JP6225407B2 - 誘導加熱用高周波インバータ - Google Patents

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Description

本発明は、分割ワークコイルを有する誘導加熱(IH)電磁装置において、アルミニウムや銅など低抵抗率・非磁性加熱物体を対象とする高周波インバータに関するものである。
従来から、高周波インバータは、スイッチング素子としてIGBTやMOSFETで構成されるパワー半導体スイッチを用いて、高周波ゲート信号によってスイッチ動作させることによりIH負荷(ワークコイル)に高周波電流を供給する。ワークコイルに供給される誘導加熱電力は、ワークコイルに流れる電流の周波数の平方根に比例するため、スイッチング周波数の高周波化を行って、誘導加熱用高周波インバータの高効率化,高性能化を図っている。特に、誘導加熱負荷が低抵抗率・非磁性金属(例えば、銅、非磁性ステンレス、アルミニウムなど)の場合は、抵抗率が極めて小さいことから、誘導加熱負荷に生じる熱は小さくなるために、ワークコイルの電流の周波数を大きくする必要がある。
しかし、高周波化と共にスイッチング損失の顕在化が問題となる。スイッチング損失は、スイッチのオン・オフ動作時の電圧と電流の過渡的な重なり期間に起因するもので、スイッチがオンした時に、電圧が印加した状態で電流が流れ、電流と電圧の積の電力損失となるものである。スイッチング損失はエネルギーの損失につながり、素子破壊をもたらすことに加えて、冷却装置の大型化も引き起こし、回路の小型・軽量化、高電力密度化を阻害する。スイッチング損失を抑制策として、種々のソフトスイッチング技術が研究されている(例えば、特許文献1〜2を参照。)。
本発明者らは、既に、低スイッチング損失を図るべく、短絡から開放までパワー半導体スイッチによるソフトスイッチングが可能で、誘導加熱負荷がオールメタル(低抵抗率・非磁性金属のアルミニウムや銅を含む)に対応でき、重負荷から軽負荷まで広範囲な出力制御が可能な高周波インバータを提案した(特許文献3)。
本発明者らが提案した高周波インバータは、1組のインバータユニットを互いに並列に接続して直流電源に並列接続すると共に、共振インダクタと共振コンデンサが直列接続された共振タンクを介して、それぞれの接続中点を接続し、それぞれの共振タンクの接続点と直流電源の負極側との間に加熱負荷ユニットを接続するものである。そして、各インバータユニットの接続中点から流れ出る電流の合成瞬時電流ベクトル(電流フェーザ)の位相差角を制御し、かつ、その合成ベクトルを振幅制御(実効値電流制御)して、加熱負荷ユニットに流れる出力電流を制御することにより出力電力を高速かつ連続的に変化させることができる。
また、異なる材質の被加熱物に対し所望の電力を効率良く供給するとともに、特にアルミなどの非磁性の被加熱物に働く浮力を低減することができるインバータ方式の電磁誘導加熱装置が知られている(例えば、特許文献4を参照)。特許文献4に開示される装置では、リレースイッチを投入するより、高周波電流発生部をフルブリッジインバータとして利用して、鉄など磁性体を加熱する際により高い電圧がワークコイルにかかる仕組みを備えている。
しかしながら、特許文献4に開示される装置の場合、リレースイッチを開放する際(すなわち非磁性体または低抵抗率・非磁性金属を加熱する際)、2つのワークコイルの電流に位相差90°をあえて生じさせている。これは、軽量金属の場合に、ワークコイルから金属へと伝わる浮力(ローレンツ力)を軽減するためであり、常時90°位相を設け、被加熱物への電力供給は殆ど一方のワークコイルにより供給している。そのため、実用上、温度不均一(加熱むら)が現れるという問題がある。
特開昭60−172193号公報 特開昭62−15795号公報 特開2013−115017号公報 特開2010−80356公報
本発明者は、上記提案中の高周波インバータを基に、単一インバータから分割ワークコイルに対して高効率に電力供給できると共に、加熱むらを軽減でき、装置の小型・軽量化を図れる回路を発案した。
すなわち、本発明は、分割ワークコイルを有する誘導加熱(IH)電磁調理装置において、誘導加熱負荷がアルミニウムや銅を含む低抵抗率・非磁性金属である場合においても、高効率に電力供給可能な小型・軽量化の分割ワークコイルの誘導加熱用高周波インバータを提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明の誘導加熱用高周波インバータは、下記1)〜5)を備える。
1)直流電圧を生成する電源回路
2)スイッチング素子が直接接続される複数の上下アームを有するインバータ
3)それぞれの上下アームの出力端子に接続される、1つの被加熱物を誘導加熱する複数のワークコイル
4)それぞれの上下アームが、互いに並列に接続して電源回路に並列接続されると共に、それぞれのワークコイルを介して接続され、それぞれのワークコイルの接続点と電源回路の負極側との間に接続された共振コンデンサ
5)それぞれの上下アームをハーフブリッジ方式のインバータとして動作させると共に、それぞれのワークコイルが共振インダクタとして用いられ、ワークコイルに流れる共振電流の位相差角を制御(以下、位相差角制御)し、基準相をスイッチング素子のオン・オフ動作周期(スイッチング周期)より長い周期で入れ替える位相シフトパターンに基づくインバータ制御手段
従来のような複数のインバータによる分割ワークコイルの個別制御ではなく、本発明では内部で相互干渉をもつ単一のインバータによって、高効率に分割ワークコイルへの高周波電流を供給して誘導加熱効率を高める。すなわち、それぞれの上下アームをハーフブリッジ方式のインバータとして動作させ、ハーフブリッジインバータから高周波電流を同時に誘導加熱負荷へ注入することにより、アルミニウムや銅などの低抵抗率・非磁性金属をより高効率に誘導加熱できる。また、ワークコイル間で発生する横流を利用して、加熱高率の改善を図り、高効率に電力供給する。
また、分割したワークコイル自体を、ハーフブリッジインバータにおける共振インダクタとして利用することにより、装置の小型軽量化、低コスト化を図る。
ここで、上記4)の共振コンデンサは、負荷力率を改善する負荷力率補償用コンデンサとしても用いられる。複数のワークコイル(分割ワークコイル)を流れる電流は、1つの被加熱物に対して渦電流を誘導させることによりジュール熱を発生させる。
本発明の誘導加熱用高周波インバータにおいて、被加熱物に対する出力電力が所定閾値以下の場合、スイッチング素子のスイッチング周期よりも長い周期で、それぞれの上下アームを、パルス密度変調(PDM;Pulse Density Modulation)を用いて交互に動作させる単一上下アーム時分割PDM制御手段を、さらに備えることが好ましい。
出力制御としてそれぞれのワークコイルに流れる共振電流の位相差角制御に加えて、単一上下アーム時分割PDM制御手段を設けることにより、分割ワークコイル間の相互干渉と加熱むらの問題を軽減することができる。「単一上下アーム時分割PDM制御」とは、従来から知られた高周波インバータの「時分割制御」とは意味合いが異なり、オン・オフ動作周期(スイッチング周期)よりも長い周期にて交互に入れ替わり、単独で動作する第1、第2上下アーム(レッグ)それぞれにおける50%オン時比率のスイッチング動作をパルス密度変調(PDM)にて行うものである。
被加熱物に対する出力電力が所定閾値以下の場合とするのは、高出力設定ではスイッチング素子(パワー半導体スイッチなど)間の駆動タイミングの位相差を設ける位相差角制御を行うが、低出力時には各々のスイッチング素子(パワー半導体スイッチなど)に接続されたワークコイル間に流れる横流によって電力ロスが顕在化する。このため、出力電力が所定閾値以下の低出力設定では、1組ずつ高周波スイッチングさせる単一上下アーム時分割PDM制御によって、低出力時に顕在化するワークコイル間の電流実効値の差を改善し、かつ共振インダクタの振幅値の上昇を抑え、分割ワークコイルの実効電流の平衡をとりながら出力電力を調整して、より高効率化を実現する。
また、本発明の誘導加熱用高周波インバータにおける共振コンデンサは、同容量の複数コンデンサが並列に接続されてもよい。1個の共振コンデンサで実現する場合のコンデンサ容量をCとすると、N個(Nは2以上)の上下アームの場合、N個のコンデンサが並列に接続され、各々のコンデンサの容量はCの1/N倍に設定する。
また、本発明の誘導加熱用高周波インバータのそれぞれの上下アームにおいて、下段のスイッチング素子と並列にゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)用ロスレススナバキャパシタが接続され、それぞれの上下アームの出力端子に接続されたワークコイル(共振インダクタ)による部分共振によって、各スイッチング素子がZVSにて転流し得ることが好ましい。
ゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)用ロスレススナバキャパシタによって、スイッチング素子(パワー半導体スイッチなど)をゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)動作させ、低損失および低ノイズ化を実現する。すなわち、ゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)用ロスレススナバキャパシタと、上下アームの出力端子に接続されたワークコイル(共振インダクタ)による部分共振によって、スイッチング素子がZVSにて転流できるようになるのである。
本発明の他の観点の誘導加熱用高周波インバータは、下記1)〜5)を備えるものとして提供される。
1)直流電圧を生成する電源回路
2)第1スイッチと第2スイッチを直列接続し、第1スイッチ及び第2スイッチにそれぞれ並列に逆並列ダイオードを接続した第1の上下アームと、第1スイッチと第2スイッチの第1接続中点から分岐して接続された第1ワークコイルとを備えた第1インバータユニット
3)第3スイッチと第4スイッチを直列接続し、第3スイッチ及び第4スイッチにそれぞれ並列に逆並列ダイオードを接続した第2の上下アームと、第3スイッチと第4スイッチの第2接続中点から分岐して接続された第2ワークコイルとを備えた第2インバータユニット
4)第1インバータユニットと第2インバータユニットが、互いに並列に接続して前記電源回路に並列接続されると共に、第1ワークコイル及び第2ワークコイルを介して第1接続中点と第2接続中点が接続され、第1ワークコイルと第2ワークコイルの接続点と電源回路の負極側との間に接続された共振コンデンサ
5)第1,第2の上下アームをそれぞれハーフブリッジ方式のインバータとして動作させると共に、第1ワークコイル及び第2ワークコイルが、1つの被加熱物を誘導加熱する分割ワークコイルとして用いられ、各ワークコイルが共振インダクタとして働き、各ワークコイルに流れる共振電流の位相差角を制御し、スイッチング素子のスイッチング周期より長い周期で、第1,第2の上下アームを基準相と制御相を入れ替えて交互に動作させる位相シフトパターンに基づくインバータ制御手段
1つの誘導加熱(IH)負荷に対して、2系統のハーフブリッジ方式のインバータを備え、それぞれの瞬時電流ベクトルの相互位相を制御することにより、分割ワークコイルに流れる瞬時電流ベクトルを位相差角制御して、IH負荷に与える電力を設定できるようにする。
また、本発明の他の観点の誘導加熱用高周波インバータにおいて、第1インバータユニットの第2スイッチと並列に第1ゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)用ロスレススナバコンデンサが接続され、第2インバータユニットの第4スイッチと並列に第2ゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)用ロスレススナバコンデンサが接続されたことが好ましい。
ZVS用ロスレススナバコンデンサを用いることにより、スイッチ素子の切換時の過大電圧を防ぐことができ、低スイッチング損失を図ることができる。
本発明の他の観点の誘導加熱用高周波インバータにおけるインバータ制御手段は、以下のa)〜d)の制御を行うものである。
a)第2スイッチがオフされた後、その逆並列ダイオードが導通中に、第1スイッチをオンする。
b)その後、第4スイッチがオフされた後、その逆並列ダイオードが導通中に、第3スイッチをオンする。
c)その後、第1スイッチがオフされた後、その逆並列ダイオードが導通中に、第2スイッチをオンする。
d)その後、第3スイッチがオフされた後、その逆並列ダイオードが導通中に、第4スイッチをオンする。そしてa)〜d)の制御を繰り返す。
上記a)〜d)のステップを高速に行うことにより、異なる動作モードが実現でき、分割ワークコイルに流れる瞬時電流ベクトルを位相差角制御できる。
本発明の誘導加熱用高周波インバータによれば、分割ワークコイルを有する誘導加熱(IH)電磁調理装置において、パワー半導体スイッチのソフトスイッチング方式を採用して低スイッチング損失を図り、かつ、ワークコイルに流れる電流容量を増大させることにより、誘導加熱負荷がアルミニウムや銅を含む低抵抗率・非磁性金属である場合においても、高効率かつ効果的に電力供給できるといった効果がある。
また、本発明の誘導加熱用高周波インバータによれば、ワークコイルと共振インダクタを共用化することにより、装置の小型・軽量化を図ることができる。
実施例1の誘導加熱用高周波インバータの主回路構成図(1) 実施例1の誘導加熱用高周波インバータの主回路構成図(2) 実施例1の誘導加熱用高周波インバータの動作波形チャート 各動作モードの説明図 実施例1の誘導加熱用高周波インバータにおけるインバータ制御の説明図 実施例1の誘導加熱用高周波インバータの電力制御特性図 実施例2の誘導加熱用高周波インバータにおける単一上下アーム時分割PDM制御の説明図 単一上下アーム時分割PDM制御を行った場合の電力制御特性図 実施例3の誘導加熱用高周波インバータの主回路構成図 実施例4の誘導加熱用高周波インバータの主回路構成図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
(回路構成)
図1に、実施例1の誘導加熱用高周波インバータの回路構成図を示す。図1に示す回路全体が高周波インバータを示し、直流電圧を生成する電源回路2と、第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1と、第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2と、被加熱物を含む共振負荷回路1を有する。1組(2個)の上下アーム(ハーフブリッジレッグ)は共に、それぞれIGBTから成るパワー半導体スイッチが直列接続され、かつ、パワー半導体スイッチは、それぞれ並列に逆並列ダイオードが接続されている。
具体的には、図1に示すように、被加熱物(図において、ジュール熱を発生させる現象を表わす簡易的な等価回路で表す)に対して、アクティブスイッチQ,Qによる上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1及びアクティブスイッチQ,Qによる上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2のそれぞれの中点から相互結合を持つ分割ワークコイルL,Lを接続し、直列共振および負荷力率調整用キャパシタCを共有する構造である。
より詳しくは、第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1は、第1スイッチ(S)と第2スイッチ(S)が直列接続され、第1スイッチ(S)に並列に逆並列ダイオード(D)に接続され第1スイッチング素子(Q)が構成され、第2スイッチ(S)に並列に逆並列ダイオード(D)が接続され第2スイッチング素子(Q)が構成されている。そして、第1スイッチング素子(Q)と第2スイッチング素子(Q)の接続中点aには、第1ワークコイル(第1共振インダクタ)Lが分岐して接続されている。
また、第2スイッチ(S)に並列に、ゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)用ロスレススナバキャパシタ(CS1)が設けられている。ZVS用ロスレススナバキャパシタ(CS1)により、第1スイッチ(S)及び第2スイッチ(S)の切換時の過大電圧を防ぎ、各スイッチをゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)にて転流させて、低スイッチング損失を図る。
同様に、第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2は、第3スイッチ(S)と第4スイッチ(S)が直列接続され、第3スイッチ(S)に並列に逆並列ダイオード(D)に接続され第3スイッチング素子(Q)が構成され、第4スイッチ(S)に並列に逆並列ダイオード(D)が接続され第4スイッチング素子(Q)が構成されている。そして、第3スイッチング素子(Q)と第4スイッチング素子(Q)の接続中点bには、第2ワークコイル(第2共振インダクタ)Lが分岐して接続されている。
また、第4スイッチ(S)に並列に、ゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)用ロスレススナバキャパシタ(CS2)が設けられている。ZVS用ロスレススナバキャパシタ(CS2)により、第3スイッチ(S)及び第4スイッチ(S)の切換時の過大電圧を防ぎ、各スイッチをゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)にて転流させて、低スイッチング損失を図る。
第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1と第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2は、互いに並列に接続され、また直流電源Vin(電源電圧をVin(V)とする)に並列に接続されている。そして、互いに並列である第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1と第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2は、第1ワークコイル(第1共振インダクタ)L及び第2ワークコイル(第2共振インダクタ)Lをブリッジとして接続中点aと接続中点bが接続されている。
一方、共振負荷回路1は、第1ワークコイル(第1共振インダクタ)L及び第2ワークコイル(第2共振インダクタ)Lと、誘導加熱(IH)負荷(負荷抵抗R及び負荷インダクタL)と、ワークコイル間の接続点と電源回路の負極側との間に接続された共振コンデンサCから構成される。
誘導加熱負荷の負荷抵抗R及び負荷インダクタLは、第1ワークコイル(第1共振インダクタ)L及び第2ワークコイル(第2共振インダクタ)Lを流れる電流(iL1,iL2)によって、加熱対象物に渦電流を誘導させることによりジュール熱を発生させる現象を表わす簡易的な等価回路(RL直列回路)として示されている。
また、共振コンデンサCは、誘導加熱負荷である加熱ユニットの力率を補償する負荷力率補償用コンデンサとしても用いられる。
実施例1の誘導加熱用高周波インバータは、2つの共振インダクタとして働くワークコイル(L,L)と共振コンデンサ(C)の共振周波数fより高い動作周波数f(>f)で遅れ位相電流動作させることにより、接続中点aと接続中点bから流れ出る電流の合成瞬時電流ベクトルを位相差角制御し、かつ、振幅制御する。これにより、誘導加熱負荷(IH Load)に流れる出力電流iを制御し、出力電力を広範囲に高速かつ連続的に変化させる。
図1に示す回路構成図は、高周波トランスモデルによる主回路構成図であるが、第1ワークコイル(第1共振インダクタ)L及び第2ワークコイル(第2共振インダクタ)Lを渦形の分割ワークコイルとして表したものを図2に示す。図2では、図1において加熱対象物に渦電流を誘導させることによりジュール熱を発生させる現象を表わす簡易的な等価回路(RL直列回路)として表していたものを、蓋付き鍋の模式図として表している。
ここで、分割ワークコイルを用いる利点について説明する。アルミニウムや銅などの低抵抗率・非磁性体の加熱負荷の場合、ワークコイルの端部に発生する電圧が数キロボルトに膨れ上がることが想定される。そのため、2つ以上に分割することでワークコイル端部の高電圧化を回避でき、またワークコイルに発生する磁束の均一化を図ることができる。さらに、分割ワークコイルにおける各ワークコイルの制御の切り替えにより、加熱対象物の形状・大きさに合わせて加熱部位を選択するなど電力の無駄を軽減できる。
(回路動作)
次に、図1に示す回路構成の回路動作について図3を参照して説明する。
図3に実施例1の誘導加熱用高周波インバータの理論動作波形を示す。実施例1の誘導加熱用高周波インバータの動作は、後述する12の動作モードから成る。実施例1の誘導加熱用高周波インバータは、図3に示すように、時間の経過に従って、第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1及び第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2の第1スイッチ(S)〜第4スイッチ(S)をそれぞれのゲートトリガ信号によってオン・オフ制御することによって、t〜t12の区間において、1サイクル分の高周波電力変換動作を行い、この高周波電力変換サイクルを繰り返すことによって高周波電力変換を行う。
以下、t〜t12の各区間(t〜tn+1;n=0〜11)における実施例1の誘導加熱用高周波インバータの12の動作モードについて説明する。
<モード1:区間t〜t
図3の区間t〜tにおける動作モードを説明する。前回のサイクルの区間t11〜t12において、第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1の第1スイッチ(S)はオン状態で、第2スイッチ(S)がオフ状態である。また、第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2の第3スイッチ(S)がオン状態で、第4スイッチ(S)がオフ状態である。第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2の逆並列ダイオード(D)が導通状態である。
上記の状態で、第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2の逆並列ダイオード(D)がオフに切り替わると、区間t〜tの動作モードに移行する。
区間t〜tの動作モードでは、図4(1)の電流経路図に示すように、第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1の第1スイッチ(S)はオン状態であり、電源(Vin)−第1スイッチ(S)−直列共振回路(L−C)で閉ループ回路を形成し、電流iL1が流れる共振電流ループができる。また、第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2の第3スイッチ(S)はオン状態であり、電源(Vin)−第3スイッチ(S)−直列共振回路(L−C)で閉ループ回路を形成し、電流iL2が流れる共振電流ループができる。
ここで、第1スイッチ(S)及び第3スイッチ(S)の両端電圧は、図3のVQ1,VQ3に示すように共に0(V)になり、接続中点aと接続中点bは共にVin(v)となる。さらに、モデリングしている高周波トランスの3巻線の巻数比を1:1:1と想定すると、全てのモードにおいて、誘導加熱負荷に流れる電流iは、i=iL1+iL2となる。
<モード2:区間t〜t
モード1の状態から、第1スイッチ(S)をオフに切り替えてモード2に遷移することにより、第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1の状態が変化する。すなわち、図4(2)の等価回路に示すように、第1スイッチ(S)をオフすることにより、主としてワークコイルLとコンデンサCS1による部分共振(スイッチ状態の遷移時の生じる共振現象)が生じ、スイッチング素子Q,QのZVSを実現する。すなわち、第1スイッチ(S)がオン状態、かつ、第2スイッチ(S)がオフ状態から、第1スイッチ(S)のゲートがオフされると、上記の部分共振により電源電圧Vinまで充電されていた第2スイッチング素子(Q)の端子電圧、すなわち、コンデンサCS1の電圧VQ2は緩やかに(共振状)に下降し始める。これと同時にゲートをオフした第1スイッチング素子(Q)の端子電圧VQ1は、VQ1=VIN−VQ2となる。
ここで、主としてワークコイルLとコンデンサCS1による部分共振としているのは、ZVSの部分共振に寄与するのは、それぞれの上下アームに近い側のワークコイルだけでなく、遠い側のもう片側のワークコイルも磁気結合の作用のため関係することを考慮している。
つまり、第1スイッチング素子(Q)の端子電圧VQ1は、ゼロレベルから緩やかに上昇する。このため、第1スイッチング素子(Q)はゲートをオフしたことにより遮断された電流の急激な下降に反してその端子電圧が緩やかに上昇することから、電圧・電流のオーバーラップ期間が低減されるZVS動作となる。
<モード3:区間t〜t
モード3の場合、図4(3)の等価回路に示すように、第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2は、区間t〜tの動作モードと同様、電源(Vin)−第3スイッチ(S)−直列共振回路(L−C)で閉ループ回路が形成されて共振電流iL2が流れる。この電流iL2は直列共振回路(L−C)によって時間の経過と共に次第に減少する。
コンデンサCS1が完全に放電されその電圧VQ2がゼロに達すると、第2スイッチ(S)に逆並列のダイオード(D)が順バイアス状態となり、負荷電流の一部である電流が流れ始めることになる。その間に、第2スイッチ(S)のゲートをトリガすれば、第2スイッチング素子(Q)は、そのチャネル(電流通路)部である第2スイッチ(S)に電流が流れず、また電圧もかかっていない(ダイオードの順方向電圧は、シリコンベースで約0.7ボルトである。このため、電源電圧VINに比べて十分小さい場合は無視できる)状態でのターンオンであるため、ゼロ電圧・ゼロ電流ソフトスイッチング(ZVZCS)であるターンオン動作が実現できる。
また、第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1は、第1スイッチ(S)がオフされたことによって、直列共振回路(L−C)−第2スイッチ素子(Q)で形成される閉ループ回路で電流iL1が循環するようになり、逆並列ダイオード(D)が導通する。
<モード4:区間t〜t
第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1において、図4(4)に示すように、電流iL1がゼロクロスして反転すると、逆並列ダイオード(D)がオフする。すなわち、図4(4)に示すように、直列共振回路(L−C)−第2スイッチ(S)で形成される閉ループ回路で、電流iL1が反転して環流する。
第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2では、区間t〜tの動作モードと同様、電源(Vin)−第3スイッチ(S)−直列共振回路(L−C)で閉ループ回路が形成され、電流iL2が流れて電源から負荷へ電力が供給される。
<モード5:区間t〜t
モード4の状態から、第3スイッチ(S)をオフに切り替えてモード5に遷移することにより、第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2の状態が変化する。すなわち、図4(5)の等価回路に示すように、第3スイッチ(S)をオフすることにより、主としてワークコイルLとコンデンサCS2による部分共振(スイッチ状態の遷移時の生じる共振現象)が生じ、スイッチング素子Q,QのZVSを実現する。すなわち、第3スイッチ(S)がオン状態、かつ、第4スイッチ(S)がオフ状態から、第3スイッチ(S)のゲートがオフされると、上記の部分共振により電源電圧Vinまで充電されていた第4スイッチング素子(Q)の端子電圧、すなわち、コンデンサCS2の電圧VQ4は緩やかに(共振状)に下降し始める。これと同時にゲートをオフした第3スイッチング素子(Q)の端子電圧VQ3は、VQ3=VIN−VQ4となる。
つまり、第3スイッチング素子(Q)の端子電圧VQ3は、ゼロレベルから緩やかに上昇する。このため、第3スイッチング素子(Q)はゲートをオフしたことにより遮断された電流の急激な下降に反してその端子電圧が緩やかに上昇することから、電圧・電流のオーバーラップ期間が低減されるZVS動作となる。
<モード6:区間t〜t
モード6の場合、図4(6)の等価回路に示すように、第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1は、区間t〜tの動作モードと同様、直列共振回路(L−C)−第2スイッチ(S)で閉ループ回路が形成されて電流iL1が環流する。この電流iL1は直列共振回路(L−C)によって時間の経過と共に共振状に変化し、そのピーク値を越えた後に緩やかに下降する。
コンデンサCS2が完全に放電されその電圧VQ4がゼロに達すると、第4スイッチ(S)に逆並列のダイオード(D)が順バイアス状態となり、負荷電流の一部である電流が流れ始めることになる。その間に、第4スイッチ(S)のゲートをトリガすれば、第4スイッチング素子(Q)は、そのチャネル(電流通路)部である第4スイッチ(S)に電流が流れず、また電圧もかかっていない(ダイオードの順方向電圧は、電源電圧VINに比べて十分小さいため無視)状態でのターンオンであるため、ゼロ電圧・ゼロ電流ソフトスイッチング(ZVZCS)であるターンオン動作が実現できる。
また、第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2は、第3スイッチ(S)がオフされたことによって、直列共振回路(L−C)−第4スイッチ素子(Q)で閉ループ回路が形成されて電流iL2が循環するようになり、逆並列ダイオード(D)が導通する。
<モード7:区間t〜t
第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2において、図4(7)に示すように、電流iL2がゼロクロスして反転すると、逆並列ダイオード(D)がオフする。すなわち、図4(7)に示すように、電流iL2が反転して直列共振回路(L−C)−第4スイッチ(S)で形成される閉ループ回路で環流するようになる。
第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1では、区間t〜tの動作モードと同様、直列共振回路(L−C)−第2スイッチ(S)で閉ループ回路が形成されて電流iL1が流れる。
<モード8:区間t〜t
モード7の状態から、第2スイッチ(S)をオフに切り替えることで、第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1の状態が変化する。すなわち、図4(8)の等価回路に示すように、第2スイッチ(S)をオフすることにより、主としてワークコイルLとコンデンサCS1による部分共振(スイッチ状態の遷移時の生じる共振現象)が生じ、スイッチング素子Q,QのZVSを実現する。
すなわち、第2スイッチ(S)がオン状態、かつ、第1スイッチ(S)がオフ状態から、第2スイッチ(S)のゲートがオフされると、主としてワークコイルLとコンデンサCS1による部分共振により、第2スイッチング素子(Q)の端子電圧、すなわち、コンデンサCS1の電圧VQ2は緩やかな傾きを持ちながら上昇し、やがて電圧VQ2はVinに達する。
<モード9:区間t〜t
電圧VQ2がVinに達すると、電圧VQ1がゼロに達し、電流iL1がゼロクロスして反転すると、第1スイッチ(S)に逆並列ダイオード(D)が順バイアス状態となり導通し、負荷電流の一部である電流が流れ始めることになる。その間に、第1スイッチ(S)のゲートをトリガすれば、第1スイッチング素子(Q)は、そのチャネル(電流通路)部である第1スイッチ(S)に電流が流れず、また電圧もかかっていない(ダイオードの順方向電圧は、電源電圧VINに比べて十分小さいため無視)状態でのターンオンであるため、ゼロ電圧・ゼロ電流ソフトスイッチング(ZVZCS)であるターンオン動作が実現できる。
第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1では、図4(9)に示すように、電流iL1がゼロクロスして反転すると、逆並列ダイオード(D)が導通し、直列共振回路(L−C)−逆並列ダイオード(D)−電源(Vin)で形成される閉ループ回路で電流iL1が循環し、電源(Vin)へ回生される。
<モード10:区間t〜t10
第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1において、図4(10)に示すように、電流iL1がゼロクロスして反転すると、逆並列ダイオード(D)がオフする。すなわち、図4(10)に示すように、直列共振回路(L−C)−第1スイッチ(S)−電源(Vin)で形成される閉ループ回路で電流iL1が流れて、電源から電力が供給される状態となる。
<モード11:区間t10〜t11
モード10の状態から、第4スイッチ(S)をオフに切り替えることで、第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2の状態が変化する。すなわち、図4(11)の等価回路に示すように、第4スイッチ(S)をオフすることにより、主としてワークコイルLとコンデンサCS2による部分共振(スイッチ状態の遷移時の生じる共振現象)が生じ、スイッチング素子Q,QのZVSを実現する。
すなわち、第4スイッチ(S)がオン状態、かつ、第3スイッチ(S)がオフ状態から、第4スイッチ(S)のゲートがオフされると、主としてワークコイルLとコンデンサCS2による部分共振により、第4スイッチング素子(Q)の端子電圧、すなわち、コンデンサCS2の電圧VQ4は緩やかな傾きを持ちながら上昇し、やがて電圧VQ4がVinに達する。
<モード12:区間t11〜t12
電圧VQ4がVinに達すると、電圧VQ3がゼロに達し、電流iL2がゼロクロスして反転すると、第3スイッチ(S)に逆並列ダイオード(D)が順バイアス状態となり導通し、負荷電流の一部である電流が流れ始めることになる。その間に、第3スイッチ(S)のゲートをトリガすれば、第3スイッチング素子(Q)は、そのアクティブの第3スイッチ(S)に電流が流れず、また電圧もかかっていない(ダイオードの順方向電圧は、電源電圧VINに比べて十分小さいため無視)状態でのターンオンであるため、ゼロ電圧・ゼロ電流ソフトスイッチング(ZVZCS)であるターンオン動作が実現できる。
第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2では、図4(12)に示すように、電流iL2がゼロクロスして反転すると、逆並列ダイオード(D)が導通し、直列共振回路(L−C)−逆並列ダイオード(D)−電源(Vin)で形成される閉ループ回路で電流iL2が循環し、電源(Vin)へ回生される。
以上の如く説明した12のモードにて、誘導加熱負荷の高周波電力制御として、上下アームのハイサイドスイッチQ/QとローサイドスイッチQ/Q間のゲート駆動パルスを位相シフトし、各分割ワークコイルに流れる共振電流iL1とiL2の位相差角制御により、それらの瞬時合成である負荷電流iの実効値を調整する。このとき、基準相を固定する方式と違い、スイッチング周期よりも長い別周期にてHB1とHB2で基準相・制御相を切り替える位相シフトパルスパターンを適用することにより、負荷電力設定値に応じて、それぞれの分割ワークコイル電流を均一化し、加熱むらを軽減することができる。従って、複数台のインバータを用いることなく、それぞれの分割ワークコイルの実効電流の制御が可能となり、部分加熱にも対応した高周波電力制御を実現することができるのである。
次に、図5を参照して、実施例1の誘導加熱用高周波インバータにおけるインバータ制御方法について説明する。図5は、上下アームのハイサイドスイッチQ/QとローサイドスイッチQ/Q間のゲート駆動パルスパターンを示している。図5に示すように、スイッチング周期TSWよりも長い別周期TshにてHB1(スイッチQ/Q)とHB2(スイッチQ/Q)とで基準相(Fixed Phase)・制御相(Controlled Phase)を切り替える。また、ハイサイドスイッチQ/QとローサイドスイッチQ/Q間のゲート駆動パルスを、位相シフト期間(時間)(Phase Shift Interval:tφ)だけ位相差を設ける。
(インバータの特性)
次に、実施例1の誘導加熱用高周波インバータと特性について、動作周波数fを100kHzとし、定格出力2.5kWの条件のもとシミュレーションした結果を説明する。
図6は分割ワークコイルの電力制御特性を示す。図6(1)は基準相となる第1上下アームの出力端子に接続された分割ワークコイルの出力電流iL1の実効値IL1を示しており、図6(2)は制御相となる第2上下アームの出力端子に接続された分割ワークコイルの出力電流IL2の実効値を示している。
図6に示されるように、通常の基準相固定位相シフト方式(比較例)の場合、位相シフト期間に応じて決まる負荷電力Pと共に、2つの分割ワークコイル電流の実効値IL1とIL2に差異が現れる。すなわち、図6(1)に示す基準相となる第1上下アームの出力端子に接続された分割ワークコイルの出力電流iL1の実効値IL1は、最大負荷電力(定格出力)2.5kWの時には8Aであるのに対して、負荷電力Pが1.5〜2.0kWの時に約10Aと最も大きくなっており、その後、低出力に向うに従い減少する特性を持つ。また、図6(2)に示す制御相となる第2上下アームの出力端子に接続された分割ワークコイルの出力電流iL2の実効値IL2は、最大負荷電力2.5kWにおいて8AでありIL1と一致するが、低出力に向うに従い単調に減少し、負荷電力Pが0.5〜1.0kWの時に約2Aと最も小さくなっている。さらに、0.5kWより低出力に向うに従い逆に増加する傾向をもつ。つまり、大半の出力領域にて、2つの分割ワークコイルの電流実効値IL1とIL2には大きく差が生じている。
一方、基準相・制御相の切替方式(実施例1)の場合、2つの分割ワークコイル電流の実効値IL1とIL2は全出力領域に渡りほぼ同一となる。すなわち、図6(1)に示す基準相となる第1上下アームの出力端子に接続された分割ワークコイルの出力電流iL1の実効値IL1は、最大負荷電力(P=2.5kW)から無負荷状態(P=0kW)のほぼ全域で単調に減少している。また、図6(2)に示す制御相となる第2上下アームの出力端子に接続された分割ワークコイルの出力電流iL2の実効値IL2も同様に、最大負荷電力(P=2.5kW)から無負荷状態(P=0kW)のほぼ全域で単調に減少している。
このことから、基準相・制御相の切替方式(実施例1)の場合は、負荷電力Pを調整しながらも2つの分割ワークコイル電流の実効値IL1とIL2は同一値に制御できることがわかる。これより、実施例1の誘導加熱用高周波インバータの場合、単一インバータでありながら、各分割ワークコイル電流の均一化/不均一化がともに実現可能であることが理解できる。
なお、図6から、動作周波数fを100kHzに設定してソフトスイッチング条件下で電流ベクトル(電流フェーザ)位相差を変化させた場合、0(kW)から2.5(kW)の実効電力制御が可能であり、実施例1の誘導加熱用高周波インバータを用いることにより、重負荷から軽負荷まで広い電力制御が行えることが確認できる。
実施例2の誘導加熱用高周波インバータでは、実施例1の誘導加熱用高周波インバータにおける位相差角制御に加えて、単一上下アーム時分割PDM制御を行うことにより、低出力設定における高効率な電力特性制御を実現する。
上述の如く、高出力設定ではスイッチング素子(パワー半導体スイッチなど)間の駆動タイミングの位相差を設ける位相差角制御を行うが、低出力設定に向うに従いスイッチング素子(パワー半導体スイッチなど)間の横流による電力ロスが顕在化することになる。このため、出力電力が所定閾値以下(例えば、20%以下)の低出力設定では、1組ずつ高周波スイッチングさせる単一上下アーム時分割PDM制御によって、顕在化するスイッチング素子(パワー半導体スイッチなど)の実効電流を抑制して、かつ共振インダクタの振幅値の上昇を抑え、分割ワークコイルの実効電流の平衡ととりながら出力電力を調整して、より高効率化を実現する。
図7に示すように、単一上下アーム時分割PDM制御は、アクティブスイッチQ、Qによる上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1と、アクティブスイッチQ、Qによる上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2を、交互にオン・オフする(50%オン時比率の)スイッチング動作をパルス密度変調(PDM)で行って、それぞれの上下アームを時分割して交互に動作させる。
図8は、単一上下アーム時分割PDM制御を行った場合の電力制御特性図を示している。実施例1の場合と比べて、時分割動作制御を行った実施例2では、負荷電力Pが0.5kWから0kWの範囲で、基準相となる第1上下アームの出力端子に接続された分割ワークコイルの出力電流iL1の実効値IL1が負荷電力に比例して小さくなっていることがわかる。すなわち、位相差角制御に加えて単一上下アーム時分割PDM制御を行うことにより、効率よく電力制御が行えることになる。
図9は、実施例3の誘導加熱用高周波インバータの主回路構成図を示している。実施例3の誘導加熱用高周波インバータにおける共振コンデンサは、実施例1の誘導加熱用高周波インバータと異なり、同容量の2つのコンデンサが並列に接続されている。
この場合、それぞれのコンデンサ容量は、1個の共振コンデンサで実現する場合のコンデンサ容量をCとすると、Cの1/2倍に設定される。
図10は、実施例4の誘導加熱用高周波インバータの主回路構成図を示している。実施例4の誘導加熱用高周波インバータでは、直流電圧を生成する電源回路2と、第1上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1と、第2上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2と、第3上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB3と、被加熱物を含む共振負荷回路1を有する。各々の上下アーム(ハーフブリッジレッグ)は共に、それぞれIGBTから成るパワー半導体スイッチが直列接続され、かつ、パワー半導体スイッチは、それぞれ並列に逆並列ダイオードが接続されている。
被加熱物に対して、アクティブスイッチQ,Qによる上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB1、アクティブスイッチQ,Qによる上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB2、アクティブスイッチQ,Qによる上下アーム(ハーフブリッジレッグ)HB3のそれぞれの中点から相互結合を持つ分割ワークコイルL,L,Lを接続し、直列共振および負荷力率調整用キャパシタCを共有する構造である。
本発明の誘導加熱用高周波インバータは、電磁調理器(誘導加熱調理器)、水蒸気を含む流体加熱装置、動力的強力超音波発生装置(超音波洗浄機,超音波ホモジナイザーなど)、超音波溶接機、レーザープリンタなど、高周波交流電流を要する電気機器や電気設備に有用である。
1 共振負荷回路
2 電源回路
3 被加熱物(蓋付き鍋)
HB1,HB2,HB3 上下アーム
S1〜S6 スイッチ
D1〜D6 逆並列ダイオード
L1,L2,L3 ワークコイル(共振インダクタ)
C0 共振コンデンサ
CS1,CS2,CS3 ZVS用ロスレススナバコンデンサ

Claims (8)

  1. 直流電圧を生成する電源回路と、
    スイッチング素子が直接接続される複数の上下アームを有するインバータと、
    それぞれの上下アームの出力端子に接続された、1つの被加熱物を誘導加熱する複数のワークコイルと、
    それぞれの上下アームが、互いに並列に接続して前記電源回路に並列接続されると共に、それぞれの前記ワークコイルを介して接続され、それぞれの前記ワークコイルの接続点と前記電源回路の負極側との間に接続された共振コンデンサと、
    それぞれの上下アームをハーフブリッジ方式のインバータとして動作させると共に、それぞれの前記ワークコイルが共振インダクタとして用いられ、前記ワークコイルに流れる共振電流の位相差角を制御し、基準相を前記スイッチング素子のオン・オフ動作周期(スイッチング周期)より長い周期で入れ替える位相シフトパターンに基づくインバータ制御手段と、
    を備えたことを特徴とする誘導加熱用高周波インバータ。
  2. 被加熱物に対する出力電力が所定閾値以下の場合、前記スイッチング素子のスイッチング周期よりも長い周期で、それぞれの前記上下アームを、パルス密度変調(PDM)を用いて交互に動作させる単一上下アーム時分割PDM制御手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱用高周波インバータ。
  3. 前記共振コンデンサは、同容量の複数コンデンサが並列に接続されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導加熱用高周波インバータ。
  4. それぞれの上下アームにおいて、下段のスイッチング素子と並列にゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)用ロスレススナバキャパシタが接続され、それぞれの上下アームの出力端子に接続された前記ワークコイル(共振インダクタ)による部分共振によって、各スイッチング素子がZVSにて転流し得ることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の誘導加熱用高周波インバータ。
  5. 直流電圧を生成する電源回路と、
    第1スイッチと第2スイッチを直列接続し、第1スイッチ及び第2スイッチにそれぞれ並列に逆並列ダイオードを接続した第1の上下アームと、第1スイッチと第2スイッチの第1接続中点から分岐して接続された第1共振インダクタとを備えた第1インバータユニットと、
    第3スイッチと第4スイッチを直列接続し、第3スイッチ及び第4スイッチにそれぞれ並列に逆並列ダイオードを接続した第2の上下アームと、第3スイッチと第4スイッチの第2接続中点から分岐して接続された第2共振インダクタとを備えた第2インバータユニットと、
    第1インバータユニットと第2インバータユニットが、互いに並列に接続して前記電源回路に並列接続されると共に、第1共振インダクタ及び第2共振インダクタを介して第1接続中点と第2接続中点が接続され、第1共振インダクタと第2共振インダクタの接続点と前記電源回路の負極側との間に接続された共振コンデンサと、
    第1,第2の上下アームをそれぞれハーフブリッジ方式のインバータとして動作させると共に、第1共振インダクタ及び第2共振インダクタが、1つの被加熱物を誘導加熱する分割ワークコイルとして用いられ、各ワークコイルに流れる共振電流の位相差角を制御し、前記スイッチング素子のオン・オフ動作周期(スイッチング周期)より長い周期で、第1,第2の上下アームを基準相と制御相を入れ替えて交互に動作させる位相シフトパターンに基づくインバータ制御手段と、
    を備えたことを特徴とする誘導加熱用高周波インバータ。
  6. 被加熱物に対する出力電力が所定閾値以下の場合、前記スイッチング素子のスイッチング周期よりも長い周期で、第1,第2の上下アームを、パルス密度変調(PDM)を用いて交互に動作させる単一上下アーム時分割PDM制御手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の誘導加熱用高周波インバータ。
  7. 上記の第1インバータユニットの第2スイッチと並列に第1ゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)用ロスレススナバコンデンサが接続され、
    上記の第2インバータユニットの第4スイッチと並列に第2ゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)用ロスレススナバコンデンサが接続された
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の誘導加熱用高周波インバータ。
  8. 前記インバータ制御手段は、
    a)第2スイッチがオフされた後、その逆並列ダイオードが導通中に、第1スイッチをオンし、
    b)第4スイッチがオフされた後、その逆並列ダイオードが導通中に、第3スイッチをオンし、
    c)第1スイッチがオフされた後、その逆並列ダイオードが導通中に、第2スイッチをオンし、
    d)第3スイッチがオフされた後、その逆並列ダイオードが導通中に、第4スイッチをオンする、
    ことを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の誘導加熱用高周波インバータ。
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