以下、図面を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る無線通信システムについて説明する。
[第1の実施の形態の通信システム]
<無線通信システムの概要>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システム1のブロック図を示す。無線通信システム1は、第1の無線通信装置100と、第2の無線通信装置200−1と、第3の無線通信装置200−2とを備える。
第1の無線通信装置100は、受信装置として機能し、シンク機と称することがある。第2の無線通信装置200−1および第3の無線通信装置200−2は、送信装置として機能し、それぞれ、第1のソース機および第2のソース機またはソース機1およびソース機2と称することがある。
第2の無線通信装置200−1または第3の無線通信装置200−2は、映像音声入力処理部202を介して、外部のPC(Personal Computer)やメディアプレーヤ等のビデオ・音声出力端子に接続される。
第2の無線通信装置200−1または第3の無線通信装置200−2は、外部のPC(Personal Computer)やメディアプレーヤ等から映像データと音声データを受信すると、受信した映像音声データをアンテナ210から出力する。以下、映像データと音声データとの少なくとも一方のデータを含むものを「映像音声データ」という。
第1の無線通信装置100は、アンテナ110を介して第2の無線通信装置200−1または第3の無線通信装置200−2から映像音声データを受信する。受信した映像音声データは、映像音声出力処理部102を経由して外部のTVやプロジェクタなどの表示装置の映像・音声入力端子に出力される。表示装置はその出力された映像音声データを再生する。
本実施の形態では、2台の無線通信装置200−1,200−2を備えているが、3台以上であってもよい。
<無線通信装置200−1,200−2>
第2の無線通信装置200−1と第3の無線通信装置200−2とは同一の構成を有しているので、以下、第2の無線通信装置200−1について説明し、第3の無線通信装置200−2については、同一の部材に同一の符号を付して、説明は省略する。
第2の無線通信装置200−1は、制御部201と、これに接続されている映像音声入力処理部202、ユーザ入力装置203、装置情報記憶部204、無線通信情報記憶部205および無線通信処理部206とを備える。
映像音声入力処理部202は、外部のPCやメディアプレーヤ等のビデオ・音声出力端子に接続され、それらから映像音声データを受信する。映像音声入力処理部202として、後述する通り、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)の規格に準拠した通信インタフェースを用いることができる。その他に、映像音声入力処理部202として、DVI(Digital Visual Interface)、DISPLAY PORT等の規格に準拠したインタフェースを用いてもよい。
映像音声入力処理部202に入力された映像音声データは、制御部201の制御の下で、無線通信処理部206に入力される。
また、ユーザ入力装置203は、押し下げ式のボタンスイッチで構成されていて、ユーザがボタンを押し下げると、ユーザ入力を表す信号が出力されて制御部201に入力される。これにより、制御部201はユーザ入力を検知することになる。ユーザがボタンを押している時間の長さとボタンを押し下げた回数との組合せによって、出力信号の種別を異ならせることができる。
後述するように、例えば、ボタンスイッチを押し下げている時間が1秒以下の入力や1秒間に2回ボタンスイッチを押し下げることによる入力をユーザ入力Aとして、映像音声データの送出開始要求を行うための入力信号とすることができる。
また、例えば、ボタンスイッチを押し下げている時間が1秒を越えるが2秒以下の入力や1秒間に4回ボタンスイッチを押し下げることによる入力をユーザ入力Bとして、ソース機のロック済通知を行うため入力信号とすることができる。
この場合、ユーザ入力Bは、受信装置との映像音声データのデータ通信を占有することを示す占有情報を含む信号として機能する。なお、映像音声データのデータ通信には、同期用データや制御用データの通信は含まれない。このため、ユーザ入力Bによっては、同期用データや制御用データの通信は制限されない。
装置情報記憶部204は、無線通信装置固有のIDを記憶している。無線通信装置固有のIDは、第1の無線通信装置100、第2の無線通信装置200−1および第3の無線通信装置200−2のMACアドレスが望ましい。ただし、それに代えて、他の識別子であってもよい。
無線通信情報記憶部205は、無線通信で使用する周波数帯域や、映像音声データを送る帯域の予約情報、ストリームID、映像音声処理に必要なパラメータ等を記憶している。
制御部201は、映像音声入力処理部202、ユーザ入力装置203、装置情報記憶部204、無線通信情報記憶部205および無線通信処理部206を制御するもので、CPU(Central Processing Unit)およびメモリで構成される。制御部201は、メモリに記憶されたアプリケーション(ファームウェア、プログラム)に従って所定の機能を実行する。
プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、メモリカード等の記録媒体に記録された状態で提供される。この記録媒体をコンピュータの補助記憶装置に挿入すると、媒体に記録されたプログラムが読み取られる。CPUは、読み込んだプログラムをRAMあるいは外部記憶装置に書き込み、このプログラムにしたがって制御部201が機能する。ただし、プログラムは、記録媒体からではなくオンラインによって入手してもよい。
制御部201は、ユーザ入力装置203から信号が入力されると、その入力信号の種別の判別を行う。その判別は、例えば、ユーザがボタンを押している時間の長さやボタンを押し下げた回数に基づくことができる。例えば、1回の押し下げの持続時間が既定の時間を越えたか否か、1回の押し下げの持続時間が既定の時間を越えない場合には、既定の時間内に所定の回数の押し下げが行われたか否か等を基準として行う。また、制御部201は、第1の送信手段として機能する。
無線通信処理部206は、制御部201を経由して、映像音声入力処理部202から映像音声データを受信する。無線通信処理部206は、映像音声データを受信すると、その映像音声データをアンテナ210から無線送信する。その送信された映像音声データは、第1の無線通信装置100のアンテナ110から無線通信処理部106に伝送される。
<第1の無線通信装置100>
第1の無線通信装置100は、無線通信処理部106と、装置情報記憶部104と、無線通信情報記憶部105と、制御部101と、映像音声出力処理部102とを備える。第1の無線通信装置100は、映像音声データをTVやプロジェクタなどの表示装置に出力する出力装置として機能する。
無線通信処理部106は、第2の無線通信装置200−1または第3の無線通信装置200−2から同期用データ、制御データ、映像音声データを受信する。無線通信処理部206と無線通信処理部106との間の無線通信の手段または規格として、802.11無線LAN、WiMedia(IEEE [The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.] 802.15.3a, ECMA-368)、ミリ波による無線PAN(802.15.3c)などが適用される。無線通信処理部106は、無線通信処理部206から同期用データ、制御データ、映像音声データを受信すると、それらを制御部101に送信する。
装置情報記憶部104は、無線通信装置固有のIDを記憶している。無線通信装置固有のIDは、第1の無線通信装置100、第2の無線通信装置200−1および第3の無線通信装置200−2のMACアドレスが望ましい。ただし、それに代えて、他の識別子であってもよい。
無線通信情報記憶部105は、無線通信で使用する周波数帯域や、映像音声データを送る帯域の予約情報、ストリームID、映像音声処理に必要なパラメータ等を記憶している。
制御部101は、装置情報記憶部104、無線通信情報記憶部105、無線通信処理部106および映像音声出力処理部102を制御するもので、CPU(Central Processing Unit)およびメモリで構成される。制御部101は、メモリに記憶されたアプリケーション(ファームウェア、プログラム)に従って所定の機能を実行する。
プログラムは、記録媒体に記録されたものでもオンラインによって入手したものでもよい。
制御部101は、第2の無線通信装置200−1または第3の無線通信装置200−2からの同期用データによりそれらと同期処理を行う。
また、制御部101は、第2の無線通信装置200−1または第3の無線通信装置200−2からの制御データに基づいて、第2の無線通信装置200−1または第3の無線通信装置200−2との間での通信制御を実行する。
例えば、制御部101は、第2の無線通信装置200−1から送出開始要求があると、それに対し応答を送信する制御を実行する。また、制御部101は、第2の無線通信装置200−1から停止済通知が入力されると、それに対し応答を送信する制御を実行する。また、制御部101は、第2の送信手段として機能する。
また、制御部101は、無線通信処理部106から映像音声データを受信して映像音声出力処理部102に出力する。
映像音声出力処理部102は、図示せぬ表示装置の映像・音声入力端子に接続されていて、映像音声データをそれに出力する。映像音声出力処理部102として、後述する通り、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)の規格に準拠した通信インタフェースを用いる。その他に、映像音声出力処理部102として、DVI(Digital Visual Interface)、DISPLAY PORT等の規格に準拠したインタフェースを用いてもよい。
図2は、映像音声出力処理部102と映像音声入力処理部202との各々の構成の一例を示す。図2に示すように、映像音声出力処理部102と映像音声入力処理部202との各々は、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)の規格に準拠した通信インタフェースであり、HDMI(登録商標)送信機21とHDMI(登録商標)受信機22とからなる。
これにより、非圧縮デジタル形式の映像音声データが、第2の無線通信装置200−1または第3の無線通信装置200−2から第1の無線通信装置100に伝達される。HDMI(登録商標)送信機21からHDMI(登録商標)受信機22に伝達される信号の中で、H/V syncは、水平(horizontal)/垂直(vertical)の同期信号(synchronizing signal)である。
HDMI(登録商標)送信機21とHDMI(登録商標)受信機22との間で接続されている信号線の中でDDCは、(VESA)Display Data Channel方式のデータをやり取りする信号線である。また、CEC(Consumer Electronics Control)は、HDMI(登録商標)で規定される機器制御用信号とプロトコル通信用の信号線である。Hot Plug Detectは、ホットプラグ検出により端子の抜き差しを検出するための信号線である。
図3は、第1の無線通信装置100、第2の無線通信装置200−1および第3の無線通信装置200−2の間で送信される802.11無線LANのMAC(Medium Access Control)フレーム基本フォーマットの一例を示す。図3に示すように、802.11無線LANのMACフレーム基本フォーマットは、MACヘッダとフレーム・ボディとFCSとから構成されている。
MACヘッダには、フレーム制御用情報、送信側のMACアドレス、フレーム・ボディの変復調用データ(通信のレートなどに関するもの)などが含まれる。
また、MACヘッダには、映像音声信号を無線通信で伝送するための無線通信機器のMACアドレスが含まれる。
フレーム・ボディには、映像音声データが含まれる。
FCS(Frame Check Sequence)には、MACヘッダおよびフレーム・ボディについての誤り訂正符号が含まれる。
上記の通り、無線通信の規格として、802.11無線LAN以外にも、WiMediaやミリ波による無線PAN(802.15.3c)などを利用することができるが、これらの通信規格に対応するフレームの基本フォーマットは大きくは変わらない。
<データ送受信の第1例>
図4は、図1に示す無線通信システム1における送受信処理の第1例を示す。この例においては、第1の無線通信装置100と、第2の無線通信装置200−1と、第3の無線通信装置200−2とは、時分割多元接続(TDMA)(Time Division Multiple Access)通信方式により、同一周波数帯を時間的に複数に分割して通信を行う。時分割多元接続通信方式は、WiMediaやミリ波通信で使用される。
図4において、横軸は時間である。時分割多元接続通信方式の第1例では、ネットワークに参加する第1の無線通信装置100、第2の無線通信装置200−1および第3の無線通信装置200−2が、一定時間の周期で同期用データ(ビーコン)を送信する。
一定時間の周期は、スーパーフレームと称され、図4では、例示的に、連続するスーパーフレーム(1)、スーパーフレーム(2)、スーパーフレーム(3)を示す。
第1の無線通信装置100、第2の無線通信装置200−1および第3の無線通信装置200−2が、一定時間の周期で同期用データ(ビーコン)を送信すると、ネットワークへの参加やデータ通信の帯域予約交渉処理が行われる。
各スーパーフレーム内では、同期用データ以外に、制御用データの送受信やアプリケーションに応じた映像データや音声データの送受信が行われる。図4に示す例では、スーパーフレーム(1)、(2)では、ビーコンと映像音声データ(映像音声1,映像音声2)が送受信されており、スーパーフレーム(3)では、ビーコンと制御用データと映像音声データ(映像音声1,映像音声2)が送受信されている。
第1の無線通信装置100、第2の無線通信装置200−1および第3の無線通信装置200−2によってデータ通信の帯域予約交渉が行われる際、どの無線通信装置が、スーパーフレームのどの時間区間で映像データや音声データを送るのかが交渉されて決定される。
図4に示す例では、各スーパーフレーム(1),(2)または(3)により表される一定区間内において、第2の無線通信装置200−1と第3の無線通信装置200−2とから、1回ずつ交互に、映像音声データ送出可能な時間区間が決定されている。
なお、図4に示す例では、実線で示す映像音声データは、実際にデータが送信されたことを示し、破線で示す映像音声データは、時間帯は予約されているが実際には送信されなかったことを示している。
具体的に説明すると、図4において、最初の連続する2つのスーパーフレーム(1),(2)では、第2の無線通信装置200−1が、映像音声データ(映像音声1)を第1の無線通信装置100に送信した。これに対し、それらのフレームの間では、第3の無線通信装置200−2は、映像音声データ(映像音声2)を第1の無線通信装置100に送信しなかった。
スーパーフレーム(2)に続くスーパーフレーム(3)では、第1の無線通信装置100、第2の無線通信装置200−1および第3の無線通信装置200−2の間で制御用データの送受信が実行された。これにより、第2の無線通信装置200−1が映像音声データ(映像音声1)の送信を行わず、第3の無線通信装置200−2が映像音声データ(映像音声2)を第1の無線通信装置100に送信した。
<データ送受信の第2例>
図5は、図1に示す無線通信システム1における送受信処理の第2例を示す。この例においても、図4の例と同様に、第1の無線通信装置100と、第2の無線通信装置200−1と、第3の無線通信装置200−2とは、時分割多元接続(TDMA)(Time Division Multiple Access)通信方式により、同一周波数帯を時間的に複数に分割して通信を行う。時分割多元接続通信方式は、WiMediaやミリ波通信で使用される。
図5において、横軸は時間である。時分割多元接続通信方式の第2例では、ネットワークに参加する第1の無線通信装置100、第2の無線通信装置200−1および第3の無線通信装置200−2が、スーパーフレーム内で同期用データ(ビーコン)を送信する。
図4では、各スーパーフレーム(1),(2),(3)により表される一定区間内において1回ずつ交互に、第2の無線通信装置200−1と第3の無線通信装置200−2とから映像音声データ送出できる時間区間が決定されている。
これに対し、図5では、短い時間間隔で、第2の無線通信装置200−1から第1の無線通信装置100に送信できる時間区間と、第3の無線通信装置200−2から第1の無線通信装置100に送信できる時間区間とが交互に送出可能になっている。
このように短い間隔で交互に映像音声データが送出可能になると、図4の場合と異なる効果を得られる。
つまり、無線通信によって、第2の無線通信装置200−1または第3の無線通信装置200−2から映像音声データが第1の無線通信装置100に送信された後、第1の無線通信装置100から外部の表示装置の映像・音声入力端子に映像音声データが入力されることになる。この際、第2の無線通信装置200−1から第1の無線通信装置100までの映像音声データの到達時間と、第3の無線通信装置200−2から第1の無線通信装置100までの映像音声データの到達時間との差を短くすることができる。
第1の無線通信装置100が対応可能であれば、第2の無線通信装置200−1および第3の無線通信装置200−2から映像音声データを第1の無線通信装置100に同時に送信するようにしてもよい。
<無線通信システムの動作の一例>
図6は、本実施の形態に係る無線通信システムの動作の一例のシーケンス図である。無線通信システムは、第1の無線通信装置100(以下、「シンク機」と称す)、第2の無線通信装置200−1(以下、「ソース機1」と称す)または第3の無線通信装置200−2(以下、「ソース機2」と称す)からなる。
図6のシーケンスでは、ユーザが、映像音声を送出したい機器に接続されたソース機1またはソース機2にユーザ入力Aを行ったときの無線通信システムの動作を表している。
図6のシーケンスでは、まず、シンク機、ソース機1およびソース機2の間で、無線通信のための同期処理、接続処理および通信周波数帯域予約処理を行う(ステップS601)。同期処理、接続処理および通信周波数帯域予約処理は、例えば、WiMediaや無線PAN(802.15.3c)の規格に則った方法を用いることができる。
次に、ソース機1のユーザ入力装置203に対しユーザ入力Aがあると(ステップS602)、ソース機1は、シンク機に対し、制御用フレームによる送出開始要求を行う(ステップS603)。シンク機は、送出開始要求を受信すると、ソース機1に対し、この送出開始要求に対する応答を行う(ステップS604)。
次に、シンク機は、ソース機2に対し制御用フレームによる送出停止要求を行う(ステップS605)。ソース機2は、送出停止要求を受信すると、シンク機に対しこの送出停止要求に対する応答を行う(ステップS606)。
なお、ユーザ入力Aとして、ボタンスイッチを押している時間が1秒以下の入力信号や、1秒間に2回ボタンスイッチが押されたことによる入力信号を用いることができる。
次に、シンク機、ソース機1およびソース機2の間で、通信帯域の予約および削除が行われる(ステップS607)。
次に、シンク機が、ソース機1に送出開始応答を行い(ステップS608)、これに対し、ソース機1がシンク機に対し応答を行う(ステップS609)。
これにより、ソース機1からシンク機に映像音声データの送信が行われるようになる(ステップS611)。この映像音声データの送受信は、例えば、WiMediaや無線PAN(802.15.3c)の規格に則った方法を用いることができ、MACアドレスなどにより通信相手が識別される。映像音声データは、図3に示すMACフレーム基本フォーマットのフレーム・ボディに付帯されている。
一方、ソース機2は、映像音声データを送信する必要がないので、省電力モードへ移行する(ステップS610)ことが望ましい。省電力モードへの移行は、例えば、ソース機2の映像音声入力処理部202がハードウェアで構成されているときには、入力されるクロックや電源の供給を停止させることにより行う。
次に、ソース機2のユーザ入力装置203にユーザ入力Aがあり、ソース機2の省電力モードが解除されると(ステップS612)、ソース機2は、シンク機に対し、送出開始要求を行う(ステップS613)。シンク機は、送出開始要求を受信すると、ソース機2に対し、この送出開始要求に対する応答を行い(ステップS614)、さらに、ソース機1に対し送出停止要求を行う(ステップS615)。ソース機1は、シンク機に対し、送出停止要求に対する応答を行う(ステップS616)。
これにより、ソース機1は、シンク機に対する映像音声データの送出を停止して(ステップS617)、シンク機に対し停止済通知を行う(ステップS618)。これに対し、シンク機はソース機1に応答を行う(ステップS619)。
次に、シンク機、ソース機1およびソース機2の間で、通信帯域の予約および削除が行われる(ステップS620)。
次に、シンク機が、ソース機2に送出開始応答を行い(ステップS621)、これに対し、ソース機2がシンク機に応答を行う(ステップS622)。
これにより、ソース機2からシンク機に映像音声データの送信が行われる(ステップS623)。この映像音声データの送受信は、例えば、WiMediaや無線PAN(802.15.3c)の規格に則った方法を用いることができ、MACアドレスなどにより通信相手が識別される。映像音声データは、図3に示すMACフレーム基本フォーマットのフレーム・ボディに付帯されている。
一方、ソース機1は、映像音声データを送信する必要がないので、省電力モードへ移行する(ステップS624)ことが望ましい。省電力モードへの移行は、例えば、ソース機1の映像音声入力処理部202がハードウェアで構成されているときには、入力されるクロックや電源の供給を停止させることにより行う。
次に、図7を参照しながら、ソース機1が未ロック状態にある場合の無線通信システムの動作の一例を説明する。
図7のシーケンスにおいては、ソース機1がシンク機に映像音声データを送出している(ステップS701)。これは、図6に関連して説明したように、ソース機1が、シンク機に送出開始応答を行い、それに対し、シンク機が、ソース機1に対し応答を行った後に、ソース機1がシンク機に映像音声データを送出している状態である。
図7のシーケンスにおいて、ソース機1がシンク機に映像音声データを送出している当初、ソース機1は未ロック状態にある(ステップS702)。未ロック状態にあるということは、ロック状態にないことを意味する。ロック状態にあるということは、ロック状態にあるソース機1またはソース機2の一方のみが、シンク機に対し映像音声の送出が可能で、ロック状態にないソース機1またはソース機2に映像音声の伝送をする権利を譲らないことを意味する。
次に、ソース機1のユーザ入力装置203に対しユーザ入力Bがあると(ステップS703)、ソース機1は、シンク機に対し、制御用フレームによるロック済通知を行う(ステップS704)。
ここでは、ユーザ入力Bは、受信装置との映像音声データのデータ通信を占有することを示す占有情報を含む信号として機能する。ただし、映像音声データのデータ通信には、同期用データや制御用データの通信は含まれず、ユーザ入力Bによっては、同期用データや制御用データの通信は制限されない。
シンク機は、ロック済通知を受信すると、ソース機2に対し制御用フレームによるロック済通知を行う(ステップS705)。
ソース機2は、ロック済通知を受信すると、シンク機に対し、このロック済通知に対する応答を行う(ステップS706)。シンク機は、ソース機2からこの応答を受信すると、ソース機1に対し、ソース機1から受信したロック済通知に対する応答を行う(ステップS707)。
なお、ユーザ入力Bとして、例えば、ボタンスイッチを押し下げている時間が1秒を越えるが2秒以下の入力や1秒間に4回ボタンスイッチを押し下げることによる入力を用いることができる。
また、ソース機1がロック状態になっていることを示すロック済通知は、シンク機からソース機2に伝達しなくてもよい。シンク機は、ロック済通知を受信すると、その後、ロック済通知を行っていないソース機から送出開始要求を受信してもその要求には応答をしないからである。ただし、このソース機2の送出開始要求の無駄な送出を防ぐ観点からは、シンク機がソース機2にソース機1のロック済通知を行うことは望ましい。
このように、ソース機1は、ユーザ入力Bの入力があることにより、ロック状態になる。ロック状態では、ソース機2にユーザ入力Aの入力があり、シンク機に送出開始要求がされたとしても、その要求に対して応答はされないため、ソース機2が映像音声データの送出をすることはできない。
次に、図8を参照しながら、ロック状態にあるソース機1のロック状態が解除される場合の無線通信システムの動作のシーケンスの一例を説明する。
図8のシーケンスにおいて、ソース機1が、シンク機に映像音声データを送出しており(ステップS801)、さらに、ソース機1がロック状態にある(ステップS802)。
次に、ソース機1のユーザ入力装置203に対しユーザ入力Bがあると(ステップS803)、ソース機1は、シンク機に対し、制御用フレームによるロック解除済通知を行う(ステップS804)。シンク機は、ロック解除済通知を受信すると、ソース機2に対し制御用フレームによるロック解除済通知を行う(ステップS805)。
このように、ロック状態にあるソース機1にユーザ入力Bがあると(ステップS803)、ユーザ入力は、データ通信を占有することを示す占有情報を含む信号としては機能せず、ロック状態を解除するための信号として機能する。
ソース機2は、ロック解除済通知を受信すると、シンク機に対し、このロック解除済通知に対する応答を行う(ステップS806)。シンク機は、ソース機2からこの応答を受信すると、ソース機1に対し、ソース機1から受信したロック解除済通知に対する応答を行う(ステップS807)。
ソース機1のロック状態が解除された後に、ソース機2にユーザ入力Aがあると、図6のシーケンスにおいて、通信システムがステップS612以降の動作を行い、ソース機2が映像音声データを送出できるようになる(ステップS622)。
図8のシーケンスの例では、ユーザ入力Bがあるとソース機1のロック状態が解除されている。これに代わり、ロック状態の解除は、映像音声データの送出を行っているソース機からシンク機への通信が切断されたとき、ロック状態の時間が所定時間経過したとき、ビデオインタフェース端子の接続がきれたとき等に行われるようにしてもよい。所定時間経過は、例えば、1時間経過の場合が該当する。
次に、図9を参照しながら、図6から図8のシーケンスにおける、送出開始要求(ステップS603)、許可応答(ステップS604)、停止済通知(ステップS617)、受信応答(ステップS618)、ロック済通知(ステップS704,ステップS705)およびロック解除済通知(ステップS804,ステップS805)において送信されるメッセージM1からM4について説明する。
図9において、MACアドレス1、MACアドレス2およびMACアドレス3は、それぞれ、ソース機1、シンク機およびソース機2のMACアドレスである。
送出開始要求、許可応答、停止済通知、受信応答、ロック済通知およびロック解除済通知の情報は全て1ビットで表している。
同期用フレームまたは制御用フレームのヘッダに送信元のMACアドレスおよび送信先のMACアドレスを含め、ペイロードに、送出開始要求、許可応答、停止済通知、受信応答、ロック済通知およびロック解除済通知の情報を含めて送信を行う。これにより、ソース機1、シンク機およびソース機2が受信したメッセージの意味を把握することができる。
図10は、ソース機1またはソース機2にユーザ入力Aおよびユーザ入力Bがあったときのソース機1またはソース機2の処理のフローチャートを示す。以下の説明において、単に、「ソース機」と表記した場合には、ソース機1またはソース機2のどちらかであることを意味する。
最初に、シンク機の制御部101は、受信したデータが、ソース機からの制御用データであるか否かを判別する(ステップS1001)。シンク機の制御部101は、ステップS1001において、受信したデータがソース機からの制御用データではないと判別したときには、再度、ステップS1001の判別を繰り返す。
シンク機の制御部101は、ステップS1001において、受信したデータがソース機からの制御用データであると判別したときには、受信したデータは動作Aの制御用フレームであるか否かを判別する(ステップS1002)。ここで、動作Aは、映像音声データの送出に関するユーザの動作を意味する。例えば、動作Aとして、ユーザ入力装置203にユーザ入力Aをすることが該当する。
シンク機の制御部101は、ステップS1002において、受信したデータが動作Aの制御用フレームであると判別したときには、制御用データ送信元以外のソース機に、制御フレームにより送出停止要求を送信する(ステップS1003)。
次に、シンク機の制御部101は、複数のソース機との間で、通信帯域の削除と予約とを行う(ステップS1004)。続いて、シンク機の制御部101は、制御用データの送信元のソース機に、映像音声データの送出開始要求を行う(ステップS1005)。これにより、シンク機は、ソース機にユーザの動作Aが行われた場合の処理に関するフローを終了する。
一方、シンク機の制御部101は、ステップS1002において、受信したデータが動作Aの制御用フレームではないと判別したときには、続いて、受信したデータは動作Bの制御用フレームであるか否かを判別する(ステップS1006)。ここで、動作Bは、ソース機のロックの設定または設定の解除に関するユーザの動作を意味する。例えば、動作Bとして、ユーザ入力装置203にユーザ入力Bをすることが該当する。
シンク機の制御部101は、ステップS1006において、受信したデータは動作Bの制御用フレームではないと判別したときには、ステップS1001の処理に戻る。
シンク機の制御部101は、ステップS1006において、受信したデータは動作Bの制御用フレームであると判別したときには、制御用データの送信元以外のソース機に、受信した制御用フレームと同様の制御用フレームを送信する(ステップS1007)。これにより、シンク機は、ソース機にユーザの動作Bが行われた場合の処理に関するフローを終了する。
図11は、ソース機1またはソース機2にユーザ入力Aおよびユーザ入力Bがあったときのそれらの入力があったソース機1またはソース機2の処理のフローチャートを示す。以下の説明において、単に、「ソース機」と表記した場合には、ソース機1またはソース機2のどちらかであることを意味する。
まず、ソース機の制御部201は、ユーザ入力装置203に入力された信号がユーザ入力であるか否かを判別し(ステップS1101)、入力された信号はユーザ入力ではないと判別したときには、再度、ステップS1101の処理を行う。
ソース機の制御部201は、ステップS1101において、入力された信号はユーザ入力であると判別したときには、入力された信号がユーザ入力Aであるか否かを判別する(ステップS1102)。
ソース機の制御部201は、ステップS1102において、ユーザ入力はユーザ入力Aであると判別したときには、当該ソース機が映像音声送出中であるか否かを判別する(ステップS1103)。
ソース機の制御部201は、ステップS1103において、当該ソース機は映像音声送出中であると判別したときには、当該ソース機がロック状態にあるか否かを判別する(ステップS1104)。
ソース機の制御部201は、ステップS1104において、当該ソース機がロック状態にあると判別したときには、ロック状態を解除する(ステップS1105)。
ソース機の制御部201は、ステップS1104において、当該ソース機がロック状態にはないと判別したとき、または、ステップS1105において、ロック状態が解除されたときには、映像音声データの送出を停止する(ステップS1106)。
また、ソース機の制御部201は、ステップS1103において、当該ソース機は映像音声送出中ではないと判別したときには、シンク機に、制御フレームによって送出開始要求を送出する(ステップS1107)。
次に、ソース機は、例えば、当該ソース機がソース機1の場合には、ソース機1が、映像音声データの送出ができるように通信帯域の予約を行い(ステップS1108)、ステップS1101の処理に戻る。
一方、ソース機の制御部201は、ステップS1102において、入力された信号はユーザ入力Aではないと判別したときには、入力された信号はユーザ入力Bであるか否かの判別をする(ステップS1109)。
次に、ソース機の制御部201は、ステップS1109において、入力された信号はユーザ入力Bであると判別したときには、当該ソース機以外のソース機がロック中であるか否かを判別する(ステップS1110)。
ソース機の制御部201は、ステップS1110において、他のソース機はロック中ではないと判別したときには、当該ソース機は映像音声データの送出中であるか否かを判別する(ステップS1111)。
ソース機の制御部201は、ステップS1111において当該ソース機は映像音声データの送出中ではないと判別したときにステップS1101の処理に戻る。また、ステップS1110において他のソース機はロック中であると判別したときにもステップS1101の処理に戻る。さらに、ステップS1109において入力された信号はユーザ入力Bではないと判別したときにも、ステップS1101の処理に戻る。
ソース機の制御部201は、ステップS1111において、当該ソース機は映像音声データの送出中であると判別したときには、当該ソース機がロック状態にあるか否かを判別する(ステップS1112)。
ソース機の制御部201は、ステップS1112において、当該ソース機はロック状態にはないと判別したときには、当該ソース機にロック状態を設定する(ステップS1113)。次に、ソース機の制御部201は、シンク機に、制御フレームによってロック済通知を行い、ステップS1101の処理に戻る。
また、ソース機の制御部201は、ステップS1112において、当該ソース機はロック状態にあると判別したときには、シンク機への映像音声データの送出を停止する(ステップS1115)。
次に、ソース機の制御部201は、当該ソース機のロック状態を解除し(ステップS1116)、シンク機に、制御フレームによってロック解除済みの通知を行い、ステップS1101の処理に戻る。
次に、図12は、ソース機1またはソース機2が制御フレームを受信した時の処理のフローチャートを示す。単に、「ソース機」と表記した場合には、ソース機1またはソース機2のどちらかであることを意味する。
まず、ソース機の制御部201は、受信したデータが、シンク機からの制御フレームによるものであるか否かを判別する(ステップS1201)。ソース機の制御部201は、ステップS1201において、受信したデータが、シンク機からの制御フレームによるものではないと判別したときには、再度、ステップS1201の処理を繰り返す。
ソース機の制御部201は、ステップS1201において、受信したデータが、シンク機からの制御フレームによるものであると判別したときには、受信したデータは、制御フレームによるロック済の通知であるか否かを判別する(ステップS1202)。
ソース機の制御部201は、ステップS1202において、受信したデータは、制御フレームによるロック済の通知であると判別したときには、どのソース機がロック済状態であるかを記憶する(ステップS1203)。ソース機の判別は例えばMACアドレスによって行うことができる。この後、ソース機は制御フレームを受信した時の処理を終了する。
一方、ソース機の制御部201は、ステップS1202において、受信したデータは、制御フレームによるロック済の通知ではないと判別したときには、受信したデータは、制御フレームによるロック解除済みの通知であるか否かを判別する(ステップS1204)。
ソース機の制御部201は、ステップS1204において、受信したデータは、制御フレームによるロック解除済みの通知であると判別したときには、ロック済の状態のソース機がロック解除されたものと記憶する(ステップS1205)。これにより、ソース機の制御部201は、制御フレームを受信した時の処理を終了する。
また、ソース機の制御部201は、ステップS1204において、受信したデータは、制御フレームによるロック解除済みの通知ではないと判別したときには、ステップS1201の処理に戻る。
[第2の実施の形態の無線通信システム]
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システム2のブロック図を示す。図1に示す第1の実施の形態に係る無線通信システム1と比較すると、無線通信システム2において、第2の無線通信装置200A−1が、さらに、映像音声圧縮部207および映像音声記憶部208を備える点が異なる。また、第1の無線通信装置100が、さらに、映像音声伸長部107および映像音声記憶部108を備える点が異なる。無線通信システム1と無線通信システム2とにおいて、同一の符号が付されている構成要素は同一の機能を有するので重複する説明は省略する。
無線通信システム2は、第1の無線通信装置100A、第2の無線通信装置200A−1および第3の無線通信装置200A−2を備える。なお、第2の無線通信装置200A−1と第3の無線通信装置200A−2とは同一の構成であるため、第2の無線通信装置200A−1について説明を行い、第3の無線通信装置200A−2については、同一の符号を付して説明は省略する。
<第2の無線通信装置200A−1>
第2の無線通信装置200A−1においては、映像音声圧縮部207が、制御部201に接続されている。映像音声圧縮部207は、制御部201から、映像音声データを受信すると、その受信した映像音声データを圧縮する。
また、第2の無線通信装置200A−1においては、映像音声記憶部208が、制御部201および映像音声圧縮部207に接続されている。映像音声圧縮部207は、圧縮処理の際のバッファとして映像音声記憶部208を利用するとともに、圧縮した映像音声データを映像音声記憶部208に格納する。
この構成により、その映像音声データが圧縮処理をするように設定されている場合には、制御部201は、映像音声入力処理部202から映像音声データを受信すると、その映像音声データを映像音声圧縮部207に入力して圧縮を行わせる。制御部201は、その圧縮した映像音声データを映像音声記憶部208に格納する。
それから、制御部201は、所定の制御下において、映像音声記憶部208に格納されている圧縮された映像音声データを無線通信処理部206を経由して、第1の無線通信装置100Aに送信する。
<第1の無線通信装置100A>
第1の無線通信装置100Aにおいては、映像音声伸長部107が、制御部101に接続されている。映像音声伸長部107は、制御部101から、圧縮された映像音声データを受信すると、その映像音声データに伸長処理を行う。
また、第1の無線通信装置100Aにおいては、映像音声記憶部108が、制御部101および映像音声伸長部107に接続されている。映像音声伸長部107は、映像音声記憶部108を伸長処理の際のバッファとして利用するとともに、伸長した映像音声データを映像音声記憶部108に格納する。
この構成により、その映像音声データが圧縮処理されている場合には、制御部101は、無線通信処理部106から映像音声データを受信すると、その映像音声データを映像音声伸長部107に入力して伸長処理をさせる。制御部101は、その伸長した映像音声データを映像音声記憶部108に格納する。
それから、制御部101は、所定の制御下において、映像音声記憶部108に格納されている映像音声データを映像音声出力処理部102を経由して外部の表示装置に送信する。
無線通信システム2のように、映像音声データを圧縮することで、映像音声データの容量を削減することができるため、無線通信処理部206,106における負荷を減少させることができる。また、通信帯域が狭い場合にも、フレームレートを下げなくてもよくなるため、無線通信における時間的な遅れを減少させることができる。
この実施の形態では、圧縮および伸長を行わない設定の映像音声データを用いてもよい。また、第1の無線通信装置100Aの制御部101が、第2の無線通信装置200A−1および第3の無線通信装置200A−2からの映像音声データを同時に、間引いて映像音声記憶部108に格納するようにしてもよい。これにより、制御部101が、第2の無線通信装置200A−1および第3の無線通信装置200A−2からの映像音声データを合成して同時に映像音声出力処理部102に転送することができる。
また、第2の無線通信装置200A−1および第3の無線通信装置200A−2からの映像音声データを合成して略同時に映像音声出力処理部102に転送することにより、モニターなどの表示装置に、それらの合成した映像音声データを略同時に表示させることができる。
また、第2の無線通信装置200A−1および第3の無線通信装置200A−2からの映像音声データの映像が、空間的に少し離されて撮影された少し差異があるカメラ映像である場合がある。この場合には、制御部101は、それらの映像音声データを映像音声記憶部108を利用して合成することにより3D映像として表示させることができる。
[第3の実施の形態の無線通信システム]
図14は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム3のブロック図を示す。図1に示す第1の実施の形態に係る無線通信システム1と比較すると、無線通信システム3は、第2の無線通信装置200B−1および第3の無線通信装置200B−2が、表示部209を備える点が異なる。
また、無線通信システム3は、第1の無線通信装置100Bが、表示部109を備える点も異なる。無線通信システム1と無線通信システム3とにおいて、同一の符号が付されている構成要素は同一の機能を有するので重複する説明は省略する。
無線通信システム3は、第1の無線通信装置100B、第2の無線通信装置200B−1および第3の無線通信装置200B−2を備える。なお、第2の無線通信装置200B−1と第3の無線通信装置200B−2とは同一の構成であるため、第2の無線通信装置200B−1について説明を行い、第3の無線通信装置200B−2については、同一の符号を付して説明は省略する。
<第2の無線通信装置200B−1>
第2の無線通信装置200B−1においては、表示部209が、制御部201に接続されている。表示部209は、ユーザ入力装置203に対して行われた操作内容を表示する。具体的には、表示部209は、ユーザ入力装置203のボタンスイッチが、所定の時間と比較された上で、押された時間を表示する。これにより、ユーザは、ユーザ入力装置203のボタンスイッチを、所定の時間よりも長い時間押し下げたか否かを容易に判断することができる。
表示部209は、LED(Light Emitting Diode)、LCD(Liquid Crystal Display)、液晶パネル等であることが望ましい。また、表示部209にタッチパネルを組み込み、タッチパネルの部分において、表示部209にユーザ入力装置203の機能を持たせるようにしてもよい。
<第1の無線通信装置100B>
第1の無線通信装置100Bにおいては、表示部109が、制御部101に接続されている。表示部109は、第1の無線通信装置100Bの処理内容を表示する。具体的には、例えば、表示部109に、映像音声出力処理部102が、映像音声データを出力中であることが表示される。
表示部109は、LED(Light Emitting Diode)、LCD(Liquid Crystal Display)、液晶パネル等であることが望ましい。
この実施の態様によると、第2の無線通信装置200B−1および第3の無線通信装置200B−2においては、操作内容を表示できることにより、ユーザは操作内容を確認しつつ操作を行うことができる。例えば、誤操作を確認できるため、操作をやり直すことができる。また、第1の無線通信装置100Bでは、当該装置の処理内容を表示できることにより、ユーザは処理の状況を把握することができる。
<無線通信システム3の動作>
図15は、無線通信システム3の第2の無線通信装置200B−1および第3の無線通信装置200B−2に設けた表示部209に関する制御部201の制御のフローチャートである。
まず、制御部201は、ユーザ入力装置203に入力があると、その入力が、所定のユーザ入力の信号であるか否かを判別する(ステップS1501)。この判別は、例えば、第1の所定の時間t1および第2の所定の時間t2を設定し、ユーザ入力装置203のボタンスイッチを押し下げる時間がt1よりも短いか否かを基準とし、ユーザ入力ではないと判別する。t2は、ボタンスイッチが長押しであるか否かを判別する基準として用いる。
制御部201は、ステップS1501において、ユーザ入力装置203の入力が、所定のユーザ入力でないと判別したときには、再度、ステップS1501の処理を繰り返す。
制御部201は、ステップS1501において、ユーザ入力装置203の入力が、所定のユーザ入力であると判別したときには、そのユーザ入力が長押しされたものであるか否かを判別する。この判別は、上記の第2の所定の時間t2の比較によって行ってもよい。
制御部201は、ステップS1502において、ユーザ入力が長押しされたものであると判別したときには、表示部209に、ユーザ入力装置203に長押し動作があった旨を表示する(ステップS1504)。
一方、制御部201は、ステップS1502において、ユーザ入力は長押しされたものではないと判別したときには、表示部209に、ユーザ入力装置203に非長押し動作があった旨を表示する(ステップS1503)。
制御部201は、ステップS1503またはステップS1504の処理が終了すると、この表示部209に関する制御部201の制御を終了する。
ユーザ入力の表示に代えて、表示部209に、第2の無線通信装置200B−1または第3の無線通信装置200B−2から、第1の無線通信装置100Bに、映像音声データを出力中であることを表示するようにしてもよい。
また、映像音声データを伝送中である場合には、表示部209に、転送レートなどの通信品質や映像品質を表示するようにしてもよい。映像品質としては、解像度などのパラメータを表示するようにしてもよい。
図16は、無線通信システム3の第2の無線通信装置200B−1および第3の無線通信装置200B−2に設けた表示部209に関する制御部201の制御の他の例に係るフローチャートである。
まず、第2の無線通信装置200B−1または第3の無線通信装置200B−2(以下、「ソース機」と称する)の制御部201は、受信したデータが、第1の無線通信装置100B(以下、「シンク機」と称する)からの制御フレームによるものであるか否かを判別する(ステップS1601)。
制御部201は、ステップS1601において、受信したデータが、シンク機からの制御フレームによるものではないと判別したときには、再度、ステップS1601の処理を繰り返す。
制御部201は、ステップS1601において、受信したデータが、シンク機からの制御フレームによるものであると判別したときには、受信したデータは、制御フレームによるロック済の通知であるか否かを判別する(ステップS1602)。
制御部201は、ステップS1602において、受信したデータは、制御フレームによるロック済の通知であると判別したときには、どのソース機がロック済状態であるかを記憶する(ステップS1603)。ソース機の判別は例えばMACアドレスによって行うことができる。続けて、制御部201は、表示部209に、当該ソース機以外のソース機がロックした状態にある旨を表示して、制御フレームを受信したときの表示部209の表示処理を終了する。
一方、制御部201は、ステップS1602において、受信したデータは、制御フレームによるロック済の通知ではないと判別したときには、受信したデータは、制御フレームによるロック解除済みの通知であるか否かを判別する(ステップS1605)。
制御部201は、ステップS1605において、受信したデータは、制御フレームによるロック解除済みの通知であると判別したときには、ロック済の状態のソース機がロック解除されたと記憶する(ステップS1606)。続けて、制御部201は、表示部209に、当該ソース機以外のソース機がロック解除された状態にある旨を表示して、制御フレームを受信したときの表示部209の表示処理を終了する。
また、制御部201は、ステップS1605において、受信したデータは、制御フレームによるロック解除済みの通知ではないと判別したときには、ステップS1601の処理に戻る。
この実施の形態によると、どのソース機がロック状態にあるのか、または、どのソース機がロック解除状態にあるのかが表示部で容易に確認することができる。
[第4の実施の形態の無線通信システム]
図17は、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム4のブロック図を示す。図1に示す第1の実施の形態に係る無線通信システム1と比較すると、無線通信システム4は、第2の無線通信装置200C−1および第3の無線通信装置200C−2の無線通信処理部206が、データ暗号・復号化部211を備える点が異なる。
また無線通信システム4は、第1の無線通信装置100Cの無線通信処理部106が、データ暗号・復号化部111を備える点も異なる。無線通信システム1と無線通信システム4とにおいて、同一の符号が付されている構成要素は同一の機能を有するので重複する説明は省略する。
無線通信システム4は、第1の無線通信装置100C、第2の無線通信装置200C−1および第3の無線通信装置200C−2を備える。なお、第2の無線通信装置200C−1と第3の無線通信装置200C−2とは同一の構成であるため、第2の無線通信装置200C−1について説明を行い、第3の無線通信装置200C−2については、同一の符号を付して説明は省略する。
<第2の無線通信装置200C−1>
第2の無線通信装置200C−1においては、データ暗号・復号化部211が、無線通信処理部206に設けられている。
データ暗号・復号化部211は、第1の無線通信装置100Cと同一のアルゴリズムでマスター鍵を生成する。また、データ暗号・復号化部211は、そのマスター鍵と第1の無線通信装置100CのMACアドレスから暗号鍵を生成する。
データ暗号・復号化部211は、マスター鍵の生成、暗号鍵の生成の際に、無線LANのWPS(Wi-Fi Protected Setup)規格のプッシュボタン方式を利用してもよい。具体的にはソース機とシンク機とのプッシュボタンをそれぞれ押して暗号化処理の準備をする。
また、データ暗号・復号化部211は、暗号鍵で第1の無線通信装置100Cへ送信する映像音声データを暗号化する。データ暗号・復号化部211により暗号化されたデータ(暗号化データ)は、無線通信処理部206から第1の無線通信装置100Cの無線通信処理部106へ送信される。
<第1の無線通信装置100C>
第1の無線通信装置100Cにおいては、データ暗号・復号化部111が、無線通信処理部106に設けられている。
データ暗号・復号化部111は、第2の無線通信装置200C−1と同一のアルゴリズムでマスター鍵を生成する。データ暗号・復号化部111は、マスター鍵と、第1の無線通信装置100CのMACアドレスに基づいて、暗号鍵に対する復号鍵を取得する。例えば、データ暗号・復号化部111は、鍵発行センタ(図示なし)から復号鍵を取得するようにしてもよい。データ暗号・復号化部111は、復号鍵により第2の無線通信装置200C−1から受信した暗号化されたデータ(暗号化データ)を復号し、制御部101に入力する。
<無線通信システム4の動作>
図18は、無線通信システム4の動作のシーケンスの一例を示す。
図18のシーケンスでは、まず、シンク機、ソース機1およびソース機2の間で、無線通信のための同期処理、接続処理および通信周波数帯域予約処理を行う(ステップS1801)。同期処理、接続処理および通信周波数帯域予約処理は、例えば、WiMediaや無線PAN(802.15.3c)の規格に則った方法を用いることができる。
次に、ソース機1のデータ暗号・復号化部211がマスター鍵を生成する(ステップS1802)。
また、シンク機のデータ暗号・復号化部111がマスター鍵を生成する(ステップS1803)。
次に、ソース機1とシンク機との間で、暗号鍵の生成・共有が行われる(ステップS1804)。例えば、ソース機1のデータ暗号・復号化部211は、マスター鍵とシンク機のMACアドレスとに基づいて、暗号鍵を生成する。シンク機は、マスター鍵とシンク機のMACアドレスに基づいて復号鍵を取得する。
次に、ソース機1のユーザ入力装置203に対しユーザ入力Aがあると(ステップS1805)、ソース機1は、シンク機に対し、制御用フレームによる送出開始要求を行う(ステップS1806)。シンク機は、送出開始要求を受信すると、ソース機2に対し制御用フレームによる送出停止要求を行う(ステップS1807)。
ソース機2は、送出停止要求を受信すると、シンク機に対し、送出停止要求に対する応答を行う(ステップS1808)。シンク機は、その応答を受信すると、ソース機1に対し、送出開始要求に対する応答を行う(ステップS1809)。
これにより、ソース機1からシンク機に、暗号化された映像音声データの送信が行われる(ステップS1811)。この映像音声データの送受信は、例えば、WiMediaや無線PAN(802.15.3c)の規格に則った方法を用いることができ、MACアドレスなどにより通信相手が識別される。映像音声データは、図3に示すMACフレーム基本フォーマットのフレーム・ボディに付帯されている。
一方、ソース機2は、映像音声データを伝送しないので、省電力モードに移行すること(ステップS1810)が望ましい。省電力モードへの移行は、例えば、ソース機2の映像音声入力処理部202がハードウェアで構成されているときには、入力されるクロックや電源の供給を停止させることにより行う。
本実施の形態によれば、映像音声データを暗号化して送信するため、映像音声データが無線伝送の際に盗聴される可能性を低減できる。このため、セキュリティの高いシステムを構築できるようになる。
上記の通り、本発明はいくつかの実施の形態に基づいて説明したが、それらは例示にすぎず、当業者は、さまざまな変形例や代替例を想起することができるであろう。本発明は、特許請求の範囲に基づいて解釈されるものであり、それを逸脱することなく、さまざまな変形例や代替例を包含するものである。