/cm、好ましくはおよそ3.6〜7.4mg/cm、たとえばおよそ5.5mg/cmの量のフィブリノゲンが存在し、0.9〜20IU/cm、たとえば0.9〜15IU/cm、たとえば0.9〜10IU/cm、たとえば1.0〜5.5IU/cm、好ましくはたとえばおよそ1.3〜2.7IU/cm、たとえばおよそ2.0IU/cmの量のトロンビンが存在する1または複数の活性面を備える。このコーティングは、ロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア、展開したロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア等のコラーゲンキャリアの少なくとも1つの面に適用するのが好ましい。
ロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア、展開したロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア等のコラーゲンキャリアがその1つの面にコーティングを有した状態で巻き取られている場合、生物活性物質で被覆した面は、ロール状コラーゲンキャリア上で外部配向可能である。あるいは、生物活性物質で被覆した面は、ロール状コラーゲンキャリア上で内部配向可能である。現在のところは、本発明のロール状圧縮コラーゲンキャリアに対して、第1の選択肢すなわちコーティングの外部配向が好ましい。
たとえばロール状コラーゲンキャリアに関する用語「直径」は、本発明に従ってロール状またはコイル状にした任意の種類のコラーゲンキャリアの断面の直径を表す。したがって、結果的に得られるロール状コラーゲンキャリアの直径は、断面上(たとえば、最短辺)で測定して、およそ5〜12mm、たとえばおよそ6〜11mm、たとえばおよそ7〜10mm、たとえばおよそ8〜9mm、たとえば最大で11mm、好ましくはたとえば最大で10mm、好ましくはたとえば最大で9mm、たとえば最大で8mm、たとえば最大で7mm、たとえば最大で6mm、たとえば最大で5mm、たとえば最大で4.5mm、たとえば最大で4mm、たとえば最大で3.5mm、たとえば最大で3mm、たとえば最大で2.5mm、たとえば最大で2.0mm、たとえば最大で1.5mm、たとえば最大で1.0mmである。中型フリースすなわち46〜49mm×46〜50mm×4〜7mmの寸法の中型フリースの場合、直径は、10mm未満が好ましい。本発明に係るプレロール状コラーゲンキャリアの長さおよび幅を図3に示す。
用語「厚さ」は、本発明の展開または非ロール状の任意のコラーゲンキャリアを横切る測定可能な最短距離を表す。すなわち、厚さは、コラーゲンキャリアが事前に巻き取られているか否かおよび/または事前に圧縮・増湿されているか否かによって決まる。本発明に係る任意の種類の展開または非ロール状コラーゲンキャリアを記述するのに用語「厚さ」を用いている場合、この「厚さ」は、およそ1〜10mm、たとえばおよそ2〜8mm、たとえばおよそ4〜6mm、たとえば最大で10mm、たとえば最大で9mm、たとえば最大で8mm、たとえば最大で7mm、たとえば最大で6mm、たとえば最大で5mm、たとえば最大で4mm、たとえば最大で3mm、たとえば最大で2mm、たとえば最大で1mmの厚さを表す。一実施形態において、コラーゲンキャリアの厚さは、4〜7mmであるのが好ましい。別の実施形態において、展開コラーゲンキャリアの厚さは、最大4mmであるのが好ましい。
用語「無菌性保証レベル(SAL)」は、無菌化プロセス後に単一のユニットが非無菌である確率を記述するのに微生物学において使用する用語である。たとえば、医療機器メーカーは、微生物存在確率が10−6という極低SALとなるように、すなわちUSP34<1211>(米国薬局方第32版の第1211章)に規定されている通り、無菌化した機器に存在する生存微生物が100万に1つ以下となるように無菌化プロセスを設計する。また、SALは、無菌化プロセスの致死効果を記述するのにも使用する。この場合、非常に効果的な無菌化プロセスは、SALが非常に低くなる。
無菌化は、任意のパッケージングステップの前および/または後に実施可能である。
照射と称するプロセスにおいては、生物を死滅させる無菌化方法としてガンマ線放射を利用可能である。照射の適用においては、オートクレーブまたは化学的手段の代替として、医療機器を無菌化する。本発明の一実施形態において、ロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア等のコラーゲンキャリアには、ガンマ線放射を実施する。ガンマ線放射によって、得られるコラーゲンキャリアのPCT値は、たとえば0.5%以下、たとえば1%以下、たとえば2%以下、たとえば3%以下、たとえば4%以下、たとえば5%以下、たとえば6%以下、たとえば7%以下、たとえば8%以下、たとえば9%以下、たとえば好ましくは10%以下、たとえば11%以下、たとえば12%以下、たとえば13%以下、たとえば14%以下、たとえば15%以下、たとえば16%以下、たとえば17%以下、たとえば18%以下、たとえば19%以下、たとえば20%以下、たとえば25%以下となる場合がある。このことは、本発明に係るロール状コラーゲンキャリアの肝組織への付着の目視検査により、試験管内で評価した。照射プロセス後は、フィブリノゲンが2〜10mg/cmの量で存在し、トロンビンが1.0〜5.5IU/cmの量で存在するのが好ましい。また、各レベル値は、たとえば0.5%以下、たとえば1%以下、たとえば2%以下、たとえば3%以下、たとえば4%以下、たとえば5%以下、たとえば6%以下、たとえば7%以下、たとえば8%以下、たとえば9%以下、たとえば好ましくは10%以下、たとえば11%以下、たとえば12%以下、たとえば13%以下、たとえば14%以下、たとえば15%以下、たとえば16%以下、たとえば17%以下、たとえば18%以下、たとえば19%以下、たとえば20%以下、たとえば25%以下等、それぞれのレベルを超えるのが好ましい。なお、「それぞれのレベルを超える」とは、各値の増減いずれかが起こることを意味する。
ロール状および/または圧縮コラーゲンキャリアは、その生物学的および生理化学的特性を維持しつつ、許容時間にわたって保管可能であるのが好ましい。すなわち、保管によって、ロール状および/または圧縮コラーゲンキャリアの物理的および化学的特性にも、ロール状および/または圧縮コラーゲンキャリアの試験管内における(肝組織への)付着および付着強度(PCT値)にも影響が及ばないのが好ましい。
許容保管期間は、最大60か月、たとえば最大54か月、たとえば最大48か月、たとえば最大42か月、たとえば最大36か月、たとえば最大30か月、たとえば最大24か月、たとえば最大18か月、たとえば最大12か月、たとえば最大6か月、たとえば最大5か月、たとえば最大4か月、たとえば最大3か月、たとえば最大2か月、たとえば最大1か月であるのが好ましい。このため、本発明のロール状および/または圧縮コラーゲンキャリアは、安定しているのが好ましい。
表記「安定」は、ロール状および/または圧縮コラーゲンキャリアが生理化学的かつ生物学的に安定しており、これによって、作成時と同じ特性を維持していることを意味する。このため、ロール状および/または圧縮コラーゲンキャリアは、輸送時、倉庫保管(保管)時、物流時、販売時、およびその最終用途に至るまで安定性を維持する。すなわち、コラーゲンキャリアは、規則およびすべての最終用途要件を保持する。
「シリカゲル」は、ケイ酸ナトリウムから合成した二酸化ケイ素の粒状、ガラス質、多孔質形態を表すのに用いるのが好ましい。シリカゲルは、透過性バッグに納められたビーズとして一般的に利用されている乾燥剤である。
ロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア等のコラーゲンキャリアは、処理中に、室内由来の1もしくは複数の溶媒または水分(水蒸気)を受動的に吸収する場合がある。一実施形態において、そのような水等の水分の受動的吸収が発生した場合、残留水分量の許容範囲は、たとえば0.1%w/w以下、たとえば0.2%w/w以下、たとえば0.5%w/w以下、たとえば0.8%w/w以下、たとえば1.0%w/w以下、たとえば1.2%w/w以下、たとえば1.4%w/w以下、たとえば1.6%w/w以下、たとえば1.8%w/w以下、たとえば2.0%w/w以下、たとえば2.5%w/w以下、たとえば3.0%w/w以下、たとえば3.5%w/w以下、たとえば4.0%w/w以下、好ましくはたとえば5.0%w/w以下、たとえば8.0%w/w以下、たとえば10.0%w/w以下、たとえば12.5%w/w以下、たとえば15.0%w/w以下、たとえば17.5%w/w以下、たとえば20.0%w/w以下、たとえば22.5%w/w以下、たとえば25.0%w/w以下、たとえば27.5%w/w以下、たとえば30.0%w/w以下、たとえば32.5%w/w以下、たとえば35.0%w/w以下である。受動的に吸収された溶媒が水である場合、残留水分は、8.0%w/w以下、たとえば5.0%w/w以下であるのが好ましい。残留溶媒は、ガスクロマトグラフィ(GC)の利用等、当業者に既知の従来方法で測定する。GCは、分解せずに気化可能な化合物を分離・分析するための分析化学において用いられる一般的なクロマトグラフィである。本発明においては、GCを用いて、コラーゲンキャリアにおける室内由来の1もしくは複数の溶媒または水分(水蒸気)を決定する。
用語「無菌化」は、ロール状および/または圧縮コラーゲンキャリアといった本発明におけるコラーゲンキャリア等の物体を無菌化する任意周知の方法を表す。そのような任意の適当な無菌化方法によれば、無菌化プロセス後に単一のユニットが非無菌である所要の確率が得られる。このため、無菌化プロセス後に非無菌であるロール状および/または圧縮コラーゲンキャリア等のコラーゲンキャリアは、100万に1つ以下とするのが好ましい。無菌化プロセスの一例としては、ガンマ線放射が挙げられる。無菌化は、熱、化学薬品、照射、および高圧を適正に組み合わせて適用することによっても実現可能であるが、これらの方法はあまり好ましくない。好適な一実施形態においては、ガンマ線照射により無菌化を行う。
一実施形態においては、パッケージ試験を実施・文書化することによって、パッケージが規則およびすべての最終用途要件を満足するようにする。また、製造プロセスを制御・確認することによって、一貫した性能を確保する。
本発明の適当なコンテナは、パッケージ内で無菌化するのが好ましい。医療機器のパッケージングは高度に規制されており、流通の全体にわたって無菌性を保持することによって、医師が直ちに利用できるようにする必要がある。当技術においては、特別な一連のパッケージング試験が周知であり、これを用いることによって、パッケージの無菌性保持能力を測定する。関連する規格としては、ASTM D1585「Guide for Integrity Testing of Porous Medical Packages」、ASTM F2097「Standard Guide for Design and Evaluation of Primary Flexible Packaging for Medical Products」、EN 868「Packaging materials and systems for medical devices which are to be sterilized.General requirements and test methods」、ISO 11607「Packaging for terminally sterilized medical devices」等が挙げられる。
一実施形態において、第1および/または第2のコンテナは、一重もしくは二重アルミホイル等のホイルパッケージング材料、ポリスチレンもしくはPET(ポリエチレンテレフタレート)等のプラスチックパッケージング材料、または一重もしくは二重アルミホイルおよびポリスチレンもしくはPET(ポリエチレンテレフタレート)等のホイルとプラスチックパッケージング材料の組み合わせである。
用語「重量/重量百分率」すなわち「%w/w」は、物質のグラム当たりの別の物質のグラムを百分率(100グラム当たり)で表したものである。したがって、たとえばコラーゲンキャリアに2%w/wの量で残留水分が存在する場合は、98グラムのコラーゲンキャリアとともに2グラムの水分が存在することを意味する。残留水分を含むコラーゲンキャリアの総重量は100グラムとなるが、100グラムの残留物の体積は、100mlと異なる場合がある。
なお、コラーゲンキャリアの「重量」は、コーティング層の重量を除いたコラーゲンキャリアの重量を表す。
また、留意すべきこととして、本発明の一態様の文脈において記載した実施形態および特徴は、本発明のその他の態様にも当てはまる。すなわち、ロール状圧縮コラーゲンキャリアに関するすべての態様は、圧縮コラーゲンキャリア、ロール状コラーゲンキャリア、展開したロール状圧縮コラーゲンキャリア、またはコイル状コラーゲンキャリアにも当てはまり(本明細書においては、「コイル状」および「ロール状」という用語を区別なく使用する)、プロセスの態様についても同様である。
コイル状コラーゲンキャリアは、コラーゲン層を備える。コラーゲン層は、たとえばNycomedが市販している「TachoTop」製品といったコラーゲンフォームまたはスポンジ等の任意の適当なコラーゲンで構成可能である。コラーゲン種としては、固形化ヒトコラーゲンフォーム等のヒトコラーゲンが好ましい。また、コイル状コラーゲンキャリアは、コラーゲン層の上に、トロンビンおよびフィブリノゲンを含むコーティング層を備える。トロンビンは、準固体または固体であるのが好ましい。フィブリノゲンも、準固体または固体であるのが好ましい。トロンビンおよびフィブリノゲンの両者とも、固体であるのが好ましい。また、コーティングは、黄色を付与するとともに、コラーゲンキャリアのいずれの面が活性面であるかを医師が決定可能なリボフラビンも備えているのが好ましい。
本発明の好適な実施形態においては、コーティング層が各巻部の内面を構成するように、コイル状コラーゲンキャリアの少なくとも外側巻部または各巻部が配向している。本発明の他の実施形態においては、コーティング層が各巻部の外面を構成するように、コイル状コラーゲンキャリアの各巻部または少なくとも外側巻部が配向している。
本発明の一実施形態において、コラーゲンキャリアは、たとえばコラーゲンの層および当該コラーゲン層の上のコーティング層から成る層状構成であるのが好ましい。
本発明のコイル状コラーゲンキャリアは、形状安定である。これは、たとえば「静止時」に非コイル状とはならないという意味においてコイル状コラーゲンキャリアが形状安定であることを意味し得る。本発明の一実施形態において、コイル状コラーゲンキャリアの形状安定性は、水分が付与されて製品がより柔軟になる(すなわち、形状安定でなくなる)と低下する。本発明の好適な一実施形態において、コイル状コラーゲンキャリアの形状安定性は、実質的にコーティングによってのみ与えられる。一実施形態において、コイル状コラーゲンキャリアの形状安定性の少なくとも一部は、当該キャリアの最外巻部によって与えることができる。本発明の一実施形態において、コイル状コラーゲンキャリアの形状安定性は、下側巻部に付着したコイル状コラーゲンキャリアの縁部の領域によって与えられる。別の実施形態において、コイル状コラーゲンキャリアの形状安定性は、巻部間の付着によって与えられる。本発明の一実施形態において、コイル状コラーゲンキャリアの形状安定性は、機械的張力がない状態の当該コイル状コラーゲンキャリアによって与えられる。本発明の一実施形態において、コイル状コラーゲンキャリアの形状安定性は、巻部間の付着によって当該コイル状コラーゲンキャリアを非コイル状とするように作用する大きな機械的張力によって与えられる。本発明の一実施形態において、コイル状コラーゲンキャリアの形状安定性は、弾性率が5〜100N/cmのコイルによって与えられる。
本発明の一実施形態において、形状安定性は、応力が加わった場合に大きく変形することなく壊れる脆弱なコイルを形成した状態の当該コイル状コラーゲンキャリアによって与えられる。
本発明の好適な一実施形態において、展開構成のコイル状コラーゲンキャリアは、好ましくは幅、長さ、および厚さを有する(好ましくは矩形状または正方形状の)シートである。この展開コラーゲンキャリアは、矩形または正方形のシートであるのが好ましい。このシートは、0.5mm〜10mmの厚さ、たとえば0.5〜8mm、たとえば0.5〜6mmの厚さを有するのが好ましい。本発明の好適な一実施形態において、この厚さは、1〜4mm、たとえば好ましくは1〜3mmであるのが好ましい。一実施形態において、この厚さは、最大で4mm、最大で5mm、最大で6mm、または最大で7mmとすることも可能である。また、展開コラーゲンキャリアは、(好ましくはコーティング層で被覆された)その上面の表面積が4〜100cm、より好ましくは5〜75cm、たとえば10〜50cm、たとえば20〜30cm、あるいは、たとえば上面が5cm×5cmの正方形のコラーゲンシートによって可能な25cmであるのが好ましい。
本発明の一実施形態において、コイル状コラーゲンキャリアは、3つ、4つ、または5つの巻部を備えるか、またはそれらから成る。
本発明の一実施形態において、コイル状コラーゲンキャリアは、外径が12mm未満、たとえば11mm未満、たとえば10mm未満、たとえば9mm未満、たとえば8mm未満、たとえば7mm未満、たとえば6mm未満、たとえば5mm未満、たとえば4mm未満、たとえば3mm未満の円筒状である。たとえば、コイル状コラーゲンキャリアの外径は、1〜12mm、たとえば3〜11mm、たとえば5〜10mm、たとえば好ましくは5〜9mm、たとえば6〜8mmである。
本発明の一実施形態において、コイル状コラーゲンキャリアは、その長手軸周りにS字状の最内巻部を有する。
コイル状コラーゲンキャリアのコーティング層のコーティングは、裸眼で視認できるような貫通する亀裂を有していないのが好ましい。
本発明はさらに、コンテナ内に配置された本発明に係るコイル状コラーゲンキャリアを含む、パッケージングされたコイル状コラーゲンキャリアに関する。コンテナは、たとえば封止することによって、汚染および/もしくは劣化の防止ならびに/またはコイル状コラーゲンキャリアの形状安定性の保持が可能である。コンテナは、封止することによって、汚染および/または水等の溶媒の吸収を防止するのが好ましい。一実施形態において、コンテナはさらに、シリカゲル等の乾燥剤を内部に配置可能である。
一実施形態において、コンテナは、内側コンテナ(カバーを備えたコンテナ部)および外側コンテナ(第2のコンテナ)を備えることができる。一部の好適な実施形態において、内側コンテナは、円筒の断片として成形された空洞の形態の区画を備え、円筒断片の湾曲部が少なくとも180°で延伸し、好ましくは切り取り式または脆弱なホイルであるカバーにより上記区画が封止されている。外側コンテナは、封止された内側コンテナが乾燥剤とともに内部に配置された封止ポーチを備えているのが好ましい。
また、本発明に係るパッケージングされたコイル状コラーゲンキャリアは、パッケージを開けずに目視検査できるように構成され、コイル状コラーゲンキャリアを含むパッケージがX線、高エネルギーX線、ガンマ線放射、電子ビーム、または紫外光等の放射無菌化に曝されたか否かを示すラベルをさらに備えることができる。このラベルは、たとえば外側コンテナの外部に配置可能である。
また、本発明に係るパッケージングされたコイル状コラーゲンキャリアは、最小量の空気が内部に存在し、好ましくは空気が内部に存在しない無菌プラスチックバッグであって、たとえば手術等に用いた場合に、コイル状コラーゲンキャリアが体液によって活性化しないようにするのに特に適したバッグを備えることもできる。この薄いプラスチックバッグは、たとえばバッグに入ったコラーゲンキャリアを患者の体内部位に送り込み、コラーゲンキャリアを非コイル状にする前にプラスチックバックを除去することによって、本発明に係るパッケージングされたコイル状コラーゲンキャリアのパッケージを開放した後に、任意選択として使用してもよい。
本発明の一実施形態は、本発明に係るプロセスに関し、上記コラーゲンキャリアの密度は3.0〜4.5mg/cmの範囲である。なお、本発明のコラーゲンキャリアの密度は、コーティング層を除いたコラーゲンキャリアの密度である。
また、留意すべきこととして、本発明の一態様の文脈において記載した実施形態および特徴は、本発明のその他の態様にも当てはまる。すなわち、ロール状圧縮コラーゲンキャリアに関するすべての態様は、圧縮コラーゲンキャリア、ロール状コラーゲンキャリア、または展開したロール状圧縮コラーゲンキャリアにも当てはまる。
本願に引用するすべての特許文献および非特許文献は、その全体を本明細書中に参考として援用する。
本発明の別の態様は、1もしくは複数の防水材を含むバッグもしくはポーチまたはそれらから成るバッグもしくはポーチに関し、このバッグは、本発明のロール状コラーゲンキャリアを含む。したがって、本発明はさらに、1もしくは複数の防水材を含むバッグもしくはポーチまたはそれらから成るバッグもしくはポーチに関し、このバッグは、コラーゲン層および当該コラーゲン層の上のコーティング層を備えたコイル状コラーゲンキャリアを含む。コーティング層は、トロンビンおよびフィブリノゲンを含む。コイル状コラーゲンキャリアは、長手軸周りに当該コラーゲンキャリアが多重巻きされ、コーティング層が各外側巻部の外面を構成するように当該キャリアの少なくとも1つの外側巻部が配向した細長要素の形状を有する。また、コイル状コラーゲンキャリアは、形状安定であって、コイル状構成のコラーゲンキャリアを規定し、外側巻部が当該コラーゲンキャリアの断面における螺旋に沿って進行する。上記バッグまたはポーチは、無菌であるのが好ましい。
本発明での使用に適した防水材の例としては、1もしくは複数のプラスチック(たとえば、PVCおよび/もしくはX線検出可能なプラスチック)ならびに/またはアルミホイル等の柔軟ホイルが挙げられる。この材料は、バッグまたはポーチの形態で操作を容易に行えるように、柔軟であるものとする。
コイル状コラーゲンキャリアの生産
コイル状コラーゲンキャリアは、以下のプロセスにより生産してもよい。本明細書に記載のコラーゲンキャリアは、そのコーティングに溶媒(通常はエタノール)を適用することによって増湿する。この増湿によって、コーティングが軟化される。また、コラーゲンキャリアは、増湿しなくても柔軟であるが、増湿したコラーゲンキャリアをコイル状にしてもよい。ただし、プロセスにおいては、コイリングに先立って増湿コラーゲンキャリアを圧縮するのが好都合となる場合があることが分かっており、そのため、一対のローラー間の間隙に増湿コラーゲンキャリアを通過させることによって圧縮を実行可能である(この間隙は、増湿コラーゲンキャリアの厚さよりも小さい)。
コイリングは通常、縁部に沿ってコラーゲンキャリアを把持するとともに当該コラーゲンキャリアをコイル状にするための回転可能な把持手段(通常は一対のピンセットまたはハサミとして具現化される)を備えたコイリング装置と、コイリング時にコラーゲンキャリアを支持する支持装置とによって行う。
支持装置は、コイリング時に回転可能な把持手段が端部を通って延伸する開口チャネル状の空洞として形成してもよい。
コイリング後は、回転可能な把持手段を引き抜き、コイル状のコラーゲンキャリアを乾燥させることによって、余分な溶媒を除去する。コイル状コラーゲンキャリアは、乾燥させると形状安定になって、支持装置から安全に取り外し可能となる。
コイル状コラーゲンキャリアを提供する装置の一例を図8に示す。この装置は、図示のように多数の要素を備えているが、特に、本明細書に開示のコラーゲンキャリアのコイリングに先立って水分40をコラーゲンキャリア16に付与する装置を備える。
水分4を付与する装置は、コラーゲンキャリアのコーティング層の表面41を向いた噴霧ノズル42を備え、この噴霧ノズル42は、溶媒の霧状物または噴霧として液滴を提供する。噴霧ノズル42においては、無菌空気の助けを借りて液滴が生成されるため、エタノールが無菌空気と混ざり合う。
このように、コラーゲンキャリアは、そのコーティング表面が上方を向いて噴霧ノズル42に面した状態で配向している。溶媒は、コラーゲンキャリアのコーティングに浸透して、当該コラーゲンキャリア41のコーティングを軟化させる。コラーゲンキャリアは、その全体を増湿することも可能であるが、コーティング層またはその上部のみを増湿すれば十分であることが分かっている。
コラーゲンキャリアは、コンベヤベルト51により搬送されて、噴霧ノズル42を通り過ぎる。
この装置48は、保湿コラーゲンキャリアを縁部に沿って把持するとともに、コイリングによりコイル状コラーゲンキャリア16を形成するように構成されたコイリング装置43をさらに備える。コイリング装置43は、コラーゲンキャリアの縁部45に沿って当該コラーゲンキャリアを把持するための回転可能な把持手段44であって、当該把持手段44の長手延伸部に平行な軸の周りに当該把持手段44を回転させることによってコラーゲンキャリアをコイル状にする把持手段44を備える。
縁部45に沿って把持するとともに把持手段43を回転させることによって、好ましくはコイリング時にコラーゲンキャリアが支持された状態で、当該コラーゲンキャリアを所望の形状にコイリング可能である。コイリング装置43は、コイリングを確実に行うとともにコイル状コラーゲンキャリア16の形状規定を支援するため、コイリング時にコラーゲンキャリアを支持する支持装置46をさらに備える。通常、支持装置43は、把持手段44に対して相対的に配置された空洞であり、コラーゲンキャリアの少なくとも一部がコイリング時に空洞の内面の少なくとも一部と隣接することによって、支持装置46の表面が対圧手段として作用する。上述の通り、支持装置46の表面形状は、コイル状コラーゲンキャリア16の形状規定を少なくとも支援する。
把持装置44は、一対のピンセットまたはハサミ等の一対の細長部材47を備える。細長部材47は、コラーゲンキャリアの幅に適合した長手延伸部を有する(コラーゲンキャリアの幅は、細長部材47の延伸部に平行な寸法と考えられる)。これにより、コラーゲンキャリアは、細長部材47により、全幅に沿って縁部で把持される。
コラーゲンキャリアの把持は、2つの細長部材47間にコラーゲンキャリアが配置された後に、細長部材47の回転によってコイリングを提供するのに十分な把持を与える程度に細長部材47間の距離を縮めることによって実現する。
図8に示すように、支持装置46は、細長部材が延伸する少なくとも1つの開口端を有する円筒の断片として成形された底部を含む空洞であり、円筒断片の湾曲部が少なくとも180°で延伸している。図8に示す実施形態において、円筒断片は、180°で延伸している。このため、図8の実施形態において、空洞は、底部から延びた2つの平行な側壁8aによりチャネル状に形成されている。この空洞の構成により、断面が大略U字状で、底部がU字状断面の湾曲部を構成し、各側壁8aがU字状断面の直線部を構成したチャネルが提供される。
把持装置44の細長部材47は、開口端を通って支持装置8の空洞内に延びている。細長部材47はさらに引き抜き可能であって、コラーゲンキャリアがコイル状となり支持装置46の空洞に配置され、コラーゲンキャリアの端部52が支持装置の空洞の壁に隣接した際に、細長部材47をコイル状コラーゲンキャリア16から引き抜く。細長部材47は、その長手延伸部と平行な方向に引き抜く。別のコラーゲンキャリアをコイル状にする場合は、細長部材47を引き抜き時と反対の方向に移動させて、支持装置46の空洞内に再導入する。さらに、細長部材47を開放する。すなわち、2つの部材間の間隙が増湿・圧縮したコラーゲンキャリアの厚さよりも大きく、細長部材9は、両者間にコラーゲンキャリアを容易に受け入れられる。「引き抜き可能」とは、コイリングを行った後に細長部材9をコイル状コラーゲンキャリアから取り外し可能であり、一般的には、コイリングを行った位置から取り外し可能であることを表すのが好ましい。したがって、「引き抜き可能」は、「引き込み可能」であることも含むものと考えられる。
このように、図8の装置は、一対の細長部材47を往復運動させるように構成されているため、コラーゲンキャリアをコイル状にした後、細長部材を引き込み可能である。
装置48は、圧縮装置をさらに備える。圧縮装置は、保湿コラーゲンキャリアのコイリングに先立って、保湿コラーゲンキャリアを圧縮するように構成されている。すなわち、図8に示すように、圧縮装置は、水分40を付与する装置の後段かつコイリング装置43の前段に配置されている。
圧縮装置は、一対のローラー50を備えており、その間隙のサイズは、一連のローラー50を通過する前のコラーゲンキャリアの厚さよりも小さく、保湿コラーゲンキャリアのコイリングに先立って、保湿コラーゲンキャリアを圧縮するように構成されている。圧縮は、ローラー間の間隙が保湿コラーゲンキャリアの厚さよりも小さいことからもたらされる。図8に示すように、ローラー50は逆方向に回転することによって、当該一対のローラー50を介してコラーゲンキャリアをコイリング装置43側に搬送する。
ローラー間の間隙のサイズは、所望の圧縮比が得られるように選択する。通常、間隙サイズの好ましい値は、0.5mm以下、好ましくは0.6mm以下もしくは0.5〜1.0mm、または0.75mm以下である。ただし、間隙サイズは、所望の圧縮比が得られるように、コラーゲンキャリア3の厚さに従って選択するものとする。
形状安定コイル状コラーゲンキャリアの一例を図7に示す。図中、形状安定コイル状コラーゲンキャリアは、コンテナ部の区画内に配置されている。
以下、添付の図面を参照して、本発明およびその特に好適な実施形態をより詳細に説明する。図面は、本発明を実施する方法を示しており、添付の特許請求の範囲に含まれるその他考え得る実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。
本発明の好適な一実施形態に係る、形状安定コイル状コラーゲンキャリアを格納するためのパッケージのコンテナ部の3次元概略図であって、上側の図がコンテナ部の上面斜視図、下側の図がコンテナ部の下面斜視図である。 本発明の好適な一実施形態に係る、図1に示したコンテナ部のカバーの3次元概略図であって、コンテナ部に適用されたカバーの上面斜視図である。 図1のコンテナ部の正投影図であって、表面にラベル「PET」が押型されており、ハッチングした領域は、カバーをコンテナ部の上面に入熱溶接する領域を示し、区画内の点線は、コイル状コラーゲンキャリアの位置を示している。 本発明に係る、コイル状コラーゲンキャリアを含む図1および図2のコンテナ部が内部に配置された第2のコンテナをさらに備えたパッケージの3次元概略図であって、図4aは、封止状態の第2のコンテナの外部を示し、図4bは、図1および図2に示したコンテナ部およびカバーを明瞭化のためだけに除去した開放状態の第2のコンテナの内部を示している(図示の第2のコンテナは、図1および図2に示したカバー付きコンテナ部を収容するように構成されているが、図1および図2に示したものよりも長いカバー付きコンテナ部を収容していてもよく、同じことが図5および図6にも当てはまる)。 窪みに乾燥剤が存在する第2のコンテナの3次元概略図である。 コンテナ部およびカバーが存在する第2のコンテナの3次元概略図である。 形状安定コイル状コラーゲンキャリアを含み、カバーを一部取り外したコンテナ部の写真である。 本発明に係るコイル状コラーゲンキャリアを提供する装置の好適な一実施形態の概略図である。
好適な実施形態の詳細な説明
以下、添付の図面を参照して、形状安定コイル状コラーゲンキャリア16を格納するためのパッケージ1を提示する。図1は、本発明に係るパッケージ1のコンテナ部3を示しており、上側の図が上面斜視図、下側の図が下面斜視図である。
本発明に係るパッケージは、以下に詳しく開示する通りカバーで閉塞された区画4に形状安定コイル状コラーゲンキャリア2を格納する。このような形状安定コイル状コラーゲンキャリアは、コラーゲン層と、トロンビンおよびフィブリノゲンを含むコーティング層とを備え、長手軸周りに当該コラーゲンキャリアが多重巻きされ、コーティング層が各外側巻部の外面を構成するように少なくとも1つの外側巻部が配向した細長要素の形状を有する。
図1に示すように、パッケージ1は、コイル状コラーゲンキャリア16の少なくとも一部が含まれた区画4を有するコンテナ部3を備える(図1には、明瞭化のためだけにコイル状コラーゲンキャリアを示していない)。多くの好適な実施形態においては、コイル状コラーゲンキャリア16の全体が区画4に含まれる。すなわち、コラーゲンキャリア16のうち、区画4から延出している部分はない。コンテナ部3および一部取り外したカバー7の写真である図7は、全体が区画4内に配置された形状安定コイル状コラーゲンキャリア16を示している。
区画4は、コンテナ部3の上面14に設けられた開口5を有するという意味において、端部が開口した区画である。開口5は、上面14の平面内において区画4全体に延びた2次元平面と考えるのが好ましい。開口端部は、開口5の周縁と称する。
また、図1に示すように、コンテナ部3は、少なくとも1つの空洞6を備える。空洞6は、指先または用具のコイル状コラーゲンキャリア16へのアクセスを可能とする指先または用具の通路として機能するため、区画4に含まれるコイル状コラーゲンキャリア16に対して容易にアクセスできるように設計されている。なお、コイル状コラーゲンキャリア16のサイズに対する区画4のサイズは、(たとえば区画に対するコイル状コラーゲンキャリアの摺動によって壊れる危険性を最小限に抑えるため)コイル状コラーゲンキャリアが安定して区画に嵌るように選定することが多い。このため、一部の実施形態において、開口は、コラーゲンキャリアに対して幅が高々0.5〜5mm大きく、長さも高々0.5〜5mm大きく、たとえば、コラーゲンキャリアに対して幅が高々2mm大きく、長さも高々2mm大きいだけである。
開口5は、空洞6上まで延びていないと考えるのが好ましい。したがって、開口5の周縁は、上面14の平面によって規定される平面上への区画4の最外延伸部の投影と考えるのが好ましい。このため、空洞が存在しない領域においては、区画4と上面14間の縁部と上記周縁が一致する。空洞が存在する領域においては、上面14と区画4間の縁部が存在せず、上記周縁は、空洞6の両側で当該周縁を接続する線と考えるのが好ましい。たとえば図3を参照して、上記周縁は、幅11.4mm、長さ60mmで示された領域の外縁に一致している。
図1に示す実施形態において、空洞6は、開口5の周縁に位置し、区画4および上面14へと開口している。このため、コイル状コラーゲンキャリアは、持ち上げ可能である。すなわち、一般的には、指先または用具(たとえば、把持具)を空洞6内に配置することによって区画から取り出し可能である。また、コイル状コラーゲンキャリアは、その端部を隣接または把持した状態で、区画4からの吊り出しまたは持ち出しが可能である。
開口5は、直径および長さを有する実質的に円筒状の要素の形状を通常有するコイル状コラーゲンキャリアの区画4に設けられるように、一般的には矩形状であり、開口の長さおよび幅は、コイル状コラーゲンキャリアの長さおよび直径よりもそれぞれ大きい。直径が10mmで、長さが55mmオーダーの形状安定コイル状コラーゲンキャリアを格納するように構成されたコンテナ部3の好ましい寸法を図3に示す。図中の値はすべて、mm単位である。コンテナ部3を構成するシート材の厚さは、0.5mmである。
図1に示す実施形態において、区画は、長さ、幅、および深さを有する実質的に直方体の形状である。なお、「直方体」は、(図1に示すように)長さ、幅、および深さが等しくない形状を含む広い意味で使用している。深さは、開口5から区画4の底部までとして測定され、長さは、長さと幅のうちの長い方である。「実質的に直方体」とは、区画4の縁部および角部が丸みを帯びており、区画4の壁部が傾斜していてもよいことを表すのが好ましい。後者の場合、区画は、錐台または錐体として成形されていてもよい。ただし、一般的には、区画の壁が垂直であるのが好ましい。これについては、図3においてより容易に見受けられる。
図1に示す実施形態において、空洞6は、開口5の短辺のうちの一方すなわち区画4の端部に位置する。ただし、別の空洞6が存在することならびに/または(1もしくは複数の)空洞6の位置を特定の要件に応じて選択することも考えられる。たとえば、2つの空洞6が存在し、一方が区画4の端部に配置されており、両端においてコイル状コラーゲンキャリアにアクセス可能となっていてもよい。
さらに、空洞6は、開口5の長辺のうちの一方または両方に位置していてもよい。開口5の長辺に沿って位置する空洞6は、中間でコイル状コラーゲンキャリアへのアクセスが可能となるように、長辺の中間に配置するのが好ましい。
空洞は、上面14から延び、区画4へと開口している。したがって、空洞6は、開口5の周縁の外部における上面14の位置から区画4の底部に向かって延びた壁または少なくとも1つの壁部6aを備える。図1に示す実施形態において、空洞6の壁または壁部の延伸始点位置は、空洞6と上面14間の縁部である。上記壁または壁部は、区画の底部に向かって実質的に深く延びており、コイル状コラーゲンキャリアへのアクセスを可能としている。これは、区画4の高さの少なくとも半分ほどの位置までを意味することが多い。図1において、上記壁は、区画4の深さd(底部の厚さを含む)の60%である距離hだけ延伸している。また、図1に示すように、空洞6の壁または壁部は、傾斜して延びている(図3の側面図も参照)。ただし、上記壁または壁部は、曲率半径を有する曲線に沿って延びる等、湾曲して延びていてもよい。
また、図1に示すように、空洞6とコンテナ部3の上面14間に形成された縁部は、楕円の切片に沿って延びている。これが好ましい場合もあるが、この縁部は、他の態様で延びていてもよい。図1に示す実施形態において、空洞6は、円筒の断片として形成されている。
パッケージは、その開口5を覆うカバー7(図2参照)をさらに備える。図2に示すように、カバーは、コンテナ部3の上面14に一致した形状を有し、そのため、コンテナ部3に取り付けた場合に、当該コンテナ部3の上面14全体にわたって延伸する。ただし、カバーは、開口5および空洞6のみを覆う形状を有していてもよい。
カバー7は、手動で取り外しできるように、コンテナ部3に取り付けられている。「手動で取り外し」とは、指の使用により、好ましくは用具を使用しないでカバーを取り外し可能であることを表すのが好ましい。
したがって、カバー7は、入熱溶接または接着によって、コンテナ部3の上面14に取り付けられている。図1に示す実施形態において、カバー7は、入熱溶接によって取り付けられている。
図1に示す実施形態において、カバー7は、開口5および空洞6ならびに下方に突出する支持要素11の開口を取り囲むコンテナ部3の外周縁13に沿って、当該コンテナ部3に取り付けられている。図1においては、外周縁13に沿ったハッチング15により入熱溶接部を示している。
図1に示すように、入熱溶接部は、カバー7がコンテナ部3に取り付けられていない部位17を提供する。カバーのこの部分は、図2で符号7bを付して示されているように、コンテナ部3に取り付けられていないプルタブ7bとして機能する。カバーを取り外す際には、指(または用具)でこのプルタブを把持し、カバー7を引っ張るようにしてもよい。コンテナ部3を(たとえば、指または用具の使用により)固定または保持することによるこの引っ張り動作の反作用として、入熱溶接部が徐々に破れ、カバー7がコンテナ部3から取り外される。
コイリングの後、コイル状コラーゲンキャリアは、水分(エタノール、イソプロパノール、および/または水等の溶媒)を含んでいる場合があるため、コイル状コラーゲンキャリアを区画4内に配置してコンテナ部3にカバー7を適用した後に、そのような水分がコイル状コラーゲンキャリアから逃げられるようになっているのが望ましい場合が多い。このため、カバー7は、気体および/または液体が透過可能な透過性材料で構成されているのが好ましい。
カバーは、DuPontTM製の材料Tyvek(登録商標)(当該材料の詳細については、以下に示す)すなわち医療用高密度ポリエチレンホイルで構成されている場合が多い。カバーの厚さは、通常0.25mmである。
図1に示すパッケージは、コンテナ部の長手延伸部(92mm、図3参照)に対して少なくとも50倍小さな厚さを有する材料のシートで構成されている。したがって、コンテナ部3は、シート状と考えられる。区画4および空洞6は、このシート中の凹部として形成されている。
図1に示すパッケージのコンテナ部3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックで構成されており(パッケージの材料の詳細については、上述するとともに以下にも記載する)、たとえば射出成形、ブロー成形、真空成形、または回転成形により熱成形したものである。
コンテナ部3の上面14は、水平と考えられる。なお、「水平」とは、図1の向きに対して用いており、地平線(水平線)に一致するものと限定的に解釈すべきではない。これに合わせて、図1に示すように、区画4は直方体状であり、水平な底部9、2つの側壁7、および端壁8を備える。2つの側壁7および端壁8は、垂直から傾斜していてもよく、この場合、区画4は錐台または錐体の形状を有する。ただし、図1に示す実施形態において、側壁7および端壁8は、実質的に垂直に延びた壁である。コンテナ部3の生産時に用いたモールドから容易に取り外せるように、垂直からわずかに逸れているのが望ましい場合もある。
図1の実施形態において、底部9と側壁7および端壁8との交差部は、それぞれ丸みを帯びている。これは特に、生産時のモールドから容易に取り外せるようにすることおよび/またはコイル状コラーゲンキャリアの実質的に円筒状の形状を反映して当該コイル状コラーゲンキャリアを収容することにより、たとえばカバー7付きコンテナ3の取り扱いによって壊れる危険性の少ないより安全なコイル状コラーゲンキャリアの保管を可能とすることを目的としていてもよい。
上記開示の通り、空洞6は通常、たとえば区画の高さの半分未満または少なくとも半分ほどの位置まで、上面14の水平位置から区画4の底部に向かって延びている。一部の実施形態において、空洞6は、区画4の底部まで延びている。
上述の通り、カバー7は、物質が透過可能な透過性材料で構成されている。コイル状コラーゲンキャリアを封止するとともに制御雰囲気中で保管するため、パッケージ1は、コイル状コラーゲンキャリアを含むコンテナ部3およびカバー7が内部に配置された第2のコンテナ10(図4参照)をさらに備える(図6参照)。
図4〜図6を参照して、第2のコンテナ10は、液密材料で構成され、閉じると液密になる。さらに、図4aに示すコンテナは、生産ラインから外れて皺のない状態を示している。図4b、図5、および図6に示すコンテナには、その手動での取り扱いに起因する皺が見受けられる。
図4〜図6の実施形態において、第2のコンテナ10は、開放時に引っ張って使用するプルタブ22a、22bが設けられるようにシートの周縁で接着または入熱溶接した2枚の材料シートにより形成されている。あるいは、第2のコンテナ10は、折り曲げてから接着または入熱溶接する1枚のシートにより形成されていてもよい。また、第2のコンテナは、カバー7付きコンテナ部3を収容するように構成された区画23を備える。
図4に示すパッケージは、第2のコンテナ10の内部かつコイル状コラーゲンキャリアを含むコンテナ部3およびカバー7の外部に配置された乾燥剤21を備える。図3に示す実施形態において、乾燥剤21は、第2のコンテナ10の区画23に設けられた窪み18内に配置されている(図bbに示すように、第2のコンテナ10の内部から見た場合)。
乾燥剤は、鉄含有非晶質シリカの粒径0.2mm〜1.5mmの粒状オレンジゲルである乾燥材を含むのが好ましい。組成は、合成非晶質シリカが93w/w%超、鉄含有硫酸アンモニウムが5w/w%未満、水が5w/w%未満である。この乾燥材は、継ぎ目を溶接したTyvek(登録商標)等の透過性材料で構成されたバッグ内に配置されている。
図4〜図6の第2のコンテナ10は、コイル状コラーゲンキャリアを含むコンテナ部3、カバー7、および乾燥剤が内部に配置されたポーチの形態と考えられる。このポーチは、プルタブを有し、形成時の接着または溶接の強度があることから、破るか引っ張って開けることができる。
図4〜図6に示す第2のコンテナ10は、アルミニウムを含むホイルまたはアルミニウムから成るホイルで構成され、一巻きのホイルからシートを押し出して作成したのち、溶接または接着している。ホイルの厚さは、0.25mmである。
特に好適な一実施形態において、外側コンテナ10は、以下の組成のアルミニウム積層ホイルPA25/AL45/PE40で構成されている。
OPA(配向ポリアミド)ホイル(ナイロン6) 25.0μm
ポリウレタンベースの接着剤(AD2746) 3g/m
金ラッカー(外側) 2g/m
アルミニウムストリップAL98.6 45μm
ポリウレタンベースの接着剤(AD2746) 3g/m
PE(ポリエチレン)剥離ホイル 40.0μm
アルミニウムタイプacc〜AA8021(B) AlFe1.5
コーティング製剤(水ベース、溶媒フリー、OBA(蛍光増白剤)フリー)
リサイクル材料なし
再び図1を参照する。図1に示すように、コンテナ部3は、区画4の底部の外面の下方または同じ高さにおける共通水平面内に分布した一連の支持点または支持面12を規定する1または複数の支持要素11をさらに備えていてもよい。図1に示す実施形態においては、このような支持要素11が4つ存在し、支持点または支持面12が底部9の外部に分布している。「底部9の外部に分布」とは、底部から離れて分布し、底部の一部を構成していないことを表す。コンテナ部3は、好ましくは熱可塑性プラスチック等の1または複数のプラスチック、好ましくはたとえばPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、およびPET(ポリエチレンテレフタレート)から選択される熱可塑性ポリエステル、好ましくはPETで構成可能である。
図1に示すように、支持要素11は、コンテナ部3における凹部として形成された下方突出要素である。また、支持要素11は、区画4と同様に、好ましくは区画4と同時に生成する。
図1の実施形態において、支持点または支持面12は、外接矩形に含まれ、当該外接矩形の角部が当該支持点または各面12の角部によって規定され、当該外接矩形の幾何学的中心と区画4の底部の外面の幾何学的中心とが一致する。区画4および支持要素11のこの特定の構成には、特に、外接矩形が長辺および短辺を有することから、コンテナ部3を容易に配向可能という利点がある。このことを利用して、たとえば外接矩形を反映した窪みをコンベヤに成形することにより、コンテナ部3を所定の向きでのみ受けることができる。さらに、支持要素11が底部9の外部に分布していることから、傾斜の危険性なく、コンテナ部3を表面上に配置可能である。
コンテナ部およびカバーに用いる材料
通常、コンテナ部(3)は、以下に適合したPET−GAGで構成されている。
・食品と接触する材料および物品の適合宣言
・2002/72/ECおよびその付則(食品と接触するプラスチック材料および物品に関する2002年8月6日のCOMMISSION DIRECTIVE 2002/72/EC)(現行10/2011/EC)
・1935/2004/EC(食品と接触する材料および物品に関する2004年10月27日のREGULATION(EC)No 1935/2004 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL)
・94/62/ECおよびその付則(パッケージおよびパッケージ廃棄物に関する1994年12月20日のEuropean Parliament and Council Directive 94/62/EC)
・CFR21第170〜199部に準拠
・USP<661>「物理化学試験」に適合
・DMF No 3764
・フタル酸エステル類フリー
・ISO 11607−1:2009(Packaging for terminally sterilized medical devices.Requirements for materials,sterile barrier systems and packaging systems)に適合
・ISO 9001認証
・BrC:IoP認証
通常、カバー7は、DuPontTM製のTyvek(登録商標)で構成されるとともに、以下に適合する。
・94/62/ECおよびその付則
・食品と接触する材料および物品の適合宣言
・2002/72/ECおよびその付則
・1935/2004/EC
・2023/2006/EC(食品と接触する材料および物品の適正製造基準に関する2006年12月22日のCOMMISSION REGULATION(EC)No 2023/2006)
・フタル酸エステル類フリー
・DMF No 1893
・CFR21第176.170(c)部に準拠
・ISO 11607−1:2009に適合
・ISO 13485:2003認証
コイル状被覆キャリアを含むバッグまたはポーチ
本明細書には、コイル状被覆キャリアを含み、1もしくは複数の防水材を含むバッグもしくはポーチまたはそれらから成るバッグもしくはポーチをさらに開示している。特に、本明細書には、1もしくは複数の防水材を含むバッグもしくはポーチまたはそれらから成るバッグもしくはポーチをさらに開示している。このバッグは、コラーゲン層および当該コラーゲン層の上のコーティング層を備えたコイル状コラーゲンキャリアを含む。コーティング層は、トロンビンおよびフィブリノゲンを含む。コイル状コラーゲンキャリアは、長手軸周りに当該コラーゲンキャリアが多重巻きされ、コーティング層が各外側巻部の外面を構成するように当該キャリアの少なくとも1つの外側巻部が配向した細長要素の形状を有する。また、コイル状コラーゲンキャリアは、形状安定であって、コイル状構成のコラーゲンキャリアを規定し、外側巻部が当該コラーゲンキャリアの断面における螺旋に沿って進行する。
上記バッグまたはポーチは、無菌であるのが好ましい。本発明の一実施形態において、コラーゲンは、適用に先立って、バッグまたはポーチ内に予めパッケージングされている。
上記バッグまたはポーチは、すべての辺で封止(たとえば、熱封止)することによって完全防水としてもよい。あるいは、上記バッグまたはポーチは、1または複数の端部または辺で開封することにより、コイル状コラーゲンキャリアを容易に取り出し可能となっていてもよい。あるいは、上記バッグまたはポーチは、切断により開封可能である。あるいは、フラップまたは剥離式フラップもしくはストリップ等を引っ張ることによって、容易に開封可能であってもよい。
本明細書において、「防水」材は、標準温度および圧力下で相対的に水の影響を受けない任意の材料または水もしくは水分の侵入に耐える任意の材料を表す。このような防水材を用いることによって、手術の準備中および/または手術中に本発明のコイル状/ロール状コラーゲンキャリアが血液等の液体に接触することを抑制または防止可能である。
本発明での使用に適した防水材の例としては、1もしくは複数のプラスチック(たとえば、PVCおよび/もしくはX線検出可能なプラスチック、ポリウレタン、またはポリウレタン被覆ナイロン)ならびに/またはアルミホイル等の柔軟ホイルが挙げられる。手術用プラスチックは、たとえば手術用ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、および手術用シリコンゴム材料等、適当な防水材の好適な一群である。この材料は、バッグまたはポーチの形態で操作を容易に行えるように、柔軟であるものとする。一部の例においては、透明PVCのような透明な手術用プラスチック等の透明防水材を用いてもよい。上記バッグまたはポーチは、無菌であるのが好ましい。
以上、具体的な実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、何ら提示の実施例に限定されるものと解釈すべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって設定される。各請求項の文脈において、用語「備える」または「含む」(comprisingまたはcomprises)は、他の考え得る要素またはステップを除外するものではない。また、「a」または「an」等の参照の言及は、複数を除外するものと解釈すべきではない。また、図面に示す要素に関し、各請求項において参照符号を使用しているが、これによって、本発明の範囲を限定するものと解釈しない。さらに、異なる請求項に記載の個々の特徴は、有利に組み合わせ可能であってもよく、異なる請求項におけるこれら特徴の言及は、特徴の組み合わせが不可能または不都合であることを除外するものではない。

Claims (24)

  1. パッケージ(1)であって、該パッケージ(1)は形状安定コイル状コラーゲンキャリアを含み、該形状安定コイル状コラーゲンキャリアは、コラーゲン層と、トロンビンおよびフィブリノゲンを含むコーティング層とを備え、長手軸周りに当該コラーゲンキャリアが多重巻きされ、前記コーティング層が各外側巻部の外面を構成するように少なくとも1つの当該外側巻部が配向した細長要素の形状を有する、パッケージ(1)において、
    前記コイル状コラーゲンキャリア(2)の少なくとも一部が含まれた区画(4)を有するコンテナ部(3)であって、当該区画(4)が当該コンテナ部(3)の上面(14)に設けられた開口(5)を有する、コンテナ部(3)と、
    前記開口(5)の周縁に位置する少なくとも1つの空洞(6)であって、前記区画(4)および前記上面(14)へと開口した、空洞(6)と、を備え、
    前記空洞(6)が、前記開口(5)の周縁の外部における前記上面(14)の位置から前記区画(4)の底部に向かって延びた壁部(6a)を備え、当該空洞の壁部が傾斜または湾曲して延びている、パッケージ(1)。
  2. 前記開口(5)が大略矩形状であって、当該開口の長さおよび幅が、前記コイル状コラーゲンキャリアの長さおよび直径よりもそれぞれ大きい、請求項1に記載のパッケージ。
  3. 空洞(6)が、前記開口(5)の短辺のうちの一方に位置する、請求項2に記載のパッケージ。
  4. 空洞(6)が、前記開口(5)の長辺のうちの一方に位置する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパッケージ。
  5. 前記パッケージの前記開口(5)を覆うカバー(7)を備えた、請求項1〜のいずれか一項に記載のパッケージ。
  6. 前記カバー(7)が、指の使用等により手動で取り外し可能なように前記コンテナ部(3)に取り付けられた、請求項に記載のパッケージ。
  7. 前記カバー(7)が、入熱溶接または接着によって、前記コンテナ部(3)の上面(14)に取り付けられた、請求項またはに記載のパッケージ。
  8. 前記カバー(7)が、前記開口(5)および前記空洞(6)を取り囲む前記コンテナ部(3)の外周縁(13)に沿って当該コンテナ部(3)に取り付けられた、請求項のいずれか一項に記載のパッケージ。
  9. 前記カバー(7)が、前記コンテナ部(3)に取り付けられていないプルタブ(7b)を有する、請求項のいずれか一項に記載のパッケージ。
  10. 前記カバー(7)が、気体および/または液体透過性である、請求項のいずれか一項に記載のパッケージ。
  11. 前記カバーが、医療用高密度ポリエチレン封止カバーホイルで構成された、請求項10に記載のパッケージ。
  12. 前記コンテナ部(3)がシート状であり、前記区画(4)および前記空洞(6)が当該シート中の凹部として形成された、請求項1〜11のいずれか一項に記載のパッケージ。
  13. 前記コンテナ部(3)が、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックで構成された、請求項1〜12のいずれか一項に記載のパッケージ。
  14. 前記コンテナ部(3)が、射出成形、ブロー成形、真空成形、または回転成形等により熱成形された、請求項1〜13のいずれか一項に記載のパッケージ。
  15. 前記コンテナ部(3)の上面(14)が水平であり、前記区画(4)が直方体状であって、水平な底部(9)、2つの側壁(7)、および端壁(8)を備えた、請求項1〜14のいずれか一項に記載のパッケージ。
  16. 前記底部(9)と前記側壁(7)および前記端壁(8)との交差部が、それぞれ丸みを帯びた、請求項15に記載のパッケージ。
  17. 前記空洞(6)が、前記上面(14)の水平高さから前記区画(4)の底部に向かって、当該区画(4)の高さの少なくとも半分ほどの位置等まで延びた、請求項15または16に記載のパッケージ。
  18. コイル状コラーゲンキャリアを含む前記コンテナ部(3)および前記カバー(7)が内部に配置された第2のコンテナ(10)をさらに備え、当該第2のコンテナ(10)が、液密材料で構成され、閉じると液密になる、請求項17のいずれか一項に記載のパッケージ。
  19. 前記第2のコンテナ(10)の内部かつコイル状コラーゲンキャリアを含む前記コンテナ部(3)および前記カバー(7)の外部に配置された乾燥剤をさらに備えた、請求項18に記載のパッケージ。
  20. 前記第2のコンテナ(10)が、コイル状コラーゲンキャリアを含む前記コンテナ部(3)、前記カバー(7)、および前記乾燥剤が内部に配置され、破るか引っ張って開けられるポーチの形態である、請求項18または19に記載のパッケージ。
  21. 前記第2のコンテナ(10)が、アルミニウムを含むホイルまたはアルミニウムから成るホイルで構成された、請求項1820のいずれか一項に記載のパッケージ。
  22. 前記コンテナ部(3)が、前記区画(4)の底部(9)の外面の下方または同じ高さにおける共通水平面内に分布した一連の支持点または支持面(12)を規定する1または複数の支持要素(11)をさらに備え、当該支持点または支持面(12)が当該底部(9)の外部に分布した、請求項1〜21のいずれか一項に記載のパッケージ。
  23. 前記支持要素(11)が、前記コンテナ部(3)における凹部として形成された下方突出要素である、請求項22に記載のパッケージ。
  24. 前記支持点または支持面(12)が外接矩形に含まれ、当該外接矩形の角部が、当該支持点または各面(12)の角部によって規定され、当該外接矩形の幾何学的中心と前記区画(4)の底部の外面の幾何学的中心とが一致した、請求項22または23に記載のパッケージ。
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