JP6225666B2 - 光書込装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光書込装置およびこれを備える画像形成装置に関する。
プリンターなどの画像形成装置には、微小の発光素子をライン状に並べて各発光素子から発せられる光ビームを感光体に照射する光書込部を用いるものがある。
特許文献1には、光書込部として、発光素子である有機EL素子が基板上に主走査方向に多数配列されたラインヘッドが開示されている。
ラインヘッドは、複数個の有機EL素子のそれぞれを、アノード側を電源側の電源線Aに接続し、カソード側を接地側の電源線Bに接続してなる並列回路が基板上に配置される構成になっている。また、基板と間隔を空けて防湿板が配されており、この防湿板上には、電源側の補助電源線Cと接地側の補助電源線Dが別途、配線されている。
基板上の電源線Aと防湿板上の補助電源線Cとが複数箇所で電気的に接続され、基板上の電源線Bと防湿板上の補助電源線Dとが複数箇所で電気的に接続されることにより、各有機EL素子に対する給電点の数を増加させた回路構成になっている。
この給電点の数を増加させる構成により、給電点の数が少ない構成に比べて、1つの給電点から各有機EL素子までの電源線の配線距離を短くすることができ、それだけ配線抵抗による電位降下が少なくて済み、電位降下に起因する各有機EL素子への供給電流の差が小さくなって、発光量のばらつきを抑制することが可能になる。
特開2005−144686号公報
特許文献1の構成では、給電点の数を多くとるために、基板上の2本の電源線とは別に防湿板にも2本の補助電源線を配置し、かつ電源線と補助電源線とを電気的に接続する機構が別途必要になる。
また、給電点の数を多くとればとるほど配線距離による電位降下に起因する発光量のばらつきを抑制できることになるが、給電点の数を多くとるということは、それだけ基板上の電源線と、基板とは別体の防湿板上の補助電源線とを電気的に接続する箇所が増えてその機構が複雑になり、ラインヘッドの高コスト化を招くという問題が生じる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、給電点の数を多くとらなくてもコストを抑制しつつ、電位降下に起因する各発光素子の発光量のばらつきを抑制可能な光書込装置およびこれを備える画像形成装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る光書込装置は、共通電源から延伸された電源線に対して、複数の発光素子のそれぞれが駆動ドライバーを介して並列に接続されてなる光書込装置であって、前記各発光素子を前記電源線から切断するための遮断手段と、前記複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられる保持素子と、前記各発光素子への電源供給が遮断されているときに、前記各発光素子に対応するそれぞれの保持素子に、発光すべき発光量に相当する電圧と前記共通電源の電圧との差の電圧を指標する指標値を書き込む書込手段と、を備え、前記各駆動ドライバーは、前記遮断手段による電源供給の遮断が解除されたときに、前記電源線から供給される電流を、前記発光素子に対応する保持素子に保持されている指標値が示す電圧に応じて制御して当該発光素子に供給し、前記書込手段は、前記複数の保持素子のそれぞれに対して前記指標値を順番に書き込み、前記遮断手段は、最初に前記指標値が書き込まれる保持素子に対する当該書き込み開始から、最後に前記指標値が書き込まれる保持素子に対する当該書き込み終了までの書き込み期間に亘って前記電源供給の遮断を実行することを特徴とする。
本発明の別の局面に係る光書込装置は、共通電源から延伸された電源線に対して、複数の発光素子のそれぞれが駆動ドライバーを介して並列に接続されてなる光書込装置であって、前記各発光素子を前記電源線から切断するための遮断手段と、前記複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられる保持素子と、前記各発光素子への電源供給が遮断されているときに、前記各発光素子に対応するそれぞれの保持素子に、発光すべき発光量に相当する電圧と前記共通電源の電圧との差の電圧を指標する指標値を書き込む書込手段と、を備え、前記各駆動ドライバーは、前記遮断手段による電源供給の遮断が解除されたときに、前記電源線から供給される電流を、前記発光素子に対応する保持素子に保持されている指標値が示す電圧に応じて制御して当該発光素子に供給し、前記書込手段は、前記複数の保持素子のそれぞれに対して前記指標値を順番に書き込み、前記遮断手段は、前記発光素子の個数がN個であり、N個の発光素子に対応するN個の保持素子のそれぞれに、その書き込み順に番号を付したとき、1番目からN番目までのうち、Q(但し、1<Q<N)番目以降の保持素子に対応する全ての発光素子が非発光の場合には、1番目に前記指標値が書き込まれる保持素子に対する当該書き込み開始から(Q−1)番目に前記指標値が書き込まれる保持素子に対する当該書き込み終了までの書き込み期間に亘って前記電源供給の遮断を実行することを特徴とする。
また、前記遮断手段は、前記書き込み期間が終了すると、前記複数の発光素子に対して同時に前記遮断を解除するとしても良い。
さらに、前記遮断手段は、前記複数の発光素子が前記電源線に対して並列接続されている回路における各列にそれぞれ設けられ、当該列に流れる電流の経路を開閉するスイッチであるとしても良い。
ここで、前記スイッチは、前記発光素子と前記駆動ドライバーとの間に設けられているとしても良い。
また、前記駆動ドライバーは、P型またはN型の電界効果トランジスタであり、前記保持素子は、コンデンサであり、当該コンデンサの一方端が前記電界効果トランジスタのゲートに接続され、当該コンデンサの他方端が前記電界効果トランジスタのソースに接続されているとしても良い。
さらに、前記発光素子は、有機LEDであり、前記駆動ドライバーと前記保持素子とが薄膜トランジスタにより形成されているとしても良い。
本発明に係る画像形成装置は、光書込部からの光ビームにより像担持体に画像を書き込む画像形成装置であって、前記光書込部として、上記の光書込装置を備えることを特徴とする。
上記の構成をとれば、複数の発光素子のそれぞれについて、当該発光素子に対応する保持素子に書き込まれる指標値を決めるための基準となる電圧を共通電源の電圧とすることができるので、従来のような補助電源線を別途配線して給電点の数を増加させる構成をとらなくても、電源線の電位降下による発光量のばらつきを抑制することができる。
実施の形態1における画像形成装置の構成を示す図である。 露光部に含まれるプリントヘッドの概略構成を示す図である。 プリントヘッド内のOLEDパネルの概略平面図および断面図である。 OLEDパネル内のTFT基板に設けられるOLEDと駆動回路とS/H回路などの関係を模式的に示す図である。 実施例の回路構成においてチャージ期間の様子を示す図である。 実施例の回路構成において発光期間の様子を示す図である。 各ドット回路における消灯期間と発光期間のタイミングチャートを示す図である。 1つのドット回路のチャージ期間の様子を示す図である。 1つのドット回路のホールド期間A(待機中)の様子を示す図である。 1つのドット回路のホールド期間B(発光期間)の様子を示す図である。 比較例の回路構成を示すブロック図である。 比較例の構成におけるチャージ期間と発光期間の様子を示すタイミングチャートである。 比較例の構成において電源ラインの電位降下による発光量のばらつきが発生することを説明するための図である。 共通電源からの配線距離と電源ライン上の電位との関係などのグラフを示す図である。 実施例と比較例について全点灯の場合における電源ラインの電位降下に起因する各OLEDの輝度変化の有無の様子をグラフで示す図である。 実施の形態2に係る各ドット回路における消灯期間と発光期間のタイミングチャートを示す図である。 用紙幅と感光体ドラムとプリントヘッド上のN個のOLEDとの関係を模式的に示す図である。 大サイズ紙と小サイズ紙に対する発光期間の違いを示す模式図である。 用紙幅に応じて発光期間を切り替える制御の内容を示すフローチャートである。 変形例に係る回路構成を示す図である。 変形例に係る別の回路構成を示す図である。
以下、本発明に係る光書込装置および画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラープリンター(以下、単に「プリンター」という。)を例にして説明する。
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態に係るプリンター1の全体構成を示す概略図である。
同図に示すようにプリンター1は、電子写真方式により画像を形成するものであり、画像プロセス部10と、中間転写部20と、給送部30と、定着部40と、制御部50を備え、ネットワーク(例えばLAN)を介して外部の端末装置(不図示)からのジョブの実行要求に基づき、カラーの画像形成(プリント)を実行する。
画像プロセス部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の現像色に対応した作像部10Y、10M、10C、10Kを有する。
作像部10Yは、像担持体としての感光体ドラム11と、その周囲に配された帯電部12、露光部13、現像部14、クリーナ15などを備えている。
帯電部12は、矢印Aで示す方向に回転する感光体ドラム11の周面を帯電させる。
露光部(光書込部)13は、帯電された感光体ドラム11を光ビームLにより露光して、感光体ドラム11上に静電潜像を形成する。本実施の形態では、いわゆる反転現像方式を採用しているので、感光体ドラム11上の周面の帯電領域のうち、トナー像が形成されるべき部分が露光されることにより静電潜像が形成される。
また、露光部13には、発光素子である電流駆動型の有機EL素子(以下、「OLED」という。)が感光体ドラム11のドラム軸方向(以下、「主方向」という。)に沿って基板上に多数個、配列されたプリントヘッドが含まれる。このプリントヘッドの構成については、後述する。
現像部14は、感光体ドラム11上の静電潜像をY色のトナーで現像する。これにより感光体ドラム11上にY色のトナー像が作像され、作像されたY色トナー像は、中間転写部20の中間転写ベルト21上に一次転写される。クリーナ15は、感光体ドラム11上の残留トナーを清掃する。他の作像部10M〜10Kについても作像部10Yと同様の構成であり、同図では符号が省略されている。
中間転写部20は、駆動ローラー24と従動ローラー25に張架されて矢印方向に循環走行される中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21を挟んで各作像部10Y〜10Kの感光体ドラム11と対向配置される一次転写ローラー22と、駆動ローラー24と対向配置される二次転写ローラー23を備える。
給送部30は、シート、ここでは用紙Sを収容するカセット31と、カセット31から用紙Sを1枚ずつ搬送路39に繰り出す繰り出しローラー32と、繰り出された用紙Sを搬送する搬送ローラー33、34を備える。
定着部40は、定着ローラー41とこれに圧接される加圧ローラー42を有する。
制御部50は、画像プロセス部10〜定着部40の動作を統括的に制御し、円滑なジョブを実行させる。ジョブ実行の際には、制御部50により次の動作が実行される。
すなわち、受け付けたジョブに含まれるプリント用の画像データに基づき、作像部10Y〜10Kの露光部13に配された複数個のOLEDを発光させるための駆動データが生成される。
この駆動データは、ここではデジタル信号のため、制御部50の輝度信号出力部51(図3)において、それぞれのOLEDごとにその発光量を示すアナログの輝度信号に変換されて露光部13に送られる。露光部13の各OLEDは、このアナログの輝度信号に基づく光量の光ビームLを出射する。
作像部10Y〜10Kごとに、露光部13の各OLEDをから光ビームLが発せられ、帯電されている感光体ドラム11が光ビームLにより露光されると、感光体ドラム11上に静電潜像が形成され、感光体ドラム11上に作像された静電潜像は、トナーにより現像されてトナー像が作像される。
それぞれの感光体ドラム11上に作像されたトナー像は、その感光体ドラム11に中間転写ベルト21を介して配置された一次転写ローラー22の静電作用により中間転写ベルト21上に一次転写される。
作像部10Y〜10Kによる各色の作像動作は、各色のトナー像が、走行する中間転写ベルト21の同じ位置に重ね合わせて転写されるように上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
この作像タイミングに合わせて、給送部30からは、カセット31から用紙Sが二次転写ローラー23に向けて搬送されて来ており、二次転写ローラー23と中間転写ベルト21の間を用紙Sが通過する際に、中間転写ベルト21上に多重転写された各色トナー像が二次転写ローラー23の静電作用により用紙Sに一括して二次転写される。
各色トナー像が二次転写された後の用紙Sは、定着部40まで搬送され、定着部40の定着ローラー41と加圧ローラー42間のニップを通過する際に加熱、加圧されることにより、用紙S上のトナーがその用紙Sに融着して定着される。定着部40を通過した用紙Sは、排紙ローラー35によって排紙トレイ36上に排出(出力)される。
図2は、露光部13に含まれるプリントヘッド60の概略構成を示す図である。
同図に示すようにプリントヘッド60は、OLEDパネル61と、ロッドレンズアレイ62と、これらを収容する筐体63を備える。
OLEDパネル61は、ライン状に配置された複数個のOLED101を有し、複数個のOLED101のそれぞれは、個別に光ビームLを出射する。
ロッドレンズアレイ62は、それぞれのOLED101から発せられる光ビームLを感光体ドラム11表面に結像させる。
図3は、OLEDパネル61の概略平面図であり、A−A´線における断面図とC−C´線における断面図も合わせて示されている。
同図に示すようにOLEDパネル61は、TFT(thin film transistor)基板71と、封止板72と、ソースIC73を備える。
TFT基板71には、複数個のOLED101が主方向に沿って並ぶように配置されるとともに、それぞれのOLED101に対して後述の駆動回路と保持素子と強制遮断スイッチなどが設けられており、これらが同一のTFT基板71上に形成される回路構成になっている。
封止板72は、TFT基板71上におけるOLED101の配置領域を外気に触れないように封止するものである。
ソースIC73は、TFT基板71上の、封止板72の配置領域以外の領域に実装されており、制御部50の輝度信号出力部51から出力されるデジタルの輝度信号を、それぞれのOLED101ごとにその発光量を示すアナログの輝度信号に変換するデジタル/アナログ変換器(以下、「DAC」という。)や後述のシフトレジスタを含み、また後述の強制消灯信号を所定タイミングで出力する機能も有する。
図4は、TFT基板71に設けられるOLED101と駆動回路102とS/H(サンプル/ホールド)回路103と強制遮断スイッチ106とソースIC73との関係を模式的に示す図である。
同図に示すように、S/H回路103は、スイッチ104と保持素子(コンデンサなど)105が直列接続されてなり、1つのS/H回路103が1つの駆動回路102に対応し、1つの駆動回路102が1つの強制遮断スイッチ106を介して1つのOLED101に対応する関係になっている。
一方、ソースIC73には、複数個のDAC74が含まれており、1つのDAC74が複数個のS/H回路103に対応して設けられ、それぞれのS/H回路103ごとにその対応するOLED101への輝度信号SGを順次出力する構成になっている。
例えば、1つのDAC74に対応する複数個のS/H回路103のスイッチ104が全てオフ(非導通)になっている状態で、そのDAC74から画像データに基づく輝度信号SG1、SG2・・が時間順に1つずつ出力される場合を想定すると、次のようになる。
すなわち、DAC74から輝度信号SG1が出力されるとそのタイミングと同期して、複数のS/H回路103のうち、輝度信号SG1に対応する1つのS/H回路103aのスイッチ104だけがオフからオン(導通)に切り替わり、輝度信号SG1がS/H回路103aの保持素子105に書き込まれる。他のS/H回路103のスイッチ104はオフのままなので、他の保持素子105に輝度信号SG1が書き込まれることはない。
S/H回路103aにおける輝度信号SG1の保持素子105への書き込みが終了すると、S/H回路103aのスイッチ104がオフに戻るが、S/H回路103aの保持素子105に輝度信号SG1が保持された状態が維持される。
その後、次の輝度信号SG2がDAC74から出力されるタイミングになると、そのタイミングと同期して、輝度信号SG2に対応するS/H回路103bのスイッチ104だけがオフからオンに切り替わり、輝度信号SG2がその保持素子105に書き込まれる。
輝度信号SG2の保持素子105への書き込みが終了すると、S/H回路103bのスイッチ104がオフに戻るが、S/H回路103bの保持素子105に輝度信号SG2が保持された状態が維持される。
それぞれのS/H回路103ごとに、輝度信号SGの入力タイミングに応じてスイッチ104を切り替えてその輝度信号SGの書き込み動作が時間順に実行される。この切り替えは、シフトレジスタ109(図5)が用いられる。
強制遮断スイッチ106は、OLED101に流れる電流の経路を、ソースIC73からの強制消灯信号SVに基づき開閉するスイッチである。
本実施の形態では、予め決められた発光期間にだけ強制遮断スイッチ106が閉(オン)になり、これ以外の消灯期間には、開(オフ)になっている。このようなタイミングで開閉を行う理由については、後述する。
それぞれの駆動回路102は、対応する保持素子105に輝度信号SGが保持されている状態で、OLED101の発光期間になると、共通電源(不図示)から入力される電流を、その保持されている輝度信号SGの電圧に相当する電流に制御して出力し、オン状態の強制遮断スイッチ106を介してOLED101に供給する。この電流供給により、それぞれのOLED101は、輝度信号SGに示される発光量で発光する。なお、画像データには、トナー画像が形成されない非露光領域(原稿の下地部分など)を示すデータも含まれており、この非露光領域に対する輝度信号SGは発光量が0(ゼロ)を示す信号になるので、発光期間でも駆動回路102からOLED101に電流が供給されず、OLED101は消灯したままになる。
DAC74からの輝度信号SG1、SG2・・の出力タイミングに応じて、それぞれのS/H回路103におけるスイッチ104のオンオフ切り替えタイミングが予め決められており、主方向に沿った1ライン単位で、全てのOLED101に対する輝度信号SGの書き込み、保持、発光が実行されることにより、感光体ドラム11が露光される。
図5は、OLED101と駆動回路102とS/H回路103と強制遮断スイッチ106を含むドット回路100が複数個、設けられてなる実施例の回路構成を示す図であり、最も左端のドット回路100において消灯期間内にその保持素子105に輝度信号SGが書き込まれている期間(チャージ期間)の様子を示している。
同図に示すように、複数のOLED101のそれぞれは、共通電源180から延伸される2本の電源線(電源ライン192とカソード電極ライン194)間に強制遮断スイッチ106と駆動回路102を介して並列接続されている。共通電源180の電位は、基準電位Vcになっている。
駆動回路102は、ゲート端子121と入力端子222と出力端子123を有する電圧入力型の駆動回路であり、ここではP型の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)から構成され、入力端子122がソース、出力端子123がドレインに相当する。
駆動回路102の入力端子122は、共通電源180に接続される電源ライン(配線)192(プラス側の電源線に相当)に接続されており、共通電源180からの電流が電源ライン192を介して入力される。
同図では、一番左端のドット回路100が共通電源180からの配線距離(共通電源180からドット回路100までの間の電源ライン192の長さ)が最も短く、その右隣のドット回路100が2番目に配線距離が短く、さらに右側に移るに連れてそれぞれのドット回路100に対する配線距離が長くなる回路の構成例を示している。
駆動回路102は、入力端子122に入力される共通電源180からの電流を、ゲート端子121の電圧と入力端子122の電圧との差の電圧の大きさに応じた大きさの電流を出力端子123から出力する。
駆動回路102のゲート端子121は、スイッチ104を介して信号ライン191と接続されている。
信号ライン191は、1つのDAC74から時間順に出力される輝度信号SG1、SG2・・を伝送する信号線である。
保持素子105は、ここではコンデンサからなり、その一方の端子151が駆動回路102のゲート端子121と接続され、他方の端子152が電源ライン192に接続されている。電源ライン192には、駆動回路102の入力端子122が接続されているので、保持素子105の他方の端子152は、電源ライン192の一部の配線部分を介して駆動回路102の入力端子122と接続されていることになる。
保持素子105は、信号ライン191からスイッチ104を介して入力される輝度信号SGを保持する。この輝度信号SGの保持は、保持素子105の端子151に印加される輝度信号SGの電圧Vdac(駆動回路102のゲート端子121の印加電圧に相当)と端子152に印加される電圧、例えば一番左端のドット回路100では電圧Vd1(共通電源180から電源ライン192を介して駆動回路102の入力端子122に印加される電圧に相当)との差の電圧Vgの大きさに相当する電荷が保持素子105に注入されて蓄えられることにより行われる。
保持素子105への電荷の注入が輝度信号SGの書き込みに相当し、輝度信号SGの書き込み期間が輝度信号SGのチャージ期間になる。
駆動回路102の出力端子123は、強制遮断スイッチ106の一方の端子161に接続されている。
強制遮断スイッチ106は、ソースIC73から出力される強制消灯信号SVのオンとオフに基づき開閉するスイッチである。同図では、チャージ期間に強制消灯信号SVが消灯を示すオンにされていることにより、それぞれのドット回路100における強制遮断スイッチ106の全てが開(オフ)の状態になっている例を示している。
強制遮断スイッチ106の他方の端子162は、OLED101のアノード111と接続されており、OLED101のカソード112は、カソード電極ライン194に接続されている。カソード電極ライン194は、その一方端が各ドット回路100に共通のアース端子195に接続されるアースラインであり、共通電源180に接続されるプラス側の電源ライン192に対するマイナス側の電源線に相当する。
ドット回路100ごとに、そのS/H回路103のスイッチ104には、シフトレジスタ109から出力されるパルス信号φ1、φ2・・のうちの一つが入力されている。
パルス信号φ1、φ2・・は、一定間隔ごとに現れるパルス波形の出力タイミングが相互にずれた信号であり(図7)、その出力タイミングは、DAC74から出力される輝度信号SG1、SG2・・の出力タイミングに同期するように予め決められている。
例えば、一番左端のドット回路100に対する輝度信号SG1がDAC74から出力されるタイミングにパルス信号φ1が一番左端のドット回路100に入力され、次に左端から2番目のドット回路100に対する輝度信号SG2がDAC74から出力されるタイミングに2番目のドット回路100にパルス信号φ2が入力されるように、パルス信号φ1、φ2・・の出力タイミングがシフトされる。
スイッチ104は、シフトレジスタ109からのパルス波形が出力されているときにだけ閉(オン)し、パルス波形が出力されていないときには開(オフ)するようになっており、同図では、一番左端のドット回路100のスイッチ104だけが閉になっており、他の全てのドット回路100のスイッチ104が開になっている例を示している。
これにより、ドット回路100ごとに、自己に入力されるべき輝度信号SGがDAC74から出力されると、その出力と同じタイミングだけにそのドット回路100のスイッチ104がオンになり、その輝度信号SGがスイッチ104を介して保持素子105に入力される(輝度信号の書き込み)。
一番左端のドット回路100における輝度信号SG1の書き込みが終わるとそのドット回路100のスイッチ104がオフになり、次に左端から2番目のドット回路100のスイッチ104がオンに切り替わると、左端から2番目のドット回路100に対する輝度信号SG2の書き込みが開始される。輝度信号SG1、SG2・・の出力周期に同期して、ドット回路100ごとにその輝度信号SGの書き込みが時間順にずれて実行される。
ドット回路100ごとに、輝度信号SGの書き込みが行われている期間がチャージ期間になり、輝度信号SGの書き込み終了から次のチャージ期間の開始に至るまでの期間がその書き込んだ輝度信号SGを保持する保持期間になる。
1つのDAC74に複数個(同図の例ではn個)のドット回路100が対応しているので、それぞれのDAC74ごとに、1つのDAC74に1つのシフトレジスタ109と1本の信号ライン191が対応して設けられている。1つのDAC74に対応する複数個のドット回路100を1つの回路100Zと捉えると、1つのDAC74に1つの回路100Zが対応し、それぞれの回路100Zごとに、その回路100Zに属する複数個のドット回路100に対する輝度信号SGの書き込みが並行して実行される。
1つのDAC74に対応するドット回路100(OLED101)の個数がn個であり、DAC74の個数がM個であれば、OLEDパネル61に設けられる全てのドット回路100(OLED101)の数(合計)は、(n×M)個ということになる。
この場合、輝度信号SGの信号ライン191は、DAC74の個数Mと同数のM本になる。なお、本実施の形態では、給電点の数を少なくするために1本の電源ライン192を用いて全てのドット回路100への給電を行っている。このため、TFT基板71上における信号ライン191の配線距離と電源ライン192の配線距離とは、1本の電源ライン192の方が1本の信号ライン191よりも大幅に長くなっている。
それぞれのドット回路100の保持素子105への輝度信号SGの書き込みが実行されている期間(チャージ期間)には、全ての強制遮断スイッチ106が開(オフ)になる。これにより、全ての駆動回路102の出力端子123が開放された状態、すなわち全てのOLED101が電源ライン192から切断された状態になり、共通電源180から供給される電流や信号ライン191からの電流がそれぞれの駆動回路102を介してOLED101には流れなくなる(OLED101に流れる電流の遮断)。
一方、発光期間では、図6に示すように全てのドット回路100におけるスイッチ104がオフの状態で、ソースIC73から出力される強制消灯信号SVが遮断解除を示すオフになることにより全ての強制遮断スイッチ106が閉(オン)になる。
これにより、各ドット回路100では、上記の電流の遮断が解除され、駆動回路102においてゲート端子121の電圧と入力端子122の電圧との差の電圧(ソース−ゲート間電圧)Vgに応じた大きさの電流が出力端子123から出力され、その出力電流に応じた発光量でOLED101が発光する。
この電圧Vgは、保持素子105の一方の端子151と他方の端子152間の電圧の差、すなわちチャージ期間に保持素子105に蓄えられた電荷の量に相当する。
それぞれのドット回路100ごとに、発光素子であるOLED101の発光量を輝度信号SGに基づき設定できることから、1つのドット回路100は、1つの発光部を構成していることになる。
図7は、各ドット回路100における消灯期間と発光期間のタイミングチャートを示す図である。ここで、同図では、説明を解り易くするために全てのドット回路100の個数をN個としたときにそのN個のドット回路100に対する輝度信号SG1、SG2・・SGNが順に出力され、これに対応するパルス信号φ1、φ2・・φNが順に出力されるとしたときの例を示している。
同図においてドット回路100aは、N個のうち、図5に示す一番左端のドット回路に対応し、100bが左端から2番目のドット回路に対応し、100cが左端から3番目のドット回路に対応し、100NがN番目(最後)のドット回路に対応している。
同図に示すように、シフトレジスタ109からパルス信号φ1のパルス波形が出力されるタイミングと同期して輝度信号SG1が出力されている間にだけその輝度信号SG1がドット回路100aの保持素子105に書き込まれる。この輝度信号SG1の書き込み期間がドット回路100aに対するチャージ期間になる。
輝度信号SG1の書き込みが終了すると、続いて、シフトレジスタ109からパルス信号φ2のパルス波形が出力され、これと同期して輝度信号SG2が出力されている間にその輝度信号SG2がドット回路100bの保持素子105に書き込まれる。この輝度信号SG2の書き込み期間がドット回路100bに対するチャージ期間になる。
以降、ドット回路100c・・100Nのそれぞれの保持素子105に対して、対応する輝度信号SG3・・SGNの書き込みが時間順にずれて行われる。
輝度信号SG1〜SGNが出力されている期間が消灯期間Tbになり、輝度信号SG1〜SGNが出力されていない期間が発光期間Taになる。なお、同図では、図示の都合上、消灯期間Tbの方が発光期間Taよりも少し長くなっている場合の例を示しているが、実際には発光期間Taの方が消灯期間Tbよりも長くなる構成がほとんどであり、例えば1回の消灯期間Tbに対して1回の発光期間Taが数十倍〜100倍程度になっている。
消灯期間Tbには、上記のように全ての強制遮断スイッチ106が開になって共通電源180からの電流がOLED101に流れず、発光期間Taには、全ての強制遮断スイッチ106が閉になって共通電源180からOLED101までの電流の供給経路が形成される。
以下、チャージ期間で保持素子105に書き込まれた輝度信号SGが次のチャージ期間に至るまでの間に保持されているホールド期間を、消灯期間内におけるチャージ期間以外の期間に相当するホールド期間Aと、発光期間に相当するホールド期間Bとに区別して説明する場合がある。
1回の消灯期間Tb(時点t1〜t2)の後に1回の発光期間Ta(時点t2〜t3)が続き、消灯期間Tbの開始時(時点t1)からこれに続く発光期間Taの終了時(時点t3)までに亘る期間(時点t1〜t3)が1回の主走査期間(Hsync)になる。
この1回の主走査期間は、感光体ドラム11上において主方向(ドラム軸方向)に1ライン分の静電潜像を形成するための時間に相当する。この1回の主走査期間の長さに応じて、1回の消灯期間Tbに対する1回の発光期間Taの長さの比率が予め装置構成に応じて実験などにより決められる。
1回の主走査期間において、輝度信号SG1の出力開始時(時点t1:シフトレジスタ109から出力されるパルス信号φ1のパルス波形の立ち上がり時に相当)が消灯期間Tbの開始時になり、輝度信号SGNの出力終了時(時点t2:シフトレジスタ109から出力されるパルス信号φNのパルス波形の立ち下がり時に相当)が消灯期間Tbの終了時になる。消灯期間Tbの終了時(時点t2)は、発光期間Taの開始時に等しく、発光期間Taの終了時(時点t3)は、次の主走査期間に対する輝度信号SG1の出力開始時に等しい。
強制遮断スイッチ106を開閉するための強制消灯信号SVは、輝度信号SG1の出力開始(時点t1やt3)に同期して「オン」になり、これにより全ての強制遮断スイッチ106が開になる。また、強制消灯信号SVは、輝度信号SGNの出力終了(時点t2)に同期して「オフ」になり、これにより全ての強制遮断スイッチ106が閉になる。すなわち、全てのOLED101に対しその電源供給の遮断が同時に解除されることになる。
このように強制消灯信号SVのオンとオフの出力切り替えは、1回の主走査期間ごとに輝度信号SG1とSGNの出力タイミングと同期して行われるようにDAC74において予め決められたタイミングで実行される。
1回の主走査期間が終わると、次の主走査期間に移ることが繰り返し実行され、回転する感光体ドラム11上に主走査期間ごとに主方向に沿った1ライン分の静電潜像が形成されていく。これにより、感光体ドラム11の回転方向(副走査方向)に1ページ分の画像に相当する静電潜像が形成される。なお、同図のタイミングチャートの下には、基準電位Vd1、Vd2・・VdNを示すグラフ80が示されているが、このグラフ80の説明については、後述する。
図7に示すタイミングチャートでは、N個全てのドット回路100に対して輝度信号SG1、SG2・・SGNが順番に出力される場合の例を説明したが、図5に示すようにn(<N)個のドット回路100を1つの回路100Zとして、1つの回路100Zに1つのDAC74が対応する構成では、それぞれの回路100Zごとに、1主走査期間単位で消灯期間Tbにおける処理と発光期間Taにおける処理とがそれぞれ同時並行して実行される。
上記のように消灯期間Tbでは全ての強制遮断スイッチ106を開にして共通電源180から各OLED101までの電流の供給経路を強制的に遮断する遮断状態にし、発光期間Taでは全ての強制遮断スイッチ106を閉にしてその遮断を解除する電流供給状態とする構成をとったのは、電源ライン192の配線抵抗に起因する各OLED101の発光量のばらつきを防止するためである。以下、この理由を具体的に図8〜図10を用いて説明する。
図8〜図10は、1つのドット回路100をその回路構成を説明し易いように書き換えたものであり、説明に必要のない部分は省略されている。図8はチャージ期間の様子を、図9はホールド期間Aの様子を、図10はホールド期間Bの様子を示している。
図8〜図10では、電源ライン192とカソード電極ライン194のそれぞれが有する配線抵抗を198、199として示している。
なお、図8〜図10では、信号ライン191の配線抵抗を示していない。これは、次の理由による。すなわち、信号ライン191は、保持素子105の端子151と駆動回路102のゲート端子121と接続され、保持素子105はコンデンサからなり、駆動回路102はFETからなるので、信号ライン191を流れる直流電圧の輝度信号SGが、保持素子105を介して電源ライン192に流れたり、ゲート端子121から入力端子122と出力端子123に流れたりすることがほとんど生じない。
従って、輝度信号SGの電圧Vdacが信号ライン191の配線抵抗により低下することがほとんど生ぜず、信号ライン191についてはその配線抵抗による電位降下があったとしても無視できる程度の大きさにすぎないからである。
また、図8〜図10には、回路構成図の下に、共通電源180からの配線距離と電源ライン192上での電位降下との関係を示すグラフも合わせて示している。
図8に示すように、チャージ期間中には強制遮断スイッチ106がオフ(OFF)されているので、共通電源180からの電流が駆動回路102を介してOLED101に流れない。これにより、電源ライン192の配線抵抗198による電位降下が生ぜず、駆動回路102の入力端子122には、共通電源180の基準電位Vcと同じ大きさの電圧Vdが印加されるようになる。
他の全てのドット回路100についても強制遮断スイッチ106がオフされているので、図8のグラフ81で示されるように、共通電源180からの配線距離に関わらず電源ライン192上では同じ電位Vd(=基準電位Vc)に維持されている。
つまり、共通電源180からの配線距離が短い(近い)位置に設けられるドット回路でも長い(遠い)位置に設けられるドット回路でも、それぞれの駆動回路102の入力端子122への入力(印加)電圧Vd1、Vd2・・Vdn(図5)は、無視できる程度の漏れ電流などによる微小な電圧降下を除けば、基準電位Vc(共通電源180の電圧)と等しい電位(OLED基準電位)になる。
このようにチャージ期間中に駆動回路102の入力端子122に基準電位Vcと同じ大きさの電圧Vdが印加されている状態で、スイッチ104がオン(ON)されることにより、輝度信号SG(電圧Vdac<Vc)がスイッチ104を介して保持素子105の一方の端子151に入力される。
保持素子105の他方の端子152は、電源ライン192を介して駆動回路102の入力端子122に接続されているが、電源ライン192上では共通電源180からの配線距離に関わらず同じ電圧Vd(=Vc)になっている。
従って、保持素子105には、端子151に印加される輝度信号SGの信号電圧Vdacと端子152に印加される入力電圧Vd(=Vc)との差の電圧Vgに相当する電荷が蓄えられることになる。この電圧Vgが輝度信号SGで示されるOLED101の発光量の大きさに相当し、電荷の蓄積量が電圧Vgを指標する指標値になり、この指標値の保持素子105への書き込みが、輝度信号SGの保持素子105への書き込みとなる。
輝度信号SGの保持素子105への書き込みは、他のドット回路100でも同様にして行われる。それぞれのドット回路100ごとに輝度信号SGの電圧Vdacが同じ大きさ(同じ発光量)であれば、ドット回路100の入力端子122の電圧が同じVcになっているので、図8のグラフ82で示されるように、共通電源180からの配線距離に関係なく、どのドット回路100でも、駆動回路102の入力端子122の電圧Vcとゲート端子121の電圧Vdacとの差分を示す電圧Vgが同じ大きさになる。
つまり、輝度信号SGの電圧Vdacとの差をとるための基準となる駆動回路102の入力端子122の電圧がドット回路100ごとに同じ大きさになるという同じ条件で、輝度信号SG1、SG2・・の保持素子105への書き込みを行えることになる。
輝度信号SGの保持素子105への書き込みは、輝度信号SGに示される発光量の大きさに相当する量の電荷が保持素子105に蓄えられることを意味するので、仮に、ドット回路100ごとに同じ発光量を示す輝度信号SGが入力される場合には、それぞれの保持素子105に同じ量の電荷が蓄積されていくことになる。
チャージ期間が終了すると、ドット回路100ごとに図9に示すホールド期間A(待機中)に移り、ホールド期間Aに移るとスイッチ104がオフに切り替わる。
ホールド期間Aに移っても強制遮断スイッチ106がオフのままであるのでOLED101には共通電源180からの電流が流れず、駆動回路102の入力端子122の電圧Vdがチャージ期間から変化することはない(Vd=Vc)。
また、スイッチ104がオフになるので、駆動回路102のゲート端子121、すなわち保持素子105の端子151が開放状態になり、ゲート端子121(保持素子105の端子151)の印加電圧Vfもチャージ期間から変化することはない(Vf=Vdac)。これにより保持素子105には、ホールド期間Aの間、チャージ期間に蓄積された電荷がそのまま保持される。
従って、同図のグラフ81、82に示すように、ホールド期間Aでもチャージ期間と同様に、共通電源180からの配線距離に関係なくドット回路100ごとにその駆動回路102の入力端子122に印加される電圧Vcとゲート端子121に印加される電圧Vfとの差分を示す電圧Vgが同じ大きさになっている状態が維持される。
ホールド期間Aから図10に示すホールド期間B(発光期間)に移ると、ドット回路100ごとに、スイッチ104がオフの状態で強制遮断スイッチ106がオンになり(電流の遮断状態の解除)、駆動回路102のゲート端子121の電圧と入力端子122の電圧との差の電圧Vgに応じた電流が駆動回路102の出力端子123から出力される。この電流がOLED101に流れてOLED101が発光する。
この発光期間では、共通電源180からの電流が電源ライン192、駆動回路102を介してOLED101に流れるので、ドット回路100ごとに、共通電源180からの配線距離の違い、すなわち配線抵抗198の大きさの違いによる電位降下に起因して駆動回路102の入力端子122に印加される電圧Vdに差異が生じることになる。
具体的には、同図のグラフ81aに示すように共通電源180からの配線距離が長くなるに連れて電位降下により駆動回路102の入力端子122の電圧Vdが徐々に低下していく。なお、グラフ81aは、全てのOLED101が同じ発光量を示す輝度信号SGに基づき同時発光する全点灯時の例を示している。
共通電源180からの配線距離が長くなるに連れて駆動回路102の入力端子122の電圧Vdが徐々に低下するということは、図7に示すようにそれぞれのドット回路を100a、100b・・100nとすると、全点灯時では駆動回路102の入力端子122の電圧の基準電位Vd1、Vd2・・VdNが図7のグラフ80に示すように基準電位Vd1が最も高くなり、VdNが最も低くなることになる。
このようにドット回路100ごとに共通電源180からの配線距離が長くなるに連れて駆動回路102の入力端子122の電圧Vdの大きさが低下するが、それぞれのドット回路100の保持素子105に蓄積されている電荷の量は、次のチャージ期間に至るまでの間、そのまま保持される。
つまり、駆動回路102の入力端子122の電圧Vdが低下すれば、保持素子105に蓄積されている電荷の量に応じた電圧Vgだけ駆動回路102のゲート端子121の電位が下がるので(スイッチ104がオフのため)、駆動回路102の入力端子122の電圧とゲート端子121の電圧との差の電圧が元のVgのまま維持される。
このことは、発光期間Tbにおいて共通電源180からの配線距離に関係なくどのドット回路100でも同じになり、同図のグラフ82aに示すようにゲート端子121の電圧Vfは、入力電圧Vdから電位差Vgを差し引いた値になって、共通電源180からの配線距離が遠くなるに連れて徐々に低下することになる。
上記のように駆動回路102は、ゲート端子121の電圧と入力端子122の電圧との差の電圧Vgの大きさに応じた大きさの電流を出力端子123から出力する回路である。
このため上記実施例の構成をとることにより、ドット回路100ごとに共通電源180からの配線距離の違いによる電位降下に起因して入力端子122の電圧Vdに差異が生じても、ドット回路100ごとにその電圧Vgが同じであれば、各OLED101には同じ大きさの電流が供給されることになり配線距離の違いによる電位降下に起因する各OLED101の発光量のばらつきを防止することができるようになる。
図11は、複数のドット回路900のそれぞれに強制遮断スイッチが設けられていない構成(比較例)を示すブロック図である。
同図に示すように複数のドット回路900のそれぞれは、OLED901と駆動回路902とホールド回路903を備え、ホールド回路903は、スイッチ904と保持素子905を備える。OLED901は、OLED101に相当し、駆動回路902は、駆動回路102に相当し、ホールド回路903は、ホールド回路103に相当する。
上記と同様に、複数個のドット回路900に1つのDAC974が対応しており、1つのDAC974から複数のドット回路900のそれぞれに対して、発光量を示す輝度信号SG1、SG2・・が出力され、これと同期してシフトレジスタ(不図示)からパルス信号φ1、φ2・・(不図示)が出力されることにより、各保持素子905に輝度信号SGが順次書き込まれる。
図12は、比較例の構成におけるローリング駆動による輝度信号SGのチャージ期間と発光期間の様子を示すタイミングチャートである。同図では、それぞれのドット回路900を区別するためにドット回路を900a、900b・・900Nと符号を付して示しているが、特にそれぞれを区別する必要がない場合には、総称してドット回路900ということにする。
同図に示すようにそれぞれのドット回路900ごとにそのチャージ期間が時間的にずれており、チャージ期間の後にホールド期間が続くことは、図7に示すタイミングチャートと同じである。
ところが、比較例では上記のように強制遮断スイッチが設けられていないため、共通電源からそれぞれのドット回路900のOLED901への電流の供給経路が常時、形成されている状態になっている。このため、それぞれのドット回路900においてチャージ期間でもホールド期間でも発光期間になり、チャージ期間、すなわち輝度信号SGの保持素子905への書き込み中にもOLED901に電流が流れることになる。このチャージ期間にもOLED901に電流が流れることは、上記の電位降下による発光量のばらつき発生の要因になる。このことを、図13により具体的に説明する。
図13は、比較例の構成において電源ライン920の電位降下による発光量のばらつきが発生することを説明するための図である。ここで、同図では、N個のドット回路900のうち、1番左端のドット回路から数えてm番目(mは2以上の整数)と、(m−1)番目と、(m+1)番目の3つのドット回路を示している。
それぞれのドット回路900では、図11に示すホールド回路903が省略されているが、ドット回路900ごとに、ホールド回路903に保持される輝度信号SGの電圧が駆動回路902、ここではFETのゲート端子Gに入力される電圧になり、このゲート端子Gの電圧とソースに相当する入力端子931の電圧との差の電圧に相当する電流が駆動回路902からOLED901に流れるようになっている。
ドット回路900ごとに、チャージ期間にも共通電源950から電源ライン920、駆動回路902を介してOLED901への電流の供給経路が形成されているので、電源ライン920の配線抵抗921による電位降下に起因して、共通電源950からの配線距離が近いドット回路900(m−1)と遠いドット回路900(m+1)とでは、その駆動回路902の入力端子931に印加される電圧が異なることが生じる。
一方で、ドット回路900ごとに、DAC974から出力される輝度信号SGを伝送する信号ライン930上ではその電位降下がほとんど生じない。
従って、仮にDAC974から同じ発光量を示す輝度信号SG1、SG2・・が出力された場合、ドット回路900ごとにその保持素子905(図11)には、同じ輝度信号SGの電圧Vdacに相当する電荷がチャージされることになる。
例えば、図13において各ドット回路900のゲート端子Gの電圧をVdac、共通電源950からの配線距離が最も短いドット回路900(m−1)における駆動回路902の入力端子931の印加電圧をVd(m−1)、入力端子931の電圧とゲート端子Gの電圧との差の電圧をVg(m−1)、配線距離が最も長いドット回路900(m+1)における駆動回路902の入力端子931の印加電圧をVd(m+1)、入力端子931の電圧とゲート端子Gの電圧との差の電圧をVg(m+1)、配線距離が中間であるドット回路900mの駆動回路902の入力端子931の印加電圧をVd(m)、入力端子931の電圧とゲート端子Gの電圧との差の電圧をVg(m)とすると、次に示す(式1)と(式2)の関係が生じる場合がある。
Vd(m−1)>Vd(m)>Vd(m+1)・・・(式1)
Vg(m−1)>Vg(m+1)>Vg(m+1)・・・(式2)
つまり、電源ライン920による電位降下に起因して、ドット回路ごとに同じ発光量を示す輝度信号が出力される場合でも、共通電源950からの配線距離が長くなるほど、電圧Vgが小さくなることになる。
図14は、共通電源950からの配線距離と電源ライン920上の電位との関係を示すグラフ911〜913と、共通電源950からの配線距離と信号ライン930上の電位との関係を示すグラフ914である。
ここで、グラフ911は、全てのドット回路900a、900b・・に対して同じ発光量を示す輝度信号SG1、SG2・・が出力される場合(全点灯)の例を示している。
また、グラフ912は、1つのドット回路900mのOLED901だけが発光する場合(一点点灯)の例を示しており、グラフ913は、全てのドット回路900のOLED901が点灯しない場合(非消灯)の例を示している。
グラフ911に示すように、共通電源950からの配線距離が長くなるに伴って電源ライン920上の電位が低下していき、これに伴って駆動回路902の入力端子931の印加電圧Vd、すなわち電圧Vgの大きさを決める基準となる電圧も低下していく。
その一方で、グラフ914に示すように信号ライン930上の電位は、共通電源950からの配線距離に関係なく略一定になっている。従って、これらグラフ911、914からも、上記(式1)と(式2)に示すように、共通電源950からの配線距離が長くなるほど電圧Vgが低下していくことが判る。
なお、グラフ913に示すように非点灯の場合は、全てのドット回路900において共通電源950からの電流が駆動回路902を介してOLED901に流れないので、電位降下は生じない。
また、グラフ912に示すように一点点灯の場合は、電源ライン920上において共通電源950からm番目のドット回路900mの駆動回路902の入力端子931との接続位置までの間では、ドット回路900mのOLED901に流れる電流のために電位降下が生じる。一方で、電源ライン920のうち、ドット回路900mよりも共通電源950から遠くなる部分については、(m+1)番目以降の各ドット回路900のOLED901に電流が流れないために電位降下が生ぜず、それぞれの駆動回路902の入力端子931の印加電圧Vcが略一定に維持される。
なお、上記では全点灯時や一点点灯の場合の例を示したが、再現すべき画像によっては、1主走査期間において、例えば発光すべきOLED901の数が2個以上でN個未満の範囲内になったり、個々のOLED901で再現画像の濃度が異なるために発光すべき発光量が異なったりする場合も多く生じ得る。
この場合、N個のうち、どのOLED901がどの光量で発光するかによって、印加電圧Vdの電位分布は、同図に示すグラフ911や912とは異なる形状のグラフになる。
このことは、再現画像の違いによって発光すべきOLED901の組み合わせが異なることにより、電源ライン920の電位降下の大きさが変化することを意味する。
つまり、比較例のように共通電源950から各ドット回路900のOLED901への電流の供給経路が常時形成される構成は、電源ライン920の固有の配線抵抗だけではなく再現画像の違いによって発光すべきOLED901の組み合わせが異なることにより電位降下が変化することの影響をも受けるので、それだけ各OLED901の発光量のばらつきが生じ易くなる構成といえる。
図15は、上記の実施例と比較例について全点灯の場合における電源ラインの電位降下に起因する各OLEDの輝度変化の有無の様子をグラフで示す図であり、実線のグラフ915が実施例を示し、一点鎖線のグラフ916が比較例を示している。
比較例を示すグラフ916を見ると、共通電源からの距離が長くなるに伴って各OLEDの輝度(発光量)が低下していることが判る。これは、上記図14のグラフ911に示すように、複数個のドット回路900のうち、共通電源950からの配線距離が長い、つまり共通電源950から遠くなるドット回路900ほど電圧Vgが小さくなり、それだけOLED901に流れる電流が少なくなるからである。
これに対し、実施例を示すグラフ915を見ると、共通電源からの距離に関係なく、各OLEDの輝度(発光量)が略一定になってことが判る。これは、上記図10のグラフ81aと81bに示すように、共通電源950からの配線距離の長短、つまり共通電源950から近くても遠くても、ドット回路100ごとに電圧Vgが同じになる。
このため、各ドット回路100のOLED101に流れる電流が略同じになり、全点灯の場合に各OLED101が同じ輝度で発光することができるからである。
また、実施例の回路構成では、発光期間以外のチャージ期間に輝度信号SGの書き込みを行うので、上記の比較例のように再現画像の違いによって発光すべきOLEDの組み合わせが異なることにより電位降下が変化することの影響を受けることも生じない。
以上説明したように本実施の形態では、ドット回路100ごとにそのチャージ期間に共通電源180からの電流がOLED101に流れない(遮断する)ようにしている。
これにより、チャージ期間では、共通電源180からの配線距離の違いなどによる電位降下に起因して、ドット回路100ごとに、輝度信号SGの電圧との差をとるための基準となる駆動回路102の入力端子122の電圧Vdに差異が生じることがなくなり、それぞれのOLED101の発光量のばらつきを防止することができる。
<実施の形態2>
上記実施の形態1では、図7に示すように1主走査期間において輝度信号SG1、SG2・・SGNのうち、出力順が最後になるN個目のドット回路100Nに対する輝度信号SGNの書き込み(チャージ)が終了すると(時点t2)、N個全てのドット回路100a〜100Nに対する発光期間を同時に開始するとした。
これに対し、本実施の形態2ではOLED101の発光の有無に応じてN個目のドット回路100Nに対する輝度信号SGNの書き込みの終了を待たずにこれに先立って発光期間を開始するとしており、この点で実施の形態1と異なっている。以下、説明の重複を避けるため、実施の形態1と同じ内容についてはその説明を省略し、同じ構成要素については、同符号を付すものとする。
図16は、実施の形態2に係る各ドット回路100における消灯期間と発光期間のタイミングチャートを示す図である。
同図に示すように、N個目のドット回路100Nに対する輝度信号SGNの書き込み終了は時点t2であるが、これに先立って、(N−2)個目のドット回路100(N−2)に対する輝度信号SG(N−2)の書き込みが終了すると(時点t4)、強制消灯信号SVがオフになって全ての強制遮断スイッチ106が閉(オン)に切り替わり、発光期間が開始している。また、ドット回路100(N−1)とドット回路100Nについては、発光期間に入ってから輝度信号SG(N−1)とSGNの書き込み(チャージ)が順に実行されている。つまり、ドット回路100(N−1)とドット回路100Nでは、強制遮断スイッチ106が閉(オン)になっている状態で、輝度信号のチャージのためにそのチャージ期間だけスイッチ104がオンになる制御が行われる。
このようにN個目のドット回路100Nに対する輝度信号SGNの書き込み終了を待たずに発光期間を開始する制御(先行発光制御)を行うのは、次の理由による。
すなわち、同図の例では1主走査期間においてドット回路100(N−1)に対する輝度信号SG(N−1)とドット回路100Nに対する輝度信号SGNの両方が消灯(非発光)を示す信号になっている。
消灯を示すということは、ドット回路100(N−1)と100Nのそれぞれにおいて駆動回路102のソースとドレイン間に電流が流れない状態になるので、その信号の書き込み中に強制遮断スイッチ106が閉(オン)になっても、電源ライン192における電位降下の影響を受けて発光量がばらつくことが生じない。
一方で、装置構成によって予め決められている1主走査期間内において発光期間を長くとれれば、それだけ1主走査期間における感光体ドラム11の周面への露光時間をより長くとることができる。
例えば、1主走査期間における露光時間を短い時間しかとれなければ、OLED101に対して単位時間当たりの供給電流を多くしてOLED101をより高輝度で発光させる必要が生じ、OLED101にかかる負担が増えて寿命に影響を与え易くなる。
これに対して、本実施の形態2のように1主走査期間における露光時間をより長くとることができれば、露光時間が短い場合よりも同じ濃度の静電潜像を形成するのに必要な1回の露光における露光量(OLED101の発光量)を低減できる。
OLED101の発光量(輝度)を低下できれば、それだけOLED101にかかる負担を軽減でき、長寿命化を図ることができる。
1主走査期間における輝度信号SG1、SG2・・SGNのうち、出力順が最後の輝度信号SGNを含み最後の輝度信号SGNから出力順に遡って非発光を示す信号が2以上連続している場合のその非発光信号列の最初の輝度信号(同図の例では、SG(N−1))の書き込み開始時(同図の例では時点t4)が強制消灯信号SVをオンからオフに切り替えるタイミング、すなわち先行発光制御の開始タイミングとされる。
上記では、N個のドット回路100a、100b・・100Nのうち、100(N−1)と100Nの2つが連続する非発光のドット回路の例であったが、非発光の数が2以上になる場合も同様にすることができる。
具体的には、N個のドット回路100に対し、輝度信号SG1、SG2・・SGNが入力される順に1番目、2番目・・N番目の番号を付し、1番目からN番目までのうち、Q(但し、1<Q<N)番目以降の全てのドット回路100q〜100Nが非発光信号列になって非発光になる場合には、次のようになる。
すなわち、1主走査期間において、1番目から(Q−1)番目までのそれぞれのドット回路100に対して輝度信号SG1、SG2・・SG(Q−1)が順番に出力されている間には1番目から(Q−1)番目までのそれぞれのドット回路100が消灯期間(強制遮断スイッチ106が開になる遮断状態)になり、(Q−1)番目のドット回路100において輝度信号SG(Q−1)の書き込みが終了すると、1番目から(Q−1)番目までを含む全てのドット回路100a〜100Nが発光期間に移ることになる。
1主走査期間に非発光信号列が含まれているか否かは、1主走査期間ごとにその1主走査期間の露光に用いられる画像データ、すなわち輝度信号SG1〜SGNの電圧を参照することにより判断される。例えば、非発光の場合に0V、発光の場合が0V以外の電圧であれば、0Vを示す信号の存在の有無が判断される。
なお、最後の輝度信号SGNに対して一つ前に出力される輝度信号SG(N−1)が発光を示す信号であり、最後の輝度信号SGNが非発光を示す信号であれば、最後の輝度信号SGNの書き込み開始時を先行発光制御の開始タイミングとしても良い。
実施の形態2における先行発光制御に対して、実施の形態1のような1主走査期間の最後の輝度信号SGNの書き込み終了まで待って発光期間を開始する制御を通常発光制御とすると、先行発光制御を実行する場合、通常発光制御を実行する場合よりも各OLED101の発光量を低減するため、例えば輝度信号SG1、SG2・・で示される発光量を補正する構成をとることができる。
具体的には、1主走査期間ごとに、通常発光制御での1主走査期間の発光期間Ta(図7)における発光量を基準値とした場合、先行発光制御での1主走査期間の発光期間Ta1(図16)は、Taよりも長くなる。
従って、その発光期間の差分ΔTa(=Ta1−Ta)に相当する分だけ、発光すべきOLED101に対する輝度信号SG1、SG2・・の発光量を一律に基準値よりも下げる補正制御をとる方法が考えられる。
発光期間の差分ΔTaの大きさに応じてOLED101の発光量をどれだけ下げれば、感光体ドラム11に対する露光量を通常発光制御の場合と同じにできるのかを示すデータを予め実験などから求めてテーブル形式などで記憶しておくことにより実現できる。このテーブルなどの記憶部は例えばソースIC73などに設けられ、1主走査期間ごとに、輝度信号SG1、SG2・・に必要な補正が補正手段としてのソースIC73により施された後、その補正後の輝度信号SG1、SG2・・が各DAC74から出力される。
上記のように1主走査期間においてN個のOLED101のうち、非発光のOLED101が存在する場合に発光期間をより長くとる制御は、例えば搬送される用紙Sごとにその用紙(シート)幅(搬送方向と直交する方向長さ:主方向に相当)が異なる場合に大サイズの用紙(大サイズ紙)よりも用紙幅(シート幅)の小さい用紙(小サイズ紙)に対するプリントの実行時に適用できる。
図17〜図19は、大サイズ紙と小サイズ紙とでOLED101の発光期間を異ならせる制御を説明するための図である。図17は、用紙幅と感光体ドラム11とプリントヘッド60上のN個のOLED101との関係を模式的に示す図であり、図18は、大サイズ紙と小サイズ紙に対する発光期間の違いを示す模式図であり、図19は、用紙幅に応じて発光期間を切り替える制御の内容を示すフローチャートである。
図17に示すように大サイズ紙Saの用紙幅(最大用紙幅:第1シート幅)がWa、小サイズ紙Sbの用紙幅(第2シート幅)がWb(<Wa)であり、大サイズ紙Saに対するプリントを行う場合に、感光体ドラム11上で最大用紙幅Waに相当する大きさの静電潜像を主方向に形成できるように、N個のOLED101a、101b・・101Nが主方向に一列に並べられている。
大サイズ紙Saに対するプリントを実行する場合には、最大N個のOLED101が使用され、大サイズ紙Saよりも用紙幅が短い小サイズ紙Sbに対するプリントを実行する場合には、N個のOLED101のうち、小サイズ紙Sbの用紙幅Wbに対応するOLED101だけが使用される。例えば、小サイズ紙Sbに対応するOLEDが101a〜101αであれば、残りの101β〜101NまでのOLEDは非発光とされる。
OLED101の非発光は、輝度信号SGとして非発光を示す信号が出力されることにより行われるので、小サイズ紙に対するOLED101β〜101Nへの輝度信号SGβ〜SGNは、図18に示すように全てが非発光を示す非発光信号列になる。
1主走査期間内に非発光信号列が存在している場合、上記のように非発光信号列の最初の輝度信号の書き込み開始時、同図の例では時点t5に強制消灯信号SVをオンからオフに切り替えて先行発光制御を開始すれば、それだけ1主走査期間における発光期間Ta2を長くとれることになる。
図18において、大サイズ紙と小サイズ紙のいずれが用いられる場合でも、1主走査期間の長さは同じであり、また輝度信号SG1、SG2・・の出力タイミング(周期)も同じ、すなわちドット回路100ごとに輝度信号SGのチャージ期間(消灯期間)も同じなので、大サイズ紙に対する1主走査期間における発光期間をTa、消灯期間をTb、小サイズ紙に対する1主走査期間における発光期間をTa2、消灯期間をTb2とすると、Tb2<Tb、Ta<Ta2の関係を満たし、小サイズ紙の方が大サイズ紙よりも1主走査期間における発光期間を長くとれることが判る。
例えば、小サイズ紙に、異なる複数の用紙幅の用紙が含まれる場合には、その用紙幅ごとに非発光信号列を構成する輝度信号SGの数が変わる。
具体的には、用紙幅が大サイズ紙よりも小さく小サイズ紙よりも大きい中サイズ紙であれば、非発光信号列を構成する輝度信号SGの数が小サイズ紙の場合の非発光信号列よりも少なくなり、例えば時点t6が非発光信号列における最初の輝度信号SGの書き込み開始時になれば、時点t6に発光期間が開始されることになる。
通常発光制御と先行発光制御の切り替えは、1枚の用紙Sに対するプリントごとに図19のフローチャートに示す処理が実行されることにより行われる。
図19に示すように、まず用紙幅の検出が実行される(ステップS1)。
この用紙幅の検出は、例えば給送部30に配された用紙サイズ検出センサー(不図示)などにより検出された用紙サイズ(A4サイズなど)からその幅方向長さが求められることにより行われる。また、ユーザーがプリントの実行指示の際に選択した用紙サイズを示す情報からその用紙幅を抽出して決定するとしても良い。
検出された用紙幅が予め決められている最大幅と等しいか否かを判断する(ステップS2)。最大幅と等しいことを判断すると(ステップS2で「YES」)、1主走査期間ごとに実行すべき制御を通常発光制御に設定して(ステップS3)、当該処理を終了する。
一方、最大幅と等しくないことを判断すると(ステップS2で「NO」)、1主走査期間ごとに実行すべき制御を先行発光制御に設定し(ステップS4)、検出された用紙幅の大きさに応じて各OLED101の発光量を基準値より低減させる補正制御の実行を設定して(ステップS5)、当該処理を終了する。
このように1枚の用紙に対するプリント毎にその用紙幅の大きさに応じて通常発光制御と先行発光制御を切り替えることにより、感光体ドラム11上への静電潜像の形成に必要な露光量を確保しつつOLED101の長寿命化を図ることが可能になる。
本発明は、光書込装置に限られず、例えば感光体などに光ビームを書き込む光書込方法であるとしても良い。また、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。さらに、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、ドット回路100ごとに駆動回路102とOLED101との間に設けられた遮断手段としての強制遮断スイッチ106の開閉の切り替えにより、駆動回路102とOLED101とを断続する構成としたが、これに限られない。
ドット回路100ごとに、消灯期間には、そのOLED101に電流が流れない遮断状態になり、発光期間にはその遮断解除により電流が流れる供給状態になるように切り替え可能な構成であれば良い。
図20は、変形例に係る回路構成を示す図である。
同図に示すように本変形例に係る回路は、ドット回路100ごとにその駆動回路102とOLED101間に強制遮断スイッチが設けられておらず、カソード電極ライン194と共通のアース端子195(GND)との間に強制遮断スイッチ201が設けられており、これらの点で実施の形態に係る回路構成(図7)と異なっている。
本変形例に係る回路では、消灯期間(チャージ期間)には強制消灯信号SVのオンにより強制遮断スイッチ201が開になって、全てのドット回路100におけるOLED101がアース端子195に接続される電源線としてのカソード電極ライン194から実質切断されたことと同じになり、全てのOLED101に共通電源180からの電流が流れない遮断状態になる。
一方で、発光期間には強制消灯信号SVのオフにより強制遮断スイッチ201が閉状態になって遮断が解除されることにより、全てのドット回路100においてOLED101に電流が流れる状態になる。
図20のような回路構成をとることにより、実施の形態と同様に、ドット回路100ごとにOLED101の発光量のばらつきが防止される。また、複数個のドット回路100のそれぞれに強制遮断スイッチを1つずつ設ける構成ではないので、ドット回路100の構成を簡素化することも可能になる。
(2)上記実施の形態では、ドット回路100ごとに、駆動回路102と強制遮断スイッチ106とOLED101とがこの順に共通電源180からの電流の流れる方向の上流から下流に並ぶ配置としたが、これに限られない。例えば、OLED101と強制遮断スイッチ106の順を入れ替えるとすることもできる。
(3)上記実施の形態では、P型のFETからなる駆動回路102を用いる構成例を説明したが、これに限られない。例えば、N型のFETからなる駆動回路を用いる構成とすることもできる。
図21は、本変形例の回路構成の例を示す図である。
同図に示すようにドット回路100は、共通電源180からの電流の流れる方向の上流から下流に沿って、強制遮断スイッチ106、OLED101、駆動回路102の順に並び、駆動回路102のゲート端子121と出力端子123(ソース)とが保持素子105を介して接続される構成になっている。
この構成では、1つのドット回路100において、チャージ期間には、強制遮断スイッチ106がオフ(実線の状態)になるとともにスイッチ104がオン(実線の状態)になり、各OLED101が電源ライン192から切断され、共通電源180からの電流がOLED101と駆動回路102に流れない状態で、輝度信号SGの保持素子105への書き込みが実行される。
一方、発光期間Tbには、強制遮断スイッチ106がオン(破線の状態)になるとともにスイッチ104がオフ(破線の状態)になり、共通電源180からの電流が駆動回路102においてゲート端子121と出力端子123(ソース)間の電圧(ソース−ゲート間電圧)Vgの大きさに応じた大きさの電流に制御されて、OLED101に流れ、OLED101が発光する。
上記の回路構成の場合でも、チャージ期間に強制遮断スイッチ106をオフ(開)にすることによりOLED101の発光量のばらつきを抑制することができる。
すなわち、チャージ期間に強制遮断スイッチ106をオン(閉)にすれば、共通電源180からの電流がOLED101、駆動回路102、カソード電極ライン194を介してアース端子195に流れる。
各ドット回路100のそれぞれは、カソード電極ライン194によりアース端子195と接続されるが、アース端子195からの配線距離が異なるため、共通電源180からOLED101を介してカソード電極ライン194に電流が流れる状態で輝度信号SGの書き込みを行えば、カソード電極ライン194の配線抵抗による電位降下の影響を受けて、ドット回路100ごとに駆動回路102の出力端子123(ソース)の電圧がアース端子195からの配線距離の長さに応じて異なることになる。同図の回路構成の場合、駆動回路102の出力端子123(ソース)の電圧が輝度信号SGの電圧との差をとるための基準の電圧、すなわち電圧Vgを決める基準の電圧になる。
ドット回路100ごとに、電圧Vgを決める基準となる出力端子123(ソース)の電圧が異なることになれば、各ドット回路100に同じ発光量を示す輝度信号SG1、SG2・・が出力されても、ドット回路100ごとに電圧Vgの大きさが異なることになり、各ドット回路100のOLED101の発光量にばらつきが生じてしまう。
そこで、チャージ期間に強制遮断スイッチ106をオフ(開)にして、電源ライン192からの電流が各ドット回路100を介してカソード電極ライン194に流れないようにすることで、各ドット回路100に対し、カソード電極ライン194に電流が流れる場合の電位降下の影響を排除した状態で輝度信号SGの書き込みを行えるようになる。
本変形例のようなN型のFETからなる駆動回路102を用いる場合は、出力端子123の電圧を輝度信号SGの電圧との差をとるための基準の電圧として用い、チャージ期間には、駆動回路102よりも上流側(入力端子122側)の電流経路を遮断する構成をとることができる。
一方、実施例のようにP型のFETからなる駆動回路102を用いる場合は、図5に示すように入力端子122の電圧を輝度信号SGの電圧との差をとるための基準の電圧として用い、チャージ期間には、共通電源180からの電流の流れる向きにおいて駆動回路102よりも下流側(出力端子123側)の電流経路を遮断する構成をとることができる。
いずれの場合でも、チャージ期間に、共通電源180に接続される電源線からOLED101を切断することにより、共通電源180の電圧(プラス側のVcまたはマイナス側の0V)を、輝度信号SGの電圧との差をとるための基準の電圧に用いることができるような回路構成をとることができる。
なお、図21において、例えばOLED101と駆動回路102の並びを入れ替える構成をとるとしても良い。
(4)上記実施の形態では、OLED101を薄膜トランジスタ(TFT)からなる駆動回路102、S/H回路103、強制遮断スイッチ106などと同一のTFT基板71上に形成するとしたが、これとは別の回路構成をとるとしても良い。
また、DAC74を備えるソースIC73が複数個のOLED101のそれぞれごとにそのOLED101に対する輝度信号SG(発光量を示す信号)を順番に出力する信号出力部を担当する構成例を説明したが、これに限られず、他の回路構成であって良い。
さらに、発光量を示す信号の電圧Vdacと駆動回路102の入力端子の電圧Vdとの差の電圧Vgの大きさに相当する量の電荷を、電圧Vgを指標する指標値としてコンデンサからなる保持素子105に注入して保持する構成としたが、これに限られない。
電圧Vgに相当する指標値を各保持素子に書き込んで保持させることが可能なサンプルホールド回路(書込手段)であれば良い。
例えば、保持素子105にRAMなどの記憶部を用い、チャージ期間にはその記憶部に電圧Vgを示す値(例えば、電圧値を示す情報)を書き込んで保持し、発光期間にはその記憶部に保持された情報が示す電圧Vgの大きさに応じた電流をOLED101に供給可能な駆動回路を配置する構成をとることも可能である。
また、上記では発光素子として、流れる電流量(電流の大きさ)に応じて発光量が変わる電流駆動型の発光素子であるOLED101を用いる例を説明したが、これに限られず、他の種類のもの、例えばLEDなどを発光素子として用いることもできる。また、駆動ドライバーの一例としての駆動回路102を電界効果トランジスタ(FET)とする構成例を説明したが、これ以外の回路を用いるとしても良い。
さらに、上記の各回路構成や各回路素子に限定されることもなく、輝度信号SGのチャージ期間にドット回路100(発光部)の発光素子に電流が流れない遮断状態にすることが可能な回路に適用することができる。
(5)上記実施の形態では、光書込装置をプリンター1に用いる構成例を説明したが、これに限られない。例えば、光ビームにより静電潜像などの画像が書き込まれる感光体ドラム11などの像担持体を有する複写機や複合機(MFP:Multiple Function Peripheral)等の画像形成装置に用いられる光書込装置に適用できる。また、画像形成装置以外の装置であり光ビームにより感光体などに書き込みを行う装置一般に適用できる。
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容を可能な限りそれぞれ組み合わせるとしても良い。
本発明は、光書込装置およびこれを備える画像形成装置に広く適用することができる。
1 プリンター(画像形成装置)
11 感光体ドラム11(像担持体)
13 露光部(光書込装置)
50 制御部
60 プリントヘッド
73 ソースIC
100 ドット回路
101 OLED(発光素子)
102 駆動回路(駆動ドライバー)
103 サンプル/ホールド回路(書込手段)
104 スイッチ
105 保持素子
106、201 強制遮断スイッチ(遮断手段)
109 シフトレジスタ
180 共通電源
192 電源ライン
194 カソード電極ライン
195 アース端子
198、199 配線抵抗
Ta、Ta1、Ta2 発光期間
Tb、Tb2 消灯期間
Wa、Wb 用紙幅

Claims (8)

  1. 共通電源から延伸された電源線に対して、複数の発光素子のそれぞれが駆動ドライバーを介して並列に接続されてなる光書込装置であって、
    前記各発光素子を前記電源線から切断するための遮断手段と、
    前記複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられる保持素子と、
    前記各発光素子への電源供給が遮断されているときに、前記各発光素子に対応するそれぞれの保持素子に、発光すべき発光量に相当する電圧と前記共通電源の電圧との差の電圧を指標する指標値を書き込む書込手段と、
    を備え、
    前記各駆動ドライバーは、
    前記遮断手段による電源供給の遮断が解除されたときに、前記電源線から供給される電流を、前記発光素子に対応する保持素子に保持されている指標値が示す電圧に応じて制御して当該発光素子に供給し、
    前記書込手段は、
    前記複数の保持素子のそれぞれに対して前記指標値を順番に書き込み、
    前記遮断手段は、
    最初に前記指標値が書き込まれる保持素子に対する当該書き込み開始から、最後に前記指標値が書き込まれる保持素子に対する当該書き込み終了までの書き込み期間に亘って前記電源供給の遮断を実行することを特徴とする光書込装置。
  2. 共通電源から延伸された電源線に対して、複数の発光素子のそれぞれが駆動ドライバーを介して並列に接続されてなる光書込装置であって、
    前記各発光素子を前記電源線から切断するための遮断手段と、
    前記複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられる保持素子と、
    前記各発光素子への電源供給が遮断されているときに、前記各発光素子に対応するそれぞれの保持素子に、発光すべき発光量に相当する電圧と前記共通電源の電圧との差の電圧を指標する指標値を書き込む書込手段と、
    を備え、
    前記各駆動ドライバーは、
    前記遮断手段による電源供給の遮断が解除されたときに、前記電源線から供給される電流を、前記発光素子に対応する保持素子に保持されている指標値が示す電圧に応じて制御して当該発光素子に供給し、
    前記書込手段は、
    前記複数の保持素子のそれぞれに対して前記指標値を順番に書き込み、
    前記遮断手段は、
    前記発光素子の個数がN個であり、N個の発光素子に対応するN個の保持素子のそれぞれに、その書き込み順に番号を付したとき、1番目からN番目までのうち、Q(但し、1<Q<N)番目以降の保持素子に対応する全ての発光素子が非発光の場合には、
    1番目に前記指標値が書き込まれる保持素子に対する当該書き込み開始から(Q−1)番目に前記指標値が書き込まれる保持素子に対する当該書き込み終了までの書き込み期間に亘って前記電源供給の遮断を実行することを特徴とする光書込装置。
  3. 前記遮断手段は、
    前記書き込み期間が終了すると、前記複数の発光素子に対して同時に前記遮断を解除することを特徴とする請求項またはに記載の光書込装置。
  4. 前記遮断手段は、
    前記複数の発光素子が前記電源線に対して並列接続されている回路における各列にそれぞれ設けられ、当該列に流れる電流の経路を開閉するスイッチであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光書込装置。
  5. 前記スイッチは、
    前記発光素子と前記駆動ドライバーとの間に設けられていることを特徴とする請求項に記載の光書込装置。
  6. 前記駆動ドライバーは、
    P型またはN型の電界効果トランジスタであり、
    前記保持素子は、
    コンデンサであり、
    当該コンデンサの一方端が前記電界効果トランジスタのゲートに接続され、当該コンデンサの他方端が前記電界効果トランジスタのソースに接続されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光書込装置。
  7. 前記発光素子は、有機LEDであり、
    前記駆動ドライバーと前記保持素子とが薄膜トランジスタにより形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光書込装置。
  8. 光書込部からの光ビームにより像担持体に画像を書き込む画像形成装置であって、
    前記光書込部として、請求項1〜のいずれか1項に記載の光書込装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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