1.ナビゲーションシステムの構成
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係るナビゲーションシステム1は、車両に搭載されたナビゲーション装置等の車載端末装置2と、複数の車載端末装置2と通信可能に設けられた管理サーバ4とにより構成されている。このナビゲーションシステム1では、複数の車載端末装置2が、無線基地局(図示せず)を介して、インターネット等の通信網3に接続されている。車載端末装置2と無線基地局との間の無線通信は、例えば携帯電話網や無線LAN(Local Area Network)等を利用して行うことができる。また、管理サーバ4も、通信網3に接続されている。なお、ナビゲーションシステム1のナビゲーションプログラムは、車載端末装置2の記憶装置34や管理サーバ4の記憶装置50に記憶されている。また、ナビゲーションプログラムは、DVD−ROMやフラッシュメモリなどの記憶媒体に記憶されて配布されたり、ネットワークサーバから通信網3を介して車載端末装置2や管理サーバ4に配信されたりする。配布又は配信されたナビゲーションプログラムは、車載端末装置2の記憶装置34や管理サーバ4の記憶装置50に記憶される。
本実施形態では、各車載端末装置2は、各車両が通行した道路の履歴と当該道路を通行した時刻の履歴とを含む通行履歴データTを生成し、当該通行履歴データTを、一種のプローブ情報として管理サーバ4に送信する。管理サーバ4は、複数の車載端末装置2から収集された当該複数の車載端末装置2のそれぞれの通行履歴データTの情報を用いて、各車載端末装置2のユーザ(以下、単にユーザとする)が頻繁に通行するルートである通常通行ルートをユーザ毎に設定する。本実施形態におけるユーザは、ナビゲーションシステム1による案内を受ける対象であり、車両に乗っているユーザの他に、自転車に乗っているユーザや徒歩のユーザ等も含む。そして、管理サーバ4は、ユーザにより目的地が指定されたことによる案内ルートが設定されていない場合に、通常通行ルートに関する交通情報等の案内を行う。また、管理サーバ4は、当該通常通行ルートと始点及び終点が共通であり当該通常通行ルートとは異なる別ルートをユーザにとって最適ルートであると決定した場合であって、当該最適ルートの渋滞状況が比較的良好であると判定した場合には、当該最適ルートの通行を推奨する旨の案内情報を車載端末装置2に提供する。
車載端末装置2の自位置情報取得部21、車載側演算部22、通行履歴データ生成部23、出力制御部24、車載側通信制御部25、計時部26と、管理サーバ4のサーバ側通信制御部41、通行履歴データ取得部42、サーバ側演算部43、通常通行ルート設定部44、交通情報取得部45、候補ルート抽出部46、最適ルート決定部47、渋滞情報履歴データ生成部48とが、本発明の「演算処理部」に相当する。なお、以下では、図1に示すような、ユーザPの車載端末装置2の構成と管理サーバ4の構成とについて説明する。
2.車載端末装置の構成
図1に示すように、車載端末装置2は、自位置情報取得部21、車載側演算部22、通行履歴データ生成部23、出力制御部24、車載側通信制御部25、計時部26を備えている。これらの各機能部は、入力されたデータに対して種々の処理を行うための演算部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により構成されている。また、車載端末装置2は、位置情報検出装置31、表示入力装置32、音声出力装置35、通信インターフェース33に接続されている。これらは、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。なお、車載端末装置2は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置34、及びRAM(Random Access Memory)等の一時記憶装置等、汎用コンピュータと同様のハードウェア構成を含んで構成されている。
自位置情報取得部21は、車載端末装置2が搭載されている車両の現在位置を示す自位置情報を取得する機能部である。本実施形態では、自位置情報取得部21は、位置情報検出装置31から定期的(例えば、1秒単位)に自位置情報を取得して、記憶装置34に記憶させる。また、自位置情報取得部21は、現在の年月日及び時刻を計時する計時部26から、当該自位置情報を取得した際の年月日及び時刻情報を取得し、併せて記憶装置34に記憶させる。自位置情報取得部21は、取得した自位置情報を車載側演算部22にも出力する。
位置情報検出装置31は、車載端末装置2の現在位置、速度、及び加速度を検出する機能を有する。具体的には、位置情報検出装置31は、GPS(Global Positioning System)受信機や、距離センサ(速度センサ)や、加速度センサや、方位センサや、道路に沿って設置されたビーコンから発信される地点位置情報を含む電波や光を受信する受信機などの位置情報を検出するための各種装置を備えている。そして、位置情報検出装置31は、当該検出した自位置情報を自位置情報取得部21へ出力する。
車載側演算部22は、各種のナビゲーション処理を実行する機能部である。本実施形態では、管理サーバ4側の演算部であるサーバ側演算部43(後述)が、各車載端末装置2の出発地から目的地までの経路探索、目的地までの案内経路の探索、及び提供する情報の決定等の各種のナビゲーション処理の主要な部分を実行する構成である為、車載端末装置2側の演算部である車載側演算部22は案内情報の出力等の補助的なナビゲーション処理を実行する。また、車載側演算部22は、地図画像や目的地入力画面等、ナビゲーション処理に必要な各種の画像を生成して、出力制御部24を介して表示入力装置32の表示画面(図示せず)に表示させ、或いは、経路案内等に必要な案内音声データを生成して、音声出力装置35を介して案内音声を出力させる等の処理を行う。また、車載側演算部22は、地図表示処理等を行う際に、記憶装置34に設けられた地図データベース(図示しない)を参照する。なお、当該地図データベースに格納されている地図データは、管理サーバ4に設けられた地図データベースに格納されている地図データに対応している。出力制御部24は、表示入力装置32の表示画面への表示画像を描画制御すると共に、音声出力装置35を制御する機能部である。表示入力装置32は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置とタッチパネル等の入力装置とが一体となった装置である。音声出力装置35は、例えばスピーカ等により構成することができる。
車載側演算部22は、自位置情報取得部21から自位置情報を取得した場合には、当該車載端末装置2の自位置を、表示入力装置32の表示画面に表示されている地図に重ねて表示させる。また、車載側演算部22は、表示入力装置32等を介して目的地が入力されると、当該目的地が入力された時点の自位置情報を自位置情報取得部21から取得し、当該入力された目的地情報と併せて管理サーバ4へ送信する。そして、車載側演算部22は、管理サーバ4にて探索された当該目的地までの経路案内情報等を取得すると、出力制御部24を介して、表示入力装置32の表示画面上に経路案内情報を表示させ、更には、音声出力装置35により案内音声を出力させる。
また、車載側演算部22は、案内ルートが設定されていない場合には、非案内時提供情報の取得を要求する非案内時提供情報要求を管理サーバ4へ送信する。本実施形態では、車載側演算部22は、位置情報検出装置31等により車両が走行開始(ユーザが移動開始)したことを検知したにもかかわらず案内ルートが設定されていない場合に、非案内時提供情報要求を管理サーバ4へ送信する。その際に、車載側演算部22は、当該車両の走行開始を検知した時刻の情報を計時部26から取得し、当該時刻の情報も非案内時提供情報要求と併せて管理サーバ4へ送信する。ここで、非案内時提供情報は、管理サーバ4にてユーザ毎に設定された通常通行ルートに関する情報及び最適ルートの通行を推奨する旨の案内情報を含む。通常通行ルートに関する情報には、当該通常通行ルートを構成する道路(リンク)の各種交通情報(例えば、渋滞情報や通行規制情報等)が含まれている。また、非案内時提供情報には、通常通行ルート自体の情報、すなわち、通常通行ルートを構成するリンク情報や、最適ルートを構成する道路(リンク)の情報や当該道路の渋滞情報等が含まれていてもよい。
そして、車載側演算部22は、非案内時提供情報要求を受けた管理サーバ4から送信される非案内時提供情報を取得すると、当該非案内時提供情報を、出力制御部24を介して表示入力装置32の表示画面に表示させて、或いは、音声出力装置35を介して案内音声を出力させてユーザに対する案内を行う。具体的には、車載側演算部22は、非案内時提供情報が通常通行ルートを構成する道路の各種交通情報である場合には、表示入力装置32の表示画面に通常通行ルートを表示すると共に、当該通常通行ルートに重ねて渋滞の発生箇所等を表示する。また、非案内時提供情報が、最適ルートの通行を推奨する案内情報である場合には、表示入力装置32の表示画面に最適ルートを表示させると共に、表示画面上の地図が表示されている領域とは別領域に設けられた枠内に「表示されたルートもスムーズに通行することができます」等の案内文を表示させる。また、車載側演算部22は、音声出力装置35を介して、通常通行ルート上の渋滞の発生箇所等を知らせる案内音声や「表示されたルートもスムーズに通行することができます」等の案内音声を出力してユーザに対する案内を行ってもよいし、表示画面への表示と案内音声の出力との双方によりユーザに対する案内を行ってもよい。一方、車載側演算部22は、途中で案内ルートが設定された場合には、非案内時提供情報要求の管理サーバ4への送信処理、非案内時提供情報の表示画面への表示処理及び案内音声の出力処理等を中止して、通常のルート案内処理を行う。
通行履歴データ生成部23は、ユーザが通行した道路の履歴と当該道路を通行した時刻の履歴とを含む通行履歴データTを生成する機能部である。本実施形態では、通行履歴データ生成部23は、記憶装置34に記憶されている自位置情報とそれに対応づけられた時刻情報とに基づいて、ユーザが通過したリンクの情報と当該リンクに進入した時刻の情報とを互いに対応づけて通行履歴データTを随時生成する(図2参照)。そして、通行履歴データ生成部23は、当該生成した通行履歴データTを記憶装置34に随時格納する。
車載側通信制御部25は、管理サーバ4との間の情報の送受信を制御する機能部である。車載側通信制御部25は、予め定められたタイミングで、記憶装置34に記憶された通行履歴データTを管理サーバ4へ送信する処理を行う。本実施形態では、車載側通信制御部25は、随時格納される通行履歴データTを、通信インターフェース33を介して、随時或いは一定間隔で管理サーバ4へ送信する。また、車載側通信制御部25は、イグニッションキー(図示しない)がOFF状態となったことを検知すると、当該イグニッションキーがOFF状態となるまでの間(前回イグニッションキーがON状態となってから当該イグニッションキーがOFF状態となるまでの間の一走行)に生成された通行履歴データTを、管理サーバ4へ送信する構成であってもよい。なお、通信インターフェース33としては、専用の通信モジュールを用いても良いし、携帯電話端末等の汎用通信機器を利用しても良い。また、各車載端末装置2には、複数のユーザ(車載端末装置2)のそれぞれを識別するための識別情報(本例では、ユーザID)が付与されている。車載端末装置2(車載側通信制御部25)が通行履歴データTや非案内時提供情報要求等を管理サーバ4へ送信する際には、ユーザIDの情報が併せて送信される。
3.管理サーバの構成
図1に示すように、管理サーバ4は、サーバ側通信制御部41、通行履歴データ取得部42、サーバ側演算部43、通常通行ルート設定部44、交通情報取得部45、候補ルート抽出部46、最適ルート決定部47、渋滞情報履歴データ生成部48を備える。これらの各機能部は、入力されたデータに対して種々の処理を行うための演算部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により構成されている。また、管理サーバ4は、CPU等の演算処理装置、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置50、及びRAM等の一時記憶装置等、汎用コンピュータと同様のハードウェア構成を含んで構成されている。また、記憶装置50には地図データベースDが設けられている。地図データベースDには、地図データと、当該地図データを構成する道路ネットワークの情報が格納されている。具体的には、地図データには、複数のノードと各ノード間を接続する道路に対応する複数のリンクとにより構成される道路ネットワークデータが含まれる。地図データは、サーバ側演算部43により、経路探索処理等の実行の際に参照される。
サーバ側通信制御部41は、各車載端末装置2との間の情報の送受信を制御する機能部である。サーバ側通信制御部41は、各車載端末装置2へ情報を送信する際には、各車載端末装置2のユーザIDに基づいて行う。なお、管理サーバ4は、図示しない通信インターフェースを介して、各車載端末装置2との間で情報の送受信を行う。
通行履歴データ取得部42は、車載端末装置2から通行履歴データTを取得する機能部である。本実施形態では、通行履歴データ取得部42は、車載端末装置2(車載側通信制御部25)から取得した通行履歴データTを、当該通行履歴データTに対応づけられているユーザIDに基づいて、記憶装置50の通行履歴データテーブルHにユーザ毎に蓄積する。通行履歴データテーブルHの一例を図2に示す。図2に示すように、通行履歴データテーブルHでは、通行履歴データTに含まれるリンク通過時間の早い順に並んでいる。なお、図2の例では、予め定められた期間内(直近1カ月以内)(例えば、2013/8/5〜2013/9/5)の通行履歴データTを抽出したものを表示している。
サーバ側演算部43は、各車載端末装置2の出発地から目的地までの経路探索、目的地までの案内経路の探索、及び提供する情報の決定等の各種のナビゲーション処理の主要な部分を実行する機能部である。本実施形態では、サーバ側演算部43は、目的地情報及び自位置情報を車載端末装置2から取得すると、地図データベースDを参照して、当該車載端末装置2の現在の自位置から目的地までの経路探索の処理を実行し、目的地までの経路案内情報をサーバ側通信制御部41を介して当該車載端末装置2へ送信する。また、サーバ側演算部43は、非案内時提供情報要求及び車両の走行開始時刻情報を車載端末装置2から取得すると、通常通行ルート設定部44に非案内時提供情報要求があった旨及び走行開始時刻情報を出力して、通常通行ルートLを設定させる。
また、サーバ側演算部43は、車載端末装置2からの非案内時提供情報要求に応じて、非案内時提供情報をサーバ側通信制御部41を介して車載端末装置2へ送信する処理も実行する。本実施形態では、サーバ側演算部43は、ユーザに対して案内を行う案内ルートが設定されていない場合であって、最適ルートS(後述)が決定されている場合には、当該最適ルートSに関する渋滞情報を取得し、当該渋滞情報が予め定められた案内判定条件を満たす場合には、最適ルートSの通行を推奨する案内情報を提供する最適ルート案内処理を実行する。以下に、サーバ側演算部43の具体的な処理について説明する。サーバ側演算部43は、非案内時提供情報要求及び車両の走行開始時刻情報を車載端末装置2から取得すると、ユーザIDに基づいて、当該車両の走行開始時刻(例えば、午前8時10分等)が含まれる時間帯(例えば午前8時から午前9時)の通常通行ルートLの情報を記憶装置50から取得すると共に、当該通常通行ルートLに対応づけられた最適ルートSの情報(リンク情報)が記憶装置50に記憶されているか否かを確認する。記憶装置50に当該最適ルートSの情報が記憶されている場合には、サーバ側演算部43は、更に、当該最適ルートSの情報と案内判定条件の情報とを記憶装置50から取得する。
ここで、案内判定条件とは、最適ルートSの通行を推奨するか否かを判定する為の条件であり、ユーザが最適ルートSを通行した際に取得した当該最適ルートSの渋滞情報の履歴である渋滞情報履歴に基づいて設定される。本実施形態の案内判定条件は、「最適ルートSに関する渋滞情報に示される渋滞状況が、渋滞情報履歴に含まれる渋滞情報の中の最も悪い渋滞状況と同等かそれより良い状況であること」である。よって、サーバ側演算部43は、案内判定条件を規定する為の情報として、記憶装置50の渋滞情報履歴データテーブルK(図4参照)に記憶されている渋滞情報履歴から、ユーザIDと最適ルートSの情報とに基づいて、そのユーザが最適ルートSを過去に通行した中で最も悪い渋滞状況の情報を取得する。本実施形態では、渋滞情報履歴データテーブルKには、ユーザが過去に最適ルートSを通行した際の渋滞状況を数値化した情報が渋滞情報履歴として記憶されており、サーバ側演算部43は、渋滞情報履歴から最も悪い渋滞状況の数値情報を取得する。なお、本実施形態では、渋滞情報履歴データテーブルKには、図4に示すように、最適ルートS(図3の例ではルートB)を構成する道路のうち通常通行ルート(図3の例ではルートA)と異なる部分である非共通道路(図3の例ではLink007,Link006)に関する渋滞情報の履歴が渋滞情報履歴として記憶されている。よって、本実施形態の案内判定条件は、より詳細には、「最適ルートSの内の非共通道路の渋滞情報に示される渋滞状況が、渋滞情報履歴に含まれる最適ルートSの内の非共通道路の渋滞情報の中の最も悪い渋滞状況と同等かそれより良い状況であること」となる。なお、本実施形態では、案内判定条件は、通常通行ルートLに関する渋滞情報を考慮せずに最適ルートSの渋滞情報のみに基づいて判定されるように規定されている。従って、通常通行ルートLの渋滞状況に関わらず、最適ルートSが比較的通行しやすい状況である場合には、最適ルートSの通行を推奨する案内情報をユーザに提供することができる。
また、サーバ側演算部43は、最適ルートSの情報を記憶装置50から取得すると、当該最適ルートSを構成する道路から非共通道路(リンク)を抽出し、当該非共通道路に関する現時点の渋滞情報を交通情報取得部45から取得する。そして、サーバ側演算部43は、当該最適ルートSにおける非共通道路の現時点の渋滞情報に示される渋滞状況と、最適ルートSの渋滞情報履歴の中で最も悪い過去の渋滞状況とを比較して、当該最適ルートSの非共通道路の現時点の渋滞状況の方が、当該最適ルートSの非共通道路の最も悪い過去の渋滞状況よりも良い状況にある場合には、最適ルートSの通行を推奨すると判定する。そして、サーバ側演算部43は、当該最適ルートSの通行を推奨する旨の案内情報を含む非案内時提供情報を生成し、当該非案内時提供情報をサーバ側通信制御部41を介して車載端末装置2に送信する。なお、ここでの現時点とは、サーバ側通信制御部41が、非案内時提供情報要求を取得して、最適ルートSの情報を記憶装置50から取得した時点をいう。
一方、最適ルートSの非共通道路の現時点の渋滞状況の方が、最適ルートSの非共通道路の最も悪い過去の渋滞状況よりもさらに悪い状況にある場合には、サーバ側演算部43は、当該最適ルートSの通行を推奨しないと判定する。そして、サーバ側演算部43は、通常通行ルートLに関する情報を含む非案内時提供情報を生成して車載端末装置2へ送信する。具体的には、サーバ側演算部43は、通常通行ルートLを構成する道路に関する交通情報を、交通情報取得部45から取得し、当該取得した交通情報にユーザに通知すべき情報(例えば、渋滞や通行規制の情報)が含まれていれば、通常通行ルートLを構成する道路の各種交通情報を含む非案内時提供情報を生成して車載端末装置2へ送信する。
また、サーバ側演算部43は、車両の走行開始時刻(例えば、午前8時10分等)が含まれる時間帯(例えば午前8時から午前9時)の通常通行ルートLに対応づけられた最適ルートSの情報(リンク情報)が記憶装置50に記憶されていない場合には、すなわち、最適ルートSが未だ決定されていない場合には、通常通行ルートLを構成する道路に関する交通情報を取得し、当該交通情報にユーザに通知すべき情報が含まれていれば、当該情報に基づいて非案内時提供情報を生成する。そして、サーバ側演算部43は、当該生成した非案内時提供情報を車載端末装置2へ送信する。
ここで、渋滞情報には、少なくとも渋滞の度合いを示す渋滞の程度の情報と渋滞区間を示す渋滞長の情報とが含まれている。本実施形態では、サーバ側演算部43は、渋滞情報に示される渋滞状況を、当該渋滞の程度と渋滞長との双方に基づき総合的に示している。具体的には、サーバ側演算部43は、取得した渋滞情報に含まれる渋滞の程度と渋滞長とをそれぞれ共通の指標とするように数値化し、各渋滞の渋滞状況を、これらを乗算(渋滞の程度×渋滞長)した数値で示している。また、サーバ側演算部43は、ルート全体の渋滞状況を、各ルートで発生している渋滞の各渋滞状況を総和した数値で示している。
より具体的には、渋滞の程度は、道路の属性(都市間高速道路、都市内高速道路、一般道路等)と道路を通過する車両の平均車速に基づいて決定されるものであり、例えば、一般道路では、通行する車両の平均車速が10km以下であれば“渋滞”と決定し、平均車速が10kmより大きく20km未満であれば“混雑”と決定し、平均車速が20km以上であれば“順調”と決定している。そして、当該渋滞の程度の高い方から順に、「渋滞」=2点、「混雑」=1点、「順調」=0点と数値化している。また、渋滞長は、渋滞状態(上記「渋滞」或いは「混雑」の状態)にある車列の長さに基づくものであり、本実施形態では、100mの渋滞長で1点と数値化している。そして、各渋滞の渋滞状況を、渋滞の程度と渋滞長とを乗算した数値で表しており、「渋滞」の状態が500m続く渋滞では、当該渋滞の渋滞状況は、2点×5点の10点で表わされる。また、一つのルート上に、「渋滞」の状態が500m続く箇所と「混雑」の状態が300m続く箇所とが含まれていれば、当該ルート全体における渋滞状況は、2点×5点+1点×3点の計13点で表わされる。そして、当該渋滞状況を示す数値が大きくなるに応じて、渋滞状況が悪くなるようになっており、10点の渋滞状況と13点の渋滞状況とでは、13点の渋滞状況の方が悪い。すなわち、本実施形態の案内判定条件は、「最適ルートSの内の非共通道路の渋滞情報に示される渋滞状況を表わす数値が、渋滞情報履歴に含まれる最適ルートSの内の非共通道路の最も悪い渋滞状況を表わす数値以下であること」となる。
以下に、図2〜図4の具体例を用いて説明する。ここでは、車両の走行開始時刻が、2013/9/6の午前8時10分であって、所定の判定期間(本例では直近1カ月、2013/8/5〜2013/9/5)における当該走行開始時刻(午前8時10分)が含まれる時間帯(午前8時から9時まで)の通常通行ルートLがルートAであり(図2参照)、当該ルートAに対応づけられた最適ルートSがルートBである場合を例にして説明する。なお、ここでは、2013/8/8にユーザ(車両)がルートBを通行した際に、最適ルートSがルートBに決定されたものとし、渋滞情報履歴は、図4に示すように、ユーザが2013/8/8以降に最適ルートS(ルートB)を通行した場合に、その都度取得した最適ルートSの渋滞情報の履歴が蓄積されている。サーバ側演算部43は、非案内時提供情報要求を取得すると、記憶装置50に記憶されている最適ルートSの情報(ルートBのリンク情報)と、図4に示す渋滞情報履歴データテーブルKに記憶されている渋滞情報履歴から最も悪い渋滞状況の情報(2013/8/9の8点)を取得する。ここでは、最適ルートSの内の非共通道路の最も悪い渋滞状況の情報を取得する。また、サーバ側演算部43は、当該取得した最適ルートSであるルートBを構成する道路(Link001,Link006,Link007,Link005)における非共通道路(Link006,Link007)に関する現時点(2013/9/6の午前8時10分頃)の渋滞情報を交通情報取得部45から取得し、上述のように、当該取得した渋滞情報に示される渋滞状況を数値化する(本例では6点)。そして、サーバ側演算部43は、当該数値化した最適ルートSの内の非共通道路の現時点の渋滞状況と、渋滞情報履歴データテーブルKから取得した最適ルートSの内の非共通道路の最も悪い過去の渋滞状況(8点)とを比較して、最適ルートSの現時点の渋滞状況(6点)の方が当該最適ルートSの最も悪い過去の渋滞状況(8点)よりも良い状況若しくは同等である場合には、すなわち、最適ルートSの内の非共通道路の現時点の渋滞状況を表わす数値が最適ルートSの内の非共通道路の最も悪い過去の渋滞状況を表わす数値以下の場合には、ユーザにとって、最適ルートSを通行することが好ましいと推測できる。そこで、サーバ側演算部43は、最適ルートSの通行を推奨すると判定する。そして、サーバ側演算部43は、当該最適ルートSの通行を推奨する旨の案内情報を含む非案内時提供情報を生成し、サーバ側通信制御部41を介して車載端末装置2に送信する。
通常通行ルート設定部44は、通常通行ルートLを設定する機能部である。本実施形態では、通常通行ルート設定部44は、予め定められた判定期間内にユーザが通行する回数が最大であるルートを通常通行ルートLに設定する通常通行ルート設定処理を実行する。また、本実施形態では、通常通行ルート設定部44は、予め定められた時間帯毎(本例では1時間毎)に区切って通常通行ルートLを設定する。具体的には、通常通行ルート設定部44は、サーバ側演算部43より、非案内時提供情報要求があった旨及び車両の走行開始時刻情報を取得すると、通行履歴データテーブルHから、予め定められた判定期間(例えば直近1カ月)内の通行履歴データTを抽出する。そして、通常通行ルート設定部44は、その中からさらに、走行開始時刻情報に示される走行開始時刻(例えば、午前8時10分)が含まれる予め定められた時間帯(例えば、出勤時間帯である午前8時から9時)の通行履歴データTを抽出する。そして、通常通行ルート設定部44は、当該時間帯の通行履歴データTの中から、最も通行回数の多いルートを通常通行ルートLに設定する(例えば、ルートA)。そして、通常通行ルート設定部44は、当該通常通行ルートLに設定したルートの情報である通常通行ルート情報(例えば、ルートA等のリンク情報)をユーザIDと当該時間帯とに対応づけて記憶装置50に記憶させる。通常通行ルート設定部44は、通常通行ルートLの情報を記憶装置50に記憶させると、その旨を候補ルート抽出部46に出力する。
図2及び図3の例を用いて具体的に説明する。図3の例では、出発地がユーザPの自宅位置Mであり、目的地がユーザPの勤務先の会社位置Nであり、これらを結ぶルートA(Link001,Link002,Link003,Link004,Link005)がユーザPの通勤ルートとなっている。そして、ユーザPは、朝に定常的にルートBで発生する渋滞を回避する為に、平日の毎朝午前8時から9時までの間に当該ルートAを車で通行して通勤している。また、帰宅時には、ルートAに比べて距離の短いルートB(Link005,Link007,Link006,Link001)を平日の大体午後18時から19時までの間(残業時は21時から22時の間になる)に車で通行して帰宅している。よって、図2に示すように、予め定められた判定期間(2013/8/5〜2013/9/5)内の通行履歴データテーブルHに蓄積されているユーザPの通行履歴データTは、午前8時から9時の時間帯では、ユーザPが通行したルートはほとんどがルートAとなり、午後18時から19時の時間帯では、ユーザPが通行したルートはほとんどがルートBとなる。
そして、通常通行ルート設定部44は、直近1カ月内の午前8時から9時までの間にユーザPが通行した全ルートのうち通行回数が最大となるルートAを、午前8時から9時の時間帯の通常通行ルートLに設定し、午後18時から19時までの間にユーザPが通行した全ルートのうち通行回数が最大となるルートBを、午後18時から19時の時間帯の通常通行ルートLに設定する。なお、本実施形態では、各ルートは、構成されるリンクの組み合わせによって区別されるものとし、リンクの組み合わせが同一であれば、ユーザの通行方向に関係なく同じルートと判定する。よって、ルートBの会社位置Nから自宅位置Mまでのルート(Link005,Link007,Link006,Link001)と、ルートBの自宅位置Mから会社位置Nまでのルート(Link001,Link006,Link007,Link005)とは同一のルートとする。また、本実施形態では、通常通行ルート設定部44は、通常通行ルートLを車載端末装置2から非案内時提供情報要求を受ける毎に毎回設定する構成であるが、所定の期間(例えば1週間や1カ月)経過毎に定期的に設定する構成であってもよい。
交通情報取得部45は、交通情報を取得する機能部である。本実施形態では、交通情報取得部45は、外部の道路交通情報通信システムセンター(VICSセンター)等から交通情報を取得する。そして、交通情報取得部45は、当該取得した交通情報を、サーバ側演算部43、最適ルート決定部47、及び渋滞情報履歴データ生成部48に出力する。
候補ルート抽出部46は、最適ルートSと成り得るルートを候補ルートRとして抽出する機能部である。本実施形態では、ユーザが過去に通行したルートのうち、通常通行ルートLと始点及び終点が共通である複数の候補ルートRを抽出する。具体的には、候補ルート抽出部46は、まず、通常通行ルート設定部44より通常通行ルートLの情報を記憶装置50に記憶した旨の情報を取得すると、記憶装置50から通常通行ルートLの情報を取得する。そして、候補ルート抽出部46は、通行履歴データテーブルHに蓄積されている通行履歴データTより、通常通行ルートLと始点及び終点が共通であるルートの情報(本例ではリンクの組み合わせ情報)を抽出し、候補ルートRとして記憶装置50に記憶させる。なお、この候補ルートRには通常通行ルートも含まれる。図2の例では、午前8時から午前9時までの時間帯の通常通行ルートはルートAである為、候補ルート抽出部46は、出発地(ここでは自宅位置M又は会社位置N)と目的地(ここでは自宅位置M又は会社位置N)とがルートAと共通であるルートBを抽出し、当該ルートBとルートAとの情報を、当該午前8時から午前9時までの時間帯の候補ルートRとして記憶装置50に記憶させる。そして、候補ルート抽出部46は、候補ルートRの抽出が完了した旨の情報を最適ルート決定部47に出力する。
最適ルート決定部47は、ユーザにとって最適なルートであると推測される最適ルートSを決定する機能部である。本実施形態では、最適ルート決定部47は、ユーザが候補ルートRの中の通常通行ルートLとは異なる別ルートを通行した場合であって、当該別ルートの渋滞状況と通常通行ルートLの渋滞状況との差が予め定められた同一判定条件を満たす場合には、当該別ルートを最適ルートSとして決定する最適ルート決定処理を実行する。具体的には、最適ルート決定部47は、候補ルート抽出部46より、候補ルートRの抽出が完了した旨の情報を取得すると、記憶装置50から候補ルートRの情報を取得する。そして、最適ルート決定部47は、候補ルートR(本例ではルートA及びルートB)のうち、通常通行ルートLとは異なる別ルート(本例ではルートB)をユーザ(本例ではユーザP)が通行したことを検知する為に、通行履歴データテーブルHを監視する。最適ルート決定部47は、ユーザが別ルートを通行したことを検知すると、当該検知した際の当該別ルート及び通常通行ルートLのそれぞれの渋滞情報を交通情報取得部45を介して取得する。より具体的には、最適ルート決定部47は、当該別ルートを構成する道路のうち通常通行ルートLと異なる部分である非共通道路の渋滞情報と、通常通行ルートLの内の非共通道路の渋滞情報とを取得する。
そして、最適ルート決定部47は、サーバ側演算部43での処理と同様に、別ルートの内の非共通道路の渋滞情報に示される渋滞状況と、通常通行ルートLの内の非共通道路の渋滞情報に示される渋滞状況とをそれぞれ数値化し、別ルートの渋滞状況と通常通行ルートLの渋滞状況との差が予め定められた同一判定条件を満たすか否かを判定する。最適ルート決定部47は、別ルートの内の非共通道路の渋滞状況と通常通行ルートLの内の非共通道路の渋滞状況との差が予め定められた同一判定条件を満たすと判定した場合には、別ルートを最適ルートSであると決定し、当該別ルートの情報(リンク情報)を最適ルートSの情報として記憶装置50に記憶させる。また、最適ルート決定部47は、当該最適ルートSに決定した際の別ルートの内の非共通道路の渋滞情報を渋滞情報履歴データ生成部48に出力する。
ここで、同一判定条件とは、別ルートの渋滞状況と通常通行ルートLの渋滞状況とが同一の状況とみなされる範囲内にあるかを判定する為の条件であり、本実施形態では、別ルートの渋滞状況と通常通行ルートLの渋滞状況との差が「予め定められた判定閾値以下である」と設定されている。ここでは、別ルートの内の非共通道路の渋滞状況(例えば2点)と通常通行ルートLの内の非共通道路の渋滞状況(例えば3点)とがそれぞれ数値化されている為、同一判定条件の判定閾値も数値で表わされる(例えば、2点以下)。よって、当該別ルートの渋滞状況を表わす数値が2点であり、通常通行ルートLの渋滞状況を表わす数値が3点である場合には、これらの差が1点であり判定閾値である2点以下となる為、同一の渋滞状況にあると判定される。以上のように、別ルートと通常通行ルートLとが、同一とみなせる渋滞状況下(同一判定条件を満たす)にある場合に、ユーザが別ルートを通行した場合には、当該別ルートがユーザにとって本来通行したいルートであると推測できる。逆に言えば、ユーザは本来別ルートを通行したいが、ユーザが当該別ルートを通行したい時間帯には通常通行ルートよりも別ルートの方が混雑等していることにより、ユーザは意図に反して日常的に通常通行ルートLを通行していたのであると推測することができる。そこで、最適ルート決定部47は、このような同一とみなせる渋滞状況下においてユーザが優先して通行したルートを、最もユーザの意図に合った最適なルートであると推定する。
一方、最適ルート決定部47は、別ルートの内の非共通道路の渋滞状況と、通常通行ルートLの内の非共通道路の渋滞状況との差が予め定められた同一判定条件を満たさないと判定した場合には、当該別ルートを最適ルートSであると決定しない。これは、別ルートと最適ルートSとの渋滞状況が異なる為、例えば、別ルートの方が通常通行ルートLよりも遠回りであったり、通りにくい場合であったりしても、たまたま渋滞状況が良かった為にユーザが別ルートを通行した場合等も考えられ、ユーザの意図に合った最適なルートであると推定することが困難であるからである。そして、最適ルート決定部47は、再度、別ルート(ルートB)をユーザが通行したことを検知する為に、通行履歴データテーブルHを監視する。ユーザが別ルートを再度通行したことを検知すると、当該検知した際の当該別ルートの内の非共通道路及び通常通行ルートLの内の非共通道路のそれぞれの渋滞情報を交通情報取得部45を介して取得し、これらに示される当該別ルートの渋滞状況と当該通常通行ルートLの渋滞状況との差が予め定められた同一判定条件を満たすか否かを判定する。最適ルート決定部47は、当該一連の処理を、別ルートの内の非共通道路の渋滞状況と通常通行ルートLの内の非共通道路の渋滞状況との差が予め定められた同一判定条件を満たすまで続ける。
渋滞情報履歴データ生成部48は、ユーザがルートを通行した際の当該ルートの渋滞情報を渋滞情報履歴として記憶装置50に記憶させる機能部である。本実施形態では、渋滞情報履歴データ生成部48は、ユーザが最適ルートSを通行した場合に、その際の最適ルートSの渋滞情報を取得し、当該取得した渋滞情報を渋滞情報履歴として記憶装置50に記憶する渋滞情報履歴記憶処理を実行する。なお、本実施形態では、渋滞情報履歴データ生成部48は、最適ルートSにおける通常通行ルートLと異なる部分である非共通道路の渋滞情報のデータを取得し、当該取得した渋滞情報を記憶装置50に記憶する。具体的には、渋滞情報履歴データ生成部48は、最適ルート決定部47から別ルートを最適ルートSとして決定した際の当該別ルート(本例ではルートB)の内の非共通道路の渋滞情報を取得すると、当該渋滞情報に示される渋滞状況を、サーバ側演算部43にて実行される処理と同様に数値化して、記憶装置50に含まれる渋滞情報履歴データテーブルKに記憶させる。また、渋滞情報履歴データ生成部48は、最適ルートSが決定された以降に、ユーザが当該最適ルートSを通行したことを検知する為に、通行履歴データテーブルHを監視する。そして、渋滞情報履歴データ生成部48は、ユーザが当該最適ルートSを通行したことを検知すると、ユーザが当該最適ルートSを通行した際の非共通道路の渋滞情報を交通情報取得部45から取得して、当該渋滞情報に示される渋滞状況を数値化して、渋滞情報履歴データテーブルKに記憶させる。なお、本実施形態の記憶装置50が、本発明の記憶部に相当する。
図2〜図4の具体例を用いて説明する。ここでは、同一判定条件が「2点以下であること」と設定されているとする。最適ルート決定部47は、図2に示す通行履歴データテーブルHを監視し、2013/8/5に通常通行ルート(ルートA)とは異なる別ルート(ルートB)を通行したことを検知すると、当該検知した際のルートAの内の非共通道路及びルートBの内の非共通道路の渋滞情報を交通情報取得部45から取得する。そして、最適ルート決定部47は、当該取得したルートA及びルートBの渋滞情報に示される渋滞状況をそれぞれ数値化して、当該ルートAの渋滞状況(10点)とルートBの渋滞状況(3点)との差を算出して、同一判定条件である2点以下であるかを判定する。ここでは、ルートAの渋滞状況とルートBの渋滞状況との差が7点であり、同一判定条件である2点以上となる為、最適ルート決定部47は、同一判定条件を満たさないと判定して、ルートBを最適ルートSとして決定しない。
そして、最適ルート決定部47は、再度通行履歴データテーブルHを監視する。次に、最適ルート決定部47は、2013/8/8にルートBを通行したことを検知すると、当該検知した際のルートAの内の非共通道路及びルートBの内の非共通道路の渋滞情報を交通情報取得部45から取得して、当該取得したルートA及びルートBの渋滞情報に示される渋滞状況をそれぞれ数値化して、当該ルートAの渋滞状況(3点)とルートBの渋滞状況(2点)との差を算出して、同一判定条件である2点以下であるかを再度判定する。ここでは、ルートAの渋滞状況とルートBの渋滞状況との差が1点であり、同一判定条件である2点以下となる為、最適ルート決定部47は、同一判定条件を満たすと判定して、ルートBを最適ルートSとして決定する。そして、最適ルート決定部47は、当該ルートBの情報(リンク情報)を最適ルートSとして記憶装置50に記憶すると共に、当該ルートBが最適ルートSとして決定された際の非共通道路の渋滞状況の情報(2点)を渋滞情報履歴データ生成部48に出力する。渋滞情報履歴データ生成部48は、最適ルート決定部47から取得した、ルートBを当該最適ルートSとして決定した際の当該ルートBの非共通道路の渋滞状況の情報(2点)を、図4に示すように、当該ルートBを通行した日付(年月日)(本例では、2013/8/8)と、最適ルートSである当該ルートBの非共通道路の情報(本例では、Link006,Link007)と、ユーザIDとに対応づけて渋滞情報履歴データテーブルKに記憶させる。そして、渋滞情報履歴データ生成部48は、それ以降に、ユーザがルートBを通行すると、当該ユーザがルートBを通行した日付と当該ユーザがルートBを通過した際の非共通道路の渋滞状況とを、ユーザIDと最適ルートSであるルートBの情報とに対応づけて、渋滞情報履歴データテーブルKに蓄積する。
4.動作処理の手順
まず、本実施形態に係るナビゲーションシステム1の最適ルートSを決定するまでの処理(通常通行ルートの設定処理、最適ルート決定処理)の具体的な手順を図5〜図7を用いて説明する。図5に示すように、本実施形態のナビゲーションシステム1では、管理サーバ4が車載端末装置2から非案内時提供情報要求を取得すると(ステップ#01:Yes)、まず、通常通行ルート設定部44が通常通行ルートLの設定処理を実行する(ステップ#02)。具体的には、図6に示すように、通常通行ルート設定部44は、車載端末装置2から非案内時提供情報要求を取得すると(ステップ#01:Yes)、当該非案内時提供情報要求を受けたユーザの通行履歴データTのうち、予め定められた判定期間(例えば、直近1カ月)内の通行履歴データTを通行履歴データテーブルHから抽出する(ステップ#11)。次に、通常通行ルート設定部44は、ステップ#01の非案内時提供情報要求を取得する際に併せて取得する車両の走行開始時刻の情報に基づき、ステップ#11で抽出した通行履歴データTから当該走行開始時刻(例えば、午前8時10分)が含まれる時間帯(例えば、午前8時から9時)の通行履歴データTを抽出する(ステップ#12)。そして、通常通行ルート設定部44は、ステップ#12で抽出した通行履歴データTの中で、ユーザの通行回数が最大のルートを特定する(ステップ#13)。通常通行ルート設定部44は、ステップ#13で特定した当該ルートを通常通行ルートLに設定して(ステップ#14)、当該通常通行ルートLの設定処理を終了する。また、管理サーバ4が車載端末装置2から非案内時提供情報要求を取得しない場合は(ステップ#01:No)、図5に戻って、通常通行ルート設定部44は、当該非案内時提供情報要求を取得するまで待機する。
ステップ#02で通常通行ルートLが設定されると、図5に戻って、候補ルート抽出部46が、ステップ#02で設定された通常通行ルートLと始点及び終点が共通であり、最適ルートSに成り得る候補ルートRを抽出する(ステップ#03)。そして、最適ルート決定部47が、ステップ#03で抽出された候補ルートRから最適ルートSを決定する処理を実行する(ステップ#04)。具体的には、図7に示すように、最適ルート決定部47は、図5のステップ#03で抽出された候補ルートRの中で、通常通行ルートLとは異なる別ルートをユーザが通行したことを検知すると(ステップ#21:Yes)、当該検知した際の通常通行ルートLの内の非共通道路の渋滞情報及び当該別ルートの内の非共通道路の渋滞情報を交通情報取得部45を介して取得する(ステップ#22)。一方、最適ルート決定部47は、ユーザが別ルートを通行したことを検知しない場合には(ステップ#21:No)、当該ユーザが別ルートを通行したことを検知する為に、引き続き通行履歴データテーブルHを監視する。また、最適ルート決定部47は、ステップ#22で取得した通常通行ルートLの渋滞情報に示される渋滞状況と、ステップ#22で取得した別ルートの渋滞情報に示される渋滞状況とを比較し、当該渋滞状況の差が予め定められた同一判定条件を満たすか否かを判定する(ステップ#23)。最適ルート決定部47は、当該通常通行ルートLの内の非共通道路の渋滞情報に示される渋滞状況と、当該別ルートの内の非共通道路の渋滞情報に示される渋滞状況との差が予め定められた同一判定条件を満たすと判定した場合には(ステップ#23:Yes)、当該ユーザが通行した別ルートを最適ルートSとして決定し(ステップ#24)、当該最適ルートSの情報を記憶装置50に記憶して、当該最適ルート決定処理を終了する。一方、最適ルート決定部47は、当該通常通行ルートLの内の非共通道路の渋滞情報に示される渋滞状況と、当該別ルートの内の非共通道路の渋滞情報に示される渋滞状況との差が予め定められた同一判定条件を満たさないと判定した場合は(ステップ#23:No)、ステップ#21に戻って以降の処理を繰り返す。
次に、最適ルートSの通行を推奨する最適ルート案内処理の具体的な手順を、図8を用いて説明する。図8に示すように、サーバ側演算部43は、車載端末装置2から非案内時提供情報要求を取得すると(ステップ#31:Yes)、当該非案内時提供情報要求と併せて送信される車両の走行開始時刻が含まれる時間帯の通常通行ルートLの情報を記憶装置50から取得する(ステップ#32)。次に、サーバ側演算部43は、ステップ#32で取得した通常通行ルートLに対応する最適ルートSの情報が記憶装置50に記憶されているかを確認し、当該最適ルートSの情報が記憶装置50に記憶されている場合には(ステップ#33:Yes)、当該最適ルートSの非共通道路における現時点の渋滞情報を取得する(ステップ#34)。また、サーバ側演算部43は、記憶装置50の渋滞情報履歴データテーブルKに蓄積されている最適ルートSの非共通道路における渋滞情報履歴の中から最も悪い過去の渋滞状況を取得する(ステップ#35)。次に、サーバ側演算部43は、ステップ#34で取得した最適ルートSにおける非共通道路の現時点の渋滞情報に示される渋滞状況と、ステップ#35で取得した最適ルートの非共通道路における過去の最も悪い渋滞状況とを比較する(ステップ#36)。そして、最適ルートSの非共通道路における現時点の渋滞情報に示される渋滞状況が、最適ルートSの非共通道路における過去の最も悪い渋滞状況と同等もしくは良い状況である場合、すなわち案内判定条件を満たす場合には(ステップ#36:Yes)、最適ルートSの通行を推奨する旨の案内情報を含む非案内時提供情報を生成し、車載端末装置2へ送信する(ステップ#37)。一方、サーバ側演算部43は、ステップ#33で通常通行ルートLに対応する最適ルートSが未だ設定されていないことにより記憶装置50に最適ルートSの情報が記憶されていない場合には(ステップ#33:No)、通常通行ルートLに関する情報に基づいて非案内時提供情報を生成して、車載端末装置2へ送信する(ステップ#38)。また、サーバ側演算部43は、ステップ#36で、最適ルートSの非共通道路における現時点の渋滞情報に示される渋滞状況が、最適ルートSの非共通道路における過去の最も悪い渋滞状況よりも悪い状況である場合、すなわち案内判定条件を満たさない場合にも(ステップ#36:No)、通常通行ルートLに関する情報に基づいて非案内時提供情報を生成して、車載端末装置2へ送信する(ステップ#38)。そして、最適ルート案内処理を終了する。なお、サーバ側演算部43は、車載端末装置2から非案内時提供情報要求を取得しない場合は、当該非案内時提供情報要求を取得するまで待機する(ステップ#31:No)。
以上で説明した本発明の実施形態におけるナビゲーションシステム(1)は、少なくとも以下の構成を備えている。すなわち、ナビゲーションシステム(1)は、始点及び終点が共通である複数の候補ルートの中で、予め定められた判定期間内にユーザが通行した回数が最大であるルートを通常通行ルートに設定する通常通行ルート設定処理と、前記候補ルートの中の前記通常通行ルートとは異なる別ルートを前記ユーザが通行した場合であって、当該別ルートの渋滞状況と前記通常通行ルートの渋滞状況との差が予め定められた同一判定条件を満たす場合には、当該別ルートを最適ルートとして1つだけ決定する最適ルート決定処理と、前記ユーザに対して案内を行う案内ルートが設定されていない場合に、前記最適ルートに関する渋滞情報を取得し、当該渋滞情報が予め定められた案内判定条件を満たす場合には、前記最適ルートの通行を推奨する案内情報を提供する最適ルート案内処理と、を実行する演算処理部を備えている。
このような構成により、ユーザにとって本来通行したいルートであると推測される最適ルートが比較的通行し易い状況にある場合に、当該最適ルートの通行を推奨する案内を行うことができる。従って、ユーザに対してより適切である可能性が高いルートの案内を行うことが可能となる。
また、本発明の実施形態におけるナビゲーションシステム(1)は、前記演算処理部は、前記ユーザが前記最適ルートを通行した場合に、その際の前記最適ルートの渋滞情報を取得し、当該取得した渋滞情報を渋滞情報履歴として記憶部に記憶する渋滞情報履歴記憶処理を更に実行し、前記案内判定条件は、前記渋滞情報履歴に基づいて設定されていると好適である。
この構成によれば、案内判定条件は、ユーザが最適ルートを過去に通行した際に取得した渋滞情報の履歴に基づいて設定される。従って、ユーザが過去に最適ルートを通行すると判断したときの渋滞情報を用いて、過去のユーザの判断に近い渋滞情報に関する判断基準を案内判定条件に反映させることが可能となる。その結果、ユーザにとって本来通行したいルートであると推測される最適ルートが比較的通行し易い状況にある場合をより適切に判定し、最適ルートの通行を推奨する案内情報を提供することができる。
また、本発明の実施形態におけるナビゲーションシステム(1)では、前記案内判定条件は、前記最適ルートに関する前記渋滞情報に示される渋滞状況が、前記渋滞情報履歴に含まれる渋滞情報の中の最も悪い渋滞状況と同等かそれより良い状況であること、であると好適である。
この構成によれば、ユーザが過去に最適ルートを通行すると判断したときの渋滞情報に示される渋滞状況に基づいて、当該渋滞状況と同等かそれより良い状況である場合には最適ルートの通行を推奨する案内情報を提供することになる。ここで、最適ルート案内処理時の最適ルートの渋滞情報が、ユーザが過去に最適ルートを通行した際における最も悪い渋滞状況と同等かそれよりも良い状況である場合には、ユーザは当該最適ルートを通行したいと推測できる。上記構成によれば、ユーザが最適ルートを通行しようと判断する基準に近い基準で、ユーザに対して最適ルートの通行を推奨する案内情報を提供することができる。
6.その他の実施形態
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態では、ナビゲーションシステム1は、車両に搭載された車載端末装置2と管理サーバ4とにより構成されている例を用いて説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。ナビゲーションシステム1は、管理サーバ4と、当該管理サーバ4と通信が可能でかつユーザが持ち運び可能な端末装置とにより構成されていればよく、例えば、多機能携帯電話機や携帯型情報端末装置等と管理サーバ4とにより構成されていてもよい。
(2)上記の実施形態では、サーバ側演算部43における最適ルート案内処理で用いられる案内判定条件が「最適ルートSに関する渋滞情報に示される渋滞状況が、ユーザが最適ルートSを通行した際に取得した当該最適ルートSの渋滞情報の履歴である渋滞情報履歴の中の最も悪い渋滞状況と同等かそれより良い状況であること」である場合の例を用いて説明した。すなわち、案内判定条件が、最適ルートの渋滞情報の履歴である渋滞情報履歴の中の最も悪い渋滞状況に基づいて設定されている構成の例を用いて説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、案内判定条件が、最適ルートSの渋滞情報の履歴である渋滞情報履歴の中の、別ルートが最適ルートSとして決定された際の当該別ルート(非共通道路)の渋滞状況に基づく構成であってもよい。すなわち、案内判定条件が、「最適ルートSに関する渋滞情報に示される渋滞状況が、ユーザが最適ルートSを通行した際に取得した当該最適ルートSの渋滞情報の履歴である渋滞情報履歴の中の、別ルートが最適ルートSとして決定された際の当該別ルートの渋滞状況と同等かそれより良い状況であること」であってもよい。
(3)上記の実施形態では、渋滞情報履歴データ生成部48は、最適ルート決定部47により別ルートが最適ルートSとして決定された後に、ユーザが当該最適ルートS(別ルート)を通行した際に取得した渋滞情報履歴のみを記憶装置50の渋滞情報履歴データテーブルKに記憶させる構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、最適ルートSとして決定されたルートについて、最適ルートSとして決定された後の渋滞情報に加えて、最適ルートSに決定される前の渋滞情報も取得し、最適ルート決定部47は、当該取得した全ての渋滞情報の履歴の中で最も悪い渋滞状況に基づいて、それと同等又は良いことを案内判定条件としても好適である。この場合、最適ルートSに決定される前は全候補ルートについてユーザが通行する際に渋滞情報を記憶しておき、その中から、最適ルートSとして決定されたルートの当該最適ルートSに決定される前の渋滞情報を取得する構成とするとよい。
(4)上記の実施形態では、渋滞情報には、渋滞の程度と渋滞長とが含まれ、渋滞情報に示される渋滞状況は、当該渋滞の程度及び渋滞長に基づく構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、渋滞情報には、所要時間が含まれており、渋滞状況は、当該所要時間に基づくものであってもよいし、所要時間と渋滞の程度と渋滞長とに基づく総合的に評価したものであってもよい。また、渋滞状況は、渋滞の程度のみに基づくものであってもよいし、渋滞長のみに基づくものであってもよいし、所要時間のみに基づくものであってもよい。
(5)上記の実施形態では、車載側演算部22は、位置情報検出装置31等により車両が走行開始したことを検知したにもかかわらず案内ルートが設定されていない場合に、ユーザIDと紐づけて非案内時提供情報要求を管理サーバ4へ送信する構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、車載側演算部22は、イグニッションキーがON状態となっており、かつ、案内ルートが設定されていない場合に、予め定められたタイミング(例えば、イグニッションキーがON状態となってから30秒経過時等)で、非案内時提供情報要求を管理サーバ4へ送信する構成であってもよい。
(6)上記の実施形態では、通行履歴データ生成部23は、ユーザが通過したリンクの情報と当該リンクに進入した時刻の情報とを対応づけて通行履歴データTを生成する構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ユーザが通過したリンクの情報と当該リンクを退出した時刻の情報とを対応づけて通行履歴データTを生成してもよいし、ユーザが通過したリンクの情報を当該リンクの進入及び退出時刻の双方の情報に対応づけて生成してもよい。また、通行履歴データ生成部23は、車両が通行した道路の履歴として、リンク単位ではなく、複数のリンクから構成される所定の道路単位とすることができ、当該道路単位の情報と、当該道路単位を構成するリンクのうち端のリンクに進入した時刻の情報とを対応づけて通行履歴データTを生成する構成であってもよい。
(7)上記の実施形態では、ナビゲーションシステム1が管理サーバ4と各車載端末装置2とから構成されている例を用いて説明した。しかし、本発明の実施形態は、これに限定されない。例えば、上記の実施形態における管理サーバ4の機能部(サーバ側演算部43、通常通行ルート設定部44、交通情報取得部45、候補ルート抽出部46、最適ルート決定部47、渋滞情報履歴データ生成部48)を各車載端末装置2が備え、ナビゲーションシステム1が車載端末装置のみから構成されていてもよい。