JP6234750B2 - 静電容量型アクチュエータアレイの駆動回路 - Google Patents
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一対の電極a,cの間に必要な吸引力を発生させるためには、論理回路で多用されている数ボルト程度の電圧では足りず、数十ボルトの電圧を印加する必要がある。そこで、電源電圧VHHには数十ボルト(例えば40ボルト程度)の電圧が加えられている。
pMOSトランジスタ6には閾値電圧がVHHよりもわずかに低いエンハンスメント型pMOSトランジスタを利用する。pMOSトランジスタ6のゲートにはVHHとVHDの間で変化する電圧DHが印加される。ここでVHDは、pMOSトランジスタ6の閾値電圧よりもわずかに低い電圧に調整されている。VHH>pMOSトランジスタ6の閾値電圧>VHDの関係にある。pMOSトランジスタ6は、ゲート電圧DHがVHHである場合はオフし、ゲート電圧DHがVHDである場合はオンする。
nMOSトランジスタ8には閾値電圧がGRD(接地電圧)よりもわずかに高いエンハンスメント型nMOSトランジスタを利用する。nMOSトランジスタ8のゲートにはGRDとVDDの間で変化する電圧Dが印加される。ここでVDDは、nMOSトランジスタ8の閾値電圧よりもわずかに高い電圧に調整されている。GRD<nMOSトランジスタ8の閾値電圧<VDDの関係にある。またVDD<VHDの関係にある。nMOSトランジスタ8は、ゲート電圧DがVDDである場合はオンし、ゲート電圧DがGRDである場合はオフする。
pMOSトランジスタ6がオンしてnMOSトランジスタ8がオフすれば、電極aにVHHが加えられ、電極a,c間にVHHの電位差が加えられる。電極a,c間に吸引力が作用し、図示しない可動鏡が傾斜する。pMOSトランジスタ6がオフしてnMOSトランジスタ8がオンすれば、電極aが接地される。電極a,c間に電位差が加えられない状態に切り替えられる。この状態では電極a,c間に吸引力が作用せず、図示しない可動鏡の傾斜角がもとに戻る。この形式のアクチュエータの場合、ばね性を持つ梁等によって可動鏡が支持されており、電極a,c間に吸引力が作用しない場合には、梁が自然形状に復帰する弾性力によって、可動鏡の傾斜角が所定角度(吸引力が作用しないときの角度)に戻る。
本明細書では、一対の電極のことを電極対といい、一対の電極間に電位差を加えることを電極対に電位差(または電圧)を加えるといい、一対の電極間に吸引力が作用することを電極対に吸引力が作用するということがある。
電極対A用の電圧印加回路の回路構成と、電極対B用の電圧印加回路の回路構成は、図4に示したものと同じであり、重複説明を省略する。ただし、pMOSトランジスタ6Aのゲート電圧DHAとpMOSトランジスタ6Bのゲート電圧DHBは、反転した関係にある。またnMOSトランジスタ8Aのゲート電圧DAとnMOSトランジスタ8Bのゲート電圧DBは、反転した関係にある。前者の関係から、pMOSトランジスタ6AがオンすればpMOSトランジスタ6Bがオフし、pMOSトランジスタ6AがオフすればpMOSトランジスタ6Bがオンする関係が得られる。後者の関係から、nMOSトランジスタ8AがオンすればnMOSトランジスタ8Bがオフし、nMOSトランジスタ8AがオフすればnMOSトランジスタ8Bがオンする関係が得られる。前記したように、pMOSトランジスタ6AがオンすればnMOSトランジスタ8Aはオフし、pMOSトランジスタ6AがオフすればnMOSトランジスタ8Aはオンする。またpMOSトランジスタ6BがオンすればnMOSトランジスタ8Bはオフし、pMOSトランジスタ6BがオフすればnMOSトランジスタ8Bはオンする。
以上から、図5の回路によって、(1)に示す状態、すなわち「pMOSトランジスタ6Aはオンし、nMOSトランジスタ8Aはオフし、pMOSトランジスタ6Bはオフし、nMOSトランジスタ8Bはオンする状態」と、(2)に示す状態、すなわち「pMOSトランジスタ6Aはオフし、nMOSトランジスタ8Aはオンし、pMOSトランジスタ6Bはオンし、nMOSトランジスタ8Bはオフする状態」の間で切り替えられることがわかる。(1)の状態では、電極対Aに電位差を加えて吸引力を発生させるとともに電極対Bには電位差を加えないことで吸引力を発生させない。(2)の状態では、電極対Aには電位差を加えないことで吸引力を発生させないとともに電極対Bに電位差を加えて吸引力を発生させる。
複数個のアクチュエータが行列に沿って配置されている場合、行方向に伸びる選択線と列方向に伸びるデータ線によって、各アクチュエータに動作状態を指示する技術が採用される。複数本の選択線のうちの一本のみに書き込み用電圧を加え、他の選択線には保持用電圧を加えると、データ線で動作状態を指示する一行を選択することができる。書き込み用電圧を加える選択線を経時的に切り替えていくと、データ線で動作状態を指示する行を経時的に切り替えていくことができる。m×n個のアクチュエータが、m行n列の行列に沿って配置されている場合、上記技術によると、n本のデータ線によってm×n個のアクチュエータに動作状態を指示することができる。
例えば、データ線INの電圧がVDD(例えば3.3V)なら電極対に電位差を印加する動作状態を指示し、データ線INの電圧がGRDなら電極対に電位差を印加しない動作状態を指示し、選択線WRの電圧がVDDなら書き込みを指示し、選択線WRの電圧がGRDなら保持を指示する場合、選択線WRの電圧がVDDである期間では、データ線INの電圧が3.3Vなら出力線DAの電圧は3.3Vとなって出力線DBの電圧は0Vとなり、データ線INの電圧が0Vなら出力線DAの電圧は0Vとなって出力線DBの電圧は3.3Vとなる。選択線WRの電圧が0Vの期間は、データ線INの電圧にかかわらず、スイッチSW1がオフする直前のDAとDBの電圧がそのまま保持される。
反転回路2,4とスイッチSW1、SW2等によって1ビットメモリHが構成されている。
本明細書では、電圧の大きさを示す参照符号と、その電圧が印加されている導電線を示す参照符号を区別しない。例えば出力線DAに電圧DAが印加されるという。前者の参照符号が導電線に種類を示し、後者の参照符号は電圧の大きさを示している。
前記したように、pMOSトランジスタ6A,6Bは、VHD〜VHHの間に閾値電圧を備えている。電圧レベルが変換されたDHAによるとpMOSトランジスタ6Aのオン・オフが切り替えられ、電圧レベルが変換されたDHBによるとpMOSトランジスタ6Bのオン・オフが切り替えられる。
(1)に示すように、DA=GRDであってDB=VDDの場合は、高耐圧nMOSトランジスタであるnhbがオンし、pMOSトランジスタであるpb1,pb2がオンする。電圧VBは、nMOSトランジスタであるn1に所定の電流が流れる電圧に調整されている。そのために、DHAの電圧=VHH−pb1の閾値電圧―pb2の閾値電圧となる。両方の閾値電圧がともにVthであれば、DHAの電圧=VHH−2×Vthとなる。電圧レベル変換回路Dでは、VHH−2×Vth=VHD(例えば36.7V)となるMOSトランジスタが選択されている。この状態では、pMOSトランジスタであるpa3がオンするので、DHBの電圧=VHH(40V)となる。この状態では、pMOSトランジスタであるpa1,pa2,pb3と、高耐圧nMOSトランジスタであるnhaはオフしている。
(2)に示すように、DA=VDDであってDB=GRDの場合は、高耐圧nMOSトランジスタであるnhaがオンし、pMOSトランジスタであるpa1,pa2がオンする。電圧VBは、nMOSトランジスタであるn1に所定の電流が流れる電圧に調整されている。そのために、DHBの電圧=VHH−pa1の閾値電圧―pa2の閾値電圧となる。両方の閾値電圧がともにVthであれば、DHBの電圧=VHH−2×Vthとなる。VHH−2×Vth=VHD(例えば36.7V)となるMOSトランジスタが選択されている。この状態では、pMOSトランジスタであるpb3がオンするので、DHAの電圧=VHH(40V)となる。この状態では、pMOSトランジスタであるpb1,pb2,pa3と、高耐圧nMOSトランジスタであるnhbはオフしている。
上記によって、電圧レベル変換回路Dによって、図5に示した、GRDとVDDの間で反転する電圧DA,DBから、VHDとVHHの間で反転する電圧DHA,DHBが生成されることが確認される。
本明細書では、大きな高耐圧トランジスタの必要数を減少する技術を開示する。
nMOSトランジスタがオンすると、pMOSトランジスタとnMOSトランジスタの直列回路に電流が流れ、消費電力の増大を招く。しかしながら、この問題は、pMOSトランジスタのオン抵抗を調整することでチューニングすることができる。pMOSトランジスタのオン抵抗が高くなるゲート電圧を加えれば、電力消費を抑制できる反面、電極対A,B等に所定の電圧が作用するまでに充電するのに要する時間が長くなる。pMOSトランジスタのオン抵抗が低くなるゲート電圧を加えれば、電極対A,B等に所定の電圧が作用するまでに充電するのに要する時間を短縮できるが、電力消費が増大する。応答性と電力消費量が両立するゲート電圧に調整することができる。
プラスの電源電圧を用いる場合もマイナスの電源電圧を用いる場合も、電極対の一方の電圧は、pMOSトランジスタを介して高圧側電源電圧に接続するとともにnMOSトランジスタを介して低圧側電源電圧に接続する。プラスの電源電圧を用いる場合は、プラスの電源電圧が高圧側電源電圧であり、接地電圧が低圧側電源電圧である。マイナスの電源電圧を用いる場合は、接地電圧が高圧側電源電圧であり、マイナスの電源電圧が低圧側電源電圧である。電極対の他方の電極は、接地電圧に接続する。接地電圧に接続されているMOSトランジスタ(プラスの電源電圧の場合はnMOSトランジスタであり、マイナスの電源電圧の場合はpMOSトランジスタである)のゲートには、メモリからの出力線を接続する。それに対して電源電圧に接続されているMOSトランジスタ(単に電源電圧に
接続されているという場合は、接地電圧ではない側の電源電圧に接続されていることをいう。すなわち、プラスの電源電圧の場合はプラスの電源電圧に接続されているpMOSトランジスタであり、マイナスの電源電圧の場合はマイナスの電源電圧に接続されているnMOSトランジスタである)のゲートには、メモリの記憶内容に依らない電圧(ソース・ドレイン間が適当な抵抗値を持って導通する電圧)を加える。
選択線の電位に連動して電源電圧に接続されているMOSトランジスタのゲート電圧を切り替える場合、選択線に書き込みを指令する電圧が印加されているとソース・ドレイン間抵抗を低下させる電圧を出力し、選択線に保持を指令する電圧が印加されているとソース・ドレイン間抵抗を上昇させる電圧を出力する電圧切り替え回路を利用する。その電圧切り替え回路を各行に配置する。そして、その電圧切り替え回路で切り替えられた出力電圧を、電圧切り替え回路に対応する行のMOSトランジスタのゲートに印加する。
(第1特徴)
各単位回路に、VHH、VB、VDD,GRDの4本の電源線が接続されている。VBはpMOSトランジスタの閾値電圧にほぼ等しく、pMOSトランジスタのソース・ドレイン間が適当な抵抗値を持って導通する状態とするバイアス電圧である。VHH>VB>VDD>nMOSトランジスタの閾値電圧>GRDの関係にある。
(第2特徴)各々のアクチュエータに、二個の電極対(A側電極対とB側電極対)が配置されている。電圧印加回路は「A側電極対に電位差を加えてB側電極対に電位差を加えない第1状態」と「A側電極対に電位差を加えないでB側電極対に電位差を加える第2状態」を切り替える。傾斜可能な鏡にアクチュエータが付設されており、第1状態における鏡の傾斜角と第2状態における鏡の傾斜角が相違する。
図1は、駆動回路の一実施例の全体構成と単位回路の構成を示している。参照符号Fは単位回路を示し、m行×n列のマトリクスの各交点に配置されている。各単位回路Fは、図示しない鏡(傾斜可能となっている)に対応している。m×n個の鏡がm行×n列のマトリクス状に配置されている。
各鏡に、二個の電極対(電極対Aと電極対B)が配置されている。電極対は図5に示したものと同様であり、図1では参照符号の記載が省略されている。単位回路Fは、「電極対Aに電位差を加えて電極対Bに電位差を加えない第1状態」と「電極対Aに電位差を加えないで電極対Bに電位差を加える第2状態」を切り替える。電極対に吸引力が作用するかしないかによって、鏡の傾斜角が変化する。第1状態における鏡の傾斜角と第2状態における鏡の傾斜角が相違する。
(2)nMOSトランジスタ8Aがオンし、pMOSトランジスタ8Bがオフしている期間。この状態では、電極対Aは放電し、電極対Bは充電される。電極対Aには吸引力が作用せず、電極対Bには吸引力が作用する。応答性と電力消費量とバイアス電圧VBの関係は、先に説明したとおりである。
前記したように、pMOSトランジスタのゲートに加えるバイアス電圧VBには、高すぎればアクチュエータの応答性が悪化し、低すぎれば消費電力が増大するという性質が存在している。第2実施例では、メモリの記憶内容を書き換える行のためのバイアス電圧VBを低下させることによって応答性を高め、記憶内容を保持する行のためのバイアス電圧VBを増大させることによって消費電力を低減する。アクチュエータをコントロールするMOSトランジスタのゲート電圧のレベルを切り替える点では従来と同じであるが、従来では行列の交点ごとに切り替えるのに対し、本実施例では行単位で切り替えることから、必要な高耐圧トランジスタの個数を顕著に減少させることができる。
電圧生成回路Pは、電源電圧VDDと接地電圧GRDの間に接続されている抵抗R1とnMOSトランジスタであるnh1の直列回路を備えている。nh1のドレインとゲートが接続されている。この構成によると、nh1のドレインとゲートの電圧は一定の電圧に調整される。その電圧は、抵抗R1によって決まる。抵抗がR1であれば、ドレイン等の電圧はV1となる。
同様に、電源電圧VDDと接地電圧GRDの間に、抵抗R2とnMOSトランジスタであるnh2が直列に接続されている。抵抗がR2であれば、nh2のドレイン等の電圧はV2となる。
各行に、バイアス線VBに加える電圧を切り替える回路Qが配置されている。nMOSトランジスタであるnh3のゲートには選択線WRの電圧が印加され、nMOSトランジスタであるnh4のゲートには選択線WRの電圧を反転した電圧が印加される。選択線WRに書き込み電圧(VDD)が印加されていると、nMOSトランジスタであるnh3がオンしてnh4がオフし、nMOSトランジスタであるnh5のゲートに電圧V1が印加される。選択線WRに保持電圧(GRD)が印加されていると、nh3がオフしてnh4がオンし、nh5のゲートに電圧V2が印加される。
nh5のゲートに電圧V1が印加されると、nh5のソース・ドレイン間の抵抗が下がり、ph1とnh5の直列回路を流れる電流値が増大する。バイアス線VBの電圧VBは、VHHよりも低下する。nh5のゲートに電圧V2が印加されると、nh5のソース・ドレイン間抵抗が上がり、ph1とnh5の直列回路に流れる電流値が低下する。バイアス線VBの電圧VBはVHHに近くなる。nh5のゲートに電圧V2が印加されると、nh5がオフするようにしてもよい。この場合、バイアス線VBの電圧VBは、VHH>VB>閾値の関係となる。
本実施例によると、高速応答性と低消費電力化を両立させることができる。
バイアス線VBの電圧が、各交点に配置されている電極対(画素回路の電極対)のスイッチングによって変動することを抑制したい場合には、回路Qの電圧VBの出力部にインピーダンス変換のためのバッファアンプを挿入することが有効である。
VB:バイアス線
VHH>VB>VDD>GRD
A:一方の電極対
B:他方の電極対
a:一方の電極
b:他方の電極
c:共通電極
F:単位回路
H:メモリ
J:電圧印加回路
IN:データ線
WR:選択線
DA:一方の電極対(A側)用のnMOSトランジスタのゲート電圧
DB:他方の電極対(B側)用のnMOSトランジスタのゲート電圧
VB:pMOSトランジスタのゲート電圧
P:電圧生成回路P
Q:電圧切り替え回路
2,4:反転回路
6:pMOSトランジスタ
8:nMOSトランジスタ
Claims (2)
- 複数個の電極対が行列に沿って配置されている静電容量型アクチュエータのための駆動回路であり、
各電極対の一方の電極はpMOSトランジスタを介して高圧側電源電圧に接続されているとともにnMOSトランジスタを介して低圧側電源電圧に接続されており、
プラスの電源電圧を用いる場合は低圧側電源電圧=接地電圧であり、マイナスの電源電圧を用いる場合は高圧側電源電圧=接地電圧であり、
各電極対の他方の電極は接地電圧に接続されており、
pMOSトランジスタのオン・オフを切換えるゲート電圧範囲が、nMOSトランジスタのオン・オフを切換えるゲート電圧範囲より高圧であって、両者が重複しておらず、
各電極対に対応して、選択線とデータ線に接続されているメモリが配置されており、
各電極対に対応するメモリからの出力線が、当該電極対に対応するとともに接地電圧に接続されているMOSトランジスタのゲートに接続されており、
プラスまたはマイナスの電源電圧に接続されているMOSトランジスタのゲートに、メモリの記憶内容に依らないとともにメモリが出力する電圧範囲外にある電圧が印加されている
ことを特徴とする駆動回路。 - 選択線に書き込みを指令する電圧が印加されているとMOSトランジスタのソース・ドレイン間抵抗を低下させる電圧を出力し、選択線に保持を指令する電圧が印加されているとMOSトランジスタのソース・ドレイン間抵抗を上昇させる電圧を出力する電圧切り替え回路が各行に配置されており、電圧切り替え回路の出力電圧が、対応する行のプラスまたはマイナスの電源電圧に接続されているMOSトランジスタのゲートに印加されることを特徴とする請求項1に記載の駆動回路。
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