JP6229456B2 - 振動片、振動子、発振器、電子機器及び移動体 - Google Patents
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上記振動片は、生産性に優れ、振動部と周辺部との段差(メサ部の堀量)を大きくしても、CI値の劣化を生じさせないとされている。
これにより、上記振動片は、厚みすべり振動の振動エネルギーの閉じ込めが不十分となる虞がある。
このことから、上記振動片は、厚みすべり振動の振動エネルギーの外部への漏洩により、CI値が増加(劣化)し、振動特性が劣化する虞がある。
この結果、振動片は、従来(例えば、特許文献1の構成)より短い凸部、及び第2段差部によって、屈曲振動成分を抑制しつつ、周辺部における厚みすべり振動を減衰させ、厚みすべり振動の振動エネルギーの閉じ込めを効率よく行うことができる。
これにより、振動片は、CI値が低下し(良好となり)、振動特性を向上させることができる。
この結果、振動片は、生産性を向上させることができる。
最初に、振動片の一例としての水晶振動片について説明する。
図1は、第1実施形態の水晶振動片の概略構成を示す模式斜視図である。図2は、図1の水晶振動片の模式平断面図であり、図2(a)は、Y’軸方向から見た平面図、図2(b)は、図2(a)のA−A線での断面図である。なお、分かり易くするために、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。
水晶基板10は、厚みすべり振動する略矩形状の振動部13と、平面視で(Y’軸方向から見て)振動部13を囲み、振動部13より厚み寸法(Y’軸方向の寸法)が薄い周辺部14と、を含んでいる。
振動部13は、周辺部14の+Y’側及び−Y’側の両方に突出している。
水晶基板10は、第1方向としてのX軸方向において、周辺部14と振動部13との間に1つの段差が設けられた第1段差部17を有し、X軸方向と交差(ここでは直交)する第2方向としてのZ’軸方向において、周辺部14と振動部13との間に2つの段差が設けられた第2段差部を有している。
第1段差部17及び第2段差部18は、振動部13(周辺部14)の+Y’側及び−Y’側の両方に設けられている。
ここで、凸部19のZ’軸方向に沿った長さは、振動部13のZ’軸方向に沿った長さより短く、かつX軸方向からみて振動部13の幅の範囲内(振動部13が形成されている範囲内)にある。(詳細後述)。
マウント電極16aは、振動部13の主面12を覆い、且つ周辺部14の主面12aの一部を覆うように設けられた励振電極16から、X軸方向に沿って周辺部14の−X側の端部に引き出され、端部の側面に沿って周辺部14の主面11aに回り込み、励振電極15の近傍まで延在している。
励振電極15,16及びマウント電極15a,16aは、例えば、Cr(クロム)を下地層とし、その上にAu(金)が積層された構成の金属被膜となっている。
Mx=(v+1/2)×λ±0.1λ(但し、vは正の整数)、
Nx=λ/2×p±0.1λ(但し、pは正の整数)、
Ex=(w+1/2)×λ±0.1λ(但し、wは正の整数)、
Dx=λ/2×m±0.1λ(但し、mは正の整数)、
Sx=λ/2×n±0.1λ(但し、nは正の整数)、
の関係を満たしていることが好ましい。なお、ここで寸法のバラツキである±0.1λは、この程度の製造バラツキ範囲であれば、水晶振動片1の特性への影響は小さいことを示している。
具体的には、上記各壁面(例えば、壁面19aなど)及び端面は、図3の2点鎖線で示した想定される屈曲振動の波形Bの頂点(最大振幅点)Pを通りY’軸と平行な仮想直線Cと、略一致するように設けられることが可能となる。
ここで、屈曲振動の波長λは、水晶振動片1の共振周波数fから、例えば、λ/2=(1.332/f)−0.0024、などの数式によって求めることができる。
なお、図3では説明の便宜上、ハッチングを省略してある。
10≦Lx/t≦40、
の関係を満たしていることが好ましい。
0<Dz/Mz≦0.7、
の関係を満たしていることが好ましい。
0<Dy/My≦1、
の関係を満たしていることが好ましい。
なお、上記の各数式は、発明者らの実験及びシミュレーション解析などにより得られた知見に基づいている。
この結果、水晶振動片1は、従来(例えば、特許文献1の構成)より短い凸部19、及び第2段差部18によって、屈曲振動成分を抑制しつつ、周辺部14における厚みすべり振動を減衰させ、厚みすべり振動の振動エネルギーの閉じ込めを効率よく行うことができる。
これにより、水晶振動片1は、CI値が低下し(良好となり)、振動特性を向上させることができる。
この結果、水晶振動片1は、屈曲振動成分をより抑制しつつ、周辺部14における厚みすべり振動をより減衰させ、厚みすべり振動の振動エネルギーの閉じ込めをより効率よく行うことができる。
ここで、上記について図を用いて詳述する。
図4は、凸部のZ’軸方向に沿った長さDzと、振動部のZ’軸方向に沿った長さMzとの比(Dz/Mz)と、CI値との関係を示すグラフである。図4の横軸はDz/Mzを表し、縦軸はCI値(Ω)を表す。
なお、図4は、発明者らによる本実施形態のサンプル品(水晶基板10のLxが約1.0mm、Z’軸方向に沿った長さが約0.6mm、共振周波数が約26MHz)を用いた実験結果をグラフ化したものである。
さらに、水晶振動片1は、0.2≦Dz/Mz≦0.5、の関係を満たすことにより、CI値がより低い60Ω以下に抑制されていることが分かる。加えて、水晶振動片1は、0.3≦Dz/Mz≦0.4、の関係を満たすことにより、CI値が最も抑制されていることが分かる。
図4から、水晶振動片1は、0<Dz/Mz≦0.7、の関係を満たすことによって、屈曲振動成分を更に抑制しつつ、周辺部14における厚みすべり振動を更に減衰させ、厚みすべり振動の振動エネルギーの閉じ込めを更に効率よく行えることが裏付けられたといえる。
この結果、水晶振動片1は、生産性を向上させることができる。
また、水晶振動片1は、第2段差部18の段差を1つとしてもよい。これによれば、水晶振動片1は、段差を形成するための加工回数が減ることにより、第2段差部18の形状を精度よく形成することができる。なお、この場合には、Nxは0となる。
また、水晶振動片1は、励振電極15,16が振動部13の主面11,12の範囲内に設けられていてもよい。これによれば、水晶振動片1は、励振電極15,16が第1段差部17及び第2段差部18に跨らないことから、励振電極15,16を均一に形成することができる。なお、励振電極15,16は、駆動効率の観点からいえば面積が大きい方が好ましい。
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
図5は、第1実施形態の変形例の水晶振動片の概略構成を示す模式要部断面図である。なお、図5では説明の便宜上、電極類、ハッチングを省略してある。また、第1実施形態との共通部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
ここで、上記各傾斜面(壁面)は、水晶基板10に生じるスプリアス(不要振動)である屈曲振動の最大振幅となる領域を含んでいる。具体的には、各傾斜面(例えば、壁面19aなど)は、図5の2点鎖線で示した想定される屈曲振動の波形Bの頂点(最大振幅点)Pを通りY’軸と平行な仮想直線Cと、交差するように設けられている。
この結果、水晶振動片2は、CI値が低下し、振動特性を向上させることができる。
なお、水晶振動片2において、Mx、Nx、Sx及びDxの起点及び終点は、各傾斜面上にあるものとする。
次に、上述した振動片と、振動片が収容されている容器と、を備えている振動子の一例としての水晶振動子について説明する。
パッケージ20は、平面形状が略矩形で凹部22が設けられたパッケージベース21と、パッケージベース21の凹部22を覆う平板状のリッド23と、を備え、略直方体形状に形成されている。
リッド23には、パッケージベース21と同材料、または、コバール、42アロイなどの金属が用いられている。
水晶振動片1は、マウント電極15a,16aが、金属フィラーなどの導電性物質が混合された、エポキシ系、シリコーン系、ポリイミド系などの導電性接着剤30を介して内部端子24a,24bに接合されている。
電極端子26a,26bは、図示しない内部配線により内部端子24a,24bと電気的に接続されている。詳述すると、電極端子26aは、内部端子24aと電気的に接続され、電極端子26bは、内部端子24bと電気的に接続されている。
なお、内部端子24a,24b、電極端子26a,26bは、例えば、W(タングステン)、Mo(モリブデン)などのメタライズ層にNi(ニッケル)、Au(金)などの各被膜をメッキなどにより積層した金属被膜からなる。
なお、パッケージベース21の気密に封止された凹部22内は、減圧された真空状態(真空度の高い状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態となっている。
なお、水晶振動子5は、水晶振動片1に代えて、変形例の水晶振動片2を用いても、上記と同様の効果、及び変形例の水晶振動片2特有の効果が奏された水晶振動子を提供することができる。
なお、水晶振動子5は、マウント電極15a,16aと内部端子24a,24bとの電気的接続が、導電性接着剤30に代えて、金属ワイヤーを用いたワイヤーボンディングや、バンプによって行われてもよい。
次に、上述した振動片と、振動片を駆動する回路と、を備えている発振器の一例としての水晶発振器について説明する。
ICチップ40は、図示しない接続パッドが、Au(金)、Al(アルミニウム)などの金属ワイヤー41により、凹部22の底面22bに設けられている内部接続端子22cと電気的に接続されている。
なお、ICチップ40の接続パッドと内部接続端子22cとの接続には、金属ワイヤー41を用いたワイヤーボンディングによる接続方法以外に、ICチップ40を反転させてのフリップチップ実装による接続方法などを用いてもよい。
そして、水晶発振器6は、この発振に伴って生じる発振信号をICチップ40、電極端子26a,26d(26c,26b)などを経由して外部に出力する。
なお、水晶発振器6は、水晶振動片1に代えて、変形例の水晶振動片2を用いても、上記と同様の効果、及び変形例の水晶振動片2特有の効果が奏された水晶発振器を提供することができる。
なお、水晶発振器6は、ICチップ40をパッケージ20に内蔵ではなく、外付けした構成のモジュール構造(例えば、1つの基板上に水晶振動子5及びICチップ40が個別に搭載されている構造)としてもよい。
次に、上述した振動片を備えている電子機器として、携帯電話機を一例に挙げて説明する。
図8は、第4実施形態の携帯電話機を示す模式斜視図である。
携帯電話機700は、上記第1実施形態の水晶振動片1または変形例の水晶振動片2を備えている携帯電話機である。
図8に示す携帯電話機700は、上述した水晶振動片(1または2)を、例えば、基準クロック発振源などのタイミングデバイスとして用い、更に液晶表示装置701、複数の操作ボタン702、受話口703、及び送話口704を備えて構成されている。
これによれば、携帯電話機700は、水晶振動片(1または2)を備えていることから、上記第1実施形態及び変形例で説明した効果が奏され、優れた性能を発揮することができる。
なお、携帯電話機700の形態は、図示のタイプに限定されるものではなく、いわゆるスマートフォンタイプでもよい。
次に、上述した振動片を備えている移動体として、自動車を一例に挙げて説明する。
図9は、第5実施形態の自動車を示す模式斜視図である。
自動車800は、上記第1実施形態の水晶振動片1または変形例の水晶振動片2を備えている自動車である。
自動車800は、上述した水晶振動片(1または2)を、例えば、搭載されている各種電子制御式装置(例えば、電子制御式燃料噴射装置、電子制御式ABS装置、電子制御式一定速度走行装置など)の基準クロックを発生するタイミングデバイスとして用いている。
これによれば、自動車800は、水晶振動片(1または2)を備えていることから、上記第1実施形態及び変形例で説明した効果が奏され、優れた性能を発揮することができる。
Claims (13)
- 水晶の結晶軸である、X軸、Y軸、及びZ軸のうち、X軸を回転軸として、Z軸の+側をY軸の−方向へ回転させた軸をZ’軸とし、Y軸の+側をZ軸の+方向へ回転させた軸をY’軸とし、X軸及びZ’軸に平行な面を主面とし、Y’軸に沿った方向を厚さの方向とする水晶基板を備え、
前記水晶基板は、
厚みすべり振動する振動部と、
前記振動部より厚さが薄い周辺部と、
を含み、
前記周辺部は、
前記振動部の前記X軸方向の一方側に配置されている第1領域と、
前記振動部の前記X軸方向の他方側に配置されている第2領域と、
を含み、
前記第1領域及び前記第2領域の少なくともいずれか一方に、前記周辺部よりも前記Y’軸方向に突出しており、前記Z’軸方向に沿った長さが、前記振動部の前記Z’軸方向に沿った長さより短く、且つ、前記X軸方向からみて前記振動部の前記Z’軸方向に沿った幅の範囲内にある凸部を有していることを特徴とする振動片。 - 請求項1に記載の振動片において、
前記振動部と前記凸部との間に、段差部を備えていることを特徴とする振動片。 - 請求項2に記載の振動片において、
前記段差部は、前記周辺部からの前記Y’軸方向の高さが前記凸部と同じであることを特徴とする振動片。 - 請求項2または3に記載の振動片において、
前記段差部は、前記振動部よりも厚さが薄いことを特徴とする振動片。 - 請求項2乃至4のいずれか一項に記載の振動片において、
少なくとも前記振動部に設けられている励振電極を備え、
前記振動部の前記X軸方向に沿った長さをMx、前記段差部の前記X軸方向に沿った長さをNx、前記励振電極の前記X軸方向に沿った長さをEx、前記凸部の前記X軸方向に沿った長さをDx、前記段差部と前記凸部との前記X軸方向に沿った間隔をSx、前記水晶基板に生じる屈曲振動の波長をλとしたときに、
Mx=(v+1/2)×λ±0.1λ(但し、vは正の整数)、
Nx=λ/2×p±0.1λ(但し、pは正の整数)、
Ex=(w+1/2)×λ±0.1λ(但し、wは正の整数)、
Dx=λ/2×m±0.1λ(但し、mは正の整数)、
Sx=λ/2×n±0.1λ(但し、nは正の整数)、
の関係を満たすことを特徴とする振動片。 - 請求項5に記載の振動片において、
前記水晶基板の前記X軸方向に沿った長さをLx、前記振動部の厚さをtとしたときに、
10≦Lx/t≦40、
の関係を満たすことを特徴とする振動片。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の振動片において、
前記凸部の前記Z’軸方向に沿った長さをDz、前記振動部の前記Z’軸方向に沿った長さをMzとしたときに、
0<Dz/Mz≦0.7、
の関係を満たすことを特徴とする振動片。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の振動片において、
前記凸部の前記周辺部からの前記Y’軸方向の高さをDy、前記振動部の前記周辺部からの前記Y’軸方向の高さをMyと
したときに、
0<Dy/My≦1、
の関係を満たすことを特徴とする振動片。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の振動片において、
前記段差部の主面と前記周辺部の主面とを繋いでおり前記Z’軸方向に沿って延びている第1壁面、及び前記凸部の主面と前記周辺部の主面とを繋いでおり前記Z’軸方向に沿って延びている第2面、が傾斜面であり、
前記傾斜面は、前記水晶基板に生じる屈曲振動の最大振幅となる領域を含んでいることを特徴とする振動片。 - 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片が収容されている容器と、を備えていることを特徴とする振動子。 - 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を駆動する回路と、を備えていることを特徴とする発振器。 - 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の振動片を備えていることを特徴とする電子機器。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の振動片を備えていることを特徴とする移動体。
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