JP6225441B2 - 撮影レンズ及びこの撮影レンズを有する撮像装置 - Google Patents

撮影レンズ及びこの撮影レンズを有する撮像装置 Download PDF

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Description

本発明は、撮影レンズ及びこの撮影レンズを有する撮像装置に関する。
デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の電子撮像装置では、撮像素子によるモアレ縞や偽色等のノイズを低減させるために、複屈折を利用した光学的ローパスフィルタが用いられている(例えば、特許文献1参照)。このような光学的ローパスフィルタによりノイズが低減される反面、高周波成分の解像力も劣化する。
特開2004−301891号公報
一般的に、光学的ローパスフィルタはカメラボディに内蔵されていることから、レンズの光学性能に合わせてノイズ低減と解像力低下を制御することができないという課題があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、ノイズ低減効果と解像力劣化をレンズの撮影距離の光学性能に合わせて制御することができる撮影レンズ及びこの撮影レンズを有する撮像装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る撮影レンズは、撮影距離を変化させることにより合焦可能な撮影レンズであって、入射した光線を2つの光線に分離させて射出する複屈折板を少なくとも1枚有する光学的ローパスフィルタを有し、この光学的ローパスフィルタは、少なくとも2つの異なる撮影距離状態において、近軸光線追跡により光学的ローパスフィルタに入射する光線の入射角度と当該光線が像面に入射する入射角度との角度比が異なる位置に配置され、光学的ローパスフィルタは、少なくとも2つの撮影距離状態のうち、光学性能が良い撮影距離状態における角度比が、光学性能が悪い撮影距離状態における角度比より大きくなる位置に配置されることを特徴とする。
また、本発明に係る撮影レンズは、撮影距離を変化させることにより合焦可能な撮影レンズであって、入射した光線を2つの光線に分離させて射出する複屈折板を少なくとも1枚有する光学的ローパスフィルタを有し、この光学的ローパスフィルタは、少なくとも2つの異なる撮影距離状態において、近軸光線追跡により光学的ローパスフィルタに入射する光線の入射角度と当該光線が像面に入射する入射角度との角度比が異なる位置に配置され、光軸上の幅よりも周辺部の幅の方が小さい形状を有する複屈折板を少なくとも1枚有することを特徴とする。
また、このような撮影レンズは、撮像素子を有するカメラボディに着脱可能な交換レンズであることが好ましい。
また、本発明に係る撮像装置は、上述の撮影レンズのいずれかを有することを特徴とする。
本発明を以上ような構成とすると、ノイズ低減効果と解像力劣化とをレンズの撮影距離の光学性能に合わせて制御することができる撮影レンズ及びこの撮影レンズを有する撮像装置を提供することができる。
撮像装置の構成を示す説明図である。 第1実施例に係る撮影レンズの合焦における動作を示す説明図であって、(a)は無限遠合焦状態を示し、(b)は至近合焦状態を示す。 第1実施例に係る撮影レンズのレンズ構成図である。 第1実施例に係る撮影レンズのスポットダイヤグラムであって、(a)は無限遠状態を示し、(b)は至近合焦状態を示す。 第2実施例に係る撮影レンズの合焦における動作を示す説明図であって、(a)は無限遠合焦状態を示し、(b)は至近合焦状態を示す。 第2実施例に係る撮影レンズのレンズ構成図である。 第2実施例に係る撮影レンズのスポットダイヤグラムであって、(a)は無限遠合焦状態を示し、(b)は至近合焦状態を示す。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置100では、撮影レンズSL等からなる撮影光学系により、像面Iに結像された被写体の像をCCD等からなる撮像素子Cを用いて撮影を行う。この撮像素子Cは受光画素が規則的に配列されているので、受光画素の配列パターンと被写体像のパターンとにより、モアレ縞や偽色等のノイズが発生する場合がある。このような現象を低減させるために、本実施形態に係る撮影レンズSLでは、この撮影レンズSL内(この撮影レンズSLの最も物体側のレンズ面から撮像素子Cまでの間)に光学的ローパスフィルタFLを配置している。この光学的ローパスフィルタFLは、複屈折部材(以下、「複屈折板」と呼ぶ)を有し、この複屈折板による光の複屈折を利用して入射光線を常光線と異常光線(直線光線)とに分離することにより、ある程度以上の細かさの模様をぼかすことで撮像素子Cで発生する上記ノイズを低減させるものである。すなわち、撮影レンズSLに光学的ローパスフィルタFLを設けることにより、撮像素子Cの画素ピッチを波長とする空間周波数成分が被写体光からカットされ、ノイズが低減される。その反面、高周波成分の解像力も劣化する。なお、このような複屈折部材としては、複屈折を起こす材料、異方性を有する材料、又は、1軸結晶の材料が用いられる。
また、本実施形態に係る撮像装置100は、撮像素子Cや、この撮像素子Cで取得された信号を処理してデジタル画像を生成するCPU(図示せず)や、撮影したデジタル画像を表示する背面液晶ディスプレイD等が搭載されたカメラボディBと、このカメラボディBに取り付けられ、撮影レンズSLが内蔵されたレンズユニットCLとから構成される。なお、レンズユニットCLは、カメラボディBと一体に構成されていても良いし、カメラボディBに対して着脱可能な交換レンズであっても良い。
ここで、上述した撮影レンズSLは、図2に示すように、この撮影レンズSLを構成するレンズ群の少なくとも一部を光軸方向に移動させることにより、撮影距離を変化させて被写体に合焦させるように構成されている。例えば、図2の場合、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3及び第4レンズ群G4からなる4群構成の撮影レンズSLであって、無限遠合焦状態から至近物点に合焦する際に、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2を光軸に沿って物体側に移動させ、第3レンズ群G3及び第4レンズ群G4を光軸に沿って像側に移動するように構成されている。
撮影レンズSLがこのような合焦機能を有する場合、撮影距離によって光学性能(収差)が変化する。そのため、光学性能が良い(発生する収差が小さい)撮影距離では撮影レンズSLの解像力が良くなるため、光学的ローパスフィルタFLにより高周波成分の解像力を下げてノイズの発生を防止し、光学性能が悪い(発生する収差が大きい)撮影距離では、撮影レンズSLの解像力が悪くなりノイズが発生しにくくなるため、光学的ローパスフィルタFLにより高周波成分の解像力が下がらないようにする制御が必要となる。具体的には、光学的ローパスフィルタによる常光線と異常光線の分離幅を、少なくとも撮影レンズSLの無限遠合焦端側及び至近合焦端側の所定の撮影距離状態で異なるように構成する。なお、このような撮影レンズSLにおいて解像力に影響する収差としては、光軸付近においては特に球面収差が影響し、周辺部では特にコマ収差が影響する。
撮影レンズSLに配置された光学的ローパスフィルタFLによる光線の分離幅は、近軸光線追跡において求められた、この光学的ローパスフィルタFLに入射する光線の入射角度aと、この光線が像面Iに入射するときの入射角度bとの角度比β(=a/b)に比例する。そのため、撮影レンズSLの光学性能(解像力)が至近合焦端側より無限遠合焦端側の方が良い場合(至近合焦端側より無限遠合焦端側の方の収差の発生が少ない場合)には、次式(1)を満足するような位置に光学的ローパスフィルタFLを配置し、反対に無限遠合焦端側より至近合焦端側の方が光学性能(解像力)が良い場合(無限遠合焦端側より至近合焦端側の方が収差の発生が少ない場合)には、次式(2)を満足するような位置に光学的ローパスフィルタFLを配置する。
−1 < βnear/βinf < 1 (1)
−1 < βinf/βnear < 1 (2)
但し、
βinf :無限遠合焦端側の角度比
βnear:至近合焦端側の角度比
なお、撮影レンズSLにおいて光学的ローパスフィルタFLを配置する位置は、撮影距離を変化させて、それぞれの撮影距離状態で近軸光線追跡によりこの撮影レンズSLを構成する各レンズ面に入射する光線の入射角度を求め、解像力(収差)との関係において、角度比β(βinf,βnear)が上記条件式(1)又は(2)を満足する位置を決定する。このとき、2つの撮影距離状態で上記条件を満足する場合に限定されることはなく、複数の撮影距離状態で、それぞれの光学性能(解像力又は収差)に応じて、適切な分離幅となるような角度比を満足する位置に光学的ローパスフィルタFLを配置すると、変倍に際してノイズと解像力のバランスを最適に保つことができる。特にマクロレンズで効果的である。
また、光学的ローパスフィルタFLは、複屈折板と、紫外線及び赤外線を除去するUVカットフィルタ及びIRカットフィルタを貼り合わせた構成としても良いし、これらのフィルタを個別に配置しても良い。個別に配置する場合には、複屈折板を上述した条件を満足する位置に配置することが必要である。なお、光学的ローパスフィルタFLは、図1に示すように、1枚の複屈折板により入射光線を2つの光線に分けるように構成しても良いし、2枚の複屈折板をその分離方向が略直交するように配置し、さらにこれらの複屈折板の間にλ/4板を設けて、入射光線を4つの光線に分けるように構成しても良い。
なお、後述する実施例に示すように、一般的に撮影レンズSLの収差は、中心部(光軸付近)に比べて周辺部(光軸から離れた部分)の方が大きくなる傾向にある。すなわち、このような撮影レンズSLにおいては、中心部の光学性能(解像力)が高く、周辺部の光学性能(解像力)が中心部に比べて低くなる。そのため、光学的ローパスフィルタFLは、像面Iの中心部においては分離幅を大きくしてノイズの発生を抑え、周辺部においては分離幅を小さくして解像力の低下を抑えるように構成されることが望ましい。光学的ローパスフィルタFLを構成する複屈折板は、その厚さ(光が透過する距離)に分離幅が比例するため、この複屈折板の中心部(光軸付近)の厚さを厚くし、周辺部の厚さを薄くすることにより、中心部と周辺部の分離幅を変化させることができる。具体的には、光学的ローパスフィルタFLを構成する複屈折板のうちの少なくとも1枚の複屈折板の少なくとも1面が凸形状を有している(凸レンズ形状とする)ことにより、上記要件を満たすことができる。
以下に、合焦機能を有する撮影レンズSLに対して、適切な位置に光学的ローパスフィルタFLを配置した実施例を、図面に基づいて説明する。なお、図2及び図3は第1実施例に係る撮影レンズSL1の構成を示し、図5及び図6は第2実施例に係る撮影レンズSL2の構成を示している。
[第1実施例]
図2及び図3は、第1実施例に係る撮影レンズSL1の構成を示す図である。この撮影レンズSL1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、から構成されている。また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12とを接合した接合レンズ及び物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22とを接合した接合レンズで構成されている。また、第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL32とを接合した接合レンズ、及び、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL33と両凹レンズL34とを接合した接合レンズから構成されている。また、第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL41と両凸レンズL42とを接合した接合レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL44から構成されている。
なお、この第1実施例に係る撮影レンズSL1において、光学的ローパスフィルタFLは、図3に示すように、1枚の複屈折板DRにより入射光線を2つの光線に分けるように構成されおり、第1レンズ群G1の接合レンズを構成する両凸レンズL12と正メニスカスレンズL13との間に配置されている。また、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間に開口絞りSが配置されている。また、第4レンズ群G4の接合レンズを構成する両凸レンズL42と負メニスカスレンズL43との間に、フレアカット絞りFSが配置されている。また、この撮影レンズSL1は、図2に示すように、無限遠合焦状態から至近物点に合焦する際に、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2が光軸に沿って物体側に移動し、第3レンズ群G3及び第4レンズ群G4が光軸に沿って像側に移動する。この際、光学的ローパスフィルタFLは第1レンズ群G1とともに移動し、開口絞りSは第3レンズ群G3とともに移動し、フレアカット絞りFSは第4レンズ群G4とともに移動する。
以下の表1に、本第1実施例に係る撮影レンズSL1の諸元の値を掲げる。この表1の全体諸元において、fは焦点距離を表し、FNOはFナンバーを表している。また、レンズデータにおいて、第1欄mは、光線の進行する方向に沿った物体側からの光学面の順序(面番号)を、第2欄rは、各光学面の曲率半径を、第3欄dは、各光学面から次の光学面までの光軸上の距離(面間隔)を、第4欄νd及び第5欄ndは、それぞれd線(波長λ=587.6nm)に対するアッべ数及び屈折率を示している。なお、この表1に示す面番号1〜25は、図3に示す番号1〜25に対応している。また、曲率半径0.0000はレンズ面においては平面を示し、開口絞りS及びフレアカット絞りFSにおいては開口を示す。また、空気の屈折率1.00000は省略してある。
ここで、以下の全ての諸元値において掲載されている焦点距離f、曲率半径r、面間隔d、その他長さの単位は一般に「mm」が使われるが、光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、これらの符号の説明及び諸元表の説明は以降の実施例においても同様である。
(表1)
全体諸元
f =200.15
Fno= 4.0

レンズデータ
m r d νd nd
1 195.470 2.50 33.89 1.80384
2 85.931 7.00 82.52 1.49782
3 -208.779 0.10
4 0.000 1.70 64.12 1.51680
5 0.000 0.10
6 71.154 6.00 82.52 1.49782
7 410.208 d1
8 79.169 2.50 40.90 1.79631
9 39.566 8.80 60.64 1.60311
10 506.251 d2
11 196.475 2.00 57.03 1.62280
12 31.414 5.00 33.89 1.80384
13 62.330 3.70
14 -105.523 4.00 25.41 1.80518
15 -59.020 2.00 60.14 1.62041
16 49.151 5.00
17 0.000 d3
18 1213.454 2.00 31.08 1.68893
19 69.615 6.00 60.14 1.62041
20 -59.144 1.50
21 0.000 45.00
22 -72.715 2.50 49.45 1.77279
23 -436.246 0.40
24 86.920 6.00 45.87 1.54814
25 815.540 BF
また、上述したように、本第1実施例に係る撮影レンズSL1は、合焦に際して第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4が光軸に沿って移動するため、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との光軸上の間隔d1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との光軸上の間隔d2、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との光軸上の間隔d3及びバックフォーカスBFが変化する。ここで、バックフォーカスBFは、この撮影レンズSL1の最も像側のレンズ面(第4レンズ群G4の最も像側のレンズ面(第25面))から像面Iまでの光軸上の距離である(以降の実施例においても同様である)。以下の表2に、無限遠合焦状態及び至近合焦状態における各レンズ群間隔d1〜d3及びバックフォーカスBFの値を示す。
(表2)
無限遠 至近
d1 6.15 10.88
d2 5.21 27.20
d3 40.12 18.13
BF 58.96 58.62
次の表3に、この第1実施例に係る撮影レンズSL1に対する条件式対応値を示す。なお、この表3において、βinfは無限遠合焦状態における角度比を示し、βTは至近合焦状態における角度比を示している。また、この撮影レンズSL1は、後述する図4に示すように、至近合焦端側より無限遠合焦端側の方が光学性能(解像力)が良い(至近合焦端側より無限遠合焦端側の方が収差の発生が少ない)ため、上述した条件式(1)を満足するように光学的ローパスフィルタFLが配置されている。
(表3)
βinf = 0.588
βnear= -0.189
(1)βnear/βinf = -0.32
図4に、上述した位置に光学的ローパスフィルタFLを取り付けたときの、無限遠合焦状態及び至近合焦状態における軸上のスポットダイアグラムを示す。この図4から明らかなように、至近合焦状態においては、スポットの径が大きく解像力(収差)が悪いのでノイズの発生が少ないため、光学的ローパスフィルタFLによる分離幅を小さくして、この光学的ローパスフィルタによる高周波成分の解像力の低下を防止するように構成されている。一方、無限遠合焦状態においては、スポットの径が小さく解像力が良いため、モアレ縞や偽色等のノイズの発生を防止するために、光学的ローパスフィルタFLによる分離幅を大きくしている。このように、近軸光線追跡により、光学的ローパスフィルタFLに入射する光線の入射角度とこの光線が像面Iに入射するときの入射角度との角度比β(βinf及びβnear)が上述の条件式(1)を満足する位置に配置することにより、ノイズと解像力のバランスを最適に保つことができる。
[第2実施例]
図5及び図6は、第2実施例に係る撮影レンズSL2の構成を示す図である。この撮影レンズSL2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、から構成されている。また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸レンズL11、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12、及び、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL13から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL22とを接合した接合レンズ、及び、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL23から構成されている。
なお、この第2実施例に係る撮影レンズSL2において、光学的ローパスフィルタFLは、図6に示すように、1枚の複屈折板DRにより入射光線を2つの光線に分けるように構成されおり、第1レンズ群G1の像側に配置されている。また、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間(光学的ローパスフィルタFLの像側)に開口絞りSが配置されている。また、この撮影レンズSL2は、図5に示すように、無限遠合焦状態から至近物点に合焦する際に、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2が光軸に沿って物体側に移動する。この際、光学的ローパスフィルタFLは第1レンズ群G1とともに移動し、開口絞りSは第2レンズ群G2とともに移動する。
以下の表4に、本第2実施例に係る撮影レンズSL2の諸元の値を掲げる。なお、この表4に示す面番号1〜14は、図6に示す番号1〜14に対応している。
(表4)
全体諸元
f = 85.31
Fno= 2.83

レンズデータ
m r d νd nd
1 68.425 4.50 53.89 1.71300
2 -1074.448 0.10
3 30.830 4.60 53.22 1.69350
4 51.030 1.50
5 129.156 4.00 36.99 1.61293
6 24.922 3.40
7 0.000 2.00 64.12 1.51680
8 0.000 d1
9 0.000 5.60
10 -27.251 1.50 30.13 1.69895
11 -164.557 9.23 49.32 1.74320
12 -37.162 0.10
13 -242.567 3.40 46.79 1.76684
14 -54.381 BF
また、上述したように、本第2実施例に係る撮影レンズSL2は、変倍に際して第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2が光軸に沿って移動するため、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との光軸上の間隔d1及びバックフォーカスBFが変化する。以下の表5に、無限遠合焦状態及び至近合焦状態におけるレンズ群間隔d1及びバックフォーカスBFの値を示す。
(表5)
無限遠 至近
d1 1.00 10.57
BF 68.79 112.37
次の表6に、この第2実施例に係る撮影レンズSL2に対する条件式対応値を示す。なお、この表6において、βinfは無限遠合焦状態における角度比を示し、βnearは至近合焦状態における角度比を示している。また、この撮影レンズSL2は、後述する図7に示すように、至近合焦端側より無限遠合焦端側の方が光学性能(解像力)が良い(至近合焦端側より無限遠合焦端側の方が収差の発生が少ない)ため、上述した条件式(1)を満足するように光学的ローパスフィルタFLが配置されている。
(表6)
βinf = 0.475
βnear= 0.033
(1)βnear/βinf = 0.069
図7に、上述した位置に光学的ローパスフィルタFLを取り付けたときの、無限遠合焦状態及び至近合焦状態における軸上のスポットダイアグラムを示す。この図7から明らかなように、至近合焦状態においては、スポットの径が大きく解像力(収差)が悪いのでノイズの発生が少ないことから、光学的ローパスフィルタFLによる分離幅を小さくして、この光学的ローパスフィルタによる高周波成分の解像力の低下を防止するように構成されている。一方、無限遠合焦状態においては、スポットの径が小さく解像力が良いため、モアレ縞や偽色等のノイズの発生を防止するために、光学的ローパスフィルタFLによる分離幅を大きくしている。このように、近軸光線追跡により、光学的ローパスフィルタFLに入射する光線の入射角度とこの光線が像面Iに入射するときの入射角度との角度比β(βinf及びβnear)が上述の条件式(1)を満足する位置に配置することにより、ノイズと解像力のバランスを最適に保つことができる。
100 撮像装置 SL 撮影レンズ
FL 光学的ローパスフィルタ DR 複屈折板
C 撮像素子 B カメラボディ

Claims (11)

  1. 撮影距離を変化させることにより合焦可能な撮影レンズであって、
    入射した光線を2つの光線に分離させて射出する複屈折板を少なくとも1枚有する光学的ローパスフィルタを有し、
    前記光学的ローパスフィルタは、少なくとも2つの異なる撮影距離状態において、近軸光線追跡により前記光学的ローパスフィルタに入射する光線の入射角度と当該光線が像面に入射する入射角度との角度比が異なる位置に配置され
    前記光学的ローパスフィルタは、前記少なくとも2つの撮影距離状態のうち、光学性能が良い撮影距離状態における前記角度比が、光学性能が悪い撮影距離状態における前記角度比より大きくなる位置に配置されることを特徴とする撮影レンズ。
  2. 撮影距離を変化させることにより合焦可能な撮影レンズであって、
    入射した光線を2つの光線に分離させて射出する複屈折板を少なくとも1枚有する光学的ローパスフィルタを有し、
    前記光学的ローパスフィルタは、少なくとも2つの異なる撮影距離状態において、近軸光線追跡により前記光学的ローパスフィルタに入射する光線の入射角度と当該光線が像面に入射する入射角度との角度比が異なる位置に配置され
    光軸上の幅よりも周辺部の幅の方が小さい形状を有する前記複屈折板を少なくとも1枚有することを特徴とする撮影レンズ。
  3. 前記光学的ローパスフィルタは、至近合焦端側より無限遠合焦端側の前記光学性能が良い場合、次式の条件を満足する位置に配置されることを特徴とする請求項に記載の撮影レンズ。
    −1 < βnear/βinf < 1
    但し、
    βinf:無限遠合焦端側の前記角度比
    βnear:至近合焦端側の前記角度比
  4. 前記光学的ローパスフィルタは、無限遠合焦端側より至近合焦端側の前記光学性能が良い場合、次式の条件を満足する位置に配置されることを特徴とする請求項に記載の撮影レンズ。
    −1 < βinf/βnear < 1
    但し、
    βinf:無限遠合焦端側の前記角度比
    βnear:至近合焦端側の前記角度比
  5. 光軸上の幅よりも周辺部の幅の方が小さい形状を有する前記複屈折板を少なくとも1枚有することを特徴とする請求項1、3、4のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
  6. 前記複屈折板の少なくとも1面は、凸形状を有していることを特徴とする請求項2または5に記載の撮影レンズ。
  7. 前記複屈折板は、複屈折を起こす材料からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
  8. 前記複屈折板は、異方性を有する材料からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
  9. 前記複屈折板は、1軸結晶の材料からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
  10. 撮像素子を有するカメラボディに着脱可能な交換レンズであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の撮影レンズを有することを特徴とする撮像装置。
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