JP6232765B2 - 二次イオン質量分析装置及び方法、並びにプログラム - Google Patents

二次イオン質量分析装置及び方法、並びにプログラム Download PDF

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Description

本発明は、試料の材料組成の深さ方向分布を測定する二次イオン質量分析装置及び方法、並びにプログラムに関する。
二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)は、試料の材料組成の深さ方向分布を測定する表面分析法である。SIMSでは、加速した一次イオンを固体の試料表面に照射し、試料表面からスパッタリング現象によって放出される二次イオンを質量分析器で検出し、試料表面を構成している元素の情報を得る。SIMSは、その検出感度の高さから、半導体産業をはじめとして、様々な分野において広く活用されている。
特開2007−184283号公報
SIMS測定において、試料表面に一次イオンのビームを照射する際には、いわゆるラスタースキャンを行う。ラスタースキャンとは、図1に示すように、スキャン範囲100を一次イオンビームで走査するときに、例えば正方形状のスキャン範囲100の例えば左上端の始点101から左右方向に繰り返しスキャンしてゆき、例えば右下端の終点103に到るまで、一定速度で行うスキャンを言う。以下、一次イオンビームが始点101を出発してから軌跡102を一巡して再び始点101まで戻るまでの運動は、ラスタースキャンの運動の最小単位であり、これを1フレームと呼ぶことにする。スキャン範囲100の内側では、どの位置においても、単位面積及び単位時間当たりに通過する一次イオンの数は略同等である。
図2は、一次イオンビームの照射によって試料のエッチングが進行してゆく様子を、試料の断面方向から示した模式図である。
一次イオンビーム104には、スキャン範囲100の内部においてラスタースキャンを行わせている。スキャン範囲100は、一次イオンビーム104に垂直な面内では正方形状であるが、一次イオンビーム104を試料105の表面に斜めに入射させるので、試料105の表面に一次イオンビーム104が照射される範囲である一次イオン照射範囲111の形状は、2組の対辺の長さが異なる長方形状となる。なお、一次イオンビーム104を試料105の表面に垂直に入射させると、一次イオン照射範囲111の形は、スキャン範囲100の形状がそのまま試料105の表面に投影されるので、正方形状となる。ラスタースキャンの間の一次イオンビーム104の移動速度は常に一定であるので、一次イオン照射範囲111の内部において一次イオンビーム104が試料105の表面に当たる点の移動速度も、常に一定である。このため、一次イオン照射範囲111の内部では、単位面積及び単位時間当たりに試料105の表面に照射される一次イオンの数は一定となる。一次イオン照射範囲111の内部では、試料105の表面を構成している原子がスパッタリングによって失われる数も、単位面積及び単位時間当たりで均一であるので、一次イオン照射範囲111の内部は、均一な速度でエッチングされる。
一次イオンビーム104により試料105のエッチングが開始されると、一次イオン照射範囲111の内部では均一な速度でエッチングが行われるため、エッチングにより形成されるクレータ112のクレータ底部113は平坦であり、当初の試料105の表面であった破線a0に対して常に平行な向きを維持したまま、破線a1、a2、a3、a4と、その深さを増してゆく。また、当然のことながら、試料105の表面には、一次イオン照射範囲111の外周に沿って段差が生じ、クレータ底部113の周囲を取り囲むように側壁114が形成される。
SIMS測定では、エッチングの進行とともにその深さを増して行くクレータ底部113から放出される二次イオンを検出することによって、試料105の材料組成の深さ方向分布を測定する。ところが図2に示したように、進行するエッチングの如何なる段階においても、クレータ底部113は、エッチング開始前の試料105の表面に対して平行であり、クレータ底部113の内部の各点は試料105の表面からの深さが等しい。そのため、深さ分解能の優れた測定を行うことが可能となる。
ところで、一次イオンビーム104は、ビームの断面内における一次イオンの密度が均一ではなく、一次イオンの密度が最も高い部分を中心として、その周囲に僅かではあるが一次イオンが広がって分布している。このため、ラスタースキャン中の一次イオンビーム104が一次イオン照射範囲111の最外周部、即ちクレータ底部113の最外周部にやって来ると、一次イオンの一部は側壁114にも照射される。その結果、側壁114の表面でもスパッタリング現象が発生し、側壁114の表面に存在している原子やそのイオンが空間に放出される。このような、側壁114で発生するスパッタリング現象が、SIMS測定では以下に説明するような問題を引き起こす。
先ず、平坦なクレータ底部113から放出された二次イオンとともに、側壁114から放出された二次イオンが同時に計測されると、その時刻におけるクレータ底部113の深さとは異なる深さからの二次イオン信号が混入することになり、結果的に、測定の深さ分解能が低下してしまう。
この問題に対処するために、いわゆるエレクトリックゲート法という手法が用いられている。エレクトリックゲート法では、図3に示すように、クレータ底部113の中央に二次イオン計測範囲115を設定する。そして、一次イオンビーム104がラスタースキャンによって一次イオン照射範囲111の内部を移動する途上で、二次イオン計測範囲115の内部を移動している間だけ、質量分析器により二次イオンの計測が行われるようにする。二次イオン計測範囲115は、側壁114からは大きく離れているので、一次イオンビーム104が二次イオン計測範囲115の内部にある時には、側壁114に一次イオンが照射されることがない。このため、二次イオン計測範囲115から放出された二次イオンには、側壁114から放出された二次イオンが混入することがない。また、一次イオンビーム104が二次イオン計測範囲115の外側にある時には、そもそも二次イオンの計測自体が行われない。このようにすることで、側壁114から放出された二次イオンの混入を防止して、クレータ底部113の深さから放出された二次イオンだけが計測されるようにすることができる。
なお、上述したように、SIMS測定では、一次イオンビーム104を試料105の表面に対して斜めに入射させることが多い。その場合、図1に示したような正方形状のスキャン範囲100の内側で一次イオンビーム104にラスタースキャンを行わせると、試料105の表面における一次イオン照射範囲111の形状、即ち試料105の表面に垂直な方向から見たときのクレータ112の形状は、2組の対辺の長さが異なる長方形状となる。しかしながら、一次イオンビーム104が試料105の表面にどのような角度で入射するかは、本発明の本質的な部分には全く影響を与えない。そのため、図3以降では説明を簡単にすべく、一次イオンビーム104を試料105の表面に垂直に入射させる場合を例に取り説明することとする。このため、図3(a)の平面図において、試料105の表面における一次イオン照射範囲111の形状、即ちクレータ112の形状は、一次イオンビーム104のスキャン範囲100の形状が試料105の表面にそのまま投影された正方形状となっている。また、二次イオン計測範囲115の形状も、正方形状としている。
二次イオン計測範囲115の内外における二次イオンの計測のする/しないの切り替えは、ラスタースキャンにより運動させている一次イオンビーム104の位置と、質量分析器の動作を連携させることによって行う。質量分析器には、質量分析器に二次イオンを取り込むための引き出し電極が設けられている。この引き出し電極に電圧をかければ、二次イオンが質量分析器に取り込まれて計測が行われる。一方、この引き出し電極に電圧をかけなければ、質量分析器に二次イオンが取り込まれることはなく、二次イオンの計測は行われない。一次イオンビーム104が一次イオン照射範囲111の中のどの位置にいるかに応じて、この引き出し電極にかける電圧をオン・オフし、二次イオンの計測のする/しないを切り替える。これにより、一次イオンビーム104が二次イオン計測範囲115の内部に存在する時だけ、二次イオンが計測されるようにすることができる。
以上のように、エレクトリックゲート法を用いることにより、クレータの側壁から放出される二次イオンが直接計測されることを防止することができる。しかしながら、クレータの側壁で発生するスパッタリング現象がもたらすもう一つの問題に、側壁から放出された原子の再付着の問題があり、これはエレクトリックゲート法では解決することができない。図4を用いて、再付着の現象について説明する。
図4は、クレータの側壁から放出された原子の再付着の問題を説明するための概略断面図である。
ここでは、表面から一定の深さの範囲に、高濃度で不純物を含有した不純物含有層116が存在する試料105について、組成の深さ方向分布を測定する場合を示している。
ラスタースキャンに伴う移動中において、一次イオンビーム104がクレータ底部113の最外周部に到達すると、側壁114にも一次イオンが照射される。側壁114には、不純物含有層116の断面が露出している。この露出部分に一次イオンが照射されると、スパッタリングによって不純物の二次イオンが放出される。ここで、先に説明したエレクトリックゲート法が適用されており、側壁114から放出された二次イオンは質量分析器では計測されない。このため、側壁114から放出された不純物の二次イオンが、クレータ底部113の深さの位置から放出された二次イオンであるかのように計測されることはない。
しかしながら、不純物含有層116の断面からスパッタリングによって放出された不純物原子117は、あらゆる方向に飛散するため、クレータ底部113の全面に飛び散り、再付着する。当然ながら、クレータ底部113の中央にある二次イオン計測範囲115にも不純物原子117が再付着する。その後、一次イオンビーム104が二次イオン計測範囲115の内部へと移動する。このとき、元々二次イオン計測範囲115に存在していた原子と共に、側壁114から飛散して再付着した不純物原子117も、スパッタリングによってイオン化されて、二次イオンとして放出される。二次イオン計測範囲115の内部から放出された二次イオンは質量分析器による計測の対象となるので、再付着した不純物原子117に起因する不純物の二次イオンも計測されてしまう。そして、あたかも試料105のその深さの位置に、元々不純物原子117が存在していたかのような、真実の組成分布とは異なる分布が測定されることになる。
上記の如き側壁から放出される原子の再付着の発生の問題に対して、例えば図5に示すような、再付着の影響を小さくするための測定方法が案出され、一定の成果を上げている。
図5の例では、深さ方向に組成分布の測定を行う範囲である測定実施領域118の周囲を一周するように、事前加工領域119を設定する。そして、事前加工領域119の部分を、予めイオンビームによってエッチングし、掘り下げておく。事前加工領域119は、少なくとも測定実施領域118で測定を行う深さよりも深い位置までは掘っておく。この加工の結果、測定実施領域118が事前加工領域119の中央に島状に残されることになる。事前加工領域119の加工が完了したならば、測定実施領域118の中央部分に、測定実施領域118よりも小さくなるよう二次イオン計測範囲115を設定し、また、測定実施領域118の全体が内部に含まれるように一次イオン照射範囲111を設定する。そのうえで、測定実施領域118を最上部からエッチングしながら組成分布の測定を行う。このような方法を採用することにより、図4までに説明した従来の意味合いにおける、側壁から放出される原子の再付着の影響はなくなり、より真実に近い組成分布が得られるようになった。
しかしながら、図5に示したような測定方法においても、異なる形態における再付着が発生する。事前加工領域119の中央に島状に残された測定実施領域118をエッチングするためのラスタースキャンの途上において、一次イオンビームが測定実施領域118の最外周部に移動する。このとき、測定実施領域118の周囲に予め形成されている壁面120に一次イオンが照射され、スパッタリングが発生し、壁面120から原子が放出される。図5からも判るように、壁面120からスパッタリングによって放出された原子は、二次イオン計測範囲115には再付着し難い位置関係にある。ところが、高感度の測定を行う場合には、これらの原子の二次イオン計測範囲115への再付着が、測定される組成分布のプロファイルに無視できない影響を与えることが明らかになっている。
以上のように、SIMS測定において、イオンビームを照射して試料をエッチングして掘り進めながら、同時に試料の深さ方向の組成分布を測定する場合には、測定部分に試料の断面が形成され、その断面にもイオンビームが照射されることになる。その結果、断面からスパッタリングによって放出される原子やそのイオンが、測定の深さ分解能を低下させるという問題がある。この問題は、SIMS測定の原理に起因するものであり、根本的な解決が難しく、これまでに知られている測定方法の範囲内では回避することができない。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、試料の深さ方向組成分析において、測定の過程で試料に形成されるクレータの側壁に露出した不純物原子の飛散とクレータ底部への再付着の影響を排除して、試料における本来の組成分布を正確に測定することを可能とする信頼性の高い二次イオン質量分析装置及び方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
二次イオン質量分析装置の一態様は、試料の材料組成の深さ方向分布を測定する二次イオン質量分析装置であって、前記試料の表面に一次イオンを照射する一次イオン照射部と、前記試料の表面から放出された二次イオンを検出する二次イオン検出部と、前記一次イオン照射部の作動と前記二次イオン検出部の作動とを独立して制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記一次イオン照射部を、前記一次イオンの照射範囲内において、中央部分のみに対する前記一次イオンの第1の照射と、前記中央部分の外周部分のみに対する前記一次イオンの第2の照射とを個別に行い、前記第1の照射時には前記一次イオンの軌跡が前記中央部分に位置する場合のみ前記一次イオンの照射をオンとし、前記第2の照射時には前記一次イオンの軌跡が前記外周部分に位置する場合のみ前記一次イオンの照射をオンとするように制御し、前記二次イオン検出部を、前記第2の照射に対しては作動させず、前記第1の照射に対しては作動させる場合と作動させない場合とを分けて制御する。
二次イオン質量分析装置の一態様は、試料の材料組成の深さ方向分布を測定する二次イオン質量分析装置であって、前記試料の表面に一次イオンを照射する一次イオン照射部と、前記試料の表面から放出された二次イオンを検出する二次イオン検出部と、前記一次イオン照射部の作動と前記二次イオン検出部の作動とを独立して制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記一次イオン照射部を、前記一次イオンの照射範囲内において、中央部分のみに対する前記一次イオンの第1の照射と、前記中央部分の外周部分のみに対する前記一次イオンの第2の照射とを個別に行うように制御し、前記二次イオン検出部を、前記第2の照射に対しては作動させず、前記第1の照射に対しては作動させる場合と作動させない場合とを分けて制御するに際して、前記二次イオン検出部を作動させずに前記第2の照射を行う第1工程と、前記二次イオン検出部を作動させずに前記第1の照射を行う第2工程と、前記二次イオン検出部を作動させて前記第1の照射を行う第3工程と、前記二次イオン検出部を作動させずに前記第2の照射を行う第4工程とからなる一連工程を実行する。
二次イオン質量分析方法の一態様は、試料の表面に一次イオンを照射し、前記試料の表面から放出された二次イオンを検出して、前記試料の材料組成の深さ方向分布を測定する二次イオン質量分析方法であって、前記一次イオンの照射範囲内において、中央部分のみに対する前記一次イオンの第1の照射と、前記中央部分の外周部分のみに対する前記一次イオンの第2の照射とを個別に行うに際して、前記二次イオンの検出を行うことなく前記第2の照射を行う第1工程と、前記二次イオンの検出を行うことなく前記第1の照射を行う第2工程と、前記第1の照射を行い、前記二次イオンの検出を行う第3工程と、前記二次イオンの検出を行うことなく前記第2の照射を行う第4工程とからなる一連工程を実行する。
本発明によれば、SIMSによる試料の深さ方向組成分析において、測定の過程で試料に形成されるクレータの側壁に露出した不純物原子の飛散とクレータ底部への再付着の影響を排除して、試料における本来の組成分布を正確に測定することが可能となる。
SIMS測定において、ラスタースキャンを説明するための概略平面図である。 一次イオンビームの照射によって試料のエッチングが進行してゆく様子を、試料の断面方向から示した模式図である。 エレクトリックゲート法を説明するための模式図である。 クレータの側壁から放出された原子の再付着の問題を説明するための概略断面図である。 クレータの側壁から放出された原子の再付着の影響を小さくするための測定方法を説明するための模式図である。 本実施形態によるSIMS装置の概略構成を示す模式図である。 本実施形態によるSIMS測定方法における一次イオンの照射範囲を示す概略平面図である。 本実施形態によるSIMS測定方法における一次イオンの照射態様を示す概略平面図である。 一次イオンガンから照射される一次イオンビームのオン/オフを切り替える方法を説明するための概略断面図である。 本実施形態によるSIMS測定方法における深さ方向測定の順序を示す図である。 本実施形態における1回の二次イオン信号強度の計測を構成する、連続する4つの工程について、工程の順番に沿って説明する図である。 本実施形態に対してエレクトリックゲート法を適用する場合の一次イオンの照射範囲及び二次イオンの計測範囲を示す概略平面図である。 本実施形態の効果を確認するために行った実験に使用した試料の様子を示す概略断面図である。 本実施形態の効果を確認するために行った実験における測定結果を示す特性図である。
以下、SIMS装置及びSIMS測定方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図6は、本実施形態によるSIMS装置の概略構成を示す模式図である。
このSIMS装置は、一次イオンガン3、質量分析器6、操作盤(表示画面)10、主制御部11、イオン強度計測部12、記録処理部13、ブランキング電極制御部14、偏向電極制御部15、及び引き出し電極制御部16を備えて構成される。
操作盤(表示画面)10は、測定者がSIMS装置に対して様々な測定動作の指示を主制御部11を介して与えるためのものである。また、操作盤(表示画面)10は、SIMS装置の動作状況についての様々な情報及び測定結果を画面に表示し、測定者に伝える。
試料1は、試料台2上に載置固定される。一次イオンガン3は、試料1に一次イオンビーム4を照射する。
質量分析器6は、質量分離器6a及びイオン検出器6bを有している。質量分離器6aは、様々な質量数の二次イオンが一緒になった状態から、主制御部11の指示により設定された特定の質量数の二次イオンのみを選別してイオン検出器6bに送出する。イオン検出器6bは、二次イオンを捕獲する度にパルス状の電気信号を発生させる。
主制御部11は、SIMS装置全体の動作を制御する中心的な部分であり、制御用プログラムを動作させるための中央処理装置(CPU)と、データを格納するための補助記憶装置とを備えている。主制御部11は、与えられた条件に従って一次イオンガン3に一次イオンビーム4を照射させるとともに、偏向電極制御部15に指示を出し、一次イオンガン3の内部に設置された偏向電極を動作させて、一次イオンビーム4に指定した動作でのラスタースキャンを行わせる。主制御部11は、ブランキング電極制御部14、偏向電極制御部15、及び引き出し電極制御部16等の各部に対して、後述する第1工程〜第4工程を含む動作の指示を与えるとともに、各部で得られた情報を処理する。
本実施形態では、主制御部11は、後述するように、一次イオンガン3を、一次イオン照射範囲内において、中央部のみへの一次イオンビーム4の第1の照射と、中央部の周囲の外周部のみへの一次イオンビーム4の第2の照射とを個別に行うように制御する。それと共に、主制御部11は、質量分析器6を、第2の照射に対しては作動させず、第1の照射に対しては作動させる場合と作動させない場合とを分けて制御する。
イオン強度計測部12は、イオン検出器6bにより発生した電気信号について、単位時間当たりの信号数、即ち、単位時間当たりに検出された二次イオン数を計測する。このようにして得られた単位時間当たりの検出二次イオン数が、二次イオン信号強度として扱われる。
イオン強度計測部12では、質量分析器6に依存して、一度に一種の質量数の二次イオン信号強度しか計測することはできない。そのため、後述する図10で例示した測定順序に従って、質量分離器6aを通過させる二次イオンの質量数の設定を切り替えて、複数の異なる質量数について二次イオン信号強度を交互に計測することを繰り返す。これにより、並行して複数の元素の深さ方向の濃度分布を測定することができる。
記録処理部13は、イオン強度計測部12で計測された各々の時刻における二次イオン信号強度の値を、測定開始からの経過時間、即ち、エッチング開始からの経過時間と共に一組の値として、主制御部11に送出し、記録する。二次イオン信号強度は、その質量数の元素の濃度に比例しているため、エッチング開始からの経過時間と、二次イオン信号強度の関係をプロットすれば、測定中のその質量数の元素の深さ方向の濃度分布を得ることができる。
ブランキング電極制御部14は、主制御部11の指示に基づいて、一次イオンガン3のブランキング電極を動作させる。偏向電極制御部15は、主制御部11の指示に基づいて、一次イオンガン3の偏向電極を動作させる。引き出し電極制御部16は、主制御部11の指示に基づいて、質量分析器6に付属する引き出し電極を動作させる。
以下、上記のSIMS装置を用いた本実施形態によるSIMS測定方法について説明する。
本実施形態では、図7(a)に示すように、一次イオン照射範囲21を、照射範囲境界線22の内側の中央部23と、外側の外周部24とに区分けする。そして、第1の照射及び第2の照射の2通りの照射設定ができるようにする。第1の照射は、1フレームのラスタースキャンの間に、中央部23のみに一次イオンが照射され、外周部24には一次イオンが照射されない照射設定である。第2の照射は、1フレームのラスタースキャンの間に、外周部24のみに一次イオンが照射され、中央部23には一次イオンが照射されない照射設定である。また、連続して複数のフレームでラスタースキャンを繰り返し行う場合には、一次イオンが照射される範囲を第1の照射及び第2の照射のうちのいずれの照射設定にするかを、フレームごとに個々に設定できるようにする。
中央部23にのみ一次イオンが照射されるように設定した第1の照射のフレームでは、図7(b)のように、一次イオン照射範囲21のうち、中央の斜線の部分だけに一次イオンが照射され、その部分だけがエッチングされる。一方、外周部24にのみ一次イオンが照射されるように設定した第2の照射のフレームでは、図7(c)のように、外側の斜線の部分だけに一次イオンが照射され、その部分だけがエッチングされる。
次に、図7(b)又は図7(c)のように、一次イオン照射範囲21のうちの特定の範囲にのみ、一次イオンビーム4を照射する方法について説明する。
主制御部11の制御による、ラスタースキャンにおける一次イオンビームの運動の仕方は、時刻と、その時刻における一次イオンビーム4の位置との対応関係によって定められている。ここで時刻とは、個々のフレームが始まってからの経過時間と考えて良い。また、一次イオンビーム4の位置とは、一次イオンビーム4に垂直な面内で定義された二次元の座標で一次イオンビーム4の位置を表現した時の座標の値と考えて良い。この時刻と位置の対応関係に従って一次イオンビーム4が運動するように、一次イオンガン3の内部に設けられた偏向電極で発生する電場を制御することによって、一次イオンビーム4は軌跡を描く。
本実施形態では、主制御部11は、一次イオンビーム4に軌跡に沿ってラスタースキャンの運動をさせるため、一次イオンガン3の偏向電極の制御を継続して行う。それと共に、その途上で、主制御部11は、スキャン範囲の内部での一次イオンビーム4の位置に応じて、一次イオンビーム4を照射させたり(オン)、照射を止めたり(オフ)する制御を行う。これにより、同一のフレームにおいて、スキャン範囲の内部に一次イオンビーム4の照射部分と非照射部分とが作出される。
本実施形態では、図8(a)のように、スキャン範囲25の内部に一つの閉じた領域を形成する切り替え境界線26を設定し、スキャン範囲25の内部を、切り替え境界線26の内側と外側の2つの領域に区分けする。そして、一次イオンビーム4の軌跡27の位置が、切り替え境界線26の内側であるか、或いは外側であるかに応じて、一次イオンビーム4をオンにするか、或いはオフにするかを設定する。同一のフレームの間では、一次イオンビーム4のオン/オフをこの設定に従って制御する。
図8(b)は、一次イオンビーム4の位置が、切り替え境界線26の内側の場合には一次イオンビーム4をオンにし、外側ではオフにする設定を示している。このような設定にしたフレームでは、一次イオンビーム4が試料1に向けて照射されるのは、スキャン範囲25のうち、中央の斜線の部分においてのみである。
一方、図8(c)はその逆であり、一次イオンビーム4の位置が、切り替え境界線26の内側では一次イオンビーム4をオフにし、外側ではオンにする設定を示している。このような設定にしたフレームでは、一次イオンビーム4は、スキャン範囲25のうちの外寄りの斜線の部分においてのみ照射される。
図8における切り替え境界線26の内側・外側の領域は、夫々、図7における照射範囲境界線22の内側・外側の領域に対応する。即ち、図8(b)のように、スキャン範囲25のうち、切り替え境界線26の内側でのみ一次イオンビーム4が照射されるフレームについて考える。このフレームでは、試料1の表面の一次イオン照射範囲21の内部において、図7(b)のように、照射範囲境界線22の内側の中央部23にのみ一次イオンビーム4が照射される。また、図8(c)のように、切り替え境界線26の外側でのみ一次イオンビーム4が照射されるフレームについて考える。このフレームでは、図7(c)のように照射範囲境界線22の外側の外周部24にのみ一次イオンビーム4が照射される。
次に、一次イオンガン3から照射される一次イオンビーム4のオン/オフを切り替える方法について、図9を用いて説明する。
ブランキング電極28は、図6の主制御部11による制御を通じてブランキング電極制御部14の制御により動作する。偏向電極31は、図6の主制御部11による制御を通じて偏向電極制御部15の制御により動作する。
図9では、一次イオンガン3のうち、説明に必要な構成要素のみが図示されており、他は省略されている。一次イオンガン3の内部には、一次イオンビーム4の経路に沿って、ブランキング電極28、スリット29、偏向電極31が順に設けられている。ブランキング電極28及び偏向電極31は、いずれも一次イオンビーム4の向きに垂直な方向に電場を発生させるための電極であり、特に偏向電極31は、時間的に変化する電場を発生させて、一次イオンビーム4にラスタースキャンを行わせるための電極である。スリット29には、ブランキング電極28で方向を変えずに直進した一次イオンビーム4が通過する位置に小さな穴が設けられている。
先ず、ブランキング電極28に電圧を印加しない状態では、ブランキング電極28には一次イオンビーム4の向きを変化させるような電場が発生しない。このため、図9(a)のように、一次イオンビーム4はブランキング電極28を直進し、スリット29に設けられた小さな穴を通過し、偏向電極31へと達する。偏向電極31には、時間的に変化する電場が発生しており、この電場によって一次イオンビーム4は向きを変えられてラスタースキャンを行い、試料1の表面の一次イオン照射範囲21に照射される。これが、一次イオンビーム4がオンの状態である。
ここで、ブランキング電極28に電圧を印加すると、ブランキング電極28の間に一次イオンビーム4の向きを変化させるような電場が発生する。このため、図9(b)のように、一次イオンビーム4はブランキング電極28で大きく向きを変えられ、スリット29から先へと進むことができなくなり、一次イオンビーム4が試料1に向かって照射されなくなる。これが、一次イオンビーム4がオフの状態である。
一次イオンビーム4がオフの状態で、ブランキング電極28への電圧の印加を止めれば、一次イオンビーム4は、ブランキング電極28を直進してスリット29を通過するようになり、再びイオンビーム4をオンの状態にすることができる。
このように、一次イオンガン3の内部のブランキング電極28を動作させることにより、瞬時にしてイオンビーム4のオン/オフを切り替えることができる。
ところで、一次イオンビーム4に軌跡27に沿ってラスタースキャンの運動をさせるための偏向電極31に印加する電圧の制御は、一次イオンビーム4のオン/オフの切り替えとは無関係に継続して行われる。一次イオンビーム4をオフにしても、その間は、偏向電極31を一次イオンビーム4が通過しないだけであって、一次イオンビーム4にラスタースキャンを行わせるような偏向電極31の動作は続いている。このため、ある時点で一次イオンビーム4を再びオンにすれば、その時点における偏向電極31の電場によって決定される位置から、一次イオンビーム4の照射と、軌跡27に沿ったラスタースキャンが再開される。
以上説明した方法を用いることにより、図7において説明したように、試料1の表面の一次イオン照射範囲21を、中央部23と外周部24とに区分けする。1フレームの間に中央部23のみがエッチングされる設定と、その逆に、外周部24のみがエッチングされる設定とが可能となり、連続して繰り返されるフレームのうちの個々のフレームについて、どちらかを選んで設定し、実行させることが可能になる。
次に、本実施形態において、試料の断面でのスパッタリングにより放出される原子の再付着の影響を排除しながら、SIMS測定を行う方法について説明する。
SIMS測定では、1つ或いは複数の元素の二次イオン信号強度を測定する作業を、エッチングにより試料を掘り進みながら繰り返し行い、各元素の二次イオン信号強度の深さ方向での変化を測定する。
図10は、SIMS測定における深さ方向測定の順序を示す図である。図10では、試料1中に含まれる3つの元素、質量数aの元素A、質量数bの元素B、質量数cの元素Cについて、深さ方向の濃度分布を測定する場合について示している。
質量分析器6では、同時に二次イオンの数を計測できるのは、1つの質量数についてのみである。このため、異なる3つの質量数の二次イオンの数を計測する場合には、質量数a、質量数b、質量数cを交互に一つずつ計測しなければならない。そして、図10に示すように、連続して行うこれら3つの質量数の計測を1サイクルとして、これを幾サイクルも繰り返し行うことによって、各質量数の二次イオン信号強度の深さ方向での変化を測定する。
なお、図10の例では、測定する元素は3種類としたが、更に多くの種類の元素を並行して測定する場合も全く同様である。一般的にn種類の元素を測定する場合には、測定のあるサイクルにおいて、1番目、2番目、3番目というように、順に異なる質量数の二次イオン信号強度の計測を進めてゆく。最後のn番目の質量数の計測が終了したならば、そのサイクルの測定は終了となり、測定は次のサイクルへと移り、再び1番目の質量数の測定から計測が始められる。
従来のSIMS測定では、通常、1回の二次イオン信号強度の計測には、1フレームのラスタースキャンが充てられる。図10における例を測定順序に沿って見てゆくと、測定開始直後の1フレーム目では、質量数aの二次イオン信号強度の計測を行う。続く2フレーム目では、質量数bの二次イオン信号強度の計測を行う。続く3フレーム目では、質量数cの二次イオン信号強度の計測を行う。続く4フレーム目から各元素の2サイクル目の測定に入り、4フレーム目では再び質量数aを計測し、5フレーム目では質量数bを、6フレーム目では質量数cを、というように測定が進められる。
また、エッチングの進行の観点からは、次の質量数の計測に移る度に、1フレーム分のみエッチングが進行することになる。また、同一の質量数の計測を追ってゆくと、隣り合うサイクルの間では、3フレーム分のみエッチングが進行することになる。
これに対して、本実施形態では、1回の二次イオン信号強度の計測は、連続する4つの工程によって構成される。その各工程には、ラスタースキャンの1フレームずつが充てられる。既に説明した方法によって、一次イオン照射範囲21の内部に設けられた中央部23とその外側の外周部24との2つの領域が、フレームごとに別々にエッチングされる。
図11は、本実施形態における1回の二次イオン信号強度の計測を構成する、連続する4つの工程について、工程の順番に沿って説明する図である。図11は、図7(a)に示す一次イオン照射範囲21を、中央部23を通過する断面で模式的に示したものである。なお、図11において、クレータ底部32は、太さの異なる2種類の実線により示されている。太い実線は側壁33から放出された原子が付着している範囲であることを示しており、一方、細い実線は付着物のない清浄な試料表面であることを示している。
図11を用いて、本実施形態における二次イオン信号強度の計測方法について説明する。
図11における第0工程は、第1工程以下の一連工程の出発点となる状態を示しており、直前の二次イオン信号強度の計測が完了した状態を示している。図11における第0工程は、本実施形態によって既に一定の深さまで試料1のエッチングが進んだ状態を示しているが、未だ試料1がエッチングされていない測定開始前の状態も、第0工程の状態であると解釈して良い。第0工程では、クレータ底部32は全ての位置で深さが等しく、平坦である。また、直前工程において、側壁33から放出された原子がクレータ底部32の全面に飛散し、付着した状態となっている。
先ず、第1工程では、主制御部11による一次イオンガン3の制御により、1フレーム分の一次イオンビーム4の照射(第2の照射)を実行し、外周部24のみのエッチングを行う。その結果、外周部24が中央部23よりも1フレームのエッチング分だけ低くなり、中央部23が外周部24の中央に島状に一段高く残される。また、第1工程では、側壁33にも一次イオンビーム4が照射されるので、第1工程の間に側壁33からスパッタリングにより放出された原子がクレータ底部32の全面に飛散する。この第1工程では、主制御部11は、質量分析器6による二次イオン信号強度の計測を行わない。
次に、第2工程では、主制御部11による一次イオンガン3の制御により、1フレーム分の一次イオンビーム4の照射(第1の照射)を実行し、外周部24に対して一段高くなっている中央部23のみのエッチングを行う。この第2工程でも、主制御部11は、質量分析器6による二次イオン信号強度の計測は行わない。第1工程におけるエッチングと、第2工程におけるエッチングを比較すると、ラスタースキャン中の一次イオンビーム4の移動速度が等しいので、試料1の表面に単位面積当たりに入射する一次イオンの数は等しい。従って、1フレーム分の一次イオンビーム4の照射によってエッチングされる深さは、第1工程と第2工程で等しくなる。このため、第2工程が完了した時点では、外周部24と中央部23との深さが再び揃い、クレータ底部32は平坦となる。
第2工程では、一次イオンビーム4は中央部23にのみ照射されるので、側壁33には一次イオンが照射されることがない。このため、第2工程の間には、側壁33からの新たな原子の放出とその再付着は発生しない。このため、第2工程では、直前工程までに中央部23の最表面に堆積した付着物がスパッタリングにより除去され、その結果、第2工程が完了した時点では、中央部23の範囲に付着物の存在しない清浄な試料表面が現れる。
次に、第3工程では、主制御部11による一次イオンガン3の制御により、1フレーム分の一次イオンビーム4の照射(第1の照射)を実行し、中央部23のみのエッチングを行う。それと同時に、主制御部11による質量分析器6の制御により、中央部23の最表面からスパッタリングにより放出される二次イオンのうち、所定の質量数の二次イオンの信号強度の計測を行う。
第3工程を行う際には、直前の第2工程で付着物が除去されて、中央部23は清浄な試料表面となっている。また、第3工程でも一次イオンビーム4は中央部23にのみ照射されるので、第3工程の間に側壁33からの新たな原子の放出と再付着は発生しない。このため、第3工程では、側壁33からの付着物の影響を受けることなく、試料1のその深さにおける本来の材料組成を正しく反映した二次イオン信号強度を計測することができる。
第3工程が完了した時点では、中央部23が外周部24よりも1フレームのエッチング分だけ低くなる。
最後に、第4工程では、主制御部11による一次イオンガン3の制御により、1フレーム分の一次イオンビーム4の照射(第2の照射)を実行し、外周部24のみのエッチングを行う。この第4工程では、主制御部11は、質量分析器6による二次イオン信号強度の計測は行わない。1フレーム分の一次イオンビーム4の照射でエッチングされる深さは、上述と同じ理由により、第3工程と第4工程とで等しい。そのため、第4工程が完了した時点では、外周部24と中央部23との深さが再び揃い、クレータ底部32は平坦となる。第4工程では、側壁33にも一次イオンビーム4が照射されるため、第4工程の間に側壁33からスパッタリングにより放出された原子が、クレータ底部32の全面に飛散する。
第4工程が完了した時点におけるクレータ底部32の状態は、第0工程と同様であり、第4工程が完了したら、そのまま次の二次イオン信号強度の計測のための第1工程へと、測定作業が継続される。
本実施形態において、図11に示した工程のように、中央部23と外周部24のエッチングを1フレームずつ交互に行いながらエッチングを進めている。これは、中央部23と外周部24との間にできるだけ段差が生じないようにすることが目的である。当該エッチングにより、中央部23にのみ一次イオンが照射される工程である第2工程及び第3工程において、外周部24との段差面から放出される二次イオンの検出や原子の再付着の影響が可能な限り小さくなる。実際、第1工程の終了時点と、第3工程の終了時点のそれぞれにおいてクレータ底部32に生じている中央部23と外周部24との間の段差は、僅か1フレーム分の一次イオンの照射によるエッチングで生じるものであり、その高低差は極めて小さい。仮に、その段差面から放出された二次イオンが計測されたり、或いは段差面から放出された原子が再付着を起こしたりしても、それらが深さ方向の濃度分布の測定結果に与える影響は、無視できるほどに小さい。
本実施形態では、以上説明した第1工程〜第4工程の連続する4つの工程を用いた計測方法を採用する。これにより、側壁33から放出された原子の再付着の影響を完全に排除して、試料1のその時点でのクレータ底部32の深さにおける本来の材料組成を正しく反映した二次イオン信号強度を計測することができる。更に、このような計測方法を、例えば、図10の例に示したような深さ方向測定における、個々の二次イオン信号強度の計測に適用すれば、測定対象となる全ての元素について、より正確な深さ方向の濃度プロファイルを得ることができる。
ここで、図6に示したSIMS装置における、本実施形態に特有の動作について説明する。
主制御部11は、測定者が与えた設定に基づき、時刻と、その時刻におけるラスタースキャン中の一次イオンビーム4の位置情報との対応関係のデータを生成する。先ず、このデータは、偏向電極制御部15へと送られる。偏向電極制御部15では、このデータに基づき、一次イオンガン3の内部の偏向電極で発生させる電場の時間変化のさせ方を制御し、一次イオンビーム4に所定の動作でラスタースキャンを行わせる。
一方、主制御部11では、現在実行しているサイクルが何サイクル目のどの質量数の測定中か、その質量数の測定における第1工程〜第4工程のうちのどの工程が進行中か、その工程のフレームにおいて一次イオンビーム4はどの位置にあるのか、を管理している。主制御部11は、測定の進行に合わせて装置内の各部に指示を送る。
先ず、主制御部11は、測定する質量数に応じて質量分析器6の内部の質量分離器6aを制御し、所定の質量数の二次イオンがイオン検出器6bへと送出されるようにする。また、個々の質量数の計測において、図11の4つの工程のうちのどの工程が進行中か、また、その工程のフレームにおいて一次イオンビーム4がどの位置にあるか、に応じて、主制御部11はブランキング電極制御部14を制御する。ブランキング電極制御部14は、一次イオンガン3における一次イオンビーム4のオン/オフを制御する。これにより、当該フレームでは、図7の一次イオン照射範囲21のうちの中央部23のみをエッチングするのか、或いは外周部24のみをエッチングするのかを切り替える。また、主制御部11は、引き出し電極制御部16を制御し、各質量数の計測の4つの工程のうち、第3工程が進行している間だけ二次イオン5が質量分析器6に取り込まれるようにする。
上記のように、本実施形態では、第3工程でのみ、二次イオン信号強度の計測が行われる。第3工程では、クレータの側壁33に一次イオンが照射されることがないので、側壁33から放出された二次イオンを直接計測することを防止するという目的では、先に説明したエレクトリックゲート法を適用する必要はない。しかしながら、第3工程において、一次イオン照射範囲21の内部の中央部23を一次イオンビーム4が移動する途上で、一次イオンビーム4が照射範囲境界線22に接近、到達することが考えられる。この場合には、上述したように、一次イオンビーム4が空間的に一定の広がりを持っていることにより、外周部24にもごく部分的ではあるが一次イオンが照射される。外周部24には、側壁33から放出された原子が付着しているため、これらが二次イオンとして計測されてしまう可能性が考えられる。
そこで、本実施形態に対してエレクトリックゲート法を適用することを考える。図12に示すように、照射範囲境界線22の内側の中央部23の更に内側に、二次イオン計測範囲34を設定する。第3工程では、中央部23の全域に一次イオンビーム4が照射されるが、一次イオンビーム4が図12の二次イオン計測範囲34の内部にあるときにのみ、質量分析器6で所定の質量数の二次イオン信号強度の計測を行うようにする。その結果、外周部24から放出された二次イオンが計測されることがなくなり、本実施形態の効果がより徹底して得られるようになる。
なお、一次イオン照射範囲21の輪郭線と照射範囲境界線22との離間距離は、照射範囲境界線22上に一次イオンビーム4が位置したときに、一次イオン照射範囲21の輪郭線、即ち側壁33に一次イオンが絶対に照射されないだけの距離を確保しておけば良い。また、同様に、照射範囲境界線22と二次イオン計測範囲34の輪郭線の離間距離は、二次イオン計測範囲34の最外周部分に一次イオンビーム4が位置したときに、外周部24に一次イオンが確実に照射されないだけの距離を確保しておけば良い。具体的には、どちらの距離についても、一次イオンビーム4の絞り方の度合いにもよるが、少なくとも50μm以上を確保すれば、確実に効果が得られると考えられる。
次いで、図11の各工程における、深さ方向へのエッチングの速度について考える。
図11の第1工程〜第4工程には、それぞれ1フレーム分のラスタースキャンが充てられる。これらの4回のラスタースキャンにおける一次イオンビーム4の動作は、全て同じである。即ち、スキャン範囲の内部で、共通の軌跡に沿って移動し、その移動速度も等しい。そして、単位面積当たりに一次イオン照射範囲21に照射される一次イオンの数は等しくなる。その結果、1フレーム分の一次イオンの照射によって、クレータ底部32がエッチングされる深さは、全工程で等しくなる。このため、第2工程が終了した時点と、第4工程が終了した時点では、クレータ底部32はいずれも段差のない平坦な面となる。
各工程においてエッチングされる深さが、必ずしも全工程の間で一致している必要はない。上述したように、図11のような工程を辿ることの目的の一つは、エッチングの進行中、中央部23と外周部24との間に、常に大きな段差が生じないようにすることにある。第1工程〜第4工程の途上、少なくとも第2工程が終了した時点と、第4工程が終了した時点において、クレータ底部32が段差のない平坦な面になっていれば良い。そのためには、少なくとも、第1工程と第2工程との間でエッチング深さが等しければ良く、また、第3工程と第4工程との間でエッチング深さが等しければ良い。
1フレーム分の一次イオンの照射によるエッチング深さは、一定の軌跡に沿って一次イオンビーム4が移動する場合には、その移動速度、即ちラスタースキャンの走査速度によって決定される。従って、第1工程と第2工程との間、第3工程と第4工程との間でエッチング深さをそれぞれ等しくするためには、第1工程と第2工程との間、第3工程と第4工程との間で、それぞれラスタースキャンの走査速度を等しくする必要がある。
ところで、第3工程では、スパッタリングによりクレータ底部32から放出された二次イオンの信号強度を計測するという重要な作業が行われる。このため、第3工程では、測定の対象や目的に応じて、SIMS測定が最適な条件の下で行われるように、中央部23への一次イオンの照射条件が設定される。
その一方で、第2工程の目的は、第3工程での二次イオン信号強度の計測の前に、中央部23の最表面部分にそれ以前の工程で付着した側壁33からの付着物を除去して、中央部23に清浄な試料表面を出現させることにある。第2工程でのエッチングは、少なくともこの目的が達成される程度に行われれば良い。逆に、第2工程でそれ以上のエッチングが行われることは、測定全体を通して見れば、過剰なエッチングにより試料を徒に掘り進めることになる。その結果、深さ方向の測定点の間隔を粗くしてしまい、測定の深さ方向の分解能の低下をもたらすため、好ましくない。
一定の軌跡に沿って一次イオンビーム4が移動する場合には、その移動速度、即ちラスタースキャンの走査速度を大きくすれば良い。この場合、試料1の単位面積当たりに照射される一次イオンの数が少なくなり、その結果、同じ1フレーム分のラスタースキャンによるエッチングであっても、エッチングされる深さは小さくなる。この点について、実験により検討を行った。二次イオン信号強度の計測により、充分な感度が得られるような走査速度で第3工程のラスタースキャンを行う場合を想定した。この場合、第2工程では、一次イオンビーム4のラスタースキャンの走査速度を、第3工程に比べて最大で10倍まで大きくしても、中央部23の最表面の付着物を除去する効果が充分に得られることが明らかになった。
上述したように、第1工程と第2工程との間、第3工程と第4工程との間では、それぞれラスタースキャンの走査速度を等しくする必要がある。そのため、本実施形態では、図11の第1工程と第2工程での一次イオンビーム4のラスタースキャンの走査速度を、第3工程と第4工程での走査速度に比べて最大で10倍まで大きくする。これにより、各工程でのエッチング深さを小さくしても、本実施形態の効果を得ることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、SIMSによる試料の深さ方向組成分析において、測定の過程で試料に形成されるクレータの側壁に露出した不純物原子の飛散とクレータ底部への再付着の影響を排除して、試料における本来の組成分布を正確に測定することが可能となる。
以下、本実施形態の効果を確認するために行った実験の結果について説明する。
図13は、実験に使用した試料の様子を示す概略断面図である。この試料は、試料の表面側から順に、GaN(厚み100nm程度)、AlGaN(厚み20nm程度)、GaN(厚み1200nm程度)の各層が積層されたものである。
この試料について、先ず、従来のSIMS装置を用い、試料の表面側から組成の深さ方向分布測定を行った。
一次イオンには酸素イオン(O2 +イオン)を使用し、加速エネルギーを5keVとした。一次イオンビームの試料表面への入射角度は0°、即ち試料表面に対して垂直に入射させて測定を行った。一次イオンビームのラスタースキャンは、1辺300μm程度の正方形状で行った。一次イオンビームのスキャン範囲の中央に、1辺100μm程度の正方形状の二次イオン計測範囲を設定し、その内部から放出される二次イオンのみを計測した。
続いて、本実施形態によるSIMS装置を用いて測定を行った。
一次イオンには酸素イオン(O2 +イオン)を使用し、加速エネルギーは、5keVとし、ビーム電流値やビームの絞り調整等、一次イオンビームに関係する諸条件は全て従来のSIMS装置における測定と同一とした。一次イオン照射範囲21を、1辺300μm程度の正方形状とした。その内側に、1辺200μm程度の正方形状の照射範囲境界線22を、更にその内側に、1辺100μm程度の正方形状の二次イオン計測範囲34を、いずれも一次イオン照射範囲21と中心が一致するように設定した。
図11の第3工程及び第4工程における一次イオンビームのラスタースキャンの走査速度は、従来のSIMS装置における測定と同一とした。一方、第1工程及び第2工程における走査速度は、第3工程及び第4工程における走査速度の10倍に設定した。
両測定とも、測定開始からの経過時間と、27Al+69Ga+14+の各二次イオンの強度の関係を記録した。
図14に測定結果を示す。(a)が従来のSIMS装置による測定結果、(b)が本実施形態による測定結果である。本実施形態のSIMS装置による測定では、1回の二次イオン信号強度の測定に多数のフレームを充てているため、全体では、深さ方向へのエッチングの進行の速さは、従来のSIMS装置による測定に比べて、凡そ半分程度にまで遅くなっている。(b)の特性図は、深さ方向(横軸)の縮尺が(a)の特性図と一致するように調整して描かれている。
従来のSIMS装置による測定では、AlGaN層から深い位置における27Al+の信号が測定終了まで落ち切ることなく検出され続けている。これは、クレータの側壁に露出したAlGaN層の断面から飛散したAl原子がクレータ底部に再付着し、この再付着したAl原子が測定され続けたためであると推定される。
これに対して、本実施形態のSIMS装置による測定では、AlGaN層から深い位置における27Al+の信号強度が、従来のSIMS装置を用いた場合に比べて、1桁以上も低くなっている。この結果は、本実施形態のSIMS装置を用いたことにより、AlGaN層からのAl原子の再付着の影響を除去しながら、深さ方向の組成分布の測定ができたことを示している。
(その他の実施形態)
上述した本実施形態によるSIMS装置の各構成要素(図6の主制御部11、ブランキング電極制御部14、偏向電極制御部15、及び引き出し電極制御部16等)の機能は、コンピュータ(CPU)の補助記憶装置等に記憶された制御用プログラムが動作することによって実現できる。同様に、SIMS測定方法の第1工程〜第4工程等は、制御用プログラムが動作することによって実現できる。この制御用プログラム及び当該制御用プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本実施形態に含まれる。
具体的に、制御用プログラムは、例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。制御用プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、制御用プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワークシステムにおける通信媒体を用いることができる。ここで、コンピュータネットワークとは、LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等であり、通信媒体とは、光ファイバ等の有線回線や無線回線等である。
また、本実施形態に含まれる制御用プログラムとしては、供給された制御用プログラムをコンピュータが実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるようなもののみではない。例えば、その制御用プログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合にも、かかる制御用プログラムは本実施形態に含まれる。また、供給された制御用プログラムの処理の全て或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合にも、かかる制御用プログラムは本実施形態に含まれる。
以下、二次イオン質量分析装置及び方法、並びにプログラムの諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
試料の材料組成の深さ方向分布を測定する二次イオン質量分析装置であって、
前記試料の表面に一次イオンを照射する一次イオン照射部と、
前記試料の表面から放出された二次イオンを検出する二次イオン検出部と、
前記一次イオン照射部の作動及び前記二次イオン検出部の作動を個別に制御する制御部と
を含み、
前記制御部は、
前記一次イオン照射部を、前記一次イオンの照射範囲内において、中央部分のみに対する前記一次イオンの第1の照射と、前記中央部分の外周部分のみに対する前記一次イオンの第2の照射とを別個に行うように制御し、
前記二次イオン検出部を、前記第2の照射に対しては作動させず、前記第1の照射に対しては作動させる場合と作動させない場合とを分けて制御することを特徴とする二次イオン質量分析装置。
(付記2)
前記制御部は、
前記二次イオン検出部を作動させずに前記第2の照射を行う第1工程と、
前記二次イオン検出部を作動させずに前記第1の照射を行う第2工程と、
前記二次イオン検出部を作動させて前記第1の照射を行う第3工程と、
前記二次イオン検出部を作動させずに前記第2の照射を行う第4工程と
からなる一連工程を実行することを特徴とする付記1に記載の二次イオン質量分析装置。
(付記3)
前記制御部は、前記第1工程と前記第2工程とで前記一次イオンの照射の走査速度を等しく、前記第3工程と前記第4工程とで前記一次イオンの照射の走査速度を等しく制御することを特徴とする付記2に記載の二次イオン質量分析装置。
(付記4)
前記制御部は、前記第1工程及び前記第2工程における前記走査速度を、前記第3工程及び前記第4工程における前記走査速度の1倍〜10倍に設定することを特徴とする付記3に記載の二次イオン質量分析装置。
(付記5)
前記中央部分内で当該中央部分よりも小さいサイズの計測領域が設定されており、
前記制御部は、前記第3工程を行う際に、前記第1の照射で前記一次イオンが前記計測領域に照射されているときにのみ前記二次イオン検出部を作動させることを特徴とする付記2〜4のいずれか1項に記載の二次イオン質量分析装置。
(付記6)
試料の表面に一次イオンを照射し、前記試料の表面から放出された二次イオンを検出して、前記試料の材料組成の深さ方向分布を測定する二次イオン質量分析方法であって、
前記一次イオンの照射範囲内において、中央部分のみに対する前記一次イオンの第1の照射と、前記中央部分の外周部分のみに対する前記一次イオンの第2の照射とを個別に行うに際して、
前記二次イオンの検出を行うことなく前記第2の照射を行う第1工程と、
前記二次イオンの検出を行うことなく前記第1の照射を行う第2工程と、
前記第1の照射を行い、前記二次イオンの検出を行う第3工程と、
前記二次イオンの検出を行うことなく前記第2の照射を行う第4工程と
からなる一連工程を実行することを特徴とする二次イオン質量分析方法。
(付記7)
前記第1工程と前記第2工程とで前記一次イオンの照射の走査速度を等しく、前記第3工程と前記第4工程とで前記一次イオンの照射の走査速度を等しくすることを特徴とする付記6に記載の二次イオン質量分析方法。
(付記8)
前記第1工程及び前記第2工程における前記走査速度を、前記第3工程及び前記第4工程における前記走査速度の1倍〜10倍に設定することを特徴とする付記7に記載の二次イオン質量分析方法。
(付記9)
前記中央部分内で当該中央部分よりも小さいサイズの計測領域が設定されており、
前記第3工程を行う際に、前記第1の照射で前記一次イオンが前記計測領域に照射されているときにのみ前記二次イオンを検出することを特徴とする付記6〜8のいずれか1項に記載の二次イオン質量分析方法。
(付記10)
試料の材料組成の深さ方向分布を測定する二次イオン質量分析を、
前記試料の表面に一次イオンを照射する一次イオン照射部と、
前記試料の表面から放出された二次イオンを検出する二次イオン検出部と
を含む二次イオン質量分析装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記一次イオンの照射範囲内において、中央部分のみへの前記一次イオンの第1の照射と、前記中央部分の外周部分のみへの前記一次イオンの第2の照射とを個別に行うに際して、
前記二次イオンの検出を行うことなく前記第2の照射を行う第1工程と、
前記二次イオンの検出を行うことなく前記第1の照射を行う第2工程と、
前記第1の照射を行い、前記二次イオンの検出を行う第3工程と、
前記二次イオンの検出を行うことなく前記第2の照射を行う第4工程と
からなる一連工程を実行させることを特徴とするプログラム。
(付記11)
前記第1工程と前記第2工程とで前記一次イオンの照射の走査速度を等しく、前記第3工程と前記第4工程とで前記一次イオンの照射の走査速度を等しくすることを特徴とする付記10に記載のプログラム。
(付記12)
前記第1工程及び前記第2工程における前記走査速度を、前記第3工程及び前記第4工程における前記走査速度の1倍〜10倍に設定することを特徴とする付記11に記載のプログラム。
(付記13)
前記中央部分内で当該中央部分よりも小さいサイズの計測領域が設定されており、
前記第3工程を行う際に、前記第1の照射で前記一次イオンが前記計測領域に照射されているときにのみ前記二次イオンを検出することを特徴とする付記10〜12のいずれか1項に記載のプログラム。
1,105 試料
2 試料台
3 一次イオンガン
4,104 一次イオンビーム
5 二次イオン
6 質量分析器
6a 質量分離器
6b イオン検出器
10 操作盤
11 主制御部
12 イオン強度計測部
13 記録処理部
14 ブランキング電極制御部
15 偏向電極制御部
16 引き出し電極制御部
21,111 一次イオン照射範囲
22 照射範囲境界線
23 中央部
24 外周部
25,100 スキャン範囲
26 切り替え境界線
27,102 軌跡
28 ブランキング電極
29 スリット
31 偏向電極
32,113 クレータ底部
33、114 側壁
34,115 二次イオン計測範囲
101 始点
103 終点
112 クレータ
116 不純物含有層
117 不純物原子
118 測定実施領域
119 事前加工領域
120 壁面

Claims (11)

  1. 試料の材料組成の深さ方向分布を測定する二次イオン質量分析装置であって、
    前記試料の表面に一次イオンを照射する一次イオン照射部と、
    前記試料の表面から放出された二次イオンを検出する二次イオン検出部と、
    前記一次イオン照射部の作動と前記二次イオン検出部の作動とを独立して制御する制御部と
    を含み、
    前記制御部は、
    前記一次イオン照射部を、前記一次イオンの照射範囲内において、中央部分のみに対する前記一次イオンの第1の照射と、前記中央部分の外周部分のみに対する前記一次イオンの第2の照射とを個別に行い、前記第1の照射時には前記一次イオンの軌跡が前記中央部分に位置する場合のみ前記一次イオンの照射をオンとし、前記第2の照射時には前記一次イオンの軌跡が前記外周部分に位置する場合のみ前記一次イオンの照射をオンとするように制御し、
    前記二次イオン検出部を、前記第2の照射に対しては作動させず、前記第1の照射に対しては作動させる場合と作動させない場合とを分けて制御することを特徴とする二次イオン質量分析装置。
  2. 前記制御部は、
    前記二次イオン検出部を作動させずに前記第2の照射を行う第1工程と、
    前記二次イオン検出部を作動させずに前記第1の照射を行う第2工程と、
    前記二次イオン検出部を作動させて前記第1の照射を行う第3工程と、
    前記二次イオン検出部を作動させずに前記第2の照射を行う第4工程と
    からなる一連工程を実行することを特徴とする請求項1に記載の二次イオン質量分析装置。
  3. 試料の材料組成の深さ方向分布を測定する二次イオン質量分析装置であって、
    前記試料の表面に一次イオンを照射する一次イオン照射部と、
    前記試料の表面から放出された二次イオンを検出する二次イオン検出部と、
    前記一次イオン照射部の作動と前記二次イオン検出部の作動とを独立して制御する制御部と
    を含み、
    前記制御部は、
    前記一次イオン照射部を、前記一次イオンの照射範囲内において、中央部分のみに対する前記一次イオンの第1の照射と、前記中央部分の外周部分のみに対する前記一次イオンの第2の照射とを個別に行うように制御し、
    前記二次イオン検出部を、前記第2の照射に対しては作動させず、前記第1の照射に対しては作動させる場合と作動させない場合とを分けて制御するに際して、
    前記二次イオン検出部を作動させずに前記第2の照射を行う第1工程と、
    前記二次イオン検出部を作動させずに前記第1の照射を行う第2工程と、
    前記二次イオン検出部を作動させて前記第1の照射を行う第3工程と、
    前記二次イオン検出部を作動させずに前記第2の照射を行う第4工程と
    からなる一連工程を実行することを特徴とする二次イオン質量分析装置。
  4. 前記制御部は、前記第1工程と前記第2工程とで前記一次イオンの照射の走査速度を等しく、前記第3工程と前記第4工程とで前記一次イオンの照射の走査速度を等しく制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の二次イオン質量分析装置。
  5. 前記中央部分内で当該中央部分よりも小さいサイズの計測領域が設定されており、
    前記制御部は、前記第3工程を行う際に、前記第1の照射で前記一次イオンが前記計測領域に照射されているときにのみ前記二次イオン検出部を作動させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の二次イオン質量分析装置。
  6. 試料の表面に一次イオンを照射し、前記試料の表面から放出された二次イオンを検出して、前記試料の材料組成の深さ方向分布を測定する二次イオン質量分析方法であって、
    前記一次イオンの照射範囲内において、中央部分のみに対する前記一次イオンの第1の照射と、前記中央部分の外周部分のみに対する前記一次イオンの第2の照射とを個別に行うに際して、
    前記二次イオンの検出を行うことなく前記第2の照射を行う第1工程と、
    前記二次イオンの検出を行うことなく前記第1の照射を行う第2工程と、
    前記第1の照射を行い、前記二次イオンの検出を行う第3工程と、
    前記二次イオンの検出を行うことなく前記第2の照射を行う第4工程と
    からなる一連工程を実行することを特徴とする二次イオン質量分析方法。
  7. 前記第1工程と前記第2工程とで前記一次イオンの照射の走査速度を等しく、前記第3工程と前記第4工程とで前記一次イオンの照射の走査速度を等しくすることを特徴とする請求項に記載の二次イオン質量分析方法。
  8. 前記中央部分内で当該中央部分よりも小さいサイズの計測領域が設定されており、
    前記第3工程を行う際に、前記第1の照射で前記一次イオンが前記計測領域に照射されているときにのみ前記二次イオンを検出することを特徴とする請求項又はに記載の二次イオン質量分析方法。
  9. 試料の材料組成の深さ方向分布を測定する二次イオン質量分析を、
    前記試料の表面に一次イオンを照射する一次イオン照射部と、
    前記試料の表面から放出された二次イオンを検出する二次イオン検出部と
    を含む二次イオン質量分析装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記一次イオンの照射範囲内において、中央部分のみへの前記一次イオンの第1の照射と、前記中央部分の外周部分のみへの前記一次イオンの第2の照射とを個別に行うに際して、
    前記二次イオンの検出を行うことなく前記第2の照射を行う第1工程と、
    前記二次イオンの検出を行うことなく前記第1の照射を行う第2工程と、
    前記第1の照射を行い、前記二次イオンの検出を行う第3工程と、
    前記二次イオンの検出を行うことなく前記第2の照射を行う第4工程と
    からなる一連工程を実行させることを特徴とするプログラム。
  10. 前記第1工程と前記第2工程とで前記一次イオンの照射の走査速度を等しく、前記第3工程と前記第4工程とで前記一次イオンの照射の走査速度を等しくすることを特徴とする請求項に記載のプログラム。
  11. 前記中央部分内で当該中央部分よりも小さいサイズの計測領域が設定されており、
    前記第3工程を行う際に、前記第1の照射で前記一次イオンが前記計測領域に照射されているときにのみ前記二次イオンを検出することを特徴とする請求項又は10に記載のプログラム。
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