本発明に係る電気接続用コネクタ1及び電力変換システムの実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。但し、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は下記の実施形態に限定されることなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
なお、以下では特に断りがない限り、電気接続用コネクタ1を抜き差しする方向(図3中の左右方向)を電気接続用コネクタ1の前後方向、図3中の上下方向を電気接続用コネクタ1の上下方向と規定して説明を行う。したがって、図3中の紙面に垂直な方向が電気接続用コネクタ1の左右方向となる。
図2は本実施形態の電力変換システムの概略ブロック図である。この電力変換システムは、電気接続用コネクタ1と電力変換装置5とを備え、電気接続用コネクタ1を電動車両4のインレット40に接続することで、電動車両4と電力変換装置5との間が電気的に接続される。
電力変換装置5は、例えばAC/DCコンバータを有しており、商用電源から供給される交流電力を所定の直流電力に変換し、電気接続用コネクタ1を介して電動車両4へ供給する。なお、電力変換装置5は、DC/ACコンバータをさらに有していてもよい。この場合、電動車両4側より放電される直流電力を所定の交流電力に変換し、例えばテレビや冷蔵庫などの家電機器に対して電力を供給することができる。
電動車両4(機器)は、図2に示すように、インレット40と、充電回路41と、蓄電池42とを備える。インレット40は、電気接続用コネクタ1のコネクタ本体13が挿抜自在に接続される。充電回路41は、電力変換装置5より供給される上記直流電力から所望の電圧値の直流電力を生成する。蓄電池42は、充電回路41が生成した直流電力を蓄積する。
なお、電動車両4には、動力源として電動機のみを備えた電気自動車(EV)や、動力源としてエンジンと電動機とを併用するプラグインハイブリット車(PHEV)、燃料電池を用いて動力源としての電動機を駆動させる燃料電池自動車(FCV)などがある。
インレット40は、図3〜図6に示すように、後面が開口する円筒状に形成された本体部401を有し、本体部401の前端部には、円板状に形成された取付部402が一体に設けられている。本体部401の上側の開口端縁には、ロックレバー15の引掛部151が引っ掛けられる段部4011が設けられている。また、本体部401の内部には、円筒状に形成された一対の給電ソケット403(第2接触部)が設けられている。なお、図3〜図6では、片方の給電ソケット403のみを図示している。
電気接続用コネクタ1は、図3〜図6に示すように、コネクタ本体13と、リンク14と、ロックレバー15と、ラック19と、ピニオン20,21と、マイクロスイッチ(図示せず)と、ソレノイド装置31とを備える。また、電気接続用コネクタ1は、ストッパー22と、スライドレバー24と、解除レバー25,27と、ピン29と、第1開閉器35と、第2開閉器36(図1参照)と、第2連動部材37(図1参照)と、ケース10とを備える。
ケース10は、一対の半割りのケース片を互いに組み合わせることで形成され、前後方向に長い円筒状の筒状部11と、筒状部11の後端部に一体に設けられた把持部12とで構成される。把持部12の下端部には、筒状に形成されたゴムブッシュ61が取り付けられており、電気ケーブルCB1がゴムブッシュ61を通して外部に引き出されている。
筒状部11の上側且つ前側の部位には、ロックレバー15を露出させるための開口部111が前後方向(図3中の左右方向)に沿って設けられている。また、筒状部11の上側且つ後側の部位には、解除釦30を露出させるための孔112が設けられている。さらに、筒状部11の内側面には、リンク14とロックレバー15とを連結する軸16を前後方向に移動させるための第1溝(図示せず)が設けられている。
コネクタ本体13は、例えば合成樹脂により円筒状に形成され、ケース10の筒状部11の先端(前端)に配置されている。コネクタ本体13の内部には、前後方向に長い棒状に形成された一対のコンタクトピン32(第1接触部)が収納されており、各コンタクトピン32の周りにはコイルばね33が配置されている。また、各コイルばね33の前端部には、円板状の絶縁キャップ34が取り付けられている。なお、図3〜図6では、片方のコンタクトピン32、コイルばね33及び絶縁キャップ34のみを図示している。
一対のコンタクトピン32の一方は、第1開閉器35の第1接点部352(図2参照)及び電気ケーブルCB1を介して電力変換装置5の一方の出力端に接続されている。また、一対のコンタクトピン32の他方は、第2開閉器36の第2接点部362(図2参照)及び電気ケーブルCB1を介して電力変換装置5の他方の出力端に接続されている。
リンク14は、上下方向に長い板状に形成され、下端部に取り付けられた軸17によって回転可能に支持されている。また、リンク14は、中間部に取り付けられた軸18によってラック19に連結されている。さらに、リンク14は、上端部に取り付けられた軸16によってロックレバー15に連結されている。
ロックレバー15は、電気接続用コネクタ1を電動車両4のインレット40に固定するために用いられる。このロックレバー15は、前後方向に長い板状に形成され、中間部に取り付けられた軸16によってリンク14に連結されている。ロックレバー15の前端部には、上向きに突出する引掛部151が設けられ、さらにロックレバー15の後端部には、下向きに突出する引掛部152が設けられている。このロックレバー15には、ねじりばね(図示せず)によって時計回り(右回り)の弾性力が加えられている。
ラック19は、前後方向に長い矩形板状に形成され、ラック19の下面における中間部には、複数の歯191が前後方向に沿って設けられている。このラック19は、コネクタ本体13の後端部に取り付けられており、コネクタ本体13の移動に伴って前後方向に移動可能となっている。
ピニオン20は、円板状に形成された歯車からなり、ピニオン20の外周面には、ラック19の歯191と噛み合う歯201が全周に亘って設けられている。なお、ピニオン20と噛み合うピニオン21については後述する。
マイクロスイッチ(図示せず)は、ケース10内に入り込んだコネクタ本体13によって直接押され、コネクタ本体13がケース10の所定位置に到達したことを検出する。このマイクロスイッチがオンにされると、マイクロスイッチの内部に設けられた接点(図示せず)がオンになり、ソレノイド装置31に対して駆動信号が出力される。
ソレノイド装置31は、前後方向(図3中の左右方向)に進退自在に移動するピン(図示せず)の前端部に取り付けられた規制部311を有し、ピンが伸びた状態では規制部311によって解除釦30を押せないようになっている。このソレノイド装置31は、上述のマイクロスイッチ(図示せず)から出力される駆動信号によってピンが前方に伸び、また電動車両4より出力される充電完了信号によってピンが後退する。
ストッパー22は、前後方向に長い板状に形成され、後端部に取り付けられた軸23によって回転可能に支持されている。また、ストッパー22の前端部には、上向きに突出する突起221が設けられている。さらに、ストッパー22の前後方向における突起221の後方には、ロックレバー15の長手方向における中間部に設けられた突起153が入り込む凹部222が設けられている。このストッパー22には、ねじりばね(図示せず)によって反時計回り(左回り)の弾性力が加えられている。
スライドレバー24は、前後方向に長い板状に形成され、前端部に取り付けられた軸16によってリンク14及びロックレバー15に連結されている。すなわち、スライドレバー24は、リンク14及びロックレバー15とともに前後方向に移動可能である。スライドレバー24の長手方向(前後方向)における中間部には、電気接続用コネクタ1をインレット40に接続した状態で解除レバー27の前端部(先端部)が入り込む凹部241が設けられている。
解除レバー25は、前後方向に長い板状に形成され、後端部に取り付けられた軸26によって回転可能に支持されている。また、解除レバー25の前端部には、上向きに突出する引掛部251が設けられている。この解除レバー25には、ねじりばね(図示せず)によって反時計回り(左回り)の弾性力が加えられている。
解除レバー27は、前後方向に長い板状に形成され、長手方向(前後方向)における中間部に取り付けられた軸28によって回転可能に支持されている。解除レバー27は、後端部が解除釦30の下側に配置されており、解除釦30が下向きに押されることで反時計回りに回転する。この解除レバー27には、ねじりばね(図示せず)によって時計回りの弾性力が加えられている。
次に、電気接続用コネクタ1の基本動作について、図3〜図6を参照しながら説明する。
図3に示すように、コネクタ本体13がインレット40に差し込まれていない状態では、ロックレバー15の突起153がストッパー22の凹部222に入り込んでおり、ロックレバー15の後方への移動が規制されている。そのため、ロックレバー15に連結されたリンク14も回転することなく、またリンク14の上端部に取り付けられた軸16は第1溝の前端部に位置している。
このとき、ロックレバー15の引掛部151は、ケース10内に引っ込んだ状態にある。またこのとき、軸18を介してリンク14に連結されたラック19も後方への移動が規制されており、このラック19が連結されたコネクタ本体13の後方への移動も規制されている。さらにこのとき、解除レバー27の先端部が解除レバー25の後端部に接触することで、解除レバー25の反時計回りの回転が規制されている。
図4に示すように、コネクタ本体13がインレット40の所定位置まで差し込まれると、ストッパー22の突起221が本体部401の開口端縁に接触し、ストッパー22が軸23を中心に時計回りに回転する。これにより、ロックレバー15の突起153がストッパー22の凹部222から出た状態になり、ストッパー22によるロックレバー15の規制状態が解除される。
また、コネクタ本体13がインレット40の所定位置に達するまではラック19によりコネクタ本体13の移動が規制されているため、コネクタ本体13がインレット40側に押し込まれる。これにより、コネクタ本体13の各コンタクトピン32が各給電ソケット403の内面に摺動しながら差し込まれていき、コネクタ本体13がインレット40に電気的に接続される。このとき、ラック19が移動しないことから、ピニオン20,21も回転しない。
図5に示すように、ケース10がインレット40側(図5中の右側)に押し込まれると、コンタクトピン32と給電ソケット403の接触抵抗によりコネクタ本体13がケース10側(図5中の左側)へ移動する。このとき、コネクタ本体13によって後方に押されることでラック19がケース10から見て後方へ移動し、それに伴ってリンク14も軸17を中心に反時計回りに回転する。また、リンク14の回転に伴って、軸16が第1溝内を後方へ移動するとともに、ロックレバー15がケース10から見て後方へ移動する。
またこのとき、ロックレバー15がストッパー22の上面に沿って後方へ移動していくことで、ロックレバー15の引掛部151がインレット40の本体部401の段部4011に引っ掛かる。さらにこのとき、ラック19が後方へ移動することで、ラック19と噛み合うピニオン20が反時計回りに回転するとともに、ピニオン20と噛み合うピニオン21が時計回りに回転する。
図6に示すように、ケース10がさらにインレット40側に押し込まれると、コンタクトピン32と給電ソケット403の接触抵抗によりコネクタ本体13がさらにケース10側へ移動する。このとき、コネクタ本体13に押されてラック19がケース10から見てさらに後方へ移動するため、軸18を介してラック19に連結されたリンク14はさらに反時計回りに回転する。また、リンク14の回転に伴って、軸16が第1溝内をさらに後方へ移動するとともに、ロックレバー15がケース10から見てさらに後方へ移動する。
またこのとき、スライドレバー24も後方へ移動し、スライドレバー24に設けられた凹部241内に解除レバー27の先端部が入り込む。これにより、保持力がなくなった解除レバー25は軸26を中心に反時計回りに回転し、解除レバー25の引掛部251がロックレバー15の引掛部152に引っ掛かる。
さらにこのとき、ラック19がさらに後方へ移動することで、ラック19と噛み合うピニオン20がさらに反時計回りに回転するとともに、ピニオン20と噛み合うピニオン21がさらに時計回りに回転する。これにより、第1開閉器35の第1接点部352及び第2開閉器36の第2接点部362が閉じ、電力変換装置5から電動車両4への給電路が形成される。
続けて、電動車両4への充電が完了すると、電動車両4から出力される充電完了信号によってソレノイド装置31が作動し、ピン及びピンの先端に取り付けられた規制部311が後方に引っ込む。この状態で解除釦30が下向きに押されると、解除釦30の下側に配置された解除レバー27の後端部が下向きに押され、これにより解除レバー27は軸28を中心に反時計回りに回転する。
解除レバー27が反時計回りに回転すると、解除レバー27の前端部により解除レバー25の後端部が上向きに押され、これにより解除レバー25が軸26を中心に時計回りに回転し、解除レバー25の引掛部251がロックレバー15の引掛部152から外れる。
解除レバー25の引掛部251がロックレバー15の引掛部152から外れた状態でケース10を後方へ引くと、軸16が相対的に第1溝内を前側へ移動し、軸16の移動に伴ってリンク14が軸17を中心に時計回りに回転する。さらに、軸16の移動に伴ってロックレバー15がケース10から見て前側へ移動する。なお、ロックレバー15は、上下方向において突起153がストッパー22の凹部222と対向する位置まで移動する。
このとき、リンク14に連結されたラック19もケース10から見て前側へ移動し、ラック19の移動に伴ってラック19と噛み合うピニオン20が時計回りに回転するとともに、ピニオン20と噛み合うピニオン21が反時計回りに回転する。これにより、第1開閉器35の第1接点部352及び第2開閉器36の第2接点部362が開き、電力変換装置5から電動車両4への給電路が開放される。
ケース10をさらに後方へ引き、ストッパー22の突起221がインレット40の本体部401の開口端縁から外れると、ねじりばねの弾性力によりストッパー22が反時計回りに回転し、ロックレバー15の突起153がストッパー22の凹部222内に入り込む。これにより、ロックレバー15に連結されたラック19の移動が規制され、その結果、ケース10とともにコネクタ本体13も後方へ移動し、電気接続用コネクタ1がインレット40から取り外される。
以下、本実施形態の電気接続用コネクタ1の特徴部分について具体的に説明する。
第1開閉器35は、図1に示すように、扁平な箱状に形成された合成樹脂製のケース350を有し、ケース350の内部には、第1接点部352(図2参照)とハンドル351(図7A参照)とが少なくとも収納されている。ハンドル351は、図7A及び図7Bに示すように、左右方向を軸方向とする円柱状に形成されている。そして、ハンドル351におけるピニオン21との対向面には、ピニオン21との間を連結する連結バー38の一端部が差し込まれる差込部3510(図10参照)が設けられている。
第2開閉器36は、図1に示すように、扁平な箱状に形成された合成樹脂製のケース360を有し、ケース360の内部には、第2接点部362(図2参照)とハンドル361(図7A参照)とが少なくとも収納されている。ハンドル361は、図7A及び図7Bに示すように、左右方向を軸方向とする円柱状に形成されている。そして、ハンドル361における第2連動部材37との対向面には、第2連動部材37との間を連結する連結バー39の一端部が差し込まれる差込部3610が設けられている。
ピニオン21は、図8A及び図8Bに示すように、円板状に形成された本体部210を有し、本体部210の外周面には、三角状に突出する歯211が全周に亘って形成されている。また、ピニオン21の本体部210におけるハンドル351との対向面には、連結バー38の他端部が差し込まれる差込部213が設けられている(図8B参照)。
さらに、ピニオン21の本体部210における第2連動部材37との対向面には、第2連動部材37側に突出する突出部212が設けられている。この突出部212は、第2連動部材37側から見た形状がリング状の第1突出部2120と、第2連動部材37側から見た形状が扇状であって、且つ第1突出部2120に対して対称となる位置に設けられた一対の第2突出部2121とで構成される(図8A参照)。
ピニオン21は、上述のピニオン20と同径に形成されており、歯211がピニオン20の歯201に噛み合うことで回転し、連結バー38を介して連結されたハンドル351を回転させる。これにより、第1開閉器35の第1接点部352を開閉させる。なお、本実施形態では、ピニオン20とピニオン21の歯数を同数に設定しているが、異なっていてもよい。ここに、本実施形態では、ピニオン21により第1連動部材が構成されている。
第2連動部材37は、図9A、図9B及び図10に示すように、円板状に形成された本体部370を有し、本体部370の中央部には、厚み方向に貫通し且つ連結バー39の他端部が通される貫通孔372が設けられている。
また、第2連動部材37の本体部370におけるピニオン21との対向面には、ピニオン21の本体部210に設けられた突出部212が収まる凹部371が設けられている。さらに、本体部370の凹部371の内側面には、内向きに突出する一対の突出部3710が対向するように設けられている。ここに、本実施形態では、第1連動部材であるピニオン21と、第2連動部材37とで連動部材が構成されている。
ハンドル351,361、ピニオン21及び第2連動部材37を、前後方向から見た形状がU字状に形成されたフレーム51に組み付けた状態では、図7Bに示すように、フレーム51の対向する側板510間にピニオン21及び第2連動部材37が配置される。また、一方の側板510に対してピニオン21と反対側にハンドル351が配置され、他方の側板510に対して第2連動部材37と反対側にハンドル361が配置される。
さらに、フレーム51の底板及び両側板510で囲まれたスペースには、歯201がピニオン21の歯211と噛み合うように配置されたピニオン20と、歯191がピニオン20の歯201と噛み合うように配置されたラック19とが収められている(図1参照)。
また、ハンドル351,361、ピニオン21及び第2連動部材37をフレーム51に組み付けた状態では、図10に示すように、第2連動部材37の凹部371内にピニオン21の突出部212が収まっている。つまり、ピニオン21及び第2連動部材37の中心軸と直交する平面内においてピニオン21(第1連動部材)の少なくとも一部(突出部212)が第2連動部材37の内側に入るように構成されている。これにより、電気接続用コネクタ1の左右方向(幅方向)における外形寸法を小さくすることができる。
また、本実施形態のように、ピニオン21に設けた突出部212を第2連動部材37の凹部371内に収める構造とすることで、例えばピニオン21と第2連動部材37とをピンで接合する場合に比べて、接合強度を高めることができる。
ところで、本実施形態の電気接続用コネクタ1は、図2に示すように、第1開極機構53と第2開極機構54とをさらに備えている。第1開極機構53は、例えばバイメタルやソレノイドを用いた開極機構であって、第1接点部352及び第2接点部362を含む電路に過電流が流れると、バイメタルやソレノイドを介して第1接点部352及び第2接点部362を開く。
また、第2開極機構54は、例えばソレノイドを用いた開極機構であって、上記電路に過電流以外の異常(例えば漏電など)が発生すると、電力変換装置5が上記異常を検出し、ソレノイドに対して異常信号を出力する。そして、第2開極機構54では、電力変換装置5からの異常信号によってソレノイドが作動し、第1接点部352及び第2接点部362を開く。
上述のように、第1開極機構53及び第2開極機構54を備えることで、異常時における遮断性能を向上させることができる。また、電力変換装置5が漏電を検出した場合には、第2開極機構54により第1接点部352及び第2接点部362を開くことで、電力変換装置5と電動車両4との間を絶縁することができる。
次に、電気接続用コネクタ1の特徴部分の動作について、図11A、図11B、図11Cを参照しながら説明する。
図11Aは、コネクタ本体13がインレット40に差し込まれていない状態(図3の状態)でのピニオン21と第2連動部材37との位置関係を表わしている。このとき、ピニオン21が時計回りに回転する際の各第2突出部2121における進行方向側の端面が各突出部3710に接触している。
コネクタ本体13がインレット40に差し込まれると(図6の状態)、ピニオン21は時計回りに回転する。このとき、各第2突出部2121における進行方向側の端面が各突出部3710に接触しているため、図11Bに示すように、ピニオン21の回転に伴って第2連動部材37も時計回りに回転する。これにより、ピニオン21に連結された第1開閉器35の第1接点部352及び第2連動部材37に連結された第2開閉器36の第2接点部362が閉じ、電力変換装置5から電動車両4への給電路が形成される。
コネクタ本体13をインレット40から引き抜く際には、ピニオン21は反時計回りに回転する。このとき、各第2突出部2121における進行方向側の端面が各突出部3710に接触していないため、図11Cに示すように、第2連動部材37は空回りし、ピニオン21のみが回転する。これにより、ピニオン21に連結された第1開閉器35の第1接点部352のみが開き、第2連動部材37に連結された第2開閉器36の第2接点部362は閉じた状態に保持される。なお、この状態では、第1接点部352が開いていることから、電力変換装置5から電動車両4への給電路が開放される。
以下同様に、インレット40に対してコネクタ本体13を抜き差しする際には、ピニオン21及び第2連動部材37は、図11Bに示す状態と図11Cに示す状態とを繰り返すことになる。つまり、第2連動部材37は空転し、ピニオン21のみが回転するのである。これにより、第1開閉器35の第1接点部352のみが開閉され、第2開閉器36の第2接点部362は閉じた状態に保持される。
ところで、上述の第1開極機構53又は第2開極機構54により第1接点部352及び第2接点部362を開いた後、電気接続用コネクタ1をインレット40から取り外すことで、ピニオン21(第1連動部材)は元の位置(図11Aに示す位置)まで復帰する。これに対して、第2連動部材37は、上述のように、ピニオン21に連動して回転しないため、元の位置(図11Aに示す位置)に復帰させることができない。
そこで、本実施形態では、図10に示すように、第1開極機構53又は第2開極機構54により第1接点部352及び第2接点部362を開いた後において、第2連動部材37を元の位置に復帰させる復帰ばね52を設けている。これにより、電力変換装置5と電動車両4との間の電路に異常が発生した場合において、第2連動部材37を元の位置(第2接点部362を開く位置)に復帰させることができる。ここに、本実施形態では、復帰ばね52によりリセット機構が構成されている。
本実施形態の電気接続用コネクタ1では、電力変換装置5との間を接続する電気ケーブルCB1の途中に何も設けられていないので、従来例のように電気ケーブルを収納する際に制御ボックスが邪魔になることがなく、使い勝手が向上するという利点がある。
また、電気接続用コネクタ1をインレット40に最初に取り付けた後は、第1開閉器35の第1接点部352のみが開閉され、第2開閉器36の第2接点部362は閉じた状態に保持される。これにより、電気接続用コネクタ1をインレット40に最初に取り付けた後は、電気接続用コネクタ1を着脱する際に加える力を小さくすることができる。
さらに、本実施形態のように、リンク14、ラック19、ピニオン20,21及び第2連動部材37からなる倍力機構を用いた場合には、電気接続用コネクタ1を着脱する際に加える力をさらに小さくすることができる。
なお、本実施形態では、電気接続用コネクタ1をインレット40から取り外す際に、第1開閉器35の第1接点部352を開き、且つ第2開閉器36の第2接点部362が閉じた状態を保持しているが、逆であってもよい。つまり、第2開閉器36の第2接点部362を開き、且つ第1開閉器35の第1接点部352が閉じた状態を保持してもよい。
また、本実施形態では、ピニオン21(第1連動部材)の一部である突出部212が第2連動部材37の凹部371内に納まる構成としたが、ピニオン21の全部が凹部371に納まるようになっていてもよい。さらに、ピニオン21側に凹部を設け、且つ第2連動部材37側に突出部を設けてもよい。
また、本実施形態では、第1開極機構53及び第2開極機構54の両方を備えているが、少なくとも一方を備えていればよく、本実施形態に限定されない。さらに、リセット機構についても復帰ばね52に限定されるものではなく、第2連動部材37を元の位置に復帰させることができれば、他の構成でもよい。
また、本実施形態では、電力変換装置5から出力される異常信号により第2開極機構54が第1接点部352及び第2接点部362を開く構成としたが、第1開閉器35及び第2開閉器36の外側から異常信号が第2開極機構54に入力される構成であればよい。例えば、第1開閉器35及び第2開閉器36の外側で且つケース10内に異常検出部(図示せず)を設け、この異常検出部が第2開極機構54に対して異常信号を出力する構成であってもよい。
また、本実施形態では、電動車両4の蓄電池42の充電のみを行う構成としたが、蓄電池42の放電のみを行う構成であってもよいし、蓄電池42の充電と放電との両方を行う構成であってもよい。さらに、本実施形態では、蓄電池42の充電方式としてCHAdeMO(登録商標)方式を採用したが、他の充電方式(例えばコンボ方式)であってもよい。
また、本実施形態のピニオン21(第1連動部材)及び第2連動部材37は一例であって、例えばピニオン20の回転に伴って、ピニオン21及び第2連動部材37がそれぞれ独立して回転する構成であってもよい。この場合、第2連動部材37の外周面における一部であって、開状態にある第2接点部362を閉じる際にはピニオン20の歯201と噛み合い、且つ第2接点部362を閉じた後はピニオン20の歯201と噛み合わない位置に歯(図示せず)を設ける。
さらに、第2連動部材37の外周面に全周に亘って歯(図示せず)を設け、且つピニオン20の外周面における一部に第2連動部材37の歯と噛み合う歯201を設けてもよい。この場合、ピニオン20の外周面における一部であって、開状態にある第2接点部362を閉じる際には第2連動部材37の歯と噛み合い、且つ第2接点部362を閉じた後は第2連動部材37の歯と噛み合わない位置に歯201を設ける。
これらの構成によれば、上述の実施形態で説明したピニオン21及び第2連動部材37と同様に、電気接続用コネクタ1をインレット40に最初に取り付けた後は、電気接続用コネクタ1を着脱する際に加える力を低減することができる。
以上説明したように、本実施形態の電気接続用コネクタ1は、一対のコンタクトピン32(第1接触部)を備える。そして、電動車両4(機器)が具備するインレット40に設けられた一対の給電ソケット403(第2接触部)の各々に一対のコンタクトピン32の各々が接触することで、電気接続用コネクタ1とインレット40との間が電気的に接続される。また、電気接続用コネクタ1は、コネクタ本体13と、第1開閉器35と、第2開閉器36と、連動部材(ピニオン21及び第2連動部材37)とを備える。コネクタ本体13は、一対のコンタクトピン32を有する。第1開閉器35は、一対のコンタクトピン32の一方及び一対の給電ソケット403の一方を含む電路の途中に設けられた第1接点部352を有し、第1接点部352を開閉する。第2開閉器36は、一対のコンタクトピン32の他方及び一対の給電ソケット403の他方を含む電路の途中に設けられた第2接点部362を有し、第2接点部362を開閉する。前記連動部材は、コネクタ本体13のインレット40への着脱動作に連動して第1開閉器35及び第2開閉器36の少なくとも一方を開閉する。また、前記連動部材は、第1接点部352及び第2接点部362が開いている状態でコネクタ本体13がインレット40に接続されると、第1開閉器35及び第2開閉器36を閉じるように構成されている。さらに、前記連動部材は、第1接点部352及び第2接点部362が閉じている状態でコネクタ本体13がインレット40から外されると、第1開閉器35及び第2開閉器36の一方を開くように構成されている。
また、本実施形態の電気接続用コネクタ1のように、前記連動部材は、第1開閉器35を開閉するピニオン21(第1連動部材)と、第2開閉器36を開閉する第2連動部材37とを有するのが好ましい。この場合、第1接点部352及び第2接点部362が開いている状態でコネクタ本体13がインレット40に接続されると、ピニオン21は第1開閉器35を閉じ、且つ第2連動部材37は第2開閉器36を閉じるように構成されている。また、第1接点部352及び第2接点部362が閉じている状態でコネクタ本体13がインレット40から外されると、ピニオン21は第1開閉器35を開き、且つ第2連動部材37は第2開閉器36が閉じた状態を保持するように構成されている。
また、本実施形態の電気接続用コネクタ1のように、以下の構成を備えているのも好ましい。第1接点部352が開き且つ第2接点部362が閉じている状態でコネクタ本体13がインレット40に接続されると、ピニオン21は第1開閉器35を閉じ、且つ第2連動部材37は第2開閉器36が閉じた状態を保持するように構成されている。
また、本実施形態の電気接続用コネクタ1のように、以下の構成を備えているのも好ましい。ピニオン21及び第2連動部材37は、互いの中心軸が一直線となるように配置される。さらに、ピニオン21及び第2連動部材37は、中心軸と直交する平面内においてピニオン21及び第2連動部材37の一方における少なくとも一部がピニオン21及び第2連動部材37の他方の内側に入り込むように構成されている。
また、本実施形態の電気接続用コネクタ1のように、第1開極機構53と第2開極機構54との少なくとも一方を備えているのも好ましい。この場合、第1開極機構53は、電路に過電流が流れると第1接点部352及び第2接点部362を開き、第2開極機構54は、電路に過電流を除く異常が発生すると外部からの異常信号により第1接点部352及び第2接点部362を開く。
また、本実施形態の電気接続用コネクタ1のように、第1開極機構53又は第2開極機構54が第1接点部352及び第2接点部362を開く際に第2開閉器36が開く方向に第2連動部材37を移動させる復帰ばね52(リセット機構)を備えているのも好ましい。
また、本実施形態の電気接続用コネクタ1のように、コネクタ本体13のインレット40への着脱時に加える力を低減させる倍力機構(リンク14、ラック19、ピニオン20,21及び第2連動部材37)を備えているのが好ましい。
本実施形態の電力変換システムは、上述の電気接続用コネクタ1と、電気接続用コネクタ1に電気的に接続され、電動車両4への給電及び電動車両4からの放電の少なくとも一方を制御する電力変換装置5とを備えている。