以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1に係る伝送システム1000について説明する。図1に示すように、伝送システム1000は、伝送装置100と、伝送装置200と、伝送装置201と、伝送装置202と、を備える。伝送装置200と伝送装置201と伝送装置202とは、電源線301と伝送線302と接地線303とのそれぞれにより、伝送装置100に対して並列に接続される。
より詳細には、伝送装置100に接続された電源線301は、伝送装置200と伝送装置201と伝送装置202とのそれぞれに分岐して接続される。また、伝送装置100に接続された伝送線302も、伝送装置200と伝送装置201と伝送装置202とのそれぞれに分岐して接続される。そして、伝送装置100に接続された接地線303も、伝送装置200と伝送装置201と伝送装置202とのそれぞれに分岐して接続される。また、電源線301は、交流電源400の電源端子に接続され、接地線303は、交流電源400の接地端子に接続される。
伝送システム1000内では、伝送線302と接地線303とを用いたシリアル通信により、伝送データが伝送される。この伝送データは、例えば、要求コマンドと応答コマンドとを用いたポーリング方式の通信により伝送される。要求コマンドは、ホスト装置がクライアント装置に伝送する伝送データである。一方、応答コマンドは、クライアント装置がホスト装置に伝送する伝送データである。以下、伝送データのことを、適宜、要求コマンド、又は、応答コマンドという。ここで、伝送装置100がホスト装置であり、伝送装置200と伝送装置201と伝送装置202とがクライアント装置である。伝送システム1000は、例えば、ホスト装置である室外機と、クライアント装置である室内機とを備える空調システムである。
以下、伝送システム1000内において、どのように伝送データが伝送されるのかについて、説明する。まず、ホスト装置は、任意のクライアント装置に要求コマンドを送信する。一方、要求コマンドを受信したクライアント装置は、ホスト装置に応答コマンドを送信する。つまり、基本的に、クライアント装置間では、伝送データが伝送されない。また、クライアント装置は、自発的に、ホスト装置に伝送データを送信しない。
このような通信を実現するために、シリアル通信のための電源である通信用電源は、ホスト装置に設けられる。そして、ホスト装置に設けられた通信用電源から供給される、シリアル通信のための電流(以下、適宜「伝送電流」という。)は、ホスト装置→伝送線302→クライアント装置→接地線303→ホスト装置という経路をたどって流れる。このように伝送電流は、ホスト装置から出発して、ホスト装置に戻るため、ループ電流ともいう。
ここで、ホスト装置とクライアント装置とのいずれも、伝送電流が流れる経路(以下、適宜「伝送経路」という。)上に、送信回路と受信回路とを備える。送信回路は、伝送電流を流したり遮断したりすることにより、伝送データを送信する回路である。なお、送信回路が伝送電流を流す状態であることを、送信回路がオン状態であるといい、送信回路が伝送電流を遮断する状態であることを、送信回路がオフ状態であるという。例えば、送信回路は、オン状態(2進数における「1」を表す状態)とオフ状態(2進数における「0」を表す状態)とを切り替えることにより、2進数により表される伝送データを送信する。
一方、受信回路は、伝送経路の状態が、伝送電流が流れている状態(2進数における「1」を表す状態)と、伝送電流が流れていない状態(2進数における「0」を表す状態)と、のうちのいずれの状態であるのかを判別することにより、2進数により表される伝送データを受信する回路である。以下、送信回路と受信回路とのそれぞれの動作について説明する。なお、送信回路や受信回路には、フォトカプラを採用することが好適である。
まず、ホスト装置が要求コマンドを送信する前は、ホスト装置が備える送信回路はオフ状態(又はオン状態)であり、全てのクライアント装置が備える送信回路はオン状態である。ここで、ホスト装置がクライアント装置に要求コマンドを送信する場合、ホスト装置が備える送信回路は、要求コマンドの内容に従って、オン状態とオフ状態とを切り替える。一方、全てのクライアント装置が備える受信回路は、伝送経路に伝送電流が流れているか否かを判別して、要求コマンドを受信する。そして、全てのクライアント装置は、受信した要求コマンドが自分宛の要求コマンドであるか否かを判別する。なお、要求コマンドには、要求コマンドの送信対象であるクライアント装置を特定可能な情報が含まれる。
ホスト装置が備える送信回路は、要求コマンドを送信した後、オン状態となる。また、要求コマンドの送信対象でないクライアント装置が備える送信回路は、要求コマンドを受信した後、オフ状態となる。一方、要求コマンドの送信対象であるクライアント装置が備える送信回路は、応答コマンドの内容に従って、オン状態とオフ状態とを切り替える。ここで、サーバ装置が備える受信回路は、伝送経路に伝送電流が流れているか否かを判別して、応答コマンドを受信する。
以上説明したように、ホスト装置が送信する要求コマンドは、全てのクライアント装置により受信される。従って、ホスト装置が要求コマンドを送信する場合、ホスト装置から伝送線302に供給された伝送電流は、全てのクライアント装置に分岐して流れ、全てのクライアント装置から接地線303に合流した伝送電流が、ホスト装置に戻ることになる。
一方、クライアント装置が送信する応答コマンドは、サーバ装置のみにより受信される。従って、クライアント装置が応答コマンドを送信する場合、ホスト装置から伝送線302に供給された伝送電流は、要求コマンドの送信対象であるクライアント装置のみに流れ、要求コマンドの送信対象であるクライアント装置から接地線303に供給された伝送電流が、ホスト装置に戻ることになる。
従って、全ての送信回路の負荷が同程度であり、全ての受信回路の負荷や電流検出能力が同程度であると仮定すると、ホスト装置が要求コマンドを送信する場合、クライアント装置が応答コマンドを送信する場合に比べ、クライアント装置の個数倍、伝送電流の大きさが大きいことが好適である。ここで、伝送電流の大きさを大きくするために、伝送経路上に並列に複数個の送信回路を設ける手法を採用することができる。この場合、ホスト装置は、クライアント装置よりも、クライアント装置の個数倍、多くの送信回路を使用して、伝送電流を供給することが好適である。
なお、伝送電流の大きさを大きくするために、電流伝達率が大きい送信回路(フォトカプラ)を用いる手法が考えられる。しかしながら、この手法では、通信速度が低下する、もしくは、フォトカプラの寿命が縮まるため、本実施形態では採用しない。以下、伝送システム1000が備える各構成について、具体的に説明する。
伝送装置100は、伝送装置200と伝送装置201と伝送装置202とのうちの少なくとも1つに、要求コマンドを送信する。また、伝送装置100は、要求コマンドに対する応答コマンドを、伝送装置200と伝送装置201と伝送装置202とのうちのいずれかから受信する。このように、伝送装置100は、ホスト装置として機能する。伝送装置100は、例えば、エアコンの室外機である。
伝送装置100は、通信用電源110と、接地端子115と、N(Nは、自然数)個のフォトカプラ120(なお、フォトカプラ120は、フォトカプラ120a、・・・、フォトカプラ120nの総称である。)と、N個の抵抗123(なお、抵抗123は、抵抗123a、・・・、抵抗123nの総称である。)と、N個の接地端子124(なお、接地端子124は、接地端子124a、・・・、接地端子124nの総称である。)と、フォトカプラ130と、抵抗133と、接地端子134と、電源端子135と、ダイオード140と、入出力ポート150と、制御部160と、交流負荷170とを備える。
通信用電源110は、シリアル通信に用いる伝送電流を供給する直流電源である。通信用電源110は、交流電源400から供給された交流電力を変換して、直流電力を取得する。通信用電源110は、接地端子115の電位に対して、Vc(V)だけ高い電位となる出力端子を備える。つまり、通信用電源110は、Vc(V)の直流電圧を出力する。通信用電源110は、ダイオード111と、抵抗112と、電解コンデンサ113と、定電圧ダイオード114と、を備える。
ダイオード111は、アノードからカソードに向かう方向にのみ電流を流す整流素子である。ダイオード111のアノードは、交流負荷170の一端と、電源線301の一端と、交流電源400の一端と、に接続される。ダイオード111のカソードは、抵抗112の一端に接続される。
抵抗112は、直流電圧を生成するための抵抗である。抵抗112の他端は、電解コンデンサ113の+端子と、定電圧ダイオード114のカソードと、フォトトランジスタ122(なお、フォトトランジスタ122は、フォトトランジスタ122a、・・・、フォトトランジスタ122nの総称である。)のコレクタと、に接続される。
電解コンデンサ113は、供給されたエネルギーを一時的に蓄える、極性を有するコンデンサである。電解コンデンサ113の−端子は、定電圧ダイオード114のアノードと、接地端子115と、交流負荷170の他端と、接地線303の一端と、交流電源400の他端と、に接続される。
定電圧ダイオード114は、アノードとカソードの間に印加された逆方向電圧が降伏電圧未満では逆方向電流がほとんど流れず、逆方向電圧が降伏電圧以上になると急激に逆方向電流が流れるようになるダイオードである。定電圧ダイオード114の両端の電圧(降伏電圧)は、Vc(V)であるものとする。
接地端子115は、接地される端子であり、接地線303に、接地電位を印加するための端子である。
フォトカプラ120aは、2つの回路を、相互に電気的に絶縁するための素子である。フォトカプラ120aは、発光ダイオード121aとフォトトランジスタ122aとを備える。フォトカプラ120aは、発光ダイオード121aのアノードからカソードに向かう電流(以下、適宜「一次側電流」という。)が流れると、フォトトランジスタ122aのコレクタからエミッタに向かう電流(以下、適宜「二次側電流」という。)が流れる。なお、電流伝達率は、一次側電流の電流値に対する二次側電流の電流値の比率である。
発光ダイオード121aは、アノードとカソードとの間に印加された電圧(以下、適宜「一次側電圧」という。)が所定の電圧の閾値(以下、適宜「電圧閾値」という。)以上になると、一次側電流を流すとともに、光を発する。発光ダイオード121aのアノードは、抵抗123aの一端に接続される。発光ダイオード121aのカソードは、接地端子124aに接続される。
フォトトランジスタ122aは、コレクタとエミッタとの間に印加された電圧(以下、適宜「二次側電圧」という。)と発光ダイオード121aが発する光の量とに応じた二次側電流を、コレクタからエミッタに向けて流す。フォトトランジスタ122aのエミッタは、他の全てのフォトトランジスタ122(なお、フォトトランジスタ122は、フォトトランジスタ122a、・・・、フォトトランジスタ122nの総称である。)のエミッタと、発光ダイオード131のアノードと、に接続される。
抵抗123aは、発光ダイオード121aに流れる電流を制限する抵抗である。抵抗123aの他端は、入出力ポート150のPOa端子に接続される。
接地端子124aは、接地される端子であり、発光ダイオード121aのカソードに、接地電位を印加するための端子である。
ここで、例えば、伝送装置200、伝送装置201、伝送装置202のうちの少なくとも1つにより伝送経路が開放されている場合(遮断されていない場合)、入出力ポート150のPOa端子から出力される電位がHレベル(電源電位)のとき、発光ダイオード121aに一次側電流が流れ、フォトトランジスタ122aに二次側電流が流れる。一方、例えば、伝送装置200、伝送装置201、伝送装置202のうちの少なくとも1つにより伝送経路が開放されている場合でも、入出力ポート150のPOa端子から出力される電位がLレベル(接地電位)のとき、発光ダイオード121aに一次側電流が流れず、フォトトランジスタ122aに二次側電流が流れない。
フォトカプラ120a以外のフォトカプラ120は、基本的に、フォトカプラ120aと同様の構成である。例えば、フォトカプラ120nは、発光ダイオード121nとフォトトランジスタ122nとを備える。フォトカプラ120nは、発光ダイオード121nに一次側電流が流れると、フォトトランジスタ122nに二次側電流が流れる。
発光ダイオード121nは、一次側電圧が電圧閾値以上になると、一次側電流を流すとともに、光を発する。発光ダイオード121nのアノードは、抵抗123nの一端に接続される。発光ダイオード121nのカソードは、接地端子124nに接続される。
フォトトランジスタ122nは、二次側電圧と発光ダイオード121nが発する光の量との応じた二次側電流を、コレクタからエミッタに向けて流す。
抵抗123nは、発光ダイオード121nに流れる電流を制限する抵抗である。抵抗123nの他端は、入出力ポート150のPOn端子に接続される。
接地端子124nは、接地される端子であり、発光ダイオード121nのカソードに、接地電位を印加するための端子である。
ここで、例えば、伝送装置200、伝送装置201、伝送装置202のうちの少なくとも1つにより伝送経路が開放されている場合、入出力ポート150のPOn端子から出力される電位がHレベル(電源電位)のとき、発光ダイオード121nに一次側電流が流れ、フォトトランジスタ122nに二次側電流が流れる。一方、例えば、伝送装置200、伝送装置201、伝送装置202のうちの少なくとも1つにより伝送経路が開放されている場合でも、入出力ポート150のPOn端子から出力される電位がLレベル(接地電位)のとき、発光ダイオード121nに一次側電流が流れず、フォトトランジスタ122nに二次側電流が流れない。
フォトカプラ130は、基本的に、フォトカプラ120と同様の構成である。フォトカプラ130は、発光ダイオード131とフォトトランジスタ132とを備える。フォトカプラ130は、発光ダイオード131のアノードからカソードに向かう一次側電流が流れると、フォトトランジスタ132のコレクタからエミッタに向かう二次側電流が流れる。発光ダイオード131のカソードは、ダイオード140のアノードに接続される。フォトトランジスタ132のエミッタは、抵抗133の一端と、入出力ポート150のPI端子とに接続される。フォトトランジスタ132のコレクタは、電源端子135に接続される。
抵抗133は、フォトトランジスタ132のエミッタを、接地電位にプルダウンするための抵抗である。抵抗133の他端は、接地端子134に接続される。
接地端子134は、接地される端子であり、抵抗133の他端に、接地電位を印加するための端子である。
電源端子135は、電源に接続される端子であり、フォトトランジスタ132のコレクタに、電源電位を印加するための端子である。
なお、発光ダイオード131に一次側電流(図1においてIonにより示される伝送電流)が流れる場合、フォトトランジスタ132に二次側電流が流れ、入出力ポート150のPI端子に印加される電位は、Hレベルとなる。一方、発光ダイオード131に一次側電流(伝送電流)が流れない場合、フォトトランジスタ132に二次側電流が流れず、入出力ポート150のPI端子に印加される電位は、Lレベルとなる。
ダイオード140は、アノードからカソードに向かう方向にのみ電流を流す整流素子である。ダイオード140のカソードは、伝送線302の一端に接続される。
入出力ポート150は、N個の出力端子(POa、・・・、POn)と、1個の入力端子(PI)と、を備えるパラレルポートである。N個の出力端子のそれぞれは、Hレベル又はLレベルのいずれかのレベルを出力する。入力端子は、Hレベル又はLレベルのいずれかのレベルを入力する。入出力ポート150は、制御部160と相互に接続される。入出力ポート150は、N個の出力端子のそれぞれから、制御部160による指示に従ったレベルを出力する。また、入出力ポート150は、入力端子が入力したレベルを、制御部160に通知する。
制御部160は、入出力ポート150のN個の出力端子から出力されるレベルを制御して、要求コマンド(伝送データ)を送信する。また、制御部160は、入出力ポート150の入力端子に入力されたレベルに基づいて、応答コマンド(伝送データ)を受信(解釈)する。
以下、図2を参照して、制御部160の構成について説明する。図2に示すように、制御部160は、CPU(Central Processing Unit)161、ROM(Read Only Memory)162、RAM(Random Access Memory)163、フラッシュメモリ164、RTC(Real Time Clock)165、タッチスクリーン166、入出力ポートインターフェース167、電流計インターフェース168を備える。制御部160が備える各構成要素は、バスを介して相互に接続される。
CPU161は、制御部160の全体の動作を制御する。なお、CPU161は、ROM162に格納されているプログラムに従って動作し、RAM163をワークエリアとして使用する。
ROM162には、制御部160の全体の動作を制御するためのプログラムやデータが記憶される。
RAM163は、CPU161のワークエリアとして機能する。つまり、CPU161は、RAM163にプログラムやデータを一時的に書き込み、これらのプログラムやデータを適宜参照する。
フラッシュメモリ164は、各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。なお、制御部160は、フラッシュメモリ164に代えて、ハードディスクなどを備えていてもよい。
RTC165は、計時用のデバイスである。RTC165は、例えば、電池を内蔵し、制御部160の電源がオフの間も計時を継続する。RTC165は、例えば、水晶発振子を備える発振回路を備える。
タッチスクリーン166は、利用者によりなされたタッチ操作を検知し、検知の結果を示す信号をCPU161に供給する。また、タッチスクリーン166は、CPU161などから供給された画像信号に基づく画像を表示する。このように、タッチスクリーン166は、ユーザインターフェースとして機能する。
入出力ポートインターフェース167は、入出力ポート150と通信するためのインターフェースである。入出力ポートインターフェース167は、CPU161による制御に従って、入出力ポート150の出力ポートから任意のレベルを出力させる。また、入出力ポートインターフェース167は、入出力ポート150の入力ポートが受け付けたレベルを、CPU161に供給する。
電流計インターフェース168は、後述する電流計180と通信するためのインターフェースである。電流計インターフェース168は、CPU161による制御に従って、アドホック通信やネットワーク通信により、電流計180と通信する。例えば、電流計インターフェース168は、電流計180から供給された電流値を、CPU161に供給する。電流計インターフェース168は、USB(Universal Serial Bus)やIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394などのシリアル通信用のインターフェースであってもよいし、NICなどのLANインターフェースであってもよい。
交流負荷170は、交流電力により動作する負荷である。交流負荷170は、例えば、空調ユニットである。
伝送装置200は、伝送装置100から要求コマンドを受信する。また、伝送装置200は、要求コマンドに対する応答コマンドを、伝送装置100に送信する。このように、伝送装置200は、クライアント装置として機能する。伝送装置200は、例えば、エアコンの室内機である。
伝送装置200は、M(Mは、自然数)個のフォトカプラ220(なお、フォトカプラ220は、フォトカプラ220a、・・・、フォトカプラ220mの総称である。)と、M個の抵抗223(なお、抵抗223は、抵抗223a、・・・、抵抗223mの総称である。)と、M個の接地端子224(なお、接地端子224は、接地端子224a、・・・、接地端子224mの総称である。)と、フォトカプラ230と、抵抗233と、接地端子234と、電源端子235と、ダイオード240と、抵抗241と、入出力ポート250と、制御部260と、交流負荷270とを備える。
フォトカプラ220aは、2つの回路を、相互に電気的に絶縁するための素子である。フォトカプラ220aは、発光ダイオード221aとフォトトランジスタ222aとを備える。フォトカプラ220aは、発光ダイオード221aのアノードからカソードに向かう一次側電流が流れると、フォトトランジスタ222aのコレクタからエミッタに向かう二次側電流が流れる。
発光ダイオード221aは、アノードとカソードとの間に印加された一次側電圧が電圧閾値以上になると、一次側電流を流すとともに、光を発する。発光ダイオード221aのアノードは、抵抗223aの一端に接続される。発光ダイオード221aのカソードは、接地端子224aに接続される。
フォトトランジスタ222aは、コレクタとエミッタとの間に印加された二次側電圧と発光ダイオード221aが発する光の量との応じた二次側電流を、コレクタからエミッタに向けて流す。フォトトランジスタ222aのコレクタは、他の全てのフォトトランジスタ222(なお、フォトトランジスタ222は、フォトトランジスタ222a、・・・、フォトトランジスタ222mの総称である。)のコレクタと、抵抗241の一端と、に接続される。フォトトランジスタ222aのエミッタは、他の全てのフォトトランジスタ222のエミッタと、発光ダイオード231のアノードと、に接続される。
抵抗223aは、発光ダイオード221aに流れる電流を制限する抵抗である。抵抗223aの他端は、入出力ポート250のPOa端子に接続される。
接地端子224aは、接地される端子であり、発光ダイオード221aのカソードに、接地電位を印加するための端子である。
ここで、例えば、伝送装置100により伝送経路が開放されている場合、入出力ポート250のPOa端子から出力される電位がHレベル(電源電位)のとき、発光ダイオード221aに一次側電流が流れ、フォトトランジスタ222aに二次側電流が流れる。一方、例えば、伝送装置100により伝送経路が開放されている場合でも、入出力ポート250のPOa端子から出力される電位がLレベル(接地電位)のとき、発光ダイオード221aに一次側電流が流れず、フォトトランジスタ222aに二次側電流が流れない。
フォトカプラ220a以外のフォトカプラ220は、基本的に、フォトカプラ220aと同様の構成である。例えば、フォトカプラ220mは、発光ダイオード221mとフォトトランジスタ222mとを備える。フォトカプラ220mは、発光ダイオード221mに一次側電流が流れると、フォトトランジスタ222mに二次側電流が流れる。
発光ダイオード221mは、一次側電圧が電圧閾値以上になると、一次側電流を流すとともに、光を発する。発光ダイオード221mのアノードは、抵抗223mの一端に接続される。発光ダイオード221mのカソードは、接地端子224mに接続される。
フォトトランジスタ222mは、二次側電圧と発光ダイオード221mが発する光の量との応じた二次側電流を、コレクタからエミッタに向けて流す。
抵抗223mは、発光ダイオード221mに流れる電流を制限する抵抗である。抵抗223mの他端は、入出力ポート250のPOm端子に接続される。
接地端子224mは、接地される端子であり、発光ダイオード221mのカソードに、接地電位を印加するための端子である。
ここで、例えば、伝送装置100により伝送経路が開放されている場合、入出力ポート250のPOm端子から出力される電位がHレベル(電源電位)のとき、発光ダイオード221mに一次側電流が流れ、フォトトランジスタ222mに二次側電流が流れる。一方、例えば、伝送装置100により伝送経路が開放されている場合でも、入出力ポート250のPOm端子から出力される電位がLレベル(接地電位)のとき、発光ダイオード221mに一次側電流が流れず、フォトトランジスタ222mに二次側電流が流れない。
フォトカプラ230は、基本的に、フォトカプラ220と同様の構成である。フォトカプラ230は、発光ダイオード231とフォトトランジスタ232とを備える。フォトカプラ230は、発光ダイオード231のアノードからカソードに向かう一次側電流が流れると、フォトトランジスタ232のコレクタからエミッタに向かう二次側電流が流れる。発光ダイオード231のカソードは、交流負荷270の一端と、接地線303の他端と、に接続される。フォトトランジスタ232のエミッタは、抵抗233の一端と、入出力ポート250のPI端子とに接続される。フォトトランジスタ232のコレクタは、電源端子235に接続される。
抵抗233は、フォトトランジスタ232のエミッタを、接地電位にプルダウンするための抵抗である。抵抗233の他端は、接地端子234に接続される。
接地端子234は、接地される端子であり、抵抗233の他端に、接地電位を印加するための端子である。
電源端子235は、電源に接続される端子であり、フォトトランジスタ232のコレクタに、電源電位を印加するための端子である。
なお、発光ダイオード231に一次側電流(伝送電流)が流れる場合、フォトトランジスタ232に二次側電流が流れ、入出力ポート250のPI端子に印加される電位は、Hレベルとなる。一方、発光ダイオード231に一次側電流(伝送電流)が流れない場合、フォトトランジスタ232に二次側電流が流れず、入出力ポート250のPI端子に印加される電位は、Lレベルとなる。
ダイオード240は、アノードからカソードに向かう方向にのみ電流を流す整流素子である。ダイオード240のアノードは、伝送線302の他端に接続される。ダイオード240のカソードは、抵抗241の他端に接続される。
抵抗241は、伝送経路の途中に設けられる抵抗であり、伝送経路を流れる伝送電流を制限する抵抗である。なお、伝送線302や接地線303に伝送電流が流れると、伝送電流と抵抗241の抵抗値とに応じた電圧が抵抗241の両端に発生する。従って、抵抗241の抵抗値は、フォトカプラ120やフォトカプラ220の二次側電圧に影響を与える。
入出力ポート250は、M個の出力端子(POa、・・・、POm)と、1個の入力端子(PI)と、を備えるパラレルポートである。M個の出力端子のそれぞれは、Hレベル又はLレベルのいずれかのレベルを出力する。入力端子は、Hレベル又はLレベルのいずれかのレベルを入力する。入出力ポート250は、制御部260と相互に接続される。入出力ポート250は、M個の出力端子のそれぞれから、制御部260による指示に従ったレベルを出力する。また、入出力ポート250は、入力端子が入力したレベルを、制御部260に通知する。
制御部260は、入出力ポート250のM個の出力端子から出力されるレベルを制御して、応答コマンド(伝送データ)を送信する。また、制御部260は、入出力ポート250の入力端子に入力されたレベルに基づいて、要求コマンド(伝送データ)を受信(解釈)する。なお、制御部260の構成は、基本的に、制御部160の構成と同様である。
交流負荷270は、交流電力により動作する負荷である。交流負荷270の他端は、電源線301の他端に接続される。交流負荷270は、例えば、空調ユニットである。
伝送装置201と伝送装置202とのそれぞれは、基本的に、伝送装置200と同様の構成である。
電源線301は、交流電源400が出力する交流電力を供給するための電源線である。
伝送線302は、伝送装置100から伝送装置200と伝送装置201と伝送装置202とに向けて伝送電流を流すための伝送線である。
接地線303は、交流電源400が出力する交流電力の基準電位(接地電位)が印加される接地線である。また、接地線303は、伝送装置200と伝送装置201と伝送装置202とから伝送装置100に向けて伝送電流を流すための伝送線である。
交流電源400は、交流電力を供給するための交流電源である。交流電源400は、例えば、電力会社などから供給される100Vもしくは200Vの商用電源である。
なお、伝送装置201と伝送装置202とのそれぞれは、電源線301と伝送線302と接地線303とのそれぞれにより、伝送装置100からみて、伝送装置200と並列に接続される。
つまり、電源線301の一端は、伝送装置100に接続され、電源線301の他端は、3つに分岐して伝送装置200と伝送装置201と伝送装置202とのそれぞれに接続される。また、伝送線302の一端は、伝送装置100に接続され、伝送線302の他端は、3つに分岐して伝送装置200と伝送装置201と伝送装置202とのそれぞれに接続される。そして、接地線303の一端は、伝送装置100に接続され、接地線303の他端は、3つに分岐して伝送装置200と伝送装置201と伝送装置202とのそれぞれに接続される。
ここで、伝送装置100が要求コマンドを送信する場合、この要求コマンドを表す伝送電流は、伝送装置100→伝送線302→伝送装置200、伝送装置201、及び、伝送装置202→接地線303→伝送装置100という経路をたどって流れる。一方、伝送装置200と伝送装置201と伝送装置202とのうちの特定の伝送装置が応答コマンドを送信する場合、この応答コマンドを表す伝送電流は、伝送装置100→伝送線302→特定の伝送装置→接地線303→伝送装置100という経路をたどって流れる。
このように、送信先の伝送装置が複数個ある場合、送信元の伝送装置から流れた伝送電流は、複数個の送信先の伝送装置のそれぞれに分岐して供給される。従って、送信元の伝送装置は、送信先の伝送装置の個数に応じて、伝送電流の大きさを適切な大きさに変えることが好適である。つまり、送信元の伝送装置は、伝送電流を流すために伝送経路内に並列に配設されたフォトカプラのうち、送信先の伝送装置の個数に応じた適切な個数のフォトカプラを使用することが好適である。典型的には、送信元の伝送装置は、送信先の伝送装置の個数が多いほど、使用するフォトカプラの個数を多くすることが好適である。
また、フォトカプラの一次側電流の大きさが不変であるものとすると、フォトカプラの電流伝達率が低下した場合、伝送電流を構成する、フォトカプラの二次側電流の大きさが小さくなる。従って、送信元の伝送装置は、フォトカプラの電流伝達率が低下するほど、使用するフォトカプラの個数を多くすることが好適である。なお、フォトカプラの使用期間が長くなるほど、フォトカプラの電流伝達率が低下すると推定される。従って、送信元の伝送装置は、例えば、フォトカプラの使用期間が長くなるほど、使用するフォトカプラの個数を多くすることが好適である。
以上説明したように、送信元の伝送装置は、送信先の伝送装置の個数が多いほど、また、フォトカプラの使用期間が長くなるほど、使用するフォトカプラの個数を多くすることが好適である。以下、使用するフォトカプラの個数を求める手法について、基本的に、送信元の伝送装置が伝送装置100である場合を例にして説明する。
図3は、選択数定義テーブルを示す図である。選択数定義テーブルは、送信元の伝送装置が伝送データを送信する際に、使用するフォトカプラとして選択するフォトカプラの個数(以下、適宜、単に「選択数」という。)を定義するテーブルである。本実施形態では、選択数定義テーブルは、フォトカプラの使用期間(以下、適宜、単に「使用期間」という。)と、送信先の伝送装置の個数(以下、適宜「被伝送装置数」という。)と、選択数との関係を定義するテーブルである。
本実施形態では、処理の容易化のため、使用期間は、送信元の伝送装置の使用期間であるものとする。例えば、送信元の伝送装置が伝送装置100である場合、CPU161は、伝送装置100が最初に使用されたときに、RTC165から供給される時刻情報を取得し、使用開始時刻を示す情報としてフラッシュメモリ164に記憶する。以後、CPU161は、RTC165から供給される時刻情報により示される現在時刻と、フラッシュメモリ164に記憶されている情報により示される使用開始時刻との差分を求めることにより、伝送装置100の使用期間を算出することができる。
図3は、使用期間が3年未満の場合、選択数は被伝送装置数と同じであり、使用期間が3年以上5年未満の場合、選択数は被伝送装置数の2倍であり、使用期間が5年以上の場合、選択数は被伝送装置数の3倍であるべきことを示している。CPU161は、選択数定義テーブルを用いることにより、使用期間と被伝送装置数とから簡単に選択数を求めることができる。なお、選択数定義テーブルや被伝送装置数は、例えば、フラッシュメモリ164に記憶されているものとする。
また、フォトカプラは使用されるほど劣化する(電流伝達率が低下する)と推定されるため、使用されるフォトカプラに偏りがないように、どのフォトカプラも同程度の割合で使用されることが好適である。つまり、最後に使用された時期が古い順に、フォトカプラが選択されることが好適である。以下、図4を参照して、使用するフォトカプラを選択する手法について説明する。図4は、フォトカプラの選択履歴を示す図である。
図4は、フォトカプラの総数(N)が10個であり、1回目から3回目までは、選択数が4であり、4回目から5回目までは、選択数が6である例を示している。また、フォトカプラは、番号が小さいものから順に選択され、番号が最も大きいものが選択された後、番号が最も小さいものが選択される。また、図4において、選択されたフォトカプラを「○」で表し、選択されなかったフォトカプラを「×」で表している。
ここで、どのタイミングで使用するフォトカプラを切り替えるのかは、適宜、調整することができる。例えば、送信元の伝送装置の電源が投入される毎に、使用されるフォトカプラが切り替えられてもよい。あるいは、日付が変わる毎に、使用されるフォトカプラが切り替えられてもよい。なお、図4において、X回目とは、X回目の選択である。
1回目の選択では、番号1から番号4までのフォトカプラが選択される。ここで、1回目の選択を示す列において、番号4のフォトカプラの選択状態を示す枠が太線で示されている。この太枠は、最後に選択されたフォトカプラのうち、番号が最も大きいフォトカプラを示している。従って、例えば、CPU161は、1回目の選択の後、選択状態が太枠で示されたフォトカプラの番号である「4」をフラッシュメモリ164に記憶する。そして、2回目の選択では、フラッシュメモリ164に記憶された番号の次の番号である「5」が番号であるフォトカプラから、順に、4個のフォトカプラを選択する。このように、順番にフォトカプラが選択されることにより、フォトカプラの劣化のばらつきが少なくなり、システム全体としての寿命の延命化が期待できる。
なお、CPU161は、伝送データを表す2進数のレベルに対応するように、選択された少なくとも1個のフォトカプラのそれぞれに対応する、入出力ポート150の出力端子のレベルを同時に制御する。これにより、選択された少なくとも1個のフォトカプラのそれぞれに、一次側電流と二次側電流とが流れる。そして、選択された少なくとも1個のフォトカプラのそれぞれに流れる二次側電流の合計電流値を有する伝送電流が、伝送経路に流れる。
以上、基本的に、伝送装置100が、要求コマンドの送信時に、N個のフォトカプラ120の中から、使用するフォトカプラの個数を選択する例について説明した。伝送装置200が、応答コマンドの送信時に、M個のフォトカプラ220の中から、使用するフォトカプラの個数を選択することもできる。この場合、被伝送装置数は、基本的に、1である。従って、伝送装置200は、使用期間に応じて、使用するフォトカプラの個数を選択することができる。伝送装置201や伝送装置202も、伝送装置200と同様に、使用期間に応じて、使用するフォトカプラの個数を選択することができる。
以上説明したように、本実施形態では、複数の送信用フォトカプラのそれぞれが備えるフォトトランジスタは、伝送電流が流れる伝送経路上に互いに並列に組み込まれ、伝送データに応じて、選択された少なくとも1個の送信用フォトカプラのそれぞれが備える発光ダイオードに、同時に電流が供給される。このように、本実施形態では、データ伝送に用いられ、電流伝達率が比較的低い、複数の送信用フォトカプラが、互いに並列に接続されて、伝送経路に組み込まれる。従って、本実施形態では、伝送電流の大きさを維持し、送信用フォトカプラの一次側電流の増大を抑制しつつ、通信速度の高速化が実現される。従って、本実施形態によれば、フォトカプラを用いたシリアル通信の高速化と伝送装置の長寿命化とを両立することができる。
また、本実施形態では、複数の送信用フォトカプラの中から、被伝送装置数に応じた個数の送信用フォトカプラが選択される。従って、本実施形態によれば、フォトカプラを用いたシリアル通信の高速化と伝送装置の長寿命化とを、被伝送装置数に応じて適切に両立することができる。
また、本実施形態では、複数の送信用フォトカプラの中から、送信用フォトカプラの電流伝達率の低下率に応じた個数の送信用フォトカプラが選択される。従って、本実施形態によれば、フォトカプラを用いたシリアル通信の高速化と伝送装置の長寿命化とを、電流伝達率の低下率に応じて適切に両立することができる。
また、本実施形態では、複数の送信用フォトカプラの使用期間に基づいて、電流伝達率の低下率が算出される。従って、本実施形態によれば、フォトカプラを用いたシリアル通信の高速化と伝送装置の長寿命化とを、簡単な構成により、電流伝達率の低下率に応じて適切に両立することができる。
なお、送信用フォトカプラの劣化の程度や、被伝送装置数にかかわらず、十分な大きさの伝送電流が流れるように、十分な個数の送信用フォトカプラを選択する対策も考えられる。しかしながら、この対策では、送信用フォトカプラを劣化させ、電流伝達率を低下させてしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、送信用フォトカプラの劣化の程度や、被伝送装置数に応じて、適切に、使用する送信用フォトカプラの個数を調整する手法を採用している。
また、本実施形態では、複数の送信用フォトカプラの中から、最後に選択された時期が古い順に、少なくとも1個の送信用フォトカプラが選択される。従って、本実施形態によれば、フォトカプラを用いたシリアル通信の高速化と伝送装置のさらなる長寿命化とを両立することができる。
また、本実施形態では、伝送装置と被伝送装置とのうちの一方の装置が通信用電源を備え、伝送装置と被伝送装置とが、伝送線と電源線と接地線とのそれぞれにより接続され、伝送電流が、伝送線を介して一方の装置から他方の装置に流れ、接地線を介して他方の装置から一方の装置に流れる。従って、本実施形態によれば、伝送装置と被伝送装置との間のシリアル通信を、簡単な構成により実現できる。
(実施形態2)
実施形態1では、送信用フォトカプラの使用期間に基づいて、送信用フォトカプラの電流伝達率の低下率が算出(推定)される例について説明した。本発明において、送信用フォトカプラの電流伝達率の低下率を算出する手法は、この例に限定されない。以下、伝送線に流れる伝送電流の大きさの実測値に基づいて、送信用フォトカプラの電流伝達率の低下率を算出する例について説明する。
図5に、実施形態2に係る伝送システム1001の構成を示す。伝送システム1001は、伝送装置100に代えて伝送装置101を備える点を除き、伝送システム1000と同様である。また、伝送装置101は、電流計180を備える点を除き、伝送装置100と同様の構成である。以下、伝送システム1001が伝送システム1000と異なる部分について説明する。
電流計180は、伝送線302に流れる伝送電流の大きさを検出する。具体的には、電流計180は、伝送線302に流れる伝送電流による電磁誘導により発生した起電力を利用して、伝送電流の大きさを示す電圧信号を生成する。電流計180は、生成された電圧信号を、制御部160に供給する。電流計180は、例えば、カレントトランスを備える。
一方、制御部160は、電流計180から供給された電圧信号に基づいて、フォトカプラの電流伝達率の低下率を算出する。具体的には、まず、CPU161は、電流計インターフェース168を介して、電流計180から供給された電圧信号を取得する。そして、CPU161は、取得した電圧信号に基づいて、伝送電流の大きさを算出する。そして、CPU161は、新品のフォトカプラ(電流伝達率の低下率が0%であるフォトカプラ)を使用したときに流れるべき伝送電流の大きさに対する、算出された伝送電流の大きさを、電流伝達率の低下率として算出する。
そして、CPU161は、算出された電流伝達率の低下率と、被伝送装置数とに基づいて、フォトカプラの使用個数を決定する。CPU161は、例えば、図6に示すような、選択数定義テーブルを用いて、フォトカプラの使用個数を決定する。
図6は、実施形態2で使用する選択数定義テーブルを示す図である。この選択数定義テーブルは、送信元の伝送装置が伝送データを送信する際のフォトカプラの使用個数(選択数)を定義するテーブルである。本実施形態では、選択数定義テーブルは、電流伝達率の低下率と、被伝送装置数と、選択数との関係を定義するテーブルである。
図6は、電流伝達率の低下率が20%未満の場合、選択数は被伝送装置数と同じであり、電流伝達率の低下率が20%以上40%未満の場合、選択数は被伝送装置数よりも1個多く、電流伝達率の低下率が40%以上60%未満の場合、選択数は被伝送装置数の2倍であり、電流伝達率の低下率が60%以上80%未満の場合、選択数は被伝送装置数の3倍であるべきことを示している。なお、電流伝達率の低下率が80%以上の場合について明示していないのは、フォトカプラの劣化が激し過ぎる場合、フォトカプラを交換すべきだからである。
このような場合、CPU161は、フォトカプラの電流伝達率が低下し過ぎているため、フォトカプラを交換すべきである旨をユーザに警告することが好適である。例えば、CPU161は、警告画面を示す画像信号を生成し、タッチスクリーン166に供給する。一方、タッチスクリーン166は、供給された画像信号に基づいて、警告画面を表示する。このように、CPU161は、選択数定義テーブルを用いることにより、電流伝達率の低下率と被伝送装置数とから簡単に適切な選択数を求めることができる。なお、選択数定義テーブルや被伝送装置数は、例えば、フラッシュメモリ164に記憶されているものとする。
本実施形態では、伝送電流の大きさの実測値に基づいて、電流伝達率の低下率が算出される。従って、本実施形態によれば、フォトカプラを用いたシリアル通信の高速化と伝送装置の長寿命化とを、電流伝達率の低下率に応じてさらに適切に両立することができる。
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
本発明において、上記実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上記実施形態において説明した構成、機能、動作は、自由に組み合わせることができる。
上記実施形態では、クライアント装置が3個である例について説明した。本発明において、クライアント装置の個数がこの例に限定されない。例えば、クライアント装置の個数は、1個であってもよいし、2個であってもよいし、4個以上であってもよい。
上記実施形態では、選択数定義テーブルを用いて、選択数(送信用フォトカプラの使用個数)を決定する例について説明した。本発明において、選択数を決定する手法は、この例に限定されない。例えば、使用期間と被伝送装置数とを変数とする、種々の関数を用いて、選択数を決定してもよい。このような関数は、例えば、使用期間が長いほど、又、被伝送装置数が多いほど、多くの選択数が求められる関数である。また、このような関数を示す情報は、フラッシュメモリ164などに記憶することができる。かかる手法によれば、送信用フォトカプラの使用個数として、より適切な個数を決定することが期待できる。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。