JP6231035B2 - 磁気記録媒体用スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用スパッタリングターゲットの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気記録媒体の磁性体薄膜、特に、垂直磁気記録方式を採用したハードディスクの磁気記録層の成膜に使用される磁気記録媒体用スパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。
ハードディスクドライブに代表される磁気記録の分野では、磁気記録媒体中の磁性薄膜の材料として、強磁性金属であるCo、Fe或いはNiをベースとした材料が用いられている。近年実用化された垂直磁気記録方式を採用するハードディスクの記録層には、Coを主成分とするCo−Cr系、Co−Cr−Pt系、Co−Pt系の強磁性合金と非磁性の無機物からなる複合材料が用いられている。
ハードディスクなどの磁気記録媒体の磁性薄膜は、生産性の高さから、上記の材料を成分とする強磁性スパッタリングターゲットをスパッタリングして作製されることが多い。外部記録装置として使用されるハードディスクドライブは、年々記録密度の増加が求められており、記録密度上昇に伴って、スパッタリングの際発生するパーティクルを低減することが強く求められている。
Co−Pt−B系合金やCo−Cr−Pt−B系合金などの磁気記録媒体用スパッタリングターゲットは、その漏洩磁束密度が低いとスパッタリング時に放電が立たないので、漏洩磁束密度が低い場合には、スパッタリング時の電圧を高くしなければならない。一方、スパッタリング時の電圧が高くなると、アーキングの発生や電圧が不安定になって、スパッタリングの際、パーティクルの発生が多くなるという問題がある。そのため一般には、冷間圧延を施して人為的に歪みを導入して、漏洩磁束密度を高めることが行われている。
ところが、Co−Pt−B系合金などを冷間圧延すると、合金中の脆いBリッチ相が脆性破壊を起こして、割れが発生するという問題がある。そして、この割れたBリッチ相は、スパッタリング中にアーキングの起点となって、パーティクルを発生させ、製品の歩留まりを低下させることになる。特にBリッチ相の面積が大きいと、その分だけ応力集中が大きくなるため強度が低下して、割れの発生はより多くなる。
このため、Bリッチ相の割れを防止することが考えられる。しかし、従来の技術は、この点が問題となる認識がなく、またそれを解決する手段も提起されていなかった。
例えば、特許文献1には、1≦B≦10(at.%)を含有するCo−Pt−B系ターゲットとその製造方法が開示されている。この製造方法は、熱間圧延温度800〜1100℃、熱間圧延前に800〜1100℃で1時間以上熱処理するものである。また、Bを含有すると熱間圧延は難しいが、温度を制御することで、インゴットの熱間圧延での割れの発生を抑えることが記載されている。
しかし、Bリッチ相の割れの問題、さらにはBリッチ相の大きさと割れとの関係、については一切記載がない。
特許文献2には、Bを必須成分として含有するCoCrPt系、CoCrPtTa系、
CoCrPtTaZr系のスパッタリングターゲットが開示されている。この技術は、Cr−B系金属間化合物相を低減することにより、圧延特性を改善できるとしている。
製造方法及び製造工程としては、1450℃で真空引き、鋳造温度1360℃、1100℃6時間加熱保持後、炉冷することが記載されている。具体的には、1回目:1100℃60分加熱した後、2mm/パスで圧延、2回目以降:1100℃30分加熱で1パス、5〜7mmまで圧延することが記載されている。
しかし、この文献にも、Bリッチ相の割れの問題、さらにはBリッチ相の大きさと割れとの関係、については一切記載がない。
特許文献3には、マトリックスに平均結晶粒径が50μm以下であり、組織中に存在する炭化物がターゲット断面で見た時に分散していることを特徴とするCo−Cr−Pt−C系ターゲットが開示されている。
この技術の課題は、粗大な結晶の発生を防止して、磁性膜の特性にバラツキが生じるのを抑制することであり、Cが1at%以上含む多量の炭化物が存在するCo−Cr−Pt−C系素材は熱間圧延を適用することが可能となり、結晶粒径の微細化と、炭化物の分散化が可能となり、保磁力等の膜特性のばらつき発生を抑制している。
しかしながら、Bリッチ相の割れの問題とその解決方法については記載がない。
特許文献4及び特許文献5には、それぞれCo−Cr−Pt−B−X1−X2−X3とCo−Cr−Pt−B−Au−X1−X2とが開示されている。添加物によってBの脆性を改善しようとしている記載が見受けられるが、あまり明確でない。このように、組成の提案に留まっており、また具体的な製法の開示はない。また、Bリッチ相の割れの問題とその解決方法については記載がない。
特許文献6には、Co−Cr−Pt−B系合金について、鋳造工程の改善と圧延工程の改善により、微細均一化した組織をもつスパッタリングターゲットが開示されている。
鋳造後の工程としては、具体的には、鋳塊を1 パスの圧下率1.33% 、温度1100℃ で、熱間圧延、合金の結晶粒径を100μm以下にするために48回の圧延を行っている。このときの圧延率は55%(圧延率が45%〜65%程度)と記載されている。しかし、Bリッチ相の割れの問題とその解決方法については記載がない。
特許文献7には、Cr−Bターゲット部材を焼結体として製造することが記載されている。また、この技術は、硬くて脆いCr−B金属間化合物は割れやすいため、塑性加工を加えることは不可能であるので、焼結体として製造することにより、ターゲット部材として望まれる高密度ターゲットを製造することが記載されている。しかしながら、Bリッチ相の割れの問題を塑性加工によって解決する方法については記載がない。
特許文献8には、鋳造時の初晶をベースとしたCoリッチ相からなる島状の圧延組織を備えているCo−Cr−Pt−B系合金スパッタリングターゲットであって、熱間圧延率を15%〜40%とすることが開示されている。また、熱間圧延率を15%未満では、デンドライト組織が破壊されず、偏析及び残留応力が十分に除去できず、40%を超えると圧延と熱処理の繰り返しにより、Coリッチ相やBリッチ相が粗大化することが開示されている。しかしながら、Bリッチ相の割れの問題とその解決方法については記載がない。
特許文献9には、溶解・鋳造により得たBを含有するスパッタリングターゲットであって、Bの含有量が10at%〜50at%であり、残余がCo、Fe、Niの一種からなり、酸素含有量が100wtppm以下であることが記載されている。この技術の課題は、従来の粉末焼結体ターゲットに比べて、高密度であって、酸素含有量を著しく低減させることである。しかしながら、Bリッチ相の割れの問題とその解決方法についての記載がない。
特開2001−026860号公報 特開2001−181832号公報 特開2001−98360号公報 特開2006−4611号公報 特開2007−023378号公報 特開2008−23545号公報 特開平6−41735号公報 国際公開第2005/093124号 国際公開第2011/070860号
上記のように、Co−Pt−B系合金などを冷間圧延すると、合金中の脆いBリッチ相が脆性破壊を起こしてBリッチ相に割れが生じることがあり、これが起点となってアーキングが発生し、スパッタリング時にパーティクルが発生するという問題がある。この問題を解決するために、冷間圧延を行わずに、ターゲットを製造することが考えられる。しかし、冷間圧延を行わないと、ターゲットの組織に歪みを導入することができないので、漏洩磁束密度を高くすることができない問題がある。
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、Bリッチ相を意図的に割り、細かくなった相を分離することで、Bリッチ相の応力集中を小さくすることができ、冷間圧延の際におけるBリッチ相の割れを低減できることを見出した。
このような知見に基づき、本発明は、
1)Bリッチ相の平均粒子面積が90μm以下であることを特徴とする磁気記録媒体用スパッタリングターゲット、
2)Pt:1〜26at%、B:1〜15at%、残部Co及び不可避的不純物からなることを特徴とする上記1)記載の磁気記録媒体用スパッタリングターゲット、
3)Cr:1〜40at%、Pt:1〜26at%、B:1〜15at%、残部Co及び不可避的不純物からなることを特徴とする上記1)記載の磁気記録媒体用スパッタリングターゲット、
4)Cr:1〜40at%、B:1〜15at%、残部Co及び不可避的不純物からなることを特徴とする上記1)記載の磁気記録媒体用スパッタリングターゲット、
5)さらに、Cu、Ru、Ta、Ndから選択した1元素以上を1at%以上10at%以下含有することを特徴とする上記1)〜4)のいずれか一記載の磁気記録媒体用スパッタリングターゲット、
6)Bリッチ相の割れが2500個以下/mmであることを特徴とする上記1)〜5)のいずれか一記載の磁気記録媒体用スパッタリングターゲット、
7)最大透磁率(μmax)が50以下であることを特徴とする上記1)〜6)のいずれか一記載の磁気記録媒体用スパッタリングターゲット、
8)合金鋳造インゴットを熱処理した後、少なくとも冷間圧延を1回以上含む一次圧延を行い、さらに、これに二次圧延を行った後、機械加工してターゲットを作製することを特徴とする磁気記録媒体用スパッタリングターゲットの製造方法、
9)総圧下率10〜90%で一次圧延を行うことを特徴とする上記8)に記載の磁気記録媒体用スパッタリングターゲットの製造方法、
10)総圧下率1.0〜10%で二次圧延を行うことを特徴とする上記8)又は9)に記載の磁気記録媒体用スパッタリングターゲットの製造方法、
11)上記1)〜7)のいずれか一に記載の磁気記録媒体用スパッタリングターゲットを製造することを特徴とする上記8)〜10)のいずれか一に記載の磁気記録媒体用スパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。
本発明は、磁気記録媒体用スパッタリングターゲットにおいて、Bリッチ相の割れが少なく、かつ漏洩磁束密度が高いターゲットを提供することが可能となる優れた効果を有する。これによって、Bリッチ相の割れを起点とするアーキングが発生せず、スパッタリング時の放電が安定し、ノジュール又はパーティクル発生を効果的に防止又は抑制することが可能となる効果がある。また、これによって、品質の良好な膜を形成することができ、製造歩留まりを著しく向上できるという優れた効果を有する。
実施例1のターゲットであって、Bリッチ相が細かく分離されている代表例を示す写真(スパッタ面に対して平行な面、下図は上図の拡大)である。 実施例2のターゲットであって、Bリッチ相が細かく分離されている代表例を示す写真(スパッタ面に対して平行な面、下図は上図の拡大)である。 実施例4のターゲットであって、Bリッチ相が細かく分離されている代表例を示す写真(スパッタ面に対して平行な面、下図は上図の拡大)である。 比較例1のターゲットであって、Bリッチ相が大きい状態で存在している代表例を示す写真(スパッタ面に対して平行な面、下図は上図の拡大)である。 比較例2のターゲットであって、Bリッチ相が大きい状態で存在している代表例を示す写真(スパッタ面に対して平行な面、下図は上図の拡大)である。 比較例1のターゲットであって、Bリッチ相の割れを示す写真である。
本発明は、Bリッチ相の平均粒子面積が90μm以下である磁気記録媒体用スパッタリングターゲットを提供するものである。ここで述べるBリッチ相とは、周囲の領域(マトリックス)よりも多くBを含有する領域であり、マトリックス相とBリッチ相との2相に分かれる。Bリッチ相は、合金系の他の金属に対するBの添加量によって、形状と量が変化することになるが、このBリッチ相は、マトリックスの中で、図1、図2に示すように、鱗雲(いわし雲、羊雲)のような形状を有することが多い。
Bリッチ相の粒子面積が大きいと、冷間圧延時に応力集中が大きくなるため、強度が低下して、Bリッチ相の割れが増加する。そこで、後述するように、Bリッチ相を冷間圧延によって意図的に割った後、割ったBリッチ相を熱間圧延によって細かく分離することで、Bリッチ相の粒子面積を小さくする。これにより、その後の漏洩磁束密度を高めることを目的とした冷間圧延を行っても、Bリッチ相が割れ難くなる。
本発明において、Bリッチ相の平均粒子面積が90μm以下とすることにより、冷間圧延によるBリッチ相の割れを十分に防ぐことができる。具体的には、1mm×1mmの面積(視野)内におけるBリッチ相の割れを2500個以下とすることが好ましい。これにより、スパッタリングの際、アーキングの発生を効果的に抑制することができる。
本発明の磁気記録媒体用スパッタリングターゲットは、Co−Pt−B系合金、Co−Cr−Pt−B系合金又はCo−Cr−B系合金から構成される。磁気記録媒体用として公知のものであれば、その成分組成は特に限定されないが、好ましくは、Pt:1〜26at%、B:1〜15at%、残部Co及び不可避的不純物からなるCo−Pt−B系合金、また好ましくは、Cr:1〜40at%、Pt:1〜26at%、B:1〜15at%、残部Co及び不可避的不純物からなるCo−Cr−Pt−B系合金、また好ましくは、Cr:1〜40at%、B:1〜15at%、残部Co及び不可避的不純物からなるCo−Cr−B系合金である。
さらに、本発明は、添加元素として、Cu、Ru、Ta、Ndから選択した1元素以上を1at%以上10at%以下含有させることができる。これにより、漏洩磁束密度を高めることができる。
漏洩磁束密度は、最大透磁率と相関関係がある。すなわち最大透磁率が低くなるほど漏洩磁束密度は高くなる。本発明において、最大透磁率が50以下である時、異常放電を生じさせない十分な漏洩磁束密度を得ることができる。
この漏洩磁束密度を上げる有効な手段としては、冷間圧延によって磁気記録媒体用合金板に歪みを加えることであるが、Bリッチ相の面積が大きい状態でこの冷間圧延を施すと、Bリッチ相に割れの発生が増加する。そのため、前述のように冷間圧延前にBリッチ相を細かく分離させることが本発明の主眼である。従来では、このようなBリッチ相を細かく分離する技術は存在しなかったと言える。このように細かく分離することにより、Bリッチ相の割れを2500個以下/mmとすることが可能となる。
本発明の磁気記録媒体用スパッタリングターゲットは、たとえば、以下の方法によって製造することができる。
まず、鋳造によって得られたCo−Pt−B系などの合金インゴットを、少なくとも冷間圧延を1回以上含む一次圧延を行う。少なくとも冷間圧延を1回以上含む一次圧延として、たとえば、1)熱間圧延−冷間圧延−熱間圧延、2)熱間圧延−冷間圧延−熱間圧延−熱間圧延、3)熱間圧延−熱間圧延−冷間圧延−冷間圧延−熱間圧延などの組み合わせがある。
圧延回数は特に制限はなく、総圧下率10〜90%であれば、所望する厚みに応じて適宜決定することができる。また、冷間圧延→熱間圧延、熱間圧延→熱間圧延のような圧延順序にも特に決まりはないが、鋳造によって得られた、鋳造上がりのインゴットを冷間圧延すると、鋳造時の欠陥を起点としてインゴット自体が割れることがあるので、このような欠陥をある程度解消するため、できるだけ最初の圧延は熱間圧延を施すことが好ましい。
本発明においては、一次圧延中における冷間圧延の総圧下率を1%以上とすることが好ましく、また、一次圧延中における熱間圧延の総圧下率を30%以上とすることが
Bリッチ相を分離するために極めて有効である。なお、ここでいう総圧下率とは、素材厚さの総減少率のことである。
その後、漏洩磁束密度を高めるため、組織に歪みを導入することを目的として、二次圧延を行う。二次圧延は、冷間圧延を繰り返すことによって行う。圧延回数は特に制限はなく、総圧下率0.1〜10%であれば、所望する厚み及び所望の漏洩磁束密度に合わせて、適宜決定することができる。但し、Cr含有率が高い場合には、透磁率が低くなるので、その場合は二次圧延を行わなくてもよい。
従来は、この漏洩磁束密度を高めることを目的とした圧延によって、Bリッチ相に割れが発生することがあった。この割れを防止するための方策として、漏洩磁束密度を低下させることにはなるが、二次圧延時の総圧下率を下げることによって、Bリッチ相の割れを防ぐことが行われていた。しかし、本発明は、この二次圧延前に、少なくとも冷間圧延を1回以上含む一次圧延を行うことにより、合金中のBリッチ相は細かく分離して、Bリッチ相の割れを抑制することができるので、従来のように、漏洩磁束密度を犠牲にする必要がないという非常に有益な効果が得られる。
このようにして得られた圧延インゴットを、所望の形状へ切削加工したり、その表面を研磨したりすることで、本発明の磁気記録媒体用スパッタリングターゲットを製造することができる。以上により、製造した磁気記録媒体用スパッタリングターゲットは、Bリッチ相の平均粒子面積が90μm以下とすることができ、上記により製造したスパッタリングターゲットは、Bリッチ相の割れが2500個以下/mmであって、パーティクルの発生防止に有効である。
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
(実施例1)
Cr:15at%、Pt:14.5at%、B:8at%、残部Co及び不可避的不純物からなるCo−Cr−Pt−B合金原料を、高周波(真空)溶解した。これを融点〜融点+100℃の温度で銅製定盤上にコバルトで組んだモールドを使用して鋳造し、180×300×33tのインゴットを得た。
次に、このインゴットを総圧下率62%で一次圧延を実施した。このとき熱間圧延時の焼鈍温度を1090℃とした。その後、得られた圧延材料を総圧下率5.0%で二次圧延を実施した。その後、これを機械加工してターゲットに仕上げた。
このターゲットのスパッタ面に対して平行な面をJEOL製FE−EPMA(型番:JXA−8500F)電子顕微鏡を用いて、190μm×240μmの任意の10視野(面積)を観察した。その結果、Bリッチ相の平均粒子面積が77.7μmであった。また、Bリッチ相の割れの数をカウントし、これらの平均値を求め規格化した結果、Bリッチ相の割れが1600個/mmであった。さらに、このターゲットのスパッタ面に対する水平方向の最大透磁率(μmax)を理研電子製B−Hメータ(BHU−6020)を用いて測定した結果、最大透磁率(μmax)は8.3であった。
(実施例2)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−17.5Pt−8Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、鋳造後のインゴットサイズは180×300×36tであった。また、焼鈍温度を1090℃、一次圧延の総圧下率を86%、二次圧延の総圧下率を4.2%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が44.6μmであり、Bリッチ相の割れが1500個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は8.3であった。
(実施例3)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−11Pt−12Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を73%、二次圧延の総圧下率を3.6%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が84.9μmであり、Bリッチ相の割れが2000個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は11であった。
(実施例4)
表1に示すように、組成比をCo−14.5Cr−17Pt−8Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1000℃、一次圧延の総圧下率を68%、二次圧延の総圧下率を5.2%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が75.1μmであり、Bリッチ相の割れが1100個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は8.9であった。
(実施例5)
表1に示すように、組成比をCo−14Cr−15.5Pt−10Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を65%、二次圧延の総圧下率を4.8%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が83.5μmであり、Bリッチ相の割れが1900個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は11.8であった。
(実施例6)
表1に示すように、組成比をCo−14Cr−14Pt−6Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、鋳造後のインゴットサイズは180×300×36tであった。また、焼鈍温度を800℃、一次圧延の総圧下率を80%、二次圧延の総圧下率を3.2%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が74.3μmであり、Bリッチ相の割れが900個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は10.6であった。
(実施例7)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−17.5Pt−7Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、鋳造後のインゴットサイズは180×300×36tであった。また、焼鈍温度を900℃、一次圧延の総圧下率を78%、二次圧延の総圧下率を3.9%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が50.1μmであり、Bリッチ相の割れが1200個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は9.2であった。
(実施例8)
表1に示すように、組成比をCo−16Cr−17.5Pt−7Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を900℃、一次圧延の総圧下率を66%、二次圧延の総圧下率を2.2%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が44.3μmであり、Bリッチ相の割れが1100個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は7.7であった。
(実施例9)
表1に示すように、組成比をCo−17Cr−15.5Pt−9Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1000℃、一次圧延の総圧下率を73%、二次圧延の総圧下率を1.2%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が71.5μmであり、Bリッチ相の割れが1500個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は9であった。
(実施例10)
表1に示すように、組成比をCo−14.5Cr−15Pt−7Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を74%、二次圧延の総圧下率を4.3%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が75.2μmであり、Bリッチ相の割れが1400個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は10.1であった。
(実施例11)
表1に示すように、組成比をCo−10Cr−16Pt−2Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を700℃、一次圧延の総圧下率を76%、二次圧延の総圧下率を4.1%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が30.0μmであり、Bリッチ相の割れが10個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は10.8であった。
(実施例12)
表1に示すように、組成比をCo−20Cr−18Pt−2Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を800℃、一次圧延の総圧下率を70%、二次圧延の総圧下率を4.9%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が42.6μmであり、Bリッチ相の割れが200個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は5.7であった。
(実施例13)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−21.5Pt−8Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を61%、二次圧延の総圧下率を2.1%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が84.7μmであり、Bリッチ相の割れが2100個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は8であった。
(実施例14)
表1に示すように、組成比をCo−6Cr−18.5Pt−2Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を73%、二次圧延の総圧下率を3.6%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が20.1μmであり、Bリッチ相の割れが50個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は18.4であった。
(実施例15)
表1に示すように、組成比をCo−26Cr−13Pt−7Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を900℃、一次圧延の総圧下率を50%、二次圧延の総圧下率を1.1%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が90.0μmであり、Bリッチ相の割れが1400個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は0.3であった。
(実施例16)
表1に示すように、組成比をCo−1Cr−13.5Pt−7Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を900℃、一次圧延の総圧下率を67%、二次圧延の総圧下率を2.9%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が78.9μmであり、Bリッチ相の割れが1400個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は38.7であった。
(実施例17)
表1に示すように、組成比をCo−22.5Pt−7Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を77%、二次圧延の総圧下率を3.8%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が81.5μmであり、Bリッチ相の割れが2100個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は39.5であった。
(実施例18)
表1に示すように、組成比をCo−4Cr−18Pt−6B−5Cuとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1070℃、一次圧延の総圧下率を69%、二次圧延の総圧下率を4.4%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が58.9μmであり、Bリッチ相の割れが1000個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は25.9であった。
(実施例19)
表1に示すように、組成比をCo−4Cr−18Pt−6B−0.5Cuとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1070℃、一次圧延の総圧下率を72%、二次圧延の総圧下率を2.6%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が61.3μmであり、Bリッチ相の割れが1100個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は29.7であった。
(実施例20)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−5Pt−5B−5Ruとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、鋳造後のインゴットサイズは180×300×36tであった。また、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を80%、二次圧延の総圧下率を6.0%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が75.6μmであり、Bリッチ相の割れが1500個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は6.8であった。
(実施例21)
表1に示すように、組成比をCo−10Cr−12Pt−5B−1Ruとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1090℃、一次圧延の総圧下率を73%、二次圧延の総圧下率を9.0%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が77.2μmであり、Bリッチ相の割れが1400個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は12.5であった。
(実施例22)
表1に示すように、組成比をCo−12Cr−14Pt−6B−10Ruとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、鋳造後のインゴットサイズは180×300×36tであった。また、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を76%、二次圧延の総圧下率を1.6%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が80.1μmであり、Bリッチ相の割れが1800個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は10.6であった。
(実施例23)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−8B−2Taとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を72%、二次圧延の総圧下率を2.9%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が87.6μmであり、Bリッチ相の割れが2200個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は8.3であった。
(実施例24)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−12.5Pt−6B−1Taとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を66%、二次圧延の総圧下率を3.5%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が80.2μmであり、Bリッチ相の割れが1300個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は7.7であった。
(実施例25)
表1に示すように、組成比をCo−20Cr−11Pt−4B−1Ndとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を10%、二次圧延の総圧下率を1.0%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が88.6μmであり、Bリッチ相の割れが1200個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は3.4であった。
(実施例26)
表1に示すように、組成比をCo−10Cr−25Pt−5Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を72%、二次圧延の総圧下率を3.3%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が64.6μmであり、Bリッチ相の割れが1300個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は9.8であった。
(実施例27)
表1に示すように、組成比をCo−10Cr−18Pt−15Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を73%、二次圧延の総圧下率を3.5%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が89.7μmであり、Bリッチ相の割れが2500個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は10.5であった。
(実施例28)
表1に示すように、組成比をCo−40Cr−10Pt−1Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を69%、二次圧延の総圧下率を0.0%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が30.5μmであり、Bリッチ相の割れが100個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は0.2であった。本実施例では二次圧延を行なっていないが、Cr含有率が高いため、十分低い透磁率を得ることができた。
(実施例29)
表1に示すように、組成比をCo−10Cr−1Pt−5Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1080℃、一次圧延の総圧下率を71%、二次圧延の総圧下率を4.6%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が68.9μmであり、Bリッチ相の割れが1400個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は11.6であった。
(実施例30)
表1に示すように、組成比をCo−10Cr−30Pt−5Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を70%、二次圧延の総圧下率を2.8%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が78.9μmであり、Bリッチ相の割れが1100個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は10.8であった。
(実施例31)
表1に示すように、組成比をCo−10Cr−16Pt−2Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1090℃、一次圧延の総圧下率を72%、二次圧延の総圧下率を10.0%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が25.0μmであり、Bリッチ相の割れが200個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は7.8であった。
(実施例32)
表1に示すように、組成比をCo−13Cr−8Pt−4Bとし、実施例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1090℃、一次圧延の総圧下率を75%、二次圧延の総圧下率を2.5%とした。
このターゲットを実施例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が76.8μmであり、Bリッチ相の割れが800個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は15.9であった。
実施例のいずれにおいても、Bリッチ相の平均粒子面積が90μm以下と細かく分離されていることを確認できた。そして、このようにBリッチ相が細かく分離されている場合には、Bリッチ相の割れが2500個以下/mmとBリッチ相の割れを抑制できていることを確認した。また、このとき最大透磁率(μmax)が50以下であった。こうした組織構造は、スパッタリング時に発生するパーティクル量を抑制し、成膜時の歩留まりを向上ために非常に重要な役割を有する。
(比較例1)
Cr:15at%、Pt:14.5at%、B:8at%、残部Co及び不可避的不純物からなるCo−Cr−Pt−B合金原料を、高周波(真空)溶解した。これを融点〜融点+100℃の温度で銅製定盤上にコバルトで組んだモールドを使用して鋳造し、200×300×30tのインゴットを得た。
次に、このインゴットを1090℃で熱処理した。その後、総圧下率62%で一次圧延を実施した。比較例1及び後述する比較例2−31では、一次圧延を全て熱間圧延にて行った。次に、得られた圧延材料を総圧下率4.8%で二次圧延を実施した後、これを機械加工してターゲットに仕上げた。
このターゲットのスパッタ面に対して平行な面をJEOL製FE−EPMA(型番:JXA−8500F)電子顕微鏡を用いて、190μm×240μmの任意の10視野(面積)を観察した。その結果、Bリッチ相の平均粒子面積が111.7μmであった。また、Bリッチ相の割れの数をカウントし、これらの平均値を求め規格化した結果、Bリッチ相の割れが4800個/mmであった。さらに、このターゲットのスパッタ面に対する水平方向の最大透磁率(μmax)を理研電子製B−Hメータ(BHU−6020)を用いて測定した結果、最大透磁率(μmax)は8.2であった。
(比較例2)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−17.5Pt−8Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1090℃、一次圧延の総圧下率を72%、二次圧延の総圧下率を4.1%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が112.4μmであり、Bリッチ相の割れが4700個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は8.4であった。
(比較例3)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−11Pt−12Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を71%、二次圧延の総圧下率を3.3%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が182.7μmであり、Bリッチ相の割れが5300個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は11.1であった。
(比較例4)
表1に示すように、組成比をCo−14.5Cr−17Pt−8Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1000℃、一次圧延の総圧下率を69%、二次圧延の総圧下率を5.2%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が113.6μmであり、Bリッチ相の割れが4800個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は9.3であった。
(比較例5)
表1に示すように、組成比をCo−14Cr−15.5Pt−10Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を60%、二次圧延の総圧下率を4.8%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が195.2μmであり、Bリッチ相の割れが5200個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は11.5であった。
(比較例6)
表1に示すように、組成比をCo−14Cr−14Pt−6Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を800℃、一次圧延の総圧下率を75%、二次圧延の総圧下率を3.1%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が118.7μmであり、Bリッチ相の割れが4200個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は10.8であった。
(比較例7)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−17.5Pt−7Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を900℃、一次圧延の総圧下率を79%、二次圧延の総圧下率を3.9%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が98.7μmであり、Bリッチ相の割れが4400個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は9.1であった。
(比較例8)
表1に示すように、組成比をCo−16Cr−17.5Pt−7Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を900℃、一次圧延の総圧下率を53%、二次圧延の総圧下率を2.0%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が93.9μmであり、Bリッチ相の割れが4300個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は7.8であった。
(比較例9)
表1に示すように、組成比をCo−17Cr−15.5Pt−9Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1000℃、一次圧延の総圧下率を76%、二次圧延の総圧下率を1.2%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が111.2μmであり、Bリッチ相の割れが5000個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は8.8であった。
(比較例10)
表1に示すように、組成比をCo−14.5Cr−15Pt−7Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を72%、二次圧延の総圧下率を4.2%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が107.5μmであり、Bリッチ相の割れが4200個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は10.2であった。
(比較例11)
表1に示すように、組成比をCo−10Cr−16Pt−2Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を700℃、一次圧延の総圧下率を69%、二次圧延の総圧下率を3.8%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が92.6μmであり、Bリッチ相の割れが2600個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は10.4であった。
(比較例12)
表1に示すように、組成比をCo−20Cr−18Pt−2Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を800℃、一次圧延の総圧下率を71%、二次圧延の総圧下率を4.9%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が94.3μmであり、Bリッチ相の割れが2600個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は6.1であった。
(比較例13)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−21.5Pt−8Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を64%、二次圧延の総圧下率を2.1%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が151.2μmであり、Bリッチ相の割れが5100個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は7.8であった。
(比較例14)
表1に示すように、組成比をCo−6Cr−18.5Pt−2Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を72%、二次圧延の総圧下率を3.6%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が91.6μmであり、Bリッチ相の割れが2700個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は17.8であった。
(比較例15)
表1に示すように、組成比をCo−26Cr−13Pt−7Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を900℃、一次圧延の総圧下率を50%、二次圧延の総圧下率を1.0%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が143.3μmであり、Bリッチ相の割れが4500個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は0.4であった。
(比較例16)
表1に示すように、組成比をCo−1Cr−13.5Pt−7Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を900℃、一次圧延の総圧下率を69%、二次圧延の総圧下率を2.7%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が102.3μmであり、Bリッチ相の割れが5500個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は38.9であった。
(比較例17)
表1に示すように、組成比をCo−22.5Pt−7Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を74%、二次圧延の総圧下率を3.5%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が120.2μmであり、Bリッチ相の割れが3900個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は39.7であった。
(比較例18)
表1に示すように、組成比をCo−4Cr−18Pt−6B−5Cuとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1070℃、一次圧延の総圧下率を70%、二次圧延の総圧下率を4.3%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が92.4μmであり、Bリッチ相の割れが2600個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は27.6であった。
(比較例19)
表1に示すように、組成比をCo−4Cr−18Pt−6B−0.5Cuとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1070℃、一次圧延の総圧下率を66%、二次圧延の総圧下率を2.6%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が93.1μmであり、Bリッチ相の割れが2700個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は28.8であった。
(比較例20)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−5Pt−5B−5Ruとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を82%、二次圧延の総圧下率を5.8%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が94.5μmであり、Bリッチ相の割れが2700個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は8.9であった。
(比較例21)
表1に示すように、組成比をCo−10Cr−12Pt−5B−1Ruとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1090℃、一次圧延の総圧下率を71%、二次圧延の総圧下率を9.0%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が96.9μmであり、Bリッチ相の割れが2900個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は12.3であった。
(比較例22)
表1に示すように、組成比をCo−12Cr−14Pt−6B−10Ruとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を76%、二次圧延の総圧下率を1.5%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が98.8μmであり、Bリッチ相の割れが3000個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は10.5であった。
(比較例23)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−8B−2Taとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を70%、二次圧延の総圧下率を2.9%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が103.4μmであり、Bリッチ相の割れが4500個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は8であった。
(比較例24)
表1に示すように、組成比をCo−15Cr−12.5Pt−6B−1Taとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を69%、二次圧延の総圧下率を3.5%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が97.9μmであり、Bリッチ相の割れが3700個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は7.8であった。
(比較例25)
表1に示すように、組成比をCo−20Cr−11Pt−4B−1Ndとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を11%、二次圧延の総圧下率を1.0%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が120.1μmであり、Bリッチ相の割れが3200個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は3.2であった。
(比較例26)
表1に示すように、組成比をCo−10Cr−25Pt−5Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を67%、二次圧延の総圧下率を3.0%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が94.8μmであり、Bリッチ相の割れが3000個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は10.1であった。
(比較例27)
表1に示すように、組成比をCo−10Cr−18Pt−15Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を63%、二次圧延の総圧下率を3.4%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が162.3μmであり、Bリッチ相の割れが5300個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は9.7であった。
(比較例28)
表1に示すように、組成比をCo−40Cr−10Pt−1Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を74%、二次圧延の総圧下率を0.0%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が91.2μmであり、Bリッチ相の割れが2600個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は0.2であった。
(比較例29)
表1に示すように、組成比をCo−10Cr−1Pt−5Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1080℃、一次圧延の総圧下率を73%、二次圧延の総圧下率を4.5%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が100.3μmであり、Bリッチ相の割れが2700個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は11.8であった。
(比較例30)
表1に示すように、組成比をCo−10Cr−30Pt−5Bとし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1100℃、一次圧延の総圧下率を69%、二次圧延の総圧下率を2.8%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が106.7μmであり、Bリッチ相の割れが2900個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は10.9であった。
(比較例31)
表1に示すように、組成比をCo−13Cr−8t−4とし、比較例1と同様の製造方法でターゲットを製造した。このとき、焼鈍温度を1090℃、一次圧延の総圧下率を75%、二次圧延の総圧下率を0.0%とした。
このターゲットを比較例1と同様の方法で分析した結果、表1に示すように、Bリッチ相の平均粒子面積が92.6μmであり、Bリッチ相の割れが120個/mmであった。また、スパッタ面に対する水平方向の最大透磁率は51.2であった。
比較例(比較例31を除く)のいずれも、最大透磁率(μmax)が50以下であった
が、平均粒子面積90μmを超えるような大きなBリッチ相であった。そして、このように大きなBリッチ相の場合には、2500個/mm超のBリッチ相の割れが発生していていた。このような組織構造は、アーキングを発生させ、スパッタリング時の放電を不安定にし、ノジュール又はパーティクル発生を増加させることになる。
本発明は、磁気記録媒体用スパッタリングターゲットにおいて、Bリッチ相の割れが少なく、かつ漏洩磁束密度が高いターゲットを提供することが可能となる優れた効果を有する。これによって、Bリッチ相の割れを起点とするアーキングが発生せず、スパッタリング時の放電が安定し、ノジュール又はパーティクル発生を効果的に防止又は抑制することが可能となる効果がある。また、これによって、品質の良好な膜を形成することができ、製造歩留まりを著しく向上できるという優れた効果を有する。
以上に示すように、本発明の磁気記録媒体用スパッタリングターゲットは優れた特性を有するので、磁気記録媒体用の磁性薄膜、特にハードディスクの磁性膜の形成に有用である。

Claims (3)

  1. Co−Pt−B系合金鋳造インゴットを熱処理した後、少なくとも冷間圧延を1回以上含む総圧下率10〜90%で熱間圧延と冷間圧延を行い、これを機械加工して、Bリッチ相の平均粒子面積を90μm以下、Bリッチ相の割れを2500個以下/mmであるターゲットを作製することを特徴とする磁気記録媒体用スパッタリングターゲットの製造方法。
  2. Co−Pt−B系合金鋳造インゴットを熱処理した後、少なくとも冷間圧延を1回以上含む総圧下率10〜90%で熱間圧延と冷間圧延(一次圧延)を行い、その後、総圧下率1.0〜10%で冷間圧延(二次圧延)を行い、これを機械加工して、Bリッチ相の平均粒子面積を90μm以下であるターゲットを作製することを特徴とする磁気記録媒体用スパッタリングターゲットの製造方法。
  3. 前記一次圧延の最初の圧延を、熱間圧延とすることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体用スパッタリングターゲットの製造方法。
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