JP6222461B2 - 印捺物の製造方法、捺染方法 - Google Patents
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Description
本発明に係る印捺物の製造方法の一態様は、
ヒドロキシ基と反応可能な反応基を有する染料と、水と、を含有するインク組成物を準備する工程と、
布帛を準備する工程と、
プラズマ照射手段により発生させたプラズマを、放電部分が前記布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程と、
前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後に、前記インク組成物を記録ヘッドから噴射して、前記布帛の表面に画像を形成する工程と、
を含む。
適用例1において、
前記プラズマを大気圧下で発生させて照射することができる。
適用例1または適用例2において、
前記プラズマ照射手段は、プラズマ発生部を備え、
前記プラズマ発生部に、1種以上のガスを送り込みながら、前記プラズマを発生させることができる。
適用例3において、
発生させた前記プラズマにより、前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させることができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記反応基が、ビニルスルホン基、ハロゲン化トリアジニル基、ハロゲン化ピリミジル基、ハロゲン化ピリダジニル基、ハロゲン化キノキサリニル基およびハロゲン化フタラジニル基から選択される少なくとも1種であることができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
前記反応基は、80℃以上で前記ヒドロキシ基と結合するものであり、
前記反応基と前記ヒドロキシ基との25℃での反応速度が、前記反応基と前記ヒドロキシ基との80℃での反応速度に対して、1/10以下であることができる。
適用例1ないし適用例6のいずれか1例において、
前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後であって前記インク組成物を前記記録ヘッドから噴射する前に、又は、前記インク組成物を前記記録ヘッドから噴射した後に、
水と、還元防止剤と、アルカリ剤と、を含む処理剤を前記布帛の表面に付与する工程をさらに含むことができる。
適用例1ないし適用例7のいずれか1例において、
前記布帛の所定の位置にプラズマを照射し終えた後から、前記所定の位置に画像を形成し始めるまでの時間が、240秒以下であることができる。
本発明に係る捺染方法の一態様は、
プラズマ照射装置により発生させたプラズマを、放電部分が布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程と、
前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後に、インク組成物を記録ヘッドから噴射して、前記布帛の表面に画像を形成する工程と、
を含み、
前記インク組成物が、ヒドロキシ基と反応可能な置換機能および付加機能の少なくとも一方の機能を備えた反応基を有する染料と、水と、を含有する。
本発明の一実施形態に係る印捺物の製造方法は、ヒドロキシ基と反応可能な反応基を有する染料と、水と、を含有するインク組成物を準備する工程(以下、「インク組成物準備工程」ともいう。)と、布帛を準備する工程(以下、「布帛準備工程」ともいう。)と、プラズマ照射装置により発生させたプラズマを、放電部分が前記布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程(以下、「プラズマ照射工程」ともいう。)と、前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後に、前記インク組成物を記録ヘッドから噴射して、前記布帛の表面に画像を形成する工程(以下、「画像形成工程」ともいう。)と、を含むことを特徴とする。
本実施形態に係る印捺物の製造方法に使用するインクジェット記録装置の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態に係る印捺物の製造方法に使用できるインクジェット記録装置は、以下の態様に限定されるものではない。
搬送手段10は、ローラー11によって構成されることができる。搬送手段10は、複数のローラー11を有してもよい。搬送手段10は、図示の例では、布帛1の搬送される方向(図中矢印で示した。以下、「布帛搬送方向」ともいう。)において、プラズマ照射手段20より上流側に設けられているが、これに限定されず、布帛1が搬送できる限り、設けられる位置や個数は任意である。
段10は、ローラー11に加えて、布帛1において画像を印捺する面と反対側の面から布帛1を支持するプラテン12を備えている。
プラズマ照射手段20は、プラズマを発生させる機構を備えたプラズマ発生部21と、該プラズマ発生部21に供給するガスを貯留するガス貯留部29と、を備える。図1の例では、プラズマ照射手段21は、処理剤付着手段30に対して布帛搬送方向(図1の矢印方向)の上流側に設けられている。
処理剤付与手段30は、水と、還元防止剤と、アルカリ剤と、を含有する処理剤を布帛の表面に付与する手段である。処理剤を付与することにより、染料の染着性が向上して、印捺される画像の染着性が一層向上する。図1の例では、処理剤付与手段30は、布帛搬送方向において、画像形成手段40の上流側であってプラズマ照射手段20の下流側に設けられているが、プラズマ照射手段20の上流側に設けられていてもよい。
ジェット法、スプレー法)等が挙げられ、いずれの方法も使用できる。図1の例では、処理剤をロールコーターで塗布する方法を示すものである。
画像形成手段40は、布帛の表面にインク組成物の液滴を付着させて、画像を形成する手段である。画像形成手段40は、インク組成物を噴射(吐出)するノズルを備えたインクジェット記録用ヘッド(記録ヘッド)41を備える。図1に示すように、画像形成手段40は、プラズマ照射手段20の下流側に設けられていることが好ましい。
湿熱処理手段50は、形成された画像を湿熱処理する手段である。これにより、染料の染着性が一層向上する。湿熱手段に関しては、必ずしも印刷機の構成に含まれる必要はないが、画像形成後に湿熱処理を行うことが好ましく、図1の例では、湿熱処理手段50は、布帛搬送方向において、画像形成手段40の下流側に設けられている。湿熱処理には、従来公知の方法を用いることができ、例えば、例えば、HT法(高温スチーミング法)、HP法(高圧スチーミング法)等が挙げられる。
本実施形態に係るインクジェット記録装置1000は、さらに、布帛を洗浄する洗浄手段(図示せず)を有していてもよい。洗浄手段は、例えば、水を用いたり、水および界面活性剤を含有する水溶液を用いたりして、未染着の染料等を洗い流すための手段である。洗浄手段としては、公知の手段を使用することができる。洗浄手段は、例えば、上記の湿熱処理手段50の布帛搬送方向の下流側に設けることができる。
次に、本実施形態に印捺物の製造方法について、工程毎に詳細に説明する。
インク組成物準備工程は、ヒドロキシ基と反応可能な反応基を有する染料と、水と、を含有するインク組成物を準備する工程である。当該インク組成物は、後述する画像形成工程に使用するインクジェット捺染用のインクである。
<染料>
本実施形態に係るインク組成物に含まれる染料は、ヒドロキシ基と反応可能な反応基(以下、「特定の反応基」ともいう。)を有する。当該特定の反応基は、置換機能および付加機能の少なくとも一方の機能を備えている。ここで、ヒドロキシ基と反応可能な置換機能を備えた反応基とは、ヒドロキシ基と置換反応が可能な基のこといい、ヒドロキシ基と反応可能な付加機能を備えた反応基とは、ヒドロキシ基と付加反応が可能な基のことをいう。
C.I.リアクティブイエロー1、2、3、4、6、7、11、12、13、14、15、16、17、18、22、23、24、25、26、27、37、42、95、C.I.リアクティブレッド1、2、3、4、5、6、7、8、11、12、13、15、16、17、19、20、21、22、23、24、28、29、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、49、50、58、59、63、64、218、3:1、C.I.リアクティブブルー1、2、3、4、5、7、8、9、13、14、15、17、18、19、20、21、25、26、27、28、29、31、32、33、34、37、38、39、40、41、43、44、46、49、72、C.I.リアクティブブラック39、C.I.リアクティブオレンジ12、13、99、C.I.リアクティブブラウン11などが挙げられる。これらの染料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
水は、インク組成物の主となる液媒体である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。水の含有量は、インク組成物の全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
本実施形態に係るインク組成物は、有機溶剤、界面活性剤、尿素類、糖類、pH調整剤、キレート化剤、防腐剤、防かび剤、防錆剤等を含有してもよい。
糖類は、インクの固化、乾燥を抑制する保湿剤として機能する。糖類の具体例としては、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、およびマルトトリオース等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(THAM)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、モルホリノエタンスルホン酸(MES)、カルバモイルメチルイミノビス酢酸(ADA)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミン塩酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン等のグッドバッファー、リン酸緩衝液、トリス緩衝液などが挙げられる。
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
防腐剤、防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン(ゼネカ社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL.2、プロキセルTN、プロキセルLV)、4−クロロ−3−メチルフェノール(バイエル社のプリベントールCMK等)などが挙げられる。
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
上記以外の成分として、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、溶解助剤など、インクジェット捺染用のインク組成物において通常用いることができる添加剤を含有してもよい。
本実施形態に係るインク組成物は、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
本実施形態に係るインク組成物は、画像品質とインクジェット捺染用のインク組成物としての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、23mN/m以上38mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
布帛準備工程は、布帛を準備する工程である。上記のインクジェット記録装置1000を用いる場合には、布帛準備工程では、インクジェット記録装置1000に布帛1をセットして、布帛1を搬送手段10によって搬送可能な状態にする。
プラズマ照射工程は、プラズマ照射手段により発生させたプラズマを、放電部分が前記布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程である。プラズマ照射工程は、上述したようなプラズマ照射手段20(図1、図2等を参照)により行うことで、放電部分が布帛に接触しないので、布帛の損傷を抑制することができる。
スを用いることで、希ガスに由来するプラズマが布帛に含まれる酸素の結合を切断できるので、布帛の表面にヒドロキシ基を発生させることができる。このように、本実施形態に係る印捺物の製造方法によれば、布帛の種類に関わらず、その表面にヒドロキシ基を発生させることができるので、特定の反応基を備えた染料を含有するインク組成物を用いて染着性に優れた画像を形成できる。
本実施形態に係る印捺物の製造方法は、処理剤付与工程を含むことが好ましい。処理剤付与工程は、水と、還元防止剤と、アルカリ剤と、を含有する処理剤を布帛の表面に付与する工程であり、例えば、上述した処理剤付与手段30によって行うことができる。処理剤は、少なくとも画像を形成する領域に付与すればよく、布帛の全域に付与してもよい。
<還元防止剤>
処理剤に含まれる還元防止剤は、上述した特定の反応基を有する染料が布帛の表面に付着した後に還元されて、染料の染着が阻害されることを抑制する機能を有する。還元防止剤としては、メタニトロベンゼンスルホン酸塩を用いることが好ましく、例えば、メタニトロベンゼンスルホン酸塩のアルカリ金属塩、例えば、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いることが好ましい。処理剤に含まれる還元防止剤の含有量としては、上記機能を一層発揮するという点から、処理剤の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
処理剤に含まれるアルカリ剤は、後述する特定の反応基を有する染料が布帛の表面に付着する際に、付着領域のpHをアルカリ側にするという機能を備えており、これにより染料の反応性を向上できる。アルカリ剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。処理剤に含まれるアルカリ剤の含有量としては、上記機能を一層発揮するという点から、処理剤の全質量に対して、0.1質量%以上7質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
水は、処理剤の主となる液媒体である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。水の含有量は、処理剤の全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
処理剤は、さらに、ヒドロトロピー剤(例えば尿素類)、糊剤、防腐剤、防かび剤、キレート化剤、pH調整剤、界面活性剤等、捺染における処理剤に通常用いられる成分を含有してもよい。
画像形成工程は、上記のプラズマ照射工程の後に、上記のインク組成物を記録ヘッドから噴射して、布帛の表面に画像を形成(印捺)する工程であり、上述の画像形成手段40によって行うことができる。記録ヘッドから噴射したインク組成物は、プラズマ照射工程によってプラズマが照射された領域に付着させる。これにより、布帛の所定の領域にインク組成物からなる画像が形成(印捺)される。なお、画像形成工程は、捺染工程と言い換えることができる。
本実施形態に係る印捺物の製造方法は、湿熱処理工程を含むことが好ましい。湿熱処理工程は、画像形成工程後に行われ、形成された画像に対して湿熱処理を行う工程であり、例えば上記の湿熱処理手段50によって行うことができる。これにより、染料の染着性が一層向上する。
本実施形態に係る印捺物の製造方法は、洗浄工程を備えていてもよい。洗浄工程は、上記の湿熱処理工程の後に行うことが好ましく、これにより繊維に染着していない染料を効果的に除去することができる。洗浄工程では、水を用いて行ってもよいし(以下、「水洗処理」ともいう。)、水および界面活性剤(熱石鹸等)を含有する水溶液を用いて行ってよいが(以下、「ソーピング処理」ともいう。)、水洗処理およびソーピング処理を併用することが好ましい。
プラズマ照射工程によって布帛の所定の領域に発生したヒドロキシ基は、一定期間放置しておくと、その一部が脱離等をしてしまって、消滅することがある。このような観点から、上記のプラズマ照射工程によって、所定の領域にプラズマを照射し終えた後から、当該所定の領域に画像を形成し始めるまでの時間は、240秒以下であることが好ましい。これにより、プラズマ照射の効果が良好に得られ、染料の染着性が一層向上する傾向にある。ここで、「所定の領域に画像を形成し始める」とは、所定の領域に向かって記録ヘッドから最初に噴射したインク組成物の液滴が、布帛に接触することをいう。
本発明の一実施形態に係る捺染方法は、プラズマ照射装置により発生させたプラズマを、放電部分が布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程と、前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後に、インク組成物を記録ヘッドから噴射して、前記布帛の表面に画像を形成する工程と、を含み、前記インク組成物が、ヒドロキシ基と反応可能な反応基を有する染料と、水と、を含有することを特徴とする。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合および攪拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターで濾過することで、インク1〜インク6を得た。なお、表1中の数値は、質量%を示し、イオン交換水はインク組成物の全質量が100質量%となるように添加した。
・C.I.Reactive Red 120(モノクロロトリアジニル基を有する反応染料)
・C.I.Reactive Yellow 12(ジクロロトリアジニル基を有する反応染料)
・C.I.Reactive Blue 18(トリクロロピリミジル基を有する反応染料)
・C.I.Reactive Yellow 14(ビニルスルホニル基を有する反応染料)
・C.I.Disperse Red 356(上述した特定の反応基を有さない分散染料)
・TEG(トリエチレングリコール)
・DEGmBE(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)
・PD−002W(商品名、日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
・TPA(トリプロパノールアミン、pH調整剤)
・イオン交換水
ポリオキシエチレンジイソプロピルエーテル(オキシエチレン=30モル)を5質量部、エーテル化カルボキシメチルセルロースを5質量部、尿素(ヒドロトロピー剤)100質量部、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム(還元防止剤)10質量部をよく混合した後、イオン交換水1000質量部に少量ずつ添加しながら60℃下で30分攪拌する。その後、炭酸ナトリウム(アルカリ剤)30質量部を攪拌されている溶液にさらに加えて10分攪拌し、この溶液を孔径10μmのメンブレンフィルターで濾過することにより処理剤を得た。
以下の評価試験では、インクジェットプリンターPX−G930(商品名、セイコーエプソン社製)を改造して、布帛搬送方向における記録ヘッドの上流側にプラズマ照射手段を設置して、画像形成前に布帛にプラズマ照射を行えるようにしたインクジェットプリンターを使用した。このようにして、図1および図3と同様の構成のプリンターが得られた。
Hzとした。表2中、リモート式とは上述したリモートジェット方式のプラズマ照射手段を指し、ダイレクト式とは上述したダイレクト方式のプラズマ照射手段を指す。なお、リモートジェット方式のプラズマ照射手段は、大気圧下でプラズマを発生させ、ダイレクト方式のプラズマ照射手段は、真空下でプラズマを発生させた。
上記のプラズマ照射処理を行った領域であって、画像を形成していない領域について、布帛の放電損傷の有無の評価を行った。具体的には、布帛の放電損傷の有無は、測色器(商品名「Gretag Macbeth Spectrolino」、X−RITE社製)を使用して、画像を形成していない領域のb*値を測定して、プラズマ照射前後におけるb*値の変化割合によって判断した。評価基準は次の通りである。
損傷あり:b*値の変化割合が15%を超えた
損傷なし:b*値の変化割合が15%以内
染着性の評価は、「ISO 105 C06」に準じて洗濯堅牢性試験を行った後、洗濯前後のOD値の変化に基づいて判断した。具体的には、試験瓶を予熱して試験液を50±2℃にし、これに上記の評価サンプルを入れて密封した後、洗濯試験機に取り付けて、試験機を規定時間運転した。その後、評価サンプルを試験瓶から取り出して、水洗(25℃±2℃の水、100mlで1分間)を2回繰り返して、脱水、乾燥を行った。この際の試験液は、次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素濃度が0.01%になるように添加し、ペルオキソホウ酸ナトリウム2.5g/L加え、過炭酸ナトリウム2.5g/L添加した物を用いた。評価サンプルの画像形成部分の洗濯前後のOD値の変化を、測色器(商品名「Gretag Macbeth Spectrolino」、X−RITE社製)を用いて測定した。評価基準は次の通りである。
A:10%以内
B:10%より大きく、20%以内
C:20%より大きく、30%以内
上記の評価試験の結果を表3および表4に示す。
2.1.第1の変形例
次に、上述した印捺物の製造方法に関して、その工程の一部を変更した第1の変形例について説明する。第1の変形例では、上述した印捺物の製造方法における「処理剤付与工程」を実施するタイミングを変更したものである。処理剤付与工程の実施タイミング以外については、上述した印捺物の製造方法と同様であるので、その説明を省略する。
次に、上述したインクジェット記録装置1000において、プラズマ照射手段20の構成の一部を変更した第2の変形例について、図面を参照しながら説明する。
Claims (8)
- ヒドロキシ基と反応可能な反応基を有する染料と、水と、を含有するインク組成物を準備する工程と、
布帛を準備する工程と、
プラズマ照射手段により発生させたプラズマを、放電部分が前記布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程と、
前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後に、前記インク組成物を記録ヘッドから噴射して、前記布帛の表面に画像を形成する工程と、
前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後であって前記インク組成物を前記記録ヘッドから噴射する前に、又は、前記インク組成物を前記記録ヘッドから噴射した後に、
水と、還元防止剤と、アルカリ剤と、を含む処理剤を前記布帛の表面に付与する工程と、
を含む、印捺物の製造方法。 - 請求項1において、
前記プラズマを大気圧下で発生させて照射する、印捺物の製造方法。 - 請求項1または請求項2において、
前記プラズマ照射手段は、プラズマ発生部を備え、
前記プラズマ発生部に、1種以上のガスを送り込みながら、前記プラズマを発生させる、印捺物の製造方法。 - 請求項3において、
発生させた前記プラズマにより、前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる、印捺物の製造方法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記反応基が、ビニルスルホン基、ハロゲン化トリアジニル基、ハロゲン化ピリミジル
基、ハロゲン化ピリダジニル基、ハロゲン化キノキサリニル基およびハロゲン化フタラジニル基から選択される少なくとも1種である、印捺物の製造方法。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記反応基は、80℃以上で前記ヒドロキシ基と結合するものであり、
前記反応基と前記ヒドロキシ基との25℃での反応速度が、前記反応基と前記ヒドロキシ基との80℃での反応速度に対して、1/10以下である、印捺物の製造方法。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記布帛の所定の位置にプラズマを照射し終えた後から、前記所定の位置に画像を形成し始めるまでの時間が、240秒以下である、印捺物の製造方法。 - プラズマ照射装置により発生させたプラズマを、放電部分が布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程と、
前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後に、インク組成物を記録ヘッドから噴射して、前記布帛の表面に画像を形成する工程と、
前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後であって前記インク組成物を前記記録ヘッドから噴射する前に、又は、前記インク組成物を前記記録ヘッドから噴射した後に、
水と、還元防止剤と、アルカリ剤と、を含む処理剤を前記布帛の表面に付与する工程と、
を含み、
前記インク組成物が、ヒドロキシ基と反応可能な反応基を有する染料と、水と、を含有する、捺染方法。
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