JP6240970B2 - 誘導加熱方法 - Google Patents
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Description
第1の電源により高周波電力と第1の周波数の低周波電力とを供給し、第2の電源により前記第1の周波数とは異なる第2の周波数の低周波電力を供給し、前記第1の電源と前記第2の電源とから前記誘導加熱コイルに電力を供給する際、
切替手段を用いて、
前記第1の電源により、前記高周波電力と前記第1の周波数を有する低周波電力を時分割で給電するか、又は、前記第1の電源により前記高周波電力と前記第2の電源により第2の周波数を有する低周波電力とを重畳して給電することを特徴とする。
第1の電源用出力切替器をONにし、第2の電源用出力切替器をOFFにし、高周波用入力切替器及び低周波用入力切替器をONにし、誘導加熱コイルに対し、第1の電源から高周波電力と第1の周波数の低周波電力とを時分割で給電し、高周波電力及び第1の周波数の低周波電力の出力時間に対する高周波電力の出力時間の比率を調整することにより、ワークの凹部及び凸部の各加熱温度を調整するか、
或いは、第1の電源用出力切替器をONにし、第2の電源用出力切替器をONにし、高周波用入力切替器及び低周波用入力切替器をONにし、誘導加熱コイルに対し、第1の電源から高周波と第2の電源から第2の周波数の低周波とを重畳して給電し、高周波電力と第2の周波数の低周波電力の電力比を制御することにより、ワークの凹部及び凸部の各加熱温度を調整してもよい。
ワークは、基部に対して凹部と凸部を繰り返して設けられ、ワークの凹部と凸部が、該ワークの内周面又は外周面に形成されていてもよい。
基部が円環状のリング部であり、リング状の誘導加熱コイルに対して電力を供給する際、リング部をプレスしてもよい。
図1は、本発明の実施形態に係る誘導加熱方法を実施する際に用いられる誘導加熱システムの構成図である。本発明の実施形態に係る誘導加熱システム1は、図1に示すように、誘導加熱機10と、第1の電源21及び第2の電源26とからなる電源系20(図3、図4参照)と、電源系20と誘導加熱機10との間に介在して接続を切り替える切替手段30と、を備える。切替手段30は、第1の電源21に接続される第1の電源用出力切替器31と、第2の電源26に接続される第2の電源用出力切替器32と、誘導加熱機10の入力側に接続される高周波用入力切替器33及び低周波用入力切替器34とから構成される。
誘導加熱機10は、高周波用電流変成器11と低周波用電流変成器12と加熱コイル13と加熱機制御部14とを備える。
電源系20は、第1の電源21と第2の電源26とからなる。
第1の電源21は、出力周期に対する高周波と低周波の出力時間の比を変えて、異なる周波数の各電力を出力する。第1の電源21は、例えば200kHzという高周波と、例えば10kHzの低周波を短時間で交互に出力する。第1の電源21は、或る時間(「出力周期」と呼ぶ。)Tの間において高周波と低周波との出力割合を0以上100%以下の間で調整する。図2は、第1の電源21から出力される波形を模式的に示す図である。横軸は時間であり、縦軸は、低周波占有率DT、出力強度である。図2に示すように、例えば100m秒という出力周期Tにおいて、時間tLでは低周波を出力し、時間tHでは高周波を出力する。低周波占有率とは、出力周期において第1の電源21から出力される電圧、電流であって、低周波のみが出力される場合を低周波占有率100%とし、高周波のみが出力される場合を低周波占有率0%としている。出力周期TはtLとtHとの和であり、出力周期Tに対して低周波のみが出力される時間tLの割合tL/Tを出力比と呼び、tL/Tを0から1の範囲で任意に設定することができる。この出力比は低周波のデューティ比である。なお、高周波のデューティ比は1から低周波のデューティ比を引いた値で定義される。よって、出力割合を0%に設定して第1の電源21を高周波のみ出力させるようにしてもよいし、出力割合を100%に設定して第1の電源21を低周波のみ出力させるようにしてもよい。
切替手段30は、第1の電源21及び第2の電源26の電源系20と誘導加熱機10との間の接続を切り替えるものであって複数の切替器からなる。切替手段30は、第1の電源21の低周波用出力端子に接続される第1の電源用出力切替器31と、第2の電源26の出力端子に接続される第2の電源用出力切替器32と、誘導加熱機10における高周波用入力切替器33及び低周波用入力切替器34とを備え、切替制御部35がこれらの各切替器31〜34のON、OFF制御を統括的に行う。
低い周波数ではワークの表面から深い領域まで渦電流が流れ、高い周波数ではワークの表面近傍、即ち浅い領域にしか渦電流が流れない。この表皮効果に基いて焼入れ、焼戻しなどの各種の誘導加熱処理において、周波数の違いにより硬化層の深さを制御することができる。本明細書においては、この効果のことを周波数効果と呼ぶことにする。実際に誘導加熱処理を行う際には、電源として、最適な硬化層の厚みが得られるように適切な周波数を出力するものを選択している。
次に、図1に示す誘導加熱システム1において、切替制御部35が第1の電源用出力切替器31をONにし、第2の電源用出力切替器32をOFFにし、誘導加熱機10Aにおける高周波用入力切替器33及び低周波用入力切替器34をONにした場合において、電源系20と加熱コイル13との間の回路構成についてさらに詳細に説明する。
図5及び図6は、図1の誘導加熱機の例としてプレス熱処理装置の構成を示すもので、図5は図6のX−X線に沿う概略断面図、図6は図5のY−Y線に沿う概略断面図である。図7は熱処理が施されるワークを示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。ワーク70は、基部としての円環状のリング部71の内周部に凹部72と凸部73とを交互に設けて構成されている。プレス熱処理装置40は、ワーク70をプレスしながら誘導加熱コイルの回りに回転させながら誘導加熱する。
電源系20として、図3に示すような回路を構成するように、第1の電源用出力切替器31、高周波用入力切替器33及び低周波用入力切替器34をONにし、第2の電源用出力切替器42をOFFとした。第1の電源21から低周波と高周波とを用い、10kHzの低周波占有率を0%、65%、80%とした。誘導電流を流す時間を1.5秒とし、その後、0.2秒の動作時間冷却した。実施例では、材質S55C、肉厚1.5mmで歯先内直径172.8mmの円環状のワークを用いた。プレス熱処理装置40を用いてワーク70を100kgで荷重をかけた。
実施例1として低周波占有率が0%、つまり高周波のみで誘導加熱すると、歯先の温度が約1075℃であったが、歯底が約975℃であった。
実施例2として低周波占有率が65%、つまり低周波を65%、高周波を35%で誘導加熱すると、歯先の温度が約1030℃であったが、歯底が約975℃であった。
実施例3として低周波占有率が80%、つまり低周波を80%、高周波を20%で誘導加熱すると、歯先の温度が約940℃であったが、歯底が約975℃であった。
2:商用電源
10:誘導加熱機
11:高周波用電流変成器
11a:一次巻線
11b:二次巻線
11c:コンデンサ
11d、11e:コイル
12:低周波用電流変成器
12a:一次巻線
12b:二次巻線
12c:タップ
12d:コア
12e,12f:リアクタンス
13:加熱コイル
14:加熱機制御部
20:電源系
21:第1の電源
21a:変換部
21b:逆変換部
21c:インバータ制御部
21d:ハイパスフィルタ
21e:ローパスフィルタ
21x:電源制御部
26:第2の電源
26a:変換部
26b:逆変換部
26c:インバータ制御部
26x:電源制御部
30:切替手段
31:第1の電源用出力切替器
32:第2の電源用出力切替器
33:高周波用入力切替器
34:低周波用入力切替器
35:切替制御部
40:プレス熱処理装置
40A:挟持手段
40B:押圧手段
40C:回転駆動手段
41:ベースプレート
42:補助リフト部
43:ガイド部
44:第1プレート部
45:下側押圧部
45a:ピストンロッド
46:第2プレート部
46a:円環状リング
47:クロスローラーリング
48:下側挟持部
48a:窪み
49:ギア
50:上側挟持部
50a:円筒体
50b:円盤部
50c:ベアリング支持部
51:支持手段
52:ポスト
53:第3プレート部
54:上下駆動手段
54a:エアシリンダ
54b:ピストンロッド
55:可動プレート部
56:上下動ポスト
57:ベアリング
61:ユニット
62:プレート
63:駆動ギア
64:回転軸部
70:ワーク
71:リング部(基部)
72:凹部
73:凸部
80:コイルヘッド
81:誘導加熱コイル
82:噴射口
Claims (7)
- ワークに対し誘導加熱コイルを配置し、
前記誘導加熱コイルに対し、
第1の電源により高周波電力と第1の周波数の低周波電力とを供給し、
第2の電源により前記第1の周波数とは異なる第2の周波数の低周波電力を供給し、
前記第1の電源と前記第2の電源とから前記誘導加熱コイルに電力を供給する際、
切替手段を用いて、
前記第1の電源により前記高周波電力と前記第1の周波数の低周波電力を時分割で給電するか、又は、
前記第1の電源により前記高周波電力と前記第2の電源により第2の周波数の低周波電力とを重畳して給電する、誘導加熱方法。 - 前記切替手段は、前記第1の電源の低周波用出力端子に接続される第1の電源用出力切替器と、前記第2の電源の出力端子に接続される第2の電源用出力切替器と、高周波用入力切替器及び低周波用入力切替器とを備える、請求項1に記載の誘導加熱方法。
- 前記第1の電源用出力切替器をONにし、
前記第2の電源用出力切替器をOFFにし、
前記高周波用入力切替器及び前記低周波用入力切替器をONにし、
前記誘導加熱コイルに対し、前記第1の電源から前記高周波電力と前記第1の周波数の低周波電力とを時分割で給電し、
前記高周波電力及び前記第1の周波数の低周波電力の出力時間に対する前記高周波電力の出力時間の比率を調整することにより、前記ワークの凹部及び凸部の各加熱温度を調整する、請求項2に記載の誘導加熱方法。 - 前記第1の電源用出力切替器をONにし、
前記第2の電源用出力切替器をONにし、
前記高周波用入力切替器及び前記低周波用入力切替器をONにし、
前記誘導加熱コイルに対し、前記第1の電源から前記高周波電力と前記第2の電源から前記第2の周波数の低周波電力とを重畳して給電し、
前記高周波電力と前記第2の周波数の低周波電力の電力比を制御することにより、前記ワークの凹部及び凸部の各加熱温度を調整する、請求項2に記載の誘導加熱方法。 - 前記ワークが、基部に対して凹部と凸部を繰り返して設けてなる、請求項1〜4の何れかに記載の誘導加熱方法。
- 前記基部が円環状のリング部であり、
リング状の前記誘導加熱コイルに対して電力を供給する際、前記リング部をプレスする、請求項5に記載の誘導加熱方法。 - 前記ワークの前記凹部と凸部が、該ワークの内周面又は外周面に形成されている、請求項3〜6の何れかに記載の誘導加熱方法。
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