JP6231477B2 - 燃料電池システム及びその運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池に関する。
従来から、燃料電池におけるカソードの入り口が乾燥するという課題が知られている。カソードの入り口とは、空気などのカソードガスが燃料電池スタックを構成する各単セルに流入する入り口のことである。従来技術では、燃料ガスの流量を増加させたり、燃料ガスの圧力を低下させたりすることによって、カソードの入り口の乾燥を抑制していた(例えば特許文献1)。
特開2009−259758号公報
本願の発明者らは、今後の技術開発によって、アノードの入り口の乾燥が生じやすくなるという課題を予見した。アノードの入り口とは、水素などを含むアノードガスが燃料電池スタックを構成する各単セルに流入する入り口のことである。その技術開発とは、燃料電池スタックの小型化のために電流密度が大きくなり(例えば1.4〜2.5A/cm2)、カソード側において、電極の単位面積当たりの白金量が更に低減される(例えば0.2mg/cm2以下)等の状況をもたらすものである。
例えば、カーボンナノチューブを使用する場合に、カソード側の白金量が低減されると、ガス拡散抵抗が増大する。ガス拡散抵抗が増大した状態において電流密度を大きくすると、酸素分圧が高いカソードの面内位置、つまりカソードの入り口付近における局所電流密度が上がりやすくなる一方で、酸素分圧が低くなるカソードの面内位置、つまりカソードの出口付近における局所電流密度が上がりにくくなる。局所電流密度が上がりにくい面内位置における水分の生成量は、減少する。よって、カソードの出口付近が乾燥しやすくなる。この結果、カソードガスとアノードガスとの流れの向きが対向する場合にカソードの出口付近からアノードの入り口付近に供給される水分量は、減少する。アノードの入り口付近に供給される水分量が、アノードの入り口付近における水分の持ち去り量(蒸発量)を下回ると、アノードの入り口が乾燥する。アノードの入り口が乾燥すれば、燃料電池全体の発電性能が低下する。本願発明が解決しようとする課題は、このような状況に鑑みたものである。
ところで燃料電池システムは、加湿モジュールを搭載する場合がある。加湿モジュールは、カソードガスを加湿するものと、アノードガスを加湿するものとがある。カソードガスを加湿する加湿モジュールが搭載されない場合、カソードガスは無加湿ガスとして使用される。アノードガスを加湿する加湿モジュールが搭載されない場合、アノードガスは無加湿ガスとして使用される。アノードの入り口の乾燥は、カソードガスとアノードガスとの両方が加湿される場合に比べ、アノードガスが加湿される一方でカソードガスが無加湿ガスであると促進され、カソードガスとアノードガスとの両方が無加湿ガスであると更に促進される。このような場合、上記課題はより深刻になる。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためのものであり、以下の形態として実現できる。
(1)本発明の一形態によれば、カソード側の電極において1cm2当たりに含まれる白金触媒の質量が0.2mg以下である燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、燃料電池スタックと、乾燥抑制部とを備える。燃料電池スタックは、アノードに対して供給されるアノードガスの流れの向きと、カソードに対して供給されるカソードガスの流れの向きとが互いに対向するようにアノードガスとカソードガスとの供給を受ける。乾燥抑制部は、1.4A/cm2以上の電流密度による発電の際に、燃料電池スタックの温度を30℃以上65℃以下に制御すること、カソードガスのストイキ比を1.0以上1.5以下に制御すること、アノードガスの出口圧力を100kPa以上250kPa以下に制御すること、及びアノードガスのストイキ比を1.25以上5以下に制御することの少なくとも何れか1つを実行する。
この燃料電池システムによれば、カソード側の電極において1cm2当たりに含まれる白金触媒の質量が0.2mg以下であっても、1.4A/cm2以上の電流密度による発電の際に、アノードの入り口の乾燥を抑制できる。30℃以上65℃以下の燃料電池スタックの温度は、1.4A/cm2以上の電流密度による発電時の通常条件における燃料電池スタックの温度以下の値であることが多い。つまり、乾燥抑制部は、通常条件の場合よりも、燃料電池スタックの温度を低下させる。燃料電池スタックの温度が低下すれば、アノードの入り口の乾燥が抑制される。1.0以上1.5以下のカソードガスのストイキ比は、1.4A/cm2以上の電流密度による発電時の通常条件におけるカソードガスのストイキ比以下の値であることが多い。つまり、乾燥抑制部は、通常条件の場合よりも、カソードガスのストイキ比を低下させる。カソードガスのストイキ比が低下すれば、カソードガスが燃料電池スタックから持ち去る水蒸気の量(蒸発量)が低減される。この結果、特にカソードの出口が湿る。カソードガスとアノードガスとの流れが互いに対向しているので、カソードの出口が湿れば、アノードの入り口が湿る。よって、アノードの入り口の乾燥が抑制される。ストイキ比とは、燃料電池に供給される反応ガス量を、要求される発電量に基づく燃料電池の必要反応ガス量で割ることによって算出される比のことである。100kPa以上250kPa以下のアノードガスの出口圧力は、通常条件におけるアノードガスの出口圧力以上の値であることが多い。つまり、乾燥抑制部は、通常条件の場合よりも、アノードガスの出口圧力を上昇させる。アノードガスの出口圧力が上昇すれば、アノードガスの流量が減少する。アノードガスの流量が減少すれば、アノードガスによってアノードの入り口から持ち去られる水分量が減少する。この結果、アノードの入り口の乾燥が抑制される。1.0以上1.5以下のアノードガスのストイキ比は、通常条件におけるアノードガスのストイキ比以下の値であることが多い。つまり、乾燥抑制部は、通常条件の場合よりも、アノードガスのストイキ比を低下させる。アノードガスのストイキ比が低下すれば、つまり、アノードガスの流量が減少すれば、アノードガスによってアノードの入り口から持ち去られる水分量が減少する。この結果、アノードの入り口の乾燥が抑制される。「1.4A/cm2以上の電流密度による発電の際」とは、例えば、1.4A/cm2以上の電流密度による発電を実行している時や、1.4A/cm2以上の電流密度による発電への移行を予測した時などである。本願においては、圧力は絶対圧を意味する。
(2)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、燃料電池スタックの温度を30℃以上65℃以下に制御し、カソードガスのストイキ比を1.0以上1.5以下に制御する。この燃料電池システムによれば、先述した通り、アノードの入り口の乾燥を抑制できる。
(3)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、燃料電池スタックの温度を30℃以上50℃以下に制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。
(4)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、燃料電池スタックの温度を30℃以上40℃以下に制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。
(5)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、カソードガスのストイキ比を1.0以上1.3以下に制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。
(6)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、カソードガスのストイキ比を1.0以上1.2以下に制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。
(7)上記形態の燃料電池システムにおいて、前記燃料電池スタックの目標温度を、通常の運転条件における値に設定する目標温度設定部を備える。乾燥抑制部は、目標温度設定部によって設定される目標温度から、乾燥抑制部によって設定される目標温度を引いて得られる差を、目標値に設定されるカソードガスのストイキ比で割ることによって算出される商が8.3℃以上になるように、燃料電池スタックの温度とカソードガスのストイキ比とを制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。燃料電池スタックの温度を下げた効果は、例えば、燃料電池スタックの温度を通常の条件(例えば65℃)に戻すことによって確認できる。
(8)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、前記商が10℃以上になるように、燃料電池スタックの温度とカソードガスのストイキ比とを制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。
(9)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、セル電圧が基準値以下となることを達成した場合に、燃料電池スタックの温度の制御を終える。この燃料電池システムによれば、適切なタイミングによって、通常条件に戻ることができる。
(10)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、燃料電池スタックの温度が目標値以下となることを達成した場合に、燃料電池スタックの温度の制御を終える。この燃料電池システムによれば、適切なタイミングによって、通常条件に戻ることができる。
(11)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、セル電圧が基準値以下となることを達成した場合に、カソードガスのストイキ比の制御を終える。この燃料電池システムによれば、適切なタイミングによって、通常条件に戻ることができる。
(12)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、カソードガスのストイキ比が目標値以下となることを達成した場合に、カソードガスのストイキ比の制御を終える。この燃料電池システムによれば、適切なタイミングによって、通常条件に戻ることができる。
(13)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、アノードガスの出口圧力を100kPa以上250kPa以下に制御し、アノードガスのストイキ比を1.25以上5以下に制御する。この燃料電池システムによれば、先述した通り、アノードの入り口の乾燥が抑制される。
(14)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、アノードガスの出口圧力を150kPa以上250kPa以下に制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。
(15)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、アノードガスの出口圧力を150kPa以上200kPa以下に制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。アノードガスの流量が少なすぎると、アノードの出口が乾燥する。よって、アノードガスの出口圧力を適切な範囲に収めることによって、アノードの入り口と出口との乾燥を抑制できる。
(16)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、アノードガスのストイキ比を1.25以上4以下に制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。
(17)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、アノードガスのストイキ比を1.25以上3以下に制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。
(18)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、アノードガスのストイキ比を1.25以上2以下に制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。
(19)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、アノードガスのストイキ比を1.25以上1.66以下に制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。
(20)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、アノードガスの出口圧力をアノードガスのストイキ比で割ることによって算出される商が50kPa以上になるように、アノードガスの出口圧力とアノードガスのストイキ比とを制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。
(21)上記形態の燃料電池システムにおいて、乾燥抑制部は、前記商が83kPa以上になるように、アノードガスの出口圧力とアノードガスのストイキ比とを制御する。この燃料電池システムによれば、アノードの入り口の乾燥をより抑制できる。
例えば、本発明の一形態において、このシステムは、先述した乾燥抑制部を有していても良く、有していなくても良い。別の形態における乾燥抑制部は、例えば、燃料電池スタックの温度を制御してもしなくても良いし、カソードガスのストイキ比を制御してもしなくても良いし、アノードガスの出口圧力を制御してもしなくても良いし、アノードガスのストイキ比を制御してもしなくても良い。つまり、上記別の形態における乾燥抑制部は、4つのパラメータの少なくとも1つを制御すれば良い。別の形態における乾燥抑制部は、例えば、燃料電池スタックの温度を30℃以上50℃以下に制御することと、カソードガスのストイキ比を1.0以上1.3以下に制御することとの少なくとも一方を満たしても満たさなくても良い。別の形態における乾燥抑制部は、例えば、アノードガスの出口圧力を150kPa以上250kPa以下に制御することと、アノードガスのストイキ比を1.25以上4以下に制御することとの少なくとも一方を満たしても満たさなくても良い。
別の形態における乾燥抑制部は、例えば、上記4つのパラメータの少なくとも何れか1つについて、数値限定を伴わずに、通常条件に対して値を高くする又は低くするという技術思想に基づくようにしてもしなくても良い。こうしたシステムは、例えば燃料電池システムとして実現できる一方、燃料電池システム以外の他のシステムとしても実現できる。このような形態によれば、システムの小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等の種々の課題の少なくとも1つを解決できる。先述した燃料電池システムの各形態の技術的特徴の一部または全部は、何れもこのシステムに適用できる。
本発明は、上記以外の種々の形態でも実現できる。例えば、燃料電池システムの運転方法、その運転方法を実現するためのプログラム、そのプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現できる。
燃料電池自動車の概略構成を示すブロック構成図。 単位面積当たりの白金量を説明する図。 乾燥抑制処理を示すフローチャート。 アノードストイキ比制御処理を示すフローチャート。 カソードストイキ比制御処理を示すフローチャート。 冷却水温度制御処理を示すフローチャート。 アノード圧力制御処理を示すフローチャート。 アノードストイキ比制御処理およびアノード圧力制御処理が実行された場合のセル電圧と面積抵抗との測定値を示すテーブル。 カソードストイキ比制御処理および冷却水温度制御処理が実行された場合のセル電圧と面積抵抗との測定値を示すテーブル。 セル電圧の変化率を表したグラフ。 面積抵抗の変化率を表したグラフ。 アノードストイキ比制御処理およびアノード圧力制御処理が実行された場合のセル電圧と面積抵抗との測定値を、アノードガスの出口圧力を横軸にして示すグラフ。 アノードストイキ比制御処理およびアノード圧力制御処理が実行された場合のセル電圧と面積抵抗との測定値を、アノードガスのストイキ比を横軸にして示すグラフ。 カソードストイキ比制御処理および冷却水温度制御処理が実行された場合のセル電圧と面積抵抗との測定値を、カソードガスのストイキ比を横軸にして示すグラフ。 カソードストイキ比制御処理および冷却水温度制御処理が実行された場合のセル電圧と面積抵抗との測定値を、冷却水温度を横軸にして示すグラフ。 アノードガスの出口圧力をアノードガスのストイキ比で割った値の変化による影響を示すグラフ。 冷却水温度の低減値をカソードガスのストイキ比で割った値の変化による影響を示すグラフ。 局所電流密度および面内位置の関係並びに局所面積抵抗および面内位置の関係を示すグラフ。 セル電圧および電流密度の関係並びに面積抵抗および電流密度の関係を示すグラフ。
ハードウェア構成(図1A):
図1Aは、燃料電池自動車20の概略構成を示すブロック構成図である。燃料電池自動車20は、四輪自動車であり、図1Aに示すように燃料電池システム30、電力供給機構80、駆動機構90及び制御ユニット100を備える。
燃料電池システム30は、固体高分子形燃料電池を採用し、水素と酸素との反応によって発電をする。燃料電池システム30は、燃料電池スタック40、アノードガス供給排出機構50、カソードガス供給排出機構60及び冷却水循環機構70を備える。
燃料電池スタック40は、複数の単セル41を積層して形成される。図1Bは、単セル41を構成する膜電極接合体43をカソード側から見た図である。膜電極接合体43は、電解質膜部45の両面に電極塗布部47が形成された構成を有する。カソード側の電極塗布部47は、カーボンナノチューブに担持された低量の白金触媒を含む。低量とは、例えば、カソード側の電極塗布部47において0.2mg/cm2以下である。なお、他の実施形態においては、どのような値でも良く、例えば、Xmg以下(Xは0.01〜1に含まれる任意の値)でも良い。なお、触媒として、上記のようにカーボンナノチューブに担持された白金の代わりに、カーボンブラックに担持された白金を採用してもよいし、カーボンブラックに担持された白金合金を採用してもよい。この白金合金は、例えば、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、パナジウム、タングステン、イリジウム、チタン及び鉛の少なくとも1つと白金との合金でもよい。
アノードガス供給排出機構50は、燃料電池スタック40に水素を含むアノードガスを供給し、燃料電池スタック40からアノードガスを排出する。アノードガス供給排出機構50は、水素タンク51、レギュレータ52、アノードガス循環ポンプ53、パージバルブ54、排出経路55、アノードガス圧力計56及びインジェクタ57を備える。
水素タンク51は、水素を貯蔵する。レギュレータ52は、水素タンク51に貯蔵された水素を、所定圧力に減圧した上でインジェクタ57に供給する。インジェクタ57は、レギュレータ52から供給された水素を、流量と圧力とを調整した上でアノードガスとして各単セル41のアノードに供給する。アノードガス循環ポンプ53は、消費されずにアノードから排出されたアノードガスを、燃料電池スタック40に再度供給する。アノードガス圧力計56は、アノードガスの出口圧力を計測する。アノードガスの出口圧力とは、アノードガスが燃料電池スタック40から排出された直後の圧力である。
パージバルブ54は、アノードから排出されたアノードガスを排出経路55経由で排出するために、必要に応じて開かれる。排出経路55は、アノードガス供給排出機構50においてアノードガスが循環する経路と、カソードガス供給排出機構60に備えられるカソードガス排出路66(後述)とをつなぐ経路である。パージバルブ54から排出経路55へ排出されたアノードガスは、希釈された後、カソードガス排出路66から大気に排出される。
アノードガス供給排出機構50は、これらの構成によって、アノードガスの出口圧力とストイキ比とを、別途設定される目標値を目標にして制御する。詳細には、アノードガスの出口圧力とストイキ比との制御は、アノードガス循環ポンプ53、パージバルブ54及びインジェクタ57の動作を制御することによって実現される。ストイキ比の制御は、アノードガスに占める水素分圧が一定であると見なして行われる。水素分圧が一定であると見なす代わりに、実測値を用いても良い。
カソードガス供給排出機構60は、燃料電池スタック40にカソードガスを供給し、燃料電池スタック40からカソードガスを排出する。単セル41それぞれに供給されるカソードガスの流れ及びアノードガスの流れは、互いに対向する。カソードガス供給排出機構60は、カソードガス供給路61とエアコンプレッサ62と空気流量計63とカソードガス排出路66と圧力調整シャットバルブ67とカソードガス圧力計68とを備える。
カソードガス供給路61及びカソードガス排出路66は、燃料電池スタック40と大気開放口とを接続する流路である。カソードガス供給路61の大気開放口には、エアクリーナ(図示なし)が設けられている。エアコンプレッサ62は、カソードガス供給路61の途中に設けられ、カソードガス供給路61の大気開放口側から空気を吸入して圧縮する。圧縮された空気は、カソードガスとして燃料電池スタック40に供給される。空気流量計63は、エアコンプレッサ62によって吸入される空気の流量を計測する。
カソードガス圧力計68は、カソードガス排出路66の途中に設けられ、燃料電池スタック40から排出された直後のカソードガスの圧力を計測する。圧力調整シャットバルブ67は、カソードガス排出路66に設けられ、バルブ開度に応じてカソードガス排出路66の流路断面積を調整する。カソードガス供給排出機構60は、これらの構成によって、カソードガスのストイキ比を、別途設定される目標値を目標にして制御する。詳細には、カソードガスのストイキ比の制御は、エアコンプレッサ62と圧力調整シャットバルブ67との動作を制御することによって実現される。ストイキ比の制御は、空気に占める酸素分圧が一定であると見なして行われる。酸素分圧が一定であると見なす代わりに、実測値を用いても良い。
冷却水循環機構70は、燃料電池スタック40を冷却する。冷却水循環機構70は、ラジエータ71と冷却水循環ポンプ72と水温計73とを備える。冷却水循環機構70は、燃料電池スタック40の温度を制御するために、燃料電池スタック40とラジエータ71との間において冷却水を循環させる。この循環によって、燃料電池スタック40における吸熱とラジエータ71における放熱とが行われる。水温計73は、ラジエータ71から排出された直後の冷却水温度を計測する。冷却水循環機構70は、このような構成によって、ラジエータ71から排出された直後の冷却水温度を制御でき、ひいては燃料電池スタック40の温度を制御できる。冷却水温度の制御は、冷却水循環ポンプ72による循環量と、ラジエータ71の冷却用ファンとの動作を制御することによって実現される。
電力供給機構80は、電動機器に電力を供給する。電動機器とは、例えば、駆動輪92を駆動するモータ91、エアコンプレッサ62などである。電力供給機構80は、燃料電池スタック40による発電を監視する。発電の監視とは、例えば、電流密度、セル電圧、セルの面積抵抗の計測である。電流密度とセル電圧と面積抵抗との計測は、燃料電池スタック40全体の発電電流及び/又は発電電圧の測定値に基づく演算によって行う。
制御ユニット100は、内部にCPUとRAMとROMと乾燥抑制部110とを備えるECUである。制御ユニット100は、発電の要求に応じて、これまでに説明した燃料電池システム30及び電力供給機構80などを制御する。
乾燥抑制処理(図2):
図2は、乾燥抑制処理を示すフローチャートである。乾燥抑制処理の実行主体は、制御ユニット100に備えられた乾燥抑制部である。乾燥抑制処理の開始の契機は、高負荷運転が所定時間以上、要求されたことである。高負荷運転とは、例えば1.4A/cm2以上の電流密度による発電をする運転である。乾燥抑制処理の目的は、高負荷運転が要求された場合に、アノードの入り口付近の乾燥を抑制することによって、発電性能を向上させることである。
乾燥抑制処理を開始すると初めに、アノードストイキ比制御処理(図3参照)を行う(ステップS300)。次に、カソードストイキ比制御処理(図4参照)を行う(ステップS400)。続いて、冷却水温度制御処理(図5参照)を行う(ステップS500)。次に、アノード圧力制御処理(図6参照)を行い(ステップS600)、アノードストイキ比制御処理に戻る。但し、上記4つのサブルーチンとしての処理全てを実行する前に、乾燥抑制処理を終える場合がある。
アノードストイキ比制御処理(図3):
図3は、アノードストイキ比制御処理を示すフローチャートである。まず、アノードガスのストイキ比の目標値を通常条件よりも低くなるよう変更する(ステップS310)。具体的な数値は後述する。アノードガスのストイキ比の目標値を低くすると、制御ユニット100による制御によって、アノードガスのストイキ比は目標値に向けて低下する。この制御は、アノードの入り口の乾燥を抑制することを主な目的として行われる。アノードの入り口の乾燥が抑制されると、セル電圧は高くなりやすくなり、面積抵抗は低くなりやすくなる。
アノードガスのストイキ比の目標値を低くすることによる上記変化を前提として、次に、高負荷運転の要求が継続しているかを判定する(ステップS320)。高負荷運転の要求が継続していると判定すると(ステップS320、YES)、セル電圧が目標電圧V1以上となることを達成したかを判定する(ステップS330)。セル電圧が目標電圧V1以上でないと判定すると(ステップS330、NO)、面積抵抗が目標抵抗R1以下となることを達成したかを判定する(ステップS340)。面積抵抗が目標抵抗R1以下でないと判定すると(ステップS340、NO)、ステップS320に戻る。
高負荷運転の要求は、乾燥抑制処理を行う前提である。よって、高負荷運転の要求が継続していなければ(ステップS320、NO)、変更されている目標値(ここではアノードガスのストイキ比の目標値)を元に戻して(ステップS370)、乾燥抑制処理を終了する。高負荷運転の要求が継続していれば(ステップS320、YES)、セル電圧、面積抵抗、アノードガスのストイキ比に関する上記判定(ステップS330、340、350)を繰り返し実行する。
アノードの入り口の乾燥が抑制されていくと、先述したようにセル電圧は上昇し、面積抵抗は低下する。この結果、セル電圧が目標電圧V1以上となるか(ステップS330、YES)、面積抵抗が目標抵抗R1以下となると(ステップS340、YES)、乾燥抑制処理を終了する一応の条件は満たされたと推定して、次に、乾燥抑制処理を継続するかを判定する(ステップS360)。乾燥抑制処理を継続しないと判定すると(ステップS360、NO)、先述したステップS370を実行し、乾燥抑制処理を終える。
乾燥抑制処理を継続するかの判定(ステップS360)は、燃料電池自動車20のエネルギーバランスを総合的に判定することによって行う。例えば、燃費や各部品の負荷等を考慮することによって行う。その一例として、後述するアノード圧力制御処理においてアノードガスの出口圧力を上昇させる場合、上昇させる時間に上限を設け、その上限に達したら乾燥抑制処理を継続しないと判定する。このように時間に上限を設ける目的は、アノードガス供給排出機構50の負荷が大きくなる時間を制限することである。アノードガスの出口圧力を上昇させると、アノードガス供給排出機構50の負荷が大きくなる。
アノードガスのストイキ比の目標値を下げて、アノードガスのストイキ比を制御していても、セル電圧と面積抵抗との何れもが目標値に達しないまま(ステップS330NO、ステップS340NO)、アノードガスのストイキ比が目標値に達することがあり得る(ステップS350、YES)。この場合には、アノードガスのストイキ比の低下制御によってはアノードの入り口の乾燥抑制が十分に達成できなかったと推定し、アノードガスのストイキ比の目標値を低くしたまま乾燥抑制処理の次のステップに進む。
カソードストイキ比制御処理(図4):
図4は、カソードストイキ比制御処理を示すフローチャートである。まず、カソードガスのストイキ比の目標値を通常条件よりも低くなるよう変更する(ステップS410)。カソードガスのストイキ比の目標値を低くすると、制御ユニット100による制御によって、カソードガスのストイキ比は目標値に向けて低下する。この制御は、アノードの入り口の乾燥を抑制することと、カソードの触媒に生成した酸化皮膜を除去することとを目的として行われる。一方で、カソードガスのストイキ比が低くなると、特にカソードの出口付近においてカソードガスの酸素分圧が低下する。カソードガスの酸素分圧が低下すると、セル電圧は低くなる。
次に、高負荷運転の要求が継続しているか判定する(ステップS420)。高負荷運転の要求が継続していると判定すると(ステップS420、YES)、セル電圧が目標値(例えば0.4V)以下となることを達成したかを判定する(ステップS430)。セル電圧が目標値以下でないと判定すると(ステップS430、NO)、カソードガスのストイキ比が、変更された目標値以下となることを達成したかを判定する(ステップS450)。カソードガスのストイキ比が目標値以下でないと判定すると(ステップS450、NO)、ステップS420に戻る。
高負荷運転の要求が継続していなければ(ステップS420、NO)、変更されている目標値(ここではカソードガスとアノードガスとのストイキ比の目標値)を元に戻して(ステップS470)、乾燥抑制処理を終了する。高負荷運転の要求が継続していれば(ステップS420、YES)、セル電圧、カソードガスのストイキ比に関する上記判定(ステップS430、450)を繰り返し実行する。
カソードガスのストイキ比が低下していくと、先述したようにセル電圧は低下する。この結果、セル電圧が目標値以下となった(ステップS430、YES)と判定すると、カソードストイキ比制御処理による効果を得ることができたと推定して、カソードガスのストイキ比の目標値を通常条件の値に戻し(ステップS460)、乾燥抑制処理の次のステップに進む。本実施形態の場合、冷却水温度制御処理に進む(ステップS500)。ここで言う効果とは、特にカソード側の触媒金属(白金)表面に生成した酸化皮膜の除去が促進されることである。
カソードガスのストイキ比の目標値を下げて、カソードガスのストイキ比を制御していても、セル電圧が目標値に達しないまま(ステップS430NO)、カソードガスのストイキ比が目標値に達することがあり得る(ステップS450、YES)。この場合にも、カソードストイキ比制御処理による効果を得ることができた推定して、カソードガスのストイキ比の目標値を通常条件の値に戻し(ステップS460)、乾燥抑制処理の次のステップに進む。ここで言う効果とは、特にアノードの入り口の乾燥が抑制されることである。
冷却水温度制御処理(図5):
図5は、冷却水温度制御処理を示すフローチャートである。まず、冷却水温度の目標値を通常条件よりも低くなるように変更する(ステップS510)。次に、高負荷運転の要求が継続しているか判定する(ステップS520)。
高負荷運転の要求が継続していると判定すると(ステップS520、YES)、セル電圧が目標電圧V2以下となることを達成したかを判定する(ステップS530)。目標電圧V2は、目標電圧V1より小さく、例えば0.4Vである。セル電圧が目標電圧V2以下でないと判定すると(ステップS530、NO)、冷却水温度が、変更された目標値以下を達成したかを判定する(ステップS550)。冷却水温度が目標値以下でないと判定すると(ステップS550、NO)、ステップS520に戻る。
一方、高負荷運転の要求が継続していないと判定すると(ステップS520、NO)、変更されている目標値を通常条件の値に戻し(ステップS570)、乾燥抑制処理を終える。本実施形態の場合、カソードガスのストイキ比と冷却水温度との目標値を通常条件の値に戻す。
一方、セル電圧が目標電圧V2以下である(ステップS530、YES)又は冷却水温度が目標値以下である(ステップS550、YES)と判定すると冷却水温度の目標値を通常条件の値に戻し(ステップS560)、乾燥抑制処理の次のステップに進む。本実施形態の場合、アノード圧力制御処理に進む(ステップS600)。
ステップS530でYESの場合に、冷却水温度を通常条件に戻す理由は、セル電圧の低下によって、酸化皮膜の除去が促進されたと推定されることである。ステップS550でYESの場合に、冷却水温度の目標値を通常条件に戻す理由は、燃料電池スタック40の温度が低下することによって、アノードの入り口が湿ったと推定されることである。
アノード圧力制御処理(図6):
図6は、アノード圧力制御処理を示すフローチャートである。まず、アノードガスの出口圧力の目標値を通常条件よりも高くなるよう変更する(ステップS610)。アノードガスの出口圧力の目標値を高くすると、制御ユニット100による制御によってアノードガスの出口圧力が上昇し、アノードの入り口の乾燥が抑制される。この結果、セル電圧は高くなり、面積抵抗は低くなる。
次に、高負荷運転の要求が継続しているか判定する(ステップS620)。高負荷運転の要求が継続していると判定すると(ステップS620、YES)、セル電圧が目標電圧V1以上となることを達成したかを判定する(ステップS630)。セル電圧が目標電圧V1以上でないと判定すると(ステップS630、NO)、面積抵抗が目標抵抗R1以下かを判定する(ステップS640)。
面積抵抗が目標抵抗R1以下でないと判定すると(ステップS640、NO)、アノードガスの出口圧力が、変更された目標値以上となることを達成したかを判定する(ステップS650)。アノードガスの出口圧力が目標値以上でないと判定すると(ステップS650、NO)、ステップS620に戻る。
一方、高負荷運転の要求が継続していないと判定すると(ステップS620、NO)、変更されている目標値を通常条件の値に戻し(ステップS670)、乾燥抑制処理を終える。本実施形態の場合、アノードガスのストイキ比とアノードガスの出口圧力との目標値を通常条件の値に戻す。
一方、セル電圧が目標電圧V1以上である(ステップS630、YES)又は面積抵抗が目標抵抗R1以下である(ステップS640、YES)と判定すると、乾燥抑制処理を継続するかを判定する(ステップS660)。乾燥抑制処理を継続しないと判定すると(ステップS660、NO)、先述したステップS670を実行し、乾燥抑制処理を終える。
ステップS630でYES又はステップS640でYESの場合に乾燥抑制処理を終えるかを判定する理由は、アノードガスの入り口が湿ったと推定されることである。ステップS650でYESの場合に、アノードガスの出口圧力の目標値を高くしたまま、乾燥抑制処理の次のステップに進む理由は、アノードガスの出口圧力が目標値に達したにも関わらず、セル電圧と面積抵抗とが目標値に達しなかったことである。
一方、アノードガスの出口圧力が目標値以上であると判定すると(ステップS650、YES)、乾燥抑制処理の次のステップに進む。本実施形態の場合、アノードストイキ比制御処理を実行する(ステップS300)。
他の実施形態:
以上に説明した乾燥抑制処理は、種々の形態に変更できる。例えば、アノードストイキ比制御処理、カソードストイキ比制御処理、冷却水温度制御処理およびアノード圧力制御処理が実行される順序は、どのように入れ替えられても良い。先述した実施形態における順序は、応答性が高い処理から順に並べたものである。この他、例えば、効果が大きい処理から順に実行するのであれば、冷却水温度制御処理、カソードストイキ比制御処理、アノード圧力制御処理、アノードストイキ比制御処理の順で実行すると良い。順に実行せずに、何れか2つ以上の処理が同時に実行されても良い。
アノードストイキ比制御処理、カソードストイキ比制御処理、冷却水温度制御処理およびアノード圧力制御処理は、少なくとも何れか1つが実行されれば良い。
アノードストイキ比制御処理及び/又はアノード圧力制御処理において、乾燥抑制処理を終えるか否かの判定を行うためのトリガとして、セル電圧と面積抵抗との何れか一方でも良い。例えば、アノードストイキ比制御処理において、ステップS330とステップS340との何れか1つを省いても良い。
カソードストイキ比制御処理及び/又は冷却水温度制御処理において、乾燥抑制処理を終えるか否かの判定を行うためのパラメータとして、セル電圧に加えて又は代えて、面積抵抗を採用しても良い。例えば、カソードストイキ比制御処理において、ステップS430を「面積抵抗が目標値以上?」に変更しても良い。乾燥抑制処理を開始するタイミングは、種々考えられる。例えば、電流密度が急激に上昇したことを乾燥抑制処理の開始トリガにしても良い。
乾燥抑制処理は、カソードガスに対する加湿機構の廃止、あるいはカソードガス及びアノードガスに対する加湿機構の廃止と共に、カソード側に低量の白金触媒を採用した場合に、高電流密度による発電を行うとき、特に効果を発揮する。但し、これらの条件の少なくとも1つが満たされなくとも、アノードの入り口付近及び/又はカソードの出口付近が乾燥した場合、或いは乾燥することが予想される場合に、乾燥抑制処理の実行は有効である。
実施例:
図7(A)は、乾燥抑制処理としてアノードストイキ比制御処理およびアノード圧力制御処理が実行された場合のセル電圧の測定値を示すテーブルである。図7(B)は、乾燥抑制処理としてアノードストイキ比制御処理およびアノード圧力制御処理が実行された場合の面積抵抗の測定値を示すテーブルである。アノードガスのストイキ比の目標値およびアノードガスの出口圧力の目標値それぞれについて、複数の値を対象にして測定を行った。
図8(A)は、カソードストイキ比制御処理および冷却水温度制御処理が実行された場合のセル電圧の測定値を示すテーブルである。図8(B)は、カソードストイキ比制御処理および冷却水温度制御処理が実行された場合の面積抵抗の測定値を示すテーブルである。カソードガスのストイキ比の目標値および冷却水温度の目標値それぞれについて、複数の値を対象にして測定を行った。
図7と図8とに示された「平均」とは、一方のパラメータが同じ場合の測定値の平均値のことである。例えば、アノードガスのストイキ比が5の場合の平均は、アノードガスのストイキ比が5、且つアノードガスの出口圧力が100、150、200又は250kPaの4通りの条件における測定値の平均である。
図7と図8とに示された「変化率」とは、上記の平均が基準値からどの程度、変化したかを示す値である。アノードガスのストイキ比の基準値は5、アノードガスの出口圧力の基準値は100kPa、カソードガスのストイキの基準値は1.5、冷却水温度の基準値は65℃である。これら基準値は、通常条件として用いられる。図7と図8とに示された太枠は、好ましい範囲を示す。その理由は後述する。
図7に示された各測定値は、乾燥抑制処理における目標電圧V1として用いることができる。図8に示された各測定値は、乾燥抑制処理における目標抵抗R1として用いることができる。例えば、アノードガスの出口圧力の目標値として200kPaを、アノードガスのストイキ比の目標値として1.25を採用した場合、目標電圧V1に0.498V、目標抵抗R1に77.88mΩ・cm2を採用できる。これらの値の代わりに、これらの値を所定割合、増大または減少させた値を用いることもできる。
図9は、図7(A)と図8(A)とに示したセル電圧の変化率をグラフで表したものである。図9に示すように、何れのパラメータについても、基準値以外の場合は、基準値の場合よりもセル電圧が大きいので、基準値の場合よりも好ましい。更に好ましい数値範囲としては、図9に示すように、アノードガスの出口圧力は、250kPaよりも、150〜200kPaの方が好ましい。図9に示すように、アノードガスのストイキ比は、4よりも1.25〜3の方が好ましく、更に1.25〜2の方が好ましく、更に1.25〜1.4の方が好ましい。図9に示すように、カソードガスのストイキ比は、1.3よりも1〜1.2の方が好ましい。図9に示すように、冷却水温度は、50℃よりも30〜40℃の方が好ましい。
図9に示すように、冷却水温度による効果が最も顕著であり、次いでカソードガスのストイキ比による効果が顕著である。この理由は、冷却水温度制御処理およびカソードストイキ比制御処理が、アノードの入り口を湿らせることに加えて、先述したようにカソード側の白金表面の酸化皮膜を除去することであると推定される。カソードの酸化皮膜が除去される理由は、冷却水温度制御処理およびカソードストイキ比制御処理によって、セル電圧の低下つまりカソードの電位の低下が引き起こされること、及びカソードが湿ることであると考えられる。カソードの水分は、カソードの白金表面に付着した不純物を除去する効果がある。不純物とは、例えば、スルホン酸基である。スルホン酸基は、例えば、電解質膜部45又はアイオノマから遊離する。アイオノマは、例えば、電極塗布部47に含まれる。この効果を更に増強するためには、冷却水温度制御処理を実行した後に、カソードストイキ比制御を実行するのが好ましい。カソードの白金表面の酸化皮膜と、白金表面の不純物との除去に効果的である。
一方、アノードガスの出口圧力およびストイキ比の制御は、冷却水温度およびカソードガスのストイキ比の制御とは異なり、セル電圧が一旦、低下することがなく、素早く効果を得ることができる点において有利である。アノード圧力制御処理とアノードストイキ比制御処理とを実行する場合は、アノード圧力制御処理の実行の後にアノードストイキ比制御処理を実行するのが好ましい。圧力制御の応答性は、ストイキ比が高い(流量が多い)方が良好だからである。
図10は、図7(B)と図8(B)とに示した面積抵抗の変化率をグラフで表したものである。何れのパラメータについても、基準値以外の場合は、基準値の場合よりも面積抵抗が小さいので、基準値の場合よりも好ましい。更に好ましい数値範囲としては、図10に示すように、アノードガスのストイキ比は、4よりも1.25〜3の方が好ましく、更に1.25〜2の方が好ましく、更に1.25〜1.66の方が好ましい。図9と共に説明したセル電圧も考慮すると、更に1.25〜1.4の方が好ましい。他のパラメータについての好ましい範囲は、セル電圧の場合と同じである。図10に示すように、冷却水温度による効果が最も顕著であり、次いでアノードガスのストイキ比による効果が顕著である。
図11(A)は、図7(A)に示した数値をグラフで表したものである。このグラフの縦軸はセル電圧であり、横軸はアノードガスの出口圧力である。図11(B)は、図7(B)に示した数値をグラフで表したものである。このグラフの縦軸は面積抵抗であり、横軸はアノードガスの出口圧力である。グラフにおける各曲線に付された数値は、アノードガスのストイキ比を示す。
図11(A)に示すように、何れのアノードガスのストイキ比の場合においても、アノードの出口圧力が100kPaのときに比べて、150〜250kPaのときの方が、セル電圧が大きい。よって、アノードの出口圧力は150〜250kPaが好ましい。
図11(A)に示すように、何れのアノードガスのストイキ比の場合においても、アノードの出口圧力が250kPaのときに比べて、150〜200kPaのときの方が、セル電圧が大きい。よって、アノードの出口圧力は150〜200kPaが好ましい。
図11(A)に示すように、セル電圧は、アノードガスの出口圧力の増加に対して、単調増加はしない。図11(A)は、2次関数による近似曲線を示す。これら2次曲線のピークは、191〜201kPaに収まる。よって、本実施形態においては、アノードガスの出口圧力は191〜201kPaが好ましい。
図11(B)に示すように、アノードガスのストイキ比が5の場合、アノードガスの出口圧力の増加に対して、面積抵抗は単調減少する。よって、アノードガスの出口圧力は、アノードガスのストイキ比が5の場合、150〜250kPaが好ましく、更に200〜250kPaが好ましい。
図11(B)に示すように、アノードガスのストイキ比が1.2〜1.66又は4の場合、アノードの出口圧力が100kPaのときよりも、150〜200kPaのときの方が、面積抵抗が小さい。よって、アノードガスの出口圧力は、アノードガスのストイキ比が1.2〜1.66又は4の場合、150〜200kPaが好ましい。
図12(A)は、図7(A)に示した数値をグラフで表したものである。このグラフの縦軸はセル電圧であり、横軸はアノードガスのストイキ比である。図12(B)は、図7(B)に示した数値をグラフで表したものである。このグラフの縦軸は面積抵抗であり、横軸はアノードガスのストイキ比である。グラフにおける各曲線に付された数値は、アノードガスの出口圧力を示す。
図12(A)に示すように、アノードガスの出口圧力が150〜250kPaの場合、アノードガスのストイキ比が5のときよりも、1.25〜4のときの方が、セル電圧が大きい。よって、アノードガスの出口圧力が150〜250kPaの場合、アノードガスのストイキ比は1.25〜4が好ましい。
図12(A)に示すように、アノードガスの出口圧力が150〜200kPaの場合、アノードガスのストイキ比が4〜5のときよりも、1.25〜3のときの方が、セル電圧が大きい。よって、アノードガスの出口圧力が150〜200kPaの場合、アノードガスのストイキ比は1.25〜3が好ましい。
図12(A)に示すように、アノードガスの出口圧力が150〜250kPaの場合、アノードガスのストイキ比が3〜5のときに比べて、アノードのストイキ比が1.25〜2のときの方が、セル電圧が大きい。よって、アノードガスの出口圧力が150〜250kPaの場合、アノードガスのストイキ比は1.25〜2が好ましい。
図12(A)に示すように、アノードガスの出口圧力が200〜250kPaの場合、アノードガスのストイキ比が2〜5のときに比べて、アノードのストイキ比が1.25〜1.66のときの方が、セル電圧が大きい。よって、アノードガスの出口圧力が200〜250kPaの場合、アノードガスのストイキ比は1.25〜1.66が好ましい。
図12(B)に示すように、アノードガスの出口圧力が100〜200kPaの場合、アノードガスのストイキ比が5のときに比べて、アノードガスのストイキ比が1.25〜4のときの方が、面積抵抗が小さい。よって、アノードガスの出口圧力が100〜200kPaの場合、アノードガスのストイキ比は1.25〜4が好ましい。
図12(B)に示すように、アノードガスの出口圧力が100〜200kPaの場合、アノードガスのストイキ比が4〜5のときに比べて、アノードガスのストイキ比が1.25〜3のときの方が、面積抵抗が小さい。よって、アノードガスの出口圧力が100〜200kPaの場合、アノードガスのストイキ比は1.25〜3が好ましい。
図12(B)に示すように、アノードガスの出口圧力が100〜200kPaの場合、アノードガスのストイキ比が3〜5のときに比べて、アノードガスのストイキ比が1.25〜2のときの方が、面積抵抗が小さい。よって、アノードガスの出口圧力が100〜200kPaの場合、アノードガスのストイキ比は1.25〜2が好ましい。
図12(B)に示すように、アノードガスの出口圧力が150kPaの場合、アノードガスのストイキ比が2〜5のときに比べて、アノードガスのストイキ比が1.25〜1.66のときの方が、面積抵抗が小さい。よって、アノードガスの出口圧力が150kPaの場合、アノードガスのストイキ比は1.25〜1.66が好ましい。
図13(A)は、図8(A)に示した数値をグラフで表したものである。このグラフの縦軸はセル電圧であり、横軸はカソードガスのストイキ比である。図13(B)は、図8(B)に示した数値をグラフで表したものである。このグラフの縦軸は面積抵抗であり、横軸はカソードガスのストイキ比である。グラフにおける各曲線に付された数値は、冷却水温度を示す。
図13(A)に示すように、冷却水温度が30〜40℃又は65℃の場合、カソードガスのストイキ比が1.5のときに比べて1.0〜1.3のときの方が、セル電圧が大きい。よって、冷却水温度が30〜40℃又は65℃の場合、カソードガスのストイキ比は1.0〜1.3が好ましい。何れの冷却水温度の場合においても、カソードガスのストイキ比が1.3のときに比べて1.0〜1.2のときの方が、セル電圧が大きい。よって、カソードガスのストイキ比は1.0〜1.2が好ましい。
図13(B)に示すように、冷却水温度が50〜65℃の場合、カソードガスのストイキ比が1.5のときに比べて1.0〜1.3のときの方が、面積抵抗が小さい。よって冷却水温度が50〜65℃の場合、カソードガスのストイキ比は1.0〜1.3が好ましい。冷却水温度が65℃の場合、カソードガスのストイキ比が1.3のときよりも、1.0〜1.2のときの方が、面積抵抗が小さい。よって、冷却水温度が65℃の場合、カソードガスのストイキ比は1.0〜1.2が好ましい。
図14(A)は、図8(A)に示した数値をグラフで表したものである。このグラフの縦軸はセル電圧であり、横軸は冷却水温度である。図14(B)は、図8(B)に示した数値をグラフで表したものである。このグラフの縦軸は面積抵抗であり、横軸は冷却水温度である。グラフにおける各曲線に付された数値は、カソードガスのストイキ比を示す。
図14(A)に示すように、何れの冷却水温度の場合においても、冷却水温度が65℃のときに比べて30〜50℃のときの方が、セル電圧が大きい。よって、冷却水温度は、30〜50℃が好ましい。図14(A)に示すように、何れの冷却水温度の場合においても、セル電圧は、冷却水温度が30〜40℃のときの方が、50℃のときに比べて値が大きい。よって、冷却水温度は、30〜40℃が好ましい。
図14(B)に示すように、カソードガスのストイキ比が1.2〜1.5の場合、冷却水温度が65℃のときに比べて30〜50℃のときの方が、面積抵抗が小さい。よって、カソードガスのストイキ比が1.2〜1.5の場合、冷却水温度は30〜50℃が好ましい。図14(B)に示すように、カソードガスのストイキ比が1.2〜1.5の場合、冷却水温度が50℃のときに比べて30〜40℃のときの方が、面積抵抗が小さい。よって、カソードガスのストイキ比が1.2〜1.5の場合、冷却水温度は30〜40℃が好ましい。
図11〜図14に示されるように、一方のパラメータを変化させれば、他方のパラメータが通常条件であったとしても、セル電圧の上昇および面積抵抗の下降が起きる。このことは、アノードストイキ比制御処理、カソードストイキ比制御処理、冷却水温度制御処理およびアノード圧力制御処理の何れか1つの実行によっても、効果が得られることを意味する。
図15(A)は、縦軸をセル電圧、横軸をアノードガスの出口圧力をアノードガスのストイキ比で割ることによって算出される商(以下「値α」と言う)にとったグラフである。図15(B)は縦軸を面積抵抗、横軸を値αにとったグラフである。
図15(A)に示すように、値αが83kPa以上の場合、値αが83kPa未満の場合に比べて、セル電圧の平均値が高くなると共に、セル電圧のばらつきが低減される。値αが83kPa以上の場合、セル電圧の(平均値±標準偏差)は、0.496±0.0016(V)である。値αが83kPa未満の場合、セル電圧の(平均値±標準偏差)は、0.492±0.0025(V)である。よって、値αは83kPa以上が好ましい。図7(A)の太枠は、値αが83kPa以上であることを満たす範囲を示す。
図15(B)に示すように、値αが50kPa以上の場合、値αが50kPa未満の場合に比べて、面積抵抗の平均値が低くなると共に、面積抵抗のばらつきが低減される。値αが50kPa以上の場合、面積抵抗の(平均値±標準偏差)は、80.5±2.0(mΩ・cm2)である。値αが50kPa未満の場合、面積抵抗の(平均値±標準偏差)は、86.1±2.3(mΩ・cm2)である。よって、値αは50kPa以上が好ましい。図7(B)の太枠は、値αが50kPa以上であることを満たす範囲を示す。
図16(A)は、縦軸をセル電圧、横軸を冷却水温度の低減値をカソードガスのストイキ比で割ることによって算出される商(以下「値β」と言う)にとったグラフである。冷却水温度の低減値とは、変更された冷却水温度の目標値と、通常条件における冷却水温度の目標値(65℃)との差である。例えば、変更された冷却水温度の目標値が30℃であれば、低減値は35℃である。図16(B)は、縦軸を面積抵抗、横軸を値βにとったグラフである。
図16(A)に示すように、値βが8.3℃以上の場合、値βが8.3℃未満の場合に比べて、セル電圧の平均値が高くなると共に、セル電圧のばらつきが低減される。値βが8.3℃以上の場合、セル電圧の(平均値±標準偏差)は、0.565±0.008(V)である。値βが8.3℃未満の場合、セル電圧の(平均値±標準偏差)は、0.533±0.0014(V)である。よって、値βは8.3℃以上が好ましい。図8(A)の太枠は、値βが8.3℃以上であることを満たす範囲を示す。
図16(B)に示すように、値βが10℃以上の場合、値βが10℃未満の場合に比べて、面積抵抗の平均値が低くなると共に、面積抵抗のばらつきが低減される。値βが10℃以上の場合、面積抵抗の(平均値±標準偏差)は、66.1±0.0(mΩ・cm2)である。値βが10℃未満の場合、面積抵抗の(平均値±標準偏差)は、71.4±3.9(mΩ・cm2)である。よって、値βは10℃以上が好ましい。図8(B)の太枠は、値βが10℃以上であることを満たす範囲を示す。
図17は、局所電流密度および面内位置の関係、並びに局所面積抵抗および面内位置の関係を示すグラフである。この測定は、燃料電池スタック40全体の電流密度が2.4A/cm2となる条件下において行われた。この測定は、2つの条件下において行われた。2つの条件とは、乾燥抑制処理を実行した場合と、通常条件の場合とである。ここで言う乾燥抑制処理の実行とは、カソードストイキ比制御処理と冷却水温度制御処理との実行である。カソードガスのストイキ比の目標値は1.0、冷却水温度の目標値は30℃に設定した。
乾燥抑制処理を実行した場合の局所電流密度は、通常条件の場合の局所電流密度に比べて、図17に示すように、最大値と最小値との差が小さい。この差が小さいことは、局所電流密度が平準化されていることを意味する。図17に示すように、乾燥抑制処理を実行した場合の局所電流密度は、通常条件の場合の局所電流密度に比べて、何れの面内位置においても値が低下している。特にアノード入り口付近においては、面積抵抗が顕著に低下している。この低下は、乾燥抑制処理によって、アノード入り口付近の乾燥が抑制されたことに起因すると推定される。
図18は、セル電圧および電流密度の関係、並びに面積抵抗および電流密度の関係を示すグラフである。この測定は、図17について説明したものと同じ2つの条件下において行われた。
図18に示すように、電流密度が0.8A/cm2以下においては、セル電圧および面積抵抗ともに、乾燥抑制処理を実行した場合と通常条件の場合との差は小さい。これに対して、電流密度が1.4A/cm2以上においては電流密度が大きくなればなる程、通常条件の場合よりも乾燥抑制処理を実行した場合の方が好ましい値を得ることができる。なぜなら、アノード入り口付近の乾燥は、電流密度が大きければ大きい程、進行しやすいからである。よって、電流密度が大きければ大きい程、乾燥抑制処理を実行するのが好ましい。特に電流密度が1.4A/cm2以上の場合において、乾燥抑制処理を実行するのが好ましい。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成によって実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことができる。その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することできる。
20…燃料電池自動車
30…燃料電池システム
40…燃料電池スタック
41…単セル
43…膜電極接合体
45…電解質膜部
47…電極塗布部
50…アノードガス供給排出機構
51…水素タンク
52…レギュレータ
53…アノードガス循環ポンプ
54…パージバルブ
55…排出経路
56…アノードガス圧力計
57…インジェクタ
60…カソードガス供給排出機構
61…カソードガス供給路
62…エアコンプレッサ
63…空気流量計
66…カソードガス排出路
67…圧力調整シャットバルブ
68…カソードガス圧力計
70…冷却水循環機構
71…ラジエータ
72…冷却水循環ポンプ
73…水温計
80…電力供給機構
90…駆動機構
91…モータ
92…駆動輪
100…制御ユニット
110…乾燥抑制部

Claims (14)

  1. カソード側の電極において1cm当たりに含まれる白金触媒の質量が0.2mg以下である燃料電池システムであって、
    アノードに対して供給されるアノードガスの流れの向きと、カソードに対して供給されるカソードガスの流れの向きとが互いに対向するように前記アノードガスと前記カソードガスとの供給を受ける燃料電池スタックと、
    記アノードガスの出口圧力を100kPa以上20kPa以下に制御し、且つ、前記アノードガスのストイキ比を1.25以上5以下に制御し、1.4A/cm 以上の電流密度による発電を実施する高負荷運転が所定時間以上、要求された場合、前記要求の開始直前と比べて前記アノードガスの出口圧力を大きくする制御を実行する乾燥抑制部と
    を備える燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記乾燥抑制部は、前記高負荷運転が所定時間以上、要求された場合、前記要求の開始直前と比べて前記燃料電池スタックの温度を低下させる制御を実行する
    燃料電池システム。
  3. 請求項2に記載の燃料電池システムであって、
    前記乾燥抑制部は、前記高負荷運転が所定時間以上、要求された場合、前記燃料電池スタックの温度を30℃以上50℃以下に制御する
    燃料電池システム。
  4. 請求項3に記載の燃料電池システムであって、
    前記乾燥抑制部は、前記高負荷運転が所定時間以上、要求された場合、前記燃料電池スタックの温度を30℃以上40℃以下に制御する
    燃料電池システム。
  5. 請求項1から請求項4の何れか一項に記載の燃料電池システムであって、
    前記乾燥抑制部は、前記高負荷運転が所定時間以上、要求された場合、前記要求の開始直前と比べて前記カソードガスのストイキ比を低下させる制御を実行する
    燃料電池システム。
  6. 請求項に記載の燃料電池システムであって、
    前記乾燥抑制部は、前記高負荷運転が所定時間以上、要求された場合、前記カソードガスのストイキ比を1.0以上1.3以下に制御する
    燃料電池システム。
  7. 請求項に記載の燃料電池システムであって、
    前記乾燥抑制部は、前記高負荷運転が所定時間以上、要求された場合、前記カソードガスのストイキ比を1.0以上1.2以下に制御する
    燃料電池システム。
  8. 請求項から請求項の何れか1つに記載の燃料電池システムであって、
    前記乾燥抑制部は、セル電圧が基準値以下となることを達成した場合に、前記燃料電池スタックの温度の制御を終える
    燃料電池システム。
  9. 請求項から請求項の何れか1つ又は請求項8に記載の燃料電池システムであって、
    前記乾燥抑制部は、前記燃料電池スタックの温度が目標値以下となることを達成した場合に、前記燃料電池スタックの温度の制御を終える
    燃料電池システム。
  10. 請求項から請求項の何れか1つに記載の燃料電池システムであって、
    前記乾燥抑制部は、セル電圧が基準値以下となることを達成した場合に、前記カソードガスのストイキ比の制御を終える
    燃料電池システム。
  11. 請求項から請求項の何れか1つ又は請求項10に記載の燃料電池システムであって、
    前記乾燥抑制部は、前記カソードガスのストイキ比が目標値以下となることを達成した場合に、前記カソードガスのストイキ比の制御を終える
    燃料電池システム。
  12. 請求項1から請求項11の何れか1つに記載の燃料電池システムであって、
    前記乾燥抑制部は、前記高負荷運転が所定時間以上、要求された場合、前記アノードガスの出口圧力を150kPa以上200kPa以下に制御する
    燃料電池システム。
  13. 請求項1から請求項12の何れか1つに記載の燃料電池システムであって、
    前記乾燥抑制部は、前記高負荷運転が所定時間以上、要求された場合、前記アノードガスのストイキ比を1.25以上2以下に制御する
    燃料電池システム。
  14. 請求項1から請求項13の何れか1つの燃料電池システムの運転方法。
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