(第1実施形態)
以下、図1〜図5を参照して、この発明を電子鍵盤楽器に適用した第1実施形態について説明する。
この電子鍵盤楽器は、図1および図2に示すように、楽器ケース1を備えている。この楽器ケース1は、前部側(図2では左側)が低く、後部側(図2では右側)が高い横長のほぼ箱形状に形成されている。
すなわち、この楽器ケース1は、図1および図2に示すように、底板2と、この底板2の前端部(図2では左端部)に起立して設けられた前板3と、底板2の後端部(図2では右端部)に起立して設けられた後板4と、底板2の左右両側部(図2では紙面の表裏面側の両側部)に起立して設けられた一対の側板5と、これら一対の側板5の後側上部および後板4の上部に開閉可能に配置される天板6と、を備えている。
この場合、前板3は、図1および図2に示すように、後板4の高さのほぼ半分程度の高さで形成されている。また、一対の側板5は、その前端部が前板3よりも少し高く形成され、前後方向(図2では左右方向)におけるほぼ中間部から後部側が後板4と同じ高さで形成され、前端部から中間部に向けて後部上がりに傾斜する傾斜部に形成されている。これにより、楽器ケース1は、一対の側板5の各傾斜部に対応する前部側が上方に開放された横長のほぼ箱形状に形成されている。
この楽器ケース1内には、図2に示すように、鍵盤部7が設けられている。この鍵盤部7は、楽器ケース1の底板2上に配置された鍵盤シャーシ8と、この鍵盤シャーシ8上に上下方向に回転可能な状態で並列に配列された複数の鍵9とを備えている。この鍵盤部7は、複数の鍵9が楽器ケース1の前部側から上方に露呈した状態で、押鍵操作されるように構成されている。
また、楽器ケース1内には、図2に示すように、スピーカ10が鍵盤部7の後方に位置した状態で下向きに配置されている。このスピーカ10は、鍵盤部7の各鍵9が押鍵操作された際に、その各鍵9に応じた音高の楽音を発生するように構成されている。この場合、楽器ケース1の底板2には、スピーカ10の音を楽器ケース1の下側に向けて放音する放音孔2aが設けられている。
また、この楽器ケース1内には、図1および図2に示すように、コンソールパネル11が鍵盤部7の後部に位置する上側から天板6の前部の下側に向けて傾斜して設けられている。このコンソールパネル11の上方に位置する一対の側板5間には、上前板12が垂下された状態で設けられている。この上前板12の下部とコンソールパネル11の上部との間には、後述する鍵盤蓋13が挿通するための隙間が設けられている。
さらに、この楽器ケース1内には、図1および図2に示すように、鍵盤部7の上側を覆う鍵盤蓋13が蓋ガイド部14によって開閉可能に設けられている。この鍵盤蓋13は、前蓋15と後蓋16とを有し、この前蓋15と後蓋16とが蝶番17によって折り曲げ可能に連結され、この状態で楽器ケース1内に収納される際に、前蓋15と後蓋16とが蝶番17で折れ曲がるように構成されている。
この場合、前蓋15の前端部には、図2に示すように、一対の側板5の各内面に向けてそれぞれ突出するガイド軸15aが設けられている。また、後蓋16の前端部(図2では上端部)には、一対の側板5の各内面に向けてそれぞれ突出するガイド軸16aが設けられている。この後蓋16の後端部(図2では下端部)には、支持軸16bが取り付けられている。
蓋ガイド部14は、図2に示すように、鍵盤蓋13が鍵盤部7の上側を覆った際に前蓋15と後蓋16とをほぼ平板状に配置し、かつ鍵盤蓋13が鍵盤部7を上側に開放した際に前蓋15と後蓋16とを蝶番17で折り曲げ、この折り曲げられた後蓋16を鍵盤部7の後部とスピーカ10との間に配置させるように構成されている。
すなわち、この蓋ガイド部14は、図2に示すように、ガイドレール部18とガイド部材19とを有している。ガイドレール部18は、一対の側板5の内面に前板3の上側から、コンソールパネル11の上側を経て、天板6の前後方向におけるほぼ中間部の下側に対応する箇所に向けて斜め上方に傾斜して設けられている。このガイドレール部18は、前蓋15のガイド軸15aと後蓋16のガイド軸16aとをそれぞれ前後方向にガイドするように構成されている。
ガイド部材19は、図2に示すように、鍵盤部7の後端部の上部付近に位置する箇所の側板5の内面に設けられた支持軸20と、この支持軸20に回転自在に取り付けられ、かつ後蓋16の支持軸16bが回転可能に取り付けられるアーム部21と、を備えている。これにより、このガイド部材19は、支持軸20を中心にアーム部21が上下方向に回転することにより、後蓋16の支持軸16bを上下方向に半円弧状に沿ってガイドするように構成されている。
一方、楽器ケース1の前後方向における中間部に位置する上部には、図1および図2に示すように、譜面立て部22が設けられている。この譜面立て部22は、天板6が配置される楽器ケース1の前端上部に設けられた譜面台23と、この譜面台23上に起立して取り付けられる譜面板24と、を有している。
譜面台23は、図1および図2に示すように、鍵盤部7の鍵配列方向に長い板であり、その前端部が上前板12の上部に配置され、両側部が一対の側板5の前後方向における中間部の上部、つまり上前板12の両端に位置する一対の側板5上に配置されるように構成されている。この譜面台23には、譜面板24を取り付けるための取付孔23aが後方に傾いて設けられている。
譜面板24は、譜面(図示せず)を立て掛けるための板である。この譜面板24の下部には、図2に示すように、譜面台23の取付孔23aに挿脱可能に挿入する挿入突起部24aが設けられている。これにより、譜面板24は、挿入突起部24aが譜面台23の取付孔23aに斜め上方から挿入することにより、後方に傾いた状態で譜面台23に取り付けられるように構成されている。この場合、譜面板24は、その上端部が譜面台23の後部から楽器ケース1の後方に向けて所定長さSだけ天板6側に突出した状態で配置されるように構成されている。
ところで、天板6は、図1および図2に示すように、天板開閉機構25によって楽器ケース1の後部側の上部に上下方向に回転可能で、かつスライド可能に取り付けられている。すなわち、この天板開閉機構25は、図1および図3に示すように、鍵盤部7の鍵配列方向における天板6の一端部6a(図1では左端部)を、これに対応する楽器ケース1の一端部1aに、その前後方向にスライド可能でかつ上下方向に回転可能に取り付けるスライド回転支持部26を備えている。
このスライド回転支持部26は、図1および図3に示すように、楽器ケース1の一端部1a上、つまり天板6の一端部6aが対応する楽器ケース1における一対の側板5のうち、一方の側板5(図1では左側の側板5)の上端部に、楽器ケース1の前後方向に沿って設けられたガイド軸27と、天板6の一端部6aが取り付けられた状態で、ガイド軸27にスライド可能でかつ回転可能に取り付けられたスライド連結片28と、を備えている。
この場合、ガイド軸27は、図3(a)および図3(b)に示すように、楽器ケース1の前後方向における両端部が取付金具27aによって側板5の上端部に少し浮いた状態で取り付けられている。このガイド軸27は、譜面板24の上端部が譜面台23の後部から天板6側に向けて突出する長さSよりも、少し長い長さL(L>S)で形成されている。
スライド連結片28は、図3(a)および図3(b)に示すように、ガイド軸27に回転可能で、かつスライド可能に取り付けられている。このスライド連結片28は、その一端部がガイド軸27に回転自在に取り付けられた状態で、他端部がガイド軸27に対応する天板6の一端部6aに取り付けられるように構成されている。
これにより、天板6は、図2および図3に示すように、スライド連結片28がガイド軸27に沿って移動することにより、楽器ケース1の前後方向にスライドすると共に、スライド連結片28がガイド軸27を中心に回転することにより、上下方向に回転し、楽器ケース1の上部を開閉するように構成されている。
また、この天板開閉機構25は、図1および図2に示すように、天板6の一端部6aと反対側に位置する天板6の他端部6bを、これに対応する楽器ケース1の他端部1b上に、その前後方向にガイドするガイド機構部30を備えている。このガイド機構部30は、天板6の他端部6bが対応する楽器ケース1の他端部1b上に設けられたガイドフック部31と、天板6の他端部6bに設けられてガイドフック部31がスライド可能に挿入するガイド溝32と、を備えている。
ガイドフック部31は、図4(a)に示すように、楽器ケース1の他端部1bに位置する側板5上に設けられたガイド支持片31aと、このガイド支持片31aの側面、つまり楽器ケース1の内部側に位置するガイド支持片31aの側面に設けられて鍵配列方向に向けて突出するガイド突起31bと、を有している。このガイドフック部31は、天板6のガイド溝32内に挿入された状態で、ガイド溝32内で相対的にスライドすることにより、天板6の他端部6bを楽器ケース1の前後方向にガイドするように構成されている。
ガイド溝32は、図4(a)および図4(b)に示すように、ガイド支持片31aが下側から挿入した状態で楽器ケース1の前後方向に移動する第1溝部32aと、ガイド突起31bが鍵配列方向における側方から挿入して楽器ケース1の前後方向に移動可能で、かつ天板6が楽器ケース1の後方に向けて移動した際にガイド突起31bを天板6の下側に離脱させるための切欠き部32cが設けられた第2溝部32bと、を有している。
この場合、ガイド溝32は、図2および図4(b)に示すように、その長さがスライド回転支持部26のガイド軸27の長さと同じ長さLで、譜面板24の上端部が譜面台23の後部から天板6側に向けて突出する長さSよりも、少し長く(L>S)形成されている。このガイド溝32の第1溝部32aは、下側に開放された状態で形成されていることにより、ガイド支持片31aが下側から挿入した状態で、天板6と共に楽器ケース1の前後方向に移動するように形成されている。
また、このガイド溝32の第2溝部32bは、図4(a)および図4(b)に示すように、断面形状が逆コ字形状の細長い部材であり、第1溝部32aに向けて開放され、この開放された部分からガイド突起31bが挿入した状態で、天板6と共に楽器ケース1の前後方向に移動するように形成されている。この第2溝部32bの前端下部、つまり楽器ケース1の前後方向における第2溝部32bの前端下部(図4(b)では左端部)には、ガイド突起31bが第2溝部32bの内部とその下側外部とに通り抜ける切欠き部32cが設けられている。
これにより、天板6は、図1、図2および図4に示すように、楽器ケース1の上部に配置された状態で、楽器ケース1の前後方向にスライドする際に、ガイドフック部31のガイド支持片31aがガイド溝32の第1溝部32a内を相対的に移動すると共に、ガイドフック部31のガイド突起31bが上下動することなくガイド溝32の第2溝部32b内を相対的に移動することにより、天板6の他端部6bが楽器ケース1の前後方向にガイドされるように構成されている。
すなわち、この天板6は、図2および図4に示すように、楽器ケース1の上部に配置された状態で、楽器ケース1の前側にスライドして譜面立て部22の譜面台23の後端部に当接した際に、楽器ケース1の上部を塞ぐように構成されている。また、この天板6は、楽器ケース1の上部に配置された状態で、楽器ケース1の後方に向けてスライドして譜面立て部22の譜面板24の上端部よりも後方に移動した際に、楽器ケース1の上部を一部開放するように構成されている。
この場合、天板6は、図2および図4に示すように、楽器ケース1の上部に配置された状態で、譜面立て部22の譜面板24の上端部よりも後方に移動して、ガイドフック部31のガイド突起31bがガイド溝32の第2溝部32bの切欠き部32cに対応した際に、ガイド突起31bが第2溝部32b内から切欠き部32cを通して離脱可能な状態になることにより、上方に向けて回転移動可能な状態になるように構成されている。
これにより、天板6は、図1および図2に示すように、楽器ケース1の後方に移動して、ガイドフック部31のガイド突起31bがガイド溝32の第2溝部32bの切欠き部32cに対応した状態で、天板6の一端部6aに位置するスライド回転支持部26のガイド軸27を中心に回転して、楽器ケース1の上方に位置することにより、楽器ケース1の上部を開放するように構成されている。
また、この天板6の下面には、図2に示すように、天板6の後方へのスライド位置を規制するストッパ片33が設けられている。すなわち、このストッパ片33は、楽器ケース1の上部に配置された天板6が楽器ケース1の後方に向けてスライドして、ガイド機構部30のガイドフック部31のガイド突起31bがガイド溝32の第2溝部32bの切欠き部32cに対応した際に、楽器ケース1の他端部1bの内面に当接して、天板6の後方へのスライド位置を規制するように構成されている。
一方、この楽器ケース1には、図1、図2および図5に示すように、天板6を楽器ケース1上に傾けて起立させる天板支持部材35が設けられている。この天板支持部材35は、天板6の他端部6bが対応する楽器ケース1の他端部1b側(図5では右端部側)の内部に設けられた支持軸36と、この支持軸36に回転可能でかつスライド可能に設けられて起立横倒する支持板37と、この支持板37を天板6の開閉動作に連動して起立横倒させる連動部材38とを備えている。
支持軸36は、図1、図2および図5に示すように、楽器ケース1の他端部1b側に位置する後板4と上前板11との間に架け渡されている。支持板37は、一端部37aである下端部と他端部37bである上端部とが同じ幅で形成された縦長の平板状に形成されている。この支持板37は、一端部37aに支持軸36が回転可能に挿入することにより、この支持軸36を中心に上下方向に回転すると共に、支持軸36に沿って楽器ケース1の前後方向にスライドするように構成されている。
また、この支持板37の他端部37bには、図1、図2および図5に示すように、連動部材38によってガイドされる支持突起39が楽器ケース1の前後方向に突出して設けられている。この支持突起39は、図2および図5に示すように、支持板37の他端部37bである上端部に取り付けられたピン部材であり、その両端部が支持板37の両側から楽器ケース1の前後方向に突出するように構成されている。
連動部材38は、図1、図2および図5に示すように、支持突起39の両端部を保持した状態で、天板6の下面に設けられ、天板6の開閉動作に応じて支持突起39の両端部を鍵盤部7の鍵配列方向に沿ってガイドする一対のガイド部38aを有している。このガイド部38aは、帯状板の両端部を上側に向けて折り曲げ、この折り曲げられた各上端部を更に天板6の下面に沿って互いに反対方向に向けて折り曲げた形状に形成されている。
また、これら一対のガイド部38aは、図1、図2および図5に示すように、支持板37の他端部37bにおける前後方向の長さよりも少し広い間隔を置いて、互いに平行な状態で各両端部が天板6の下面に取り付けられている。これにより、一対のガイド部38aは、天板6の下面との間に支持突起39の両端部が移動可能に挿入するガイド部を形成するように構成されている。
また、一対のガイド部38aは、図5に示すように、天板6の開閉動作に応じて徐々に傾きが変化しながら上下方向に変位することにより、支持突起39の両端部を上下方向に移動させながら鍵盤部7の鍵配列方向に沿って移動させるように構成されている。この場合、一対のガイド部38aが対応する天板6の下面には、支持突起39を位置規制する複数の規制突起38bが鍵配列方向に沿って設けられている。
すなわち、これら複数の規制突起38bは、図5に示すように、ガイド部38aとの間を支持突起39が通り抜ける隙間が設けられ、これら複数の規制突起38bのいずれかの下側を支持突起39が通り抜けた状態で、天板6が自重で押し下げられた際に、支持突起39をそれぞれ係止することにより、天板6の開き角度を複数段階(この実施形態では3段階)に調整するように構成されている。
これにより、天板支持部材35は、図5に2点鎖線で示すように、天板6が閉じて楽器ケース1上に配置された際に、連動部材38の一対のガイド部38aが楽器ケース1内に配置されるように構成されている。このため、天板支持部材35は、支持突起39の両端部が楽器ケース1内に配置されると共に、一対のガイド部38aにおける天板6の回転支点側である一端部6a側に最も接近し、支持板37が支持軸36を中心に反時計回りに回転して横倒するように構成されている。
この状態で、天板支持部材35は、図2および図5にそれぞれ2点鎖線で示すように、天板6が楽器ケース1上で前後方向にスライドすると、連動部材38の一対のガイド部38aが天板6と共に楽器ケース1の前後方向に移動し、これに伴って支持板37が支持軸36に沿って楽器ケース1の前後方向にスライドするように構成されている。
また、この天板支持部材35は、図1、図2および図5に示すように、天板6が楽器ケース1上に傾斜して起立する際に、連動部材38の一対のガイド部38aが楽器ケース1の上方に向けて傾きながら変位するように構成されている。このため、天板支持部材35は、支持突起39の両端部が一対のガイド部38aに沿って徐々に上方に移動すると共に、一対のガイド部38aにおける天板6の他端部6b側に向けて移動し、支持板37が支持軸36を中心に時計回りに回転して徐々に起立するように構成されている。
この場合、天板支持部材35は、図1、図2および図5に示すように、支持突起39の両端部が一対のガイド部38aと規制突起38bとの間を通り抜けた際に、天板6が自重で下がると、通り抜けた規制突起38bに支持突起39が位置規制され、これにより支持板37が起立して、天板6を楽器ケース1上に所定角度で傾斜させて起立させるように構成されている。
次に、このような電子鍵盤楽器の作用について説明する。
この電子鍵盤楽器で演奏する際には、予め、楽器ケース1上に設けられた譜面立て部22の譜面台23に譜面板24を立て掛け、この状態で天板6を開く。この場合には、まず、楽器ケース1の上部に配置されている天板6を楽器ケース1の後方に向けてスライドさせる。
このときには、天板開閉機構25のスライド回転支持部26によって天板6の一端部6aが楽器ケース1の後方に向けてガイドされると共に、天板開閉機構25のガイド機構部30によって天板6の他端部6bが楽器ケース1の後方に向けてガイドされる。すなわち、スライド回転支持部26は、天板6の一端部6aに設けられたスライド連結片28が楽器ケース1の一端部1aに設けられたガイド軸27に沿ってスライドすることにより、天板6の一端部6aを楽器ケース1の後方に向けてガイドする。
また、天板開閉機構25のガイド機構部30は、楽器ケース1の他端部1bに設けられたガイドフック部31が天板6の他端部6bに設けられたガイド溝32内で相対的にスライドすることにより、天板6の他端部6bを楽器ケース1の後方に向けてガイドする。この場合、ガイド機構部30は、ガイドフック部31のガイド支持片31aがガイド溝32の第1溝部32a内を相対的に移動すると共に、ガイドフック部31のガイド突起31bが上下動することなくガイド溝32の第2溝部32b内を相対的に移動する。
これにより、譜面立て部22の譜面台23の後方に位置する楽器ケース1の上部の一部が開放される。そして、天板6の下面に設けられたストッパ片33が楽器ケース1の他端部6bの内面に当接すると、天板6の後方への移動が規制され、ガイドフック部31のガイド突起31bがガイド溝32の第2溝部32bの切欠き部32cに対応する。これにより、ガイド突起31bが第2溝部32b内から切欠き部32cを通して、その下側に離脱可能な状態になり、天板6が上方に向けて回転移動可能な状態になる。
この状態で、天板6の一端部6aに位置するガイド軸27を中心に、天板6を回転させて楽器ケース1の上部を開放する。この場合には、天板6の一端部6aと反対側に位置する天板6の他端部6bを天板6の重量に抗して持ち上げれば良い。すると、天板6の支点部であるスライド回転支持部26のガイド軸27を中心に天板6が回転しながら、楽器ケース1の他端部1b上のガイドフック部31が天板6の他端部6bのガイド溝32内から離脱するので、天板6の他端部6bが持ち上げられる。
このときには、譜面立て部22の譜面板24が後方に傾いた状態で譜面台23上に起立し、この譜面板24の上端部が譜面台23の後方に突出していても、この譜面板24が邪魔にならずに、この譜面板24を避けて天板6を上方に回転させることができる。また、このときには、天板支持部材35によって天板6が楽器ケース1の上方に傾いた状態で支持される。
すなわち、天板支持部材35の連動部材38における一対のガイド部38aが天板6と共に楽器ケース1の上方に向けて傾きながら変位する。すると、天板支持部材35の支持板37における支持突起39の両端部が一対のガイド部38aによって徐々に上方に引き上げられると共に、一対のガイド部38aに沿って移動する。
これにより、支持突起39の両端部が連動部材38の一対のガイド部38aにおける天板6の他端部6bに向けて移動する。このため、支持板37が支持軸36を中心に時計回りに回転して徐々に起立する。この場合には、支持突起39の両端部が一対のガイド部38aと規制突起38bとの間を順次通り抜ける。
このように支持突起39の両端部が一対のガイド部38aと規制突起38bとの間を通り抜けた際に、天板6が自重で下がると、通り抜けた規制突起38bに支持突起39が位置規制される。これにより、天板6が楽器ケース1上に所定角度で傾斜した状態で開き、この状態で支持板37によって天板6が楽器ケース1上に支持される。
このように天板6が開いた状態では、鍵盤蓋13を開いて鍵盤部2を開放させる。このときには、鍵盤蓋3の前板15を天板6の下側に移動させ、かつ前蓋15に対して後蓋16を蝶番17で折り曲げて、後蓋16の後端部に位置する支持軸16bをガイド部材19のアーム部21によって引き下げ、後蓋16を鍵盤部7の後部とスピーカ10との間に配置させる。
この状態で、譜面立て部22の譜面板24に譜面(図示せず)を立て掛けて、鍵盤部7を押鍵操作して演奏をすることができる。このときには、演奏に応じた楽音がスピーカ10で発生され、この発生された楽音が楽器ケース1の底板2に設けられた放音孔2aから楽器ケース1の下側に放音される。
また、このときには、天板6が楽器ケース1の上方に開いて楽器ケース1の上部が開放されているので、スピーカ10で発生された楽音が楽器ケース1の上部から上方に放音される。この楽器ケース1の上方に放音された楽音は、天板6で反響されて楽器ケース1の前後方向および楽器ケース1の他端部1b側の側方から放音される。これにより、演奏音が良好に放音される。
一方、天板6を閉じる際には、天板6を一度持ち上げて支持板37の支持突起39の両端部を天板6の下面から離す。すると、支持板37が支持軸36を中心に回転して倒れる方向に傾く。この状態で、天板6を徐々に押し下げると、支持突起39の両端部が一対のガイド部38aに沿って徐々に下方に移動すると共に、一対のガイド部38aにおける天板6の一端部6a側に向けて移動する。これにより、支持板37が支持軸36を中心に反時計回りに回転して横倒し、天板6が楽器ケース1上に配置される。
このときには、天板6が楽器ケース1の後方に突出した状態で配置されるので、天板6を下側に回転させて楽器ケース1上に配置する際に、譜面板24が邪魔にならずに、譜面板24を避けて天板6を下方に回転させることができる。このように、天板6が楽器ケース1上に配置された際には、天板6が楽器ケース1の後方に突出しているので、楽器ケース1の上部が一部開放された状態になる。
このため、天板6を楽器ケース6の前側に向けてスライドさせる。このときにも、天板開閉機構25のスライド回転支持部26によって天板6の一端部6aが楽器ケース1の前方に向けてガイドされると共に、天板開閉機構25のガイド機構部30によって天板6の他端部6bが楽器ケース1の前方に向けてガイドされる。これにより、天板6の前端部が譜面立て部22の譜面台23の後端部に当接することにより、楽器ケース1の上部が天板6によって塞がれる。
このように、この電子鍵盤楽器によれば、鍵盤部7が設けられた楽器ケース1と、この楽器ケース1の上部に配置される天板6と、鍵盤部7の鍵配列方向における天板6の一端部6aが楽器ケース1の上部にその上下方向に回転可能で、かつ楽器ケース1の前後方向にスライド可能に取り付けられ、天板6を楽器ケース1の後方に向けてスライドさせた状態で、天板6の一端部6aを中心に天板6を上下方向に回転させて楽器ケース1の上部を開閉させる天板開閉機構25と、を備えていることにより、放音効率が良く、楽器ケース1の前後方向に演奏音を良好に放音することができる。
すなわち、この電子鍵盤楽器では、天板開閉機構25によって天板6を楽器ケース1の後方にスライドさせることができ、この状態で天板開閉機構25によって鍵盤部7の鍵配列方向における一端部6aを中心に、天板6を回転させて楽器ケース1の上方に傾けて開くことができる。このため、楽器ケース1の上部をその前後方向に開放することができると共に、楽器ケース1の上部を最大限に開放することができるので、放音効率が良く、楽器ケース1の前後方向に演奏音を良好に放音させることができる。
この場合、天板6が配置される楽器ケース1の前側上部には、譜面立て部22が設けられていることにより、鍵盤部7を押鍵操作して演奏する際に、譜面立て部22に譜面(図示せず)を立て掛けることができ、これにより譜面を見ながら良好に演奏することができる。すなわち、譜面立て部22は、天板6が配置される楽器ケース1の前端上部に配置された譜面台23と、この譜面台23上に起立して取り付けられる譜面板24とを有しているので、この譜面板24に譜面を良好に立て掛けることができる。
この場合、譜面立て部22は、譜面台23の取付孔23aに譜面板24の挿入突起部24aを挿入させることにより、譜面台23上に譜面板24を簡単に取り付けることができると共に、譜面台23上に譜面板24を後方に傾けた状態で起立させて取り付けることができ、このため譜面板24に譜面を傾けた状態で良好に立て掛けることができる。
また、譜面板24は、その上端部が譜面台23の後部から天板6側に向けて所定長さSだけ突出した状態で配置されていても、天板開閉機構25によって天板6を楽器ケース1の後方にスライドさせることができるので、譜面板24が邪魔にならず、この譜面板24を避けて、天板6を楽器ケース1の上方に傾けた状態で、良好に開くことができる。
また、この電子鍵盤楽器では、天板開閉機構25が、天板6の一端部6aを、これに対応する楽器ケース1の一端部1aに、その前後方向にスライド可能で、かつ上下方向に回転可能に取り付けるスライド回転支持部26を備えていることにより、天板6の一端部6aが回転支点であっても、スライド回転支持部26によって天板6の一端部6aを楽器ケース1に対して回転可能な状態で、楽器ケース1の前後方向に確実にかつ良好にスライドさせることができる。
すなわち、このスライド回転支持部26は、天板6の一端部6aが対応する楽器ケース1の一端部1aにその前後方向に沿って設けられたガイド軸27と、天板6の一端部6aが取り付けられた状態で、ガイド軸27にスライド可能でかつ回転可能に取り付けられたスライド連結片28と、を備えていることにより、天板6を楽器ケース1の前後方向にスライドさせる際に、スライド連結片28によって天板6の一端部6aをガイド軸27に沿って円滑にスライドさせることができ、また天板6を上下方向に回転させる際に、スライド連結片28によってガイド軸27を中心に天板6を良好に回転させることができる。
また、この電子鍵盤楽器では、天板開閉機構25が、天板6の一端部6aと反対側に位置する天板の他端部6bを、これに対応する楽器ケース1の他端部1bに、その前後方向にガイドするガイド機構部30を備えていることにより、天板6を楽器ケース1の前後方向にスライドさせる際に、ガイド機構部30によって天板6の他端部6bを円滑にかつ良好にガイドすることができる。
すなわち、ガイド機構部30は、楽器ケース1の他端部1b上に設けられたガイドフック部31と、天板6の他端部6bに設けられてガイドフック部31がスライド可能に挿入するガイド溝32と、を備えていることにより、天板6を楽器ケース1の前後方向にスライドさせる際に、ガイドフック部31をガイド溝32内で相対的にスライドさせることができ、これにより天板6の他端部6bを円滑にかつ良好にガイドしながらスライドさせることができる。
この場合、ガイド溝32は、天板6の他端部6bに設けられ、ガイドフック部31を相対的に楽器ケース1の前後方向にガイドし、かつ天板6が楽器ケース1の後方に移動した際にガイドフック部31を離脱可能にする切欠き部32aが設けられた構成であるから、天板6の他端部6bを楽器ケース1の前後方向にガイドすることができると共に、ガイドフック部31を切欠き部32aに対応させてガイド溝32内から離脱させることができる。
すなわち、このガイド溝32は、ガイドフック部31を切欠き部32aに対応させた状態で、天板6の他端部6bを引き上げると、切欠き部32aを通してガイドフック部31をガイド溝32内から離脱させることができるので、天板6を楽器ケース1の上方に向けて確実にかつ良好に回転させることができる。
また、このガイド溝32は、ガイドフック部31のガイド支持片31aが楽器ケース1の前後方向に相対的に移動する第1溝部32aと、ガイド突起31bが楽器ケース1の前後方向に相対的に移動する第2溝部32bと、を有しているので、この第2溝部32b内にガイド突起31bを挿入させることができ、これにより天板6が楽器ケース1の上部にこれを塞いで配置された際に、天板6が不用意に回転して開かないように、ロックすることができる。
さらに、この電子鍵盤楽器では、天板6が開放された際に天板6を支持する天板支持部材35を備えていることにより、天板6を楽器ケース1の後方にスライドさせた状態で、天板6を上方に回転させて楽器ケース1の上方に傾けた際に、この傾いた天板6を天板支持部材35によって確実にかつ安全に支持することができる。
この場合、天板支持部材35は、天板6の他端部6bが対応する楽器ケース1の他端部1b側の内部に設けられた支持軸36と、この支持軸36に回転可能でかつスライド可能に設けられて起立横倒する支持板37と、この支持板37を天板6の開閉動作に連動して起立横倒させる連動部材38とを備えていることにより、天板6を楽器ケース1の後方にスライドさせて上方に回転させる際に、この天板6に連動して支持板37をスライドさせた後に起立させることができる。
すなわち、この天板支持部材35は、天板6を楽器ケース1の後方に向けてスライドさせる際に、天板6と共に連動部材38を楽器ケース1の後方に向けてスライドさせることができると共に、この連動部材38のスライドに伴って支持板37を支持軸36に沿って自動的にスライドさせることができる。また、天板6が上方に向けて回転して楽器ケース1の上部を開放する際には、連動部材38によって支持軸36を中心に支持板37を回転させて自動的に起立させることができる。
この場合、天板支持部材35は、鍵配列方向に沿って設けられて、支持板37の支持突起39を位置規制する複数の規制突起38bを備えていることにより、天板6が上方に向けて回転して、支持板37が支持軸36を中心に回転して起立する際に、支持板37の支持突起39を複数の規制突起38bのいずれかで位置規制することができ、これにより天板6の開き角度を複数段階に調整することができる。
(第2実施形態)
次に、図6を参照して、この発明を電子鍵盤楽器に適用した第2実施形態について説明する。なお、図1〜図5に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子鍵盤楽器は、図6に示すように、天板40の形状および譜面立て部41の形状が第1実施形態の天板6と異なる構成であり、これ以外は第1実施形態と同じ構成になっている。
すなわち、譜面立て部41は、図6に示すように、楽器ケース1の前後方向における中間部に位置する上部に設けられている。この譜面立て部41は、第1実施形態と同様、天板40が配置される楽器ケース1の前端上部における鍵盤部7の鍵配列方向における中間部に配置された譜面台42と、この譜面台42上に起立して取り付けられる譜面板24と、を有している。
譜面台42は、図6に示すように、鍵盤部7の鍵配列方向に長い板であり、その長さが鍵配列方向の鍵盤部7の長さのほぼ半分の長さで形成されている。これにより、譜面台42は、その前端部が上前板12の上部における中間部に配置されて、上前板12から後方に向けて突出した状態で、上前板12の上部に取り付けられるように構成されている。この譜面台42には、第1実施形態と同様、譜面板24を取り付けるための取付孔(図示せず)が後方に傾いて設けられている。
この場合、譜面台42は、図6に示すように、上前板12から後方に向けて突出した状態で、上前板12の上部のみに取り付けられた構成であっても良い。また、これに限らず、譜面台42は、上前板12から後方に向けて突出した部分の下面に補強板(図示せず)を設け、この補強板を上前板12の後面に取り付けることにより、上前板12に強固に取り付けられるように構成されていても良い。
譜面板24は、第1実施形態と同様、譜面(図示せず)を立て掛けるための板である。この譜面板24の下部には、譜面台42の取付孔(図示せず)に挿脱可能に挿入する挿入突起部24a(図2参照)が設けられている。これにより、譜面板24は、挿入突起部24aが譜面台42の取付孔に斜め上方から挿入することにより、後方に傾いた状態で譜面台42に取り付けられるように構成されている。この場合にも、譜面板24は、その上端部が譜面台42の後部から天板40側に向けて所定長さSだけ突出した状態で配置されるように構成されている。
一方、天板41は、図6に示すように、楽器ケース1の上部、つまり楽器ケース1の前後方向における中間部から後端部に位置する楽器ケース1の上部とほぼ同じ大きさの平板状に形成されている。この場合、天板40の前端部における鍵配列方向の中間部には、譜面台42とほぼ同じ大きさの切欠き部43が設けられている。
これにより、天板40は、図6に実線で示すように、楽器ケース1の上部にこれを塞いで配置された際に、切欠き部43内に譜面台42が配置されることにより、切欠き部43の両側に位置する天板40の前端部が上前板12上に配置された状態で、楽器ケース1の上部を塞ぐように構成されている。
また、この天板40は、図6に2点鎖線で示すように、楽器ケース1の後方にスライドして、切欠き部43内の前端部が譜面台42上に起立した譜面板24の上端部よりも後方に長さSだけ移動した際に、切欠き部43内から譜面台42が抜け出すことにより、楽器ケース1の上部における一部を開放するように構成されている。
また、この天板40は、図6に2点鎖線で示すように、切欠き部43内から譜面台42が抜け出した状態で、天板40の一端部40aに設けられたスライド回転支持部26によって、天板40の一端部40aを中心に上方に向けて回転する際に、譜面板24が邪魔にならず、この譜面板24を避けて、楽器ケース1の上方に傾いて配置されるように構成されている。
この場合にも、天板40は、第1実施形態と同様、その一端部40aが楽器ケース1の一端部1aにスライド回転支持部26によって楽器ケース1の前後方向にスライド可能で、かつ上下方向に回転可能な状態で取り付けられるように構成されている。また、この天板40は、その他端部40bが楽器ケース1の他端部1bにスライド機構部30によって楽器ケース1の前後方向にスライド可能で、かつ上方に向けて回転移動可能に取り付けられるように構成されている。
このような第2実施形態の電子鍵盤楽器によれば、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、天板40に譜面立て部22の譜面台42に対応する切欠き部43が設けられていることにより、この切欠き部43内に譜面台42を配置することができる。このため、天板40を楽器ケース1の上部とほぼ同じ大きさの平板状に形成することができると共に、切欠き部43の両側に位置する天板40の前端部を上前板12上に配置させた状態で、楽器ケース1の上部を天板40で確実にかつ良好に塞ぐことができる。
これにより、この電子鍵盤楽器では、天板40を楽器ケース1の後方に向けてスライドさせて、天板40の一端部40aを中心に天板40を上方に回転させて楽器ケース1の上部を開放した際に、楽器ケース1の上部の開放面積を第1実施形態よりも広くすることができる。このため、この電子鍵盤楽器では、第1実施形態よりも、開放面積を広くすることができるので、より一層、放音効率を向上させることができ、楽器ケース1の前後方向に演奏音を良好に放音することができる。
なお、上述した第1、第2の各実施形態では、ガイド機構部30のガイドフック部31を楽器ケース1の他端部1bに設け、ガイド溝32を天板6、40の他端部6b、40bに設けた場合について述べたが、これに限らず、例えばガイド機構部30のガイドフック部31を天板6、40の他端部6b、40bに設け、ガイド溝32を楽器ケース1の他端部1bに設けた構成であっても良い。また、天板6、40は電気的に開閉させても良い。
また、上述した第1、第2の各実施形態では、ガイド機構部30のガイド溝32がガイドフック部31のガイド支持片31aが移動可能に挿入する第1溝部32aと、ガイド突起31bが移動可能に挿入する第2溝部32bと、を有している場合について述べたが、これに限らず、ガイド溝32はガイドフック部31が下側から挿入して楽器ケース1の前後方向に相対的に移動するだけの形状に形成されていても良い。この場合には、ガイドフック部31がガイド突起31bを備えている必要がないため、ガイド機構部30の構造が簡単になり、低コスト化を図ることができる。
また、上述した第1、第2の各実施形態では、天板支持部材35の支持軸36を楽器ケース1に設け、天板支持部材35の連動部材38である一対のガイド部38aを天板6、40の下面に設けた場合について述べたが、これに限らず、例えば、天板支持部材35の支持軸36を天板6、40の下面に設け、天板支持部材35の連動部材38である一対のガイド部38aを楽器ケース1に設けた構成であっても良い。
さらに、上述した第1、第2の各実施形態では、スピーカ10を楽器ケース1内に下向きに設けた場合について述べたが、これに限らず、例えばスピーカ10を楽器ケース1内に上向きに設けても良く、またスピーカ10を楽器ケース1内に前向きに設けても良い。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、鍵盤部が設けられた楽器ケースと、前記楽器ケースの上部に配置される天板と、前記鍵盤部の鍵配列方向における前記天板の一端部が前記楽器ケースの上部にその上下方向に回転可能である天板開閉機構と、前記天板が配置される前記楽器ケースの前端上部に、譜面板を後方に傾いた状態で取り付け可能な譜面台と、を備え、前記天板開閉機構は、前記天板を前記楽器ケースの前後方向にスライド可能に取り付け、少なくとも前記譜面板の上端部が前記譜面台から前記天板側に突出した距離以上前記天板を前記楽器ケースの後方に向けてスライドさせた状態で、前記天板の前記一端部を中心に前記天板を上方向に回転させて前記楽器ケースの上部を開状態に可能とすることを特徴とする鍵盤楽器である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鍵盤楽器において、前記天板開閉機構は、前記天板の前記一端部を、これに対応する前記楽器ケースの一端部に、当該楽器ケースの前後方向にスライド可能で、かつ上下方向に回転可能に取り付けるスライド回転支持部を備えていることを特徴とする鍵盤楽器である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の鍵盤楽器において、前記天板開閉機構は更に、前記天板の前記一端部と反対側に位置する前記天板の他端部を、これに対応する前記楽器ケースの他端部に、当該楽器ケースの前後方向にガイドするガイド機構部を備えていることを特徴とする鍵盤楽器である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の鍵盤楽器において、前記ガイド機構部は、前記天板の前記他端部とこれに対応する前記楽器ケースの前記他端部との一方に設けられたガイドフック部と、前記天板の前記他端部とこれに対応する前記楽器ケースの前記他端部との他方に設けられ、前記ガイドフック部を前記楽器ケースの前後方向に相対的にガイドし、かつ前記天板が前記楽器ケースの後方に移動した際に前記ガイドフック部を離脱可能にする切欠き部が設けられたガイド溝と、を有していることを特徴とする鍵盤楽器である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の鍵盤楽器において、前記天板には、前記譜面立て部が配置される切欠き部が、前記譜面立て部に対応して設けられていることを特徴とする鍵盤楽器である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の鍵盤楽器において、前記天板が開放された際に前記天板を支持する支持部材を備えていることを特徴とする鍵盤楽器である。