JP6242276B2 - レーダ装置 - Google Patents
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図1は、この発明の実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。
図1に示すレーダ装置は、空中線1、送信手段2、送受切替手段3、受信手段4、信号処理器5、表示器6を備える。また、信号処理器5は、行列変換手段101、周波数領域変換手段102、周波数方向積分手段103、隣接サンプル方向積分手段104、目標候補検出手段105、目標候補相対速度算出手段106を備えている。
まず、図1の構成を参照して送信RF信号を生成するまでの動作について説明する。ここでは、観測中に目標運動が変化する目標運動として、加速度目標として説明する。
送信手段2は、式(1)で表わされる一定周波数の局部発振信号L0(t)を生成する。送信手段2は、局部発振信号L0(t)を受信手段4に出力する。ここで、tは時刻、f0は送信周波数、Tpriはパルス繰り返し周期(PRI:Pulse Repetition Interval)、TLは送信信号送信時間(観測時間)、φ0は初期位相、ALは局部発振信号L0(t)の振幅を表わす。
図2(a)に等速目標のコヒーレント積分結果を示す。等速目標は、図2(a)左図に示すように、観測中、等速目標は一定速度を示す。図2(a)右図に示すように、時間領域の受信ビデオ信号に対して、周波数領域変換として、例えば高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を行った場合、等速目標は、目標相対速度vcに対応するドップラ周波数にコヒーレント積分され、SNRが向上する。従って、検出性能が向上する効果がある。
以降、本発明の加速度目標からの受信信号のSNR向上法について説明する。
図4の上図に示すように、観測中の加速度目標の位相変化は異なることが分かる。これは、目標の加速度に起因する速度変化である。従って、観測中の観測開始時刻付近と観測終了付近では速度が異なるため、位相変化が異なる。特に、区間401に示すように、時間差が大きいと位相変化は大きく異なる。一方、図4の下図に示すように、局所的に見ると、すなわち、隣接サンプルで見るとほぼ同じ位相変化をしていることが分かる(区間402)。行列変換手段101は、この特徴を利用して、コヒーレント積分を行うために、隣接サンプルの位相変化を一定として、受信ビデオ信号V(n)に対して式(8)に従って行列変換を行い、行列変換後の受信ビデオ信号VX(m,p)を生成する。ここで、mは隣接サンプル番号、Mは隣接サンプル数、mod(n,M)はサンプル番号nを隣接サンプル数Mで割った際の余り、floor(n/M)はサンプル番号nを隣接サンプル数Mで割った際の商の小数点以下を切り捨てた値、pは行列変換後のサンプル番号、Pはサンプル数(式(9))を示す。
行列変換手段101は、行列変換後の受信ビデオ信号VX(m,p)と隣接サンプル数Mを周波数領域変換手段102に出力する。また、行列変換手段101は、加速度aMを周波数方向積分手段103に出力する。
周波数領域変換手段102は、周波数領域変換後の受信ビデオ信号FVX(m,k)を周波数方向積分手段103に出力する。また、周波数領域変換手段102は、周波数領域変換後の受信ビデオ信号FVX(m,k)のサイドローブを抑圧する場合は、式(11)の前に窓関数処理(例えば、窓関数としてハミング窓)を行う。また、周波数領域変換手段102は、サンプル数Pよりも大きいFFT点数PFFTで周波数領域変換を行うことで、周波数領域変換後の受信ビデオ信号FVX(m,k)が高サンプリングされ、高精度のドップラ周波数つまり目標相対速度を算出することが可能になる。
まず、周波数方向積分手段103は、周波数領域変換後の受信ビデオ信号FVX(m,k)に対して式(12)に従う最大比合成法により、荷重を算出する。ここで、RXXは周波数領域変換後の受信ビデオ信号の相関行列(式(13))、λlは固有値、Wlは固有ベクトル、Xkはコヒーレント積分を行うために抽出した周波数領域後の受信ビデオ信号(式(14))、Hは複素共役転置である。
周波数方向積分手段103は、目標運動として加速度aMに基づき式(15)に従い荷重算出のために用いる周波数方向のサンプル数(積分数)Lを算出する。ただし、ΔvFFTは周波数領域の速度サンプル間隔(式(16))である。ここでは、目標運動として加速度を用いているが、他の目標運動でも良く、例えば、加速度に加えて、加速度変化(加加速度)を用いても良い。
図8(a)に示す周波数領域の受信ビデオ信号が、周波数方向積分手段103による周波数方向積分により、図8(b)に示す周波数方向積分後の受信ビデオ信号に示すように変換される。図8(b)に示すように、目標(区間801)は隣接サンプルの相関が大きいため、最適荷重がされ、周波数方向にコヒーレント積分され電力が効率良く向上するが、雑音(区間802)は隣接サンプルの相関が小さいため、最適荷重が算出されず、周波数方向にコヒーレント積分されないため、目標SNRが向上する効果がある(後述する図10参照)。
ここでは、固有値・固有ベクトルを用いて最大比合成法を適用したが、固有値・固有ベクトル(固有値展開)を用いたビームフォーマ等を適用しても良い。
図9(a)に示す周波数方向積分後の受信ビデオ信号FMRC(m,k)が、隣接サンプル方向積分手段104による隣接サンプル方向積分によって、図9(b)に示すように目標SNRが向上した隣接サンプル方向積分後の受信ビデオ信号FMRC,CI(k)を得ることが可能になり、検出性能向上が可能になる。すなわち、目標は、区間901に示すように、隣接サンプル方向積分によりコヒーレントに積分されるが、雑音は、区間902に示すように、隣接サンプル方向積分によりコヒーレントに積分されない。これにより、さらに目標SNR向上が可能となる。
また、隣接サンプル方向積分手段104は、隣接サンプル方向積分として式(22)に表わすインコヒーレント積分を用いても良い。位相情報を用いないインコヒーレント積分では、SNRは変化しないが、雑音部分が平均化されるため、検出性能向上が可能になる効果がある。
図11に示すように、目標候補として、目標のみでなく、雑音が検出された場合の対策として、目標候補検出手段105は、式(23)に従い高次モーメントとして目標候補番号ntの歪度K(nt)を算出する。ここで、Ntは目標候補数、v(k)はサンプリング番号kの相対速度、μi(nt)は式(24)〜式(26)で表わされる。
目標候補検出手段105は、算出した歪度に基づき、目標候補を判別する。例えば、歪度が最も0に近いものを目標候補として、目標候補とする。
目標候補のスペクトラムから算出する高次モーメントを用いて、目標候補を判別するため、誤検出の低減する効果がある。
また、ここでは、高次モーメントとして歪度を用いて説明したが、他の高次モーメントを用いても良い。また、複数の高次モーメントを用いても良い。
目標候補相対速度算出手段106は、目標相対速度vtgtを表示器6へ出力する。
表示器6は、処理結果として目標相対速度vtgtを画面上に表示する。
図12は、実施の形態2によるレーダ装置を示す構成図である。
実施の形態2のレーダ装置は、空中線1、送信手段2、送受切替手段3、受信手段4、信号処理器5a、表示器6を備える。ここで、信号処理器5a以外の構成は実施の形態1と同様であるため、信号処理器5a以外の説明は省略する。
周波数方向および隣接サンプル方向積分手段107には、周波数領域変換手段102から周波数領域変換後の受信ビデオ信号FVX(m,k)が入力される。
周波数方向および隣接サンプル方向積分手段107は、周波数領域変換手段102と同様に周波数領域変換後の受信ビデオ信号FVX(m,k)から式(12)に従い周波数方向の荷重Wl,max=(w0,w1,…,wL−1)を算出する。
周波数方向および隣接サンプル方向積分手段107は、式(28)に従い周波数領域変換後の受信ビデオ信号FVX(m,k)に対して周波数方向の荷重Wl,max=(w0,w1,…,wL−1)を乗算し、周波数方向荷重後後の受信ビデオ信号FMRC’(k,m,k+l)を生成する。
ここでは、周波数方向と隣接サンプル方向の計算をそれぞれ1回行ったが、さらに複数繰り返すことで、より目標SNRが向上する効果がある。
実施の形態2は、荷重計算、荷重の乗算は周波数方向の後に隣接サンプル方向の処理を示したが、順番は逆でも良い。
周波数方向および隣接サンプル方向積分手段107は、周波数方向と隣接サンプル方向積分後の受信ビデオ信号を目標候補検出手段105に出力する。以降の動作は実施の形態1と同様である。
図13は、実施の形態3のレーダ装置を示す構成図である。
実施の形態3のレーダ装置が実施の形態1と異なるのは、信号処理器5bにおける周波数方向積分手段103aと隣接サンプル方向積分手段104aの構成であるため、それ以外の部分については同一符号を付してその説明を省略する。
周波数方向積分手段103aは、図14に示すように相関行列RXXを用いて、式(30)に従い荷重Wm’,lを算出する。実施の形態1では、相関行列と固有値−固有ベクトルの関係を用いて荷重算出を行うため、固有値分解する必要があり、演算量が大きくなる可能性がある。これに対し、式(30)は相関行列RXXと周波数領域変換後の受信ビデオ信号(複素共役)FVX*(m’,k)の内積で荷重算出が可能なため、演算量を低減する効果がある。
式(30)は隣接サンプル数分だけの荷重値を算出しているが、隣接サンプル番号m’のどれかを代表値として算出しても良い。より演算量の低減が可能になる。
隣接サンプル方向積分手段104aには、周波数方向積分後の受信ビデオ信号FMRC’(m’,m,k)が入力される。すなわち、隣接サンプル番号m’の周波数方向積分後の受信ビデオ信号が入力される。
隣接サンプル方向積分手段104aは、図16に示すように周波数方向積分後の受信ビデオ信号FMRC’(m’,m,k)に対し、隣接サンプル番号m’に従い、それぞれ隣接サンプル方向の位相補償を行った後、隣接サンプル方向に複素積分を行い、隣接サンプル方向積分後の受信ビデオ信号FMRC,CI’(m’,k)を生成する。
隣接サンプル方向積分手段104aは、隣接サンプル数分の隣接サンプル方向積分後の受信ビデオ信号FMRC,CI’(m’,k)をインコヒーレント積分することで、雑音が平均化され、検出性能向上が可能になる。
隣接サンプル方向積分手段104aは、インコヒーレント積分された隣接サンプル方向積分後の受信ビデオ信号FMRC,CI,I’(k)を目標候補検出手段105に出力する。
図17は、実施の形態4のレーダ装置を示す構成図である。実施の形態4の信号処理器5cは、行列変換手段101、周波数領域変換手段102a、目標候補検出手段105、目標候補相対速度算出手段106、時間方向荷重手段108を備えている。ここで、周波数領域変換手段102aと時間方向荷重手段108以外の構成については、図1に示した実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
時間方向荷重手段108には、行列変換手段101から行列変換後の受信ビデオ信号VX(m,p)が入力される。
時間方向荷重手段108は、行列変換後の受信ビデオ信号VX(m,p)を式(33)として扱い、式(34)に従い相関行列RXX”を生成する。ここで、Xは行列変換後の受信ビデオ信号VX(m,p)を転置したものであり、全観測時間の行列変換後の受信ビデオ信号である。
時間方向荷重手段108は、位相補償後の受信ビデオ信号VX,φ”(n)を周波数領域変換手段102aに出力する。
周波数領域変換手段102aは、周波数領域変換後の受信ビデオ信号FVX,φ”(n)を目標候補検出手段105に出力する。目標候補検出手段105は、周波数領域変換後の受信ビデオ信号FVX,φ”(n)の強度に基づいて目標候補を検出する。
Claims (16)
- 送信信号を空間に放射する送信手段と、
目標で反射して戻った前記送信信号を受信信号として受信する受信手段と、
前記受信信号に対して、隣接サンプルの位相に基づき、当該受信信号を行列に変換する行列変換手段と、
前記行列変換後の受信信号を周波数領域に変換する周波数領域変換手段と、
前記周波数領域に変換した受信信号の荷重係数を算出し、当該荷重係数に基づき前記周波数領域に変換した受信信号を荷重した後、周波数方向にコヒーレント積分する周波数方向積分手段と、
前記周波数方向積分後の受信信号に対して、隣接サンプル方向に積分する隣接サンプル方向積分手段と、
前記隣接サンプル方向積分後の受信信号の強度に基づき目標候補を検出する目標候補検出手段とを備えたことを特徴とするレーダ装置。 - 前記行列変換手段は、隣接サンプル数を算出して行列変換を行うことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記周波数方向積分手段は、最大比合成法を用いて荷重係数を算出することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記周波数方向積分手段は、相関行列を用いて荷重係数を算出することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記周波数方向積分手段は、目標運動に基づき周波数方向積分数を算出することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記隣接サンプル方向積分手段は、隣接サンプル方向積分としてインコヒーレント積分を行うことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記隣接サンプル方向積分手段は、隣接サンプル方向積分として、前記周波数方向積分手段から得られる周波数方向積分後の受信信号に対して、当該周波数方向積分後の受信信号の隣接サンプル方向の位相に基づき、コヒーレント積分を行うことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記隣接サンプル方向積分手段は、前記隣接サンプル方向のコヒーレント積分として、複素積分を行うことを特徴とする請求項7記載のレーダ装置。
- 前記隣接サンプル方向積分手段は、前記隣接サンプル方向のコヒーレント積分として、フーリエ変換を行うことを特徴とする請求項7記載のレーダ装置。
- 前記隣接サンプル方向積分手段は、隣接サンプル方向積分後の受信信号の積分を加えて行うことを特徴とする請求項7記載のレーダ装置。
- 送信信号を空間に放射する送信手段と、
目標で反射して戻った前記送信信号を受信信号として受信する受信手段と、
前記受信信号に対して、隣接サンプルの位相に基づき、当該受信信号を行列に変換する行列変換手段と、
前記行列変換後の受信信号を周波数領域に変換する周波数領域変換手段と、
前記周波数領域に変換した受信信号を用いて、周波数方向の荷重係数を算出すると共に、当該算出した荷重係数に基づき周波数領域の受信信号を荷重し、かつ、当該周波数方向荷重後の受信信号を用いて、隣接サンプル方向の荷重係数を算出すると共に、当該算出した隣接サンプル方向の荷重係数に基づき隣接サンプル方向に荷重する処理を1回または複数回行い、周波数方向及び隣接サンプル方向をコヒーレント積分する周波数方向および隣接サンプル方向積分手段と、
前記隣接サンプル方向積分後の受信信号の強度に基づき目標候補を検出する目標候補検出手段とを備えたことを特徴とするレーダ装置。 - 送信信号を空間に放射する送信手段と、
目標で反射して戻った前記送信信号を受信信号として受信する受信手段と、
前記受信信号に対して、隣接サンプルの位相に基づき、当該受信信号を行列に変換する行列変換手段と、
前記行列変換後の受信信号を用いて、時間方向の行列変換後の受信信号の荷重を算出し、当該算出した荷重係数に基づき時間方向荷重後の受信信号を生成する時間方向荷重手段と、
前記時間方向荷重後の受信信号を周波数領域に変換する周波数領域変換手段と、
前記周波数領域変換後の受信信号の強度に基づき目標候補を検出する目標候補検出手段とを備えたことを特徴とするレーダ装置。 - 前記目標候補検出手段は、高次モーメントを用いて目標候補を検出することを特徴とすることを特徴とする請求項1または請求項12記載のレーダ装置。
- 前記目標候補検出手段の後段側に目標候補の相対速度を算出する目標候補相対速度算出手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項12記載のレーダ装置。
- 前記周波数領域変換手段は、周波数領域の信号のサイドローブを抑圧するための窓関数処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項12記載のレーダ装置。
- 前記周波数領域変換手段は、前記受信信号の信号点数よりも大きい点数で周波数領域に変換する処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項12記載のレーダ装置。
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