JP6222555B2 - 水処理方法及び水処理装置 - Google Patents
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Description
活性炭を触媒として使用する構成では、吸着した難分解性物質をOHラジカルで分解するため、活性炭の吸着性能の低下を防止でき、活性炭の交換などのランニングコストの抑制を図ることができる。
このような問題は、排水処理に限るものではなく、難分解性物質等の除去対象となる物質を含有する水から除去対象となる物質を除去する水処理であれば同様の問題が生じ得る。
また、触媒としては活性炭に限るものではなく、除去対象となる物質と微小気泡とを吸着する多孔性物質であれば同様の問題が生じ得る。
図1は、本実施形態に係る排水処理装置100の概略説明図である。
排水処理装置100は、微小気泡発生手段である微小気泡発生槽1と、円筒状の処理槽2と、循環ポンプ3とを備え、処理槽2内には粒状の多孔性物質5が充填されている。
ここで、オゾン印加量の「g/h」という単位は、一時間当りのオゾンの供給量(g)を示している。また、図4に示す処理装置100についての詳細は後述する。
オゾン濃度が0.156[g/L]より高いとオゾンの酸化力によって触媒が壊れてしまうため好ましくない。オゾン濃度が0.013[g/L]以下だとオゾン分解によるOHラジカル量が少ないため好ましくない。
細孔直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の容積の和が全細孔の容積の和に対して、20[%]より低い場合、多孔性物質5の細孔中での微小気泡の圧壊が起こりにくく、好ましくない。
また、細孔直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の容積の和が、全細孔の容積の和に対して、40[%]より高い場合、多孔性物質5の強度が保てず、交換や補充の頻度が高くなってしまい、好ましくない。
また、直径が20[nm]以上、80[nm]以下の細孔の容積の和が、全細孔の容積の和に対して、15[%]より低い場合、直径が80[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の割合が高くなる。これにより、OHラジカルによる分解反応が多孔性物質の表面近傍でしか行なわれず、好ましくない。
陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。
該非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
排水処理時には、微小気泡発生槽1及び処理槽2へ処理排水4を入れる。バッチ処理の場合、循環ポンプ3によって、処理槽2と微小気泡発生槽1を処理排水4が所定流量で循環し、所定時間の処理を行う。
図4中の矢印A1は処理排水4の供給を示し、矢印A2は洗浄水の供給を示し、矢印Bは処理排水4の抜き出しを示し、矢印Cは、洗浄水の抜き出しを示す。
洗浄処理の場合、図4中の矢印A2で示すように処理槽2の下部より所定の流量で洗浄水を流し、図4中の矢印Cで示すように処理槽2の上部より排出を行う。
従来、排水の物理・化学処理方法としては、凝集沈殿法、加圧浮上法、活性炭吸着法、酸化分解法など様々な方法があり、排水の成分に応じて適切な手法が選択される。
難分解性物質が含まれる排水の処理方法としては、次のような方法がある。例えば、難分解性物質が高濃度の場合、焼却処理などの環境負荷の高い方法で処理されている。また、難分解性物質が低濃度の場合では、活性炭吸着法などにより処理される。活性炭吸着法では、処理量の増加に伴い吸着性能が下がってしまい、活性炭の交換などのランニングコストがかかることが課題となっている。
特許文献1に記載の技術では、高濃度の排水が処理できないという欠点がある。
特許文献3では、マイクロバブルを超音波により圧壊させ、活性炭処理する方法が提案されている。特許文献3に記載の技術では、超音波により生じた定常波によりマイクロバブルが凝集してしまうため、圧壊時にラジカル同士が反応してしまい、処理効率が悪いという欠点がある。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、難分解性の界面活性剤を含有する排水を、排水処理装置100を用いた水処理によって、低環境負荷、且つ、低ランニングコストで処理することができることを見出した。すなわち、粒径が50[nm]以上、50[μm]以下の範囲となる微小気泡を排水中に発生させる。そして、この排水を、全細孔の容積の和に対して20[%]以上、40[%]以下が、細孔直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔である多孔性物質に接触させる水処理方法である。
排水処理装置100は、難分解性の界面活性剤を含む処理排水4に対して、微小気泡発生槽1で微小気泡を発生させ、適切に調整された細孔分布を有する多孔性物質5により処理することによって、処理排水4から難分解性の界面活性剤を効率良く分解除去できる。
以下、本発明の構成を備えた実施例と、本発明の構成を備えない比較例とによって排水処理を行った実験例について説明する。
図2は、本実験例で用いた多孔性物質としての活性炭A乃至Dの細孔分布を示す図であり、図3は、本実験例で用いた多孔性物質としての二酸化マンガンA及びBの細孔分布を示す図である。
そして、図2及び図3に示す分布図において、「20[nm]以上、200[nm]」等の特定の範囲の細孔直径について積分を行うことによって、細孔直径が特定の範囲となる細孔の容積の和の、全ての細孔の容積の和に対する割合を算出することができる。ここでは、この割合を細孔分布頻度(単位は[%])と呼ぶ。
懸濁重合法によって製造された、電子写真用重合トナーの生産排水を分析した結果、排水のCODの値と陰イオン界面活性剤濃度は高い相関関係にあり、排水の主成分は陰イオン界面活性剤であった。この処理排水4を排水Aとする。
処理排水4のCOD値の測定は、工場排水試験法JIS K 0102 7に準拠して行った。その結果、排水AのCOD値は、1800[mg/L]であった。
多孔性物質の比表面積測定及び細孔分布の測定は、島津製作所製トライスターII3020を用いて行った。前処理は、加熱真空排気方式により行い、70[mTorr]、90[℃]で1[時間]加熱後、350[℃]でさらに4[時間]加熱した。
比表面積測定は、BET法により解析を行った。
また、細孔分布は、吸着等温線をBJH法により解析を行った。
活性炭Aを測定した結果、直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度は、全細孔の容積の和(以下、「全細孔容積」と呼ぶ)の32[%]であった。また、直径が20[nm]以上、80[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度は、全細孔容積の24[%]であった。BET比表面積は、934[m2/g]であった。
微小気泡発生槽1で微小気泡を発生させる微小気泡発生装置としては、ホモジナイザーを使用した。ジェネレーターを3000[rpm]で回転させ、ジェネレーター下部より、気体を所定の流量で供給し、気液混合及び気泡のせん断により、微小気泡を発生させた。
微小気泡の粒径測定は、島津製作所製SALD−7100Hを用いて行った。測定には、フローセルを使用し、1[L/min]の流速で連続通水し、測定を行った。測定結果は、酸素の屈折率1.000276を用いて解析を行った。
排水Aに対して、0.02[g/L]のオゾンを含有する酸素を1.0[L/min]の流量で供給し、微小気泡を発生させた結果、微小気泡発生槽1及び処理槽2では排水A中に直径が50[nm]以上、40[μm]以下の範囲となる微小気泡が存在していた。
洗浄水AのCOD測定は、工場排水試験法JIS K 0102 7に準拠して行った。その結果、洗浄水AのCOD値は、40[mg/L]であった。
微小気泡発生槽1で、微小気泡を発生させる気体として酸素を用い、実施例1と同様の方法で微小気泡を発生させた。微小気泡発生槽1及び処理槽2では直径が50[nm]以上、40[μm]以下の範囲となる微小気泡が存在していた。その後、実施例1と同様の操作を行い、処理水Bを得た。処理水BのCOD値は、450[mg/L]であった。
多孔性物質5として二酸化マンガンAを用いた。実施例1と同様の方法で、細孔分布及びBET比表面積を測定した結果、20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度は、全細孔容積の38[%]であった。また、20[nm]以上、80[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度は、全細孔容積の30[%]であった。BET比表面積は、352[m2/g]であった。多孔性物質5である二酸化マンガンAを処理槽2に6.0[kg]充填した。処理槽2における二酸化マンガンAの充填高さは7.6[cm]であった。その後、実施例1と同様の操作を行い、処理水Cを得た。処理水CのCOD値は、500[mg/L]であった。
多孔性物質5として活性炭Bを用いた。実施例1と同様の方法で、細孔分布及びBET比表面積を測定した結果、20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度は、全細孔容積の38[%]であった。また、直径が20[nm]以上、80[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度は、全細孔容積の31[%]であった。BET比表面積は、977[m2/g]であった。多孔性物質5である活性炭Bを処理槽2に1.5[kg]充填した。処理槽2における活性炭Bを充填高さは、9.5[cm]であった。その後、実施例1と同様の操作を行い、処理水Dを得た。処理水DのCOD値は、550[mg/L]であった。
多孔性物質5として二酸化マンガンBを用いた。実施例1と同様の方法で、細孔分布及びBET比表面積を測定した結果、直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度は、全細孔容積の23[%]であった。また、直径が20[nm]以上、80[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度は、全細孔容積の14[%]であった。BET比表面積は、348[m2/g]であった。多孔性物質5である二酸化マンガンBを処理槽2に6.0[kg]充填した。処理槽2における二酸化マンガンBの充填高さは、7.5[cm]であった。その後、実施例3と同様の操作を行い、排水Aを処理し、処理水Eを得た。処理水EのCOD値は、600[mg/L]であった。
処理排水4として、クリーニング工場排水を用いた。この処理排水4を排水Bとする。排水BのCOD値と非イオン界面活性剤濃度は、高い相関関係にあり、排水Bの主成分は、非イオン界面活性剤であった。排水BのCOD値を測定した結果、1000[mg/L]であった。その後、実施例1と同様の操作を行い、処理水Fを得た。処理水FのCOD値は、90[mg/L]であった。
実施例1と同様の操作を行い、バッチ処理を行った。その後、微小気泡発生槽1に1.0[L/min]の流量で排水Aを供給し、処理槽2の下部より処理水を1.0[L/min]の流量で排出しながら、再度実施例1と同様の操作を行い、通水処理を行った。20[分間]の通水処理を行い、処理槽2内の液が完全に入れ替わったところで、処理水Gを得た。処理水GのCOD値は、150[mg/L]であった。
多孔性物質5として活性炭Aを用い、処理槽2に1.0[kg]充填した。処理における活性炭Aの充填高さは6.4[cm]であった。その後、実施例1と同様の操作を行い、処理水Hを得た。処理水HのCOD値は400[mg/L]であった。
図4に示す排水処理装置100を用いて、実施例1と同様の操作を行い、処理液Iを得た。処理液IのCOD値は、150[mg/L]であった。
洗浄水IのCOD測定は、工場排水試験法JIS K 0102 7に準拠して行った。その結果、洗浄水IのCOD値は、40[mg/L]であった。
このときのオゾン濃度は0.02[g/L]であった。洗浄水Iによる処理方法を洗浄工程とする。
図4に示す排水処理装置100を用いて、実施例3と同様の操作を行い、処理液Jを得た。処理液JのCOD値は、500[mg/L]であった。
その後、洗浄工程において、オゾンを供給しない以外は実施例9と同様に処理工程と洗浄工程を交互に10回行い、11回目の処理工程において、10[分間]のバッチ処理後に洗浄後処理水Jを得た。洗浄後処理水JのCOD値は、769[mg/L]であった。
図4に示す排水処理装置100を用いて、実施例4と同様の操作を行い、処理液Kを得た。処理液KのCOD値は550[mg/L]であった。
その後、実施例9と同様に処理工程と洗浄工程を交互に10回行い、11回目の処理工程において、10[分間]のバッチ処理後に洗浄後処理水Kを得た。洗浄後処理水KのCOD値は、689[mg/L]であった。
図4に示す排水処理装置100を用いて、実施例6と同様の操作を行い、処理液Lを得た。処理液LのCOD値は90[mg/L]であった。
その後、実施例9と同様に処理工程と洗浄工程を交互に10回行い、11回目の処理工程において、10[分間]のバッチ処理後に洗浄後処理水Lを得た。洗浄後処理水LのCOD値は、240[mg/L]であった。
微小気泡発生槽1では、ジェネレーターを3000[rpm]で回転させ、0.02[g/L]のオゾンを含有する酸素を5.0[L/min]の流量で供給し、微小気泡を発生させた。その結果、微小気泡発生槽1及び処理槽2では直径が60[μm]以上、200[μm]以下の範囲となる微小気泡が存在していた。その後、実施例1の同様の操作を行い、処理水Mを得た。処理水MのCOD値は、1400[mg/L]であった。
多孔性物質5として活性炭Cを用いた。実施例1と同様の方法で、細孔分布及びBET比表面積を測定した結果、直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度は、全細孔容積の9[%]であった。また、直径が20[nm]以上、80[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度は、全細孔容積の7[%]であった。BET比表面積は、1271[m2/g]であった。多孔性物質5である活性炭Cを処理槽2に1.5[kg]充填した。
洗浄工程において、実施例1と同様の操作を行い、11回目の処理工程において、10[分間]のバッチ処理後に洗浄後処理水Nを得た。洗浄後処理水NのCOD値は、1734[mg/L]であった。
多孔性物質5として活性炭Dを用いた。実施例1と同様の方法で、細孔分布及びBET比表面積を測定した結果、直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度は、全細孔容積の50[%]であった。また、直径が20[nm]以上、80[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度は、全細孔容積の30[%]であった。BET比表面積は、950[m2/g]であった。多孔性物質5である活性炭Dを処理槽2に1.5[kg]充填した。
比較例2は、直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度が、全細孔容積の20[%]より低くなっている。このため、多孔性物質5の細孔中での微小気泡の圧壊が起こりにくく、効率的な処理を行うことが出来ず、CDDの低下率が低くなっていると考えられる。
比較例3は、直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度が、全細孔容積の40[%]より高い。このため、多孔性物質5の強度が保てず、処理中に活性炭が破壊されたと考えられる。
実施例3は、直径が20[nm]以上、80[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度が、全細孔容積の30[%]である。また、実施例4は、直径が20[nm]以上、80[nm]以下の範囲となる細孔の細孔分布頻度が、全細孔容積の31[%]であり、30[%]を超えている。これらの場合は、直径が80[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の割合が低くなっており、微小気泡が細孔中へと進入しにくくなるため、実施例1よりもCOD低下率が低くなっていると考えられる。
実施例7は通水処理を行っているが、通水処理においても良好な排水処理を行うことができることが分かる。
実施例8は、多孔性物質5の量を実施例1よりも少なくしている。このため、「表面積×接触時間」の値が「2.0×105」より小さくなり、処理排水4が多孔性物質5の表面に接触する接触時間または接触面積が不十分な状態となって、処理効率が落ちたため、実施例1よりもCOD低下率が低くなっていると考えられる。
(態様A)
処理対象の処理排水4等の水の中に、マイクロバブル等の微小気泡を発生させる微小気泡発生工程と、微小気泡が発生した水を多孔性物質5等の多孔性物質に接触させる多孔性物質接触工程と、を有する水処理方法において、多孔性物質の表面に開口した細孔のうち、細孔直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の容積の和は、全ての細孔の容積の和に対して、20[%]以上、40[%]以下である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、細孔直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲の細孔の容積の和が、全細孔の容積の和の20[%]以上であるため、多孔性物質の細孔中での微小気泡の圧壊が起こり易い。これにより、処理対象の水の中に含まれる陰イオン界面活性剤等の除去対象となる物質とOHラジカルとを効率的に反応させることができる。また、細孔直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲の細孔の容積の和が、全細孔の容積の和の40[%]以下であることで、多孔性物質の強度を保つことができ、交換や補充の頻度を少なくすることができる。除去対象となる物質とOHラジカルとを効率的に反応させつつ、多孔性物質交換や補充の頻度を少なくすることができるため、従来よりも効率的な水処理を行うことができる。
(態様B)
態様Aにおいて、多孔性物質5等の多孔性物質の表面に開口した細孔のうち、細孔直径が20[nm]以上、80[nm]以下の範囲となる細孔の容積の和は、全ての細孔の容積の和に対して、15[%]以上、30[%]以下である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、直径が20[nm]以上、80[nm]以下の範囲となる細孔の容積の和が、全細孔の容積の和の30[%]以下であるため、直径が80[nm]より大きく、200[nm]以下の細孔の割合が高くなる。これにより、微小気泡が細孔中へと進入し易くなり、除去対象となる物質とOHラジカルとを効率的に反応させることができる。また、直径が20[nm]以上、80[nm]以下の範囲となる細孔の容積の和が、全細孔の容積の和の15[%]以上であるため、直径が80[nm]より大きく、200[nm]以下の範囲となる細孔の割合が高くなり過ぎることを抑制できる。これにより、OHラジカルによる分解反応が多孔性物質5の表面近傍でしか行なわれない状態となることを抑制し、除去対象となる物質とOHラジカルとを効率的に反応させることができる。
(態様C)
態様AまたはBにおいて、多孔性物質5等の多孔性物質が活性炭である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、所望の細孔分布の多孔性物質を得ることができる。
(態様D)
態様A乃至Cの何れかの態様において、微小気泡を構成する気体が、オゾンを含有する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、微小気泡の圧壊によるOHラジカルの発生の他にも、水中でオゾンが分解する際に発生するOHラジカルや、溶存オゾンによる酸化作用などが期待できる。これにより、除去対象となる物質とOHラジカルとの反応頻度を向上することができ、排水の処理効率の向上を図ることができる。
(態様E)
態様Dにおいて、処理対象の水に対するオゾンの濃度が0.013[g/L]〜0.156[g/L]である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、オゾンの酸化力によって触媒が壊れたり、オゾン分解によるOHラジカル量が少なくなることを防止できる。
(態様F)
態様A乃至Eの何れかの態様において、処理排水4等の処理対象の水の1[L]当りに使用する多孔性物質5等の多孔性物質の表面積と、水が多孔性物質に接触する時間との積の値が、「2.0×105[m2・min]」以上の値である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、水が多孔性物質の表面に接触する接触時間及び接触面積を確保することができ、除去対象となる物質とOHラジカルとを効率的に反応させることができる。
(態様G)
態様A乃至Fの何れかの態様において、処理排水4等の処理対象の水が電子写真用重合トナー等のトナーの生産排水である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、クリーニング工場排水等と比較して、COD値が高いトナーの生産排水であっても良好な排水処理を行うことができる。
(態様H)
態様A乃至Gの何れかの態様において、多孔性物質5等の多孔性物質を洗浄する洗浄工程を有し、洗浄工程では、オゾンを含有する気体を用いて洗浄水の中に微小気泡を発生させ、洗浄水に対するオゾンの濃度が0.013[g/L]〜0.156[g/L]である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、多孔性物質を洗浄する工程を有し、その洗浄水においても、排水の処理時と同様の処理方法を行うことにより洗浄効率が向上する。これにより、多孔性物質の交換頻度が減少し、さらなるコスト低減を実現することができる。
(態様I)
処理排水4等の処理対象の水の中にマイクロバブル等の微小気泡を発生させる微小気泡発生槽1等の微小気泡発生手段と、微小気泡が発生した水に接触する多孔性物質5等の多孔性物質と、を有する排水処理装置100等の水処理装置において、多孔性物質の表面に開口した細孔のうち、細孔直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の容積の和は、全ての細孔の容積の和に対して、20[%]以上、40[%]以下である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、細孔直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲の細孔の容積の和が、全細孔の容積の和の20[%]以上であるため、多孔性物質の細孔中での微小気泡の圧壊が起こり易い。これにより、処理対象の水の中に含まれる陰イオン界面活性剤等の除去対象となる物質とOHラジカルとを効率的に反応させることができる。また、細孔直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲の細孔の容積の和が、全細孔の容積の和の40[%]以下であることで、多孔性物質の強度を保つことができ、交換や補充の頻度を少なくすることができる。除去対象となる物質とOHラジカルとを効率的に反応させつつ、多孔性物質交換や補充の頻度を少なくすることができるため、従来よりも効率的な水処理を行うことができる水処理装置を実現できる。
2 処理槽
3 循環ポンプ
4 処理排水
5 多孔性物質
100 排水処理装置
Claims (8)
- 処理対象の水の中に、微小気泡を発生させる微小気泡発生工程と、
前記微小気泡が発生した水を多孔性物質に接触させる多孔性物質接触工程と、を有する水処理方法において、
前記多孔性物質の表面に開口した細孔のうち、細孔直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の容積の和は、全ての細孔の容積の和に対して、20[%]以上、40[%]以下であり、
前記処理対象の水がトナーの生産排水であることを特徴とする水処理方法。 - 請求項1の水処理方法において、
前記多孔性物質の表面に開口した細孔のうち、細孔直径が20[nm]以上、80[nm]以下の範囲となる細孔の容積の和は、全ての細孔の容積の和に対して、15[%]以上、30[%]以下であることを特徴とする水処理方法。 - 請求項1または2の水処理方法において、
前記多孔性物質が活性炭であることを特徴とする水処理方法。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の水処理方法において、
前記微小気泡を構成する気体が、オゾンを含有することを特徴とする水処理方法。 - 請求項4に記載の水処理方法において、
前記処理対象の水に対するオゾンの濃度が0.013[g/L]〜0.156[g/L]であることを特徴とする水処理方法。 - 請求項1乃至5の何れかに記載の水処理方法において、
前記処理対象の水の1[L]当りに使用する前記多孔性物質の表面積と、水が前記多孔性物質に接触する時間との積の値が、「2.0×105[m2・min]」以上の値であることを特徴とする水処理方法。 - 請求項1乃至6の何れかに記載の水処理方法において、
前記多孔性物質を洗浄する洗浄工程を有し、
前記洗浄工程では、オゾンを含有する気体を用いて洗浄水の中に前記微小気泡を発生させ、
前記洗浄水に対するオゾンの濃度が0.013[g/L]〜0.156[g/L]であることを特徴とする水処理方法。 - 処理対象の水の中に微小気泡を発生させる微小気泡発生手段と、
前記微小気泡が発生した水に接触する多孔性物質と、を有する水処理装置において、
前記多孔性物質の表面に開口した細孔のうち、細孔直径が20[nm]以上、200[nm]以下の範囲となる細孔の容積の和は、全ての細孔の容積の和に対して、20[%]以上、40[%]以下であり、
前記処理対象の水がトナーの生産排水であることを特徴とする水処理装置。
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