JP6222461B2 - 印捺物の製造方法、捺染方法 - Google Patents

印捺物の製造方法、捺染方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6222461B2
JP6222461B2 JP2014033116A JP2014033116A JP6222461B2 JP 6222461 B2 JP6222461 B2 JP 6222461B2 JP 2014033116 A JP2014033116 A JP 2014033116A JP 2014033116 A JP2014033116 A JP 2014033116A JP 6222461 B2 JP6222461 B2 JP 6222461B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fabric
plasma
group
ink composition
plasma irradiation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014033116A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015158025A (ja
Inventor
憲司 北田
憲司 北田
傳田 敦
敦 傳田
マキ 成相
マキ 成相
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2014033116A priority Critical patent/JP6222461B2/ja
Priority to CN201510029246.6A priority patent/CN104786655B/zh
Priority to US14/601,373 priority patent/US9475312B2/en
Publication of JP2015158025A publication Critical patent/JP2015158025A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6222461B2 publication Critical patent/JP6222461B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Coloring (AREA)

Description

本発明は、印捺物の製造方法および捺染方法に関する。
従来から、染料および水等を含有するインク組成物を用いて、布帛に印刷を行うインクジェット捺染技術が知られている(非特許文献1参照)。捺染に用いられる染料種としては、反応性染料、酸性染料、分散染料などがある。一般的に繊維の種類によって相性の良い染料種が異なるため、捺染を行う際には、布帛基材の種類に応じて最適な染料種を選択する必要がある。たとえば、反応性染料は、染着性の点から、綿、麻、及びレーヨンなどのセルロース繊維には適しているが、ポリエステルやアセテートなどの繊維には適さない。
また、捺染を行う際には、布帛と染料との親和性を向上させるために前処理が行われる。このような前処理の方法の一例として、プラズマ処理を利用することが可能である。捺染における前処理方法としてプラズマ処理を利用した技術は、例えば特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に開示されている。
特開2006−336175号公報 特開平05−247859号公報 特開昭62−223384号公報
KONICA MINOLTA TECHNOLOGY REPORT VOL.7(2010) p.138-142
上述したように、繊維の種類によって相性の良い染料種が異なるため、特定種類の染料を使用して、多様な種類の布帛に染着性の良好な画像を形成することが困難な場合がある。
一方、上記の特許文献1ないし特許文献3に開示されているプラズマ処理は、プラズマの放電部分を直接布帛の表面に接触させて、布帛の表面にプラズマを照射する方式である(いわゆる、ダイレクト方式)。そのため、放電部分と接触した布帛が損傷して、布帛の風合いが変わってしまう等の問題がある。例えば、白色度の高い布帛を用いた場合では布帛が黄変しやすく、薄手の布帛を用いた場合には布帛の破れが起こりやすくなる傾向にある。
本発明では、布帛の種類に関わらず、染着性に優れた画像が形成された布帛を得ることを目的の一つとする。さらに、本発明では、布帛の前処理方法としてプラズマ処理を行う場合に、放電損傷の低減された布帛を得ることを目的の一つとする。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る印捺物の製造方法の一態様は、
ヒドロキシ基と反応可能な反応基を有する染料と、水と、を含有するインク組成物を準備する工程と、
布帛を準備する工程と、
プラズマ照射手段により発生させたプラズマを、放電部分が前記布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程と、
前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後に、前記インク組成物を記録ヘッドから噴射して、前記布帛の表面に画像を形成する工程と、
を含む。
適用例1の印捺物の製造方法によれば、布帛の種類に関わらず染着性に優れた画像を形成できる上に、プラズマ処理による放電損傷が低減された布帛を得ることができる。
[適用例2]
適用例1において、
前記プラズマを大気圧下で発生させて照射することができる。
適用例2の印捺物の製造方法によれば、大気圧下でプラズマの照射を行うので、プラズマを照射する工程と画像を形成する工程を連続で行うことができる。また、大気圧下でのプラズマ処理は小型のプラズマ照射手段を用いて行うことができるので、小規模な装置によって印捺物を製造することができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記プラズマ照射手段は、プラズマ発生部を備え、
前記プラズマ発生部に、1種以上のガスを送り込みながら、前記プラズマを発生させることができる。
適用例3の印捺物の製造方法によれば、プラズマ発生部に供給したガスを用いてプラズマを発生することができる。
[適用例4]
適用例3において、
発生させた前記プラズマにより、前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させることができる。
適用例4の印捺物の製造方法によれば、プラズマ発生部に供給したガスを用いて発生したプラズマにより、布帛の表面にヒドロキシ基を発生させたり、ヒドロキシ基を付与させたりすることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記反応基が、ビニルスルホン基、ハロゲン化トリアジニル基、ハロゲン化ピリミジル基、ハロゲン化ピリダジニル基、ハロゲン化キノキサリニル基およびハロゲン化フタラジニル基から選択される少なくとも1種であることができる。
適用例5の印捺物の製造方法によれば、ヒドロキシ基との反応性に優れた反応基を使用するので、染料の染着性に優れた画像が形成された布帛を得ることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
前記反応基は、80℃以上で前記ヒドロキシ基と結合するものであり、
前記反応基と前記ヒドロキシ基との25℃での反応速度が、前記反応基と前記ヒドロキシ基との80℃での反応速度に対して、1/10以下であることができる。
適用例6の印捺物の製造方法によれば、保存安定性に優れたインク組成物を使用するので、インク組成物の吐出安定性の向上に伴って、良好な画質の画像が形成された布帛を得ることができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか1例において、
前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後であって前記インク組成物を前記記録ヘッドから噴射する前に、又は、前記インク組成物を前記記録ヘッドから噴射した後に、
水と、還元防止剤と、アルカリ剤と、を含む処理剤を前記布帛の表面に付与する工程をさらに含むことができる。
適用例7の印捺物の製造方法によれば、処理剤の作用により、染料の染着性に優れた画像が形成された布帛を得ることができる。
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれか1例において、
前記布帛の所定の位置にプラズマを照射し終えた後から、前記所定の位置に画像を形成し始めるまでの時間が、240秒以下であることができる。
適用例8の印捺物の製造方法によれば、布帛の表面に発生したヒドロキシ基が消滅しないうちに、染料と布帛表面のヒドロキシ基を反応させることができるので、染料の染着性に優れた画像が形成された布帛を得ることができる。
[適用例9]
本発明に係る捺染方法の一態様は、
プラズマ照射装置により発生させたプラズマを、放電部分が布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程と、
前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後に、インク組成物を記録ヘッドから噴射して、前記布帛の表面に画像を形成する工程と、
を含み、
前記インク組成物が、ヒドロキシ基と反応可能な置換機能および付加機能の少なくとも一方の機能を備えた反応基を有する染料と、水と、を含有する。
適用例9の捺染方法によれば、布帛の種類に関わらず染着性に優れた画像を形成できる上に、プラズマ処理による放電損傷を低減できる。
本発明の一実施形態に係る印捺物の製造方法を実施可能なインクジェット記録装置を模式的に示す図。 本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の照射手段におけるプラズマ発生部の断面を模式的に示す図。 本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置を上方からみたときの一部分を模式的に示す図。 第1の変形例に係る印捺物の製造方法に使用可能なインクジェット記録装置を模式的に示す図。 第2の変形例のプラズマ照射手段を搭載したインクジェット記録装置を上方からみたときの一部分を模式的に示す図。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.印捺物の製造方法
本発明の一実施形態に係る印捺物の製造方法は、ヒドロキシ基と反応可能な反応基を有する染料と、水と、を含有するインク組成物を準備する工程(以下、「インク組成物準備工程」ともいう。)と、布帛を準備する工程(以下、「布帛準備工程」ともいう。)と、プラズマ照射装置により発生させたプラズマを、放電部分が前記布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程(以下、「プラズマ照射工程」ともいう。)と、前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後に、前記インク組成物を記録ヘッドから噴射して、前記布帛の表面に画像を形成する工程(以下、「画像形成工程」ともいう。)と、を含むことを特徴とする。
本発明において、「印捺物」とは、画像が布帛に印捺されることによって、画像が形成された布帛のことをいう。
以下、本実施形態に係る印捺物の製造方法について、これを実施するために使用するインクジェット記録装置の装置構成、印捺物の製造方法、捺染方法の順に説明する。
1.1.装置構成
本実施形態に係る印捺物の製造方法に使用するインクジェット記録装置の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態に係る印捺物の製造方法に使用できるインクジェット記録装置は、以下の態様に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る印捺物の製造方法を実施可能なインクジェット記録装置を模式的に表す図である。インクジェット記録装置1000は、布帛を搬送する搬送手段10と、プラズマを照射するプラズマ照射手段20と、処理剤を布帛の表面に付与する処理剤付与手段30と、インク組成物を用いて画像を形成する画像形成手段40と、画像を湿熱処理する湿熱処理手段50と、を有する。
本実施形態に係るインクジェット記録装置1000は、当該インクジェット記録装置1000全体の動作を制御する制御手段(図示せず)を有している。制御手段は、インクジェット記録装置1000の任意の位置に設けられ、例えばPCやタッチパネル等の入力手段から入力された情報に基づいて、各手段の動作を制御する。
1.1.1.搬送手段
搬送手段10は、ローラー11によって構成されることができる。搬送手段10は、複数のローラー11を有してもよい。搬送手段10は、図示の例では、布帛1の搬送される方向(図中矢印で示した。以下、「布帛搬送方向」ともいう。)において、プラズマ照射手段20より上流側に設けられているが、これに限定されず、布帛1が搬送できる限り、設けられる位置や個数は任意である。
さらに、搬送手段10は、各種のプラテンなどを備えてもよい。図1の例では、搬送手
段10は、ローラー11に加えて、布帛1において画像を印捺する面と反対側の面から布帛1を支持するプラテン12を備えている。
1.1.2.プラズマ照射手段
プラズマ照射手段20は、プラズマを発生させる機構を備えたプラズマ発生部21と、該プラズマ発生部21に供給するガスを貯留するガス貯留部29と、を備える。図1の例では、プラズマ照射手段21は、処理剤付着手段30に対して布帛搬送方向(図1の矢印方向)の上流側に設けられている。
図2は、プラズマ発生部21の断面を模式的に示す図である。プラズマ発生部21は、ガス貯留部29と接続されたガス供給室22と、ガス供給室22の少なくとも一部に対向するように設けられた電極対23と、電源24と、プラズマ照射ノズル25と、排気管26と、を備える。
ガス供給室22は、図示しないガス供給管によってガス貯留部29と接続されており、ガス貯留部29に貯留されたガスが流入可能な状態になっている。ガス供給室22の任意の位置には、電極対23が設けられている。電極対23は、対向するように設置された電極23aおよび電極23bを備える。電極23aおよび電極23bには、電圧が印加できるように、電源24が接続されている。
プラズマ照射ノズル25は、ガス供給管(図示せず)とは異なる位置でガス供給室22に設けられている。プラズマ照射ノズル25は、電極23aおよび電極23bの間を通過して発生したプラズマを照射するためのノズル孔を備えている。プラズマ照射ノズル25は、布帛と対向する位置に設けられている。
図3は、図1のインクジェット記録装置1000を上方からみたときの一部分を模式的に示す図である。図3の例では、プラズマ照射手段20は、布帛の幅方向(布帛の表面において、布帛搬送方向と交差する方向)に延びるライン形状である。プラズマ照射ノズル25は、布帛の幅方向の全域にプラズマを照射できるように、布帛の幅方向に沿って複数配列されていてもよい。また、プラズマ照射量を増加させるという観点から、プラズマ照射手段20を布帛搬送方向に沿って複数設けたり、プラズマ照射ノズル25を布帛搬送方向に沿って複数設けたりしてもよい。
排気管26は、余剰ガスを吸引、排気しながらプラズマ照射を行うことで、プラズマ照射ノズル25から放射されるプラズマ照射範囲を適正化し、所望の範囲を局地的に処理するために設置される。排気管26の設置位置は、特に限定されるものではないが、例えば図2の例では、2つの排気管26aおよび排気管26bを備えており、ガス供給室22に沿って設けられている。
電源24によって電極23aおよび電極23bに電圧が印加されると、電極23aと電極23bとの間に放電が生じる(図2の「放電部分D」)。このように放電が生じている状態で、ガス供給室22にガスを供給して、電極23aおよび電極23bとの間にガスを通過させることで、ガスのプラズマが生じる(すなわち、ガスの少なくとも一部がプラズマ化する)。このようにして発生したプラズマは、プラズマ照射ノズル25に送られて、プラズマ照射ノズル25から布帛1の表面に向かって照射される。すなわち、プラズマ発生部21で発生させたプラズマは、放電部分Dが布帛1に接触しない状態で布帛1の表面に照射される。換言すれば、布帛1は、放電部分Dを通過しないので、放電部分Dに直接接触することがない。このようなプラズマ発生機構は、リモートジェット方式と呼ばれることがある。
このように、放電部分に布帛を接触させないリモートジェット方式のプラズマ照射手段を用いることで、布帛の損傷を抑制できるので、布帛の風合いや色合いが維持される。特に、白色度の高い布帛を使用する場合に、その効果が一層発揮される。
一方、プラズマ発生機構のうち、放電部分Dに布帛1が接触する方式は、ダイレクト方式と呼ばれることがある。たとえば、一対の電極のうち、一方を布帛1に対して一方の側に設け、他方を布帛1に対して他方の側に設けて、これらの電極間に放電を発生させ、これらの電極の間、すなわち放電部分の中を布帛が通過するように、布帛を搬送させるような方式は、ダイレクト方式である。また、一対の電極を布帛1に対して一方の側に設けて、これらの電極間に放電を発生させ、放電部分が布帛の面に接触するように、布帛を搬送させる方式も、ダイレクト方式である。このようなダイレクト方式のプラズマ発生機構では、布帛が放電部分に接触してしまうので、布帛の損傷が生じやすい。
プラズマ照射手段20は、真空下でプラズマを発生させて照射する機構を備えたものであってもよいし、大気圧下でプラズマを発生させて照射する機構を備えたものであってもよいが、大気圧下でプラズマを発生させて照射する機構を備えたものが好ましい。大気圧下でプラズマを発生させる場合には、プラズマ照射手段に減圧機構を設けることが不要となって装置の小型化が図れることから、後述するプラズマ照射工程をインラインで行える(すなわち、プラズマ照射工程、画像形成工程、等の工程を連続で行える)という利点がある。ここで、プラズマを発生させる際の圧力は、プラズマを発生させる際のガス供給室22内の圧力のことをいう。
プラズマを発生させる際の電力量としては、供給したガスからプラズマを発生できるのであれば特に限定されるものではないが、例えば、100Wh以上200Wh以下とすることができる。
プラズマを発生させる際の電源24の周波数としては、供給したガスからプラズマを発生できるのであれば特に限定されるものではないが、例えば、50kHz以上である。
プラズマ照射ノズル25と布帛1との距離は、発生したプラズマを布帛に照射できて、ヒドロキシ基を布帛の表面に発生させることができる範囲にあれば特に限定されないが、例えば0.5mm以上10mm以下とすることができる。
ガス供給室22には、1種類のガスが供給されてもよいし、2種以上のガスを混合して得られる混合ガスが供給されてもよい。このようなガスの原料としては、例えば、酸素(O2)、窒素(N2)、空気(少なくとも窒素(N2)および酸素(O2)を含む)、水蒸気(H2O)、亜酸化窒素(N2O)、アンモニア(NH3)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)等が挙げられる。なお、ガス供給室22に供給されるガスの流量は、ガス供給室22の容量、ガスの種類、布帛の種類、印刷速度等に応じて適宜設定することができ、特に制限されるものではない。
1.1.3.処理剤付与手段
処理剤付与手段30は、水と、還元防止剤と、アルカリ剤と、を含有する処理剤を布帛の表面に付与する手段である。処理剤を付与することにより、染料の染着性が向上して、印捺される画像の染着性が一層向上する。図1の例では、処理剤付与手段30は、布帛搬送方向において、画像形成手段40の上流側であってプラズマ照射手段20の下流側に設けられているが、プラズマ照射手段20の上流側に設けられていてもよい。
処理剤を布帛の表面に付与する方法としては、例えば、処理剤中に布帛を浸漬させる方法、処理剤をロールコーター等で塗布する方法、処理剤を噴射する方法(例えば、インク
ジェット法、スプレー法)等が挙げられ、いずれの方法も使用できる。図1の例では、処理剤をロールコーターで塗布する方法を示すものである。
なお、本実施形態に係るインクジェット記録装置1000は、処理剤の付与をインラインで行わない場合や、処理剤を付与する工程を実施しない場合には、処理剤付与手段30を備えていなくてもよい。
本実施形態に係るインクジェット記録装置1000は、布帛に付与した処理剤を乾燥させる処理剤乾燥手段(図示せず)を備えていてもよい。処理剤乾燥手段は、処理剤付与手段の下流側であって、画像形成手段の上流側に設けることができる。このような乾燥手段としては、例えば、布帛に熱を加える手段、樹脂液に風を吹きつける手段、さらにそれらを組み合わせる手段等が挙げられる。具体的には、強制空気加熱、輻射加熱、電導加熱、高周波乾燥、マイクロ波乾燥等が好ましく用いられる。
1.1.4.画像形成手段
画像形成手段40は、布帛の表面にインク組成物の液滴を付着させて、画像を形成する手段である。画像形成手段40は、インク組成物を噴射(吐出)するノズルを備えたインクジェット記録用ヘッド(記録ヘッド)41を備える。図1に示すように、画像形成手段40は、プラズマ照射手段20の下流側に設けられていることが好ましい。
インク組成物をインクジェット記録用ヘッド41のノズルから吐出させる方式は、例えば以下のものが挙げられる。具体的には、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に吐出させ、インクの液滴が偏向電極間を飛翔する間に記録情報信号を偏向電極に与えて記録する方式又はインクの液滴を偏向することなく記録情報信号に対応して吐出させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインクに圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインクの液滴を吐出させる方式、インクに圧電素子で圧力と記録情報信号を同時に加え、インクの液滴を吐出・記録させる方式(ピエゾ方式)、インクを記録情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インクの液滴を吐出・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
インクジェット記録用ヘッド41は、図3に示すように、いわゆるシリアル型の記録ヘッドである。シリアル型の記録ヘッドは、記録ヘッドを布帛に対して相対的に移動させつつインク組成物を噴射させる走査(パス)を、複数回行うことによって画像の印捺を行うものである。図3の例では、シリアル型の記録ヘッドを例示したが、これに限定されず、いわゆるライン型の記録ヘッドを使用してもよい。ライン型の記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置は、記録ヘッドを布帛に対して相対的に移動させつつインク組成物を噴射させる走査(パス)を1回行うことにより印捺を行うものである。ライン型の記録ヘッドの具体例には、記録ヘッドが布帛の幅よりも広く形成され、記録ヘッドが移動せずに布帛上に液滴を噴射するものが挙げられる。
1.1.5.湿熱処理手段
湿熱処理手段50は、形成された画像を湿熱処理する手段である。これにより、染料の染着性が一層向上する。湿熱手段に関しては、必ずしも印刷機の構成に含まれる必要はないが、画像形成後に湿熱処理を行うことが好ましく、図1の例では、湿熱処理手段50は、布帛搬送方向において、画像形成手段40の下流側に設けられている。湿熱処理には、従来公知の方法を用いることができ、例えば、例えば、HT法(高温スチーミング法)、HP法(高圧スチーミング法)等が挙げられる。
1.1.6.その他の手段
本実施形態に係るインクジェット記録装置1000は、さらに、布帛を洗浄する洗浄手段(図示せず)を有していてもよい。洗浄手段は、例えば、水を用いたり、水および界面活性剤を含有する水溶液を用いたりして、未染着の染料等を洗い流すための手段である。洗浄手段としては、公知の手段を使用することができる。洗浄手段は、例えば、上記の湿熱処理手段50の布帛搬送方向の下流側に設けることができる。
本実施形態に係るインクジェット記録装置1000は、さらに、布帛を乾燥させる布帛乾燥手段(図示せず)を有していてもよい。布帛乾燥手段としては、上記の処理剤乾燥手段で挙げた乾燥手段と同様のものを用いることができる。布帛乾燥手段は、例えば、湿熱手段の下流側(洗浄手段による布帛の洗浄を行う場合には、洗浄手段の下流側)に設けることができる。
1.2.製造工程
次に、本実施形態に印捺物の製造方法について、工程毎に詳細に説明する。
1.2.1.インク組成物準備工程
インク組成物準備工程は、ヒドロキシ基と反応可能な反応基を有する染料と、水と、を含有するインク組成物を準備する工程である。当該インク組成物は、後述する画像形成工程に使用するインクジェット捺染用のインクである。
インク組成物準備工程で準備するインク組成物に含まれる成分、インク組成物の調製方法、インク組成物の物性について、以下に説明する。
1.2.1.1.インク組成物
<染料>
本実施形態に係るインク組成物に含まれる染料は、ヒドロキシ基と反応可能な反応基(以下、「特定の反応基」ともいう。)を有する。当該特定の反応基は、置換機能および付加機能の少なくとも一方の機能を備えている。ここで、ヒドロキシ基と反応可能な置換機能を備えた反応基とは、ヒドロキシ基と置換反応が可能な基のこといい、ヒドロキシ基と反応可能な付加機能を備えた反応基とは、ヒドロキシ基と付加反応が可能な基のことをいう。
特定の反応基としては、ビニルスルホン基、ハロゲン化トリアジニル基、ハロゲン化ピリミジル基、ハロゲン化ピリダジニル基、ハロゲン化キノキサリニル基およびハロゲン化フタラジニル基から選択される少なくとも1種が挙げられる。これらの例示した反応基のうち、ビニルスルホン基は、ヒドロキシ基との付加反応(求核付加反応)を行うことが可能である。また、ハロゲン化トリアジニル基、ハロゲン化ピリミジル基、ハロゲン化ピリダジニル基、ハロゲン化キノキサリニル基およびハロゲン化フタラジニル基は、ヒドロキシ基との置換反応(求核置換反応)を行うことが可能である。例示した反応基の中でも、ビニルスルホン基、ハロゲン化トリアジニル基(より好ましくは塩化トリアジニル基)、ハロゲン化ピリミジル基(より好ましくは塩化ピリミジル基)から選択される少なくとも1種の反応基が好ましい。
特定の反応基は、80℃以上でヒドロキシ基と結合するものであって、特定の反応基とヒドロキシ基との25℃での反応速度が、当該特定の反応基とヒドロキシ基との80℃での反応速度に対して、1/10以下であることが好ましい。このように、常温(25℃)での反応性の低い染料を使用することで、インク組成物の保存時の粘度上昇等を抑制できるので、インク組成物の保存安定性が良好になる。
特定の反応基を有する染料には、反応染料を好ましく用いることができ、具体的には、
C.I.リアクティブイエロー1、2、3、4、6、7、11、12、13、14、15、16、17、18、22、23、24、25、26、27、37、42、95、C.I.リアクティブレッド1、2、3、4、5、6、7、8、11、12、13、15、16、17、19、20、21、22、23、24、28、29、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、49、50、58、59、63、64、218、3:1、C.I.リアクティブブルー1、2、3、4、5、7、8、9、13、14、15、17、18、19、20、21、25、26、27、28、29、31、32、33、34、37、38、39、40、41、43、44、46、49、72、C.I.リアクティブブラック39、C.I.リアクティブオレンジ12、13、99、C.I.リアクティブブラウン11などが挙げられる。これらの染料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
特定の反応基を有する染料の含有量は、インク組成物の全質量(100質量%)に対して、例えば1質量%以上20質量%以下とすることができる。
<水>
水は、インク組成物の主となる液媒体である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。水の含有量は、インク組成物の全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
<その他の成分>
本実施形態に係るインク組成物は、有機溶剤、界面活性剤、尿素類、糖類、pH調整剤、キレート化剤、防腐剤、防かび剤、防錆剤等を含有してもよい。
有機溶剤としては、例えば、1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類、ピロリドン誘導体、グリコールエーテル類等が挙げられる。
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、布帛に対するインク組成物の濡れ性を高めて均一に濡らす作用に優れている。1,2−アルカンジオール類を含有する場合には、その含有量を、インク組成物の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下とすることができる。
多価アルコール類(上記の1,2−アルカンジオール類を除く)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール類は、インク組成物の布帛に対する濡れ性を高めたり、ノズルの保湿性を高める等の機能を備える。多価アルコール類を含有する場合には、その含有量を、インク組成物の全質量に対して、2質量%以上30質量%以下とすることができる。
ピロリドン誘導体としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。ピロリドン誘導体は、染料の溶解性を向上したり、インク組成物の固化や乾燥を促成するという機能を備える。ピロリドン誘導体を含有する場合には、その含有量を、インク組成物の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下とすることができる。
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。グリコールエーテル類は、インク組成物の布帛に対する濡れ性などを制御することできる。グリコールエーテル類を含有する場合には、その含有量を、インク組成物の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下とすることができる。
界面活性剤としては、インク組成物の表面張力を低下させ布帛との濡れ性を調整する機能を備える。界面活性剤の中でも、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、およびフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、PD−005、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.05質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
尿素類は、インクの保湿剤として機能したり、染料の染着性を向上させる染着助剤として機能する。尿素類の具体例としては、尿素、エチレン尿素、テトラメチル尿素、チオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。尿素類を含有する場合には、その含有量は、インク組成物の全質量に対して、1質量%以上10質量%以下とすることができる。
<糖類>
糖類は、インクの固化、乾燥を抑制する保湿剤として機能する。糖類の具体例としては、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、およびマルトトリオース等が挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(THAM)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、モルホリノエタンスルホン酸(MES)、カルバモイルメチルイミノビス酢酸(ADA)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミン塩酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン等のグッドバッファー、リン酸緩衝液、トリス緩衝液などが挙げられる。
<キレート化剤>
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
<防腐剤、防かび剤>
防腐剤、防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン(ゼネカ社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL.2、プロキセルTN、プロキセルLV)、4−クロロ−3−メチルフェノール(バイエル社のプリベントールCMK等)などが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
<その他の成分>
上記以外の成分として、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、溶解助剤など、インクジェット捺染用のインク組成物において通常用いることができる添加剤を含有してもよい。
1.2.1.2.インク組成物の調製方法
本実施形態に係るインク組成物は、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
1.2.1.3.インク組成物の物性
本実施形態に係るインク組成物は、画像品質とインクジェット捺染用のインク組成物としての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、23mN/m以上38mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態に係るインク組成物の20℃における粘度は、1.5mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
1.2.2.布帛準備工程
布帛準備工程は、布帛を準備する工程である。上記のインクジェット記録装置1000を用いる場合には、布帛準備工程では、インクジェット記録装置1000に布帛1をセットして、布帛1を搬送手段10によって搬送可能な状態にする。
本実施形態に係る捺染方法において使用する布帛を構成する素材としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド、ポリウレタン等の合成繊維、ポリ乳酸等の生分解性繊維などが挙げられ、これらの混紡繊維であってもよい。布帛としては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。
布帛の形状としては、特に限定されず、単票であってもよいし、図1に示すような連続体であってもよい。
1.2.3.プラズマ照射工程
プラズマ照射工程は、プラズマ照射手段により発生させたプラズマを、放電部分が前記布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程である。プラズマ照射工程は、上述したようなプラズマ照射手段20(図1、図2等を参照)により行うことで、放電部分が布帛に接触しないので、布帛の損傷を抑制することができる。
プラズマ照射工程では、少なくとも後述する画像形成工程によって画像を形成する領域(所定の領域)に、予めプラズマ照射を行なえばよく、布帛の表面の全域にプラズマ照射を行うものであってもよい。
本実施形態に係るプラズマ照射工程は、布帛の種類に関わらず、その表面にヒドロキシ基を発生させることができる。すなわち、布帛の表面にヒドロキシ基を有さない場合であっても、プラズマ照射手段に供給するガスとして酸化ガスを用いることで、酸化ガスに由来するプラズマによって、布帛の表面にヒドロキシ基を付与することができる。また、布帛の構造骨格中に酸素原子を含む場合には、プラズマ照射手段に供給するガスとして希ガ
スを用いることで、希ガスに由来するプラズマが布帛に含まれる酸素の結合を切断できるので、布帛の表面にヒドロキシ基を発生させることができる。このように、本実施形態に係る印捺物の製造方法によれば、布帛の種類に関わらず、その表面にヒドロキシ基を発生させることができるので、特定の反応基を備えた染料を含有するインク組成物を用いて染着性に優れた画像を形成できる。
1.2.4.処理剤付与工程
本実施形態に係る印捺物の製造方法は、処理剤付与工程を含むことが好ましい。処理剤付与工程は、水と、還元防止剤と、アルカリ剤と、を含有する処理剤を布帛の表面に付与する工程であり、例えば、上述した処理剤付与手段30によって行うことができる。処理剤は、少なくとも画像を形成する領域に付与すればよく、布帛の全域に付与してもよい。
処理剤付与工程は、記録ヘッドからインク組成物を噴射する前(すなわち画像形成工程の前)に行うことができる。これにより、インク組成物に含まれる染料の染着性を向上できる。また、処理剤付与工程は、画像形成工程前に行うのであれば、プラズマ照射工程の前に行ってもよいし、プラズマ照射工程の後に行ってよいが、プラズマ照射工程の後に行うことが好ましい。
処理剤の付与量としては、5mg/inch2以上200mg/inch2以下であることが好ましく、10mg/inch2以上100mg/inch2であることがより好ましい。処理剤の付与量が上記範囲内であることで、染料の染着性を向上させる効果が一層発揮される。なお、処理剤の付与量とは、布帛に付与した処理剤の重量(乾燥前の重量)の合計を、処理剤を付与した領域の面積で割ったものをいう。
本実施形態に係る印捺物の製造方法は、処理剤付与工程の後であって画像形成工程(後述)の前に、布帛に付与した処理剤を乾燥させる処理剤乾燥工程を含んでいてもよい。処理剤乾燥工程は、上述した処理剤乾燥手段によって行うことができる。
次に処理剤付与工程で使用する処理剤に含まれる成分について、説明する。
1.2.4.1.処理剤
<還元防止剤>
処理剤に含まれる還元防止剤は、上述した特定の反応基を有する染料が布帛の表面に付着した後に還元されて、染料の染着が阻害されることを抑制する機能を有する。還元防止剤としては、メタニトロベンゼンスルホン酸塩を用いることが好ましく、例えば、メタニトロベンゼンスルホン酸塩のアルカリ金属塩、例えば、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いることが好ましい。処理剤に含まれる還元防止剤の含有量としては、上記機能を一層発揮するという点から、処理剤の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
<アルカリ剤>
処理剤に含まれるアルカリ剤は、後述する特定の反応基を有する染料が布帛の表面に付着する際に、付着領域のpHをアルカリ側にするという機能を備えており、これにより染料の反応性を向上できる。アルカリ剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。処理剤に含まれるアルカリ剤の含有量としては、上記機能を一層発揮するという点から、処理剤の全質量に対して、0.1質量%以上7質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
<水>
水は、処理剤の主となる液媒体である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。水の含有量は、処理剤の全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
<その他の成分>
処理剤は、さらに、ヒドロトロピー剤(例えば尿素類)、糊剤、防腐剤、防かび剤、キレート化剤、pH調整剤、界面活性剤等、捺染における処理剤に通常用いられる成分を含有してもよい。
1.2.5.画像形成工程
画像形成工程は、上記のプラズマ照射工程の後に、上記のインク組成物を記録ヘッドから噴射して、布帛の表面に画像を形成(印捺)する工程であり、上述の画像形成手段40によって行うことができる。記録ヘッドから噴射したインク組成物は、プラズマ照射工程によってプラズマが照射された領域に付着させる。これにより、布帛の所定の領域にインク組成物からなる画像が形成(印捺)される。なお、画像形成工程は、捺染工程と言い換えることができる。
1.2.6.湿熱処理工程
本実施形態に係る印捺物の製造方法は、湿熱処理工程を含むことが好ましい。湿熱処理工程は、画像形成工程後に行われ、形成された画像に対して湿熱処理を行う工程であり、例えば上記の湿熱処理手段50によって行うことができる。これにより、染料の染着性が一層向上する。
湿熱処理工程は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、例えば、HT法(高温スチーミング法)、HP法(高圧スチーミング法)等が挙げられる。
湿熱処理工程時の加熱温度としては、染着性の向上および布帛のダメージの低減を両立するために、80℃以上120℃以下であることが好ましく、90℃以上110℃以下であることがより好ましい。湿熱処理工程における加熱時間としては、例えば3分以上30分以下とすることができる。
1.2.7.その他
本実施形態に係る印捺物の製造方法は、洗浄工程を備えていてもよい。洗浄工程は、上記の湿熱処理工程の後に行うことが好ましく、これにより繊維に染着していない染料を効果的に除去することができる。洗浄工程では、水を用いて行ってもよいし(以下、「水洗処理」ともいう。)、水および界面活性剤(熱石鹸等)を含有する水溶液を用いて行ってよいが(以下、「ソーピング処理」ともいう。)、水洗処理およびソーピング処理を併用することが好ましい。
1.3.プラズマ照射工程後、画像形成工程を開始するまでの時間
プラズマ照射工程によって布帛の所定の領域に発生したヒドロキシ基は、一定期間放置しておくと、その一部が脱離等をしてしまって、消滅することがある。このような観点から、上記のプラズマ照射工程によって、所定の領域にプラズマを照射し終えた後から、当該所定の領域に画像を形成し始めるまでの時間は、240秒以下であることが好ましい。これにより、プラズマ照射の効果が良好に得られ、染料の染着性が一層向上する傾向にある。ここで、「所定の領域に画像を形成し始める」とは、所定の領域に向かって記録ヘッドから最初に噴射したインク組成物の液滴が、布帛に接触することをいう。
上記の時間は、プラズマ照射手段から画像形成手段までの距離、印刷速度、布帛搬送方向におけるプラズマ照射手段の幅を、所定の値に設定することにより調整することができる。
例えば、プラズマ照射手段から記録ヘッドまでの距離(布帛搬送方向における距離)を10cm、印刷速度を5m2/hr、プラズマ照射手段の幅を64インチとした場合には、上記の時間は117秒となる。プラズマ照射手段から記録ヘッドまでの距離(布帛搬送方向における距離)を10cm、印刷速度を100m2/hr、プラズマ照射手段の幅を64インチとした場合には、上記の時間は6秒となる。プラズマ照射手段から記録ヘッドまでの距離(布帛搬送方向における距離)を10cm、印刷速度を5m2/hr、プラズマ照射手段の幅を128インチとした場合には、上記の時間は234秒となる。プラズマ照射手段から記録ヘッドまでの距離(布帛搬送方向における距離)を10cm、印刷速度を100m2/hr、プラズマ照射手段の幅を64インチとした場合には、上記の時間は12秒となる。
1.4.捺染方法
本発明の一実施形態に係る捺染方法は、プラズマ照射装置により発生させたプラズマを、放電部分が布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程と、前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後に、インク組成物を記録ヘッドから噴射して、前記布帛の表面に画像を形成する工程と、を含み、前記インク組成物が、ヒドロキシ基と反応可能な反応基を有する染料と、水と、を含有することを特徴とする。
本実施形態に係る捺染方法は、上述の印捺物の製造方法に従って行うことができるので、その説明を省略する。
1.5.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.5.1.インク組成物の調製
表1の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合および攪拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターで濾過することで、インク1〜インク6を得た。なお、表1中の数値は、質量%を示し、イオン交換水はインク組成物の全質量が100質量%となるように添加した。
なお、表1で記載した成分は次の通りである。
・C.I.Reactive Red 120(モノクロロトリアジニル基を有する反応染料)
・C.I.Reactive Yellow 12(ジクロロトリアジニル基を有する反応染料)
・C.I.Reactive Blue 18(トリクロロピリミジル基を有する反応染料)
・C.I.Reactive Yellow 14(ビニルスルホニル基を有する反応染料)
・C.I.Disperse Red 356(上述した特定の反応基を有さない分散染料)
・TEG(トリエチレングリコール)
・DEGmBE(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)
・PD−002W(商品名、日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
・TPA(トリプロパノールアミン、pH調整剤)
・イオン交換水
Figure 0006222461
1.5.2.処理剤の調製
ポリオキシエチレンジイソプロピルエーテル(オキシエチレン=30モル)を5質量部、エーテル化カルボキシメチルセルロースを5質量部、尿素(ヒドロトロピー剤)100質量部、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム(還元防止剤)10質量部をよく混合した後、イオン交換水1000質量部に少量ずつ添加しながら60℃下で30分攪拌する。その後、炭酸ナトリウム(アルカリ剤)30質量部を攪拌されている溶液にさらに加えて10分攪拌し、この溶液を孔径10μmのメンブレンフィルターで濾過することにより処理剤を得た。
1.5.3.評価試験
以下の評価試験では、インクジェットプリンターPX−G930(商品名、セイコーエプソン社製)を改造して、布帛搬送方向における記録ヘッドの上流側にプラズマ照射手段を設置して、画像形成前に布帛にプラズマ照射を行えるようにしたインクジェットプリンターを使用した。このようにして、図1および図3と同様の構成のプリンターが得られた。
また、評価試験用のサンプルは、次のようにして作製した。まず、ロールコーターを用いて、上記のようにして得られた処理剤を布帛に100mg/inch2の付着重量で塗布した後(処理剤付与工程)、乾燥させた。その後、上記のように改造したインクジェットプリンターを用いて、表2に示す照射条件1〜8の何れかの条件で布帛の表面の全域にプラズマ照射処理を行った(プラズマ照射工程)。このようにプラズマ照射処理を行った領域の一部に、上記のインク1〜6の何れかを用いて、所定の領域に画像を形成した(画像形成工程)。その後、100℃で10分間スチーミングを行った後(湿熱処理工程)、画像の形成された布帛を水洗し(洗浄工程(水洗処理))、さらにラッコールSTA(商品名、明成化学株式会社製、界面活性剤)を0.2質量%含む水溶液を用いて55℃で10分間洗浄して(洗浄工程(ソーピング処理))、80℃で30分間乾燥させたものを評価試験用のサンプルとした。
使用した布帛は、綿(生地色:白、素材:綿100%、平織り)、シルク(生地色:白、素材:絹100%、平織り)、ナイロン(生地色:白色、素材:ナイロン100%、平織り)、PES(生地色:白、素材:ポリエステル100%)である。
プラズマ照射条件は、ガス流量30L/min、照射ギャップ(プラズマ照射ノズルと布帛との距離)2.5mm、照射時間0.8秒、電力量100Wh、周波数13.56M
Hzとした。表2中、リモート式とは上述したリモートジェット方式のプラズマ照射手段を指し、ダイレクト式とは上述したダイレクト方式のプラズマ照射手段を指す。なお、リモートジェット方式のプラズマ照射手段は、大気圧下でプラズマを発生させ、ダイレクト方式のプラズマ照射手段は、真空下でプラズマを発生させた。
リモートジェット方式のプラズマ照射手段を用いた場合は、プラズマ照射手段をインクジェットプリンターにインラインで組み込むことができたため、プラズマ照射工程以後の工程を連続して実施できた。一方、ダイレクト方式の照射手段を用いた場合には、プラズマ照射手段をインクジェットプリンターにインラインで組み込むことができず、プラズマ照射工程後に、インクジェットプリンターに布帛をセットし直して、画像形成工程以後の工程を実施した。
画像形成条件は、印刷速度10m2/hr、画像解像度1440×1440dpi、Duty100%で行った。
Figure 0006222461
<放電損傷>
上記のプラズマ照射処理を行った領域であって、画像を形成していない領域について、布帛の放電損傷の有無の評価を行った。具体的には、布帛の放電損傷の有無は、測色器(商品名「Gretag Macbeth Spectrolino」、X−RITE社製)を使用して、画像を形成していない領域のb*値を測定して、プラズマ照射前後におけるb*値の変化割合によって判断した。評価基準は次の通りである。
損傷あり:b*値の変化割合が15%を超えた
損傷なし:b*値の変化割合が15%以内
<染着性>
染着性の評価は、「ISO 105 C06」に準じて洗濯堅牢性試験を行った後、洗濯前後のOD値の変化に基づいて判断した。具体的には、試験瓶を予熱して試験液を50±2℃にし、これに上記の評価サンプルを入れて密封した後、洗濯試験機に取り付けて、試験機を規定時間運転した。その後、評価サンプルを試験瓶から取り出して、水洗(25℃±2℃の水、100mlで1分間)を2回繰り返して、脱水、乾燥を行った。この際の試験液は、次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素濃度が0.01%になるように添加し、ペルオキソホウ酸ナトリウム2.5g/L加え、過炭酸ナトリウム2.5g/L添加した物を用いた。評価サンプルの画像形成部分の洗濯前後のOD値の変化を、測色器(商品名「Gretag Macbeth Spectrolino」、X−RITE社製)を用いて測定した。評価基準は次の通りである。
A:10%以内
B:10%より大きく、20%以内
C:20%より大きく、30%以内
1.5.4.評価結果
上記の評価試験の結果を表3および表4に示す。
Figure 0006222461
Figure 0006222461
表3の評価結果の通り、特定の反応基を有する染料を含むインク組成物を用いて画像を形成する際に、予めプラズマ照射手段によりプラズマを照射しておくことで、多様な布帛に対して染着性に優れた画像が形成できることが示された。また、リモートジェット式のプラズマ照射手段を使用することで、布帛の損傷が軽減できることが示された(実施例1〜実施例15)。
一方、表4の評価結果の通り、比較例1では、特定の反応基を有していない染料を含むインク組成物を用いたため、染料の染着性が低下することが示された。比較例2および比較例4では、ダイレクト方式のプラズマ照射手段を使用したため、布帛の損傷が顕著に生じた。比較例3および比較例5では、プラズマ照射工程を実施しなかったため、染料の染着性が低下することが示された。
2.変形例
2.1.第1の変形例
次に、上述した印捺物の製造方法に関して、その工程の一部を変更した第1の変形例について説明する。第1の変形例では、上述した印捺物の製造方法における「処理剤付与工程」を実施するタイミングを変更したものである。処理剤付与工程の実施タイミング以外については、上述した印捺物の製造方法と同様であるので、その説明を省略する。
第1の変形例における処理剤付与工程は、記録ヘッドからインク組成物を噴射した後(すなわち、画像形成工程の後)に行う。これにより、処理剤に含まれる成分の作用により、布帛に付着させた染料の染着性が向上する。
第1の変形例における処理剤付与工程は、上述の画像形成工程における記録ヘッドからインク組成物を噴射した後であって、上述した湿熱処理工程の前に行われることが好ましい。これにより、染料の染着性が一層向上して、画像の発色性が向上する傾向にある。
第1の変形例における処理剤付与工程を実施する場合には、例えば、図4のインクジェット記録装置1100を使用することができる。図4は、第1の変形例に係る印捺物の製造方法に使用可能なインクジェット記録装置1100を模式的に表す図であり、図1に対応している。図4のインクジェット記録装置1100において、図1のインクジェット記録装置1000と同様の手段については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図4のインクジェット記録装置1100では、処理剤付与手段130が設けられた位置が、図1の処理剤付与手段30が設けられた位置と異なる以外は、同様の構成である。すなわち、図4における処理剤付与手段130は、布帛搬送方向において、画像形成手段40の下流側であって湿熱処理手段50の上流側に設けられている。
このようなインクジェット記録装置1100を使用することで、第1の変形例の処理剤付与工程は、記録ヘッドからインク組成物を噴射した後であって、湿熱処理工程の前に行うことができる。
2.2.第2の変形例
次に、上述したインクジェット記録装置1000において、プラズマ照射手段20の構成の一部を変更した第2の変形例について、図面を参照しながら説明する。
図5は、第2の変形例におけるプラズマ照射手段200を搭載したインクジェット記録装置を上方からみたときの一部分を模式的に示す図であり、図3に対応している。
図5の例では、プラズマ照射手段200は、プラズマ照射手段200Aおよびプラズマ照射手段200Bを備えている。各プラズマ照射手段200Aおよび200Bは、画像形成手段40(インクジェット記録用ヘッド41)の布帛の幅方向における両側の端部に搭載されている。
プラズマ照射手段200Aおよび200Bから照射されるプラズマは、インクジェット記録用ヘッド41から噴射されたインク組成物が布帛に付着する前に照射される。すなわち、インクジェット記録用ヘッド41がA方向に移動する場合には、プラズマ照射手段200Aによって布帛1の所定の領域に予めプラズマを照射した後、インクジェット記録用ヘッド41からインク組成物を噴射して当該所定の領域に付着させる。また、インクジェット記録用ヘッド41がB方向に移動する場合には、プラズマ照射手段200Bによって所定の領域に予めプラズマを照射した後、インクジェット記録用ヘッド41からインク組成物を噴射して当該所定の領域に付着させる。
プラズマ照射手段200は、インクジェット記録用ヘッド41の走査時に噴射されるインク組成物がプラズマの照射された領域に着弾できるように、布帛搬送方向に沿って複数設けられてもよい。同様の観点から、プラズマ照射ノズルは、布帛搬送方向に沿って複数設けられていてもよい。
プラズマ照射手段200は、プラズマ照射量を増加させるという観点から、ヘッド移動方向に沿って複数設けられていてもよい。同様の観点から、プラズマ照射ノズル(図示せず)は、ヘッド移動方向に沿って複数設けられていてもよい。
このように、プラズマ照射手段200を使用すれば、画像の形成を予定している領域にのみプラズマを照射することができるので、プラズマ照射による消費電力を低減したり、布帛のダメージを一層低減できる。
図5の例では、処理剤付与手段30が、プラズマ照射手段200および画像形成手段40の布帛搬送方向の上流側に設置されている場合を示したが、これに限定されるものではない。例えば、処理剤付与手段が、プラズマ照射手段200および画像形成手段40の布帛搬送方向の下流側に設けられていてもよい。
また、図示しないが、インクジェット記録装置は、プラズマ照射手段20と、プラズマ照射手段200の両方を備えていてもよい。インクジェット記録装置がプラズマ照射手段20およびプラズマ照射手段200の両方備えている場合には、プラズマ照射手段20をプラズマ照射手段200の布帛搬送方向の上流側に設けることができる。この場合には、布帛にプラズマを発生させる機能が一層効果的に発揮される。また、処理剤付与手段は、布帛搬送方向において、照射手段20と照射手段200との間に設置されていてもよいし、照射手段20および照射手段200の下流側に設置されていてもよい。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…布帛、10…搬送手段、11…ローラー、12…プラテン、20,200(200A,200B)…プラズマ照射手段、21…プラズマ発生部、22…ガス供給室、23…電極対、23a,23b…電極、24…電源、25…プラズマ照射ノズル、26(26a,26b)…排気管、29…ガス貯留部、30,130…処理剤付与手段、40…画像形成手段、41…インクジェット記録用ヘッド、50…湿熱処理手段、1000,1100…インクジェット記録装置、D…放電部分

Claims (8)

  1. ヒドロキシ基と反応可能な反応基を有する染料と、水と、を含有するインク組成物を準備する工程と、
    布帛を準備する工程と、
    プラズマ照射手段により発生させたプラズマを、放電部分が前記布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程と、
    前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後に、前記インク組成物を記録ヘッドから噴射して、前記布帛の表面に画像を形成する工程と、
    前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後であって前記インク組成物を前記記録ヘッドから噴射する前に、又は、前記インク組成物を前記記録ヘッドから噴射した後に、
    水と、還元防止剤と、アルカリ剤と、を含む処理剤を前記布帛の表面に付与する工程と、
    を含む、印捺物の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記プラズマを大気圧下で発生させて照射する、印捺物の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記プラズマ照射手段は、プラズマ発生部を備え、
    前記プラズマ発生部に、1種以上のガスを送り込みながら、前記プラズマを発生させる、印捺物の製造方法。
  4. 請求項3において、
    発生させた前記プラズマにより、前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる、印捺物の製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記反応基が、ビニルスルホン基、ハロゲン化トリアジニル基、ハロゲン化ピリミジル
    基、ハロゲン化ピリダジニル基、ハロゲン化キノキサリニル基およびハロゲン化フタラジニル基から選択される少なくとも1種である、印捺物の製造方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
    前記反応基は、80℃以上で前記ヒドロキシ基と結合するものであり、
    前記反応基と前記ヒドロキシ基との25℃での反応速度が、前記反応基と前記ヒドロキシ基との80℃での反応速度に対して、1/10以下である、印捺物の製造方法。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか1項において、
    前記布帛の所定の位置にプラズマを照射し終えた後から、前記所定の位置に画像を形成し始めるまでの時間が、240秒以下である、印捺物の製造方法。
  8. プラズマ照射装置により発生させたプラズマを、放電部分が布帛に接触しない状態で該布帛の表面に照射することによって、該布帛の表面にヒドロキシ基を発生させる工程と、
    前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後に、インク組成物を記録ヘッドから噴射して、前記布帛の表面に画像を形成する工程と、
    前記布帛の表面にヒドロキシ基を発生させた後であって前記インク組成物を前記記録ヘッドから噴射する前に、又は、前記インク組成物を前記記録ヘッドから噴射した後に、
    水と、還元防止剤と、アルカリ剤と、を含む処理剤を前記布帛の表面に付与する工程と、
    を含み、
    前記インク組成物が、ヒドロキシ基と反応可能な反応基を有する染料と、水と、を含有する、捺染方法。
JP2014033116A 2014-01-22 2014-02-24 印捺物の製造方法、捺染方法 Active JP6222461B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014033116A JP6222461B2 (ja) 2014-01-22 2014-02-24 印捺物の製造方法、捺染方法
CN201510029246.6A CN104786655B (zh) 2014-01-22 2015-01-21 喷墨打印机以及印刷方法
US14/601,373 US9475312B2 (en) 2014-01-22 2015-01-21 Ink jet printer and printing method

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014009514 2014-01-22
JP2014009514 2014-01-22
JP2014033116A JP6222461B2 (ja) 2014-01-22 2014-02-24 印捺物の製造方法、捺染方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015158025A JP2015158025A (ja) 2015-09-03
JP6222461B2 true JP6222461B2 (ja) 2017-11-01

Family

ID=54181888

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014033116A Active JP6222461B2 (ja) 2014-01-22 2014-02-24 印捺物の製造方法、捺染方法
JP2014069910A Active JP6369673B2 (ja) 2014-01-22 2014-03-28 インクジェットプリンタ及び印刷方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014069910A Active JP6369673B2 (ja) 2014-01-22 2014-03-28 インクジェットプリンタ及び印刷方法

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP6222461B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7097767B2 (ja) * 2018-07-19 2022-07-08 サカタインクス株式会社 プラズマ処理立体造形装置
JP2020023168A (ja) * 2018-07-31 2020-02-13 株式会社リコー 画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成物

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62223384A (ja) * 1986-03-19 1987-10-01 旭化成株式会社 新規なアラミド繊維の染色法
JP2818021B2 (ja) * 1990-10-16 1998-10-30 鐘紡株式会社 布帛の捺染方法
EP0548013A1 (de) * 1991-12-16 1993-06-23 Ciba-Geigy Ag Verfahren zum Färben von Wolle mit Hilfe einer Niedertemperaturplasma- oder Corona-Vorbehandlung
EP0559609B1 (de) * 1992-03-03 1997-01-29 Ciba SC Holding AG Verfahren zur Herstellung von Mehrfarben- oder Hell-Dunkel-Effekten
JPH10310143A (ja) * 1997-05-12 1998-11-24 Kureha Chem Ind Co Ltd 表面改質ボトル
JP2000301711A (ja) * 1999-02-15 2000-10-31 Konica Corp 表面処理方法、インクジェット記録媒体の製造方法及びインクジェット記録媒体
DE60009771T2 (de) * 1999-02-15 2005-03-17 Konica Corp. Verfahren zur Oberflächenbehandlung, Verfahren zur Herstellung eines Tintenstrahl-Aufzeichnungsmaterials sowie durch dieses Verfahren hergestelltes Material
JP2003311940A (ja) * 2002-04-25 2003-11-06 Sii Printek Inc インクジェット印刷機
JP4006416B2 (ja) * 2004-06-03 2007-11-14 キヤノン株式会社 インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置
US8287116B2 (en) * 2008-02-14 2012-10-16 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Printing apparatus and method
JP2009279796A (ja) * 2008-05-20 2009-12-03 Tohoku Ricoh Co Ltd インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP5752954B2 (ja) * 2011-02-28 2015-07-22 株式会社セイコーアイ・インフォテック インクジェットプリンタ
JP5654386B2 (ja) * 2011-02-28 2015-01-14 株式会社セイコーアイ・インフォテック インクジェットプリンター
JP2013006308A (ja) * 2011-06-23 2013-01-10 Seiko Epson Corp 画像記録装置、画像記録方法
JP5966490B2 (ja) * 2012-03-23 2016-08-10 株式会社リコー 被記録媒体の表面改質装置、インクジェット式プリンタ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015158025A (ja) 2015-09-03
JP2015157466A (ja) 2015-09-03
JP6369673B2 (ja) 2018-08-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107868516B (zh) 喷墨印染用油墨组合物以及油墨容纳容器
JP6233579B2 (ja) インクジェット捺染用のインク組成物および捺染方法
EP3617284A1 (en) Ink jet printing penetrant, ink jet printing ink set, and ink jet printing method
CN109321037B (zh) 喷墨印染用油墨以及喷墨印染用油墨组
EP3546644B1 (en) Ink jet textile printing composition set and ink jet textile printing method
CN111117363B (zh) 印染喷墨墨水、墨水组以及印染方法
CN113462231B (zh) 喷墨油墨组合物及喷墨记录方法
US20190093283A1 (en) Recording method
CN108625188B (zh) 喷墨用墨组合物以及记录方法
CN108250841B (zh) 印染用喷墨油墨组合物、油墨组以及记录方法
JP6222461B2 (ja) 印捺物の製造方法、捺染方法
JP6753453B2 (ja) インクセット
JP7192250B2 (ja) インクジェット捺染用インク及びインクジェット捺染用インクセット
JP2015155579A (ja) 印捺物の製造方法および印捺物、捺染方法
CN112111194B (zh) 水系喷墨印染油墨组合物及印染方法
EP4239123A1 (en) Recording method
JP6939961B2 (ja) インクセット
EP3822083B1 (en) Ink jet recording apparatus
US20230312963A1 (en) Printing Ink Jet Ink Composition And Recording Method
US20210301165A1 (en) Aqueous Ink Jet Composition, Ink Set, Ink Jet Recording Apparatus, And Method For Manufacturing Recorded Matter

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170606

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170614

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170725

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170919

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6222461

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150