JP6232194B2 - 塑性加工用潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、潤滑油組成物に関する。より詳しくは、本発明は、鋼板、ステンレス鋼板、表面処理鋼板、アルミ合金鋼板などに、プレス成形、曲げ成形、引き抜き成形、しごき成形などの塑性加工を施す際に使用される塑性加工用潤滑油組成物に関する。
従来、金属の塑性加工用潤滑剤として、潤滑油基油に硫黄化合物、塩素化合物、リン酸エステル等を配合した組成物が知られている。上記成分は要求性能に合わせて適宜組み合せて使用されている。
しかし、近年の地球環境への配慮の点から、塩素系化合物を使用しない塑性加工用潤滑剤(非塩素系塑性加工用潤滑剤)の開発が進められている。例えば、非塩素系塑性加工用潤滑剤として、上記した硫黄化合物、リン酸エステルに加え、亜鉛ジチオフォスフェート等を含有する塑性加工用潤滑剤が提案されている(例えば特許文献1〜3を参照)。
また、被加工材への塗布性が悪いと加工不良が発生することを考慮して、40℃における動粘度が1.5〜10mm/sの低粘度基油と10〜100mm/sの高粘度基油を混合して、基油の40℃における動粘度を50mm/s以下にすると、濡れ拡がりやすく塗布性に優れる潤滑剤が得られることが知られている(例えば特許文献4、5を参照)。
特開平6−346081号公報 特開平9−328696号公報 特開2000−73083号公報 特開2007−153962号公報 特開2012−62488号公報
しかし、上記従来の潤滑剤であっても、加工性と塗布性との両立の観点からは、未だ改善の余地がある。例えば、被加工材の板厚が厚い場合など難易度が高い加工においては、油膜を保持するために高粘度の基油(例えば40℃における動粘度が50mm/s以上の基油)を用いなければならない場合があり、その場合は塗布性が不十分となりやすい。また、極圧性等を改善するために多量の添加剤を配合すると、潤滑油組成物の40℃における動粘度が50mm/s以上となる場合があり、この場合も塗布性が不十分となりやすい。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、40℃における動粘度が50mm/s以上であっても、被加工材に塗布した際の濡れ拡がり性に優れ、かつ従来の非塩素塑性加工用潤滑剤と同等の加工性能を有する塑性加工用潤滑油組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、5%留出点と95%留出点との差が80℃以上である鉱油系基油と、硫黄系極圧剤と、亜鉛ジチオフォスフェートと、有機酸塩と、油脂とを含有する塑性加工用潤滑油組成物を提供する。
本発明の潤滑油組成物は、5%留出点と95%留出点との差が100℃以上である鉱油系基油を含有することが好ましい。
本発明の潤滑油組成物においては、鉱油系基油の40℃における動粘度が5.5mm/s以上であることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物においては、硫黄系極圧剤が、下記一般式(1)で表されるジハイドロカルビルポリサルファイド及び硫化エステルから選ばれる1種以上であり、硫黄系極圧剤の含有量が、組成物全量基準で5〜30質量%であることが好ましい。
−S−R (1)
[式(1)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数3〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基あるいは炭素数7〜20のアリールアルキル基を表し、aは2〜6の整数を表す。]
本発明の潤滑油組成物においては、亜鉛ジチオフォスフェートが、下記一般式(2)で表される亜鉛ジチオフォスフェートであり、亜鉛ジチオフォスフェートの含有量が、組成物全量基準で0.5〜7質量%であることが好ましい。
Figure 0006232194

[式(2)中、R及びRは同一であっても異なってもよく、それぞれ炭素数1〜18の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す。]
本発明の潤滑油組成物においては、有機酸塩が、スルフォネート、フェネート及びサリシレートから選ばれる1種以上であり、有機酸塩の含有量が、組成物全量基準で0.5〜20質量%であることが好ましい。
本発明の塑性加工用潤滑油組成物は、被加工材への濡れ拡がり性に優れているので加工不良が発生しにくく、鋼板、ステンレス鋼板、表面処理鋼板、アルミ合金板などに、プレス成形、曲げ成形、引き抜き成形、しごき成形などの塑性加工を施す際に、良好な加工性能を発揮するという顕著な効果を有する。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明の塑性加工用潤滑油組成物は、5%留出点と95%留出点との差が80℃以上である鉱油系基油と、硫黄系極圧剤と、亜鉛ジチオフォスフェートと、有機酸塩と、油脂とを含有する塑性加工用潤滑油組成物である。
ここで、本明細書でいう5%留出点及び95%留出点とは、JIS K 2254「蒸留試験方法−ガスクロマトグラフ法」で測定される値である。
鉱油系基油に含まれる鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱油又はナフテン系鉱油が挙げられる。鉱油系基油は、上記鉱油のうち1種を含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
鉱油系基油の蒸留性状は、5%留出点と95%留出点との差が80℃以上であるが、好ましくは90℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは110℃以上である。鉱油系基油の5%留出点と95%留出点との差が上記範囲であると、被加工材への濡れ拡がり性がより向上する。なお、鉱油系基油の5%留出点と95%留出点との差の上限値は、特に制限はないが、例えば235℃以下である。
5%留出点と95%留出点との差が80℃以上である鉱油系基油を得る方法としては、例えば、常圧蒸留あるいは減圧蒸留する際の理論段数を低くすることが好ましい。
また、鉱油系基油の蒸留性状を上記の範囲とするために、蒸留性状の異なる2種類以上の鉱油(例えば、低沸点鉱油と高沸点鉱油)を混合して用いることができる。低沸点鉱油としては、5%留出点が212〜470℃、95%留出点が220〜590℃であるものが好ましく、高沸点鉱油としては、5%留出点が270〜520℃、95%留出点が455〜680℃であるものが好ましい。
低沸点鉱油の5%留出点が212℃以上であると、引火点の低下による安全上の問題を確実に解消することができ、好ましい。また、高沸点鉱油の95%留出点が680℃以下であると、洗浄性の点から好ましい。また、2種以上の鉱油系基油を含有する混合基油の5%留出点と95%留出点との差の上限については、特に制限はないが、低沸点鉱油を多く配合して混合基油の5%留出点と95%留出点との差が225℃を超える場合は引火点が低くなるおそれがある。一方、高沸点鉱油多く配合して5%留出点と95%留出点との差が225℃を超える場合は、洗浄性が悪化するおそれがある。
低沸点鉱油の配合割合は、特に制限はないが、基油全量基準で、好ましくは3〜90質量%、より好ましくは5〜68質量%である。
鉱油系基油の40℃における動粘度は、5.5mm/s以上、好ましくは20mm/s以上、より好ましくは22mm/s以上、さらに好ましくは30mm/s以上、最も好ましくは50mm/s以上である。基油の40℃における動粘度が5.5mm/s以上であると、油膜を保持することができ、被加工材の板厚が厚い場合など難易度が高い加工も可能となり、また、引火点の低下による安全上の問題を解消することができるため好ましい。また、基油の40℃における動粘度の上限は特に限定されないが、好ましくは1000mm/s以下、より好ましくは800mm/s以下、さらに好ましくは500mm/s以下、最も好ましくは300mm/s以下である。基油の40℃における動粘度が1000mm/s以下であると洗浄性の点で好ましい。
なお、本明細書でいう動粘度は、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」で測定される値である。
また、加工性向上の観点から、鉱油系基油の%Cpは40以上80以下が好ましく、45以上75以下がより好ましく、50以上70以下がさらに好ましい。
なお、本明細書でいう%Cpは、ASTM D−3238に規定する“Standard Test Method for Calculation Distribution and Structural Group Analysis of Petroleum Oils by the n−d−M Method”に準拠して測定される%Cpを意味する。
本実施形態において、硫黄系極圧剤としては、ジハイドロカルビルポリサルファイド、硫化エステルおよび硫化鉱油が好ましく用いられる。
ジハイドロカルビルポリサルファイドとは、一般的にポリサルファイド又は硫化オレフィンとも呼ばれる硫黄系化合物であり、具体的には下記一般式(1)で表される化合物を意味する。
−S−R (1)
[式(1)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数3〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基あるいは炭素数7〜20のアリールアルキル基を表し、aは2〜6の整数を表す。]
上記一般式(1)中のR及びRとしては、それぞれ独立にエチレン又はプロピレンから誘導された炭素数3〜18の分枝状アルキル基であることが好ましく、エチレン又はプロピレンから誘導された炭素数6〜15の分枝状アルキル基であることがより好ましい。また、aは2〜5の整数であることが好ましい。
硫化エステルとしては、具体的には、牛脂、豚脂、魚脂、菜種油、大豆油などの動植物油脂;不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸又は上記の動植物油脂から抽出された脂肪酸類などを含む)と各種アルコールとを反応させて得られる不飽和脂肪酸エステル;及びこれらの混合物などを任意の方法で硫化することにより得られるものが挙げられる。
硫化鉱油とは、鉱油に単体硫黄を溶解させたものをいう。硫化鉱油に用いられる鉱油としては特に制限されないが、原油に常圧蒸留及び減圧蒸留を施して得られる潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理などの精製処理を適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などが挙げられる。また、単体硫黄としては、塊状、粉末状、溶融液体状等いずれの形態のものを用いてもよいが、粉末状又は溶融液体状の単体硫黄を用いると基油への溶解を効率よく行うことができるので好ましい。なお、溶融液体状の単体硫黄は液体同士を混合するので溶解作業を非常に短時間で行うことができるという利点を有しているが、単体硫黄の融点以上で取り扱わねばならず、加熱設備などの特別な装置を必要とし、高温雰囲気下での取り扱いとなるため危険を伴うなど、取り扱いが必ずしも容易ではない。これに対して、粉末状の単体硫黄は、安価で取り扱いが容易であり、しかも溶解に要する時間が十分に短いので特に好ましい。また、硫化鉱油における硫黄含有量に特に制限はないが、通常、硫化鉱油全量を基準として好ましくは0.05〜1.0質量%であり、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。
上記硫黄系極圧剤の中でも、ジハイドロカルビルポリサルファイド及び硫化エステルが加工性向上の観点から好ましい。
硫黄系極圧剤の含有量は、加工性及び含有量に見合った効果の観点から、組成物全量基準で5質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上25質量%以下がより好ましく、7質量%以上22質量%以下がさらに好ましく、10質量%以上20質量%以下が最も好ましい。
本実施形態で用いられる亜鉛ジチオフォスフェートは、下記一般式(2)で表されるものが好ましい。
Figure 0006232194
式(2)において、RおよびRは同一であっても異なってもよく、それぞれ炭素数1〜18の直鎖状又は分枝状のアルキル基を示す。加工性向上の観点より、炭素数は2〜12が好ましく、3〜10がより好ましく、4〜8がさらに好ましい。アルキル基は分岐型であることが好ましい。
亜鉛ジチオフォスフェートの含有量は、加工性及び含有量に見合った効果の観点から、組成物全量基準で0.5質量%以上7質量%以下が好ましく、0.7質量%以上5質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上3.0質量%以下がさらに好ましく、1.0質量%以上2質量%以下が最も好ましい。なお、亜鉛ジチオフォスフェートに由来する亜鉛含有量は、組成物全量基準で0.01質量%以上4質量%以下であり、0.03質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上2質量%以下が最も好ましい。
本実施形態で用いられる有機酸塩としては、スルフォネート、フェネート及びサリシレートが好ましい。
スルフォネートとしては、任意の方法によって製造されたものが使用可能であるが、例えば、分子量100〜1500、好ましくは200〜700のアルキル芳香族化合物をスルフォン化することによって得られるアルキル芳香族スルフォン酸と、アルカリ金属の塩基(アルカリ金属の酸化物や水酸化物など)、アルカリ土類金属の塩基(アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物など)又はアミン(アンモニア、アルキルアミンやアルカノールアミンなど)とを反応させて得られるいわゆる中性(正塩)スルフォネート;中性(正塩)スルフォネートと、過剰のアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンを水の存在下で加熱することにより得られるいわゆる塩基性スルフォネート;炭酸ガスの存在下で中性(正塩)スルフォネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンと反応させることにより得られるいわゆる炭酸塩過塩基性(超塩基性)スルフォネート;中性(正塩)スルフォネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基若しくはアミン及びホウ酸若しくは無水ホウ酸などのホウ酸化合物と反応させたもの、又は炭酸塩過塩基性(超塩基性)スルフォネートとホウ酸若しくは無水ホウ酸などのホウ酸化合物を反応させることによって製造されるいわゆるホウ酸塩過塩基性(超塩基性)スルフォネート;及びこれらの混合物が挙げられる。
上記アルキル芳香族スルフォン酸としては、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルフォン化したものや、ホワイトオイル製造時に副生する、いわゆるマホガニー酸などの石油スルフォン酸や、洗剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラントから副生したもの、ポリオレフィンをベンゼンにアルキル化することにより得られる直鎖状又は分枝状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルフォン化したもの、あるいはジノニルナフタレンなどのアルキルナフタレンをスルフォン化したものなどの合成スルフォン酸などが挙げられる。
また、フェネートとしては、例えば、元素硫黄の存在下又は不存在下で、炭素数4〜20のアルキル基を1〜2個有するアルキルフェノールと、アルカリ金属の塩基(アルカリ金属の酸化物や水酸化物など)、アルカリ土類金属の塩基(アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物など)又はアミン(アンモニア、アルキルアミンやアルカノールアミンなど)とを反応させることにより得られる中性フェネート;中性フェネートと過剰のアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンを水の存在下で加熱することにより得られる、いわゆる塩基性フェネート;炭酸ガスの存在下で中性フェネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンと反応させることにより得られる、いわゆる炭酸塩過塩基性(超塩基性)フェネート;中性フェネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基若しくはアミン及びホウ酸若しくは無水ホウ酸などのホウ酸化合物と反応させたもの、又は炭酸塩過塩基性(超塩基性)フェネートとホウ酸若しくは無水ホウ酸などのホウ酸化合物を反応させることによって製造される、いわゆるホウ酸塩過塩基性(超塩基性)フェネート;及びこれらの混合物が挙げられる。
さらに、サリシレートとしては、例えば、元素硫黄の存在下又は不存在下で、炭素数4〜20のアルキル基を1〜2個有するアルキルサリチル酸と、アルカリ金属の塩基(アルカリ金属の酸化物や水酸化物など)、アルカリ土類金属の塩基(アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物など)又はアミン(アンモニア、アルキルアミンやアルカノールアミンなど)とを反応させることにより得られる中性サリシレート;中性サリシレートと、過剰のアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンを水の存在下で加熱することにより得られるいわゆる塩基性サリシレート;炭酸ガスの存在下で中性サリシレートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンと反応させることにより得られるいわゆる炭酸塩過塩基性(超塩基性)サリシレート;中性サリシレートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基若しくはアミン及びホウ酸若しくは無水ホウ酸などのホウ酸化合物と反応させたもの、又は炭酸塩過塩基性(超塩基性)金属サリシレートとホウ酸若しくは無水ホウ酸などのホウ酸化合物を反応させることによって製造されるいわゆるホウ酸塩過塩基性(超塩基性)サリシレート;及びこれらの混合物が挙げられる。
上記有機酸塩の中でも、カルシウムスルフォネート、アミンスルフォネート、ナトリウムスルフォネート、カルシウムフェネート、カルシウムサリシレートが好ましく、カルシウムスルフォネート、カルシウムフェネート、カルシウムサリシレートがより好ましい。
有機酸塩の含有量は、加工性及び含有量に見合った効果の観点から、組成物全量基準で0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、1.0質量%以上10質量%以下がより好ましく、2.0質量%以上7.0質量%以下がさらに好ましく、2.5質量%以上5.0質量%以下が最も好ましい。
本実施形態で用いられる油脂としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、あるいはこれらの水素添加物が挙げられる。
油脂の含有量は、加工性、および配合量に見合った効果の観点から、組成物全量基準で1.0質量%以上20質量%以下が好ましく、2.5質量%以上15質量%以下がより好ましく、4.0質量%以上12質量%以下がさらに好ましく、5.0質量%以上10質量%以下が最も好ましい。
本実施形態に係る塑性加工用潤滑剤組成物は、高い加工効率及び工具寿命の向上効果が得られることからリン系極圧剤をさらに含有してもよい。リン系極圧剤としては、具体的には、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステル、フォスフォロチオネート等が挙げられる。これらのリン化合物は、リン酸、亜リン酸又はチオリン酸とアルカノール、ポリエーテル型アルコールとのエステルあるいはその誘導体である。
上記リン系極圧剤の中でも、より高い加工効率及び工具寿命の向上効果が得られることから、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、及び酸性リン酸エステルのアミン塩が好ましい。
上記リン系極圧剤の含有量は任意であるが、加工効率の向上及び工具寿命の向上の点から、組成物全量基準で、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。また、工具寿命向上の点から、組成物全量基準で、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
本実施形態に係る塑性加工用潤滑剤組成物は、加工効率及び工具寿命がより高められる点から、油性剤をさらに含有することが好ましい。油性剤としては、アルコール、カルボン酸、不飽和カルボン酸の硫化物、下記一般式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、ポリオキシアルキレン化合物、エステル、多価アルコールのハイドロカルビルエーテル、アミンなどを挙げることができる。
Figure 0006232194

[式(3)中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表し、cは1〜6の整数を表し、bは0〜5の整数を表す。]
Figure 0006232194

[式(4)中、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表し、dは1〜6の整数を表し、eは0〜5の整数を表す。]
アルコールのうち一価アルコールとしては、炭素数3〜18の直鎖状のアルコール、炭素数3〜18の分枝状のアルコール、炭素数5〜10のシクロアルキルアルコール、アルキルシクロアルキルアルコールなどが挙げられる。具体的には、直鎖状又は分岐状の、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノール、シクロヘプタノールなどが挙げられる。
また、本実施形態におけるアルコールのうち多価アルコールとしては、水酸基を2〜8個有する多価アルコールが好ましく用いられる。
2価アルコール(ジオール)としては、直鎖状又は分岐状の、炭素数2〜12の脂肪族2価アルコールが挙げられる。
また、3価以上のアルコールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)、グリセリン、ポリグリセリン、1,3,5ーペンタントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトールなどの多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコースなどの糖類及びこれらの部分エーテル化物;及びメチルグルコシド(配糖体)が挙げられる。また、多価アルコール中の水酸基の一部がエステル化されたいわゆる部分エステルも用いられる。これらの中でも、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)などのヒンダードアルコールが好ましい。
アルコールの中でも、加工性の観点から分岐状の飽和一価アルコールが好ましく用いられる。
カルボン酸は一塩基酸でも多塩基酸でもよい。より高い加工効率及び工具寿命が得られる点から、炭素数1〜40の一価のカルボン酸が好ましく、炭素数3〜25のカルボン酸がより好ましく、炭素数4〜20のカルボン酸がさらに好ましい。これらのカルボン酸は、直鎖状でも分岐状でもよく、飽和でも不飽和でもよいが、べたつき防止性の点から飽和カルボン酸であることが好ましい。これらの中でも、加工効率及び工具寿命の向上並びに取扱性の点から、炭素数3〜20の飽和脂肪酸、炭素数3〜22の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物が好ましく、炭素数4〜18の飽和脂肪酸、炭素数4〜18の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物がより好ましく、炭素数4〜18の不飽和脂肪酸がさらに好ましく、べたつき防止性の点からは炭素数4〜18の飽和脂肪酸が最もさらに好ましい。
多塩基酸としては炭素数2〜16の二塩基酸、トリメリット酸等が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸としては、直鎖状でも分岐状でもよく、また飽和でも不飽和でもよい。
不飽和カルボン酸の硫化物としては、例えば、上記のカルボン酸のうち、不飽和のものの硫化物を挙げることができる。具体的には、オレイン酸の硫化物を挙げることができる。
上記一般式(3)で表される化合物において、Rで表される炭素数1〜30の炭化水素基の例としては、例えば炭素数1〜30の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアルキルシクロアルキル基、炭素数2〜30の直鎖又は分岐アルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜30のアルキルアリール基、及び炭素数7〜30のアリールアルキル基を挙げることができる。
上記一般式(3)において水酸基の置換位置は任意であるが、2個以上の水酸基を有する場合には隣接する炭素原子に置換していることが好ましい。cは好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは2である。bは好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは1又は2である。一般式(3)で表される化合物の例としては、p−tert−ブチルカテコールを挙げることができる。
上記一般式(4)で表される化合物において、Rで表される炭素数1〜30の炭化水素基の例としては、前記一般式(3)中のRで表される炭素数1〜30の炭化水素基の例と同じものを挙げることができる。水酸基の置換位置は任意であるが、2個以上の水酸基を有する場合には隣接する炭素原子に置換していることが好ましい。dは好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは2である。eは好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは1又は2である。一般式(4)で表される化合物の例としては、2,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンを挙げることができる。
ポリオキシアルキレン化合物としては、例えば下記一般式(5)又は(6)で表される化合物を挙げることができる。
O−(RO)−R (5)
[式(5)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、fは一般式(5)で表される化合物の数平均分子量が100〜3500となるような整数を表す。]
A−[(R10O)−R11 (6)
[式(6)中、Aは水酸基を3〜8個有する多価アルコールにおける水酸基の水素原子の一部又は全部を取り除いた残基を表し、R10は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R11は水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表し、gは一般式(6)で表される化合物の数平均分子量が100〜3500となるような整数を表し、hはAの水酸基から取り除かれた水素原子の個数と同じ数を表す。]
上記一般式(5)中、R及びRの少なくとも一方は水素原子であることが好ましい。fは、好ましくは一般式(5)で表される化合物の数平均分子量が300〜2000となるような整数であり、より好ましくは一般式(5)で表される化合物の数平均分子量が500〜1500となるような整数である。
エステルについては、これを構成するアルコールが一価アルコールでも多価アルコールでもよく、またカルボン酸は一塩基酸でも多塩基酸でもよい。一価アルコール及び多価アルコールとしては、それぞれ上記の油性剤としてのアルコールの説明において例示した一価アルコール及び多価アルコールと同様のものを用いることができる。
エステル油性剤を構成するアルコールは、上述したように1価アルコールであっても多価アルコールであってもよいが、より優れた加工効率及び工具寿命が達成可能となる点、並びに流動点の低いものがより得やすく、冬季及び寒冷地での取り扱い性がより向上する等の点から、多価アルコールであることが好ましい。特に3価のアルコールが好ましい。また、多価アルコールのエステルを用いると、加工性向上、及び連続加工性効果がより大きくなる。
また、エステル油性剤を構成するカルボン酸は、上記の油性剤としてのカルボン酸の説明において例示した一塩基酸及び多塩基酸が挙げられる。カルボン酸のアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、飽和でも不飽和でもよいが、直鎖状及び不飽和が好ましい。
なお、エステルを構成するアルコールとして多価アルコールを用いた場合、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルでもよく、あるいは水酸基の一部がエステル化されず水酸基のままで残っている部分エステルでもよい。また、エステルを構成するカルボン酸として多塩基酸を用いた場合、多塩基酸中のカルボキシル基全てがエステル化された完全エステルでもよく、あるいはカルボキシル基の一部がエステル化されずカルボキシル基のままで残っている部分エステルであってもよい。
多価アルコールのハイドロカルビルエーテルを構成する多価アルコールとしては、上記の油性剤としてのアルコールの説明において例示した多価アルコールと同じである。
多価アルコールのハイドロカルビルエーテルとしては、上記多価アルコールの水酸基の一部又は全部をハイドロカルビルエーテル化したものが使用できる。加工効率及び工具寿命の向上の点からは、多価アルコールの水酸基の一部をハイドロカルビルエーテル化したもの(部分エーテル化物)が好ましい。ここでいうハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等の炭素数1〜24の炭化水素基を意味する。
これらハイドロカルビル基の中では、加工効率及び工具寿命の向上の点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
アミンとしては、モノアミンが好ましく使用される。モノアミンの炭素数は、好ましくは6〜24であり、より好ましくは12〜24である。ここでいう炭素数とはモアミンに含まれる総炭素数を意味し、モノアミンが2個以上の炭化水素基を有する場合にはその合計炭素数を表す。
モノアミンとしては、第1級モノアミン、第2級モノアミン及び第3級モノアミンのいずれもが使用可能であるが、加工効率及び工具寿命の向上の点から、第1級モノアミンが好ましい。
モノアミンの窒素原子に結合する炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が使用可能であるが、加工効率及び工具寿命の向上の点から、アルキル基又はアルケニル基であることが好ましい。アルキル基、アルケニル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、加工効率及び工具寿命の向上の点から、直鎖状が好ましい。
モノアミンとしては、加工効率及び工具寿命の向上の点から、炭素数12〜24の第1級モノアミンが好ましく、炭素数14〜20の第1級モノアミンがより好ましく、炭素数16〜18の第1級モノアミンがさらに好ましい。
本実施形態においては、上記油性剤の中から選ばれる1種のみを用いてもよく、また2種以上の混合物を用いてもよい。これらの中でも、加工効率及び工具寿命の向上の点から、カルボン酸又はエステルから選ばれる1種又は2種以上の混合物であることが好ましい。
上記油性剤の含有量は特に制限はないが、加工性向上の点から、組成物全量基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。また、安定性の点から、油性剤の含有量は、組成物全量基準で、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
また、本実施形態に係る塑性加工用潤滑油組成物は、酸化防止剤をさらに含有することが好ましい。酸化防止剤の添加により、組成物の構成成分の変質によるべたつきを防止することができ、また、熱・酸化安定性を向上させることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、その他食品添加剤として使用されているものなどが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、潤滑油の酸化防止剤として用いられる任意のフェノール系化合物が使用可能であり、特に制限されるものでないが、例えばアルキルフェノール化合物が好ましいものとして挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、潤滑油の酸化防止剤として用いられる任意のアミン系化合物が使用可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン、N−p−アルキルフェニル−α−ナフチルアミン及びp,p’−ジアルキルジフェニルアミンが好ましいものとして挙げられ、具体的には、4−ブチル−4’−オクチルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、オクチルフェニル−α−ナフチルアミン、ドデシルフェニル−α−ナフチルアミン及びこれらの混合物などが挙げられる。
また、食品添加剤として使用されている酸化防止剤も使用可能であり、例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)、アスコルビン酸の脂肪酸エステル、トコフェロール(ビタミンE)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、1,2−ジハイドロ−6−エトキシ−2,2,4−トリメチルキノリン(エトキシキン)、2−(1,1−ジメチル)−1,4−ベンゼンジオール(TBHQ)、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン(THBP)を挙げることができる。
これらの酸化防止剤の中でも、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、及び上記食品添加剤として使用されているものが好ましい。さらに、生分解性を重視する場合には、上記食品添加剤として使用されているものがより好ましく、中でもアスコルビン酸(ビタミンC)、アスコルビン酸の脂肪酸エステル、トコフェロール(ビタミンE)、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(DBPC)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、1,2−ジハイドロ−6−エトキシ−2,2,4−トリメチルキノリン(エトキシキン)、2−(1,1−ジメチル)−1,4−ベンゼンジオール(TBHQ)、又は2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン(THBP)が好ましく、アスコルビン酸(ビタミンC)、アスコルビン酸の脂肪酸エステル、トコフェロール(ビタミンE)、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(DBPC)、又は3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソールがより好ましい。
酸化防止剤の含有量は、特に制限はないが、良好な熱・酸化安定性を維持させるために、組成物全量基準で0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。一方、添加量に見合った効果のを得る観点から、酸化防止剤の含有量は10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下である。
また、本実施形態に係る塑性加工用潤滑油組成物は、上記した以外の従来公知の添加剤を含有することができる。かかる添加剤としては、例えば、上記したリン系極圧剤及び硫黄系極圧剤以外の極圧剤;ジエチレングリコールモノアルキルエーテル等の湿潤剤;アクリルポリマー、パラフィンワックス、マイクロワックス、スラックワックス、ポリオレフィンワックス等の造膜剤;脂肪酸アミン塩等の水置換剤;グラファイト、フッ化黒鉛、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、ポリエチレン粉末等の固体潤滑剤;アミン、アルカノールアミン、アミド、カルボン酸、カルボン酸塩、スルフォン酸塩、リン酸、リン酸塩、多価アルコールの部分エステル等の腐食防止剤;ベンゾトリアゾール、チアジアゾール等の金属不活性化剤;メチルシリコーン、フルオロシリコーン、ポリアクリレート等の消泡剤;アルケニルコハク酸イミド、ベンジルアミン、ポリアルケニルアミンアミノアミド等の無灰分散剤;等が挙げられる。これらの公知の添加剤を併用する場合の含有量は特に制限されないが、これらの公知の添加剤の合計含有量が組成物全量基準で0.1〜10質量%となるような量で添加するのが一般的である。
本実施形態に係る塑性加工用潤滑油組成物は、塩素系極圧剤などの塩素系添加剤を含有してもよいが、安全性の向上及び環境に対する負荷の低減の点からは、塩素含有量が、組成物全量基準で1000質量ppm以下であることが好ましく、500質量ppm以下であることがより好ましく、200質量ppm以下であることがさらに好ましく、100質量ppm以下であることが特に好ましい。さらに、潤滑油組成物が塩素系添加剤を含有しないことが最も好ましい。
本実施形態に係る塑性加工用潤滑油組成物の動粘度は、特に限定されないが、40℃における動粘度は潤滑性、洗浄性、引火点、濡れ拡がり性、および潤滑油を塗布する際のハンドリング性など様々な性能を考慮すると好ましくは5.5〜800mm/s、より好ましくは20〜300mm/s、さらに好ましくは25〜250mm/s、最も好ましくは30〜200mm/sである。潤滑油組成物の40℃における動粘度が20mm/s以上であると、油膜を保持することができ、被加工材の板厚が厚い場合など難易度が高い加工が可能になり、また、引火点の低下による安全上の問題が解消でき好ましい。また、800mm/sを以下であると、洗浄性および塗布する際のハンドリング性の点から好ましい。
以下、実施例および比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。
実施例1〜12、比較例1〜6においては、それぞれ以下に示す基油(表1にも基油の性状をまとめたものを示す)及び添加剤を用いて、表2〜4に示す組成を有する潤滑油組成物を調製した。
[基油]
基油A:パラフィン系鉱油(40℃における動粘度74.34mm/s、5%留出点430.2℃、95%留出点527.7℃)
基油B:パラフィン系鉱油(40℃における動粘度165mm/s、5%留出点461.6℃、95%留出点582.7℃)
基油C:パラフィン系鉱油(40℃における動粘度490.3mm/s、5%留出点510.5℃、95%留出点650.5℃)
基油D:パラフィン系鉱油(40℃における動粘度167.4mm/s、5%留出点517.3℃、95%留出点588.0℃)
基油E:パラフィン系鉱油(40℃における動粘度160mm/s、5%留出点494.8℃、95%留出点573.1℃)
基油F:パラフィン系鉱油(40℃における動粘度163.1mm/、5%留出点502.7℃、95%留出点585.2℃)
基油G:パラフィン系鉱油(40℃における動粘度161.7mm/、5%留出点410.2℃、95%留出点579.0℃)
基油H:パラフィン系鉱油(40℃における動粘度19.81mm/、5%留出点353.7℃、95%留出点452.6℃)
Figure 0006232194
[添加剤]
添加剤A:硫化エステル(S含有量17.5質量%)
添加剤B:一般式(2)で表わされる構造を有し、RおよびRが炭素数4又は5の直鎖状(pri−)アルキル基である亜鉛ジチオフォスフェート(亜鉛含有量10質量%)
添加剤C:Caスルフォネート(塩基価402mgKOH/g、Ca含有量15質量%)
添加剤D:豚脂(脂肪酸トリグリセライド)
実施例1〜12及び比較例1〜6の各潤滑油組成物について、以下の試験及び評価を行った。結果を表2〜4に示す。
(円筒成形試験)
JIS−G−3141「冷間圧延鋼板及び鋼帯」で規定するSPCE材(直径105mm、厚さ0.8mm)を試験板材とし、試験板材表面に潤滑油組成物を2g/mの割合で塗油した。絞り比を2.2とし、しわ押さえ荷重を0.7tonfから0.1tonfずつ大きくして成形を行い、破断が生じない最大しわ押さえ荷重(tonf)を測定した。円筒成形では、しわ押さえ荷重を大きくするほどしわの発生が抑制される反面、破断が生じやすくなる。したがって、最大しわ押さえ荷重が大きいほど破断防止効果が高く、加工性に優れていることを示す。
(濡れ拡がり性の評価)
JIS−G−3141「冷間圧延鋼板及び鋼帯」で規定するSPCC材(60mm×80mm、厚さ1.2mm)を試験板材とし、20〜25℃の室内で水平に保った試験板材の中央に潤滑油組成物50μL滴下し、その後の拡がり具合を観察した。具体的には、滴下してから24時間後に、試験板材表面積に対する潤滑油組成物が濡れ拡がっている面積が、95%以上の場合をS、90%以上95%未満の場合をA、70%以上90%未満の場合をB、50%以下の場合をCとして評価を行った。
Figure 0006232194
Figure 0006232194
Figure 0006232194

Claims (5)

  1. 40℃における動粘度が50mm /s以上300mm /s以下であり、かつ5%留出点と95%留出点との差が80℃以上である鉱油系基油と、硫黄系極圧剤と、亜鉛ジチオフォスフェートと、有機酸塩と、油脂とを含有する塑性加工用潤滑油組成物であって、
    組成物全量基準で、前記硫黄系極圧剤の含有量が5質量%以上25質量%以下であり、前記亜鉛ジチオフォスフェートの含有量が1.0質量%以上3.0質量%以下であり、前記有機酸塩の含有量が2.0質量%以上7.0質量%以下であり、前記油脂の含有量が4.0質量%以上12質量%以下である、塑性加工用潤滑油組成物。
  2. 5%留出点と95%留出点との差が100℃以上である鉱油系基油を含有する、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 前記硫黄系極圧剤が、下記一般式(1)で表されるジハイドロカルビルポリサルファイド及び硫化エステルから選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の塑性加工用潤滑油組成物。
    −S−R (1)
    [式(1)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数3〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基あるいは炭素数7〜20のアリールアルキル基を表し、aは2〜6の整数を表す。]
  4. 前記亜鉛ジチオフォスフェートが、下記一般式(2)で表される亜鉛ジチオフォスフェートである、請求項1〜のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
    Figure 0006232194

    [式(2)中、R及びRは同一であっても異なってもよく、それぞれ炭素数1〜18の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す。]
  5. 前記有機酸塩が、スルフォネート、フェネート及びサリシレートから選ばれる1種以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
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