[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、本明細書では、特に断りの無い限り、各図面のX1側を右側、X2側を左側、Y1側を奥側、Y2側を手前側、Z1側を上側、Z2側を下側として説明する。
最初に、第1実施形態に係る入力装置100の適用例について図1及び図2を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る入力装置100の適用例であるネックストラップ80用のコントローラ50を示す斜視図であり、図2は、コントローラ50の適用拡大斜視図である。
図1に示すように、人の首に吊り下げられる帯状のネックストラップ80は、連結部82で纏められ、連結部82から接続ケーブル85を介して電子機器90に接続されている。電子機器90は、屋外に持ち出して使用することが可能な携帯型オーディオ機器等の携帯型電子機器である。コントローラ50は、ネックストラップ80の途中の位置に取り付けられていて、コントローラ50による操作結果は、接続ケーブル85を介して電子機器90に伝送されるように構成されている。電子機器90内には制御部90aが内蔵されており、コントローラ50内の入力装置100のスイッチング動作を検出し、その後の制御を行う。
図2に示すように、コントローラ50内には入力装置100が内蔵されていて、入力装置100を覆うようにケース45が取り付けられている。コントローラ50の奥側と手前側には接続部54が設けられていると共に、接続部54内では、図1で示した接続ケーブル85に接続されたコネクタ(図示せず)が取り付けられることになる。
コントローラ50の下側及び上側にはそれぞれ第1操作部51及び第2操作部52が設けられている。第1操作部51は、3つの操作ボタン51a、51b、51cで構成されており、また、第2操作部52は、3つの操作ボタン52a、52b、52cで構成されている。そして、第1操作部51と第2操作部52とによってスイッチ53を構成している。詳しくは、操作ボタン51aと操作ボタン52aとで第1スイッチ53aを構成し、操作ボタン51bと操作ボタン52bとで第2スイッチ53bを構成し、操作ボタン51cと操作ボタン52cとで第3スイッチ53cを構成している。
ここで、操作ボタン51aと操作ボタン52aとを同時に押圧した場合に第1スイッチ53aがオンとなり、操作ボタン51bと操作ボタン52bとを同時に押圧した場合に第2スイッチ53bがオンとなり、操作ボタン51cと操作ボタン52cとを同時に押圧した場合に第3スイッチ53cがオンとなる。言い換えれば、操作ボタン51a又は操作ボタン52aの内の1つだけを押圧しただけでは、第1スイッチ53aはオンとはならない。第2スイッチ53b及び第3スイッチ53cについても同様である。
コントローラ50においては、第1スイッチ53a、第2スイッチ53b、及び第3スイッチ53cそれぞれを単独で操作した場合に、電源のオン・オフ、音量のアップ、及び音量のダウンを行うことができるように構成されている。また、第1スイッチ53a、第2スイッチ53b、及び第3スイッチ53cの内の2つ又は3つを組み合わせて操作することによって、早送りや巻き戻し等の各種操作が行えるようになっている。
次に、第1実施形態に係る入力装置100に使用されるメンブレンスイッチ3の接点の構造、第1静電センサ1と第2静電センサ2それぞれの電極部の構造、及び入力装置100の構成及びその動作について説明する。
図3は、入力装置100に使用されるメンブレンスイッチ3の展開図であり、図4は、入力装置100に使用される第1静電センサ1と第2静電センサ2の展開図である。また、図5は、図2に示すA−A線に沿って、入力装置100の手前側から奥側を見た場合の断面図であり、図6は、図2に示すB−B線に沿って、入力装置100の右側から左側を見た場合の断面図である。
図5に示すように、入力装置100は、第1静電センサ1と、第2静電センサ2と、メンブレンスイッチ3と、を含んで構成されており、図3、図4及び図6に示すシート18上又は基材13上の配線パターン14を介して図1で示した外部の電子機器90に電気的に接続可能となっている。尚、第1静電センサ1と第2静電センサ2とは、同一の基材13上に形成され、メンブレンスイッチ3は、基材13とは別部材となるシート18上に形成される。
図3に示すように、メンブレンスイッチ3は、PET(Polyethylene Terephthalate/ポリエチレンテレフタレート)等の熱可塑性の合成樹脂であるシート18上に構成されている。シート18は、それぞれの一部が接続された略長方形形状の第1シート18aと第2シート18bとで構成されている。メンブレンスイッチ3の第1接点16は第1シート18a上に、また、第2接点17は第2シート18b上に導体によって形成されている。
第1接点16は、それぞれ略長方形形状をしていると共に、互いに分離された第1接点16a、第1接点16b、及び第1接点16cから構成される。第1接点16a、第1接点16b、及び第1接点16cは、配線パターン14によってそれぞれコネクタ接続パターン14aまで配線されると共に、コネクタ接続パターン14aは、図2で示したコントローラ50の奥側の接続部54内でコネクタ(図示せず)に取り付けられる。
第2接点17は、それぞれ略長方形形状をしていると共に、互いに接続された第2接点17a、第2接点17b、及び第2接点17cから構成される。第2接点17a、第2接点17b、及び第2接点17cは、1本の配線パターン14によってコネクタ接続パターン14aまで配線される。
図3に示すように、メンブレンスイッチ3のシート18の第1接点16及び第2接点17が設けられている面には、レジスト15が設けられている。レジスト15は、第1接点16a、第1接点16b、第1接点16c、第2接点17a、第2接点17b、第2接点17c、及びコネクタ接続パターン14aがそれぞれ露出するように設けられている。メンブレンスイッチ3は、入力装置100内において、第1シート18aと第2シート18bとの接続箇所で折り畳まれて使用される。
図4に示すように、第1静電センサ1及び第2静電センサ2は、PET等の熱可塑性の合成樹脂である基材13上に構成される。基材13は、それぞれの一部が接続された略長方形形状の第1基材13aと第2基材13bとで構成されている。第1静電センサ1の第1電極部11は第1基材13a上に、また、第2静電センサ2の第2電極部12は第2基材13b上に導体によって形成されている。
第1電極部11は、互いに分離していると共に、それぞれ略長方形形状をしている第1電極部11a、第1電極部11b、及び第1電極部11cから構成される。第1電極部11a、第1電極部11b、及び第1電極部11cは、配線パターン14によってそれぞれコネクタ接続パターン14aまで配線され、コネクタ接続パターン14aは、前述したメンブレンスイッチ3の場合とは別のコネクタ(図示せず)に接続される。尚、この場合のコネクタは、図2で示した手前側の接続部54内で取り付けられる。
第2電極部12は、互いに分離していると共に、それぞれ略長方形形状をしている第2電極部12a、第2電極部12b、及び第2電極部12cから構成される。第2電極部12a、第2電極部12b、及び第2電極部12cは、配線パターン14によってそれぞれコネクタ接続パターン14aまで配線され、コネクタ接続パターン14aは前述した第1電極部11の場合と同一のコネクタ(図示せず)に接続される。上述の第1電極部11及び第2電極部12はそれぞれ、人体が近接した場合に、グランドに接続されていると考えられる人体との間に浮遊容量を持つことによって、第1静電センサ1及び第2静電センサ2を構成させることができる。
図4に示すように、第1静電センサ1及び第2静電センサ2の基材13の第1電極部11及び第2電極部12が設けられている面には、レジスト15が設けられている。レジスト15は、コネクタ接続パターン14aだけが露出するように、ほぼ全体に亘って設けられている。また、第1電極部11a、第1電極部11b、第1電極部11c、第2電極部12a、第2電極部12b、及び第2電極部12cそれぞれのほぼ中央の位置には略楕円形状をした押圧部材41がそれぞれ取り付けられている。尚、押圧部材41の機能については後述する。
次に、入力装置100の構成及びその動作について説明する。図5に示すように、第1静電センサ1及び第2静電センサ2が、第1基材13aと第2基材13bとの接続箇所で折り畳まれ、前述した折り畳まれたメンブレンスイッチ3を包み込むようにすることで入力装置100が構成される。
メンブレンスイッチ3は、一方の面(Z1側の面)に第1接点16が設けられた第1シート18a及び一方の面(Z2側の面)に第2接点17が設けられた第2シート18bが折り畳まれて、第1接点16と第2接点17とが互いにギャップを有しながら対向するように配置されている。また、第1静電センサ1及び第2静電センサ2は、それぞれメンブレンスイッチ3の外側(Z2側及びZ1側)に配設されている。第1静電センサ1は、第1基材13aを有し、第1基材13aの一方の面(Z1側の面)に第1電極部11が形成されており、第2静電センサ2は、第2基材13bを有し、第2基材13bの一方の面(Z2側の面)に第2電極部12が形成されている。第1電極部11がメンブレンスイッチ3の第1シート18aの他方の面(Z2側の面)と対向し、第2電極部12が第2シート18bの他方の面(Z1側の面)と対向するように、第1静電センサ1と第2静電センサ2とが、メンブレンスイッチ3に配設されている。
第1静電センサ1、第2静電センサ2、及びメンブレンスイッチ3を上記のように構成させることにより、第1接点16と第2接点17と第1電極部11と第2電極部12とは、それぞれの少なくとも一部分同士が平面視で全て重なるように配置されることになる。
メンブレンスイッチ3は、シート18に形成された第1接点16及び第2接点17それぞれが、それぞれの外側からの押圧力によって互いに接触することによって、スイッチング動作が行われるように構成されている。このスイッチング動作の結果は、配線パターン14及び図1で示した接続ケーブル85を介して前述した電子機器90内の制御部90aに伝送され、スイッチがオンとなる。
第1静電センサ1及び第2静電センサ2は、前述したように、第1電極部11及び第2電極部12とグランド間にそれぞれ浮遊容量を有しており、自己容量式のセンサとして構成されている。一般的に、自己容量式のセンサの場合、浮遊容量は電極部の周りの導電体の間にある寄生容量の影響を受ける。人体も導電体であるため、電極部に指(人体)が近づくと浮遊容量の値が増加する。
入力装置100においても、第1電極部11又は第2電極部12に人の指が接触するか又は近接することによって浮遊容量が増加し、その浮遊容量の増加は、前述した電子機器90内の制御部90aに伝送され、制御部90aで計測され、検出される。制御部90aでは、第1電極部の浮遊容量の増加が検出されたら第1静電センサがオンになったと判定され、第2電極部の浮遊容量の増加が検出されたら第2静電センサがオンになったと判定される。
自己容量式のセンサは、追加のエネルギーを必要とせず、ノイズも発生しづらいという特徴がある。静電センサとしては、他に相互容量式のセンサも存在するが、本発明では、構造が簡単であることから自己容量式のセンサを採用した。本発明の静電センサとして相互容量式のセンサを採用することも可能である。尚、相互容量式のセンサに関する技術は一般的に知られた技術であるため、その説明を省略する。
入力装置100において、第1静電センサ1及び第2静電センサ2がそれぞれオンとなると同時にメンブレンスイッチ3もオンとなった場合にのみ、図2で示した第1スイッチ53a、第2スイッチ53b、又は第3スイッチ53cがオンとなったと、制御部90aにて判断される。言い換えれば、第1静電センサ1、第2静電センサ2、又はメンブレンスイッチ3のいずれか1つでもオンとならなかった場合には、図2で示した第1スイッチ53a、第2スイッチ53b、又は第3スイッチ53cはオンとならない。
図5に示すように、第1基材13aの他方の面(Z2側の面)の側には前述した第1操作部51が配置され、第2基材13bの他方の面(Z1側の面)の側には前述した第2操作部52が配置される。尚、ここでは、前述したケース45を省略して説明している。図6に示すように、第1操作部51の操作ボタン51aと第2操作部52の操作ボタン52aとが、第1接点16aと第2接点17aと第1電極部11aと第2電極部12aとを挟み込むように構成されている。操作ボタン51bと操作ボタン52b、及び操作ボタン51cと操作ボタン52cについても同様である。
図5及び図6に示すように、入力装置100では、第1静電センサ1の第1電極部11とメンブレンスイッチ3の第1接点16との間の空間の一部、及び第2静電センサ2の第2電極部12とメンブレンスイッチ3の第2接点17との間の空間の一部に、それぞれ押圧部材41が形成されている。それと共に、第1電極部11と第1シート18aとの間及び第2電極部12と第2シート18bとの間の空間で、押圧部材41がない領域に弾性層43が形成されている。
押圧部材41は、第1操作部51及び第2操作部52を操作した時に、メンブレンスイッチ3の第1接点16と第2接点17との接触のための押圧動作をより確実に行えるようにするため設けられている。また、弾性層43は、第1操作部51及び第2操作部52を押圧するためのある程度の離間距離を確保するために設けられている。この離間距離を持つことにより、誤動作をより少なくすることができる。
図5及び図6に示すように、入力装置100には、メンブレンスイッチ3の第1シート18aの一方の面(Z1側の面)の第1接点16が設けられていない領域、及び第2シート18bの一方の面(Z2側の面)の第2接点17が設けられていない領域にレジスト15が形成されている。レジスト15は、この領域において第1接点16と第2接点17との間の所定のギャップを構成させている。このレジスト15の存在によって、第1操作部51及び第2操作部52が操作されない場合、第1接点16と第2接点17とが接触することがないと共に、第1接点16と第2接点17との間のギャップを構成させるための別部材を必要としない。
図5及び図6に示すように、第1基材13aの一方の面(Z1側の面)、及び、第2基材13bの一方の面(Z2側の面)にも、第1電極部11又は第2電極部12を覆うようにレジスト15が形成されている。この領域においてレジスト15を形成させることにより、第1電極部11と押圧部材41、及び第2電極部12と押圧部材41とが直接に接することがないため、第1操作部51及び第2操作部52が操作された時に第1電極部11及び第2電極部が損傷を受けにくくなる。
次に、図2で示したケース45を被せた状態の入力装置100、及び入力装置100の変形例である入力装置110の構造について図7を用いて説明する。図7は、図7(a)が入力装置100の断面図であり、図7(b)が入力装置110の断面図である。尚、図7(a)及び図7(b)は、図2に示すB−B線に沿って、入力装置100又は入力装置110の右側から左側を見た場合の断面図である。
図3乃至図6を用いて説明した際には、ケース45を省いて説明を行ったが、実際には、図7(a)に示すように、入力装置100には、ケース45が入力装置100の周囲を取り囲むように取り付けられる。ケース45は、PET等の薄い合成樹脂で形成されており、図2を用いて説明したコントローラ50の外形形状を形成している。コントローラ50の第1操作部51及び第2操作部52は、ケース45を介して操作される。
図7(b)に示した入力装置110では、入力装置110に被せるケース46の材料として成型材を使用している。ケース46で使用される成型材は、入力装置100のケース45で使用したPETよりもその厚さが厚い合成樹脂である。従って、入力装置100の場合よりも大きな押圧力が必要となる。そのため、ケース46の内側の、第1操作部51及び第2操作部52に相当する部分の周りには、くびれ部46aが設けられている。また、ケース46の厚さが厚くなったことに伴って、入力装置110内に取り付けられている押圧部材42の厚さも、入力装置100内に取り付けられている押圧部材41の厚さより厚く設定されている。その他の構成については、入力装置100の構成と同一である。
上述のように、入力装置100及び入力装置110では、メンブレンスイッチ3の一方の面側及び他方の面側それぞれに第1静電センサ1及び第2静電センサ2を備え、メンブレンスイッチ3の2つの接点と第1静電センサ1の電極部と第2静電センサ2の電極部とを重ねて配置することができる。そのことによって、第1静電センサ1及び第2静電センサ2それぞれの外側の面からの押圧動作によりメンブレンスイッチ、第1静電センサ1及び第2静電センサ2を同時にオンとすることができる。この構成を用いることによって、メンブレンスイッチ及び2つの静電センサが同時にオンする時以外は入力としないようにすることができ、その結果、誤動作を防止することが可能となる。
また、押圧部材41又は押圧部材42によって押し込み動作をスムーズに行うことができ、また弾性層43によって2つの静電センサの間の距離を保つことができるため、誤動作を更に少なくすることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、第2実施形態に係る入力装置200の適用例について図8を用いて説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る入力装置200の適用例である短冊型のコントローラ70を示す斜視図である。
図8に示す短冊型のコントローラ70によって電子機器90を操作することが可能となっている。電子機器90は、屋外に持ち出して使用することが可能な携帯型オーディオ機器等の携帯型電子機器である。コントローラ70の接続部74と電子機器90との間には接続ケーブル85が接続されており、コントローラ70による操作結果は、接続ケーブル85を介して電子機器90に伝送されるように構成されている。電子機器90内には制御部90aが内蔵されており、コントローラ70内の入力装置200のスイッチング動作を検出し、その後の制御を行う。
図8に示すように、コントローラ70内には入力装置200が内蔵されていて、入力装置200を覆うようにケース75が取り付けられている。コントローラ70の奥側には接続部74が設けられていると共に、接続部74内では、接続ケーブル85に接続されているコネクタ(図示せず)が入力装置200に接続される。
コントローラ70の下側及び上側にはそれぞれ第1操作部71及び第2操作部72が設けられている。第1操作部71は、3つの操作ボタン71a、71b、71cで構成されていて、第2操作部72は、3つの操作ボタン72a、72b、72cで構成されている。そして、第1操作部71と第2操作部72とによってスイッチ73を構成している。詳しくは、操作ボタン71aと操作ボタン72aとで第1スイッチ73aを構成し、操作ボタン71bと操作ボタン72bとで第2スイッチ73bを構成し、操作ボタン71cと操作ボタン72cとで第3スイッチ73cを構成している。
ここで、操作ボタン71aと操作ボタン72aとを同時に押圧した場合にのみ第1スイッチ73aがオンとなり、操作ボタン71bと操作ボタン72bとを同時に押圧した場合にのみ第2スイッチ73bがオンとなり、操作ボタン71cと操作ボタン72cとを同時に押圧した場合にのみ第3スイッチ73cがオンとなる。言い換えれば、操作ボタン71a又は操作ボタン72aの内の1つだけを押圧しただけでは、第1スイッチ73aはオンとはならない。第2スイッチ73b及び第3スイッチ73cについても同様である。
コントローラ70においては、第1スイッチ73a、第2スイッチ73b、及び第3スイッチ73cそれぞれを単独で操作した場合に、電源のオン・オフ、音量のアップ、及び音量のダウンを行うことができるように構成されている。また、第1スイッチ73a、第2スイッチ73b、及び第3スイッチ73cの内の2つ又は3つを組み合わせて操作することによって、早送りや巻き戻し等の各種操作が行えるようになっている。
次に、第2実施形態に係る入力装置200に使用されるメンブレンスイッチ8の接点の構造、第1静電センサ6と第2静電センサ7それぞれの電極部の構造、及び入力装置200の構成とその動作について、図9乃至図11を用いて説明する。
図9は、入力装置200に使用されるメンブレンスイッチ8の展開図であり、図10は、入力装置200に使用される第1静電センサ6と第2静電センサ7の展開図である。また、図11は、第2実施形態に係る入力装置200の断面図であり、その内、図11(a)は、図8に示すC−C線に沿って、入力装置200の手前側から奥側を見た場合の断面図であり、図11(b)は、図8に示すD−D線に沿って、入力装置200の右側から左側を見た場合の断面図である。
図11(a)に示すように、入力装置200は、第1静電センサ6と、第2静電センサ7と、メンブレンスイッチ8と、を含んで構成されており、図11(b)に示すシート28上の配線パターン24を介して図8に示した電子機器90に電気的に接続される。尚、メンブレンスイッチ8は、シート28の一方の面上に形成され、第1静電センサ6と第2静電センサ7とは、シート28の他方の面上に形成される。即ち、メンブレンスイッチ8と、第1静電センサ6及び第2静電センサ7とは、同一のシート28の表面と裏面とにそれぞれ形成される。
メンブレンスイッチ8、第1静電センサ6及び第2静電センサ7に使用されるシート28は、PET等の熱可塑性の薄い合成樹脂で形成されている。図9に示すように、シート28は、それぞれの一部が接続された略長方形形状の第1シート28aと第2シート28bとで構成されていて、メンブレンスイッチ8の第1接点26は第1シート28a上に、また、第2接点27は第2シート28b上に導体によって形成されている。
第1接点26は、互いに分離していると共に、それぞれ略長方形形状をしている第1接点26a、第1接点26b、及び第1接点26cから構成される。第1接点26a、第1接点26b、及び第1接点26cは、配線パターン24によってそれぞれコネクタ接続パターン24aまで配線される。
第2接点27は、互いに接続されていると共に、それぞれ略長方形形状をしている第2接点27a、第2接点27b、及び第2接点27cから構成される。第2接点27a、第2接点27b、及び第2接点27cは、1本の配線パターン24によってコネクタ接続パターン24aまで配線される。
図9に示すように、シート28の第1接点26及び第2接点27が設けられている面には、レジスト25が設けられている。レジスト25は、第1接点26a、第1接点26b、第1接点26c、第2接点27a、第2接点27b、第2接点27c、及びコネクタ接続パターン24aがそれぞれ露出するようにシート28の表面上に設けられている。
図10に示すように、第1静電センサ6及び第2静電センサ7は、メンブレンスイッチ8が構成されているシート28の裏面に形成されている。シート28の一方のシートである第1シート28aの裏面28cには、第1静電センサ6の第1電極部21が形成されている。また、シート28の他方のシートである第2シート28bの裏面28dには、第2静電センサ7の第2電極部22が形成されている。
第1電極部21は、互いに分離していると共に、それぞれ略長方形形状をした第1電極部21a、第1電極部21b、及び第1電極部21cから構成される。第1電極部21a、第1電極部21b、及び第1電極部21cは、第1シート28aの裏面28c上の複数の配線パターン24によってそれぞれシート28に設けられたスルーホール24bまで配線される。そして、スルーホール24bによって、図9に示すシート28の表面の配線パターン24に接続される。
第2電極部22は、互いに分離していると共に、それぞれ略長方形形状をした第2電極部22a、第2電極部22b、及び第2電極部22cから構成される。第2電極部22a、第2電極部22b、及び第2電極部22cは、第2シート28bの裏面28d上の複数の配線パターン24によってそれぞれシート28に設けられたスルーホール24bまで配線される。そして、スルーホール24bによって、図9に示すシート28の表面の配線パターン24に接続される。
図10に示すように、第1静電センサ6の第1電極部21及び第2静電センサ7の第2電極部22が設けられているシート28の裏面28c及び裏面28dにも、レジスト25がほぼ全体に亘って設けられている。シート28は、第1シート28aと第2シート28bとの接続箇所で折り畳まれて使用される。
次に、入力装置200の構成及び動作について説明する。図11(a)に示すように、メンブレンスイッチ8は、一方の面(Z1側の面)に第1接点26が設けられた第1シート28a及び一方の面(Z2側の面)に第2接点27が設けられた第2シート28bが折り畳まれて、第1接点26と第2接点27とが互いにギャップを有しながら対向するように配置されている。
メンブレンスイッチ8が形成されている同一のシート28の裏面に形成されている第1静電センサ6及び第2静電センサ7は、それぞれメンブレンスイッチ8の外側(Z2側及びZ1側)に配設されることになる。第1静電センサ6には、第1シート28aの他方の面(Z2側の面)に第1電極部21が形成されており、第2静電センサ7には、第2シート28bの他方の面(Z2側の面)に第2電極部22が形成されている。
第1静電センサ6、第2静電センサ7、及びメンブレンスイッチ8を上記のように構成させることにより、第1接点26と第2接点27と第1電極部21と第2電極部22とは、それぞれの少なくとも一部分同士が平面視で全て重なるように配置されることになる。
メンブレンスイッチ8、第1静電センサ6、及び第2静電センサ7の動作原理については、前述したメンブレンスイッチ3、第1静電センサ1、及び第2静電センサ2の動作原理と同等であるので、その説明を省略する。
入力装置200においても、第1静電センサ6及び第2静電センサ7がそれぞれオンとなると同時にメンブレンスイッチ8もオンとなった場合にのみ、図8で示した第1スイッチ73a、第2スイッチ73b、又は第3スイッチ73cがオンとなったと、制御部90aにて判断される。言い換えれば、第1静電センサ6、第2静電センサ7、又はメンブレンスイッチ8のいずれか1つでもオンとならなかった場合には、図8で示した第1スイッチ73a、第2スイッチ73b、又は第3スイッチ73cはオンとならない。
図11(a)に示すように、第1シート28aの他方の面(Z2側の面)の側にはレジスト25を介して前述した第1操作部71が配置され、第2シート28bの他方の面(Z1側の面)の側にはレジスト25を介して前述した第2操作部72が配置される。尚、ここでは、前述したケース75を省略して説明している。図11(b)に示すように、第1操作部71の操作ボタン71aと第2操作部72の操作ボタン72aとが、第1接点26aと第2接点27aと第1電極部21aと第2電極部22aとを挟み込むように構成されている。第1操作部71の操作ボタン71bと第2操作部72の操作ボタン72b、及び第1操作部71の操作ボタン71cと第2操作部72の操作ボタン72cについても同様である。
図11(a)及び図11(b)に示すように、入力装置200には、入力装置100で取り付けられていた押圧部材41及び弾性層43に相当する部材が取り付けられていない。入力装置200では、押圧部材41及び弾性層43に相当する部材を取り付けないことによって、入力装置200自体の厚さを薄くすることができ、入力装置200を用いたコントローラ70を操作性とファッション性に優れたコントローラとすることができる。
メンブレンスイッチ8の第1シート28aの一方の面(Z1側の面)で第1接点26が設けられていない領域、及び第2シート28bの一方の面(Z2側の面)で第2接点27が設けられていない領域にレジスト25が形成されている。この領域において、レジスト25は第1接点26と第2接点27との間に所定の離間距離を持ったギャップを構成させている。このレジスト25の存在によって、第1操作部71及び第2操作部72が操作されない場合、第1接点26と第2接点27とが接触することはない。
図11(a)及び図11(b)に示すように、第1シート28aの他方の面(Z2側の面)、及び、第2シート28bの他方の面(Z1側の面)にも、第1電極部21又は第2電極部22を覆うようにレジスト25が形成されている。この領域において、レジスト25を形成させることにより、図8で示したケース75を介して第1操作部71及び第2操作部72が操作された時に、第1電極部21及び第2電極部22が損傷を受けにくくなる。
上記のように、入力装置200では、メンブレンスイッチ8と、第1静電センサ6及び第2静電センサ7と、を1枚のシート28の表側と裏側に配設したので、入力装置200自体の厚さを薄くすることができる。そのため、操作性とファッション性に優れた入力装置を提供することができる。
次に、第2実施形態に係る入力装置200の変形例となる入力装置300の構成について、図12乃至図14を用いて説明する。尚、入力装置300と入力装置200との相違点は、入力装置300に使用されるメンブレンスイッチ9における第2接点37の構造のみであるので、その他の構造及び構成については説明を省略することがある。また、メンブレンスイッチ9及び第2接点37以外の構成要素については、入力装置200に付与した符号を使用する。
図12は、入力装置300に使用されるメンブレンスイッチ9の、レジスト25を省略した場合の展開図であり、図13は、メンブレンスイッチ9の、レジスト25がある場合の展開図である。また、図14は、入力装置300の断面図である。その内、図14(a)は、図8に示すC−C線に沿って、入力装置300の手前側から奥側を見た場合の断面図であり、図14(b)は、図8に示すD−D線に沿って、入力装置300の右側から左側を見た場合の断面図である。
図12に示すように、メンブレンスイッチ9に使用されるシート28は、それぞれの一部が接続された略長方形形状の第1シート28aと第2シート28bとで構成されている。メンブレンスイッチ8の第1接点26は第1シート28a上に、また、第2接点37は第2シート28b上にそれぞれ導体によって形成されている。
第2接点37は、図12に示すように、第2シート28bの内の、配線パターン24を除く全ての領域に設けられていて、1本の配線パターン24によってコネクタ接続パターン24aまで配線されている。更に、第2接点37に接続されたコネクタ接続パターン24aは、その先で、コネクタ(図示せず)及び図8に示した接続ケーブル85を介して電子機器90のグランドに接続される。
図12においては、レジスト25を省略して第2接点37の説明を行ったが、実際には、図13に示すようにレジスト25が設けられる。レジスト25は、第1接点26a、第1接点26b、及び第1接点26cがそれぞれ露出するように設けられていると共に、第2シート28bのほぼ全域に設けられた第2接点37に対し、個別の各接点である第2接点37a、第2接点37b、及び第2接点37cが露出して生成されるように設けられる。
次に、入力装置300の構成及び動作について説明する。図14(a)に示すように、メンブレンスイッチ9では、一方の面(Z1側の面)に第1接点26が設けられた第1シート28aと一方の面(Z2側の面)に第2接点37が設けられた第2シート28bとが折り畳まれて、第1接点26と第2接点37とが互いにギャップを有しながら対向するように配置されている。
第1静電センサ6及び第2静電センサ7は、それぞれメンブレンスイッチ9の外側(Z2側及びZ1側)に配設されている。第1静電センサ6として、第1シート28aの他方の面(Z2側の面)に第1電極部21が形成されており、第2静電センサ7として、第2シート28bの他方の面(Z2側の面)に第2電極部22が形成されている。
一般的に、静電センサが至近距離で2つ存在し、一方の静電センサを操作しようとした場合、その一方の静電センサに触った指の持つ静電容量が周囲から回り込んで他方の静電センサの静電容量値を変化させることがある。そのため不要なノイズが発生し、他方の静電センサに誤動作が発生することがある。このような静電センサの誤動作を防止するためには、一方の静電センサと他方の静電センサとの間を電磁的にシールドすることが好ましい。そこで、入力装置300では、第1静電センサ6と第2静電センサ7との間にシールド層を設けることとした。
前述したように、そして、図14(a)及び図14(b)に示すように、第2接点37は第2シート28bの内のほぼ全ての領域に亘って設けられている。従って、第1電極部21及び第2電極部22は、第1電極部21の外形及び第2電極部22の外形のどちらもが、図14(a)に示すように、第2接点37の外形内に平面視で収まるように配置されている。また、前述したように、第2接点37は、図8で示した外部の電子機器90のグランドに接続されている。そのため、第1電極部21と第2電極部22とを、第2接点37によってシールドすることができる。また、第1静電センサ6と第2静電センサ7との間のシールド層としてメンブレンスイッチ8の第2接点37を使用することができるため、コストアップが生じない。
このように、入力装置300では、第1電極部21の外形及び第2電極部22の外形のどちらも、電子機器90のグランドに接続されている第2接点37の外形内に平面視で収まるように配置したので、第1電極部21と第2電極部22との間をシールドすることができる。その結果、不要なノイズを減らすことができて誤動作を防ぐことができる。また、第1静電センサ6と第2静電センサ7との間のシールド層としてメンブレンスイッチ8の第2接点37を使用するため、誤動作を防ぐためのコストアップを伴うことがない。
以上説明したように、本発明の入力装置は、メンブレンスイッチの一方の面側及び他方の面側それぞれに静電センサを備え、メンブレンスイッチの2つの接点と2つの静電センサの電極部とを重ねて配置することができる。そのことによって、2つの静電センサそれぞれの外側の面からの押圧動作によりメンブレンスイッチ及び2つの静電センサを同時にオンとすることができる。この構成を用いることによって、メンブレンスイッチ及び2つの静電センサが同時にオンする時以外は入力としないようにすることができ、その結果、誤動作を防止することが可能となる。
以上のように、本発明の実施形態に係る入力装置100乃至入力装置300について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば、入力装置300は入力装置200を基にして構成されているが、入力装置100を基にして構成されても良い。